しかしながら、上記の特許文献1および2に記載の技術は、以下のような問題点を有している。
特許文献1に記載の技術では、検索条件が入力手段となっているため、対象となる検索条件を考えなければ情報が蓄積できず、また、対象物を特定するための入力が必要になる。すなわち、検索するためのキーとなる情報、対象物を自分で考えられないと検索できない(検索をするのにもある程度の知識が要求される)、という問題がある。
特許文献2に記載の技術では、ある書類を作成する際に参照すべき書類を、予め、対応づけて記録管理しなければならず、余計な工数を要していた。また、参照書面の対応関係を記録する点で、自由度が低く、利用分野が限定される。さらに、基本的に同一社内の文書しか念頭においていないため、作成しようとする書類に類似関係を有する他の会社用に作成した書面を参照できない、などの問題点があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、財務や税務に関する法律的な知識を有していない場合であっても、過去に取り扱ったファイルの中から所望のファイルを検索し、それを参照・利用して新規ファイルの生成を可能とするデータ再利用方法、データ再利用システム、データ再利用装置およびデータ再利用プログラムを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、会計事務所の業務に好適なアプリケーションが利用可能な形式のファイルを管理するデータベースを備えたシステムにおいて、前記アプリケーションが新規ファイルの生成または作成済みファイルの編集を行う際に、前記データベースに格納されたファイル(既存ファイル)のデータを利用させるためのデータ再利用方法であって、記憶部から、既存ファイルを利用しようとしているアプリケーションが取り扱い中のファイル(編集中ファイル)に関連付けられた管理情報を取得し、また、前記データベースに格納された各既存ファイルに関連付けられた管理情報を取得し、取得した各管理情報に基づき、既存ファイルのすべてまたは一部を処理対象として、処理対象の各既存ファイルが編集中ファイルに類似しているかどうかを評価する既存ファイル評価ステップと、前記既存ファイル評価ステップにおける評価結果に基づいて、前記既存ファイル評価ステップで処理対象とした既存ファイルの一覧表示を行う際の表示順を決定する表示順決定ステップと、前記表示順決定ステップで決定した表示順に従い、前記処理対象とした既存ファイルの一覧表示を行う一覧表示ステップと、を含むことを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法において、前記既存ファイル評価ステップでは、各既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、ファイルの作成者を示す担当者IDに基づいて選択した既存ファイルを処理対象とすることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法において、前記既存ファイル評価ステップでは、編集中ファイルおよび既存ファイルのそれぞれに関連付けられた各管理情報に含まれている顧問先情報に基づいて、編集中ファイルに類似する範囲(類似範囲)を決定し、評価対象となる既存ファイルが類似範囲内にあるかどうかを確認することにより各既存ファイルを評価することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法において、前記既存ファイル評価ステップでは、類似範囲内と判定した既存ファイルについて、さらに類似度を判定し、前記表示順決定ステップでは、評価結果が示す類似性が高いものほど上位となるように、表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法において、前記表示順決定ステップでは、類似性が同一の既存ファイルが複数存在する場合、これらの既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、ユーザから予め取得しておいた、類似性が同一の既存ファイル同士の表示順を判定するための指標である既存ファイルごとの優先度、に基づいて表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法において、前記表示順決定ステップでは、類似性および表示優先度が同一の既存ファイルが複数存在する場合、これらの既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、既存ファイルを作成する際に利用されたアプリケーションの種類および会計年度、に基づいて表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法は、前記一覧表示ステップで表示した既存ファイルのうちの一つが選択され、参照表示するように指示を受けた場合に、選択された既存ファイルの作成に利用されたアプリケーション(参照用アプリケーション)を起動し、当該参照用アプリケーションの画面表示と、既存ファイルを利用しようとしているアプリケーション(参照元アプリケーション)の画面表示とを横に並べて表示する参照用アプリケーション起動ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法においては、前記参照用アプリケーションの画面表示を、通常の画面表示を半透明に変更した画面と所定の背景画像とを重ねて生成した画面表示とすることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法において、前記参照用アプリケーション起動ステップでは、さらに、選択された既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、対応する既存ファイルが何回参照表示されたかを示す参照度、を更新し、前記表示順決定ステップでは、前記参照度をさらに利用して表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法において、前記参照用アプリケーション起動ステップでは、前記参照元アプリケーションと前記参照用アプリケーションが同じ種類の場合、参照用アプリケーションの画面内のデータ入力項目のうち、予め指定されていた項目への入力済データを、参照元アプリケーションの画面内の対応するデータ入力項目へ複写した上で、初期画面表示を行うことを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用方法は、同じ種類のアプリケーションを参照元アプリケーションおよび参照用アプリケーションとして起動している状態で、参照元アプリケーションの画面内の所定のデータ入力項目が選択され、データ複写のための操作が行われた場合に、記憶部から、参照用アプリケーションが取り扱っているファイルのデータのうち、前記選択されたデータ入力項目と同じデータ入力項目への入力済データ、を取得し、前記選択されたデータ入力項目へ複写するデータ複写ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
また、次の発明は、会計事務所の業務に好適なアプリケーションが利用可能な形式のファイルを管理するデータベースを備えたサーバー、およびネットワーク経由でこれに接続された1つ以上のクライアント端末である端末からなり、サーバーは、端末が新規にファイルを作成する場合には、端末側で過去に作成され、データベースで管理している既存ファイルを端末に参照させることが可能なデータ再利用システムであって、前記端末は、既存ファイルを利用しようとしているアプリケーションが取り扱い中のファイル(編集中ファイル)に関連付けられた管理情報をサーバーに通知し、当該通知した情報に基づき、サーバーが既存ファイルのそれぞれについて、編集中ファイルに類似しているかどうかを評価した結果、を取得する評価結果取得手段と、前記取得した評価結果に基づいて、既存ファイルの中から利用可能なファイルを抽出し、さらに、当該抽出した利用可能ファイルの一覧表示を行う際の表示順を決定する表示順決定手段と、前記表示順決定手段により決定された順番で、前記利用可能ファイルの一覧表示を行う一覧表示手段と、を備え、前記サーバーは、前記評価結果取得手段から通知された管理情報と各既存ファイルに関連付けられた管理情報とに基づき、既存ファイルのすべてまたは一部を処理対象として、処理対象の各既存ファイルが前記編集中ファイルに類似しているかどうかを評価する既存ファイル評価手段、を備えることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記既存ファイル評価手段は、各既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、ファイルの作成者を示す担当者IDに基づいて選択した既存ファイルを処理対象とすることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記既存ファイル評価手段は、前記通知された管理情報および既存ファイルのそれぞれに関連付けられた各管理情報に含まれている顧問先情報に基づいて、編集中ファイルに類似する範囲(類似範囲)を決定し、評価対象となる既存ファイルが類似範囲内にあるかどうかを確認することにより各既存ファイルを評価することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記既存ファイル評価手段は、類似範囲内と判定した既存ファイルについて、さらに類似度を判定し、前記表示順決定手段は、前記既存ファイル評価手段による評価結果が示す類似性が高いものほど上位となるように、表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記表示順決定手段は、類似性が同一の既存ファイルが複数存在する場合、これらの既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、ユーザから予め取得しておいた、類似性が同一の既存ファイル同士の表示順を判定するための指標である既存ファイルごとの優先度、に基づいて表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記表示順決定手段は、類似性および表示優先度が同一の既存ファイルが複数存在する場合、これらの既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、既存ファイルを作成する際に利用されたアプリケーションの種類および会計年度、に基づいて表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムは、前記一覧表示手段が表示した既存ファイルのうちの一つが選択され、参照表示するように指示を受けた場合に、選択された既存ファイルの作成に利用されたアプリケーション(参照用アプリケーション)を起動し、当該参照用アプリケーションの画面表示と、既存ファイルを利用しようとしているアプリケーション(参照元アプリケーション)の画面表示とを横に並べて表示する参照用アプリケーション実行手段、をさらに備えることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムは、前記参照用アプリケーションの画面表示を、通常の画面表示を半透明に変更した画面と所定の背景画像とを重ねて生成した画面表示とすることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記参照用アプリケーション実行手段は、さらに、選択された既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、対応する既存ファイルが何回参照表示されたかを示す参照度、を更新し、前記表示順決定手段は、前記参照度をさらに利用して表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記参照用アプリケーション実行手段は、前記参照元アプリケーションと前記参照用アプリケーションが同じ種類の場合、参照用アプリケーションで読み込んだ既存ファイルの設定内容を参照元アプリケーションが取り扱っているファイルの設定内容に反映させることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用システムにおいて、前記参照用アプリケーション実行手段は、さらに、同じ種類のアプリケーションを参照元アプリケーションおよび参照用アプリケーションとして起動している状態で、参照元アプリケーションの画面内の所定のデータ入力項目が選択され、データ複写のための操作が行われた場合に、参照用アプリケーションが取り扱っているファイルのデータのうち、前記選択されたデータ入力項目と同じデータ入力項目への入力済データを、前記選択されたデータ入力項目へ複写することを特徴とする。
また、次の発明は、会計事務所の業務に好適なアプリケーションが利用可能な形式のファイルを管理するデータベースを備え、当該データベースで管理している既存ファイルのデータを利用して新規ファイルを作成するデータ再利用装置であって、既存ファイルを利用しようとしているアプリケーションが取り扱い中のファイル(編集中ファイル)に関連付けられた管理情報、および、前記データベースに格納された各既存ファイルに関連付けられた管理情報に基づき、既存ファイルのすべてまたは一部を処理対象として、処理対象の各既存ファイルが編集中ファイルに類似しているかどうかを評価する既存ファイル評価手段と、前記既存ファイル評価手段による評価結果に基づいて、前記既存ファイル評価手段が処理対象とした既存ファイルである利用可能ファイルの一覧表示を行う際の表示順を決定する表示順決定手段と、前記表示順決定手段により決定された順番で、前記利用可能ファイルの一覧表示を行う一覧表示手段と、を備えることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記既存ファイル評価手段は、各既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、ファイルの作成者を示す担当者IDに基づいて選択した既存ファイルを処理対象とすることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記既存ファイル評価手段は、前記編集中ファイルおよび既存ファイルのそれぞれに関連付けられた各管理情報に含まれている顧問先情報に基づいて、編集中ファイルに類似する範囲(類似範囲)を決定し、評価対象となる既存ファイルが類似範囲内にあるかどうかを確認することにより各既存ファイルを評価することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記既存ファイル評価手段は、類似範囲内と判定した既存ファイルについて、さらに類似度を判定し、前記表示順決定手段は、前記既存ファイル評価手段による評価結果が示す類似性が高いものほど上位となるように、表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記表示順決定手段は、類似性が同一の既存ファイルが複数存在する場合、これらの既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、ユーザから予め取得しておいた、類似性が同一の既存ファイル同士の表示順を判定するための指標である既存ファイルごとの優先度、に基づいて表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記表示順決定手段は、類似性および表示優先度が同一の既存ファイルが複数存在する場合、これらの既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、既存ファイルを作成する際に利用されたアプリケーションの種類および会計年度、に基づいて表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記一覧表示手段が表示した既存ファイルのうちの一つが選択され、参照表示するように指示を受けた場合に、選択された既存ファイルの作成に利用されたアプリケーション(参照用アプリケーション)を起動し、当該参照用アプリケーションの画面表示と、既存ファイルを利用しようとしているアプリケーション(参照元アプリケーション)の画面表示とを横に並べて表示する参照用アプリケーション実行手段、をさらに備えることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記参照用アプリケーションの画面表示を、通常の画面表示を半透明に変更した画面と所定の背景画像とを重ねて生成した画面表示とすることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記参照用アプリケーション実行手段は、さらに、選択された既存ファイルに関連付けられた管理情報に含まれる、対応する既存ファイルが何回参照表示されたかを示す参照度、を更新し、前記表示順決定手段は、前記参照度をさらに利用して表示順を決定することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記参照用アプリケーション実行手段は、前記参照元アプリケーションと前記参照用アプリケーションが同じ種類の場合、参照用アプリケーションで読み込んだ既存ファイルの設定内容を参照元アプリケーションが取り扱っているファイルの設定内容に反映させることを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用装置において、前記参照用アプリケーション実行手段は、さらに、同じ種類のアプリケーションを参照元アプリケーションおよび参照用アプリケーションとして起動している状態で、参照元アプリケーションの画面内の所定のデータ入力項目が選択され、データ複写のための操作が行われた場合に、参照用アプリケーションが取り扱っているファイルのデータのうち、前記選択されたデータ入力項目と同じデータ入力項目への入力済データを、前記選択されたデータ入力項目へ複写することを特徴とする。
また、次の発明にかかるデータ再利用プログラムは、請求項1〜11のいずれか一つに記載のデータ再利用方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明にかかるデータ再利用方法によれば、ユーザは、財務や税務に関する法律的な知識を有していなくても、新規に作成しようとしているファイルにより近く、新規作成作業に役立ちそうな既存ファイルを容易に見つけ出し、それを参照および利用できる、という効果を奏する。
