JP2010167628A - ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 - Google Patents
ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010167628A JP2010167628A JP2009011089A JP2009011089A JP2010167628A JP 2010167628 A JP2010167628 A JP 2010167628A JP 2009011089 A JP2009011089 A JP 2009011089A JP 2009011089 A JP2009011089 A JP 2009011089A JP 2010167628 A JP2010167628 A JP 2010167628A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- molded article
- thickness
- foamed
- blow
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
- Molding Of Porous Articles (AREA)
Abstract
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、見掛け密度が150kg/m3以上350kg/m3未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満、成形体の厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.5mmかつ成形体の厚み方向の気泡数が5個以上であり、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
【選択図】なし
Description
発泡ブロー成形体は、同じ厚みで比べた場合、従来のソリッドブロー成形体よりも軽量化することが可能であると共に、その見掛け密度と厚みとを調整することにより、ソリッドブロー成形体と同じような剛性であっても、より軽量化することができるという利点がある。このような特徴から、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる発泡ブロー成形体が、自動車の空調ダクトに採用され始めているが、より自動車の軽量化を目指すという観点から、発泡ブロー成形体からなるダクトにおいてもさらなる軽量化が望まれている。
本発明は、従来得られていなかった、低見掛け密度で平均厚みが薄くても、厚みの偏肉が小さく、かつ均一性の高い気泡構造を有する発泡成形体とすることにより、機械強度や断熱性の物性ばらつきの小さい、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕ないし〔8〕に記載する発明を要旨とする。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、見掛け密度が150kg/m3以上350kg/m3未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満、成形体の厚み方向の平均気泡径D1が0.05〜0.5mmかつ成形体の厚み方向の気泡数が5個以上であり、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔2〕成形体の厚み方向の気泡径D2に対する、成形体内面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径D3の比D3/D2の平均値が0.75以上であることを特徴とする、前記〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔3〕前記見掛け密度が200kg/m3以上350kg/m3未満であることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔4〕前記見掛け密度が250〜300kg/m3であることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔5〕前記平均厚みが1.5mm超2.3mm未満であることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔6〕気泡変形率a/bの平均値、及びa/cの平均値がそれぞれ0.2〜1.2である(但し、発泡ブロー成形体において、aは厚み方向の気泡径、bは長手方向の気泡径、cは周方向の気泡径である)ことを特徴とする、前記〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔7〕前記発泡ブロー成形体の内表面の最大高さ粗さRzが100μm以下であることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔8〕前記発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該発泡ブロー成形体の平衡コンプライアンスJe0が0.5×10−3〜1.8×10−3Pa、且つスウェルが2.5以下であることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔7〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
〔9〕前記発泡ブロー成形体がダクトであることを特徴とする、前記〔1〕ないし〔8〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体が、前記〔6〕に記載する特定の気泡変形率を有することにより、さらに機械的強度に優れたものとなる。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、前記〔7〕に記載する内表面の表面粗さが小さいことにより、通風効率に優れたものとなり、ダクト用途などに好適である。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡ブロー成形体が前記〔8〕に記載する特定の溶融物性を有するポリプロピレン系樹脂からなることにより、厚みの均一性に更に優れた発泡ブロー成形体となる。
前述した通り、従来、見掛け密度350kg/m3未満、かつ平均厚み2.3mm未満では、厚みの均一性に優れる発泡ブロー成形体を得ることは困難であった。その原因について鋭意検討した結果、発泡パリソンをブロー成形する際に、発泡パリソンの内表面の温度と外表面の温度との間に比較的大きな温度差が発生しており、この温度差が発泡ブロー成形体の厚み精度を低下させていることを見出した。
