JP2010159842A - 磁気軸受 - Google Patents

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宰 堀内
Mitsuyoshi Nomura
光由 野村
Takahiro Kawashima
貴弘 川島
Takayuki Shibata
隆行 柴田
Yoshihiko Murakami
良彦 村上
Masami Masuda
正美 桝田
Masatoshi Sakurai
正俊 櫻井
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Abstract

【課題】工作機械の振動を低減して、工作機械の加工精度を向上させることができる磁気軸受を提供すること。
【解決手段】主軸2にラジアルロータ80及びアキシャルロータ90が取り付けられており、ラジアルロータ80及びアキシャルロータ90を浮遊状態に保持するXステータ81、Yステータ85及びZステータ91がケース6に取り付けられている。そのXステータ81、Yステータ85及びZステータ91は、それぞれX圧電素子84、Y圧電素子88及びZ圧電素子94を備えており、それら圧電素子は、制御装置7によって制御されることで伸縮される。その伸縮により、ラジアルロータ80及びアキシャルロータ90の浮遊位置が移動され、主軸2に取着されるエンドミルEがケース6に対して移動されるので、フライス盤100の振動を低減してフライス盤100の加工精度を向上させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁気軸受に関し、特に、工作機械の振動を低減して、工作機械の加工精度を向上させることができる磁気軸受に関するものである。
従来、磁気軸受は、回転子を浮遊保持している磁力を測定された回転子の変位量を基に制御することで、回転子を高精度な位置精度を有した状態に保持していた。例えば、特開2006−145011号公報には、主に、アキシャル変位センサ7及びラジアル変位センサ5a,5b,6a,6bから出力される変位信号に基づいてアキシャル磁石4a,4b及びラジアル磁石2a,2b,3a,3b(以下「磁石」と称す)の磁力を制御することで、その磁力の吸引によって回転体(回転子)1を非接触状態(浮遊状態)とすると共にアキシャル方向およびラジアル方向のそれぞれの目標浮上位置に保持する技術が開示されている(特許文献1)。
上述した磁気軸受を、例えば、エンドミル(工具)の回転でワークを加工するフライス盤(工作機械)に使用することも可能であり、エンドミル(工具)が取り付けられる主軸(回転子)と、フライス盤(工作機械)の本体に取り付けられるスピンドルヘッド(固定子)との間の軸受として用いることで、スピンドルヘッドに対するエンドミルの位置精度を向上させ、フライス盤による加工精度を向上させることができる。
特開2006−145011号公報(段落[0016]から段落[0020]、段落[0024]から段落[0027]及び図1参照)
しかしながら、上述した技術のように、フライス盤(工作機械)による加工では、テーブルの移動方向を変化させながらワークに加工を施すため、テーブルの移動方向を変化させる際の慣性力の反力により、フライス盤に振動が生じていた。そのため、振動の影響により、フライス盤(工作機械)の加工精度が悪化するという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、工作機械の振動を低減して、工作機械の加工精度を向上させることができる磁気軸受を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の磁気軸受は、工作機械に取り付けられる固定子と、工具が取り付けられる回転子と、その回転子に取り付けられ磁性材料または金属材料から構成されるロータと、そのロータとの間に隙間を有し前記固定子に取り付けられると共に磁性材料から構成されるステータとを備え、前記ステータから前記ロータへ作用する磁力により前記回転子を前記固定子に対して回転可能な浮遊状態で保持するものであって、前記ステータを前記固定子に対して移動させるリニヤアクチュエータを備えている。
請求項2記載の磁気軸受は、請求項1記載の磁気軸受において、前記リニヤアクチュエータが前記ステータと前記固定子とを連結すると共に伸縮自在に構成されている。
請求項3記載の磁気軸受は、請求項2記載の磁気軸受において、前記リニヤアクチュエータが電圧の印加によって伸縮される圧電素子にて構成されている。
請求項4記載の磁気軸受は、請求項2記載の磁気軸受において、前記リニヤアクチュエータが磁界の変化によって伸縮される磁歪素子にて構成されている。
請求項5記載の磁気軸受は、請求項1から4のいずれかに記載の磁気軸受において、前記リニヤアクチュエータが一対のラジアルアクチュエータを備え、前記ロータが前記回転子のラジアル方向に面した周面上に連続して形成されるラジアルロータを備え、前記ステータが前記回転子のラジアル方向で前記ラジアルロータを挟んで互いに対向して配設される一対のラジアルステータを備え、前記一対のラジアルアクチュエータが前記一対のラジアルステータと前記固定子との間にそれぞれ介在し、それら一対のラジアルアクチュエータの伸縮方向が互いに平行とされ、前記一対のラジアルアクチュエータの伸縮によって、前記一対のラジアルステータが前記固定子に対して移動される。
請求項6記載の磁気軸受は、請求項1から4のいずれかに記載の磁気軸受において、前記リニヤアクチュエータが一対のアキシャルアクチュエータを備え、前記ロータが前記回転子からその回転子のラジアル方向に張り出しつつ連続して形成されるアキシャルロータを備え、前記ステータが前記回転子のアキシャル方向で前記アキシャルロータを挟んで互いに対向して配設される一対のアキシャルステータを備え、前記一対のアキシャルアクチュエータが前記一対のアキシャルステータと前記固定子との間にそれぞれ介在し、それら一対のアキシャルアクチュエータの伸縮方向が互いに平行とされ、前記一対のアキシャルアクチュエータの伸縮によって、前記一対のアキシャルステータが前記固定子に対して移動される。
請求項1記載の磁気軸受によれば、ステータからロータへ作用する磁力により回転子が固定子に対して回転可能な浮遊状態で保持される。
ここで、請求項1記載の磁気軸受では、リニヤアクチュエータによって固定子に対してステータが移動されるので、慣性力の変化量を小さくできる。その結果、工作機械の振動を低減して、工作機械の加工精度を向上させることができるという効果がある。
即ち、ワークが固定される部材であるテーブルは、ワークを保持するためのバイスやテーブルを移動させるためのボールねじ機構が組み付けられ、また、ワークを載置するためにワークよりも大きさが大きいので質量が嵩み、移動方向を転換する際の時間あたりの慣性力の変化量が大きい。一方、回転子は、ワークを加工する工具が取り付けられるものであり、ワークが固定されるテーブルより大きさが小さいので質量が小さい。よって、移動方向を転換する際の回転子の時間あたりの慣性力の変化量は、テーブルの時間あたりの慣性力の変化量と比較して小さい。
そして、請求項1記載の磁気軸受によれば、リニヤアクチュエータによって固定子に対してステータが移動されるので、回転子に取り付けられる工具を工作機械に取り付けられる固定子に対して移動させることができ、工作機械に固定されたワークに加工を施すことができる。
そのため、回転子の移動方向を転換しつつワークを加工することができるので、テーブルの移動方向を転換しつつワークを加工する場合と比較して、移動方向を転換する際の慣性力の変化を小さく抑え、移動方向を転換する際の反力を小さく抑えることができる。その結果、工作機械の振動を低減して、工作機械の加工精度を向上させることができるという効果がある。
なお、例えば、時間あたりの慣性力の変化量を低減するために、テーブルの移動方向の転換の速度を遅くすることで、工作機械の振動を低減することができるが、この場合には、速度を遅くした分、ワークの加工に時間が掛かるという不具合がある。
これに対して、請求項1記載の磁気軸受によれば、回転子を固定子に対して移動させることができるので、移動方向を転換する際に生じる慣性力の変化量をテーブルの移動方向を転換させる場合に生じる慣性力の変化量よりも小さくすることができる。
そのため、移動方向の転換の速度を低減することなく、慣性力の変化量を低減することができるので、ワークの加工に掛かる時間を延ばすことなく、工作機械の振動を低減することができる。その結果、工作機械の加工精度を向上させると共にワークの加工時間の増加を防止することで、ワークの加工コストの上昇を抑えることができるという効果がある。
請求項2記載の磁気軸受では、請求項1記載の磁気軸受の奏する効果に加え、リニヤアクチュエータがステータと固定子とを連結すると共に伸縮自在に構成されているので、それら一対のリニヤアクチュエータが伸縮することで、回転子を固定子に対して移動させることができる。そのため、衝撃力の発生を抑制しつつ回転子の移動方向を転換することができる。その結果、工作機械の振動を低減して、工作機械の加工精度を向上させることができるという効果がある。
即ち、例えば、複数の機械要素が組み合わせられたテーブル送り装置によって移動される構成の場合、テーブルを往復移動させると、テーブル送り装置が備えるボールねじなどの機械要素間の隙間が広がったり詰まったりする過程で衝撃力が発生する。そのため、テーブルに振動が生じるので、テーブルに固定されたワークの位置ずれが生じたり、回転子が振動によって振れる。その結果、加工精度を確保することが困難となるという不具合がある。
これに対して、請求項2記載の発明によれば、リニヤアクチュエータの伸縮(1個の部材自身の伸縮)によって回転子が移動されるので、伸縮の過程において広がったり詰まったりする隙間がない。そのため、移動方向を転換する場合に衝撃力の発生を抑制することができる。その結果、工作機械の振動を低減して、工作機械の加工精度を向上させることができるという効果がある。
