JP2010154146A - アンテナシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの高騰を抑えつつ、天候に左右されることなく通信用アンテナの設置位置や指向方向を高精度で調整し得るアンテナシステムを提供する。
【解決手段】指向性を有する通信用アンテナ24と、通信用アンテナ24の設置位置を調整する調整機構と、調整機構を制御して設置位置を調整させる制御装置と、GPS信号に基づいて現在位置を測位するGPS測位部と、通信用アンテナ24の基準設置位置を特定可能な基準設置位置情報を記憶する記憶部とを備え、制御装置は、GPS測位部によって測位された現在位置Pa1と基準設置位置情報に基づいて特定した基準設置位置P0aとの位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、位置ずれ量が規定量を超えているときに、調整機構を制御して通信用アンテナ24を基準設置位置P0aに向けて移動させる位置調整処理を実行させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、指向性を有する通信用アンテナの設置位置または指向方向を調整可能に構成されたアンテナシステムに関するものである。
指向性を有する通信用アンテナを用いて2点間の無線通信を行う場合には、両通信アンテナの指向方向を予め調整しておく必要がある。この場合、指向方向の調整方法としては、一方の通信設備(通信用アンテナ)から試験信号を発射させた状態において、他方の通信設備において通信用アンテナの指向方向を変化させ、その都度、受信信号の信号レベルを測定して信号レベルが最大となる指向方向を特定する方法が知られている。しかしながら、この調整方法では、通信用アンテナの指向方向の変更および受信信号の信号レベルの測定を交互に繰り返す必要があるため、経験豊富な作業員であっても、調整作業を完了するまでに非常に長い時間を要しているという現状がある。
一方、特開平8−271561号公報には、上記の調整作業に要する時間を短縮するための工夫が成されたアンテナアライメント調整装置(以下、「調整装置」ともいう)が開示されている。この調整装置では、指向性空中線(通信用アンテナ)を用いた移動用通信装置におけるアンテナアライメントの調整に際して、受信電界強度とアンテナの指向方向との関係を測定し、受信電界強度の強弱の変化および強弱変化のパターンに基づいて、アンテナを指向すべき方向を決定する構成が採用されている。具体的には、この調整装置では、まず、指向性空中線のビーム方向(指向方向)を空中線駆動部によって走査しつつ電界強度測定部によって受信電界強度を測定し、測定した受信電界強度、測定時刻、および測定時の指向方向をデータ記録部に記録させる。次いで、アライメント制御部がデータ記録部によって記録されたデータを解析して、指向性空中線を指向させるべき指向方向を特定し、空中線駆動部を制御して、特定した方向に指向性空中線を指向させる。したがって、作業員が手作業で通信用アンテナの指向方向を変化させつつ、受信信号の信号レベルを測定する従来の調整方法と比較してアンテナの調整作業に要する時間を短縮することが可能となっている。
特開平8−271561号公報(第3−4頁、第1−6図)
ところが、従来の調整装置には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の調整装置では、指向性空中線の指向方向を変化させつつ測定した受信電界強度についてのデータを解析することによって指向性空中線を指向させるべき指向方向を決定する構成が採用されている。一方、今日では、高速なデータ通信を可能とするために、この種の無線通信回線において使用される信号の周波数が高くなる傾向がある。また、省エネルギー化を図るべく、送信用アンテナの指向性を高めつつ送信信号の空中線電力を小さくして、無線通信のエネルギー効率を高める必要も生じている。この場合、一例として、出願人が次世代の無線通信回線として開発している通信システムにおいては、その周波数が70GHz〜80GHz程度の非常に高い周波数の信号を使用すると共に、省エネルギー化を図るべく、その指向性が非常に高い通信用アンテナを使用して送信信号の空中線電力を小さくする試みが成されている。このような通信システムにおいては、従来の調整装置の構成を採用したときに、アンテナの指向方向を正確に調整することが困難となっている。
具体的には、出願人が開発している通信システムのように、指向性が非常に高い通信用アンテナを用いて、周波数が高く、しかも空中線電力が小さい信号を発射して通信する場合には、一対の通信用アンテナのうちのいずれか一方の設置位置や指向方向が僅かにずれただけでも他方の通信用アンテナから送信された信号を受信することができなくなると共に、他方の通信用アンテナに向けて発射した信号を受信させることができなくなる。したがって、従来の調整装置のように受信電界強度とアンテナの指向方向との関係を測定したとしても、所定の指向方向においては試験信号を受信することができるものの、その指向方向とは相違する方向においては試験信号を殆ど受信することができないといった極端なデータだけしか取得することができないおそれがある。このため、受信電界強度の強弱の変化および強弱変化のパターンに基づいてアンテナを指向すべき方向を特定することができず、正確に調整するのが困難であるばかりか、試験信号の送受信が可能な非常に狭い指向方向を見付け出すのが困難であることに起因してアンテナの調整作業に非常に長い時間を要するという問題点が存在する。
一方、非常に高い精度で通信用アンテナの指向方向を調整する方法として、光学式照準器等を使用してアライメントを調整する方法も考えられる。しかしながら、光学式照準器を使用してアライメントを調整する構成においては、霧が発生した状態や雨天時などにおいて照準用の光(レーザービーム等)の照射が妨げられる結果、位置合わせ作業を実施することができないという問題点がある。また、光学式照準器が非常に高価であることに起因して、通信設備(アンテナ装置)の製造コストの低減が困難となる。さらに、光学式照準器を用いて調整する構成では、極く僅かな位置ずれや指向方向のずれを高精度で調整することができるものの、地震等に起因してアンテナ装置(通信用アンテナ)が大きく位置ずれしたときには、照準すべき相手方を見つけ出すことが非常に困難となり、アンテナの調整作業に非常に長い時間を要するという問題点も存在する。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの高騰を抑えつつ、天候に左右されることなく通信用アンテナの設置位置や指向方向を高精度で調整し得るアンテナシステムを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載のアンテナシステムは、指向性を有する通信用アンテナと、当該通信用アンテナの設置位置を調整する調整機構と、当該調整機構を制御して前記設置位置を調整させる制御装置とを備えたアンテナシステムであって、GPS信号に基づいて現在位置を測位するGPS測位部と、前記通信用アンテナの基準設置位置を特定可能な基準設置位置情報を記憶する記憶部とを備え、前記制御装置が、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と前記基準設置位置情報に基づいて特定した前記基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、当該位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記通信用アンテナを当該基準設置位置に向けて移動させる位置調整処理を実行させる。
また、請求項2記載のアンテナシステムは、請求項1記載のアンテナシステムにおいて、前記調整機構が、前記通信用アンテナの指向方向を調整可能に構成され、前記記憶部が、前記通信用アンテナを指向すべき基準指向位置を特定可能な基準指向位置情報を記憶し、前記制御装置が、前記位置ずれ量が前記第1規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記位置調整処理を実行させた後に、前記ずれ量取得処理を再度実行して取得した位置ずれ量が第2規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記通信用アンテナを前記基準指向位置に向けて指向させる方向調整処理を実行させる。
