JP2010159432A - 防汚塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期防汚性、塗膜密着性に優れる防汚塗料を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂側鎖に、−(X)n−C(=O)−O−M−A〔式中、Xは、−O−C(=O)−Y−で表される基、nは0又は1、Yは炭化水素、Mは2価金属、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。〕で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(I)と、アクリル樹脂側鎖に、−C(=O)−O−SiR1R2R3〔式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。〕で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(II)とを含む防汚塗料である。
【選択図】なし
【解決手段】アクリル樹脂側鎖に、−(X)n−C(=O)−O−M−A〔式中、Xは、−O−C(=O)−Y−で表される基、nは0又は1、Yは炭化水素、Mは2価金属、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。〕で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(I)と、アクリル樹脂側鎖に、−C(=O)−O−SiR1R2R3〔式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。〕で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(II)とを含む防汚塗料である。
【選択図】なし
Description
本発明は、防汚塗料に関する。
船舶、漁網、その他の水中構造物には、フジツボ、イガイ、藻類等の海洋生物が付着しやすく、それによって、船舶等では効率のよい運行が妨げられ燃料の浪費を招く等の問題があり、また漁網等では目詰まりが起こったり、耐用年数が短くなる等の問題が生じる。これら水中構造物に対する生物の付着を防止するために、通常、水中構造物の表面に防汚塗料を塗布することが行われている。
近年、防汚塗料のうちでも、長期にわたって防汚性能が発揮できる等の優れた利点から加水分解型防汚塗料が広く用いられており、その1つとしてトリオルガノシリル基を有する樹脂を含む塗料が開発されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。しかし、一般的にトリオルガノシリル基を有する樹脂を含む塗料により得られる塗膜は、クラックや剥離を生じたり、溶解速度が大き過ぎたりするものである。
トリ−i−プロピルシリル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート及びその他の重合性モノマーを含む共重合体、並びに、防汚剤からなる塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。これは、特定のトリオルガノシリル(メタ)アクリレートを用いることによって、貯蔵安定性を優れたものとし、貯蔵後であっても塗装した塗膜が可撓性及び長期防汚性を示すものとすることを目的とするものである。
しかしながら、現在使用されているトリオルガノシリル基を有する樹脂を含む塗料は、一般的に、塗料の溶出速度が一定でなく、安定した防汚性能を得ることは困難であった。そのため、より長期の防汚性を有し、併せて塗膜密着性にも優れた防汚塗料の開発が望まれていた。
本発明は、上記現状に鑑み、長期防汚性、塗膜密着性に優れる防汚塗料を提供することを目的とするものである。
本発明は、アクリル樹脂側鎖に下記一般式(1);
(式中、Xは、
で表される基、nは0又は1、Yは炭化水素、Mは2価金属、Aは一塩基酸の有機酸残基を表す。)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(I)と、アクリル樹脂側鎖に下記一般式(2);
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(II)とを含む防汚塗料である。
上記2価金属は、銅又は亜鉛であることが好ましい。
上記一塩基酸は、一塩基環状有機酸であることが好ましい。
上記一塩基酸は、一塩基環状有機酸であることが好ましい。
上記一塩基酸は、ナフテン酸、ロジン類、水素添加ロジン類、アビエチン酸、水素添加アビエチン酸及びデヒドロアビエチン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記一般式(2)におけるR1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、プロピル基又はブチル基であることが好ましい。
上記一般式(2)におけるR1、R2及びR3は、すべてイソプロピル基であることが好ましい。
上記アクリル樹脂(II)は、下記一般式(3);
(式中、Zは、水素原子又はメチル基を表し、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表す。)で表されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートを20〜90質量%含有するモノマー成分から得られるものであることが好ましい。
上記アクリル樹脂(I)と上記アクリル樹脂(II)との固形分質量比は、5/95〜95/5であることが好ましい。
本発明の防汚塗料は、上述した構成よりなるので、従来の防汚塗料に比べて、長期間にわたってより優れた防汚性を示すものであり、塗膜密着性にも優れるものである。従って、上記防汚塗料は、船舶、漁網、その他の水中構造物に好適に適用することができるのである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の防汚塗料は、自己研磨性を有する加水分解型防汚塗料であり、アクリル樹脂側鎖に上記一般式(1)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(I)と、アクリル樹脂側鎖に上記一般式(2)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(II)とを含むものである。上記アクリル樹脂(II)のみを含有する防汚塗料により得られる塗膜は、塗料の溶出速度が一定でなく、安定した防汚性能を得ることが困難であるが、本発明の防汚塗料は、更に上記アクリル樹脂(I)を含有するものであることから、得られる防汚塗膜は、長期間にわたってより優れた防汚性を示すことができるものであり、また、塗膜密着性に優れるものである。
