JP2010162456A - 廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法 - Google Patents

廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法 Download PDF

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雅和 岩渕
Haruo Fujishiro
春雄 藤城
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ゆかり 稲田
Yuji Onishi
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Abstract

【課題】廃棄物埋立地盤に埋設された廃棄物から発生するガスを低コストで、確実に且つ長期に亘って抑制することのできる工法を提供すること。
【解決手段】本発明の廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法は、アルカリ溶液を廃棄物埋立地盤に注入した後、廃棄物埋立地盤に固化材を添加し、攪拌・混合することを特徴とするものである。アルカリ溶液を廃棄物埋立地盤に注入する前に、廃棄物埋立地盤中のガスの吸引を行ってもよい。また、固化材としては、酸化マグネシウムを主成分とするものを用いるのが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、廃棄物埋立地盤から発生するガスを抑制する工法に関するものである。
醸造や抗生物質製造の発酵過程の残渣物や、排水処理施設の有機汚泥、又は生ごみ等の有機系の廃棄物が埋め立てられた処分場では、地中の酸素不足状態の嫌気性発酵によって、メタンや硫化水素等のガスが大量に発生する。上記の廃棄物が埋め立てられた地盤(以下、「廃棄物埋立地盤」という。)から発生するガスを抑制するために、例えば廃棄物埋立地盤中に設置した空気注入井戸から地中に空気を強制的に注入することで、廃棄物埋立地盤を好気性状態に変え、これによりメタンや硫化水素を微生物によって水や二酸化炭素に変換することが行われている(例えば特許文献1を参照)。
特開平10−216696号公報
しかしながら、廃棄物埋立地盤に空気を強制的に注入することによって地中を好気性状態にしようとしても、局所的に嫌気性部分が残存することでガスの発生が再度起こりやすくなる。そのため、廃棄物の撤去工事等で地中の廃棄物を掘り起こす際に、地中に溜まったメタンや硫化水素等のガスが大気中に大量に拡散する虞があり、拡散したガスが作業員の健康に悪影響を与えるといった事態を招来する。また、上記のように廃棄物埋立地盤に空気を強制的に長期間注入する場合、空気を連続的に供給するための動力が必要であり、コストが掛かるという問題がある。
本発明は、上記の点に鑑み、廃棄物埋立地盤に埋設された廃棄物から発生するガスを低コストで、確実に且つ長期に亘って抑制することのできる工法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法は、廃棄物埋立地盤に埋設されている廃棄物から発生するガスを抑制する工法であって、アルカリ溶液を前記廃棄物埋立地盤に注入した後、前記廃棄物埋立地盤に固化材を添加し、攪拌・混合することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法は、上記請求項1において、前記固化材が酸化マグネシウムを主成分とするものであることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法は、上記請求項1又は2において、前記固化材とともに活性炭を前記廃棄物埋立地盤に添加し、攪拌・混合することを特徴とする。
