JP2010161201A - 化学機械研磨用水系分散体およびそれを用いた化学機械研磨方法、化学機械研磨用水系分散体の製造方法 - Google Patents

化学機械研磨用水系分散体およびそれを用いた化学機械研磨方法、化学機械研磨用水系分散体の製造方法 Download PDF

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隆志 松田
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Abstract

【課題】二段研磨工程のうち第2研磨工程において、各種被研磨面を高速度で研磨することができ、十分に平坦化された精度の高い仕上げ面を得ることが出来るとともに、スクラッチや腐食の発生を抑制することが出来る化学機械研磨用水系分散体を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)マレイン酸と、(B)複素環化合物と、(C)砥粒と、を含有し、pH値は、2〜6であり、前記(A)成分の含有量(W)[質量%]と前記(B)成分の含有量(W)[質量%]との比率(W/W)は0.5〜6.5であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体装置の製造に用いる化学機械研磨用水系分散体(以下、「化学機械研磨用水系分散体」という。また、「水系分散体」と略記することもある。)に関する。
近年、配線の微細化による多層配線部分での信号遅延がULSIデバイスの高速化の障害となりつつある。信号遅延は、配線抵抗値と配線間容量に依存することから、より低抵抗な配線材料と低誘電率な層間絶縁膜材料の導入が進められている。配線材料では従来のAlに代わり、より低抵抗なCuの導入が本格化しており、配線プロセスも従来のAlギャップフィル法からCuダマシン法(以下、単に「ダマシン法」ともいう。)へと大きな変革が起きている。
ダマシン法の具体的手法の一つについて説明する。まず、低誘電率な層間絶縁膜の上にそれを保護するための層間絶縁膜(以下、「キャップ層」ともいう。)を設け、これらの絶縁膜に配線形成用溝を形成する。次いで、配線形成用溝に硬質のTa等の金属よりなるバリアメタル膜を形成し、さらにCu等の配線材料を堆積させて被処理体を得る。次いで、この被処理体の配線材料、バリアメタル膜およびキャップ層を化学機械研磨により除去することによって配線を形成する。通常、かかる被処理体の化学機械研磨では、多段階の研磨工程を要する。一般的には、第1研磨工程において主にCu等の配線材料を研磨し、第2研磨工程において主にバリアメタル膜やキャップ層を研磨する、二段階研磨法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、二段階研磨法における第2研磨工程では、以下のような問題点があった。上述した第2研磨工程で用いる化学機械研磨用水系分散体にベンゾトリアゾールなどの金属防食剤を添加して、金属の溶解速度(エッチング速度)を抑制し、金属配線部が過度に研磨されてしまうエロージョンを防ぐ技術が開示されている。しかしながら、金属防食剤を添加することで研磨速度が低下してしまうため、平滑性と高速研磨の両立が困難となる問題があった(例えば、特許文献2および3参照)。
以上のように、配線材料の腐食を防ぎつつ、配線材料、バリアメタル膜および層間絶縁膜に対する高研磨速度と高平坦化特性を同時に備えた化学機械研磨用水系分散体として未だ満足できるものがなく、その開発が求められていた。
特開2001−77062号公報 特開2006−287207号公報 特開2006−352096号公報
本発明の目的は、上記二段研磨工程のうち第2研磨工程において、各種被研磨面を高速度で研磨することができ、十分に平坦化された精度の高い仕上げ面を得ることが出来るとともに、スクラッチや腐食の発生を抑制することが出来る化学機械研磨用水系分散体を提供することにある。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、
(A)マレイン酸と、
(B)複素環化合物と、
(C)砥粒と、を含有し、
pH値は、2〜6であり、
前記(A)成分の含有量(W)[質量%]と前記(B)成分の含有量(W)[質量%]との比率(W/W)は0.5〜6.5であることを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(B)化合物は、含窒素複素環化合物であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記含窒素複素環化合物は、下記一般式(1)および(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物であることができる。
Figure 2010161201
(上記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルキレン基、カルボキシル基、またはRとRが互いに結合した5員または6員の縮合環を表す。)
Figure 2010161201
(上記一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルキレン基、カルボキシル基、または隣接したRとRが互いに結合した5員または6員の縮合環を表す。)
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記一般式(1)で示される化合物は、キノリン酸およびキナルジン酸から選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記一般式(2)で示される化合物は、ベンゾトリアゾールおよび5メチル−1H−ベンゾトリアゾールから選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(A)成分の含有量(W)[質量%]は、0.05質量%〜2質量%であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(C)砥粒は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアおよび有機無機複合粒子から選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、さらに、ポリ(メタ)アクリル酸を含有することができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記pH値は、水酸化カリウムまたはアンモニアを用いて調整することができる。
本発明に係る化学機械研磨方法は、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いて、金属膜、バリアメタル膜および絶縁膜から選択される少なくとも1種を有する半導体装置の被研磨面を研磨する。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体の製造方法は、(A)マレイン酸の含有量(W)[質量%]と(B)複素環化合物の含有量(W)[質量%]との比率(W/W)が0.5〜6.5になるように、少なくとも(A)マレイン酸と、(B)複素環化合物と、(C)砥粒と、水と、を混合する工程と、
水酸化カリウムまたはアンモニアを用いて、pH値を2〜6に調整する工程と、
を含む。
上記化学機械研磨用水系分散体によれば、第2研磨工程において各種被研磨面を高い効率で研磨することができ、十分に平坦化された精度の高い仕上げ面を得ることができるとともに、研磨後のスクラッチや腐食を抑制することができる。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変型例も含む。
1.化学機械研磨用水系分散体
