JP2010161403A - プラズマ処理装置及び処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真空処理室内の下部に配置されその上面に試料が載置される載置台と、真空処理室の上部を形成して前記載置台上方のプラズマ生成空間を覆うベルジャ12と、前記ベルジャ外周に配置され前記真空処理室内の前記プラズマ生成空間にプラズマを生成するための高周波電界を供給するコイル状のアンテナ1と、前記アンテナとベルジャ間に配置するとともに高周波バイアス電圧が付与されるファラデーシールド8と、前記ベルジャ及びファラデーシールドの下端部下方で前記真空処理室を構成して配置された導体製のリング状部材4と、前記リング状部材及び前記ベルジャの内周側壁面をすき間を開けて覆って配置され所定の電位にされた導体製の板状部材22とを備えた。
【選択図】図1
Description
生を抑制することのできるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
amic Random Access Memory)あるいは論理回路IC等にはSi、Al、SiO2等の揮発
性材料が用いられる。また、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)あるいはM
RAM(Magnetic Random Access Memory)などにはFe等の不揮発性材料が用いられつつ
ある。
困難である。また、エッチング後の反応生成物の蒸気圧が低く、真空容器(真空処理室)
内壁への付着係数が高いため、少数(数枚〜数百枚)の試料を処理するだけで真空容器内
壁が反応生成物の堆積物によって覆われることになる。また、この堆積物は剥がれ落ちる
と異物を発生することになる。
し、エッチング速度やその均一性、エッチング垂直性、エッチング側壁に対する反応生成
物の付着状況等が経時変化する。
強磁性あるいは反強磁性材料としてのFe、NiFe、PtMn、IrMn、DRAMの
キャパシタ部やゲート部、FRAMのキャパシタ部、MRAMのTMR(Tunneling Magne
to Resistive)素子部に用いられる貴金属材料のPt、Ir、Au、Ta、Ruが挙げら
れる。このほか、高誘電体材料のAl2O3、HfO3、Ta2O3、強誘電体材料のP
ZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、BST(チタン酸バリウムストロンチウム)、SBT(
タンタル酸ストロンチウムビスマス)等が挙げることができる。
また、同じく半導体デバイス製造分野において、半導体デバイスの製造工程としてSi
やSiO2あるいはSiN膜をプラズマCVD法によって成膜する技術が多用される。こ
の技術においては、モノシラン等の重合性ガスをプラズマ中に入射して、ウエハ上に成膜
する。このときに大量の重合膜がウエハ以外の反応容器の内壁に付着し、量産安定性を阻
害する。すなわち、反応容器内壁に重合膜が厚く堆積しすぎると、内壁表面から重合膜が
剥がれ落ち、前述の場合と同様にウエハに異物となって付着する。このため、NF3等の
激性特殊ガスを用いたプラズマクリーニング、あるいは、反応容器を開放して行う手作業
の清掃を実施する必要がある。
多用される。このエッチングでは、C4F8、C5F8、CO、CF4、CHF3等の弗
化炭素がエッチングガスとして用いられる。プラズマ中でこれらのガスが反応して生成し
た反応生成物には、C、CF、C2F2等の遊離基が多く含まれ、これら遊離基が反応容
器の内壁に堆積すると、前述の場合と同様に異物発生の原因となる。また、遊離基が堆積
膜からプラズマ中に再蒸発するとプラズマ中の化学組成が変化し、ウエハのエッチング速
度が経時的に変化することになる。 従来のプラズマ処理装置としては、真空容器外周に
コイル状のアンテナを設けた誘導型のプラズマ処理装置、あるいは真空容器内にマイクロ
波を導入するプラズマ処理装置等が知られている。これらいずれの処理装置においても、
不揮発性材料をエッチングする場合における真空容器内壁への堆積物の対策が十分でない
ため、前記大気開放を伴う手作業による洗浄を繰り返し行っている。前記手作業による洗
浄は、洗浄を開始すると次の試料の処理開始までに6〜12時間も要すことから装置の稼
動効率が低下することになる。
例えば、特許文献1、2,3には、誘導方式で処理容器内にプラズマを生成すると共に
、真空容器外周に設けた誘導アンテナとプラズマとの間にファラデーシールドを設け、こ
のファラデーシールドに高周波電源を接続し電力を供給することにより、真空容器内壁へ
の反応生成物の付着の低減し、あるいは真空容器内壁をクリーニング可能としたプラズマ
処理装置が示されている。
いる部分で、かつファラデーシールドによる電界が十分に到達している部分については有
効である。しかし、その他の非導電性物質で形成した部分あるいは導電性物質で形成した
部分については有効ではない。
剥がれ落ち、ウエハに異物となって付着する。また、誘導アンテナを用いたプラズマ処理
装置では、誘導アンテナと反応容器内プラズマとの結合状態が変化し、エッチング速度や
その均一性、エッチング垂直性、エッチング側壁に対する反応生成物の付着状況等が経時
変化する。また、真空容器内壁を洗浄する場合には次の試料の処理開始までに時間も要す
ことから装置の稼動効率が低下することになる。また、空容器外周に設けた誘導アンテナ
とプラズマとの間にファラデーシールドを設け、このファラデーシールドに高周波電源を
接続し電力を供給することで、真空容器内壁への反応生成物の付着の低減し、あるいは真
空容器内壁をクリーニング可能としたプラズマ処理装置では、その有効範囲が限定される
。
を制御し、量産安定性に優れたプラズマ処理装置を提供する。
前記リング状部材及び前記ベルジャの内周側壁面をすき間を開けて覆って配置され所定の電位にされた導体製の板状部材とを備えた。
ラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することができる。
ズマ処理する試料が不揮発性材料である場合におけるエッチング処理を例にして、処理中
における反応生成物の真空容器内壁への堆積を抑制する方法について説明する。
閉塞する絶縁材料(例えば、石英、セラミック等の非導電性材料)製のベルジャ12を備え
真空処理室を形成する。真空容器の内部には、被処理物である試料13を載置するための
載置台5を備え、該処理室内にはプラズマ6を生成して試料を処理する。また、前記載置
台5は載置台を含む資料保持部9上に形成される。
