JP2010095799A - スパッタリングによる成膜方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ターゲットから放出されたスパッタ粒子を、基板に対して斜めに選択入射するようなターゲットならびに基板を配置することで斜め成膜を可能とし、高い一軸磁気異方性を有する磁性膜を均一に、且つコンパクトに成膜できるようなスパッタ装置を提供する。
【解決手段】スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸を備えたカソードと、基板支持面を有するステージであって、該基板支持面が回転する回転軸を備えたステージとからなるスパッタリング装置であり、スパッタリングターゲット支持面と基板支持面とが互いに対面しており、それぞれの回転軸を中心として独立して回転可能に構成した。さらに、遮蔽板がスパッタリングターゲット支持面と基板支持面との間に配置されており、カソード及びステージと独立して回転可能に構成した。
【選択図】図4A
【解決手段】スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸を備えたカソードと、基板支持面を有するステージであって、該基板支持面が回転する回転軸を備えたステージとからなるスパッタリング装置であり、スパッタリングターゲット支持面と基板支持面とが互いに対面しており、それぞれの回転軸を中心として独立して回転可能に構成した。さらに、遮蔽板がスパッタリングターゲット支持面と基板支持面との間に配置されており、カソード及びステージと独立して回転可能に構成した。
【選択図】図4A
Description
本発明は、スパッタリングによる成膜方法とその装置とに関する。
近年、読み込み・書き込みヘッドやマイクロインダクタ、マイクロ変圧器などにおいて磁気素子の高周波用途が広がってきており、GHz帯域においても良好な高周波特性をもつ磁性薄膜が求められていることから、これらに関係する研究開発も積極的に行われている。磁性薄膜を高周波帯域で使用するには、薄膜の電気抵抗を高めることで渦電流損を減らし、かつ共鳴周波数を高めることが必要である。この共鳴周波数を高める方法としては異方性磁界Hkや飽和磁化Msを高めることが挙げられるが、HkとMsを同時に高めることは一般的に困難であり、トレードオフの関係を持つ。しかし近年、スパッタリング法やイオンビーム法を使用して、基板に対してスパッタ粒子を斜めに入射、配向させることで結晶の形状効果による一軸磁気異方性を高めることが可能になり、高いMsを保持しつつ、Hkも高めることが可能となった。
斜め成膜についてはその応用範囲が広がっていくばかりであるが、基板に対してスパッタ粒子を斜めに入射させ、斜めに配向成膜する生産方法として、スパッタリング動作を行っているターゲット前面を基板が通過するような基板通過型成膜構造がある(特許文献1)。また、基板ホルダーのみを回転制御させて、膜を斜め成長させる方法もある(特許文献2)。
結晶の形状効果により一軸磁気異方性を高めるには、入射面に垂直な薄片状微結晶を均一に配向させることが必要であり、これを実現するには、図1及び図2に示されるスパッタ粒子の入射角θを大きくしなければならない。図1は、基板101に対して、基板垂直方向に対して角度θだけ傾いてスパッタ粒子102が入射している様子を示している。図2は、スパッタ粒子201を入射角θで斜めに入射させることによって斜め成長させた膜構造202の断面図を模式的に示した図である。この膜構造202は、スパッタ粒子201の入射面Xに対して垂直な薄片状微結晶から形成されている。このような配向性の高い膜を、特許文献1に記載されている図3に例示の基板通過型構造を用いて実現するためには、基板の移動範囲を広げなければならない。すなわち、結晶の形状効果により一軸磁気異方性を高めるためにスパッタ粒子の入射角θを大きくすればするほど、図3に示すように、ターゲット302によってスパッタリング処理が施される基板301の移動範囲は水平方向に広がらざるを得ず、その結果として装置全体の大型化をもたらす。より具体的には、図3に示す通過型成膜構造では、基板動作範囲を範囲P2〜P3から範囲P1〜P4に拡張しスパッタ粒子の入射角θを大きくすることで膜特性を改善出来る一方、他方で成膜装置全体の巨大化を招くことになるのである。また、特許文献2の方法では、被成膜基板が大きくなった場合の膜厚分布やスパッタ粒子の入射方向の制御が考慮されていない。本発明の課題は、スパッタ粒子の入射角θを大きく維持して一軸磁気異方性膜を成膜するための、コンパクトで質の高い装置を提供することにある。
本発明の第一の側面は、スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸を備えたカソードと、基板支持面を有するステージであって、該基板支持面が回転する回転軸を備えたステージとからなるスパッタリング装置であり、スパッタリングターゲット支持面と基板支持面とが互いに対面しており、それぞれの回転軸を中心として独立して回転可能に構成されていることを特徴とする、スパッタリング装置である。
一実施例において、本発明の第一のスパッタリング装置は、スパッタリングターゲット支持面及び基板支持面のうちの少なくとも1つの回転を制御するための制御装置を含むことを特徴とする。
一実施例において、本発明の第一のスパッタリング装置は、ステージが、ステージの回転軸に対して垂直な回転軸を備える基板載置台を有しており、基板載置台がその回転軸を中心に回転可能なことを特徴とする。
一実施例において、本発明の第一のスパッタリング装置は、基板載置台の回転を制御するための制御装置を含むことを特徴とする。
本発明の第二の側面は、スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸を備えたカソードと、基板支持面を有するステージであって、該基板支持面が回転する回転軸を備えたステージと、回転軸を備える遮蔽板とからなるスパッタリング装置であり、スパッタリングターゲット支持面と基板支持面とが互いに対面しており、遮蔽板がスパッタリングターゲット支持面と基板支持面との間に配置されており、それぞれの回転軸を中心として独立して回転可能に構成されていることを特徴とする、スパッタリング装置である。
一実施例において、本発明の第二のスパッタリング装置は、スパッタリングターゲット支持面、基板支持面及び遮蔽板のうちの少なくとも1つの回転を制御するための制御装置を含むことを特徴とする。
一実施例において、制御装置は、所定の基板入射角より小さい基板入射角で入射するスパッタ粒子を遮断するように、遮蔽板の回転を制御することを特徴とする。
一実施例において、本発明の第二のスパッタリング装置は、ステージが、ステージの回転軸に対して垂直な回転軸を備える基板載置台を有しており、基板載置台がその回転軸を中心に回転可能なことを特徴とする。基板載置用ステージに載置されている基板が、二つの回転軸を中心に回転することが可能であり、ターゲット、ステージの動作範囲を更に狭めつつ均一性の高い配向膜が成膜可能になる。
一実施例において、本発明の第二のスパッタリング装置は、基板載置台の回転を制御するための制御装置を含むことを特徴とする。
スパッタリング処理と同時並行的にターゲット及び/又はステージを回転させることで、狭く限られた空間内でも基板入射角を大きくし、良好な配向特性をもつ膜を均一に成膜することが可能になる。又、遮蔽板は、カソード、ステージと独立して回転することが可能であることから、膜厚分布の微調整やスパッタ粒子の入射角の選択性を高めるために有利である。さらに、基板載置用ステージに載置されている基板が、二つの回転軸を中心に回転することが可能であり、ターゲット、ステージの動作範囲を更に狭めつつ均一性の高い配向膜が成膜可能になる。
図4Aは、本発明に従った第一のスパッタリング装置400の側面図である。図4Bは、本発明に従った第一のスパッタリング装置400の斜視図である。スパッタリング装置400は、基板404を載置するステージ401と、ターゲット403を支持するカソード402とからなり、カソード402のターゲット支持面とステージ401の基板支持面とが互いに対面するように配置されている。ステージ401及びカソード402はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ401及びカソード402はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ401及びカソード402は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、この回転手段を制御装置により制御することが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット403は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード402によって支持されている。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード402により支持されるターゲット403は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット403表面に衝突させることによってスパッタ粒子405を基板404に堆積させることが出来る。ターゲット403によって成膜処理が施される基板404は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ401上に載置されている。ステージ401の基板支持面とカソード402のターゲット支持面とは、それぞれ回転軸A及び回転軸Bを中心として、独立して回転可能に構成されている。
