JP2010151067A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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Kazuo Ichikawa
和男 市川
Hideo Hosoya
英生 細谷
Hironori Nakao
裕典 中尾
Yusuke Koike
祐輔 小池
Tetsuya Tateishi
哲也 立石
Katsuaki Yasutomi
克晶 安富
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Abstract

【課題】エンジンの冷却装置において、シリンダヘッドの気筒の排気ポート周辺の要冷却部における冷却液の部分沸騰を抑制しながら、エンジンの暖機を促進してエンジン燃費を向上させる。
【解決手段】シリンダヘッド12に、排気ポート12b周辺の要冷却部を指向してウォータジャケット14と連通するノズル通路22を形成する。冷却水回路に、メイン回路におけるシリンダヘッド12のウォータジャケット14の冷却水出口とラジエータ15との間から分岐してノズル通路22と連通するサブ通路18を設ける。エンジン暖機中に、ECU23により、メイン回路におけるラジエータ15とエンジン本体部10の冷却水入口との間の冷却水の流通状態が流通停止状態になるように開閉弁20を作動させるとともに、サブ通路18において冷却水の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、第2流通状態になるように電動ポンプ19を作動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジン本体部とラジエータとの間で冷却液を循環させるためのメイン回路を有する冷却液回路を備えているエンジンの冷却装置に関するものである。
従来より一般に、水冷式エンジンの冷却装置においてはクランクシャフトにより機械的にウォータポンプを駆動して、冷却液をシリンダブロックやシリンダヘッドのウォータジャケットに流通させ、さらに、ラジエータとの間で循環させるようにしている。また、そのエンジン本体部とラジエータとの間の冷却液の流路にはサーモスタットが配設されていて、エンジン始動後の冷機時にはラジエータとの間の冷却液の流れを遮断する一方、ラジエータを迂回して冷却液をエンジン本体部に循環させることにより、エンジン本体部の暖機を促進するようになっている。
そのように機械式ポンプとサーモスタットとを組み合わせたものでは、エンジンの運転中はクランクシャフトの回転とともにウォータポンプが作動して特にシリンダヘッド内で冷却液が積極的に流動することから、エンジンの放熱量が多くなって、暖機が遅れることになり、冷機時の燃費の悪化を十分に抑制できないという問題があった。
そこで、機械式ポンプの代わりに電動式のウォータポンプを用いて、エンジンの運転状態に関係なく、ウォータジャケットにおける冷却液の流通状態を変更できるようにすることが提案されている(例えば特許文献1を参照)。この提案のものではエンジン本体部とラジエータとの間に電動ポンプを配設し、エンジン冷機時にはそのポンプを作動させないことによって、ラジエータとの間の冷却液の循環を停止するとともに、ウォータジャケットにおける冷却液の流通自体も停止させるようにしている。
特開2002−161748号公報
しかしながら、上記提案のようにエンジン冷機時にウォータジャケットの冷却液の流れを停止させるようにすると、その結果としてシリンダヘッドの排気ポート周辺において局所的に水温が上昇し、冷却液の部分沸騰が発生する虞れがある。
そして、そのような不具合の発生を防止しようとすれば、冷却液の温度があまり高くならないうちに電動ポンプを作動させて、冷却液を流通させるようにしなくてはならないから、電動ポンプを用いても結局はエンジンの暖機を十分に促進できるものとはいえず、エンジン冷機時の燃費について改善の余地が残るものであった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジン本体部とラジエータとの間で冷却液を循環させるためのメイン回路を有する冷却液回路を備えているエンジンの冷却装置において、シリンダヘッドの気筒の排気ポート周辺の要冷却部における冷却液の部分沸騰を抑制しながら、エンジンの暖機を促進してエンジン燃費を向上させることにある。
第1の発明は、エンジン本体部とラジエータとの間で冷却液を循環させるためのメイン回路を有する冷却液回路を備えているエンジンの冷却装置であって、上記メイン回路は、上記エンジン本体部のシリンダヘッドに形成されたヘッド側ウォータジャケットを有しており、上記ヘッド側ウォータジャケットには、該ヘッド側ウォータジャケットにおいて冷却液が少なくとも気筒列方向に流れるように冷却液の出入口が形成されており、上記冷却液回路は、上記シリンダヘッドに上記気筒の排気ポート周辺の要冷却部を指向して上記ヘッド側ウォータジャケットと連通するように形成された冷却促進通路と、上記メイン回路における上記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液出口と上記ラジエータとの間から分岐して上記冷却促進通路と連通するサブ通路とをさらに有しており、上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間には、上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間の冷却液の流通状態を流通停止状態に変更可能な流通可変手段が配設されており、上記冷却液回路における冷却液の流通状態を変更可能な電動ウォータポンプと、エンジン暖機中に、上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間において冷却液の流通状態が流通停止状態になるように上記流通可変手段を作動させるとともに、上記サブ通路において冷却液の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、該第1流通状態よりも冷却液の流通量が多い第2流通状態になるように上記電動ウォータポンプを作動させる制御手段とをさらに備えていることを特徴とするものである。
