以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。図2は、図1の平面図である。図3は、図2を矢印IIIの方向から見た図である。
図1〜図3に示すように、プリンタ1(液体吐出装置)は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3(液体吐出ヘッド)、UV照射装置4a、4b、5a、5b、搬送ローラ6〜9(相対移動手段)、プラテン10などを備えている。また、プリンタ1の動作は、制御装置20によって制御されている。
キャリッジ2は、走査方向(図1の左右方向、主走査方向)に延びたガイド軸13に沿って、走査方向と平行に往復移動する。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2の下面に配置されており(キャリッジ2に担持されており)、その下面に形成された複数のノズル15から記録用紙P(吐出対象)に向かってUV硬化性(光硬化性)のインク(液体)を吐出する。
複数のノズル15は、紙送り方向(図3の上下方向、主走査方向と直交(交差)する副走査方向)に配列されて1つのノズル列16を構成しており、このようなノズル列16が走査方向に4列に配列されている。そして、これら4列のノズル列16を構成するノズル15からは、図3の左側に配置されているものから順に、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタのインクを吐出する。すなわち、インクジェットヘッド3は、これら4種類のインクを選択的に吐出することができるように構成されている。
UV照射照射装置4a、4bは、それぞれ、紙送り方向に関してノズル列16の2分の1程度の長さを有しており、図1におけるキャリッジ2の右側における、走査方向から見てノズル列16(複数のノズル15)と重なる部分に配置されている(キャリッジ2に担持されている)とともに、紙送り方向(主走査方向と交差する副走査方向)に配列されている。
UV照射装置5a、5bは、紙送り方向に関して、UV照射装置4a、4bと同じ長さ(ノズル列16の2分の1程度の長さ)を有しており、図1におけるキャリッジ2の左側における、走査方向から見て複数のノズル列16と重なる部分に配置されているとともに、紙送り方向に配列されている。すなわち、UV照射装置4a、4b、5a、5bは、インクジェットヘッド3の走査方向に関する両側に配置されており、当該両側において紙送り方向に配列されている。
そして、UV照射装置4a、4b、5a、5bがこのように配置されることにより、紙送り方向に関して、UV照射装置4a、4bとUV照射装置5a、5bとが同じ位置に配置される。また、紙送り方向に関するUV照射装置4aとUV照射装置4bとの間隔(UV照射装置4aの中心とUV照射装置4bの中心との距離)、及び、UV照射装置5aとUV照射装置5bとの間隔(UV照射装置5aの中心とUV照射装置5bの中心との距離)が、ともにd1(具体的には、ノズル列16の2分の1程度の長さ)となっている。UV照射装置4a、4b、5a、5bは、それぞれ、記録用紙Pに向かって紫外線(UV)を照射する。
搬送ローラ6〜9は、記録用紙Pを紙送り方向に搬送させる。これにより、プリンタ1においては、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4と、記録用紙Pとを、紙送り方向に相対移動させることが可能となっている。プラテン10は、キャリッジ2の下方に、キャリッジ2(インクジェットヘッド3、UV照射装置4a、4b、5a、5b)と対向するように配置されており、搬送ローラ6〜9により搬送される記録用紙Pを下方から支持する。
次に、プリンタ1の動作を制御する制御装置20について説明する。図4は、制御装置20のブロック図である。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなり、これらが、キャリッジ制御部22、ヘッド制御部23、UV照射制御部24、用紙搬送制御部25などとして動作する。
キャリッジ制御部22は、記録用紙Pへの印刷などを行う際のキャリッジ2の動作を制御する。ヘッド制御部23は、記録用紙Pへの印刷などを行う際のインクジェットヘッド3の動作を制御する。UV照射制御部24は、記録用紙Pへの印刷などを行う際のUV照射装置4a、4b、5a、5bの動作を個別に制御する。用紙搬送制御部25は、記録用紙Pへの印刷などを行う際の搬送ローラ6〜9の動作を制御する。
ここで、制御装置20には、外部から、記録用紙Pにおけるインクを着弾させる位置(着弾位置)、各着弾位置に吐出させるインクの種類及び体積の情報などを含む、記録用紙Pにおけるインクの着弾態様を示す印刷データが入力される。そして、制御装置20の各部分22〜25は、以下に説明するように、入力された印刷データが示す着弾態様で記録用紙Pに印刷が行われるように、プリンタ1の各部分の動作を制御する。
次に、記録用紙Pに印刷を行う際のプリンタ1の動作について説明する。図5は、記録用紙Pに印刷を行う際のプリンタ1の動作を示す図である。なお、図5においては、記録用紙Pにおけるインクを着弾させる領域A1〜A3、及び、UV照射装置4a、4b、5a、5bのうち紫外線を照射させているものに、ハッチングを付している。
プリンタ1において記録用紙Pに印刷を行う際には、制御装置20により制御を行って、搬送ローラ6〜9により、記録用紙Pを紙送り方向にUV照射装置4aとUV照射装置4b(UV照射装置5aとUV照射装置5b)との間隔と同じ長さd1ずつ搬送させ、記録用紙Pを長さd1だけ搬送させる毎に、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、UV照射装置4a、4b、5a、5bから以下に説明するように適宜紫外線を照射させる。
より詳細には、図5(a)に示すように、キャリッジ2(インクジェットヘッド3、UV照射装置4)を図5の右方に移動させながら、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置5a、5bから領域A2に紫外線を照射させる。これにより、記録用紙Pの領域A2にインクを着弾させるとともに、領域A2に着弾させたインクを硬化させる。
ここで、本実施の形態では、記録用紙Pを紙送り方向に長さd1ずつ搬送する毎に、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともにUV照射装置4から紫外線を照射させているので、領域A2の図3における略下半分は、記録用紙Pの領域A2の前にインクを着弾させた領域A1の図3における略上半分と重なる。
