JP2010148185A - 製造プラント発電設備の発電電力調整方法 - Google Patents

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【課題】製鉄所等の製造プラントに設置されている発電設備での発電電力を適切に調整することができ、それによって電力コストの適正化を図ることが可能となる、製造プラント発電設備の発電電力調整方法を提供する。
【解決手段】所定の時間範囲毎に、当該製造プラント内で使用される使用電力の時間的変化を予測し、その予測した使用電力の時間的変化に基づいて、外部から購入することが必要と予測される買電力量が所定の電力量を超えないように発電電力を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄所等の製造プラントに設置されている発電設備における発電電力の調整方法に関するものである。
通常、製鉄所には発電設備が設置されており、製鉄プロセスで発生する副生ガス(高炉ガス、コークス炉ガス、転炉ガス)を用いて発電を行い、その電力を製鉄所内の各工場に供給している(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、現存する技術では大容量の電力貯蔵が困難であることから、製鉄所内で使用する電力を全て副生ガスによる発電だけでは賄いきれない場合があり、その場合には、購入した燃料(例えば、都市ガスや重油)を用いて発電を行ったり、外部から電力を購入(買電)したりして、不足電力を補うようにしている。また、逆に発電した電力が余剰になった場合は、外部に電力を販売(売電)するようにしている。
その際、電力コストの適正化(最小化)を図るためには、製鉄所内で使用される電力を予測するとともに、使用する燃料(副生ガス、都市ガス、重油)間のコスト差や、買電価格と売電価格の価格差等を念頭において、発電設備で発電する電力を適切に調整することが重要になっている。
特開2007−270210号公報 特開2004−309067号公報
前述したような、製鉄所に設置された発電設備における発電電力の調整は、これまで、熟練オペレーターの経験的判断を加えて行われていた。しかし、熟練オペレーターの減少や使用燃料価格の大きな変動等から、それでは適切に対応できなくなってきた。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、製鉄所等の製造プラントに設置されている発電設備での発電電力を適切に調整することができ、それによって電力コストの適正化を図ることが可能となる、製造プラント発電設備の発電電力調整方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]製造プラントに設置されている発電設備での発電電力の調整方法であって、所定の時間範囲毎に、当該製造プラント内で使用される使用電力の時間的変化を予測し、その予測した使用電力の時間的変化に基づいて、外部から購入することが必要と予測される買電力量が所定の電力量を超えないように発電電力を調整することを特徴とする製造プラント発電設備の発電電力調整方法。
[2]当該発電設備で発電する発電電力量のための費用と、外部から購入する買電力量のための費用との合計から、外部に販売する売電力量による利益を差し引くことで算定される電力コストに基づいて、発電電力を調整することを特徴とする前記[1]に記載の製造プラント発電設備の発電電力調整方法。
[3]製造プラントが製鉄所であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の製造プラント発電設備の発電電力調整方法。
本発明においては、製鉄所等の製造プラントに設置されている発電設備での発電電力を適切に調整することができ、それによって電力コストの適正化を図ることができる。
本発明の実施形態を以下に述べる。なお、ここでは、製鉄所に設置されている発電設備(製鉄所発電設備)を例にして説明する。
通常、製鉄所内の各工場における電力使用形態(負荷形態)を区分すると、安定負荷と変動負荷の2つに区分することができる。安定負荷の工場とは、季節や稼動/休止状態に基づく変化はあるが、短期的にはほぼ一定の使用電力で運転されている工場のことであり、変動負荷の工場とは、常に使用電力が大きく変化している工場のことである。この変動負荷工場の代表は、圧延工場(熱延工場、厚板工場等)である。