以下に、発泡パリソンの内外表面に温度差が生じる原因について説明する。
これらの方法の中でも、ブロー成形時における発泡パリソンの内外表面間の温度差の制御が相対的に容易になることから、押出発泡時に内外表面間の温度差の小さな発泡パリソンを形成する方法が好ましく、具体的には内外表面間の温度差を10℃以内とすることが好ましい。発泡パリソンの内外表面間の温度差を小さくすることにより、ブロー成形時に発泡パリソンが均一に伸びるため厚み精度が高く、内面側の気泡が過度に潰されていない発泡ブロー成形体が形成される。かかる観点から、押出時の発泡パリソンの内外表面間の温度差は8℃以内であることがより好ましく、更に好ましくは5℃以内であり、特に好ましくは3℃以内である。
なお、押出時の発泡パリソンの表面温度とは、押出完了直後のパリソンの表面温度を意味し、表面温度は非接触式の温度計などを使用して測定することができる。発泡パリソンの表面温度は、発泡ブロー成形体の製造前に、製造時の製造条件と同じ製造条件で予め発泡パリソンのみを形成して測定すればよい。
押出時に発泡パリソンの内外表面間の温度差を小さくするためには、ダイ内部での溶融樹脂の剪断発熱を抑える必要がある。ここで、ダイリップのクリアランスを変えずに剪断発熱を抑えるためには、ダイリップからの吐出量を低減させることが有効であるが、発泡ブロー成形では、以下に記載する理由により吐出量を大幅に低減させることはできない。
ブロー成形性が良好な発泡パリソンを形成するために必要な吐出量は、樹脂が受けた熱や剪断の履歴、所望の発泡倍率、用いるダイの樹脂流路などによって変化するものであるため一概に決定することはできないが、本発明のような発泡倍率、厚みにおいて、押出発泡性とブロー成形性とを高いレベルで両立させるためには、ダイ開口面積あたりの発泡性溶融樹脂の吐出速度を概ね50kg/(hr・cm2)以上とすることが好ましく、より好ましくは80kg/(hr・cm2)以上、さらに好ましくは120kg/(hr・cm2)以上である。ただし、あまりにも吐出速度が速すぎると剪断発熱が極めて大きくなり発泡パリソン自体が得られなく虞があるため、その上限は概ね800kg/(hr・cm2)であり、本発明のような発泡倍率、及び厚みにおいて、押出発泡性とブロー成形性とを高いレベルで両立させるためには、500kg/(hr・cm2)以下とすることが好ましく、300kg/(hr・cm2)以下とすることがより好ましい。
このような高い吐出量を維持したまま、押出時の発泡パリソンの内外表面間の温度差を上記範囲内に調整するためには、ダイ内部の樹脂流路、特にダイリップ先端部の樹脂流路を内部発泡が生じない範囲で広げ、剪断発熱を小さくすることが重要である。
剪断量はダイ内部の樹脂流路形状に基づいて、ダイの各部分ごとに剪断速度と滞留時間との積を計算し、各部分の総和として求められる値である。図3はダイ先端部の縦断面の一例であり、この図3を用いて具体的に剪断量の計算方法を説明する。図3に示すように樹脂流路25の断面積が押出方向に変化している場合、剪断量は(ア)、及び(イ)の各樹脂流路における剪断量を合算することにより求める。なお、図3中に示す数値の単位は全てmmである。
図3における樹脂流路(ア)の部分の樹脂流路の体積は、長さ5mm、直径100mmの円柱の体積から、長さ5mm、下面直径98mm、上面直径90mmの円錐台の体積を引くことにより、4.55cm3と計算される。そして、樹脂流路(ア)を通過する発泡性溶融樹脂の滞留時間は、樹脂流路(ア)の体積を体積流量で除すことにより0.033秒(4.55cm3÷138.9cm3/秒)と計算される。
6Q/π((Ro+Ri)(Ro−Ri)2)) (1)
但し、Qは体積流量(cm3/秒)、Roは円環の外側半径(cm)、Riは円環の内側半径(cm)である。
樹脂流路(ア)の流路長中点部分の外径は100mmであり、同内径は94mmと計算されるから、この値を(1)式に代入して得られる樹脂流路(ア)の中間点の剪断速度は303.8秒−1となる。ここで、樹脂流路(ア)の部分の剪断量は、樹脂流路(ア)の部分の剪断速度と樹脂流路(ア)の部分の滞留時間の積であるから、10.0(303.8秒−1×0.033秒)と計算される。
樹脂流路(ア)及び樹脂流路(イ)の剪断量を合算すると16.0となり、剪断量16が得られる。
押出時の発泡パリソンの内外表面間の温度差を低く抑え、本発明の見掛け密度が150kg/m3以上350kg/m3未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満であって、厚みの均一性及び気泡径の均一性に優れる発泡ブロー成形体を製造するためには、上記のごとく、ダイリップ開口面積当たりの吐出速度、ダイリップ先端部付近の樹脂流路の剪断量、及びダイリップのクリアランスとを勘案することが重要である。
尚、本明細書において、前記「発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり」、又は、「発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂を主成分とし」とは、それぞれ該ポリオレフィン系樹脂中にプロピレン成分構造単位が50モル%以上存在していることを意味し、上記観点から該プロピレン成分構造単位が好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。
以下、成形体の平衡コンプライアンスJe0とスウェルSについて、ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いた場合について説明する。
薄肉の発泡ブロー成形体を製造するためには、押出時にダイリップのクリアランスを狭めて薄肉の発泡パリソンを形成する必要があるが、ポリプロピレン系樹脂が押出時に上記特性を有していることにより、薄肉の発泡パリソンを形成し易くなり、しかも発泡時のコルゲートの発生を効果的に抑制できる。かかる観点から、平衡コンプライアンスJe0は0.8×10−3〜1.6×10−3Pa−1がより好ましく、1.0×10−3〜1.5×10−3Pa−1が更に好ましく、1.2×10−3〜1.5×10−3Pa−1が特に好ましい。一方、スウェルSは2.3以下がより好ましく、1.5〜2.3が更に好ましい。尚、スウェルSの下限は概ね1である。