また、請求項3記載のアンテナシステムは、指向性を有する通信用アンテナと、当該通信用アンテナの指向方向を調整する調整機構と、当該調整機構を制御して前記指向方向を調整させる制御装置とを備えたアンテナシステムであって、GPS信号に基づいて現在位置を測位するGPS測位部と、前記通信用アンテナの基準設置位置を特定可能な基準設置位置情報および当該通信用アンテナを指向すべき基準指向位置を特定可能な基準指向位置情報を記憶する記憶部とを備え、前記制御装置が、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と前記基準設置位置情報に基づいて特定した前記基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、当該位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記通信用アンテナを前記基準指向位置に向けて指向させる方向調整処理を実行させる。
さらに、請求項4記載のアンテナシステムは、請求項2または3記載のアンテナシステムにおいて、前記通信用アンテナの指向方向の角度変化量を検出する角度センサを備え、前記制御装置が、前記角度センサからのセンサ信号に基づいて前記通信用アンテナの指向方向を特定すると共に、当該特定した指向方向と、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と、前記基準指向位置とに基づき、当該特定した指向方向の当該基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、当該ずれ角が規定角度を超えているときに、前記調整機構を制御して前記方向調整処理を実行させる。
また、請求項5記載のアンテナシステムは、請求項2または3記載のアンテナシステムにおいて、一対の前記GPS測位部を備えると共に、当該両GPS測位部が相互に離間させられた状態で前記通信用アンテナと共に前記調整機構に取り付けられ、前記制御装置が、前記両GPS測位部のそれぞれの測位結果に基づいて前記通信用アンテナの指向方向を特定すると共に、当該特定した指向方向と、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と、前記基準指向位置とに基づき、当該特定した指向方向の当該基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、当該ずれ角が規定角度を超えているときに、前記調整機構を制御して前記方向調整処理を実行させる。
さらに、請求項6記載のアンテナシステムは、請求項1から5のいずれかに記載のアンテナシステムにおいて、前記制御装置が、前記調整機構による調整処理の完了後に前記通信用アンテナを使用した通信が規定された通信状態に復帰しなかったときに、その旨を報知する。
また、請求項7記載のアンテナシステムは、請求項1から6のいずれかに記載のアンテナシステムにおいて、加速度センサを備え、前記制御装置が、前記加速度センサからのセンサ信号に基づいて前記通信用アンテナが規定加速度を超える加速度で移動したと判別したときに、前記ずれ量取得処理を実行する。
請求項1記載のアンテナシステムによれば、制御装置が、GPS測位部によって測位された現在位置と基準設置位置情報に基づいて特定した基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、調整機構を制御して通信用アンテナを基準設置位置に向けて移動させることにより、天候の影響が小さい人工衛星からのGPS信号に基づく現在位置の測位によって通信用アンテナの位置ずれ方向および位置ずれ量を取得して、位置ずれした通信用アンテナを移動させるべき方向および移動量を確実に取得することができる。したがって、このアンテナシステムによれば、霧の発生時や雨天においても、位置ずれした通信用アンテナを基準設置位置に移動させて位置ずれに起因する通信障害を確実に解消することができる。また、このアンテナシステムによれば、高価な光学式照準器等を使用することなく通信用アンテナの設置位置を調整することができるため、製造コストの高騰を十分に抑えることができる。
請求項2記載のアンテナシステムによれば、制御装置が、通信用アンテナの位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、調整機構を制御して位置調整処理を実行させた後に、ずれ量取得処理を再度実行して取得した位置ずれ量が第2規定量を超えているときに、調整機構を制御して通信用アンテナを基準指向位置に向けて指向させる方向調整処理を実行させることにより、通信用アンテナが水平方向において回転したり垂直方向において傾いたりするように位置ずれした場合であっても、調整機構によって指向方向を調整することで位置ずれに起因する通信障害を一層確実に解消することができる。
請求項3記載のアンテナシステムによれば、制御装置が、GPS測位部によって測位された現在位置と基準設置位置情報に基づいて特定した基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、調整機構を制御して通信用アンテナを基準指向位置に向けて指向させることにより、天候の影響が小さい人工衛星からのGPS信号に基づく現在位置の測位によって通信用アンテナの位置ずれ方向および位置ずれ量を取得して、位置ずれした通信用アンテナを回動させるべき方向および角度を確実に取得することができる。したがって、このアンテナシステムによれば、霧の発生時や雨天においても、位置ずれした通信用アンテナの指向方向を調整して位置ずれに起因する通信障害を確実に解消することができる。また、このアンテナシステムによれば、高価な光学式照準器等を使用することなく通信用アンテナの指向方向を調整することができるため、製造コストの高騰を十分に抑えることができる。
請求項4記載のアンテナシステムによれば、角度センサからのセンサ信号に基づいて特定した指向方向と、GPS測位部によって測位された現在位置と、基準指向位置とに基づき、特定した指向方向の基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、ずれ角が規定角度を超えているときに、調整機構を制御して方向調整処理を実行させることにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、通信用アンテナがいずれの方向にどの程度傾いたり回転したりしたかを確実に検出して基準指向位置に向けて確実に方向調整処理することができる。
請求項5記載のアンテナシステムによれば、相互に離間させられた状態で通信用アンテナと共に調整機構に取り付けられた一対のGPS測位部を備えると共に、制御装置が、両GPS測位部のそれぞれの測位結果に基づいて通信用アンテナの指向方向を特定すると共に、特定した指向方向と、GPS測位部によって測位された現在位置と、基準指向位置とに基づき、特定した指向方向の基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、ずれ角が規定角度を超えているときに、調整機構を制御して方向調整処理を実行させることにより、人工衛星からのGPS信号に基づく現在位置の測位だけで、通信用アンテナがいずれの方向にどの程度移動してどの程度傾いたり回転したりしたかを確実に検出して基準指向位置に向けて確実に方向調整処理することができる。
請求項6記載のアンテナシステムによれば、制御装置が、調整機構による調整処理の完了後に通信用アンテナを使用した通信が規定された通信状態に復帰しなかったときに、その旨を報知することにより、調整機構によって通信用アンテナの位置ずれや指向方向のずれを調整に切れずに、通信障害を解消することができなかったときに、位置ずれに起因する通信障害が発生している通信用アンテナの設置場所に作業員を派遣して必要に応じて手動で調整処理を実行させて通信障害を解消することができる。
請求項7記載のアンテナシステムによれば、制御装置が、加速度センサからのセンサ信号に基づいて通信用アンテナが規定加速度を超える加速度で移動したと判別したときに、ずれ量取得処理を実行することにより、地震等の発生に起因して通信障害の原因となる位置ずれが生じた通信用アンテナを短時間で特定して、必要に応じて通信用アンテナの現在位置や指向方向等を調整させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るアンテナシステムの最良の形態について説明する。
