JP2010144247A - スパッタリング装置および成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気異方性の方向のバラツキを低減した磁性膜を形成可能なスパッタリング装置および成膜方法を提供すること。
【解決手段】本発明のスパッタリング装置は、回転可能なカソード802と、回転可能なステージ801と、回転可能な遮蔽板805とを備える。上記スパッタリング装置は、スパッタリング中において、ターゲット803aから発生したスパッタ粒子のうち、基板804の法線との成す角度が0°以上50°以下の角度で入射するスパッタ粒子を基板804に入射させるように、カソード802、ステージ801、および遮蔽板805の少なくとも1つの回転を制御する。
【選択図】図8
【解決手段】本発明のスパッタリング装置は、回転可能なカソード802と、回転可能なステージ801と、回転可能な遮蔽板805とを備える。上記スパッタリング装置は、スパッタリング中において、ターゲット803aから発生したスパッタ粒子のうち、基板804の法線との成す角度が0°以上50°以下の角度で入射するスパッタ粒子を基板804に入射させるように、カソード802、ステージ801、および遮蔽板805の少なくとも1つの回転を制御する。
【選択図】図8
Description
本発明は、スパッタリング装置および成膜方法に関する。
近年、読み込み・書き込みヘッドやマイクロインダクタ、マイクロ変圧器などにおいて磁気素子の高周波用途が広がってきており、GHz帯域においても良好な高周波特性をもつ磁性薄膜が求められていることから、これらに関係する研究開発も積極的に行われている。磁性薄膜を高周波帯域で使用するには、薄膜の電気抵抗を高めることで渦電流損を減らし、かつ共鳴周波数を高めることが必要である。この共鳴周波数を高める方法としては異方性磁界Hkや飽和磁化Msを高めることが挙げられるが、HkとMsを同時に高めることは一般的に困難であり、トレードオフの関係を持つ。しかし近年、スパッタリング法やイオンビーム法を使用して、基板に対してスパッタ粒子を斜めに入射、配向させることで結晶の形状効果による一軸磁気異方性を高めることが可能になり、高いMsを保持しつつ、Hkも高めることが可能となった。
上述のようにスパッタ粒子を斜め入射する目的は、該斜め入射により膜内で形状磁気異方性を発生させ、高い磁気異方性を付与することである。そこで重要となるのは、
[1]磁気異方性のバラツキを如何に抑えるか、
[2]磁化容易軸(磁化困難軸)をどの程度そろえるか、
である。これは、一枚のウエハからヘッドチップを大量に切り出すため、ウエハ面内において、上記2点のバラツキが大きいと、切り出された個々のヘッド性能がマチマチになってしまうからである。
[1]磁気異方性のバラツキを如何に抑えるか、
[2]磁化容易軸(磁化困難軸)をどの程度そろえるか、
である。これは、一枚のウエハからヘッドチップを大量に切り出すため、ウエハ面内において、上記2点のバラツキが大きいと、切り出された個々のヘッド性能がマチマチになってしまうからである。
現在の、スパッタ粒子の斜め入射成膜においては、量産性を考慮した場合、様々な入射角度を持つスパッタ粒子が基板に到来し、該様々な入射角度が磁気異方性のバラツキを生じさせる。
<ケース1>
例えば、スパッタ粒子の入射角度をそろえるための成膜では、図1<ケース1>に示すように、コリメータ1をターゲット2と基板4との間に配置することが挙げられる。これにより、ターゲット2から発生したスパッタ粒子3の入射方向を選別することで均一性の高い成膜が可能である。ところが、この方法では、スパッタ粒子3の飛来数が減少し、生産性を落としてしまう。
例えば、スパッタ粒子の入射角度をそろえるための成膜では、図1<ケース1>に示すように、コリメータ1をターゲット2と基板4との間に配置することが挙げられる。これにより、ターゲット2から発生したスパッタ粒子3の入射方向を選別することで均一性の高い成膜が可能である。ところが、この方法では、スパッタ粒子3の飛来数が減少し、生産性を落としてしまう。
<ケース2>
図1の<ケース2>に示すように、コリメータ1の径を広げると、様々な方向からスパッタ粒子3が基板4に入射することになる。従って、磁気異方性のバラツキを生じさせる可能性はあるが、量産性には期待が持てる。
図1の<ケース2>に示すように、コリメータ1の径を広げると、様々な方向からスパッタ粒子3が基板4に入射することになる。従って、磁気異方性のバラツキを生じさせる可能性はあるが、量産性には期待が持てる。
<ケース3>
しかしながら<ケース2>の場合、基板4全面にわたり均一に成膜するには、基板4またはターゲット2を移動させる必要がある。この際、ターゲット2と基板4との相対的な位置関係に応じて基板4へのスパッタ粒子3の入射角度が異なることになる。すなわち、図1の<ケース3>に示すように、ターゲット2を固定し、基板4を移動させる場合、移動する基板4の位置によってはスパッタ粒子3の入射角度が大きくなったり、小さくなったりする。よって、このスパッタ粒子3の入射角度が異なることで、基板4に形成される膜の磁気異方性にバラツキが生じることになる。
しかしながら<ケース2>の場合、基板4全面にわたり均一に成膜するには、基板4またはターゲット2を移動させる必要がある。この際、ターゲット2と基板4との相対的な位置関係に応じて基板4へのスパッタ粒子3の入射角度が異なることになる。すなわち、図1の<ケース3>に示すように、ターゲット2を固定し、基板4を移動させる場合、移動する基板4の位置によってはスパッタ粒子3の入射角度が大きくなったり、小さくなったりする。よって、このスパッタ粒子3の入射角度が異なることで、基板4に形成される膜の磁気異方性にバラツキが生じることになる。
なお、本明細書において、「入射角度」とは、スパッタ粒子を入射する成膜対象の基板の法線と、入射するスパッタ粒子の入射方向とのなす角度を指す。従って、「低入射角度」とは、スパッタ粒子の入射方向の、基板法線からの傾きが相対的に小さい場合の入射角度であり、「高入射角度」とは、スパッタ粒子の入射方向の、基板法線からの傾きが相対的に大きい場合の入射角度である。
さて、入射角度によって磁気異方性にバラツキが生じる理由は、磁化容易軸(磁化困難軸)の方向や異方性磁界の大きさ(Hk)が入射角度に強く依存するからである。
例えば、図2に示すように、スパッタ粒子5の入射角度が10°〜70°の範囲では、入射方向に対して垂直な方向に磁化容易軸6が形成される。一方、スパッタ粒子5の入射角度が70°以上では、入射方向に対して平行に磁化容易軸6が形成される。つまり、磁性膜がどの入射角度で入射したスパッタ粒子で構成されるかに応じて、磁化容易軸の方向が変わってくるため、最終的にskew分散角(定義:磁化容易軸の角度ズレ幅)に影響を与える。
