JP2010167628A - ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のものよりも、低見掛け密度であり平均厚みが薄い発泡ブロー成形体であっても、成形体厚みの偏肉が少ないことにより、軽量性に優れ、かつ機械的強度や断熱性の物性ばらつきの少ない、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、見掛け密度が150kg/m以上350kg/m未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満、成形体の厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.5mmかつ成形体の厚み方向の気泡数が5個以上であり、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体に関する。
近年、発泡層を有するブロー成形体(以下、発泡ブロー成形体ということがある。)の開発が行われている。発泡ブロー成形体の成形方法としては、従来種々の方法が提案されているが、実用的な軽量性や断熱性を有する発泡ブロー成形体を得ることができる製造方法として、押出機により発泡剤と熱可塑性樹脂とを溶融混練し、これをダイより押出して筒状の発泡パリソンを形成し、この発泡パリソンを金型で挟み込んでブロー成形する方法がある。この方法で得られた発泡ブロー成形体は、軽量性、断熱性等に優れていることから、例えば、容器、ダクト、自動車部品や電化製品部品等に利用することが可能である。
温暖化ガス排出による地球温暖化問題から、自動車業界においても排出ガス中の二酸化炭素等の削減は最重要課題となっている。自動車からの二酸化炭素の排出量を削減するための一つの手法として、自動車の軽量化による自動車の低燃費化が推進されており、自動車部品においてもより一層の軽量化が望まれている。
発泡ブロー成形体は、同じ厚みで比べた場合、従来のソリッドブロー成形体よりも軽量化することが可能であると共に、その見掛け密度と厚みとを調整することにより、ソリッドブロー成形体と同じような剛性であっても、より軽量化することができるという利点がある。このような特徴から、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる発泡ブロー成形体が、自動車の空調ダクトに採用され始めているが、より自動車の軽量化を目指すという観点から、発泡ブロー成形体からなるダクトにおいてもさらなる軽量化が望まれている。
発泡ブロー成形体を軽量化するためには、発泡倍率を上げて見掛け密度を低減させ、かつ成形体の肉厚を薄くする方法がある。ここで、肉厚の薄い発泡ブロー成形体を得る手段として、発泡パリソン自体の肉厚を薄くする方法がある。しかしながら、薄肉の発泡パリソンを形成するためには、発泡パリソンを押出する際にダイ先端部のダイリップのクリアランスを絞る必要があるため、ダイリップのクリアランスを極度に絞って発泡パリソンを押出すると、コルゲートと称される凹凸のあるひだが発生し易く、また、得られる成形体の厚みの均一性や気泡構造の均一性が低下するという問題点があった。
成形体の厚み精度が低いと、発泡ブロー成形体の圧縮強度や曲げ強度などの機械的強度や断熱性の物性にばらつきが生ずる原因となる。該成形体の厚みの薄い部分では、他の部分に比べると相対的に機械的強度、断熱性が低下する。従って、極度に厚みが薄い部分があると、要求物性に対してそのような部分の物性を考慮して最低厚みの設計を行う必要があるので、発泡ブロー成形体全体の厚みが自ずと厚くなり、その結果、軽量化の達成が不十分になる。
特許文献1には、発泡ブロー成形により得られる、発泡倍率が2.5〜5倍であり、平均肉厚が0.5〜1.5mmの発泡体ダクトが開示されている。この発泡ダクトは、肉厚5mmの発泡パリソンをブロー成形して製造されている。この発泡体ダクトは、特許文献1に示された写真(特許文献1の図2、3)によると、ダクトの厚み方向に気泡の潰れ或いは気泡の破泡が観察されているので、均一な気泡構造を有しかつ独立気泡率の高い発泡体ダクトと比較すると、機械的強度が低いものとなる。更に、得られた発泡体ダクトは肉厚の均一性に優れると記載されているが、その実施例には、発泡体ダクトの最も薄い部分の肉厚が0.3mmと記載されているのみで、発泡体ダクトの肉厚の均一性、及び平均肉厚自体も示されていない。前記写真において、気泡が厚み方向に潰れていること、肉厚が2mm程度であること等から、特許文献1に開示されている発泡体ダクトは気泡構造と肉厚の均一性について未だ改良の余地がある。
本出願人は、厚み精度の高い発泡ブロー成形体を得るための方法として、例えば、発泡中空成形体の最大幅に対して特定倍のリップ径を有する環状ダイ、及びパリソンの最大幅を発泡中空成形体の最大幅の特定倍にし、吹込ブロー圧を調整する方法(特許文献2参照)、及び特定範囲の平衡コンプライアンスとスウェルを有する原料を使用し、発泡パリソン押出時のダイリップのクリアランス調整する方法(特許文献3参照)を提案した。
特開2005−241157号公報 特開2006−305793号公報 特開2007−062364号公報
上記特許文献2、3に記載の方法により、厚み精度の向上した発泡中空成形体が成形可能となったが、これらの方法に基づくだけでは、発泡中空成形体の見掛け密度が350g/m未満で、かつ平均厚みが2.3mm未満の範囲の場合には、十分な厚み精度を達成できず、改良の余地を残すものであった。
前記のように、見掛け密度が350kg/m未満の低見掛け密度であり、かつ平均厚みが2.3mm未満と厚みの薄い範囲においては、厚みばらつきの小さく発泡ブロー成形体は存在せず、またその成形方法も見出されていなかったのが実状である。
本発明は、従来得られていなかった、低見掛け密度で平均厚みが薄くても、厚みの偏肉が小さく、かつ均一性の高い気泡構造を有する発泡成形体とすることにより、機械強度や断熱性の物性ばらつきの小さい、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の技術の問題点に鑑み、発泡ブロー成形法により、成形体厚みが薄く、かつ低見掛け密度である発泡ブロー成形体を得る際に、該成形体の厚みの均一性が悪くなる原因について鋭意研究した結果、発泡パリソンをブロー成形する際に、発泡パリソンの内表面と外表面との間に温度差が生じていると、発泡パリソンに伸びムラが発生し、得られる発泡ブロー成形体の厚みのばらつきが大きくなり、かつブロー成形時に発泡パリソンの内部側が局部的に潰されてしまい気泡構造が不均一になることが判明したので、このような温度差が生ずるのを防止すること等により薄肉の場合であっても偏肉が小さい厚みの均一性に優れる発泡ブロー成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕ないし〔8〕に記載する発明を要旨とする。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、見掛け密度が150kg/m以上350kg/m未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満、成形体の厚み方向の平均気泡径D1が0.05〜0.5mmかつ成形体の厚み方向の気泡数が5個以上であり、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔2〕成形体の厚み方向の気泡径D2に対する、成形体内面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径D3の比D3/D2の平均値が0.75以上であることを特徴とする、前記〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔3〕前記見掛け密度が200kg/m以上350kg/m未満であることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔4〕前記見掛け密度が250〜300kg/mであることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔5〕前記平均厚みが1.5mm超2.3mm未満であることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔6〕気泡変形率a/bの平均値、及びa/cの平均値がそれぞれ0.2〜1.2である(但し、発泡ブロー成形体において、aは厚み方向の気泡径、bは長手方向の気泡径、cは周方向の気泡径である)ことを特徴とする、前記〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔7〕前記発泡ブロー成形体の内表面の最大高さ粗さRzが100μm以下であることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔8〕前記発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該発泡ブロー成形体の平衡コンプライアンスJe0が0.5×10−3〜1.8×10−3Pa、且つスウェルが2.5以下であることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔7〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔9〕前記発泡ブロー成形体がダクトであることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔8〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体は、見掛け密度が低くかつ薄肉であるため軽量性と断熱性とのバランスに優れると共に、偏肉が小さく厚みが均一であるため、発泡ブロー成形体の各部位での機械強度や断熱性などの物性ばらつきが少なくなる。