JP2010165872A - 裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】太陽電池セルを固定する充填層と、充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シート5とを備えてなる太陽電池モジュールのうち、裏面保護シートが、厚さ10〜150μmの液晶ポリマーフィルム21、液晶ポリマーフィルムの片面にキャスト製膜により形成された厚さ0.5〜100μmのポリフッ化ビニル樹脂層22、液晶ポリマーフィルムの他面側に絶縁性を有しかつ充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層23、液晶ポリマーフィルムと絶縁・易接着樹脂層とを接着する接着層24を有する裏面保護シートである。
【選択図】図1
Description
ポリフッ化ビニルフィルム(PVF)は耐候性、耐加水分解性、光の反射性等は優れるが、電気絶縁性、ガスバリア性やフィルムの腰が弱く太陽電池の加工性に劣るため、太陽電池分野では、フィルムを厚くするか、上記のようにガスバリア層として金属層を設けている。さらにこれらの複合フィルムには太陽電池セルで起電した電力が配線を通してジャンクションボックスに導かれるよう導線を通す開口部(窓部)を設ける必要があり、さらに開口部の端面を絶縁テープにより被覆する絶縁処理(絶縁テープと貼付作業)を必要とし、また層間に金属層が存在するため、裏面保護シートに要求される部分放電電圧値に寄与する部分が薄くなるため、金属層より内側となる充填層側の層を厚くする必要が生じ、その分がコストアップとなっていた。
さらに、最近、太陽電池発電システムの電圧を1000V以上に対応できる電気絶縁性が求められていることに対応して部分放電電圧が1000V以上である太陽電池裏面保護シ−トも求められている。
少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、裏面保護シートが、厚さ10〜150μmの液晶ポリマーフィルムと、液晶ポリマーフィルムの片面にキャスト製膜により形成された厚さ0.5〜100μmのポリフッ化ビニル樹脂層と、液晶ポリマーフィルムの他面側に、絶縁性を有しかつ充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層と、液晶ポリマーフィルムと絶縁・易接着樹脂層とを接着する接着層と、を有してなることを特徴とする裏面保護シートである(請求項1)。
図3(a)の断面図に示す太陽電池モジュール1は、シリコン結晶系太陽電池セル2をインターコネクタ6により複数接続し、これを密封するエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)に代表される充填層3と、両側に形成される表面保護層4及び裏面保護シート5を積層したシリコン結晶系太陽電池であり、太陽電池セル2で起電した電力が配線7を通してジャンクションボックス8に導かれるよう導線を通す開口部(図示しない)を裏面保護シート5に形成している。また、図3(b)の断面図に示す太陽電池モジュール11は、アモルファスシリコンなどの薄膜系太陽電池セル12と、これを密封する充填層3と、両側に形成される表面保護層4及び裏面保護シート5を積層した薄膜系太陽電池であり、同様に太陽電池セル2で起電した電力が配線7を通してジャンクションボックス8に導かれるよう導線を通す開口部(図示しない)を裏面保護シート5に形成している。
まず図2に示す裏面保護シート5は、液晶ポリマーフィルム21と、液晶ポリマーフィルム21の片面にキャスト製膜により形成されたポリフッ化ビニル樹脂層22と、液晶ポリマーフィルム21の他面側に、絶縁性を有しかつ充填層3への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層23と、液晶ポリマーフィルム21と絶縁・易接着樹脂層23とを接着する接着層24とからなる。
耐湿性(水蒸気透過率の初期値が0.5g/m2・24hr以下)を示し、さらには耐熱性(連続使用可能温度(UL748B)が110℃以上)、耐候性(高耐加水分解性)を有するものが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、全芳香族系のポリエステル、ポリイミド、ポリエステルアミド等及びそれらを含有する樹脂組成物などが挙げられる。本発明においては、液晶ポリマーとしては、サーモトロピック液晶性を有し耐熱タイプがI型(エコノール系)、II型(ベクトラ型)、III型(X7G系)に分類される熱可塑性樹脂であり、これらの単独或いは2種以上をアロイにして使用することができ、適宜選択することができる。
