JP2010151715A - ウェブとロール間の接触状態推定装置、接触状態推定方法およびフィルムの製造方法 - Google Patents

ウェブとロール間の接触状態推定装置、接触状態推定方法およびフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂フィルムとロールとの接触する際のスティックスリップ現象を検出することによってキズを検出する装置を提供すること。
【解決手段】ロール端部もしくは内部に振動測定手段を設置し、熱可塑性樹脂フィルムとロールとの接触する際のスティックスリップ現象で発生する振動を測定する手段と、測定した振動信号を解析してキズ発生を推定する接触状態推定手段と、無線によってロール近傍の表示手段に表示する構成を有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ウェブとロール間の接触状態推定装置、接触状態推定方法およびフィルムの製造方法に関する。
ウェブの一種である熱可塑性樹脂フィルム製造する際には、一般に冷却・加熱・延伸などほとんどの過程において、成型用ロール(以下、ロールと略す)が用いられている。しかしながら、このように熱可塑性樹脂がロールに接するときの問題点は、時間とともに熱可塑性樹脂に含まれる有機物などの異物がロール表面に堆積するため、異物が堆積したロールがフィルム表面にキズをつけることであった。
このような問題に対して、汚れたロールを清掃するために紫外線照射によってロールに付着した有機物を昇華させることで、ロールを洗浄する方法が特許文献1に開示されている。しかしながら、数多くのロールと接触する熱可塑性樹脂フィルムの製造で使用するロールは数が多いために、全てのロールにこのような装置をつけることは費用の点で難しかった。
また、ロールに異物が堆積していた場合でも、堆積した異物起因でフィルム表面にキズをつけないように、ロール表面の表面粗さ、あるいはロールの温度・ロールの速度を変える方法が特許文献2に提案されている。しかしながら、数多くのロールの表面粗さ・温度・速度を調整する際には、全てのロールの条件を一様に設定しても効果は薄く、各ロール1本ずつに関して調整しなければならないが、現状ではどこのロールでキズが発生しているかわからず、経験や勘でそれぞれのロールの条件を設定していた。そのため、キズがない条件を得るのに多くのロスを出す課題があった。
またこれらのキズはロールへの付着物に起因しているため、熱可塑性樹脂フィルム製造後に、フィルムを再度巻きだしてフィルムを検査すれば、キズの周期から大体の発生位置はわかるが、製造工程中に同じ径のロールが使われていることも多く、キズの周期から、キズを発生させているロールの特定ができないだけでなく、製造したフィルムを巻きだすために、キズ発生からアクションまでの時間がかかる問題があった。
一方で、公知の技術として、特許文献3に記載のように攪拌槽の攪拌翼の軸受けなどの異常を検出するために、軸受け近傍に振動測定手段を設置し、振動振幅の大きさから異常の判断をする方法がある。この技術は攪拌翼と攪拌層内部の物質との相互作用ではなく、攪拌翼と軸受けの間の磨耗を検出するものである。このような用途で用いるために、振動の周波数は攪拌翼の回転周波数の高々百倍程度のもので、特許文献3で用いている振動測定装置の測定周波数範囲は12kHz以下である。一般に数10kHz程度の信号を測定する場合は、測定周波数における振動測定装置の周波数特性が平坦、すなわちどの周波数においても振動測定装置のゲインが等しくすることが多い。例えば、測定周波数が数10kHzまでの場合、振動測定装置の共振周波数は測定周波数よりも高くなるが、共振周波数は100kHz以下である。また振動の周波数ではなく振動振幅に関しても、特許文献3に記載の装置で軸受けの磨耗ではなく攪拌翼と攪拌層内部の物質との相互作用によって生じる振動の検出を試みても、軸受けの磨耗と比較して振動振幅が小さいために実際上測定できない。
特開2001−341196号公報 特開2005−132107号公報 特開2000−185223号公報
本発明の目的は、熱可塑性樹脂フィルムとロールとの接触する際の接触状態を推定することによってキズを検出する装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、ウェブを搬送するための複数のロールと、該ロールの表面もしくは内部に設けられた振動測定手段と、該振動測定手段から得られる振動信号を解析する解析手段を備えたことを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定装置を提供する。
