JP2010166942A - 斜張ワイヤーを備えた車両用シートのバックシートフレーム構造および該バックシートフレーム構造を備えた車両用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の幅方向に間隔を隔てて配置された一対のサイドフレーム20A、20Bと、それぞれの上端部同士を連結するアッパーフレーム22と、それぞれの下端部同士を連結するロアフレーム24を有するバックシートフレーム構造16において、サイドフレームの一方の下端部と、他方の上端部との間に斜張ワイヤー14A、14Bが張設され、斜張ワイヤーの下端が固定されるサイドフレームの一方から、斜張ワイヤーの上端が固定されるサイドフレームの他方に向かって車両の幅方向に、荷重が負荷されるときにバックシートフレーム構造に対して撓み変形が生じないように、斜張ワイヤーには引張力が発生する、ことを特徴とするバックシートフレーム構造。
【選択図】図1
Description
すなわち、車両の幅方向への荷重に対する強度が不足し、バックシートフレーム構造自体が、車両の幅方向に撓み変形を引き起こす点である。
より詳細には、図12に示すように、車両のコーナーリングの際、乗員の慣性力によって、バックシートフレーム構造には、車両の幅方向である矢印の方向(右旋回の場合と、左旋回の場合とを一度に示している)に荷重が負荷される。この場合、一対のサイドフレームは、通常コの字断面あるいは矩形断面を形成し、それにより断面係数を確保しているが、主に車両の前後方向荷重による曲げモーメント荷重に対処するようにされており、コの字断面であれば、外郭形状を構成する車両の前後方向に有幅の主側面部と、該主側面部の前後縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部とが断面内向きのコの字形状に形成され、有幅の主側面部が車両の前後方向に向くように配置されている。このため、一対のサイドフレーム20A,Bは、車両の幅方向の荷重に対して十分な剛性を有しているとはいえない。
そのため、上述のように、車両の幅方向に撓み変形を引き起こす。このような撓み変形は、微小であれば、乗員の乗り心地に悪影響を与え、コーナーリングの際の車速が高い場合には、それに応じて変形が大きくなり、安全な運転に悪影響を及ぼしかねない。
しかしながら、このようなリインフォースメント部材15のように重量のかさむ鋼板により補強するのでは、いたずらに重量の増大を引き起こすとともに、コスト増を招いてしまう。
車両用シートのバックシートに用いられるバックシートフレーム構造であって、車両の幅方向に間隔を隔てて配置された一対のサイドフレームと、一対のサイドフレームそれぞれの上端部同士を連結するアッパーフレームと、一対のサイドフレームそれぞれの下端部同士を連結するロアフレームを有するバックシートフレーム構造において、
前記一対のサイドフレームの一方の下端部と、前記一対のサイドフレームの他方の上端部との間に斜張ワイヤーが張設され、
該斜張ワイヤーの下端が固定される前記一対のサイドフレームの一方から該斜張ワイヤーの上端が固定される前記一対のサイドフレームの他方に向かって車両の幅方向に、バックシートフレーム構造に対して荷重が負荷されるときにバックシートフレーム構造に対して撓み変形が生じないように、前記斜張ワイヤーに引張力が発生する、構成としている。
その際、一対のサイドフレーム間に斜めに張設された斜張ワイヤーが引き伸ばされることにより、斜張ワイヤーに引張力が生じ、斜張ワイヤーの上端が連結された一対のサイドフレームの他方の上端にこの引張力が伝達されることにより、バックシートフレーム構造の撓み変形と逆方向に力が生じ、斜張ワイヤーという軽量な構造により、重量の増大を引き起こすことなしに、バックシートフレーム構造の撓み変形を実質的に防止することが可能となる。また、車両の幅方向に逆向きに荷重が負荷される場合には、斜張ワイヤーは弛緩し、このような荷重に抗することなしに、斜張ワイヤー自体の構造健全性を維持することが可能である。
該斜張ワイヤーの下端が固定される前記一対のサイドフレームの他方から該斜張ワイヤーの上端が固定される前記一対のサイドフレームの一方に向かって車両の幅方向に、バックシートフレーム構造に対して荷重が負荷されるときにバックシートフレーム構造に対して撓み変形が生じないように、前記斜張ワイヤーに引張力が発生するのがよい。
加えて、前記斜張ワイヤーは、CFRP製ワイヤーからなるのがよい。
さらに、前記斜張ワイヤーの上端は、前記アッパーフレームと前記一対のサイドフレームとの連結部近傍に設けられるのがよい。
さらにまた、前記斜張ワイヤーの下端は、前記ロアフレームと前記一対のサイドフレームとの連結部近傍に設けられるのがよい。
さらに、前記斜張ワイヤーは、ワイヤの長さ調整機構を有するのがよい。
さらにまた、前記ワイヤの長さ調整機構は、ボルトーナット機構からなり、ボルトのナットに対するねじ込み量を調節することにより、ワイヤの長さを調整するのがよい。