平衡コンプライアンスJe0は樹脂の粘弾性(特に、弾性)の尺度であり、溶融状態のポリプロピレン系樹脂を平板に挟んで一定応力σDを加え続け、時間tに対する歪τ(t)を測定することによって求めることができる。即ち、平板に挟んだポリプロピレン系樹脂に一定応力σDを加えると歪τは急激に増大するが、時間tの経過につれて時間tとτ(t)の関係が平衡状態に達する(直線関係が成立つようになる。)。ここで、時間t(横軸)に対してクリープコンプライアンスJ(t)=τ(t)/σDを縦軸にプロットし、平衡状態に達した直線関係を時間t=0に外挿して得られるJ(t)の切片が平衡コンプライアンスJe0である。時間tとクリープコンプライアンスJ(t)の測定結果の一例を図4に示す。
J(t)=τ(t)/σD=Je0+t/η0 (2)
(2)式において、Je0が平衡コンプライアンスであり、η0は無剪断粘度である。
このようにして求められる平衡コンプライアンスJe0は、高分子の絡み合いの影響を受け、絡み合いの程度が大きいと、弾性が強くなり平衡コンプライアンスJe0も大きくなると考えられる。このことから、平衡コンプライアンスJe0は樹脂の発泡性の尺度であると考えることができる。即ち、適度な平衡コンプライアンスJe0を有する樹脂は適度な弾性を有することから、溶融状態の樹脂を発泡させて得られる発泡体において、適度な弾性を有する気泡膜は変形に対する抵抗力が強く、好ましい気泡の状態が保持されると考えられる。
尚、高分子の絡み合いの態様としては、分子構造中に自由末端長鎖分岐を有することや超高分子量成分を含むことが挙げられる。
平衡コンプライアンスJe0は、レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー社製、動的粘弾性測定機(型式:ダイナミックアナライザーSR200型)により測定する。まず、ヒートプレスにより温度260℃、圧力8000kPaの条件下で5分間プレス成形することにより厚さ2mmの測定用サンプル樹脂板を作製し、この測定用サンプル樹脂板から直径25mmの円盤サンプルを切り出す。なお、発泡ブロー成形体から測定用サンプル樹脂板を作製する場合には、樹脂板中に気泡が残らないようにする。次に、このサンプルを動的粘弾性測定機の直径25mmのパラレルプレート間に挟んで210℃に昇温し、窒素雰囲気下において約10分間放置した後、パラレルプレートの間隔を1.4mmに調整し、パラレルプレートからはみ出した、溶融樹脂を取除く。次いで、窒素雰囲気下において溶融したサンプルに100Paの一定応力σcが加わるように上方のパラレルプレートを回転させて、一定応力σcを加え始めた時間t=0を基準に歪量γ(t)の経時変化を測定する。該歪量γ(t)は最初は急激に増加するが経時と共になだらかに増加するようになり、時間に対して直線的に変化する。
尚、前記ダイナミックアナライザーSR200型の装置設定は表1に示す通りとし、平衡コンプライアンスは装置上のオート機能により算出する。また、発泡ブロー成形体から測定試料を調整する場合、発泡ブロー成形体を真空オーブンなどを使用して加熱し脱泡したものを試料とし、その際の脱泡条件は、発泡ブロー成形体の基材樹脂を構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下とする。
尚、当然のことながら上記測定において溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。また、発泡ブロー成形体から測定試料を調整する場合、発泡ブロー成形体を真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とし、その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡ブロー成形体の基材樹脂であるポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下とする。
なお、ポリプロピレン系樹脂は押出時の剪断履歴や熱履歴により分子量が低下しやすいため、成形体を構成するポリプロピレン系樹脂の平衡コンプライアンスJe0、スウェルSは、原料ポリプロピレン系樹脂の平衡コンプライアンスJe0、スウェルSよりも若干低下する傾向にある。発泡ブロー成形体の製造に際しては、製造前に予め原料樹脂を押出して、押出後の平衡コンプライアンスJe0、スウェルSを確認する。
本発明においては、平衡コンプライアンスJe0及びスウェルSが前記特定範囲内であれば、発泡パリソンの発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂には、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ポリスチレン系樹脂等が副成分として添加されていても良い。
発泡ブロー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂の溶融張力が上記範囲を満足するためには、押出機に投入する原料ポリオレフィン系樹脂として、溶融張力が50mN以上の樹脂を用いることが好ましく、より好ましくは100mN以上であり、さらに好ましくは150mN以上である。
なお、上記溶融張力の値は、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合は230℃、ポリエチレン系樹脂の場合は190℃での値である。
ここで、上記Tmaxとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたピーク(山)値の合計値を検出された個数で除した値であり、上記Tminとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたディップ(谷)値の合計値を検出された個数で除した値である。
尚、当然のことながら上記測定において溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。また、発泡ブロー成形体から測定試料を調整する場合、発泡ブロー成形体を真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とし、その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡ブロー成形体の基材樹脂を構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下とする。
尚、前記メルトフローレイトとは、JIS K7210−1999に従って、ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂の場合には条件コードMを、ポリエチレン系樹脂の場合には条件コードDを採用して測定される値である。
また、かかる観点から、前記見掛け密度が200kg/m3以上350kg/m3未満が好ましく、250〜300kg/m3がより好ましいともいえる。
