JP2010180238A - 鼻炎用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】鼻炎、くしゃみ及び鼻水の抑制に用いることのできる優れた鼻炎用組成物の提供。
【解決手段】有効成分として、塩酸プソイドエフェドリン及び塩酸エピナスチンを組み合わせることにより、各成分を単独に配合した場合と比較して顕著な効果を有する、くしゃみの抑制に用いることを特徴とする抗感冒薬組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、プソイドエフェドリン及び抗ヒスタミン剤(特に、クロルフェニラミン)を含有する医薬(特に、鼻炎、又は、くしゃみ若しくは鼻水の抑制に用いるもの)であって、プソイドエフェドリン及び抗ヒスタミン剤の何れか一方又は両方の配合量が単独では薬効を示さない量であることを特徴とするもの、並びに、プソイドエフェドリン及びエピナスチン又はケトチフェンを含有する医薬(特に、鼻炎、又は、くしゃみ若しくは鼻水の抑制に用いるもの)に関する。
花粉症などのアレルギー性鼻炎や、感冒などの鼻炎症状に用いられる鼻炎用内服薬には、鼻粘膜充血除去を目的とした交感神経興奮薬と、アレルギー反応を抑えるための抗ヒスタミン薬とが配合されることがある。これら薬剤が併用される理由は、鼻粘膜充血除去薬が鼻閉に有効であり、一方、抗ヒスタミン剤が鼻の痒み(ムズムズ感)、くしゃみ、鼻水に有効であることから、各種鼻炎症状に対し相互補完的な効果を期待しているためである(例えば、非特許文献1参照。)。そのようなプソイドエフェドリンと、抗ヒスタミン剤との配合については、以下のものが公知である。即ち、
1)プソイドエフェドリンと、クロルフェニラミンまたはトリプロリジンとを配合した鼻炎用内服薬(例えば、非特許文献2参照。)、
2)夜用にプソイドエフェドリンとクロルフェニラミンを含有し、朝用に抗ヒスタミン薬を含まない処方に分けて、同一包装に充填し、抗ヒスタミン薬の副作用である眠気または鎮静作用を日中に回避した鼻炎用薬(例えば、特許文献1参照。)、
3)プソイドエフェドリンとセチリジンの併用(例えば、非特許文献3参照。)、
4)プソイドエフェドリンとジフェンヒドラミンの製剤(例えば、特許文献2参照。)、
5)プソイドエフェドリンとテルフェナジンの併用(例えば、非特許文献4参照。)、
6)プソイドエフェドリンとアクリバスチンの併用(例えば、非特許文献5参照。)、
7)プソイドエフェドリンとフェクソフェナジンの併用(例えば、非特許文献6参照。)、
8)プソイドエフェドリンとアステミゾールの併用(例えば、非特許文献7参照。)、及び、
9)プソイドエフェドリンとロラタジンの併用(例えば、非特許文献8参照。)である。
しかしながら、これまで、プソイドエフェドリンとエピナスチン又はケトチフェンを併用した医薬は知られていなかった。
又、これらの併用例はいずれもそれぞれ単剤における用量を基にして配合量が設定され、プソイドエフェドリン及び抗ヒスタミン剤の何れか一方又は両方の量を低減するような併用剤は知られていなかった。
国際公開第9921556号パンフレット 米国特許第1995530449号明細書
Handbook of Nonprescription Drugs, 12th edition, American Pharmaceutical Association Handbook of Nonprescription Drugs, 12th edition, American Pharmaceutical Association Eur J Clin Pharm, Vol.41,1991 P.321-324 Rhinology, Vol.35, 1997,P.67-73 Annals of Allergy, Asthma, & Immunology, Vol.76, 1996 P.432-438 J Allergy Clin Immunol,Vol.104,1999 P.100-106 Rhinology, Vol.34,1996 p21-23 Ear Nose Throat J, Vol.79, 2000 P.254-460
本発明者等は、鼻炎、くしゃみ及び鼻水の抑制に用いることのできる医薬につき、種々の薬剤を検討した。その結果、量を低減したプソイドエフェドリンと塩酸エピナスチンの組合せが、各成分を単独に配合した場合と比較して顕著な効果を有し、前記症状に有効であることを見出して、本発明を完成させた。
本発明は、
1)有効成分として、塩酸プソイドエフェドリン及び塩酸エピナスチンを含有する、くしゃみの抑制に用いることを特徴とする医薬組成物
上記において、「単独では薬効を示さない量」とは、当該薬剤を単独で投与した場合に、効果を示す限界量以下の量のことをいい、そのような量は、当業者であれば、周知の試験方法を用いて決定することができるが、例えば、後述の試験例1に記載した抗原刺激に対するくしゃみの抑制効果試験を用いて決定することができ、マレイン酸クロルフェニラミンにおいて好適には、0.1mg/kg以下の量であり、塩酸プソイドエフェドリンにおいて好適には、33mg/kg以下の量である。
上記において、「抗ヒスタミン剤」とは、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を持つものであれば特に限定はないが、例えば、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、アステミゾール、セチリジン、エピナスチン、エバスチン、エメダスチンなどを挙げる事ができ、好適には、クロルフェニラミン、ケトチフェン又はエピナスチンである。