図5Aは、本発明に従った第二のスパッタリング装置500の側面図である。図5Bは、本発明に従った第二のスパッタリング装置500の斜視図である。図5A及びBにおいて、スパッタリング装置500は、基板504を載置するステージ501と、ターゲット503を支持するカソード502及び遮蔽板506とからなり、カソード502のターゲット支持面とステージ501の基板支持面とが互いに対面するように配置されている。ステージ501及びカソード502はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ501及びカソード502はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ501及びカソード502は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが回転させることが可能であり、この回転手段を制御装置により制御することが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット503は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード502によって支持されている。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード502により支持されるターゲット503は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット503表面に衝突させることによってスパッタ粒子505を基板504に堆積させることが出来る。ターゲット503によって成膜処理が施される基板504は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ501上に載置されている。ステージ501の基板支持面とカソード502のターゲット支持面とは、それぞれ回転軸A及び回転軸Bを中心として、独立して回転可能に構成されている。さらに、ターゲット503とステージ501との間に遮蔽板506が設けられており、遮蔽板506は、回転軸A又は回転軸Bのいずれかを中心に任意の角度で回転するための手段を有しており、堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子の入射角の選択性を高める機能を果たす。遮蔽板506は、任意の方法で、回転軸A又は回転軸Bを中心として回転することが出来るが、本実施例では回転軸Aを中心として回転可能と構成した。遮蔽板506は、カソード503又はステージ501とは独立して回転運動をするように、制御装置により制御することが可能である。図4A及びBとの相違点は、ターゲット503とステージ501との間に遮蔽板506が設けられているところにある。
図6Aは、図4A,図5Aのスパッタリング装置のステージとして利用可能なステージ601の側面図である。ステージ601は基板載置台602を有しており、基板載置台602上には基板603が載置されている。図6Bは、本発明に従ったステージ601の斜視図である。ステージ601は、図4及び図5と同様に、回転軸Aを中心に回転可能に構成されている。ステージ601の基板載置台602は、回転軸Aに垂直であり且つ基板603の中心を通過する回転軸Cを中心に回転可能に構成されており、回転軸Cを中心に基板603を回転させることが可能である。基板載置台602は、例えばモーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、この回転手段を制御装置により制御することが可能である。
図7Aは、図4A及び図4Bで示した本発明に従った第一のスパッタリング装置を用いた成膜手法を示す図である。スパッタリング装置700は、基板704を載置するステージ701と、ターゲット703を支持するカソード702とからなる。ステージ701及びカソード702はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ701及びカソード702はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に基準面Pから任意の角度で回転するように構成されている。ここに基準面Pとは、回転軸Aと回転軸Bとを通過し各回転軸方向に延在する平面を意味している。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット703は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード702によって支持されている。回転軸Bを中心に回転可能であるカソード702により支持されるターゲット703は、プラズマ中のイオンをターゲット703表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板704に堆積させる。ターゲット703によって成膜処理が施される基板704は、回転軸Aを中心に回転可能であるステージ701上に載置されている。
カソード702は、回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ20、ステージ701は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード702は角速度ω2、ステージ701は角速度ω1にて同一回転方向で回転を開始する。カソード702は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ21、ステージ701は回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で、カソード702及びステージ701は共に停止し、スパッタ工程も終了する。カソード702及びステージ701の一連の回転運動は、例えばモーターなどの回転手段を制御装置705により制御することによって実現される。制御装置705は、他の図では明示していないが、本発明のスパッタリング装置の各構成要素を制御するように機能している。
基準面Pからのカソード702の回転角度ξ20、ξ21は、基準面Pとカソード702の中心線e2とのなす角度として定義される。同様に、基準面Pからのステージ701の回転角度ξ10、ξ11は、基準面Pとステージ701の中心線e1とのなす角度として定義される。以下の実施例においても、上述した定義に基づいて説明することとする。
図7Bは、図4A及びBで示した本発明に従った第一のスパッタリング装置の各構成要素の位置関係がより明確な状態を示した図である。図7Bは、ターゲット703と基板704とが真正面に向かい合った状態での配置状態を示しており、中心線e1及びe2は、基準面P上にある。カソード702とステージ701とが、真正面に対向して位置しているとき、カソード702に支持されたターゲット703の表面とステージ701上に載置された基板704の表面とは平行であり、且つ基準面Pに対して垂直である。d1は、回転軸Bとターゲット703の表面との距離、d2は、ターゲット703の表面と基板704の表面との距離、d3は、回転軸Aと基板704の表面との距離を示している。距離d2は、カソード702とステージ701の回転角度及び回転速度に応じて、変化する可能性がある。
図7Cは、図4A及びBで示した本発明に従った第一のスパッタリング装置の斜視図である。
図8A乃至図8Cは、図4A及びBで示した本発明に従った第一のスパッタリング装置400の一実施例を表す図である。スパッタリング装置800の基本的構成は、図7に示したスパッタリング装置700のそれと同様である。本実施例においては、回転開始角度及び回転終了角度をξ10=ξ11、ξ20=ξ21とし、かつ、カソード802とステージ801の中心線e2及びe1が同時に基準面Pを通過するような角速度の関係ω2/ω1=ξ10/ξ20を満たすように、各回転軸を中心にカソード802、ステージ801を回転させつつ、ステージ801上に載置された基板804上にスパッタ粒子805を堆積した。
図8Aは、カソード802は回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ20、ステージ801は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード802は角速度ω2、ステージ801は角速度ω1にて同一回転方向に回転を開始する様子を示している。
図8Bは、カソード802とステージ801の中心線e1及びe2が同時に基準面Pを通過する様子を示している。カソード802は角速度ω2、ステージ801は角速度ω1にて同一回転方向に回転している。図8Bに示す状態においては、図8A及び図8Cと比較して、ターゲット803から放出されるスパッタ粒子805の基板804への入射角が小さくなっている。
図8Cは、カソード802は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ21、ステージ801は回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で共に停止し、スパッタ工程が終了する様子を示している。