本発明の防汚塗料は、自己研磨性を有する加水分解型防汚塗料であり、アクリル樹脂側鎖に上記一般式(1)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(I)と、アクリル樹脂側鎖に上記一般式(2)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(II)とを含むものである。上記アクリル樹脂(II)のみを含有する防汚塗料により得られる塗膜は、塗料の溶出速度が一定でなく、安定した防汚性能を得ることが困難であるが、本発明の防汚塗料は、更に上記アクリル樹脂(I)を含有するものであることから、得られる防汚塗膜は、長期間にわたってより優れた防汚性を示すことができるものであり、また、塗膜密着性に優れるものである。
本発明の防汚塗料において、上記アクリル樹脂(I)は、アクリル樹脂側鎖に、上記一般式(1)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂であり、例えば、(方法1)重合性不飽和有機酸とその他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合させて得られる樹脂に、金属化合物と一塩基酸とを反応させるか、又は、一塩基酸の金属エステルを用いエステル交換させる方法、(方法2)金属含有重合性不飽和単量体とその他の共重合可能な不飽和単量体とを共重合する方法により製造することができるものである。
上記重合性不飽和有機酸としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基を1つ以上有するものが挙げられ、このようなものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和一塩基酸;マレイン酸及びこのモノアルキルエステル、イタコン酸及びこのモノアルキルエステル等の不飽和二塩基酸及びこのモノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのマレイン酸付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのフタル酸付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのコハク酸付加物等の不飽和一塩基酸ヒドロキシアルキルエステルの二塩基酸付加物等を挙げることができる。これらの重合性不飽和有機酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記その他の共重合可能な不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のエステル部の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のエステル部の炭素数が1〜20の水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸環状炭化水素エステル;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、重合度2〜10のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル;メトキシエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜3のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等のほか、(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のビニル化合物;クロトン酸エステル類;マレイン酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類等の不飽和二塩基酸のジエステルを挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸エステル類のエステル部分は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルである。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記(方法1)、(方法2)等の方法により得られるアクリル樹脂(I)は、上記一般式(1)で表される基を少なくとも1つ有するものであり、上記一般式(1)において、Mは2価金属である。
上記2価金属(M)としては、例えば、長期周期律表中3A〜7A、8、1B〜7B族元素を挙げることができる。なかでも、銅、亜鉛が好ましい。
上記2価金属(M)は、上記アクリル樹脂(I)固形分中、下限0.3質量%、上限20質量%含有されていることが好ましい。0.3質量%未満では、得られる塗膜における金属塩の部分が加水分解しても樹脂中の溶出が極めて遅く、20質量%を超えると、得られる塗膜の溶出速度が速すぎて、何れも好ましくない。下限0.5質量%、上限15質量%であることがより好ましい。
上記2価金属(M)の供給源となる上記金属化合物としては特に限定されず、例えば、金属酸化物、水酸化物、塩化物、硫化物、有機酸金属塩、塩基性炭酸塩等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(1)において、Aは、上記一塩基酸の有機酸残基であり、上記一塩基酸としては特に限定されず、例えば、炭素数10〜30の一塩基酸を挙げることができ、なかでも、一塩基環状有機酸等が好ましい。
上記一塩基環状有機酸としては特に限定されず、例えば、ナフテン酸等のシクロアルキル基を有するもののほか、三環式樹脂酸等の樹脂酸及びこれらの塩等を挙げることができる。
