JP2010142243A - リン脂質転移酵素活性が向上した脂質アシル基転移酵素変異体 - Google Patents

リン脂質転移酵素活性が向上した脂質アシル基転移酵素変異体 Download PDF

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Abstract

【課題】糖脂質アシル基転移酵素変異体を製造する方法の提供。
【解決手段】(a)アミノ酸配列モチーフGDSX(式中、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含むことを特徴とする糖脂質アシル基転移酵素である親酵素を選択するステップと、(b)1個又は複数のアミノ酸を改変して糖脂質アシル基転移酵素変異体を製造するステップと、(c)前記糖脂質アシル基転移酵素変異体をガラクト脂質基質並びに場合によりリン脂質基質及び/又は場合によりトリグリセリド基質に対する転移酵素活性場合により加水分解活性について試験するステップと、(d)ガラクト脂質に対して前記親酵素よりも活性が高い酵素変異体を選択するステップと、場合により(e)多量の前記酵素変異体を調製するステップを場合により含む方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、酵素変異体の製造方法に関する。本発明は、さらに、新規酵素変異体及びこれらの新規酵素変異体の使用にも関する。
以下の関連出願を参照されたい。1999年7月20日に出願された米国出願第09/750,990号、米国出願第10/409,391号、2003年7月23日に出願された米国出願第60/489,441号、2003年12月24日に出願された英国出願第0330016.7号及び2004年1月15日に出願された国際特許出願PCT/IB2004/000655号。本文中又はこれらの出願手続き中のこれら各出願、これらの各出願において引用された各文献(「出願引用文献」)及び出願引用文献において参照又は引用された各文献、並びにかかる手続き中に提出された特許性を支持するすべての意見書を参照により本明細書に援用する。本文においてはさまざまな文献も引用される(「本願引用文献」)。本願引用文献の各々及び本願引用文献中で引用又は参照された各文献を参照により本明細書に援用する。
脂質:コレステロール アシル基転移酵素はかねてから知られている(例えば、Buckley - Biochemistry 1983, 22, 5490-5493を参照されたい)。特に、植物及び/又は哺乳動物のLCAT(lecithin:cholesterol acyltransferase)のように、ホスファチジルコリンとコレステロール間の脂肪酸の移動を触媒するGCAT(glycerophospholipid:cholesterol acyl transferase)が見出された。
Upton and Buckley (TIBS 20, May 1995, p178-179)及びBrumlik and Buckley (J. of Bacteriology Apr. 1996, p2060-2064)は、水性媒体中でアルコール受容体へのアシル基転移を起こすことができる、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)由来のリパーゼ/アシル基転移酵素を教示している。
この酵素に対して、アエロモナス・ヒドロフィラ アシル基転移酵素の推定上の基質結合ドメイン及び活性部位が特定された(例えば、Thornton et al 1988 Biochem. et Biophys. Acta. 959, 153-159及びHilton & Buckley 1991 J. Biol. Chem. 266, 997-1000参照)。
Buckley et al (J. Bacteriol 1996, 178(7) 2060-4)は、Ser16、Asp116及びHis291が、酵素活性を維持するために保持されなければならない必須アミノ酸であることを示した。
Robertson et al (J. Biol. Chem. 1994, 269, 2146-50)は、アエロモナス・ヒドロフィラ アシル基転移酵素のいくつかの特定の変異、すなわちY226F、Y230F、Y30F、F13S、S18G、S18Vを教示した。これらは本発明に包含されない。
米国出願第09/750,990号 米国出願第10/409,391号 米国出願第60/489,441号 英国出願第0330016.7号 国際特許出願PCT/IB2004/000655号 Buckley - Biochemistry 1983, 22, 5490-5493 Upton and Buckley (TIBS 20, May 1995, p178-179) Brumlik and Buckley (J. of Bacteriology Apr. 1996, p2060-2064) Thornton et al 1988 Biochem. et Biophys. Acta. 959, 153-159 Hilton & Buckley 1991 J. Biol. Chem. 266, 997-1000 Buckley et al (J. Bacteriol 1996, 178(7) 2060-4) Robertson et al (J. Biol. Chem. 1994, 269, 2146-50)
