JP2010149696A - 車両の動力制御装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の動力制御装置は、運転者が要求する車両出力を実現する無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルク、無段階変速機3の変速比を基に、無段階変速機3の入力軸の入力回転数及び入力トルクを算出し、算出した無段階変速機の入力軸の入力回転数及び入力トルクを基に、エンジンの出力回転数及び出力トルクを演算する無段階変速機入力演算部22及びエンジン出力演算部23、並びに無段階変速機3の変速比を演算上で変化させていったときのそのエンジン1の出力回転数と出力トルクとの関係を示す特性線とエンジン1の出力回転数と出力トルクとの関係で得られる最良燃費線との交点をエンジンの最適運転点として選定し、最適運転点を選定したときに演算上で用いた無段階変速機の変速比を選定する運転点選定部24及び変速比選定部25を備える。
【選択図】図1
Description
しかし、特許文献1の技術は有段のATに適用した技術である。そのため、特許文献1の技術を、無段階変速機を搭載する車両にそのまま適用することはできない。よって、特許文献1の技術では、無段階変速機を搭載する車両について最適燃費を得ることができない。
本発明の課題は、無段階変速機を搭載する車両でも最適燃費を得ることができるようにエンジン出力及び変速比を制御することである。
これにより、無段階変速機を搭載する車両でも最適燃費を得るエンジン出力及び変速比を制御することができる。
(構成)
本実施形態は、本発明を適用した車両である。
図1は、本実施形態の車両の構成を示す。図1に示すように、車両は、駆動系として、エンジン1、トルクコンバータ2、無段階変速機(CVT,ContinuouslyVariable Transmission)3、動力伝達装置4及び駆動輪5を有する。すなわち、車両は、エンジン1の出力を、トルクコンバータ2、無段階変速機3、動力伝達装置4を介して駆動輪5に伝達する。
また、車両は、駆動力制御装置として、運転操作検出部11、無段階変速機出力回転数検出部12及び演算部となるECU(Electronic ControlUnit)20を有する。ECU20は、目標駆動トルク算出部21、無段階変速機入力演算部22、エンジン出力演算部23、運転点選定部24、変速比選定部25、エンジン制御部26及び変速比制御部27を有する。運転操作検出部11等のこれら構成については後で詳述する。
オイルポンプ35は、エンジン出力軸34により駆動される油圧供給源としてのメカポンプである。オイルポンプ35は、CVT油圧ユニット50にポンプ吐出油を供給する。CVT油圧ユニット50は、クラッチアクチュエータ51によりフォワードクラッチ38の締結状態を制御する。具体的には、CVT油圧ユニット50は、ECU20からのフォワードクラッチ38の締結開始指令を受けて、その締結状態を制御する。
無段階変速機3は、変速機入力軸39に設置したプライマリプーリ3a、変速機出力軸42に設置したセカンダリプーリ3b、及びプライマリプーリ3aとセカンダリプーリ3bとの間に掛け渡したVベルト3cを有する。CVT油圧ユニット50は、ベルト接触径を決めるプライマリプーリ圧とセカンダリプーリ圧(=ライン圧)とをプライマリプーリ3a及びセカンダリプーリ3bに供給する。
なお、変速機出力軸42には出力ギヤ45を備える。変速機出力軸42は、出力ギヤ45に噛み合うドライブギヤ46を介してディファレンシャル47に回転駆動力を伝達する。ディファレンシャル47は、右ドライブシャフト48を介して右駆動輪(例えば右前輪)5Rに回転駆動力を伝達する。また、ディファレンシャル47は、左ドライブシャフト49を介して左駆動輪(例えば左前輪)5Lに回転駆動力を伝達する。
図3は、車両の駆動系の出力特性を示す。図3の特性図は、横軸に回転数N(rpm)をとり、横軸にトルクT(Nm)をとる。図3に示すPSは、無段階変速機3のセカンダリプーリ3bの出力PSであり、前記図2の構成では具体的には変速機出力軸42の出力となる。また、図3に示すPPは、無段階変速機3のプライマリプーリ3aの出力(入力)であり、前記図2の構成では変速機入力軸39の出力(入力)となる。また、図3に示すPEは、エンジン1の出力であり、前記図2の構成ではエンジン出力軸34の出力となる。また、図3には、エンジン1の最良燃費線であるα線を示す。
このような車両の駆動系の出力特性において、セカンダリプーリ3bの出力(セカンダリ出力)PSは、運転者の要求する出力(NS・TS)に相当する。実際には、駆動輪5の出力が運転者の要求する出力となる。これに対して、本実施形態では、動力伝達装置4等におけるディファレンシャル47等の伝達部分の伝達効率を考慮した上で、セカンダリプーリ3bの出力(セカンダリ出力)PSを運転者の要求する出力として扱う。