図9A乃至図9Cは、図4A及びBで示した本発明に従った第一のスパッタリング装置の一実施例を表す図である。スパッタリング装置900の基本的構成は、図7に示したスパッタリング装置700のそれと同様である。本実施例においては、回転開始角度及び回転終了角度を、ξ10=ξ11=ξ20=ξ21、カソード902とステージ901の角速度をω1=ω2と設定し、斜め成膜を行った。図8A乃至Cで示した実施例とは異なり、本実施においては、ターゲット903の表面と基板904の表面は完全平行状態となり、特許文献1に記載された基板搬送成膜機構と同等の機能を限られた空間で実現することができる。
図9Aは、カソード902は回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ20、ステージ901は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード902は角速度ω2、ステージ901は角速度ω1にて同一回転方向に回転を開始する様子を示している。
図9Bは、カソード902とステージ901の中心線e1及びe2が同時に基準面Pを通過する様子を示している。カソード902は角速度ω2、ステージ901は角速度ω1にて同一回転方向に回転している。図9Bに示す状態においては、図9A及び図9Cと比較して、ターゲット903から放出されるスパッタ粒子905の基板904への入射角が小さくなっている。
図9Cは、カソード902は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ21、ステージ901は回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で、カソード902及びステージ901は共に停止し、スパッタ工程が終了する様子を示している。上述したように、本実施例においては、図9A乃至Cのいずれの状態でも、ターゲット903の表面と基板904の表面は平行状態を維持している。
図9において、回転開始角度並びに回転終了角度はξ10=ξ11=ξ20=ξ21=25°、回転軸Aとターゲット903表面との距離は160mm、ターゲット903と基板904との距離は80mm、回転軸Aと基板904面との距離は300mm、ターゲット材質をNiFe、ターゲットサイズは130mm×600mm×5mm、基板サイズは直径200mmのとき、膜厚分布(範囲/平均×100)3%を得ることができた。なお、成膜後の基板上膜厚のうち一番厚い膜厚をDmaxとし一番薄い膜厚をDminとしたとき、範囲は、Dmax−Dminであり、平均は、(Dmax+Dmin)/2とし、以後も同様に適用する。
図9A乃至Cの構成によれば、カソード902及びステージ901の回転中、ターゲット903と基板904との距離d2が変動する。そこで、図10の(A)乃至(E)に示すように、ステージ1001に位置調整機構(図示せず)を設けて、T/S(ターゲット/ステージ)調整距離1006を調整し、常にターゲット1003と基板1004との距離d2を一定にさせることも可能である。なお、スパッタリング装置1000の基本的構成は、図7に示したスパッタリング装置700のそれと同様である。本実施例においては、図9A乃至Cと同様に、回転開始角度及び回転終了角度を、ξ10=ξ11=ξ20=ξ21、カソード1002とステージ1001の角速度をω1=ω2と設定し、ターゲット1003の表面と基板1004の表面は完全平行状態となるように構成した。
図10の(A)は、カソード1002は回転軸Bを中心に基準面Pから右方向に角度ξ20、ステージ1001は回転軸Aを中心に基準面Pから左方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード1002は角速度ω2、ステージ1001は角速度ω1にて同一方向に回転を開始する様子を示している。ターゲット1003は、スパッタ粒子1005を基板1004上に堆積させる。
図10の(B)乃至(D)は、スパッタ中のカソード1002及びステージ1001の動作に加えて、位置調整機構(図示せず)の動作を表している。カソード1002は角速度ω2、ステージ1001は角速度ω1にて同一方向に回転している。ステージ1001とカソード1002とが回転するのと同時並行的に行われるスパッタ中に、ターゲット1003と基板1004の距離d2を一定に保つべく、位置調整機構(図示しない)がステージ1001の上下方向のT/S調整距離1006を制御する様子が示されている。
図10の(E)は、カソード1002は回転軸Bを中心に基準面Pから角度ξ21、ステージ1001は回転軸Aを中心に基準面Pから角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で、カソード1002及びステージ1001は共に停止し、スパッタ工程が終了する様子を示している。
図11A乃至図11Cは、図4A及びBで示した本発明に従った第一のスパッタリング装置の一実施例を表す図である。スパッタリング装置1100の基本的構造は、図7に示したスパッタリング装置700のそれと同様である。本実施例においては、回転開始角度及び回転終了角度を、ξ20=ξ21=0、ξ10=ξ11≠0とし、ステージ1101のみを回転させて、基板1104上に斜め入射スパッタ成膜を行っている状態を示している。
図11Aは、ステージ1101が回転を開始し、ターゲット1103によるスパッタリングが開始される際の、ステージ1101及びカソード1102の状態を示しており、基準面Pとステージ1101の中心線e1との角度はξ10に設定されている。本実施例においては、カソード1102は回転せず、ステージ1101のみが角速度ω1で回転する。ターゲット1103は、スパッタ粒子1105を基板1104上に堆積させる。
図11Bは、ステージ1101が回転中の、ステージ1101及びカソード1102の状態を示しており、ステージ1101の中心線e1が、互いに重なり合っているカソード1102の中心線e2と基準面Pとを通過するときの状態を示している。ステージ1101は、角速度ω1で回転している。
図11Cは、ステージ1102が停止し、スパッタ工程が終了する状態を示しており、基準面Pとステージ1101の中心線e1との角度はξ11である。
図12A乃至図12Cは、図4A及びBで示した本発明に従った第一のスパッタリング装置を適用できる一実施例を表す図である。スパッタリング装置1200の基本的構造は、図7に示したスパッタリング装置700のそれと同様である。本実施例においては、回転開始角度及び回転終了角度をξ10=ξ11≠0、ξ20=ξ21≠0とし、角速度をω2/ω1=ξ20/ξ10として、ステージ1201、カソード1202を基準面Pに対して同一方向(本実施例では基準面Pの左側方向)にそれぞれ傾けて回転させつつ、基板1204上に斜め成膜を行った。回転開始時の各構成要素の配置位置、回転開始角度、回転終了角度、回転速度及び回転方向を適切に調整することによって、基板1204に堆積されるスパッタ粒子1205の斜め入射成分を増やすことが可能である。
図12Aは、カソード1202は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ20、ステージ1201は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード1202は角速度ω2、ステージ1201は角速度ω1にて、互いに異なる回転方向で回転を開始する様子を示している。図12Aから明らかなように、カソード1202に支持されたターゲット1203の表面とステージ1201上に載置された基板1204の表面とが略90度の角度をなす状態となるように、ステージ1201及びカソード1202の回転開始角度ξ10、ξ20を設定することで、スパッタ粒子1205の斜め入射成分を増加させることができることが可能である。
図12Bは、回転動作中のステージ1201及びカソード1202の状態を示しており、カソード1202とステージ1201の中心線e1及びe2が同時に基準面Pを通過する様子を示している。カソード1202は角速度ω2、ステージ1201は角速度ω1にて、互いに異なる回転方向で回転している。
図12Cは、カソード1202は回転軸Bを中心に基準面Pから角度ξ21、ステージ1201は回転軸Aを中心に基準面Pから角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で、カソード1202及びステージ1201は共に停止し、スパッタ工程が終了する様子を示している。図12Cから明らかなように、カソード1202に支持されたターゲット1203の表面とステージ1201上に載置された基板1204の表面とが略90度の角度をなす状態となるように、ステージ1201及びカソード1202の回転開始角度ξ11、ξ21を設定することで、スパッタ粒子1205の斜め入射成分を増加させることができることが可能である。