これにより、冷却促進通路が気筒の排気ポート周辺の要冷却部を指向しているので、エンジン暖機中に、制御手段により、サブ通路において冷却液の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却液の流通量が多い第2流通状態になるように電動ウォータポンプを作動させると、サブ通路を介して冷却促進通路から流出した冷却液がヘッド側ウォータジャケットの要冷却部に向かって集中的に流入し、この冷却液によって要冷却部が冷却される。このため、要冷却部における冷却液の部分沸騰を抑制することができる。
また、エンジン暖機中に、制御手段により、サブ通路において冷却液の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却液の流通量が多い第2流通状態になるように電動ウォータポンプを作動させる。このようにして、エンジン暖機中に、所定期間、ヘッド側ウォータジャケットにおける冷却液の流通を停止に近い状態にすることにより、エンジンの暖機を促進することができる。
さらに、エンジン暖機中に、制御手段により、メイン回路におけるラジエータとエンジン本体部の冷却液入口との間において冷却液の流通状態が流通停止状態になるように流通可変手段を作動させるので、エンジン暖機中に、エンジン本体部内の冷却液通路におけるヘッド側ウォータジャケットにおいてその冷却液入口から出口への冷却液の新たな流通を停止に近い状態にすることができる。このため、エンジンの暖機をより一層促進することができる。
以上により、シリンダヘッドの気筒の排気ポート周辺の要冷却部における冷却液の部分沸騰を抑制しながら、エンジンの暖機を促進してエンジン燃費を向上させることができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記要冷却部は、上記気筒に並設された2つの排気ポートの間のバルブブリッジ部であることを特徴とするものである。
ところで、気筒に並設された2つの排気ポートの間のバルブブリッジ部は、ヘッド側ウォータジャケットにおける冷却液の気筒列方向の流通だけでは冷却しにくく、このことによって、バルブブリッジ部において冷却液が部分沸騰しやすい。
ここで、本発明によれば、冷却促進通路がバルブブリッジ部を指向しているので、エンジン暖機中に、制御手段により、サブ通路において冷却液の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却液の流通量が多い第2流通状態になるように電動ウォータポンプを作動させると、サブ通路を介して冷却促進通路から流出した冷却液がバルブブリッジ部に向かって集中的に流入し、この冷却液によってバルブブリッジ部が冷却される。このため、バルブブリッジ部における冷却液の部分沸騰を抑制することができる。
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記メイン回路における上記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液出口と上記サブ通路との分岐部との間又は上記サブ通路には、上記エンジン本体部に供給されるオイルを冷却液と熱交換させるオイル熱交換器が配設されていることを特徴とするものである。
これにより、メイン回路におけるヘッド側ウォータジャケットの冷却液出口とサブ通路との分岐部との間又はサブ通路に、エンジン本体部に供給されるオイルを冷却液と熱交換させるオイル熱交換器を配設しているので、エンジン暖機中に、オイル熱交換器においてオイルが比較的高温の冷却液と熱交換することにより、オイルは加熱されてその温度が上昇する。このため、エンジンの機械抵抗を低くすることができ、エンジン燃費をより一層向上させることができる。
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記制御手段は、エンジン暖機完了後は、上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間及び上記サブ通路において冷却液が流通するように上記流通可変手段及び上記電動ウォータポンプを作動させるように構成されていることを特徴とするものである。
これにより、エンジン暖機完了後に、制御手段により、メイン回路におけるラジエータとエンジン本体部の冷却液入口との間及びサブ通路において冷却液が流通するように流通可変手段及び電動ウォータポンプを作動させるので、冷却促進通路を流通した比較的高温の冷却液がヘッド側ウォータジャケットの排気側に流入するとともに、ラジエータを流通した比較的低温の冷却液がヘッド側ウォータジャケットに流入する。このため、エンジン暖機完了後は、ヘッド側ウォータジャケットの吸気側をその排気側に比べて低温の冷却液が流通し、この低温の冷却液によって吸気ポート壁が冷却される。よって、充填効率を向上させることができ、トルクを向上させることができる。