そして、セカンダ出力PSとプライマリ出力PPとの間には、セカンダリプーリ3bとプライマリプーリ3aとの間の駆動力伝達のVベルト3c等を介して行うための効率、損失等が存在する。また、プライマリ出力PPとエンジン出力PEとの間には、無段階変速機3とエンジン1との間の駆動力伝達をトルクコンバータ2等を介して行うための効率、損失等が存在する。
本実施形態では、そのような駆動系での効率、損失等を適切に考慮し、運転者の要求する出力となるセカンダリプーリ3bの出力(セカンダリ出力)PSを実現しつつも、エンジン1の運転点であるエンジン出力PEがα線上に存在することを実現するものである。
以下に、その実現するための構成を説明する。
図4〜図6は、トルクコンバータの一般的な特性図を示す。図4は、速度比eと容量係数cとの関係を示す。図5は、速度比eとトルク比tとの関係を示す。図6は、速度比eと伝達効率ηTとの関係を示す。
ここで、
NE:エンジン回転数
NP:プライマリ回転数(プライマリプーリの回転数)
NS:セカンダリ回転数(セカンダリプーリの回転数)
TE:エンジントルク
TP:プライマリトルク(プライマリプーリのトルク)
TS:セカンダリトルク(セカンダリプーリのトルク)
と定義した場合、速度比eを下記(1)式により得ることができる。容量係数c(e)を下記(2)式により得ることができる。トルク比t(e)を下記(3)式により得ることができる。伝達効率ηTを下記(4)式により得ることができる。
c(e)=TE/NE 2 ・・・(2)
t(e)=TP/TE ・・・(3)
ηT=t・e ・・・(4)
例えば、速度比eは、トルクコンバータの出力を入力で割った値となる。また、前記(4)式を展開して、伝達効率ηTを下記(5)式として得ることができる。
ηT=t・e
=(TP/TE)・(NP/NE)
=PP/PE ・・・(5)
ここで、PPはプライマリ出力(プライマリパワー)である。PEはエンジン出力(エンジンパワー)である。すなわち、伝達効率ηTは出力効率(パワー効率)となる。
(プライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn))の演算)
先ず、セカンダリの回転数及びトルク(NS,TS)及び変速比ρnに基づく、プライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn)の演算について説明する。ここで、変速比ρn(n=0〜N)は任意の変速比(仮定値)である。
先ず、下記(6)式によりセカンダリ回転数NSを得る。また、下記(7)式によりセカンダリトルクTSを得る。
NS=NP(ρn)/ρn ・・・(6)
TS=TP(ρn)・ρn・ηCVT(NP(ρn),TP(ρn) ・・・(7)
ここで、前述のようにセカンダリの回転数及びトルク(NS,TS)を基にプライマリの回転数(NP(ρn),TP(ρn))を得ている。このことから、実質的には、セカンダリの回転数及びトルク(NS,TS)を基にCVT伝達効率ηCVTを得ていることになる。
続いて、前記(6)式を変形して、下記(8)式によりプライマリ回転数NP(ρn)を得る。また、前記(7)式を変形して、下記(9)式によりプライマリトルクTP(ρn)を得る。
NP(ρn)=ρn・NS ・・・(8)
TP(ρn)=(TS/ρn)・(1/ηCVT(NP(ρn),TP(ρn)) ・・・(9)
T’P(ρn)=TS/ρn ・・・(10)
TP(ρn)=T’P(ρn)・(1/ηCVT(NP(ρn),T’P(ρn)) ・・・(11)
以上のような手順で、セカンダリの回転数及びトルク(NS,TS)及び変速比ρnを基に、プライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn)を算出できる(前記(8)式、(11)式)。
(エンジンの回転数及びトルク(NEρ(ρn),TEρ(ρn))の演算)
続いて、プライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn)に基づく、エンジンの回転数及びトルク(NEρ(ρn),TEρ(ρn)の演算について説明する。ここで、NEρ(ρn)の表記は、変速比ρnにおけるエンジン回転数を意味する。TEρ(ρn)の表記は、変速比ρnにおけるエンジントルクを意味する。
TE=c(e)・NE 2 ・・・(12)
TE=TP/t(e) ・・・(13)
TP=t(e)・c(e)・NE 2・・・(14)