なお、例えば図9Bのように、ステージ901の中心線e1とカソード902の中心線e2とが基準面Pにおいて一致し、基板904とターゲット903が平行になる状態においては、ターゲット902から放出されるスパッタ粒子905の基板904への入射角が小さくならざるを得ず、膜の一軸磁気異方性を下げる原因となる。そこで、図13Aのようにスパッタ電力を調整する、又は図13Bのようにステージ回転速度、カソード回転角速度を調整することで、ステージ901の中心線e1とカソード902の中心線e2とが基準面Pにおいて一致する時点近傍において、一時的に成膜を抑える動作が必要である。図13A及びBは、基準面Pとステージ901及びカソード902の中心線e2及びe1とのなす角度についてξ10=ξ11=ξ20=ξ21、ステージ901及びカソード902の角速度についてω1=ω2という条件のもとでの結果を示している。この条件の下では、ターゲット903の表面と基板904の表面は完全平行状態となる。以下、より具体的に説明する。まず、カソード902は回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ20、ステージ901は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード902は角速度ω2、ステージ901は角速度ω1にて同一回転方向に回転を開始する。ターゲット903によるスパッタリング処理と同時並行的に、カソード902とステージ901の中心線e1及びe2は同時に基準面Pを通過し、カソード902は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ21、ステージ901は回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で、カソード902及びステージ901は共に停止し、スパッタ工程を終了する。
図13Aは、ステージ901及びカソード902の角速度ω1及びω2を一定に維持しつつ、基準面Pとカソード902及びステージ901の中心線e2及びe1とのなす角度がゼロ近傍である場合にスパッタ電力が最小値をとり、回転開始角度ξ10、ξ20又は回転停止角ξ11、ξ21である場合にスパッタ電力が最大値をとるように構成した場合の、ステージ901及びカソード902の回転角度に対するスパッタ電力及び角速度の変化を示す図である。基準面Pとカソード902及びステージ901の中心線e2及びe1とのなす角度がゼロ近傍である時点とは、換言すれば、カソード902とステージ901の中心線e1及びe2とが同時に基準面Pを通過する時点の近傍を意味している。このように構成することによって、ステージ901の中心線e1とカソード902の中心線e2とが基準面Pにおいて一致し、基板904とターゲット903が平行になる状態において基板入射角が小さいスパッタ粒子905が基板904上に堆積するのを可及的に抑制することが可能となり、もって一軸異方性を高めることが出来る。
これに対して図13Bは、スパッタ電力を一定に維持しつつ、基準面Pとカソード902及びステージ901の中心線e2及びe1とのなす角度がゼロ近傍である場合に角速度が最大値をとり、回転開始角度ξ10、ξ20及び回転停止角ξ11、ξ21である場合に角速度が最小値をとるように構成した場合の、ステージ901及びカソード902の回転角度に対するスパッタ電力及び角速度の変化を示す図である。このように構成することによって、ステージ901の中心線e1とカソード902の中心線e2とが基準面Pにおいて一致し、基板904とターゲット903が平行になる状態において、基板入射角が小さいスパッタ粒子905が基板904上に堆積するのを可及的に抑制することが可能となり、もって一軸異方性を高めることが出来る。以上を要約すれば、スパッタ電力と、ステージ、カソード回転角速度とを適切に調節することで、質が高く、均一性に優れた一軸磁気異方性膜を成膜できる。
図14Aは、基板1404の中心をゼロとし、基板1404両端をそれぞれ−100mm、+100mmとする座標系として基板位置(Xmm)を設定した場合の、基板1404表面に形成される膜の膜厚分布を示す図である。図14Bは、図9A、図9Bに記載する、本発明従った第一のスパッタリング装置の斜視図であり、座標軸である基板位置(Xmm)を明示したものである。スパッタリング装置1400は、基板1404を載置するステージ1401と、ターゲット1403を支持するカソード1402とからなる。ステージ1401及びカソード1402はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ1401及びカソード1402はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に基準面Pから任意の角度で回転するように構成されている。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット1403は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード1402によって支持されている。回転軸Bを中心に回転可能であるカソード1402により支持されるターゲット1403は、プラズマ中のイオンをターゲット1403表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板1404に堆積させる。ターゲット1403によって成膜処理が施される基板1404は、回転軸Aを中心に回転可能であるステージ1401上に載置されている。
図14Aの1)は、基準面Pとステージ1401の中心線e1とのなす角度がξ10から0へと変化する間に形成される膜厚分布を示している。2)は、基準面Pとステージ1401の中心線e1とのなす角度がゼロからξ11へと変化する間に形成される膜厚分布を示している。3)は、1)及び2)の過程の結果得られた最終的な膜厚分布を示している。ξ10=ξ11、ξ20=ξ21とすることで、図14Aのように基板中心に対して左右対称の分布が得られ、膜厚分布を均一化することが容易になる。
図15A、図15Bは、図5A及び図5Bで示した本発明に従った第二のスパッタリング装置を用いた成膜手法を示している。スパッタリング装置1500は、基板1504を載置するステージ1501と、ターゲット1503を支持するカソード1502及び遮蔽板1506とからなる。ステージ1501及びカソード1502はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ1501及びカソード1502はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に基準面Pから任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ1501及びカソード1502は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能である。ここに基準面Pとは、回転軸Aと回転軸Bとを通過し各回転軸方向に延在する平面を意味している。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット1503は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード1502によって支持されている。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード1502により支持されるターゲット1503は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット1503表面に衝突させることによってスパッタ粒子1505を基板1504に堆積させることが出来る。ターゲット1503によって成膜処理が施される基板1504は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ1501上に載置されている。さらに、ターゲット1503とステージ1501との間に遮蔽板1506が設けられており、遮蔽板1506は、回転軸A又は回転軸Bのいずれかを中心に基準面Pから任意の角度で回転するための手段を有しており、堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子1505の入射角の選択性を高める機能を果たす。遮蔽板1506は、任意の方法で、回転軸A又は回転軸Bを中心として回転することが出来るが、本実施例では回転軸Aを中心として回転可能と構成した。遮蔽板1506は、カソード1502又はステージ1501とは独立して回転運動することが可能である。カソード1502、ステージ1501及び遮蔽板1506の一連の回転運動は、制御装置1508により、適切に制御することが可能である。制御装置1508は、他の図では明示していないが、スパッタリング装置の各構成要素を制御するように機能している。
図15A及び図15Bにおいて、基準面Pは、回転軸Aと回転軸Bとを通過し各回転軸方向に延びる平面を示している。e1は、ステージ1501の中心線を示し、e2はカソード1502の中心線を示している。ccは、基板1504の法線を示している。ee1は、ターゲット1503の端部t1と遮蔽板1506の端部s1とを結ぶ直線である。ee2は、ターゲット1503の端部t2と遮蔽板1506の端部s2とを結ぶ直線である。ξ10及びξ11は、基準面Pとステージ1501の中心線e1とのなす角度である。ξ10は、ステージ1501の回転開始角度であり、ξ11は、ステージ1501の回転終了角度である。ξ20及びξ21は、基準面Pとカソード1502の中心線e2とのなす角度である。ξ20は、カソード1502の回転開始角度であり、ξ21は、カソード1502の回転終了角度である。σ0は、遮蔽板1506の端部s1とステージ1501の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角であり、σ1は、遮蔽板1506の端部s2とステージ1501の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角である。η0は、直線ee1と直線ccとのなす角度である。η1は、直線ee2と直線ccとのなす角度である。カソード1502は、回転軸Bを中心に角速度ω2で回転可能に構成されており、ステージ1501は、回転軸Aを中心に角速度ω1で回転可能に構成されている。遮蔽板1506は、ステージ1501及びカソード1502の回転方向とは反対の方向に角速度ω3で回転可能に構成されている。なお、上述した定義は、図16乃至図23についての説明にも用いることが出来る。
