先ず、本願発明に係る測設情報標示装置の一例としての測設情報標示装置50を用いる測量システム10の概略的な構成について説明する。この測量システム10は、図1に示すように、測量機20で測定した測設情報標示装置50の位置(現在位置)から目標位置(測設点72等)へと測設情報標示装置50を持つ作業者を誘導することにより、作業者が目標位置(測設点72等)の正確な位置(地点)を把握することを可能とする。そして、測設情報標示装置50は、目標位置(測設点72等)の正確な位置(地点)を把握することを容易なものとすべく構成されている。その目標位置とは、測設点72の他に道路や建築物における構造物を含むものである。その構造物とは、図面上の座標情報として位置および形状等が示されるものであり、道路(予定地を含む)や建築物(建築中を含む)における配管や電気設備や設置物等、または建築物(建築中を含む)における窓や手摺等を言う。
その測量機20は、図1に示すように、実施例1ではトータルステーションであり、既知点に設置されて、測定点へ向けてパルスレーザ光線を投射し、その測定点からのパルスレーザ光線の反射光(パルス反射光)を受光して、パルス毎に測距を行い、測距結果を平均化して高精度の距離測定を行う。なお、測量機20は、所定の周波数で変調された光ビームを用いる位相差測定方式を採用するものであってもよく、他の方式を採用するものであってもよく、実施例1に限定されるものではない。この測量機20は、整準部21と基盤部22と托架部23と望遠鏡部24と三脚25とを備える。
整準部21は、三脚25に取付けられる箇所である。基盤部22は、その整準部21に対する傾斜角を変更可能に整準部21に設けられている。托架部23は、基盤部22に対して鉛直軸心を中心に回転可能に当該基盤部22に設けられている。この托架部23には、表示部26と操作部27とが設けられている。この操作部27は、測量機20における各種機能を利用するための操作が為される箇所であり、入力操作された情報を後述する測量機側制御部37(図2参照)へと出力する。
望遠鏡部24は、托架部23に対して水平軸心を中心に回転可能に当該托架部23に設けられている。その望遠鏡部24は、測定対象物を視準する望遠鏡28と、その望遠鏡28の光学系を通して視準方向の画像(望遠画像)を取得する撮像部29(図2参照)と、を有する。その撮像部29には、例えば、撮像画像をデジタル画像信号として出力するデジタルカメラが用いられる。望遠鏡部24には、望遠鏡28の光学系を共有する測距部31と追尾部32と(図2参照)が内蔵されている。この測距部31は、測距光を投射するとともに測定対象物(後述するターゲット12等)からの反射光を受光して測定対象物までの光波距離測定を行う。追尾部32は、追尾光を投射するとともに追尾対象物(後述するターゲット12)からの反射光を受光して追尾対象物の位置の検出を可能とする。
その望遠鏡部24を水平軸心回りに回転可能とする托架部23には、水平回転駆動部33と水平角検出部34とが設けられている(図2参照)。その水平回転駆動部33は、基盤部22に対して托架部23を鉛直軸心回りにすなわち水平方向に回転させる。水平角検出部34は、その托架部23の基盤部22に対する水平回転角を検出することにより、視準方向の水平角を検出(測角)する。
また、托架部23には、鉛直回転駆動部35と鉛直角検出部36とが設けられている(図2参照)。その鉛直回転駆動部35は、托架部23に対して望遠鏡部24を水平軸心回りにすなわち鉛直方向に回転させる。鉛直角検出部36は、その望遠鏡部24の托架部23に対する鉛直角を検出することにより、視準方向の鉛直角を検出(測角)する。
さらに、托架部23には、測量機側制御部37(図2参照)が内蔵されている。その測量機側制御部37は、接続された記憶部38(図2参照)に格納されたプログラムにより、測量機20の動作を統括的に制御する。その記憶部38には、測定に必要な計算プログラムや、追尾に必要な計算プログラムや、画像処理を行う為の画像処理プログラムや、送信する情報を生成して送信するデータ送信プログラム等のプログラムが格納されている。この情報は、後述する通信部41(図2参照)を介して測設情報標示装置50の後述する端末側制御部52(通信部57(図4参照))へと適宜送信される。
その測量機側制御部37には、図2に示すように、表示部26、操作部27、撮像部29、測距部31、追尾部32、水平回転駆動部33、水平角検出部34、鉛直回転駆動部35、鉛直角検出部36、記憶部38、傾斜センサ39および通信部41が接続されている。
その傾斜センサ39は、測量機20(望遠鏡部24(図1参照))の傾きを検出する。傾斜センサ39は、実施例1では、整準部21(図1参照)に設けられており、整準部21の水平面に対する傾きを検出することにより、測量機20(望遠鏡部24)の傾きを検出する。この傾斜センサ39は、検出した測量機20(望遠鏡部24)の傾き(その情報)を、測量機側制御部37へと出力する。なお、傾斜センサ39は、測量機20(望遠鏡部24)の傾きを検出するものであれば、例えば、托架部23に設けられていてもよく、他の箇所に設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
通信部41は、測設情報標示装置50の後述する通信部57(図4参照)を介してその端末側制御部52(図4参照)と測量機側制御部37との通信を可能とするものであり、測量機側制御部37の制御下において記憶部38に格納された各情報を適宜送信する。この通信部41は、実施例1では、無線通信が可能とされている。このため、測量機側制御部37は、通信部41を介して無線回線により端末側制御部52(通信部57(図4参照))とのデータの遣り取りを行うことができる。
測量機側制御部37には、測距部31、追尾部32、水平角検出部34、鉛直角検出部36、および傾斜センサ39からの測定のための出力値が入力される。この測量機側制御部37は、それらの出力値に基づき、距離測定、高低角、水平角の測定(算出)を行い、測定結果を記憶部38に格納するとともに表示部26に表示させる。また、この測定結果は、適宜通信部41を介して、後述する端末側制御部52(通信部57(図4参照))へと送信される。
撮像部29により取得(撮像)された画像は、記憶部38に格納されかつ表示部26に表示される。測量機側制御部37は、記憶部38に格納された画像(例えば撮像部29で取得した画像)に適宜画像処理を施し、その画像を記憶部38に格納するとともに表示部26に表示させる。
その測量機側制御部37は、水平回転駆動部33および鉛直回転駆動部35の駆動を制御して托架部23および望遠鏡部24(図1参照)を適宜回転させることにより、当該望遠鏡部24を所定の方向に向けることができるとともに所定の範囲を走査することができる。また、測量機側制御部37は、測距部31を制御して所定の測定対象物(後述するターゲット12等)の測距(距離測定)を行うことができる。このとき、測量機側制御部37は、視準方向の高低角および水平角の測定(算出)を行うことにより、測定対象物(後述するターゲット12等)の三次元座標位置を測定することができる。そして、測量機側制御部37は、測定した測定対象物(後述するターゲット12(その中心位置))の三次元座標位置から、当該測定対象物の現在位置の座標情報である現在座標情報75を生成し、適宜通信部41を介して後述する端末側制御部52(通信部57(図4参照))へと送信する。さらに、測量機側制御部37は、追尾部32からの追尾対象物(後述するターゲット12)の位置の情報に基づいて、水平回転駆動部33および鉛直回転駆動部35の駆動を制御することにより、望遠鏡部24(図1参照)を追尾対象物(ターゲット12)の方向に常に向ける(追尾する)ことができる。このため、測量機20では、整準部21、基盤部22、托架部23、望遠鏡部24、三脚25、望遠鏡28(撮像部29)、測距部31、追尾部32、水平回転駆動部33、水平角検出部34、鉛直回転駆動部35、鉛直角検出部36および傾斜センサ39が、測量機側制御部37により駆動制御される測量ユニットとして機能する。
さらに、測量機側制御部37は、後述する目標位置の座標情報である目標座標情報71(図5参照)の入力が可能とされており、その目標座標情報71を記憶部38に格納するとともに表示部26に表示させる。その目標座標情報71は、通信部41を介して外部機器から入力されたり、測量機側制御部37(測量機20)に接続された外部機器から入力されたり、操作部27への操作により入力されたりする。この目標座標情報71については、後に説明する。そして、測量機側制御部37は、通信部41を介して、目標座標情報71を後述する端末側制御部52(通信部57(図4参照))へと適宜送信する。この測量機20を用いて、測設情報標示装置50の現在位置(三次元座標位置)を測定し、その測定結果としての座標情報を測設情報標示装置50の端末側制御部52へと適宜送信する。
その測設情報標示装置50は、実施例1では、図1に示すように、全体に箱状の筐体51に収容されて形成され、その筐体51が測量用ポール11の上端に取り付けられている。その筐体51(測設情報標示装置50)は、測量用ポール11に対してその伸長方向と直交する方向に突出して設けられている。その測量用ポール11は、棒状を呈し、作業者が測設情報標示装置50とともに移動するために持つ箇所となる。
その測設情報標示装置50は、図3に示すように、筐体51の上端にターゲット12が設けられている。そのターゲット12は、実施例1では、複数のコーナーキューブプリズムが全周に渡って設けられて構成されており、全周(360°)プリズムとされている。このため、ターゲット12は、全周(360°)に渡るいずれの方向から光(測定光や追尾光)が入射されても、その入射方向に沿って当該光を反射することができる。これにより、ターゲット12は、測量機20の測距部31からの測距光を反射することで位置が測定される測定対象物とされるとともに、測量機20の追尾部32からの追尾光を反射することで望遠鏡部24が常に向けられる(追尾される)追尾対象物とされる。このため、測量機20では、測距部31によりターゲット12(その中心位置(複数のコーナーキューブプリズムの中心位置))の座標位置(三次元座標位置)を測定することができ、そのターゲット12(その中心位置)の現在位置の座標情報である現在座標情報75を取得することができる。また、測量機20では、追尾部32により、望遠鏡部24をターゲット12(その中心位置)に常に向ける(追尾する)ことができる。そして、ターゲット12は、筐体51に固定されていることから、筐体51に対する中心位置の位置関係が一定とされている。
この測設情報標示装置50では、筐体51の内方に、端末側制御部52(図4参照)が設けられている。その端末側制御部52は、記憶部53に格納されたプログラムにより、測設情報標示装置50の動作を統括的に制御する。その記憶部53には、後述する目標情報画像77(図6等参照)を生成するために必要な画像処理プログラムや、目標情報画像77を投影面13(図6等参照)の形状に適合させるために必要な画像処理プログラム等のプログラムが格納されている。
端末側制御部52には、図4に示すように、傾斜センサ54、距離画像センサ55、投影部(プロジェクタ)56、通信部57、表示部58および操作部59が接続されている。この端末側制御部52は、傾斜センサ54、距離画像センサ55、投影部56、通信部57、表示部58および操作部59の動作を統括的に制御する。そして、端末側制御部52では、傾斜センサ54で検出された傾斜を示す後述する傾斜情報61(データ)と、距離画像センサ55で取得された投影面13(図6等参照)の3次元形状を示す後述する距離画像情報62(データ)と、操作部59に為された操作情報(データ)と、が入力される。また、端末側制御部52は、投影部56を駆動することで、後述するように生成した目標情報画像77を投影面13に投影する(図6、図8等参照)。
その傾斜センサ54は、測設情報標示装置50の傾き(傾斜)を検出する。傾斜センサ54は、実施例1では、互いに直交するuvw軸(図6参照)の3方向の加速度を検出することのできる3軸加速度センサで構成されており、筐体51に固定されて設けられている。このため、傾斜センサ54は、筐体51の水平面に対する傾きを検出することにより水平面あるいは鉛直方向を基準とする測設情報標示装置50の傾きを検出し、その傾きを示す傾斜情報61(図12参照)を取得する。その基準方向51aは、筐体51(測設情報標示装置50)の傾斜を検出するために筐体51に設定された方向であり、図3に示す例では筐体51の表面において測量用ポール11側からターゲット12側へと向かう方向とされている。傾斜センサ54は、実施例1では、検出可能な3軸のうちの1軸(例えばu軸(図6参照))が後述する距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aと一致されている。