本発明によれば、冷却促進通路が気筒の排気ポート周辺の要冷却部を指向しているので、エンジン暖機中に、制御手段により、サブ通路において冷却液の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却液の流通量が多い第2流通状態になるように電動ウォータポンプを作動させると、サブ通路を介して冷却促進通路から流出した冷却液がヘッド側ウォータジャケットの要冷却部に向かって集中的に流入し、この冷却液によって要冷却部が冷却される。このため、要冷却部における冷却液の部分沸騰を抑制することができる。また、エンジン暖機中に、制御手段により、サブ通路において冷却液の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却液の流通量が多い第2流通状態になるように電動ウォータポンプを作動させる。このようにして、エンジン暖機中に、所定期間、ヘッド側ウォータジャケットにおける冷却液の流通を停止に近い状態にすることにより、エンジンの暖機を促進することができる。さらに、エンジン暖機中に、制御手段により、メイン回路におけるラジエータとエンジン本体部の冷却液入口との間において冷却液の流通状態が流通停止状態になるように流通可変手段を作動させるので、エンジン暖機中に、エンジン本体部内の冷却液通路におけるヘッド側ウォータジャケット以外の部分(例えばシリンダブロックのウォータジャケット)において冷却液の流通を停止に近い状態にすることができる。このため、エンジンの暖機をより一層促進することができる。以上により、シリンダヘッドの気筒の排気ポート周辺の要冷却部における冷却液の部分沸騰を抑制しながら、エンジンの暖機を促進してエンジン燃費を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−エンジン冷却装置の構成−
図1は、本発明の実施形態1に係るエンジン冷却装置Aの構成を模式的に示し、図2は、シリンダヘッドをその上下方向と直角をなす平面に沿って切った断面を示す。このエンジン冷却装置Aは、エンジン(例えば直接噴射式の直列4気筒4バルブエンジン)の本体部10を構成するシリンダブロック11及びシリンダヘッド12にそれぞれ形成されたウォータジャケット13,14と、外気によって冷却水(冷却液)を冷やすために車両の前部等に配設されたラジエータ15と、このラジエータ15及びエンジン本体部10の間で冷却水を循環させるための第1及び第2通路16,17と、ラジエータ15を迂回してシリンダヘッド12のウォータジャケット14との間で冷却水を循環させるためのサブ通路18と、シリンダブロック11のウォータジャケット13やシリンダヘッド12のウォータジャケット14に冷却水を送給するための電動ウォータポンプ(以下、単に電動ポンプという)19と、第2通路17における冷却水の流通状態を変更可能な開閉弁20とを備えている。尚、シリンダブロック11のウォータジャケット13、シリンダヘッド12のウォータジャケット14、並びに第1及び第2通路16,17がメイン回路を、サブ通路18、後述のタンク通路21、後述のノズル通路22、ウォータジャケット14、及び第1通路16がサブ回路を、メイン回路及びサブ回路が冷却水回路(冷却液回路)を構成している。
シリンダブロック11のウォータジャケット13は、4つのシリンダ(図示せず)の外周を囲むようにしてシリンダブロック11の長手方向(シリンダ(気筒)列方向であり、以下、エンジン前後方向ともいう)全体に亘って形成され、その前端部に形成された冷却水入口が第2通路17の下流端部に連通している。
また、シリンダブロック11のウォータジャケット13は、シリンダブロック11のトップデッキに形成された複数の孔部(図示せず)と、シリンダヘッド12のボトムデッキに形成された複数の孔部とを介して、シリンダヘッド12のウォータジャケット14にも連通しており、これにより、上記のようにシリンダブロック11のウォータジャケット13を流れる冷却水は、順次、シリンダヘッド12のウォータジャケット14に流通するようになっている。
シリンダヘッド12のウォータジャケット14(ヘッド側ウォータジャケット)は、各シリンダの吸排気ポート12a,12bやプラグホール12cの外周を包み込むようにしてシリンダヘッド12の長手方向全体に亘って形成されている。ウォータジャケット14における各シリンダに並設された2つの排気ポート12b,12bの間の冷却水の流れは、両排気ポート12b,12bの間隔が狭いため、淀みやすい。
シリンダヘッド12のウォータジャケット14は、ウォータジャケット14において冷却水が少なくともシリンダ列方向に流れるように、その前端部に冷却水入口14aが、その後端部に冷却水出口(図示せず)が形成され、その冷却水出口が第1通路16の上流端部に連通している。これにより、シリンダヘッド12のウォータジャケット14を流通した比較的高温の冷却水は、第1通路16に流出するようになる。
シリンダヘッド12におけるエンジン幅方向の排気側の端部には、各燃焼室(図示せず)の頂壁部のエンジン幅方向外側にタンク通路21が気筒列方向に延びるように形成されている。
シリンダヘッド12には、シリンダの両排気ポート12b,12bの間のバルブブリッジ部12d(要冷却部)を指向するノズル通路22(冷却促進通路)がエンジン幅方向外側から内側に延びるように各シリンダ毎に形成されている。各ノズル通路22の上流端部は、タンク通路21と連通している一方、その下流端部は、シリンダヘッド12のウォータジャケット14と連通している。各バルブブリッジ部12dは、各燃焼室の頂壁部を構成しており、両排気ポート12b,12bの間に位置するため、温度上昇しやすい。
尚、図2中の12eは、シリンダヘッド12の吸気側に形成された、燃料を直接燃焼室に噴射するためのインジェクタ(図示せず)が装着される装着孔である。
また、第1通路16の下流端部はラジエータ15のアッパタンクに接続されており、第1通路16内を流通した比較的高温の冷却水は、ラジエータ15において外気と熱交換して冷却された後に、ラジエータ15のロワタンクに接続されている第2通路17に流出する。
サブ通路18は、第1通路16におけるエンジン本体部10の冷却水出口(シリンダヘッド12のウォータジャケット14の冷却水出口)とラジエータ15との間から分岐している。サブ通路18の下流端部は、タンク通路21の冷却水入口21aに連通している。