図3は、変動負荷工場の代表例である熱延工場の仕上圧延機における使用電力の時間的変化の一例を示している。仕上圧延機では、圧延材の噛み込み(圧延開始)と同時に使用電力が30MW以上に急増し、圧延材の噛み離し(圧延完了)と同時に使用電力が0MWまで急減するというサイクルを繰り返している。
そして、安定負荷工場での使用電力と変動負荷工場での使用電力を合計したものが、製鉄所内での総使用電力ということになる。総使用電力は、安定負荷工場でのほぼ一定の使用電力の上に、変動負荷工場での時間的に変動する使用電力が載った形(波形)になる。
一方、製鉄所発電設備で用いる燃料については、通常、副生ガス、都市ガス、重油の順に安価な燃料を優先的に使用している。
また、一般的に、外部からの購入電力の時間的積算量(買電力量)の価格は、予め契約で定めた電力量(契約電力量)を超えると急激に上昇するように設定されている。これに対して、外部への販売電力の時間的積算量(売電力量)の価格は、買電力量価格より安価に設定されているが、大きく変動することはない。
上記のような状況を踏まえて、この実施形態においては、下記の2条件を満足するように、当該製鉄所発電設備の発電電力を調整・設定するようにしている。
(条件1)所定の時間範囲(例えば、60分間)毎に、製鉄所内で使用される総使用電力の時間的変化を予測し、その予測した総使用電力の時間的変化に基づいて、外部から購入が必要と予測される買電力量が契約電力量を超えないようにする。
(条件2)当該製鉄所発電設備で発電する発電電力量のための費用と、外部から購入する買電力量のための費用との合計から、外部に販売する売電力量による利益を差し引くことで算定される電力コストを最小にする(できるだけ引き下げる)。
上記において、製鉄所内で使用される総使用電力の時間的変化を予測するに際しては、前述したように、製鉄所の総使用電力は、安定負荷工場でのほぼ一定の使用電力の上に、変動負荷工場での周期的に変動する使用電力が載った形(波形)になっているので、その変動負荷工場の使用電力の時間的変化(使用電力波形)を精度よく予測することが大切になる。
そこで、一例として、熱延工場の仕上圧延機における使用電力の時間的変化(使用電力波形)を予測する場合について、以下に述べる。
前述したが、熱延工場の仕上圧延機の使用電力は、図3に示すように、任意の圧延材の圧延開始と同時に30MW以上に急増し、その後徐々に増加して、その圧延材の圧延完了と同時に0MWまで急減するというサイクルを繰り返している。そこで、ここでは、圧延材1本毎に、その際の使用電力波形を予測するようにしている。
そして、この圧延材毎の使用電力波形を予測する手法として、過去の操業実績に基づいて、圧延材毎の使用電力波形をデータベース化しておき、今後予定されている圧延材について、その使用電力波形データベースを参照して、圧延材毎使用電力の波形を予測するようにしている。
ここで、使用電力波形データベースの分類項目(パラメータ)としては、スラブの厚さ、スラブの幅、スラブの長さ、コイルの厚さ、コイルの幅、コイルの長さ、変形抵抗を用いている。ただし、変形抵抗については、カーボン量で置き換えてもよいし、鋼種符号等で代表させてもよい。
なお、上記のように使用電力の時間的変化(使用電力波形)をデータベース化するのに替えて、上記の分類項目(パラメータ)を変数とした数式モデルを作成し、その数式モデルによって、今後予定されている圧延材の使用電力の時間的変化(使用電力波形)を算定するようにしてもよい。
以下に、上記の考え方に基づいて当該製鉄所発電設備での発電電力の調整を行う手順を、図1に示すフロー図と、図2に示す電力波形図に基づいて説明する。
(S1)まず、安定負荷工場について、季節や稼動/休止状態に基づいて、その使用電力(ベース電力)を予測する。
(S2)次に、変動負荷工場について、前述した手法に基づいて、所定の時間範囲(例えば、0分〜60分)における使用電力の時間的変化(使用電力波形)を予測する。
(S3)そして、(S1)で予測したベース電力と、(S2)で予測した使用電力波形を合計することで、総使用電力波形を予測する。そのようにして予測した60分間の総使用電力波形(予測総使用電力波形)の例を図2中に示してある。
(S4)一方、製鉄所発電設備に投入する燃料の量を仮定する。
(S5)そして、上記の投入燃料に基づく発電電力を算出(仮定)する。
(S6)次に、(S3)で予測した総使用電力波形と、(S5)で仮定した発電電力とから、買電力量と売電力量を予測する。
例えば、図2においては、発電電力を330MWと仮定した場合に、発電電力330MWの線と、その上方の総使用電力波形とで囲まれる部分の面積A1〜A7の総和が予測される買電力量となり、発電電力330MWの線と、その下方の総使用電力波形とで囲まれる部分の面積B1〜B8の総和が予測される売電力量となる。