請求項3記載の磁気軸受では、請求項2記載の磁気軸受の奏する効果に加え、リニヤアクチュエータが圧電素子にて構成されているので、応答性が良いのに加え変位量を大きく設定することができる。即ち、圧電素子の変位量は、伸縮方向の圧電素子の長さに対する割合に対応するので、圧電素子の伸縮方向への長さを大きく設定することで。大きな変位量を得ることができる。その結果、様々な大きさの加工に対応することができるという効果がある。
請求項4記載の磁気軸受では、請求項2記載の磁気軸受の奏する効果に加え、リニヤアクチュエータが磁歪素子にて構成されているので、その磁歪素子に直接的に部品(電線)を接続することなく磁歪素子を伸縮させることができる。よって、磁歪素子が取り付けられる固定子の軽量化を図り、その重量分、磁気軸受の軽量化を図ることができるという効果がある。
請求項5記載の磁気軸受によれば、請求項1から4のいずれかに記載の磁気軸受の奏する効果に加え、一対のラジアルアクチュエータの伸縮方向が互いに平行とされ、それら一対のラジアルアクチュエータの内の一方または他方を伸ばし、他方または一方を縮めることで、それら一対のラジアルステータに挟まれるラジアルロータを固定子に対して回転子のラジアル方向へ移動させることができる。
よって、回転子に取り付けられる工具を工作機械に取り付けられる固定子に対して回転子のラジアル方向へ移動させることで、工作機械に固定されたワークにラジアル方向への加工を施すことができる。
例えば、一対のラジアルアクチュエータの内の一方または他方の伸び量をそれらラジアルアクチュエータの内の他方または一方の縮み量と同等とした場合には、一対のラジアルステータが固定子に対して移動される際に一対のラジアルステータの対向する間隔を一定に保つことができる。
一方、一対のラジアルステータの間隔が変化すると、ラジアルロータを浮遊状態にて保持するために一対のラジアルステータからラジアルロータへ作用する磁力を一対のラジアルステータの間隔に応じて調整する必要があり、ラジアルステータの磁力の制御が複雑化するという不具合がある。
これに対して、請求項5記載の磁気軸受によれば、一対のラジアルアクチュエータの内の一方または他方の伸び量をそれらラジアルアクチュエータの内の他方または一方の縮み量と同等とした場合には、一対のラジアルステータの対向する間隔を一定に保つことができるので、一対のラジアルステータからラジアルロータへ作用する磁力を一対のラジアルステータの間隔に応じて調整することを不要として、一対のラジアルステータからラジアルロータへ作用する磁力の制御を簡素化することができるという効果がある。
請求項6記載の磁気軸受によれば、請求項5記載の磁気軸受の奏する効果に加え、一対のアキシャルアクチュエータの伸縮方向が互いに平行とされているので、それら一対のアキシャルアクチュエータの内の一方または他方を伸ばし、他方または一方を縮めることで、それら一対のアキシャルステータに挟まれるアキシャルロータを固定子に対して回転子のアキシャル方向へ移動させることができる。
よって、回転子に取り付けられる工具を工作機械に取り付けられる固定子に対して回転子のアキシャル方向へ移動させることで、工作機械に固定されたワークにアキシャル方向への加工を施すことができる。
即ち、アキシャルロータ及びアキシャルステータがそれぞれ請求項5記載のラジアルロータおよびラジアルステータに対応し、アキシャルアクチュエータが請求項1記載のラジアルステータに対応しており、請求項5記載の回転子の移動方向に対して請求項6記載の回転子の移動方向が異なる構成とされている。
よって、請求項6記載の磁気軸受では、請求項5記載の磁気軸受において、一対のラジアルステータの対向する間隔を一定に保つことができることと同様に、一対のアキシャルステータの対向する間隔を一定に保つことができるので、一対のアキシャルステータからアキシャルロータへ作用する磁力を一対のアキシャルステータの間隔に応じて調整することを不要として、一対のアキシャルステータからアキシャルロータへ作用する磁力の制御を簡素化することができるという効果がある。
(a)は、本発明の一実施の形態における磁気軸受が組み込まれたフライス盤の斜視図であり、(b)は、フライス盤のスピンドルヘッドの側面図である。 スピンドルヘッドの構成を模式的に示した模式図である。 (a)は、図2のIII−III線におけるスピンドルヘッドの断面図であり、(b)は、図2のIII−III線におけるスピンドルヘッドの断面図である。 (a)は、図2のIVで示した部分を拡大して示したZステータの拡大図であり、(b)は、図2のIVで示した部分を拡大して示したZステータの拡大図である。 制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 (a)は、第1同時移動工程中において、第1流入通路及び2個の第1半円部の加工が終了した時点でのワークの上面図であり、(b)は、第1同時移動工程が終了した時点でのワークの上面図であり、(c)は、第2同時移動工程中において、集合部及び2個の第2半円部の加工が終了した時点でのワークの上面図であり、(d)は、第2同時移動工程が終了した時点での混合プレートの上面図である。 (a)は、第1エンドミル加工工程が終了した時点でのワークの上面図であり、(b)は、第1テーブル移動工程が終了した時点でのワークの上面図であり、(c)は、第2エンドミル加工工程が終了した時点でのワークの上面図であり、(d)は、第2テーブル移動工程が終了した時点でのワークの上面図であり、(e)は、第3エンドミル加工工程が終了してワークから形成された混合プレートの上面図である。 エンドミルによる流路の加工方法の一例を示した概略図であり、(a)は、エンドミルEで加工されているワークの上面図であり、(b)は、エンドミルEで加工されているワークWの矢印Y及び矢印Zを含んだ平面における断面図である。 (a)は、第1半円部及び第2半円部の外形の上面図であり、(b)は、図9(a)のIXbで示した部分を拡大して示した第1半円部の外形の拡大図であり、(c)は、第1半円部及び第2半円部の外形の上面図であり、(d)は、図9(c)のIXdで示した部分を拡大して示した第1半円部の外形の拡大図である。 (a)は、エンドミルによって一定幅の溝が加工された直後のワークの上面模式図であり、(b)は、エンドミルによって一定幅の溝が加工され所定時間放置された後のワークの上面模式図であり、(c)は、エンドミルによって加工方向に向かうほど幅が広くなる溝が加工された直後のワークの上面模式図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、磁気軸受1が組み込まれたフライス盤100の構成について説明する。図1(a)は、本発明の一実施の形態における磁気軸受1が組み込まれたフライス盤100の斜視図であり、図1(b)は、フライス盤100のスピンドルヘッド105の側面図である。
なお、図1に示す矢印X、矢印Y及び矢印Zは、フライス盤100の左右方向、前後方向および上下方向を示すと共に矢印X,Yは、磁気軸受1のラジアル方向を示し、矢印Zは、磁気軸受1のアキシャル方向を示している。また、図1(a)では、図面の簡素化のため、ワークWを固定するバイスを省略して図示している。
フライス盤100は、図1(a)及び図1(b)に示すように、被加工素材であるワークWに対して、フライス工具(エンドミルEなど)を回転させて平面や溝などの切削加工を行う工作機械であり、床面に載置されるベース101と、ワークWが固定されるテーブル102と、ベース101とテーブル102とを移動可能に接続するテーブル送り装置103と、ベース101から立設されるコラム104と、そのコラム104の上部に取り付けられエンドミルEを回転可能に保持するスピンドルヘッド105とを備えている。
本実施の形態におけるフライス盤100では、テーブル102へ固定されたワークWがテーブル送り装置103によって磁気軸受1のラジアル方向の内の互いに直交する2方向(図1(a)矢印X方向および図1(a)矢印Y方向)および磁気軸受1のアキシャル方向(図1(a)矢印Z方向)へ移動される。よって、ワークWが、磁気軸受1に保持されたエンドミルEに対して移動されることで、エンドミルEの回転によってワークWに切削加工が施される。
なお、磁気軸受1のラジアル方向とは、ケース6の軸芯T6に直交する平面上において軸芯T6から離間するすべての方向を示している。また、テーブル送り装置103は、テーブル102を移動させるモータとして構成されたXテーブル移動モータ103a(図5参照)、Yテーブル移動モータ103b(図5参照)及びZテーブル移動モータ103c(図5参照)を備えており、Xテーブル移動モータ103a、Yテーブル移動モータ103b及びZテーブル移動モータ103cは、それぞれテーブル102をフライス盤100の左右方向(図1(a)矢印X方向)、前後方向(図1(a)矢印Y方向)及び上下方向(図1(a)矢印Z方向)へ移動させる。それらモータを加工プログラム31b(図5参照)に従って制御装置7(図5参照)で制御することで、テーブル102の移動が自動化されている。
次いで、図2を参照して、スピンドルヘッド105の構成について説明する。図2は、スピンドルヘッド105の構成を模式的に示した模式図である。なお、図2では、図面の簡素化のために、アキシャル軸受9およびラジアル軸受8が取り付けられるケース6を2点鎖線にて図示している。また、図2に示す矢印X,Yは、磁気軸受1のラジアル方向を示し、矢印Zは、磁気軸受1のアキシャル方向を示している。
スピンドルヘッド105は、工具ホルダHを介してエンドミルEを回転可能に保持するためのものであり、図2に示すように、磁気軸受1と、主軸2と、モータ3と、一対の軸方向変位測定装置4と、一対の軸心振れ測定装置5と、ケース6とを備えている。
磁気軸受1は、後述する主軸2を非接触状態(浮遊保持状態)として軸支する軸受であり、図2に示すように、後述する主軸2の位置を磁気軸受1のアキシャル方向(図2矢印Z方向)において制御するアキシャル軸受9と、後述する主軸2の位置を磁気軸受1のラジアル方向において制御するラジアル軸受8とを備えている。なお、アキシャル軸受9及びラジアル軸受8の詳細構成については、図3及び図4を参照して後述する。
主軸2は、図2に示すように、略円柱形状に構成され端部に取着される工具ホルダHにてエンドミルEなどの切削工具を保持する軸であり、後述する磁気軸受1によって回転可能に軸支されると共に後述するモータ3の回転軸と一体に構成されている。