上記三環式樹脂酸としては特に限定されず、例えば、ジテルペン系炭化水素骨格を有する一塩基酸等を挙げることができ、このようなものとしては、例えば、アビエタン、ピマラン、イソピマラン、ラブダン各骨格を有する化合物があり、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水素添加アビエチン酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸、サンダラコピマル酸等を挙げることができる。これらのうち、加水分解が適度に行われるので長期防汚性に優れるほか、塗膜の耐クラック性、入手容易性にも優れることから、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水素添加アビエチン酸及びこれらの塩が好ましい。
上記一塩基環状有機酸としては、高度に精製されたものである必要はなく、例えば、松脂、松の樹脂酸等を使用することもでき、このようなものとしては、例えば、ロジン類、水素添加ロジン類、不均化ロジン類等を挙げることができる。ここでいうロジン類とは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等である。ロジン類、水素添加ロジン類及び不均化ロジン類は、廉価で入手しやすく、取り扱い性に優れ、長期防汚性を発揮する点で好ましい。これらの一塩基環状有機酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用できる一塩基酸のうち、上記一塩基環状有機酸以外のものとしては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、クロル酢酸、フルオロ酢酸、吉草酸等の炭素数1〜20のもの等を挙げることができる。好ましくは、炭素数5〜20のものである。これらの一塩基酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(1)における一塩基酸の有機酸残基のうち、下限5モル%、上限100モル%が環状有機酸であることが好ましい。下限15モル%、上限100モル%であることが好ましく、下限25モル%、上限100モル%であることが更に好ましい。5モル%未満であれば、長期の防汚性と塗膜の耐クラック性の両立が達成できない。
上記一塩基環状有機酸残基を導入するために使用する一塩基環状有機酸の酸価は、下限70mgKOH/g、上限300mgKOH/g、好ましくは下限120mgKOH/g、上限250mgKOH/gである。この範囲内である場合には、防汚効果を長期に保つことができる。更に好ましくは、下限120mgKOH/g、上限220mgKOH/gである。
上記一般式(1)におけるYとしては、炭化水素であれば特に限定されず、例えば、重合性不飽和有機酸にフタル酸、コハク酸、マレイン酸等の二塩基酸を付加した場合における残基を挙げることができる。上記Yは、不飽和一塩基酸ヒドロキシアルキルエステルに二塩基酸を付加し、これを共重合して樹脂を得ることにより導入することができ、又は、樹脂を製造する際に又は製造した後に上記二塩基酸を存在させて導入することもできる。この場合、n=1となる。
上記(方法1)において、重合性不飽和有機酸と他の重合性不飽和単量体とを共重合させて得られる樹脂の数平均分子量としては特に限定されず、下限2000、上限100000であることが好ましく、下限3000、上限40000であることがより好ましい。2000未満であると、塗膜の造膜性が低下するおそれがあり、100000を超えると、得られる塗料の貯蔵安定性が悪くなり実用に適さないだけでなく、塗装時に大量の希釈溶剤の使用により公衆衛生、経済性等の点で好ましくない。
上記(方法1)において、重合性不飽和有機酸と他の重合性不飽和単量体とを共重合させて得られる樹脂は、酸価70〜300mgKOH/gであることが好ましい。70未満であると、側鎖に結合させる金属塩の量が少なくなり、防汚性に劣ることがあり、300を超えると、溶出速度が速すぎて、長期の防汚性が望めない。
本発明の防汚塗料において、上記アクリル樹脂(II)は、アクリル樹脂側鎖に、上記一般式(2)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂である。上記一般式(2)において、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等の炭素数が20以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基等の環状アルキル基;アリール基、置換アリール基等を挙げることができる。置換アリール基としては、ハロゲン、炭素数18程度までのアルキル基、アシル基、ニトロ基又はアミノ基等で置換されたアリール基等を挙げることができる。なかでも、防汚性能を長期間安定して維持することができる観点から、プロピル基、ブチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記一般式(2)におけるR1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、プロピル基又はブチル基であることが好ましく、すべてイソプロピル基であることがより好ましい。これにより、得られる塗膜において、防汚性能をより長期間維持することができる。
上記アクリル樹脂(II)は、上記一般式(3)で表されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分から得られるものであることが好ましい。これにより、より長期防汚性に優れる塗膜を得ることができる。
上記一般式(3)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートにおいて、Zは、水素原子又はメチル基を表す。R4、R5及びR6は、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素残基を表し、例えば、上記R1、R2及びR3と同様の炭化水素残基を挙げることができる。
上記一般式(3)におけるR4、R5及びR6は、プロピル基又はブチル基であることが好ましく、すべてイソプロピル基であることがより好ましい。これにより、防汚性能をより長期間安定して維持することができ、また、得られる防汚塗料を貯蔵安定性に優れるものとすることができる。