また本発明の好ましい形態によれば、前記振動測定手段は、数100kHz〜数10MHzに共振周波数を持つ音波センサであることを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定装置であっても良い。
また本発明の好ましい形態によれば、前記振動測定手段を有する前記ロールの少なくとも一つについて、前記振動測定手段を2個以上備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のウェブとロール間の接触状態推定装置であっても良い。
また本発明の好ましい形態によれば、前記ロール表面もしくは内部に複数の振動測定手段を設置するに際して、ロールの中心軸に垂直な断面上かつロール表面の同心円上に2個以上の振動測定手段をそれぞれ等間隔で配置することを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定装置であっても良い。
また本発明の好ましい形態によれば、前記ロール表面もしくは内部に複数の振動測定手段を設置するに際して、ロールの中心軸に垂直で2面以上のそれぞれ異なる断面上に前記振動測定手段をそれぞれ1個以上設置することを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定装置であっても良い。
また本発明の別の形態として、ウェブとロールの接触によって生じる振動を、該ロールの表面もしくは内部に設けられた振動測定手段にて測定し、該振動測定手段から得られる振動信号を解析し、前記ウェブと該ウェブに接する前記ロールとの接触状態を推定することを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定方法を提供する。
また本発明の好ましい形態によれば、前記推定方法において、ウェブとロールの接触によって生じる振動を、複数の振動測定手段にて測定し、複数の振動測定手段の信号を平均化演算するとともに、それぞれの振動測定手段の信号から前記平均化演算で得られた信号を差し引く処理することを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定方法であっても良い。
また本発明の好ましい形態によれば、前記推定方法において、ウェブとロールの接触によって生じる振動を、複数の振動測定手段にて測定し、複数の振動測定手段からの信号それぞれの時間差を演算することで、振動発生箇所を演算することを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定方法あっても良い。
また本発明の別の形態として、複数のロールを用いてウェブを搬送するウェブの製造方法において、該ロール表面もしくは内部に設置した振動測定手段によってロール表面で発生する振動を測定し、測定した振動信号からウェブとウェブに接するロールとの接触状態を推定し、推定した接触状態が良好となるように該ロールの温度と回転速度を調整することを特徴とするフィルムの製造方法を提供する。
本発明において、「振動測定手段」とは、振動測定手段を設置したロール表面もしくは内部における加速度もしくは速度の振動を測定する手段をいう。
本発明において、「接触状態」とは、ウェブとウェブに接するロールとの接触において、滑りの有無、滑り現象においても密着と滑りの2つのモードを繰り返す現象であるスティックスリップの有無、ロールへの着地位置の変動の有無、ロールから剥離する位置の変動の有無などの接触状態をいう。
本発明において、「解析手段」とは振動測定手段からの信号を四則演算や相関処理などすることで、ロールとウェブの接触から発生する振動のみを選択的に抽出する機能や、または得られた信号を閾値処理することによって滑りなどの接触状態を検出する機能、または複数の振動測定手段からの得られるそれぞれの信号からの時間差によって振動発生位置を演算する計算機などの解析手段をいう。
本発明において、「接触状態推定装置」とは、振動測定手段と解析手段から構成され、ウェブとウェブに接するロールとの接触における前記接触状態を推定する装置をいう。
本発明において、共振周波数とは、振動測定手段において最も感度が高くなる周波数をいう。
本発明によれば以下に説明するとおり、ウェブとロールとの接触によって生じるキズを検出することができ、この検出装置を用いて、熱可塑性樹脂フィルムの縦延伸の各ロールの表面材質・速度・温度などを調整することで、キズが少ないフィルムを製造することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を詳細に説明する。本実施形態におけるウェブの搬送装置を、ポリエステルフィルムの製造方法を例にして説明する。