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)マレイン酸と、(B)複素環化合物と、(C)砥粒と、を含有し、pH値は、2〜6であり、前記(A)成分の含有量(W)[質量%]と前記(B)成分の含有量(W)[質量%]との比率(W/W)は0.5〜6.5であることを特徴とする。
まず、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について、詳細に説明する。なお、以下(A)ないし(C)の各成分をそれぞれ(A)成分ないし(C)成分と省略して記載することがある。
1.1 (A)マレイン酸
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)マレイン酸を含有する。マレイン酸を添加することにより、第2研磨工程時にTa、TaN、Ti、TiN等からなるバリアメタル膜と配線部分との境界部において発生しやすい腐食を抑制することができると共に、バリアメタル膜に対する研磨速度を高めることができる。なお、無水マレイン酸は、水系分散体中に容易に溶解し加水分解されてマレイン酸を形成するため、常温で固体の無水マレイン酸を水系分散体中に添加してもよい。
マレイン酸は、概ね下記のようなメカニズムによって上記の効果を奏するものと推測される。マレイン酸は、二つのカルボキシル基がシス位に固定された有機酸である。二以上のカルボキシル基を有する有機酸は、Cu等の配線金属だけでなく、Ta、TaN、Ti、TiN等の安定な多価イオンを生成する金属種に対しても高い配位能力を有する。これは、マレイン酸の構造が炭素−炭素二重結合を軸とする回転ができないため、常に炭素−炭素二重結合に対して一方のみにカルボキシル基を有する形態(cis型)で存在しているからである。そのため、下記式(3)に示すように、金属原子に対してキレートを形成するように結合しやすいと考えられる。このように配位することにより、配線金属やバリアメタル膜の研磨により発生する多価イオンが安定化され金属塩の析出を抑制することで、バリアメタル膜と配線部分との境界部において発生しやすい腐食を抑制し高い平坦性を維持することができる。
Figure 2010161201
(但し、Mは、金属原子を表す。)
一方で、二以上のカルボキシル基を有する有機酸は、多価金属イオンの化学的エッチング性を高めることができるため、バリアメタル膜に対する研磨速度を促進させることができる。これに対して、一つのカルボキシル基を有するギ酸、酢酸、プロピオン酸等を添加しても上記のような多価金属への高い配位能力は期待できず、バリアメタル膜に対する研磨速度を高めることは困難である。
二以上のカルボキシル基を有する有機酸としては、例えばマロン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、クエン酸、フタル酸など、種々の化合物が知られているが、以下に説明するように、マレイン酸は複数個のカルボキシル基を有する点では他の化合物と共通するが、炭素−炭素二重結合を有している点で、他の化合物と作用効果の観点から極めて特異であると考えられる。
マレイン酸は、一段階目の酸解離指数(pKa1値)が1.75であり、二段階目の酸解離指数(pKa2値)は5.38である。この二つのpKa値の違いは、マレイン酸の有する二つのカルボキシル基が単独ではなく、相互作用していることを示しており、上記キレート配位性能の特異性を裏付けている。一方、例えば二以上のカルボキシル基を有する有機酸であるグルタル酸の一段階目の酸解離指数(pKa1値)は4.13、二段階目の酸解離指数(pKa2値)は5.03であり、二つのカルボキシル基の間に相互作用がないために一段階目と二段階目との酸解離指数には大きな差はない。
マレイン酸と同様に、カルボキシル基の間の2つの炭素原子の間に炭素−炭素二重結合が同じ方向(cis型)に2つ存在する形態として、例えばフタル酸が挙げられる。フタル酸の酸解離指数は、一段階目の酸解離指数(pKa1値)は2.95であり、二段階目の酸解離指数(pKa2値)は5.408である。しかしながら、pKa1値とpKa2値は、マレイン酸の酸解離指数と比較すると一段階目と二段階目との酸解離指数に大きな差は無い。そのため、マレイン酸と比較すると、金属キレートの安定化が良好ではない。このようなカルボキシル基の特性の違いの結果、マレイン酸を用いると金属キレートが安定化され、研磨液中にとけ込んだ金属キレート塩の析出が抑制され易く、これにより、被研磨面のスクラッチを防ぐことができる。
なお、一段階目の酸解離指数とは一個目のカルボキシル基の酸解離指数を示し、二段階目の酸解離指数とは二個目のカルボキシル基の酸解離指数を示す。
ここで、二個のカルボキシル基を有する有機酸では、一個目のカルボキシル基の酸解離指数(pKa1値)と、二個目のカルボキシル基の酸解離指数(pKa2値)との差を指標とする。また、三個以上のカルボキシル基を有する有機酸では、二個目のカルボキシル基の酸解離指数(pKa2値)と、三個目のカルボキシル基の酸解離指数(pKa3値)との差を指標とする。
マレイン酸のように酸解離指数の差が大きいと、研磨工程中における研磨用組成物中のpH変化を緩衝させて抑制することができ、本願発明に使用される前記(C)砥粒が、研磨工程中にpH変化により凝集することを抑制することができる。
前記(A)マレイン酸の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。(A)マレイン酸の含有量が上記範囲未満の場合には、金属配線上の腐食を抑制できず、配線金属の電気抵抗が上昇し、デバイスへ適用可能な良好な被研磨面が得られない場合がある。一方、前記(A)マレイン酸の含有量が上記範囲を超えると、後述する(C)砥粒の凝集を招き、スクラッチが増加するおそれがある。
1.2 (B)複素環化合物
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)複素環化合物を含有する。(B)複素環化合物は、含窒素複素環化合物であることが好ましい。含窒素複素環化合物は、Cu等の配線金属の研磨により水系分散体中に溶出された金属イオンと配位結合し、金属の析出を防ぐことができる。これにより、配線金属上のスクラッチ等の表面欠陥を抑制することができる。
(B)複素環化合物の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、特に好ましくは0.01〜0.3質量%である。(B)複素環化合物の含有量が上記範囲未満であると、Cu等の配線金属の過剰研磨により発生するディッシングが起きることがある。一方、(B)複素環化合物の含有量が上記範囲を超えると、十分な研磨速度を得られないことがある。
さらに、前記含窒素複素環化合物は、下記一般式(1)および(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
1.2.1 一般式(1)で示される化合物
Figure 2010161201
(上記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルキレン基、カルボキシル基、またはRとRが互いに結合した5員または6員の縮合環を表す。)
上記一般式(1)で示される化合物は、環状の窒素原子を介してCuイオンと配位結合を形成しやすく、CuおよびCuイオンとの親和性を高め、Cu等の配線材料の表面に吸着して適度に保護することができる。窒素原子の隣接位にカルボキシル基を有する含窒素複素環化合物は、さらにCuイオンと配位結合を形成しやすくなり、上記の効果が得られやすくなる。
上記一般式(1)で示される化合物としては、例えばキノリン酸、キナルジン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはキノリン酸、キナルジン酸である。