尚、本発明における発泡ブロー成形体の見かけ密度とは、発泡ブロー成形体の重量(kg)を該発泡ブロー成形体を水没させる等して測定される発泡ブロー成形体の体積(m3)にて除した値である。
このような肉薄の発泡ブロー成形体は機械的強度と軽量性とのバランスに優れるものであり、特に車輌用の空調ダクトとして好適なものである。
本発明における発泡ブロー成形体の平均厚みとは以下の方法により測定される値である。厚みの測定箇所は、発泡ブロー成形体の長手方向両端部付近の長手方向に対する垂直断面2部位と、その間を等間隔の長さに6等分した部位の長手方向に対する垂直断面5部位の計7部位とし、各垂直断面の周方向において略等間隔に8箇所の垂直断面の厚み方向の厚み測定を行い、得られた56箇所の厚みの算術平均値を発泡ブロー成形体の平均厚みとする。なお、成形体の厚みは、顕微鏡などにより断面の拡大画像を撮影し、その拡大画像において厚みが平均的な部分の厚み方向の長さを測定し、その測定値を拡大写真撮影時の拡大倍率で除することによって求める。
本願明細書における発泡ブロー成形体の厚さの変動係数Cvとは、該成形体厚みの標準偏差(mm)を該成形体の平均厚み(mm)で割った値の百分率をいい、平均値からのばらつき度合を表す指標である。なお、概成形体厚みの標準偏差Vは次式(3)により求めるものとする。
V=(Σ(Ti−Tav)2/(n−1))1/2 (3)
上記(3)式においてTiは前記56箇所の個々の厚みの測定値を、Tavは前記平均厚みを、nは測定数(具体的には「56」である)をそれぞれ表し、Σは個々の測定値について計算した(Ti−Tav)2を全て足し算することを示す。
変動係数Cvは下記(4)式によって求められる。
Cv(%)=(V/Tav)×100 (4)
従来、発泡ブロー成形体の平均厚みが1mm以上2.3mm未満である薄肉の場合には厚みの変動係数Cvが50%以下であるような、厚みばらつきの少ないものは知られていなかったが、前述した製造方法の採用により、従来よりも低見掛け密度の領域においても、肉厚の均一性に優れる発泡ブロー成形体を得ることが可能になった。
薄肉の発泡ブロー成形体において、厚み方向の平均気泡径D1が前記範囲であると、断熱性、外観や機械的強度などに優れるものとなる。該平均気泡径D1が大きすぎると、ダクトに要求される断熱性を発揮できない虞があり、外観も悪くなる虞がある。一方、平均気泡径D1が小さすぎる場合は、得られる発泡ブロー成形体の寸法安定性や厚みの均一性が悪くなる虞れがある。かかる観点から、発泡ブロー成形体の厚み方向の平均気泡径D1の下限は0.08mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましい。
上記測定は、発泡ブロー成形体の長手方向の中央部及び両端部付近(ただし、嵌合部は除く。)の計3部位の垂直断面であって、更に、各垂直断面の周方向において任意の2箇所(但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形している部分を除く。)の計6箇所について行う。
まず、顕微鏡などにより発泡ブロー成形体の長手方向に対する垂直断面の拡大画像を投影し、投影画像上の厚み方向と直交する幅方向の中心付近に、成形体の厚み方向に発泡ブロー成形体の全厚みに亘る線分(α)を引き、画像上の線分(α)の長さL1を測定する。なお、このとき投影画像における幅方向中心付近の厚みが投影画像上の他の部分に比べて著しく薄いときには、その画像は上記物性の測定には使用せず、他の部位を改めて投影して測定に用いるものとする。次に、成形体の全厚みに亘って、線分(α)を中心とし、かつ長さL1の幅を有する線分(α)に平行な二重線を引く。この二重線の内側に存在する全気泡を測定対象として(ただし、気泡が二重線と交差するものも測定対象とする。)、各気泡における気泡の内径の厚み方向の長さの最大値、及び内径の幅方向の長さの最大値を測定し、それらの測定値を拡大写真撮影時の拡大倍率で除することによって各気泡の厚み方向の気泡径a及びcをそれぞれ求める。さらに、各気泡に対して求めたaをcで除することにより、各気泡における気泡変形率a/cを求める。次に、二重線間に成形体の内表面から成形体厚み方向に0.5mmの位置に線(β)を引く。この線(β)、内表面及び二重線の内側に存在する全気泡を測定対象として(ただし、気泡が線(β)及び二重線と交差するものも測定対象とする。)、各気泡における気泡の内径の厚み方向の長さの最大値を測定し、それらの測定値を拡大写真撮影時の拡大倍率で除することによって成形体の内面側に位置する各気泡の厚み方向の気泡径asを求める。
尚、該最大高さ粗さRzとは、JIS B0601−2001に基づいて求められる。測定装置としては、例えば(株)小坂研究所製、Surfcoder(型式:SE1700α)を使用することができる。
上記最大高さ粗さRzを達成するためには、上記のように発泡パリソンの内外表面の温度差を小さくすることのほかに、成形体内面を充分に冷却する必要がある。通常のブロー成形では、成形されたパリソンの内部を積極的に冷却しない場合には、内部の温度が最大約Tm−20℃(ここで、Tmとは基材樹脂の融点を意味する。)まで上昇するが、上記最大高さ粗さRzを達成するためには、この内部温度をTm−40℃以下に抑えることが好ましい。
気泡の潰れを防止しつつ、成形体内面を冷却する方法として、複数のブローピンを発泡パリソン内部へと挿入し、発泡パリソン外表面と金型内表面との間の空気を排出しながら、少なくとも一箇所のブローピンからブローエアを供給して発泡パリソンをブロー成形し、賦形が完了した時点で、一方のブローピンから冷却用気体を供給しつつ他方のブローピンから冷却用気体を排出することにより成形体内部を十分に冷却する方法や、低温のブローエアを用いてブロー成形する方法がある。冷却効率の観点からは前者の冷却方法が好ましく、両者の方法を組み合わせて用いることがより好ましい。
後者の冷却方法の場合、冷却効率やセルの破泡、変形防止の観点からは冷却用気体の温度は低ければ低いほど好ましい。かかる観点から、冷却用気体の温度は常温以下であることが好ましく、より好ましくは10℃以下である。このとき、セルの潰れを防止するために供給圧力を0.3MPa以下にすることが好ましい。なお、本発明でいう冷却用気体としては、空気、窒素または炭酸ガスを主体とするものを使用できる。
ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体から試験片を切り出し、ASTM D2856−70(1976再認定)の(手順C)によりVxを求め、下記(5)式により算出する。但し、試験片としては、気泡が大きく変形していない部分から切り出したものを使用する。また、規定の体積の試験片が切り出せない場合は、複数の試験片を重ね合わせることにより規定の体積を超えない範囲で規定の体積に最も近づくようにする。