ポリエステルフィルム8は下記のように製造することができる。代表的な製造設備を図1に示す。すなわち、押出機1にてポリエステル樹脂を溶融し、スリットを有する口金2から押し出された溶融ポリエステルフィルムを回転する冷却ドラム3上に静電印加法にて密着固化せしめ未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムを複数のロールを備えた縦延伸装置4に供給することにより、連続的に縦方向に延伸し、更に横延伸装置5にて横方向にも延伸し、巻取り装置6で巻き取ることにより製造できる。
上記フィルムの製造工程における縦延伸工程の概略図を図2に示した。縦延伸工程において、未延伸のポリエステルフィルムと複数の予熱ロール9を接触させてポリエステルフィルムを加熱する予熱工程と、加熱したポリエステルフィルムを前後2本の延伸ロール10の速度差を用いて延伸する延伸工程と、縦延伸後のポリエステルフィルムと複数の冷却ロール11を接触させてポリエステルフィルムを冷却する冷却工程がある。
次に、本発明の実施の形態にかかる接触状態推定装置の概略平面図を図3に、概略正面図を図4にそれぞれ示した。この接触状態推定装置はウェブとロール間での接触状態を推定する目的で、振動測定手段13をロールの内部あるいはロール表面に設置する。ロール内部に設置する場合は、ロールを円筒状のスリーブと円柱状の軸で構成した時に、円筒状のスリーブ内側に窪みを設け、その窪みに振動測定手段を設置しても良い。ロール内部に設置することで、ウェブとロールの接触している場所に距離的に近い地点で振動測定が可能となる。またロール表面に設置する場合は、ロールの端面に設置することで振動測定装置の設置および取り外しが容易となる特徴がある。ウェブが走行する際、ある地点(接触位置)でロールにウェブが接して、ロールに張り付いてウェブが移動し、ある地点(剥離位置)でロールからウェブが離れる位置関係にある。ここでウェブとロール間での接触状態が良い場合、接触位置および剥離位置は時間変動せず、またロールに張り付いたウェブとロールの間に滑りは発生しない。一方、ウェブとロール間での接触状態が悪い場合、ウェブとロールとの間にスティックスリップ現象を伴う滑りや、ウェブとロールの接触位置や剥離位置が振動するなどの現象が発生する。特にロール上に異物が付着したロールとウェブでスティックスリップ現象が発生すると、振動が発生するだけでなく、ウェブ表面にキズが発生し、品位の低下を招くため、特に重要な接触状態である。ここで、「スティックスリップ現象」とは、ウェブとウェブに接するロールとの接触状態での滑り現象においても密着と滑りの2つのモードを繰り返す現象をいう。
そこで上記のような接触不良の際にロールとウェブの境界での作用により発生する振動を測定するため、ロール内部あるいは表面に振動測定手段13を設置する。ここでスティックスリップ現象によって発生する振動は、可聴音よりも高い周波数で数100kHz〜数10MHzとなるために、振動測定手段は数100kHz〜数10MHzで感度を持つことが望ましい。また振動は微弱であるので、感度高く測定ができるように、数100kHz〜数10MHzに共振周波数を持って、最も高い感度を有する測定手段とすることも良い方法である。この振動測定手段は、静電容量型のものや、圧電素子型のものなどどれでも用いることができる。また光ファイバをロール内部もしくは表面に貼り付け、光ファイバ内にレーザーで干渉状態を作っておき、振動による光ファイバの変形でドップラーシフトが発生することを検知する振動測定手段を用いることもできる。
これらの中で、感度やセンサのコストを考えるとチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電素子を用いたセンサを用いると良い。
また振動測定手段とロールとの接触境界は波動の伝わりを良くするために空気を含めずに、エポキシ系の接着剤やシリコングリスなどを塗布しておいたほうが良い。一方で実際にはロールが回転するため、実際にはねじ止めを実施し、ロール回転中に外れない対策を実施しておく方が良い。
上記振動測定手段で得られた信号は、通常微弱な振動であるため、アナログ回路にて増幅させた方が良い。