そして、このとき、UV照射装置5a、5bが、キャリッジ2の図5における左側(キャリッジ2の移動方向の上流側)に位置しているため、UV照射装置5a、5bは、記録用紙Pの領域A2の各部分にインクを着弾させた直後に、そのインクを着弾させた部分と対向することとなる。したがって、領域A2に着弾させたインクを記録用紙Pに浸透する途中に硬化させることができる、あるいは、完全に硬化させることができない場合でも仮硬化させることはできるので、着弾させたインクの縁がぼやけてしまうのを防止することができる。
また、このとき、UV照射装置5bからは、領域A2のうち領域A1と重なる部分に紫外線を照射させるため、領域A1の領域A2と重なる部分に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置5bから照射させた紫外線により、領域A2に着弾させたインクとともに、領域A1の領域A2と重なる部分に着弾させた仮硬化の状態のインクも硬化させることができる。
さらに、このとき、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッド3の移動方向の下流側)に位置するUV照射装置4bからも紫外線を照射させる。これにより、領域A1に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置4bから領域A1に紫外線を照射させて、領域A1に着弾させた仮硬化の状態のインクを硬化させることができる。
ただし、このとき、インクジェットヘッド3の右側に位置し、且つ、図5の最も上方(紙送り方向に関する最も上流側)の端に位置するUV照射装置4aからの紫外線の照射を停止させる。記録用紙PのUV照射装置4aと対向する領域には、まだインクを着弾させていないため、UV照射装置4aから紫外線を照射させても、記録用紙Pのまだインクを着弾させていない領域に紫外線を照射させることになるだけで、記録用紙Pに着弾させたインクを硬化させることができない。したがって、UV照射装置4aからの紫外線の照射を停止させることによって、UV照射装置4aにおける消費電力を低減することができる。
ここで、本実施の形態とは異なり、UV照射装置4aとUV照射装置4bとが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が配置されている場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させれば、UV照射装置4aに対応する部分からも紫外線を照射させることになり、その分UV照射装置における消費電力が大きくなってしまう。
一方、このUV照射装置から紫外線を照射させない場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させない分、領域A1の領域A2と重なる部分に照射させる紫外線の光量が少なくなってしまい、当該領域に着弾させたインクを十分に硬化させることができない虞がある。
しかしながら、本実施の形態では、上述のように、UV照射装置4aとUV照射装置4bとが紙送り方向に配列されているとともに、UV照射装置4a、4bからの紫外線の照射を個別に制御することができるため、UV照射装置4bから、領域A1の領域A2と重なる部分に紫外線を照射させて当該領域のインクを確実に硬化させることができるとともに、まだインクを着弾させていない部分と対向するUV照射装置4aからの紫外線の照射を停止させることにより、UV照射装置4aの消費電力を低減することができる。
次に、図5(b)に示すように、搬送ローラ6〜9に、記録用紙Pを紙送り方向にUV照射装置4aとUV照射装置4bとの間隔(UV照射装置5aとUV照射装置5bとの間隔)と同じ長さd1だけ搬送させてから、キャリッジ2を図5の左方に移動させながら、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置4a、4bから領域A3に紫外線を照射させる。これにより、記録用紙Pの領域A3にインクを着弾させるとともに、着弾させたインクを硬化させる。
ここで、本実施の形態では、記録用紙Pを紙送り方向にd1ずつ搬送する毎に、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともにUV照射装置4から紫外線を照射させているので、領域A3の図3における略下半分が、記録用紙Pの領域A3の前にインクを着弾させた領域A2の図3における略上半分と重なる。
そして、このとき、UV照射装置4a、4bが、キャリッジ2の図5の右側(キャリッジ2の移動方向の上流側)に位置しているため、UV照射装置4a、4bは、記録用紙Pの領域A2の各部分にインクを着弾させた直後に、そのインクを着弾させた部分と対向することとなる。したがって、領域A3に着弾させたインクを記録用紙Pに浸透する途中に硬化させることができる、あるいは、完全に硬化させることができない場合でも仮硬化させることはできるので、着弾させたインクの縁がぼやけてしまうのを防止することができる。
また、このとき、UV照射装置4bからは、領域A3のうち領域A2と重なる部分に紫外線を照射させるため、領域A2の領域A3と重なる部分に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置4bから照射させた紫外線により、領域A3に着弾させたインクとともに、領域A2の領域A3と重なる部分に着弾させた仮硬化の状態のインクを硬化させることができる。
さらに、このとき、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の下流側)に位置するUV照射装置5bからも紫外線を照射させる。これにより、領域A2に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置5bから領域A2に紫外線を照射させて、領域A2上のインクを硬化させることができる。
ただし、このとき、インクジェットヘッド3の左側に位置し、且つ、図5の最も上方(紙送り方向に関する最も上流側の端)に位置するUV照射装置5aからの紫外線の照射を停止させる。記録用紙PのUV照射装置5aと対向する部分には、まだインクを着弾させていないため、UV照射装置5aから紫外線を照射させても、記録用紙Pのまだインクを着弾させていない領域に紫外線を照射させることになるだけで、記録用紙Pに着弾させたインクを硬化させることができない。したがって、UV照射装置5aからの紫外線の照射を停止させることによって、UV照射装置5aにおける消費電力を低減することができる。