また、参照する既存ファイルと新規に作成しようとしているファイルの種類が同じ(同じアプリケーションによって作成される)場合には、たとえば、参照する既存ファイルの設定を新規に作成しようとしているファイルの設定に反映させることができ、設定ミスなどが発生するのを防止できる、という効果を奏する。
図2は、本発明にかかるデータ再利用方法を実行するデータ再利用システムのサーバーまたはクライアント端末(以下、単に端末と記載する)としての機能を備え、本発明にかかる帳表作成プログラムを実行可能な計算機システムの構成例を示す図である。図示したように、この計算機システムは、制御部1と記憶部2と表示部3と入力部4と出力部5と通信部6とを備える。
図2において、制御部1は、本発明にかかるデータ再利用プログラムを実行する。記憶部2は、RAM,ROMなどの各種メモリを含み、上記制御部1が実行すべきプログラム,処理の過程で得られた必要なデータ,などを記憶する。表示部3は、CRT,LCD(液晶表示パネル)などで構成され、計算機システムのユーザに対して各種画面を表示する。入力部4は、たとえばキーボード41やマウス42などで構成され、計算機システムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。出力部5は、プリンタなどの印刷装置により構成され、制御部1から出力される各種データに基づいた印刷処理などを行う。また、この計算機システムは、通信部6を介して、通信ネットワークとの接続が可能である。
ここで、本発明にかかるデータ再利用プログラムが実行可能な状態になるまでの計算機システムの動作例について説明する。上述した構成をとる計算機システムには、たとえば、CD−ROMドライブユニット(図示せず)にセットされたCD−ROMから、データ再利用プログラムがディスクユニット(図示せず)にインストールされる。そして、データ再利用プログラムの実行時に、ディスクユニットから読み出されたデータ再利用プログラムが記憶部2の所定の場所に格納される。この状態で、制御部1は、記憶部2に格納されたプログラムに従って、帳表作成処理を実行する。
なお、本発明においては、CD−ROMを記録媒体として、上記帳表作成処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、計算機システムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気ディスク,光磁気ディスク,磁気テープなどの記録媒体を用いることも可能である。また、電子メール,インターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図3は、本発明にかかるデータ再利用システムの構成例を示す図であり、データベースを備えたサーバーおよびサーバーで管理されている各種データを利用する端末(WS端末#1,#2,…)がLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワークを介して接続されて構成されている。サーバーのデータベースは、ネットワークを介して接続されている端末が各種アプリケーションを利用して生成したファイル(アプリケーションファイル)の他に、各ファイルの付帯情報(管理情報)である会社マスタ、担当者マスタおよび知識マスタについても保持している。なお、これらの情報の詳細については後述する。また、このシステムを構成する端末は1つであってもよい。
また、このデータ再利用システムのサーバーおよび端末は、図2に示した計算機システムがデータ再利用プログラムを実行することにより実現される。より詳細には、サーバーは、計算機システムがサーバー側のデータ再利用プログラムを実行することにより実現され、端末は、計算機システムが端末側のデータ再利用プログラムを実行することにより実現される。
また、図4に示したように、上記サーバーが備えているものと同じデータベースを端末が備えるような構成を採用し、サーバーを利用したシステムとしてデータ再利用方法を実行するのではなく、スタンドアローン端末としてデータ再利用方法を実行することも可能である。この場合も、スタンドアローン端末(データ再利用装置)は、図2に示した計算機システムがデータ再利用プログラムを実行することにより実現される。
ここで、上記の「利用可能なデータ」とは、特定分野の業務(本実施例では財務や税務などの会計業務)で利用される特定アプリケーションにて生成されたアプリケーションファイル、または特定分野の業務での利用に限定されない一般的なアプリケーションにて生成されたアプリケーションファイルのうち、特定アプリケーションで利用可能なファイル、をいう。
図5は、データ再利用システムの端末の構成例を示す図である。この端末は、制御部1a、記憶部2a、表示部3a、入力部4aおよび通信部6aを備える。これらの各構成要素は、図2の計算機システムが備えていた制御部1、記憶部2、表示部3、入力部4および通信部6と同じものであるが、制御部1aおよび記憶部2aは、データ再利用方法を実現するために必要な機能ブロックを含んでいる。具体的には、制御部1aは、画面管理部11、アプリケーション監視管理部12、アプリケーションプログラム実行部13、検索部14、ソート部15および一覧表生成部16を含み、記憶部2aは、起動アプリケーション情報一時記憶部21、アプリケーションデータ一時記憶部22、作業用メモリ23および優先順位テーブル24を含んでいる。
制御部1aにおいて、画面管理部11は、画面の表示や整列(表示位置調整)を行う。アプリケーション監視管理部12は、起動中のアプリケーションを監視し、また起動アプリケーション情報一時記憶部21内の情報を管理する。参照用アプリケーション実行手段としての機能を有するアプリケーションプログラム実行部13は、財務や税務に関する書類のデータ(アプリケーションファイル)を作成するためのアプリケーションを実行する。評価結果取得手段としての機能を有する検索部14は、既存ファイル(既存データ)の利用が指示された場合に、その動作で必要な各種情報のうち、サーバー側で保持されている情報またはサーバーで生成される情報を、動作の進行状況に応じて、サーバーから取得する。表示順決定手段としての機能を有するソート部15は、サーバーが保持しているアプリケーションファイルの一覧を表示する際の表示順番を決定する。一覧表示手段としての機能を有する一覧表生成部16は、ソート部15の決定結果に従い、ファイルの一覧表(ファイルリスト)を生成する。
記憶部2aにおいて、起動アプリケーション情報一時記憶部21は、図6に例示した構成の起動アプリケーション情報を記憶する。この起動アプリケーション情報は、プロセスID、レコードID、アプリケーション番号、起動形態、検索元、などの項目を含み、起動中の各アプリケーションについての情報である。そのため、起動中のアプリケーションが存在しない場合、空の状態となる。各項目の詳細については、必要に応じて別途行う。アプリケーションデータ一時記憶部22は、起動中のアプリケーションが取り扱っているファイルの実データおよび関連するデータや、画面表示データなどを一時的に記憶する。作業用メモリ23は、制御部1aの各部が各種作業にて生成した情報を一時的に記憶する。図5の例では、検索元会社レコード(起動中のアプリケーションがある場合に格納される情報であり、サーバーから取得され、起動中のアプリケーションのうち、既存データを利用して作業を行っているものにより使用されている会社マスタのレコード)、各会社レコード(会社マスタの各レコード)の評価結果(後述する既存データを利用するための動作においてサーバーから取得される情報)および知識マスタレコード(既存データを利用するための動作に含まれる、各会社レコードをソートする処理、で利用される情報)を示している。優先順位テーブル24は、知識マスタレコードと同様に、各会社レコードをソートする処理で利用される情報である。
図7は、各会社レコードの評価結果の一例を示す図である。この評価結果は、レコードID,類似度などの項目を含み、レコードIDにて関連付けられているレコードの評価結果を類似度が示している。図8は、優先順位テーブルの一例を示す図であり、優先順位テーブルは、項目内容(データ種類、年度、…)および内容(会計、法人税、…)により特定されるファイルごとの、一覧表示する際の表示の優先順位を示した情報である。これは、本発明にかかるデータ再利用システムを実現するためのプログラムが端末にインストールされる際に、記憶部2aの所定位置に格納される。なお、この情報をユーザが設定変更する機能を具備したシステム構成としてもよい。
図9は、データ再利用システムのサーバーの構成例を示す図である。このサーバーは、制御部1b、記憶部2bおよび通信部6bを備える。これらの各構成要素は、図2の計算機システムが備えていた制御部1、記憶部2および通信部6と同じものであるが、制御部1bおよび記憶部2bは、データ再利用方法を実現するために必要な機能ブロックを含んでいる。具体的には、制御部1bは、DB管理部17を含み、記憶部2bは、データベース25を含んでいる。