電動ポンプ19は、第1通路16におけるエンジン本体部10の冷却水出口とサブ通路18との分岐部との間に配設されていて、例えばインペラの回転によって冷却水を送り出す従来周知の遠心式のものであり、そのインペラのシャフトに接続された電動モータの作動が、制御手段としてのエンジンコントロールユニット23(以下、ECUという)のポンプ制御部23aによって制御されるようになっている。言い換えると、電動ポンプ19は、ECU23のポンプ制御部23aによりその作動状態を制御され、エンジン本体部10との間で冷却水を循環させるための冷却水回路における冷却水の流通状態を変更可能な電動ウォータポンプを構成している。
開閉弁20は、第2通路17(メイン回路におけるラジエータ15とエンジン本体部10の冷却水入口(シリンダブロック11のウォータジャケット13の冷却水入口)との間)に配設されていて、例えば従来周知のものであり、その作動が、ECU23の開閉弁制御部23bによって制御されるようになっている。言い換えると、開閉弁20は、ECU23の開閉弁制御部23bによりその作動状態を制御され、メイン回路におけるラジエータ15とエンジン本体部10の冷却水入口との間の冷却水の流通状態を流通停止状態に変更可能な流通可変手段を構成している。
ECU23は、周知の如くCPUやメモリ、I/Oインターフェース回路、ドライバ回路等を備えて、エンジンの運転制御のために各シリンダ毎の燃料噴射制御や点火時期制御を行うものであるが、これに加えて、この実施形態では、主にエンジンの温度や負荷状態、回転数等に応じて、電動ポンプ19や開閉弁20の作動を制御するようになっている。
すなわち、この実施形態では、ECU23は、少なくとも、エンジンの負荷状態を検出するためのセンサ24(例えば車両のアクセル開度センサやエアフローセンサ等であり、以下、負荷状態センサと呼ぶ)からの信号と、エンジン回転数センサ25からの信号と、例えば第1通路16におけるシリンダヘッド12のウォータジャケット14の冷却水出口近傍に配設された水温センサ26からの信号とを入力して、これによりエンジンの状態を判定し、これに応じて電動ポンプ19や開閉弁20への出力電圧を制御するようになっている。
以上のように構成されたエンジン冷却装置Aにおける冷却水の全体的な流れは、図3に模式的に示すようになる。同図は、開閉弁20が閉じているときの流れを矢印で示し、電動ポンプ19によってサブ通路18に送られた冷却水は、タンク通路21、ノズル通路22を介して、シリンダヘッド12のウォータジャケット14に流入した後に、その排気側をシリンダ列方向に流れ、その後、第1通路16を流通した後に、電動ポンプ19の吸入側に戻される。つまり、開閉弁20が閉じているときには、冷却水は、サブ通路18、タンク通路21、ノズル通路22、ウォータジャケット14、及び第1通路16によって構成されるサブ回路を流通する。このとき、開閉弁20が閉じていることから、ラジエータ15との間では冷却水は流れない。尚、当然ながら、電動ポンプ19が作動しなければ、上記のような冷却水の流れは起きず、対流による流れを除いて冷却水は略停止することになる。
一方、開閉弁20が開いているときには、電動ポンプ19からの冷却水の一部は、図4に矢印で示すように第1及び第2通路16,17を流通した後に、シリンダブロック11及びシリンダヘッド12のウォータジャケット13,14を流通し、その後、第1通路16を流通した後に、電動ポンプ19の吸入側に戻されるようになる。このとき、開閉弁20が開いていることから、ラジエータ15との間で冷却水は流れる。また、電動ポンプ19からの冷却水の残りは、サブ通路18、タンク通路21、及びノズル通路22を流通した後に、シリンダヘッド12のウォータジャケット14に流入し、ウォータジャケット14をシリンダ列方向に流れるラジエータ15からの冷却水と合流する。
−電動ポンプの作動制御−
次に、ECU23のポンプ制御部23aによる電動ポンプ19の作動制御について説明する。この電動ポンプ19への出力電圧の制御は、デューティ比の変更によって出力電圧の大きさを調整する所謂デューティ制御であり、制御デューティ比を0〜100%の範囲で変更することにより、出力電圧を例えば0.5〜12Vくらいの所定範囲内において略リニアに変更して、電動ポンプ19の回転数をきめ細かく且つ高精度に制御することができる。
また、ポンプ制御部23aは、制御デューティ比を予め設定した時間間隔で切り替えて、電動ポンプ19にパルス状に電圧を供給することにより、電動ポンプ19を一定の周期で間欠的に作動させることができるようになっている。そして、そのように電動ポンプ19を作動させるパルス制御モードと、上記のように、電動ポンプ19を連続的に作動させながら、その回転数をエンジンの状態に応じて変更する通常制御モードとに切り替えて、電動ポンプ19の作動状態を制御する。
より具体的に、ポンプ制御部23aは、エンジン暖機中であって、エンジン冷間始動から後述の設定時間t1が経過するまでは、電動ポンプ19を作動しない。
また、上記パルス制御モードは、エンジン暖機中であって、エンジン冷間始動から後述の設定時間t1が経過した後に行われる。パルス制御モードは、電動ポンプ19を相対的に低い頻度で間欠的に作動させる第1パルス制御モードと、サブ通路18における冷却水の流通量が第1パルス制御モードにおいて電動ポンプ19を間欠的に作動させたときの流通量よりも多くなるように電動ポンプ19を相対的に高い頻度で間欠的に作動させる第2パルス制御モードとからなる。より詳細に、電動ポンプ19の第2パルス制御モードでの運転時におけるその間欠的な作動時間及び停止時間は、それぞれ、電動ポンプ19の第1パルス制御モードでの運転時におけるその間欠的な作動時間及び停止時間よりも長くなっており、また、第2パルス制御モードでの運転時におけるその間欠的な作動時の冷却水の流量は、第1パルス制御モードでの運転時におけるその間欠的な作動時の冷却水の流量よりも多くなっている。