ここで、速度比eが前記(1)式により得られるから、(14)式は下記(15)式のようになる。
TP=t(NP/NE)・c(NP/NE)・NE 2・・・(15)
この(15)式によれば、プライマリトルクTPは、プライマリ回転数NPとエンジン回転数NEの関数になることがわかる(TP=f(NP,NE))。よって、この(15)式を基に、プライマリ回転数及びエンジン回転数(NP,NE)からプライマリトルクTPを得るためのマップを作成する。
そして、前記(8)式及び(11)式から得られるプライマリ回転数NP(ρn)及びプライマリトルクTP(ρn)を基に、図10に例示するマップを参照し、エンジン回転数NEρ(ρn)を得る。
TEρ(ρn)=TP(ρn)/t(e)
=TP(ρn)/t(NP(ρn)/NEρ(ρn)) ・・・(16)
ここで、プライマリトルクTP(ρn)は、前記(11)式により得られる値である。
以上のような手順で、プライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn)を基に、変速比ρnにおけるエンジンの回転数及びトルク、すなわち変速比ρnにおけるエンジンの運転点(NEρ(ρn),TEρ(ρn))を算出できる。
また、前述のように、セカンダリの回転数及びトルク(NS,TS)及び変速比ρnを基に、プライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn)を算出できる。よって、セカンダリの回転数及びトルク(NS,TS)及び変速比ρnを基に、変速比ρnにおけるエンジンの運転点(NEρ(ρn),TEρ(ρn)を算出できる。
続いて、変速比ρnを変数としたエンジン回転数NEρ(ρn)とエンジントルクTEρ(ρn)との関係を示すマップ(エンジン運転点マップ)の作成について説明する。具体的には、変速比ρn(n=0〜N、Nは整数)を任意に変化させてマップを作成する。図11は、これにより作成した(NEρ(ρn),TEρ(ρn))−ρnマップの例を示す。
さらに、変速比ρnとエンジン回転数NEρ(ρn)との関係を示すマップ(変速比マップ又はエンジン回転数マップ)を作成する。具体的には、変速比ρn(n=0〜N、Nは整数)を任意に変化させてマップを作成する。図12は、これにより作成したNEρ(ρn)−ρnマップの例を示す。図12に例示するマップによれば、エンジン回転数NEρ(ρn)がわかれば、そのときの変速比ρnがわかる。
続いて、エンジン運転点マップ((NEρ(ρn),TEρ(ρn))−ρnマップ)とα線マップ(NEα−TEα)との交点を求める処理について説明する。具体的には、エンジン運転点マップにおいて、隣接する任意の運転点n(NEρ(ρn),TEρ(ρn))と運転点n+1(NEρ(ρn+1),TEρ(ρn+1))とを選定する。又は、隣接する任意の運転点n(NEρ(ρn),TEρ(ρn))と運転点n−1(NEρ(ρn−1),TEρ(ρn−1))とを選定する。
そして、選定したエンジン運転点マップの運転点n,n+1(又はn−1)同士を結んだ線と、選定したエンジンの最良燃費線の運転点m,m+1(又はm−1)同士を結んだ線とが交わり、かつその交点がそれら運転点同士の間にある場合に、その交点を実際のエンジンの運転点(NE,TE)として決定する。
続いて、CVT変速比(目標CVT変速比)ρCVTを得る処理を説明する。ここでは、前述のようにして求めた実際のエンジンの運転点(エンジン最適運転点)のエンジン回転数NEに基づいて、変速比マップ(NEρ(ρn)−ρnマップ)を参照し、CVT変速比ρCVTを得る。
以上のようにして、実際のエンジンの運転点(NE,TE)及びCVT変速比ρCVTを得ることができる。これにより、これら値を目標値としてエンジン1及び無段階変速機3を制御することで、所望の出力PS(NS,TS)を得ることができるようになる。
前記処理を実現する具体的な構成は次のようになる。
図14及び図15は、前述の処理を実現するための具体的な構成を示す。図14は、前述のプライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn))の演算処理から各種マップの作成処理までを実現する構成を示す。図15は、前述のα線を通るエンジン運転点を求める処理からCVT変速比ρCVTを求める処理までを実現する構成を示す。
先ず、図14に示すように、前述のプライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn))の演算処理を次のように行う。
この処理では、無段階変速機出力回転数(セカンダリ回転数)NS及び目標駆動トルク(セカンダリトルク)TSを入力値としている。すなわち、運転者の要求出力PS(NS,TS)を入力値としている。