また、主軸2には、後述するラジアルロータ80及びアキシャルロータ90が圧入されており、主軸2は、ラジアルロータ80及びアキシャルロータ90と一体に構成されている。
モータ3は、電気が入力されることで回転力を出力する装置であり、主軸2に取着されたアーマチャと、後述するケース6に取着されたステータとから構成されている。
軸方向変位測定装置4は、主軸2のケース6に対する変位量を測定する測定装置であり、図2に示すように、レーザー光線を照射および受光するアキシャルヘッド部41と、そのアキシャルヘッド部41から照射されたレーザー光線を反射または吸収すると共に主軸2の外周面の周方向に連続して配設されるアキシャルスケール部42とを備えている。
そして、軸方向変位測定装置4は、アキシャルヘッド部41から照射されアキシャルスケール部42にて反射されるレーザー光線をアキシャルヘッド部41によって受光することで、アキシャルスケール部42のアキシャルヘッド部41に対する変位量を測定する。
ここで、アキシャルヘッド部41は、後述するケース6に取着され、アキシャルスケール部42は主軸2に取着されているので、主軸2のケース6に対する変位量を測定することができる。
なお、アキシャルスケール部42によって反射または吸収されるレーザー光線は、アキシャルスケール部42がアキシャルヘッド部41に対して磁気軸受1のアキシャル方向(図2矢印Z方向)へ変位した場合に変化するので、アキシャルヘッド部41及びアキシャルスケール部42によって、主軸2のケース6に対する磁気軸受1のアキシャル方向への変位量を測定することができる。
また、軸方向変位測定装置4は、図2に示すように、主軸2の両端(図2矢印Z方向両端)にそれぞれ1個ずつ配設されており、主軸2のアキシャル方向(図2矢印Z方向)に位置を違えた2箇所においてアキシャル方向の変位データを測定することができる。
よって、主軸2の温度が変化して、磁気軸受1のアキシャル方向(図2矢印Z方向)における主軸2の長さが変化した場合に、2箇所に配設された軸方向変位測定装置4の間の長さの変化量を検出することができる。
例えば、軸方向変位測定装置4を1個備える場合には、主軸2の軸方向変位測定装置4に対する磁気軸受1のアキシャル方向(図2矢印Z方向)への変位を測定することができるが、温度変化により主軸2の全長が伸縮されることで、主軸2に保持されたエンドミルEの加工先端部の位置が変位された場合には、その変位を測定することができない。
そして、温度変化による変位の分、ワークW(図1(a)参照)に対するエンドミルEの加工先端部の位置が変化されるので、磁気軸受1のアキシャル方向におけるフライス盤100(図1(a)参照)の加工精度が悪化するという不具合がある。
これに対して、本実施の形態では、軸方向変位測定装置4の間の長さの変化量を測定することができるので、その軸方向変位測定装置4の間の長さの変化量に基づいて、エンドミルEの加工先端部のアキシャル軸受9に対する変位量を算出し、その算出された変位量を基に、後述するアキシャル軸受9を制御することができる。
よって、主軸2の温度変化によりエンドミルEの加工先端位置が変化した場合でも、エンドミルEの加工先端をワークW(図1(a)参照)に対して精度良く位置させることができるので、フライス盤100(図1(a)参照)の加工精度の悪化を防止することができる。
その結果、によって主軸2のアキシャル方向の変位を精度よく測定することができる。その結果、主軸2のアキシャル方向の変位の測定データを基に後述するアキシャル軸受9を精度よく制御することができる。
軸心振れ測定装置5は、主軸2のケース6に対する変位量を測定する測定装置であり、軸方向変位測定装置4が主軸2のケース6に対する磁気軸受1のアキシャル方向(図2矢印Z方向)への変位量を測定するのに対し、主軸2のケース6に対する磁気軸受1のラジアル方向の内の直交する2方向(図2矢印X方向および図2矢印Y方向)への変位量を測定する。
また、軸心振れ測定装置5は、図2に示すように、レーザー光線を照射および受光するラジアルヘッド部51と、そのラジアルヘッド部51から照射されたレーザー光線を反射または吸収すると共に主軸2からフランジ状に張り出したラジアルスケール部52とを備えている。
なお、ラジアルヘッド部51及びラジアルスケール部52は、測定する方向が磁気軸受1のラジアル方向であり、アキシャルヘッド部41及びアキシャルスケール部42に対して測定方向が異なるが、測定方向に関する構成以外は同様とされている。
よって、軸方向変位測定装置4がアキシャル方向において主軸2のケース6に対する変位量を測定することができるように、軸心振れ測定装置5は、ラジアル方向において主軸2のケース6に対する変位量を測定することができる。
また、ラジアルヘッド部51の内の少なくとも2個が直交する2方向(図2矢印X,矢印Y方向)の変位を測定するように配設されているので、主軸2のアキシャル方向(図2矢印Z方向)に直交する仮想平面上において、直交する座標軸上に位置を記すことができる。よって、主軸2の軸芯が座標軸上で変位する量を測定することができる。その結果、主軸2のアキシャル方向に直交する仮想平面上の仮想点からの距離の変化を測定することができる。即ち、主軸2の軸芯T2の振れを測定することができる。
また、軸心振れ測定装置5が主軸2の両端にそれぞれ1個ずつ配設されており、主軸2の2箇所の径方向(図2矢印X,Y方向)の変位データを測定することができるので、主軸2の軸芯の傾きを測定することができる。
即ち、ラジアルヘッド部51によって、主軸2の軸芯の振れと主軸2の軸芯の傾きとを測定することができる。その結果、その測定データを基に後述する一対のラジアル軸受8を精度よく制御することができる。
例えば、軸心振れ測定装置5を1個備える場合には、主軸2の軸心振れ測定装置5に対する磁気軸受1のラジアル方向の内の直交する2方向(図2矢印X方向および図2矢印Y方向)への変位を測定することができるが、エンドミルEがワークW(図1(a)参照)に当接されることにより主軸2のホルダH側(図2右側)の端部に力が作用して主軸2が傾いた場合に、主軸2の傾きを測定することができない。
そのため、主軸2が傾いた場合には、その傾きの分、ワークW(図1(a)参照)に対するエンドミルEの加工先端部の位置が変化される。この場合、エンドミルEの加工先端部は、磁気軸受1のラジアル方向およびアキシャル方向の両方向に対して変位するので、磁気軸受1のラジアル方向およびアキシャル方向におけるフライス盤100(図1(a)参照)の加工精度が悪化するという不具合がある。
これに対して、本実施の形態では、主軸2の傾きを測定することができるので、その主軸2の傾きに基づいて、エンドミルEの加工先端部のラジアル軸受8及びアキシャル軸受9に対する変位量を算出し、その算出された変位量を基に、後述するラジアル軸受8及びアキシャル軸受9を制御することができる。
よって、エンドミルEがワークW(図1(a)参照)に当接されることにより主軸2が傾いてワークW(図1(a)参照)に対するエンドミルEの加工先端位置が変化した場合でも、エンドミルEの加工先端をワークW(図1(a)参照)に対して精度良く位置させることができるので、フライス盤100(図1(a)参照)の加工精度の悪化を防止することができる。
ケース6は、コラム104に取り付けられる部位であり、図2に示すように、円筒形状に構成されると共に内周面から内側に向けて張り出し互いに平行に配設される一対のフランジ部6aを備えている。また、フランジ部6aには、アキシャル軸受9のZステータ91が取り付けられている。
また、ケース6の内周面には、ラジアル軸受8、アキシャル軸受9、アキシャルヘッド部41及びラジアルヘッド部51が固定されている。よって、主軸2の位置は、ケース6を基準にして測定され、ケース6を基準に制御される。即ち、測定の基準となる部材と制御の基準となる部材とが同一の部材であるので、それら基準を別々の部材に設ける場合に比べて、主軸2のケース6に対する制御精度を高めることができる。
次いで、図3及び図4を参照して、ラジアル軸受8及びアキシャル軸受9の構成について説明する。図3(a)は、図2のIII−III線におけるスピンドルヘッド105の断面図であり、X圧電素子84に電圧が印加されておらず主軸2の軸芯T2がケース6の軸芯T6に一致した状態を示している。図3(b)は、図2のIII−III線におけるスピンドルヘッド105の断面図であり、X圧電素子84に電圧が印加されることで主軸2の軸芯T2がケース6の軸芯T6に対して一対のXステータ81の内の一方のXステータ81側(図3(a)矢印X方向上側)へ変位された状態を示している。
また、図4(a)は、図2のIVで示した部分を拡大して示したZステータ91の拡大図であり、Z圧電素子94に電圧が印加されておらず、主軸2のアキシャル方向(図4矢印Z方向)において、アキシャルロータ90がケース6から張り出した一対のフランジ部6aから等距離の位置に配設された状態を示している。
図4(b)は、図2のIVで示した部分を拡大して示したZステータの拡大図であり、Z圧電素子94に電圧が印加されアキシャルロータ90がケース6から張り出した一対のフランジ部6aの一方側(矢印Z方向左側)へ変位された状態を示している。
なお、図3及び図4に示す矢印X及び矢印Yは、主軸2のラジアル方向の内の直交する2方向を示し、矢印Zは、主軸2のアキシャル方向(軸芯T2方向)を示している。また、Y圧電素子88の伸縮量およびZ圧電素子94の伸縮量である寸法値β及びγは、理解を容易とするために、拡大して図示している。
上述したように、Y圧電素子88の伸縮量である寸法値βを拡大して図示しているので、図3(b)では、Yステータ85が伸縮されることで、ロータ80が一対のXステータ81の間からはみ出ているが、このロータ80のはみ出し量は、一対のYステータ85がロータ80を浮遊保持する制御をおこなう上で問題とならない量である。