図1に示す通信システム1は、本発明に係るアンテナシステムを利用した高速無線通信回線の一例であって、通信設備2にそれぞれ接続された一対のアンテナ装置3Aと、公衆回線網5を介して両アンテナ装置3Aに接続された制御装置4とを備えて構成されている。この場合、この通信システム1においては、両アンテナ装置3Aのうちのいずれか一方と制御装置4とによって本発明に係るアンテナシステムが構成されている。また、通信設備2は、アンテナ装置3Aを介してデータ通信信号Sdを送受信するための設備であって、この通信システム1では、通信設備2の近傍に上記のアンテナ装置3Aが設置されている。さらに、特に限定されるものではないが、上記の公衆回線網5は、携帯電話回線および固定電話回線等を組み合わせて構成された既存の通信網であって、一例として、両アンテナ装置3Aが携帯電話回線に接続するための図示しない通信機を備えると共に、制御装置4が固定電話回線に接続するための図示しない通信機を備えて構成されている。
アンテナ装置3Aは、図3に示すように、ベース部21、X−Y−Z移動機構22、チルト・パン機構23、通信用アンテナ24、加速度センサ25、ジャイロセンサ26、GPSアンテナ27、信号処理部28およびコントローラ29を備えて構成されている。ベース部21は、大地や建造物等に敷設されている。X−Y−Z移動機構22は、チルト・パン機構23と相俟って本発明における調整機構を構成する。このX−Y−Z移動機構22は、コントローラ29の制御に従い、一例として、上記のベース部21に対してチルト・パン機構23および通信用アンテナ24を任意のX−Y−Z方向(水平方向および垂直方法)に移動させる。チルト・パン機構23は、通信用アンテナ24と共にX−Y−Z移動機構22の移動ステージに固定されて、コントローラ29の制御に従い、通信用アンテナ24の指向方向を上下方向に移動させる(垂直方向に傾ける)チルト動作や、通信用アンテナ24の指向方向を左右方向に移動させる(水平方向に回転させる)パン動作を実行する。
通信用アンテナ24は、本発明における通信用アンテナの一例であって、一例として、その周波数が70GHz〜80GHz程度の信号を送受信可能な高指向性アンテナで構成されている。この通信用アンテナ24は、上記したように、X−Y−Z移動機構22およびチルト・パン機構23を介してベース部21に取り付けられると共に、通信設備2の送受信機(図示せず)に接続されている。加速度センサ25は、一例として、ベース部21と共に大地や建造物等の上に設置されて、地震等に起因してアンテナ装置3Aに加わった衝撃(通信用アンテナ24に加わった衝撃)を検出してセンサ信号S1を出力する。なお、この加速度センサ25については、通信用アンテナ24と共にチルト・パン機構23に取り付けることで、通信用アンテナ24に加わった衝撃を直接検出させる構成を作用することもできる。
ジャイロセンサ26は、本発明における角度センサに相当し、一例として、3Dジャイロセンサで構成されて通信用アンテナ24と共にチルト・パン機構23に取り付けられている。このジャイロセンサ26は、上記のチルト・パン機構23等の作動によって通信用アンテナ24に生じた垂直方向の傾きの量(垂直方向の角度変化量)や水平方向における回転の量(水平方向の角度変化量)を検出するだけでなく、地震等に起因してアンテナ装置3Aがベース部21ごと傾いたり回転したりした際にも、その傾き量や回転量(角度変化量)を検出してセンサ信号S4を出力する。なお、本発明における角度センサは、上記の3Dジャイロセンサで構成されたジャイロセンサ26に限定されず、通信用アンテナ24の垂直方向の角度変化量を検出するジャイロセンサと、通信用アンテナ24の水平方向の角度変化量を検出するジャイロセンサとを組み合わせて配設する構成を採用することもできる。
GPSアンテナ27は、信号処理部28と相俟って本発明におけるGPS測位部を構成する。このGPSアンテナ27は、人工衛星6a,6b・・・6n(図1参照:以下、区別しないときには「人工衛星6」ともいう)からのGPS信号Sgを受信可能に通信用アンテナ24と共にチルト・パン機構23に取り付けられている。一方、信号処理部28は、GPSアンテナ27によって受信されたGPS信号Sgを回折してGPSアンテナ27の取り付け位置(GPS信号Sgの受信位置)を測位すると共に、測位結果と、予め登録されたオフセット情報(GPSアンテナ27の取り付け位置と、通信用アンテナ24との三次元方向におけるずれ量)とに基づいてアンテナ装置3A(通信用アンテナ24)の現在位置を演算して現在位置情報D1として出力する。したがって、上記のGPSアンテナ27については、通信用アンテナ24と共にチルト・パン機構23等に取り付ける構成だけでなく、通信用アンテナ24とは別個にベース部21に取り付ける構成を採用して、その取り付け位置と通信用アンテナ24との三次元方向におけるずれ量を上記のオフセット情報として登録しておくこともできる。なお、GPS信号Sgに基づく現在位置の測位原理については公知のため、詳細な説明を省略する。また、本発明についての理解を容易とするために、測位結果とオフセット情報とに基づくアンテナ装置3A(通信用アンテナ24)の現在位置の演算処理に関する説明を省略する。
コントローラ29は、制御装置4と相俟って本発明における制御装置を構成する。このコントローラ29は、加速度センサ25からのセンサ信号S1を制御装置4に送信すると共に、制御装置4からの制御信号S2に応じて信号処理部28に制御信号S3を出力して(信号処理部28を制御して)現在位置を測位させる。また、コントローラ29は、信号処理部28から出力された現在位置情報D1を制御装置4に送信すると共に、制御装置4からの制御信号S2に応じてX−Y−Z移動機構22やチルト・パン機構23に制御信号S5,S6を出力して(X−Y−Z移動機構22やチルト・パン機構23を制御して)通信用アンテナ24の設置位置や指向方向を調整させる。
制御装置4は、図2に示すように、制御部11および記憶部12を備えて構成されている。この場合、制御部11や記憶部12は、一例として、公衆回線網5に接続されたパーソナルコンピュータおよびその記憶装置で構成されている。制御部11は、アンテナ装置3Aからセンサ信号S1が送信されたときに、そのセンサ信号S1に基づいて、センサ信号S1を送信したアンテナ装置3Aの設置場所において規定震度を超える強さの地震が発生したか否かを判別する。また、制御部11は、両アンテナ装置3A間において通信障害が発生したとき、または、規定震度を超える強さの地震が発生したと判別したときに、アンテナ装置3Aに向けて制御信号S2を送信して(アンテナ装置3Aを制御して)現在位置情報D1を送信させる(本発明における「ずれ量取得処理」の実行)。さらに、制御部11は、両アンテナ装置3Aについての設置情報D0、およびアンテナ装置3Aから送信された現在位置情報D1に基づき、アンテナ装置3Aの通信用アンテナ24に予め規定された規模の位置ずれが生じたと判別したときに、位置ずれが生じたアンテナ装置3Aに制御信号S2を送信して(アンテナ装置3Aを制御して)設置位置等の調整処理を実行させる。
記憶部12は、本発明における記憶部の一例であって、両アンテナ装置3Aについての上記の設置情報D0を記憶する。この場合、設置情報D0は、本発明における基準設置位置情報および基準指向位置情報の一例であって、設置および調整が完了した状態(データ通信信号Sdの送受信が可能な通常状態)の両アンテナ装置3Aにおける通信用アンテナ24の三次元位置情報(一例として、緯度、軽度および標高を示す座標情報)を特定可能なデータで構成されている。この場合、一対のアンテナ装置3Aのうちの一方についての設置情報D0は、その一方のアンテナ装置3Aにとっての基準設置位置情報に相当すると共に他方のアンテナ装置3Aにとっての基準指向位置情報に相当する。また、他方についての設置情報D0は、その他方のアンテナ装置3Aにとっての基準設置位置情報に相当すると共に上記の一方のアンテナ装置3Aにとっての基準指向位置情報に相当する。なお、この設置情報D0は、アンテナ装置3Aの設置完了時点において測位された位置情報に基づいて生成されて制御装置4の記憶部12に記憶される。また、後述するようにして、いずれかのアンテナ装置3Aにおいて地震等に起因する位置ずれが生じたり、設置位置の変更(調整)が行われたりしたときには、そのアンテナ装置3Aについての情報が最新の位置情報に更新される。