例えば、図2に示すように、スパッタ粒子5の入射角度が10°〜70°の範囲では、入射方向に対して垂直な方向に磁化容易軸6が形成される。一方、スパッタ粒子5の入射角度が70°以上では、入射方向に対して平行に磁化容易軸6が形成される。つまり、磁性膜がどの入射角度で入射したスパッタ粒子で構成されるかに応じて、磁化容易軸の方向が変わってくるため、最終的にskew分散角(定義:磁化容易軸の角度ズレ幅)に影響を与える。
特許文献1では、カルーセル形式のスパッタリング装置において、形成される強磁性膜の異方性を制御する技術が開示されている。具体的には、磁性体ターゲットと、回転する基板ホルダーとの間に、開口幅を変えることができるマスクを配置し、該マスクの開口幅を変えることで、磁気異方性の方向および大きさを制御している。
また、特許文献2には、磁気ヘッドに絶縁薄膜を堆積させる方法であって、大きな表面積に均一に絶縁薄膜を形成するための方法が開示されている。図3は、特許文献2に開示された堆積装置の概略図である。図3に示す堆積装置は、第1のイオンビームガン12、第2のイオンビームガン13、ターゲットホルダー14、および基板支持体16を収納したチャンバ11を備えている。
基板支持体16は、シャフト16bの周り(軸21aの周り)を回転可能なターンテーブル16aと、軸21bの周りを回転可能な基板取付台16cとを有している。基板支持台16c上にはターゲット材を堆積させる基板17を配置することができる。一方、ターゲットホルダー14は、矢印方向22に揺動可能に構成されており、ターゲット15を取り付けることが可能である。
第1のイオンビームガン12は、イオンビーム18がターゲット15に入射するように配置されており、該イオンビーム18によりターゲット15からターゲット材がランダムな方向20に分散される。また、第2のイオンビームガン13は、堆積プロセス中に、もう1つのイオンビーム19を基板17に入射するように設けられている。
特許文献2に開示された方法では、上述の構成においてターゲットホルダー14、ターンテーブル16a、基板取付台16cを適切に回転させることにより、基板17上に均一な膜厚を達成することができる。
上述のように特許文献1に開示された方法では、基板の第1の方向(例えば、X方向)に磁化容易軸の方向を設定する場合、マスクの開口幅を狭くなるように制御している。この制御により、回転する基板ホルダーに配置された基板面とターゲット面とが対向する位置(平行な位置)以外の位置(位置A)に基板が位置する場合は、基板に入射するスパッタ粒子のうち、第1の方向に平行な成分(X)、および第1の方向とは直交する第2の方向(Y方向)に平行な成分(Y)は、マスクにより基板に入射しないということが特許文献1には開示されている。一方、回転する基板ホルダーに配置された基板面とターゲット面とが対向する位置(位置B)に基板が位置する場合は、上記第1の方向に平行な成分(X)は基板に対して垂直に近い角度で入射し、上記第2の方向(Y方向)に平行な成分(Y)は基板に対して鋭角(高入射角度)で入射するようになる。これにより、上記第1の方向の磁化容易軸の増加を図っている。
しかしながら、図4に示すように、マスク42の開口幅を狭くしても、位置Aに基板が位置する場合において、基板41に対して鋭角(高入射角度)に入射するスパッタ粒子(第1の方向に平行な成分(X)44)が存在する場合がある。この成分(X)は第2の方向に磁化容易軸を形成することになる。従って、第1の方向のみならず、第2の方向にまで磁化容易軸が形成されることになり、磁化容易軸の乱れを招いてしまう。
また、基板ホルダーを回転させながら成膜をする場合、図5Aおよび5Bに示すように、基板51の両端において、ターゲット53から基板51へと入射されるスパッタ粒子54の入射角度が異なってしまう。これは、まさに<ケース3>にて説明した、現在抱えている問題に他ならない。図5Aは、マスク52の開口幅が狭い場合についての説明図であり、図5Bは、マスク52の開口幅が広い場合についての説明図である。
なお、図4、5A,5Bにおいて、基板41、51が配置される基板ホルダーを、図面の簡便化を図って省略している。
なお、図4、5A,5Bにおいて、基板41、51が配置される基板ホルダーを、図面の簡便化を図って省略している。
さらに、特許文献1のカルーセル型のスパッタリング装置の基板ホルダーの回転速度は一定であるため、膜厚分布を調節することが難しい。
このように、特許文献1に開示された技術では、形成される磁化容易軸の方向を制御することは可能であるが、磁気異方性や膜厚分布を均一にすることは難しかった。
また、特許文献2では、厚みが均一になるように絶縁薄膜を形成することを目的として、ターンテーブル16a、および基板取付台16cを回転させながら成膜を行っている。従って、各入射角度のスパッタ粒子はあらゆる方向から基板17に入射することになる。さらに、基板17には、低入射角度から高入射角度まであらゆる角度で基板17に入射することになる。従って、基板17に形成される磁気異方性は等方的なものとなり、磁化容易軸を良好に揃えることは困難であった。そもそも、特許文献2には、磁気異方性のバラツキを低減させることについては何ら議論されていない。
さらに、特許文献2では、良好な密度を有する薄膜を形成するために、第2のイオンビームガン13を用いている。すなわち、特許文献2では、第2のイオンビームガン13から照射される補助ビームによる適度のボンバード(叩き)により膜の接着性の改善を図っている。
このように、特許文献2では、形成される薄膜の密度を良好にしつつ、均一な薄膜を形成するために、第1のイオンビームガンおよび第2のイオンビームガンが必要であり、装置の複雑化、コストアップに繋がっている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、磁気異方性の方向のバラツキを低減した磁性膜を形成可能なスパッタリング装置および成膜方法を提供することにある。
さらに、他の目的は、簡便な構成で、スパッタリングにより形成される膜中の原子密度の均一化を図ることが可能なスパッタリング装置および成膜方法を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、スパッタリング装置であって、スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、第1の回転軸を中心に前記スパッタリングターゲット支持面が回転可能なカソードと、基板支持面を有するステージであって、前記第1の回転軸と平行に配置された第2の回転軸を中心に前記基板支持面が回転可能なステージと、前記スパッタリング支持面と前記基板支持面との間に配置され、前記第1の回転軸、または第2の回転軸を中心に回転可能な遮蔽板とを備え、前記カソードは、複数のスパッタリングターゲット支持面を有し、該複数のスパッタリングターゲット支持面の各々は前記カソードの周囲に配置されており、前記複数のスパッタリングターゲット支持面の各々は、前記第1の回転軸に平行にターゲットを支持するように構成され、スパッタリング中において、前記スパッタリングターゲット支持面に支持されるスパッタリングターゲットから発生したスパッタ粒子のうち、前記基板支持面の法線との成す角度が0°以上50°以下の角度で入射するスパッタ粒子を前記基板支持面に支持される基板に入射させるように、前記スパッタリングターゲット支持面、前記基板支持面、および遮蔽板の少なくとも1つの回転を制御することを特徴とする。