また接触状態の異常検知や各ロールの温度・速度・表面材質の最適化が目的の場合は、接触状態に異常が発生する可能性のあるロール全てで振動測定を実施することが最良であるが、振動測定手段の個数に制限がある場合は、この限りではない。例えばポリエステルフィルムに熱を与えたり、ポリエステルフィルムから熱を奪ったりして、ロール上でフィルムの熱変形がしやすいと予想されるロールで、接触状態異常が発生しやすいことから、これらのロールのみに振動測定手段を設置しても良い。
次に振動測定手段から得られる振動信号を、信号処理と解析をして接触状態を推定する。まずは全ての振動測定手段から得られる信号を全てコンピュータ上に取り込んでも良いし、アナログ回路である程度信号処理を実施した後に、コンピュータに取り込んでもよい。振動測定手段は回転するロールに設置されているため、適切な信号処理を実施した後に、その結果を無線でコンピュータに送信するのが最も良い。ここで適切な信号処理について説明する。表面状態異常で発生する振動で数百kHz程度なので、それを波形として欠落がないようにサンプリングするためには、サンプリング定理より振動の倍の周波数でサンプリングしなければいけないが、そのような高速なデータを無線で転送するのは現実には難しい。そのため、無線で転送する前に信号処理として、例えば振動信号の包絡線や、異常発生時にパルスを発生させた信号などを無線で転送するほうが処理として現実的である。具体的には、ロールの両端面に設置した両方の振動測定装置から得られる振動信号がどちらもある閾値を超えたときスティックスリップが発生したと推定して、キズ発生を知らせるパルス信号を出すとともに、両方の振動測定装置の振動信号の時間差から幅方向の位置情報を電圧値として出力する2チャンネルの出力をするなど良い方法である。またこのような機能は、接触状態を推定するロールに、振動測定手段13と接触状態推定手段および無線転送手段のセット14をロールの端面に設置することで実施できるが、厚み20mm、大きさも50mm四方以内にすることが望ましい。
また振動測定手段を各ロールに1つだけとした場合、ウェブとロールの接触状態から出る振動から考えると、ロールの駆動に伴う振動などのノイズ成分が無視できないほど大きくなる可能性がある。そのため、振動測定手段を各ロールに2個以上ずつ設置し、定常的にある信号から差動計測するのも良い方法である。具体的には、ロール端面などのロールの中心軸に垂直な断面かつロール表面の同心円上に等間隔で設置しても良い。例えば、ロールと振動測定手段の位置関係の正面図を示した図6のように、ロール9もしくは10もしくは11の表面に対して、中心を同じくする同心円18上に振動測定手段13を等間隔に配置することなどが挙げられる。図6では例として3個の振動測定装置を配置している。そのように設置することで最も大きなノイズとなる、軸受けからの振動およびウェブの張力による全体的な振動を、除去することが可能となる。具体的には、例えば端面にそれぞれ4個の振動測定手段を配置し、それらから得られる全ての信号の平均信号はウェブの張力による全体的な振動と軸受けからの振動を意味する。すなわち、それぞれの振動測定手段から得られる信号から平均信号をそれぞれ差し引くことでノイズを除去できる。
また各ロールに2個以上の振動測定手段を設置した場合、振動が振動測定手段に到達するまでの時間差から振動発生位置を推定することも可能となる。この際に、ロールの中心軸に垂直で2面以上のそれぞれ異なる断面上、例えばロールの両端面などに前記振動測定手段をそれぞれ1個以上設置しても良い。例えば、ロールと振動測定手段の位置関係の正面図および平面図を示した図7のように、ロール9もしくは10もしくは11の中心軸に垂直な複数の断面上に、振動測定手段13を配置することなどが挙げられる。図7では例として3個の振動測定装置を配置している。
もちろん複数の振動測定手段を設置する場合、ロールの中心軸に垂直な断面かつロール表面の同心円上に複数設置するとともに、異なるロールの中心軸に垂直な断面上にも複数設置することで、ノイズ除去をすると同時に発生位置の検出をしても良い。
この場合も、データを無線で転送することを考えると、無線転送前に複数の振動測定手段から得られる信号から時間差を算出するようにアナログ回路で処理しておく方が良い。
接触状態推定手段および無線転送手段のセット14から送信された信号を受信手段で受信し、キズ発生時刻およびキズ発生位置の表示をする装置を設置するのも良い方法である。