本発明の廃棄物埋立地盤におけるガス抑制工法では、まずアルカリ溶液を廃棄物埋立地盤に注入することによって地中をアルカリ化することで、メタンや硫化水素等のガスの発生を一時的に抑制した後、廃棄物埋立地盤に固化材を添加・攪拌混合することによって廃棄物埋立地盤を固化するようにしている。上記工法を行うことによって、低コストで、確実に且つ長期に亘って、廃棄物埋立地盤からのガスの発生を抑制することが可能となる。なお、事前にガスが充満している場合は、ガスの吸引を実施する。その結果、廃棄物の撤去工事等で廃棄物を掘り起こす際に、地中から発生するガスによって作業員の健康が害されるといった事態を防止することが可能となる。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態であるガス発生抑制工法の適用対象となる廃棄物埋立地盤は、主に一般廃棄物の処分場と産業廃棄物の処分場における廃棄物埋立地盤である。一般廃棄物の処分場とは、産業廃棄物以外の一般廃棄物(主に家庭ごみ)を埋め立て処分する場所である。また、産業廃棄物の埋立処分場とは、産業廃棄物のうち、紙くず、繊維くず、木くず、動植物性残渣、動物のふん尿、動物の死体及び燃えがら、ばいじん、汚泥、鉱さい等を埋め立て処分する管理型処分場、有害な燃え殻、ばいじん、汚泥、鉱さい等の産業廃棄物を埋め立て処分する遮断型処分場、又は、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず及び陶磁器くず、建設廃材等の産業廃棄物を埋め立て処分する安定型処分場である。
上記のような処分場における廃棄物埋立地盤は、廃棄物が埋設された廃棄物層と覆土とが交互に数層重なって形成された構造となっており、この廃棄物層から、メタンや硫化水素等のガスが大量に発生する。硫化水素は、廃棄物層中の廃棄物に由来する硫酸イオンが、酸素不足状態の嫌気性雰囲気下、硫酸還元菌により還元されることにより発生する。また、メタンは、嫌気性雰囲気下、廃棄物層中の有機系廃棄物を栄養源としてメタン発酵菌が増殖することにより発生する。
図1は、本実施の形態であるガス発生抑制工法の手順を示す概略フローチャートである。図1に示すように、ガス発生抑制工法は、廃棄物埋立地盤中で発生するガスを吸引するガス吸引工程S1と、アルカリ溶液を廃棄物埋立地盤に注入するアルカリ溶液注入工程S2と、廃棄物埋立地盤に固化材を添加し、攪拌・混合する固化材添加工程S3とから構成されている。なお、ガス吸引工程S1を行う前の準備工として、活性炭混合土や鹿沼土等による覆土工又はシート工を行っておく。
ガス吸引工程S1は、図示しないガス吸引手段を用いて、廃棄物埋立地盤の廃棄物層中から発生するメタンや硫化水素を強制的に吸引する工程である。このガス吸引手段は、廃棄物層中に配置される複数のガス吸引井戸と、これら複数のガス吸引井戸に連結され、廃棄物層中で発生するガスを吸引する吸引ブロワと、ガス吸引井戸で吸引したガスを成分ごとに処理して大気中に放出するガス処理装置(ともに図示せず)とから構成される一般的なものを適用することができる(例えば特開2006−346578号を参照)。なお、吸引ブロワとガス処理装置は地上に配置される。
以下、ガス吸引工程S1の手順について簡単に説明すると、まず、複数のガス吸引井戸を所定間隔おきに廃棄物層に設置する。次いで、吸引ブロワを作動させ、ガス吸引井戸によって廃棄物層中のガスを吸引する。この後、吸引したガスをガス処理装置へ送り、ガス成分ごとにガスを処理する。すなわち、メタンガスの場合には強制的に焼却処理し、硫化水素の場合にはアルカリ溶剤や吸着材等に吸着させる。ガス吸引の作業中は、吸引したガスの濃度を経時的にモニタリングし、ガスの濃度が規定濃度以下(すなわち、廃棄物の掘削作業を行っても安全が確保されるガス濃度以下)となるまで吸引作業を継続する。吸引したガス濃度が規定濃度以下にまで低下した時点でガス吸引工程S1を終了する。
上述したガス吸引工程S1の直後にセメント等の固化材を添加し、廃棄物埋立地盤を攪拌・混合すると、攪拌時に廃棄物層内部に溜まったメタンや硫化水素等のガスが大気中に大量に拡散する虞がある。そこで、本実施の形態のガス発生抑制工法では、まず、廃棄物層中にアルカリ溶液を注入して地中をアルカリ性にすることで微生物の活動を抑え、メタンや硫化水素等のガスの発生を一時的に抑制することができる(アルカリ溶液注入工程S2)。
メタンを発生させるメタン発酵菌や硫化水素を発生させる硫酸還元菌の活動領域は中性(pH5.8〜8.5)であり、中性域を外れるとこれらの活動が抑えられる。このため、廃棄物埋立地盤をアルカリ化すれば、メタンと硫化水素の嫌気性発酵を抑えることができる。ここで、アルカリ化の為には、pH12前後のアルカリ性を有する溶液、例えば、セメントミルク、水酸化マグネシウム溶液等を適用することができる。