制御部1bにおいて、DB管理部17は、データベース25を管理し、端末からの要求に応じて、データベース25から必要なデータを読み出し、要求元の端末へ返送する処理や、端末から受け取ったデータをデータベース25へ格納する処理を実行する。データベース25は、各種データを保持している。たとえば、図9に示したように、会社マスタ、担当者マスタ、知識マスタ、検索元会社レコード、会社レコードの評価結果、アプリケーションファイルなどを保持している。
図10は、会社マスタの一例を示す図であり、図11は、担当者マスタの一例を示す図であり、図12は、知識マスタの一例を示す図である。
会社マスタは、データベース25に格納されているいずれか一つのアプリケーションファイルと関連付けられた、アプリケーションファイルの管理情報の一つであり、これを構成する各レコード(会社レコード)は、図10に示したように、レコードID,グループ,コード,名称,レコード種類,年度,…などの項目からなる。「レコードID」は、各会社レコードの識別情報であり、会社レコードを一意に示す。なお、既に説明を行った起動アプリケーション情報(図6参照)が有しているレコードIDも同じ情報である。「グループ」は、会社レコードが属するグループを示し、その会社レコードに対応する会社(登録されている会社)が特定の企業グループを形成している場合、この企業グループ内の他の会社が登録されている会社レコードと同じ値が設定される。「コード」は、会社(法人または個人の名称)を一意に示す情報である。なお、名称が同じ会社が複数存在していてもそれらのコードが同一であるとは限らない。「担当者ID」は、その会社レコードに登録されている会社(法人または個人)の会計事務所側の業務担当者の識別情報であり、担当者マスタのレコードの中の一つを示す。本実施の形態の端末は、たとえば起動時にユーザから担当者IDを取得し(ユーザに担当者IDを入力させ)、それを使用して認証処理を実行する。その他の項目については、本発明にかかる特徴的な動作に直接関係しないため、ここでは説明を省略する。
担当者マスタは、会計事務所の税理士・担当者の情報を管理する情報であり、アプリケーションファイルの管理情報の一つである。また、そのレコード(担当者レコード)は、図11に示したように、担当者ID,氏名,区分,権限レベル,…などの項目からなる。「担当者ID」は、会社マスタのところでも説明したとおり、会計事務所側の業務担当者の識別情報である。「区分」は、たとえば、登録された業務担当者が税理士なのか職員なのかを示す情報であり、「権限レベル」は、登録された業務担当者の上長やシステム管理者などが設定する項目であり、業務担当者が取り扱い可能なファイルの範囲を制限したい場合などに利用される。たとえば、その担当者が作成したファイルのみを取り扱い可能にする、担当している顧問先(会社,個人)に関連するファイルのみを取り扱い可能にする、税理士と一般職員とで取り扱い可能なファイルの範囲を分ける、などの利用が可能である。
知識マスタは、アプリケーションファイルごとの利用状況(参照された頻度)に応じて更新される情報であり、アプリケーションファイルの管理情報の一つである。また、そのレコード(知識レコード)は図12に示したように、レコードID,参照度数,優先度,担当者ID,…などの項目からなる。「レコードID」は、会社マスタが有しているレコードIDと同じものである。「参照度数」は、その知識レコードに対応しているファイルが端末によって何度読み出されたか(実行されたか)を示す情報であり、読み出された回数が高いほど、数値も高くなる。数値は、読み出された回数そのものを記録する(読み出されるごとに増加させる)ようにしてもよいし、読み出し回数が一定レベルに達するごとに増加させるなどとしてもよい。「優先度」は、ユーザにより設定された値であり、アプリケーションファイルの一覧を表示する際の並び順を決定する(ソートする)際に参照される情報の一つである。「担当者ID」は、担当者マスタや会社マスタが有している担当者IDと同じものである。
以上のような構成のデータ再利用システムの全体動作の概要を示すと、端末側で、特定のアプリケーション(本発明では財務や税務の書類(ファイル)を作成するためのアプリケーション)を起動して新規にファイルを作成している場合、または過去に作成したファイルを編集している場合に、所定の操作(既存ファイルの利用を指示する操作)が行われると、起動中のアプリケーションで利用される可能性がある既存ファイルをサーバーに問い合わせ、サーバーは、この問い合わせを受けると、データベースで保持している各ファイルを評価し、すべてのファイルについて、端末側で利用される可能性がどの程度であるかを評価し、評価結果をファイルの管理情報の一つである会社レコードに付加して得られた情報を端末へ返信する。端末は、サーバーから受け取った情報に基づいて、既存ファイルの一覧表(ファイルリスト)を生成して画面に表示する。このとき、利用される可能性が最も高いと評価されたものから降順となるように並べ替えて、一覧表を生成する。さらに、一覧表内の1つが選択され、参照表示するように指示された場合には、選択されたファイルの実データをサーバーから取得し、取得したファイルに対応するアプリケーションを起動して、当該ファイルを参照用として開く(表示する)。このとき、既存ファイルの利用を指示する操作が行われた時点で選択されていた起動中のアプリケーション(新規作成または編集用に起動されていたアプリケーション)の画面表示と参照用に起動したアプリケーションの画面表示を横に並べて表示するとともに、並べて表示する2つの画面表示のうち、どちらが参照用に起動したアプリケーションの画面表示なのかを容易に認識できるようにする。
つづいて、図3に示したシステムにおいて、本発明にかかるデータ利用方法を実行する場合の詳細動作について説明する。なお、端末側では、サーバーのデータベースに登録されているすべてのアプリケーションファイルを予め把握済み(各アプリケーションファイルのファイル名などの情報を取得済み)であるものとして説明を行う。また、アプリケーションファイルの情報には、ファイル名に加えてレコードID(会社レコードを一意に示す情報)が含まれているものとする。
図13−1〜図13−3は、データ利用システムの端末側の動作の一例を示したフローチャートである。以下に、このフローチャートと端末の構成を示した図5を参照しながら、端末側の動作について説明する。
端末においては、たとえば、ユーザが所定の操作を実行して図14−1に例示したようなファイルメニュー画面を表示部3aに表示させ、さらに、画面右上にある“データ再利用システム”メニューを選択すると(既存ファイルの利用を指示する操作が行われると)、その旨を示す起動指示が入力部4aを介してアプリケーションプログラム実行部13へ通知され、アプリケーションプログラム実行部13は、アプリケーション監視管理部12から起動中のアプリケーションの情報(起動アプリケーション情報)を取得する(ステップS11、S12)。次に、取得した情報を確認し、起動中の編集中アプリケーションがあるかどうかを確認する(ステップS13)。ここで、「起動中の編集中アプリケーション」とは、起動アプリケーション情報(図6参照)の「起動形態」が「編集」となっている起動中のアプリケーションであり、新規ファイルを作成する(または既存ファイルを編集する)ために起動されているアプリケーションである。確認の結果、起動中の編集中アプリケーションが無ければ(ステップS13,No)、その時点のメニュー画面の内容に対応するファイル、具体的には、カーソル位置のファイル(図14−1の“会社”および“アプリケーション”のエリアに表示されているカーソルの位置(図ではハッチングがかけられた位置に相当)から特定されるファイル)を自動で選択し(ステップS15)、ステップS17へ遷移する。また、起動中の編集中アプリケーションが複数であれば(ステップS13,Yes、ステップS14,No)、所定の選択用画面を別途表示し、複数あるうちのいずれか一つをユーザに選択させてから(ステップS16)、ステップS17へ遷移する。また、起動中の編集中アプリケーションが1つであれば(ステップS14,Yes)、ステップS17へ遷移する。
次に、アプリケーションプログラム実行部13は、上記のステップS16までの処理で1つに絞り込まれた起動中の編集中アプリケーションが取り扱っているファイル(アプリケーションファイル)の情報、または自動で選択したファイルの情報を、検索対象ファイル情報として検索部14に渡すとともに、後続の処理を実行するように依頼する(ステップS17)。検索対象ファイル情報には、少なくともファイルの識別情報とレコードIDが含まれるものとする。アプリケーションプログラム実行部13から依頼を受けた検索部14は、受け取った検索対象ファイル情報に基づいて会社マスタの各レコード(各会社レコード)を評価するように、サーバーに向けて会社マスタのレコード評価依頼を発行し、通信部6aは、検索部14から発行された検索対象ファイル情報を伴ったレコード評価依頼をサーバーへ転送する(ステップS18、S19)。具体的には、各会社レコードが検索対象ファイル情報に含まれる会社レコードを基準とした類似範囲に含まれるかどうかを評価するように依頼する。ここで、「類似範囲」とは、会社レコード(図10参照)の各項目の内容に基づき、検索対象ファイル情報に含まれる会社レコードと一定以上の関連性を有すると判断される範囲を示し、たとえば、法人の場合、会社レコードの「コード」および「名称」が同一のもの、「グループ」が同一のもの、または「代表者」が同一のもの、を類似範囲内であると判断し、それら以外は類似範囲外(非類似)であると判断する。