図15Aに示すように、スパッタ開始時においては、カソード1502は回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ20、ステージ1501は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾けた状態にある。ターゲット1503の端部t1と遮蔽板1506の端部s1とを結ぶ線ee1と基板面法線ccとの角度が、スパッタ粒子1505の基板入射角η0であり、このときの遮蔽板1506の端部s1とステージ1501の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ0である。スパッタ成膜工程を開始すると、カソード1502は角速度ω2、ステージ1501は角速度ω1で同一回転方向に回転する一方、他方において遮蔽板1506は角速度ω3にてカソード1502及びステージ1501とは反対の回転方向に回転する。その後、図15Bにおいて示すように、カソード1502が回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ21、ステージ1501が回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた時点で、カソード1502、ステージ1501を共に停止させ、スパッタ工程も終了する。スパッタ終了時において、ターゲット1503の端部t2と遮蔽板1506の端部s2とを結ぶ線ee2と基板面法線ccとの角度が、スパッタ粒子1505の基板入射角η1であり、遮蔽板1506の端部s2とステージ1501の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ1となっている。
図15C及び図15Dは、図15Aから図15Bに示したスパッタリング装置1500に関して、その各構成要素の位置関係をより明確に示した図である。図15Cは、ターゲット1503と基板1504とが真正面に向かい合った状態での配置状態を示しており、中心線e1及びe2は、基準面P上にある。カソード1502とステージ1501とが、真正面に対向して位置しているとき、カソード1502に支持されたターゲット1503の表面とステージ1501上に載置された基板1504の表面とは平行であり、且つ基準面Pに対して垂直である。図15Cを参照すると、d1は、回転軸Bからターゲット1503表面までの距離、d2は、ターゲット1503表面から基板1504表面までの距離、d3は、回転軸Aから基板1504表面までの距離、d4は、基準面Pにおける遮蔽板1506と基板1504との距離を示している。図15Dを参照すると、上述した本発明のスパッタリング装置1500の各構成要素1501乃至1506に加えて、遮蔽板用回転手段1507が、回転軸Aを囲むように設けられていることが分かる。遮蔽板1506は、遮蔽板用回転手段1507によって、カソード1502又はステージ1501とは独立して、回転軸Aを中心に回転する。
図15C、図15Dにおいて、回転軸Aとターゲット1503表面との距離d1は160mm、ターゲット1503表面と基板1504表面との距離d2は100mm、回転軸Aと基板1504表面との距離d3は300mmである。ターゲット1503の材質は、NiFeで、大きさは130mm×450mmで厚みは5mmである。基板1504のサイズは、直径200mmである。遮蔽板1506の厚みは、3mmである。基準面Pにおける遮蔽板1506と基板1504との距離d4は、50mmである。スパッタ粒子1505の入射角ηは常に50度となるように回転させた。このとき、膜厚分布(範囲/平均×100)は2%が得られた。
図16Aから図16Cは、図5A及び図5Bで示した本発明に従った第二のスパッタリング装置の一実施例を表す図である。スパッタリング装置1600の基本的構造は、図15に示したスパッタリング装置1500のそれと同様である。本実施例においては、ステージ1601及びカソード1602の回転開始角度ξ10、ξ20及び回転終了角度ξ11、ξ21をξ10=ξ11、ξ20=ξ21とし、かつ、ステージ1601及びカソード1602の中心線e1及びe2が同時に基準面Pを通過するような角速度の関係ω2/ω1=ξ20/ξ10を満たすように、ステージ1601及びカソード1602をそれぞれ回転軸A及び回転軸Bを中心に同一回転方向に回転させるとともに、常にスパッタ粒子1605の入射角度ηが予め決められた角度になるように、遮蔽板1606を、回転軸Aを中心に角速度ω3にてカソード1602及びステージ1601の回転方向とは反対方向に回転するように構成した。
図16Aは、スパッタ開始時の各構成要素の状態を示している。カソード1602が回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ20、ステージ1601が回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード1602は角速度ω2、ステージ1601は角速度ω1にて同一回転方向の回転を開始する。ステージ1601上には、基板1604が載置されており、基板1604は、ターゲット1603によるスパッタリング処理を施される。遮蔽板1606は、カソード1602及びステージ1601の回転方向とは反対方向に回転軸Aを中心に角速度ω3にて回転するように構成されている。図16Aにおいて、回転開始時におけるターゲット1603の端部t1と遮蔽板1606の端部s1とを結ぶ直線ee1と基板面法線ccとのなす角度がηであり、遮蔽板1606の端部s1とステージ1601の回転軸Bとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ0である。
図16Bは、スパッタ中のステージ1601及びカソード1602の状態を示しており、ステージ1601とカソード1602の中心線e1及びe2が同時に基準面Pを通過するときの様子を示している。遮蔽板1606は、スパッタ粒子1605の入射角ηが常に予め決められた角度になるように、カソード1602及びステージ1601の回転移動に応じて、角速度ω3で回転移動している。図16Bに示しているように、基板1604が遮蔽板1606によってターゲット1603から完全に遮断され、スパッタ粒子1605が基板1604に入射しないように適宜ω3を調整することも可能である。これによって、基板入射角が小さいスパッタ粒子1605が堆積するのを可及的に抑制することが可能となり、もって一軸磁気異方性を高めることが出来る。
図16Cは、スパッタ終了時の各構成要素の状態を示している。カソード1602は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ21、ステージ1601は回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた時点で、カソード1602及びステージ1601は共に停止し、スパッタ工程が終了する。ターゲット1603の端部t2と遮蔽板1606の端部s2とを結ぶ直線ee2と基板面法線ccとのなす角度がηであり、このときの遮蔽板1606の端部s2とステージ1601の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ1である。
図17Aから図17Cは、図5A及び図5Bで示した本発明に従った第二のスパッタリング装置の一実施例を表す図である。スパッタリング装置1700の基本的構造は、図15に示したスパッタリング装置1500のそれと同様である。本実施例においては、ステージ1701及びカソード1702の回転開始角度並びに回転終了角度をξ10=ξ11=ξ20=ξ21として、カソード1702とステージ1701の角速度をω1=ω2として斜め成膜を行った。本実施例においては、図17A乃至Cのいずれの状態でも、ターゲット1703の表面と基板1704の表面は平行状態を維持している。さらに、常にスパッタ粒子1705の入射角ηが予め決められた角度になるように、遮蔽板1706は、カソード1702、ステージ1701の回転方向とは逆方向に、角速度ω3にて回転するように構成した。
図17Aは、カソード1702は回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ20、ステージ1701は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード1702は角速度ω2、ステージ1701は角速度ω1にて同一方向に回転を開始する様子を示している。ステージ1701上には、基板1704が載置されている。遮蔽板1706は、カソード1702、ステージ1701の回転方向とは反対方向に回転軸Aを中心に角速度ω3にて回転するように構成されている。図17Aにおいて、ターゲット1703の端部t1と遮蔽板1706の端部s1とを結ぶ線ee1と基板面法線ccとのなす角度がηであり、このときの遮蔽板1706の端部s1とステージ1701の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ0である。
