JP2010148630A - 尿パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】男性高齢者等の陰茎が萎縮した人でも漏れが生じ難く、吸収体の吸収能力を有効に活用でき、かつ、陰嚢のかぶれが生じ難い尿パッドを提供する。
【解決手段】吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート18と、液不透過性材料からなるバックシート20と、を備えた尿パッド1Aである。尿パッド1Aの前端E1側に、尿パッド1Aの幅方向に延びるように配置された陰茎固定シート50Aを更に備え、陰茎固定シート50Aは、その幅方向両側縁部がトップシート18の表面に接合されており、陰茎固定シート50Aの一の側縁部を接合する第1接合部52Aと、陰茎固定シート50Aの他の側縁部を接合する第2接合部52Bとの間に形成される陰茎挿入部54Aの幅が、尿パッド1Aの前端E1側から後端E2側に向かうにつれて狭くなるように構成されている尿パッド1A。
【選択図】図1A

Description

本発明は、吸収体と、液透過性材料からなるトップシートと、液不透過性材料からなるバックシートと、を備えた尿パッドに関するものである。詳しくは、着用者の陰茎を固定するための陰茎固定シートを更に備えた、男性用の尿パッドに関するものである。
近年、おむつを交換する際の労力を軽減するため、使い捨ておむつと、尿パッド(「インナーパッド」、「補助パッド」等とも称される。)を併用することが行われている。尿パッドを併用することで、着用者が排泄した場合でも尿パッドのみを交換すれば足り、使い捨ておむつはそのまま使用することができる。このような方法は、排泄の度に使い捨ておむつ全体を交換する方法と比較すると交換が容易であるため、介護者の労力が軽減される。また、尿パッドは使い捨ておむつよりも安価であるため、排泄の度に使い捨ておむつ全体を交換する方法と比較してコスト的にも有利である。
通常、尿パッドは、使い捨ておむつのトップシート側の面に尿パッドを平敷きし、尿パッドが積層された状態の使い捨ておむつを着用者の肌に宛がう方法で使用される。これに対し、男性用に特化した尿パッドとして、陰茎を被包し、或いは陰茎を袋内に挿入するタイプの尿パッドも知られている。例えば、粘着部が形成されていて、陰茎を尿パッドでコーン状(サック状)に被包した状態で固定することができるタイプの尿パッド(例えば、特許文献1〜3参照)や、予め袋状に形成されていて、その袋内に陰茎を挿入し得るように構成された尿パッド(例えば、特許文献4参照)が知られている。
特開平8−280727号公報 特開2001−129012号公報 特開2007−068642号公報 特開平9−299392号公報
しかし、前記のような尿パッドは、その構造上、装着が面倒であり、また、一旦装着した後も尿パッドが陰茎から外れ易く、尿パッドを宛がった状態を維持できないため漏れを生じ易いという問題があった。特に、高齢者のように陰茎が萎縮した人に使用した場合には、尿パッドを陰茎に対して十分に固定することが困難で、陰茎から尿パッドが外れてしまうおそれが高いという点が問題であった。
前記の問題に対応するため、男性高齢者に対しては、女性と同様に、使い捨ておむつの内部に尿パッドを平敷きして使用する方法も行われている。しかし、このような使用方法では、使い捨ておむつ及び尿パッドを装着する際の陰茎の向きによって、尿パッドの前端部(腹側端部)や左右の側縁部から尿が漏れる場合があった。尿パッドの前端部や左右の側縁部から尿漏れが起きた場合、尿パッドは殆ど汚れておらず、また、吸収体の吸収能力に余力があるにも拘らず、漏れが発生するという不都合が生じる。更に、尿パッドを平敷きして使用すると、陰茎のみならず陰嚢も尿に曝されるため、陰嚢のかぶれが生じ易いという問題もあった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、男性高齢者等の陰茎が萎縮した人でも漏れが生じ難く、吸収体の吸収能力を有効に活用でき、かつ、陰嚢のかぶれが生じ難い尿パッドを提供するものである。
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、平敷きタイプの尿パッドに陰茎固定用のシートを付設するとともに、そのシートによって形成される陰茎挿入部の幅を尿パッドの後端側(股下側及び背側)に向かうにつれて狭めていくように構成することで、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の尿パッドが提供される。
[1] 吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、を備えた尿パッドであって、前記尿パッドの前端側に、前記尿パッドの幅方向に延びるように配置された陰茎固定シートを更に備え、前記陰茎固定シートは、その幅方向両側縁部が前記トップシートの表面に接合されており、前記陰茎固定シートの一の側縁部を接合する第1接合部と、前記陰茎固定シートの他の側縁部を接合する第2接合部との間に形成される陰茎挿入部の幅が、前記尿パッドの前端側から後端側に向かうにつれて狭くなるように構成されている尿パッド。
[2] 前記陰茎固定シートは、その前端の幅方向中央部が後端側に向かって円弧状に切り欠かれた形状となっており、幅方向中央部の長さよりも、幅方向両側縁部の長さの方が長くなるように形成されている前記[1]に記載の尿パッド。
[3] 前記第1接合部及び前記第2接合部が、前記陰茎固定シートの前後方向に延びるように配置された、複数本の線状接合部から形成され、前記複数本の線状接合部は、前記陰茎固定シートの幅方向中央側に配置されたものの長さよりも、前記陰茎固定シートの幅方向側縁側に配置されたものの長さの方が長くなるように配置されている前記[2]に記載の尿パッド。