た、ベルジャ12の外側には、プラズマ6と静電容量的に結合する円盤状のファラデーシ
ールド8を設ける。前記アンテナ1a及び1b及びファラデーシールド8は、後述するよ
うに整合器(マッチングボックス)3を介して高周波電源(第1の高周波電源)10に直列
に接続する。また、ファラデーシールド8とアース間に並列にインピーダンスの大きさが
可変可能な直列共振回路(可変コンデンサVC3及びリアクトルL2)を接続してある。
ガスは排気装置7によって所定の圧力に減圧排気される。ガス供給管4aより真空容器2
内に処理ガスを供給し、この状態で前記処理ガスを前記アンテナ1a及び1bにより発生
する電界の作用によってプラズマ化する。載置電極5には基板バイアス電源(第2の高周
波電源)11を接続する。これにより、プラズマ6中に存在するイオンを試料13上に引
き込むことができる。
68MHZ等のHF帯の高周波電力、あるいは更に周波数が高いVHF帯等の高周波電源
を用い、高周波電力を誘導結合アンテナ1a、1b及びファラデーシールド8に供給する
ことにより、真空容器2内にプラズマ生成用の電界を得ることができる。このとき、整合
器(マッチングボックス)3を用いて、誘導結合アンテナ1a,1bのインピーダンスを
高周波電源10の出力インピーダンスに一致させることにより電力の反射を抑えることが
できる。整合器(マッチングボックス)3としては、例えば図に示すように可変容量コン
デンサVc1、Vc2を逆L字型に接続したものを使用する。
あり、セラミック製の真空真空容器(ベルジャ12)に重なる形で配置されている。ファ
ラデーシールド8に印加する電圧は前記可変コンデンサ(図1に示すVC3)により調節
可能である。ファラデーシールド8に印加する電圧(シールド電圧)ウエハ毎の処理レシ
ピに対応して、あるいはクリーニング処理のレシピに対応して任意の値に設定できるよう
にしておくとよい。
ールドに印加した高周波電圧により、真空容器内部(ベルジャ内壁)にバイアス電圧を発
生させ、これによりプラズマ中のイオンを真空容器壁に引き込み、引き込まれたイオンに
より真空容器壁を衝撃し、物理的・化学的スパッタを生じさせて、真空容器壁への反応生
成物の付着を防ぐものである。
aday Shield Voltage;FSV)がある。この最適なFSVには、高周波電源周波数、真空
容器壁材料、プラズマの密度、プラズマの組成、真空容器全体の構成および被処理物の材
料、処理速度、処理面積が影響する。したがって、このFSVの最適値は、プロセスごと
に変える必要がある。
壁材料がアルミナである場合はアルミナを構成するアルミニウムあるいは酸素)の発光強
度(光量)の関係を示したものである。図に示すように、あるFSV(図3ではb点)を
境に、FSVが高くなると壁材料の発光が強くなる。これはb点以下のFSVでは壁に堆
積物(デポ)が堆積している状態を示し、b点以上のFSVではデポがスパッタされて堆
積しないだけでなく、壁材料自体もスパッタされていることを示している。
る。例えば、真空壁材料のスパッタによって壁材料が気相中に放出されることにより被処
理物の処理反応や気相中の反応が想定したものとずれて、所望のプロセスが実行できない
場合などが該当する。すなわち、FSVをa点に設定することにより、真空容器内壁には
わずかであるがデポの堆積を認め、これにより壁材料をまったくスパッタしないようにす
る。これにより壁材料の放出によるプロセス障害を防ぐことが可能になる。しかしながら
、真空容器内壁にデポが十分堆積しないうちに、真空容器内壁をクリーニング専用のプロ
セス(ここではFSVはb点より高く設定する)を用いてクリーニングすることが必要と
なる。
応生成物が堆積すると、異物を発生したり、プラズマを生成するための高周波電力が堆積
物に吸収されてプラズマの特性が変化して目的のプロセスを安定して実行できない場合が
ある。この場合には、FSVを前述のようにc点に設定しする。すなわち内壁は多少削れ
ても良いが、反応生成物は全く堆積しない条件に設定することもできる。この場合は、真
空容器の消耗が大きくなるという欠点が発生するが、内壁のクリーニング回数は削減でき
る。
ことになる。このとき、FSVの設定電圧の再現性をよくすることが重要である。これは
、異なる装置で同じプロセスを行うときや、同じ装置でも連続して同一プロセスを行うと
きの経時変化を抑える必要があるからである。このためには、FSVのフィードバック制
御が重要になる。
生成用の高周波電源10の出力がインピーダンス整合器(VC1,VC2)及びアンテナ
1a,1bを介してファラデーシールド8に印加されるようになっている。FSVをコン
デンサC2、C3で分割して小信号とし、フィルタ15を通して高調波や他の周波数成分
を除いた上で検波器16で検波してDC電圧に変換し増幅器17で増幅する。このように
してFSVに比例したDC電圧信号を得る。この信号を比較器18により本体装置制御部
20のレシピ出力で設定されたプリセット値や設定値との比較し、モータ制御機19を介
してモータを制御してFSVを電圧を決めるための可変コンデンサVC3を回転させる。
なる装置や同一装置で連続して同じプロセスを処理する場合においてもFSVの値を一定
に制御することができる。また、装置間格差や経時変化を抑えることができる。
する。この結果、FSVは、ファラデーシールドとプラズマの間の静電容量と壁にできる
イオンシースによる静電容量によって分割され、分割された後の電圧がイオンシースにか
かる。これによりイオンを加速し、真空容器内壁をイオンスパッタさせることになる。例
えば、アルミナ製の真空容器の壁の厚さが10mmの場合、FSVが500Vであると、
イオンシースに印加される電圧は約60Vになる。
を発生させることは、異常放電が生じやすくなるなどの理由で取扱いがより困難となるか
らである。低いFSVでイオンシースに印加される電圧を高くするには、イオンシースの
静電容量は用いるプロセスのプラズマ特性で一意的に決まってしまうため、ファラデーシ
ールドとプラズマの間の静電容量をできるだけ小さくすることが有効である。これを実現
するためには、誘電体真空容器の材料の誘電率が高いこと、誘電体真空容器の壁の厚さを
できるだけ薄くすることである。これに適する材料としては、強度が強くかつ誘電率が高
い材料として代表的なアルミナを採用することができる。
るのがファラデーシールドと真空容器の壁(ベルジャ)間の隙間である。アルミナの誘電
率は約8であるので、10mmの壁厚さの場合、厚さを大気の場合に換算すると、10/
8=1.25mmになる。ここで仮に、ファラデーシールドと真空容器の隙間が0ないし
1mmある場合を考えると、ファラデーシールドとプラズマの間隔は、大気換算で、1.