さらに本発明で用いる液晶ポリマーには、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤(リン系難燃剤、臭素系難燃剤)、滑剤、帯電防止剤、無機系着色剤(顔料:カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウム)、または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤などの各種の添加剤を製造工程中、あるいはその後の加工工程において添加混合することができる。
液晶ポリマーフィルム21は、液晶ポリマーの溶融樹脂を、高温度、高圧力で、金属製ダイのスリットから吐出し、冷却してフィルム状に形成される。
ポリフッ化ビニル樹脂層22の厚さは、乾燥後、0.5〜100μmの範囲が望ましく、とくに好ましくは15〜75μmである。
また、絶縁・易接着樹脂層23の厚さは、太陽電池モジュールに要求される部分放電電圧の条件を満たすことが必要であり、その状態に合わせて任意に厚さを設定することができる。
本発明の裏面保護シートは、結晶系太陽電池セルおよび薄膜系太陽電池セル以外の有機化合物系太陽電池セル、無機化合物系太陽電池セルなどの構成の異なる太陽電池セルの裏面保護シートとして用いることができる。
この裏面保護シートを用いて、図3に示すように表面保護シート、充填層(EVA)、太陽電池セル、充填層(EVA)に積層し、150℃・30分・1torrの真空加熱によりラミネートして太陽電池モジュールを製作した。
この裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、溶媒に溶解させたポリフッ化ビニル樹脂を20μmの厚さで塗工し、200℃、2分間の加熱乾燥を行い、溶媒を乾燥除去し、ポリフッ化ビニル樹脂層を形成した。さらにポリエチレンテレフタレートフィルムの他面にケイ素酸化物を蒸着した透明厚さ12ポリエチレンテレフタレートフィルム188μmと黒色のエチレンビニルアセテートフィルム50μmを二液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))を塗布量5g/m2で接着し、裏面保護シートとした。
この裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
押出し成形された厚さ25μmの液晶ポリマーフィルム(品名「ベクスター」(株)クラレ)の両面にコロナ処理を行い、液晶ポリマーフィルムの片面に、厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名:PV2111 デュポン)と、液晶ポリマーフィルムの他面に厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとを、それぞれ二液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))を塗布量5g/m2で接着し、さらにポリエチレンテレフタレートフィルム面にアクリル系易接着コート剤10g/m2を塗工し、裏面保護シートとした。
この裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名:PV2111 デュポン)、厚さ20μmのアルミニウム層、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれ二液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))を塗布量5g/m2で接着し、さらにポリエチレンテレフタレートフィルム面にアクリル系易接着コート剤10g/m2を塗工し、裏面保護シートとした。
この裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(品名:PV2111 デュポン)、
アルミナを4000nmの厚さに蒸着形成した厚さ12μmの、透明蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれ二液硬化型ウレタン系接着剤(品名「主剤A511/硬化剤A50」三井化学ポリウレタン(株))を塗布量5g/m2で接着し、さらにポリエチレンテレフタレートフィルム面にアクリル系易接着コート剤10g/m2を塗工し、裏面保護シートとした。
この裏面保護シートを用いて、実施例1と同様に太陽電池モジュールを製作した。
実施例1、実施例2と比較例1〜4で得られた裏面保護シートをそれぞれ部分放電電圧値、強度(層間ラミネート強度)、耐湿性(水蒸気バリア性)、引張伸度維持率を所定の評価方法により評価し、さらに絶縁加工や資材などのコストの評価を行い、評価結果を表1に示す。
<評価方法>
(1)部分放電電圧:IEC60664−1:2007 Clause6.1.3.5にて測定 V
(2)層間ラミネート強度:初期および85℃・85%RH環境下で3000時間保存後の層間ラミネート強度を測定幅15mm幅、測定スピード300mm/minで測定 N/15mm