上記一般式(3)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、トリエチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−プロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−i−プロピルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−i−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−s−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−アミルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ヘキシルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−オクチルシリル(メタ)アクリレート、トリ−n−ドデシルシリル(メタ)アクリレート、トリフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリ−p−メチルフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリベンジルシリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記一般式(3)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートとしてはまた、エチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、n−ブチルジメチルシリル(メタ)アクリレート、ジ−i−プロピル−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、n−オクチルジ−n−ブチルシリル(メタ)アクリレート、ジ−i−プロピルステアリルシリル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルフェニルシリル(メタ)アクリレート、t−ブチルジフェニルシリル(メタ)アクリレート、ラウリルジフェニルシリル(メタ)アクリレート、t−ブチル−m−ニトロフェニルメチルシリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なかでも、安定したポリッシングレート(研磨速度)を長期間維持する点から、トリ−i−プロピルシリル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのトリオルガノシリル(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(3)で示されるトリオルガノシリル(メタ)アクリレートは、重合に用いられるモノマー成分100質量%中に、下限20質量%、上限90質量%含有されることが好ましい。20質量%未満であると、得られる樹脂中のトリオルガノシリル基の割合が少なくなり、長期防汚性が望めないおそれがあり、90質量%を超えると、塗装した塗膜に剥離が生じるおそれがある。
上記アクリル樹脂(II)が、上記トリオルガノシリル(メタ)アクリレートをモノマー成分として用いて得られるものである場合には、他のモノマーとして、例えば、上記アクリル樹脂(I)で述べた上記重合性不飽和有機酸、上記その他の共重合可能な不飽和単量体等を用いることができる。
上記アクリル樹脂(II)の製造において、上記トリオルガノシリル(メタ)アクリレートと上記他のモノマーとの重合方法としては特に限定されず、例えば、モノマー成分を、アゾ化合物、過酸化物等の重合開始剤と混合して混合溶液を調製した後、例えば、キシレン、n−ブタノール等の溶剤中に滴下して、加熱条件下に反応させる方法等を挙げることができる。
本発明の防汚塗料において、上記アクリル樹脂(I)と上記アクリル樹脂(II)との固形分質量比は、下限5/95、上限95/5であることが好ましい。これにより、樹脂が長期間にわたって徐々に溶解させることができ、長期防汚性に優れる塗膜を得ることができる。5/95未満であると、比較的短期間に樹脂が溶解してしまい、長期防汚性を維持することができないおそれがあり、95/5を超えると、樹脂の溶解が進行しなくなることにより防汚性能が低下するおそれがある。上記下限は、10/90であることがより好ましく、上記上限は、90/10であることがより好ましい。
本発明の防汚塗料は、塗膜の物性や塗膜の消耗速度を調整するために、上記アクリル樹脂(I)及び上記アクリル樹脂(II)のほかに他のバインダー樹脂を含有させることができる。上記アクリル樹脂(I)と上記アクリル樹脂(II)との樹脂固形分の合計量の上記他のバインダー樹脂の樹脂固形分に対する質量比〔アクリル樹脂(I)及び上記アクリル樹脂(II)〕:〔他のバインダー樹脂〕は、100:0〜50:50であることが好ましい。上記他のバインダー樹脂の割合が上記範囲を超えると、優れた長期防汚性と塗膜の耐クラック性の両立が保てず好ましくない。
上記他のバインダー樹脂としては、例えば、塩素化パラフィン、ポリビニルエーテル、ポリプロピレンセバケート、部分水添ターフェニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリエーテルポリオール、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、シリコンオイル、ワックス、ワセリン、流動パラフィン、ロジン、水添ロジン、ナフテン酸、脂肪酸及びこれらの2価金属塩等を挙げることができる。
上記防汚塗料には、上記アクリル樹脂(I)及び上記アクリル樹脂(II)に、例えば、防汚剤、可塑剤、顔料、溶剤等の慣用の添加剤を添加することができる。
上記防汚剤としては特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、無機化合物、金属を含む有機化合物及び金属を含まない有機化合物等を挙げることができる。