なお、類似範囲の評価については、たとえば、編集中のアプリケーションプログラムと同一のアプリケーションプログラムについての既存ファイルであって、同一会社の、過年度のファイルについては、(年度情報以外は)検索対象とした管理情報と同一のものとして評価されることになるが、「類似範囲」の評価には、このように検索対象とした管理情報と同一と判断する場合(キーワードと単純に一致する場合)も含まれる。
また、類似範囲はこれらに限定されず、たとえば、処理対象となる顧問先(会社)の業種、資本金、売上高などに基づいて、予め設定された一定の範囲内(たとえば、資本金、売上高については編集中の会社データの75%〜125%の範囲)にあるものを類似範囲内であると判断するようにしてもよいし、あるいは税効果会計の適用の有無や連結処理の有無など、他の基準で判定するようにしてもよい。また、類似範囲を判断するに際し、主として管理情報に基づいて判断するように記載しているが、ファイルを構成する各データ(申告書ファイルを構成する各データや財務諸表を構成する各データ)に基づいて判断するようにしてもよいし、必要に応じて管理情報に格納した上で利用するようにしてもよい。
ステップS20では、サーバー側の処理を示しており、サーバーは、通信部6aから送信された検索対象ファイル情報を受け取ると、データベースに格納された各会社レコードを処理対象として、受け取った検索対象ファイル情報に含まれる会社レコードを基準とした類似範囲に各会社レコードが含まれるかどうかを個別に評価し、評価結果一覧を作成して端末に返送する(ステップS20)。なお、評価結果一覧は、各会社レコードに対して、そのレコードが類似範囲に該当するかどうかを示す情報(評価内容)を付加したものである。類似範囲に該当することを示す情報としては、類似の度合いを示す情報(これを「類似度」と呼び、たとえば、この値が小さい方が基準に近いものを示すこととする)を使用する。
ここで、上記ステップS20のサーバー側の詳細動作について説明する。図15は、会社マスタの各レコード(会社レコード)の評価手順例を示したフローチャートである。このフローチャートとサーバーの構成を示した図9に基づいて、各会社レコードの評価手順を説明する。
図3に示したシステムにおいて、サーバーでは、検索対象ファイル情報および会社マスタのレコード評価依頼を端末から受け取った場合、それらが通信部6bからDB管理部17へ通知され、DB管理部17は、まず、検索対象ファイル情報から、会社マスタのレコードを特定して検索キーを自動抽出する(ステップS51、S52)。
ステップS52の処理を詳しく説明すると、DB管理部17は、受け取った検索対象ファイル情報内のレコードIDに対応する会社レコード(これを基準レコードとよぶ)をデータベース25内の会社マスタから読み出し、他の会社レコードを評価するための検索キー(各会社レコードが基準レコードに類似するかどうかを判定するためのキー)を抽出する。たとえば、会社マスタ(図10参照)の名称,コード,グループ,年度,住所,代表者を抽出する。
DB管理部17は、ステップS52を実行すると、次に、抽出した情報を使用して、基準レコード以外の会社レコードが基準レコードに類似するかどうかを個別に評価する。具体的には、評価が終了していない会社レコードのうちの一つを選択し、その会社レコードに関連付けられているアプリケーションファイルの参照権限があるかどうか(アプリケーションファイルを取り扱うことが可能かどうか)を確認する(ステップS53)。参照権限があるかどうかは、たとえば、端末を使用しているユーザの担当者IDと同じ担当者IDを有するレコードかどうかで判別する。端末を使用しているユーザは会計事務所の所員であるため、担当者IDを有しており、また、端末は、起動時、ユーザの担当者IDを入力させ、これを使用して認証処理を行うようにしているので、このような運用が可能である。
参照権限がない場合(ステップS53,No)、ステップS57へ遷移し、参照権限がある場合には(ステップS53,Yes)、会社レコードが基準レコードに類似しているかどうかを判定する(ステップS54)。判定方法の一例を示すと、コードおよび名称が基準レコードのものと同じ場合、類似度1と判定し、グループが基準レコードのものと同じ場合、類似度2と判定し、代表者または住所が基準レコードのものと同じ場合、類似度3と判定し、これら以外の場合、類似していない(非類似)と判定する。なお、類似度1が、基準レコードに最も近い(最も類似している)ものを示すこととする。
判定の結果、類似していれば(ステップS54,Yes)、判定した会社レコードに評価結果(類似範囲にあることを示す情報、ここでは類似度1〜類似度3のいずれか)を付加して、評価結果一覧に登録する(ステップS55)。類似していなければ(ステップS54,No)、判定したレコードに評価結果(類似範囲にないことを示す情報)を付加して、評価結果一覧に登録する(ステップS56)。
そして、すべての会社レコードに対して処理(評価)を行ったかどうか(上記ステップS53〜S56までの処理を実行したかどうか)を確認し(ステップS57)、評価を行っていない会社レコードが残っている場合(ステップS57,No)、ステップS53へ遷移し、まだ評価していないレコードを選択して上記動作を実行する。すべての会社レコードについての評価が終了した場合(ステップS57,Yes)、評価結果一覧を端末へ返送するように通信部6bへ依頼し(ステップS58)、通信部6bは、DB管理部17から受け取った評価結果一覧をネットワーク経由で依頼元(上記レコード評価依頼の送信元)の端末へ送信する(ステップS59)。
端末側の動作説明(図13−1〜図13−3の説明)に戻り、通信部6aは、上記ステップS19を実行後、サーバーからの返信(サーバーで生成された会社レコードの評価結果一覧)を受け取ると、それを検索部14へ渡す(ステップS21)。検索部14は、受け取った会社レコードの評価結果一覧を作業用メモリ23へ格納するとともに、ソート部15に対して、ソート依頼を行う(ステップS22)。具体的には、受け取った会社レコードの評価結果一覧に基づいて、サーバーが保持しているアプリケーションファイル(既存ファイル)のリストを表示する際の表示順を決定するように、ソート部15へ依頼する。
ソート部15は、上記依頼を受けると、まず、記憶部2aから優先順位テーブル24(図8参照)を読み込み、それをソート条件として取得する(ステップS23)。次に、ソート部15は、知識マスタ(図12参照)のレコード一覧を取得するように通信部6aに依頼し(ステップS24)、通信部6aは、サーバーに対し、知識マスタのレコード一覧を送信するように依頼する(ステップS25)。
ステップS26は、上述したステップS20と同様にサーバー側の処理を示しており、サーバーでは、依頼内容に従い、DB管理部17が、データベース25から知識マスタのすべてのレコードを読み出し、読み出した各レコードの一覧を生成して返送する(ステップS26)。
通信部6aは、上記ステップS25を実行後、サーバーからの返信(知識マスタのレコード一覧)を受け取ると、それをソート部15へ渡す(ステップS27)。ソート部15は、知識マスタのレコード一覧を受け取ると、それを知識マスタレコードとして作業用メモリ23へ格納し、さらに、上記ステップS21でサーバーから取得し、作業用メモリ23に格納しておいた会社レコードの評価結果一覧に含まれている類似範囲の情報(類似度または類似範囲以外を示す情報)および会社レコードと、知識マスタのレコードに含まれている参照度数および優先度と、上記ステップS23で取得した優先順位テーブルと、に基づいて、予め取得し、保持しておいた、サーバーのデータベースに登録されている各アプリケーションファイルの情報をソートする(ステップS28)。ただし、上記ステップS21で受け取った会社レコードの評価結果一覧に含まれている各会社レコードに関連付けられているもの(ユーザが参照権限を有しているアプリケーションファイルの情報)を抽出し、抽出したものを対象として、ソートを行う。なお、ソート時には、会社レコードの項目のうち、たとえばレコード種類と年度(会計年度)を抽出して使用する。レコード種類とは、会社レコードに関連付けられた既存ファイルを作成したアプリケーションの種類を示す情報である(既存ファイルの種類を示す情報ともいえる。ファイル拡張子のような情報)。優先順位テーブルには、どのレコード種類(どの種類のファイル)を優先的に表示させるかを示す情報、どの年度(どの年度のファイル)を優先的に表示させるかを示す情報、が含まれる。
ここで、「参照度数」は、上述したとおり、各アプリケーションファイルの利用頻度を示す情報であり、サーバーが保持している各アプリケーションファイルが端末によって何度読み出されたか(実行されたか)を示す。また、読み出された回数が多いほど、数値が大きくなる。すなわち、利用される可能性が高いアプリケーションファイルと対応付けられた参照度数ほど、数値が大きくなる。
「優先度」とは、ユーザがアプリケーションファイルごとに個別に設定可能な表示優先度情報(ソート処理時に考慮されるべき情報の一つでありユーザが自由に設定可能なもの)である。この優先度は、たとえば、類似度が同じファイルが複数存在する場合に、それらの並び順(表示順)を決定するために使用され、ソート部15は、優先度が高いものほど上位となるように、並び順を決定する。
