JP2010146861A - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極の折れを抑制し、信頼性が高く、ランプ寿命の長いショートアーク型放電ランプを提供することにある。
【解決手段】 本発明のショートアーク型放電ランプは、電極本体部21と電極本体部21に比べて外径の小さい軸部22とを有する一対の電極2が発光管1内に配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、電極本体部21の基端側には、軸部22に向かうに従い外径が縮小するテーパー部24が形成され、テーパー部24には、電極2の軸L線方向に複数の穴26が並んで設けられている。さらに、電極2は、99.999%以上の純度を有するタングステンからなることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

この発明は、ショートアーク型放電ランプに関する。特に、液晶ディスプレイ装置やDMD(デジタルミラーデバイス)を用いたDLP(デジタルライトプロセッサ)などのプロジェクター装置用の光源であるショートアーク型放電ランプに関する。
プロジェクター装置は、矩形状のスクリーンに対して、均一にしかも十分な演色性をもって画像を照明させることが要求される。そのため、プロジェクター装置用の光源には、発光管内に水銀が0.15mg/mm以上封入され、点灯時の発光管内の水銀蒸気圧が150気圧以上になるショートアーク型放電ランプが使用される。
図1は、ショートアーク型放電ランプを管軸を含む平面で切断した断面図である。
ショートアーク型放電ランプは、内部空間が形成された略球状の発光部1と、発光部1の両端に連続する柱状の封止部3を有し、内部空間には、一対の電極2が対向配置されるとともに、発光物質として0.15mg/mm以上の水銀と、ハロゲンサイクルを行なうためのハロゲンガスが封入されている。
電極2の軸部22の一部が封止部3に埋設されるとともに、給電用の金属箔4の一端に接続されている。金属箔4の他端には、封止部3から外方に突出する外部リード5が接続されている。
このような構造の放電ランプは、特許文献1に記載されている。
最近では、高出力化のために、電極に投入する電力を高くし、且つ、発光部に封入する水銀の量を増加させて点灯圧力を高める工夫がなされている。
この結果、ランプ点灯中に電極の温度がさらに上昇して、電極を構成するタングステンの結晶粒が成長して、それぞれのタングステンの結晶粒の間に存在する結晶粒界が少なくなる傾向にある。
このように、電極を構成するタングステンの結晶粒が成長して、結晶粒界が少なくなると、ランプに外部から振動が加わると、電極が折れるという問題があった。
さらには、交流点灯のランプにおいては、電極自身は、高い周期で極性反転が起きるため、この極性反転に伴い電極自体が振動し、電極が折れるという問題があった。
特開2008−282554号
本発明は、以上のような事情に基いてなされたものであり、その目的は、電極の折れを抑制し、信頼性が高く、ランプ寿命の長いショートアーク型放電ランプを提供することにある。
請求項1記載のショートアーク型放電ランプは、電極本体部と当該電極本体部に比べて外径の小さい軸部とを有する一対の電極が発光管内に配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、前記電極本体部の基端側には、前記軸部に向かうに従い外径が縮小するテーパー部が形成され、前記テーパー部には、前記電極の軸線方向に複数の穴が並んで設けられていることを特徴とする。
請求項1記載のショートアーク型放電ランプは、請求項1に記載のショートアーク型放電ランプであって、特に、前記電極は、99.999%以上の純度を有するタングステンからなることを特徴とする。
請求項1記載のショートアーク型放電ランプは、電極本体部と当該電極本体部に比べて外径の小さい軸部とを有する一対の電極が発光管内に配置され、前記電極本体部の基端側には、前記軸部に向かうに従い外径が縮小するテーパー部が形成され、前記テーパー部には、電極の軸線方向に並んで複数の穴が設けられている。
このため、電極が最も折れやすい部分であるテーパー部に穴を設けることにより、テーパー部の電極を構成する電極構成物質の結晶粒の成長を抑制し、結晶粒界の消滅を防止することができ、電極軸方向で結晶粒が入り組んだ状態になり、結晶粒同士が結晶粒界でスベらず、電極の折れを確実に防止することができる。