上記一般式(1)で示される化合物の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、特に好ましくは0.01〜0.3質量%である。上記一般式(1)で示される化合物の含有量が上記範囲未満であると、特にバリアメタル膜に対して十分な研磨速度が得られない場合があり、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合がある。一方、上記一般式(1)で示される化合物の含有量が上記範囲を超えると、Cu等の配線材料やバリアメタル膜の腐食が発生する場合がある。
1.2.2 一般式(2)で示される化合物
Figure 2010161201
(上記一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルキレン基、カルボキシル基、または隣接したRとRが互いに結合した5員または6員の縮合環を表す。)
上記一般式(2)で示される化合物は、配線金属と結合し金属錯体を形成し、配線金属の腐食を防止することができる。また、配線金属表面に金属錯体層を形成することで、エロージョンを防ぐことができる。
上記一般式(2)で示される化合物は、例えばベンゾトリアゾール、5メチル−1H−ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、4−カルボキシベンゾトリアゾールおよびその塩、7−カルボキシベンゾトリアゾールおよびその塩、ベンゾトリアゾールブチルエステル、1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−(2、3−ジヒドロキシプロピル)−ベンゾトリアゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−ベンゾトリアゾール、2−(ベンゾトリアジイル)−エタンスルホン酸およびその塩、1−(2−エチルヘキシルアミノメチル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらの中でも好ましくはベンゾトリアゾール、5メチル−1H−ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、4−カルボキシベンゾトリアゾールおよびその塩、7−カルボキシベンゾトリアゾールおよびその塩、ベンゾトリアゾールブチルエステル、1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、より好ましくはベンゾトリアゾールおよび5メチル−1H−ベンゾトリアゾールである。
上記一般式(2)で示される化合物の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対して好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、特に好ましくは0.01〜0.3質量%である。上記一般式(2)で示される化合物の含有量が上記範囲内にあると、良好な研磨速度および銅膜の良好な耐腐食性が達成できる。上記一般式(2)で示される化合物の含有量が上記範囲未満であると、銅膜が著しく研磨され、銅膜、バリアメタル膜および絶縁膜の平坦性が悪化する。一方、上記一般式(2)で示される化合物の含有量が上記範囲を超えると、特にバリアメタル膜に対して十分な研磨速度が得られず研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合があり、さらに銅膜、バリアメタル膜および絶縁膜の平坦性が悪化する。
1.3 (C)砥粒
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)砥粒を含有する。(C)砥粒は、好ましくは無機粒子、有機粒子および有機無機複合粒子から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは無機粒子および有機無機複合粒子から選択される少なくとも1種である。
無機粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア等が挙げられる。
シリカとしては、気相中で塩化ケイ素、塩化アルミニウム、塩化チタン等を酸素および水素と反応させるヒュームド法により合成されたシリカ、金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ、精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、精製により不純物を除去した無機コロイド法などにより合成されたコロイダルシリカが特に好ましい。コロイダルシリカは、被研磨面の平坦性を確保する観点から、平均粒子径100nm以下のものを好適に用いることができる。
有機粒子としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびスチレン系共重合体、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィンおよびオレフィン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂およびアクリル系共重合体等が挙げられる。
有機無機複合粒子は、上記の無機粒子および有機粒子が、化学機械研磨工程の際に容易に分離しない程度に一体に形成されていればよく、その種類、構成等は特に限定されない。この有機無機複合粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の重合体粒子の存在下、アルコキシシラン、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等を重縮合させ、重合体粒子の少なくとも表面に、ポリシロキサン等が結合されてなるものを使用することができる。なお、生成する重縮合体は、重合体粒子が有する官能基に直接結合されていてもよいし、シランカップリング剤等を介して結合されていてもよい。また、アルコキシシラン等に代えてシリカ粒子、アルミナ粒子等を用いることもできる。これらはポリシロキサン等と絡み合って保持されていてもよいし、それらが有するヒドロキシル基等の官能基により重合体粒子に化学的に結合されていてもよい。
また、上記有機無機複合粒子としては、符号の異なるゼータ電位を有する有機粒子と無機粒子とを含む水分散体において、これら粒子が静電力により結合されてなるものを使用することもできる。有機粒子のゼータ電位は、全pH域、または低pH域を除く広範な領域に渡って負であることが多いが、カルボキシル基、スルホン酸基等を有する有機粒子とすることによって、より確実に負のゼータ電位を有する有機粒子とすることができる。また、アミノ基等を有する有機粒子とすることにより、特定のpH域において正のゼータ電位を有する有機粒子とすることもできる。一方、無機粒子のゼータ電位はpH依存性が高く、この電位が0となる等電点を有し、その前後でゼータ電位の符号が逆転する。したがって、特定の有機粒子と無機粒子とを組み合わせ、それらのゼータ電位が逆符号となるpH域で混合することによって、静電力により有機粒子と無機粒子とを一体に複合化することができる。また、混合時、ゼータ電位が同符号であっても、その後、pHを変化させ、ゼータ電位を逆符号とすることによって、有機粒子と無機粒子とを一体とすることもできる。
さらに、上記の有機無機複合粒子としては、静電力により一体に複合化された粒子の存在下、前記のようにアルコキシシラン、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等を重縮合させ、この粒子の少なくとも表面に、さらにポリシロキサン等が結合されて複合化されてなるものを使用することもできる。