ここで、本実施の形態とは異なり、UV照射装置5aとUV照射装置5bとが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が配置されている場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させれば、UV照射装置5aに対応する部分からも紫外線を照射させることになり、その分UV照射装置における消費電力が大きくなってしまう。
一方、このUV照射装置から紫外線を照射させない場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させない分、領域A2の領域A3と重なる部分に照射させる紫外線の光量が少なくなってしまい、当該領域においてインクが十分に硬化しない虞がある。
しかしながら、本実施の形態では、上述のように、UV照射装置5aとUV照射装置5bとが紙送り方向に配列されているとともに、UV照射装置5a、5bからの紫外線の照射を個別に制御することができるため、UV照射装置5bから、領域A2の領域A3と重なる部分に紫外線を照射させて当該領域のインクを確実に硬化させることができるとともに、まだインクが着弾していない部分と対向するUV照射装置5aからの紫外線の照射を停止させることにより、消費電力を低減することができる。
そして、以上に説明した動作の前及びその後においても同様の動作を繰り返すことにより、記録用紙Pに印刷を行う。また、このように記録用紙Pへの印刷を行うことにより、記録用紙Pの各領域には2回ずつインクジェットヘッド3からインクが吐出されることとなり、これにより記録用紙Pにノズル15の間隔の2倍の解像度(例えば、ノズル15の間隔が150dpiの場合には300dpiの解像度)で印刷が行われる。
以上に説明した実施の形態によると、UV照射装置4aとUV照射装置4bとが、走査方向から見てノズル列16と重なる位置に配置されているとともに、紙送り方向に配列されており、UV照射装置4a、4b、5a、5bからの紫外線の照射を個別に制御することができる。
したがって、記録用紙Pを紙送り方向にUV照射装置4aとUV照射装置4bとの間隔(UV照射装置5aとUV照射装置5bとの間隔)とほぼ同じ長さd1ずつ搬送し、記録用紙Pを搬送する毎にインクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、UV照射装置4a、4b、5a、5bから適宜紫外線を照射させて記録用紙Pに印刷を行う際に、キャリッジ2の移動方向の下流側に位置するUV照射装置のうち、紙送り方向に関する上流側の端に位置するものを除いたUV照射装置(UV照射装置4bあるいはUV照射装置5b)から紫外線を照射させることにより、その前にインクを着弾させた領域に紫外線を照射させて、当該領域に着弾させたインクを確実に硬化させることができる。
一方、記録用紙Pのまだインクを着弾させていない領域と対向する、キャリッジ2の移動方向の下流側に位置するUV照射装置のうち紙送り方向に関する上流側の端に位置するもの(UV照射装置4aあるいはUV照射装置5a)からの紫外線の照射を停止させることにより、UV照射装置4a、5aにおける消費電力を低減することができる。
また、UV照射装置4a、4b、5a、5bのうち、キャリッジ2の移動方向の上流側に位置するものは、記録用紙Pの各部分にインクを着弾させた直後にそのインクを着弾させた部分と対向することとなる。したがって、記録用紙Pの各部分に着弾させたインクを記録用紙Pに浸透する途中に硬化させることができる、あるいは、完全に硬化させることができない場合でも仮硬化させることはできるので、着弾させたインクの縁がぼやけてしまうのを防止することができる。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
上述の実施の形態では、インクジェットヘッド3の右側にそれぞれ、2つのUV照射装置4a、4b、及び、2つのUV照射装置5a、5bが配置されていたが、これには限られない。
一変形例では、図6に示すように、プリンタ30において、紙送り方向に関してノズル列16の4分の1程度の長さを有するUV照射照射装置34a〜34dが、図6におけるキャリッジ2の右側における、走査方向から見てノズル列16と重なる部分に配置されているとともに、紙送り方向に沿って等間隔に配列されている。また、紙送り方向に関してUV照射装置34a〜34dと同じ長さ(ノズル列16の4分の1程度の長さ)を有するUV照射装置35a〜35dが、図6におけるキャリッジ2の左側における、走査方向から見てノズル列16と重なる部分に配置されているとともに、紙送り方向に配列されている。すなわち、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dは、インクジェットヘッド3の走査方向に関する両側に配置されており、当該両側において紙送り方向に等間隔に配列されている。
そして、UV照射装置34a〜34dがこのように配置されることにより、紙送り方向に関してUV照射装置34a〜34bとUV照射装置35a〜35dとが同じ位置に配置されており、紙送り方向に関するUV照射装置34a〜34dの間隔(UV照射装置34a〜34dの中心間の距離)、及び、UV照射装置35a〜35dの間隔(UV照射装置35a〜35dの中心間の距離)が、ともにd2(具体的には、ノズル列16の4分の1程度の長さ)となっている。また、制御装置20のUV照射制御部24(図4参照)が、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dにおける紫外線の照射を個別に制御する(変形例1)。
プリンタ30において記録用紙Pに印刷を行う際には、制御装置20により制御を行って、搬送ローラ6〜9に記録用紙Pを紙送り方向に、UV照射装置34a〜34d(UV照射装置35a〜35d)の間隔と同じ長さd2ずつ搬送させ、記録用紙Pを搬送させる毎に、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dから以下に説明するように適宜紫外線を照射させる。
より詳細には、図7(a)に示すように、キャリッジ2(インクジェットヘッド3、UV照射装置34a〜34d、35a〜35d)を図7の右方に移動させながら、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置35a〜35dから領域B2に紫外線を照射させる。これにより、記録用紙Pの領域B2にインクを着弾させるとともに、着弾させたインクを硬化させる。