また、目標駆動トルクTSを(1/ρn)乗算器102に入力させる。これにより、目標駆動トルクTsに(1/ρn)を乗算したTP’(ρn)を算出する(前記(10)式)。そして、算出したそれらTP’(ρn)及びプライマリ回転数NP(ρn)を基に、(NP(ρn),TP(ρn))−ηCVTマップ103(前記図7)を参照し、CVT伝達効率ηCVTを得る。
そして、そのようにして得たCVT伝達効率ηCVTを1/K変換器104で逆数変換する。さらに、逆数変換した値(1/ηCVT)とTP’(ρn)とを乗算器105で乗算する。これにより、プライマリトルクTP(ρn)を算出する(前記(11)式)。
続いて、前述のエンジンの回転数及びトルク(NEρ(ρn),TEρ(ρn))の演算処理を次のように行う。
先ず、先に算出したプライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn))を基に、(NP(ρn),TP(ρn))−NEマップ106(前記図10)を参照し、エンジン回転数NEρ(ρn)を得る。
例えば、前記図1の構成では、エンジン出力演算部23が、エンジンの回転数及びトルク(NEρ(ρn),TEρ(ρn))の演算処理のための構成を実現する。
先ず、プライマリ回転数NPK(n)を1/K変換器112で逆数変換する。ここで、プライマリ回転数NPK(n)を任意に変化する値(仮定値)とする。例えば、NPK(n)をNPK(0)〜NPK(N)として与え、NPK(0)=500(rpm)〜NPK(N)=7000(rpm)で離散的に変化させる。
そして、逆数変換した値(1/NPK(n))と無段階変速機出力回転数NSとを乗算器113で乗算する。これにより、変速比ρnを得る。例えば、NPK(0)=500(rpm)〜NPK(N)=7000(rpm)で変化させた場合、変速比ρn(n=0〜N)は、そのプライマリ回転数NPK(n=0〜N)の変化に応じた値(仮定値)になる。
例えば、前記図1の構成では、運転点選定部24が、エンジン運転点マップの作成処理のための構成を実現する。また、変速比選定部25が、変速比マップの作成処理のための構成を実現する。
先ず、エンジン回転数NE(n)(NE(ρn))を基に、先に得たエンジン運転点マップ114を参照し、エンジントルクTEρ(n)(TEρ(ρn))を得る。そして、取得したエンジントルクTEρ(n)をZ−1部122、比較器125及びエンジン運転点演算部128に出力する。Z−1部(記憶部、レジスタ等)122では、前回処理時に得たエンジントルクTEρ(n−1)を、今回の処理で得たエンジントルクTEρ(n)と同じタイミングで、比較器126及びエンジン運転点演算部128に出力する。
また、エンジン回転数NE(n)(NE(ρn))を基に、α線マップ121(前記図13)を参照し、最良燃費線のエンジントルクTEα(n)(TEα(ρn))を得る。そして、取得したエンジントルクTEα(n)をZ−1部123、比較器125及びエンジン運転点演算部128に出力する。Z−1部(記憶部、レジスタ等)123では、前回処理時に得たエンジントルクTEα(n−1)を、今回の処理で得たエンジントルクTEα(n)と同じタイミングで、比較器126及びエンジン運転点演算部128に出力する。
エンジン運転点演算部128では、入力された値を基に、今回処理で得たエンジン運転点(NE(n),TEρ(n))と前回処理で得たエンジン運転点(NE(n−1),TEρ(n−1))とを通る直線式を得る。具体的には、直線式を下記(17)式として得る。また、エンジン運転点演算部128では、入力された値を基に、今回処理で得たエンジン運転点(NE(n),TEα(n))と前回処理で得たエンジン運転点(NE(n−1),TEα(n−1))とを通る直線式を得る。具体的には、直線式を下記(18)式として得る。
一方、比較器125では、今回処理で得た値(今回値)について、エンジン運転点マップ114から得たエンジントルクTEρ(n)がα線マップから得たエンジントルクTEα(n)以下か否を判定する。また、比較器126では、前回処理で得た値(前回値)について、エンジン運転点マップ114から得たエンジントルクTEρ(n−1)がα線マップから得たエンジントルクTEα(n−1)よりも大きいか否を判定する。AND回路127にそれら判定結果(“1”又は“0”)を入力する。
AND回路127は、今回値について、エンジントルクTEρ(n)がエンジントルクTEα(n)以下であり(TEρ(n)≦TEα(n))、かつ前回値について、エンジントルクTEρ(n−1)がエンジントルクTEα(n−1)よりも大きい場合(TEρ(n−1)>TEα(n−1))、真(“1”)をラッチ部129に出力する。AND回路127は、そうでなければ、偽(“0”)をラッチ部129に出力する。