(C)砥粒の平均粒子径は、好ましくは5〜1000nmであり、より好ましくは50〜500nmである。(C)砥粒の平均粒子径が5nm未満であると、十分な研磨速度が発現しないことがある。一方、(C)砥粒の平均粒子径が1000nmを超えると、粒子の凝集や沈降が生じやすくなる。なお、(C)砥粒の平均粒子径は、レーザー散乱回折型測定機により測定することができ、透過型電子顕微鏡によって個々の粒子を観察し累積粒子径と個数とから算出することもできる。
(C)砥粒の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対し、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜7質量%である。(C)砥粒の含有量が上記範囲未満であると、十分な研磨速度が得られない場合があり、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合がある。一方、(C)砥粒の含有量が上記範囲を超えると、コストが高くなるとともに、化学機械研磨用水系分散体の貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
(C)砥粒の形状は、球状であることが好ましい。ここで、「球状」とは、鋭角部分を有さない略球形のものを含み、必ずしも真球に近いものである必要はない。球状の砥粒を用いることにより、十分な研磨速度で研磨することができるとともに、被研磨面におけるスクラッチ等の発生も抑制できる。
1.4 含有比率(W/W
本実施形態に係る化学機械研磨用分散体における前記(A)成分の含有量(W)と前記(B)成分の含有量(W)との含有比率(W/W)は、0.5〜6.5であり、好ましくは0.5〜6である。含有比率(W/W)が上記範囲内であると、上述した第2研磨工程において被研磨面のスクラッチ抑制作用と金属配線上の腐食抑制作用との良好なバランスを図ることができる。含有比率(W/W)が上記範囲未満の場合には、金属配線上の腐食を抑制できないことがある。一方、含有比率(W/W)が上記範囲を超えると、金属配線の過剰研磨により発生するディッシングの抑制や、スクラッチの抑制が不十分となるおそれがある。
(A)成分と(B)成分の添加量をコントロールすることで、上述した第2研磨工程時にバリア膜と配線材料との境界部で発生しやすい腐食を抑制することができる。また、(A)成分の添加量の増大は、(C)成分の凝集を招き、被研磨面にスクラッチを発生させることがある。このように発生したスクラッチは、(B)成分の添加により形成された錯体層によって、効果的に抑制することができる。また、(A)成分と(B)成分の添加量をコントロールすることで、銅膜、バリアメタル膜および絶縁膜の平坦性を良好に保つことができる。
このように、(A)成分と(B)成分の添加量をコントロールすることで、ディッシング、スクラッチ、腐食等の表面欠陥を抑制することができ、平坦性を有した良好な被研磨面を得ることができる。
1.5 pH
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHの値は、2〜6であり、好ましくは2〜5である。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHが上記範囲内であることにより、研磨速度と良好な被研磨面とのバランスを図ることができる。pHの値が2未満であると、化学機械研磨用水系分散体の貯蔵時の安定性が悪くなったり、装置の配管等の腐食を引き起こしたりするため、実用上の取扱いが困難となる。また、pHの値が2未満であると、銅膜が著しく研磨され、銅膜、バリアメタル膜および絶縁膜の平坦性が悪化する。一方、pHの値が6よりも大きいと、特にバリアメタル膜に対して十分な研磨速度が得られず研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合があり、さらに銅膜、バリアメタル膜、絶縁膜の平坦性が悪化する。なお、上記pHの値は、25℃において測定された値である。
pHを調整するための手段としては、有機塩基、無機塩基、または無機酸、有機酸等のpH調整剤を添加することにより、pHを調整することができる。上記pH調整剤としては、有機塩基としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン等が挙げられる。無機塩基としては、アンモニア、水酸化カリウム等が挙げられる。無機酸としては、硝酸、硫酸等が挙げられる。有機酸としては、コハク酸、アジピン酸、フマル酸等が挙げられる。
1.6 酸化剤
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、酸化剤を含有することができる。酸化剤を含有することで、研磨速度をより大きく向上させることができる。酸化剤としては、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸化合物、重クロム酸カリウム等の重クロム酸化合物、ヨウ素酸カリウムなどのハロゲン酸化合物、硝酸、硝酸鉄等の硝酸化合物、過塩素酸などの過ハロゲン酸化合物、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、およびヘテロポリ酸等が挙げられる。これらの酸化剤のうち、分解生成物が無害である過酸化水素等の有機過酸化物または過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩がより好ましく、過酸化水素が特に好ましい。
酸化剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対し、好ましくは0.005〜5質量%であり、より好ましくは0.01〜3質量%であり、特に好ましくは0.05〜1質量%である。酸化剤の添加量が0.005質量%未満であると、化学的エッチングの効果が十分に得られないため、十分な研磨速度を得ることができず、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する。一方、酸化剤の添加量が5質量%を超えると、配線金属やバリアメタル膜の腐食を招くことがある。
なお、本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体において、酸化剤として過酸化水素を用いる場合、適当な多価金属イオンをさらに含有させてもよい。過酸化水素の存在下で多価金属イオンを含有させることにより、過酸化水素の酸化剤としての機能を促進させることができるとともに、研磨速度をより向上させることができる。
1.7 その他の添加剤
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上記した成分以外に、必要に応じてその他の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、水溶性高分子等が挙げられる。
1.7.1 界面活性剤
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられ、特にアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等を挙げることができる。カルボン酸塩としては、例えば脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等を挙げることができ、スルホン酸塩としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等を挙げることができ、硫酸エステル塩としては、例えば高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等を挙げることができ、リン酸エステル塩としては、例えばアルキルリン酸エステル塩などを挙げることができる。これらのうち、スルホン酸塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩が更に好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムが特に好ましく用いられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アセチレングリコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール等の非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