25ないし2.25mmと倍半分近く変化することになる。このことは、先ほどの条件の
場合、イオンシースにかかる電圧が約33Vから60Vにまで変化することを意味する。
のある部分には堆積物(デポ)が付着し、他の部分には堆積物が付着しないということに
なり、FSVを印加することによるデポ付着抑制効果は減少することになる。これを防ぐ
には、ファラデーシールドと真空容器との隙間を一定にするか、望ましくはファラデーシ
ールドを薄膜で製作し、真空容器に密着させることが必要となる。
ベルジャ)との隙間を0.5mm以下になるように製作することは現実的ではない。しか
しながら、ファラデーシールドの下に導電性の弾性体、例えば導電性スポンジを貼付して
、このスポンジによってファラデーシールドと真空容器の壁との隙間を埋めることができ
る。
は、ファラデーシールド14とベルジャ12との間に隙間がある例であり、隙間のある部
分の真空容器内面には堆積物が堆積し易くなる。一方、隙間の無い裾付近は堆積物が堆積
しない状態になる。図5(b)は、前記隙間を弾性導電体12a、例えば導電性スポンジ
で埋めた例を示す図である。これにより、ファラデーシールド14はベルジャ12に密着
したのと同様の効果を得ることができる。なお、導電性スポンジは伸縮性が大きいため大
小の隙間を柔軟に埋めることができる。
その下にあるガスリングに形成したガス吹き出し口23を示している。この構成において
プラズマ処理を継続すると図のA、及びBで示す部分に堆積物が堆積する。ベルジャの内
側で図のBよりも上の部分には、FSVによるイオンスパッタの効果により、堆積物を堆
積させないことができる。ここで問題になるのは、前記A及びBで示す部分である。Aの
部分は、ガス噴出し口23の周辺であり、ここに堆積物が付着すると、この堆積物はガス
流れの効果により剥れやすくなり、剥がれた堆積物は被処理物であるウエハの上に異物と
なって乗り、プロセスの障害となる。また、Bの部分は、ベルジャ12の内壁であるが、
ファラデーシールド14がベルジャ内壁から遠くなる。このためFSVによるイオンシー
ス電圧が低下してイオンスパッタによる堆積物付着抑制効果が十分働かない部分である。
がある。ガス吹き出し口23への堆積物付着を減らすには、ガス吹き出し口23から防着
板22の穴を通して見えるプラズマ6領域を減らすこと、すなわちプラズマに対する見込
み角を小さくすること、及びガス吹き出し口23がウエハを直接見ないこと、すなわち、
ガスの吹き出し口23の中心軸は、前記見込み角外に前記試料が含まれるように前記試料
上方のプラズマ生成空間方向に設定することが必要である。
見込み角を略30度まで小さくし、また、ガス噴出し口から直接ウエハが見えないように
したものである。
る。隙間の大きさは、0.5mm以上であることが望ましい。この隙間により幾つかの利
点が発生する。まず、防着板に形成したガスを通す穴が同じ大きさでも、隙間を開けるこ
とによりプラズマへの見込み角を小さくでき、ガス噴出し口23に付着する堆積物の量を
減らすことができる。また、ガス噴出し口23からガスを真空容器内に吹き出すとき、大
きな圧力低下が発生し、粘性流から中間流へと移行し最終的に分子流になる。ここで、ガ
ス吹き出し口23周辺ではガスの圧力はまだ比較的高く中間流の状態であり、ここに堆積
物が付着するとガスの流れから力を受けて堆積物が剥れやすくなる。隙間を空けることに
より、防着板22付近でのガス流れは分子流となり、ガス流れは防着板に付着した堆積物
を剥がす力が少なくなり、堆積物の剥れを減少させることができる。さらに、後述するよ
うに、防着板22の温度を効率的に上げて、防着板22に付着する堆積物の量を減らすこ
とができる。
の材料は、250℃以上の部材に対しては付着しにくいという知見が得られている。そこ
で、前記防着板の温度が250℃以上になるように防着板を設計をした。熱設計では、プ
ラズマからの入熱、防着板支持部からの熱逃げ、防着板全体からの輻射熱逃げの3者のヒ
ートバランスを計算した。この熱計算の結果を図7に示す。
度において平衡温度が250℃を超えていることがわかる。防着板がAl(表面アルマイ
ト加工)の場合、RF入力が1000W以上において、防着板平衡温度が250℃以上と
なる。以下、計算に当たっての各部の構造上の特徴について記す。
防着板面積/プラズマ接触全面積で計算される。今回設計した防着板仕様では、プラズマ
へのRF入力=1200Wとすると、防着板への入熱は260Wとなる。
、表面輻射率を0.2程度にすることができるので、低く抑えることができる。防着板に
Al(表面アルマイト処理)を用いる場合は、アルマイト表面輻射率が0.6程度となる
ので熱輻射逃げは多めになる。
なくなるよう全周を3点で支持し、ガスリング本体との接触部面積を図8のようにほぼ点
接触とすることで伝熱面積を抑えた。具体例としては、接触部径方向長さを3ミリ、接触
部周方向長さ1ミリとする。接触熱抵抗を3000[W/(m2・K)]程度の過大な値
に見積もっても、接触面積×接触熱伝達率×(防着板内面温度−ガスリング温度)で計算
される防着板支持部からの伝熱は、10W程度にしかならない。
イト)である。RF入力1200Wにおいて、表面温度は約250℃であり、ほぼ設計値
どおりの値となっていることを確認した。
い。このため、防着板に付着した堆積物を安定に付着させておくことが重要となる。この