ステップS28におけるソート処理手順の一例を示すと、ソート部15は、まず、上記ステップS21で受け取った会社レコードの評価結果一覧に含まれている各会社レコードに関連付けられたファイルを利用可能なファイルとして抽出し、抽出した各ファイルを、類似範囲の情報に基づいて、類似度が高いものほど上位となるようにソートし、類似度が同じファイル同士については、優先度が高いものほど上位となるようにソートする。さらに、類似度および優先度が同じファイル同士については参照度数が高いものほど上位となるようにソートし、参照度数を用いてもなお優劣がつかないファイル同士については、優先順位テーブル、会社レコード内の情報(レコード種類および会計年度)に基づいて、ソートを行う(表示順を決定する)。
ソート処理が終了後、ソート部15は、ソート結果を一覧表生成部16に渡し、ソート結果一覧を表示するように依頼し(ステップS29)、一覧表生成部16は、受け取ったソート結果を表示形式に変換してソート部15へ送信する(ステップS30)。ソート部15は、受け取った結果(変換後のソート結果)をアプリケーションプログラム実行部13に渡し(ステップS31)、アプリケーションプログラム実行部13は、受け取った結果に従った表示を行うように表示部3aを制御し、表示部3aは、結果(上記ステップS28で並び替えられた後の各アプリケーションファイルの情報)を表示する(ステップS32、S33)。
図14−2は、ステップS33を実行することによって表示されるソート結果表示画面の一例を示す図である。このソート結果表示画面は、法人(個人)名を考慮した場合、A株式会社と対応付けられているアプリケーションファイルの利用確率(利用される確率)が最も高いと推定し、最上位に表示されるようにソートした結果を表示したものである。また、アプリケーション(ファイル作成で使用されたアプリケーション)の種類を考慮した場合、減価償却アプリケーションと対応付けられているファイル(減価償却アプリケーションで作成されたファイル)の利用確率が最も高く、また、年度を考慮した場合、平成20年度に対応付けられたアプリケーションファイルの利用確率が最も高いと推定し、ソートした結果である。なお、当然ながら、上記のステップS20で類似範囲内にあると評価された会社レコードに関連付けられたアプリケーションファイルは、類似範囲外であると評価された会社レコードに関連付けられたアプリケーションファイルよりも利用確率が高いと推定される。また、類似範囲内にあると評価された会社レコードと関連付けられた各アプリケーションファイルは、対応する類似度が、より基準に近いもの(類似性が高いもの)を示しているものほど、利用確率は高くなる。
端末は、ステップS33の処理が終了し、図14−2のソート結果表示画面を表示している状態において、画面左下に配置されている「優先度設定」がユーザに選択された場合、図14−3に示した画面表示を行い、知識マスタ(図12参照)のレコードの含まれている優先度の設定動作を開始する。図示した例では、優先度が3段階で設定可能な場合を示している。また、優先度を数値で指定するようにしてもよい。
図13−1〜図13−3の説明に戻り、端末は、図14−2のソート結果表示画面を表示している状態において、画面に表示しているアプリケーションファイルのうちの一つが選択され、選択中のファイルを参照する指示を入力部4a経由で受け取ると(ステップS34)、アプリケーションプログラム実行部13は、指示内容が示すアプリケーションファイルに対応するアプリケーションを、起動するアプリケーションとして選択し、選択結果を当該アプリケーションファイルの情報とともにアプリケーション監視管理部12へ通知する(ステップS35)。またこれと並行して、選択したアプリケーションを、参照用アプリケーションとして起動する。
図16は、参照用アプリケーションの起動手順の一例を示したフローチャートであり、起動中の編集中アプリケーションが存在し、かつ上記のステップS1〜S16までの処理で絞り込まれた起動中の編集中アプリケーション(ステップS17以降で参照している起動中の編集中アプリケーション、以下、「参照元アプリケーション」と呼ぶ)と参照用アプリケーションが同じ場合の動作例を示している。この図16を参照しながら、参照用アプリケーションを起動する場合の動作を以下に説明する。
アプリケーションプログラム実行部13は、参照用アプリケーションを起動する場合、まず、選択されたアプリケーションファイルに関連付けられたレコードIDを取得する(ステップS61)。次に、取得したレコードIDに対応する会社レコードを取得するように通信部6aに依頼する(ステップS62)。通信部6aは、依頼内容が示す会社レコードをサーバーから取得し、取得した会社レコードをアプリケーションプログラム実行部13へ渡す(ステップS63、S64)。アプリケーションプログラム実行部13は、上記ステップS34で選択されたアプリケーションファイルの実データを、通信部6a経由で取得した会社レコードが示す登録場所(図10参照)から取得し(ステップS65)、参照用アプリケーションを起動する。さらに、アプリケーションプログラム実行部13は、取得したアプリケーションファイルの実データから、特定項目の情報を抜き出し、参照元アプリケーションの編集データに反映(同一項目へ情報を複写)する(ステップS66)。特定項目とは、入力項目(新規作成や編集においてデータや設定値を入力するための項目)のうち、アプリケーションの種類(レコード種類)ごとに予め決められている一部の項目を示す。
以上の動作は、参照元アプリケーションと参照用アプリケーションが同じ場合のものであるが、これらが異なる場合には、上記のステップS61〜S65までを実行する(取得したアプリケーションファイルの実データの一部を反映させることはしない)。
図17−1〜図17−3は、参照用アプリケーションを起動した場合に、参照元アプリケーション側の画面表示内容を更新する動作を示した図である。端末では、参照元アプリケーションの画面表示内の商号コードや商号名など、一部の項目について入力が済んだ状態で、データ再利用システムのウィンドウを表示させるための操作(上記のステップS11で示した既存ファイルの利用を指示する操作に相当)が行われると、上記のステップS33までの処理を実行し、図17−1に示したようなソート結果を表示する(“データ再利用システム”と表示されたウィンドウを表示し、その中にアプリケーションファイルのリストを表示する)。その後、この画面表示を行っている状態でハッチングがかかっているアプリケーション(アプリケーションファイル)が選択され、その実行指示(上記ステップS34で受け取る指示)があると、上記のステップS61〜S65を実行して、図17−2に示したような参照用アプリケーションの画面を表示する。さらに、参照元アプリケーションと参照用アプリケーションが同一の場合には、図17−3に示したように、参照元アプリケーションの画面表示内の連携可能な項目(斜線を付した設定項目)に対し、参照用アプリケーションの画面表示の対応する項目へ入力済みの情報(設定内容)を複写する。
このように、参照用アプリケーション(参照表示させた既存ファイル)の設定内容を参照元アプリケーション側に反映させるようにした場合、ユーザは、参照用アプリケーション側の画面表示を確認しながら、参照元アプリケーション側の対応する項目を手入力で設定する必要がなくなり、作業時間の短縮が図れるとともに、入力間違いによる設定ミスが防止できる。
図13−1〜図13−3に示した動作の説明に戻り、アプリケーションプログラム実行部13が図16に示した手順で参照用アプリケーションを起動する動作と並行して、アプリケーション監視管理部12は、起動する参照用アプリケーションの情報およびアプリケーションファイルの情報を関連付けて起動アプリケーション情報一時記憶部21に登録する(ステップS36)。このとき、「起動形態」を「参照」に設定し、また、「検索元」には、このアプリケーションを参照している他のアプリケーションのプロセスID(起動中の各アプリケーションの識別情報であり、起動した際にアプリケーションに付与される情報)を設定して、対応関係を記憶させておく。また、アプリケーション監視管理部12は、上記指示内容が示すアプリケーションファイルに対応する参照度数を更新するように、通信部6a経由でサーバーへ依頼する(ステップS37、S38)。
ステップS39は、上述したステップS20やS26と同様にサーバー側の処理を示しており、サーバーでは、DB管理部17が、依頼内容に従い、知識マスタの該当するレコード内の参照度数を更新し、更新が終了するとその旨を返信する(ステップS39)。
通信部6aは、参照度数を更新した旨をサーバーから通知された場合、その旨をアプリケーション監視管理部12へ通知し、アプリケーション監視管理部12も同様に、通知された内容をアプリケーションプログラム実行部13へ通知する(ステップS40、S41)。
アプリケーションプログラム実行部13は、起動したアプリケーションの画面情報をアプリケーションデータ一時記憶部22から取得する(ステップS42)。次に、アプリケーションプログラム実行部13は、取得した画面情報のうち、画面サイズに合わせて、読取専用イメージの背景画像データを生成する(ステップS43)。また、アプリケーションプログラム実行部13は、起動したアプリケーションの画面を半透明の状態に変更する(ステップS44)。さらに、アプリケーションプログラム実行部13は、ステップS44で半透明にしたアプリケーションの画面の下に、ステップS43で生成した背景画像を重ねて表示するように、表示部3aへ依頼し、表示部3aは、依頼内容に従った内容の画面を表示する(ステップS45、S46)。