1.7.2 水溶性高分子
水溶性高分子としては、例えばポリ(メタ)アクリル酸を用いることができる。ポリ(メタ)アクリル酸は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定された、ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)が1000よりも大きく、好ましくは1万〜200万であり、より好ましくは20万〜150万であり、特に好ましくは50万〜130万である。重量平均分子量が上記範囲にあると、研磨摩擦を低減しつつ、絶縁膜の研磨速度を向上し、かつ金属膜ディッシングや微細配線部のエロージョンを抑制することができる。重量平均分子量が上記下限より小さいと研磨後の平坦化が悪化する恐れがある。また、重量平均分子量が大きすぎると水系分散体の安定性が悪くなったり、また、水系分散体の粘度が過度に上昇して、研磨液供給装置に負荷がかかる等の問題が生じることがある。
1.8 用途
本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、配線材料である銅膜、バリアメタル膜、および絶縁膜を同一条件により研磨した場合に、前記銅膜の研磨速度(RCu)と前記バリアメタル膜の研磨速度(RBM)との比(RCu/RBM)が0.6〜1.5であり、かつ、前記銅膜の研磨速度(RCu)と前記絶縁膜の研磨速度(RIn)との比(RCu/RIn)が0.5〜1.5であることを特徴とする。本実施形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上記のような特徴を有することから、ダマシン配線形成工程における第2研磨工程に用いることが望ましい。
銅膜の研磨速度(RCu)とバリアメタル膜の研磨速度(RBM)との比(RCu/RBM)は、0.6〜1.5であるが、好ましくは0.7〜1.5、より好ましくは0.8〜1.25である。この比(RCu/RBM)が0.6未満の場合、銅膜に対する研磨速度が不十分となる。例えば二段階研磨法における第1研磨工程において、絶縁膜上の配線用凹部以外の銅膜の除去が不完全であった場合、第2研磨工程において銅膜の不要部分の除去に長時間を要する。一方、比(RCu/RBM)が1.5を超える場合、銅膜が過度に研磨されるため、ディッシング発生の原因となり、良好なダマシン配線の形成ができないことがある。
銅膜の研磨速度(RCu)と絶縁膜の研磨速度(RIn)との比(RCu/RIn)は、0.5〜1.5であるが、好ましくは0.6〜1.5、より好ましくは0.7〜1.5である。この比(RCu/RIn)が0.5未満の場合、絶縁膜が過度に研磨され、良好なダマシン配線を形成することができない。一方、比(RCu/RIn)が1.5を超える場合、銅膜が過度に研磨されるため、ディッシング発生の原因となり、十分に平坦化された精度の高い仕上げ面とすることができない。
前記銅膜を形成する銅は、純銅だけでなく、銅−シリコン、銅−アルミニウム等の銅を95重量%以上含有する合金を含んでもよい。
前記バリアメタル膜を形成する金属は、タンタル、チタン等があり、またそれらの窒化物、酸化物であってもよい。窒化物として、例えば窒化タンタル、窒化チタン等がある。また、タンタルやチタンは、純タンタルや純チタンに限らず、例えばタンタル−ニオブ等の合金を含んでもよい。
バリアメタル膜は、タンタル、チタンなどのうちの1種のみにより形成されることが多いが、異なる材質、例えばタンタル膜と窒化タンタル膜の両方がバリアメタル膜として同一基板上に形成されていてもよい。
前記絶縁膜としては、SiO膜のほか、超LSIの性能向上を目的とした低誘電率の層間絶縁膜をも含んでもよい。低誘電率の層間絶縁膜としては、フッ素添加SiO(誘電率;約3.3〜3.5)、ポリイミド系樹脂(誘電率;約2.4〜3.6;日立化成工業社製、商品名「PIQ」;Allied Signal社製、商品名「BCB」等)、水素含有SOG(誘電率;約2.5〜3.5)、および有機SOG(誘電率;約2.9;日立化成工業社製、商品名「HSGR7」等)からなる層間絶縁膜が挙げられる。
前記「同一条件」とは、特定の形式の研磨装置を使用し、その定盤およびヘッドの回転数、研磨圧力、研磨時間、研磨パッドの種類、ならびに水系分散体の単位時間当たりの供給量を同一にすることを意味する。
前記研磨速度の「比」は、銅膜、バリアメタル膜、および絶縁膜を、上記の同一条件の下に別個に研磨し、各々の研磨速度の値から算出することができる。該研磨は、銅膜、バリアメタル膜、または絶縁膜を備えるウエハを用いて行うことができる。
2.化学機械研磨方法
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨方法について、以下詳細に説明する。
2.1 被処理体
図1は、本実施形態に係る化学機械研磨方法に用いられる被処理体を示す断面図である。
(1)まず、低誘電率絶縁膜10を塗布法またはプラズマCVD法により形成する。低誘電率絶縁膜10として、無機絶縁膜および有機絶縁膜が挙げられる。無機絶縁膜としては、例えば、SiOF膜(k=3.5〜3.7)、Si−H含有SiO膜(k=2.8〜3.0)などが挙げられる。有機絶縁膜としては、カーボン含有SiO膜(k=2.7〜2.9)、メチル基含有SiO膜(k=2.7〜2.9)、ポリイミド系膜(k=3.0〜3.5)、パリレン系膜(k=2.7〜3.0)、テフロン(登録商標)系膜(k=2.0〜2.4)、アモルファスカーボン(k=<2.5)などが挙げられる(上記のkは誘電率を表す。)。
(2)低誘電率絶縁膜10の上に、CVD法または熱酸化法を用いて絶縁膜20を形成する。絶縁膜20は、低誘電率絶縁膜10を保護するためのキャップ層としての役割を担う。絶縁膜20としては、例えば、TEOS膜等が挙げられる。
(3)低誘電率絶縁膜10および絶縁膜20を連通するようにエッチングして配線用凹部30を形成する。
(4)CVD法を用いて絶縁膜20の表面ならびに配線用凹部30の底部および内壁面を覆うようにバリアメタル膜40を形成する。バリアメタル膜40は、銅膜との接着性および銅膜に対する拡散バリア性に優れる観点から、TaまたはTaNであることが好ましい。
(5)バリアメタル膜40の上に銅を堆積させて銅膜50を形成することにより、被処理体100が得られる。
2.2 化学機械研磨方法
図2ないし図4は、本実施形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図である。本研磨工程では、主に銅膜を研磨する第1研磨工程と、不要な銅、バリアメタル膜および絶縁膜を研磨する第2研磨工程と、が行われる。
2.2.1 第1研磨工程
まず、被処理体100のバリアメタル膜40の上に堆積した銅膜50を除去するために、第1研磨工程用の化学機械研磨用水系分散体を用いて化学機械研磨を行う。図2に示すように、第1研磨工程では、バリアメタル膜40が表出した時点で化学機械研磨をストップさせてもよい。また、バリアメタル膜40が表出した時点で、第1研磨工程用の化学機械研磨用水系分散体から本発明に係る化学機械研磨用水系分散体に切り替えることにより、後述する第2研磨工程を連続的に行ってもよい。なお、第1研磨工程は、堆積させた銅膜50をバリアメタル膜40が露出する直前まで高速で研磨するバルク研磨工程と、バルク研磨工程において残留した銅膜50をバリアメタル膜40が露出するまで研磨するファイン研磨工程と、に分けて実施することができる。