加えて、プーリーが、前記一対のサイドフレームの一方の下端部、および前記一対のサイドフレームの他方の上端部にそれぞれ設けられ、前記斜張ワイヤーは、無端状とされ、両プーリー間に掛け渡されるのがよい。
さらに、前記一対のサイドフレームはそれぞれ、外郭形状を構成する車両の前後方向に有幅の主側面部と、該主側面部の前後縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部とが断面内向きのコの字形状に形成され、前記プーリーは、車両後側の張り出しフランジ部の外側面に設けられるのがよい。
さらに、前記一対のサイドフレームはそれぞれ、外郭形状を構成する車両の前後方向に有幅の主側面部と、該主側面部の前後縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部とが断面内向きのコの字形状に形成され、前記ピンは、車両後側の張り出しフランジ部の外側面に設けられるのがよい。
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の前記バックシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのバックシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有する構成としている。
上部フレーム22は、一対のサイドフレーム20A,Bと同様のコの字断面を有する逆U字形として構成されている。上部フレーム22の両下端はそれぞれ、一対のサイドフレーム20A,Bの対応する上端に対して、嵌合形態で連結されている。上部フレーム22の水平部には、ヘッドレストを装着するためのブラケット32が設けられている。
下部フレーム24は、一対のサイドフレーム20A,Bそれぞれの下端部に対して、たとえば溶接固定される。
2本の斜張ワイヤー14A,Bは、互いに同一な構造であるので、以下では、そのうちの一方の斜張ワイヤー14Aについて説明する。
斜張ワイヤー14Aの上端36は、サイドフレーム20Bの上端部に連結され、一方斜張ワイヤー14Aの下端38は、サイドフレーム20Aの下端部に連結されている。
このような斜張ワイヤー14Aにより、走行中の車両がコーナーリングする際の乗員の慣性力により、サイドフレーム20Aからサイドフレーム20Bに向かう方向に車両幅方向への荷重が負荷された場合に、この荷重に基づいてバックシートフレーム構造部16に対して引張力を作用する一方、それと逆向きの荷重、すなわちサイドフレーム20Bからサイドフレーム20Aに向かう方向に車両幅方向への荷重が負荷された場合には、このような圧縮荷重に対して抗しない特性を有するようにしてある。
走行中の車両がコーナリングをする際(たとえば左旋回)、クッションシートに着座する乗員の慣性力により、図8(A)に示すように、バックシートフレーム構造16に対して車両の幅方向に(図面上右向きの矢印)荷重が負荷される。それにより、斜張ワイヤーの一方14Bは、引っ張られ、それによりこのような荷重に抗する引張力Tがバックシートフレーム構造に作用する。これにより、バックシートフレーム構造16の上部が、図12に示すような撓み変形を生じるのを未然に防止することが可能となる。一方、斜張ワイヤーの一方14Aは、押し縮められるが、その際、斜張ワイヤーの一方14Aは、このような圧縮力に抗することなく、弛緩状態となるので、斜張ワイヤー自体の構造健全性を確保することが可能である。
その際、一対のサイドフレーム間20A,Bに斜めに張設された斜張ワイヤー14A,Bが引き伸ばされることにより、斜張ワイヤー14A,Bに引張力が生じ、斜張ワイヤー14A,Bの上端が連結された一対のサイドフレーム20A,Bの他方の上端にこの引張力が伝達されることにより、バックシートフレーム構造16の撓み変形と逆方向に力が生じ、斜張ワイヤーという軽量な構造により、重量の増大を引き起こすことなしに、バックシートフレーム構造16の撓み変形を実質的に防止することが可能となる。また、車両の幅方向に逆向きに荷重が負荷される場合には、斜張ワイヤーは弛緩し、このような荷重に抗することなしに、斜張ワイヤー自体の構造健全性を維持することが可能である。
本実施形態の特徴は、斜張ワイヤー14の構造にあり、より詳細には、第1実施形態においては、単一ワイヤーを採用したのに対し、サイドフレーム20A,Bの上下部それぞれにプーリー80A,Bを設けて、これらプーリー80A,B間に無端状に形成したワイヤーを掛け渡した点にある。
このように、プーリー80A,B間に無端状のワイヤーを掛け渡す構成とすることにより、実質的にサイドフレーム20A,B間に掛け渡した1本の斜張ワイヤー14Aが2本の斜張ワイヤーを設けたことに相当するにも係わらず、第1実施形態と同様に、ワイヤーの張力を調整するボルトーナット機構130を単一化することが可能である。
また、2本の斜張ワイヤーのうち、1本を第1実施形態のように、単一ワイヤとし、他の1本を第2実施形態のように、ループ状ワイヤとしてもよい。