ラジアル軸受8は、発生する磁界の強さを調整することで、主軸2のラジアル方向(例えば、図3矢印X方向または図3矢印Y方向)の浮遊位置を制御する軸受であり、図3(a)に示すように、ラジアルロータ80と、一対のXステータ81と、一対のYステータ85とを備えている。なお、Yステータ85は、Xステータ81に対して配設される位置が主軸2の周方向に90度だけ異なるが、X電磁石82に対応するY電磁石86、X永久磁石83に対応するY永久磁石87、及びX圧電素子84に対応するY圧電素子88を備えており、Xステータ81と同様に構成されているので、Xステータ81の構成を説明することで、Yステータ85の説明を省略する。
ラジアルロータ80は、図3(a)に示すように、リング状に構成される強磁性体であり、主軸2に外嵌されている。そのラジアルロータ80の軸芯は、主軸2の軸芯T2と同一位置に配設されている。即ち、ラジアルロータ80の軸芯を制御することは、主軸2の軸芯T2を制御することになるのである。
一対のXステータ81は、磁界を発生させてラジアルロータ80に磁力(吸引力)を作用させる部材であり、図3(a)に示すように、ケース6の内周面に取着されると共にラジアルロータ80のラジアル方向の両側(図3(a)矢印X方向両側)にそれぞれ配設されているので、ラジアルロータ80に対して互いに対向する向きの磁力(吸引力)が作用される。よって、それら磁力(吸引力)をバランスさせることでラジアルロータ80がケース6に対して浮遊保持される。
このXステータ81は、図3(a)に示すように、X電磁石82と、X永久磁石83と、X圧電素子84とを備えている。X電磁石82は、主軸2を浮遊保持するための磁力(吸引力)を発生させる磁界の一部を発生するものであり、電流が入力されることよって磁界を発生させると共にその電流の大きさによって磁界の強さを変化させる。
X永久磁石83は、定常的な磁力(吸引力)の発生のために定常的に磁界を発生させる部材である。よって、X電磁石82に流す電流を小さくすることができるので、X電磁石82への電流を制御する電気回路を小型化することができると共にX電磁石82の消費電力を小さく抑えることができる。なお、X永久磁石83の周面には、X電磁石82が巻き付けられており、X永久磁石83がX電磁石82の芯として利用されている。
X圧電素子84は、X電磁石82及びX永久磁石83のケース6に対する位置を変位させるためのものであり、電圧が印加されると変形される圧電体を複数枚重ねて構成されると共にX永久磁石83に取着されている。なお、X圧電素子84は、電圧が印加されると圧電体が重ねられた厚み方向に伸縮する。また、長さRは、所定の電圧が印加された状態でのX圧電素子84及びY圧電素子88の寸法値を示している。
上述したラジアル軸受8では、図3(b)に示すように、一対のYステータ85が備えるそれぞれのY圧電素子88に同じ大きさの電圧を印加して、それぞれのY圧電素子88の全長を同じ長さ寸法値である長さRとする。そして、一方(図3(a)下方)のY圧電素子88に印加された電圧の大きさを増加させることで一方のY圧電素子88の長さRを寸法値βだけ伸張させ、他方(図3(a)上方)のY圧電素子88に印加される電圧の大きさを一方のY圧電素子88に対して増加して印加された電圧の大きさ分だけ減少させることで、他方のY圧電素子88の長さRを寸法値βだけ短縮させる。その結果、一対のY電磁石86の間の距離Lを変えること無くラジアルロータ80をケース6に対して一対のYステータ85を結んだ方向(図3矢印Y方向)へ変位させることができる。
即ち、一対のX永久磁石83の間の距離Lを変えること無く、主軸2の軸芯T2をケース6の軸芯T6に対して一対のY圧電素子88を結んだ方向(図3矢印Y方向上)に変位させることができる。その結果、エンドミルE(図2参照)をケース6に対して一対のY圧電素子88を結んだ方向に変位させることができる。
また、上述した軸心振れ測定装置5(図2参照)によって測定される主軸2のケース6に対する変位量に基づいて、Xステータ81及びYステータ85により発生される磁力(吸引力)が調整されているので、主軸2の軸芯T2の浮遊位置を磁気軸受1のラジアル方向(図3紙面と一致する平面上における方向)において、ケース6に対して精度良く合わせることができる。
アキシャル軸受9は、発生する磁界の強さを調整することで、主軸2のアキシャル方向(例えば、図4矢印Z方向)の浮遊位置を制御する軸受であり、図4(a)に示すように、アキシャルロータ90と、二対のZステータ91(図2参照)とを備えている。
なお、Xステータ81が磁気軸受1(図2参照)のラジアル方向に向いて配設されているのに対し、Zステータ91は、磁気軸受1(図2参照)のアキシャル方向に向いて配設されているが、X電磁石82に対応するZ電磁石92、X永久磁石83に対応する永久磁石93、及びX圧電素子84に対応するZ圧電素子94を備えており、Xステータ81と同様に構成されているので、上述したXステータ81の構成の説明をもって、Zステータ91の説明とする。また、長さAは、所定の電圧が印加された状態でのZ圧電素子94の寸法値を示している。
アキシャルロータ90は、リング状に構成され、主軸2に外嵌される強磁性体である。二対のZステータ91は、主軸2を挟んで両側(図1矢印X方向両側)に配設される。各一対のZステータ91は、アキシャルロータ90の両側(図4(a)矢印Z方向両側)にそれぞれ配設される電磁石であり、それぞれのZステータ91から発生される磁力(吸引力)により、アキシャルロータ90の位置を制御する。よって、主軸2のアキシャル方向(図1矢印Z方向)の位置が制御される。
一対のZステータ91は、磁界を発生させてアキシャルロータ90に磁力(吸引力)を作用させる部材であり、図4(a)に示すように、ケース6のフランジ部6aに取着されると共にアキシャルロータ90のアキシャル方向の両側(図4(a)矢印Z方向両側)にそれぞれ配設されているので、アキシャルロータ90に対して互いに対向する向きの磁力(吸引力)が作用される。よって、それら磁力(吸引力)をバランスさせることでアキシャルロータ90がケース6に対して浮遊保持される。
上述したアキシャル軸受9では、図4(b)に示すように、一対のZステータ91の内の一方(図4(a)右)のZ圧電素子94に電圧を印加して、そのZ圧電素子94の長さを寸法値γだけ伸張させ、その長さが伸張された分、他方(図4(a)左)のZ圧電素子94の長さを寸法値γだけ短縮させることで、一対の永久磁石93の間の距離Sを変えること無くアキシャルロータ90をケース6に対して一対のZステータ91を結んだ方向(図4(b)矢印Z方向)へ変位させることができる。
即ち、一対の永久磁石93の間の距離Sを変えること無く、主軸2を一対のZ圧電素子94を結んだ方向(図4(b)矢印Z方向)に変位させることができる。その結果、エンドミルE(図2参照)をケース6に対して一対のZ圧電素子94を結んだ方向(図4(b)矢印Z方向)に変位させることができる。
また、上述した軸心振れ測定装置5(図2参照)によって測定される主軸2のケース6に対する変位量に基づいて、Zステータ91により発生される磁力(吸引力)が調整されているので、主軸2に保持されるエンドミルEの加工先端部の位置を磁気軸受1のアキシャル方向(図4矢印Z方向)において、ケース6に対して精度良く合わせることができる。
次に、図5を参照して、フライス盤100を制御する制御装置7の構成を説明する。図5は、制御装置7の電気的構成を示すブロック図である。
制御装置7は、演算装置であるCPU30と、そのCPU30により実行される各種制御プログラムや固定データを記録したROM31と、各種データ等を一時的に格納するためのメモリであるRAM32とを備えている。これらCPU30、ROM31及びRAM32は、バスライン33を介して互いに接続されており、バスライン33は、入出力ポート34にも接続されている。
ROM31には、主軸2(図2参照)の回転中心位置を制御する軸芯制御プログラム31aが格納されると共に、主軸2及びテーブル102を相対移動させてエンドミルEにてワークWに加工を施す加工プログラム31bが格納されている。
RAM32は、ラジアルヘッド部51にて測定された主軸2(図2参照)の基準位置に対する変位量を格納するためのラジアルメモリ32aと、アキシャルヘッド部41にて測定された主軸2の基準位置に対する変位量を格納するためのアキシャルメモリ32bと、テーブル102(図1(a)参照)の移動目標とされる座標データであるテーブル座標データを格納するためのテーブル座標メモリ32cと、主軸2の移動目標とされる座標データであるエンドミル加工先端部座標データを格納するためのエンドミル加工先端部座標メモリ32dとを備えている。なお、上述した基準位置とは、主軸2の測定開始前に行われる初期化動作によって確定される座標値である。
軸芯制御プログラム31aは、ラジアルメモリ32a及びアキシャルメモリ32bに格納された主軸2(図2参照)の変位量を基にX電磁石82、Y電磁石86及びZ電磁石92へ出力する電流を調整することで、主軸2の変位量を所定の範囲に収束させるプログラムであり、主軸2の変位量を所定の範囲に収束させることで、工具ホルダH(図2参照)を介して取り付けられるエンドミルE(図2参照)の回転中心を所定の範囲に収束させることができる。
加工プログラム31bは、テーブル102及び主軸2を移動させるプログラムである。この加工プロブラムは、テーブル102を移動させるために、テーブル座標メモリ32cに格納されたテーブル座標データを基にXテーブル移動モータ103a、Yテーブル移動モータ103b及びZテーブル移動モータ103cへ出力する電流を調整する。
したがって、上述したように、Xテーブル移動モータ103aの駆動によりテーブル102がフライス盤100の左右方向(図1(a)矢印X方向)へ移動され、Yテーブル移動モータ103bの駆動によりテーブル102がフライス盤100の前後方向(図1(a)矢印Y方向)へ移動され、Zテーブル移動モータ103cの駆動によりテーブル102がフライス盤100の上下方向(図1(a)矢印Z方向)へ移動される。その結果、テーブル座標データに基づいてテーブル102が移動される。
また、この加工プログラム31bは、主軸2(図3(b)参照)を移動させるために、エンドミル加工先端部座標メモリ32dに格納されたエンドミル加工先端部座標データを基にX圧電素子84(図3(b)参照)、Y圧電素子88(図3(b)参照)及びZ圧電素子94(図3(b)参照)へ印加される電圧を調整する。