ここで、変形例1では、記録用紙Pを紙送り方向にd2ずつ搬送する毎に、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともにUV照射装置4から紫外線を照射させているので、領域B2の図7における略下4分の3は、記録用紙Pの領域B2の前にインクを着弾させた領域B1の図7における略上4分の3と重なる。
そして、このとき、UV照射装置35a〜35dが、キャリッジ2の図7の左側(キャリッジ2の移動方向の上流側)に位置しているため、UV照射装置35a〜35dは、記録用紙Pの領域B2の各部分にインクを着弾させた直後に、そのインクを着弾させた部分と対向することとなる。したがって、領域B2に着弾させたインクを記録用紙Pに浸透する途中に硬化させることができる、あるいは、完全に硬化させることができない場合でも仮硬化させることはできるので、着弾させたインクの縁がぼやけてしまうのを防止することができる。
また、このとき、UV照射装置35b〜35dからは、領域B2のうち、領域B2の前にインクを着弾させた領域B1と重なる部分に紫外線を照射させるため、領域B1の領域B2と重なる部分に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置35b〜35dから照射させた紫外線により、領域B2に着弾させたインクとともに、領域B1の領域B2と重なる部分に着弾させた仮硬化の状態のインクを硬化させることができる。
さらに、このとき、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッド3の移動方向の下流側)に位置するUV照射装置34b〜34dからも紫外線を照射させる。これにより、領域B1に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置34b〜34dから領域B1に紫外線を照射させて、領域B1に着弾させたのインクを硬化させることができる。
ただし、このとき、インクジェットヘッド3の右側に位置し、且つ、図7の最も上方(紙送り方向に関する最も上流側の端)に位置するUV照射装置34aからの紫外線の照射を停止させる。記録用紙PのUV照射装置34aと対向する部分には、まだインクを着弾させていないため、UV照射装置34aから紫外線を照射させても、記録用紙Pのまだインクを着弾させていない領域に紫外線を照射させることになるだけで、記録用紙Pに着弾させたインクを硬化させることができない。したがって、UV照射装置34aからの紫外線の照射を停止させることによって、UV照射装置34aにおける消費電力を低減することができる。
ここで、本実施の形態とは異なり、UV照射装置34a〜34dが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が配置されている場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させれば、UV照射装置34aが配置されていた部分からも紫外線を照射させることになり、その分UV照射装置における消費電力が大きくなってしまう。
一方、このUV照射装置から紫外線を照射させない場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させない分、領域B1の領域B2と重なる部分に照射させる紫外線の光量が少なくなってしまい、当該領域においてインクが十分に硬化しない虞がある。
しかしながら、本実施の形態では、上述のように、UV照射装置34a〜34dが紙送り方向に配列されているため、UV照射装置34b〜34dから、領域B1の領域B2と重なる部分に紫外線を照射させて当該領域のインクを確実に硬化させることができるとともに、まだインクを着弾させていない部分と対向するUV照射装置34aからの紫外線の照射を停止させることにより、消費電力を低減することができる。
次に、図7(b)に示すように、搬送ローラ6〜9に、記録用紙Pを紙送り方向にUV照射装置34a〜34dの間隔(UV照射装置35a〜35dの間隔)と同じ長さd2だけ搬送させ、キャリッジ2を図7の左方に移動させながら、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置34a〜34dから領域B3に紫外線を照射させる。これにより、記録用紙Pの領域B3にインクを着弾させるとともに、着弾させたインクを硬化させる。
ここで、変形例1では、記録用紙Pを紙送り方向にd2ずつ搬送する毎に、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともにUV照射装置4から紫外線を照射させているので、領域B3の図7における略下4分の3は、記録用紙Pの領域B3の前にインクを着弾させた領域B2の図7における略上4分の3と重なる。さらに、領域B3の図7における略下半分は、領域B1の図7における略上半分とも重なる。
そして、このとき、UV照射装置34a〜34dが、キャリッジ2の図7の右側(キャリッジ2の移動方向の上流側)に位置しているため、UV照射装置34a〜34dは、記録用紙Pの領域B3の各部分にインクを着弾させた直後に、そのインクを着弾させた部分と対向することとなる。したがって、領域B3に着弾させたインクを記録用紙Pに浸透する途中に硬化させることができる、あるいは、完全に硬化させることができない場合でも仮硬化させることはできるので、着弾させたインクの縁がぼやけてしまうのを防止することができる。
また、このとき、UV照射装置34b〜34dからは、領域B3のうち、領域B3の前にインクを着弾させた領域B2と重なる部分に、紫外線を照射させるため、UV照射装置34b〜34dから照射させた紫外線により、領域B3に着弾させたインクとともに、領域B2の領域B3と重なる部分に着弾させたインクを硬化させることができる。
さらに、このとき、UV照射装置34c、34dからは、領域B3のうち、領域B3の領域B2よりもさらに前にインクを着弾させた領域B1と重なる部分に、紫外線を照射させるため、UV照射装置34c、34dから照射させた紫外線により、領域B3に着弾させたインクとともに、領域B1の領域B3と重なる部分に着弾させたインクを硬化させることができる。
加えて、このとき、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の下流側)に位置するUV照射装置35b〜35dからも紫外線を照射させる。これにより、領域B2に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置35b〜35dから領域B2に紫外線を照射させて、領域B2に着弾させたのインクを硬化させることができる。さらに、領域B1に着弾させたインクが仮硬化の状態にある場合には、UV照射装置35c、35dから領域B1に紫外線を照射させて、領域B1に着弾させたインクを硬化させることができる。