さらにまた、本実施形態においては、自動車用シートを対象に説明したが、それに限定されることなく、鉄道車両、船、飛行機等一般的な車両に対して適用可能である。また、自動車のシートに対して用いる場合、リアシート、特に3人掛けシートの中央シート、フロントシートのいずれにも適用可能である。
12 クッションシートフレーム構造
14A,B 斜張ワイヤー
16 バックシートフレーム構造
18 リクライナー構造部
20A,B 一対のサイドフレーム
22 上部フレーム
24 下部フレーム
26 主側面部
28 張り出しフランジ部
30 円形凹部
32 ブラケット
34 外側面
36 上端
38 下端
42A,B 固定用リング
40 開口部
43A,B プーリー
80A,B プーリー
130 ボルト-ナット機構
132 ボルト
134 ボア
136 ナット
Claims (13)
- 車両用シートのバックシートに用いられるバックシートフレーム構造であって、車両の幅方向に間隔を隔てて配置された一対のサイドフレームと、一対のサイドフレームそれぞれの上端部同士を連結するアッパーフレームと、一対のサイドフレームそれぞれの下端部同士を連結するロアフレームを有するバックシートフレーム構造において、
前記一対のサイドフレームの一方の下端部と、前記一対のサイドフレームの他方の上端部との間に斜張ワイヤーが張設され、
該斜張ワイヤーの下端が固定される前記一対のサイドフレームの一方から該斜張ワイヤーの上端が固定される前記一対のサイドフレームの他方に向かって車両の幅方向に、バックシートフレーム構造に対して荷重が負荷されるときにバックシートフレーム構造に対して撓み変形が生じないように、前記斜張ワイヤーに引張力が発生する、ことを特徴とするバックシートフレーム構造。 - さらに、前記一対のサイドフレームの他方の下端部と、前記一対のサイドフレームの一方の上端部との間に斜張ワイヤーが、さらに張設され、
該斜張ワイヤーの下端が固定される前記一対のサイドフレームの一方から該斜張ワイヤーの上端が固定される前記一対のサイドフレームの他方に向かって車両の幅方向に、バックシートフレーム構造に対して荷重が負荷されるときにバックシートフレーム構造に対して撓み変形が生じないように、前記斜張ワイヤーに引張力が発生する、請求項1に記載のバックシートフレーム構造。 - 前記斜張ワイヤーは、金属製ワイヤーからなる請求項1に記載のバックシートフレーム構造。
- 前記斜張ワイヤーは、CFRP製ワイヤーからなる請求項1に記載のバックシートフレーム構造。
- 前記斜張ワイヤーの上端は、前記アッパーフレームと前記一対のサイドフレームとの連結部近傍に設けられる、請求項1に記載のバックシートフレーム構造。
- 前記斜張ワイヤーの下端は、前記ロアフレームと前記一対のサイドフレームとの連結部近傍に設けられる、請求項1に記載のバックシートフレーム構造。
- 前記斜張ワイヤーは、ワイヤの長さ調整機構を有する、請求項1に記載のバックシートフレーム構造。
- 前記ワイヤの長さ調整機構は、ボルトーナット機構からなり、ボルトのナットに対するねじ込み量を調節することにより、ワイヤの長さを調整する、請求項7に記載のバックシートフレーム構造。
- プーリーが、前記一対のサイドフレームの一方の下端部、および前記一対のサイドフレームの他方の上端部にはそれぞれ設けられ、前記斜張ワイヤーは、無端状とされ、両プーリー間に掛け渡される、請求項1に記載のバックシートフレーム構造。
- 前記一対のサイドフレームはそれぞれ、外郭形状を構成する車両の前後方向に有幅の主側面部と、該主側面部の前後縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部とが断面内向きのコの字形状に形成され、前記プーリーは、車両後側の張り出しフランジ部の外側面に設けられる、請求項9に記載のバックシートフレーム構造。
- ピンが、前記一対のサイドフレームの一方の下端部、および前記一対のサイドフレームの他方の上端部にはそれぞれ設けられ、前記斜張ワイヤーは、単一ワイヤからなり、各端には、該ピンが挿入可能な固定用リングが設けられる、請求項1に記載のバックシートフレーム構造。
- 前記一対のサイドフレームはそれぞれ、外郭形状を構成する車両の前後方向に有幅の主側面部と、該主側面部の前後縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部とが断面内向きのコの字形状に形成され、前記ピンは、車両後側の張り出しフランジ部の外側面に設けられる、請求項11に記載のバックシートフレーム構造。
- 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の前記バックシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのバックシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有することを特徴とする車両用シート。
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