距離画像センサ55は、検出光軸55a(図3参照)を中心とする所定の範囲における3次元構造を取得する。すなわち、距離画像センサ55は、検出光軸55aに交わる平面(2次元)で見た所定の範囲において、検出点毎に検出光軸55a方向(残りの1次元)での距離を検出することができる。このような距離画像センサ55は、2つのカメラ(撮像素子)を用いるステレオ法や、レンズのピント調整やボケ具合を用いるレンズ焦点法や、物体に投射した光が反射により戻って来るまでの時間から距離を求める光飛行時間法や、所定のパターンの光を物体に投射してその反射像におけるパターンの歪み具合から距離を求めるパターン光投映法等の様々なものが知られており、その距離の演算の詳細については公知であるのでその説明は省略する。実施例1では、距離画像センサ55は、光飛行時間法を用いて構成されたものを用いている。この距離画像センサ55は、端末側制御部52の制御下で駆動され、検出光軸55aを中心とする所定の範囲における3次元構造を検出して、その3次元構造を示す距離画像情報62(図12参照)を取得する。距離画像センサ55は、取得した距離画像情報62(3次元構造)を端末側制御部52に出力する。この距離画像センサ55は、検出光軸55aを中心とする所定の範囲が、後述する投影部56における投影光軸56aを中心とする所定の範囲(投影範囲)を包含するものとされている。このため、距離画像センサ55は、後述するように投影部56により画像(目標情報画像77)が投影される投影面13における3次元構造(それを示す距離画像情報62(図12参照))を取得することができる。
投影部56は、投影光軸56a(図3参照)を中心とする所定の範囲(投影範囲)に画像(目標情報画像77)を投影する(図6参照)。ここで、投影部56が投影光軸56aを中心とする所定の範囲に画像を投影するものであることから、その投影光軸56aと交わる面を構成する箇所が投影面13(図6等参照)となる。この投影部56は、実施例1では、RGBの3色の光を出射する3つの光源が同一の光路上に光を出射可能とされ、その光路上に2次元偏向ミラーが設けられて構成されている。投影部56は、端末側制御部52の制御下で各光源と2次元偏向ミラーとが適宜駆動されることにより、投影光軸56aを中心とする所定の範囲における投影面13に任意の画像を投影する。なお、投影部56は、投影面13に任意の画像を投影することができるものであればよく、実施例1の構成に限定されるものではない。また、投影部56では、画像を投影する所定の範囲(投影範囲)すなわち投影される画像が矩形状とされている(図6参照)が、当該範囲(投影画像)の形状は適宜設定すればよく、実施例1に限定されるものではない。
通信部57は、測量機20の通信部41を介してその測量機側制御部37(図2参照)と端末側制御部52との通信を可能とするものであり、端末側制御部52の制御下において、測量機側制御部37から送信された各情報を受信する。この通信部57は、実施例1では、無線通信が可能とされている。このため、端末側制御部52は、通信部57を介して無線回線により測量機側制御部37(通信部41)とのデータの遣り取りを行うことができる。これにより、端末側制御部52は、測量機側制御部37(通信部41)から送信された各情報(後述する目標座標情報71や現在座標情報75等)を受け取ることができ、その各情報を記憶部53に格納する。
表示部58は、端末側制御部52の制御下において、測設情報標示装置50における各種の情報や、測量機20から受け取った目標座標情報71や、端末側制御部52で生成した目標情報画像77を適宜表示する。
操作部59は、測設情報標示装置50における各種機能を利用するための操作部であり、入力操作された情報を後述する端末側制御部52へと出力する。この操作部59では、測量機20から受け取った後述する目標座標情報71における目標位置(測設点72等)の切替操作や、測設作業を終了させる終了操作等を行うことができる。
次に、本発明に係る実施例1の測設情報標示装置50の端末側制御部52における動作について、主に図5から図11を用いて説明する。なお、図11は、端末側制御部52(投影部56)における投影最大距離85に基づく部分的に欠落された目標情報画像77が投影される様子の理解を容易なものとするために階段部741およびその手前側の側端が途切れた箇所に当該目標情報画像77を投影する様子を示しているが、このような場面で用いることを前提とするものではない。
この端末側制御部52は、上述したように、通信部57を介して、測量機側制御部37(通信部41)から送信された各情報を受け取ることができる。このため、端末側制御部52は、通信部57を介することで、目標位置(測設点72等)の座標情報である目標座標情報71を、測量機側制御部37から受け取ることができる。その目標座標情報71の一例を図5に示す。図5に示す目標座標情報71は、鉛直方向上方から見た目標位置としての各測設点72を水平面上に記した測設作業のための水平面図とされている。このため、目標座標情報71は、一例としての水平座標情報(目標位置の座標情報)として機能する。その図5に示す目標座標情報71では、4つの測設点72が記されており、正面視して最も下側の測設点72(個別に示す際には721とする)が平坦部73に位置され、他の3つの測設点72(個別に示す際には下から順に722、723、724とする)が平坦部73上に設けられた階段部74(図8参照)に位置されている。なお、目標座標情報(71)は、目標位置が構造物である場合には、図示は略すがその構造物の位置および形状が記されているものとなる。
また、端末側制御部52は、通信部57を介することで、測量機20によるターゲット12(その中心位置)の測定結果、すなわちターゲット12(その中心位置)の現在位置の座標情報である現在座標情報75を、測量機側制御部37から受け取ることができる。このため、測設情報標示装置50では、ターゲット12および通信部57が、目標位置(測設点72等)の座標情報である目標座標情報71および現在位置の座標情報である現在座標情報75を取得する位置情報取得部の一例としてとして機能する。その現在座標情報75は、図3に示すように、ターゲット12の中心位置(複数のコーナーキューブプリズムの中心位置)における絶対位置を示している。ここで、測設情報標示装置50では、ターゲット12が筐体51に固定されていることから、ターゲット12の中心位置と、距離画像センサ55の基準位置および投影部56の基準位置と、の位置関係(オフセット分)が予め定められたものとされている。その位置関係(オフセット分)は、筐体51の傾斜に応じて向きが変化する。このため、端末側制御部52では、現在座標情報75と上記した位置関係(オフセット分)と傾斜センサ54からの傾斜情報61(図12参照)とに基づいて、距離画像センサ55および投影部56(その基準位置)の現在位置の座標情報である補正座標情報76を求めることができる。
ここで、端末側制御部52では、筐体51(その基準方向51a)を測量機20に向けることを前提とすることで、測設情報標示装置50すなわち距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aがいずれの方位に向けられている状態であるのかを求める。このため、端末側制御部52では、筐体51(その基準方向51a)を測量機20に向けることで、現在座標情報75に基づいて、測設情報標示装置50の絶対的な位置を求めることができるとともに、距離画像センサ55および投影部56(その基準位置)の絶対的な位置(補正座標情報76)を求めることができる。これにより、端末側制御部52では、目標座標情報71を用いることで、測設情報標示装置50の座標位置(補正座標情報76)と、その測設情報標示装置50に対する各目標位置(測設点72等)の位置(距離および方向)と、を求めることができる(図5および図6参照)。
そして、端末側制御部52は、測設情報標示装置50の座標位置(補正座標情報76)と、その測設情報標示装置50に対する各目標位置(測設点72等)の位置(距離および方向)と、に基づいて目標情報画像77(図6等参照)を生成する。その目標情報画像77とは、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内において、各目標位置(測設点72等)に関する情報を標示するための画像である。目標情報画像77では、目標位置を示す標示としての目標標示記号78(図8等参照)や目標標示図柄79(図16等参照)を表示させる。
その目標標示記号78(図8等参照)は、目標位置が測設点72である場合に、目標情報画像77において測設点72(目標位置)の位置を示すものである。その目標標示記号78は、実施例1では、図7(A)に示すように、測設点72を取り囲む2重円としている。なお、この目標標示記号は、測設点72の位置の特定を可能とするものであれば、例えば、図7(B)に示す目標標示記号781や図7(C)に示す目標標示記号782のように円と放射方向の直線とを組み合わせたものであってもよく、図示は略すが放射方向の直線でのみで形成してもよく、他の形状であってもよく、実施例1の模様に限定されるものではない。
そして、この目標標示記号78が表示された目標情報画像77、すなわち目標位置が測設点72である場合に当該測設点72の位置の把握を容易なものとするために表示する目標情報画像77を測設画像81(図8参照)とする。このため、端末側制御部52では、測設作業のための目標座標情報71(図5参照)が測量機20から送信された場合には、目標情報画像77として測設画像81(図8参照)を生成する。このことから、測設情報標示装置50では、測設作業のための目標座標情報71(図5参照)を用いることにより、測設画像81(図8参照)を生成して測設作業に利用することができる。
目標標示図柄79(図16から図18参照)は、目標位置が構造物である場合に、目標情報画像77において構造物(目標位置)の位置およびその形状を示すものである。このため、目標標示図柄79は、構造物の種類およびその形状に応じて表示形態が異なるものとなる。目標標示図柄79は、図16に示す例では床の奥に設けられた配管を示し、図17に示す例では天井13cの裏に設けられる配管を示し、図18に示す例では壁13wに取り付けられる手摺を示している。
そして、この目標標示図柄79が表示された目標情報画像77、すなわち目標位置が構造物である場合に当該構造物の位置および形状の把握を容易なものとするために表示する目標情報画像77を構造物画像82(図16から図18参照)とする。このため、端末側制御部52では、構造物の位置および形状を示す目標座標情報(図示せず)が測量機20から送信された場合には、目標情報画像77として構造物画像82(図16から図18参照)を生成する。加えて、端末側制御部52では、構造物画像82において、目標標示図柄79に加えて、構造物情報83(図16参照)を表示させる。その構造物情報83は、表示させた目標標示図柄79が示す構造物に関する情報を示すものである。構造物情報83は、図16に示す例では目標標示図柄79が示す構造物としての配管の最終メンテナンスを行った日にちを表示している。端末側制御部52は、構造物の位置および形状を示す目標座標情報(図示せず)に、その構造物に関する情報を併せ持たせることにより、構造物情報83を生成するための情報を得ることができ、構造物情報83を生成して構造物画像82に表示させることができる。このことから、測設情報標示装置50では、構造物の位置および形状を示す目標座標情報(図示せず)を用いることにより、構造物画像82(図16から図18参照)を生成して構造物の位置、形状、関連する情報等の把握に利用することができる。
また、端末側制御部52は、図6に示すように、3軸加速度センサで構成された傾斜センサ54により、筐体51(その基準方向51a)すなわち距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aの水平面に対する傾き(傾斜)を検出して傾斜情報61(図12参照)を取得することが可能とされている。このことから、傾斜センサ54は、検出光軸55aおよび投影光軸56aの鉛直方向に対する傾斜情報61を取得する傾斜情報取得部として機能する。このため、端末側制御部52では、上述したように筐体51の基準方向51aを測量機20に向けることで、傾斜センサ54からの傾斜情報61と現在座標情報75とに基づいて、距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aの絶対的な向きを求めることができる。換言すると、端末側制御部52は、測量機20がXYZ軸で示す座標上での絶対的な位置を測定するものとすると、測設情報標示装置50において傾斜センサ54により設定されたuvw軸およびその原点oのXYZ座標における位置および向きを求めることができる。