図18は、上記ステップS42〜S46で実行する、参照用アプリケーションの画面表示動作を説明するための図である。図18において、上段は、ステップS46を実行した後の画面の例であり、右側が参照用アプリケーションの画面表示(以下、参照画面表示と呼ぶ)、左側が、参照用アプリケーションを起動する前から起動していたアプリケーションの画面表示のうち、右側の参照画面表示を参照する側のアプリケーション(参照元アプリケーション)の画面表示である。図18の下段および上記のステップS42〜S46で示したように、参照画面表示は、通常の画面(ステップS42で取得した画面情報)とステップS43で生成した背景画像を重ね合わせることにより、どちらが参照画面表示であるかが容易に判別できるような画面表示内容としている。なお、元々表示していた参照元アプリケーションの画面表示は、必要に応じて拡大・縮小や表示位置の変更を行い、参照画面表示と並ぶように配置する。図示したように、参照元アプリケーションの画面表示と参照画面表示を同じサイズで横に並べて表示するので、ユーザは参照元アプリケーションを利用して新規ファイルを作成(または既存ファイルを編集)する際に、参照画面表示の内容を確認しながら入力でき作業を効率的に進めることができる。また、図18では、参照元アプリケーションと参照用アプリケーションが同じである場合の例について示したが、これらが異なる場合であっても同様に、参照元アプリケーションの画面表示と参照画面表示を並べて表示する。右側と左側のどちらを参照画面とするかはユーザの設定に従うようにしてもよい。
このように、本実施例のシステムでは、既存ファイルの利用開始操作が行われた場合、その時点の状況(起動中の編集中アプリケーションの有無や種類など)に応じて、利用可能な(ユーザが参照権限を有している)各既存ファイルを評価し、その結果、利用される可能性が高いと推測されたものから降順に(利用される可能性が高いものほど上位になるように)並べ替えた一覧表を表示することとした。また、一覧表から選択された既存ファイルを参照表示する際には、参照元アプリケーションの表示画面と参照用アプリケーションの表示画面(参照画面表示)を並べて表示することとし、さらに、参照元アプリケーションと同じアプリケーションを起動する場合には、参照用アプリケーションで読み込んだデータのうち、利用可能なものとして予め設定されたデータを参照元アプリケーション側へ反映させることとした。これにより、ユーザは、財務や税務に関する法律的な知識を有していなくても、新規に作成しようとしているファイル(起動中の編集中アプリケーションで作成しようとしているファイル)により近いもの(役に立ちそうなもの)を容易に見つけ出し、それを参照および利用できる。そして、参照するファイルは、編集中の顧問先の過去のファイルだけでなく、他の会社のファイルをも含めて検索対象とし、参照可能としているので、初めての顧問先であっても、類似する他の会社のファイルを参照することができるという効果を奏する。
また、参照するファイルには、熟練した他の職員の、文書や申告書等の作成ノウハウが詰まっているので、知識の未熟な職員であっても、作成する文書や申告書等を、必要十分な品質にまで高めることができる。そして、本発明を利用することを繰り返すことで、会計事務所の成果物全体の品質を向上させていくことが可能となる。
また、たとえば、参照用アプリケーションと参照元アプリケーションとで共通な設定項目について、参照表示させたファイルの設定を参照元アプリケーション側に反映させるように予め設定しておけば、設定ミスなどが発生するのを極力抑えることができる。
また、利用される可能性(利用可能性)の評価結果で絞り込みを行わずに、利用可能なファイルであれば、たとえ利用可能性が低いものであっても表示することとしたので、利用される可能性が非常に低いと推測されたファイルであっても、ユーザはそれを参照および利用できる。
なお、上記説明では、サーバーがデータベース25を備え、アプリケーションを実行してファイルを生成する端末がネットワーク経由でサーバーのデータベース25にアクセスしてデータ(アプリケーションファイル)を再利用する場合の動作について示したが、図19に示したように、端末自身がデータベース25を備え、スタンドアローンで動作する構成としても同様の効果を得ることが可能である。
図19は、データ再利用装置として動作する端末の構成例を示す図であり、この端末が、図4に示したシステム構成を実現する。この端末は、制御部1cおよび記憶部2cを備える。なお、制御部1cおよび記憶部2cの構成要素のうち、既に説明した図5の端末または図9のサーバーが備えている構成要素と同じものについては同一の符号を付している。また、検索部14cは、必要な情報をデータベース25から直接読み出す点を除いて上述した検索部14と同じであり、ソート部15cは、上述したソート部15が行う各種処理に加えて、上述したサーバーのDB管理部17が行う会社マスタの各レコードの評価、知識マスタ内の参照度数の更新を自ら行うようにしたものである。知識マスタレコード26は、図5の端末が作業用メモリ23で保持していた知識マスタレコードと同じものである。この端末では、検索部14cが既存ファイル評価手段として動作する。
実施例1では、参照用に表示させる既存ファイルの選択画面(図14−2のソート結果表示画面に相当)の表示手順、参照用アプリケーションの起動動作および参照用アプリケーションの起動時に既存データを参照元アプリケーション側に反映させる動作、について説明したが、本実施例では、参照用アプリケーションを起動した後の動作、具体的には、参照画面表示と参照元アプリケーションの表示画面(以下、編集中画面表示と呼ぶ)との連携動作、参照表示している既存ファイルの情報を新規ファイル作成で利用する場合の動作、およびその他の関連動作について説明する。本実施例でも実施例1と同様に、図3に示した構成のシステム(図5の端末と図9のサーバーからなるシステム)での動作を説明する。なお、図4に示したシステム(スタンドアローン端末)における動作も、制御などに必要な各種情報の受け渡しをネットワーク経由で行う点を除いて、本実施例でこれから説明する端末の動作と同一となる。
図20は、編集中画面表示と参照画面表示を連携させる(各表示の切り替えを連携させる)場合の制御手順の一例を示したフローチャートである。なお、編集中画面表示と参照画面表示の連携は、参照元アプリケーションと参照用アプリケーションが同一の場合(同じアプリケーションが参照元と参照用に起動されている場合)に可能な動作である。ここで、本発明にかかるシステムの端末では、画面の表示制御を行うにあたり、用意されている各画面データを画面IDで管理し、また各画面内の項目(データの入力項目)を項目IDで管理しているものとする。また、これらの情報はアプリケーションデータ一時記憶部22が保持しているものとする。
端末(図5参照)が実施例1で示した動作を実行し、編集中画面表示と参照画面表示を並べて表示させている状態において、端末の入力部4aが編集中アプリケーション(参照元アプリケーション)での画面入力指示を受け取ると(ステップS71)、入力部4aは、受け取った指示内容をアプリケーションプログラム実行部13へ通知し、アプリケーションプログラム実行部13は、アプリケーションデータ一時記憶部22から、表示する画面の識別情報(画面ID)と当該画面内の先頭項目の識別情報(先頭項目ID)を取得する(ステップS72)。
アプリケーションプログラム実行部13は、次に、編集中アプリケーションと対になる参照中のアプリケーション(参照用アプリケーション)の情報をアプリケーション監視管理部12に要求し(ステップS73)、アプリケーション監視管理部12は、起動アプリケーション情報一時記憶部21が保持している起動アプリケーション情報(図6参照)を確認し、起動形態が「参照」でありかつその検索元が編集中アプリケーションのプロセスIDとなっているものの探索を開始する(ステップS74)。
そして、アプリケーション監視管理部12は、上記ステップS74で示した条件に合致する参照用アプリケーションが存在しない場合(ステップS75,No)、および、条件に合致する参照用アプリケーションは存在するがそのアプリケーションと参照元アプリケーションのアプリケーション番号が異なる場合(ステップS75,Yes→ステップS76,No)、アプリケーションプログラム実行部13に対して、該当アプリケーションなし(画面表示を連携させることが可能なアプリケーションなし)を通知する(ステップS80)。該当アプリケーションなしとの通知を受けたアプリケーションプログラム実行部13は、画面表示を連携させる制御は行わずに、上記ステップS71で受け取った指示内容に従い、編集中画面表示の制御を行う(ステップS81)。