この場合、例えば、上述したように、一対のXステータ81が備える一方または他方のX圧電素子84を伸ばし、その分、他方または一方のX圧電素子84を縮めるので、一方または他方のX圧電素子84に印加される電圧を増加させると、その増加した電圧分、他方または一方のX圧電素子84では印加される電圧を減少させる。
なお、圧電素子の伸縮量と印加電圧との関係には、ばらつきが生じるので、さらに高精度に主軸2を動かす場合には、一方または他方のX圧電素子84の伸び量と他方または一方のX圧電素子84の縮み量とを同等とするために、印加電圧に対する一方または他方のX圧電素子84の伸び量と他方または一方のX圧電素子84の縮み量とを測定して、その測定値に基づいて、一方のX圧電素子84と他方のX圧電素子84とに印加する電圧を調整すると良い。
また、加工プログラム31bは、Y圧電素子88及びZ圧電素子94に関しても同様に印加する電圧を調整することができる。X電磁石82及びY電磁石86は、ラジアルロータ80(図2参照)に作用する磁界の大きさを調整し、Z電磁石92はアキシャルロータ90(図2参照)に作用する磁界の大きさを調整する。
そのため、ラジアルロータ80(図2参照)及びアキシャルロータ90(図2参照)が取り付けられた主軸2のケース6(図2参照)に対する位置が磁気軸受1(図2参照)のラジアル方向および磁気軸受1(図2参照)のアキシャル方向において、エンドミル加工先端部座標データに基づいて調整される。
また、入出力ポート34には、図5に示すように、測定値を電気信号として出力する電気回路を備えたラジアルヘッド部51及びアキシャルヘッド部41が接続されている。
X電磁石82、Y電磁石86及びZ電磁石92は、上述したように、発生される磁界が電流によって調整可能とされる電磁石であり、CPU30からの命令に基づいて電流を制御する制御回路(図示せず)を備えている。
X圧電素子84、Y圧電素子88及びZ圧電素子94は、上述したように、印加される電圧によって伸縮される圧電素子であり、CPU30からの命令に基づいて電圧を制御する制御回路(図示せず)を備えている。
Xテーブル移動モータ103a、Yテーブル移動モータ103b及びZテーブル移動モータ103cは、上述したように、テーブル102(図1(a)参照)を移動するためのモータであり、それらモータは、CPU30からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)を主に備えている。
これらX電磁石82、Y電磁石86、Z電磁石92、X圧電素子84、Y圧電素子88、Z圧電素子94、Xテーブル移動モータ103a、Yテーブル移動モータ103b及びZテーブル移動モータ103cは、入出力ポート34に接続されている。
CPU30は、ラジアルヘッド部51にて測定された主軸2(図2参照)の基準位置に対する変位量(主軸2のラジアル方向の直交する2方向)をラジアルメモリ32aに格納し、その変位量に基づいて軸芯制御プログラム31aによって算出された電流値と同等の大きさの電流を、X電磁石82及びY電磁石86へそれぞれ出力する。同様に、アキシャルヘッド部41にて測定された変位量(主軸2のアキシャル方向)に基づいてZ電磁石92へ電流が出力される。
よって、主軸2の変位量を所定の範囲に収束させることで、工具ホルダH(図2参照)を介して取り付けられるエンドミルE(図2参照)の回転中心を所定の範囲に収束させることができる。
また、CPU30は、テーブル座標メモリ32c及びエンドミル加工先端部座標メモリ32dに格納されたテーブル座標データ及びエンドミル加工先端部座標データを基に加工プログラム31bによって算出された電圧値と同等の大きさの電圧を、X圧電素子84、Y圧電素子88及びZ圧電素子94へ印加する。よって、主軸2をケース6に対して移動させることができる。
また、上述したように、一対のX圧電素子84(図4(a)参照)の伸び量と縮み量とを共にβ(図4(a)参照)としたので、一対のX電磁石82がケース6(図4(a)及び図4(b)参照)に対して移動される際に一対のX電磁石82が互いに対向する間隔である距離Lを一定に保つことができる。
例えば、一対のX電磁石82の間隔が変化すると、ラジアルロータ80を浮遊状態にて保持するために一対のX電磁石82からラジアルロータ80へ作用する磁力を一対のX電磁石82の間隔に応じて調整する必要があり、X電磁石82の磁力の制御が複雑化して、加工プログラム31bの作成に手間が掛かるという不具合がある。また、Y電磁石86についても同様に、間隔が変化すると加工プログラム31bの作成に手間が掛かるという不具合がある。
これに対して、本実施の形態におけるフライス盤100によれば、一対のX圧電素子84(図4(a)参照)の伸び量と縮み量とを共にβ(図4(a)参照)としたので、一対のX電磁石82の対向する間隔である距離L(図4(a)及び図4(b)参照)を一定に保つことができる。
よって、一対のX電磁石82からラジアルロータ80へ作用する磁力を一対のX電磁石82の間隔に応じて調整することを不要とすることができる。その結果、一対のX電磁石82からラジアルロータ80へ作用する磁力の制御を簡素化し、加工プログラム31bの作成の手間を省くことができる。また、Y電磁石86についても同様に、間隔を一定に保つことで加工プログラム31bの作成の手間を省くことができる。
次いで、図6、図7及び図8を参照して、血液と試薬とを混合するための混合流路を備えた混合プレート70の製造方法について説明する。図6及び図7は、ワークWに混合流路が加工され混合プレート70が製造される加工状態の遷移を示した状態遷移図であり、図6と図7とでは、異なる加工状態の遷移を示している。
図6(a)は、第1同時移動工程中において、第1流入通路71及び2個の第1半円部73の加工が終了した時点でのワークWの上面図であり、図6(b)は、第1同時移動工程が終了した時点でのワークWの上面図である。
また、図6(c)は、第2同時移動工程中において、集合部75及び2個の第2半円部74の加工が終了した時点でのワークWの上面図であり、図6(d)は、第2同時移動工程が終了した時点での混合プレート70の上面図である。
図7(a)は、第1エンドミル加工工程が終了した時点でのワークWの上面図であり、図7(b)は、第1テーブル移動工程が終了した時点でのワークWの上面図である。図7(c)は、第2エンドミル加工工程が終了した時点でのワークWの上面図であり、図7(d)は、第2テーブル移動工程が終了した時点でのワークWの上面図であり、図7(e)は、第3エンドミル加工工程が終了してワークWから形成された混合プレート70の上面図である。図8は、エンドミルEによる流路の加工方法の一例を示した概略図である。
なお、図6、図7及び図8に示す矢印X、矢印Y及び矢印Zは、フライス盤100(図1参照)の左右方向、前後方向および上下方向を示すと共に矢印X,Yは、磁気軸受1(図2参照)のラジアル方向を示し、矢印Zは、磁気軸受1のアキシャル方向を示している。
まず、図6(d)を参照して混合プレート70に加工される混合流路の構成について説明する。混合プレート70は、直線状に構成され血液が注入される第1流入通路71と、直線状に構成され試薬が注入される第2流入通路72と、半円状に構成される複数の第1半円部73と、半円状に構成される複数の第2半円部74と、第1半円部73及び第2半円部74を介して第1流入通路71及び第2流入通路72に接続される集合部75とを備え、第1半円部73と第2半円部74は互いの両側端部が連結されており、環状に構成されている。
即ち、混合プレート70は、血液と試薬とが注入される2本の流路と、それら2本の流路に接続され血液と試薬との混合を促進させる複数の環状流路が連結された流路と、その混合された血液と試薬との混合液を排出する1本の流路とを備えている。
例えば、従来品のように、テーブル102(図1(a)参照)を移動させてワークWに混合流路を加工して混合プレート70を製造する場合には、第1半円部73及び第2半円部74にて構成される環状の部位を混合流路が備えているため、テーブル102をフライス盤100の左右方向(図1矢印X方向)及びフライス盤100の前後方向(図1矢印Y方向)へ往復移動させる必要がある。
この場合、テーブル102(図1(a)参照)は、複数の機械要素が組み合わせられたテーブル送り装置103(図1(a)参照)によって移動される構成であるので、テーブル102をフライス盤100(図1(a)参照)の左右方向(図1(a)矢印X方向)又は、フライス盤100の前後方向(図1矢印Y方向)へ往復移動させると、それら機械要素間の隙間が広がったり詰まったりする過程で衝撃力が発生しテーブル102に振動が生じるので、ワークWの位置ずれが生じる。更に、エンドミルEの先端が振動によって振れてしまう。その結果、加工精度を確保することが困難となるという不具合がある。
これに対して、本実施の形態では、エンドミルEのケース6に対する移動が、X圧電素子84及びY圧電素子88の伸縮のみによって行われ、エンドミルEのケース6に対する移動に機械要素が関係していないので、その機械要素間の隙間が存在しない。そのため、エンドミルEをフライス盤100(図1(a)参照)の前後方向(図1矢印Y方向)又は、フライス盤100の左右方向(図1(a)矢印X方向)へ往復移動させた場合であっても、機械要素間の隙間が詰まることによる振動が生じない。その結果、フライス盤100の振動を低減して、フライス盤100の加工精度を向上させることができる。
また、ワークWが固定される部材であるテーブル102は、ワークWを保持するためのバイスやテーブル102を移動させるためのボールねじ機構が組み付けられ、また、ワークWを載置するためにワークWよりも大きさが大きいので質量が嵩み、移動方向を転換する際の時間あたりの慣性力の変化量が大きい。
そのため、移動方向を転換する際の反力が大きくなり、その反力によりテーブル102に振動が生じるので、ワークWの位置ずれが生じる。更に、エンドミルEの先端が振動によって振れてしまう。その結果、加工精度を確保することが困難となるという不具合がある。