2.2.2 第2研磨工程
次いで、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体を用いて、バリアメタル膜40および銅膜50を同時に化学機械研磨する。図3に示すように、絶縁膜20が表出した後も、なお引き続き化学機械研磨を進めて絶縁膜20を除去する。低誘電率絶縁膜10が表出した時点で化学機械研磨をストップさせることにより、図4に示すような半導体装置200が得られる。本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、絶縁膜20、バリアメタル膜40、銅膜50に対する研磨速度をほぼ同等とすることができるため、一工程で半導体装置を仕上げることができる。
2.2.3 研磨装置および研磨条件
本実施形態に係る化学機械研磨方法では、市販の化学機械研磨装置を用いることができる。市販の化学機械研磨装置として、例えば、荏原製作所社製、型式「EPO−112」、「EPO−222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」、「LGP−552」;アプライドマテリアル社製、型式「Mirra」等が挙げられる。
本実施形態に係る化学機械研磨方法では、第1研磨工程と第2研磨工程とを異なる研磨装置を用いて実施してもよいし、第1研磨工程と第2研磨工程とを同種の研磨装置を用いて実施してもよい。
また、複数の研磨パッドを備える研磨装置を使用する場合には、第1研磨工程と第2研磨工程とを異なる種類の研磨パッドを用いて研磨してもよいし、第1研磨工程と第2研磨工程とを同種の研磨パッドを用いて研磨してもよい。
なお、好ましい研磨条件としては、使用する化学機械研磨装置により適宜設定されるべきであるが、例えば化学機械研磨装置として「EPO−112」を使用する場合には下記の条件とすることができる。
・定盤回転数;好ましくは30〜200rpm、より好ましくは60〜150rpm
・ヘッド回転数;好ましくは30〜200rpm、より好ましくは60〜150rpm
・定盤回転数/ヘッド回転数比;好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.5
・研磨圧力;好ましくは50〜500gf/cm、より好ましくは100〜350gf/cm
・化学機械研磨用水系分散体供給速度;好ましくは50〜500mL/分、より好ましくは100〜300mL/分
3.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1 砥粒を含む水分散体の調製
3.1.1 コロイダルシリカ粒子を含む水分散体の調製
3.1.1a コロイダルシリカ粒子C1を含む水分散体の調製
濃度25質量%のアンモニア水75質量部、イオン交換水40質量部、エタノール165質量部およびテトラエトキシシラン15質量部をフラスコに仕込み、回転速度180rpmで攪拌しながら60℃に昇温した。温度を60℃に維持しながら2時間攪拌後、室温まで冷却することにより、コロイダルシリカ/アルコール分散体を得た。次いで、ロータリーエバポレータを用い、得られた分散体の温度を80℃に維持し、イオン交換水を添加しつつアルコール分を除去する操作を数回繰り返した。この操作により、コロイダルシリカ粒子C1を15質量%含む水分散体を調製した。この水分散体に含まれるコロイダルシリカ粒子C1の平均一次粒子径は15nmであり、平均二次粒子径は40nmであり、平均会合度は2.7であった。
3.1.1b コロイダルシリカ粒子C2ないしC4をそれぞれ含む水分散体の調製
濃度25質量%のアンモニア水、エタノールおよびテトラエトキシシランの使用量を表1に記載のとおりに変更したこと以外は、上記「3.1.1a コロイダルシリカ粒子C1を含む水分散体の調製」と同様の方法で、コロイダルシリカ粒子C2ないしC4を含む水分散体をそれぞれ調製した。
Figure 2010161201
3.1.2 有機無機複合粒子を含む水分散体の調製
3.1.2a 表面処理した有機粒子を含む水分散体の調製
メチルメタクリレ−ト90質量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステルM−90G」、#400)5質量部、4−ビニルピリジン5質量部、アゾ系重合開始剤(和光純薬工業(株)製、商品名「V50」)2質量部およびイオン交換水400質量部をフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、この温度で攪拌しつつ6時間重合させた。この反応混合物をイオン交換水で希釈することにより、アミノ基の陽イオンおよびポリエチレングリコール鎖を有する官能基を備えた平均粒子径150nmのポリメチルメタクリレート系粒子を10質量%含む水分散体を得た。なお、重合収率は95%であった。
この水分散体100質量部をフラスコに投入し、メチルトリメトキシシラン1質量部を添加し、40℃で2時間攪拌した。その後、1規定硝酸水溶液を添加してpHを2.0に調整することにより、表面処理した有機粒子を含む水分散体を得た。この水分散体に含まれる表面処理した有機粒子のゼータ電位は+17mVであった。
3.1.2b 無機粒子(コロイダルシリカ粒子)を含む水分散体の調製
コロイダルシリカ粒子(日産化学(株)製、商品名「スノーテックスO」、平均一次粒子径12nm)を水中に分散させ、これに1規定水酸化カリウム水溶液を添加してpHを調整することにより、コロイダルシリカ粒子を10質量%含有するpHが8.0の水分散体を得た。この水分散体に含まれるコロイダルシリカ粒子のゼータ電位は−40mVであった。
3.1.2c 有機無機複合粒子を含む水分散体の調製
上記「3.1.2a 表面処理した有機粒子を含む水分散体の調製」で調製した水分散体100質量部に、上記「3.1.2b 無機粒子(コロイダルシリカ粒子)を含む水分散体の調製」で調製した水分散体50質量部を攪拌しながら2時間かけて徐々に添加し、その後2時間攪拌することにより、ポリメチルメタクリレート系粒子にシリカ粒子が付着した粒子を含む水分散体を得た。次いで、得られた水分散体にビニルトリエトキシシラン2質量部を添加して1時間攪拌した後、テトラエトキシシラン1質量部を添加し、60℃に昇温させ、3時間攪拌を継続した後、室温まで冷却することにより、平均粒子径180nmの有機無機複合粒子を10質量%含有する水分散体を調製した。この水分散体に含有される有機無機複合粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ポリメチルメタクリレート系粒子の表面の80%にシリカ粒子が付着しているものであった。
3.2 第1研磨工程に使用する化学機械研磨用水系分散体S0の調製
ヒュームドシリカ粒子(日本アエロジル(株)製、商品名「アエロジル#90」、一次粒子径20nm、二次粒子径220nm)2kgを、超音波分散機を用いてイオン交換水6.7kg中に分散させた後、孔径5μmのフィルターによって濾過して、ヒュームドシリカ粒子を23.0質量%含有する水分散体を得た。次いで、ポリエチレン製の瓶に、上記水分散体を、シリカの質量に換算して1.2質量%に相当する量を投入し、これにキナルジン酸を0.5質量%相当量、サーフィノール465(商品名、三重結合を有する非イオン系界面活性剤、エアープロダクツジャパン(株)製)を0.05質量%相当量及び過硫酸アンモニウムを1.0質量%相当量添加し、更にイオン交換水を加えて希釈した後、十分に攪拌した。次いで、1規定水酸化カリウム水溶液によりpHを9.5に調整した後、孔径5μmのフィルターで濾過することにより、化学機械研磨用水系分散体S0を得た。
3.3 化学機械研磨用水系分散体S1〜S15の調製