第1パルス制御モードにおいて電動ポンプ19を間欠作動させると、エンジン本体部10内のウォータジャケット14における冷却水の流通は平均的には殆ど停止に近い状態になり、暖機が促進されるとともに、シリンダ周辺、特にバルブブリッジ部12d近傍の冷却液の僅かな移動に伴い局所的な温度上昇を抑制して部分沸騰を防止することができる。
一方、第2パルス制御モードでは、上記第1パルス制御モードよりもサブ通路18における冷却水の流量(時間平均的な流通量)が多くなるように電動ポンプ19を相対的に高い頻度で間欠作動させる。この結果、エンジン本体部10内のウォータジャケット14において冷却水は、断続的ではあるがその移動量が増すようになる。
これに対し、上記通常制御モードは、エンジン暖機完了後に行われ、制御マップ(図示せず)に基づいて電動ポンプ19の回転数を制御し、電動ポンプ19を連続的に作動させることにより、サブ通路18及び第2通路17における冷却水の流通量が設定される。

−開閉弁の作動制御−
次に、ECU23の開閉弁制御部23bによる開閉弁20の作動制御について説明する。この開閉弁への出力電圧の制御は、デューティ比の変更によって出力電圧の大きさを調整する所謂デューティ制御であり、制御デューティ比を0〜100%の範囲で変更することにより、開閉弁20の開度をきめ細かく且つ高精度に制御することができる。
また、開閉弁制御部23bは、制御デューティ比を予め設定した時間間隔で切り替えて、開閉弁20にパルス状に電圧を供給することにより、開閉弁20を一定の周期で間欠的に開弁させることができるようになっている。
より具体的に、開閉弁制御部23bは、エンジン暖機中には、開閉弁20を全閉させる全閉制御モードを実行する一方、エンジン暖機完了後には、エンジン回転数や負荷の状況に応じて、例えば第2通路17における冷却水の流通量がサブ通路18における冷却水の流通量よりも少なくなるように開閉弁20を比較的低い頻度で間欠的に開弁させる間欠開閉制御モードや、その状況に応じて、任意の開度で連続的に開弁させる連続開弁制御モードなどを実行する。
−エンジン始動後の制御手順−
以下に、エンジンの始動後にECU23によって行われる電動ポンプ19及び開閉弁20の具体的な制御手順を、図1〜図5を参照して説明する。図5は、冷却水の流通状態の時間変化を示すタイムチャートであり、同図の実線は、サブ通路18(サブ回路)における冷却水の流量の時間変化を、破線は、第2通路17(メイン回路)における冷却水の流量の時間変化を示している。
まず、電動ポンプ19を停止状態とするとともに、開閉弁20を全閉状態とする。これにより、第2通路17及びサブ通路18において、すなわち、冷却水回路において冷却水の流通状態が流通停止状態になる。そして、水温センサ26により検出した始動時のエンジン水温から冷間始動かどうか判定する。
その判定が冷間始動であれば、エンジン始動後に電動ポンプ19の運転を開始するまでの設定時間t1が経過したかどうか判定する。この設定時間t1は、始動時のエンジン水温に対応する適値を予め実験等により決定して、例えばテーブルに設定しておき、このテーブルから読み込むようにすればよい。
設定時間t1が経過していないならば、時間の経過を待つ間、電動ポンプ19を停止状態に維持するとともに、開閉弁20を全閉状態に維持する。これにより、エンジン本体部10内のウォータジャケット13,14における冷却水の流通を停止して、その暖機を最大限に促進することができる。そして、冷間始動から設定時間t1が経過すれば、開閉弁20を全閉状態に維持したまま、電動ポンプ19を第1パルス制御モードで運転する。
すなわち、まず、第1パルス制御モードにおける電動ポンプ19の間欠作動の周期及びその作動時の制御デューティ比をそれぞれ予め設定したテーブルから読み込む。このテーブルは、例えば、エンジン水温に応じて電動ポンプ19の作動周期及びデューティ比の適値をそれぞれ実験等に基づいて決定したものである。
そして、上記作動周期及びデューティ比に対応する制御信号により電動ポンプ19のモータにパルス状に出力電圧を印加して、これを間欠的に作動させる。そうして電動ポンプ19を間欠的に作動させると、サブ通路18において、すなわち、サブ回路において冷却水の流通状態が第1流通状態になる。
各ノズル通路22は各バルブブリッジ部12dを指向しているため、上記のようにして電動ポンプ19を作動させると、サブ通路18及びタンク通路21を介して各ノズル通路22から少量ながら断続的に噴出した冷却水は、シリンダヘッド12のウォータジャケット14の各バルブブリッジ部12dに向かって集中的に流入することになり、この冷却水によって各バルブブリッジ部12dが冷却され、各バルブブリッジ部12dにおける冷却水の部分沸騰が比較的低流量の冷却水で抑制されることになる。
また、上記のようにして電動ポンプ19を作動させると、ウォータジャケット14における冷却水は、電動ポンプ19の連続的な作動時のように入口側から出口側に向かって連続的に移動するのではなく、瞬間的なポンプ作動によって小さく移動した後に直ちに停止することを繰り返すようになる。
言い換えると、上記第1パルス制御モードでは、電動ポンプ19の間欠作動によって、エンジンの各シリンダ周辺、特に各バルブブリッジ部12d近傍の冷却液の僅かな移動に伴い局所的な温度上昇が抑制されて部分沸騰を防止するとともに、冷却水を停止させているときと同じようにエンジンの放熱量が少なくなって、エンジンの暖機が十分に促進されることになる。
さらに、各ノズル通路22を流通した冷却水は、ウォータジャケット14の排気側に流入した後に、ウォータジャケット14の排気側をシリンダ列方向に流れることになり、このことによって、シリンダヘッド14のウォータジャケット14の吸気側において冷却水の流通が殆ど停止に近い状態になり、エンジンの暖機がより一層十分に促進されることになる。