例えば、前記図1の構成では、運転点選定部24が、以上のようなエンジン運転点を求める処理のための構成を実現する。
続いて、前述のα線を通るCVT変速比ρCVTを求める処理として次のような処理を行う。
前述のα線を通るエンジン運転点を求める処理で得たエンジン回転数NE(n)を基に、NEρ(ρn)−ρnマップ130(前記図12)を参照し、CVT変速比(目標CVT変速比)ρCVTを得る。
そして、以上のようにして得たエンジン最適運転点(NE,TE)及びCVT変速比ρCVTを目標値としてエンジン1及び無段階変速機3の変速比を制御して、所望の出力PS(NS,TS)を得る。
例えば、前記図1の構成では、エンジン制御部26が、エンジン最適運転点(NE,TE)を目標値としてエンジン1を制御する。また、変速比制御部27が、CVT変速比ρCVTを目標値として無段階変速機3の変速比を制御する。
運転操作検出部11は、運転者の加減速操作を検出する。具体的には、運転操作検出部11は、アクセル開度を検出する。運転操作検出部11は、検出した加減速操作(アクセル開度)を目標駆動トルク算出部21に出力する。目標駆動トルク算出部21は、検出した加減速操作(アクセル開度)を基に目標駆動トルクとしてセカンダリトルクTSを算出する。目標駆動トルク算出部21は、算出したセカンダリトルクTSを無段階変速機入力演算部22に出力する。一方、無段階変速機出力回転数検出部12は、無段階変速機の出力回転数としてセカンダリ回転数NSを検出する。無段階変速機出力回転数検出部12は、検出したセカンダリ回転数NSを無段階変速機入力演算部22に出力する。
無段階変速機入力演算部22は、セカンダリの回転数及びトルク(NS,TS)を基に、プライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn))を算出する。無段階変速機入力演算部22は、算出したプライマリの回転数及びトルク(NP(ρn),TP(ρn))をエンジン出力演算部23に出力する。
運転点選定部24は、変速比ρnを変数としたエンジン運転点マップ((NEρ(ρn),TEρ(ρn))−ρnマップ)114を作成する(前記図11)。また、変速比選定部25は、変速比ρnを変数とした変速比マップ(NEρ(ρn)−ρnマップ)115を作成する(前記図12)。
変速比選定部25は、変速比マップ115を参照し、エンジン最適運転点のエンジン回転数NE(n)に対応する変速比ρnをCVT変速比ρCVTとして選定する。変速比選定部25は、選定したCVT変速比ρCVTを変速比制御部27に出力する。
エンジン制御部26は、エンジン最適運転点(NE,TE)を目標値としてエンジン1を制御する。また、変速比制御部27は、CVT変速比ρCVTを目標値として無段階変速機3の変速比を制御する。これにより、実運転時のエンジン1のエンジン運転点が最良燃費線上に存在するようになる。
(1)この実施形態では、図17に示すように、トルクコンバータ2の作動流体(作動油)の温度を検出する作動流体温度検出部13と、作動流体温度検出部13が検出した作動流体の温度を基に、トルクコンバータ2の入出力軸間の伝達特性(例えば伝達効率ηT)を補正する伝達特性補正部28と、を備えることもできる。
この実施形態では、運転操作検出部11は、運転者による車両出力の要求を検出する運転者要求検出手段を実現している。また、無段階変速機出力回転数検出部12及び目標駆動トルク算出部21は、前記運転者要求検出手段が検出した運転者が要求する車両出力を実現する前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクを検出する無段階変速機出力検出手段を実現する。また、無段階変速機入力演算部22は、前記無段階変速機出力検出手段が検出した前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルク、前記無段階変速機の入出力軸間の伝達特性、並びに前記無段階変速機の変速比を基に、前記無段階変速機の入力軸の入力回転数及び入力トルクを演算する無段階変速機入力演算手段を実現する。また、エンジン出力演算部23は、前記無段階変速機入力演算手段が算出した前記無段階変速機の入力軸の入力回転数及び入力トルク、並びに前記トルクコンバータの入出力軸間の伝達特性を基に、前記エンジンの出力回転数及び出力トルクを演算するエンジン出力演算手段を実現する。また、運転点選定部24は、前記無段階変速機入力演算手段にて前記無段階変速機の変速比を演算上で変化させていったときに前記エンジン出力演算手段が算出する前記エンジンの出力回転数と出力トルクとの関係を示す特性線と、前記エンジンの出力回転数と出力トルクとの関係で得られる最良燃費線との交点を前記エンジンの最適運転点として選定する運転点選定手段を実現する。また、変速比選定部25は、前記運転点選定手段が最適運転点を選定したときに演算上で用いた前記無段階変速機の変速比を選定する変速比選定手段を実現する。また、エンジン制御部26及び変速比制御部27は、前記運転点選定手段が選定した最適運転点の出力回転数と出力トルクを基に、前記エンジンを制御するとともに、前記変速比選定手段が選定した前記無段階変速機の変速比を基に、前記無段階変速機の変速を制御する制御手段を実現する。