独立気泡率(%)=(Vx−W/ρs)×100/(Va−W/ρs) (5)
(5)式における各記号は、以下の通りである。
Vx;試験片の実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)(cm3)
Va;試験片の外形寸法から求められる見掛けの容積(cm3)
W;試験片の重量(g)
ρs;試験片の基材樹脂の密度(g/cm3)
測定装置としては、東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計(型式:930型)などを使用することができる。
また、発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂には、所望に応じて、難燃剤、流動調整剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填剤等の添加剤を適宜配合することができる。
〔1〕原料ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂Aは、ポリプロピレン(ボレアリス社製、ホモポリプロピレン樹脂(商品名:WB130)、MT:340mN、MFR:2.1g/10min、平衡コンプライアンスJe0:2.19×10−3Pa、スウェルS:2.54)である。
ポリオレフィン系樹脂Bは、シリンダー径65mmの単軸押出機を使用して、上記樹脂Aを樹脂温度200℃、吐出量60kg/hrの条件で押出してペレット化し、そのペレットを再度同条件で押出してペレット化したポリプロピレン(MT:40mN、MFR:6.3g/10min、平衡コンプライアンスJe0:1.06×10−3Pa、スウェルS:1.53)である。
図5に示す、縦方向(型締め方向):100mm×横方向:180mm×長手方向:650mmの外形寸法を有する二股のダクト形状の発泡ブロー成形体を得た。成形体の平均展開比は1.50、平均ブロー比は0.33であった。図5(b)、(c)に示した各部位の引込み比、展開比及びブロー比を表2に示す。
以下に評価方法を記載する。
(1)見掛け密度
見掛け密度は、発泡ブロー成形体の重量(kg)を該発泡ブロー成形体を水没させて測定される発泡ブロー成形体の体積(m3)にて除することによって求めた。
(2)発泡ブロー成形体の平均厚み
発泡ブロー成形体の平均厚みは、図5(b)に示すように発泡ブロー成形体の7部位の垂直断面を測定部位とし、上記測定方法に従って求めた。なお、実施例の発泡ブロー成形体は二股に分かれている部分があるため、このような部分については図5(b)に示すように片側のみを測定の対象とした。以下の気泡径や独立気泡率の測定についても同様である。
成形体厚みの変動係数Cv(%)は、上記(2)で測定した成形体厚みの標準偏差を成形体厚みの平均値で除し、更に100を乗じることによって求めた。
(4)独立気泡率
測定装置として東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計(型式:930型)を用いて、上記の測定方法に従い、図5(b)に示す発泡ブロー成形体の3部位付近において、各独立気泡率を測定し、それらの算術平均値を発泡ブロー成形体の独立気泡率とした。
(5)成形体の厚み方向の平均気泡径D1
成形体厚み方向の平均気泡径は上記の方法に従って求めた。図5(b)に示すように発泡ブロー成形体の3部位の垂直断面を測定部位とした。各垂直断面を光学顕微鏡により50倍に拡大投影し、この投影画像をもとに厚み方向の平均気泡径を求めた。
測定箇所は気泡変形率a/bの平均値については上記厚み方向平均気泡径の測定部位近傍、気泡変形率a/cの平均値については上記厚み方向平均気泡径の測定箇所と同じ箇所とし、各断面を光学顕微鏡により50倍に拡大投影し、その投影画像をもとに上記方法に従って気泡変形率a/bの平均値及びa/cの平均値を求めた。
(7)成形体の厚み方向の平均気泡径D2に対する成形体内面側に位置する気泡の厚み方向平均気泡径D3の比D3/D2の平均値(表4では「D3/D2」と表記した。)
気泡径の比D3/D2の平均値は、上記(4)の厚み方向平均気泡径D1の測定箇所と同じ断面を測定箇所とし、各断面を光学顕微鏡により50倍に拡大投影し、その投影画像をもとに上記方法に従って求めた。
(8)成形体の内表面の最大高さ粗さRz
最大高さ粗さRzの測定は、JIS B0601−2001に基づき、測定装置として(株)小坂研究所製、Surfcoder(型式:SE1700α)を用いて行った。測定箇所は上記厚み方向平均気泡径D1の測定部位近傍とし、各測定箇所における最大高さ粗さを算術平均することにより、最大高さ粗さRzを求めた。
発泡ブロー成形体の通風効率を評価するために、成形体内に冷風を流して入口と出口における風速をそれぞれ測定し、下記(6)式から通風効率を算出した。恒温槽内(40℃、80%RH)内に発泡ブロー成形体を設置し、成形体の一方の開口部を入口側とし、その反対側の開口部2箇所を出口側として、それぞれの開口部にそれぞれ内径50mmの管を開口部から空気が漏れないようにして接続した。入口側管の一端を冷風発生装置に接続し、出口側は開放とした。成形体内に冷風(15℃、初期風速8m/s)を吹き込み、成形体入口側開口部から冷風発生機側に200mm離れた位置で入口側の管中央部における風速と、出口側から200mm離れた位置で出口側の管中央部にて風速とを測定し、下記(6)式により通風効率を求めた。
通風効率(%)=((出口側風速(m/s)/入口側風速(m/s))×100 (6)
同時に成形体の表面温度を測定した。測定箇所は平均厚みの測定箇所と同様に、前記した7箇所とし、各測定箇所において成形体周方向に略等間隔で4箇所、計28箇所とした。冷風を成形体内に連続的に通風させ、通風開始20分後の各測定箇所における成形体表面温度を測定し、その最高値と最低値との差を求めた。
発泡ブロー成形体の剛性のばらつきを以下の方法により荷重時の成形体のたわみ量を測定することにより評価した。測定箇所は、図5に示すように、部位2の測定点(1)と部位5の測定点(2)とした。部位5は、成形体の厚みの均一性が悪くなりやすく、均一性が悪い場合に測定点(2)の剛性が低下し易い部位である。測定装置としてテンシロンを使用し、測定面が水平になるように固定治具により成形体を固定し、底面の直径が15mmの治具により、500mm/minの速度で測定部位に荷重をかけ、荷重が0.5kgfとなったときの変位量を読み取り、その値をたわみ量(mm)とした。上記測定点(2)におけるたわみ量を測定点(1)におけるたわみ量で除することによって剛性のバラツキを評価した。求められた値が小さいほど剛性のバラツキが大きいことを意味する。