ただし、このとき、インクジェットヘッド3の左側に位置し、且つ、図5の最も上方(紙送り方向に関する最も上流側の端)に位置するUV照射装置35aからの紫外線の照射を停止させる。記録用紙PのUV照射装置35aと対向する部分には、まだインクを着弾させていないため、UV照射装置35aから紫外線を照射させても、記録用紙Pに着弾させたインクを硬化させることができない。したがって、UV照射装置35aからの紫外線の照射を停止させることによって、UV照射装置35aにおける消費電力を低減することができる。
ここで、本実施の形態とは異なり、UV照射装置35a〜35dが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が配置されている場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させれば、UV照射装置35aが配置されていた部分からも紫外線を照射させることになり、その分UV照射装置における消費電力が大きくなってしまう。
一方、このUV照射装置から紫外線を照射させない場合には、このUV照射装置から紫外線を照射させない分、領域B1、B2の領域B3と重なる部分に照射させる紫外線の光量が少なくなってしまい、当該領域においてインクが十分に硬化しない虞がある。
しかしながら、本実施の形態では、上述のように、UV照射装置35a〜35dが紙送り方向に配列されているため、UV照射装置35b〜35dから、領域B1、B2の領域B3と重なる部分に紫外線を照射させて当該領域のインクを確実に硬化させることができるとともに、まだインクが着弾していない部分と対向するUV照射装置35aからの紫外線の照射を停止させることにより、消費電力を低減することができる。
そして、以上に説明した動作の前及びその後においても同様の動作を繰り返すことにより、記録用紙Pに印刷を行う。また、このように記録用紙Pへの印刷を行うことにより、記録用紙Pの各領域には4回ずつインクジェットヘッド3からインクが吐出されることとなり、これにより記録用紙Pにノズル15の間隔の4倍の解像度(例えば、ノズル15の間隔が150dpiの場合には600dpiの解像度)で印刷が行われる。
また、複数のUV照射装置における紫外線の照射様態の制御は、上述のものには限られない。
別の一変形例では、例えば、印刷データが、記録用紙Pにおける図8に示す領域C(着弾位置)にインクを着弾させることを示すものであり、記録用紙Pに印刷を行う際、図8に示すように、キャリッジ2(インクジェットヘッド3、UV照射装置34a〜34d、35a〜35d)を図8の右方に移動させ、インクジェットヘッド3が領域C上に位置にきたときに、インクジェットヘッド3からインクを吐出させて、領域Cにインクを着弾させる。すなわち、入力された印刷データが示す着弾態様で、着弾位置にインクを着弾させる。
さらに、キャリッジ2を右方に移動させて、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置35a〜35dが領域C上にきたときに、これらのUV照射装置35a〜35dのうち、領域Cと対向するUV照射装置35b、35cのみから紫外線を照射させ、領域Cと対向しないUV照射装置35a、35dからの紫外線の照射を停止させる。また、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッドの移動方向の下流側)に位置するUV照射装置34a〜34dからの紫外線の照射も停止させる(変形例2)。
ここで、変形例2とは異なり、UV照射装置35a〜35dが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が設けられている場合には、領域Cに着弾させたインクを硬化させるためには、このUV照射装置から紫外線を照射させる必要があるが、その場合には、このUV照射装置のうち、領域Cと対向しない領域にも紫外線を照射させることとなり、その分UV照射装置における消費電力が大きくなる。
しかしながら、変形例2では、UV照射装置35a〜35dが紙送り方向に配列されているとともに、UV照射装置35a〜35dからの紫外線の照射を個別に制御することができるので、領域Cと対向するUV照射装置35b、35cから紫外線を照射させることにより領域Cに着弾させたインクを硬化させることができるとともに、領域Cとは対向しないUV照射装置35a、35dからの紫外線の照射を停止させることにより、UV照射装置35a、35dの消費電力を低減することができる。そして、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dを個別に制御することにより、このように、記録用紙Pの各部分に照射させる紫外線の光量を柔軟に変化させることができる。
なお、変形例2では、キャリッジ2(インクジェットヘッド3、UV照射装置34a〜34d、35a〜35d)を左方に移動させ、インクジェットヘッド3が領域C上にきたときに、インクジェットヘッド3から領域Cにインクを吐出させてもよい。この場合には、さらに、キャリッジ2を右方に移動させ、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置34a〜34dが領域C上にきたときに、領域Cと対向するUV照射装置34b、34cのみから紫外線を照射させ、UV照射装置34a、34dからの紫外線の照射を停止させればよい。なお、この場合には、UV照射装置35a〜35dからの紫外線の照射も停止させる。
別の一変形例では、例えば、印刷データが、記録用紙Pにおける図9に示す領域D1、D2(着弾位置)に、例えばカラーインクとブラックインクなど、互いに異なる種類のインクを着弾させることを示すものであり、領域D1に着弾させるインクが、領域D2に着弾させるインクよりも、硬化させるために多くの光量の紫外線を照射する必要のあるもの(硬化しにくいもの)となっている。
そして、記録用紙Pに印刷を行う際には、図9(a)に示すように、キャリッジ2を図9の右方に移動させ、インクジェットヘッド3が領域D1、D2上にきたときに、インクジェットヘッド3から領域D1、D2にそれぞれ対応する種類のインクを吐出させる。すなわち、入力された印刷データが示す着弾態様で、着弾位置にインクを着弾させる。