また、本発明は、成膜方法であって、スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、第1の回転軸を中心に前記スパッタリングターゲット支持面が回転可能なカソードと、基板支持面を有するステージであって、前記第1の回転軸と平行に配置された第2の回転軸を中心に前記基板支持面が回転可能なステージと、前記スパッタリング支持面と前記基板支持面との間に配置され、前記第1の回転軸または第2の回転軸を中心に回転可能な遮蔽板とを備えるスパッタリング装置による成膜方法であって、前記カソードは、複数のスパッタリングターゲット支持面を有し、該複数のスパッタリングターゲット支持面の各々は前記カソードの周囲に配置されており、前記複数のスパッタリングターゲット支持面に設けられた複数のターゲットの各々は、前記第1の回転軸に平行になるように前記カソードに支持されており、スパッタリング中において、前記スパッタリングターゲット支持面に支持されるスパッタリングターゲットから発生したスパッタ粒子のうち、前記基板支持面の法線との成す角度が0°以上50°以下の角度で入射するスパッタ粒子を前記基板支持面に支持される基板に入射させるように、前記スパッタリングターゲット支持面、前記基板支持面、および遮蔽板の少なくとも1つを独立に回転させることを特徴とする。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
<基本構成>
図6Aは、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置600の側面図である。図6Bは、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置600の斜視図である。
図6A及びBにおいて、スパッタリング装置600は、基板604を載置するステージ601と、ターゲット603を支持するカソード602及び遮蔽板606とを備えており、カソード602のターゲット支持面とステージ601の基板支持面とが互いに対面するように配置されている。ステージ601及びカソード602はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ601及びカソード602はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能である。例えば、ステージ601及びカソード602は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが回転させることが可能であり、この回転手段を制御装置により制御することが可能である。
図6Aは、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置600の側面図である。図6Bは、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置600の斜視図である。
図6A及びBにおいて、スパッタリング装置600は、基板604を載置するステージ601と、ターゲット603を支持するカソード602及び遮蔽板606とを備えており、カソード602のターゲット支持面とステージ601の基板支持面とが互いに対面するように配置されている。ステージ601及びカソード602はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ601及びカソード602はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能である。例えば、ステージ601及びカソード602は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが回転させることが可能であり、この回転手段を制御装置により制御することが可能である。
回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、カソード602は、ターゲット603を回転軸Bに対して平行となるように支持することができる。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード602により支持されるターゲット603は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット603表面に衝突させることによってスパッタ粒子605を基板604に堆積させることが出来る。
成膜処理時では、ターゲット603によって成膜処理が施される基板604は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ601上に載置される。ステージ601の基板支持面とカソード602のターゲット支持面とは、それぞれ回転軸A及び回転軸Bを中心として、独立して回転可能に構成されている。
さらに、ターゲット603とステージ601との間に遮蔽板606が設けられている。遮蔽板606は、回転軸A又は回転軸Bのいずれかを中心に任意の角度で回転するための手段を有しており、堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子の入射角の選択性を高める機能を果たす。遮蔽板606は、任意の方法で、回転軸A又は回転軸Bを中心として回転することが出来るが、以下で説明する実施形態では回転軸Aを中心として回転可能と構成している。遮蔽板606は、カソード603又はステージ601とは独立して回転運動をするように、制御装置により制御することが可能である。
図7Aは、図6Aのスパッタリング装置のステージとして利用可能なステージ701の側面図である。ステージ701は基板載置台702を有しており、基板載置台702上には基板703が載置されている。図7Bは、本発明に一実施形態に係るステージ701の斜視図である。ステージ701は、図6と同様に、回転軸Aを中心に回転可能に構成されている。ステージ701の基板載置台702は、回転軸Aに垂直であり且つ基板703の中心を通過する回転軸Cを中心に回転可能に構成されており、回転軸Cを中心に基板703を回転させることが可能である。基板載置台702は、例えばモーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、この回転手段を制御装置により制御することが可能である。