一方、上記ステップS74で示した条件に合致する参照用アプリケーションが存在し、かつそのアプリケーションと参照元アプリケーションのアプリケーション番号が同じ場合(ステップS75,Yes→ステップS76,Yes)、アプリケーション監視管理部12は、該当するアプリケーション(参照用アプリケーション)のプロセスIDをアプリケーションプログラム実行部13に対して通知する(ステップS77)。プロセスIDの通知を受けたアプリケーションプログラム実行部13は、受け取ったプロセスIDに対応するアプリケーションの画面表示(参照画面表示)および編集中画面表示を上記ステップS72で取得した画面IDおよび項目ID(先頭項目ID)に従った表示内容に更新するように、表示部3aに対して指示を出す(ステップS78)。表示部3aは、アプリケーションプログラム実行部13からの指示内容に従い、参照画面表示および編集中画面表示を更新する(ステップS79)。
つづいて、参照画面表示の内容を編集中画面表示に反映させる動作について説明する。図21−1は、参照画面表示の内容を編集中画面表示に反映させる場合の全体動作を示した図であり、図21−2は、これを実現するための制御手順の一例を示したフローチャートである。
本発明にかかるシステムの端末では、図21−1に示したように、起動アプリケーション情報のプロセスIDを利用して、参照画面表示の内容を編集中画面表示に反映させる動作を実現している。
具体的には、図21−2に示したように、ユーザが所定の操作を行い、その結果、端末の入力部4aが編集中アプリケーション(参照元アプリケーション)で「貼り付け」の指示を受け取ると(ステップS91)、入力部4aは、受け取った指示内容をアプリケーションプログラム実行部13へ通知し、アプリケーションプログラム実行部13は、アプリケーションデータ一時記憶部22から、「貼り付け」の指示を受けた場所(指示を受けた時点で選択されていたデータ入力項目)に対応する画面IDおよび項目IDを取得する(ステップS92)。
アプリケーションプログラム実行部13は、次に、編集中アプリケーションと対になる参照中のアプリケーション(参照用アプリケーション)の情報をアプリケーション監視管理部12に要求し(ステップS93)、アプリケーション監視管理部12は、起動アプリケーション情報一時記憶部21が保持している起動アプリケーション情報(図6参照)を確認し、起動形態が「参照」でありかつその検索元が編集中アプリケーションのプロセスIDとなっているものの探索を開始する(ステップS94)。なお、これらの処理は、上記のステップS73およびS74の処理と同じである。
そして、アプリケーション監視管理部12は、上記ステップS94で示した条件に合致する参照用アプリケーションが存在しない場合(ステップS95,No)、および、条件に合致する参照用アプリケーションは存在するがそのアプリケーションと参照元アプリケーションのアプリケーション番号が異なる場合(ステップS95,Yes→ステップS96,No)、アプリケーションプログラム実行部13に対して、該当アプリケーションなし(参照画面表示の内容を編集中画面表示に反映させることができない旨)を通知する(ステップS101)。該当アプリケーションなしとの通知を受けたアプリケーションプログラム実行部13は、編集中画面表示を更新することなく(編集中アプリケーションへのデータ入力状態を更新することなく)制御動作を終了する(ステップS102)。
一方、上記ステップS94で示した条件に合致する参照用アプリケーションが存在し、かつそのアプリケーションと参照元アプリケーションのアプリケーション番号が同じ場合(ステップS95,Yes→ステップS96,Yes)、アプリケーション監視管理部12は、該当するアプリケーション(参照用アプリケーション)のプロセスIDをアプリケーションプログラム実行部13に対して通知する(ステップS97)。プロセスIDの通知を受けたアプリケーションプログラム実行部13は、アプリケーションデータ一時記憶部22に格納されたデータのうち、アプリケーション監視管理部12から受け取ったプロセスIDと、上記ステップS92で取得した画面IDおよび項目ID(先頭項目ID)とによって特定されるデータ入力項目に入力済みのデータを読み出し、これを、編集中アプリケーション側の対応するデータ入力項目(上記ステップS92で取得した画面IDおよび項目IDにより特定される項目)に複写する。さらに、複写した結果を参照画面表示に反映させるように、表示部3aに対して指示を出す(ステップS98、S99)。表示部3aは、アプリケーションプログラム実行部13からの指示内容に従い、参照画面表示および編集中画面表示を更新する(ステップS100)。
図21−3は、上記動作を実行した場合の画面表示の更新の様子を示した図であり、左側が編集中画面表示、右側が参照画面表示である。図21−3では、編集中画面で科目コード(黒塗りの□が表示されたデータ入力項目)が選択されており、この状態で「貼り付け」操作(図の例では、「CTRL」と「V」の同時押しとしている)が行われると、選択されている項目に対応する参照画面表示側の項目(科目コード)の内容が編集中画面表示側の選択中の項目に複写され、その結果、科目コードに「2111建物」が表示(入力)される様子を示している。
なお、図21−1〜図21−3を用いて行った説明では、簡単化のため、編集中画面で1つの項目が選択された状態で「貼り付け」指示を受けた場合の動作について示したが、複数の項目が選択された状態で「貼り付け」指示を受け付けるようにすることも可能である。複数の項目が選択された状態で「貼り付け」指示を受けた場合には、たとえば、選択された各項目について、上記のステップS97〜S100までの処理を繰り返し実行する、または、ステップS97〜S100において、各項目についての処理を繰り返し実行する(各ステップに示した一連の処理を選択された項目数だけ繰り返すのではなく、各ステップで、選択された項目数だけ同じ処理を繰り返す)。
つづいて、画面表示の整列制御動作について説明する。図22−1は、画面表示の整列制御の全体動作を示した図であり、図22−2は、画面表示の整列制御手順の一例を示したフローチャートである。
これまでは、参照画面表示と編集中画面表示が1対1で対応する場合の動作について説明したが、本発明にかかるシステムでは、1つの編集中画面表示に対し、複数の参照画面を表示させることも許容する。すなわち、ある参照元アプリケーションとこれに対応付けられた参照用アプリケーションが起動している状態において、この参照元アプリケーションに対応付けた別の参照用アプリケーションをさらに起動させることが可能である。また、参照元アプリケーションを複数起動することも許容する。ただし、複数の参照元アプリケーションと一つの参照用アプリケーションとを関連付けること(ある参照用アプリケーションが複数の参照用アプリケーションと関連付けられること)は許容しない。一方、このようにした場合、複数起動している参照用アプリケーションの画面表示(参照画面表示)をユーザが切り替えられるようにする必要がある。
そこで、本発明にかかるシステムの端末では、図22−1に示したように、起動アプリケーション情報を利用して、各画面表示の整列制御を行っている。
具体的には、図22−2に示したように、ユーザが所定の操作を行い、その結果、端末の入力部4aが画面整列の実行指示を受け取ると(ステップS111)、入力部4aは、受け取った指示内容を画面管理部11へ通知し、画面管理部11は、起動アプリケーション情報一時記憶部21内の起動アプリケーション情報を確認し、編集中アプリケーション(参照元アプリケーション)のリストおよび参照中アプリケーション(参照用アプリケーション)のリストを作成し、作成した各リストを起動アプリケーションの一覧として同一画面に表示するように、表示部3aに指示する(ステップS112、S113)。表示部3aは、指示内容に従い、図22−3に示したような内容の画面を起動アプリケーション一覧画面として表示する(ステップS114)。
その後、入力部4aは、選択画面入力が行われるのを待ち、画面が選択された場合(ステップS115→ステップS116,Yes)、画面管理部11は、選択された編集中アプリケーションの画面表示(編集画面)と参照中アプリケーションの画面表示(参照画面)を所定位置に並べて表示するように表示部3aに指示を出し、表示部3aは、指示内容に従った画面表示を行う(ステップS117、S118)。画面が選択されなかった場合(ステップS116,No)、動作を終了する。なお、ステップS115では、編集画面が先に選択された場合、これに関連付けられている参照画面のみを選択できるようにする。たとえば、編集画面が選択された時点で、この編集画面に関連付けられていない参照画面については、一覧画面表示から消去する。
なお、この場合において、キーボードやマウスなどの入力手段から、編集中アプリケーションにおける、編集画面のスクロール操作の情報を取得した上で、参照中アプリケーションの画面表示(参照画面)を同期してスクロールすることとし、編集画面と同じ箇所の参照画面を表示するようにしてもよい。
このように、本実施例のシステムでは、参照元アプリケーションと参照用アプリケーションが同じ場合、参照元アプリケーション側で行った画面切り替え操作にあわせて参照用アプリケーション側の画面切り替えも同時に行い、また、複写指示を受けた場合には、参照元アプリケーション側で選択中の項目に対応する参照用アプリケーション側の項目の内容(データ)を参照元アプリケーション側に複写するようにした。これにより、必要な入力項目が一目で分かるので入力項目の見落としを防止すると共に、入力項目の内容についてどのような入力をすればよいかを把握することができるなど、作業効率をさらに向上させることができる。