コロイダルシリカ粒子C1を含む水分散体を、シリカに換算して4.5質量%に相当する量をポリエチレン製の瓶に投入し、これに(A)成分であるマレイン酸0.3質量%、(B)成分であるキノリン酸0.05質量%、キナルジン酸0.08質量%、およびベンゾトリアゾール0.2質量%、ポリ(メタ)アクリル酸0.23質量%、さらに水酸化カリウムを添加してpHを2.1に調整した。さらに35質量%過酸化水素水を過酸化水素に換算して0.3質量%に相当する量を添加し、15分間攪拌した。次いで、全構成成分の合計量が100質量%となるようにイオン換水を加えた後、孔径5μmのフィルターで濾過することにより、pHが2.1の化学機械研磨用水系分散体S1を得た。
化学機械研磨用水系分散体S2〜S15は、(A)〜(C)成分、ポリ(メタ)アクリル酸の添加量、pH調整剤として水酸化カリウムもしくはアンモニアを表2および表3に記載のとおり変更したこと以外は、上記化学機械研磨用水系分散体S1と同様にして調製した。
Figure 2010161201
Figure 2010161201
3.4 化学機械研磨用水系分散体S1〜S15の研磨性能の評価
3.4.1 パターンなし基板の研磨試験
化学機械研磨装置((株)荏原製作所製、型式「EPO112」)に多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース(株)製、品番「IC1000」)を装着し、化学機械研磨用水系分散体S1を供給しながら、下記の各種研磨速度測定用基板につき、下記研磨条件にて1分間化学機械研磨処理を行い、下記の手法によって研磨速度を算出した。
また、化学機械研磨用水系分散体S2〜S15についても上記と全く同様の操作を行い評価した。これらの結果を表2および表3に併せて示す。
(1)研磨速度測定用基板
・膜厚15,000オングストロームの銅膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板。
・膜厚2,000オングストロームの窒化タンタル膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板。
・膜厚10,000オングストロームのPETEOS膜が積層された8インチシリコン基板。
(2)研磨条件
・ヘッド回転数:133rpm
・ヘッド荷重:105gf/cm
・テーブル回転数:128rpm
・化学機械研磨用水系分散体の供給速度:200mL/分
なお、化学機械研磨用水系分散体の供給速度とは、全供給液の供給量の合計を単位時間当たりで割り付けた値をいう。
(3)研磨速度の算出方法
銅膜および窒化タンタル膜については、電気伝導式膜厚測定器(KLAテンコール社製、形式「オムニマップRS75」)を用いて、研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚及び研磨時間から研磨速度を算出した。
PETEOS膜については、光干渉式膜厚測定器(SENTEC社製、型式「FPT500」)を用いて研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から研磨速度を算出した。
ここで、各被研磨層の研磨速度がそれぞれ500オングストローム/分以上であり、かつ、銅膜に対する研磨速度と窒化タンタル膜に対する研磨速度との比(RCu/RTaN)が0.6〜1.5であり、かつ、銅膜に対する研磨速度とPETEOS膜に対する研磨速度との比(RCu/RTEOS)が0.5〜1.5である場合には、良好と判断し「○」と評価した。なお、研磨速度が500オングストローム/分未満の場合には実用上の研磨速度としては不十分であるので「×」と評価した。また、研磨速度の比が上記範囲から外れる場合には、被研磨面を十分に平坦化できないおそれがあるので「×」と評価した。
3.4.2 パターン付きウエハの研磨試験
化学機械研磨装置(荏原製作所社製、型式「EPO112」)に多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース社製、品番「IC1000」)を装着し、パターン付きウエハの化学機械研磨処理を上述した第1研磨工程の通り行った後、下記研磨条件にて、化学機械研磨用水系分散体S1を供給しながら第2研磨工程を行い、ディッシング、スクラッチ、腐食性の評価を行った。
また、化学機械研磨用水系分散体S2〜S15についても上記と全く同様の操作を行い評価した。これらの結果を表2および表3に併せて示す。
(1)パターン付きウエハ
・シリコン基板(SEMATECH社製、品番「854CMP101」)上に、各種のパターンからなる凹部を形成し、その上に窒化タンタル膜(厚さ250オングストローム)、銅シード膜(厚さ1,000オングストローム)及び銅メッキ膜(厚さ10,000オングストローム)を順次積層したもの。
(2)第1研磨工程の研磨条件
・化学機械研磨用水系分散体の種類:化学機械研磨用水分散体S0
・第1研磨用の化学機械研磨用水系分散体の供給速度:200mL/分
・ヘッド回転数:70rpm
・ヘッド荷重:250g/cm
・テーブル回転数:70rpm
・研磨時間:2.75分
(3)第2研磨工程の研磨条件
・化学機械研磨用水系分散体の種類:化学機械研磨用水系分散体S1〜S15
・化学機械研磨用水系分散体の供給速度:200mL/分
・ヘッド回転数:133rpm
・ヘッド荷重:105g/cm
・テーブル回転数:128rpm
・研磨時間:0.39分
なお、研磨時間は、下記式により算出した時間である。
研磨時間(分)={バリアメタル膜の厚さ(オングストローム)÷上記「3.4.1 パターンなし基板の研磨試験」で算出したバリアメタル膜(タンタル又は窒化タンタル)の研磨速度(オングストローム/分)}×1.5(分)
第2研磨工程終了後には、PETEOS膜の最上面より上にある余剰のバリアメタル膜がすべて除去され、PETEOS膜の上面が露出した状態にあるものと推定される。
(4)第2研磨工程後の平坦性の評価
第2研磨処理後のパターン付きウエハの被研磨面につき、高解像度プロファイラー(KLAテンコール社製、形式「HRP240ETCH」)を用いて、銅配線幅(ライン、L)/絶縁膜幅(スペース、S)がそれぞれ100μm/100μmの銅配線部分におけるディッシング量(nm)を測定し、平坦性の評価を行った。ここで、「ディッシング」とは、研磨後の被研磨面において、測定位置の銅配線を挟むPETEOS膜の上面と測定位置の銅配線の最低部位との高低差をいう。なお、ディッシング量は、銅配線上面が基準面(絶縁膜上面)よりも上に凸である場合はマイナスで表示した。ディッシング量は、0〜300nmであることが好ましく、0〜250nmであることがより好ましい。この結果を表2および表3に示す。平坦性の評価基準は、ディッシング量が0〜300nmの範囲内で良好として「○」と評価した。また、ディッシング量が0〜300nmの範囲から外れる場合には、被研磨面を十分に平坦化できないおそれがあるので「×」と評価した。
(5)第2研磨工程後のスクラッチの評価
光学顕微鏡を用いて、暗視野にて、銅配線部分について、領域120μm×120μmを単位領域としてランダムに200箇所観察し、スクラッチの発生している単位領域の数をスクラッチ数として測定した。この結果を表2および表3に示す。スクラッチ数の評価基準は、スクラッチ数0個で良好として「◎」、1〜2個で実用上問題なく使用できる範囲内として「○」、3〜4個実用上の許容限度の範囲内として「△」、5個以上で不良として「×」と評価した。
(6)第2研磨工程後の腐食の評価
光学式顕微鏡を用いて、暗視野にて、配線幅1μmの部分について、腐食により引き起こされる銅の変色の観察を行った。この結果を表2および表3に示す。腐食により引き起こされる銅の変色がなければ「○」、変色が確認された場合を「×」と評価した。
3.5 評価結果