次に本実施形態における効果を説明する。
(1)無段階変速機出力回転数検出部12及び目標駆動トルク算出部21は、運転操作検出部11が検出した運転者が要求する車両出力を実現する無段階変速機3の出力軸の出力回転数及び出力トルク(NS,TS)を検出する。また、無段階変速機入力演算部22は、その無段階変速機出力回転数検出部12及び目標駆動トルク算出部21が検出した無段階変速機3の出力軸の出力回転数及び出力トルク(NS,TS)、無段階変速機3の入出力軸間の伝達特性、並びに無段階変速機3の変速比を基に、無段階変速機3の入力軸の入力回転数及び入力トルク(NP(ρn),TP(ρn))を演算する。また、エンジン出力演算部23は、その無段階変速機入力演算部22が算出した無段階変速機3の入力軸の入力回転数及び入力トルク(NP(ρn),TP(ρn))、並びにトルクコンバータ2の入出力軸間の伝達特性を基に、エンジン1の出力回転数及び出力トルク(NEρ(ρn),TEρ(ρn))を演算する。そして、運転点選定部24は、無段階変速機3の変速比ρnを演算上で変化させていったときのエンジン1のその出力回転数NEρ(ρn)と出力トルクTEρ(ρn)との関係を示す特性線(前記図11)と、エンジン1の出力回転数と出力トルクとの関係で得られる最良燃費線(前記図13)との交点(NE,TE)をエンジン1の最適運転点として選定する。また、変速比選定部25は、最適運転点(NE,TE)を選定したときに演算上で用いた無段階変速機3の変速比ρCVTを選定する。そして、エンジン制御部26及び変速比制御部27は、運転点選定部24が選定した最適運転点の出力回転数と出力トルク(NE,TE)を基に、エンジン1を制御するとともに、変速比選定部25が選定した無段階変速機3の変速比ρCVTを基に、無段階変速機3の変速を制御する。
この結果、無段階変速機3を搭載する車両でも最適燃費を得るエンジン出力及び変速比を制御することができる。
これにより、容易に無段階変速機3の入出力軸間の伝達特性を得ることができる。この結果、適切にエンジン出力及び変速比を制御することができる。
これにより、容易にエンジン1の出力回転数を得ることができる。この結果、適切にエンジン出力及び変速比を制御することができる。
これにより、容易に無段階変速機3の変速比ρCVTを選定することができる。この結果、適切にエンジン出力及び変速比を制御することができる。
これにより、トルクコンバータ2の作動流体の温度変化によるトルクコンバータ2の入出力軸間の伝達特性の変化にかかわらず、エンジン1の出力回転数及び出力トルク(NEρ(ρn),TEρ(ρn))を適切に演算できる。この結果、適切にエンジン出力及び変速比を制御することができる。
Claims (6)
- エンジンの出力をトルクコンバータの入力軸に入力し、前記トルクコンバータの出力軸からの出力を無段階変速機の入力軸に入力し、前記無段階変速機の出力軸からの出力を駆動輪に出力して前記駆動輪を駆動する車両の動力制御装置において、
運転者による車両出力の要求を検出する運転者要求検出手段と、
前記運転者要求検出手段が検出した運転者が要求する車両出力を実現する前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクを検出する無段階変速機出力検出手段と、
前記無段階変速機出力検出手段が検出した前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルク、前記無段階変速機の入出力軸間の伝達特性、並びに前記無段階変速機の変速比を基に、前記無段階変速機の入力軸の入力回転数及び入力トルクを演算する無段階変速機入力演算手段と、
前記無段階変速機入力演算手段が算出した前記無段階変速機の入力軸の入力回転数及び入力トルク、並びに前記トルクコンバータの入出力軸間の伝達特性を基に、前記エンジンの出力回転数及び出力トルクを演算するエンジン出力演算手段と、