一方、主軸2は、ワークWを加工するエンドミルEが取り付けられるものであり、ワークWが固定されるテーブル102より大きさが小さいので質量が小さい。よって、移動方向を転換する際の主軸2の時間あたりの慣性力の変化量は、テーブル102の時間あたりの慣性力の変化量と比較して小さい。
ここで、本実施の形態におけるフライス盤100では、X圧電素子84及びY圧電素子88を伸縮させることにより、主軸2をケース6に対して移動させることができるので、移動方向を転換する際に生じる慣性力の変化量をテーブル102の移動方向を転換させる場合に生じる慣性力の変化量よりも小さくすることができる。
よって、テーブル102の移動方向を転換しつつワークWを加工する場合と比較して、移動方向を転換する際の慣性力の変化を小さく抑え、移動方向を転換する際の反力を小さく抑えることができる。その結果、フライス盤100の振動を低減して、フライス盤100の加工精度を向上させることができる。
また、例えば、時間あたりの慣性力の変化量を低減するために、テーブル102の移動方向の転換の速度を遅くすることで、フライス盤100に生じる振動を低減することができるが、この場合には、速度を遅くした分、ワークWの加工に時間が掛かるという不具合がある。
これに対して、本実施の形態におけるフライス盤100では、テーブル102の移動方向を転換させる場合に生じる慣性力の変化量よりも小さくすることができるので、移動方向の転換の速度を低減することなく、慣性力の変化量を低減することができる。従って、ワークWの加工に掛かる時間を延ばすことなく、フライス盤100の振動を低減することができる。その結果、フライス盤100の加工精度を向上させると共にワークWの加工時間の増加を防止することで、ワークWの加工コストの上昇を抑えることができる。
ここで、混合プレート70の寸法値は、長さ寸法値である長さPL(図6左右方向寸法値)が約15mm、幅寸法値である幅PW(図6上下方向寸法値)が約80μmである。また、混合プレート70に加工を施すエンドミルEの移動量は、X圧電素子84及びY圧電素子88の伸縮量によって決まり、そのX圧電素子84及びY圧電素子88の伸縮量は、伸び約50μm、縮み約50μmの計約100μmである。そのため、エンドミルEのみを動かすだけでは、長さ約100μm、幅約100μmの領域しか加工できないので、混合プレート70の加工を行うことが困難である。
これに対して、本実施の形態では、例えば、環状分割式製造工程または環状一体式製造工程との2種類の製造方法によって混合プレート70を製造する。
まず、図6を参照して、環状分割式製造工程について説明する。環状分割式製造工程は、ワークWに混合流路を加工して混合プレート70を製造する製造工程であり、第1半円部73と第2半円部74とを別工程にて製造する。その環状分割式製造工程は、第1同時移動工程と、第2同時移動工程とを備えている。なお、エンドミルEの直径と混合流路の幅は同等の寸法値とされている。
第1同時移動工程では、図6(a)及び図6(b)に示すように、第1流入通路71と、複数の第1半円部73と、集合部75の一部とを加工して、その後、加工を中断する。
まず、図6(a)に示すように、エンドミルEをフライス盤100の前後方向(図6矢印Y方向)にのみ往復移動させ、テーブル102(図1(a)参照)をフライス盤100の左方向(図6矢印X方向左)に一定速度で移動させることで、第1流入通路71と第1半円部73とを加工する。
この場合、テーブル102が一定速度で一方向にのみ移動されているので、加工中にテーブル102に慣性力の変化が生じることと、機械要素の隙間の変化が生じることとを防止することができる。そして、上述した加工方向を維持しつつ、図6(b)に示すように、複数の連成された第1半円部73を加工し、その後、集合部75の一部を加工して一時加工を中断する。
次に、第1同時移動工程の後に、第2同時移動工程を行う。第2同時移動工程は、第1同時移動工程で加工されなかった集合部75の残りの部分と、複数の第2半円部74と、第2流入通路72とを加工する。
まず、図6(c)に示すように、テーブル102の移動方向を180度反対向きに変更した後に、エンドミルEを第1同時移動工程での加工と同様にフライス盤100の前後方向(図6矢印Y方向)にのみ往復移動させる。よって、第1同時移動工程と同様に加工中にテーブル102に慣性力の変化が生じることと、機械要素の隙間の変化が生じることとを防止することができる。
そして、テーブル102の移動状態を保持しつつ、図6(d)に示すように、複数の連成された第2半円部74を加工し、その後、第2流入通路72を加工することで、ワークWへの加工が終了し混合プレート70が製造される。
即ち、エンドミルEがワークW(図1(a)参照)を加工している状態において、テーブル102の動作に方向の変化および速度の変化を生じさせないので、フライス盤100の振動を低減して、フライス盤100の加工精度を向上させることができる。
次いで、図7を参照して、環状一体式製造工程について説明する。環状一体式製造工程は、ワークWに混合流路を加工して混合プレート70を製造する製造工程であり、第1半円部73と第2半円部74とを同一工程にて製造する。その環状一体式製造工程は、第1エンドミル加工工程と、第1テーブル移動工程と、第2エンドミル加工工程と、第2テーブル移動工程と、第3エンドミル加工工程とを備えている。
まず、第1エンドミル加工工程では、図7(a)に示すように、エンドミルEのみをワークWに対して移動させることで、第1流入通路71と、1個の第1半円部73と、1個の第2半円部74と、第2流入通路72とを加工する。
この場合、第1流入通路71と、1個の第1半円部73と、1個の第2半円部74と、第2流入通路72とが約100μm四方の領域に形成される(長さPL1=約90μm、幅PW=約80μm)ので、エンドミルEのみを移動させることで、加工することができる。
次いで、図7(b)に示すように、第1エンドミル加工工程が終了した後に第1テーブル移動工程にて、エンドミルEを加工方向側(図7(b)右側)の第2流入通路72及び第2半円部74の接続部位(第1半円部73及び第2半円部74の最右端部位)へ移動させる。
この場合、まず、エンドミルEをフライス盤100の上方向(図1(a)矢印Z方向上、図7(b)紙面垂直方向手前方向)へ移動させて、エンドミルEをワークWの上面よりも上側の位置に移動させる。次に、テーブル102(図1(a)参照)をフライス盤100の左方向(図1(a)矢印X方向左)へ移動させつつ、エンドミルEをフライス盤100の後方向(図1(a)矢印Y上方向)へ移動させる。よって、第1半円部73及び第2半円部74の最右端部位にエンドミルEが配置される。
そして、フライス盤100の上方向(図1(a)矢印Z方向上、図7(b)紙面垂直方向手前方向)へ移動させた分、フライス盤100の下方向(図1(a)矢印Z方向下、図7(b)紙面垂直方向奥方向)にエンドミルEを移動させる。その結果、加工された第1半円部73及び第2半円部74の内部にエンドミルEが再び配置される。
その後、第1テーブル移動工程が終了した後に、図7(c)に示すように、第2エンドミル加工工程にて、エンドミルEのみをワークWに対して移動させることで、1個の第1半円部73と、1個の第2半円部74とを加工する。
なお、第1半円部73及び第2半円部74の直径が長さPL2とされており、その長さPL2は、約50μmであるのに対して、エンドミルEが約100μmの移動が可能であるので、テーブル102(図1(a)参照)をエンドミルEと同時に動かすことなく、エンドミルEのみを動かすことで第1半円部73及び第2半円部74を加工することができる。
また、図7(d)に示すように、第2エンドミル加工工程が終了した後に第2テーブル移動工程にて、エンドミルEを加工方向側(図7(d)右側)の第2流入通路72及び第2半円部74の接続部位(第1半円部73及び第2半円部74の最右端部位)へ移動させる。
この場合、まず、エンドミルEをフライス盤100の上方向(図1(a)矢印Z方向上、図7(d)紙面垂直方向手前方向)へ移動させて、エンドミルEをワークWの上面よりも上側の位置に移動させる。次に、テーブル102(図1(a)参照)をフライス盤100の左方向(図1(a)矢印X方向左)へ移動させる。よって、第1半円部73及び第2半円部74の最右端部位にエンドミルEが配置される。
その後、フライス盤100の上方向(図1(a)矢印Z方向上、図7(d)紙面垂直方向手前方向)へ移動させた分、フライス盤100の下方向(図1(a)矢印Z方向下、図7(d)紙面垂直方向奥方向)にエンドミルEを移動させる。その結果、加工された第1半円部73及び第2半円部74の内部にエンドミルEが再び配置される。
上述した第2エンドミル加工工程および第2テーブル移動工程を繰り返して、所定の数の第1半円部73と第2半円部74とを形成した後に、第3エンドミル加工工程にて、集合部75が加工される。その結果、ワークWへの混合流路の加工が終了し混合プレート70が製造される。
即ち、エンドミルEがワークW(図1(a)参照)を加工している状態において、テーブル102(図1(a)参照)が停止状態(移動方向の変化および移動速度の変化が生じない状態)にあるので、フライス盤100の振動を低減して、フライス盤100の加工精度を向上させることができる。なお、環状一体式製造工程では、1個の第1半円部73と1個の第2半円部74とを連続して加工するので、環の形状を精度よく加工することができる。
次いで、図8を参照して、フライス盤100によるワークWへの溝加工の方法について説明する。図8(a)は、エンドミルEで加工されているワークWの上面図であり、図8(b)は、エンドミルEで加工されているワークWの矢印Y及び矢印Zを含んだ平面における断面図である。なお、図8(a)では、エンドミルEの回転中心の軌跡と、エンドミルEの軌跡の外形とを破線で示している。また、エンドミルEの回転中心は、磁気軸受1(図2参照)のアキシャル方向(図8(a)紙面垂直方向)に平行とされている。
本実施の形態におけるフライス盤100によれば、ラジアル軸受8(図2参照)のX圧電素子84(図2参照)及びY圧電素子88(図2参照)を伸縮させると共に磁気軸受1(図2参照)のアキシャル方向(図8(a)紙面垂直方向)に位置を違えて配設される一対のラジアル軸受8を互いに同様な変位量および変位方向となるように制御することで、図8(a)に示すように、テーブル102(図1(a)参照)の上下方向視(図1(a)矢印Z方向視)において、エンドミルE(図2参照)を磁気軸受1のアキシャル方向に直交する平面上に円を描く円運動をさせることができる。