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体が、前記〔6〕に記載する特定の気泡変形率を有することにより、さらに機械的強度に優れたものとなる。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、前記〔7〕に記載する内表面の表面粗さが小さいことにより、通風効率に優れたものとなり、ダクト用途などに好適である。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡ブロー成形体が前記〔8〕に記載する特定の溶融物性を有するポリプロピレン系樹脂からなることにより、厚みの均一性に更に優れた発泡ブロー成形体となる。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。 本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。 発泡ブロー成形体の製造に使用するダイを概念的に説明する断面図の例である。 時間tに対するクリープコンプライアンスJ(t)の測定結果の一例を示す図面である。 本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体の一例を示す、斜視図(a)、正面図(b)、側面図(c)、断面図(d)である。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体は、見掛け密度が150kg/m以上350kg/m未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満、成形体の厚み方向の平均気泡径D1が0.05〜0.5mmかつ成形体の厚み方向の気泡数が5個以上であり、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする。
前述した通り、従来、見掛け密度350kg/m未満、かつ平均厚み2.3mm未満では、厚みの均一性に優れる発泡ブロー成形体を得ることは困難であった。その原因について鋭意検討した結果、発泡パリソンをブロー成形する際に、発泡パリソンの内表面の温度と外表面の温度との間に比較的大きな温度差が発生しており、この温度差が発泡ブロー成形体の厚み精度を低下させていることを見出した。
以下に、発泡パリソンの内外表面に温度差が生じる原因について説明する。
まず、一般的な発泡ブロー成形体の製造方法の一例を図1、2に示す。図1に示すように、基材樹脂と物理発泡剤とを押出機(図示しない)内で溶融混練して発泡性溶融樹脂とし、この発泡性溶融樹脂をダイ21のダイリップから押出発泡することにより筒状の発泡パリソン11を得る。この軟化状態にある発泡パリソン11の内部に、プリブローエア(パリソンを拡幅するため又はパリソンの内面同士を融着させないための空気などの気体)を吹き込みながら、ダイ直下に配置した金型22aと金型22bからなる分割形式の組合せ金型内に発泡パリソン11を配置し、該金型を閉鎖することにより発泡パリソン11を金型22aと金型22bとで挟み込む。次いで、図2に示すように、発泡パリソン11の内部にブローピン24を挿入し、発泡パリソン11の内部にブローピン24からブローエア(パリソンをブロー成形するための空気などの気体)を吹き込むことにより、発泡パリソン11の外面を金型内面23に押し付けることにより、発泡パリソンを金型形状通りにブロー成形して中空の発泡ブロー成形体を成形する。該成形後、該成形体内の空間3の圧力を保つこと及び/又は金型側から成形体を吸引することによって、該成形体の壁部2を金型に密着させ続けて成形体を冷却した後、型開きして、発泡ブロー成形体1を回収する。
ここで、肉厚の薄い発泡ブロー成形体を得るためには、肉厚の薄い発泡パリソンを形成する必要があるが、そのためのひとつの手段として、一般的には、押出発泡時にダイリップのクリアランスを狭める方法が挙げられる。ソリッドブロー成形法と発泡ブロー成形法とを比べると、発泡ブロー成形法では発泡する分だけパリソンの肉厚が厚くなるので、同じ厚みのパリソンを得ようとする場合には、ソリッドブロー成形法に比べてダイリップのクリアランスをより狭めてパリソンを押出す必要がある。更に発泡倍率を高めると発泡パリソンの厚みが増すので、高発泡倍率で薄肉の発泡パリソンを形成するためには、さらにダイリップのクリアランスを狭めなければならない。従来公知の成形方法においては、ダイリップのクリアランスを極度に狭めることにより、ダイ先端部近傍での剪断発熱が大きくなる等の理由により、発泡パリソンの厚み方向に大きな温度ムラが生じ、特に、発泡パリソンの内表面側の温度が外表面の温度に比べて高くなっていた。
厚みの均一性に優れた発泡ブロー成形体を得るためには、ブロー成形時に発泡パリソンが均一に伸ばされることが必要であるが、上記のように、従来の方法によって、低見掛け密度でかつ厚みの薄い発泡パリソンを形成しようとすると、上記のように発泡パリソンの厚み方向に大きな温度ムラが生じて温度の高い部分があるために、発泡パリソン全体の張力が低下してしまうことから、ブロー成形時にパリソンの一部が過度に引き伸ばされてしまうので、得られた発泡ブロー成形体は厚み精度の低いものとなっていた。更に、発泡パリソンの内面側の温度が高いと内面側の気泡のセル強度が低下するため、ブロー成形時にブローエアの圧力により内面側の気泡が押し潰されて、成形体厚み方向の気泡径の均一性が低下していた。この温度の高い部分の影響は発泡パリソンの厚みが薄いほど大きくなるため、従来の方法では、得ようとする発泡ブロー成形体の厚みが薄くなるほど、成形体の厚みの均一性及び気泡径の均一性が低下する傾向にあった。
上記不都合を解消するために、ブロー成形時において発泡パリソンの内外表面間の温度差を小さくする方法として、押出発泡時に内外表面間の温度差が小さい発泡パリソンを形成する方法や、温度差のある発泡パリソンであってもプリブローエアなどによりブロー成形されるまでに温度の高い内表面側を冷却することで内外表面間の温度差を小さくする方法等が挙げられる。
これらの方法の中でも、ブロー成形時における発泡パリソンの内外表面間の温度差の制御が相対的に容易になることから、押出発泡時に内外表面間の温度差の小さな発泡パリソンを形成する方法が好ましく、具体的には内外表面間の温度差を10℃以内とすることが好ましい。発泡パリソンの内外表面間の温度差を小さくすることにより、ブロー成形時に発泡パリソンが均一に伸びるため厚み精度が高く、内面側の気泡が過度に潰されていない発泡ブロー成形体が形成される。かかる観点から、押出時の発泡パリソンの内外表面間の温度差は8℃以内であることがより好ましく、更に好ましくは5℃以内であり、特に好ましくは3℃以内である。
なお、押出時の発泡パリソンの表面温度とは、押出完了直後のパリソンの表面温度を意味し、表面温度は非接触式の温度計などを使用して測定することができる。発泡パリソンの表面温度は、発泡ブロー成形体の製造前に、製造時の製造条件と同じ製造条件で予め発泡パリソンのみを形成して測定すればよい。
押出時に発泡パリソンの内外表面間の温度差を小さくするためには、ダイ内部での溶融樹脂の剪断発熱を抑える必要がある。ここで、ダイリップのクリアランスを変えずに剪断発熱を抑えるためには、ダイリップからの吐出量を低減させることが有効であるが、発泡ブロー成形では、以下に記載する理由により吐出量を大幅に低減させることはできない。
先ず、発泡ブロー成形では、ブロー成形性が良好な発泡パリソンを形成するためには、ダイ内で発泡が開始してしまう内部発泡と称される現象を防ぐ必要がある。この内部発泡を防ぐためには、ダイリップ際のダイ先端部付近で十分な圧力を保持する必要があり、特に高発泡倍率の発泡パリソンを形成するためには特にその圧力を高く保持する必要がある。したがって、ダイ先端部の圧力は吐出量と正の相関があるため、吐出量を極度に低下させることはできない。また、発泡パリソンがブロー成形されるまで発泡パリソンは軟化状態にあり、良好な成形体を得るためには、この軟化状態において独立気泡構造を維持する必要がある。また、発泡パリソンの押出発泡は、発泡層を構成する基材樹脂が結晶性のポリオレフィン系樹脂である場合、ポリオレフィン系樹脂の融点近傍で行われるため、ソリッドブロー成形法に比べてパリソンが固化しやすい状態にある。パリソンが固化し始めて伸びが著しく低下した状態でブロー成形を行うと、厚み精度に優れた発泡ブロー成形体を得ることができなくなる。そのため、発泡ブロー成形においては、パリソン押出開始からブロー成形開始までをソリッドブロー成形よりも相対的に短時間で行う必要があり、その結果、ダイリップからの吐出量をある程度高く維持しなければならず、前述したように吐出量を大幅に低減することはできない。
一方、従来のソリッドブロー成形では、ダイリップのクリアランスを極度に狭める必要はなく、また、吐出量を高くする必然性がないため、パリソンの内外表面間で温度差が生じ難く、さらに、ブロー成形する際にパリソンの内外表面間での温度差が生じていても成形上特に大きな問題は生じていなかった。また、発泡ブロー成形においても、発泡パリソンの厚みが厚い場合、或いは見掛け密度が高い場合には、パリソンの内外表面間で温度差が生じ難く、また温度差が生じていたとしても厚み精度への影響は比較的少なかった。