図8は、本発明の別の実施形態に係るスパッタリング装置の一例を示す図である。スパッタリング装置800は、基板804を載置するステージ801と、ターゲット803を支持するカソード802及び遮蔽板805とを備えている。ステージ801及びカソード802はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ801及びカソード802の少なくとも一方は、回転軸A及び回転軸Bを中心に任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ801及びカソード802の少なくとも一方は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、回転手段を制御装置によって制御することが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット803は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード802によって支持されている。
回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード802により支持されるターゲット803は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット803表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板804上に堆積させることが出来る。
ターゲット803a〜803cによって成膜処理が施される基板804は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ801上に載置されている。ステージ801は基板載置台807を有しており、基板載置台807上には基板804を設けることができる。ステージ801の基板載置台807は、回転軸Aに垂直であり且つ基板804の中心を通過する回転軸(不図示)を中心に回転可能に構成されており、該回転軸を中心に基板804を回転させることが可能である。基板載置台807は、例えばモーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、この回転手段を制御装置により制御することが可能である。
さらに、ターゲットとステージ801との間に遮蔽板805が設けられており、遮蔽板805は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転するための手段を有しており、堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子の入射角の選択性を高める機能を果たす。遮蔽板805は、遮蔽板用回転手段806を制御装置によって適切に制御することによって、カソード802又はステージ801とは独立して、回転軸Aを中心に回転することができる。
通常、配向性を高めた膜は複数層からなっており、その代表例はTa/FeCo,NiFe/FeCo,NiFeCr/FeCoである。このような複数層からなる膜を製作するためには、カソード802に支持されるターゲット803は複数であることが望ましい。図8の形態においては、複数のターゲット803a、803b及び803cが存在しており、使用用途に応じて適宜ターゲット803a、803b及び803cを使い分けることが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット803a、803b及び803cは、回転軸Bに対して平行となるように、カソード802によって支持されている。回転軸Bを中心に回転可能であるターゲット803a、803b及び803cは、プラズマ中のイオンをターゲット803表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板804に堆積させる。
(第1の実施形態)
本発明で重要なことの1つは、スパッタリングにより形成される磁性膜の磁化容易軸(困難軸)のバラツキを低減し、かつ簡便な構成で、形成される磁性膜中の原子密度を均一にすることである。
本発明で重要なことの1つは、スパッタリングにより形成される磁性膜の磁化容易軸(困難軸)のバラツキを低減し、かつ簡便な構成で、形成される磁性膜中の原子密度を均一にすることである。
例えば、特許文献1に開示されたカルーセル型のスパッタリング装置の場合、以下に示すように、形成される磁性膜の磁化容易軸の方向にバラツキが生じる。図9は、従来のカルーセル型スパッタリング装置により形成された磁性膜の磁化容易軸の方向にバラツキが生じることを説明するための図である。
図9において、回転可能な基板ホルダー901には、基板902が支持されており、基板ホルダー901と所定の距離だけ離間してターゲット903が配置されている。このような構成でスパッタリングを開始すると、図9の工程1に示すように、ある基板902へのスパッタリングの初期段階では、基板902の第1の端904にはスパッタ粒子906が高入射角度で入射する。一方、基板902の第2の端905にはスパッタ粒子906が低入射角度で入射する。その後、図9の矢印方向に基板ホルダー901が回転してスパッタリングが進行すると、図9の工程2→工程3が行われる。
このとき、第1の端904に着目すると、図9の工程1から工程3へと処理が進行する際に、第1の端904に入射されるスパッタ粒子906の入射角度は、高入射角度から低入射角度へと連続的に変化する。従って、第1の端904においては、堆積される膜の厚さ方向に沿って、異なる方向の磁化容易軸が分布することになる。同様に、第2の端905に着目すると、図9の工程1から工程3へと処理が進行する際に、第1の端905に入射されるスパッタ粒子906の入射角度は、低入射角度から高入射角度へと連続的に変化する。従って、この場合も、第2の端905においては、堆積される膜の厚さ方向に沿って、異なる方向の磁化容易軸が分布することになる。
すなわち、上述したように、基板に入射するスパッタ粒子の入射角度により、磁化容易軸の方向が90°変わることがある。よって、基板面内でスパッタ粒子の入射角度依存性が発生すると、膜厚方向において磁化容易軸が90°異なっている領域が発生することがあり、skew分散角を悪化させる可能性がある。
また、スパッタ粒子の入射角度が大きいほど、形成される磁性膜中の原子密度が下がり、該磁性膜の面内の比抵抗にも分布が生じることになると共に、飽和磁束密度も減少することになる。