[4] 前記吸収体が、その幅方向中央部における、前記陰茎固定シートの下部に位置する部分から、前記吸収体の前端に向かって、陰茎収容用凹部が形成されたものである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の尿パッド。
[5] 前記陰茎収容用凹部は、凹部前端の幅よりも凹部後端の幅の方が狭くなるように形成されている前記[4]に記載の尿パッド。
[6] 前記吸収体が、その幅方向中央部における、前記陰茎固定シートの下部に位置する部分から、前記吸収体の後端に向かって、前記吸収体の他の部分に比して吸収性能が高い高吸収部が形成されたものである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の尿パッド。
[7] 前記吸収体が、吸収体前端及び吸収体後端の幅よりも前記陰茎固定シートが配置された部分の幅が広くなるように構成されている前記[1]〜[6]のいずれかに記載の尿パッド。
本発明の尿パッドは、男性高齢者等の陰茎が萎縮した人でも漏れが生じ難く、吸収体の吸収能力を有効に活用でき、かつ、陰嚢のかぶれが生じ難い。
以下、本発明の尿パッドを実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える尿パッドを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
[1]定義等:
本明細書においては、図1Aで例示するように、尿パッド1Aの前後方向の最も長い部分を基準(全長)として、尿パッド1Aの前端E1から20%長さまでの部分を「前端部(図中、符号2)」、尿パッド1Aの後端E2から20%長さまでの部分を「後端部(図中、符号6)」、前端部2と後端部6を除いた尿パッド1Aの中央側60%長さの部分を「中央部(図中、符号4)」とする。通常、前端部2が着用者の腹側に、中央部4が着用者の股下に、後端部6が着用者の背側(尻側)に宛がわれる。
陰茎固定シートに関し、「長さ」というときは、シート形状に拘らず、尿パッドに接合された状態における尿パッドの前端から後端までの長さ(前後方向の長さ)を意味する。また、陰茎固定シートに関し、「幅」というときは、シート形状に拘らず、尿パッドに接合された状態における尿パッドの左端から右端までの長さ(左右方向の長さ)を意味するものとする。
[2]:本発明の尿パッドの構成:
本発明の尿パッドは、図1A〜図1Cに示す尿パッド1Aのように、尿パッド1Aの前端E1側に、尿パッド1Aの幅方向に延びるように配置された陰茎固定シート50Aを更に備え、陰茎固定シート50Aは、その幅方向両側縁部がトップシート18の表面に接合されており、陰茎固定シート50Aの一の側縁部を接合する第1接合部52Aと、陰茎固定シート50Aの他の側縁部を接合する第2接合部52Bとの間に形成される陰茎挿入部54Aの幅が、尿パッド1Aの前端E1側から後端E2側に向かうにつれて狭くなるように構成されているものである。
本発明の尿パッドは、いわゆる平敷きタイプの尿パッドであるため、陰茎を被包するタイプや袋内に陰茎を挿入するタイプと比べて尿パッドの装着が容易であり、また、尿パッドの外れが生じ難い。従って、尿パッドを宛がった状態を維持し易く、漏れを有効に防止することができる。
また、陰茎固定シート50Aを備えているため、使い捨ておむつ及び尿パッド1Aを装着する際に、陰茎の向きを尿パッド1Aの後端E2側(股下側、背側)に向かうように固定することができる。従って、陰茎が尿パッド1Aの前端E1側や側縁E3,E4側を向き難く、尿パッド1Aの前端E1や左右の側縁E3,E4からの尿漏れを有効に防止することができる。そして、陰茎の向きに従って、尿が尿パッド1Aの後端E2側(股下側、背側)に向かって流れるので、尿パッド1Aの中央部4及び後端部6に配置された吸収体22の吸収能力も十分に発揮させることができる。
更には、第1接合部52Aと第2接合部52Bとの間に形成される陰茎挿入部54Aの幅W1,W2が、尿パッド1Aの前端E1側から後端E2側に向かうにつれて(即ち、腹側から股下側、背側に向かうにつれて)狭くなるように構成されているため(W1>W2)、陰茎挿入部54A内部で尿が排泄された場合でも、尿は尿パッド1Aの幅方向中央部に向かって収束される。従って、尿パッド1Aの左右の側縁E3,E4からの尿漏れを有効に防止することができる。このような構造は、陰茎が萎縮した人(男性高齢者等)のように、陰茎固定シート50Aによって陰茎を十分に固定することができず、陰茎挿入部54Aの内部で陰茎が遊動し易い着用者に対して好適に用いることができる。
更にまた、陰茎挿入部54Aに陰茎を挿入すると、陰嚢は陰茎固定シート50Aの表面に当接する形となり、トップシート18から離隔される。従って、尿で濡れたトップシート18に陰嚢が直接接触し難く、陰嚢のかぶれを有効に防止することができる。
[2−1]陰茎固定シート:
本発明の尿パッドは、図1A〜図1Cに示す尿パッド1Aのように、陰茎固定シート50Aを備えている。この陰茎固定シート50Aによって、陰茎は尿パッドの股下側(ないしは背側)に向かうように固定される。
陰茎固定シート50Aは、尿パッド1Aの前端E1側に、尿パッド1Aの幅方向に延びるように配置される。「尿パッドの前端側」とは、尿パッド1Aの長手方向中心線より前端E1側の領域に陰茎固定シート50Aが配置されていることを意味する。陰茎固定シート50Aを尿パッド1Aの前端E1側に配置するのは、陰茎固定シート50Aによって形成される陰茎挿入部54Aに対して、尿パッド1Aの前端E1側から陰茎を挿入する構造とするためである。
また、「尿パッドの幅方向」とは、尿パッドの前後方向と直交する方向を意味する。通常、尿パッドは、前後方向に長い形状に構成されるから、その長手方向が前後方向、その短手方向が幅方向(左右方向)となる。陰茎固定シート50Aを尿パッド1Aの幅方向に延びるように配置することで、陰茎が尿パッド1Aの後端E2側(股下側、背側)に向くように固定することができる。なお、陰茎固定シート50Aは、通常、尿パッド1Aの幅方向中央部に配置される。そして、固定された陰茎から排泄される尿を十分に吸収させるという観点から、尿パッド1Aの吸収体22配置部位の上部に配置することが好ましい。