ブロー成形性が良好な発泡パリソンを形成するために必要な吐出量は、樹脂が受けた熱や剪断の履歴、所望の発泡倍率、用いるダイの樹脂流路などによって変化するものであるため一概に決定することはできないが、本発明のような発泡倍率、厚みにおいて、押出発泡性とブロー成形性とを高いレベルで両立させるためには、ダイ開口面積あたりの発泡性溶融樹脂の吐出速度を概ね50kg/(hr・cm)以上とすることが好ましく、より好ましくは80kg/(hr・cm)以上、さらに好ましくは120kg/(hr・cm)以上である。ただし、あまりにも吐出速度が速すぎると剪断発熱が極めて大きくなり発泡パリソン自体が得られなく虞があるため、その上限は概ね800kg/(hr・cm)であり、本発明のような発泡倍率、及び厚みにおいて、押出発泡性とブロー成形性とを高いレベルで両立させるためには、500kg/(hr・cm)以下とすることが好ましく、300kg/(hr・cm)以下とすることがより好ましい。
このような高い吐出量を維持したまま、押出時の発泡パリソンの内外表面間の温度差を上記範囲内に調整するためには、ダイ内部の樹脂流路、特にダイリップ先端部の樹脂流路を内部発泡が生じない範囲で広げ、剪断発熱を小さくすることが重要である。
ここで、ダイ樹脂流路の設計手法の1つとして、以下に示す「剪断量」を調整する方法がある。剪断量とは、ダイ内の溶融樹脂流路の樹脂剪断速度と樹脂がダイ内部を移動する時間(以下、「滞留時間」という。)を乗じた値であり、ダイ内で樹脂が受ける剪断の量を意味する。この剪断量を内部発泡が生じない範囲で調整することにより剪断発熱を低下させることができる。
剪断量はダイ内部の樹脂流路形状に基づいて、ダイの各部分ごとに剪断速度と滞留時間との積を計算し、各部分の総和として求められる値である。図3はダイ先端部の縦断面の一例であり、この図3を用いて具体的に剪断量の計算方法を説明する。図3に示すように樹脂流路25の断面積が押出方向に変化している場合、剪断量は(ア)、及び(イ)の各樹脂流路における剪断量を合算することにより求める。なお、図3中に示す数値の単位は全てmmである。
剪断量を求めるためには、まず、発泡性溶融樹脂の吐出量からその体積流量を求める。例えば、1時間当たりの押出量が500kgの場合、1秒当たりの押出量は138.9g/秒(=500,000g÷3,600秒)と計算され、高圧下溶融時のポリオレフィン系樹脂の密度として便宜上1g/cmを採用すると、1秒当たりの体積流量は138.9cm/秒となる。
図3における樹脂流路(ア)の部分の樹脂流路の体積は、長さ5mm、直径100mmの円柱の体積から、長さ5mm、下面直径98mm、上面直径90mmの円錐台の体積を引くことにより、4.55cmと計算される。そして、樹脂流路(ア)を通過する発泡性溶融樹脂の滞留時間は、樹脂流路(ア)の体積を体積流量で除すことにより0.033秒(4.55cm÷138.9cm/秒)と計算される。
次に、樹脂流路(ア)の部分の剪断速度を求める。樹脂流路(ア)の部分のように、流路断面積が連続的に変化する場合には、樹脂流路(ア)の中間点部分の外径と内径とを有する平行二重管とみなし、剪断速度を算出する。剪断速度は、流路断面が円環の部分においては、溶融樹脂をニュートン流体とみなし、下記(1)式で表現される。
6Q/π((Ro+Ri)(Ro−Ri))) (1)
但し、Qは体積流量(cm/秒)、Roは円環の外側半径(cm)、Riは円環の内側半径(cm)である。
樹脂流路(ア)の流路長中点部分の外径は100mmであり、同内径は94mmと計算されるから、この値を(1)式に代入して得られる樹脂流路(ア)の中間点の剪断速度は303.8秒−1となる。ここで、樹脂流路(ア)の部分の剪断量は、樹脂流路(ア)の部分の剪断速度と樹脂流路(ア)の部分の滞留時間の積であるから、10.0(303.8秒−1×0.033秒)と計算される。
同様にして、樹脂流路(イ)の部分の剪断量を求める。樹脂流路(イ)部分の樹脂流路の体積は、長さ5mm、下面直径100mm、上面直径92の円錐台の体積から、長さ5mm、下面直径90mm、上面直径82mmの円錐台の体積を引くことにより、7.15cmと計算される。樹脂流路(ア)の場合と同様に計算すると、滞留時間は0.051秒、中間点部剪断速度は116.6秒−1となり、樹脂流路(イ)の部分の剪断量は6.0となる。
樹脂流路(ア)及び樹脂流路(イ)の剪断量を合算すると16.0となり、剪断量16が得られる。
本発明者等らは、実験を繰り返し実施した結果、高い吐出速度を維持しながらも、過度な剪断発熱を抑えてパリソン内外表面間の温度差を10℃以内とするためには、ダイリップ先端部付近、特にダイリップ出口から10mm内側付近までの部分の樹脂流路の剪断量が重要であり、その部分の最適な剪断量の上限は概ね40以下であることを見出した。この部分の剪断量が大きすぎる場合にはダイ内部での剪断発熱が過大となるため、樹脂温度の内外差が大きくなるため、剪断量の上限は好ましくは35以下であり、更に好ましくは30以下である。一方、剪断量が小さすぎる場合にはダイ内部で発泡が始まってしまうため、良好な発泡パリソンが得られない。かかる観点から剪断量の下限は概ね10以上が好ましく、より好ましくは15以上であり、更に好ましくは20以上である。
ダイリップ先端部26付近の剪断量が上記範囲であっても、ダイリップのクリアランスが極度に狭いと、吐出速度が速い場合には剪断発熱を抑えることができない。さらに、発泡時にコルゲートと称されるヒダが発生しやすくなる。したがって、本発明の成形体厚みが1mm以上2.3mm未満である成形体を製造する場合には、ダイリップのクリアランスは0.5mm以上とすることが好ましく、より好ましくは0.6mm以上である。一方、クリアランスを広げすぎると前記範囲の厚みの成形体が製造しにくくなるばかりか、極度に広げると内部発泡により発泡パリソンが得られなくなる。かかる観点から、ダイリップのクリアランスの上限は概ね3mm程度とすることが好ましく、2mm以下とすることがより好ましい。
押出時の発泡パリソンの内外表面間の温度差を低く抑え、本発明の見掛け密度が150kg/m以上350kg/m未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満であって、厚みの均一性及び気泡径の均一性に優れる発泡ブロー成形体を製造するためには、上記のごとく、ダイリップ開口面積当たりの吐出速度、ダイリップ先端部付近の樹脂流路の剪断量、及びダイリップのクリアランスとを勘案することが重要である。
本発明の発泡ブロー成形体は、ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とする。本発明において、ポリオレフィン系樹脂とは、樹脂中にオレフィン成分構造単位が50モル%以上存在するもの、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80〜100モル%存在するものである。例えば、オレフィンの単独重合体、オレフィン同士の共重合体、オレフィン成分とその他のオレフィンと共重合可能な重合性モノマー成分との共重合体のうち前記オレフィン成分構造単位存在量の条件を満足するもの、オレフィン重合体と他の重合体との混合物のうち前記オレフィン成分構造単位存在量の条件を満足するものが挙げられる。更に具体的には、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。また、オレフィン重合体と混合される他の重合体としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、特に耐熱性、強度等の機械的物性の観点から、高密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン系樹脂を少なくとも50重量%以上含むポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂を主成分とすることがより好ましい。
尚、本明細書において、前記「発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり」、又は、「発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂を主成分とし」とは、それぞれ該ポリオレフィン系樹脂中にプロピレン成分構造単位が50モル%以上存在していることを意味し、上記観点から該プロピレン成分構造単位が好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。
見掛け密度が150kg/m以上350kg/m未満で、かつ平均成形体厚さが1mm以上2.3mm未満の発泡ブロー成形体を得るためには、発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂を主成分とし、210℃における成形体の平衡コンプライアンスJe0が0.5×10−3〜1.8×10−3Pa−1であると共に、スウェルSが2.5以下であることが好ましい。
以下、成形体の平衡コンプライアンスJe0とスウェルSについて、ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いた場合について説明する。
薄肉の発泡ブロー成形体を製造するためには、押出時にダイリップのクリアランスを狭めて薄肉の発泡パリソンを形成する必要があるが、ポリプロピレン系樹脂が押出時に上記特性を有していることにより、薄肉の発泡パリソンを形成し易くなり、しかも発泡時のコルゲートの発生を効果的に抑制できる。かかる観点から、平衡コンプライアンスJe0は0.8×10−3〜1.6×10−3Pa−1がより好ましく、1.0×10−3〜1.5×10−3Pa−1が更に好ましく、1.2×10−3〜1.5×10−3Pa−1が特に好ましい。一方、スウェルSは2.3以下がより好ましく、1.5〜2.3が更に好ましい。尚、スウェルSの下限は概ね1である。
次に、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂が、特定の平衡コンプライアンスJe0と特定のスウェルSを有すると、厚みが均一で薄い発泡層の形成が容易になる理由について説明する。