図17Bは、スパッタ中のステージ1701及びカソード1702の状態を示しており、カソード1702とステージ1701の中心線e2及びe1が同時に基準面Pを通過するときの様子を示している。遮蔽板1706は、常にηが予め決められた角度になるように、カソード1702、ステージ1701の回転に応じて、角速度ω3で、カソード1702及びステージ1701とは反対方向に回転している。図17Bに示しているように、基板1704が遮蔽板1706によってターゲット1703から完全に遮断され、スパッタ粒子1705が基板1704に入射しないように適宜ω3を調整することも可能である。
図17Cは、カソード1702は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ21、ステージ1701は回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で、カソード1702及びステージ1701は共に停止し、スパッタ工程が終了する様子を示している。ターゲット1703の端部t2と遮蔽板1706の端部s2とを結ぶ線ee2と基板面法線ccとのなす角度がηであり、このときの遮蔽板1706の端部s2とステージ1701の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ1である。
図18Aから図18Cは、図5A及び図5Bで示した本発明に従った第二のスパッタリング装置の一実施例を表す図である。スパッタリング装置1800の基本的構造は、図15に示したスパッタリング装置1500のそれと同様である。本実施例においては、ステージ1801及びカソード1802の回転開始角度ξ10、ξ20及び回転終了角度ξ11、ξ21をξ20=ξ21=0、ξ10=ξ11≠0とし、ステージ1801のみを傾けて回転させるとともに、常にηが予め決められた角度になるように、遮蔽板1806をステージ1801の回転方向とは反対方向にω3にて回転するように構成した。
図18Aは、ステージ1801の回転開始時の、ステージ1801及びカソード1802の状態を示している。ステージ1801は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾けた状態にある。カソード1802については、その中心線e2と基準面Pとは重なり合っており、基準面Pから傾けられてはいない。本実施例においては、カソード1802は、スパッタ開始時からスパッタ終了時までの間、回転しないように構成しており、その中心線e2と基準面Pとが乖離することはない。遮蔽板1806は、ステージ1801の回転方向とは反対方向に回転軸Aを中心に角速度ω3にて回転するように構成されている。図18Aにおいて、ターゲット1803の端部t1と遮蔽板1806の端部s1とを結ぶ直線ee1と基板面法線ccとのなす角度がηであり、このときの遮蔽板1806の端部s1とステージ1801の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ0である。
図18Bは、回転開始後スパッタ中の、ステージ1801及びカソード1802の状態を示しており、ステージ1801の中心線e1が基準面Pと一致した状態を示している。遮蔽板1806は、常にスパッタ粒子1805の入射角ηが予め決められた角度になるように、ステージ1801の回転移動に応じて、ステージ1801の回転方向とは反対方向に角速度ω3で回転している。図18Bに示すように、基板1804が遮蔽板1806によってターゲット1803から完全に遮断され、スパッタ粒子1805が基板1804に入射しないように適宜ω3を調整することも可能である。
図18Cは、ステージ1801が停止し、スパッタ工程が終了する状態を示しており、ステージ1801が回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた位置になった時点で、ステージ1801は停止する。ターゲット1803の端部t2と遮蔽板1806の端部s2とを結ぶ線ee2と基板面法線ccとのなす角度がηであり、このときの遮蔽板1806の端部s2とステージ1801の回転軸Bとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ1である。
図19Aから図19Cは、図5A及び図5Bで示した本発明に従った第二のスパッタリング装置の一実施例を表す図である。スパッタリング装置1900の基本的構造は、図15に示したスパッタリング装置1500のそれと同様である。本実施例においては、ステージ1901及びカソード1902の回転開始角度ξ10、ξ20及び回転終了角度ξ11、ξ21をξ10=ξ11≠0、ξ20=ξ21≠0とし、ステージ1901及びカソード1902を基準面Pに対して同一方向(本実施例では基準面Pの左側方向)に傾けて、それぞれ角速度ω1、ω2で回転を開始するように構成した。さらに、常にスパッタ粒子1905の入射角ηが予め決められた角度になるように、遮蔽板1906がステージ1901の回転方向と同方向に角速度ω3にて回転するように構成した。
図19Aは、カソード1902は回転軸Bを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ20、ステージ1901は回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、カソード1902は角速度ω2で回転し、ステージ1901は角速度ω1でカソード1902とは反対の回転方向に回転する様子を示している。遮蔽板1906は、ステージ1901の回転方向と同一方向に回転軸Aを中心に角速度ω3にて回転するように構成されている。図19Aにおいて、ターゲット1903の端部t1と遮蔽板1906の端部s1とを結ぶ線ee1と基板面法線ccとのなす角度がηであり、このときの遮蔽板1906の端部s1とステージ1901の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ0である。図19Aから明らかなように、カソード1902に支持されたターゲット1903の表面とステージ1901上に載置された基板1904の表面とが略90度の角度をなす状態となるように、ステージ1901及びカソード1902の回転開始角度ξ10、ξ20を設定することで、スパッタ粒子1905の入射角を大きくすることが出来る。
図19Bは、ステージ1901、カソード1902及び遮蔽板1906の回転開始後の状態を示しており、特にステージ1901とカソード1902の中心線e1及びe2が同時に基準面Pを通過するときの様子を示している。このとき、遮蔽板1906は、常にスパッタ粒子1905の入射角ηが予め決められた角度になるように、カソード1902、ステージ1901の回転に伴って、ステージ1901と同一方向に角速度ω3で回転している。図19Bに示すように、ステージ1901とカソード1902の中心線e1及びe2が同時に基準面Pを通過するとき、基板1904が遮蔽板1906によってターゲット1903から完全に遮断され、スパッタ粒子1905が基板1904に入射しないように、適宜ω3を調整することも可能である。
図19Cは、カソード1902は回転軸Bを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ21、ステージ1901は回転軸Aを中心に基準面Pから右側方向に角度ξ11だけ傾いた位置で、カソード1902及びステージ1901は共に停止し、スパッタ工程が終了する様子を示している。このとき、ターゲット1903の端部t2と遮蔽板1906の端部s2とを結ぶ線ee2と基板面法線ccとのなす角度がηであり、このときの遮蔽板1906の端部s2とステージ1901の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ1である。図19Cから明らかなように、カソード1902に支持されたターゲット1903の表面とステージ1901上に載置された基板1904の表面とが略90度の角度をなす状態となるように、ステージ1901及びカソード1902の回転開始角度ξ11、ξ21を設定することで、スパッタ粒子1905の入射角を大きくすることが出来る。
図20Aは、本発明に従った第二のスパッタリング装置の一実施例を示す図である。スパッタリング装置2000は、基板2004を載置するステージ2001と、ターゲット2003を支持するカソード2002及び遮蔽板2005とからなる。ステージ2001及びカソード2002はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ2001及びカソード2002はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に基準面Pから任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ2001及びカソード2002は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、回転手段を制御装置によって制御することが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット2003は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード2002によって支持されている。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード2002により支持されるターゲット2003は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット2003表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板2004上に堆積させることが出来る。ターゲット2003によって成膜処理が施される基板2004は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ2001上に載置されている。さらに、ターゲット2003とステージ2001との間に遮蔽板2005が設けられており、遮蔽板2005は、回転軸Aを中心に基準面Pから任意の角度で回転するための手段を有しており、堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子の入射角の選択性を高める機能を果たす。遮蔽板2005は、遮蔽板用回転手段2006を制御装置によって適切に制御することによって、カソード2002又はステージ2001とは独立して、回転軸Aを中心に回転する。