さらに、膜厚分布が均一でも、図10に示すように、基板902の左右で結晶成長が変わる可能性がある。図10は、磁性特性のバラツキ、磁化容易軸のバラツキを説明するための模式図である。図10において、符号1001は、スパッタリングにより形成された磁性膜を示す。また、符号1001aは、図9の工程1〜2において形成される磁性膜であって、磁気特性のバラツキ、および磁化容易軸のバラツキを模式的に表現した磁性膜である。同様に、符号1001bは、図9の工程2〜3において形成される磁性膜であって、磁気特性のバラツキ、および磁化容易軸のバラツキを模式的に表現した磁性膜である。図10において、磁性膜1001aおよび1001bにおいて、斜線の傾きが基板902の法線方向より大きな角度であるほど、高入射角度で入射したスパッタ粒子が多かったことを示し、斜線の傾きが基板902の法線方向より小さな角度であるほど、低入射角度で入射したスパッタ粒子が多かったことを示す。
なお、磁性膜1001aおよび1001bは模式図であり、図10では、磁性膜1001aと磁性膜1001bとを離間して示しているが、これは、図面を見やすくするためである。
図9の工程1に示されるように、工程1から工程2にかけては、基板902の第1の端904ではスパッタ粒子の多くは高入射角度で入射し、第2の端905ではスパッタ粒子の多くは低入射角度で入射する。よって、符号1001aに示すように磁性膜が形成される。一方、図9の工程3に示されるように、工程2から工程3にかけては、第1の端904ではスパッタ粒子の多くは低入射角度で入射し、第2の端905ではスパッタ粒子の多くは高入射角度で入射する。よって、符号1001bに示すように磁性膜が形成される。従って、最終的に形成された磁性膜1001においては、初期段階で成長した領域と、最終段階で成長した領域とで、膜形成に寄与するスパッタ粒子の入射角度が異なることになる。よって、初期段階で成長した領域と、最終段階で成長した領域とにおいて、磁化容易軸の方向が異なることがあり、磁化容易軸のバラツキや、磁気特性のバラツキに繋がってしまう。
本実施形態では、遮蔽板606、805といったマスク機構、およびその動作を最適化し、磁化容易軸のバラツキや磁気特性のバラツキを低減することを目的の一つとしている。このような目的を達成するに当たり本出願の発明者は、鋭意検討、実験した結果、スパッタ粒子の、基板への入射角度が低角度であっても、形成される膜に磁気異方性が付与されることを見出した。
さて、上述のように、高入射角度でスパッタ粒子が入射すると、形成される膜中の原子密度が下がり、膜面内の比抵抗の分布が生じ、さらに飽和磁束密度も減少することになり、磁気特性のバラツキに繋がってしまう。
そこで、本実施形態では、高入射角度で入射するスパッタ粒子を適切に遮蔽し、低入射角度で入射するスパッタ粒子を基板に入射するように、遮蔽板を制御することを特徴としている。このように制御することで、磁気特性の低下の原因となる高入射角度で入射するスパッタ粒子の入射を抑制し、かつ入射するスパッタ粒子の入射角度を、磁気異方性を付与可能な低入射角度に可能な限り限定することができる。従って、基板に入射するスパッタ粒子の入射角度を小さく抑えることで、比抵抗のバラツキを抑え、飽和磁束密度の低下を抑えつつ、磁化容易軸の方向の均一化を図ることができる。
以下では、図8に示したスパッタリング装置を用いて本実施形態に係るスパッタリング装置の構造、動作を説明する。
図11は、本実施形態に係るスパッタリング装置を示す図である。
図11において、ターゲット803aにはエロージョントラック(侵食部)808が形成されている。このエロージョントラックは、ターゲット803b、803cに形成されている場合もある。また、基板804は、ステージ801の基板支持面の法線方向である回転軸Cを中心に任意の角度で回転可能な基板載置台807上に配置されている。
図11において、ターゲット803aにはエロージョントラック(侵食部)808が形成されている。このエロージョントラックは、ターゲット803b、803cに形成されている場合もある。また、基板804は、ステージ801の基板支持面の法線方向である回転軸Cを中心に任意の角度で回転可能な基板載置台807上に配置されている。
本実施形態では、上述した通り、スパッタリング中において、基板に高入射角度で入射するスパッタ粒子を適切にブロックし、ターゲットから基板へ入射されるスパッタ粒子の入射角度を低入射角度の範囲に可能な限り統一することが重要である。すなわち、低入射角度で入射するスパッタ粒子により成膜が行われるように、遮蔽板805の動作を制御している。
従って、本実施形態では、スパッタリングの開始時において、ターゲットに形成されたエロージョントラックに囲まれる領域に対向する位置に、遮蔽板805の、該遮蔽板805の回転方向における第1の端809aの少なくとも一部を位置させる。すなわち、基板804に対して、基板804の移動方向(すなわち、ステージ801の回転方向)においてエロージョントラック808の遮蔽板805側を少なくとも遮蔽し、遮蔽板805の第1の端809aがエロージョントラックに囲まれた領域上に位置するように、遮断板805を配置する。このように遮断板805を配置させると、結果的に、遮断板805の第1の端809aがエロージョントラックの領域808aと808bとの間に位置することになる。遮蔽板805は、スパッタリング中において、遮蔽板805の第1の端809aが領域808aと領域808bとの間の範囲内に位置していれば、移動(回転)動作してもかまわない。あるいは、スパッタリング中に遮蔽板805を止めていても良い。
このように、スパッタリング中において、第1の端809aを領域803aと領域803bとの間に位置させることによって、エロージョントラック808の領域808aから発生するスパッタ粒子のうち、高入射角度で基板804に入射するスパッタ粒子を適切にブロックすることができる。すなわち、基板804への高入射角度でのスパッタ粒子の入射を抑制することができる。また、エロージョントラック808の領域808bから発生するスパッタ粒子は遮蔽板805によって適切にブロックされるので、ターゲット808から基板804へのスパッタ粒子の入射角度を、低入射角度の範囲内に収めることができる。
本実施形態では、スパッタリング中に、回転軸Bを中心に回転可能なカソード802を回転させても良いし、止めたままでも良い。
また、ステージ801の回転角速度を調節して膜厚分布を調節しても良い。ステージ801の回転角速度が速くなるほど、基板804上の、対応する領域の成膜レートは遅くなる。従って、成膜レートが遅いスパッタリング開始時等では回転角速度を遅くし、成膜レートが早い、ターゲット表面と基板表面とが平行になる場合等では回転角速度を早くするようにステージ801の回転を制御すれば良い。