請求項2記載のショートアーク型放電ランプは、99.999%以上の純度を有するタングステンからなるので、電極の構成材料であるタングステンに微量に含まれる不純物が少く、電極の結晶粒界における空孔や欠陥が起因で電極の強度が低下する現象を避けられるものである。
図1は、本発明のショートアーク型放電ランプの概略構成を示す。
同図に示すショートアーク型放電ランプ(以下、単に、ランプと略すこともある)は、略球状に形成された発光管1を備える。発光管1の内部には、一対の電極2,2が互いに向き合って配置されると共に、発光物質である水銀とハロゲンガスと希ガスとが封入される。
発光管1の両端には、一対の封止部3のそれぞれが連続して伸びている。これらの封止部3の内部には、モリブデンよりなる導電用の金属箔4が、例えばシュリンクシールによって気密に封止されている。電極2の軸部22が金属箔4の一端部に接続されて電気的に接続されている。給電用の外部リード5が、金属箔4の他端部に接続されると共に、封止部3の外端から封止部3外方に伸び出ている。
上記したショートアーク型放電ランプは、外部リード5および金属箔4を介して両電極2に給電され、例えば交流点灯される。
発光管1の内部には、水銀と、ハロゲンガスと、希ガスとが封入されている。水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜780nmという放射光を得るためのもので、0.15mg/mm以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時の発光管内における水銀蒸気圧が150気圧以上となるように定められたものである。水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧を200気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧とすることができる。水銀蒸気圧を高くすることにより、プロジェクター装置に適した光源とすることができる。
希ガスは、例えばアルゴンガスが約13kPa封入され、点灯始動性を改善するために封入される。ハロゲンガスは、ハロゲンサイクルを利用することによりランプを長寿命化するという目的で、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入される。ハロゲンガスの封入量は、10−6〜10−2μmol/mmの範囲から選択される。
ショートアーク型放電ランプの数値例は、以下のとおりである。
発光部の最大外径が9.5mm、電極間距離が1.5mm、発光管内容積が75mm、定格電圧が80V、定格電力が150Wである。また、プロジェクター装置の光源に適用されるショートアーク型放電ランプは、発光管が小型であるため発光管1内の熱的条件が極めて厳しいものとなる。例えば、管壁負荷値が0.8〜2.0W/mmであり、発光管の内壁と電極との最短距離が、標準のもので2.0mm以下であり、1.5mm以下、1.0mm以下のものもある。
図2は、本発明のショートアーク型放電ランプの電極の一例を示す。
同図(a)は電極の平面図、同図(b)は(a)のA−A線断面図である。
電極2は、電極本体部21と、電極本体部21よりも外径が小さい軸部22と、を備える。電極本体部21の先端側には、電極本体部21から遠ざかるに従い徐々に外径が縮小するテーパー部23が形成されている。このテーパー部23の先端には、突起部25が形成されている。電極本体部21の基端側には、軸部22に向かうに従い徐々に外径が小さくなるように形成されたテーパー部24が形成される。このテーパー部24の基端部には、軸部22が連続している。
上記の電極本体部21、軸部22、テーパー部23、24および突起部25は、同一の部材によって物理的に一体に形成され、例えば1本のタングステン製の棒材を切削加工することによって形成される。これら電極本体部、軸部、テーパー部および突起部は、高純度のタングステン材料によって構成され、特に、純度5N(99.999%)以上のタングステン材料を使用することが好ましい。
電極本体部21の先端側に形成されたテーパー部23は、全体が円錐台形状であり、テーパー部23の基端部の外径が電極本体部21の外径に等しい。突起部25は、円錐台形状、円柱形状を有する。突起部25は、交流点灯のランプにおいては、その近傍にアークが形成される部位であり、最も高温な部位である。突起部25は、テーパー部23と物理的に一体に形成することもできるが、ハロゲンガスを封入したランプにおいては、点灯時間の経過に伴って自然に形成される場合もある。