ため、防着板の表面には機械的に堆積物の付着性をよくするため、多少の凹凸を持つこと
が望ましい。発明者らの実験に寄れば、表面粗さとして、10μm以上であることが望ま
しいことがわかっている。
が厚くなる。例えば、防着板に設けた10μmの凹凸は、同じ程度の膜厚の堆積物に対す
るアンカー効果を有する。しかし付着した堆積物の膜厚が厚くなるとアンカー効果は薄れ
てゆく。従って、堆積物の付着量が少ない初期状態から、堆積物量がある程度増えた状態
までアンカー効果を有効に働かせるには、2種類の凹凸、例えば、10μmの凹凸と10
0μmの凹凸を同時に表面につけることが望ましい。このような凹凸を形成する加工法と
しては、例えば100μmの凹凸形成にローレット加工を、10μmの凹凸形成にブラス
ト加工を用いることができる。
を安定して付着させるためには表面に凹凸形成をすることが望ましい。従って、現実的に
は、防着板の堆積物の付着する面(プラズマに向かっている面)に凹凸を形成し、堆積物
の付着しない面(例えば、防着板とガス噴出し口との隙間に向かっている面)を鏡面加工
することができる。また、防着板から放射される熱を反射するために、ガスリングのガス
噴出し口のある面で堆積物が付着しない部分の面は、鏡面加工することが望ましい。
物の付着量を少なくするため温度を高くする関係上、防着板には熱履歴が発生し、堆積物
と防着板材質の熱による膨張・収縮量の差異によって、堆積物が剥れやすいからである。
ラズマを生成するための高周波に対する接地面積を多くしたほうが放電が安定するためで
ある。また、堆積物が帯電した場合、クーロン力による堆積物同士の反発力で、堆積物が
剥れやすくなるため、堆積物の帯電をできるだけ防ぐ目的ももっている。
着板を製作して、プラチナPtを500枚連続してエッチングして性能を調べた。その結
果、ガス吹き出し口への堆積物の付着量は、ほとんど見られなかった。また、防着板に付
着した堆積物は安定しており、堆積物の剥れは発生しなかった。
ら遠くなる部分。従ってFSVによるイオンシース電圧が低下してイオンスパッタによる
堆積物付着抑制効果が十分働かない部分)に付着する堆積物対策について説明する図であ
る。
FSVによるイオンスパッタが効き難い領域である。そこで、防着板22を延長し、この
部分を覆うことにより堆積物付着量を低減させるとともに、堆積物の安定化を図ることが
できる。この構造を示したのが、図9(a)である。これを用いて、堆積物付着に試験を
したところ、図9(a)のC点を中心にベルジャ内壁の幅15mmほどの領域に堆積物が
付着することがわかった。
をガスリング4内面にほぼ連続するように形成し、このベルジャ12をガスリング4上に
配置して真空処理室を形成する。
がでる。これにより前記FSVによるイオンスパッタが効き難い領域を防着板で有効に保
護することができる。
のが、プラズマの等密度線である。C点に着目すると、C点は防着板とベルジャからなる
コーナー部に相当し、この部分はプラズマの密度は周辺と比べてわずかに低くなる。
因である。このため、C点では、ベルジャ内壁単位面積あたりのイオンのスパッタ数が少
ないため、堆積物が取れにくいことが考えられる。さらにもうひとつの原因が考えられる
。つまり、防着板は電気伝導性があるためで防着板に生成されるイオンシースにはFSV
は効かず、イオンシースにはプラズマ特性によって決まる15ないし20V程度のDC電
圧がかかる。これに対してFSVが効く領域では、ベルジャ内壁に形成されるイオンシー
スには、プラズマ特性で決まるDC電圧にさらに例えば60V程度の高周波電圧がかかり
、これが効果的にイオンを加速してベルジャ内壁をスパッタする。つまり、C点付近は、
防着板に生成される低電圧のイオンシースから、ベルジャ内壁に形成される高電圧のイオ
ンシースへの遷移領域に相当し、C点付近では防着板付近より離れるに従って、イオンシ
ースの電圧が高くなり徐々にイオンスパッタが効いていく領域になる。
ッタ領域が形成されると考えられる。この領域では、FSVによるスパッタより堆積物の
付着のほうが優勢であるため、堆積物が付着すると考えられる。
、弱スパッタ領域が形成される原因のひとつであるプラズマ密度低下の原因を取り除くた
め、ナイフエッジ状の防着板を製作し、試験を行った。その結果、図11に示すように、
弱スパッタ領域が縮小し、堆積物付着領域が縮小することが確かめられた。そこで、さら
にもうひとつの原因を取り除くために、図12に示すように、防着板の上部22aを絶縁
体(この場合はアルミナ)に変更したところ、図12に示すように、強スパッタ領域と堆
積物領域を一致させることができ、堆積物の付着がほとんど無くなった。アルミナの表面
はローレット加工が不可能なため、ブラスト処理により、表面に凹凸を加工した。また絶
縁体の材料としては、石英や窒化アルミも用いることができる。
付着領域よりわずかでも広ければよいことになる。そこで、防着板とベルジャの間にプラ
ズマが侵入できるように、防着板とベルジャ間に隙間を設けた。プラズマが進入できるに
は、隙間の間隔がイオンシースより十分大きい必要があり、隙間の間隔は5mm以上必要
である。またあまり大きすぎると、堆積物が拡散により回りこむため、効果が薄れる。堆
積物が拡散で回り込まないための隙間の最大値は、堆積物の材質・ガス種とその圧力によ
って決まるため、処理プロセスにより異なるが、試験の結果おおよその目安は15mmで
ある。図13に示す構造の防着板を製作して試験を行った結果、ベルジャへの堆積物付着