さて、本実施形態では、スパッタリング中に、遮蔽板805の第1の端809aの少なくとも一部を、対象となるターゲット803aに形成されたエロージョントラック808に囲まれる領域上(領域808aと領域808bとの間)に位置させる状態を維持しながら、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805の少なくとも1つを回転させている。このような制御により、ターゲット808から基板804へのスパッタ粒子の入射角度を所定の範囲内に収めている。すなわち、エロージョントラック808のうち、基板804に対して遮蔽板805により遮蔽されていない領域からの入射角度が所定の低入射角度の範囲内になるように、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805の少なくとも1つを回転制御する。
本実施形態において、上記所定の低入射角度の範囲は、0°以上50°以下であることが好ましく、10°以上50°以下がさらに好ましい。図12は、本実施形態のスパッタ粒子の入射角度と磁気特性との入射角依存性を示す図である。
図12から分かるように、入射角度が0°以上50°以下(範囲1201)の範囲内に収まるようにすれば、磁化容易軸の方向を良好に揃えることができ、かつ飽和磁束密度も大きくすることができる。さらに、入射角度が10°以上50°以下(範囲1202)の範囲内に収まるようにすれば、異方性磁界が多少下がってしまう0°以上10°未満の入射角度をカットできるので、磁化容易軸の方向をさらに良好に揃えることができる。
これに対して、入射角度が50°より大きくなると(範囲1203)、形成された磁性膜の飽和磁束密度が低下してしまう。さらに、入射角度が70°以上となると(範囲1204)、磁化容易軸の方向が90°変わってしまう。
このように、図12からも分かるように、スパッタリング中に入射角度が範囲1201、1202内となるように、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805させることで、飽和磁束密度を大きくしつつ、磁化容易軸の方向のバラツキを抑えることができる。本実施形態では、スパッタリングの各瞬間において、上記範囲1201内でスパッタ粒子が基板804に入射するように、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805の回転を独立に制御する。
ただし、低入射角度の好ましい範囲である範囲1201、1202でのスパッタ粒子を積極的に増やしても、50°よりも大きな入射角度で入射するスパッタ粒子の入射割合が増えると、上述したように、磁化容易軸の方向が90°変わったり、膜中の原子密度の低下を招いてしまう。このため、本来狙うべき方向と異なる方向に異方性が形成されてしまい、磁化容易軸の面内分布のバラツキに繋がってしまう。
そこで、本実施形態では、50°より大きい入射角度のスパッタ粒子の入射が基板804に入射しないように、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805の回転を独立に制御している。すなわち、図13に示すように、例えば、エロージョントラック808の領域808aから発生するスパッタ粒子のうち、入射角度が50°以下であるスパッタ粒子1301を基板804に入射させ、領域808aからの50°よりも大きな入射角度のスパッタ粒子、および領域808bから発生するスパッタ粒子1302を基板804に入射させないように制御している。
次に、図14を用いて本実施形態に係るスパッタリング装置の動作を説明する。
まずは、スパッタリングの開始に先立って、スパッタリング装置は、遮蔽板805の第1の端809aが、エロージョントラック808の領域808aと808bとの間に位置するように、カソード802および遮蔽板805を制御する。次いで、ターゲット803aから基板804へと入射されるスパッタ粒子のうち、50°よりも大きな入射角度を遮蔽するように、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805を位置決めする。なお、このような位置決めは、予め実験等により求めておけば良い。
まずは、スパッタリングの開始に先立って、スパッタリング装置は、遮蔽板805の第1の端809aが、エロージョントラック808の領域808aと808bとの間に位置するように、カソード802および遮蔽板805を制御する。次いで、ターゲット803aから基板804へと入射されるスパッタ粒子のうち、50°よりも大きな入射角度を遮蔽するように、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805を位置決めする。なお、このような位置決めは、予め実験等により求めておけば良い。
次いで、スパッタ処理が開始されると、図14の工程a〜工程eに従ってスパッタリングが行われる。このとき、スパッタリング装置は、工程a〜eの各々において、ステージ801を矢印Pに沿って回転させ、カソード802を矢印Qに沿って回転させる。また、遮蔽板805が領域808aと808bとの間に位置し、かつターゲット803aからの50°よりも大きな入射角度で入射するスパッタ粒子1402を遮蔽し、0°以上50°以下の入射角度のスパッタ粒子1401を基板804に入射させるように、遮蔽板805を適宜回転させる。すなわち、スパッタリング装置は、スパッタ処理中において、入射角度が0°以上50°以下のスパッタ粒子1401が基板804に入射するように、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805の回転を独立に制御している。このような条件の制御は、予め実験等によって求めておけば良い。
なお、図14の工程aから工程cに向かってステージ801の回転を遅い状態から早い状態に連続的に変化させ、工程cから工程eに向かってステージ801の回転を早い状態から遅い状態に連続的に変化させることによって、膜厚分布を調節することができる。
このように動作させることで、遮蔽板805によって、高入射角度(例えば、50°よりも高い入射角度)のスパッタ粒子が成膜に寄与しないようにすることができる。従って、成膜に寄与するスパッタ粒子の入射角度を低入射角度の範囲内(例えば、0°以上50°以下)になるべく収めることができるので、磁化容易軸のバラツキ、および飽和磁束密度の低下を抑えることができる。