平衡コンプライアンスJe0は樹脂の粘弾性(特に、弾性)の尺度であり、溶融状態のポリプロピレン系樹脂を平板に挟んで一定応力σを加え続け、時間tに対する歪τ(t)を測定することによって求めることができる。即ち、平板に挟んだポリプロピレン系樹脂に一定応力σを加えると歪τは急激に増大するが、時間tの経過につれて時間tとτ(t)の関係が平衡状態に達する(直線関係が成立つようになる。)。ここで、時間t(横軸)に対してクリープコンプライアンスJ(t)=τ(t)/σを縦軸にプロットし、平衡状態に達した直線関係を時間t=0に外挿して得られるJ(t)の切片が平衡コンプライアンスJe0である。時間tとクリープコンプライアンスJ(t)の測定結果の一例を図4に示す。
理論的には、時間tとJ(t)の間には下記(2)式の関係が成立つ。
J(t)=τ(t)/σ=Je0+t/η0 (2)
(2)式において、Je0が平衡コンプライアンスであり、η0は無剪断粘度である。
このようにして求められる平衡コンプライアンスJe0は、高分子の絡み合いの影響を受け、絡み合いの程度が大きいと、弾性が強くなり平衡コンプライアンスJe0も大きくなると考えられる。このことから、平衡コンプライアンスJe0は樹脂の発泡性の尺度であると考えることができる。即ち、適度な平衡コンプライアンスJe0を有する樹脂は適度な弾性を有することから、溶融状態の樹脂を発泡させて得られる発泡体において、適度な弾性を有する気泡膜は変形に対する抵抗力が強く、好ましい気泡の状態が保持されると考えられる。
尚、高分子の絡み合いの態様としては、分子構造中に自由末端長鎖分岐を有することや超高分子量成分を含むことが挙げられる。
本明細書において、平衡コンプライアンスJe0の測定、スウェルSの測定は次のように行う。
平衡コンプライアンスJe0は、レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー社製、動的粘弾性測定機(型式:ダイナミックアナライザーSR200型)により測定する。まず、ヒートプレスにより温度260℃、圧力8000kPaの条件下で5分間プレス成形することにより厚さ2mmの測定用サンプル樹脂板を作製し、この測定用サンプル樹脂板から直径25mmの円盤サンプルを切り出す。なお、発泡ブロー成形体から測定用サンプル樹脂板を作製する場合には、樹脂板中に気泡が残らないようにする。次に、このサンプルを動的粘弾性測定機の直径25mmのパラレルプレート間に挟んで210℃に昇温し、窒素雰囲気下において約10分間放置した後、パラレルプレートの間隔を1.4mmに調整し、パラレルプレートからはみ出した、溶融樹脂を取除く。次いで、窒素雰囲気下において溶融したサンプルに100Paの一定応力σcが加わるように上方のパラレルプレートを回転させて、一定応力σcを加え始めた時間t=0を基準に歪量γ(t)の経時変化を測定する。該歪量γ(t)は最初は急激に増加するが経時と共になだらかに増加するようになり、時間に対して直線的に変化する。
尚、前記ダイナミックアナライザーSR200型の装置設定は表1に示す通りとし、平衡コンプライアンスは装置上のオート機能により算出する。また、発泡ブロー成形体から測定試料を調整する場合、発泡ブロー成形体を真空オーブンなどを使用して加熱し脱泡したものを試料とし、その際の脱泡条件は、発泡ブロー成形体の基材樹脂を構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下とする。
Figure 2010167628

スウェルSは、具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmの円筒状オリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を210℃とし、試料の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置して試料を十分に溶融させてから、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出し、オリフィスの下面より10mm下の位置における弾性回復膨張状態の紐状樹脂直径を測定し、前記オリフィス孔の直径との比を計算することで求める。測定装置としては、(株)東洋精機製作所製、溶融張力測定装置(型式:キャピログラフ1D)などが使用できる。
尚、当然のことながら上記測定において溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。また、発泡ブロー成形体から測定試料を調整する場合、発泡ブロー成形体を真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とし、その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡ブロー成形体の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下とする。
発泡ブロー成形体を構成するポリプロピレン系樹脂の平衡コンプライアンスJe0を0.5×10−3〜1.8×10−3Pa−1、かつスウェルSを2.5以下とするためには、分子構造中に自由末端長鎖分岐を有するものや超高分子量成分を含むもの等の高溶融張力ポリプロピレンから選択、調整することができる。平衡コンプライアンスJe0及びスウェルSを前記特定範囲とするためには、高溶融張力ポリプロピレンとして単一のものを製造又は選択することが好ましいが、該特定範囲を超える高溶融張力ポリプロピレン(a)と、他の平衡コンプライアンスJe0やスウェルSが相対的に低いポリプロピレン系樹脂(b)とを混合することにより、平衡コンプライアンスJe0及びスウェルSを特定範囲内に調整しても良い。
なお、ポリプロピレン系樹脂は押出時の剪断履歴や熱履歴により分子量が低下しやすいため、成形体を構成するポリプロピレン系樹脂の平衡コンプライアンスJe0、スウェルSは、原料ポリプロピレン系樹脂の平衡コンプライアンスJe0、スウェルSよりも若干低下する傾向にある。発泡ブロー成形体の製造に際しては、製造前に予め原料樹脂を押出して、押出後の平衡コンプライアンスJe0、スウェルSを確認する。
高溶融張力ポリプロピレンの具体例としては、例えば、サンアロマー(株)製、ホモポリプロピレン樹脂(商品名:PF814)や、ボレアリス社製、ホモポリプロピレン樹脂(商品名:WB130)の回収原料が挙げられ、前記のように高溶融張力ポリプロピレン(a)と他のポリプロピレン系樹脂(b)を混合して調整する場合には、高溶融張力ポリプロピレン(a)としては、例えば、サンアロマー(株)製、ホモポリプロピレン樹脂(商品名:PF814)や、ボレアリス社製、ホモポリプロピレン樹脂(商品名:WB130)等が挙げられ、他のポリプロピレン系樹脂(b)としては、一般的な直鎖状ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
本発明においては、平衡コンプライアンスJe0及びスウェルSが前記特定範囲内であれば、発泡パリソンの発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂には、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ポリスチレン系樹脂等が副成分として添加されていても良い。
上記発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂は、発泡パリソン形成時の発泡性、気泡維持性、ドローダウン性、ブロー成形性などの観点から、溶融張力(MT)が10mN以上であることが好ましく、15mN以上、30mN以上、さらには40mN以上であることがより好ましい。上記観点からは溶融張力の上限は制限されるものではないが、溶融張力の上限は概ね300mNである。
発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂の溶融張力が上記範囲を満足するためには、押出機に投入する原料ポリオレフィン系樹脂として、溶融張力が50mN以上の樹脂を用いることが好ましく、より好ましくは100mN以上であり、さらに好ましくは150mN以上である。
なお、上記溶融張力の値は、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合は230℃、ポリエチレン系樹脂の場合は190℃での値である。
上記溶融張力(MT)は、ASTM D1238に準じて測定された値であり、例えば、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定することができる。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を、基材樹脂を構成しているポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合には230℃、ポリエチレン系樹脂の場合は190℃とし、試料の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引き取り速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取って紐状物が破断した際の直前の張力の極大値を得る。ここで、引取り速度が0m/分から200m/分に達するまでの時間を4分とした理由は、樹脂の熱劣化を抑えるとともに得られる値の再現性を高めるためである。上記操作を異なる試料を使用し、計10回の測定を行い、10回で得られた極大値の最も大きな値から順に3つの値と、極大値の最も小さな値から順に3つの値を除き、残った中間の4つの極大値を相加平均して得られた値を溶融張力(mN)とする。