電極本体部21の基端側に形成されたテーパー部24は、全体が円錐台形状であり、テーパー部24の先端部の外径が電極本体部21の外径に等しく、テーパー部24の基端部の外径が軸部22の外径に等しい。
図2(a)に示すように、テーパー部24には、電極の軸線L方向に複数の穴26が並んで設けられている。同図の形態によれば、穴26は、テーパー部24と電極本体部21のテーパー部24側に形成されている。
そして、各穴26は、図2(b)に示すように、電極の軸線Lを中心して放射状に形成されることにより、各穴26の各底部が電極中心に向かって伸びている。
本発明の第1実施形態に係る電極に関する数値例を以下に示す。
電極本体部21の外径が1.8mm、電極本体部21の全長が2.5mm、テーパー部の23の全長が0.5mm、テーパー部24の全長が1mm、軸部22の外径が0.5mm、軸部22の全長が5mmである。
穴26の形状は、凹んだ半球状の形状であって、直径30〜100μm、深さ50〜800μmであり、隣合う穴26同士の離間関係は、穴26の中心と隣に位置する穴26の中心との離間距離が、穴の直径の3倍以内である。
また、これらの穴26は、電極2の軸線L方向に直線上に並んで配置されている。
穴26は、テーパー部24と電極本体部21に対してレーザービームを照射することにより形成される。
穴の製造方法について以下に図3を用いて説明する。
図3(a)に示すように、パルス状のレーザービームを電極2の軸線L方向にスキャンさせながら、テーパー部24と電極本体部21に照射して複数の穴26aを形成する。
穴26aを形成した後に電極本体部21を周方向に所定角度(90°)回転させ、図3(b)に示すように、パルス状のレーザービームを電極2の軸線L方向にスキャンさせながらテーパー部24と電極本体部21に照射して溝部26bを形成する。
この動作を順次行うことにより、図2(b)に示す残りの穴26c、穴26dを形成する。
なお、穴26a、穴26b、穴26c、穴26dは、電極本体部21にも形成されているが、電極本体部21には必ずも設ける必要はなく、穴26a、穴26b、穴26c、穴26dは、必ずテーパー部24に設けられている。
レーザービームの照射条件は、穴26の深さが50〜800μmとなるように適宜に選択した。具体的には、基本波、周波数が20kHz、平均出力が8W、照射時間(穴1つあたり)が0.1〜1秒、波長が1064nmである。
上記の方法により作製された電極2は、タングステンの結晶粒がランプの点灯時に著しく成長しようとするが、テーパー部24には、軸線Lに沿って複数の穴26が並んで設けられていることにより、テーパー部24において結晶粒が軸線Lに直交する方向に成長することが阻害される。すなわち、テーパー部24は、軸線Lに沿って複数の穴26を有することにより、結晶粒の成長方向が軸線L方向になり、電極軸方向で結晶粒が入り組んだ状態になりそのため、テーパー部24は、その径方向断面において穴26の両側に各々独立した結晶粒が形成され、結晶粒が成長して粗大化することを抑制できる。この結果、電極軸に直交した単一粒界面が形成されることを回避できる。
したがって、本発明の電極2は、テーパー部24の破断強度が高いものとなり、粒界強度の低下に伴う電極折れを確実に防止することができる。
図4は、本発明のショートアーク型放電ランプの電極の他の実施例を示す。
同図(a)は電極の平面図、同図(b)は(a)のA−A線断面図である。
図4の電極2は、図2の電極2と同様に、電極本体部21の基端側には、軸部22に向かうに従い徐々に外径が小さくなるように形成されたテーパー部24が形成される。このテーパー部24の基端部には、軸部22が連続している。
図4(a)に示すように、テーパー部24には、電極の軸線L方向に複数の穴26が並んで設けられている。同図の形態によれば、穴26は、テーパー部24と電極本体部21のテーパー部24側に形成されている。
具体的には、電極の軸線L方向に複数の穴26aが直線状に並んで設けられており、この直線状に並んだ複数の穴26aの近傍に、電極の軸線L方向に複数の穴26bが直線状に並んで設けられており、さらに、この直線状に並んだ複数の穴26bの近傍に、電極の軸線L方向に複数の穴26cが直線状に並んで設けられている。
つまり、複数の穴26a、穴26b、穴26cによって、テーパー部24と電極本体部21には、帯状の穴存在領域が形成されている。