は完全に抑制することができた。この構造の場合、防着板上部は、絶縁性材料である必要
は無く、電気伝導体で構成しても性能は変わらない。
の原因となる。そこで、サセプタにも高周波バイアスを印加し、物理的・化学的イオンス
パッタを起こして、堆積物を付着させないように検討した。
ース36及び絶縁ベース35のうえに、基板バイアス電源11を接続した載置台を搭載し
ている。載置台の材質は、アルミニウムもしくはチタン合金が一般的に用いられる。載置
台の上部で被処理物(試料13)を搭載する部分には、誘電体膜が形成されて、被処理物
を静電吸着できるようになっている。誘電体膜は、図中では溶射膜としているが、エポキ
シ、ポリイミド、シリコーンゴムなどの高分子系材料で形成する場合もある。また、溶射
などで形成されるセラミックス系材料としては、アルミナ・窒化アルミニウム・PBN(P
yrolytic Boron Nitride:熱分解窒化珪素)がある。また、図14では、高周波電力が載
置台5の側面方向からプラズマに抜けるのを防ぐために、接地ベース36と絶縁カバー3
7を用いてシールドする構造を示している。また、サセプタは、石英やアルミナを材料と
するのが一般的であり、載置台の試料が搭載される面以外の電極部を覆いプラズマによっ
て損傷するのを防ぐ。
アス電源11は、インピーダンス整合器(MB)32内で、静電吸着電源から供給された
静電吸着用の直流電圧と混合した後、載置台に供給する。ここで、基板バイアス電源11
の高周波は、載置台5からサセプタ34を通り抜けて、サセプタ上部表面にも供給される
。このときサセプタ34は、サセプタ材料を誘電体としたコンデンサを形成している。図
15では、このようにして形成されるコンデンサをコンデンサC(33)として表してい
る。
付着を試験的に調べた。その結果、サセプタ上面には、多量の堆積物が付着することがわ
かった。
検討した。その結果を図16に示す。ベルジャ内壁に発生する電圧が約60V以上になる
と、堆積物付着が抑制できることがわかっている。また、発明者らの試験では、試験時の
バイアス電圧(ピークトゥピーク)Vppを約400ないし500Vの範囲に設定するこ
とが多かったことから、このバイアス電圧Vppの範囲でサセプタ表面に60V以上の電
圧を発生させることができるようにサセプタ厚さとして、4mmを選択した。
する図である。図17に示すように、サセプタ上面全体を厚さ4mmにして、堆積物の付
着状況を実験した。その結果、図の矢印で示している範囲(デポ付着制限領域)で堆積物
の付着が無いことを確認した。これにより、載置台と直接接触している部分では、堆積物
付着を抑制できることがわかった。しかし、図17の構成では、サセプタ上面の外周部に
堆積物が付着するため、これが被処理物への異物となって処理を妨害することが懸念され
る。そこで、載置台の側面に形成されている絶縁カバー37を除き、サセプタ上面及びサ
セプタ側面の上部全体に渡って、載置台とサセプタが接触するようにした。この構成を図
18に示す。図18に示す構造を用いて前記と同様に堆積物の付着状況を実験的に調べた
。この結果、載置台と接触しているサセプタ上面及びサセプタ側面上部で堆積物の付着が
無くなった。しかしながら、サセプタの着脱を繰り返すと、同一条件においても、堆積物
を十分取りきれない場合があることがわかった。また、この堆積物が十分取りきれないと
きは、堆積物が偏りを持った分布で堆積し、特にサセプタの側面に堆積物が残りやすいこ
とが判った。
に推定した。すなわち、サセプタの材料はアルミナであり、その厚さは4mm、誘電率は
約8であるから、空気層に換算すると約0.5mmに相当する。ここで、サセプタと載置
台の間に隙間が、例えば0.1mmあるとすると、図15のコンデンサCを形成する誘電
体の厚さは、サセプタ分0.5mmと隙間分0ないし0.1mmの合計あり、0.5ない
し0.6mm(20%)変動する。この変動がサセプタ表面に発生する高周波電圧に偏り
を発生させ、これにより堆積物の取れ方に偏りが発生する。しかしながら、サセプタと載
置台を、その隙間0.1mm以下の精度で密着するように製作することは困難であり、現
実的ではない。
溶射膜39を形成した。溶射金属としては、タングステンを用いたが、これはアルミナに
対して接着性が良いことが知られているからである。金属膜は、電気伝導性がありサセプ
タへの接着性がよければタングステンである必要は無く、金・銀・アルミニウム・銅など
も可能である。また、金属膜の製造法も、溶射である必要は無く、めっき・スパッタ・蒸
着・印刷・塗布・薄膜接着など薄膜を形成できる方法ならばいずれでも良い。この構造を
採用することにより、金属膜と載置台5が1箇所接触していれば、金属膜全体に載置台と
同じ電圧が発生するので、サセプタと載置台の隙間の問題は回避できる。
付着制限領域内で堆積物の付着を再現性よくなくすることができた。この方法の利点は、
金属膜と載置台が一点でも接触していれば、載置台5と同じ電圧が金属膜全体に発生し、
サセプタ34の表面に均一な高周波電圧を発生できることである。従って、図20に示す
ように、絶縁カバー37など他の構造物がある状態であっても、金属溶射膜の溶射範囲を
広げることにより、任意の範囲のサセプタ表面に均一な高周波電圧を発生できる。なお、
図20の構成において、矢印で示す堆積物付着制限領域において、再現性よく堆積物付着