但し、上記した方法で溶融張力の測定を行い、引取り速度が200m/分に達しても紐状物が切れない場合には、引取り速度を200m/分の一定速度にして得られる溶融張力(mN)の値を採用する。詳しくは、上記測定と同様にして、溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を張力検出用プーリーに掛け、4分間で0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーを回転させ、回転速度が200m/分になるまで待つ。回転速度が200m/分に到達してから溶融張力のデータの取り込みを開始し、30秒後にデータの取り込みを終了する。この30秒の間に得られたテンション荷重曲線から得られたテンション最大値(Tmax)とテンション最小値(Tmin)の平均値(Tave)を本明細書における溶融張力とする。
ここで、上記Tmaxとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたピーク(山)値の合計値を検出された個数で除した値であり、上記Tminとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたディップ(谷)値の合計値を検出された個数で除した値である。
尚、当然のことながら上記測定において溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。また、発泡ブロー成形体から測定試料を調整する場合、発泡ブロー成形体を真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とし、その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡ブロー成形体の基材樹脂を構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下とする。
発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、0.1〜20g/10分であることが望ましい。メルトフローレイトが低過ぎる場合は、金型の形状に即した成形品を得ることが困難となる虞がある。一方、メルトフローレイトが高過ぎる場合には、発泡パリソンの自重によりドローダウン現象が起こり均一な厚みを有する発泡ブロー成形体が得られない虞がある。発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂が上記メルトフローレイトの範囲を満足すためには、押出機に投入する原料ポリオレフィン系樹脂として、メルトフローレイトが0.05〜20g/10分の樹脂を用いることが好ましい。
尚、前記メルトフローレイトとは、JIS K7210−1999に従って、ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂の場合には条件コードMを、ポリエチレン系樹脂の場合には条件コードDを採用して測定される値である。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体の見掛け密度は、150kg/m以上350kg/m未満である。見かけ密度が小さすぎる場合は、本発明で特定する成形体厚みの変動係数を満足した発泡ブロー成形体を得ること自体が難しい。かかる観点から、見掛け密度は250kg/m以上であることが好ましく、200kg/m以上であることがより好ましい。一方、より軽量性を考慮する場合には、見掛け密度は300kg/m以下であることが好ましい。
また、かかる観点から、前記見掛け密度が200kg/m以上350kg/m未満が好ましく、250〜300kg/mがより好ましいともいえる。
尚、本発明における発泡ブロー成形体の見かけ密度とは、発泡ブロー成形体の重量(kg)を該発泡ブロー成形体を水没させる等して測定される発泡ブロー成形体の体積(m)にて除した値である。
本発明のポリオレフィン系樹脂からなる発泡ブロー成形体の平均厚みは1mm以上2.3mm未満である。該平均厚みが薄すぎると、本発明における成形体厚みの変動係数Cvを満足した発泡ブロー成形体を得ること自体が難しい。かかる観点から、成形体の平均厚みは1.5mm以上2.3mm未満が好ましい。
このような肉薄の発泡ブロー成形体は機械的強度と軽量性とのバランスに優れるものであり、特に車輌用の空調ダクトとして好適なものである。
本発明における発泡ブロー成形体の平均厚みとは以下の方法により測定される値である。厚みの測定箇所は、発泡ブロー成形体の長手方向両端部付近の長手方向に対する垂直断面2部位と、その間を等間隔の長さに6等分した部位の長手方向に対する垂直断面5部位の計7部位とし、各垂直断面の周方向において略等間隔に8箇所の垂直断面の厚み方向の厚み測定を行い、得られた56箇所の厚みの算術平均値を発泡ブロー成形体の平均厚みとする。なお、成形体の厚みは、顕微鏡などにより断面の拡大画像を撮影し、その拡大画像において厚みが平均的な部分の厚み方向の長さを測定し、その測定値を拡大写真撮影時の拡大倍率で除することによって求める。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体は、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下である、厚みの均一性に優れることを特徴とする。厚みの均一性に優れることにより、断熱性や機械的強度の均一性に優れた発泡ブロー成形体となるため軽量化を達成できる。厚みの変動係数が50%を超えると成形体の各部位ごとの物性ばらつきが顕著に大きくなる。かかる観点から、成形体厚みの変動係数Cvは小さければ小さいほど望ましく、40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下である。
本願明細書における発泡ブロー成形体の厚さの変動係数Cvとは、該成形体厚みの標準偏差(mm)を該成形体の平均厚み(mm)で割った値の百分率をいい、平均値からのばらつき度合を表す指標である。なお、概成形体厚みの標準偏差Vは次式(3)により求めるものとする。
V=(Σ(T−Tav/(n−1))1/2 (3)
上記(3)式においてTは前記56箇所の個々の厚みの測定値を、Tavは前記平均厚みを、nは測定数(具体的には「56」である)をそれぞれ表し、Σは個々の測定値について計算した(T−Tavを全て足し算することを示す。
変動係数Cvは下記(4)式によって求められる。
Cv(%)=(V/Tav)×100 (4)
従来、発泡ブロー成形体の平均厚みが1mm以上2.3mm未満である薄肉の場合には厚みの変動係数Cvが50%以下であるような、厚みばらつきの少ないものは知られていなかったが、前述した製造方法の採用により、従来よりも低見掛け密度の領域においても、肉厚の均一性に優れる発泡ブロー成形体を得ることが可能になった。
本発明の発泡ブロー成形体は、成形体の厚み方向の平均気泡径D1が0.05〜0.5mmである。
薄肉の発泡ブロー成形体において、厚み方向の平均気泡径D1が前記範囲であると、断熱性、外観や機械的強度などに優れるものとなる。該平均気泡径D1が大きすぎると、ダクトに要求される断熱性を発揮できない虞があり、外観も悪くなる虞がある。一方、平均気泡径D1が小さすぎる場合は、得られる発泡ブロー成形体の寸法安定性や厚みの均一性が悪くなる虞れがある。かかる観点から、発泡ブロー成形体の厚み方向の平均気泡径D1の下限は0.08mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましい。
本発明の発泡ブロー成形体において、厚み方向の平均気泡径D1が0.05〜0.5mmであると共に、厚み方向の気泡数が5個以上である。気泡数が前記範囲を満足することにより、断熱性、外観に優れたものとなる。かかる観点からは、厚み方向の気泡数は7個以上が好ましく、10個以上がより好ましく、15個以上が更に好ましい。尚、厚み方向の気泡数の上限は概ね40個である。
前述したように、本発明の肉厚の均一性に優れる発泡ブロー成形体を得るために、内外表面間の温度差の小さい発泡パリソンをブロー成形すると、厚み方向に気泡が過度に潰されている部分がない、すなわち厚み方向の気泡径が均一な発泡ブロー成形体となる。本発明の発泡ブロー成形体は、厚み方向の平均気泡径D1が前記の範囲であると共に、成形体の厚み方向の平均気泡径D2に対する、成形体内面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径D3の比D3/D2の平均値が0.75であることが好ましく、その上限は通常1程度である。ここで、「成形体内面側」とは、成形体の内表面から成形体の厚み方向に0.5mmmまでの部分を意味する。発泡パリソンの厚み方向に大きな温度ムラが生じている場合に、特に前記0.5mmまでの部分がブロー成形時の圧力により気泡が潰されてしまって厚み方向の気泡径が小さくなってしまう傾向にある。
本発明の発泡ブロー成形体において、気泡変形率a/bの平均値、及びa/cの平均値がそれぞれ0.2〜1.2であることが好ましい(但し、発泡ブロー成形体において、aは成形体厚み方向の気泡径、bは成形体長手方向の気泡径、cは成形体周方向の気泡径である。)。気泡が長手気泡変形率の平均値が上記範囲内であることにより、機械的強度に一層優れた発泡ブロー成形体となる。かかる観点から、気泡変形率a/bの平均値の下限、a/cの平均値の下限は、それぞれ0.3以上がより好ましく、0.4以上が更に好ましく、0.5以上が特に好ましい。気泡変形率a/bの平均値及びa/cの平均値は発泡パリソンのドローダウン量及び/又はプリブローによる発泡パリソンの拡幅量を制御することや、ブロー成形時のブローエアの圧力を制御することによって調整することができる。