通常、配向性を高めた膜は複数層からなっており、その代表例はTa/FeCo,NiFe/FeCo,NiFeCr/FeCoである。このような複数層からなる膜を製作するためには、カソード2002に支持されるターゲット2003は複数であることが望ましい。本実施例においては、複数のターゲット2003a、2003b及び2003cが存在しており、使用用途に応じて適宜ターゲット2003a、2003b及び2003cを使い分けることが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット2003a、2003b及び2003cは、回転軸Bに対して平行となるように、カソード2002によって支持されている。回転軸Bを中心に回転可能であるターゲット2003a、2003b及び2003cは、プラズマ中のイオンをターゲット2003表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板2004に堆積させる。なお、スパッタリング装置2000の回転動作は、図16乃至図19に関して説明したものと同様である。
図20Bは、図20Aのカソード2002に支持されるターゲット2003a、2003b及び2003cの内部を、より詳細に示した図である。図20Bは、ターゲット利用効率を上げるために、複数のターゲット2003a、2003b及び2003cそれぞれの内部に配置されているターゲット用揺動マグネトロン2007a、b及びcを揺動動作させている様子を示している。
図21A及びBは、本発明に従ったスパッタリング装置2100と多元スパッタシステム2107を組み合わせた一実施例を示している。スパッタリング装置2100は、基板2104を載置するステージ2101と、ターゲット2103を支持するカソード2102及び遮蔽板2105とからなる。ターゲット2103は、複数のターゲット2103a、2103b及び2103cから構成される。ステージ2101及びカソード2102はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ2101及びカソード2102はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に基準面Pから任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ2101及びカソード2102は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、回転手段を制御装置によって制御することが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット2103は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード2102によって支持されている。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード2102により支持されるターゲット2103は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット2103表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板2104上に堆積させることが出来る。ターゲット2103によって成膜処理が施される基板2104は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ2101上に載置されている。さらに、ターゲット2103とステージ2101との間に遮蔽板2105が設けられており、遮蔽板2105は、遮蔽板用回転手段2106を制御装置によって適切に制御することによって、カソード2102又はステージ2101とは独立して、回転軸Aを中心に回転する。
本実施例においては、多元スパッタシステム2107は、2つのカソード2107a、カソード2107bから構成されるが、用途に応じてより多くのカソードを含めることも可能である。図21Bは、図21Aに記載するスパッタリング装置2100と2つのカソード2107a、カソード2107bから構成される多元スパッタシステム2107を組み合わせた一実施例において、回転軸Aを有するステージ2101が多元スパッタシステム2107側へ傾いている状態を示している。つまり、図21Aの状態では、カソード2102による斜め入射スパッタが可能であり、図21Bの状態では、多元スパッタシステム2107による成膜が可能であり、これらを繰り返すことで、図21Cに示すような、カソード2102により形成される斜め成長膜Sと多元スパッタシステム2107により形成される膜Tとの交互層からなる積層膜を形成することが可能になる。特に近年、書き込みヘッドでは多層膜による反平行構造をとるため、本発明に従ったスパッタリング装置2100と多元スパッタシステム2107との組み合わせは必要不可欠である。
図22は、本発明に従ったスパッタリング装置2200と、さまざまなタイプの多元スパッタシステム2207、具体的には1カソードユニット2207a、3カソードユニット2207b、4カソードユニット2207cとの組み合わせが表されている。スパッタリング装置2200は、基板2204を載置するステージ2201と、ターゲット2203を支持するカソード2202及び遮蔽板2205とからなる。ターゲット2203は、複数のターゲット2203a、2203b及び2203cから構成される。ステージ2201及びカソード2202はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ2201及びカソード2202はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に基準面Pから任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ2201及びカソード2202は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、回転手段を制御装置によって制御することが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット2203は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード2202によって支持されている。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード2202により支持されるターゲット2203は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット2203表面に衝突させることによってスパッタ粒子を基板2204上に堆積させることが出来る。ターゲット2203によって成膜処理が施される基板2204は、回転軸Aを中心に任意の角度で回転可能であるステージ2201上に載置されている。さらに、ターゲット2203とステージ2201との間に遮蔽板2205が設けられており、遮蔽板2205は、遮蔽板用回転手段2206を制御装置によって適切に制御することによって、カソード2202又はステージ2201とは独立して、回転軸Aを中心に回転する。スパッタリング装置2200と、多元スパッタシステム2207、具体的には1カソードユニット2207a、3カソードユニット2207b、4カソードユニット2207cとの組み合わせを用いることで、使用用途を更に拡張することが出来る。
図23A乃至図23Dは、図6A及びBに示したステージ601を用いた第三のスパッタリング装置を示す図である。図23A、図23Cは、本発明の第三の実施例に従ったスパッタリング装置によって、斜めスパッタを開始する際の状態を表している。図23Aは、本発明の第三の実施例に従ったスパッタリング装置2300の斜視図である。図23Cは、本発明の第三の実施例に従ったスパッタリング装置2300の側面図である。まず図23Aを用いて、スパッタリング装置2300の構成について説明する。スパッタリング装置2300は、基板2304を載置するステージ2301と、ターゲット2303を支持するカソード2302及び遮蔽板2306とからなる。ステージ2301及びカソード2302はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを備えており、且つ、ステージ2301及びカソード2302はそれぞれ、回転軸A及び回転軸Bを中心に基準面Pから任意の角度で回転するように構成されている。例えば、ステージ2301及びカソード2302は、モーターなどの回転手段を用いて回転させることが可能であり、回転手段を制御装置によって制御することが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット2303は、回転軸Bに対して平行となるように、カソード2302によって支持されている。回転軸Bを中心に任意の角度で回転可能であるカソード2302により支持されるターゲット2303は、静止中及び回転中いずれの場合においても、プラズマ中のイオンをターゲット2303表面に衝突させることによってスパッタ粒子2305を基板2304上に堆積させることが出来る。ターゲット2303によって成膜処理が施される基板2304は、ステージ2301の基板載置台2308上に載置されている。さらに、ターゲット2303とステージ2301との間に遮蔽板2306が設けられており、遮蔽板2306は、回転軸Aを中心に基準面Pから任意の角度で回転可能に構成されており、堆積される膜の膜厚分布の微調整やスパッタ粒子2305の入射角の選択性を高める機能を果たす。遮蔽板2306は、遮蔽板用回転手段2307を制御装置によって適切に制御することによって、カソード2302又はステージ2301とは独立して、回転軸Aを中心に回転する。