本発明は、脂質アシル基転移酵素を含むGDSxの特定の変異体の発見に基づく。この変異体は転移酵素活性が親酵素よりも高い。特に、本発明による変異体は、アシル供与体としてガラクト脂質を用いた転移酵素活性が親酵素よりも高い。これらの脂質アシル基転移酵素を本明細書では糖脂質アシル基転移酵素と称する。本発明による変異体は、さらに、アシル供与体としてガラクト脂質を用いた転移酵素活性とリン脂質転移酵素活性の比(GL:PL比)及び/又はアシル供与体としてガラクト脂質を用いた転移酵素活性とガラクト脂質加水分解活性の比(GLt:GLh比)が親酵素よりも高い場合がある。
第1の態様によれば、本発明は、糖脂質アシル基転移酵素変異体を製造する方法であって、(a)アミノ酸配列モチーフGDSX(式中、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含むことを特徴とする脂質アシル基転移酵素である親酵素を選択するステップと、(b)1個又は複数のアミノ酸を改変して脂質アシル基転移酵素変異体を製造するステップと、(c)前記脂質アシル基転移酵素変異体をガラクト脂質基質並びに場合によりリン脂質基質及び/又は場合によりトリグリセリド基質に対する活性について試験するステップと、(d)ガラクト脂質に対して前記親酵素よりも活性が高い酵素変異体を選択するステップと、場合により(e)多量の前記酵素変異体を調製するステップを含む方法を提供する。
別の態様においては本発明は、アミノ酸配列モチーフGDSX(式中、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含むことを特徴とする糖脂質アシル基転移酵素変異体であって、(以下に規定される)セット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数において、親配列と比較して1個又は複数のアミノ酸改変を含む変異体を提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、アミノ酸配列モチーフGDSX(式中、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含むことを特徴とする糖脂質アシル基転移酵素変異体であって、P10480結晶構造座標と本明細書に教示される1IVN.PDB及び/又は1DEO.PDBとの構造アラインメントによって好ましくは得られる、本明細書に規定されるP10480の構造モデルと親配列が構造的にアラインメントさせることによって特定される(以下に規定される)セット2又はセット4又はセット6又はセット7に詳述されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数において、親配列と比較して1個又は複数のアミノ酸改変を含む、糖脂質アシル基転移酵素変異体を提供する。
本発明は、さらに、アミノ酸配列モチーフGDSX(式中、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含むことを特徴とする糖脂質アシル基転移酵素変異体であって、親配列がpfamコンセンサス配列(配列番号1)とアラインメントさせたときに特定され、教示されるとおりに最も良く一致するようにP10480の構造モデルに従って改変される(図55参照)セット2に教示されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数において親配列と比較して1個又は複数のアミノ酸改変を含む、糖脂質アシル基転移酵素変異体を提供する。
別の態様によれば、本発明は、配列番号2との配列アラインメントによって特定される(以下に規定される)セット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数における1個又は複数のアミノ酸改変を除いて、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、又は配列番号45のアミノ酸配列を含む糖脂質アシル基転移酵素変異体を提供する。
さらに別の態様においては本発明は、P10480結晶構造座標と本明細書に教示される1IVN.PDB及び/又は1DEO.PDBとの構造アラインメントによって好ましくは得られる、本明細書に規定されるP10480の構造モデルと親配列が構造的にアラインメントさせることによって特定されるセット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数における1個又は複数のアミノ酸改変を除いて、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43又は配列番号45のアミノ酸配列を含む糖脂質アシル基転移酵素変異体を提供する。
