JP2010159299A - ロキソプロフェンとケトチフェンを含有する解熱剤組成物 - Google Patents

ロキソプロフェンとケトチフェンを含有する解熱剤組成物 Download PDF

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達仁 近藤
Ikuo Takagi
郁夫 高木
Masato Nakayama
正人 中山
Yasuhiro Torizumi
保博 鳥住
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Abstract

【課題】優れた解熱剤医薬組成物を見出すこと。
【解決手段】
ロキソプロフェンナトリウムとケトチフェンとを含有する解熱剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤とケトチフェンとを含有する解熱剤組成物に関する。
フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤は、解熱剤として広範囲に使用されている。この中でも、例えば本邦では、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン、フェノプロフェン又はプラノプロフェン等は、感冒などの急性上気道炎の解熱にも投与されている。
一方、抗ヒスタミン剤は感冒などの上気道炎に伴う鼻汁等を抑えるためにも投与され、非ステロイド解熱消炎鎮痛剤と併用されることもある。
フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤とケトチフェンとの公知併用例としては、
1)ロキソプロフェンとケトチフェンとの併用で鼻閉症状を有する患者の嗅覚改善に優れた効果のある旨の記載(特許文献1参照)、
2)イブプロフェン、リン酸コデイン、フマル酸ケトチフェン、無水カフェインの配合剤Aと、これにフマル酸ケトチフェンを除いた配合剤Bとの比較の結果、AがBに較べ鎮咳効果が優れる旨の記載(特許文献2参照)が挙げられる。
また、本発明に関連すると思われるその他の公知併用例としては、
3)ロキソプロフェンと、抗ヒスタミン剤のマレイン酸カルビノキサミンとの併用で、解熱作用が増強(特許文献3参照)する旨の開示が挙げられる。
特開2001-199882号公報 特開平10-45595号公報 特開2000-143505号公報
しかし、ロキソプロフェンが、どの抗ヒスタミン剤と併用しても解熱作用が増強するわけではなく、さらにまた、フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤とケトチフェンとの併用により解熱作用が増強したという報告は存在しない。
そこで本発明者らは、非ステロイド解熱消炎鎮痛剤と併用して解熱作用が顕著に増強する薬剤の組合せを見出すべく、研究を行った。
その結果、フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤とケトチフェンとの併用により解熱効果が増強されることを見出して本発明を完成させた。
本発明は、
(1)フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤とケトチフェンとを含有する解熱剤組成物であり、好適には、
(2)ロキソプロフェン及び/又はイブプロフェンと、ケトチフェンとを含有す
る解熱剤組成物であり、またさらに
(3)感冒剤に用いることを特徴とする、(1)又は(2)記載の解熱剤組成物
である。
ケトチフェンとは、ケトチフェンまたはその薬理上許容される塩を示す。
ここで、薬理上許容される塩としては、例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級有機スルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のようなアリールスルホン酸塩;オルニチン酸塩、グルタミン酸塩のようなアミノ酸塩;及びフマル酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸のようなカルボン酸塩を挙げられ、好適にはフマル酸塩が挙げられる。
フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤としては、例えば、フェニルプロピオン酸骨格を持つ解熱作用、消炎作用及び/又は鎮痛作用を持つ薬剤のことで、例えば、アルミノプロフェン、イブプロフェン、オキサプロジン、ザルトプロフェン、チアプロフェン(酸)、ナブメトン、ナプロキセン、フェノプロフェン(カルシウム)、プラノプロフェン、フルルビプロフェン又はロキソプロフェン(ナトリウム)が挙げられ、好適には、アルミノプロフェン、イブプロフェン、チアプロフェン(酸)、フェノプロフェン(カルシウム)、プラノプロフェン又はロキソプロフェン(ナトリウム)が挙げられ、さらに好適には、イブプロフェン又はロキソプロフェン(ナトリウム)が挙げられる。
ロキソプロフェンとは、ロキソプロフェン、その薬理上許容される塩及び/又はその水和物をしめす。
ここで、その薬理上許容される塩とは、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩を挙げる事ができ、好適にはナトリウム塩が挙げられる。
これらのうち、好適にはロキソプロフェンナトリウム・2水和物である。
本発明のフェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤とケトチフェンとを含有する解熱剤組成物は、優れた解熱効果があり、有用である。
フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤のうち、イブプロフェン又はロキソプロフェン等は第十四改正日本薬局方に収載されており、容易に入手しうる。
フマル酸ケトチフェンは医薬品として市販されており、(株)ワイ・アイ・シーより入手し得る。
本発明の解熱薬が固形製剤の場合において含有される、フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤の重量%は通常、0.01乃至30%であり、好適には、0.1乃至10%であり、また、ケトチフェンの重量%は通常、0.0001乃至0.5%であり、好適には、0.001乃至0.2%である。
本発明の解熱薬が液剤の場合において含有される、フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤の含有量は通常、0.1乃至100mg/mLであり、好適には、1乃至50mg/mLであり、また、ケトチフェンの含有量は通常、0.001乃至2mg/mLであり、好適には、0.01乃至1mg/mLである。
本発明においては、上記有効成分の他、必要に応じてカフェイン類、鎮咳薬、去痰薬、ビタミン類、生薬などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の解熱剤の具体的な剤形としては、例えば、錠剤、細粒剤(散剤を含む)、カプセル、液剤(シロップ剤を含む)等をあげることができ、各剤形に適した添加剤や基材を適宜使用し、日本薬局方等に記載された通常の方法に従い、製造することができる。
上記各剤形において、その剤形に応じ、通常使用される各種添加剤を使用することもできる。
例えば、錠剤の場合、乳糖、結晶セルロース等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等をコーテイング剤として、ステアリン酸マグネシウム等を滑沢剤として、使用することができ、
細粒剤及びカプセル剤の場合、乳糖又は精製白糖等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、トウモロコシデンプン等を吸着剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等を結合剤として、使用することができる。
上記各剤形において、必要に応じ、クロスポビドン等の崩壊剤;ポリソルベート等の界面活性剤;ケイ酸カルシウム等の吸着剤;三二酸化鉄、カラメル等の着色剤;安息香酸ナトリウム等の安定剤;pH調節剤;香料;等を添加することもできる。
以下に、実施例等を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)錠剤
(1)成分
(表1)
6錠中(mg) 6錠中(mg) 6錠中(mg)
------------------------------------------------------------------------------
イブプロフェン − 450 225
ロキソプロフェンナトリウム 180 − 90
フマル酸ケトチフェン 2 2 2
酸化マグネシウム 400 300 400
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 140 140 140
結晶セルロース 120 120 120
コーンスターチ 140 140 140
ヒドロキシプロピルセルロース 60 60 60
クロスカルメロースナトリウム 15 15 15
ステアリン酸マグネシウム 25 25 25
トリアセチン 6 6 6
乳糖 適量 適量 適量
------------------------------------------------------------------------------
合計 1400 1400 1400