これにより、端末側制御部52は、投影光軸56a上の投影面13が水平面であるものとして、その水平面である投影面13上に適切な画像として投影(形成)するための目標情報画像77(その画像データ)を生成することができる。この投影面13上での適切な画像とは、水平面である投影面13に投影された目標情報画像77に大きな歪みが生じることがないことをいう。これは、投影光軸56aの投影面13に対する入射角度が測設情報標示装置50の傾き(傾斜)によって変化することから、その傾き(傾斜)に応じて調整しないと投影された目標情報画像77に大きな歪みが生じ得ることによる。
加えて、端末側制御部52は、距離画像センサ55が取得した投影面13における3次元構造を示す距離画像情報62(3次元構造(図12参照))に基づいて、生成した目標情報画像77(測設画像81、構造物画像82等)を投影面13の形状に適合させるべく補正する。この投影面13の形状に適合させるとは、投影面13に存在する凹凸(投影面13自体の傾斜も含む)に合わせて目標情報画像77を変化させることで、所定の方向から目標情報画像77を見た際に当該目標情報画像77が平面上に形成された状態と同様とすることを言う。実施例1では、投影された目標情報画像77を投影面13に直交する方向(目標座標情報71の例では鉛直方向)から見ると、目標座標情報71に記された状態と一致するように目標情報画像77を変化させることで、当該目標情報画像77を投影面13の形状に適合させる。
このことについて、図5に示す目標座標情報71を用いて説明する。その目標座標情報71では、上述したように、測設点721が平坦部73に位置し、測設点722、723、724が平坦部73から上方に突出された階段部74(図8参照)に位置されている。ここで、測量機20における測定の基準面が平坦部73であるとする。端末側制御部52は、例えば、図9に示すように、投影面13としての平坦部73(基準面)が水平面であるものとして、その平坦部73上に適切な画像として形成することのできる目標情報画像77(測設画像81(その画像データ))を生成する。これは、距離画像センサ55からの距離画像情報62(3次元構造(図12参照))がないと、平坦部73(基準面)の状態(凹凸や傾斜)が解らないことによる。このため、端末側制御部52は、生成する目標情報画像77(測設画像81(その画像データ))において、各測設点72が平坦部73上に位置するものとして、それぞれの位置に目標標示記号78を表示させる。すると、平坦部73は基準面と等しい高さ位置であることから、その平坦部73に位置する測設点721に対しては適切な位置に目標標示記号78を表示させることができる(矢印A1参照)。ところが、階段部74の1段目74aは平坦部73(基準面)よりも高い高さ位置であることから、その1段目74aに位置する測設点722に対しては適切な位置に目標標示記号78を表示させることができなくなる(二点鎖線で示す矢印A2およびその矢印A2上の符号78参照)。同様に、2段目74bは平坦部73(基準面)よりもさらに高い高さ位置であることから、その2段目74bに位置する測設点723に対しては適切な位置に目標標示記号78を表示させることができなくなる(二点鎖線で示す矢印A3およびその矢印A3上の符号78参照)。なお、この図8および図9に示す例では、3段目74cに位置する測設点724が、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に存在していないことから、この測設点724に関しては目標標示記号78を表示させていない。
このため、端末側制御部52は、距離画像センサ55が取得した投影面13における距離画像情報62(3次元構造)に基づいて、測設点722が位置する階段部74の1段目74aの平坦部73(基準面)に対する高さ位置の差異の分だけ目標標示記号78を投影する位置を補正する(矢印A4参照)。このとき、端末側制御部52は、目標座標情報71が水平面図であることから、目標標示記号78(目標情報画像77)が投影された投影面13を鉛直方向上方から見ると、目標座標情報71に記された状態と一致させるように目標標示記号78を投影する位置を変化させることで、当該目標情報画像77を投影面13の形状に適合させる(矢印A4参照)。これにより、1段目74aに位置する測設点722に対して、適切な位置に目標標示記号78を表示させることできる(矢印A2参照)。同様に、端末側制御部52は、距離画像センサ55が取得した投影面13における距離画像情報62(3次元構造)に基づいて、測設点723が位置する階段部74の2段目74bの平坦部73(基準面)に対する高さ位置の差異の分だけ目標標示記号78を投影する位置を補正する(矢印A5参照)。これにより、2段目74bに位置する測設点723に対しても、適切な位置に目標標示記号78を表示させることできる(矢印A3参照)。
そして、端末側制御部52は、これらの目標標示記号78を投影する位置を補正することと同様に、距離画像センサ55が取得した投影面13における距離画像情報62(3次元構造)に基づいて、投影する目標情報画像77(測設画像81)における全ての画素に対して投影する位置を適宜補正する。ここで、距離画像センサ55で取得した距離画像情報62(3次元構造)の距離測定点が、目標情報画像77(測設画像81)における全ての画素よりも少ない場合には、端末側制御部52は、隣接する距離測定点もしくは周辺の複数の距離測定点の距離画像情報62(3次元構造)を用いて補間処理を行うことで、全ての画素に対して投影する位置を適宜補正する。これにより、端末側制御部52は、生成した目標情報画像77を投影面13の形状に適合させるべく補正することができる。そして、端末側制御部52は、補正した目標情報画像77(その画像データ)を投影させるべく投影部56を駆動制御する。これにより、測設情報標示装置50(投影部56)では、図8に示すように、平坦部73および階段部74の形状に適合させて、それらの上に目標情報画像77を投影することができる。この図8に示す例では、平坦部73から階段部74にかけて目標情報画像77を投影している場面であることから、各段の間に設けられた鉛直方向に立ち上がる箇所(蹴込)は鉛直方向上方からは見えない箇所となるので、当該立ち上がる箇所(蹴込)には光が投射されず画像が投影されていない(二点鎖線で囲みつつ斜線を付していない箇所)。このように、端末側制御部52は、距離画像センサ55が取得した投影面13における距離画像情報62(3次元構造)に基づいて、投影する目標情報画像77(測設画像81)を投影面13の形状に適合させるべく補正し、その補正した目標情報画像77(その画像データ)を投影させるべく投影部56を駆動制御する本願発明の測設情報標示方法を行うことができる。
なお、上記した説明では、一例として、投影面13としての平坦部73(基準面)が水平面であるものとして目標情報画像77(測設画像81(その画像データ))を生成し、それを距離画像センサ55が取得した投影面13における距離画像情報62(3次元構造)に基づいて補正している。しかしながら、補正前の目標情報画像77(測設画像81(その画像データ))は、投影光軸56aが平坦部73と交差する点を含み当該投影光軸56aに直交する面を基準面として生成してもよく、平坦部73に関連する他の面を基準面として生成してもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。この場合であっても、距離画像センサ55が取得した投影面13における距離画像情報62(3次元構造)に基づいて、基準面と投影面13との座標情報が示す面に直交する方向での位置の差異(目標座標情報71の例では鉛直方向で見た高さ位置)の分だけ目標情報画像77(測設画像81(その画像データ))を補正することで、上記した方法と同様に投影する目標情報画像77(測設画像81)を投影面13の形状に適合させるべく補正することができる。
また、端末側制御部52は、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内において、目標位置(測設点72等)が存在しない場合、図10に示すように、目標情報画像77として、目標位置へと案内するための案内画像84を生成する。その案内画像84は、図10に示す例では、測設情報標示装置50の座標位置(補正座標情報76)から見て目標位置へと向かう方向を示す矢印記号84aと、その座標位置(補正座標情報76)から目標位置までの距離を示す距離表示84bと、を有する。そして、端末側制御部52は、この目標情報画像77としての案内画像84も、上述したように距離画像センサ55が取得した投影面13における3次元構造を示す距離画像情報62に基づいて、投影面13の形状に適合させるべく適宜補正する。そして、端末側制御部52は、適宜補正した案内画像84(その画像データ)を投影させるべく投影部56を駆動制御する。これにより、測設情報標示装置50(投影部56)では、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置(測設点72等)が存在しない場合、目標情報画像77としての案内画像84を投影面13に適切に投影することができる。なお、案内画像84は、目標位置へと案内することを可能とするものであればよく、実施例1に構成(図10に示す例)に限定されるものではない。また、案内画像84では、測設情報標示装置50の座標位置として補正座標情報76を用いていたが、現在座標情報75を用いるものであってもよく、実施例1に構成に限定されるものではない。
さらに、端末側制御部52では、図11に示すように、投影部56が投影面13に画像を投影する際の投影距離の最大値を規定する投影最大距離85を設定する。これは、投影部56が画像を投影するものであることから、距離が長くなるほど大きな光量の光を出射する必要があるとともに投影された画像の視認性が悪くなること、投影部56すなわち測設情報標示装置50からあまりに離れた面に画像を投影しても実用的ではないこと、等を勘案したものである。その投影最大距離85は、実施例1では、予め設定されており、操作部59への操作により変更することを可能としている。そして、端末側制御部52では、距離画像センサ55が取得した投影面13における3次元構造を示す距離画像情報62に基づいて、生成した目標情報画像77(測設画像81、構造物画像82、案内画像84)のうち、投影部56が画像を投影する範囲内において投影最大距離85を超える箇所では当該目標情報画像77を部分的に欠落させるべく補正する。そして、端末側制御部52は、このように補正した目標情報画像77(その画像データ)を投影させるべく投影部56を駆動制御する。すると、投影最大距離85を超える箇所には何らの光が投射されず、投影最大距離85を超えない残りの箇所のみに光が投射されて目標情報画像77が投影される。この図11に示す例では、階段部741から当該階段部741の手前側の側端が途切れた箇所に渡って図8と同様の測設画像81を投影する場面を示しており、その途切れた箇所(二点鎖線で囲みつつ斜線を付していない箇所)では測設画像81(目標情報画像77)が部分的に欠落されている。このため、階段部741の上にのみ光が投射されて目標情報画像77(測設画像81)が投影され、その手前側の空間には投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内であっても何らの光が投射されない。
次に、本発明に係る実施例1の測設情報標示装置50の端末側制御部52(図4参照)において実行される、測設作業のための測設情報標示処理について、図12を用いて説明する。その図12は、実施例1における端末側制御部52にて実行される測設情報標示処理(測設情報標示方法)を示すフローチャートである。この測設情報標示処理(測設情報標示方法)は、記憶部53に記憶されたプログラムに基づいて、端末側制御部52が実行する。以下では、この測設情報標示処理(測設情報標示方法)としての図12のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図12のフローチャートは、操作部59に測設作業を行う要求が為されると開始される。
ステップS1では、測量機20の測量機側制御部37から目標座標情報71(目標位置の座標情報)を取得して、ステップS2へ進む。このステップS1では、測量機側制御部37が通信部41を介して送信した目標座標情報71を、通信部57を介して受信することにより取得する。
