JP2010153273A - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体管上に形成される燃料極導電層、該燃料極導電層上に形成される電解質、及び該電解質上に形成される空気極導電層とを含む複数のセルと、該複数のセルのうち隣接するセル同士を電気的に接続するインターコネクタとを備えた固体酸化物型燃料電池において、前記セルで発電した電力を集電するリード部を有し、前記燃料極導電層とリード部は、何れもニッケル(Ni)を含有する材料であり、それぞれ組成又は組織の少なくとも1が異なる材料を使用して、燃料極導電層の耐久性とリード部の導電性を確保した。
【選択図】図2
Description
固体酸化物型燃料電池は、発電を行う素子部と、該素子部で発電された電力を集電し、固体酸化物型燃料電池の外部へ取り出すリード部から構成されている。
燃料極導電層は、3層界面で反応した電子の通電を目的とした膜であるが、長時間にわたって作動温度約700℃〜1000℃という高温を保持すると、Niの粒成長という組成変化が生じ、界面量が変化する、即ち耐久性で問題があることが分かっている。前記界面量変化への対応として、例えば導電パスを担うNi含有量を低減する、Niを高分散させてNiの連続性を低下させる、などの方法が考えられるが、このような方法をとると、導電性が低下し、同一材料で形成されているリード部の導電性が十分に確保できなくなる。
即ち、反応を伴う燃料極導電層の耐久性の観点では、燃料極導電層の導電性を低下させた物質を使用することが好ましいが、このような物質を使用すると燃料極導電層とリード部で同一物質を使用しているため反応を伴わないリード部の導電性も低下し、固体酸化物型燃料電池全体の出力が低下してしまう。
該複数のセルのうち隣接するセル同士を電気的に接続するインターコネクタとを備えた固体酸化物型燃料電池において、前記セルで発電した電力を集電するリード部を有し、前記燃料極導電層とリード部は、何れもニッケル(Ni)を含有する材料であり、それぞれ組成又は組織の少なくとも1が異なる材料を使用して、燃料極導電層の耐久性とリード部の導電性を確保したことを特徴とする。
また、リード部に使用される材料は、焼結を行うことで、粒径の大きなNiを組織内に入れることができ、これによりNiの連続性が向上する。そのため、リード部においては導電性を十分に確保することができる。
固体酸化物型燃料電池2は、発電を行う素子部(電池部分)4と、該素子部4で発電された電力を集電し、固体酸化物型燃料電池2の外部へ取り出すリード部(通電部)6とから構成されている。
素子部4は、円筒状の基体管22と、基体管22の外表面に設けられた複数のセル8と、隣接するセル8同士を電気的に接続するインターコネクタ10とを備えている。それぞれのセル8は、基体管22の外表面側から順に、燃料極導電層12、電解質16、空気極導電層20の順で積層され、燃料極導電層12と電解質16との間に燃料極反応層14、電解質16と空気極導電層20との間に空気極反応層18が介装されて形成されている。インターコネクタ10は、1のセル8の空気極導電層20と他のセル8の燃料極導電層14とを電気的に接続している。
また、前記各部の材料の一例として、基体管22はカルシア安定化ジルコニア(CSZ)、電解質16はイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、空気極導電層はランタン(La)系化合物などが挙げられる。
なお、空気極反応層18は、空気極導電層20と電解質16との界面に設けられるものであり、燃料電池の発電反応における反応性を向上させるために設けられている。
まず、NiOとYSZの粉体それぞれを50vol%ずつ混合して、粉砕、焼結及び造粒のうち1種類又は2種類以上を1回又は複数回組み合わせて行い、所望の粒径を含んだ組織体を作成した。ここで、前記所望の粒径とは、後述する燃料極導電層を形成する組織の粒径よりも大きな粒径をいう。
また、焼結とは、高温での粒子同士の接合のことであり、固体粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱することで固まって焼結体と呼ばれる緻密な物体を得ることができる。
また、造粒とは、微粉を付着凝集させたり圧縮して、前記微粉より大径の粒をつくることをいう。
まず、NiOとYSZの粉体それぞれを50vol%ずつ混合して、粗砕、粉砕を行って微粒化して混合することで高分散組織体を得た。より詳しくは、前記NiとYSZの粉体それぞれを50vol%ずつ混合した混合物をポールミルで混合し、粒径を微細化してから焼成して高分散組織体を得た。
図3(A)は低分散組織体のイメージ図であり、図3(B)は高分散組織体のイメージ図である。図3(A)においては、Ni及びYSZの粒径がともに大きく、材料の分散性が低い状態であることが分かる。また、図3(B)においては、Ni及びYSZの粒径が細かく、材料の分散性が高いことが分かる。
そこで、燃料極導電層12を、NiOとYSZからなる複合材料を使用し、該複合材料中のNiOの含有量を30〜60vol%に設定した。NiOの含有量が30vol%よりも小さいと、図4から分かるように誘電率が小さすぎて燃料極導電層12の導電性を確保することができない。また、NiOの含有量が60vol%よりも大きいと、Niの粒成長速度を低下させる効果が十分ではない。