本発明において、前記成形体の厚み方向の平均気泡径D1、厚み方向の気泡数、気泡径比D3/D2の平均値、及び気泡変形率a/cの平均値とは、以下の測定により測定された値を意味する。
上記測定は、発泡ブロー成形体の長手方向の中央部及び両端部付近(ただし、嵌合部は除く。)の計3部位の垂直断面であって、更に、各垂直断面の周方向において任意の2箇所(但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形している部分を除く。)の計6箇所について行う。
まず、顕微鏡などにより発泡ブロー成形体の長手方向に対する垂直断面の拡大画像を投影し、投影画像上の厚み方向と直交する幅方向の中心付近に、成形体の厚み方向に発泡ブロー成形体の全厚みに亘る線分(α)を引き、画像上の線分(α)の長さL1を測定する。なお、このとき投影画像における幅方向中心付近の厚みが投影画像上の他の部分に比べて著しく薄いときには、その画像は上記物性の測定には使用せず、他の部位を改めて投影して測定に用いるものとする。次に、成形体の全厚みに亘って、線分(α)を中心とし、かつ長さL1の幅を有する線分(α)に平行な二重線を引く。この二重線の内側に存在する全気泡を測定対象として(ただし、気泡が二重線と交差するものも測定対象とする。)、各気泡における気泡の内径の厚み方向の長さの最大値、及び内径の幅方向の長さの最大値を測定し、それらの測定値を拡大写真撮影時の拡大倍率で除することによって各気泡の厚み方向の気泡径a及びcをそれぞれ求める。さらに、各気泡に対して求めたaをcで除することにより、各気泡における気泡変形率a/cを求める。次に、二重線間に成形体の内表面から成形体厚み方向に0.5mmの位置に線(β)を引く。この線(β)、内表面及び二重線の内側に存在する全気泡を測定対象として(ただし、気泡が線(β)及び二重線と交差するものも測定対象とする。)、各気泡における気泡の内径の厚み方向の長さの最大値を測定し、それらの測定値を拡大写真撮影時の拡大倍率で除することによって成形体の内面側に位置する各気泡の厚み方向の気泡径asを求める。
1測定箇所において求められた各気泡の厚み方向の気泡径aを算術平均することにより1測定箇所における成形体の厚み方向の平均気泡径D2を求め、成形体の内面側に位置する各気泡の厚み方向の気泡径asについても同様に算術平均することにより1測定箇所における成形体の内表面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径D3を求める。前記D3をD2により除することにより気泡径比D3/D2を求め、各測定箇所計6箇所において求められたD3/D2の算術平均値を、成形体の厚み方向の平均気泡径D2に対する成形体内表面側に位置する気泡の平均気泡径D3の比D3/D2の平均値とする。また、前記6箇所について測定した全気泡のaの算術平均値を本発明における成形体の厚み方向の平均気泡径D1とし、前記6箇所について測定した全気泡の気泡変形率a/cの算術平均値を本発明における気泡変形率a/cの平均値とする。また、各測定箇所ごとに線分(α)と交差する気泡の数を計測し、それらの計測値の算術平均値を本発明における厚み方向の気泡数とする。
一方、気泡変形率a/bの平均値は以下の方法により求められる値である。発泡ブロー成形体の周方向および厚み方向と直交する方向(長手方向)に該発泡ブロー成形体の中空形成部を成形体の幅方向に略二等分して得られる垂直断面を対象に、対になって存在する対向する発泡ブロー成形体の垂直断面をそれぞれ顕微鏡などにより拡大投影し、該投影画像上の厚み方向と直交する幅方向の中心付近に厚み方向に発泡ブロー成形体の全厚みに亘る線分(γ)を引き、画像上の線分(γ)の長さL3を測定する。なお、このとき投影画像における幅方向中心付近の厚みが投影画像上の他の部分に比べて著しく薄いときには、その画像は上記物性の測定には使用せず、他の部位を改めて投影して測定に用いるものとする。次に、成形体の全厚みに亘って、線分(γ)を中心とし、かつ長さL3の幅を有する線分(γ)に平行な二重線を引く。この二重線の内側に存在する全気泡を測定対象として(ただし、気泡が二重線と交差するものは除く。)、各気泡における気泡の内径の厚み方向の最大長さa及び気泡の内径の幅方向の最大長さbを測定し、aをbで除することにより各気泡における気泡変形率a/bを求める。この操作を前述した計6箇所の測定箇所について行い、測定した全気泡の気泡変形率a/bの算術平均値を本発明における気泡変形率a/bの平均値とする。
本発明の発泡ブロー成形体において、成形体の内表面の最大高さ粗さRzが100μm以下であることが好ましい。発泡ブロー成形体をその内部に気体を流通させるダクト等に使用する場合、通風効率を向上し、又その内部における部分結露を抑制することができる。
尚、該最大高さ粗さRzとは、JIS B0601−2001に基づいて求められる。測定装置としては、例えば(株)小坂研究所製、Surfcoder(型式:SE1700α)を使用することができる。
上記最大高さ粗さRzを達成するためには、上記のように発泡パリソンの内外表面の温度差を小さくすることのほかに、成形体内面を充分に冷却する必要がある。通常のブロー成形では、成形されたパリソンの内部を積極的に冷却しない場合には、内部の温度が最大約Tm−20℃(ここで、Tmとは基材樹脂の融点を意味する。)まで上昇するが、上記最大高さ粗さRzを達成するためには、この内部温度をTm−40℃以下に抑えることが好ましい。
発泡ブロー成形法においては、発泡層は断熱性に優れるため、金型からの冷却だけでは内面側まで冷却することは難しい。さらに、ブローエアにより内面側をある程度冷却することは可能であるが、成形時に発泡パリソンの内部の圧力をあまりにも高くしてしまうと、パリソンが金型に過度に押し付けられて気泡が潰れてしまうので、パリソン内に導入できるブローエア量にも限界がある。また、低温のブローエアを供給することによりパリソンの内面側を冷却することもできるが、やはり冷却には限界がある。
気泡の潰れを防止しつつ、成形体内面を冷却する方法として、複数のブローピンを発泡パリソン内部へと挿入し、発泡パリソン外表面と金型内表面との間の空気を排出しながら、少なくとも一箇所のブローピンからブローエアを供給して発泡パリソンをブロー成形し、賦形が完了した時点で、一方のブローピンから冷却用気体を供給しつつ他方のブローピンから冷却用気体を排出することにより成形体内部を十分に冷却する方法や、低温のブローエアを用いてブロー成形する方法がある。冷却効率の観点からは前者の冷却方法が好ましく、両者の方法を組み合わせて用いることがより好ましい。
前者の冷却方法の場合、具体的には、賦形完了後、一方のブローピンから圧力0.2〜0.5MPa、好ましくは0.3〜0.45MPaで冷却用気体を発泡パリソン内に導入し、他方のブローピンから排出することが好ましい。このとき、発泡パリソンの気泡が押し潰されない条件であれば、排出側のブローピンから真空ポンプやブロアーなどにより積極的に供給された冷却用気体を排出しても、単に開放して排出しても良い。
後者の冷却方法の場合、冷却効率やセルの破泡、変形防止の観点からは冷却用気体の温度は低ければ低いほど好ましい。かかる観点から、冷却用気体の温度は常温以下であることが好ましく、より好ましくは10℃以下である。このとき、セルの潰れを防止するために供給圧力を0.3MPa以下にすることが好ましい。なお、本発明でいう冷却用気体としては、空気、窒素または炭酸ガスを主体とするものを使用できる。
本発明の発泡ブロー成形体の独立気泡率は、50%以上であることが好ましい。該独立気泡率が50%未満の場合は、吸音性能においては好ましいが有意な断熱性および機械的物性のものを得ることができない虞がある。かかる観点からは、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体の独立気泡率は60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体の独立気泡率は、以下の方法により測定される値である。
ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体から試験片を切り出し、ASTM D2856−70(1976再認定)の(手順C)によりVxを求め、下記(5)式により算出する。但し、試験片としては、気泡が大きく変形していない部分から切り出したものを使用する。また、規定の体積の試験片が切り出せない場合は、複数の試験片を重ね合わせることにより規定の体積を超えない範囲で規定の体積に最も近づくようにする。
独立気泡率(%)=(Vx−W/ρs)×100/(Va−W/ρs) (5)
(5)式における各記号は、以下の通りである。
Vx;試験片の実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)(cm
Va;試験片の外形寸法から求められる見掛けの容積(cm
W;試験片の重量(g)
ρs;試験片の基材樹脂の密度(g/cm
測定装置としては、東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計(型式:930型)などを使用することができる。
上記発泡パリソン11a、11bの発泡層12を形成するためにポリオレフィン系樹脂に添加される発泡剤としては、物理発泡剤が好ましい。該物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水等の物理発泡剤として使用可能な無機物が挙げられる。これらの発泡剤は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、発泡剤として化学発泡剤を物理発泡剤と併用することができる。該化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。これらの発泡剤の中でも、物理発泡剤中に二酸化炭素を20重量%以上、更に50重量%以上含むものが、成形サイクルが短縮できることや薄肉の発泡ブロー成形体を得る上でより好ましい。