この通信システム1では、使用開始に先立ち、図4に示すように、一対のアンテナ装置3Aのそれぞれの通信用アンテナ24の指向方向(矢印Aa,Abの向き)が一直線上(同図における左右方向に長い破線上)に重なるように設置位置および指向方向が位置合わせされている。なお、以下の説明においては、本発明についての理解を容易とするために、左側のアンテナ装置3Aを「アンテナ装置3Aa」とし、右側のアンテナ装置3Aを「アンテナ装置3Ab」として説明する。また、同図に示す基準設置位置P0a,P0bは、アンテナ装置3Aa,3Abの基準設置位置(設置および調整が完了した状態の通信用アンテナ24の位置)を示しており、この基準設置位置P0a,P0bを特定可能な設置情報D0が制御装置4の記憶部12に記憶されている。この場合、実際の通信システム1では、アンテナ装置3Aa,3Ab以外にも数多くのアンテナ装置3Aが設置されて各2点間の無線通信回線が構築されているが、本発明についての理解を容易とするために、アンテナ装置3Aa,3Abの2つの間における調整作業を例に挙げて説明する。
上記のように、データ通信信号Sdを送受信するための一対のアンテナ装置3Aa,3Baの両通信用アンテナ24が調整された状態において、例えば、アンテナ装置3Aaの設置場所において地震が発生して、図5に示すように、アンテナ装置3Aa(通信用アンテナ24)が基準設置位置P0aから矢印Bの向きで移動したときには、アンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Baの向き)がアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Abの向き)から外れた状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が困難な状態となる。この際には、アンテナ装置3Aaの加速度センサ25が地震の発生を検出してセンサ信号S1をコントローラ29に出力する。これに応じて、アンテナ装置3Aaのコントローラ29は、公衆回線網5を介してセンサ信号S1を制御装置4に送信する。一方、制御装置4では、制御部11が、アンテナ装置3Aa(コントローラ29)から出力されたセンサ信号S1に基づき、アンテナ装置3Aaが規定の加速度を超えた速度で移動したか否か(規定震度を超える地震が発生したか)を判別する。この際に、規定加速度を超える速度で移動したと判別したときに、制御部11は、本発明におけるずれ量取得処理を開始し、公衆回線網5を介してアンテナ装置3Aaに制御信号S2を送信して(アンテナ装置3Aaを制御して)その現在位置を測位させる。
この際に、アンテナ装置3Aaでは、コントローラ29が、制御装置4(制御部11)からの制御信号S2に従い、信号処理部28に制御信号S3を出力して(信号処理部28を制御して)現在位置を測位させる。これに応じて、信号処理部28は、GPSアンテナ27を介して受信したGPS信号Sgに基づいて現在位置を測位すると共に、測位結果を現在位置情報D1としてコントローラ29に出力する。また、コントローラ29は、信号処理部28から出力された現在位置情報D1を制御装置4(制御部11)に送信する。一方、制御部11は、アンテナ装置3Aa(コントローラ29)から送信された現在位置情報D1に基づいて、その時点におけるアンテナ装置3Aa(通信用アンテナ24)の現在位置を特定すると共に、記憶部12に記憶されているアンテナ装置3Aa(通信用アンテナ24)についての設置情報D0に基づいて基準設置位置を特定する。また、制御部11は、特定した現在位置および基準設置位置に基づき、アンテナ装置3Aaにおいて通信用アンテナ24が基準設置位置からいずれの方向にどの程度移動したかを演算する。
この際に、アンテナ装置3Aaにおいて通信用アンテナ24が基準設置位置から水平方向および垂直方向のいずれかの方向に規定量(本発明における第1規定量:一例として、5cm)を超えて移動したとき(この例では、図5に示す矢印Bの向きで基準設置位置P0aから現在位置Pa1まで移動したとき)には、制御部11は、アンテナ装置3AaのX−Y−Z移動機構22によって通信用アンテナ24を移動前の基準設置位置P0aまで移動させることか可能か否か(基準設置位置P0aまでの移動量がX−Y−Z移動機構22の移動可能範囲内であるか否か)を判別し、移動可能と判別したときには、アンテナ装置3Aaに向けて移動方向および移動量を指示する制御信号S2を送信する。これに応じて、アンテナ装置3Aaでは、コントローラ29がX−Y−Z移動機構22に制御信号S5を出力して、図6に示す矢印Cの向きで通信用アンテナ24を現在位置Pa1から基準設置位置P0aに移動させる(本発明における位置調整処理の一例)。これにより、アンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Caの向き)とアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Ab)とが一直線上に重なった状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が可能な状態に復帰する。
また、コントローラ29は、X−Y−Z移動機構22による通信用アンテナ24の移動が完了した際に、信号処理部28に制御信号S3を出力して現在位置を測位させ、信号処理部28から出力された現在位置情報D1を制御装置4(制御部11)に送信する。この際に、制御部11は、アンテナ装置3Aa(コントローラ29)から送信された新たな現在位置情報D1と、記憶部12に記憶されているアンテナ装置3Aaについての設置情報D0とに基づき、アンテナ装置3Aaの通信用アンテナ24が基準設置位置P0aに復帰したか否かを判別する。この際に、通信用アンテナ24が基準設置位置P0aに復帰していると判別したときには、制御部11は、アンテナ調整処理が正常に完了したとのメッセージを図示しない表示部に表示させて一連の処理を終了する。
また、通信用アンテナ24が基準設置位置P0aに復帰していないと判別したときには、制御部11は、現在位置情報D1に基づいて特定した現在位置と基準設置位置P0aとの位置ずれ量が許容量(本発明における第2規定量:一例として、2cm)を超えているか否かを判別する。この際に、許容量以下のときには、アンテナ調整処理が正常に完了したとのメッセージを図示しない表示部に表示させて一連の処理を終了する。また、許容量を超えて位置ずれしているときには、制御部11は、通信用アンテナ24の位置を微調整するために、上記の一連の調整処理を再び実行させる。さらに、通信用アンテナ24の位置の微調整を規定回数(一例として、3回)実行しても、通信用アンテナ24が基準設置位置P0aに復帰しなかったときには、制御部11は、アンテナ調整処理が正常に完了しなかったとのメッセージを図示しない表示部に表示させて(本発明における「その旨(通信用アンテナの位置ずれに起因する通信障害が発生している旨)の報知」の一例)、一連の処理を終了する。
この際には、メッセージを見たオペレータから連絡を受けた作業員がアンテナ装置3Aaの設置場所に足を運び、状態を把握しつつ、必要に応じて手動でアンテナ位置を調整する。これにより、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が可能な状態に復帰する。なお、X−Y−Z移動機構22等による通信用アンテナ24の移動が完了した時点における現在位置の測位や、通信用アンテナ24が基準設置位置P0に復帰したか否かの判別およびメッセージの表示(報知)については、以下に説明する各種の事例においても同様に実行されるが、本発明についての理解を容易とするために、以下の事例については、これらの処理に関する説明を省略する。
一方、アンテナ装置3Aaの設置場所において地震が発生して、図7に示すように、アンテナ装置3Aaが基準設置位置P0aから矢印Dの向きで大きく移動したときには、アンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Daの向き)がアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Abの向き)から大きく外れた状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が困難な状態となる。この際に、制御装置4の制御部11は、送信されたセンサ信号S1に基づいてアンテナ装置3Aaが規定の加速度を超えた速度で移動したと判別し、アンテナ装置3Aaに制御信号S2を送信してその現在位置を測位させる。また、制御部11は、送信された現在位置情報D1に基づいて特定したアンテナ装置3Aaの現在位置、および記憶部12に記憶されている設置情報D0に基づいて特定したアンテナ装置3Aaの基準設置位置に基づき、アンテナ装置3Aaが基準設置位置からいずれの方向にどの程度移動したかを演算する。