表3に示すポリオレフィン系樹脂と、該ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、表3に示す種類と量の気泡調整剤及び発泡剤とを内径65mmの押出機にて200℃で溶融混錬して発泡性溶融樹脂物とし、アキュームレータに充填した。次いで表3に示す温度(表3では「樹脂温度」と表記した。)に調節した発泡性溶融樹脂を、アキュームレータの下流側に連結されたリップ径90mmのダイから、表3に示すダイリップのクリアランス、吐出速度で押出して発泡させることにより、発泡パリソンを形成した。ダイ先端部樹脂流路の剪断量を表3に「剪断量」として記す。
次に、発泡パリソンの押出完了直後に発泡パリソンの下部開口部を閉塞し、プリブローエアを発泡パリソン内に供給して発泡パリソンを拡幅しながら、軟化状態にある発泡パリソンをダイ直下に位置する25℃に水冷された分割金型間に配置し、型締めした。型締め後に金型の2ヵ所に設置したブローピンを発泡パリソン内部へと挿入し、発泡パリソン外面と金型内面との間を減圧しながら、ブローピンの一方から発泡パリソン内部に表3に示す圧力のブローエアを吹き込むことにより発泡パリソンを目的の形状にブロー成形した。賦形後、一方のブローピンを冷却エア供給側、他方を冷却エア排出側とし、表3に示す圧力、温度のエアを供給側のブローピンから吹き込みながら、開放した排出側のブローピンから排出することにより、発泡ブロー成形体を内面側から60秒間冷却した。このときの発泡ブロー成形体内部の最高到達温度を表3に示す。冷却終了後、金型を開いて、図5の(a)斜視図、(b)正面図、及び(c)側面図に示す発泡ブロー成形体を得た。
なお、パリソンの内外表面温度(「内表面の表面温度」−「外表面の表面温度」)は、ブロー成形を行う前に予め発泡パリソンのみを形成し、パリソンの押出が完了した直後にダイ先端部から100mm下の位置を測定した。内表面の表面温度測定の際は、押出時にパリソンが押出方向に切れるようにダイ先端部分に刃を設置して測定した。測定装置として、佐藤計量製作所製、赤外線温度計(型式:SK−8700II)を使用し、測定の際のパリソン表面と測定器の距離は50mmとした。
また、ブロー成形体内の温度は、成形体内に熱電対を挿入して測定した。
表3に示すポリオレフィン系樹脂と、該ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、表3に示す種類と量の気泡調整剤及び発泡剤とを内径65mmの押出機にて200℃で溶融混錬して発泡性溶融樹脂物とし、アキュームレータに充填した。次いで表3に示す温度(表3では「樹脂温度」と表記した。)に調節した発泡性溶融樹脂を、アキュームレータの下流側に連結されたリップ径90mmのダイから、表3に示すダイリップのクリアランス、吐出速度で押出して発泡させることにより、発泡パリソンを形成した。
次に、発泡パリソンの押出完了直後に発泡パリソンの下部開口部を閉塞し、プリブローエアを発泡パリソン内に供給して発泡パリソンを拡幅しながら、軟化状態にある発泡パリソンをダイ直下に位置する25℃に水冷された分割金型間に配置し、型締めした。型締め後に金型の2ヵ所に設置したブローピンを発泡パリソン内部へと挿入し、発泡パリソン外面と金型内面との間を減圧しながら、ブローピンの一方から発泡パリソン内部に表3に示す圧力のブローエアを吹き込むことにより発泡パリソンを目的の形状にブロー成形した。賦形完了後、両方のブローピンから表3に示す圧力、温度の空気を吹き込んで、発泡ブロー成形体を内面側から60秒間冷却して発泡ブロー成形体を得た。
ダイリップ剪断部の剪断量が48と大きなダイを使用して発泡パリソンを形成した以外は、表3に示す通り、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。ダイリップ部での剪断発熱が大きいため発泡パリソンの内外表面温度差が14℃と大きく、この発泡パリソンをブロー成形したところ、得られた成形体は、部分的に過度に伸ばされて厚みの均一性が悪く、かつブロー成形時に内面側の気泡がブローエアの圧力により潰されて厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
開口面積あたりの吐出速度を393kg/(h・cm2)と大きくして発泡パリソンを形成した以外は、表3に示す通り、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。ダイリップ先端部の剪断量の低いダイを使用したが、吐出速度が高すぎるため発泡パリソンの内外表面温度差が12℃と大きく、この発泡パリソンをブロー成形したところ、得られた成形体は、厚みの均一性が悪く、かつ厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
実施例1の成形体と同じ見掛け密度であって、さらに平均厚みの薄い成形体を得るために、ダイリップのクリアランスを0.4mmに狭め、かつ内部発泡が生じない範囲で吐出量を低減して発泡パリソンを形成した以外は、表3に示す通り、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。リップのクリアランスを極度に狭くしたことにより、パリソン内外表面温度差8℃と、ダイ先端部での剪断発熱が若干大きくなる傾向にあった。ダイリップのクリアランスを狭めることによって、得られる成形体の平均厚みを0.8mmと薄くすることは可能であったが、発泡パリソンの厚みが薄すぎるため温度の高い部分の影響が大きく、多少の温度差でもブロー成形時に過度に伸ばされる部位があり、さらに押出時に発泡パリソンに多数のコルゲートと称されるヒダが発生したため、得られた成形体は厚みの均一性が悪く、かつ厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
発泡剤の添加量を1.5重量部と増量した以外は、実施例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。成形体厚みの均一性及び気泡の均一性は良好であるが、成形体の平均厚みは4.2mmであった。
参考例1の成形体と同じ見掛け密度であって、平均厚みの薄い成形体を得るために、ダイリップのクリアランスを0.3mmに狭めて、かつ内部発泡が生じない範囲で吐出量を低減して発泡パリソンを形成した以外は、発泡パリソンを形成した以外は、参考例1と同様にして発泡ブロー成形体を得た。リップ先端部での剪断発熱により発泡パリソンの内外表面温度差が大きく、かつ押出時に発泡パリソンに多数のコルゲートと称されるヒダが発生したため、得られた成形体は厚みの均一性が悪く、かつ厚み方向の気泡径の均一性も悪いものであった。