上記防汚剤としては特に限定されず、例えば、亜酸化銅、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート、ジンクジメチルカーバーメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバーメート、ロダン銅、4,5,−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩及び銅塩等の金属塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピルブチルカーバーメート、ジヨードメチルパラトリスルホン、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、トリフェニルボロンピリジン塩、ステアリルアミン−トリフェニルボロン、ラウリルアミン−トリフェニルボロン等を挙げることができる。これらの防汚剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記防汚剤の使用量は、塗料固形分中、下限0.1質量%、上限80質量%が好ましい。0.1質量%未満では防汚効果を期待することができず、80質量%を越えると塗膜にクラック、剥離等の欠陥が生じることがある。下限1質量%、上限60質量%であることがより好ましい。
上記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸イソブチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールアルキルエステル等のグリコールエステル系可塑剤;トリクレンジリン酸、トリクロロエチルリン酸等のリン酸エステル系可塑剤;エポキシ大豆油、エポキシステアリン酸オクチル等のエポキシ系可塑剤;ジオクチルすずラウリレート、ジブチルすずラウリレート等の有機すず系可塑剤;トリメリット酸トリオクチル、トリアセチレン等を挙げることができる。これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記顔料としては、例えば、沈降性バリウム、タルク、クレー、白亜、シリカホワイト、アルミナホワイト、ベントナイト等の体質顔料;酸化チタン、酸化ジルコン、塩基性硫酸鉛、酸化すず、カーボンブラック、黒鉛、ベンガラ、クロムイエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、キナクリドン等の着色顔料等を挙げることができる。これらの顔料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロペンタン、オクタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ホワイトスピリット等の炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;n−ブタノール、プロピルアルコール等のアルコール等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のほか、その他の添加剤としては特に限定されず、例えば、フタル酸モノブチル、コハク酸モノオクチル等の一塩基有機酸、樟脳、ひまし油等;水結合剤、タレ止め剤;色分かれ防止剤;沈降防止剤;消泡剤等を挙げることができる。
本発明の防汚塗料は、例えば、上記アクリル樹脂(I)、上記アクリル樹脂(II)の組成物に、防汚剤、可塑剤、塗膜消耗調整剤、顔料、溶剤等の慣用の添加剤を添加し、ボールミル、ペブルミル、ロールミル、サンドグラインドミル等の混合機を用いて混合することにより、調製することができる。上記防汚塗料は、常法に従って被塗物の表面に塗布した後、常温下又は加熱下で溶剤を揮散除去することによって乾燥塗膜を形成することができる。
本発明の防汚塗料は、アクリル樹脂側鎖に上記一般式(1)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(I)と、アクリル樹脂側鎖に下記一般式(2)で表される基を少なくとも1つ有するアクリル樹脂(II)とからなるものであることから、この防汚塗料により得られる塗膜は、従来から使用されているトリオルガノシリル基を有する樹脂を含む防汚塗料により得られる塗膜を水中に晒す場合に生じる問題点、即ち、一定時間経過後には塗装された塗膜が水中に溶解してしまったり、塗膜にクラックが生じたりしてしまうことにより、防汚性能が消失してしまい、長期間の防汚性能が維持できなくなってしまうような問題点を生じることを防止することができるものであり、長期防汚性に優れるものである。また、本発明の防汚塗料は、上記アクリル樹脂(I)と上記アクリル樹脂(II)とを含有することにより、得られる塗膜の密着性をより向上させたものである。これにより、本発明の防汚塗料は、得られる塗膜が長期防汚性、塗膜密着性に優れるものであり、船舶、漁網、その他の水中構造物に好適に適用することができるものである。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
〔樹脂溶液の調製〕
以下に示した樹脂溶液製造例1、2により樹脂溶液A、Bを調製した。
以下に示した樹脂溶液製造例1、2により樹脂溶液A、Bを調製した。
(1)樹脂溶液製造例1
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン90g、n−ブタノール10gを加え、110℃で加熱した。これに、アクリル酸エチル30g、アクリル酸シクロヘキシル25g、アクリル酸25g、NKエステルM−90G(新中村化学社製)10g、アクリル酸メトキシエチル5g、アクリル酸−n−ブチルシリル5g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート2.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン4g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、樹脂溶液Aを得た。得られた樹脂溶液Aは、固形分が49%、数平均分子量8000、酸価(固形分、以下同じ)が195であった。