この際に、アンテナ装置3Aa(通信用アンテナ24)が基準設置位置から水平方向および垂直方向のいずれかの方向に規定量を超えて移動したとき(この例では、図7に示す矢印Dの向きで基準設置位置P0aから現在位置Pa2まで移動したとき)には、制御部11は、アンテナ装置3AaのX−Y−Z移動機構22によって通信用アンテナ24を移動前の基準設置位置P0aまで移動させることか不可能(基準設置位置P0aがX−Y−Z移動機構22の移動可能範囲から外れている)と判別する。この際に、制御部11は、一例として、まず、X−Y−Z移動機構22の移動可能範囲内において基準設置位置P0aに最も近い位置まで通信用アンテナ24を移動させるべく、その移動方向および移動量を指示する制御信号S2をアンテナ装置3Aaに送信する。これに応じて、アンテナ装置3Aaでは、コントローラ29がX−Y−Z移動機構22に制御信号S5を出力して、図8に示す矢印Eの向きで通信用アンテナ24を現在位置Pa2から現在位置Pa3に移動させる(本発明における位置調整処理の一例)。この際には、現在位置Pa3に移動させられた通信用アンテナ24の指向方向(矢印Ea)が依然としてアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Abの向き)から外れた状態となっている。
次に、コントローラ29は、X−Y−Z移動機構22による通信用アンテナ24の移動が完了した時点において、信号処理部28に制御信号S3を出力して現在位置を測位させる。この際には、現在位置Pa3を示す現在位置情報D1が信号処理部28から出力され、この現在位置情報D1が公衆回線網5を介して制御装置4に送信される。また、制御装置4では、制御部11が、アンテナ装置3Aaから新たに送信された現在位置情報D1、記憶部12に記憶されているアンテナ装置3Aaについての設置情報D0、およびアンテナ装置3Abについての設置情報D0に基づき、アンテナ装置3Ab側において通信用アンテナ24を移動させることでアンテナ装置3Aa,3Abにおける両通信用アンテナ24の指向方向を一直線上に重ねることが可能か否か(現在位置Pa3に移動させたアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Eaの向き)に対してアンテナ装置3AbのX−Y−Z移動機構22に移動可能範囲内で通信用アンテナ24を移動させることでその指向方向を重ねることが可能か否か)を判別する。
この際に、制御部11は、可能と判別したときに、アンテナ装置3Abに対して通信用アンテナ24を移動させるべき移動方向および移動量を指示する制御信号S2を送信する。これに応じて、アンテナ装置3Abのコントローラ29は、X−Y−Z移動機構22に制御信号S5を出力し、図9に矢印Fの向きで基準設置位置P0bから現在位置Pb1まで通信用アンテナ24を移動させる。これにより、アンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Fbの向き)が現在位置Pa3に位置しているアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Ea)と一直線上に重なった状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が可能な状態に復帰する。
この場合、この通信システム1では、上記したようにアンテナ装置3Abの通信用アンテナ24を基準設置位置P0bから現在位置Pb1に移動させることなく、アンテナ装置3Aa,3Abにおける両通信用アンテナ24の指向方向を一直線上に重ねることができる。具体的には、前述した調整方法と同様にして、アンテナ装置3Aaが基準設置位置P0aから現在位置Pa2まで移動した際に、アンテナ装置3Aaを現在位置Pa2から現在位置Pa3まで移動させた後に、アンテナ装置3Aaの新たな現在位置(この例では、現在位置Pa3)についての現在位置情報D1を送信させ、アンテナ装置3Aaから送信された現在位置情報D1、記憶部12に記憶されているアンテナ装置3Aaについての設置情報D0、およびアンテナ装置3Abについての設置情報D0に基づき、現在位置Pa3に位置しているアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向と、基準設置位置P0bに位置しているアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向とを一直線上に重ねるのに要する両通信用アンテナ24の回動量(チルトさせる量およびパンさせる量)を演算する。
次いで、制御部11は、演算結果をアンテナ装置3Aa,3Abに送信する。これに応じて、アンテナ装置3Aaのコントローラ29がチルト・パン機構23に制御信号S6を出力することによって通信用アンテナ24を図10に示す矢印G1の向きに回動させると共に、アンテナ装置3Abのコントローラ29がチルト・パン機構23に制御信号S6を出力することによって通信用アンテナ24を矢印G2の向きに回動させる(本発明における方向調整処理の一例)。これにより、現在位置Pa3に位置しているアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Gaの向き)と、基準設置位置P0bに位置しているアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Gb)とが一直線上に重なった状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が可能な状態に復帰する。
また、この通信システム1では、地震等に起因して基準設置位置P0aから現在位置Pa2にアンテナ装置3Aaが移動した状態において(図7参照)、上記したように、アンテナ装置3Aaの通信用アンテナ24を現在位置Pa3に移動させることなく、アンテナ装置3Aa,3Abにおける両通信用アンテナ24の指向方向を一直線上に重ねることもできる。具体的には、制御装置4の制御部11が、アンテナ装置3Aaが基準設置位置P0aから現在位置Pa2まで移動した際にアンテナ装置3Aaから送信された現在位置情報D1、記憶部12に記憶されているアンテナ装置3Aaについての設置情報D0、およびアンテナ装置3Abについての設置情報D0に基づき、現在位置Pa2に位置しているアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向と、基準設置位置P0bに位置しているアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向とを一直線上に重ねるのに要する両通信用アンテナ24の回動量(チルトさせる量およびパンさせる量)を演算する。
次いで、制御部11は、演算結果をアンテナ装置3Aa,3Abに送信する。これに応じて、アンテナ装置3Aaのコントローラ29がチルト・パン機構23に制御信号S6を出力することによって通信用アンテナ24を図11に示す矢印H1の向きに回動させると共に、アンテナ装置3Abのコントローラ29がチルト・パン機構23に制御信号S6を出力することによって通信用アンテナ24を矢印H2の向きに回動させる。これにより、現在位置Pa2に位置しているアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Haの向き)と、基準設置位置P0bに位置しているアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Hb)とが一直線上に重なった状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が可能な状態に復帰する。
一方、通信システム1におけるアンテナ調整処理に関する基本原理についての理解を容易とするために、地震に起因してアンテナ装置3Aaが平行移動した例について上記したが、実際の地震発生時には、アンテナ装置3Aが水平方向において回転しつつ移動したり、大地に傾きが生じてアンテナ装置3Aが垂直方向において傾いた状態となったりすることがある。具体的には、図12に示すように、地震に起因して、アンテナ装置3Aaが矢印Iで示すように水平方向において回転しつつ基準設置位置P0aから現在位置Pa4まで移動したときには、アンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Iaの向き)がアンテナ装置3Abの基準設置位置P0b(本発明における基準指向位置)からずれてアンテナ装置3Abの通信用アンテナ24の指向方向(矢印Abの向き)から外れた状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が困難な状態となる。なお、この事例においては、同図に示す角度θ1(正常状態における通信用アンテナ24の指向方向と、地震発生後の通信用アンテナ24の指向方向との間の角度)が本発明における「角度変化量」に相当する。