ステップS2では、ステップS1での測量機側制御部37から目標座標情報71を取得すること、あるいは、ステップS9での目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)の投影を継続するとの判断、あるいは、ステップS11での案内する対象を他の目標位置(測設点72)に切り替えること、に続き、測量機20の測量機側制御部37から現在座標情報75(現在位置の座標情報)を取得して、ステップS3へ進む。このステップS2では、測量機側制御部37が通信部41を介して送信したターゲット12(その中心位置)の測定結果、すなわちターゲット12(その中心位置)の現在位置の座標情報である現在座標情報75(図6等参照)を、通信部57を介して受信することにより取得する。
ステップS3では、ステップS2での測量機20の測量機側制御部37から現在座標情報75を取得することに続き、傾斜センサ54から傾斜情報61を取得して、ステップS4へ進む。このステップS3では、傾斜センサ54が検出した筐体51すなわち距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aの水平面に対する傾き(傾斜)を示す傾斜情報61を取得する。
ステップS4では、ステップS3での傾斜センサ54から傾斜情報61を取得することに続き、距離画像センサ55から距離画像情報62を取得して、ステップS5へ進む。このステップS4では、距離画像センサ55が検出した検出光軸55aを中心とする所定の範囲における3次元構造を示す距離画像情報62を取得する。なお、このステップS2からステップS4は、いずれから先に行うものとしてもよく、実施例1の順番に限定されるものではない。
ステップS5では、ステップS4での距離画像センサ55から距離画像情報62を取得することに続き、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在するか否かを判断し、Yesの場合はステップS6へ進み、Noの場合はステップS7へ進む。このステップS5では、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在するか否かを判断することにより、目標情報画像77に目標位置を示す標示(目標標示記号78等)を表示させることができるか否かを判断する。
ステップS6では、ステップS5での投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在するとの判断に続き、目標情報画像77としての測設画像81を生成して、ステップS8へ進む。このステップS6では、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在することから、目標位置を示す標示(目標標示記号78等)を表示させることができるので、当該標示(目標標示記号78等)を含む目標情報画像77としての測設画像81を生成する。ステップS6では、上述したように、測設情報標示装置50の座標位置(補正座標情報76)および当該測設情報標示装置50に対する各目標位置(測設点72等)の位置(距離および方向)に基づいて測設画像81を生成し、傾斜センサ54からの傾斜情報61および距離画像センサ55からの距離画像情報62(3次元構造)に基づいて当該測設画像81を適宜補正する。これにより、投影部56が画像を投影する範囲内における投影面13の形状に適合させた測設画像81を生成する。
ステップS7では、ステップS5での投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在しないとの判断に続き、目標情報画像77としての案内画像84を生成して、ステップS8へ進む。このステップS7では、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在しないことから、目標位置を示す標示(目標標示記号78等)を表示させることができないので、目標情報画像77として目標位置へと案内するための案内画像84を生成する。ステップS7では、上述したように、測設情報標示装置50の座標位置(補正座標情報76)および当該測設情報標示装置50に対する各目標位置(測設点72等)の位置(距離および方向)に基づいて案内画像84を生成し、傾斜センサ54からの傾斜情報61および距離画像センサ55からの距離画像情報62(3次元構造)に基づいて当該案内画像84を適宜補正する。これにより、投影部56が画像を投影する範囲内における投影面13の形状に適合させた案内画像84を生成する。
ステップS8では、ステップS6での目標情報画像77としての測設画像81を生成すること、あるいは、ステップS7での目標情報画像77としての案内画像84を生成すること、に続き、その生成した目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)を投影させて、ステップS9へ進む。このステップS8では、生成した目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)を投影させるべく投影部56を駆動制御する。ステップS8では、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在する場合(ステップS6を経た場合)には、その目標位置を示す標示(目標標示記号78等)を含む測設画像81(目標情報画像77)を投影部56から投影させる(図8参照)。また、ステップS8では、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在しない場合(ステップS7を経た場合)には、その目標位置へと案内するための案内画像84(目標情報画像77)を投影部56から投影させる(図10参照)。
ステップS9では、ステップS8での目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)を投影させることに続き、目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)の投影を継続するか否かを判断し、Yesの場合はステップS2へ戻り、Noの場合はステップS10へ進む。このステップS9では、現在行っている目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)の投影を継続するか否か、すなわち測設作業のために当該目標情報画像77を投影することを継続するか否かを判断する。この継続しないような場面としては、例えば、案内された目標位置としての測設点72に到達して杭打ちを行うことができたことにより他の測設点72(目標位置)の位置を把握したくなったことや、測設作業を終了すること等があげられる。ステップS9では、操作部59に継続しない旨の操作が為されると継続しないものと判断し、当該操作が為されていない場合には継続するものと判断する。
ステップS10では、ステップS9での目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)の投影を継続しないとの判断に続き、他の目標位置(測設点72)への切り替え操作が為されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS11へ進み、Noの場合はこの測設情報標示処理(測設情報標示方法)を終了する。このステップS10では、操作部59に他の目標位置(測設点72)への切り替え操作が為された場合には、他の目標位置(測設点72)への案内を開始するためにステップS11へ進む。そして、ステップS10では、操作部59に他の目標位置(測設点72)への切り替え操作が為されない場合には、ステップS9において目標情報画像77(測設画像81または案内画像84)の投影を継続しないとの操作が為された場面であることから、測設作業のための目標位置(測設点72)への案内が必要なくなったものと判断して、この測設情報標示処理(測設情報標示方法)を終了する。
ステップS11では、ステップS10での他の目標位置(測設点72)への切り替え操作が為されたとの判断に続き、案内する対象を他の目標位置(測設点72)に切り替えて、ステップS2へ戻る。
次に、測量機20の測量機側制御部37(図2参照)において実行される、測設作業のための測設作業処理について、図13を用いて説明する。その図13は、実施例1における測量機側制御部37にて実行される測設作業処理(測設作業処理方法)を示すフローチャートである。この測設作業処理(測設作業処理方法)は、記憶部38に記憶されたプログラムに基づいて、測量機側制御部37が実行する。以下では、この測設作業処理(測設作業処理方法)としての図13のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図13のフローチャートは、操作部27に測設作業を行う要求が為されると開始される。
ステップS21では、目標座標情報71(目標位置の座標情報)を送信して、ステップS22へ進む。このステップS21では、通信部41を介して目標座標情報71を送信する。
ステップS22では、ステップS21での目標座標情報71を送信すること、あるいは、ステップS23での追尾対象物(ターゲット12)を検出していないとの判断、に続き、望遠鏡部24で所定の範囲を走査して、ステップS23へ進む。このステップS22では、追尾部32を制御して追尾光を投射させつつ、水平回転駆動部33および鉛直回転駆動部35の駆動を制御して托架部23および望遠鏡部24を適宜回転させることにより当該望遠鏡部24で所定の範囲での走査を開始し、既に走査が開始されている場合には当該走査(そのための動作)を継続する。
ステップS23では、ステップS22での望遠鏡部24で所定の範囲での走査を開始することに続き、追尾対象物(ターゲット12)を検出したか否かを判断し、Yesの場合はステップS24へ進み、Noの場合はステップS22へ戻る。このステップS23では、追尾部32が追尾対象物(ターゲット12)からの追尾光の反射光を受光すると、追尾対象物(ターゲット12)を検出したものと判断して、追尾を開始すべくステップS24へ進む。また、ステップS23では、追尾部32が当該反射光を受光しない場合には、追尾対象物(ターゲット12)を検出していないものと判断して、走査を継続すなわち追尾対象物(ターゲット12)を検出すべくステップS22へ戻る。
ステップS24では、ステップS23での追尾対象物(ターゲット12)を検出したとの判断、あるいは、ステップS27での測設作業を継続するとの判断、に続き、追尾動作を行って、ステップS25へ進む。このステップS24では、追尾部32からの追尾対象物(ターゲット12)の位置の情報に基づいて、水平回転駆動部33および鉛直回転駆動部35の駆動を制御することにより、望遠鏡部24(図1参照)を追尾対象物(ターゲット12)の方向に常に向ける(追尾する)追尾動作を開始し、既に追尾動作が開始されている場合には当該追尾動作を継続する。
ステップS25では、ステップS24での追尾動作を開始することに続き、追尾対象物(ターゲット12)の現在座標情報75を取得して、ステップS26へ進む。このステップS25では、測距部31によりターゲット12(その中心位置(複数のコーナーキューブプリズムの中心位置))の座標情報を測定し、そのターゲット12の現在位置の座標情報(三次元座標位置)である現在座標情報75を取得する。
ステップS26では、ステップS25での追尾対象物(ターゲット12)の現在座標情報75を取得することに続き、その現在座標情報75を送信して、ステップS27へ進む。このステップS26では、通信部41を介して追尾対象物(ターゲット12)の現在座標情報75を送信する。
ステップS27では、ステップS26での現在座標情報75を送信することに続き、測設作業を終了するか否かを判断し、Yesの場合は測設作業処理(測設作業処理方法)を終了し、Noの場合はステップS24へ戻る。このステップS27では、操作部27に測設作業を終了する旨の操作が為されると、測設作業を終了すると判断してこの測設作業処理(測設作業処理方法)を終了する。また、ステップS27では、操作部27に上記した操作がなされないと、測設作業を終了しないものと判断して、上記した追尾動作(ステップS24)、現在座標情報75の取得(ステップS25)、および現在座標情報75の送信(ステップS26)を繰り返すべくステップS24へ戻る。