陰茎固定シートの形状は特に限定されず、前後方向の長さに比して幅が大であるもの、前後方向の長さに比して幅が小であるもののいずれでもよい。例えば、図1Aに示す陰茎固定シート50Aは、前後方向の長さに比して幅が大である矩形状(短冊状)のシートを用いた例である。
陰茎固定シートの幅は60mm以上であって、尿パッドの幅以下とすることが好ましい。60mm未満とすると、陰茎挿入部の幅も狭くならざるを得ず、陰茎を挿入し難くなる。また、陰茎挿入部の幅が狭くなると、尿パッドの装着位置が若干左右にずれただけでも陰茎をうまく挿入できなくなる場合がある。即ち、尿パッドの左右の位置ずれに対する許容幅が狭くなり使い勝手が悪くなるおそれがある。一方、陰茎固定シートの長さは、20〜200mmとすることが好ましい。20mm未満とすると、排泄された尿を尿パッドの幅方向中央部にうまく収束できないおそれがある。
なお、陰茎固定シートを100mm以上の長さに構成すると、陰茎固定シートによって陰嚢、その他の着用者の肌が覆われる面積が増加する。従って、陰嚢等がトップシートの表面に接触し難くなり、かぶれ等のスキントラブルをより効果的に防止することができるというメリットがある。しかし、陰茎固定シートをあまりに長く構成しても前記効果の増大を期待できず、却って陰茎固定シートによって股下部の着用感が悪化する場合があるため、上限を200mmとすることが好ましい。
但し、陰茎固定シートの形状は、前記のような矩形状に限定されるものではない。例えば、図2Aに示す陰茎固定シート50Bのように、陰茎固定シート50Bの前端における幅方向中央部が、陰茎固定シート50Bの後端側に向かって円弧状に切り欠かれた形状となっており、幅方向中央部の長さよりも、幅方向両側縁部の長さの方が長くなるように形成されているものも好ましい。
陰茎固定シート50Bのように、幅方向中央部を幅方向両側縁部よりも凹んでいるように形成することによって、陰茎挿入部54Bに陰茎を挿入し易くなる。また、陰茎固定シート50Bのように、幅方向両側縁側を長く構成することで、陰茎の先端部が尿パッド1Bの左右側を向いてしまった場合でも尿パッドの左右両側縁からの横漏れを有効に防止することができる。この際、陰茎固定シートの幅方向中央部は幅方向両側縁部よりも20〜50mm凹んでいることが好ましい。20mm未満とすると、凹みが小さ過ぎて陰茎挿入部に陰茎を挿入し易くなる効果が得られ難くなる。一方、50mmを超えると、凹みが大きくなり過ぎるため、その凹み部分に陰茎を挿入すると、全体的に尿パッドが前側(腹側)にずれた状態で尿パッドを着用することになる。このような状態では背側をカバーする尿パッドの面積が小さくなり、尿パッド後端からの端部漏れが生じ易くなる。また、尿パッドが腹側に大きく張り出すため腹側がごわつき、着用感の低下に繋がる場合がある。
また、前記形態においては、尿パッド1Bの幅方向中心線上において、吸収体22の前端と円弧状に切り欠かれた陰茎固定シート50Bの前端との間隔が3cm以上離れるように、陰茎固定シート50Bが配置されていることが好ましい。吸収体22の前端と陰茎固定シート50Bの前端との間隔が3cm未満であると、尿パッド1Bの前端E1側からの漏れが生じ易くなるため好ましくない。
陰茎固定シートを構成する材料は特に限定されない。但し、本発明においては陰茎固定シートを構成する材料として、撥水性の不織布シートを用いることが好ましい。撥水性の素材を用いることにより、トップシートに付着した尿が陰茎固定シートに浸透し難くなり、陰嚢のかぶれをより効果的に防止することができる。
撥水性の不織布シートとしては、後述する立体ギャザーと同様の素材を用いることができる。また、陰茎固定シートの外面(着用者の陰嚢が当たる面)を撥水性シートにより構成するとともに、前記撥水性シートの内面(トップシートと対向する側の面)に、吸収性をもたせた形態も好ましい。例えば、1)陰茎固定シートを構成する撥水性シートの内面に吸収体が内張りされた形態、2)陰茎固定シートを構成する撥水性シートの内面に吸収体が内張りされ、更に、前記吸収体の内面に、トップシート同様の液透過性(即ち親水性)不織布シートが内張りされた形態等を挙げることができる。これらの形態で用いる吸収体はパルプ(フラッフパルプ等)とSAPからなるものであってもよいし、ティシュや吸収紙のみからなる簡易的な吸収体であってもよい。
なお、陰茎固定シートには、陰茎の固定力を向上させるため、伸縮材を付設してもよい。このような構成では、陰茎固定シートの幅方向に向かって伸張状態の伸縮材を付設することにより、陰茎の固定力を向上させることができる。この形態は、後述する立体ギャザーに準じて構成することができる。
[2−2]接合部:
本発明の尿パッドは、図1A〜図1Cに示す尿パッド1Aのように、陰茎固定シート50Aは、その両側縁部がトップシート18の表面に接合されており、陰茎固定シート50Aの一の側縁部を接合する第1接合部52Aと、陰茎固定シート50Aの他の側縁部を接合する第2接合部52Bとが形成されている。
陰茎固定シート50Aの両側縁部(即ち、2箇所)をトップシート18の表面に接合することで、陰茎固定シート50Aとトップシート18によって区画された陰茎挿入部54Aが形成される。「接合部」は、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いた接着、加熱による熱接合(ヒートシール等)、超音波融着等により形成することができる。