(3)水蒸気バリア性:40℃・90%RH環境下で3000時間保存後の裏面保護シートをモコン法−透過する水蒸気を赤外線センサーで測定 g/m2
(4)引張伸度維持率:MD方向(成形方向に対して平行)に測定幅15mm幅、測定スピード300mm/minで測定 N/15mm
なお、実施例1、実施例2と比較例1〜4ので得られた裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールに太陽光を照射し出力試験を行ったところ、いずれも良好な出力結果が得られた。
2 … 太陽電池セル
3 … 充填層
4 … 表面保護層
5 … 裏面保護シート
6 … インターコネクタ
7 … 配線
8 … ジャンクションボックス
11… 太陽電池モジュール
12… 太陽電池セル
21… 液晶ポリマーフィルム
22… ポリフッ化ビニル樹脂層
23… 絶縁・易接着樹脂層
24… 接着層
Claims (12)
- 少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、前記裏面保護シートが、厚さ10〜150μmの液晶ポリマーフィルムと、該液晶ポリマーフィルムの片面にキャスト製膜により形成された厚さ0.5〜100μmのポリフッ化ビニル樹脂層と、前記液晶ポリマーフィルムの他面側に、絶縁性を有しかつ前記充填層への強接着可能な絶縁・易接着樹脂層と、前記液晶ポリマーフィルムと前記絶縁・易接着樹脂層とを接着する接着層と、を有してなることを特徴とする裏面保護シート。
- 少なくとも充填材により太陽電池セルを固定する充填層と、該充填層の太陽光入射側に積層される表面保護シートと、その反対面側に積層される裏面保護シートとを備えてなる太陽電池モジュールのうち、前記裏面保護シートが、厚さ10〜150μmの液晶ポリマーフィルムと、該液晶ポリマーフィルムの両面にキャスト製膜により形成された厚さ0.3〜100μmのポリフッ化ビニル樹脂層と、を有してなることを特徴とする裏面保護シート。
- 前記液晶ポリマーフィルムが、サーモトロピック液晶性を有し耐熱タイプがI型(エコノール系)、II型(ベクトラ型)、III型(X7G系)に分類される熱可塑性樹脂であり、これらの単独使用或いは2種以上をアロイにして使用してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の裏面保護シート
- 前記液晶ポリマーフィルムは、連続使用可能温度(UL748B)が110℃以上、及び/又は荷重たわみ温度(DTUL)が180℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
- 前記絶縁・易接着樹脂層がポリエチレン系フィルム、エチレンビニルアセテートフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、またはアイオノマーのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の裏面保護シート。
- 前記絶縁・易接着樹脂層がアクリル系易接着コーティング剤からなる塗工層であることを特徴とする請求項1に記載の裏面保護シート。
- 前記塗工層をグラビア法、ダイコート法、リバースグラビア法、ロールコート法、スプレイコート法のいずれかを用いて、塗布厚が0.5〜50μmとなるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成してなることを特徴とする請求項6に記載の裏面保護シート。
- 前記液晶ポリマーフィルムと溶媒キャスト製膜により形成された前記ポリフッ化ビニル樹脂層とを0.5〜100μmの範囲で高温焼付け加工してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
- 前記裏面保護シート全体の厚さが、部分放電電圧値600Vに対して100〜300μm、或いは1000Vに対して150〜450μm、或いは1500Vに対して250〜700μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
- 温度85℃、湿度85%の環境下において、前記液晶ポリマーフィルムと前記ポリフッ化ビニル樹脂層との3000時間保存後の引っ張り伸度維持率が50〜100%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
- 温度85℃、湿度85%の環境下において、前記液晶ポリマーフィルムと前記ポリフッ化ビニル樹脂層との3000時間保存後のラミネート強度が2N/15mm幅以上、水蒸気透過率が3.0g/m2・24hr以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の裏面保護シートを、充填材により太陽電池セルを固定する充填層に積層してなることを特徴とする太陽電池モジュール。
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