アルカリ溶液注入工程S2で用いるアルカリ溶液注入手段としては、噴射ノズルを備えた注入管と、この注入管に連結された圧送ポンプ装置(ともに図示せず)を備えた一般的な注入手段を適用することができる。以下、アルカリ溶液注入工程S2の手順について簡単に説明すると、まず、上述した注入管を廃棄物層に設置する。次いで、地上に設置した圧送ポンプ装置を作動させてアルカリ溶液を注入管に送り、噴射ノズルからアルカリ溶液を地中に噴射(注入)して、地中にアルカリ溶液をなじませる。
固化材添加工程S3は、アルカリ溶液注入工程S2によって廃棄物埋立地盤のアルカリ化を行って廃棄物層を攪拌する際に発生するガス量を低減させた後に、廃棄物埋立地盤に固化材を添加し、攪拌・混合することによって、廃棄物埋立地盤を固化する工程である。アルカリ化した廃棄物埋立地盤を固化させることで、メタン発酵菌や硫酸還元菌等の微生物の活動が止まり、メタンガスや硫化水素の発生を確実に、かつ、長期に亘って抑制することが可能となる。
廃棄物埋立地盤に添加される固化材としては、公知のセメント系固化材や石灰系固化材等を適用することができる。但し、上述したアルカリ溶液注入工程S2により廃棄物埋立地盤をアルカリ化すると、メタンガスや硫化水素の発生が抑制される一方で、アルカリ域由来のアンモニアが発生してしまう。従って、アンモニアの発生をできるだけ抑えるために、この固化材添加工程S3では、pH10程度の低アルカリの固化材を添加するのが好ましい。
さらに、固化材とともに、活性炭を廃棄物埋立地盤に添加するのが好ましい。固化材とともに活性炭を添加すると、活性炭が地中のアンモニアを吸着するため、地中から発生するアンモニアの量をさらに抑制することができる。なお、本実施の形態では、予め活性炭を固化材と混合しておき、活性炭と固化材の混合物を廃棄物埋立地盤に添加するようにしているが、固化材を廃棄物埋立地盤に添加した後に、別途、活性炭を廃棄物埋立地盤に添加し、攪拌混合するようにしてもよい。
また、廃棄物埋立地盤が重金属類で汚染されている場合、廃棄物埋立地盤をpH12程度までアルカリ化すると土中から重金属が溶出しやすくなり、地下水などが汚染される虞がある。このため、廃棄物埋立地盤が重金属類で汚染されている場合には、セメント系固化材に替えて、酸化マグネシウムを主成分とする酸化マグネシウム系固化材を添加するのが好ましい。酸化マグネシウム系固化材は、pHが10程度の低アルカリの性質を有するものであり、重金属溶出抑制固化材として一般的に用いられているものである。この酸化マグネシウム系固化材を廃棄物埋立地盤に添加すると、pHを10程度に抑えることができる。従って、pH12のセメント系固化材を添加した場合と比べて、砒素、鉛、フッ素、六価クロム等の重金属の溶出量を低減させることができる。
また、後述するように、酸化マグネシウム系固化材を廃棄物埋立地盤に添加した場合、セメント系固化材を添加した場合と比べて地盤の固化強度を向上させることができる。
上述した固化材添加工程S3で用いる固化材攪拌混合手段としては、例えばパワーブレンダー(図示せず)を適用することができる。パワーブレンダーは、ベースマシンにトレンチャー型撹拌混合機(ともに図示せず)を装備した公知の攪拌混合手段である。以下、固化材添加工程S3の手順について簡単に説明する。
まず、固化材と活性炭の混合物をスラリー状あるいは粉体状で、廃棄物埋立地盤に噴射する。次いで、パワーブレンダーのトレンチャー型撹拌混合機に装着された撹拌翼で原土と固化材とを攪拌・混合する。このとき、上述したアルカリ溶液注入工程S2の段階でメタンガスや硫化水素の発生が抑制されるため、この固化材添加工程S3での攪拌作業では上記ガスはほとんど発生しない。
上述したガス吸引工程S1、アルカリ溶液注入工程S2、固化材添加工程S3を行うことによって廃棄物埋立地盤はアルカリ化・固化され、長期に亘ってガスの発生が抑制される。従って、この後、図1に示すように固化した地盤上に倉庫や工場等の構築物の建設工事S4を行うことが可能である。また、廃棄物の撤去工事S5を行う場合には、廃棄物の掘り起こしに伴って地中から発生するガスの量を最小限度に抑えることができる。
廃棄物埋立地盤から原土を採取し、室内において上述したガス発生抑制方法における固化材添加工程S3を行って原土をアルカリ化・固化させ、各種試料を作成した。原土に添加する固化材として、酸化マグネシウム系固化材(pH10)と、通常のセメント系固化材(pH12)の2種類を用いて複数の試料を作成した。嫌気性環境で28日経過後に微生物数を計測した結果、酸化マグネシウム系固化材及びセメント系固化材をそれぞれ添加した試料中に含まれる微生物の数は、上記の固化材を添加しなかった試料中の微生物の数の1/10であった。