さらに、キャリッジ2を右方に移動させ、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置35a〜35dが、領域D1、D2上にきたときに、これらのUV照射装置35a〜35dのうち、領域D2と対向するUV照射装置35a、35dから、領域D2に着弾させたインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させるとともに、領域D1と対向するUV照射装置35b、35cから、UV照射装置35a、35dからよりも強度の強い、領域D1に着弾させたインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させる。すなわち、印刷データが示す着弾態様に対応した強度(光量)の紫外線を着弾位置に照射させる。なお、このとき、他のUV照射装置34a〜34dからの紫外線の照射を停止させる(変形例3)。
ここで、変形例3とは異なり、UV照射装置35a〜35dが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が設けられている場合には、領域D1、D2に着弾させたインクを硬化させるためには、このUV照射装置から紫外線を照射させる必要がある。
しかしながら、このUV照射装置から、領域D1に着弾したインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させると、領域D2には過剰に紫外線を照射させることになり、UV照射装置の消費電力が大きくなってしまう。
一方、このUV照射装置から、領域D2に着弾したインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させると、領域D1にはインクを硬化させるのに十分な強度(光量)の紫外線が照射されず、領域D1に着弾させたインクを硬化させることができない虞がある。
しかしながら、変形例3では、UV照射装置35a〜35dが紙送り方向に配列されているとともに、UV照射装置35a〜35dからの紫外線の照射を個別に制御することができるので、領域D2と対向するUV照射装置35a、35dから、領域D2に着弾させたインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させるとともに、領域D1と対向するUV照射装置35b、35cから、領域D1に着弾させたインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させることにより、領域D1、D2に着弾させたインクを確実に硬化させることができるとともに、UV照射装置35a〜35dの消費電力を低減することができる。そして、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dを個別に制御することにより、このように、記録用紙Pの各部分に照射させる紫外線の強度(光量)を柔軟に変化させることができる。
なお、変形例3では、キャリッジ2を図9の左方に移動させ、インクジェットヘッド3が領域D1、D2上にきたときに、インクジェットヘッド3から領域D1、D2にインクを吐出してもよい。この場合には、さらにキャリッジ2を図9の左方に移動させ、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置34a〜34dが領域D1、D2上にきたときに、領域D2と対向するUV照射装置34a、34dから、領域D2に着弾させたインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させ、領域D1と対向するUV照射装置34b、34cから、UV照射装置34a、34dよりも強い、領域D1に着弾させたインクを硬化させるのに必要な強度の紫外線を照射させればよい。なお、このとき、他のUV照射装置35a〜35dからの紫外線の照射は停止させる。
また、変形例3では、上述したのとは逆に、領域D2に着弾させるインクが、領域D1に着弾させるインクよりも、硬化させるために多くの光量の紫外線を照射する必要のあるものとなっていてもよい。この場合には、領域D1と対向することとなるUV照射装置35b、35cから照射させる紫外線の強度と、領域D2と対向することとなるUV照射装置35a、35dから照射させる紫外線の強度の大小関係を、上述したのと逆にすればよい。
別の一変形例では、印刷データが、変形例3と同様、記録用紙Pにおける図10に示す領域D1、D2(着弾位置)に、互いに異なる種類のインクを着弾させることを示すものであり、領域D1に着弾させるインクが、領域D2に着弾させるインクよりも、硬化させるために多くの光量の紫外線を照射する必要があるもの(硬化しにくいもの)となっている。
そして、記録用紙Pに印刷を行う際に、図10(a)に示すように、キャリッジ2(インクジェットヘッド3、UV照射装置34a〜34d、35a〜35d)を図10の右方に移動させ、インクジェットヘッド3が領域D1、D2上にきたときに、変形例3と同様、インクジェットヘッド3からインクを吐出させる。すなわち、入力された印刷データが示す着弾態様で、着弾位置にインクを着弾させる。
さらに、キャリッジ2を図10の右方に移動させ、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置35a〜35dが領域D1、D2上にきたときに、領域D1、D2と対向するUV照射装置35a〜35dから紫外線を照射させる。ここで、UV照射装置35a〜35dから照射させる紫外線の強度は全て同じである。なお、UV証照射装置34a〜34dからの紫外線の照射を停止させる。
これにより、硬化させるのに必要な紫外線の光量の少ないインクが着弾した領域D2のインクが硬化するが、硬化させるのに必要な紫外線の光量の多いインクが着弾した領域D1のインクは十分には硬化していない(仮硬化の状態となっている)。
続いて、図10(b)に示すように、搬送ローラ6〜9により記録用紙Pを紙送り方向に長さd2だけ搬送させてから、キャリッジ2を図10の左方に移動させ、インクジェットヘッド3の左側(インクジェットヘッド3の移動方向の下流側)に位置するUV照射装置35a〜35dが領域D1、D2上にきたときに、領域D1と対向するUV照射装置35c、35dのみから紫外線を照射させ、UV証照射装置35a、35bからの紫外線の照射を停止させる。なお、このとき、UV照射装置34a〜34dからの紫外線の照射も停止させる。
続いて、図10(c)に示すように、キャリッジ2をさらに図10の左方に移動させ、インクジェットヘッド3の右側(インクジェットヘッド3の移動方向の上流側)に位置するUV照射装置34a〜34dが領域D1、D2上にきたときに、領域D1と対向するUV照射装置34c、34dのみから紫外線を照射させ、UV証照射装置34a、34bからの紫外線の照射を停止させる。なお、このとき、UV照射装置35a〜35dからの紫外線の照射も停止させる。(変形例4)。