また、上記の接触状態推定装置にてウェブとロールの接触状態を推定しながら、キズが発生しないようにロールの温度と回転速度を調整することも良い方法である。ロールの温度はロール内部に循環させる流動性熱媒体の温度を電気加熱することで調整することができる。ここで流動性熱媒体とは水や油などを温度範囲によって選ぶことができる。またロールの回転速度は回転量を計測するロータリーエンコーダーと、予め測定したロール径を用いて表面回転速度を演算し、所望の速度となるようにロールを駆動するモーターの出力を調整してもよい。このように各ロールでの接触状態を推定しながら、それぞれのロールの温度や速度を調整することで、キズのないウェブを製造することが可能となる。
以下に実施例を記載するが、本実施形態はこれに限定されない。まず、本実施形態で使用した物性値の評価方法ならびに効果の評価方法を記載する。
(1)ガラス転移温度Tg、融点Tm
示差走査熱量計として“DSC(RDSC220)(セイコー電子工業(株)製)”、データ解析装置として “ディスクステーション(SSC/5200)(同社製)”を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製受皿上で室温から昇温速度20℃/分で昇温し測定した。得られた吸発熱曲線の、ガラス転移温度を示す曲線の段差が現れる温度をTg、融点を示す融解ピークの温度をTmとした。
(2)ロール温度
ロール表面温度は加熱範囲の表面温度を“放射温度計(IT2−100)(キーエンス社製)”にて、ロール表面に接する面に垂直な方向より、ロール表面から50cmの距離から測定した。
(3)キズの判定
キズの判定としては3波長蛍光灯下にて観察を行い、キズの長さが0.5mm以上のものをNGレベルのキズと判定し、フィルム100cm当たりのNGレベルのキズの数を「キズの個数」とした。
(4)振動測定手段
振動測定は“PZT圧電素子(AE−901S、共振周波数140kHz)(エヌエフ回路ブロック社製)”、増幅器に“増幅器(9916、増幅率40dB)(エヌエフ回路ブロック社製)”を用い、ロール端面の片側のみに4個配置した。4個の測定器の位置関係は、ロールの回転軸を中心とする半径50mmの円周上に等間隔とした。それぞれ4個の振動測定器の直後に増幅器を接続し、信号を増幅した。
(5)接触状態推定手段
4個の振動測定装置から増幅器を通して得られた信号から次のようにしてスティックスリップ現象を解析した。アナログ電子回路にて、4個の振動測定装置からの信号の平均信号と、それぞれの信号から平均信号を差し引いた信号を算出した。ここで4つの信号の平均信号とは前述したように主にロールの回転に伴う振動である。一方、前記平均信号をそれぞれの振動測定装置の信号から差し引いた信号(差分信号と呼ぶ)は、ロールとウェブの接触状態を表す信号となる。これらそれぞれの差分信号に対して、閾値判定を実施し、信号振幅がある閾値を超えた時にパルスを発生させる。次にデジタル回路にて、これらのパルスが3個以上の差分信号から発生した場合は、スティックスリップによる滑りが発生したとして、スティックスリップ発生を意味するパルスを発生させる装置とした。
(6)無線転送装置
解析装置でパルスが発生したものを、“無線式データ収集器(ワイヤレスデータロガー電圧ロガー3671)(日置電機製)”にて送信し、同じく “無線式データ受信器(ワイヤレスデータロガーコミュニケーションベース3913)(日置電機製)”で受信した。
以上の装置構成にて、ガラス転移温度Tgが78℃、融点Tmが255℃、固有粘度が0.62dl/gであるポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットを乾燥した後、押出機に供給し280℃で溶融し、フィルターを通過させた後、Tダイにより吐出させ、表面温度25℃の冷却ドラムに静電印加法で密着固化せしめ、厚み1760μm、幅850mmのキャストフィルムを得た。次に図2に示す縦延伸装置にて加熱し延伸し、低速側の駆動ロール1の速度設定8.65m/分、高速側の駆動ロール10の速度設定24.48m/分として縦方向に2.8倍に延伸し、ついで図1に示す横延伸装置5にて横方向に3.2倍に延伸した。この延伸されたフィルムを見ると、縦延伸低速側のロールピッチにてキズが発生していることがわかった。そこで、全9本のロール全てに4個ずつ振動測定装置を取り付けたところ、ある1本のロールにてスティックスリップが発生していることがわかった。そこで、スティックスリップが発生しているロールを含んで、それ以降の低速側のロール速度を0.2%上げたところ、発生していたキズがなくなり、本発明の装置を使用することでキズがない製膜条件を見出すことができた。