発泡剤の使用量は、所望する見掛け密度を考慮して適宜決定するものであるが、概ねポリオレフィン系樹脂1kgに対して0.1〜1モルの割合が使用される。発泡ブロー成形体の気泡径を調整するために、タルク等の発泡調整剤を添加できる。タルクを添加する場合には、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.05〜2重量部配合することが好ましく、0.1〜1重量部が更に好ましい。
また、発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂には、所望に応じて、難燃剤、流動調整剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填剤等の添加剤を適宜配合することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔1〕原料ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂Aは、ポリプロピレン(ボレアリス社製、ホモポリプロピレン樹脂(商品名:WB130)、MT:340mN、MFR:2.1g/10min、平衡コンプライアンスJe0:2.19×10−3Pa、スウェルS:2.54)である。
ポリオレフィン系樹脂Bは、シリンダー径65mmの単軸押出機を使用して、上記樹脂Aを樹脂温度200℃、吐出量60kg/hrの条件で押出してペレット化し、そのペレットを再度同条件で押出してペレット化したポリプロピレン(MT:40mN、MFR:6.3g/10min、平衡コンプライアンスJe0:1.06×10−3Pa、スウェルS:1.53)である。
〔2〕発泡ブロー成形体の形状
図5に示す、縦方向(型締め方向):100mm×横方向:180mm×長手方向:650mmの外形寸法を有する二股のダクト形状の発泡ブロー成形体を得た。成形体の平均展開比は1.50、平均ブロー比は0.33であった。図5(b)、(c)に示した各部位の引込み比、展開比及びブロー比を表2に示す。
Figure 2010167628
引込み比、展開比及びブロー比について、図5(d)に示す部位5の垂直断面図(図5(b)と(c)に対して拡大した断面図)により説明する。引込み比とは、成形体の各部位における成形体の縦方向(型締め方向)の寸法の最大値と横方向(縦方向に直交する方向)の寸法の最大値との比(縦方向寸法/横方向寸法)であり、通常、この引込み比の値が大きい部位ほど、成形体の厚みの均一性が低下しやすい傾向にある。また、展開比とはパーティングラインを結ぶ線分(δ)の長さ(La)に対する成形体周長の長さの半分の長さ(Lb)の比(Lb/La)を意味し、平均展開比とは、上記計7部位の展開比の算術平均値を意味する。また、ブロー比とは、線分(δ)の長さ(La)に対する、線分(δ)から成形体に向かって線分(δ)に対して垂直な直線を引いたとき最も距離が長くなる線分(ε)の長さ(Lc)の比(Lc/La)を意味し、平均ブロー比とは上記計7部位のブロー比の算術平均値を意味する。上記引込み比が同じでも、展開比、ブロー比が大きいほど成形体の厚みの均一性が低下しやすい傾向にある。
〔3〕評価方法
以下に評価方法を記載する。
(1)見掛け密度
見掛け密度は、発泡ブロー成形体の重量(kg)を該発泡ブロー成形体を水没させて測定される発泡ブロー成形体の体積(m)にて除することによって求めた。
(2)発泡ブロー成形体の平均厚み
発泡ブロー成形体の平均厚みは、図5(b)に示すように発泡ブロー成形体の7部位の垂直断面を測定部位とし、上記測定方法に従って求めた。なお、実施例の発泡ブロー成形体は二股に分かれている部分があるため、このような部分については図5(b)に示すように片側のみを測定の対象とした。以下の気泡径や独立気泡率の測定についても同様である。
(3)成形体厚みの変動係数Cv
成形体厚みの変動係数Cv(%)は、上記(2)で測定した成形体厚みの標準偏差を成形体厚みの平均値で除し、更に100を乗じることによって求めた。
(4)独立気泡率
測定装置として東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計(型式:930型)を用いて、上記の測定方法に従い、図5(b)に示す発泡ブロー成形体の3部位付近において、各独立気泡率を測定し、それらの算術平均値を発泡ブロー成形体の独立気泡率とした。
(5)成形体の厚み方向の平均気泡径D1
成形体厚み方向の平均気泡径は上記の方法に従って求めた。図5(b)に示すように発泡ブロー成形体の3部位の垂直断面を測定部位とした。各垂直断面を光学顕微鏡により50倍に拡大投影し、この投影画像をもとに厚み方向の平均気泡径を求めた。
(6)気泡変形率a/bの平均値及びa/cの平均値(表4では、それぞれ「a/b」及び「a/c」と表記した。)
測定箇所は気泡変形率a/bの平均値については上記厚み方向平均気泡径の測定部位近傍、気泡変形率a/cの平均値については上記厚み方向平均気泡径の測定箇所と同じ箇所とし、各断面を光学顕微鏡により50倍に拡大投影し、その投影画像をもとに上記方法に従って気泡変形率a/bの平均値及びa/cの平均値を求めた。
(7)成形体の厚み方向の平均気泡径D2に対する成形体内面側に位置する気泡の厚み方向平均気泡径D3の比D3/D2の平均値(表4では「D3/D2」と表記した。)
気泡径の比D3/D2の平均値は、上記(4)の厚み方向平均気泡径D1の測定箇所と同じ断面を測定箇所とし、各断面を光学顕微鏡により50倍に拡大投影し、その投影画像をもとに上記方法に従って求めた。
(8)成形体の内表面の最大高さ粗さRz
最大高さ粗さRzの測定は、JIS B0601−2001に基づき、測定装置として(株)小坂研究所製、Surfcoder(型式:SE1700α)を用いて行った。測定箇所は上記厚み方向平均気泡径D1の測定部位近傍とし、各測定箇所における最大高さ粗さを算術平均することにより、最大高さ粗さRzを求めた。
(9)通風効率及び冷風通風時の成形体表面温度
発泡ブロー成形体の通風効率を評価するために、成形体内に冷風を流して入口と出口における風速をそれぞれ測定し、下記(6)式から通風効率を算出した。恒温槽内(40℃、80%RH)内に発泡ブロー成形体を設置し、成形体の一方の開口部を入口側とし、その反対側の開口部2箇所を出口側として、それぞれの開口部にそれぞれ内径50mmの管を開口部から空気が漏れないようにして接続した。入口側管の一端を冷風発生装置に接続し、出口側は開放とした。成形体内に冷風(15℃、初期風速8m/s)を吹き込み、成形体入口側開口部から冷風発生機側に200mm離れた位置で入口側の管中央部における風速と、出口側から200mm離れた位置で出口側の管中央部にて風速とを測定し、下記(6)式により通風効率を求めた。
通風効率(%)=((出口側風速(m/s)/入口側風速(m/s))×100 (6)
同時に成形体の表面温度を測定した。測定箇所は平均厚みの測定箇所と同様に、前記した7箇所とし、各測定箇所において成形体周方向に略等間隔で4箇所、計28箇所とした。冷風を成形体内に連続的に通風させ、通風開始20分後の各測定箇所における成形体表面温度を測定し、その最高値と最低値との差を求めた。
(10)剛性のばらつき
発泡ブロー成形体の剛性のばらつきを以下の方法により荷重時の成形体のたわみ量を測定することにより評価した。測定箇所は、図5に示すように、部位2の測定点(1)と部位5の測定点(2)とした。部位5は、成形体の厚みの均一性が悪くなりやすく、均一性が悪い場合に測定点(2)の剛性が低下し易い部位である。測定装置としてテンシロンを使用し、測定面が水平になるように固定治具により成形体を固定し、底面の直径が15mmの治具により、500mm/minの速度で測定部位に荷重をかけ、荷重が0.5kgfとなったときの変位量を読み取り、その値をたわみ量(mm)とした。上記測定点(2)におけるたわみ量を測定点(1)におけるたわみ量で除することによって剛性のバラツキを評価した。求められた値が小さいほど剛性のバラツキが大きいことを意味する。
[実施例1〜8]
表3に示すポリオレフィン系樹脂と、該ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、表3に示す種類と量の気泡調整剤及び発泡剤とを内径65mmの押出機にて200℃で溶融混錬して発泡性溶融樹脂物とし、アキュームレータに充填した。次いで表3に示す温度(表3では「樹脂温度」と表記した。)に調節した発泡性溶融樹脂を、アキュームレータの下流側に連結されたリップ径90mmのダイから、表3に示すダイリップのクリアランス、吐出速度で押出して発泡させることにより、発泡パリソンを形成した。ダイ先端部樹脂流路の剪断量を表3に「剪断量」として記す。
次に、発泡パリソンの押出完了直後に発泡パリソンの下部開口部を閉塞し、プリブローエアを発泡パリソン内に供給して発泡パリソンを拡幅しながら、軟化状態にある発泡パリソンをダイ直下に位置する25℃に水冷された分割金型間に配置し、型締めした。型締め後に金型の2ヵ所に設置したブローピンを発泡パリソン内部へと挿入し、発泡パリソン外面と金型内面との間を減圧しながら、ブローピンの一方から発泡パリソン内部に表3に示す圧力のブローエアを吹き込むことにより発泡パリソンを目的の形状にブロー成形した。賦形後、一方のブローピンを冷却エア供給側、他方を冷却エア排出側とし、表3に示す圧力、温度のエアを供給側のブローピンから吹き込みながら、開放した排出側のブローピンから排出することにより、発泡ブロー成形体を内面側から60秒間冷却した。このときの発泡ブロー成形体内部の最高到達温度を表3に示す。冷却終了後、金型を開いて、図5の(a)斜視図、(b)正面図、及び(c)側面図に示す発泡ブロー成形体を得た。