前記無段階変速機入力演算手段にて前記無段階変速機の変速比を演算上で変化させていったときに前記エンジン出力演算手段が算出する前記エンジンの出力回転数と出力トルクとの関係を示す特性線と、前記エンジンの出力回転数と出力トルクとの関係で得られる最良燃費線との交点を前記エンジンの最適運転点として選定する運転点選定手段と、
前記運転点選定手段が最適運転点を選定したときに演算上で用いた前記無段階変速機の変速比を選定する変速比選定手段と、
前記運転点選定手段が選定した最適運転点の出力回転数と出力トルクを基に、前記エンジンを制御するとともに、前記変速比選定手段が選定した前記無段階変速機の変速比を基に、前記無段階変速機の変速を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両の動力制御装置。 - 前記無段階変速機入力演算手段は、前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクと前記無段階変速機の入出力軸間の伝達特性との関係を示すマップを備えており、該マップを参照し、前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクに対応する前記無段階変速機の入出力軸間の伝達特性を得ることを特徴とする請求項1に記載の車両の動力制御装置。
- 前記エンジン出力演算手段は、前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクと前記エンジンの出力回転数との関係を前記トルクコンバータの入出力軸間の伝達特性を基に得たマップを備えており、該マップを参照し、前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクに対応する前記エンジンの出力回転数を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の動力制御装置。
- 前記運転点選定手段は、前記無段階変速機入力演算手段にて前記無段階変速機の変速比を演算上で変化させていったときに、該無段階変速機の変速比と前記エンジンの出力回転数との関係を示すマップを作成しており、
前記変速比選定手段は、該マップを参照し、前記運転点選定手段が選定した最適運転点の出力回転数に対応する前記無段階変速機の変速比を選定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の動力制御装置。 - 前記トルクコンバータの作動流体の温度を検出する作動流体温度検出手段と、前記作動流体温度検出手段が検出した前記作動流体の温度を基に、前記トルクコンバータの入出力軸間の伝達特性を補正する伝達特性補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の動力制御装置。
- エンジンの出力をトルクコンバータの入力軸に入力し、前記トルクコンバータの出力軸からの出力を無段階変速機の入力軸に入力し、前記無段階変速機の出力軸からの出力を駆動輪に出力して前記駆動輪を駆動する車両の動力制御方法において、
運転者が要求する車両出力を実現する前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクを検出する無段階変速機出力検出ステップと、
前記無段階変速機の変速比を演算上で変化させていきながら、該変速比と、前記無段階変速機出力検出ステップで検出した前記無段階変速機の出力軸の出力回転数及び出力トルクと、前記無段階変速機の入出力軸間の伝達特性とを基に、前記無段階変速機の入力軸の入力回転数及び入力トルクを演算し、その算出した前記無段階変速機の入力軸の入力回転数及び入力トルクと、前記トルクコンバータの入出力軸間の伝達特性とを基に、前記エンジンの出力回転数及び出力トルクを演算する演算ステップと、
前記演算ステップで前記無段階変速機の変速比を変化させていったときの前記エンジンの出力回転数と出力トルクとの関係を示す特性線と、前記エンジンの出力回転数と出力トルクとの関係で得られる最良燃費線との交点を前記エンジンの最適運転点として選定する運転点選定ステップと、
前記運転点選定ステップで最適運転点を選定したときに演算上で用いた前記無段階変速機の変速比を選定する変速比選定ステップと、
前記運転点選定ステップで選定した最適運転点の出力回転数と出力トルクを基に、前記エンジンを制御するとともに、前記変速比選定ステップで選定した前記無段階変速機の変速比を基に、前記無段階変速機の変速を制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする車両の動力制御方法。
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