次に、エンジン始動後に設定時間t2が経過したかどうか判定する。この設定時間t2も、エンジン水温に対応する適値を予め実験等により決定して、例えばテーブルに設定しておき、このテーブルから読み込むようにすればよい。
設定時間t2が経過していないならば、時間の経過を待つ間、第1パルス制御モードでの運転を継続する。そして、冷間始動から設定時間t2が経過すれば、開閉弁20を全閉状態に維持したまま、電動ポンプ19を第2パルス制御モードで運転する。すなわち、上記第1パルス制御モードと同様に電動ポンプ19の間欠作動の周期及びそのデューティ比を制御して、電動ポンプ19を間欠的に作動させる。
この第2パルス制御モードでは、サブ通路18において、すなわち、サブ回路において冷却水の流通状態が上記第1流通状態よりも冷却水の流量が多い第2流通状態になる。そして、上述したようにウォータジャケット14において冷却水が少量であっても断続性を保って流れるようになり、ウォータジャケット14の冷却水が入れ替わる。
また、上記のようにして電動ポンプ19を作動させると、各ノズル通路22から噴出した冷却水は、各バルブブリッジ部12dに向かって集中的に流入することになり、各バルブブリッジ部12dにおける冷却水の部分沸騰が比較的低流量の冷却水で抑制されることになる。
さらに、各ノズル通路22を流通した冷却水は、ウォータジャケット14の排気側をシリンダ列方向に流れることになり、このことによって、シリンダヘッド14のウォータジャケット14の吸気側においては冷却水の流通が殆ど停止に近い状態が保たれており、エンジンの暖機が十分に促進されることになる。
その後、水温センサ26による検出値が設定温度を越えれば、暖機完了と判定し、冷機時の制御は終了し、通常制御モードに移行する。この例では、エンジンの状態が低負荷低回転状態の場合を示し、サブ通路18における冷却水の流量が、第2パルス制御モードにおいて電動ポンプ19を間欠的に作動させたときの流量よりも多い流量に維持されるように電動ポンプ19を連続的に運転するとともに、第2通路17における冷却水の流量(時間平均的な流通量)がサブ通路18における冷却水の流量よりも少なくなるように開閉弁20を比較的低い頻度で間欠的に開弁させる。
そのようにして電動ポンプ19を連続運転するとともに、開閉弁20を間欠開閉状態、又は連続開弁状態にすると、エンジンの運転状態に拘わらず、各ノズル通路22を流通した比較的高温の冷却水は、ウォータジャケット14の排気側に流入するとともに、ラジエータ15を流通した比較的低温の冷却水は、ウォータジャケット14の流入するようになり、これらのことによって、ウォータジャケット14の吸気側をその排気側に比べて低温の冷却水が流通し、この低温の冷却水によって吸気ポート12a壁が冷却されることになる。これにより、充填効率が向上して、トルクが向上することになる。
また、上記のようにして電動ポンプ19を作動させると、各ノズル通路22から噴出した冷却水は、各バルブブリッジ部12dに向かって集中的に流入することになり、各バルブブリッジ部12dにおける冷却水の部分沸騰が比較的低流量の冷却水で抑制されることになる。
さらに、上記のようにして各バルブブリッジ部12dが冷却されると、エンジンの負荷状態が高負荷状態のときに、点火時期が進角して、トルクがより一層向上することになる。
さらにまた、上述したように電動ポンプ19及び開閉弁20を作動させると、各ノズル通路22を流通した比較的高温の冷却水は、シリンダヘッド14のウォータジャケット14に比較的多量に流入して、ウォータジャケット14の冷却水温度は、比較的高温(例えば約120℃)に維持されることになり、エンジン燃費が向上されることになる。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、ノズル通路22がシリンダの排気ポート12b周辺の要冷却部を指向しているので、エンジン暖機中に、ECU23により、サブ通路18において冷却水の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却水の流通量が多い第2流通状態になるように電動ポンプ19を作動させると、サブ通路18を介してノズル通路22から流出した冷却水がシリンダヘッド12のウォータジャケット14の要冷却部に向かって集中的に流入し、この冷却水によって要冷却部が冷却される。このため、要冷却部における冷却水の部分沸騰を抑制することができる。
また、エンジン暖機中に、ECU23により、サブ通路18において冷却水の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却水の流通量が多い第2流通状態になるように電動ポンプ19を作動させる。このようにして、エンジン暖機中に、所定期間、シリンダヘッド12のウォータジャケット14における冷却水の流通を停止に近い状態にすることにより、エンジンの暖機を促進することができる。
さらに、エンジン暖機中に、ECU23により、メイン回路におけるラジエータ15とエンジン本体部10の冷却水入口との間の冷却水の流通状態が流通停止状態になるように開閉弁20を作動させるので、エンジン暖機中に、エンジン本体部10内の冷却水通路におけるシリンダヘッド12のウォータジャケット14においてその冷却水入口14aから出口への冷却水の新たな流通の流通を停止に近い状態にすることができる。このため、エンジンの暖機をより一層促進することができる。
以上により、シリンダヘッド12のシリンダの排気ポート12b周辺の要冷却部における冷却水の部分沸騰を抑制しながら、エンジンの暖機を促進してエンジン燃費を向上させることができる。