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン90g、n−ブタノール10gを加え、110℃で加熱した。これに、アクリル酸エチル30g、アクリル酸シクロヘキシル25g、アクリル酸25g、NKエステルM−90G(新中村化学社製)10g、アクリル酸メトキシエチル5g、アクリル酸−n−ブチルシリル5g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート2.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン4g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、樹脂溶液Aを得た。得られた樹脂溶液Aは、固形分が49%、数平均分子量8000、酸価(固形分、以下同じ)が195であった。
(2)樹脂溶液製造例2
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン90g、n−ブタノール5gを加え、100℃で加熱した。これに、アクリル酸エチル40g、アクリル酸シクロヘキシル15g、アクリル酸35g、NKエステルM−90G(新中村化学社製)10g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン5g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、樹脂溶液Bを得た。得られた樹脂溶液Bは、固形分が51%、数平均分子量7500、酸価(固形分、以下同じ)が273であった。
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン90g、n−ブタノール5gを加え、100℃で加熱した。これに、アクリル酸エチル40g、アクリル酸シクロヘキシル15g、アクリル酸35g、NKエステルM−90G(新中村化学社製)10g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン5g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、樹脂溶液Bを得た。得られた樹脂溶液Bは、固形分が51%、数平均分子量7500、酸価(固形分、以下同じ)が273であった。
〔アクリル樹脂(I)溶液の調製〕
樹脂ワニス製造例1、2で得られた樹脂溶液A、Bを用いて、以下に示したアクリル樹脂(I)溶液製造例1〜7によりアクリル樹脂(I)溶液1〜7を調製した。
樹脂ワニス製造例1、2で得られた樹脂溶液A、Bを用いて、以下に示したアクリル樹脂(I)溶液製造例1〜7によりアクリル樹脂(I)溶液1〜7を調製した。
(1)アクリル樹脂(I)溶液製造例1
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸銅1水和塩31g、ロジン47gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を60%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液1を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.89%であった。
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸銅1水和塩31g、ロジン47gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を60%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液1を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.89%であった。
(2)アクリル樹脂(I)溶液製造例2
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸亜鉛2水和塩31g、水素添加ロジン48gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を60%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液2を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.48%であった。
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸亜鉛2水和塩31g、水素添加ロジン48gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を60%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液2を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.48%であった。
(3)アクリル樹脂(I)溶液製造例3
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液B100g、酢酸亜鉛2水和塩52g、水素添加ロジン76gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を50%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液3を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、10.76%であった。
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液B100g、酢酸亜鉛2水和塩52g、水素添加ロジン76gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を50%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液3を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、10.76%であった。
(4)アクリル樹脂(I)溶液製造例4