(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製する。
(実施例2)細粒剤
(1)成分
(表2)
3包中(mg) 3包中(mg) 3包中(mg)
------------------------------------------------------------------------------
イブプロフェン − 450 225
ロキソプロフェンナトリウム 180 − 90
フマル酸ケトチフェン 2 2 2
酸化マグネシウム 400 400 400
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 140 140 140
精製白糖 1400 1400 1400
ステビア抽出生成物 15 15 15
トウモロコシデンプン 1200 1000 1100
ポリソルベート80 80 80 80
ステアリン酸マグネシウム 25 25 25
乳糖 適量 適量 適量
------------------------------------------------------------------------------
合計 4500 4500 4500

(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製する。
(実施例3)カプセル剤
(1)成分
(表3)
6カプセル中(mg) 6カプセル中(mg) 6カプセル中(mg)
-------------------------------------------------------------------------------
イブプロフェン − 450 225
ロキソプロフェンナトリウム 180 − 90
フマル酸ケトチフェン 2 2 2
酸化マグネシウム 400 400 400
トウモロコシデンプン 600 400 500
ポリソルベート80 50 50 50
ステアリン酸マグネシウム 25 25 25
乳糖 適量 適量 適量
カプセル 480 480 480
-------------------------------------------------------------------------------
合計 2500 2500 2500