またキズが発生しているロールを特定した後、条件を変更する前に、そのロールに取り付けた4個の振動測定装置のうちの1つの原信号と平均値から前記差分信号を図5にあわせて示す。図5に示したように原信号16でもキズ発生時に信号振幅が若干大きくなっているため、原信号でもキズ発生の検知は可能であることがわかる。一方で、合計4つのセンサからの信号の平均信号を求め、原信号16から平均信号を差し引いた差分信号17では、キズ発生時の振動以外の振動振幅が小さくなっており、よりキズ発生検知が容易になった。
本発明は、2軸延伸ポリエステルフィルムの製造におけるウェブとロール間の接触状態推定装置に限らず、その他の原料と熱可塑性樹脂フィルムやガラスとロール間の接触状態を測定する装置などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
本実施形態にかかるプラスチックフィルムの製造方法の概略図である。 本実施形態にかかるプラスチックフィルムの縦延伸工程の概略図である。 本実施形態にかかる接触状態推定装置の概略正面図である。 本実施形態にかかる接触状態推定装置の概略平面図である。 本発明の実施例における振動測定結果である。 本実施形態にかかる振動測定装置配置の概略正面図である。 本実施形態にかかる振動測定装置配置の概略正面図および平面図である。
符号の説明
1 押出機
2 ダイ
3 冷却ドラム
4 縦延伸装置
5 横延伸装置
6 巻き取り装置
7 ロール
8 フィルム
9 予熱ロール
10 延伸ロール
11 冷却ロール
12 ニップロール
13 振動測定手段
14 接触状態推定手段と無線転送手段のセット
15 ラジエーションヒーター
16 実施例における特定のセンサからの原信号
17 実施例における特定のセンサの差分信号
18 ロールの同心円

Claims (9)

  1. ウェブを搬送するための複数のロールと、該複数のロールの少なくとも一つのロールの表面もしくは内部に設けられた振動測定手段と、該振動測定手段から得られる振動信号を解析する解析手段とを備えたことを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定装置。
  2. 前記振動測定手段は、数100kHz〜数10MHzに共振周波数を持つ音波センサであることを特徴とする請求項1に記載のウェブとロール間の接触状態推定装置。
  3. 前記振動測定手段を有する前記ロールの少なくとも一つについて、前記振動測定手段を2個以上備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のウェブとロール間の接触状態推定装置。
  4. 前記振動測定手段を2個以上備えたロールが、該ロールの中心軸に垂直な断面上かつ前記ロール表面の同心円上に前記2個以上の振動測定手段をそれぞれ等間隔で配置されたものであることを特徴とする請求項3に記載のウェブとロール間の接触状態推定装置。
  5. 前記振動測定手段を2個以上備えたロールが、該ロールの中心軸に垂直で2面以上のそれぞれ異なる断面上に前記振動測定手段をそれぞれ1個以上設置されたものであることを特徴とする請求項3に記載のウェブとロール間の接触状態推定装置。
  6. ウェブとロールの接触によって生じる振動を、前記ロールの表面もしくは内部に設けられた振動測定手段にて測定し、前記振動測定手段から得られる振動信号を解析し、前記ウェブと該ウェブに接する前記ロールとの接触状態を推定することを特徴とするウェブとロール間の接触状態推定方法。
  7. 前記推定方法において、前記ウェブと前記ロールの接触によって生じる振動を、前記複数の振動測定手段にて測定し、前記複数の振動測定手段の信号を平均化演算するとともに、それぞれの振動測定手段の信号から前記平均化演算で得られた信号を差し引く処理をすることを特徴とする請求項6に記載のウェブとロール間の接触状態推定方法。
  8. 前記推定方法において、前記ウェブと前記ロールの接触によって生じる振動を、前記複数の振動測定手段にて測定し、前記複数の振動測定手段からの信号それぞれの時間差を演算することで、振動発生箇所を演算することを特徴とする請求項6に記載のウェブとロール間の接触状態推定方法。
  9. 複数のロールを用いてウェブを搬送するウェブの製造方法において、前記ロール表面もしくは内部に設置した振動測定手段によって前記ロール表面で発生する振動を測定し、測定した振動信号からウェブと該ウェブに接するロールとの接触状態を推定し、推定した接触状態が良好となるように前記ロールの温度と回転速度を調整することを特徴とするフィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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