本実施例においては、複数のターゲット2303a、2303b及び2303cが存在しており、使用用途に応じて適宜ターゲット2303a、2303b及び2303cを使い分けることが可能である。回転軸Aと回転軸Bは、互いに平行に配置されており、ターゲット2303a、2303b及び2303cは、回転軸Bに対して平行となるように、カソード2302によって支持されている。回転軸Bを中心に回転可能であるターゲット2303a、2303b及び2303cは、プラズマ中のイオンをターゲット2303表面に衝突させることによってスパッタ粒子2305を基板2304に堆積させる。
図23Cは、ステージ2301の回転開始時の、ステージ2301及びカソード2302の状態を示している。ステージ2301が回転軸Aを中心に基準面Pから左側方向に角度ξ10だけ傾いた位置からスパッタ成膜工程を開始し、ステージ2301は角速度ω1にて回転を開始する。カソード2302については、その中心線e2と基準面Pとは重なり合っており、基準面Pから傾けられてはいない。本実施例においては、カソード2302は、スパッタ開始時からスパッタ終了時までの間、回転しないように構成しており、その中心線e2と基準面Pとが乖離することはない。図23Cにおいて、ターゲット2303の端部t1と遮蔽板2306の端部s1とを結ぶ直線ee1と基板面法線ccとのなす角度がスパッタ粒子2305の基板2304への入射角ηであり、このときの遮蔽板2306の端部s1とステージ2301の回転軸Aとを結ぶ直線の基準面Pからの振れ角がσ0である。ステージ2301の基板載置台2308は、回転軸Aに垂直であり且つ基板2304の中心を通過する回転軸Cを有し、回転軸Cを中心として基板載置台2308上に載置されている基板2304を回転させることが可能である。基板載置台2308の回転は、制御装置により適切に制御されている。スパッタ成膜工程を開始し、ステージ2301が角速度ω1で時計回りに回転し、遮蔽板2306がω3で反時計回りに回転するように構成した。なお、上記実施例においては、カソード2302を回転させていないが、ステージ2301及び遮蔽板2306の回転とともに適宜回転させることも可能である。
図23B及び図23Dは、ステージ2301が回転移動し、ξ10=0となったところつまり、ステージ2301の中心線e1が基準面Pと一致した状態を表している。図23Bは、ステージ2301の中心線e1が基準面Pと一致した状態での、スパッタリング装置2300の斜視図を表し、図23Dは、その状態での側面図を表している。ステージ2301の中心線e1が基準面Pと一致するに至った時点で、ステージ2301の基板載置台2308は回転軸Cを中心として180度回転し、これによって基板2304を180度回転させる。ステージ2301の中心線e1が基準面Pと一致するに至った時点で、遮蔽板2306が、基板載置台2308上に載置された基板2304を、ターゲット2303から放出されるスパッタ粒子2305から完全に遮断するように、ステージ2301及び遮蔽板2306の角速度ω1及びω3を適切に設定することが望ましく、その場合、基板2304の回転は、スパッタ粒子2305から完全に遮断されて行われることとなり、薄膜の一軸磁気異方性を高めることが可能となる。基板2304を180度回転させた後、上述した方向とは反対回転方向、即ち、ステージ2301は反時計回りに角速度ω1で、遮蔽板2306は時計回りに角速度ω3で回転を開始し、同時並行的にスパッタリングを行いながら図23A、図23Cの状態へと戻ってゆく。この方法により、更に動作範囲を狭めた斜め入射スパッタが可能になる。
上述の実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本実施例の教示ないし示唆に基づいて、本発明請求の範囲の主題内容を実現すべく、上述の諸実施例を適宜変更することができる。
401 ステージ
402 カソード
403 ターゲット
404 基板
405 スパッタ粒子
A 回転軸A
B 回転軸B
402 カソード
403 ターゲット
404 基板
405 スパッタ粒子
A 回転軸A
B 回転軸B
Claims (8)
- スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸を備えたカソードと、
基板支持面を有するステージであって、該基板支持面が回転する回転軸を備えたステージとからなるスパッタリング装置であり、
前記スパッタリングターゲット支持面と前記基板支持面とが互いに対面しており、スパッタ中にそれぞれの回転軸を中心として独立して回転可能に構成されており、スパッタ粒子の基板に対する入射角度が所望の値になるようにスパッタターゲット支持面又は基板支持面の回転が制御される制御装置を設けたことを特徴とする、スパッタリング装置。 - スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸を備えたカソードと、
基板支持面を有するステージであって、該基板支持面が回転する回転軸を備えたステージとからなるスパッタリング装置であり、
前記スパッタリングターゲット支持面と前記基板支持面とが互いに対面しており、スパッタ中にそれぞれの回転軸を中心として独立して回転可能に構成されており、前記スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸と前記基板支持面が回転する回転軸とは、同一基準面から所定の角度回転するように構成され、スパッタ粒子の基板に対する入射角度が所望の値になるようにスパッタターゲット支持面又は基板支持面の回転が制御される制御装置を設けたことを特徴とする、スパッタリング装置。 - スパッタリングターゲット支持面を有するカソードであって、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸を備えたカソードと、
基板支持面を有するステージであって、該基板支持面が回転する回転軸を備えたステージとからなるスパッタリング装置であり、
前記スパッタリングターゲット支持面と前記基板支持面とが互いに平行して対面しており、スパッタ中にそれぞれの回転軸を中心として独立して回転可能に構成されており、前記スパッタリングターゲット支持面と前記基板支持面とが互いに平行して対面するようにスパッタターゲット支持面及び基板支持面の回転が制御される制御装置を設けたことを特徴とする、スパッタリング装置。 - 前記ステージがさらに、前記ステージの回転軸に対して垂直な回転軸を備える基板載置台を有しており、前記基板載置台が前記回転軸を中心に回転可能なことを特徴とする、請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。
- 前記基板載置台の回転を制御するための制御装置を含むことを特徴とする、請求項3に記載のスパッタリング装置。
- 前記スパッタリングターゲットと前記基板支持面を有するステージとの間に遮蔽板を設け、該遮蔽板に、前記スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸又は前記基板支持面が回転する回転軸のいずれかを中心に基準面から任意の角度で回転するための手段を設けたことを特徴とする請求項1から5記載のスパッタリング装置。
- 前記カソードは、該スパッタリングターゲット支持面が回転する回転軸の周囲に複数設けられており、該複数のカソードの1つは、前記基板支持面と互いに平行して対面するよう構成されていることを特徴とする請求項1から6記載のスパッタリング装置。
- 前記スパッタターゲットは揺動可能なマグネットを備えていることを特徴とする請求項1から7記載のスパッタリング装置。
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JP2009529905A Division JP4503098B2 (ja) | 2007-08-29 | 2007-08-29 | スパッタリングによる成膜方法とその装置 |
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JP2009298036A Withdrawn JP2010095799A (ja) | 2009-12-28 | 2009-12-28 | スパッタリングによる成膜方法とその装置 |
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