本発明において、含有される各成分は、薬理学上許容される塩として含有されていても良く、そのような塩としては、成分が塩基性官能基を持つ場合には、例えばフッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級有機スルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のようなアリールスルホン酸塩;オルニチン酸塩、グルタミン酸塩のようなアミノ酸塩;及びフマル酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸のようなカルボン酸塩を挙げることができ、成分が酸性官能基をもつ場合には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩を挙げる事ができ、プソイドエフェドリンの場合好適には塩酸塩又は硫酸塩であり、クロルフェニラミンの場合好適にはマレイン酸塩であり、エピナスチンの場合好適には塩酸塩であり、ケトチフェンの場合好適にはフマル酸塩である。
本発明のプソイドエフェドリン及び抗ヒスタミン剤(特に、クロルフェニラミン)を含有する医薬(特に、鼻炎、又は、くしゃみ若しくは鼻水の抑制に用いるもの)であって、プソイドエフェドリン及び抗ヒスタミン剤の何れか一方又は両方の配合量が単独では薬効を示さない量であることを特徴とするもの、並びに、プソイドエフェドリン及びエピナスチン又はケトチフェンを含有する医薬(特に、鼻炎、又は、くしゃみ若しくは鼻水の抑制に用いるもの)は顕著な効果を示し、医薬として有用である。
プソイドエフェドリンはUSP(米国薬局方)XXIVに収載されており、マレイン酸クロルフェニラミンは日本薬局方XIVに収載されている。また、塩酸エピナスチンおよびフマル酸ケトチフェンについては医薬品として市販されており容易に入手し得る。
本発明の抗鼻炎用薬が固形製剤の場合において含有される、プソイドエフェドリンの重量%は通常、0.01乃至50%であり、好適には、0.1乃至30%であり、クロルフェニラミンの重量%は通常、0.0003乃至2%であり、好適には、0.003乃至1%であり、また、エピナスチンの重量%は通常、0.0005乃至3%であり、好適には、0.005乃至2%であり、さらにまた、ケトチフェンの重量%は通常、0.0001乃至1%であり、好適には、0.001乃至0.5%である。
本発明の抗鼻炎用薬が液剤の場合において含有される、プソイドエフェドリンの含有量は通常、0.01乃至100mg/mLであり、好適には、0.1乃至50mg/mLであり、クロルフェニラミンの含有量は通常、0.003乃至5mg/mLであり、好適には、0.03乃至3mg/mLであり、また、エピナスチンの含有量は通常、0.005乃至10mg/mLであり、好適には、0.05乃至5mg/mLであり、さらにまた、ケトチフェンの含有量は通常、0.001乃至2mg/mLであり、好適には、0.01乃至1mg/mLである。
本発明においては、上記有効成分の他、必要に応じて副交感神経遮断薬、抗炎症薬、カフェイン類、ビタミン類、生薬などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の抗感冒薬の具体的な剤形としては、例えば、錠剤、細粒剤(散剤を含む)、カプセル、液剤(シロップ剤を含む)等をあげることができ、各剤形に適した添加剤や基材を適宜使用し、日本薬局方等に記載された通常の方法に従い、製造することができる。
上記各剤形において、その剤形に応じ、通常使用される各種添加剤を使用することもできる。
例えば、錠剤の場合、乳糖、結晶セルロース等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等をコーテイング剤として、ステアリン酸マグネシウム等を滑沢剤として、使用することができ、細粒剤及びカプセル剤の場合、乳糖、精製白糖等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、トウモロコシデンプン等を吸着剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等を結合剤として、使用することができる。
上記各剤形において、必要に応じ、クロスポピドン等の崩壊剤;ポリソルベート等の界面活性剤;ケイ酸カルシウム等の吸着剤;三二酸化鉄、カラメル等の着色剤;安息香酸ナトリウム等の安定剤;pH調節剤;香料;等を添加することもできる。
以下に、実施例等を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)錠剤
(1)成分
(表1)
6錠中(mg) 6錠中(mg) 6錠中(mg)

塩酸プソイドエフェドリン 90 90 90
マレイン酸クロルフェニラミン 6 − −
塩酸エピナスチン − 10 −
フマル酸ケトチフェン − − 2
酸化マグネシウム 400 400 400
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 140 140 140
結晶セルロース 120 120 120
コーンスターチ 140 140 140
ヒドロキシプロピルセルロース 60 60 60
クロスカルメロースナトリウム 15 15 15
ステアリン酸マグネシウム 25 25 25
トリアセチン 6 6 6
乳糖 適量 適量 適量

合計 1400 1400 1400
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製する。
(実施例2)細粒剤
(1)成分
(表2)
3包中(mg) 3包中(mg) 3包中(mg)
塩酸プソイドエフェドリン 90 90 90