なお、パリソンの内外表面温度(「内表面の表面温度」−「外表面の表面温度」)は、ブロー成形を行う前に予め発泡パリソンのみを形成し、パリソンの押出が完了した直後にダイ先端部から100mm下の位置を測定した。内表面の表面温度測定の際は、押出時にパリソンが押出方向に切れるようにダイ先端部分に刃を設置して測定した。測定装置として、佐藤計量製作所製、赤外線温度計(型式:SK−8700II)を使用し、測定の際のパリソン表面と測定器の距離は50mmとした。
また、ブロー成形体内の温度は、成形体内に熱電対を挿入して測定した。
[実施例9〜11]
表3に示すポリオレフィン系樹脂と、該ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、表3に示す種類と量の気泡調整剤及び発泡剤とを内径65mmの押出機にて200℃で溶融混錬して発泡性溶融樹脂物とし、アキュームレータに充填した。次いで表3に示す温度(表3では「樹脂温度」と表記した。)に調節した発泡性溶融樹脂を、アキュームレータの下流側に連結されたリップ径90mmのダイから、表3に示すダイリップのクリアランス、吐出速度で押出して発泡させることにより、発泡パリソンを形成した。
次に、発泡パリソンの押出完了直後に発泡パリソンの下部開口部を閉塞し、プリブローエアを発泡パリソン内に供給して発泡パリソンを拡幅しながら、軟化状態にある発泡パリソンをダイ直下に位置する25℃に水冷された分割金型間に配置し、型締めした。型締め後に金型の2ヵ所に設置したブローピンを発泡パリソン内部へと挿入し、発泡パリソン外面と金型内面との間を減圧しながら、ブローピンの一方から発泡パリソン内部に表3に示す圧力のブローエアを吹き込むことにより発泡パリソンを目的の形状にブロー成形した。賦形完了後、両方のブローピンから表3に示す圧力、温度の空気を吹き込んで、発泡ブロー成形体を内面側から60秒間冷却して発泡ブロー成形体を得た。
[比較例1]
ダイリップ剪断部の剪断量が48と大きなダイを使用して発泡パリソンを形成した以外は、表3に示す通り、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。ダイリップ部での剪断発熱が大きいため発泡パリソンの内外表面温度差が14℃と大きく、この発泡パリソンをブロー成形したところ、得られた成形体は、部分的に過度に伸ばされて厚みの均一性が悪く、かつブロー成形時に内面側の気泡がブローエアの圧力により潰されて厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
[比較例2]
開口面積あたりの吐出速度を393kg/(h・cm)と大きくして発泡パリソンを形成した以外は、表3に示す通り、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。ダイリップ先端部の剪断量の低いダイを使用したが、吐出速度が高すぎるため発泡パリソンの内外表面温度差が12℃と大きく、この発泡パリソンをブロー成形したところ、得られた成形体は、厚みの均一性が悪く、かつ厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
[比較例3]
実施例1の成形体と同じ見掛け密度であって、さらに平均厚みの薄い成形体を得るために、ダイリップのクリアランスを0.4mmに狭め、かつ内部発泡が生じない範囲で吐出量を低減して発泡パリソンを形成した以外は、表3に示す通り、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。リップのクリアランスを極度に狭くしたことにより、パリソン内外表面温度差8℃と、ダイ先端部での剪断発熱が若干大きくなる傾向にあった。ダイリップのクリアランスを狭めることによって、得られる成形体の平均厚みを0.8mmと薄くすることは可能であったが、発泡パリソンの厚みが薄すぎるため温度の高い部分の影響が大きく、多少の温度差でもブロー成形時に過度に伸ばされる部位があり、さらに押出時に発泡パリソンに多数のコルゲートと称されるヒダが発生したため、得られた成形体は厚みの均一性が悪く、かつ厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
[参考例1]
発泡剤の添加量を1.5重量部と増量した以外は、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。成形体厚みの均一性及び気泡の均一性は良好であるが、成形体の平均厚みは4.2mmであった。
[比較例4]
参考例1の成形体と同じ見掛け密度であって、平均厚みの薄い成形体を得るために、ダイリップのクリアランスを0.3mmに狭めて、かつ内部発泡が生じない範囲で吐出量を低減して発泡パリソンを形成した以外は、発泡パリソンを形成した以外は、参考例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。リップ先端部での剪断発熱により発泡パリソンの内外表面温度差が大きく、かつ押出時に発泡パリソンに多数のコルゲートと称されるヒダが発生したため、得られた成形体は厚みの均一性が悪く、かつ厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
実施例1〜11、比較例1〜4、参考例1で得られた発泡ブロー成形体の物性を表4に示す。
発泡ブロー成形体を真空オーブンにて230℃で溶融脱泡して得られた樹脂の溶融張力MT、メルトフローレートMFR、平衡コンプライアンスJe0、スウェルSを上記方法に従って測定したところ、樹脂Bのみを原料樹脂として用いた実施例8を除いて、MT=42mN、MFR=6.3g/10分、Je0=1.05×10−3Pa−1、スウェルS=1.4であった。実施例8においては、MT=40mN、MFR=7.0g/10分、Je0=0.81×10−3Pa−1、スウェルS=1.3であった。
比較例1〜4の発泡ブロー成形体は、厚みの均一性が悪いため、部位によって機械的強度及び断熱性の変化が大きいものであった。
Figure 2010167628
Figure 2010167628
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体は、軽量性、断熱性等に優れていることから、例えば、容器、ダクト、自動車部品や電化製品部品等に利用することが可能である。
1 ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体
2 発泡ブロー成形体の壁部
3 発泡ブロー成形体内の空間
11 発泡パリソン
21 ダイ
22a 金型
22b 金型
23 金型内面
24 ブローピン
25 樹脂流路
26 ダイリップ先端部

Claims (9)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、見掛け密度が150kg/m以上350kg/m未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満、成形体の厚み方向の平均気泡径D1が0.05〜0.5mmかつ成形体の厚み方向の気泡数が5個以上であり、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  2. 成形体の厚み方向の平均気泡径D2に対する、成形体内面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径D3の比D3/D2の平均値が0.75以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  3. 前記見掛け密度が200kg/m以上350kg/m未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  4. 前記見掛け密度が250〜300kg/mであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  5. 前記平均厚みが1.5mm超2.3mm未満であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  6. 気泡変形率a/bの平均値、及びa/cの平均値がそれぞれ0.2〜1.2である(但し、該発泡ブロー成形体において、aは厚み方向の気泡径、bは長手方向の気泡径、cは周方向の気泡径である。)ことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  7. 前記発泡ブロー成形体の内表面の最大高さ粗さRzが100μm以下であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  8. 前記発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該発泡ブロー成形体の平衡コンプライアンスJe0が0.5×10−3〜1.8×10−3Pa、且つスウェルが2.5以下であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
  9. 前記発泡ブロー成形体がダクトであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
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