次に、測量システム10すなわち測設情報標示装置50および測量機20を用いて作業者が行う測設作業について、図14を用いて説明する。その図14は、測量システム10を用いて行う測設作業内容を示すフローチャートである。図14のフローチャートでは、目標位置の座標情報として目標座標情報71を用いた例を示すものであり、測量システム10(測設情報標示装置50および測量機20)を用いて、目標座標情報71に記載された各測設点72に杭86(図15参照)を打つ所謂杭打ちをする測設作業を行う場面を示している。この図14のフローチャートは、測設情報標示装置50の操作部59および測量機20の操作部27に測設作業を行う要求が為されると開始される。
ステップS31では、測設情報標示装置50を任意の位置に配して、ステップS32へ進む。このステップS31では、作業者が任意の位置で測量用ポール11を持ち、その上端に取り付けられた測設情報標示装置50を任意の位置に配して、筐体51(その基準方向51a)を測量機20へ向ける(図1参照)。すると、測量機20では、図13のフローチャートにおいてステップS21へと進むことにより目標座標情報71を送信し、測設情報標示装置50では、図12のフローチャートにおいてステップS1へと進むことによりその目標座標情報71を取得する。また、測量機20では、図13のフローチャートにおいてステップS22→ステップS23→ステップS22を繰り返すことにより、測設情報標示装置50のターゲット12を検出する(図6参照)。その後、測量機20では、図13のフローチャートにおいてステップS24へと進むことによりターゲット12の追尾を開始するとともに、ステップS25へと進むことによりターゲット12の現在座標情報75を取得し、ステップS26へと進むことによりその現在座標情報75を送信することを繰り返す。すると、測設情報標示装置50では、図12のフローチャートにおいて、ステップS2へと進むことにより現在座標情報75を取得し、ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進むことにより、測設点72へと案内するための案内画像84を投影部56から投影させる(図10参照)。この後にステップS32へ進む。
ステップS32では、ステップS31での測設情報標示装置50を任意の位置に配することに続き、案内画像84に従って測設情報標示装置50を移動させて、ステップS33へ進む。このステップS32では、測量用ポール11を介して持つ測設情報標示装置50を案内画像84に従って移動させる。このとき、測量機20では、図13のフローチャートにおいてステップS24→ステップS25→ステップS26→ステップS27→ステップS24を繰り返すことにより、ターゲット12の追尾とその現在座標情報75の取得および送信を繰り返す。すると、測設情報標示装置50では、図12のフローチャートにおいてステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS2→ステップS3を繰り返すことにより、測設情報標示装置50(ターゲット12)の位置の変化に応じて測設点72へと案内するための案内画像84(図10参照)を更新しつつ投影部56から投影させる。そして、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に測設点72が存在する位置まで測設情報標示装置50が移動されると、ステップS33へ進む。
ステップS33では、ステップS32での測設情報標示装置50を移動させることに続き、測設点72の位置を把握して、ステップS34へ進む。このステップS33は、ステップS32で投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に測設点72が存在する位置まで測設情報標示装置50が移動された場面である。このため、測設情報標示装置50では、図12のフローチャートにおいてステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS8→ステップS9→ステップS2→ステップS3を繰り返すことにより、測設情報標示装置50(ターゲット12)の位置の変化に応じて各測設点72を示す各目標標示記号78を含む測設画像81(図8参照)を更新しつつ投影部56から投影させる。このとき、測量機20では、図13のフローチャートにおいてステップS24→ステップS25→ステップS26→ステップS27→ステップS24を繰り返すことにより、ターゲット12の追尾とその現在座標情報75の取得および送信を繰り返す。これにより、作業者は目標とする測設点72の位置を把握することができ、ステップS34へ進む。
ステップS34では、ステップS33での測設点72の位置を把握することに続き、測設点72に杭打ちして、ステップS35へ進む。このステップS34では、測設画像81(図8参照)の目標標示記号78が投影された箇所に杭86(図15参照)を打つ所謂杭打ちをすることにより、測設点72に杭打ちする。そして、ステップS35へ進む。
ステップS35では、ステップS34での測設点72に杭打ちすることに続き、測設作業を終了するか否かを判断し、Yesの場合は測設作業を終了し、Noの場合はステップS36へ進む。このステップS35では、測設情報標示装置50の操作部59および測量機20の操作部27に測設作業を終了する旨の操作をすることで測設作業を終了する。そして、既に杭打ちが終わった各測設点72の他の測設点72に対しても杭打ちを行う場合や、杭打ちの位置が正しいものであるのかの確認作業を行う場合には、測設作業を終了する旨の操作をすることはなく、上記した各ステップを繰り返すべくステップS36へ進む。
ステップS36では、ステップS35での測設作業を終了しないとの判断に続き、継続する測設作業に応じた設定として、ステップS32へ戻る。このステップS36では、他の測設点72への切り替え操作が為された場合には当該他の測設点72を対象として上記した動作を繰り返すこととし、単に継続する場合には上記した動作を繰り返すこととすることで、測設作業に応じた設定とする。
このように、測設情報標示装置50(測量システム10)は、目標座標情報71(目標位置の座標情報)に記載された各測設点72に杭打ちする測設作業に用いると、目標座標情報71と測量機20での測定結果とに基づく目標情報画像77を投影面13に投影する。その目標情報画像77は、目標位置としての測設点72が遠い場合には案内画像84とされるので、作業者は案内画像84に従って測設点72(目標位置)へ向けて移動する。そして、目標情報画像77は、目標位置としての測設点72が近付くと、その測設点72を示す目標標示記号78を含む測設画像81とされるので、作業者は投影された目標標示記号78の位置をもって目標座標情報71に記された各測設点72を把握する。このため、測設情報標示装置50(測量システム10)を用いた作業者は、各測設点72に適切に杭打ちすることができる。
その後、測設情報標示装置50(測量システム10)を、目標座標情報71(目標位置の座標情報)に記載された各測設点72への杭打ちの確認に用いるものとする。その様子を図15も併せて用いて説明する。その図15は、図8と同じ場所を示すものであって、各測設点72(721〜724)に対応して杭86が打たれているとともに、そこに測設画像81(目標情報画像77)を投影した様子を示している。そして、図15では、階段部74の1段目74aの測設点722に対応して打たれた杭86が当該測設点722からずれているとともに、他の測設点72(721、723、724)に対応して打たれた杭86は適切な位置に打たれているものとしている。そして、測設情報標示装置50は、図15に示すように、杭打ちを終えた箇所の近傍位置において、筐体51(その基準方向51a)が測量機20に向けられたものとする。
すると、測量機20では、図13のフローチャートにおいてステップS24→ステップS25→ステップS26→ステップS27→ステップS24を繰り返すことにより、ターゲット12の追尾とその現在座標情報75の取得および送信を繰り返す。そして、測設情報標示装置50では、図12のフローチャートにおいてステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS8→ステップS9→ステップS2→ステップS3を繰り返すことにより、測設情報標示装置50(ターゲット12)の位置の変化に応じて各測設点72を示す各目標標示記号78を含む測設画像81(図8参照)を更新しつつ投影部56から投影させる。すると、測設情報標示装置50では、図15に示すように、杭打ちを終えた箇所を投影面13として、目標情報画像77としての測設画像81を投影する。
このとき、測設情報標示装置50では、上述したように投影面13の形状に適合させて測設画像81(目標情報画像77)を投影するものであることから、各測設点72(721〜724)の位置に適切に杭86が打たれている場合、それらの位置を示す各目標標示記号78は対応する杭86の上端面に投影される。この図15に示す例では、平坦部73に打たれた杭86および2段目74bに打たれた杭86の上端面に、それぞれ目標標示記号78が投影されている。そして、1段目74aに打たれた杭86の上端面には目標標示記号78が投影されておらず、その1段目74aにおける杭86とは異なる位置に目標標示記号78が投影されている。このため、作業者は、杭打ちを終えた箇所を投影面13として測設画像81(目標情報画像77)を投影することにより、測設点721と測設点723に対しては適切に杭86が打たれていることと、測設点722に対しては適切に杭86が打たれていないことと、を瞬時にかつ確実に確認することができる。
加えて、測設情報標示装置50(測量システム10)に対して、目標位置として床の奥に設けられた配管(図16参照)を構造物とし、座標情報として当該配管(構造物)の床における位置および形状を示す目標座標情報(図示せず)を用いるものとする。すると、測設情報標示装置50および測量機20では、測設点72に替えて配管(構造物)を目標位置とするものとして、上記した各測設点72を示す目標座標情報71を用いたときと同様の動作が行われる。そして、測設情報標示装置50では、配管(構造物)が設けられた箇所の近傍位置において、筐体51(その基準方向51a)が測量機20に向けられたものとする。すると、測設情報標示装置50は、図16に示すように、投影面13とする床の形状に適合させて、配管(構造物)を示す目標標示図柄79を含む構造物画像82(目標情報画像77)を投影する。このため、作業者は、投影された構造物画像82の目標標示図柄79から、配管(構造物)の位置および形状を容易にかつ正確に把握することができる。加えて、測設情報標示装置50(測量システム10)は、配管(構造物)の位置および形状を示す目標座標情報(図示せず)が当該配管(構造物)に関する情報を併せ持つ場合、構造物画像82において目標標示図柄79が示す構造物に関する情報を示す構造物情報83を投影する。その構造物情報83は、図16に示す例では目標標示図柄79が示す配管(構造物)の最終メンテナンスを行った日にちを表示している。このため、作業者は、投影された構造物画像82の構造物情報83から、目標標示図柄79が示す配管(構造物)に関する情報を容易に把握することができる。
さらに、測設情報標示装置50(測量システム10)に対して、目標位置として天井13cの裏に設けられた配管(図17参照)を構造物とし、座標情報として当該配管(構造物)の天井13cにおける位置および形状を示す天井座標情報(図示せず)を用いるものとする。すると、測設情報標示装置50および測量機20では、測設点72に替えて配管(構造物)を目標位置とするものとして、上記した各測設点72を示す目標座標情報71を用いたときと同様の動作が行われる。そして、測設情報標示装置50は、配管(構造物)が設けられた箇所の近傍位置において、投影部56の投影光軸56aが天井13cに向けられるとともに筐体51(その基準方向51a)が測量機20に向けられたものとする。すると、測設情報標示装置50は、図17に示すように、投影面13とする天井13cの形状に適合させて、配管(構造物)を示す目標標示図柄79を含む構造物画像82(目標情報画像77)を投影する。このとき、構造物画像82(目標情報画像77)は、天井13c(投影面13)を鉛直方向下方から見ると、上記した天井座標情報(図示せず)と一致されている。このため、作業者は、投影された構造物画像82の目標標示図柄79から、天井13cの裏に設けられる配管(構造物)の位置および形状を容易にかつ正確に把握することができる。なお、このように天井13cに構造物画像82を投影した場合であっても、図16に示す例のように構造物情報83を投影することができる。また、作業者は、目標位置として天井13cに取り付けられる灯具等を構造物とした場合であっても、図17の例と同様に、投影された構造物画像82の目標標示図柄79から天井13cに取り付けられる構造物の位置および形状を容易にかつ正確に把握することができる。なお、天井座標情報は、構造物の天井13cにおける位置および形状を示す座標情報であれば、例えば、水平面図を裏から見たものを用いることができる。