この際には、アンテナ装置3Aaから送信されたセンサ信号S1に基づき、制御装置4の制御部11がアンテナ装置3Aaが規定の加速度を超えた速度で移動した(地震が発生した)と判別し、本発明におけるずれ量取得処理を開始してアンテナ装置3Aaに制御信号S2を送信して現在位置を測位させる。この際に、アンテナ装置3Aaでは、コントローラ29が信号処理部28に制御信号S3を出力して現在位置を測位させる。これに応じて、信号処理部28は、測位結果を現在位置情報D1としてコントローラ29に出力する。また、コントローラ29は、ジャイロセンサ26から出力されたセンサ信号S4に基づき、基準設置位置P0aに設置された正常状態から通信用アンテナ24がいずれの方向にどの程度の角度だけ回動したか(正常状態の指向方向に対していずれの方向にどの程度の傾きや回転等のずれ角が生じたか)を特定可能な角度情報D2を生成する。次いで、コントローラ29は、信号処理部28から出力された現在位置情報D1、およびセンサ信号S4に基づいて生成した角度情報D2を制御装置4(制御部11)に送信する。なお、地震発生時にアンテナ装置3Aaが平行移動した例についての上記の説明においては、本発明についての理解を容易とするために、ジャイロセンサ26からのセンサ信号S4に基づく角度情報D2の生成処理、および制御装置4(制御部11)に対する角度情報D2の送信処理に関する説明を省略したが、これらの処理は、アンテナ装置3Aがいずれの方向にどのように移動した場合においても実行される。
一方、制御部11は、アンテナ装置3Aa(コントローラ29)から送信された現在位置情報D1および角度情報D2に基づいて、その時点におけるアンテナ装置3Aaの現在位置、および通信用アンテナ24の指向方向の角度変化量(図12における角度θ1)を特定する。次いで、制御部11は、記憶部12に記憶されているアンテナ装置3Aaについての設置情報D0に基づき、通信用アンテナ24の基準設置位置(この例では、基準設置位置P0a)および正常状態において指向すべき位置(基準指向位置:この例では、アンテナ装置3Abの基準設置位置P0b)を特定する。また、制御部11は、特定した現在位置、角度変化量、基準設置位置および基準指向位置に基づき、アンテナ装置3Aaが基準設置位置からいずれの方向にどの程度どのように移動したかを演算する(本発明におけるずれ角取得処理の一例)。次いで、制御部11は、一例として、アンテナ装置3AaのX−Y−Z移動機構22によって通信用アンテナ24を移動前の基準設置位置P0aまで移動させることか可能と判別し、アンテナ装置3Aaに向けて移動方向、移動量、指向方向の修正方向および修正角度等を指示する制御信号S2を送信する。
これに応じて、アンテナ装置3Aaでは、コントローラ29が、まず、X−Y−Z移動機構22に制御信号S5を出力して、図13に示す矢印Jの向きで通信用アンテナ24を現在位置Pa4から現在位置Pa5(この例では、基準設置位置P0aと同じ位置)に移動させる。次いで、コントローラ29は、チルト・パン機構23に制御信号S6を出力して、矢印Kの向きで通信用アンテナ24を回転させる(本発明における方向調整処理の一例)。これにより、アンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Kaの向き)が基準設置位置P0bを向いてアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Ab)と一直線上に重なった状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が可能な状態に復帰する。
この場合、この通信システム1では、基準設置位置P0aから現在位置Pa4に移動したアンテナ装置3Aaの通信用アンテナ24を現在位置Pa5に移動させることなく、アンテナ装置3Aa,3Abにおける両通信用アンテナ24の指向方向を一直線上に重ねることもできる。具体的には、制御装置4の制御部11は、まず、現在位置情報D1に基づいて特定したアンテナ装置3Aaの現在位置(図12に示す現在位置Pa4)、角度情報D2に基づいて特定したアンテナ装置3Aaの通信用アンテナ24の角度変化量(図12に示す角度θ1)、設置情報D0に基づいて特定したアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の基準設置位置(図12に示す基準設置位置P0a)、および設置情報D0に基づいて特定したアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の基準指向位置(図12に示す基準設置位置P0b)に基づき、現在位置Pa4に位置しているアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(この例では、図12に示す矢印Ia)と、この通信用アンテナ24を指向させるべきアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の基準設置位置P0b(本発明における基準指向方向)とのずれ角(この例では、図14に示す角度θ2)を演算する。
次いで、制御部11は、現在位置情報D1に基づいて特定したアンテナ装置3Aaの現在位置(図12に示す現在位置Pa4)、および設置情報D0に基づいて特定したアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の基準設置位置(図12に示す基準設置位置P0b)に基づき、基準設置位置P0bに位置しているアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(この例では、図12に示す矢印Ab)と、この通信用アンテナ24を指向させるべきアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の現在位置Pa4とのずれ角(この例では、図14に示す角度θ3)を演算する。続いて、制御部11は、演算したずれ角(角度θ2,θ3)が規定角度(一例として、1°)を超えているか否かを判別する。この際に、ずれ角(角度θ2,θ3)が規定角度を超えているときには、制御部11は、演算結果をアンテナ装置3Aa,3Abに送信する。
これに応じて、アンテナ装置3Aaのコントローラ29がチルト・パン機構23に制御信号S6を出力することによって通信用アンテナ24を図14に示す矢印L1の向きに角度θ2だけ回動させると共に、アンテナ装置3Abのコントローラ29がチルト・パン機構23に制御信号S6を出力することによって通信用アンテナ24を矢印L2の向きに角度θ3だけ回動させる。これにより、現在位置Pa4に位置しているアンテナ装置3Aaにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Laの向き)と、基準設置位置P0bに位置しているアンテナ装置3Abにおける通信用アンテナ24の指向方向(矢印Lb)とが一直線上に重なった状態となり、アンテナ装置3Aa,3Ab間におけるデータ通信信号Sdの送受信が可能な状態に復帰する。
なお、地震発生時にアンテナ装置3Aから送信されるセンサ信号S1に応じて制御装置4(制御部11)が本発明におけるずれ量取得処理を開始する例について説明したが、この通信システム1では、アンテナ装置3Aからセンサ信号S1が送信されなかった場合であっても、アンテナ装置3Aa,3Abのいずれかから通信障害が発生した旨を報知する信号が出力されたときに本発明におけるずれ量取得処理を開始する構成が採用されている。したがって、例えば地震発生によってアンテナ装置3Aaの通信用アンテナ24が基準設置位置P0aから位置ずれした際に、アンテナ装置3Aaからセンサ信号S1が出力されなかった場合(または、アンテナ装置3Aaから出力されたセンサ信号S1が制御装置4に届かなかった場合)においても、アンテナ装置3Aa,3Ab間に通信障害が発生した旨がアンテナ装置3Abから制御装置4(制御部11)に送信され、これにより、上記した一連の調整処理が実行される。