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液B100g、酢酸亜鉛2水和塩52g、ナフテン酸73gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を55%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液4を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、10.91%であった。
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液B100g、酢酸亜鉛2水和塩52g、ナフテン酸73gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を55%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液4を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、10.91%であった。
(5)アクリル樹脂(I)溶液製造例5
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液B100g、酢酸銅1水和塩52g、水素添加ロジン76gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を50%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液5を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、10.91%であった。
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液B100g、酢酸銅1水和塩52g、水素添加ロジン76gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を50%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液5を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、10.91%であった。
(6)アクリル樹脂(I)溶液製造例6
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸銅1水和塩31g、アビエチン酸47gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を55%に調整し、アクリル樹脂溶液(I)6を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.63%であった。
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸銅1水和塩31g、アビエチン酸47gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を55%に調整し、アクリル樹脂溶液(I)6を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.63%であった。
(7)アクリル樹脂(I)溶液製造例7
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸亜鉛2水和塩31g、デヒドロアビエチン酸47gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を55%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液7を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.18%であった。
攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに樹脂溶液A100g、酢酸亜鉛2水和塩31g、デヒドロアビエチン酸47gを加え、7時間、125℃付近で還流させ、生成する酢酸を除去した。冷却後、キシレンとn−ブタノール10gを加え固形分濃度を55%に調整し、アクリル樹脂(I)溶液7を得た。得られたアクリル樹脂(I)中の金属含有量は、8.18%であった。
〔アクリル樹脂(II)溶液の調製〕
以下に示したアクリル樹脂(II)溶液製造例1、2によりアクリル樹脂(II)溶液1、2を調製した。
以下に示したアクリル樹脂(II)溶液製造例1、2によりアクリル樹脂(II)溶液1、2を調製した。
(1)アクリル樹脂(II)溶液製造例1
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン60gを加え100℃で加熱した。これに、メタクリル酸メチル25g、メタクリル酸メトキシエチル5g、アクリル酸トリイソプロピルシリル70g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン6g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、アクリル樹脂(II)溶液1を得た。
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン60gを加え100℃で加熱した。これに、メタクリル酸メチル25g、メタクリル酸メトキシエチル5g、アクリル酸トリイソプロピルシリル70g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン6g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、アクリル樹脂(II)溶液1を得た。
(2)アクリル樹脂(II)溶液製造例2
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン60gを加え100℃で加熱した。これに、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸メトキシエチル5g、アクリル酸トリイソプロピルシリル25g、アクリル酸n−ブチル10g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン6g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、アクリル樹脂(II)溶液2を得た。