ところで、シリンダに並設された2つの排気ポート12b,12bの間のバルブブリッジ部12dは、シリンダヘッド12のウォータジャケット14における冷却水のシリンダ列方向の流通だけでは冷却しにくく、このことによって、バルブブリッジ部12dにおいて冷却水が部分沸騰しやすい。
ここで、本実施形態によれば、ノズル通路22がバルブブリッジ部12dを指向しているので、エンジン暖機中に、ECU23により、サブ通路18において冷却水の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、この第1流通状態よりも冷却水の流通量が多い第2流通状態になるように電動ポンプ19を作動させると、ノズル通路22から流出した冷却水がバルブブリッジ部12dに向かって集中的に流入し、この冷却水によってバルブブリッジ部12dが冷却される。このため、バルブブリッジ部12dにおける冷却水の部分沸騰を抑制することができる。
また、エンジン暖機完了後に、ECU23により、メイン回路におけるラジエータ15とエンジン本体部10の冷却水入口との間及びサブ通路18において冷却水が流通するように電動ポンプ19及び開閉弁20を作動させるので、ノズル通路22を流通した比較的高温の冷却水がシリンダヘッド12のウォータジャケット14の排気側に流入するとともに、ラジエータ15を流通した比較的低温の冷却水がシリンダヘッド12のウォータジャケット14に流入する。このため、エンジン暖機完了後は、シリンダヘッド12のウォータジャケット14の吸気側をその排気側に比べて低温の冷却水が流通し、この低温の冷却液によって吸気ポート12a壁が冷却される。よって、充填効率を向上させることができ、トルクを向上させることができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図6に示すように、第1通路16におけるエンジン本体部10の冷却水出口(シリンダヘッド12のウォータジャケット14の冷却水出口)とサブ通路18との分岐部との間(より詳細に、第1通路16におけるエンジン本体部10の冷却水出口と電動ポンプ19との間)に、エンジン本体部10に供給されるエンジン潤滑用のオイルを第1通路16を流通する冷却水と熱交換させるオイルクーラ27(オイル熱交換器)を配設しているものである。その他の点に関しては、実施形態1とほぼ同様の構成である。
尚、エンジン暖機中及びエンジン暖機完了後にECU23によって行われる電動ポンプ19及び開閉弁20の制御手順は、実施形態1とほぼ同様の制御手順である。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、メイン回路におけるシリンダヘッド12のウォータジャケット14の冷却水出口とサブ通路18との分岐部との間に、エンジン本体部10に供給されるオイルを冷却水と熱交換させるオイルクーラ27を配設しているので、エンジン暖機中に、オイルクーラ27においてオイルが限られた範囲でのみ循環する比較的高温の冷却水と熱交換することにより、オイルの昇温が早められる。このため、エンジンの機械抵抗を早めに低くすることができ、エンジン燃費をより一層向上させることができる。
尚、本実施形態では、オイルクーラ27を第1通路16におけるエンジン本体部10の冷却水出口とサブ通路18との分岐部との間に配設しているが、サブ通路16に配設してもよい。
(実施形態3)
本実施形態は、図7に示すように、第1通路16にオイルクーラ27を迂回するバイパス通路28を配設しているとともに、第1通路16におけるオイルクーラ27とバイパス通路28との合流部との間に、冷却水の流通を遮断可能な遮断弁29を配設しているものである。
遮断弁29は、例えば従来周知のソレノイド式の開閉弁であり、その作動が、ECU23の遮断弁制御部23cによって制御されるようになっている。
次に、遮断弁制御部23cによる遮断弁29の作動制御について説明する。遮断弁制御部23cは、エンジン暖機中や、エンジン暖機完了後であって、エンジンの負荷状態が低負荷状態のときには、遮断弁29を全開させる一方、例えば、エンジン暖機完了後であって、エンジンの負荷状態が低負荷状態から全負荷状態を含む高負荷状態になったときには、遮断弁29を全閉させる。
その他の点に関しては、実施形態2とほぼ同様の構成である。
以下に、エンジン暖機完了後にECU23によって行われる電動ポンプ19、開閉弁20、及び遮断弁29の具体的な制御手順を、図8を参照して説明する。尚、エンジン暖機中や、エンジン暖機完了後であって、エンジンの負荷状態が低負荷状態のときにECU23によって行われる電動ポンプ19及び開閉弁20の制御手順は、実施形態1とほぼ同様の制御手順である。
エンジン暖機完了後に、エンジンの負荷状態が低負荷状態から高負荷状態になれば、電動ポンプ19の通常制御モードでの運転を継続したまま、低負荷状態のときよりも第2通路17における冷却水の流量が多くなるように開閉弁20を連続開弁状態になるように制御するとともに、遮断弁29を全閉させる。これにより、冷却水は、オイルクーラ27を流通するのではなく、オイルクーラ27を迂回してバイパス通路28を流通するようになる。このため、ラジエータ15からの低温の冷却水の流量が多くなることによって、冷却水温度が全体として低下するが、冷却水は、オイルクーラ27を流通しないので、オイルの温度を不用意に低下させることなく高温に維持することができる。尚、遮断弁29は、バイパス通路28の下流側合流部に第1通路16との切換えを行う切換弁として設けてもよい。
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、エンジンを直列4気筒エンジンで構成しているが、これに限らず、例えば、単気筒エンジンで構成してもよく、直列4気筒エンジン以外の直列複数気筒エンジンで構成してもよい。
また、上記各実施形態では、バルブブリッジ部12dが要冷却部を構成しているが、冷却を要する排気ポート12b周辺の部分である限り、要冷却部はこれに限らない。