をなくすることができることを実験的に確認した。
高周波電圧を発生させ、堆積物付着の抑制を均一にできることがわかった。この技術を用
いると、構造上サセプタの厚さを厚くしなければならない場合でも、金属膜をサセプタの
中に埋め込むことによって、同様の効果を得ることができる。この構造を示したのが、図
21、22である。
)に、金属溶射膜39を埋め込み、金属溶射膜39より載置台5にコンタクトを出して電
気的な導通を確保し、金属溶射膜39に載置台5と同じ高周波電圧を発生させる。
射などによって静電吸着膜を形成する種類のほかに、窒化アルミニウムやアルミナなどの
セラミックス誘電体製の載置台の中に、金属電極を埋め込み、この金属電極より静電吸着
をしたり高周波バイアスをかけたりする種類のものがある。このような種類の載置台の場
合でも、サセプタへの金属膜形成によって、全く同じ機能を持ったサセプタを製作するこ
とが可能である。
合である。載置台5は窒化アルミからできており、この中にタングステンでできた静電吸
着・高周波バイアス印加用電極40が埋め込まれている。この電極より、金属溶射膜39
に向かって、導通パターン(鍔部導電パターン41,42,43)を埋め込み、これによ
り電極40と金属溶射膜39との導通をとる。これにより、サセプタ裏面の金属溶射膜3
9にタングステン電極と同じ高周波電圧を発生させることができる。当然のことながら、
この構造によるサセプタ表面への堆積物付着制御能力は、これまで述べてきた場合と全く
同じにできる。
導通パターン(鍔部導電用パターン41,42,43)を延長して、コンタクトにより載
置台5埋め込んだ電極40とサセプタ34に埋んだ金属溶射膜39接続すれば機能的には
図23の場合と全く同じことができるようになる。
イアス印加用電極40より高周波を金属溶射膜39に供給するパターンを載置電極5内部
に作る必要がなるが、その一例を示したのが図25である。
にある鍔部導電用パターン41は、タングステン電極と同じくタングステン薄膜を載置電
極の中に埋め込む。これらの埋め込まれたタングステン薄膜同士は、載置電極を成型後、
必要な部分に穴をあけ、貫通端子をロウ付けする方法で接続できる。
値のとき(ここでは400V)、サセプタ上面の堆積物付着がちょうど抑制される。しか
し、載置台の電圧が高くなると、サセプタ上面の高周波電圧が高くなりすぎ、サセプタが
削れて部品寿命が短くなるという欠点がある。この欠点は、図26に示すように、外部か
らサセプタ表面に印加される高周波バイアス電圧を調節する手段を導入することで解決で
きる。図26では、サセプタの金属膜の電圧を、外部に取り付けた可変コンデンサVCで
調整する回路を示している。これを実際の構造として示したのが、図27である。
50を形成してサセプタ金属溶射膜51と載置台5が直接接触しないようにする。このセ
ラミックス被覆50は、図26に示すコンデンサC’を形成し、載置台5に印加される高
周波電圧の一部をサセプタ金属溶射膜51に伝送する働きを持たせる。その上で、外付け
の別の可変コンデンサVCにより、載置台5に印加される高周波電圧をサセプタ金属溶射
膜51に伝送する。この二つのコンデンサによって伝送された高周波電圧は位相が同じな
ので、単純に加算され、その電圧によりサセプタ表面に発生する高周波電圧が決まる。例
えば、サセプタ厚みが4mm、サセプタ金属溶射膜の表面積を400cm2、セラミック
ス皮膜がアルミナで300μm、可変コンデンサVCの最大容量が8000pFであった
とすると、載置台のバイアス高周波電圧が400Vのときには、可変コンデンサVCの容
量を可変させるとサセプタ表面電圧を約30ないし100Vの範囲で可変できる。このよ
うに、サセプタ厚み、セラミックス被覆、金属溶射膜表面積と可変コンデンサVCを適当
に選ぶことにより、サセプタ表面に発生する高周波電圧を制御できる。また、このときの
サセプタ金属溶射膜は、図示していないが、可変コンデンサVCと接続できるなら、サセ
プタ内部に組み込むことも可能である。
1とは別の高周波電源を用いることでも可能である。これを図28に示す。ここでは、載
置台にバイアスを供給する基板バイアス電源11とは別に、サセプタ金属膜に高周波を供
給するサセプタバイアス電源11aを用いる。この場合の電極構造を図29に示す。ここ
で重要なのは、サセプタ金属溶射膜51に印加する高周波電圧が載置台5の高周波電圧に
より影響されないように、載置台5とサセプタ金属溶射膜51の間に、絶縁及び接地シー
ルド(接地ベース36)を組み込む必要があることである。これにより、サセプタバイア
ス電源11aが必要という欠点があるものの、サセプタに印加するバイアスは、試料13
に印加する高周波電圧とは全く独立に制御することが可能になる。また、このときのサセ
プタ金属溶射膜51は、図示していないが、サセプタバイアス電源11aと接続できるな
ら、サセプタ内部に組み込むことも可能である。
と同様、サセプタバイアス電圧にも最適値がある。この電圧には、バイアス電源の周波数
、サセプタ材料や厚さ、プラズマの密度、プラズマの組成、真空容器全体の構成および試
料の材料、処理速度、処理面積が影響を与える。
3の場合と同様、サセプタバイアス電圧がある値(図30のb点)を境に、サセプタバイ
アス電圧が高くなるとサセプタ材料の発光が強くなる。b点以下のサセプタバイアス電圧
ではサセプタに堆積物が堆積している状態であり、b点以上のサセプタバイアス電圧では