図8(a)に示すように、エンドミルEを円運動させる場合には、例えば、まず、テーブル102(図1(a)参照)の左右方向(図1(a)矢印X方向)及び前後方向(図1(a)矢印Y方向)を含んだ平面(図8(a)紙面と同一平面)上に、テーブル102の左右方向の座標軸であるX座標軸(図8(a)左右方向座標軸)と、テーブル102の前後方向の座標軸であるY座標軸(図8(a)上下方向座標軸)とを仮想し、テーブル102(図1(a)参照)の上下方向視(図1(a)矢印Z方向視)におけるエンドミルEの位置を所定の点に対する座標値として表す。即ち、エンドミルEの座標値を(Xe,Ye)として表す。
上述したように、エンドミルEの座標値を設定すると、エンドミルE(図2参照)に半径rの円運動をさせる場合には、加工プログラム31bの演算結果に基づいてCPU30(図5参照)は、エンドミルEの座標値(Xe,Ye)が式1(Xe+Ye=r)の関係を保った状態を維持するように、複数のX圧電素子84(図5参照)及びY圧電素子88(図5参照)を独立してそれぞれ伸縮させる。
即ち、CPU30(図5参照)は、X圧電素子84(図4(a)参照)の伸縮量であるα(図示せず)と、Y圧電素子88(図4(a)参照)の伸縮量であるβ(図4(a)参照)とを式2(α+β=r)の関係を保った状態とするようにX圧電素子84及びY圧電素子88に入出力ポート34(図5参照)を介して電圧を印加することで、エンドミルEをケース6に対して円運動させることができる。
上述したように、エンドミルEをケース6に対して円運動させた状態で、ワークWをテーブル102(図1(a)参照)を一方向(図8(a)左方向)に移動させると、図8(a)に示すように、ワークWに溝Fが加工される。
この場合、溝Fの幅(図8(a)上下方向寸法値)は、エンドミルEが描く円運動の軌跡によって決定される。即ち、溝Fの幅は、X圧電素子84及びY圧電素子88の動きによって加工されるので、上述したように、テーブル102(図1(a)参照)の移動により加工される場合と比べて、機械要素間の隙間がない分、加工精度を確保することができる。
また、本実施の形態におけるフライス盤100(図1(a)参照)によれば、図8(b)に示すように、エンドミルEを傾けた状態で加工を行うことができる。フライス盤100の磁気軸受1は、その磁気軸受1(図2参照)のアキシャル方向(図2上下方向)に位置を違えて配設されるラジアル軸受8を一対備えている。
これらラジアル軸受8によるエンドミルEの変位方向を異なる方向とすることまたは、変位方向が同じであっても変位量が異なることで、エンドミルEを磁気軸受1(図2参照)のアキシャル方向(図2上下方向)に対して傾けることができる。よって、ワークWに対して、エンドミルEの回転軸を磁気軸受1のアキシャル方向に平行とした状態で、アキシャル軸受9によるエンドミルEの保持位置を磁気軸受1のアキシャル方向へ変位させて、ワークWの内部にエンドミルEを加工しつつ押し込んだ後に、エンドミルEの回転軸を磁気軸受1のアキシャル方向に対して傾けることで、図8(b)に示すように、エンドミルEによって溝の側壁を傾斜した状態に加工することができる。
さらに、その状態からエンドミルEの傾きを一定に保ったまま、アキシャル軸受9及びラジアル軸受8(図2参照)によりエンドミルEをワークW下面側(図8(b)Z方向下側)へ移動させつつフライス盤100(図1(a)参照)の前後方向(図8(b)Y方向)へ移動させると、図8(b)に示すように、溝の底面をフライス盤100(図1(a)参照)の前後方向(図8(b)Y方向)、即ち、溝幅方向(図8(b)Y方向)に傾斜した状態に加工することができる。
次いで、図9を参照して、混合プレートに形成される第1半円部273及び第2半円部274の加工方法および混合プレートに形成される第1半円部373及び第2半円部374について説明する。図9(a)は、第1半円部273及び第2半円部274の外形の上面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXbで示した部分を拡大して示した第1半円部273の外形の拡大図である。また、図9(c)は、第1半円部373及び第2半円部374の外形の上面図であり、図9(d)は、図9(c)のIXdで示した部分を拡大して示した第1半円部373の外形の拡大図である。
なお、図9(a)では、図面の簡略化のため、1個の第1半円部273及び第2半円部274のみを抽出して示し、図9(c)に関しても同様の理由で、1個の第1半円部373及び第2半円部374のみを示している。
また、図9に示す矢印X、矢印Y及び矢印Zは、フライス盤100(図1参照)の左右方向、前後方向および上下方向を示すと共に矢印X,Yは、磁気軸受1(図2参照)のラジアル方向を示し、矢印Zは、磁気軸受1のアキシャル方向を示している。
また、第2半円部274は、第1半円部273と向きが異なるのみで、形状は同一であるので、第1半円部273について説明し、第2半円部274についての説明を省略する。また、第2半円部374に関しても同様の理由で、第1半円部373について説明し、第2半円部374についての説明を省略する。
また、図9(b)及び図9(d)では、エンドミルEの回転軸の軌跡を断片的に抽出し破線で表している。よって、図9(b)及び図9(d)では、軌跡が断続的に示されているが、実際には連続している。
第1半円部273及び第1半円部373は、それぞれ図9(a)及び図9(c)に示すように、第1半円部273及び第1半円部373の径方向の寸法値である溝幅が拡大縮小された形状として構成されている。これら第1半円部273及び第1半円部373の形状は、溝幅が一定の第1半円部73(図6参照)の形状に比べて血液と試薬の混合の度合いを高めることができる。
しかしながら、上述したように、従来のように、テーブル102(図1(a)参照)を往復移動させることで、第1半円部273及び第1半円部373を加工するとフライス盤100(図1(a)参照)に振動が生じるので、加工精度の確保が困難であった。
これに対して、本実施の形態では、エンドミルEに円運動をさせて混合流路の加工を行うことができるので、第1半円部273及び第1半円部373のような複雑な形状であっても、上述したように、テーブル102(図1(a)参照)等の振動の影響を受けること無く精度よく加工することができる。特に、円運動しながら加工するので、第1半円部273及び第1半円部373の対向する側壁を交互に加工することになり、第1半円部273及び第1半円部373の一方の側壁をすべて加工したあとに一方に対向する他方の側壁を加工する場合と比べて、対向する側壁間の寸法の精度を確保することができる。
次いで、図10を参照してエンドミルEの制御方法について説明する。図10(a)は、エンドミルEによって一定幅の溝K1が加工された直後のワークWの上面模式図であり、図10(b)は、エンドミルEによって一定幅の溝K1が加工され所定時間放置された後のワークWの上面模式図であり、図10(c)は、エンドミルEによって加工方向に向かうほど幅が広くなる溝K2が加工された直後のワークWの上面模式図である。なお、理解を容易とするための、ワークWの形状変化(図10上下方向寸法変化)を拡大して示している。
なお、図10に示す矢印X、矢印Y及び矢印Zは、フライス盤100(図1参照)の左右方向、前後方向および上下方向を示すと共に矢印X,Yは、磁気軸受1(図2参照)のラジアル方向を示し、矢印Zは、磁気軸受1のアキシャル方向を示している。
エンドミルEの回転軸の位置を固定した状態でテーブル102(図1(a)参照)を移動させることで溝K1を切削加工すると、ワークWに温度分布(加工終了側ほど高温)が生じ、例えば、図10(a)に示すように、加工開始側(図10(a)左側)のワークWよりも、加工終了側(図10(a)右側)の膨張量が大きくなる。
また、ワークWがアルミニウムにて構成されエンドミルEが超硬合金や高速度工具鋼などで構成されている場合には、ワークWがエンドミルEよりも膨張係数が大きく、膨張する量が大きいので、ワークWがエンドミルEよりも大きく膨張される。
そのため、ワークWにエンドミルEの直径と同じ溝K1を加工した場合には、加工直後は、溝K1の加工終了側(図10(a)右側)の幅w2が溝K1の加工開始側(図10(a)左側)の幅w1よりも大きくなる(w1<w2)。しかしながら、加工後に所定の時間放置することでワークWの温度が均一な温度となると、図10(b)に示すように、加工終了側(図10(b)右側)の幅w4が加工開始側(図10(b)左側)の幅w3よりも狭くなる(w4<w3)。よって、エンドミルEの直径と同じ寸法の溝を加工する場合に、溝の幅寸法の精度を確保できないという不具合が生じる。
ここで、上記した膨張分を見越した形状に溝K1を加工して、温度が均一となった状態で一定幅の溝とすることが考えられる。例えば、従来品では、ワークWの膨張分だけ、テーブル102(図1(a)参照)を溝K1の幅方向(図10上下方向)へ往復移動させて、その膨張分を削り取る。
しかしながら、この場合、上述したように、テーブル102を移動させるためのボールねじなどの機械要素間の隙間が広がったり詰まったりするので、フライス盤100に振動が生じ、溝K1の幅方向の加工精度を確保することが困難となるという不具合がある。
また、上述したように、ワークWが固定される部材であるテーブル102(図1(a)参照)は、ワークWを保持するためのバイスやテーブル102を移動させるためのボールねじ機構が組み付けられ、また、ワークWを載置するためにワークWよりも大きさが大きいので質量が嵩み、移動方向を転換する際の時間あたりの慣性力の変化量が大きい。そのため、慣性力を変化させる際の反力によって振動が生じ、ワークWの位置ずれが生じる。更に、エンドミルEの先端が振動によって振れてしまう。その結果、溝K1の加工精度を確保することが困難となるという不具合がある。