ついで、測設情報標示装置50(測量システム10)に対して、目標位置として壁13wに設けられる手摺(図18参照)を構造物とし、座標情報として当該手摺(構造物)の壁13wにおける位置および形状を示す壁座標情報(図示せず)を用いるものとする。すると、測設情報標示装置50および測量機20では、測設点72に替えて手摺(構造物)を目標位置とするものとして、上記した各測設点72を示す目標座標情報71を用いたときと同様の動作が行われる。そして、測設情報標示装置50は、手摺(構造物)が設けられる箇所の近傍位置において、投影部56の投影光軸56aが壁13wに向けられるとともに筐体51(その基準方向51a)が測量機20に向けられたものとする。すると、測設情報標示装置50は、図18に示すように、投影面13とする壁13wの形状に適合させて、手摺(構造物)を示す目標標示図柄79を含む構造物画像82(目標情報画像77)を投影する。このとき、構造物画像82(目標情報画像77)は、壁13w(投影面13)を当該壁13wに直交する方向から見ると、上記した壁座標情報(図示せず)と一致されている。このため、作業者は、投影された構造物画像82の目標標示図柄79から、壁13wに取り付けられる手摺(構造物)の位置および形状を容易にかつ正確に把握することができる。なお、このように壁13wに構造物画像82を投影した場合であっても、図16に示す例のように構造物情報83を投影することができる。また、作業者は、目標位置として壁13wの奥に設けられる配管や配線等を構造物とした場合であっても、図18の例と同様に、投影された構造物画像82の目標標示図柄79から壁13wの奥に設けられる構造物の位置および形状を容易にかつ正確に把握することができる。
なお、図18に示す例では床面から鉛直方向に立ち上がる壁13wに手摺(構造物)が設けられている例を示しているが、この壁(13w)は、床面から立ち上がるものであれば、立ち上がる角度は床面に近いしいものや天井(13c)に近しいものであってもよく、床面となだらかに連続するものであってもよく、天井(13c)となだらかに連続するものであってもよく、その角度および形態は実施例1のものに限定されるものではない。このことから、測設情報標示装置50(測量システム10)では、水平座標情報(水平面図である目標座標情報71)、天井座標情報および壁座標情報を組み合わせて用いることにより、全天球方向に向けて目標情報画像77を投影することができ、全天球方向の目標位置の位置や形状の把握を容易なものとすることができる。そして、測設情報標示装置50(測量システム10)では、水平座標情報(水平面図である目標座標情報71)、天井座標情報および壁座標情報を組み合わせることに変えて、座標情報として三次元立体図を示す三次元立体座標情報を用いるものとすることができる。ここで、測量機20では、上記したように測設情報標示装置50の三次元座標位置を測定することができ、その測設情報標示装置50では、測量機20で測定された三次元座標位置に基づいて目標情報画像77を投影面13の形状に適合させて投影する。このため、測設情報標示装置50(測量システム10)では、上記した三次元立体座標情報を用いた場合であっても、水平座標情報(水平面図である目標座標情報71)、天井座標情報および壁座標情報を組み合わせて用いた場合と同様に、全天球方向に向けて目標情報画像77を投影することができ、全天球方向の目標位置の位置や形状の把握を容易なものとすることができる。
このように、本発明に係る測設情報標示装置の一実施例としての測設情報標示装置50では、距離画像センサ55で取得した距離画像情報62と傾斜センサ54(傾斜情報取得部)で取得した傾斜情報61とに基づいて投影面13の形状に適合させるべく目標情報画像77を補正して、その補正した目標情報画像77を投影部56に投影させる。このため、測設情報標示装置50では、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず目標位置に関連する目標情報画像77を適切に投影面13上に投影することができ、目標位置の位置を正確に把握させることができる。
また、測設情報標示装置50では、投影面13としての作業面上に適切に投影した目標情報画像77により、目標位置の位置を把握させることができる。このことは、例えば測設情報標示装置50の表示部58のみに目標位置に関連する画像(目標情報画像)を表示させる場合のように、表示部58と実際の作業面とを見比べる必要がないので、目標位置の位置の把握をより容易にかつ正確なものとすることができる。
さらに、測設情報標示装置50では、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず目標位置に関連する目標情報画像77を適切に投影面13上に投影することから、目標位置の真上(鉛直上方位置)へと移動されなくても、目標位置の位置を正確に把握させることができる。このため、測設情報標示装置50では、より効率良く目標位置の位置を正確に把握させることができ、その把握のための作業に要する時間を削減することができる。
測設情報標示装置50では、目標情報画像77が投影された投影面13をそこに直交する方向から見て座標情報(目標座標情報71)と一致させることで、目標情報画像77を投影面13の形状に適合させている。このため、測設情報標示装置50では、座標情報(目標座標情報71)における各目標位置の位置を、実際の投影面13に適切に反映させることができ、目標位置の位置を正確に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、距離画像センサ55の検出光軸55aと投影部56の投影光軸56aとが一致されている。このため、測設情報標示装置50では、距離画像センサ55が、投影部56が実際に画像を投影する方向の距離画像情報62を取得することができる。これにより、測設情報標示装置50では、目標情報画像77を投影面13の形状に適合させて補正するための計算を簡易なものとすることができ、かつ目標情報画像77を実際に投影する投影面13の形状に適合させる補正を適切なものとすることができる。
測設情報標示装置50では、距離画像センサ55における検出光軸55aを中心とする所定の範囲を、投影部56における投影光軸56aを中心とする所定の範囲(投影範囲)を包含するものとしている。このため、測設情報標示装置50では、投影部56により目標情報画像77が投影される投影面13における3次元構造(距離画像情報62)を距離画像センサ55で確実に取得することができる。これにより、測設情報標示装置50では、目標情報画像77を投影面13の形状に適合させて補正するための計算をより簡易なものとすることができ、かつ目標情報画像77を実際に投影する投影面13の形状に適合させる補正をより適切なものとすることができる。
測設情報標示装置50では、傾斜センサ54をuvw軸の3方向の加速度を検出する3軸加速度センサで構成するとともに、その検出可能な3軸のうちの1軸(u軸)を距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aと一致させている。このため、測設情報標示装置50では、傾斜センサ54で検出した検出光軸55aおよび投影光軸56aの傾き(傾斜)に基づく目標情報画像77を投影面13の形状に適合させる補正のための計算を簡易なものとすることができる。
測設情報標示装置50では、目標位置が測設点72である場合、目標情報画像77として測設点72の位置を示す目標標示記号78を含む測設画像81を生成し、その測設画像81を投影部56に投影させる。このため、測設情報標示装置50では、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず測設画像81を投影面13上に投影することができ、測設点72の位置を示す目標標示記号78を適切な位置に投影することができる。これにより、測設情報標示装置50では、測設点72の位置を正確に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、杭打ちを終えた箇所を投影面13として目標情報画像77としての測設画像81を投影することにより、各測設点72の位置に適切に杭86が打たれているか否かの確認を、瞬時にかつ確実に行うことができる。
測設情報標示装置50では、投影部56が投影面13に画像を投影する範囲内に目標位置が存在しない場合、現在位置から目標位置へと案内する案内画像84を生成し、案内画像84を投影部56に投影させる。このため、測設情報標示装置50では、投影面13としての作業面上に投影した案内画像84により、目標位置の近傍位置へと案内することができる。このことは、例えば測設情報標示装置50の表示部58のみに案内画像を表示させる場合のように、表示部58と実際の作業面とを見比べる必要がないので、目標位置への到達をより容易にかつ確実なものとすることができる。
測設情報標示装置50では、目標位置が構造物である場合、目標情報画像77として構造物の位置および形状を示す目標標示図柄79を含む構造物画像82を生成し、構造物画像82を投影部56に投影させる。このため、測設情報標示装置50では、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず構造物画像82を投影面13上に投影することができ、構造物の位置および形状を示す目標標示図柄79を適切な位置に適切な形状で投影することができる。これにより、測設情報標示装置50では、構造物の位置および形状を正確に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、目標位置が構造物である場合、目標情報画像77としての構造物画像82において、目標標示図柄79が示す構造物に関する情報を示す構造物情報83を投影することができる。このため、測設情報標示装置50では、単に構造物の位置および形状を容易にかつ正確に把握させることに留まらず、当該構造物に関する情報も併せて容易にかつ正確に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、投影部56から目標情報画像77を投影させることのできる投影最大距離85が設定されている。そして、測設情報標示装置50では、投影面13のうちの投影最大距離85を超える箇所では目標情報画像77を部分的に欠落させ、その投影最大距離85を超える箇所を部分的に欠落させた目標情報画像77を投影部56に投影させる。このため、測設情報標示装置50では、投影最大距離85を超える箇所であって目標情報画像77を形成しない箇所へは光を投射することがないので、省電力化することができる。
測設情報標示装置50では、座標情報が水平座標情報(水平面図である目標座標情報71)であると、投影面13を鉛直方向上方から見て投影した目標情報画像77を水平座標情報(目標座標情報71)と一致させることで、目標情報画像77を投影面13の形状に適合させる。このため、測設情報標示装置50では、例えば、水平面図が用いられる測設作業において、測設点72(目標位置)の位置をより容易にかつ適切に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、座標情報が天井座標情報であると、投影面13とする天井13cを鉛直方向下方から見て投影した目標情報画像77を天井座標情報と一致させることで、目標情報画像77を投影面13の形状に適合させる。このため、測設情報標示装置50では、天井13cの裏に設けられる構造物や天井13cに取り付けられる構造物の位置や形状を、より容易にかつ適切に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、座標情報が床面から立ち上がる壁13wにおける壁座標情報であると、投影面13とする壁13wを直交する方向から見て投影した目標情報画像77を壁座標情報と一致させることで、目標情報画像77を投影面13の形状に適合させる。このため、測設情報標示装置50では、壁13wの奥に設けられる構造物や壁13wに取り付けられる構造物の位置や形状を、より容易にかつ適切に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、水平座標情報(水平面図である目標座標情報71)、天井座標情報および壁座標情報を組み合わせて用いることにより、全天球方向に向けて目標情報画像77を投影することができる。このため、測設情報標示装置50では、全天球方向に設けられる目標位置の位置や形状の把握を容易なものとすることができる。