別の態様によれば、本発明は、親配列がpfamコンセンサス配列(配列番号1)とアラインメントさせたときに特定され、教示されるとおりに最も良く一致するようにP10480の構造モデルに従って改変される(図55参照)セット2に教示されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数における1個又は複数のアミノ酸改変を除いて、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43又は配列番号45のアミノ酸配列を含む糖脂質アシル基転移酵素変異体を提供する。
本発明は、さらに、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を用いて糖脂質(例えば、DGDG(digalactosyl diglyceride)又はMGDG(monogalactosyl diglyceride))を処理して部分加水分解生成物、すなわちリゾ糖脂質を生成することによってリゾ糖脂質、例えばDGMG(digalactosyl monoglyceride)又はMGMG(monogalactosyl monoglyceride)を調製するために、本発明による糖脂質分解(glycolipolytic)酵素変異体又は本発明による方法によって得られる糖脂質分解酵素変異体を基質(好ましくは食料品)の製造に使用することを提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を用いてリン脂質(例えば、レシチン)を処理して部分加水分解生成物、すなわち、リゾリン脂質を製造することによって、リゾリン脂質、例えばリゾレシチンを調製するために、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を基質(好ましくは食料品)の製造に使用することを提供する。
一態様においては本発明は、食料品を調製する方法であって、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を食料品の1個又は複数の成分に添加するステップを含む方法に関する。
本発明の別の態様は、焼いた生成物を生地から調製する方法であって、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を生地に添加するステップを含む方法に関する。
本発明の別の態様においては、リゾリン脂質を製造するための卵を主成分とする生成物の製造における本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体の使用が提供される。
別の態様においては、本発明による脂肪分解酵素変異体を卵又は卵を主成分とする生成物に添加してリゾリン脂質を製造するステップを含む、卵又は卵を主成分とする生成物を処理する方法が提供される。
本発明の変異体は、国際公開第02/065854号と同様に、即席めん類などのスナック食品の製造方法に使用することができる。
本発明は、例えば(本明細書の「技術的効果」に記載されるものなどの)食料品において好ましい技術的効果又は技術的効果の組み合わせをもたらす本発明による脂質アシル基転移酵素変異体の使用に関する。
本発明の別の態様は、植物油又は食用油の酵素精練方法であって、極性脂質(例えば、リン脂質及び/又は糖脂質)の主要な部分を加水分解するために、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を用いて食用油又は植物油を処理するステップを含む方法を提供する。
別の態様においては本発明は、脂肪アシル基を加水分解するためにリン脂質を処理するステップを含む方法であって、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体と前記リン脂質を混合するステップを含む方法を提供する。
別の態様においては本発明は、食用油のリン脂質含有量を削減する方法であって、前記リン脂質の主要な部分を加水分解するために、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を用いて前記食用油を処理するステップと、加水分解されたリン脂質を含む水相を前記食用油から分離するステップとを含む方法を提供する。
本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体を調製する方法であって、前記脂肪分解酵素変異体をコードするヌクレオチド配列を含む組換え核酸によって、前記脂肪分解酵素のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現することができる宿主細胞を形質転換するステップと、前記核酸が発現される条件下で形質転換宿主細胞を培養するステップと、前記脂肪分解酵素変異体を収集するステップとを含む方法も提供する。