これにより、硬化させるのに必要な紫外線の光量の多いインクが着弾した領域D1には3回紫外線が照射され、領域D1に着弾したインクが硬化する。
このように、変形例4では、硬化させるのに必要な紫外線の光量の多いインクが着弾した領域D1に3回紫外線をさせ、硬化させるのに必要な紫外線の光量が少ない領域D2に、1回だけ紫外線を照射させる。すなわち、印刷データが示す着弾態様に対応した回数だけ、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dから着弾位置に紫外線を照射させる(印刷データが示す着弾態様に対応した光量の紫外線を照射させる)。
ここで、変形例4とは異なり、UV照射装置34a〜34dが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が設けられており、UV照射装置35a〜35dが別々に設けられておらず、代わりに走査方向から見てノズル列16の全域と対向するような1つのUV照射装置が設けられている場合には、領域D1、D2に着弾させたインクを硬化させるためには、これらのUV照射装置から紫外線を照射させる必要がある。
しかしながら、図10(b)(c)に示す状態で、これらのUV照射装置から紫外線を照射させると、領域D2には過剰に紫外線を照射させることになり、その分UV照射装置の消費電力が大きくなってしまう。
一方、このUV照射装置から、図10(b)(c)の状態で、これらの照射装置から紫外線を照射させないと、領域D1に着弾したインクを完全に硬化させることができない虞がある。
しかしながら、変形例4では、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dが、それぞれ紙送り方向に配列されているとともに、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dからの紫外線の照射を個別に制御することができるので、領域D1に紫外線を照射させる回数(光量)を、領域D2に紫外線を照射させる回数(光量)よりも多くすることができ、領域D1、D2に着弾させたインクを確実に硬化させることができるとともに、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dの消費電力を低減することができる。そして、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dを個別に制御することにより、このように、記録用紙Pの各部分に紫外線を照射させる回数(照射させる紫外線の光量)を柔軟に変化させることができる。
なお、変形例4では、領域D1に着弾させたインクに2回紫外線を照射させることで、領域D1に着弾させたインクを完全に硬化させることができる場合には、図10(a)に示す紫外線の照射を行った後、図10(b)(c)のいずれか一方に示す紫外線の照射のみを行えばよい。
また、変形例3、4では、領域D1と領域D2に硬化させるのに必要な紫外線の光量が異なるインクを着弾させていたが、これには限られない。例えば、領域D1、D2に着弾させるインクの種類は同じであるが、領域D1に着弾させるインクの体積が、領域D2に着弾させるインクの体積よりも大きい場合や、領域D1、D2に着弾させるインクの種類は同じであるが、領域D1に単位面積あたり着弾させるインクの数(着弾位置の数)が、領域D2に単位面積あたり着弾させるインクの数よりも大きい場合などでも、領域D1に着弾させたインクを硬化させるために照射する必要のある紫外線の光量が、領域D2よりも多くなる。
したがって、このような場合にも、変形例3、4と同様にしてUV照射装置34a〜34d、35a〜35dから記録用紙Pに紫外線を照射させることにより、領域D1、D2に着弾させたインクを確実に硬化させることができるとともに、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dの消費電力を低減することができる。
また、変形例3、4では、記録用紙P上の2つの領域D1、D2の間で、硬化させるのに照射する必要のある紫外線の光量が互いに異なっていたが、記録用紙P上の3つ以上の領域の間で、硬化させるのに照射する必要のある紫外線の光量が互いに異なっていてもよい。この場合にも、上述したように、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dから照射させる紫外線の強度を個別に変える、あるいは、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dの一部のみから紫外線を照射させて、記録用紙Pの各領域に紫外線を照射させる回数を変えるなどすることにより、各領域に、その領域における着弾態様に対応する光量の紫外線を照射させて、着弾させたインクを確実に硬化させることができるとともに、UV照射装置34a〜34d、35a〜35dの消費電力を低減することができる。
また、走査方向から見てノズル列16と重なる部分において、紙送り方向に配列されるUV照射装置の数は、上述の実施の形態の場合のような2個、あるいは変形例1〜4のような4個には限られず、複数のUV照射装置が3個あるいは5個以上紙送り方向に配列されていてもよい。
また、以上の説明では、走査方向から見てノズル列16と重なる部分にのみUV照射装置が配置されていたがこれには限られない。
別の一変形例では、図11に示すように、プリンタ40において、インクジェットヘッド3の右側及び左側に、それぞれ、走査方向から見てノズル列16の全域と対向するように延びたUV照射装置44、45が配置されているとともに、インクジェットヘッド3の図11における下方に、紙送り方向から見てインクジェットヘッド3及びUV照射装置44、45にまたがって延びたUV照射装置46が配置されている。ここで、UV照射装置46は、インクジェットヘッド3の右側においてUV照射装置44と紙送り方向に配列されたUV照射装置と、インクジェットヘッド3の左側においてUV照射装置45と紙送り方向に配列されたUV照射装置とが、その間の部分まで延びて一体となったものである。また、制御装置20のUV照射制御部24(図4参照)が、UV照射装置44〜46における紫外線の照射を個別に制御する(変形例5)。
この場合には、例えば、インクジェットヘッド3からインクを吐出させるとともに、UV照射装置44、45のうちインクジェットヘッド3の移動方向の上流側に位置するものから紫外線を照射させることにより、記録用紙Pに着弾させたインクを硬化させる。
そして、着弾させたインクが、上述のように硬化させるのに必要な紫外線の光量が多いものである場合、着弾させたインクの体積が大きい場合、単位面積あたりに着弾させたインクの数(着弾位置の数)が多い場合など、着弾させたインクを硬化させるのに多くの紫外線を照射する必要がある場合には、その後、UV照射装置46から紫外線を照射させる。