「陰茎固定シートの両側縁部」とは、陰茎固定シートの最も長い部分を基準(全長)として、各々の端部から40%長さまでの部分を意味するものとする。本発明においては、陰茎固定シート50Aが容易に剥離しない限りにおいて、陰茎固定シート50Aの両側縁部の全領域がトップシート18の表面に接合されている必要はなく、陰茎固定シート50Aの両側縁部のうち少なくとも一部の領域がトップシート18の表面に接合されていればよい。但し、確実な接合を確保するためには、図1Aに示す尿パッド1Aのように、陰茎固定シート50Aの前端から後端に至るまで連続的に第1接合部52A、第2接合部52Bが形成されていることが好ましい。
図1Aに示すように、第1接合部52A及び第2接合部52Bを連続する面状に形成する形態は、陰茎固定シート50Aとトップシート18との確実な接合を図る上で好ましい。但し、本発明の尿パッドは、図2A〜図2Cに示す尿パッド1Bのように、第1接合部52C及び第2接合部52Dが、陰茎固定シート50Bの前後方向に延びるように配置された、複数本の線状接合部56a,58a,60a,62a,56b,58b,60b,62bから形成されていてもよい。このように、接合部を複数本の線状接合部の集合として構成する形態は、図1Aに示すような接合部52A又は接合部52B全体を面状に構成する形態と比較して、尿パッドを連続生産する際に高速生産が行い易く、また、接合に用いる接着剤の量も少なくすることができるため、コスト的に有利である点において好ましい。
図2A〜図2Cに示す形態においては、複数本の線状接合部56a,58a,60a,62a,56b,58b,60b,62bが、陰茎固定シート50Bの幅方向中央側に配置されたもの(線状接合部56a,58a,56b,58b)の長さよりも、陰茎固定シート50Bの側縁側に配置されたもの(線状接合部60a,62a,60b,62b)の長さの方が長くなるように配置されていることが好ましい。
前記のような形態は、線状接合部の長さを全て等しい長さに形成したものと比較して、陰茎挿入部の幅が陰茎固定シートの前端側(腹側)から後端側(股下側及び背側)に向かうにつれて狭くなる。従って、排泄された尿が尿パッドの幅方向中央部に向かって収束され易い。また、陰茎固定シートの両側縁側の線状接合部が長いため、尿パッドの左右両側縁からの横漏れを有効に防止することができる点において好ましい。なお、図2Aに示す尿パッド1Bにおいては、線状接合部60a,62a,60b,62bの長さを等しく形成しているが、このような形態には限定されない。例えば、線状接合部60a,60bの長さを、線状接合部58a,58bと線状接合部62a,62bの中間の長さとし、陰茎固定シート50Bの幅方向中央側から側縁側に向かうにつれて、徐々に線状接合部の長さが長くなるように構成してもよい。
線状接合部の幅は1〜20mmとすることが好ましい。1mm未満とすると、接合強度が低くなり、トップシートから陰茎固定シートが外れてしまうおそれがある。20mmを超えると、配置可能な線状接合部の本数が少なくなるため、線状接合部の本数が多い場合と比較して各線状接合部の長さを徐々に変化させることが難しくなる。即ち、複数の線状接合部が陰茎固定シートの幅方向側縁側から中央側に向かって急速に短くなっていく形態を採用せざるを得ず、尿をスムーズに尿パッドの幅方向中央部に収束させることが困難となる。
線状接合部を幅1〜20mmで形成した場合、複数の線状接合部を配置する間隔は、1〜20mmとすることが好ましい。1mm未満とすると、線状接合部同士の間隔が狭過ぎて連続的な面状に塗布したものと大差がなくなるため、尿パッドを連続生産する際に高速生産を行い難くなり、接合に用いる接着剤の量も効果的に減らすことができず、生産コスト面でのメリットを得難くなる。20mmを超えると、線状接合部同士の間隔が広すぎるために、排泄した尿を尿パッドの幅方向中央部にうまく収束させることができない場合がある。
本発明の尿パッドは、図1A〜図1Cに示す尿パッド1Aのように、第1接合部52Aと第2接合部52Bとの間に形成される陰茎挿入部54Aの幅W1,W2が、尿パッド1Aの前端E1側から後端E2側に向かうにつれて狭くなるように構成されている(W1>W2)。この構成により、陰茎挿入部54A内部で尿が排泄された場合でも、尿は尿パッド1Aの幅方向中央部に向かって収束される。
本発明においては、陰茎固定シート50Aの後端における陰茎挿入部54Aの幅W2(即ち、陰茎挿入部54Aの出口幅)が陰茎固定シート50Aの前端における陰茎挿入部54Aの幅W1(即ち、陰茎挿入部54Aの入口幅)よりも狭くなっていればよい。狭さの程度については特に限定されず、陰茎固定シート50Aの前端における陰茎挿入部54Aの幅W1に対し、陰茎固定シート50Aの後端における陰茎挿入部54Aの幅W2が30〜80%の幅となっていることが好ましい。
30%未満とすると、幅W2が狭過ぎて、排尿時の尿勢によっては陰茎固定シート50Aの後端側(陰茎挿入部54Aの出口側)から尿を十分に排出させることができない場合がある。従って、陰茎固定シート50Aの前端側(陰茎挿入部54Aの入口側)から尿があふれてしまうおそれがある。80%を超えると幅W2が広過ぎて、陰茎固定シート50Aの後端側(陰茎挿入部54Aの出口側)で十分に尿を収束させることができない場合がある。即ち、尿パッド1Aの幅方向中央部に尿を収束させるという本発明の効果を十分に発揮させることができないおそれがある。また、後述のように吸収体の幅方向中央部において吸収性能が高い高吸収部を形成する構成を採用する場合に、高吸収部を幅狭く効率的に配置することができず、前記構成の効果を十分に発揮させることができないおそれがある。
陰茎固定シート50Aの後端における陰茎挿入部54Aの幅W2が陰茎固定シート50Aの前端における陰茎挿入部54Aの幅W1よりも狭くなっている限り、陰茎挿入部54Aの幅の変化の態様についても特に制限はない。例えば、図1Aに示す尿パッド1Aにおける陰茎挿入部54Aの幅は、陰茎固定シート50Aの前端から中途までは一定の幅W1を保ち、中途から連続的にその幅が狭くなり、陰茎固定シート50Aの後端において幅W2に至るように構成されている。一方、図2Aに示す尿パッド1Bにおける陰茎挿入部54Bの幅は、陰茎固定シート50Bの前端における幅W1から徐々にその幅が狭くなり、中途から陰茎固定シート50Bの後端に至るまでは一定の幅W2を保つように構成されている。