堆積物がスパッタされて堆積しないだけでなく、サセプタ材料自体もスパッタされている
ことを示してる。
する場合もある。これは、サセプタ材料のスパッタにより、サセプタ材料が気相中に放出
され、試料の処理反応や気相中の反応が想定したものとずれることにより、望ましいプロ
セスが実行できない場合などに相当する。すなわち、サセプタバイアス電圧をa点に設定
することにより、サセプタにはわずかであるが堆積物の堆積を認め、サセプタ材料をまっ
たくスパッタしないようにする。これにより、サセプタ材料の放出によるプロセス障害を
防ぐことである。その代わり、サセプタの堆積物が十分堆積しないうちに、サセプタをク
リーニング専用のプロセス(ここではサセプタバイアス電圧はb点より高く設定する)で
、クリーニングする必要がある。
プロセスを安定して実行できない場合がある。この場合には、サセプタバイアス電圧最適
点をc点に設定し、サセプタは多少削れても良いが、堆積物をまったく付着しない条件に
設定することもできる。この場合は、サセプタの消耗が大きくなるという欠点が発生する
が、サセプタのクリーニングが少なくてよいという利点が発生する。
することになる。このとき、サセプタバイアス電圧の設定電圧の再現性をよくすることが
重要である。これは、異なる装置で同じプロセスを行うときや、同じ装置でも連続して同
一プロセスを行うときの経時変化を抑える必要があるからである。このためには、サセプ
タバイアス電圧のフィードバック制御が重要になる。
タバイアス印加回路である。両回路とも、サセプタ金属溶射膜の電圧を、減衰器及びフィ
ルタ52を介して検波し、直流電圧に変換する。これにより、この直流電圧信号は、サセ
プタバイアス電圧に比例した信号となる。この信号を本体装置制御部57のレシピなどで
設定されたプリセット値や設定値との比較により、図31の場合はサセプタバイアス電圧
を決める可変コンデンサVCを回転させるモータを制御する。また、図32の場合は、サ
セプタバイアス電源11aの出力を制御する。この方法を用いることにより、本体装置で
設定した値にサセプタバイアス電圧を制御することができ、異なる装置や、同一装置で連
続して同じプロセスを処理する場合に、サセプタバイアス電圧の値を一定に制御でき、装
置間格差や経時変化を抑えることができる。
2、ガス吹き出し口23、サセプタ34についてその方法と構造について説明した。試料
13から出てくる反応性生物や気相で合成される物質が、蒸気圧の高い揮発性の成分であ
る限り、これらの物質は排気装置によって放電部や被処理物周辺より排気され、電極下部
や排気ダクトなどに多少は堆積するものの、その多くは排気されてしまう。
接触した場合、ほとんど捕捉される)物質が、試料の反応生成物として、あるいは気相中
で合成されるなら、これらの物質は試料周辺のベルジャ、サセプタあるいはガス吹き出し
口などを含めた真空容器壁に堆積し、ほとんど排気されることは無い。
すると、これらの堆積性の強い物質は堆積場所を失う。このため、堆積性の強い物質の気
相中の密度が高くなり、堆積しようとする原動力が増すことになり、結果としてベルジャ
やサセプタ上に強制的に堆積してしまう。
は、堆積物をどこか多量に堆積させる場所を用意しておくことにより、その効果を発する
。そして、堆積できる堆積物の量を増やすこと、あるいは気相から速やかに堆積させるこ
とにより、ベルジャやサセプタにおける堆積物の堆積量制御能力は増加させることができ
る。
周辺に、気相から速やかに、かつ大量に堆積物を堆積させる領域(堆積物トラップ領域)
を設けることが必要になる。前記防着板は、ガス吹き出し口への堆積物付着を抑制するカ
バーとして働いているが、これ自体には堆積物が堆積することを前提とするので、これも
トラップの一種である。
御する領域である。その他のプラズマに接する領域は全て堆積物トラップ領域であり、堆
積物トラップ領域(1)は、防着板とガスリング下部を含めた領域で、ウエハから直接覗
くことができる(見込むことができる)領域である。これらのベルジャ領域、ウエハ/サ
セプタ領域と堆積物トラップ領域(1)は、ウエハから直接覗くことができる(見込むこ
とができる)領域の全てであり、プラズマを発生させる領域であるとともに、ウエハから
、あるいはプラズマ気相中で形成される堆積性の強い物質が最も付着しやすい領域である
。これらの領域内に制御されていない状態で堆積物が堆積すると、ウエハへの異物の原因
となったり、プラズマの経時変化が生じる。従って、これらのウエハから直接覗くことが
できる領域では、堆積物付着はできるだけ完全に制御されなければならない。
くことのできる領域の100%が、堆積物を制御した状態になる。また、図6、図9、図
11の構造を用いたとしても、これらのウエハから覗くことのできる領域の表面積の90
%以上を堆積物を制御した状態にする必要がある。
ウエハ/サセプタ領域の堆積物抑制機能を高めることができることから、ベルジャ領域や
サセプタ領域の表面積はできるだけ小さく、また、堆積物トラップ領域(1)の表面積は
できるだけ大きくすることが望ましい。堆積性の強い反応性生物がウエハから発生する場
合、ウエハの表面積をSWとすると、堆積物トラップ領域(1)の表面積S1がS1<0
.5SWとなると、ベルジャ領域やウエハ/サセプタ領域での堆積物抑制機能が低下する
ことが発明者らによる実験でわかった。従って、反応性生物を速やかに堆積物トラップに