(S7)予測した買電力量が契約電力量以下であるか否かを判断する。もし、Noの場合(買電力量が契約電力量以下でない場合)には、(S4)に戻って、製鉄所発電設備に投入する燃料の量を増やし、(S5)〜(S7)を繰り返す。一方、Yesの場合(買電力量が契約電力量以下の場合)は、(S8)に進む。
(S8)上記の仮定した発電電力(例えば、330MW)のもとでの電力コストを算定する。ここで、電力コストは、当該製鉄所発電設備での発電電力量(例えば、330MW・h)のための費用(投入燃料費)と、買電力量のための費用(買電力量×買電力単価)との合計から、売電力量による利益(売電力量×売電力単価)を差し引くことで算定される。
(S9)そして、算定された当該発電電力(例えば、330MW)のもとでの電力コストがこれまでに算定されている最小電力コストよりも低いか否かを判断する。もし、Yesの場合には、(S10)に進み、Noの場合は、(S11)に進む。なお、初めて(S9)を通過する場合は、必ずYesとして、(S10)に進む。
(S10)当該発電電力のもとでの電力コストを最小電力コストとして、(S11)に進む。
(S11)上記のような算定計算を終了するか否かを判断する。もし、Noの場合(算定計算を継続する場合)には、(S4)に戻る。Yesの場合(算定計算を終了する場合)には、(S12)に進む。例えば、これ以上発電電力(投入燃料量)を上げると、当該製鉄所発電設備の発電能力を超えてしまう場合には、算定計算を終了して、(S12)に進む。
(S12)これまでの算定結果に基づいて、(条件1)買電力量≦契約電力量、(条件2)最小電力コストの2条件を満足する発電電力(投入燃料量)を実際に設定する発電電力(投入燃料量)に決定する。
そして、次の所定の時間範囲(例えば、60分〜120分)に対して、上記の(S1)〜(S12)を行うことで、順次、所定の時間範囲毎に、実際に設定する発電電力(投入燃料量)に決定していく。
このようにして、この実施形態においては、製鉄所に設置されている発電設備での発電電力を適切に調整することができ、それによって電力コストの適正化を図ることができる。
なお、上記の実施形態では、発電電力(投入燃料量)を順次変更して算定計算を行っているが、算定計算を行う発電電力(投入燃料量)を予め決めておき(例えば、300MW〜400MWを10MW間隔で行う)、それらの算定計算の結果から、(条件1)買電力量≦契約電力量、(条件2)最小電力コストの2条件を満足する発電電力(投入燃料量)を見付けるようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、(条件1)買電力量≦契約電力量、(条件2)最小電力コストの2条件を満足する発電電力(投入燃料量)を実際に設定する発電電力(投入燃料量)に決定していたが、場合によっては、(条件1)買電力量≦契約電力量を満足する任意の発電電力(投入燃料量)を実際に設定する発電電力(投入燃料量)に決定するようにしてもよい。
そして、上記の実施形態においては、製鉄所に設置されている発電設備を例にして述べたが、本発明は、常に使用電力が大きく変化している変動負荷工場を備えた製造プラントに対して適用することができる。
本発明の一実施形態における処理フロー図である。 本発明の一実施形態において予測した総使用電力波形等を示す図である。 熱延工場の仕上圧延機における使用電力波形を示す図である。

Claims (3)

  1. 製造プラントに設置されている発電設備での発電電力の調整方法であって、所定の時間範囲毎に、当該製造プラント内で使用される使用電力の時間的変化を予測し、その予測した使用電力の時間的変化に基づいて、外部から購入することが必要と予測される買電力量が所定の電力量を超えないように発電電力を調整することを特徴とする製造プラント発電設備の発電電力調整方法。
  2. 当該発電設備で発電する発電電力量のための費用と、外部から購入する買電力量のための費用との合計から、外部に販売する売電力量による利益を差し引くことで算定される電力コストに基づいて、発電電力を調整することを特徴とする請求項1に記載の製造プラント発電設備の発電電力調整方法。
  3. 製造プラントが製鉄所であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造プラント発電設備の発電電力調整方法。
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