[2−3]吸収体:
以下、吸収体の構成のうち、本発明の尿パッドに固有の構成について説明する。吸収体の一般的な構成については別項で述べる。
本発明の尿パッドは、吸収体が、その幅方向中央部における、陰茎固定シートの下部に位置する部分から、吸収体の後端に向かって、吸収体の他の部分に比して吸収性能が高い高吸収部が形成されたものであることが好ましい。このような構成によれば、尿パッドの幅方向中央部に多量の尿が収束された場合でもその尿を吸収体に十分に吸収させることができる。従って、尿の吸収が間に合わず漏れを生ずる事態を有効に防止することができる。
高吸収部は吸収体の幅方向中央部における、陰茎固定シートの下部に位置する部分から、吸収体の後端に向かって形成される。中でも、高吸収部の幅が陰茎挿入部の出口側の幅W2の50〜150%の範囲であって、吸収体の陰茎固定シート前端(陰茎挿入部の入口)の直下に位置する部分を起点とし、吸収体全長の50%長さの部分まで形成されていることが好ましい。
高吸収部の幅が陰茎挿入部の出口側の幅W2の50%未満であると、収束された多量の尿を高吸収部で十分に吸収できず、高吸収部を形成したメリットを享受することができない場合がある。一方、高吸収部の幅が陰茎挿入部の出口側の幅W2の150%を超えると、尿パッドの幅方向中央部に収束された尿に対して高吸収部の幅が広過ぎて、余分な高吸収部が多くなり非効率的である。
吸収体の陰茎固定シート前端(陰茎挿入部の入口)より吸収体の前端側、或いは吸収体全長の50%長さを超える部分まで高吸収部が形成されていても、その部分に尿が接触することが少なく非効率的である。
高吸収部は、例えば、吸収体に含有させるSAPの量を局部的に増加させることにより形成することができる。SAPの量を局部的に増加させる方法としては、例えば、吸収体の幅方向中心線を中心とした幅狭い領域のみに限定的にSAPを散布することによって、その領域のSAP量を増加させる方法や、SAP量を増加させたい領域に、予めSAPを高密度に担持させたSAPシート等の高吸収性を有するシートを配置する等の方法を挙げることができる。
本発明の尿パッドは、図2A〜図2Cに示す尿パッド1Bのように、吸収体22が、その幅方向中央部における、陰茎固定シート50Bの下部に位置する部分から、吸収体22の前端に向かって、陰茎収容用凹部64が形成されたものが好ましい。このような形態は、凹部を形成しない場合と比較して、陰茎収容用凹部64に陰茎が収まり易く、陰茎を下向き(尿パッドの股下側、後端側)に固定し易い。従って、尿パッドの左右両側縁からの横漏れを有効に防止することができる点において好ましい。
「吸収体の前端に向かって」とは、陰茎固定シート50Bの下部、即ち、陰茎固定シート50Bの後端に相当する部分から吸収体22の前端に至るまでの領域に、陰茎収容用凹部64が形成されていることを意味する。この場合において、図2Aに示すように、陰茎収容用凹部64は陰茎固定シート50Bの前端に相当する部分から吸収体22の前端側にはみ出すように形成されていることが好ましい。このような形態は、陰茎収容用凹部64が陰茎固定シート50Bの下部のみに形成された形態と比較して、陰茎を下向き(尿パッドの股下側、後端側)に固定した際に、陰茎固定シートによって陰茎が圧迫され難く、陰茎を下向き(尿パッドの股下側、後端側)に固定した状態を保持し易い点で好ましい。
陰茎収容用凹部64の深さは特に限定されないが、吸収体22の全厚に対し20〜75%の深さであることが好ましい。20%未満とすると、凹部が浅過ぎるため、陰茎固定シートによって陰茎が圧迫され易く、陰茎を下向きに固定した状態を保持し難くなる場合がある。75%を超えると、陰茎収容用凹部64直下の吸収体が薄くなり過ぎるため、その部分における吸収性能が低下し、吸収されなかった尿により陰茎にかぶれ等のスキントラブルが発生するおそれがある。より具体的には、吸収体22の一般的な厚さが4〜20mm程度であるので、陰茎収容用凹部64の深さを1〜15mmとすることが好ましい。
陰茎収容用凹部64の幅は、その前端から後端に至るまで一定の幅であってもよいが、図2A〜図2Cに示す尿パッド1Bのように、陰茎収容用凹部64前端の幅W3よりも陰茎収容用凹部64後端の幅W4の方が狭くなるように形成されていることが好ましい。この構成によれば、陰茎収容用凹部64の幅を一定幅とした形態と比較して、排泄された尿が尿パッドの幅方向中央部に収束し易いことに加え、尿パッドの装着位置が若干左右にずれた場合でも陰茎が陰茎収容用凹部に収まり易い点で好ましい。
陰茎収容用凹部64前端の幅W3に対する陰茎収容用凹部64後端の幅W4の狭さの程度については特に限定されない。但し、幅W3に対し、幅W4が70%以下の幅となっていることが好ましい。70%を超えると、幅W3から幅W4への減少率が小さくなり、排泄された尿を尿パッドの幅方向中央部に収束させる効果が不十分となる場合がある。
本発明の尿パッドは、吸収体の形状について特に制限はない。例えば、図1Aに示す吸収体22のように、略矩形状に形成されたものを例示することができる。また、図1Aに示す吸収体22のように、矩形の角部がRカットされて曲線状に構成されていてもよい。
但し、本発明の尿パッドは、図2Aに示す尿パッド1Bのように、吸収体22が、吸収体22前端及び吸収体22後端の幅よりも、陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅が広くなるように構成されていることが好ましい。