堆積させるには、S1>=0.5S1の関係が必要であり、望むらくはS1>=S1であ
ると良い。
の下部にある。この領域はウエハから直接望むことはできないが、その上部には拡散によ
り堆積性の強い物質が輸送されて大量の堆積物が付着する。堆積物トラップ領域(3)は
電極の側面のカバーであり、ここもウエハから直接望むことはできないが、堆積物トラッ
プ領域(2)と同様、その上部には多量の堆積物が付着する。これらの堆積物トラップ領
域(2)(3)は、ウエハから直接望めない領域なので、これらに付着した堆積物がウエ
ハの異物になったり、プラズマの経時変化の原因になる可能性は小さいが、装置を大気開
放したときの清掃作業を効率よく行う上で、これらの堆積物トラップは重要である。つま
り、反応性生物は堆積性が強いため、その90%以上を堆積物トラップ領域(1)(2)
(3)付着させて回収することができる。したがって、これらの堆積物トラップ領域(1
)(2)(3)をスワップキット化(交換可能化)し、大気解放後洗浄済の部品と全交換
することで、効率よく真空容器内部を清掃することが可能になる。このためには、堆積物
トラップは軽量であること及び取り外し/取り付けが容易であることの二つの条件が必要
になる。軽量であるためには、堆積物トラップの素材が、例えば、アルミニウムなどの軽
量な部材であることが重要である。
限必要な洗浄作業を行う。最低限必要な洗浄場所は、例えば、ウエハ搬送用の開口部周辺
などである。その後、逆順に洗浄済の堆積物トラップのスワップキットを取り付け、直ち
に真空引きに入ることができる。これにより、洗浄作業を最低限の時間で行うことができ
る。このような手順で洗浄作業をすることは、洗浄時間を短縮するだけでなく、真空引き
に要する時間も短縮できる。なぜならば、最低限必要な時間だけ大気開放することで、真
空ない部品に吸着される大気中の水分を最低限にできる上に、最低限必要なだけの洗浄用
溶媒(純水やアルコールなど)を使用することで、真空容器内に残留する溶媒量を最低限
にできるからである。取り外した堆積物トラップ(1)(2)(3)は、洗浄した後に次
回の大気開放/洗浄作業用のスワップキットとして再利用する。堆積物トラップとしてス
ワップキット化するべき領域は図33に示す領域に限る必要は無い。プロセスや扱う材料
によって異なるが、堆積物が付着する全領域を堆積物トラップにすると効率的である。例
えば、電極カバーの上半分以上の領域にしか堆積物が付着し内場合は、電極カバーの上半
分をスワップキット化する。逆に、排気ダクトにまで堆積物が付着する条件では、排気ダ
クト内壁も堆積物トラップ領域とし、スワップキット化すると効率的になる。
1b 下アンテナ
2 真空処理室
3、32、32a マッチングボックス(整合器)
4 ガスリング
4a ガス供給管
5 載置台
6 プラズマ
7 排気装置
8 ファラデーシールド
9 試料保持部
10 高周波電源(第1の高周波電源)
11 基板バイアス電源(第2の高周波電源)
11a サセプタバイアス電源
12 ベルジャ
12a 弾性導電体
13 試料
14 スリット
15 フィルタ
16 検波器
17 増幅器
18 比較器
19 モータ制御器
20 本体装置制御部
21 ベルジャ抑え
22 防着板
23 ガス吹き出し口
24 フランジ
31 静電吸着用電源
33 コンデンサ
34 サセプタ
35 絶縁ベース
36 接地ベース
37 絶縁カバー
38 溶射膜
39 金属溶射膜
40 静電吸着・高周波バイアス印加用電極
41,42,43 鍔部導電用パターン
50 セラミック被覆
51 サセプタ金属溶射膜
52 減衰器及びフィルタ
53 検波器
54 増幅器
55 比較器
57 本体装置制御部
VC1,VC2,VC3 可変コンデンサ
Claims (5)
- 真空処理室内の下部に配置されその上面に試料が載置される載置台と、
真空処理室の上部を形成して前記載置台上方のプラズマ生成空間を覆うベルジャと、
前記ベルジャ外周に配置され前記真空処理室内の前記プラズマ生成空間にプラズマを生成するための高周波電界を供給するコイル状のアンテナと、前記アンテナとベルジャ間に配置するとともに高周波バイアス電圧が付与されるファラデーシールドと、
前記ベルジャ及びファラデーシールドの下端部下方で前記真空処理室を構成して配置された導体製のリング状部材と、
前記リング状部材及び前記ベルジャの内周側壁面をすき間を開けて覆って配置され所定の電位にされた導体製の板状部材とを備えたプラズマ処理装置。 - 請求項1に記載のプラズマ処理装置おいて、前記板状部材が前記ベルジャの内壁面と前記ファラデーシールドとの間の広い領域を覆うプラズマ処理装置。
- 請求項1または2に記載のプラズマ処理装置において、前記すき間が5mmから16mmの間の値にされたプラズマ処理装置。
- 請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマ処理装置において、前記板状部材が隣り合った前記ベルジャの下端部と前記リング状部材の上端部とを覆うプラズマ処理装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のプラズマ処理装置において、前記ファラデーシールドに高周波電圧を供給する高周波電源を備えたプラズマ処理装置。
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