さらに、上記各実施形態では、開閉弁20がメイン回路におけるラジエータ15とエンジン本体部10の冷却水入口との間の冷却水の流通状態を流通停止状態に変更可能な流通可変手段を構成しているが、これに限らず、例えば、電動ウォータポンプや電子制御式のサーモスタットが流通可変手段を構成してもよい。図9に示すように、電動ウォータポンプ30が流通可変手段を構成する場合、電動ポンプ19をサブ通路18に配設し、サブ通路18における冷却水の流量と第2通路17における冷却水の流量とをそれぞれ制御するようにしてもよい。尚、図9では、ECU23の図示を省略している。
さらにまた、上記各実施形態では、暖機完了後は、低負荷低回転状態において、第2通路17における冷却水の流量が開閉弁20の間欠開閉制御によりサブ通路18における冷却水の流量よりも少なくなるようにしているが、開閉弁20を小開度で連続開弁制御してもよい。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明にかかるエンジンの冷却装置は、シリンダヘッドの気筒の排気ポート周辺の要冷却部における冷却液の部分沸騰を抑制しながら、エンジンの暖機を促進してエンジン燃費を向上させることが必要な用途等に適用できる。
本発明の実施形態1に係るエンジン冷却装置の概略構成を示す模式図である。 実施形態1に係るシリンダヘッドをその上下方向と直角をなす平面に沿って切った断面図である。 実施形態1における開閉弁が閉じているときの冷却水の流れを示す模式図である。 実施形態1における開閉弁が開いているときの冷却水の流れを示す模式図である。 実施形態1における冷却水の流通状態の時間変化を示すタイムチャートである。 実施形態2に係るエンジン冷却装置の図1相当図である。 実施形態3に係るエンジン冷却装置の図1相当図である。 実施形態3における暖機完了後且つ低負荷状態のときの冷却水の流れを示す模式図である。 その他の実施形態に係るエンジン冷却装置の図1相当図である。
符号の説明
10 エンジン本体部
11 シリンダブロック
12 シリンダヘッド
12b 排気ポート
12d バルブブリッジ部
13 ウォータジャケット(メイン回路)
14 ウォータジャケット(ヘッド側ウォータジャケット、メイン回路)
15 ラジエータ
16 第1通路(メイン回路)
17 第2通路(メイン回路)
18 サブ通路(冷却液回路)
19 電動ウォータポンプ
20 開閉弁(流通可変手段)
22 ノズル通路(冷却促進通路、冷却液回路)
23 ECU(制御手段)
27 オイルクーラ(オイル熱交換器)
30 電動ウォータポンプ(流通可変手段)

Claims (4)

  1. エンジン本体部とラジエータとの間で冷却液を循環させるためのメイン回路を有する冷却液回路を備えているエンジンの冷却装置であって、
    上記メイン回路は、上記エンジン本体部のシリンダヘッドに形成されたヘッド側ウォータジャケットを有しており、
    上記ヘッド側ウォータジャケットには、該ヘッド側ウォータジャケットにおいて冷却液が少なくとも気筒列方向に流れるように冷却液の出入口が形成されており、
    上記冷却液回路は、上記シリンダヘッドに上記気筒の排気ポート周辺の要冷却部を指向して上記ヘッド側ウォータジャケットと連通するように形成された冷却促進通路と、上記メイン回路における上記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液出口と上記ラジエータとの間から分岐して上記冷却促進通路と連通するサブ通路とをさらに有しており、
    上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間には、上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間の冷却液の流通状態を流通停止状態に変更可能な流通可変手段が配設されており、
    上記冷却液回路における冷却液の流通状態を変更可能な電動ウォータポンプと、
    エンジン暖機中に、上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間において冷却液の流通状態が流通停止状態になるように上記流通可変手段を作動させるとともに、上記サブ通路において冷却液の流通状態が、順次、流通停止状態、第1流通状態、該第1流通状態よりも冷却液の流通量が多い第2流通状態になるように上記電動ウォータポンプを作動させる制御手段とをさらに備えていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの冷却装置において、
    上記要冷却部は、上記気筒に並設された2つの排気ポートの間のバルブブリッジ部であることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  3. 請求項1又は2記載のエンジンの冷却装置において、
    上記メイン回路における上記ヘッド側ウォータジャケットの冷却液出口と上記サブ通路との分岐部との間又は上記サブ通路には、上記エンジン本体部に供給されるオイルを冷却液と熱交換させるオイル熱交換器が配設されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの冷却装置において、
    上記制御手段は、エンジン暖機完了後は、上記メイン回路における上記ラジエータと上記エンジン本体部の冷却液入口との間及び上記サブ通路において冷却液が流通するように上記流通可変手段及び上記電動ウォータポンプを作動させるように構成されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
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