測設情報標示装置50では、座標情報として三次元立体図を示す三次元立体座標情報を用いることにより、全天球方向に向けて目標情報画像77を投影することができる。このため、測設情報標示装置50では、全天球方向に設けられる目標位置の位置や形状の把握を容易なものとすることができる。
測設情報標示装置50では、通信部57を介して、測量機20(その測量機側制御部37)から目標位置の座標情報(目標座標情報71)を取得するとともに、測量機20で測定したターゲット12の位置の情報(現在座標情報75)を取得して現在位置の座標情報とする。そして、測設情報標示装置50では、測量機20で測定した現在位置(現在座標情報75)を用いることで投影面13の形状に適合させて目標情報画像77を補正して、その補正した目標情報画像77を投影部56に投影させる。このため、測設情報標示装置50では、より適切な現在位置(現在座標情報75)に基づいて、投影面13の形状に適合させて目標情報画像77を補正することができ、その補正した目標情報画像77を投影部56に投影させることができる。これにより、測設情報標示装置50では、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず目標位置に関連する目標情報画像77をより適切に投影面13上に投影することができ、目標位置の位置をより正確に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、測量機20(その測量機側制御部37)から取得した現在位置(現在座標情報75)を、ターゲット12の中心位置と距離画像センサ55の基準位置および投影部56の基準位置と、の位置関係(オフセット分)に基づいて求めた補正座標情報76を現在位置の座標情報とする。そして、測設情報標示装置50では、その補正座標情報76を用いて投影面13の形状に適合させて目標情報画像77を補正して、その補正した目標情報画像77を投影部56に投影させる。このため、測設情報標示装置50では、投影部56の基準位置の現在位置(補正座標情報76)に基づいて、投影面13の形状に適合させて目標情報画像77を補正することができ、その補正した目標情報画像77を投影部56に投影させることができる。これにより、測設情報標示装置50では、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず目標位置に関連する目標情報画像77をより適切に投影面13上に投影することができ、目標位置の位置をより正確に把握させることができる。
測設情報標示装置50では、座標情報(目標座標情報71)に基づいて現在位置から見た目標位置に関連する目標情報画像77を、距離画像センサ55で取得した距離画像情報62と傾斜センサ54(傾斜情報取得部)で取得した傾斜情報61とに基づいて投影面13の形状に適合させて補正する工程と、補正した目標情報画像77を投影部56に投影させる工程と、を含む測設情報標示方法を実行するものであることから、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず目標位置に関連する目標情報画像77を適切に投影面13上に投影することができ、目標位置の位置を正確に把握させることができる。
したがって、本発明に係る測設情報標示装置の一実施例としての測設情報標示装置50では、測設点72等の目標位置を容易にかつ適切に把握させることができる。
次に、本発明の実施例3の測設情報標示装置としての測設情報標示装置50B、およびそれを用いる測量システム10Bについて、図20から図25(図25A、図25B)を用いて説明する。この実施例3の測設情報標示装置50Bは、傾斜を電気信号として出力するセンサ(検出器(実施例1、2では傾斜センサ54))を用いることなく、距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aの傾斜(その方向および度合)の把握を可能とする例である。この実施例3の測設情報標示装置50Bは、基本的な構成および動作は上記した実施例1の測設情報標示装置50と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、実施例3の測量システム10Bは、測設情報標示装置50に替えて実施例3の測設情報標示装置50Bを用いることを除くと実施例1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
その測設情報標示装置50Bは、実施例3では、図20に示すように、直方体形状を呈する筐体51Bに収容されて形成され、その筐体51Bの前面51bにターゲット12Bと傾斜シート88とが設けられる。実施例3では、ターゲット12Bの中心位置Pcと、傾斜シート88の記号現出面92の中心位置Scと、が距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56a(その延長線)上に位置するように、ターゲット12Bと傾斜シート88とが筐体51Bに設けられる。測設情報標示装置50Bでは、測量用ポール11(図1等参照)が設けられておらず、筐体51Bが移動するために作業者が持つ箇所となる。なお、測設情報標示装置50Bでは、実施例1と同様に測量用ポール11を設けてもよく、実施例3の構成に限定されない。
ターゲット12Bは、実施例3では、単一のコーナーキューブプリズムが設けられて構成され、前面51bと平行な入射面12aを有する。このターゲット12Bは、基本的に入射面12aから光(測定光や追尾光)が入射されると、その入射方向に沿って当該光を反射する。このため、ターゲット12Bは、測量機20の測距部31からの測距光を反射することで位置が測定される測定対象物とされ、測量機20の追尾部32からの追尾光を反射することで望遠鏡部24が常に向けられる(追尾される)追尾対象物とされる。よって、測量機20では、測距部31によりターゲット12B(その中心位置Pc)の座標位置(三次元座標位置)を測定でき、そのターゲット12B(中心位置Pc)の現在位置の座標情報である現在座標情報75を取得できる。また、測量機20では、追尾部32により、望遠鏡部24をターゲット12B(中心位置Pc)に常に向ける(追尾する)ことができる。その中心位置Pcは、厳密には、ターゲット12B(その入射面12a)が測量機20に正対する状態から傾斜しても不動に見える仮想的な点である浮上点とする。
傾斜シート88は、実施例3では、図21に示すように、正面視して正方形の薄板状を呈する基板部91に、円形の記号現出面92が設けられて構成される。この傾斜シート88では、後述するように、記号現出面92に傾斜記号93が現われ、自身の傾斜に応じて記号現出面92における傾斜記号93の位置を変化させることで、視線方向に対する傾斜角の解析を可能とする。その記号現出面92は、図22Aに示すように、集光層94と画像形成層95とが積層されて形成される。その集光層94は、平凸レンズとして機能する複数の集光部94aが、ハニカム状やマトリックス状等のように整列されて形成された、所謂レンズアレイである。その各集光部94aは、結像位置が画像形成層95上とされる。実施例3の集光層94では、図22Bに示すように、複数の集光部94aがハニカム状に整列されている。
画像形成層95は、図21および図22Cに示すように、透光性を有する平板状の画像形成媒体96上に、傾斜記号93と等しい形状の記号である記号形成部97が印刷等で複数形成されて構成される。画像形成媒体96(画像形成層95)は、透光性を有する材料で構成され、その上面に設けられた各記号形成部97を介在させて集光層94の裏面(各集光部94aが設けられた面とは反対側の面)に接着剤等で取り付けられる。その記号形成部97は、集光層94の各集光部94aに積層方向で一対一に対応しつつ、中央位置を基準として図22C(図22B)を正面視した縦横方向での各集光部94aの間隔よりも僅かに狭い間隔でハニカム状に整列される。
この記号現出面92(傾斜シート88)では、上記した構成により、各記号形成部97として形成された記号が集光層94の各集光部94aを経ることで、傾斜記号93として現出される(図21等参照)。記号現出面92では、その法線方向を基準方向Dbとして、この基準方向Dbに対して視線方向Deが傾くと、その傾いた方向に傾きに応じた量で傾斜記号93が変位する。詳細には、傾斜シート88(その基準方向Db)が視線方向Deに対して左側に傾くと(図23A参照)、その視線方向Deが基準方向Dbに対して右側へ傾き、記号現出面92ではその傾きに応じた距離で傾斜記号93が右側へと変位する(図23B参照)。また、傾斜シート88(その基準方向Db)が視線方向Deに対して右側に傾くと(図23C参照)、その視線方向Deが基準方向Dbに対して左側へ傾き、記号現出面92ではその傾きに応じた距離で傾斜記号93が左側へと変位する(図23D参照)。このため、傾斜シート88では、記号現出面92における傾斜記号93の位置を求めることで、視線方向Deに対する基準方向Dbの傾き(その方向および度合)の解析を可能とする。その視線方向Deに対する基準方向Dbの傾き(方向および度合)の解析(演算)の詳細については公知であるのでその説明は省略する。この傾斜シート88とターゲット12Bとは、筐体51Bに固定されているので、筐体51Bに対するそれぞれの位置関係が一定とされ、かつ互いの位置関係が一定とされている。
この測設情報標示装置50Bでは、筐体51Bに傾斜シート88を設けたことに伴い、図24に示すように、傾斜センサ54を設けていない。これに伴い、測量システム10Bでは、測量機20(その測量機側制御部37(図2参照))が、傾斜シート88を用いて測設情報標示装置50Bの傾斜の方向と度合とを求めることができる。これについて、図25A、図25Bを用いて説明する。
測量機20では、ターゲット12Bの現在座標情報75を取得する際(図13のフローチャートのステップS25)、望遠鏡部24の望遠鏡28の光学系を通して撮像部29で視準方向に存在するターゲット12Bとともに傾斜シート88の画像(望遠画像)を取得する(図25A参照)。すると、測量機側制御部37は、図25Aに示すように、その画像におけるターゲット12Bの中心位置Pcと、傾斜シート88の記号現出面92の中心位置Scと、を画像解析により求め、それらの位置関係から傾斜シート88(基板部91および記号現出面92)の向きを求める。また、測量機側制御部37は、視準方向に存在するターゲット12Bの中心位置Pcの現在座標情報75と、中心位置Pcおよび中心位置Scの位置関係と、に基づいて、視準方向に対する中心位置Sc(傾斜シート88)が存在する方向の関係性(変位量および変位方向)を求める。さらに、測量機側制御部37は、図25Bに示すように、記号現出面92に現れる傾斜記号93の中心位置Mcを画像解析により求め、その中心位置Mcの中心位置Scに対する変位量およびその方向を求める。そして、測量機側制御部37は、中心位置Mcの中心位置Scに対する変位量および方向を、視準方向に対する中心位置Scが存在する方向の関係性に応じて補正し、その補正した変位量および方向と傾斜シート88の向きとから、望遠鏡28の視準方向に対する傾斜シート88の傾斜(その度合および方向)を求める。これは、撮像部29で取得した画像では、撮像部29の視準方向にターゲット12Bの中心位置Pcが位置するので、傾斜シート88(その記号現出面92)に対する視線方向Deが撮像部29から中心位置Sc(傾斜シート88)に向かう方向とされていることによる。これにより、測量機側制御部37は、望遠鏡28の視準方向に対する傾斜シート88の傾斜(その方向および度合)を求めることができ、現在座標情報75を端末側制御部52Bに送信する際(図13のフローチャートのステップS26)、求めた傾斜シート88の傾斜(方向および度合(それらの情報))を併せて送信する。
このため、端末側制御部52Bでは、測量機側制御部37から傾斜シート88の傾斜(方向および度合)を取得することができる(図12のフローチャートのステップS3に相当)。これにより、端末側制御部52Bでは、取得した傾斜シート88の傾斜に基づき、測設情報標示装置50Bの傾斜(その方向および度合)を求めることができ、筐体51Bに設けられた基準方向51a、距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aがいずれの方位に向いている状態であるのかを求めることができる。このことから、傾斜シート88は、傾斜情報取得部として機能する。これにより、端末側制御部52Bでは、筐体51Bの基準方向51aを測量機20に向けることなく、かつ電気信号として出力するセンサを用いることなく、測量機20からの現在座標情報75に基づいて、測設情報標示装置50Bの絶対的な位置と、距離画像センサ55および投影部56(その基準位置)の絶対的な位置と、を求めることができる。このため、端末側制御部52Bでは、筐体51B(その基準方向51a)の傾斜の方向と度合とを基準としつつ目標座標情報71を用いることで、測設情報標示装置50Bの座標位置(補正座標情報76)と、その測設情報標示装置50Bに対する各目標位置(測設点72等)の位置(距離および方向)と、を求めることができる。これにより、端末側制御部52Bでは、基準方向51aを測量機20に向けることなくかつ電気信号として出力するセンサを用いなくても、投影面13の凹凸や傾斜に拘わらず目標位置に関連する目標情報画像77をより適切に投影面13上に投影することができる。