(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製した後、カプセルに充てんして硬カプセル剤を製する。
(実施例4)シロップ剤
(1)成分
(表4)
60mL中(mg) 60mL中(mg) 60mL中(mg)
------------------------------------------------------------------------------
イブプロフェン − 450 225
ロキソプロフェンナトリウム 180 − 90
フマル酸ケトチフェン 2 2 2
安息香酸ナトリウム 240 240 240
クエン酸 60 60 60
白糖 1500 1500 1500
濃グリセリン 1800 1800 1800
ポリビニルアルコール 120 120 120
エタノール(95%) 500 9000 4500
塩酸 適量 適量 適量
水酸化ナトリウム 適量 適量 適量
精製水 適量 適量 適量
------------------------------------------------------------------------------

(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「シロップ剤」の項に準じてシロップ剤を製した後、褐色ガラス瓶に充てんしてシロップ剤を製する。
(試験例1)解熱効果
(1)被験物質
被験物質は、試験前日もしくは当日に0.5%トラガント液で懸濁液にして調製した。前日に調製した場合は、使用時まで冷蔵庫に保管する。被験物質の投与液量は、体重1Kgあたり2.5mLとし、対照群には同量の0.5%トラガント液を投与した。
(2)動物
Wister-Imamichi雄性ラット5週齢(動物繁殖研究所より購入)を、温度20〜26℃、湿度30〜70%、照明時間7時〜19時に制御された環境制御飼育装置(日本クレア製)内で、ステンレス製ラット飼育ゲージに5〜6匹入れ、飼料(マウス・ラット飼育用F-2、船橋農場製)および水フィルターを通した水道水を自由に摂取させて、5〜9日間の予備飼育後、試験前日に肉眼的に健康状態を観察し良好な動物を選別して絶食(約20時間、水は自由摂取)させる。
(3)方法
(a)イーストによる発熱の誘発
イースト液は、ビール酵母(イースト、シグマ化学)に生理食塩液(大塚製薬)を加えて25%濃度に調製し、試験前日にラットの背部皮下にイースト液を2.0mL投与して発熱を誘発させる。
(b)群分け
イースト投与約20時間後に、サーミスタ温度計(MGAIII 日本光電工業製)を直腸内に約5Cm挿入して体温を測定する。イースト非投与群の体温も同様に測定する。イースト非投与群(5匹)の平均直腸温より1.5℃以上発熱したイースト投与ラットを選び、発熱温が平均化するように群分けする(1群5匹)。
(c)被験物質の解熱作用
被験物質は、(b)の体温測定約1時間後に経口投与し、投与後1.0および2.0時間後の直腸温を測定する。この測定値から、イースト非投与群の平均直腸温を差し引いた値を発熱強度とする。対象群も同様にして直腸温を測定する。
発熱抑制率は次式より求める。

抑制率(%)=[1−A/B]×100
A:被験物質投群の平均発熱強度
B:対照群の平均発熱強度
(4)試験結果
(a)被験物質(単剤)の無作用量
各被験物質において薬効が現れない用量を、無作用量として予め調べた(表5)。

(表5)
被験物質 無作用量(mg/Kg) 発熱抑制率(%)
------------------------------------------------------------------------------
フマル酸ケトチフェン 1.0 −9.2

(b)被験物質(イブプロフェン及びロキソプロフェン単剤と併用剤)のID50
イブプロフェン及びロキソプロフェンナトリウム単剤(いずれも0.33、1.0、3.3mg/Kg)の用量と抑制率との回帰により算出したID50、イブプロフェン及びロキソプロフェンナトリウム(いずれも0.33、1.0、3.3mg/Kg)とフマル酸ケトチフェンの無作用量(1mg/Kg)との配合物質の用量と抑制率との回帰から算出したID50を表6、表7に示す。
(表6)
被験物質(mg/Kg) ID50(mg/Kg) ID50比
------------------------------------------------------------------------------
イブプロフェン単剤 1.3 1.0
イブプロフェン+フマル酸ケトチフェン(1.0) 0.68 0.52
(表7)
被験物質(mg/Kg) ID50(mg/Kg) ID50比
------------------------------------------------------------------------------
ロキソプロフェンナトリウム単剤 0.94 1.0
ロキソプロフェンナトリウム
+ フマル酸ケトチフェン(1.0) 0.83 0.88
ケトチフェンと、イブプロフェン又はロキソプロフェンナトリウムとを組み合わせることにより、解熱効果の増強が認められた。

Claims (1)

  1. 有効成分がロキソプロフェンナトリウムとフマル酸ケトチフェンとの組み合わせであり、ロキソプロフェンナトリウムとフマル酸ケトチフェンを含有する解熱剤組成物。
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