図5は、NiO/YSZの配合比(vol%)を変化させた場合の熱膨張率をまとめた表である。図5から分かるように、NiOの含有量が75vol%以上では、熱膨張率が14.0×10−6K−1を超える可能性があり、実用上使用できない。そのため、最大でも熱膨張率が14.0×10−6K−1を超えないNiOの含有量70vol%をリード部6のNiO含有量の上限とした。
まとめると、リード部6を、NiとYSZからなる複合材料を使用し、該複合材料中のNiOの含有量を50〜70vol%に設定した。
これにより、燃料極導電層12でのNiOの粒成長に起因する界面量の変化を抑制して、燃料極導電層12の耐久性を確保するとともに、リード部6における導電性を十分に確保することができる。
また、Ni/MgAl2O4のほかにNi/YSZ/Al2O3、NiO/MgAl2O4、NiO/SDC、NiO/GDCなどを使用することができる。例えばNi/YSZ/Al2O3は900℃における誘電率が約1000〜2000S/cmである。
また、前記それぞれの物質の熱膨張率は、
Ni/YSZ(50/50) 12.0〜13.0×10−6K−1
Ni/YSZ/Al2O3(63/21/14) 11.0〜12.0×10−6K−1
NiO/MgAl2O4(60/40) 10.5〜11.0×10−6K−1
であり、実用できる範囲である。
但し前記カッコ内の数値は各成分の体積比である。
これにより、燃料極導電層12でのNiの粒成長に起因する界面量の変化を抑制して、燃料極導電層12の耐久性を確保するとともに、リード部6における導電性を十分に確保することができる。
4 素子部
6 リード部
8 セル
10 インターコネクタ
12 燃料極導電層
14 燃料極反応層
16 電解質
18 空気極反応層
20 空気極導電層
22 基体管
Claims (4)
- 基体管上に形成される燃料極導電層、該燃料極導電層上に形成される電解質、及び該電解質上に形成される空気極導電層とを含む複数のセルと、
該複数のセルのうち隣接するセル同士を電気的に接続するインターコネクタとを備えた固体酸化物型燃料電池において、
前記セルで発電した電力を集電するリード部を有し、
前記燃料極導電層とリード部は、何れもニッケル(Ni)を含有する材料であり、それぞれ組成又は組織の少なくとも1が異なる材料を使用して、燃料極導電層の耐久性とリード部の導電性を確保したことを特徴とする固体酸化物型燃料電池。 - 前記燃料極導電層とリード部には、Ni又はNi系合金と、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を含む材料を使用し、
前記燃料極導電層には、前記材料を微粉化して得られた高分散組織体を使用し、
前記リード部には、前記材料を焼結させて得られた低分散組織体を使用することを特徴とする請求項1記載の固体酸化物型燃料電池。 - 前記燃料極導電層とリード部には、Ni又はNi系合金と、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなる複合材料を含む材料を使用し、
前記燃料極導電層に使用する材料は、材料中のNiO含有量を30〜60vol%とし、
前記リード部に使用する材料は、材料中のNiO含有量を50〜70vol%とすることを特徴とする請求項1記載の固体酸化物型燃料電池。 - 前記燃料極導電層は、Ni又はNi系合金と、YSZからなる複合材料を含む材料を使用し、
前記リード部は、Niを含有し、前記燃料極導電層に使用する材料よりも導電性が高い材料を使用することを特徴とする請求項1記載の固体酸化物型燃料電池。
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WO2012133438A1 (ja) * | 2011-03-31 | 2012-10-04 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 中低温高効率電気化学セル及びそれらから構成される電気化学反応システム |
Citations (1)
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---|---|---|---|---|
JP2005149995A (ja) * | 2003-11-18 | 2005-06-09 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 円筒型燃料電池 |
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WO2012133438A1 (ja) * | 2011-03-31 | 2012-10-04 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 中低温高効率電気化学セル及びそれらから構成される電気化学反応システム |
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