このように、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、制御装置4が、信号処理部28によって測位された現在位置についての現在位置情報D1と設置情報D0に基づいて特定した基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、X−Y−Z移動機構22を制御して通信用アンテナ24を基準設置位置に向けて移動させることにより、天候の影響が小さい人工衛星6からのGPS信号Sgに基づく現在位置の測位によって通信用アンテナ24の位置ずれ方向および位置ずれ量を取得して、位置ずれした通信用アンテナ24を移動させるべき方向および移動量を確実に取得することができる。したがって、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、霧の発生時や雨天においても、位置ずれした通信用アンテナ24を基準設置位置P0に移動させて位置ずれに起因する通信障害を確実に解消することができる。また、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、高価な光学式照準器等を使用することなく通信用アンテナ24の設置位置を調整することができるため、製造コストの高騰を十分に抑えることができる。
また、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、制御装置4が、通信用アンテナ24の位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、X−Y−Z移動機構22を制御して位置調整処理を実行させた後に、本発明におけるずれ量取得処理を再度実行して取得した位置ずれ量が第2規定量を超えているときに、チルト・パン機構23を制御して通信用アンテナ24を基準指向位置に向けて指向させる方向調整処理を実行させることにより、通信用アンテナ24が水平方向において回転したり垂直方向において傾いたりするように位置ずれした場合であっても、チルト・パン機構23によって指向方向を調整することで位置ずれに起因する通信障害を一層確実に解消することができる。
さらに、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、制御装置4が、信号処理部28によって測位された現在位置についての現在位置情報D1と設置情報D0に基づいて特定した基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、チルト・パン機構23を制御して通信用アンテナ24を基準指向位置に向けて指向させることにより、天候の影響が小さい人工衛星6からのGPS信号Sgに基づく現在位置の測位によって通信用アンテナ24の位置ずれ方向および位置ずれ量を取得して、位置ずれした通信用アンテナ24を回動させるべき方向および角度を確実に取得することができる。したがって、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、霧の発生時や雨天においても、位置ずれした通信用アンテナ24の指向方向を調整して位置ずれに起因する通信障害を確実に解消することができる。また、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、高価な光学式照準器等を使用することなく通信用アンテナ24の指向方向を調整することができるため、製造コストの高騰を十分に抑えることができる。
また、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、ジャイロセンサ26からのセンサ信号S4に基づいて特定した指向方向と、信号処理部28によって測位された現在位置と、設置情報D0に基づいて特定した基準設置位置とに基づき、特定した指向方向の基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、ずれ角が規定角度を超えているときに、チルト・パン機構23を制御して方向調整処理を実行させることにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、通信用アンテナ24がいずれの方向にどの程度傾いたり回転したりしたかを確実に検出して基準指向位置に向けて確実に方向調整処理することができる。
さらに、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、制御装置4が、X−Y−Z移動機構22やチルト・パン機構23による調整処理の完了後に通信用アンテナ24を使用した通信が規定された通信状態に復帰しなかったときに、通信用アンテナ24の位置ずれに起因する通信障害が発生している旨を報知することにより、X−Y−Z移動機構22やチルト・パン機構23によって通信用アンテナ24の位置ずれや指向方向のずれを調整に切れずに、通信障害を解消することができなかったときに、位置ずれに起因する通信障害が発生しているアンテナ装置3A(通信用アンテナ24)の設置場所に作業員を派遣して必要に応じて手動で調整処理を実行させて通信障害を解消することができる。
また、このアンテナ装置3Aおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、制御装置4が、加速度センサ25からのセンサ信号S1に基づいて通信用アンテナ24が規定加速度を超える加速度で移動したと判別したときに、本発明におけるずれ量取得処理を実行することにより、地震等の発生に起因して通信障害の原因となる位置ずれが生じた通信用アンテナ24を短時間で特定して、必要に応じて通信用アンテナ24の現在位置や指向方向等を調整させることができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態に示した構成および方法に限定されない。例えば、通信用アンテナ24と共にチルト・パン機構23に取り付けたジャイロセンサ26からのセンサ信号S4に基づいて通信用アンテナ24の指向方向を特定する構成について説明したが、図15に示すアンテナ装置3Bのように、アンテナ装置3Aにおけるジャイロセンサ26に代えて、一対のGPSアンテナ27a,27bおよび信号処理部28(本発明における「一対のGPS測位部」の一例)によって通信用アンテナ24の指向方向を特定する構成を採用することができる。なお、同図に示すアンテナ装置3Bにおいて前述したアンテナ装置3Aと同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
このアンテナ装置3Bでは、GPSアンテナ27a,27bが互いに離間させられた状態で通信用アンテナ24と共にチルト・パン機構23に取り付けられている。この場合、このアンテナ装置3Bでは、GPSアンテナ27a,27bのいずれか一方(一例として、GPSアンテナ27a)が前述したアンテナ装置3AにおけるGPSアンテナ27と同様に機能すると共に、GPSアンテナ27aを介して受信したGPS信号Sgに基づく現在位置(すなわち、GPSアンテナ27aの現在位置)、およびGPSアンテナ27bを介して受信したGPS信号Sgに基づく現在位置(すなわち、GPSアンテナ27bの現在位置)に基づいて、制御装置4の制御部11が通信用アンテナ24の指向方向を特定する構成が採用されている。したがって、前述したアンテナ装置3Aからの角度情報D2に基づいて通信用アンテナ24の指向方向を特定する構成と同様にして、地震等の発生時には、アンテナ装置3Bからの現在位置情報D1に基づいて通信用アンテナ24の現在位置および指向方向が特定され、必要に応じて、X−Y−Z移動機構22やチルト・パン機構23によって通信用アンテナ24の現在位置や指向方向が調整される。
このように、このアンテナ装置3Bおよび制御装置4を備えた通信システム1によれば、相互に離間させられた状態で通信用アンテナ24と共に調整機構に取り付けられた一対のGPSアンテナ27a,27bおよび信号処理部28を備えると共に、制御装置4が、両GPSアンテナ27a,27bを介して受信したGPS信号Sgに基づいて信号処理部28によってそれぞれ測位された測位結果に基づいて通信用アンテナ24の指向方向を特定すると共に、特定した指向方向と、信号処理部28によって測位された現在位置と、設置情報D0に基づいて特定した基準設置位置とに基づき、特定した指向方向の基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、ずれ角が規定角度を超えているときに、チルト・パン機構23を制御して方向調整処理を実行させることにより、人工衛星6からのGPS信号Sgに基づく現在位置の測位だけで、通信用アンテナ24がいずれの方向にどの程度移動してどの程度傾いたり回転したりしたかを確実に検出して基準指向位置に向けて確実に方向調整処理することができる。