実施例1〜8に係る化学機械研磨用水系分散体を用いた場合には、いずれも各被研磨面の研磨速度が500オングストローム/分以上であり、かつ、RCu/RTaNの値が0.6〜1.5の範囲内であり、かつ、RCu/RTEOSの値が0.5〜1.5の範囲内にあるため、Cu膜、TaN膜、およびPETEOS膜(以下、「三膜」ともいう。)の存在する被研磨面を、実用上実施できる速度で一工程の研磨ができることが示唆された。また、実施例1〜8に係る化学機械研磨用水系分散体を用いてパターン付きウエハを研磨した場合には、ディッシング、スクラッチ、腐食等の表面欠陥を抑制することができ、被研磨面の良好な平坦性を実現することができた。
比較例1に係る化学機械研磨用水系分散体S9は、(A)成分を含有していないため、含有比率(W/W)が0.5未満となる。そのため、パターン付きウエハを研磨した場合には、腐食が発生し、銅配線の電気抵抗が上昇し、デバイスへ適用可能な良好な被研磨面が得られなかった。
比較例2に係る化学機械研磨用水系分散体S10は、(B)成分を含有していない。したがって、Cu膜に対する研磨速度が著しく大きくなり、三膜の存在する被研磨面を一工程で研磨することは困難であることが示唆された。また、パターン付きウエハを研磨した場合には、(A)成分の作用によりディッシングおよび多数のスクラッチが発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例3に係る化学機械研磨用水系分散体S11は、含有比率(W/W)が0.5〜6.5の範囲内であるが、pHが7である。pHが6を超えると、各被研磨面の研磨速度が500オングストローム/分以下となり、実用上要求される研磨速度としては不十分であった。また、パターン付きウエハを研磨した場合には、ディッシングおよび腐食が発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例4に係る化学機械研磨用水系分散体S12は、含有比率(W/W)が0.5未満となる。そのため、パターン付きウエハを研磨した場合には、ディッシング、腐食およびスクラッチが発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例5に係る化学機械研磨用水系分散体S13は、含有比率(W/W)が6.5を超える値となる。したがって、研磨速度比(RCu/RTaN)および(RCu/RTEOS)が高くなり、三膜の存在する被研磨面を一工程で研磨することは困難であることが示唆された。また、パターン付きウエハを研磨した場合には、(A)成分の作用によりディッシングおよび多数のスクラッチが発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例6に係る化学機械研磨用水系分散体S14は、含有比率(W/W)が0.5〜6.5の範囲内であるが、pHが2以下である。したがって、Cu膜に対する研磨速度が著しく大きくなり、三膜の存在する被研磨面を一工程で研磨することは困難であることが示唆された。また、パターン付きウエハを研磨した場合には腐食が発生し、良好な被研磨面が得られなかった。さらに、pHの値が2未満であるため、装置の配管等の腐食を引き起こし、実用上の取扱いが困難となることが想定された。
比較例7に係る化学機械研磨用水系分散体S15は、含有比率(W/W)が6.5を超える値となる。また、(A)マレイン酸を多量に投入したため、(C)砥粒の凝集を招き、化学機械研磨用水系分散体として使用できなかった。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、Cu、Al、W、Ti、TiN、Ta、TaN、V、Mo、Ru、Zr、Mn、Ni、Fe、Ag、Mg、Mn、Si、これらの元素を含む積層構造、あるいは実質的にバリアメタルが存在しないような構造に対しても有効であると期待される。また、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、ほとんどの金属を研磨してダマシン配線を形成する際に同様の効果を発揮することが期待される。
本実施形態に係る化学機械研磨方法に用いられる被処理体を示す断面図である。 本実施形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図である。
10…低誘電率絶縁膜、20…絶縁膜、30…配線用凹部、40…バリアメタル膜、50…銅膜、100…被処理体、200…半導体装置

Claims (11)

  1. (A)マレイン酸と、
    (B)複素環化合物と、
    (C)砥粒と、を含有し、
    pH値は、2〜6であり、
    前記(A)成分の含有量(W)[質量%]と前記(B)成分の含有量(W)[質量%]との比率(W/W)は0.5〜6.5であることを特徴とする、化学機械研磨用水系分散体。
  2. 請求項1において、
    前記(B)化合物は、含窒素複素環化合物である、化学機械研磨用水系分散体。
  3. 請求項2において、
    前記含窒素複素環化合物は、下記一般式(1)および(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物である、化学機械研磨用水系分散体。
    Figure 2010161201
    (上記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルキレン基、カルボキシル基、またはRとRが互いに結合した5員または6員の縮合環を表す。)
    Figure 2010161201
    (上記一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルキレン基、カルボキシル基、または隣接したRとRが互いに結合した5員または6員の縮合環を表す。)
  4. 請求項3において、
    前記一般式(1)で示される化合物は、キノリン酸およびキナルジン酸から選択される少なくとも1種である、化学機械研磨用水系分散体。
  5. 請求項3において、
    前記一般式(2)で示される化合物は、ベンゾトリアゾールおよび5メチル−1H−ベンゾトリアゾールから選択される少なくとも1種である、化学機械研磨用水系分散体。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記(A)成分の含有量(W)[質量%]は、0.05質量%〜2質量%である、化学機械研磨用水系分散体。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記(C)砥粒は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアおよび有機無機複合粒子から選択される少なくとも1種である、化学機械研磨用水系分散体。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
    さらに、ポリ(メタ)アクリル酸を含有する、化学機械研磨用水系分散体。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
    前記pH値は、水酸化カリウムまたはアンモニアを用いて調整された、化学機械研磨用水系分散体。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、金属膜、バリアメタル膜および絶縁膜から選択される少なくとも1種を有する半導体装置の被研磨面を研磨する、化学機械研磨方法。
  11. (A)マレイン酸の含有量(W)[質量%]と(B)複素環化合物の含有量(W)[質量%]との比率(W/W)が0.5〜6.5になるように、少なくとも(A)マレイン酸と、(B)複素環化合物と、(C)砥粒と、水と、を混合する工程と、
    水酸化カリウムまたはアンモニアを用いて、pH値を2〜6に調整する工程と、
    を含む、化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
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