なお、上記説明では、エロージョントラックが形成されたターゲットを用いた場合について説明したが、本実施形態は、新品のターゲット等のエロージョントラックが形成されてないターゲットを用いる場合にも適用可能である。例えば、一方の極性の第1の磁石と、該第1の磁石を囲むようにかつ、接しないように配置された、他方の極性の第2の略矩形状磁石とを有するカソードを用いる場合、ターゲット上に発生した磁場のうち、第1の磁石と第2の略矩形磁石との間に生じる磁気トンネルのうち、カソードのターゲット支持面に対する垂直成分が0になる領域の集合体がエロージョントラックに略対応する。よって、エロージョントラックが形成されていないターゲットを用いる場合は、上記集合体に囲まれる領域の上に、第1の端を配置すれば良い。上記集合体はスパッタリングが進行するについてエロージョントラックになる。従って、ターゲットにエロージョントラックがあろうが無かろうが、上記集合体に囲まれる領域上に遮蔽板の一方の端の少なくとも一部が存在するようにすれば、上記効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、第2の矩形状磁石の代わりに円形状磁石を用いても良い。本実施形態では、他方の磁性の磁石により、第1の磁石を囲むようにループ形態を形成することが重要であり、該ループ形態の形状はいずれの形状でも良い。
(実施例)
以下の条件に従ってスパッタリングを行った。
<装置構成>
ステージ801の回転中心から基板面までの距離:330mm
基板サイズ(直径):200mm
遮蔽板805の径:390mm
ターゲットと基板とが略平行に向かい合ったときの距離:100mm
カソード802の回転軸Bとターゲット面までの距離:160mm
ターゲットサイズ:450mm×130mm
ターゲット厚み:4mm
ターゲット材質:Fe65Co35(atomic%)
<成膜条件>
ガス:アルゴン
ガス圧:0.05Pa
放電電力:4000W
メインに入射されるスパッタ粒子の入射角度:35°
以下の条件に従ってスパッタリングを行った。
<装置構成>
ステージ801の回転中心から基板面までの距離:330mm
基板サイズ(直径):200mm
遮蔽板805の径:390mm
ターゲットと基板とが略平行に向かい合ったときの距離:100mm
カソード802の回転軸Bとターゲット面までの距離:160mm
ターゲットサイズ:450mm×130mm
ターゲット厚み:4mm
ターゲット材質:Fe65Co35(atomic%)
<成膜条件>
ガス:アルゴン
ガス圧:0.05Pa
放電電力:4000W
メインに入射されるスパッタ粒子の入射角度:35°
上記条件で、図11に示したスパッタリング装置を用いて、図14にて説明した動作によりスパッタリングを行った。該スパッタリングにより得られた磁性膜のSkew発散および規格化シート抵抗、並びに従来の方法で作製したSkew発散および規格化シート抵抗を図15に示す。
図15において、符号1501は、本実施例にて作製された磁性膜のSkew分散を示す図であり、符号1502は、スパッタ粒子の高入射角度成分を除去していない従来の方法にて作製された磁性膜のSkew分散を示す図である。また、符号1503は、本実施例にて作製された磁性膜の規格化シート抵抗を示す図であり、符号1504は、上記従来の方法にて作製された磁性膜の規格化シート抵抗を示す図である。
図15において、符号1501は、本実施例にて作製された磁性膜のSkew分散を示す図であり、符号1502は、スパッタ粒子の高入射角度成分を除去していない従来の方法にて作製された磁性膜のSkew分散を示す図である。また、符号1503は、本実施例にて作製された磁性膜の規格化シート抵抗を示す図であり、符号1504は、上記従来の方法にて作製された磁性膜の規格化シート抵抗を示す図である。
本発明のSkew発散を示す図1501から分かるように、本実施例にて作製された磁性膜においては、Skew発散が均一であり、形成された磁化容易軸が良好に揃っている。一方、従来のSkew発散を示す図1502から分かるように、従来の方法にて作製された磁性膜においては、領域1505aではSkew発散にズレが生じており、磁化容易軸のバラツキの原因となっている。この領域1505aは、入射角が50°より大きいスパッタ粒子が多い領域である。
また、本発明の規格化シート抵抗を示す図1503から分かるように、本実施例にて作製された磁性膜の規格化シート抵抗は良好である。これに対し、従来の規格化シート抵抗を示す図1504から分かるように、従来の方法にて作製された磁性膜においては、領域1505bにおいてシート抵抗値の上昇が見られ、膜中の原子密度が低下している。この領域1505bは、入射角が50°より大きいスパッタ粒子が多い領域である。
本実施例では、高入射角度成分(例えば、50°よりも大きい角度)をなるべく基板に入射させず、低入射角度成分(例えば、0°以上50°以下)を基板に入射するようにスパッタリング装置を制御している。従って、90°ずれた磁化容易軸の形成を抑制することができ、磁化容易軸の方向を良好に揃えることができる。また、高入射角度で入射するスパッタ粒子を基板になるべく入射しないようにしているので、形成された膜の原子密度の低下を抑制することができる。
このように、従来の方法では、スパッタ粒子の高入射角度成分を除去していないので、磁気特性分布が大きくなってしまうが、本実施形態を適用することで、スパッタ粒子の入射角度の選択性が高まり、磁気特性分布を改善することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態にて説明したスパッタリング装置にさらに第2の遮蔽板を設けている。このように、追加の遮蔽板を設けることで、低入射角度のうち、0°側の所定の範囲(例えば、0°以上10度未満)の入射角度成分をブロックすることができる。
本実施形態では、第1の実施形態にて説明したスパッタリング装置にさらに第2の遮蔽板を設けている。このように、追加の遮蔽板を設けることで、低入射角度のうち、0°側の所定の範囲(例えば、0°以上10度未満)の入射角度成分をブロックすることができる。
図16は、本実施形態に係るスパッタリング装置を示す図である。
図16において、符号1601は、第2の遮蔽板である。第2の遮蔽板1601は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転するための手段を有しており、遮蔽板805と共に堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子の入射角の選択性を高める機能を果たす。第2の遮蔽板1601は、遮蔽板用回転手段を制御装置によって適切に制御することによって、カソード802、ステージ801、または遮蔽板805とは独立して、回転軸Aを中心に回転することができる。