また、アンテナ装置3Aやアンテナ装置3Bと、制御装置4とを別個に設けて公衆回線網5を介して双方を接続した構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、制御装置4における制御部11および記憶部12をアンテナ装置3Aやアンテナ装置3Bの一部として設置して、アンテナ装置3A(3B)単独で上記の一連の処理を実行させる構成を採用することができる。このような構成を採用する場合においては、図9を参照しつつ説明したように位置ずれが生じたアンテナ装置3A(3B)以外のアンテナ装置3A(3B)において通信用アンテナ24を移動させる場合、図10,11,14を参照しつつ説明したように位置ずれが生じたアンテナ装置3A(3B)以外のアンテナ装置3A(3B)において通信用アンテナ24を回転させる場合を考慮して、各アンテナ装置3A(3B)を公衆回線網5等によって相互に接続し、例えば、位置ずれが生じたアンテナ装置3A(3B)の制御に従って、他のアンテナ装置3A(3B)が通信用アンテナ24を移動または回転させることができる構成を採用するのが好ましい。
さらに、図11,14を参照しつつ説明した例のように、地震等に起因してアンテナ装置3A(3B)の通信用アンテナ24が基準設置位置P0から移動した際に、その位置から通信用アンテナ24を移動させることなくチルト・パン機構23によって通信用アンテナ24を回動させることで調整する構成を採用する場合においては、アンテナ装置3A,3BにおけるX−Y−Z移動機構22を不要とすることができる。
通信システム1の構成図である。 通信システム1における制御装置4のブロック図である。 通信システム1におけるアンテナ装置3Aのブロック図である。 アンテナ装置3Aa,3Ab(3Ba,3Bb)の通信用アンテナ24が基準設置位置P0a,P0bに設置された状態について説明するための説明図である。 アンテナ装置3Aa(3Ba)の通信用アンテナ24が現在位置Pa1に移動した状態について説明するための説明図である。 アンテナ装置3Aa(3Ba)の通信用アンテナ24を基準設置位置P0aに移動させた状態について説明するための説明図である。 アンテナ装置3Aa(3Ba)の通信用アンテナ24が現在位置Pa2に移動した状態について説明するための説明図である。 アンテナ装置3Aa(3Ba)の通信用アンテナ24を現在位置Pa3に移動させた状態について説明するための説明図である。 アンテナ装置3Ab(3Bb)の通信用アンテナ24を現在位置Pb1に移動させた状態について説明するための説明図である。 現在位置Pa3に移動させた通信用アンテナ24を基準設置位置P0bに向けて指向させると共に、アンテナ装置3Ab(3Bb)の通信用アンテナ24を現在位置Pa3に向けて指向させた状態について説明するための説明図である。 現在位置Pa2に移動した通信用アンテナ24を基準設置位置P0bに向けて指向させると共に、アンテナ装置3Ab(3Bb)の通信用アンテナ24を現在位置Pa2に向けて指向させた状態について説明するための説明図である。 アンテナ装置3Aa(3Ba)の通信用アンテナ24が現在位置Pa4に移動した状態について説明するための説明図である。 現在位置Pa4に移動した通信用アンテナ24を現在位置Pa5に移動させると共に基準設置位置P0bに向けて指向させた状態について説明するための説明図である。 現在位置Pa4に移動した通信用アンテナ24を基準設置位置P0bに向けて指向させると共に、アンテナ装置3Ab(3Bb)の通信用アンテナ24を現在位置Pa4に向けて指向させた状態について説明するための説明図である。 通信システム1におけるアンテナ装置3Bのブロック図である。
符号の説明
1 通信システム
3A,3B アンテナ装置
4 制御装置
5 公衆回線網
6a〜6n 人工衛星
11 制御部
12 記憶部
21 ベース部
22 X−Y−Z移動機構
23 チルト・パン機構
24 通信用アンテナ
25 加速度センサ
26 ジャイロセンサ
27,27a,27b GPSアンテナ
28 信号処理部
29 コントローラ
D0 設置情報
D1 現在位置情報
D2 角度情報
P0a,P0b 基準設置位置
Pa1〜Pa5,Pb1 現在位置
Sg GPS信号
S1,S4 センサ信号
S2,S3,S5,S6 制御信号
θ1〜θ3 角度

Claims (7)

  1. 指向性を有する通信用アンテナと、当該通信用アンテナの設置位置を調整する調整機構と、当該調整機構を制御して前記設置位置を調整させる制御装置とを備えたアンテナシステムであって、
    GPS信号に基づいて現在位置を測位するGPS測位部と、前記通信用アンテナの基準設置位置を特定可能な基準設置位置情報を記憶する記憶部とを備え、
    前記制御装置は、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と前記基準設置位置情報に基づいて特定した前記基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、当該位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記通信用アンテナを当該基準設置位置に向けて移動させる位置調整処理を実行させるアンテナシステム。
  2. 前記調整機構は、前記通信用アンテナの指向方向を調整可能に構成され、
    前記記憶部は、前記通信用アンテナを指向すべき基準指向位置を特定可能な基準指向位置情報を記憶し、
    前記制御装置は、前記位置ずれ量が前記第1規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記位置調整処理を実行させた後に、前記ずれ量取得処理を再度実行して取得した位置ずれ量が第2規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記通信用アンテナを前記基準指向位置に向けて指向させる方向調整処理を実行させる請求項1記載のアンテナシステム。
  3. 指向性を有する通信用アンテナと、当該通信用アンテナの指向方向を調整する調整機構と、当該調整機構を制御して前記指向方向を調整させる制御装置とを備えたアンテナシステムであって、
    GPS信号に基づいて現在位置を測位するGPS測位部と、前記通信用アンテナの基準設置位置を特定可能な基準設置位置情報および当該通信用アンテナを指向すべき基準指向位置を特定可能な基準指向位置情報を記憶する記憶部とを備え、
    前記制御装置は、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と前記基準設置位置情報に基づいて特定した前記基準設置位置との位置ずれ量を取得するずれ量取得処理を実行すると共に、当該位置ずれ量が第1規定量を超えているときに、前記調整機構を制御して前記通信用アンテナを前記基準指向位置に向けて指向させる方向調整処理を実行させるアンテナシステム。
  4. 前記通信用アンテナの指向方向の角度変化量を検出する角度センサを備え、
    前記制御装置は、前記角度センサからのセンサ信号に基づいて前記通信用アンテナの指向方向を特定すると共に、当該特定した指向方向と、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と、前記基準指向位置とに基づき、当該特定した指向方向の当該基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、当該ずれ角が規定角度を超えているときに、前記調整機構を制御して前記方向調整処理を実行させる請求項2または3記載のアンテナシステム。
  5. 一対の前記GPS測位部を備えると共に、当該両GPS測位部が相互に離間させられた状態で前記通信用アンテナと共に前記調整機構に取り付けられ、
    前記制御装置は、前記両GPS測位部のそれぞれの測位結果に基づいて前記通信用アンテナの指向方向を特定すると共に、当該特定した指向方向と、前記GPS測位部によって測位された前記現在位置と、前記基準指向位置とに基づき、当該特定した指向方向の当該基準指向位置に対するずれ角を取得するずれ角取得処理を実行し、当該ずれ角が規定角度を超えているときに、前記調整機構を制御して前記方向調整処理を実行させる請求項2または3記載のアンテナシステム。
  6. 前記制御装置は、前記調整機構による調整処理の完了後に前記通信用アンテナを使用した通信が規定された通信状態に復帰しなかったときに、その旨を報知する請求項1から5のいずれかに記載のアンテナシステム。
  7. 加速度センサを備え、
    前記制御装置は、前記加速度センサからのセンサ信号に基づいて前記通信用アンテナが規定加速度を超える加速度で移動したと判別したときに、前記ずれ量取得処理を実行する請求項1から6のいずれかに記載のアンテナシステム。
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