一方、着弾させたインクが、上述のように硬化させるのに必要な紫外線の光量が少ないものである場合、着弾させたインクの体積が小さい場合、単位面積あたりに着弾させたインクの数(着弾位置の数)が少ない場合など、着弾させたインクを硬化させるのにそれほど多くの紫外線を照射する必要がない場合には、UV照射装置44又はUV照射装置45から照射させた紫外線によりインクを硬化させることができるため、その後のUV照射装置46からの紫外線の照射を停止させる。
このとき、変形例5とは異なり、UV照射装置44とUV照射装置46、又は、UV照射装置45とUV照射装置46とが一体となっている、あるいは、UV照射装置44〜46が全て一体となっている場合には、一体となったUV照射装置のUV照射装置44あるいはUV照射装置45に対応する部分から紫外線を照射させる際に、UV照射装置46に対応する部分からも紫外線を照射させることになる。したがって、記録用紙PのUV照射装置46に対応する部分と対向する領域に紫外線を照射させる必要がない場合にも、UV照射装置のUV照射装置46に対応する部分から紫外線を照射させることになり、その分、UV照射装置の消費電力が大きくなってしまう。
さらに、一体となったUV照射装置のUV照射装置46に対応する部分から紫外線を照射させる際には、UV照射装置44、45の一方あるいは両方に対応する部分からも紫外線を照射させることとなる。したがって、記録用紙PのUV照射装置44、45の一方あるいは両方に対応する部分と対向する領域に紫外線を照射させる必要がない場合にも、UV照射装置のUV照射装置44、45の一方あるいは両方に対応する部分から紫外線を照射させることになり、その分、UV照射装置の消費電力が大きくなってしまう。
しかしながら、変形例5では、UV照射装置44とUV照射装置46、及び、UV照射装置45とUV照射装置46が、それぞれ紙送り方向に配列されているとともに、UV照射装置44、45、46における紫外線の照射を個別に制御することができるので、上述のように、着弾させたインクを硬化させるのに多くの紫外線を照射する必要がある場合には、UV照射装置44、45から紫外線を照射させた後、さらにUV照射装置46から紫外線を照射させることにより、記録用紙Pに着弾させたインクを確実に硬化させることができる。
一方、着弾させたインクが硬化させるのにそれほど多くの紫外線を照射する必要のない場合には、UV照射装置44、45から紫外線を照射させた後、UV照射装置46からの紫外線の照射を停止させることにより、UV照射装置46の消費電力を低減することができる。
また、変形例5では、UV照射装置46を、インクジェットヘッド3の図11における下方に配置しているため、UV照射装置46の走査方向に関する長さを長くすることができ、UV照射装置46から記録用紙Pに照射させる紫外線の光量を多くすることができ、記録用紙Pに着弾させたインクを確実に硬化させることができる。
別の一変形例では、図12に示すように、プリンタ50において、キャリッジ51が、紙送り方向に関して搬送ローラ6をまたいで延びており、キャリッジ51の搬送ローラ6と対向する部分には、搬送ローラ6を通すための溝51aが形成されている。また、キャリッジ51の、紙送り方向に関して溝51a(搬送ローラ6)を挟んでUV照射装置44、45と反対側にUV照射装置46が配置されている(変形例6)。
搬送ローラ6、7と搬送ローラ8、9とが、紙送り方向に大きく離隔していると、搬送ローラ6〜9に挟まれた状態で搬送される記録用紙Pが曲がってしまい、記録用紙Pにおけるインクの着弾位置がずれてしまう虞がある。
しかしながら、変形例6の場合には、キャリッジ51に搬送ローラ6を通すための溝51aが形成されているとともに、UV照射装置46が紙送り方向に関して溝51aを挟んで反対側に配置されているので、搬送ローラ6、7と搬送ローラ8、9とを近づけることができ、記録用紙Pの曲がりを防止することができる。また、変形例6においても、変形例5と同様の効果を得ることができる。
また、以上の説明では、インクジェットヘッド3の走査方向に関する両側にUV照射装置が配置されていたが、これには限られず、UV照射装置は、紙送り方向に配列されていれば、インクジェットヘッド3の走査方向に関する片側にのみ配列されていてもよいし、走査方向から見てインクジェットヘッド3と重ならない位置にのみ配置されていてもよい。
また、以上の説明では、搬送ローラ6〜9により記録用紙Pを紙送り方向に搬送させることで、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4と、記録用紙Pとを紙送り方向に相対移動させていたが、これには限られない。
例えば、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4(キャリッジ2)を紙送り方向に移動させることが可能となっており、記録用紙Pを固定した状態で、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4を紙送り方向に移動させることにより、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4と、記録用紙Pとを紙送り方向に相対移動させてもよい。なお、この場合には、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4を紙送り方向に移動させる機構などが、本発明に係る移動手段に相当する。
あるいは、搬送ローラ6〜9により記録用紙Pを紙送り方向に搬送させるとともに、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4を紙送り方向に移動させることにより、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4と、記録用紙Pとを紙送り方向に相対移動させてもよい。なお、この場合には、搬送ローラ6〜9と、インクジェットヘッド3及びUV照射装置4を紙送り方向に移動させる機構などとをあわせたものが、本発明に係る移動手段に相当する。
以上では、インクジェットヘッドから記録用紙にUV硬化性のインクを吐出することにより、記録用紙に印刷を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、インク以外の光硬化性の液体を記録用紙以外の吐出対象に吐出する液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。