前記のような形状は、横漏れがし難く、更には尿パッド1Bの装着位置がずれ難いため着用感にも優れる。具体的には、吸収体22前端側を幅狭く構成することで、尿パッド1Bもその前端E1を幅狭く構成することが可能となる。このような形態は、尿パッド1Bの前端部2によって着用者の腹部が過剰に覆われることがなくなり、着用感が向上する。また、尿パッドの前端側が不必要に大きいと装着時にパッド前端側の角部が折れてしまうことも多い。そのような場合、尿パッドが折れた部分から尿漏れが起こったり、その部分が着用者の肌に当たって着用感が低下したりするおそれがある。吸収体22の前端、ひいては尿パッド1Bの前端E1を幅狭く構成すればそのような不具合が生じ難い。
また、吸収体後端側を幅狭く構成することで、尿パッド1Bもその後端E2側を幅狭く構成することが可能となる。このような形態では、着用者の股下に差し込まれる尿パッド1Bの中央部4及び後端部6の幅を狭く構成することができる。従って、尿パッド1Bの中央部4及び後端部6の両側縁が着用者の内腿に当たり難くなり、着用感が向上する。更に、吸収体22の陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅を広く構成することで、幅狭い股下や臀溝が存在する背側と比較して平面的な形状の腹側に尿パッド1Bを幅広く当接させることができるので着用者が動いても尿パッド1Bの装着位置がずれ難いという効果を奏する。
前記の効果を考慮すると、吸収体22の陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅に対し、吸収体22前端の幅及び後端の幅がいずれも40〜80%の幅となっていることが好ましい。
なお、吸収体22前端及び吸収体22後端の幅よりも、陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅が広くなるように吸収体22を構成した場合、吸収体22前端の幅と吸収体22後端の幅を同一幅とすると、尿パッド1Bを連続生産する際の生産速度を高速化することができる点において好ましい。
なお、図2Aに示す尿パッド1Bのように、吸収体22の陰茎固定シート50Bが配置された部分のみならず、当該部分より尿パッド1Bの後端E2側の部分も連続して幅広に構成することが好ましい。このような形態は、吸収体22の陰茎固定シート50Bが配置された部分のみを幅広に構成し、それより吸収体22後端側の領域を幅狭く構成した形態と比較して、第1接合部52C、第2接合部52Dによって尿パッド1Bの幅方向中央部に収束された尿を幅広い吸収体22によって十分に吸収させることができ、漏れを生じ難くさせることができる点において好ましい。
[3]尿パッドの他の構成部材:
本発明の尿パッドは、図1A〜図1Cに示す尿パッド1Aのように、吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体22の表面を被覆するように配置されたトップシート18と、液不透過性材料からなり、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20と、を備えるものである。
[3−1]吸収体:
「吸収体」は、着用者の尿等を吸収し、保持するための部材であり、吸収性材料によって構成される。通常、吸収体はトップシートとバックシートの間に挟みこまれ、両シートと一体化された状態で用いられる。
「吸収性材料」としては、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。「フラッフパルプ」としては、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、「SAP」としては、ポリアクリル酸ナトリウムを、「親水性シート」としては、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
吸収体は、1種又は2種以上の吸収性材料を単層又は複層のマット状に成形したものを用いることが好ましい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させるか、フラッフパルプのマットの層間に層状に配置して用いればよい。
[3−2]トップシート:
トップシートは、着用者の尿等を透過させる必要から、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
「液透過性材料」としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
「不織布」としては、エアスルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。「親水化処理」は、界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
トップシートは、「少なくとも一部」、具体的には、トップシートを平面的に見た場合に、少なくとも吸収体の表面近傍は液透過性材料により構成されていることが好ましい。
[3−3]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(尿パッドの装着時において着用者の肌から遠い側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿が尿パッド外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体で吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の存在する部分にバックシートが配置されていることが好ましい。
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、おむつ内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
なお、バックシートの外表面側にカバーシートを貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[3−4]立体ギャザー:
本発明の尿パッドは、撥水性シートからなり、吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーを備えていることが好ましい。
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、尿パッドに使用される構成を採用することができる。例えば、撥水性シートの層間に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を挟み込んで固定し、その立体ギャザー伸縮材の収縮力によってギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。撥水性シートは、カードエンボス、スパンボンド等の製法により製造された不織布であってもよいが、防水性の高いSMS、SMMS等の不織布シートが更に好ましい。
なお、立体ギャザーは、立体ギャザー用の撥水性シートを別途付設してもよいし、尿パッドを構成するシート材(例えば、バックシート)の一部によって形成してもよい。
[3−5]伸縮材:
本発明の尿パッドには、図1A〜図1Cに示す尿パッド1Aのように、その両側縁部等に伸縮材40を配置してもよい。この伸縮材を配置することによって、尿パッドの両側縁部に伸縮性に富むギャザーを形成することができる。従って、尿パッドの両側縁部に隙間が形成され難くなり、いわゆる横漏れを効果的に防止することができる。
立体ギャザーが付設されている場合には、立体ギャザーの起立線より外側の部分に、伸縮材が配置されていることが好ましい。このような構成とすると、立体ギャザーの十分な防漏効果を確保しつつ、股下部の装用感・装着感を向上させることができる。
伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつや尿パッドで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
伸縮材は、十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、伸縮材が天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴムの弾性糸からなる糸ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
前記のような伸縮材は、尿パッドの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
本発明の尿パッドについて、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の尿パッドは、その発明特定事項を備えた尿パッドを全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施例1の尿パッドとして、図1A〜図1Cに示す尿パッド1Aを作製した。この尿パッド1Aは、成人用の尿パッドであり、長さを490mm、幅を210mmの略矩形状とした。吸収体は厚さ4mmのものを用いた。
尿パッド1Aには、陰茎固定シート50Aを付設した。陰茎固定シート50Aは、撥水性の不織布シートにより構成した。サイズは、幅130mm、長さ100mmの矩形状とした。また、陰茎固定シート50Aは、尿パッド1Aの前端E1から、60mm離れた位置に、陰茎固定シート50Aの前端が位置するように配置した。なお、陰茎固定シート50Aは、尿パッド1Aの吸収体22配置部位の上部に配置した。
陰茎固定シート50Aは、その両側縁部をホットメルト接着剤により、トップシート18の表面に接合した。第1接合部52A、第2接合部52Bは、陰茎固定シート50Aの前端における幅を各々20mmとし、長さ60mmの部分までは同一の幅とした。そこから連続的に第1接合部52A、第2接合部52Bの幅を拡大し、陰茎固定シート50Aの後端における幅を各々40mmとなるように構成した。
これにより、第1接合部52Aと第2接合部52Bとの間に形成される陰茎挿入部54Aの幅W1,W2が、尿パッド1Aの前端E1側から後端E2側に向かうにつれて狭くなるように構成した。陰茎固定シート50Aの前端における陰茎挿入部54Aの幅W1は90mm、陰茎固定シート50Aの後端における陰茎挿入部54Aの幅W2は50mmであり、幅W1に対する幅W2の比率は、56%の幅となっている。
〔実施例2〕
実施例2の尿パッドとして、図2A〜図2Cに示す尿パッド1Bを作製した。この尿パッド1Bは、成人用の尿パッドであり、長さを490mm、陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅を290mm、前端E1の幅を210mm、後端E2の幅を210mmに形成した。吸収体は厚さ4mmのものを用いた。
尿パッド1Bには、陰茎固定シート50Bを付設した。陰茎固定シート50Bは、撥水性の不織布シートにより構成した。サイズは、幅200mm、長さ100mmの矩形状をベースとし、陰茎固定シート50Bの前端における幅方向中央部が、陰茎固定シート50Bの後端側に向かって円弧状に切り欠かれた形状のものとした。陰茎固定シート50Bの幅方向中央部の長さは70mmとした。
また、尿パッド1Bの幅方向中心線上において、吸収体22の前端と円弧状に切り欠かれた陰茎固定シート50Bの前端との間隔が7cm離れるように、陰茎固定シート50Bを配置した。
陰茎固定シート50Bは、その両側縁部をホットメルト接着剤により、トップシート18の表面に接合した。第1接合部52C及び第2接合部52Dは、陰茎固定シート50Bの前後方向に延びるように配置された、各4本の線状接合部56a,58a,60a,62a,56b,58b,60b,62bから形成した。
複数本の線状接合部56a,58a,60a,62a,56b,58b,60b,62bは、全て幅10mmに形成し、5mm間隔で各4本の線状接合部を配置した。そして、陰茎固定シート50Bの幅方向中央側に配置された線状接合部56a,56bは長さ30mm、58a,58bは長さ60mm、陰茎固定シート50Bの側縁側に配置された線状接合部60a,62a,60b,62bは長さ90mmに形成した。