実施例3の測設情報標示装置50Bでは、基本的に実施例1の測設情報標示装置50と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例3の測設情報標示装置50Bでは、測量機20の測量機側制御部37が求めた傾斜シート88の傾斜(方向および度合)を端末側制御部52Bが取得する。このため、端末側制御部52Bは、傾斜シート88の傾斜(方向および度合)に基づいて、測設情報標示装置50Bの傾斜(方向および度合)を求めることができ、距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56aがいずれの方位に向いているのかを求めることができる。このことから、測設情報標示装置50Bでは、筐体51B(その基準方向51a)を測量機20に向ける必要がないので、使い勝手を向上させることができる。また、測設情報標示装置50Bでは、実施例1、2の傾斜センサ54や実施例2の方位センサ87のような電気信号として出力するセンサを用いる必要がないので、簡易で安価な構成とすることができる。さらに、測設情報標示装置50Bでは、記号現出面92に表れる傾斜記号93の位置から求めた傾斜シート88の傾斜(方向および度合)を用いるので、筐体51B(その基準方向51a)を測量機20に適切に向け続けることと比較して、目標情報画像77をより適切にかつ簡易に投影面13上に投影することができる。加えて、測設情報標示装置50Bでは、傾斜シート88が薄く板状の小さな部材であるので、全体の構成の小型化を図ることができ、作業性を向上させることができる。これらにより、測設情報標示装置50Bでは、目標位置の位置をより正確にかつ容易に把握させることができる。
また、測設情報標示装置50Bでは、ターゲット12Bと傾斜シート88とを筐体51Bの平坦な前面51bに設けているので、傾斜シート88の傾斜がそのままターゲット12Bの入射面12aの傾斜となる。このため、測設情報標示装置50Bでは、取得した傾斜シート88の傾斜に基づき検出光軸55aおよび投影光軸56aがいずれの方位に向いている状態であるのかの計算を容易とすることができる。特に、実施例3の測設情報標示装置50Bでは、ターゲット12Bの中心位置Pcと、傾斜シート88の記号現出面92の中心位置Scと、を距離画像センサ55の検出光軸55aおよび投影部56の投影光軸56a(その延長線)上に位置させている。このため、測設情報標示装置50Bでは、傾斜シート88の基準方向Dbに直交する方向が検出光軸55aおよび投影光軸56aとなるので、検出光軸55aおよび投影光軸56aがいずれの方位に向いている状態であるのかの計算をより容易とすることができる。
したがって、本発明に係る測設情報標示装置の実施例3の測設情報標示装置50Bでは、測設点72等の目標位置を容易にかつ適切に把握させることができる。
なお、実施例3の測設情報標示装置50Bでは、筐体51Bの前面51bにターゲット12Bと傾斜シート88とを並べて設けて、それらの中心位置Pcと中心位置Scとを検出光軸55aおよび投影光軸56a(その延長線)上に位置させている。しかしながら、それらの位置関係は適宜設定すればよく、上記した実施例3の構成に限定されない。その一例として、図26に示すように、筐体51Bにおいて、前面51bと反対側の後面51cで投影部56の投影光軸56aがターゲット12Bの中心位置Pcを通るように、投影部56とターゲット12Bとを設けてもよい。このような構成とすると、傾斜シート88の基準方向Db(その伸びる方向)が検出光軸55aおよび投影光軸56aとなるので、取得した傾斜シート88の傾斜に基づき検出光軸55aおよび投影光軸56aがいずれの方位に向いている状態であるのかの計算をより容易とすることができる。
また、実施例3の傾斜シート88では、正面視して正方形の薄板状を呈する基板部91に円形の記号現出面92を設けていたが、画像解析により中心位置Scを求めることができれば、どのような形状でもよく、実施例3の構成に限定されない。また、記号形成部97は、それに基づき記号現出面92に現れる傾斜記号93の中心位置Mcを画像解析により求めることができれば、どのような形状でもよく、実施例3の構成に限定されない。
さらに、実施例3の傾斜シート88では、中央位置を基準として縦横方向での各集光部94aの間隔よりも僅かに狭い間隔で各記号形成部97をハニカム状に整列させることで、視線方向Deが基準方向Dbに対して傾いた方向に傾斜記号93を変位させている。しかしながら、傾斜シート88は、基準方向Dbに対する視線方向Deの傾斜状態に応じて傾斜記号93を変位させるものであれば、傾斜方向と傾斜記号93の変位方向との関係性は適宜設定すればよく、実施例3の構成に限定されない。その一例として、中央位置を基準として縦横方向での各集光部94aの間隔よりも僅かに広い間隔で各記号形成部97をハニカム状に整列させることで、基準方向Dbに対して視線方向Deが傾いた方向とは反対側に傾斜記号93を変位させることができる。
実施例3では、ターゲット12Bの中心位置Pcと、傾斜シート88の記号現出面92の中心位置Scと、から傾斜シート88(基板部91および記号現出面92)の向きを求めている。しかしながら、例えば、基板部91や記号現出面92の形状を上下左右方向の区別がつくものとしたり、基板部91や記号現出面92に目印を設けたりすることで、傾斜シート88のみを画像解析して当該傾斜シート88の向きを求めるものとしてもよく、上記した実施例3の構成に限定されない。
実施例3では、単純にターゲット12Bと傾斜シート88とを筐体51Bの前面51bに設けているが、ターゲット12Bに筒状のフードを設けて、当該ターゲット12Bを視準可能な角度範囲を抑制することが考えられる。これは、傾斜シート88では、視線方向Deに対する基準方向Dbが為す角度が大きい場合、記号現出面92において傾斜記号93が繰り返し見える特性があり、傾斜記号93の誤検出を招く虞があることによる。また、傾斜シート88の裏面(画像形成層95の画像形成媒体96における各記号形成部97を形成していない側の面)に照明装置を設けることで、傾斜記号93の検出をより容易で確実なものとすることができる。
実施例3では、測量機20の測量機側制御部37が傾斜シート88の傾斜(方向および度合)を求めていたが、測設情報標示装置50Bの端末側制御部52Bが求めるものでもよく、上記した実施例3の構成に限定されない。その場合、例えば、測設情報標示装置50Bは、測量機側制御部37が取得した傾斜シート88の画像(その情報)を取得してもよく、測量機側制御部37が求めた中心位置Pcと中心位置Scと中心位置Mcと(それらの情報)を取得してもよい。
なお、上記した各実施例では、本発明に係る測設情報標示装置の一実施例としての測設情報標示装置50、50A、50Bについて説明したが、検出光軸を中心とする所定の範囲の距離画像情報を取得する距離画像センサと、投影光軸を中心とする所定の範囲における投影面に画像を投影する投影部と、前記検出光軸および前記投影光軸の鉛直方向に対する傾斜情報を取得する傾斜情報取得部と、現在位置および目標位置の座標情報を取得する位置情報取得部と、前記座標情報に基づいて前記現在位置から見た前記目標位置に関連する目標情報画像を生成する端末側制御部と、を備え、前記端末側制御部は、前記距離画像センサで取得した前記距離画像情報と前記傾斜情報取得部で取得した前記傾斜情報とに基づいて前記投影面の形状に適合させて前記目標情報画像を補正し、補正した前記目標情報画像を前記投影部に投影させる測設情報標示装置であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、本発明に係る測設情報標示方法を行う一実施例としての測設情報標示装置50、50A、50Bについて説明したが、検出光軸を中心とする所定の範囲の距離画像情報を取得する距離画像センサと、投影光軸を中心とする所定の範囲における投影面に画像を投影する投影部と、前記検出光軸および前記投影光軸の鉛直方向に対する傾斜情報を取得する傾斜情報取得部と、現在位置および目標位置の座標情報を取得する位置情報取得部と、を備える測設情報標示装置が行う測設情報標示方法であって、前記座標情報に基づいて前記現在位置から見た前記目標位置に関連する目標情報画像を、前記距離画像センサで取得した前記距離画像情報と前記傾斜情報取得部で取得した前記傾斜情報とに基づいて前記投影面の形状に適合させて補正する工程と、補正した前記目標情報画像を前記投影部に投影させる工程と、を含む測設情報標示方法を行うものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した各実施例では、測設情報標示装置50、50A、50Bの端末側制御部52、52A、52Bが測設情報標示方法を行うものとされていたが、測量機20の測量機側制御部37が行うものであってもよく、他に設けた制御部が行うものであってもよく、上記した各実施例の構成に限定されるものではない。その場合、例えば、測設情報標示方法における全ての制御を測量機側制御部37(他の制御部)で行うものであってもよく、投影部56を駆動制御して目標情報画像77を投影させること(ステップS8)のみを端末側制御部52、52A、52Bで行いかつ他の制御を測量機側制御部37(他の制御部)で行うものであってもよい。
上記した各実施例では、測量機20の測量機側制御部37が目標座標情報71を有するものとしていたが、測設情報標示装置50、50A、50Bの端末側制御部52、52A、52Bが目標座標情報71を有していてもよく、上記した各実施例の構成に限定されるものではない。その場合、目標座標情報71は、例えば、通信部57を介して外部機器から入力されたり、端末側制御部52、52A、52B(測設情報標示装置50、50A、50B)に接続された外部機器から入力されたり、操作部59への操作により入力されたりするものとすればよい。そして、測設情報標示装置50、50A、50Bでは、端末側制御部52、52A、52Bの制御下で、その入力された目標座標情報71を記憶部53に格納するとともに表示部58に適宜表示させるものとする。このような構成とした場合、測設情報標示装置50、50A、50Bでは、上記した各入力手段が目標位置(測設点72等)の座標情報である目標座標情報71を取得する位置情報取得部として機能する。
上記した実施例1、2では、距離画像センサ55の検出光軸55aと投影部56の投影光軸56aとを一致させるとともに、それらに3軸加速度センサで構成した傾斜センサ54における1軸(u軸)を一致させている。しかしながら、それらはそれぞれ別の方向に向けて設けるものとしてもよく、上記した実施例1、2の構成に限定されるものではない。その一例として、例えば、傾斜センサ54における1軸(u軸)と筐体51を基準姿勢とした際の鉛直方向とを一致させ、その鉛直方向と検出光軸55aや投影光軸56aとの角度の差分を予め設定して登録しておくことにより、傾斜センサ54からの検出に基づいて検出光軸55aや投影光軸56aの傾き(傾斜)を求めることができる。
上記した実施例1、2では、ターゲット12を複数のコーナーキューブプリズムを全周に渡り設けた全周(360°)プリズムとし、実施例3では、ターゲット12Bを単一のコーナーキューブプリズムとしている。しかしながら、ターゲットは、測量機(20)による位置測定を可能とするものであれば、例えば再帰性の反射シート等でもよく、他の構成でもよく、上記した各実施例の構成に限定されない。なお、実施例3の構成とする場合には、画像解析によりターゲットの中心位置(Pc)を検出できる構成であることを前提とする。
以上、本発明の測設情報標示装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
[関連出願への相互参照]
本出願は、2014年8月28日に日本国特許庁に出願された特願2014−174301に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。