図16において、符号1601は、第2の遮蔽板である。第2の遮蔽板1601は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転するための手段を有しており、遮蔽板805と共に堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子の入射角の選択性を高める機能を果たす。第2の遮蔽板1601は、遮蔽板用回転手段を制御装置によって適切に制御することによって、カソード802、ステージ801、または遮蔽板805とは独立して、回転軸Aを中心に回転することができる。
本実施形態では、例えばエロージョントラック808の領域808aから発生するスパッタ粒子において、高入射角度成分(50°よりも大きい角度)を遮蔽板805にてブロックし、0°以上10°未満の入射角度成分を第2の遮蔽板1601にてブロックするように、スパッタリング装置はステージ801、カソード802、遮蔽板805、および第2の遮蔽板1601の少なくとも1つを制御する。よって、基板804への入射角度を、より好ましい低入射角度の範囲である10°以上50°以下の範囲内に収めることができる。
(第3の実施形態)
上述の実施形態では、図14の工程a〜工程eに示すように、一度に基板全面にスパッタリングを行っている。本実施形態では、スパッタリング中の基板搬送方法、またはマスク機構、基板、およびターゲットの位置関係を最適に制御することで、形成された膜中の上下(左右)における磁気特性が対称になるようにしている。すなわち、本実施形態では、形成すべき膜の半分までの成膜が完了したら、基板を180°回転させる、または遮蔽板を移動させて、残り半分の成膜を行う。
上述の実施形態では、図14の工程a〜工程eに示すように、一度に基板全面にスパッタリングを行っている。本実施形態では、スパッタリング中の基板搬送方法、またはマスク機構、基板、およびターゲットの位置関係を最適に制御することで、形成された膜中の上下(左右)における磁気特性が対称になるようにしている。すなわち、本実施形態では、形成すべき膜の半分までの成膜が完了したら、基板を180°回転させる、または遮蔽板を移動させて、残り半分の成膜を行う。
例えば、基板の半分の成膜が終わった時点で基板を180°回転させる場合は、図14の工程a〜工程cまで行って基板の半分について成膜を行い、基板804の半分まで成膜が終わった後、一旦スパッタ動作を停止し、基板載置台807を180°回転させ、ステージ801、カソード802、および遮蔽板805を図14の工程aに示す位置に戻す。その後、また図14の工程a〜工程cを行うことで、基板804の残りの半分について成膜を行う。
また、例えば、基板の半分の成膜が終わった時点で遮蔽板805を移動させる場合は、遮蔽板805の第2の端809bが、エロージョントラック808の領域808aと領域808bとの間に位置するように遮蔽板805を回転させ、遮蔽板805により基板804に対して遮蔽する領域を、領域808bから領域808aに変更する。後は、図14の工程aから工程cを同様な制御で行えば、基板804の残りの半分の成膜を行うことができる。
このように、基板の半分ずつ、同様の工程で成膜することで、成膜された膜の面内の非対称性を低減することができる。
このように、基板の半分ずつ、同様の工程で成膜することで、成膜された膜の面内の非対称性を低減することができる。
なお、上述の実施形態は、上述のターゲット材料(Fe65Co35)のみならず、FeCoBなどに代表されるFeCo合金や、NiFe合金にも展開できる。
801 ステージ
802 カソード
803a、803b、803c ターゲット
804 基板
805 遮断板
802 カソード
803a、803b、803c ターゲット
804 基板
805 遮断板
Claims (4)
- スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、第1の回転軸を中心に前記スパッタリングターゲット支持面が回転可能なカソードと、
基板支持面を有するステージであって、前記第1の回転軸と平行に配置された第2の回転軸を中心に前記基板支持面が回転可能なステージと、
前記スパッタリング支持面と前記基板支持面との間に配置され、前記第1の回転軸、または第2の回転軸を中心に回転可能な遮蔽板とを備え、
前記カソードは、複数のスパッタリングターゲット支持面を有し、該複数のスパッタリングターゲット支持面の各々は前記カソードの周囲に配置されており、
前記複数のスパッタリングターゲット支持面の各々は、前記第1の回転軸に平行にターゲットを支持するように構成され、
スパッタリング中において、前記スパッタリングターゲット支持面に支持されるスパッタリングターゲットから発生したスパッタ粒子のうち、前記基板支持面の法線との成す角度が0°以上50°以下の角度で入射するスパッタ粒子を前記基板支持面に支持される基板に入射させるように、前記スパッタリングターゲット支持面、前記基板支持面、および遮蔽板の少なくとも1つの回転を制御することを特徴とするスパッタリング装置。 - 前記ステージの回転を、遅い状態から早い状態に連続的に変化させた後、該早い状態から遅い状態に連続的に変化させることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
- スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、第1の回転軸を中心に前記スパッタリングターゲット支持面が回転可能なカソードと、
基板支持面を有するステージであって、前記第1の回転軸と平行に配置された第2の回転軸を中心に前記基板支持面が回転可能なステージと、
前記スパッタリング支持面と前記基板支持面との間に配置され、前記第1の回転軸または第2の回転軸を中心に回転可能な遮蔽板とを備えるスパッタリング装置による成膜方法であって、
前記カソードは、複数のスパッタリングターゲット支持面を有し、該複数のスパッタリングターゲット支持面の各々は前記カソードの周囲に配置されており、
前記複数のスパッタリングターゲット支持面に設けられた複数のターゲットの各々は、前記第1の回転軸に平行になるように前記カソードに支持されており、
スパッタリング中において、前記スパッタリングターゲット支持面に支持されるスパッタリングターゲットから発生したスパッタ粒子のうち、前記基板支持面の法線との成す角度が0°以上50°以下の角度で入射するスパッタ粒子を前記基板支持面に支持される基板に入射させるように、前記スパッタリングターゲット支持面、前記基板支持面、および遮蔽板の少なくとも1つを独立に回転させることを特徴とする成膜方法。 - 前記ステージの回転を、遅い状態から早い状態に連続的に変化させた後、該早い状態から遅い状態に連続的に変化させることを特徴とする請求項3に記載の成膜方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20100909 |