発泡ブロー成形体を真空オーブンにて230℃で溶融脱泡して得られた樹脂の溶融張力MT、メルトフローレートMFR、平衡コンプライアンスJe0、スウェルSを上記方法に従って測定したところ、樹脂Bのみを原料樹脂として用いた実施例8を除いて、MT=42mN、MFR=6.3g/10分、Je0=1.05×10−3Pa−1、スウェルS=1.4であった。実施例8においては、MT=40mN、MFR=7.0g/10分、Je0=0.81×10−3Pa−1、スウェルS=1.3であった。
比較例1〜4の発泡ブロー成形体は、厚みの均一性が悪いため、部位によって機械的強度及び断熱性の変化が大きいものであった。
2 発泡ブロー成形体の壁部
3 発泡ブロー成形体内の空間
11 発泡パリソン
21 ダイ
22a 金型
22b 金型
23 金型内面
24 ブローピン
25 樹脂流路
26 ダイリップ先端部
Claims (9)
- ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体において、見掛け密度が150kg/m3以上350kg/m3未満、平均厚みが1mm以上2.3mm未満、成形体の厚み方向の平均気泡径D1が0.05〜0.5mmかつ成形体の厚み方向の気泡数が5個以上であり、成形体厚みの変動係数Cvが50%以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 成形体の厚み方向の平均気泡径D2に対する、成形体内面側に位置する気泡の厚み方向の平均気泡径D3の比D3/D2の平均値が0.75以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 前記見掛け密度が200kg/m3以上350kg/m3未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 前記見掛け密度が250〜300kg/m3であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 前記平均厚みが1.5mm超2.3mm未満であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 気泡変形率a/bの平均値、及びa/cの平均値がそれぞれ0.2〜1.2である(但し、該発泡ブロー成形体において、aは厚み方向の気泡径、bは長手方向の気泡径、cは周方向の気泡径である。)ことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 前記発泡ブロー成形体の内表面の最大高さ粗さRzが100μm以下であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 前記発泡ブロー成形体を構成するポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該発泡ブロー成形体の平衡コンプライアンスJe0が0.5×10−3〜1.8×10−3Pa、且つスウェルが2.5以下であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
- 前記発泡ブロー成形体がダクトであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009011089A JP5563768B2 (ja) | 2009-01-21 | 2009-01-21 | ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009011089A JP5563768B2 (ja) | 2009-01-21 | 2009-01-21 | ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010167628A true JP2010167628A (ja) | 2010-08-05 |
JP5563768B2 JP5563768B2 (ja) | 2014-07-30 |
Family
ID=42700229
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009011089A Active JP5563768B2 (ja) | 2009-01-21 | 2009-01-21 | ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5563768B2 (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2607051A1 (en) * | 2011-12-21 | 2013-06-26 | Kyoraku CO., LTD | Method of forming hollow blow-molded foam articles and such hollow blow-molded foam articles |
US9266259B2 (en) | 2011-12-23 | 2016-02-23 | Kyoraku Co. Ltd. | Method of forming hollow blow-molded foam and such hollow blow-molded foam |
EP2907647A4 (en) * | 2012-10-10 | 2016-11-16 | Kyoraku Co Ltd | FOAM MOLDING AND MOLDING METHOD THEREFOR |
WO2018199221A1 (ja) * | 2017-04-27 | 2018-11-01 | キョーラク株式会社 | 発泡ダクト |
US10315491B2 (en) | 2013-12-03 | 2019-06-11 | Nissan Motor Co., Ltd. | Foam molded body, duct for air conditioner, and duct for vehicle air conditioner |
US10647283B2 (en) | 2015-11-27 | 2020-05-12 | Kyoraku Co., Ltd. | Shock absorber |