これに対して本実施の形態におけるフライス盤100(図1(a)参照)では、上述したように、X圧電素子84及びY圧電素子88を伸縮させることで主軸2を移動させ、エンドミルEをケース6(図2参照)に対して移動させるので、エンドミルEがケース6に対して移動する際に変化する隙間がなく、衝撃力の発生を防止することができる。また、主軸2及びエンドミルEは、テーブル102(図1(a)参照)に比べて軽量であるので、その分、慣性力を変化させるための反力を小さくすることができる。その結果、ワークWの位置ずれを防止すると共にエンドミルEの先端の振れを防止して、溝K1の加工精度を確保することができる。
このように、エンドミルEを動かしてワークWを精度よく加工することができるので、溝K2の幅方向(図10(c)上下方向)へエンドミルEを往復させながら加工することができる。よって、ワークWの膨張分を削り取ることができる。
例えば、図10(c)に示すように、エンドミルEの回転中心を徐々に径の大きな円運動をさせることで、エンドミルEの外形が描く軌跡の直径を幅w5から幅w6まで拡大することができる。この場合、幅w6をワークWの膨張分を見越した寸法値とすることで、加工後に所定の時間放置することでワークWの温度が均一な温度となった状態において、溝K2の幅を一定の寸法値とすることができる。その結果、溝K2の幅寸法の加工精度を確保することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記実施の形態では、X圧電素子84及びY圧電素子88へ印加する電圧を調整することでエンドミルEをケース6に対して移動させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、更にX電磁石82及びY電磁石86に流す電流を調整することでエンドミルEをケース6に対して移動させても良い。
この場合、目標位置を変位させると、X電磁石82により発生される磁力(吸引力)が調整されて、主軸2の浮遊位置を調整することができる。よって、主軸2の浮遊位置が目標位置に追従される。
即ち、主軸2をケース6に対して移動させることができる。ここで、主軸2は、一対のX永久磁石83の間に配設されているので、それら一対のX電磁石82を結んだ方向(図3矢印X方向)においては、主軸2の動きが一対のX永久磁石83によって規制される。よって、主軸2の移動可能な最大の距離は、X永久磁石83の間の距離L(図3参照)からラジアルロータ80の直径D(図3参照)を差し引いた距離となる。
また、上述したように、Y電磁石86は、X電磁石82に対する配設位置がケース6の軸芯T6を中心として90度異なる以外の構成が同一である。そのため、同様の理由で主軸2の動きが一対のY永久磁石87によって規制されるので、一対のY永久磁石87の間の距離からラジアルロータ80の直径D(図3参照)を差し引いた距離となる。
よって、X電磁石82及びY電磁石86から発生される磁力を調整することで、主軸2の浮遊位置を制御して、一対のX永久磁石83の間および一対のY永久磁石87の間であれば、主軸2のラジアル方向への移動を制御することができる。
そのため、X電磁石82及びY電磁石86により、主軸2をケース6に対して移動させる分、主軸2のケース6に対する変位を大きくすることができる。その結果、エンドミルEでの加工範囲を拡大することができる。
上記実施の形態では、一方および他方のX圧電素子84に所定の電圧を印加し、その状態を図3(a)に示す基準状態とすると共に、一方のX圧電素子84の電圧を基準電圧から増加または減少させ、他方のX圧電素子84の電圧を基準電圧から減少または増加させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の駆動方法を採用しても良い。
例えば、一方および他方のX圧電素子84への印加を行わずに、その状態を図3(a)に示す基準状態して、一方および他方のX圧電素子84へ正負逆の電圧を印加するようにしても良い。なお、Y圧電素子88についても同様である。
上記実施の形態では、図8(b)に示すように、エンドミルEの傾きを一定に保ったままアキシャル軸受9及びラジアル軸受8(図2参照)によりエンドミルEをワークW下面側(図8(b)Z方向下側)へ移動させつつフライス盤100(図1(a)参照)の前後方向(図8(b)Y方向)へ移動させて、溝の底面を溝幅方向(図8(b)Y方向)に傾斜した状態に加工する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく溝の延設方向であるフライス盤100(図1(a)参照)の左右方向(図8(b)矢印X方向)に底面を傾斜させて加工しても良い。
この場合、加工された溝に血液と試薬とを流した場合に、流れの方向、即ち、溝の延設方向(図8(b)矢印X方向)に底面の深さが変化するので、溝の底面を延設方向に平坦とする場合に比べて血液と試薬の混合の度合いを高めることができる。
また、溝の延設方向に傾斜角度の異なる面を連ねて形成しても良い。この場合、溝の底面の深さの変化を大きくすることができるので、溝の底面を延設方向に傾斜させる場合に比べて血液と試薬の混合の度合いを高めることができる。
上記実施の形態では、主軸2をケース6に対して移動させるアクチュエータ(X圧電素子84、Y圧電素子88、Z圧電素子94)を圧電素子にて構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の駆動方法を採用しても良い。
例えば、アクチュエータ(X圧電素子84、Y圧電素子88、Z圧電素子94)を磁界の変化によって伸縮される磁歪素子にて構成した場合には、磁歪素子に直接的に部品(電線)を接続することなく磁歪素子を伸縮させることができる。よって、磁気軸受1の軽量化を図り、その重量分、フライス盤100の軽量化を図ることができる。
また、例えば、アクチュエータ(X圧電素子84、Y圧電素子88、Z圧電素子94)をリニヤモータや、ボイスコイルモータにて構成しても良い。これらリニヤモータや、ボイスコイルモータは、磁界を発生させる一対の磁力部材を備え、それら一対の磁力部材は、少なくとも一方の磁力部材が発生する磁界の強さを変化させることで、一対の磁力部材を互いに相対移動させるように構成されており、第1部材または第2部材をステータの磁石(X永久磁石83、Y永久磁石87、Z永久磁石93)に取り付け、第2部材または第1部材をケース6に取り付けることで、ステータをケース6に対して移動させることができる。
100 フライス盤(工作機械)
1 磁気軸受
2 主軸(回転子)
6 ケース(固定子)
8 ラジアル軸受(磁気軸受の一部)
80 ラジアルロータ(ロータの一部、ラジアルロータ)
81 Xステータ(ステータの一部、ラジアルステータ)
82 X電磁石(ステータの一部)
83 X永久磁石(ステータの一部)
84 X圧電素子(ラジアル圧電素子、リニヤアクチュエータ)
85 Yステータ(ステータの一部、ラジアルステータ)
86 Y電磁石(ステータの一部)
87 Y永久磁石(ステータの一部)
88 Y圧電素子(ラジアル圧電素子、リニヤアクチュエータ)
9 アキシャル軸受(磁気軸受の一部)
90 アキシャルロータ(ロータの一部、アキシャルロータ)
91 Zステータ(ステータの一部、アキシャルステータ)
92 Z電磁石(ステータの一部)
93 Z永久磁石(ステータの一部)
94 Z圧電素子(アキシャル圧電素子、リニヤアクチュエータ)
E エンドミル(工具)

Claims (6)

  1. 工作機械に取り付けられる固定子と、工具が取り付けられる回転子と、その回転子に取り付けられ磁性材料または金属材料から構成されるロータと、そのロータとの間に隙間を有し前記固定子に取り付けられると共に磁性材料から構成されるステータとを備え、前記ステータから前記ロータへ作用する磁力により前記回転子を前記固定子に対して回転可能な浮遊状態で保持する磁気軸受において、
    前記ステータを前記固定子に対して移動させるリニヤアクチュエータを備えていることを特徴とする磁気軸受。
  2. 前記リニヤアクチュエータが前記ステータと前記固定子とを連結すると共に伸縮自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気軸受。
  3. 前記リニヤアクチュエータが電圧の印加によって伸縮される圧電素子にて構成されていることを特徴とする請求項2記載の磁気軸受。
  4. 前記リニヤアクチュエータが磁界の変化によって伸縮される磁歪素子にて構成されていることを特徴とする請求項2記載の磁気軸受。
  5. 前記リニヤアクチュエータが一対のラジアルアクチュエータを備え、
    前記ロータが前記回転子のラジアル方向に面した周面上に連続して形成されるラジアルロータを備え、
    前記ステータが前記回転子のラジアル方向で前記ラジアルロータを挟んで互いに対向して配設される一対のラジアルステータを備え、
    前記一対のラジアルアクチュエータが前記一対のラジアルステータと前記固定子との間にそれぞれ介在し、それら一対のラジアルアクチュエータの伸縮方向が互いに平行とされ、
    前記一対のラジアルアクチュエータの伸縮によって、前記一対のラジアルステータが前記固定子に対して移動されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気軸受。
  6. 前記リニヤアクチュエータが一対のアキシャルアクチュエータを備え、
    前記ロータが前記回転子からその回転子のラジアル方向に張り出しつつ連続して形成されるアキシャルロータを備え、
    前記ステータが前記回転子のアキシャル方向で前記アキシャルロータを挟んで互いに対向して配設される一対のアキシャルステータを備え、
    前記一対のアキシャルアクチュエータが前記一対のアキシャルステータと前記固定子との間にそれぞれ介在し、それら一対のアキシャルアクチュエータの伸縮方向が互いに平行とされ、
    前記一対のアキシャルアクチュエータの伸縮によって、前記一対のアキシャルステータが前記固定子に対して移動されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の磁気軸受。
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