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン60gを加え100℃で加熱した。これに、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸メトキシエチル5g、アクリル酸トリイソプロピルシリル25g、アクリル酸n−ブチル10g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1.5gの混合溶液を3時間にわたり滴下し、30分後キシレン6g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3gを加え、2時間保温し、アクリル樹脂(II)溶液2を得た。
<実施例1〜12、比較例1〜3>
アクリル樹脂(I)溶液製造例1〜7、アクリル樹脂(II)溶液製造例1、2で得られたアクリル樹脂(I)溶液1〜7、アクリル樹脂(II)溶液1、2及び表1で示すその他の成分を使用して、高速ディスパーにて混合することで防汚塗料を調製し、下記評価方法に従って長期防汚性及び塗膜密着性を評価した。評価結果を表2に記載した。なお、表1中に記載の防汚剤は下記の化合物である。
アクリル樹脂(I)溶液製造例1〜7、アクリル樹脂(II)溶液製造例1、2で得られたアクリル樹脂(I)溶液1〜7、アクリル樹脂(II)溶液1、2及び表1で示すその他の成分を使用して、高速ディスパーにて混合することで防汚塗料を調製し、下記評価方法に従って長期防汚性及び塗膜密着性を評価した。評価結果を表2に記載した。なお、表1中に記載の防汚剤は下記の化合物である。
防汚剤1:N,N−ジメチル−ジクロロフェニル尿素
防汚剤2:2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド
防汚剤3:2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンピリジン
防汚剤4:トリフェニルボロン・ラウリルアミン塩
防汚剤5:4,5−ジクロロ−2−n−6−オクチル−4−イソチアジゾリン−3−オン
防汚剤6:2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル
防汚剤2:2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド
防汚剤3:2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンピリジン
防汚剤4:トリフェニルボロン・ラウリルアミン塩
防汚剤5:4,5−ジクロロ−2−n−6−オクチル−4−イソチアジゾリン−3−オン
防汚剤6:2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル
〔評価〕
(1)長期防汚性
上記防汚塗料を、予め防錆塗料を塗布してあるブラスト板に乾燥膜厚300μmになるように塗布し、2昼夜室内に放置し乾燥させて試験板を得た。試験板を岡山県玉野市にある日本ペイント社臨海研究所設置の実験用筏で生物付着試験を行い、生物付着面積の塗膜面積に占める割合が10%未満である期間を測定し、防汚性を評価した。評価基準は、以下に示した通りであり、結果を表2に示した。
1;12ヶ月未満
2;18ヶ月未満
3;24ヶ月未満
4;30ヶ月未満
5;約36ヶ月。
(1)長期防汚性
上記防汚塗料を、予め防錆塗料を塗布してあるブラスト板に乾燥膜厚300μmになるように塗布し、2昼夜室内に放置し乾燥させて試験板を得た。試験板を岡山県玉野市にある日本ペイント社臨海研究所設置の実験用筏で生物付着試験を行い、生物付着面積の塗膜面積に占める割合が10%未満である期間を測定し、防汚性を評価した。評価基準は、以下に示した通りであり、結果を表2に示した。
1;12ヶ月未満
2;18ヶ月未満
3;24ヶ月未満
4;30ヶ月未満
5;約36ヶ月。
(2)塗膜密着性
上記防汚塗料を、15cm平方のFRP板に乾燥膜厚約150μmになるように塗布し、これを3昼夜乾燥させ、40℃の海水に2週間浸漬させ、水洗し、その後2昼夜乾燥させた。形成されている塗膜を2mm間隔で10本基盤目にナイフで切り、市販粘着テープで剥離試験を行い、剥離した個数により密着性を調べた。剥離した基盤目の個数により以下に示した評価基準で評価し、結果を表2に示した。
1;70個以上
2;50〜69個
3;30〜49個
4;5〜30個
5;5個未満。
上記防汚塗料を、15cm平方のFRP板に乾燥膜厚約150μmになるように塗布し、これを3昼夜乾燥させ、40℃の海水に2週間浸漬させ、水洗し、その後2昼夜乾燥させた。形成されている塗膜を2mm間隔で10本基盤目にナイフで切り、市販粘着テープで剥離試験を行い、剥離した個数により密着性を調べた。剥離した基盤目の個数により以下に示した評価基準で評価し、結果を表2に示した。
1;70個以上
2;50〜69個
3;30〜49個
4;5〜30個
5;5個未満。
表2より、実施例1〜12の防汚塗料は、長期防汚性及び塗膜密着性に優れるものであるが、比較例1〜3の防汚塗料は、長期防汚性と塗膜密着性の両立ができないものであった。
Claims (8)
- 前記2価金属は、銅又は亜鉛である請求項1記載の防汚塗料。
- 前記一塩基酸は、一塩基環状有機酸である請求項1又は2記載の防汚塗料。
- 前記一塩基酸は、ナフテン酸、ロジン類、水素添加ロジン類、アビエチン酸、水素添加アビエチン酸及びデヒドロアビエチン酸からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2又は3記載の防汚塗料。
- 前記一般式(2)におけるR1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、プロピル基又はブチル基である請求項1、2、3又は4記載の防汚塗料。
- 前記一般式(2)におけるR1、R2及びR3は、すべてイソプロピル基である請求項1、2、3、4又は5記載の防汚塗料。
- 前記アクリル樹脂(I)と前記アクリル樹脂(II)との固形分質量比は、5/95〜95/5である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の防汚塗料。
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