なお、穴26a、穴26b、穴26cは、電極本体部21にも形成されているが、電極本体部21には必ず設ける必要はなく、穴26a、穴26b、穴26cは、必ずテーパー部24に設けられている。
そして、各穴26a、穴26b、穴26cは、図4(b)に示すように、電極の軸線Lを中心して対称となるように形成され、各穴26の各底部が電極中心に向かって伸びている。
図5は、本発明のショートアーク型放電ランプの電極の他の実施例を示す。
同図(a)は電極の平面図、同図(b)は(a)のA−A線断面図である。
図5の電極2は、図2の電極2と同様に、電極本体部21の基端側には、軸部22に向かうに従い徐々に外径が小さくなるように形成されたテーパー部24が形成される。このテーパー部24の基端部には、軸部22が連続している。
図5(a)に示すように、テーパー部24には、電極の軸線L方向に複数の穴26が並んで設けられている。同図の形態によれば、穴26は、テーパー部24と電極本体部21のテーパー部24側に形成されている。
具体的には、電極の軸線L方向に複数の穴26aが曲線を描くように並んで設けられており、電極の軸線L方向に複数の穴26bが曲線を描くように並んで設けられている。
つまり、複数の穴26a、穴26は、テーパー部24と電極本体部21に不規則に形成されている。
なお、穴26a、穴26bは、電極本体部21にも形成されているが、電極本体部21には必ず設ける必要はなく、穴26a、穴26bは、必ずテーパー部24に設けられている。
そして、各穴26a、穴26bは、図5(b)に示すように、電極の軸線Lを中心して不規則に形成され、各穴26の各底部が電極中心に向かって伸びている。
上述した、図4、図5に示す電極2は、図2に示す電極2と同様に、テーパー部24には、軸線Lに沿って複数の穴26が並んで設けられていることにより、テーパー部24において結晶粒が軸線Lに直交する方向に成長することが阻害される。すなわち、テーパー部24は、軸線Lに沿って複数の穴26を有することにより、結晶粒の成長方向が軸線L方向になり、電極軸方向で結晶粒が入り組んだ状態になりそのため、テーパー部24は、その径方向断面において穴26の両側に各々独立した結晶粒が形成され、結晶粒が成長して粗大化することを抑制できる。この結果、電極軸に直交した単一粒界面が形成されることを回避できる。
したがって、本発明の電極2は、テーパー部24の破断強度が高いものとなり、粒界強度の低下に伴う電極折れを確実に防止することができる。
そして、図2、図4、図5に示す電極2は、99.999%以上の純度を有するタングステンからなるので、電極の構成材料であるタングステンに微量に含まれる不純物が少く、電極の結晶粒界における空孔や欠陥が起因で電極の強度が低下する現象を避けられるものであり、より一層、粒界強度の低下に伴う電極折れを防止することができる。
このような電極を用いたショートアーク型放電ランプによれば、電極の折れを抑制し、信頼性が高く、ランプ寿命の長いものとなる。
本発明のショートアーク型放電ランプの概略構成を示す正面図である。 本発明のショートアーク型放電ランプの電極の一例を示す部分説明図である。 電極の穴の製造方法を示す斜視図である。 本発明のショートアーク型放電ランプの電極の他の例を示す部分説明図である。 本発明のショートアーク型放電ランプの電極の他の例を示す部分説明図である。
符号の説明
1 発光管
2 電極
21 電極本体部
22 軸部
23 テーパー部
24 テーパー部
25 突起部
3 封止部
4 金属箔
5 外部リード
26 穴
26a 穴
26b 穴
26c 穴
26d 穴

Claims (2)

  1. 電極本体部と当該電極本体部に比べて外径の小さい軸部とを有する一対の電極が発光管内に配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記電極本体部の基端側には、前記軸部に向かうに従い外径が縮小するテーパー部が形成され、
    前記テーパー部には、前記電極の軸線方向に複数の穴が並んで設けられていることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。
  2. 前記電極は、99.999%以上の純度を有するタングステンからなることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。
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