これにより、第1接合部52Cと第2接合部52Dとの間に形成される陰茎挿入部54Bの幅W1,W2が、尿パッド1Bの前端E1側から後端E2側に向かうにつれて狭くなるように構成した。陰茎固定シート50Bの前端における陰茎挿入部54Bの幅W1は140mm、陰茎固定シート50Bの後端における陰茎挿入部54Bの幅W2は80mmであり、幅W1に対する幅W2の比率は、57%の幅となっている。
尿パッド1Bには、吸収体22の幅方向中央部における、陰茎固定シート50Bの下部に位置する部分から、吸収体22の前端に向かって、陰茎収容用凹部64を形成した。具体的には、陰茎固定シート50Bの後端から5mm前端寄りの部分を起点とし、陰茎固定シート50Bの前端に相当する部分から吸収体22の前端側に50mmだけ、はみ出すように形成した。
陰茎収容用凹部64の深さは、吸収体22の全厚(4mm)に対し50%の深さ(2mm)とした。陰茎収容用凹部64の幅は、陰茎収容用凹部64前端の幅W3を80mm、陰茎収容用凹部64後端の幅W4を40mmとし、幅W3より幅W4の方が狭くなるように形成した。即ち、幅W3に対し、幅W4が50%の幅となるように形成した。
尿パッド1Bは、吸収体22が、吸収体22前端及び吸収体22後端の幅よりも、陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅が広くなるように構成した。具体的には、吸収体22の陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅を230mm、吸収体22前端の幅を150mm、吸収体22後端の幅を150mmとした。即ち、吸収体22の陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅に対し、吸収体22前端の幅が65%の幅、吸収体22後端の幅が65%の幅となるように構成した。なお、尿パッド1Bにおいては、陰茎固定シート50Bが配置された部分の幅が最大幅であり、この最大幅の部分が長さ200mm分だけ存在するように吸収体22を構成した。
本発明の尿パッドは、男性用、特に陰茎が萎縮した男性高齢者用の尿パッドとして利用することができる。
本発明の尿パッドの一の実施形態を示す概略平面図である。 図1Aに示す尿パッドのA−A’断面を模式的に示す概略断面図である。 図1Aに示す尿パッドのB−B’断面を模式的に示す概略断面図である。 本発明の尿パッドの別の実施形態を示す概略平面図である。 図2Aに示す尿パッドのA−A’断面を模式的に示す概略断面図である。 図2Aに示す尿パッドのB−B’断面を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
1A,1B:尿パッド、2:前端部、4:中央部、6:後端部、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、40:伸縮材、50A,50B:陰茎固定シート、52A,52B,52C,52D:第1接合部、54A,54B:陰茎挿入部、56a,56b,58a,58b,60a,60b,62a,62b:線状接合部、64:陰茎収容用凹部、E1:前端、E2:後端、E3,E4:側縁、W1,W2,W3,W4:幅。

Claims (7)

  1. 吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、を備えた尿パッドであって、
    前記尿パッドの前端側に、前記尿パッドの幅方向に延びるように配置された陰茎固定シートを更に備え、
    前記陰茎固定シートは、その幅方向両側縁部が前記トップシートの表面に接合されており、
    前記陰茎固定シートの一の側縁部を接合する第1接合部と、前記陰茎固定シートの他の側縁部を接合する第2接合部との間に形成される陰茎挿入部の幅が、前記尿パッドの前端側から後端側に向かうにつれて狭くなるように構成されている尿パッド。
  2. 前記陰茎固定シートは、その前端の幅方向中央部が後端側に向かって円弧状に切り欠かれた形状となっており、
    幅方向中央部の長さよりも、幅方向両側縁部の長さの方が長くなるように形成されている請求項1に記載の尿パッド。
  3. 前記第1接合部及び前記第2接合部が、前記陰茎固定シートの前後方向に延びるように配置された、複数本の線状接合部から形成され、
    前記複数本の線状接合部は、前記陰茎固定シートの幅方向中央側に配置されたものの長さよりも、前記陰茎固定シートの幅方向側縁側に配置されたものの長さの方が長くなるように配置されている請求項2に記載の尿パッド。
  4. 前記吸収体が、その幅方向中央部における、前記陰茎固定シートの下部に位置する部分から、前記吸収体の前端に向かって、陰茎収容用凹部が形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の尿パッド。
  5. 前記陰茎収容用凹部は、凹部前端の幅よりも凹部後端の幅の方が狭くなるように形成されている請求項4に記載の尿パッド。
  6. 前記吸収体が、その幅方向中央部における、前記陰茎固定シートの下部に位置する部分から、前記吸収体の後端に向かって、前記吸収体の他の部分に比して吸収性能が高い高吸収部が形成されたものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の尿パッド。
  7. 前記吸収体が、吸収体前端及び吸収体後端の幅よりも前記陰茎固定シートが配置された部分の幅が広くなるように構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の尿パッド。
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