マレイン酸クロルフェニラミン 6 − −
塩酸エピナスチン − 10 −
フマル酸ケトチフェン − − 2
酸化マグネシウム 400 400 400
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 140 140 140
精製白糖 1400 1400 1400
ステビア抽出生成物 15 15 15
トウモロコシデンプン 1200 1200 1200
ポリソルベート80 80 80 80
ステアリン酸マグネシウム 25 25 25
乳糖 適量 適量 適量
合計 4500 4500 4500
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製する。
(実施例3)カプセル剤
(1)成分
(表3)
6カフ゜セル中(mg) 6カフ゜セル中(mg) 6カフ゜セル中(mg)
塩酸プソイドエフェドリン 90 90 90
マレイン酸クロルフェニラミン 6 − −
塩酸エピナスチン − 10 −
フマル酸ケトチフェン − − 2
酸化マグネシウム 400 400 400
トウモロコシデンプン 630 630 630
ポリソルベート80 50 50 50
ステアリン酸マグネシウム 25 25 25
乳糖 適量 適量 適量
カプセル 48 480 480
合計 2500 2500 2500
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製した後、カプセルに充てんして硬カプセル剤を製する。
(実施例4)シロップ剤
(1)成分
(表4)
30mL中(mg) 30mL中(mg) 30mL中(mg)
塩酸プソイドエフェドリン 90 90 90
マレイン酸クロルフェニラミン 6 − −
塩酸エピナスチン − 10 −
フマル酸ケトチフェン − − 2
安息香酸ナトリウム 240 240 240
クエン酸 60 60 60
白糖 1500 1500 1500
濃グリセリン 1800 1800 1800
ポリビニルアルコール 120 120 120
塩酸 適量 適量 適量
水酸化ナトリウム 適量 適量 適量
精製水 適量 適量 適量
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「シロップ剤」の項に準じてシロップ剤を製した後、褐色ガラス瓶に充てんしてシロップ剤を製する。
(試験例1)抗原刺激に対するくしゃみの抑制効果
(1)被験物質
被験物質は、試験当日に0.5%トラガント液で懸濁液にして用いた。被験物質の投与液量は、体重1Kgあたり2.0mLとし、対照群には同量の0.5%トラガント液を投与した。
(2)試験動物
Hartley系雄性モルモット5週齢(日本SLC社より購入)を、温度20〜26℃、湿度35〜65%の環境制御飼育装置(日本クレア製)で、固型飼料および水道水を与え、照明時間7:00〜19:00の条件下で、予備飼育後に使用した。
(3)試験方法
1)能動感作モルモットの作製
6週齢のモルモットの背部皮下と腹腔内に抗原液(卵白アルブミン50mg/mL:シグマ化学製)を0.5mLずつ投与して免疫する。1週間後、同量の抗原を同様に投与して追加免疫を施す。追加免疫の7〜9日後、約24時間絶食し、能動感作モルモットとして試験に供する。
2)抗原によるくしゃみの誘発
感作動物の健康状態を点検して選抜後、1群5匹の体重が平均化するように振り分ける。次いで、モルモットの両側鼻腔内に抗原液(50mg/mL)を0.1mLずつ点鼻する。以後15分間の症状観察を行い、くしゃみの回数を計測して、抗原誘発性鼻症状の強度とする。
3)被験物質の抑制作用
被験物質は経口ゾンデを用いて、前項2)の抗原点鼻1時間前に投与する。くしゃみの抑制率(%)はいずれも下式より算出する。
(4)試験結果
塩酸プソイドエフェドリン[P(mg/Kg)]とマレイン酸クロルフェニラミン[C(mg/Kg)]の各単剤および組合せにおけるくしゃみ抑制率の結果を表5に示す。
(表5)
P投与量 C投与量 P単剤抑制率% C単剤抑制率% P+C抑制率%
33 0.01 0 0 38
33 0.1 0 0 90
33 1.0 0 11 100
塩酸プソイドエフェドリン又はマレイン酸クロルフェニラミン単独では、くしゃみ抑制効果を発現しない低用量においても、両者を組み合わせることにより、優れたくしゃみ抑制効果を示した。
塩酸プソイドエフェドリン[P(mg/Kg)]と塩酸エピナスチン[E(mg/Kg)]の各単剤および組合せにおけるくしゃみ抑制率の結果を表6に示す。
(表6)
P投与量 E投与量 P単剤抑制率% E単剤抑制率% P+E抑制率%
33 0.0033 0 − 52
33 0.033 0 0 96
33 0.33 0 75 87
塩酸プソイドエフェドリン又は塩酸エピナスチン単独では、くしゃみ抑制効果を発現しない低用量においても、両者を組み合わせることにより、優れたくしゃみ抑制効果を示した。
塩酸プソイドエフェドリン[P(mg/Kg)]とフマル酸ケトチフェン[K(mg/Kg)]の各単剤および組合せにおけるくしゃみ抑制率の結果を表7に示す。
(表7)
P投与量 K投与量 P単剤抑制率% K単剤抑制率% P+K抑制率%
33 0.01 0 1 35
33 0.1 0 82 96
塩酸プソイドエフェドリンとフマル酸ケトチフェンを組み合わせることにより、くしゃみ抑制効果の改善を示した。

Claims (1)

  1. 有効成分として、塩酸プソイドエフェドリン及び塩酸エピナスチンを含有する、くしゃみの抑制に用いることを特徴とする医薬組成物
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