(圧縮強度測定試験)
原土にセメント系固化材7.5%を添加・攪拌混合したもの、原土に上記酸化マグネシウム系固化材2.5%を添加・攪拌混合したもの、原土に上記酸化マグネシウム系固化材7.5%を添加・攪拌混合したものの3種類の試料を用いて、固化材添加から7日経過後及び28日経過後の各試料の圧縮強度を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2010162456
表1より、固化材の添加量が同じ(7.5%)試料を比べると、酸化マグネシウム系固化材を添加した試料が、セメント系固化材を添加した試料の4〜5倍の強度を発現することが分かる。また、酸化マグネシウム系固化材の添加量を1/3(2.5%)に減らしても、セメント系固化材を7.5%添加した試料の2倍程度の強度を発現することが分かる。
以上説明したように、本実施の形態の廃棄物埋立地盤におけるガス抑制工法では、まずアルカリ溶液を廃棄物埋立地盤に注入することによって地中をアルカリ化することで、メタンや硫化水素等のガスの発生を一時的に抑制した後、廃棄物埋立地盤に固化材を添加・攪拌混合することによって廃棄物埋立地盤を固化するようにしている。上記工法を行うことによって、低コストで、確実に且つ長期に亘って、廃棄物埋立地盤から発生するガスを抑制することが可能となる。その結果、廃棄物の撤去工事等で廃棄物を掘り起こす際に、地中から発生するガスによって作業員の健康が害されるといった事態を防止することが可能となる。
また、本実施の形態の廃棄物埋立地盤におけるガス抑制工法によれば、アルカリ溶液注入工程S2を行う前に、廃棄物層中から発生するメタンや硫化水素を強制的に吸引するガス吸引工程S1を行うようにしたことで、作業の安全性が向上し、次工程のアルカリ溶液注入工程S2の作業が行いやすくなる。
また、本実施の形態の廃棄物埋立地盤におけるガス抑制工法によれば、廃棄物埋立地盤に添加する固化材として低アルカリの酸化マグネシウム系固化材を用いてpHを10程度に抑えることで、アンモニアの発生を抑えるとともに重金属の溶出量を低減させることができる。
また、本実施の形態の廃棄物埋立地盤におけるガス抑制工法によれば、固化材とともに活性炭を廃棄物埋立地盤に添加して攪拌混合し、アルカリ化した廃棄物埋立地盤から発生するアンモニアを活性炭によって吸着させるようにしたことで、アンモニアの臭気を抑制することができる。
なお、上記実施の形態では、ガス吸引工程S1、アルカリ溶液注入工程S2、固化材添加工程S3の3つの工程を行ったが、ガス吸引工程S1は、廃棄物の掘削作業を行う際に安全が確保される程度にまで地中のガス濃度を下げるために行う工程であるから、当初のガス濃度が比較的低い場合には、ガス吸引工程S1を省略してもよい。
本実施の形態であるガス発生抑制工法の手順を示すフローチャートである。

Claims (3)

  1. 廃棄物埋立地盤に埋設されている廃棄物から発生するガスを抑制する工法であって、
    アルカリ溶液を前記廃棄物埋立地盤に注入した後、前記廃棄物埋立地盤に固化材を添加し、攪拌・混合することを特徴とする廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法。
  2. 前記固化材が酸化マグネシウムを主成分とするものであることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法。
  3. 前記固化材とともに活性炭を前記廃棄物埋立地盤に添加し、攪拌・混合することを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物埋立地盤におけるガス発生抑制工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101325220B1 (ko) 2011-03-10 2013-11-04 주식회사 자연그대로 가축 매몰지 처리장치 및 방법

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