CN114701146A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-07-05 | 贵州省工程复合材料中心有限公司 | 一种与智能化生产相适应的风道微发泡吹塑工艺方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007038553A (ja) * | 2005-08-04 | 2007-02-15 | Jsp Corp | 熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体及びその製造方法 |
-
2009
- 2009-01-21 JP JP2009011089A patent/JP5563768B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007038553A (ja) * | 2005-08-04 | 2007-02-15 | Jsp Corp | 熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体及びその製造方法 |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2607051A1 (en) * | 2011-12-21 | 2013-06-26 | Kyoraku CO., LTD | Method of forming hollow blow-molded foam articles and such hollow blow-molded foam articles |
US9266259B2 (en) | 2011-12-23 | 2016-02-23 | Kyoraku Co. Ltd. | Method of forming hollow blow-molded foam and such hollow blow-molded foam |
EP2907647A4 (en) * | 2012-10-10 | 2016-11-16 | Kyoraku Co Ltd | FOAM MOLDING AND MOLDING METHOD THEREFOR |
US10315491B2 (en) | 2013-12-03 | 2019-06-11 | Nissan Motor Co., Ltd. | Foam molded body, duct for air conditioner, and duct for vehicle air conditioner |
US10647283B2 (en) | 2015-11-27 | 2020-05-12 | Kyoraku Co., Ltd. | Shock absorber |
WO2018199221A1 (ja) * | 2017-04-27 | 2018-11-01 | キョーラク株式会社 | 発泡ダクト |
JP2018184570A (ja) * | 2017-04-27 | 2018-11-22 | キョーラク株式会社 | 発泡ダクト |
CN110461923A (zh) * | 2017-04-27 | 2019-11-15 | 京洛株式会社 | 发泡管道 |
US11242439B2 (en) | 2017-04-27 | 2022-02-08 | Kyoraku Co., Ltd. | Foam duct |
CN110461923B (zh) * | 2017-04-27 | 2022-07-29 | 京洛株式会社 | 发泡管道 |
CN114701146A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-07-05 | 贵州省工程复合材料中心有限公司 | 一种与智能化生产相适应的风道微发泡吹塑工艺方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5563768B2 (ja) | 2014-07-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5602468B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法 | |
JP5371094B2 (ja) | 中空発泡ブロー成形体 | |
US8535598B2 (en) | Method of forming hollow foam moldings | |
JP5360975B2 (ja) | ポリエチレン系樹脂発泡ブロー成形体の製造方法およびポリエチレン系樹脂発泡ブロー成形体 | |
JP5563768B2 (ja) | ポリオレフィン系樹脂発泡ブロー成形体 | |
JP4084209B2 (ja) | 発泡成形体及びその製造方法 | |
JP6541938B2 (ja) | ダクト | |
JP3157009U (ja) | 車両用空調ダクト | |
JP4281969B2 (ja) | 中空発泡成形体の製造方法 | |
JP3707779B2 (ja) | 発泡成形体の製造方法及び発泡成形体 | |
JP4771518B2 (ja) | 発泡中空成形体の製造方法 | |
EP2607051B1 (en) | Use of a blow moulded foam duct | |
JP4008792B2 (ja) | ダクト | |
JP2002036338A (ja) | 無架橋ポリエチレン系樹脂発泡体とその製造方法およびそれを用いた成形品 | |
JP2011057826A (ja) | 押出発泡ボード | |
JP2006341514A (ja) | 取付け部材を有する発泡樹脂中空成形体の製造方法および取付け部材を有する発泡樹脂中空成形体 | |
JP2004058334A (ja) | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートおよびその成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111205 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130201 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130917 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131007 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140604 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140613 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5563768 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |