JP2010153320A - 電磁レンズにおける色収差係数測定方法及び走査透過電子顕微鏡 - Google Patents

電磁レンズにおける色収差係数測定方法及び走査透過電子顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】 電磁レンズにおける色収差係数測定方法及び走査透過電子顕微鏡に関し、電子の加速電圧を変化させることなく、一枚の高分解能電子顕微鏡像を取得するだけで簡便に且つ精度良く色収差係数を測定する。
【解決手段】 球面収差補正された電磁レンズを通過した収束電子線を結晶構造及び格子定数が既知の単結晶試料に入射して、分解能が0.3nm以下の高分解能走査透過電子顕微鏡像を取得する際に連続的に前記電磁レンズの焦点ずれ量を変化させた顕微鏡像を実測により取得し、前記顕微鏡像を走査方向に平均化した強度プロファイルから回帰曲線を求め、前記顕微鏡像と同じ条件で理論計算で求めた理論顕微鏡像の計算結果から得られる色収差係数と前記回帰曲線のパラメータを比較することによって、前記電磁レンズの色収差係数を算出する。
【選択図】 図6

Description

本発明は電磁レンズにおける色収差係数測定方法及び走査透過電子顕微鏡に関するものであり、例えば、球面収差補正装置を備えた走査透過電子顕微鏡の電磁レンズの色収差係数を簡便に且つ精確に測定するための構成に関するものである。
走査透過電子顕微鏡(STEM)による高分解能像観察においては、電磁レンズの球面収差係数が非常に大きいため、電子線の波長に対して十分な分解能を得ることができなかった。しかしながら、近年、球面収差補正装置を電子顕微鏡に搭載することによって、球面収差の影響をほとんど無視できるようになり、対物レンズの性能を十分引き出すことが可能になってきている。
しかしその一方で、球面収差補正装置は色収差係数を増大させるという欠点を有している。最近では、その解決のために色収差係数補正装置の開発も行われてきているが、電磁レンズの色収差補正装置に関しては光学レンズと趣が大きく異なるという特徴がある。
このような、電磁レンズの色収差補正装置に関しては、アメリカ合衆国の国家プロジェクトであるTEAMがFEI社と共同研究を行い、一方、日本も産業技術総合研究所の末永和知博士が日本電子株式会社と開発に着手している。しかし、2008年9月24日時点において、色収差補正の結果に関する発表はなされていない。さらに、色収差係数の高精度な測定方法も確立されていないのが現状である。
なお、色収差係数を測定する従来の方法として、レンズ形状に基づいたシミュレーションを用いて色収差係数を算出する方法が知られている。また、電子線の加速エネルギーの変化と色収差の変化の関係を数枚の回折像から求め、その関係式から色収差係数を算出する方法も提案されている(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)。
特開2006−85919号公報 特開2006−114303号公報 特開2007−180013号公報
しかし、上述のレンズ形状に基づいたシミュレーションによる方法は、光学顕微鏡のようにレンズ形状が変化しない系には適用可能であるが、電磁レンズのように測定条件によってレンズの形状自体が変化してしまうような場合には不向きである。さらに、球面収差補正装置は補正条件によってもレンズ構成が変化するため、実際の測定条件下での色収差係数を測定することは大変困難であるという問題がある。
一方、上述の回折像から色収差係数を求める方法は加速電圧を変化させている間に焦点ずれ量の変化が生じることから、誤差を大きく含んでしまうという問題がある。
したがって、本発明は電子の加速電圧を変化させることなく、一枚の高分解能電子顕微鏡像を取得するだけで簡便に且つ精度良く色収差係数を測定することを目的とする。
本発明の一観点からは、球面収差補正された電磁レンズを通過した収束電子線を結晶構造及び格子定数が既知の単結晶試料に入射して、分解能が0.3nm以下の高分解能走査透過電子顕微鏡像を取得する際に連続的に前記電磁レンズの焦点ずれ量を変化させた顕微鏡像を実測により取得する工程と、前記顕微鏡像を走査方向に平均化した強度プロファイルから回帰曲線を求める回帰曲線取得工程と、前記顕微鏡像と同じ条件で理論計算により求めた理論顕微鏡像の計算結果から得られる色収差係数と前記回帰曲線のパラメータを比較することによって、前記電磁レンズの色収差係数を算出する色収差係数算出工程とを有する電磁レンズにおける色収差係数測定方法が提供される。
また、本発明の別の観点からは、電子線を発生する電子線発生部と、前記電子線発生部で発生した電子線を収束する収束レンズと、前記収束レンズの球面収差を補正する球面収差補正部と、試料に照射される収束電子線を走査する走査コイル部と、前記試料の回折像面で回折像強度を検出する検出器と、前記検出器による検出強度を画像化する表示部と、前記収束レンズの電流値を前記試料の焦点ずれ量として変化させる制御部とを有し、且つ、取得された回折画像の平均強度プロファイルを演算する演算手段と、前記演算手段による演算結果と理論計算結果と比較して色収差係数を算出する色収差係数算出手段とを少なくとも有する電磁レンズの色収差係数測定機構を備えた走査透過電子顕微鏡が提供される。
開示の電磁レンズにおける色収差係数測定方法及び走査透過電子顕微鏡によれば、電子の加速電圧を変化させることなく、1枚の顕微鏡像を取得するだけで色収差係数を簡便に且つ正確に測定することが可能になる。
ここで、図1乃至図7を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態の色収差測定機構を備えた走査透過電子顕微鏡の概念的装置構成図である。この走査透過電子顕微鏡は、電子銃11、照射レンズ13、球面収差補正装置14、対物レンズ15、STEM検出器17、表示部18、及び、制御部19を備えている。なお、試料16としては単結晶であればなんでも良いが、入手容易性等の観点から、SrTiO単結晶或いはSi単結晶が好適である。
この場合、照射レンズ用の球面収差補正装置14は照射レンズ13と対物レンズ15の間に位置し、試料16の上部で同一エネルギーの電子線が一点に収束するように照射レンズ13の球面収差が補正される。また、電子線12は対物レンズ15の上部に位置する走査コイル(図示は省略)により、試料16上を走査する。対物レンズ15は形成された収束電子線の焦点を調整するために用いる。
試料16の下部に位置するSTEM検出器17によって回折像面での強度を検出し、その検出信号を電子線走査に同期させて表示部18にリアルタイムで表示する。また、制御部19からの信号に応じて、対物レンズ15は焦点位置を変化させるよう電流値を変化させる。この制御部19と表示部18との機能により色収差係数測定機構が構成される。
図2は電磁レンズに色収差が含まれる場合の電子線軌道の変化の模式的説明図であり、入射する電子線22のエネルギーが完全に揃っているならば(ΔE=0)、電磁レンズ21を通過した電子線は同じ軌道をとる。しかしながら、現状の電子顕微鏡においては電子線22のエネルギーは様々な要因で拡がりをもつ。エネルギーに拡がりがあるということは、波長に幅があると言い換えることができる。
電磁レンズ21を通過する際の屈折角度は波長によって異なるため、電磁レンズ21を通過した電子は波長の幅に対応した分だけ到達点にぼけが生じる。このぼけはそのまま高分解能像に影響する。
ここで、電磁レンズ21に入射する電子線22の拡がり角をα、焦点ずれ量をΔf、焦点ずれに伴う結像面23におけるボケをr、電子線21のエネルギーをE、そのばらつきをΔE、色収差係数をCとすると、
r=Cα(ΔE/E)
の関係がある。このとき、幾何学的に明らかなように焦点ずれ量Δfとボケrとは比例関係になるので、焦点ずれ量Δfと色収差係数Cも比例関係にあることになる。
図3は色収差補正前後の主面が(001)面のSrTiO単結晶を試料とした場合の理論計算STEM像であり、図3(a)は色収差補正前のSTEM像であり、図3(b)は色収差補正後のSTEM像である。図3(a)と図3(b)との比較から、色収差の有無によって、STEM像がぼけることが明瞭である。なお、このSTEM像の理論計算においては、走査透過顕微鏡の分解能が0.3nm以下、即ち、原子識別可能な高分解能であることを前提に計算している。
したがって、色収差係数を測定することによってボケの影響を正確に定量化することができ、それを理論計算に取り入れることによって、定量測定の精度を向上することが可能になる。
図4は理論計算による各色収差係数に対するコントラストの焦点ずれ量依存性の説明図である。ここでは、焦点ずれ量Δfとして、0nm、−10nm、−20nmとし、色収差係数Cとしては、0mm、1.0mm、2.0mmの値を用いて計算している。なお、現在の走査透過電子顕微鏡の球面収差補正前の色収差係数Cは、2.0mm程度とされている。
図4から明らかなように、色収差係数が0mmのときは焦点ずれ量が−10nm程度で像のコントラストが低下しているのに対して、色収差係数が2.0mmの場合は焦点ずれ量が−20nm変化しても像のコントラストが残っている。この結果より、色収差係数Cと焦点ずれ量Δfには相関があり、回折像のコントラストと色収差係数Cの関係を求めることができれば色収差係数Cを測定することができる。
図5は、STEM像の説明図であり、図5(a)はSTEM像の取得工程の説明図であり、図5(b)は(011)面を主面とするSi単結晶のSTEM像である。図5(a)に示すように、STEM像を取得するためには収束電子線31を試料32の上部で2次元的に走査し、その散乱強度を検出器で検出する。なお、図5(a)において矢印で示す走査方向が主走査方向であり、矢印に直交する方向が副走査方向である。
図5(b)は、実際に撮影した(011)面を主面とするSi単結晶のSTEM像であり、図5(a)で示した(A)、(B)、(C)で示されたそれぞれの収束電子線31の位置が、図5(b)の(A)乃至(C)に対応する位置の強度として像が取得される。つまり、走査像は2次元の像が全て同一の条件で撮影するだけでなく、走査時に収束電子線の位置に対応して実験条件を変化させることができる。
そこで、本発明の実施の形態においては、色収差係数CとSTEM像のコントラストの相関を調べるために、一枚の原子識別可能な高分解能STEM像を取得する際に、焦点ずれ量Δfを連続的かつ一定間隔で変化させ、像のコントラストと焦点ずれ量の関係を調べる。
図6は、連続焦点ずれ変化STEM像であり、STEM像のコントラストの色収差係数依存性の理論計算結果に基づくものである。焦点ずれ量Δfを−100nmから100nmまで連続的に変化させた場合の(011)面を主面とするSi単結晶のSTEM像を示している。ここでは、副走査方向において、0.048nmのピッチで焦点ずれ量Δfを0.78nmずつ変化させている。
なお、焦点ずれ量Δfの変化範囲としては、後述する回帰曲線の求めることができる変化を示す範囲が必要であり、色収差係数が現状の約2.0mmの2倍の4.0mmの場合にも回帰曲線を求めるためには、上述の−100nmから100nmの範囲が必要になる。
これは、直線近似によって求まる値の誤差を正確に評価するためには、予想される値の前後に広く分布した標本点が必要なためである。なお、電子銃からの電子線のエネルギーバラツキΔEをより低減する等のハード的改良を加えた場合には色収差係数は小さくなるので、−100nmから100nmより狭い範囲で焦点をずらしても良い。
図6(a)乃至図6(c)は色収差係数Cをそれぞれ0.0mm、2.0mm、4.0mmとして計算された結果である。色収差係数Cが小さければ小さいほどコントラストが焦点ずれ量Δfに対して急激に弱くなっていることがわかる。これらの像強度を走査方向に平均化した強度プロファイルを白線でそれぞれの図中に重ねて示している。
なお、本発明においては、コントラストを表すパラメータとして、強度プロファイルの極大値から得た回帰曲線のパラメータを用いる。ここでは、回帰曲線が正規分布関数あることによって求まるパラメータを用いるものであり、典型的には正規分布関数の半値全幅或いは半値半幅を用いる。
図7は、正規分布関数の半値全幅と色収差係数の相関関係の説明図であり、ここでは、試料として厚さtが、例えば、40nmと80nmの二種類の(011)面を主面とするSi単結晶を用い、球面収差係数Cを0.005mmと0.0005mmとして求められた半値全幅を示している。なお、図7における記号○はt=40nmでCを0.005mmの場合を示し、記号□はt=40nmでCを0.0005mmの場合を示し、記号×はt=80nmでCを0.0005mmの場合を示している。
図7から明らかなように、どの条件においてもほとんど結果が変わらず、色収差係数Cと半値全幅tの関係は線形関係にある。これより、色収差係数Cと半値全幅tの関係を標準的な各試料において求めてデータベース化して上述の制御部19のメモリに格納しておき、実験値をこの関係式に代入することによって色収差係数Cを容易に算出することができる。
さらにこれらの結果から、本発明の実施の形態の色収差係数の測定方法は試料の厚さに対しては鈍感であり、球面収差係数Cに関しても球面収差補正装置によって補正されている範囲の球面収差係数ならば、色収差係数測定にほとんど影響がないことも分かる。具体的には、試料の厚さは100nm以下、球面収差係数は0.005mm以下ならば測定可能である。
また、本発明の実施の形態における測定の精度はコントラストと色収差係数Cの関係を求める関係式の誤差によって定義される。上述の測定条件においては、±0.25mmの誤差範囲内で色収差係数Cが測定できる。
従来のレンズ工学に基づいたシミュレーションによる測定では、球面収差補正された電磁レンズの色収差係数Cを正確に求めることはできなかった。しかし、上述のように、本発明の実施の形態の色収差係数測定方法は実際に実験を行うような結晶性試料で測定することができるため、実際の測定条件により近い条件での色収差係数Cを正確に測定することができる。
また、数枚のSTEM像を必要とする異なる電子線のエネルギーを用いて測定する方法においては測定中に自然と焦点ずれ量Δfが変化してしまうことによる誤差を含む。しかし、本発明の実施の形態の色収差係数測定方法においては、1枚のSTEM像を取得するだけで色収差係数Cを測定できるため、焦点ずれ量の自然な変化には強い耐性がある。
これらの利点により、従来の方法では正確に測定することが困難であった色収差係数Cを簡便に測定することができる。また、高分解能像の分解能に密接に関連する装置関数の定量化も色収差係数Cを正確に測定したのちに行うことが可能である。
以上を前提として、次に、図8を参照して、本発明の実施例1の電磁レンズの色収差係数測定方法を説明する。図8は本発明の実施例1の電磁レンズの色収差係数測定方法のフローチャートである。
このフローチャートは、大きく分けて二つの処理に分割できる。一つはフローチャートにおける右側の理論計算による処理である。上記の図6に示すように、いくつかの色収差係数Cにおいて、加速電圧V(或いは、E=eV)、入射収束角度、STEM像の検出器の取込角度を実験条件に合わせた高分解能STEM像の連続焦点ずれ変化像を計算する。計算結果から正規分布関数によって回帰曲線を求め、STEM像のコントラストを定量化するためのパラメータとして半値全幅を用いて、色収差係数と回帰曲線の半値全幅の検量線を求めておく。
なお、走査透過電子顕微鏡における実験条件が限られているのであれば、これらの検量結果をデータベースとして制御部に残しておけば、理論計算による部分は毎回の測定で必ずしも必要な処理とはならない。
もう一方の処理は、フローチャートの左側の実測による処理部分である。入射電子線の条件は加速電圧V、入射電子線の入射収束角度、電磁レンズの収差条件である。さらに、球面収差補正装置によって球面収差係数が0.005mm以下になるように調整を行う。
この時点で、焦点ずれ量Δfと対物レンズの電流値とのキャリブレーションを行う場合、球面収差補正装置を一度オフにし、ロンチグラムを用いて電流値と焦点ずれ量Δfの校正を公知技術(例えば、特開2007−109509号公報参照)に基づいて行う。
その校正結果は制御部19に反映される。制御部19において連続的かつ一定間隔で−100nmから100nmまでの焦点ずれ量Δfに対応する分だけ対物レンズの電流値を一枚のSTEM像取得中に変化させ、連続焦点ずれ変化像を取得する。その後、前記の理論計算部分と同様に、正規分布関数の半値全幅を求め検量結果と比較することで色収差係数Cが算出される。
以下において図8に示したフローチャートに基づいて本発明の実施例1の電磁レンズの色収差係数測定方法の具体的手順を説明するが、各タームに付した符号は図1における符号を援用する。まず、ステップ1(S1)において、
S1:STEMに単結晶の試料16を挿入し、その条件を制御部19に入力する。次いで、
S2:STEMの光軸調整を行い、その条件を制御部19に入力する。次いで、
S3:ロンチグラムを取得して、制御部19においてロンチグラムを用いて焦点ずれ量Δfと電磁レンズの電流量をキャリブレートする。次いで、
S4:球面収差補正装置を稼働させる。次いで、
S5:球面収差補正装置の調整を行い、その条件を制御部19に入力する。次いで、
S6:制御部19により対物レンズ15の電流値を一枚のSTEM像取得中に変化させ、図6に示した連続焦点ずれ変化像を取得して、制御部19に入力する。次いで、
S7:制御部19において、図6に示したように、走査方向に平均化処理を行って強度プロファイルを作成する。次いで、
S8:制御部19において、図6に示したように、強度プロファイルに基づいて正規分布関数による回帰曲線を得て半値全幅をパラメータとして求める。
以上が実測に伴った処理である。
次いで、制御部19において、
S9:図7に示した色収差係数Cとコントラストの検量線のデータベースを制御部19の解析データメモリ領域から検索する。検索の結果、試料条件と一致したデータがない場合には次のステップS10に進み、試料条件と一致したデータがある場合にはステップS16に飛んで色収差係数Cを算出する。試料条件と一致したデータがない場合、次のステップS10において、
S10:色収差係数Cとコントラストの検量線を引くために任意の色収差係数Cを入力する。次いで、
S11:入力した色収差係数C、試料条件及び実験条件に基づいて、図6に示す高分解能の連続焦点ずれ変化像の計算を行う。次いで、
S12:連続焦点ずれ変化像について、走査方向に平均化処理を行って強度プロファイルを作成する。次いで、
S13:図6に示したように、強度プロファイルに基づいて正規分布関数による回帰曲線を得て半値全幅をパラメータとして求める。次いで、
S14:色収差係数Cとコントラストの検量線を引くことができるか否かを判定する。
判定の結果、検量線を引くことができる場合には、次のステップS15に進み、検量線を引くことができない場合には、S11に戻って別の色収差係数Cを入力して検量線を引くことができるまでステップS11乃至S14を繰り返す。なお、検量線を引くためには、最低2つの色収差係数Cによる計算結果が必要であるが、検量線の誤差・ばらつきを小さくするためには、例えば、6個以上の色収差係数Cによる計算を行って検量線を引く。
判定の結果、検量線を引くことができる場合には、
S15:検量結果を制御部19の解析データメモリ領域に格納したデータベースに登録する。次いで、
S16:検量線データとステップS8で実測により取得した半値全幅とを比較して色収差係数Cを算出して一連のフローを終了する。
なお、本発明の実施例1における色収差係数測定機構は、ステップS6乃至S16の処理を行う機能を有するものである。実際には、制御部19によって行われるものであり、必要に応じて表示部18も用いるものである。
本発明の実施の形態の色収差測定機構を備えた走査透過電子顕微鏡の概念的装置構成図である。 電磁レンズに色収差が含まれる場合の電子線軌道の変化の模式的説明図である。 色収差補正前後の主面が(001)面のSrTiO単結晶を試料とした場合の理論計算STEM像である。 理論計算による各色収差係数に対するコントラストの焦点ずれ量依存性の説明図である。 STEM像の説明図である。 連続焦点ずれ変化STEM像である。 正規分布関数の半値全幅と色収差係数の相関関係の説明図である。 本発明の実施例1の電磁レンズの色収差係数測定方法のフローチャートである。
符号の説明
11 電子銃
12 電子線
13 照射レンズ
14 球面収差補正装置
15 対物レンズ
16 試料
17 STEM検出器
18 表示部
19 制御部
21 電磁レンズ
22 電子線
23 結像面
31 収束電子線
32 試料

Claims (6)

  1. 球面収差補正された電磁レンズを通過した収束電子線を結晶構造及び格子定数が既知の単結晶試料に入射して、分解能が0.3nm以下の高分解能走査透過電子顕微鏡像を取得する際に連続的に前記電磁レンズの焦点ずれ量を変化させた顕微鏡像を実測により取得する工程と、
    前記顕微鏡像を走査方向に平均化した強度プロファイルから回帰曲線を求める回帰曲線取得工程と、
    前記顕微鏡像と同じ条件で理論計算で求めた理論顕微鏡像についての計算結果から得られる色収差係数と前記回帰曲線のパラメータを比較することによって、前記電磁レンズの色収差係数を算出する色収差係数算出工程と
    を有する電磁レンズにおける色収差係数測定方法。
  2. 前記顕微鏡像を実測により取得する工程における前記単結晶試料に対する前記電磁レンズの焦点ずれ量を−100nmから100nmの間に設定する請求項1に記載の電磁レンズにおける色収差係数測定方法。
  3. 前記単結晶試料の焦点ずれ量と前記電磁レンズの電流値との関係を制御部によりキャリブレーションするときに、球面収差補正前の電磁レンズで撮影されたロンチグラムを用いて焦点ずれ量と電流値を校正しておき、前記制御部にフィードバックする請求項1または2に記載の電磁レンズにおける色収差係数測定方法。
  4. 前記回帰曲線として正規分布関数を使用し、且つ、前記回帰曲線のパラメータとして前記回帰曲線が正規分布関数であることによって求まるパラメータを用いる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁レンズにおける色収差係数測定方法。
  5. 電子線を発生する電子線発生部と、
    前記電子線発生部で発生した電子線を収束する収束レンズと、
    前記収束レンズの球面収差を補正する球面収差補正部と、
    試料に照射される収束電子線を走査する走査コイル部と、
    前記試料の回折像面で回折像強度を検出する検出器と、
    前記検出器による検出強度を画像化する表示部と、
    前記収束レンズの電流値を前記試料の焦点ずれ量として変化させる制御部とを有し、
    且つ、取得された回折画像の平均強度プロファイルを演算する演算手段と、
    前記演算手段による演算結果と理論計算結果と比較して色収差係数を算出する色収差係数算出手段とを少なくとも有する電磁レンズの色収差係数測定機構
    を備えた走査透過電子顕微鏡。
  6. 前記制御部は、前記電磁レンズの焦点ずれ量を前記電磁レンズの電流値の変化としてキャリブレーションするキャリブレーション機能と、前記電磁レンズの電流値を連続的かつ一定間隔で自動的に変化させる機能と
    を有する請求項4に記載の走査透過電子顕微鏡。
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