さらに別の態様においては本発明は、炭水化物エステル及び/又はタンパク質エステル及び/又はタンパク質サブユニットエステル及び/又はヒドロキシ酸エステルなどの高価な生成物を製造するための極性脂質(好ましくは糖脂質)の生物変換における、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体の使用に関する。
極性脂質(好ましくは糖脂質)を高価な生成物に生物変換する方法であって、本発明による脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる脂肪分解酵素変異体と前記極性脂質を混合するステップを含む方法。
本発明は、さらに、本発明による固定化脂肪分解酵素変異体又は本発明による方法によって得られる固定化脂肪分解酵素変異体に関する。
本発明の態様は特許請求の範囲及び以下の注解にある。
本発明に使用することができるヌクレオチド配列に関する他の態様としては、本発明の配列を含む構築体、本発明に使用される配列を含むベクター、本発明に使用される配列を含むプラスミド、本発明に使用される配列を含む形質転換細胞、本発明に使用される配列を含む形質転換組織、本発明に使用される配列を含む形質転換器官、本発明に使用される配列を含む形質転換宿主、本発明に使用される配列を含む形質転換生物などが挙げられる。本発明は、それを移す方法を含めて、宿主細胞中での発現など、それを使用して本発明に使用されるヌクレオチド配列を発現させる方法も包含する。本発明は、さらに、宿主細胞からの単離などヌクレオチド配列を単離する方法も包含する。
本発明に使用されるアミノ酸配列に関する他の態様としては、本発明に使用されるアミノ酸配列をコードする構築体、本発明に使用されるアミノ酸配列をコードするベクター、本発明に使用されるアミノ酸配列をコードするプラスミド、本発明に使用されるアミノ酸配列を発現する形質転換細胞、本発明に使用されるアミノ酸配列を発現する形質転換組織、本発明に使用されるアミノ酸配列を発現する形質転換器官、本発明に使用されるアミノ酸配列を発現する形質転換宿主、本発明に使用されるアミノ酸配列を発現する形質転換生物などが挙げられる。本発明は、それを移し、次いでアミノ酸配列を精製する方法を含めて、宿主細胞中での発現など、それを使用して本発明に使用されるアミノ酸配列を精製する方法も包含する。
参照を容易にするために、本発明のこれらの態様及び別の態様を適切な項の表題のもとで以下に考察する。しかし、各項の教示は各個別の項に必ずしも限定されない。
セットの定義
アミノ酸セット1:
アミノ酸セット1(これらは1IVN中のアミノ酸であることに留意されたい−図57及び図58)。
Gly8、Asp9、Ser10、Leu11、Ser12、Tyr15、Gly44、Asp45、Thr46、Glu69、Leu70、Gly71、Gly72、Asn73、Asp74、Gly75、Leu76、Gln106、Ile107、Arg108、Leu109、Pro110、Tyr113、Phe121、Phe139、Phe140、Met141、Tyr145、Met151、Asp154、His157、Gly155、Ile156、Pro158
GDSx、触媒作用残基などの高度に保存されたモチーフはセット1から除外された(下線を引いた残基)。不確かさを回避するために、セット1は、1IVNモデルの活性部位中のグリセリンの中心炭素原子の10Å以内にあるアミノ酸残基を規定する。
アミノ酸セット2:
アミノ酸セット2(アミノ酸の番号付与は、P10480成熟配列中のアミノ酸を参照したものであることに留意されたい)。
Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289及びVal290。
セット2と比較したセット1中の選択された残基の表:
Figure 2010142243
Figure 2010142243
アミノ酸セット3:
アミノ酸セット3はセット2と同一であるが、アエロモナス サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)(配列番号28)コード配列を指す。すなわち、アミノ酸残基番号は、シグナル配列を含むタンパク質(配列番号28)と比較した成熟タンパク質(配列番号2)中のアミノ酸番号付与の差を反映して、セット3が18大きい。
アエロモナス サルモニシダGDSX(配列番号28)とアエロモナス ヒドロフィラGDSX(配列番号26)の成熟タンパク質は5アミノ酸だけ異なる。これらは、Thr3Ser、Gln182Lys、Glu309Ala、Ser310Asn、Gly318−である。サルモニシダ残基は最初に、ヒドロフィラ残基は最後に記載されている(図59)。ヒドロフィラタンパク質は、わずか317アミノ酸長であり、318位の残基を欠いている。アエロモナス サルモニシダGDSXは、ガラクト脂質基質などの極性脂質に対してアエロモナス ヒドロフィラタンパク質よりもかなり高い活性を有する。全5個のアミノ酸位置に対して部位走査(site scanning)が実施された。
アミノ酸セット4:
アミノ酸セット4はS3、Q182、E309、S310及び−318である。
アミノ酸セット5:
F13S、D15N、S18G、S18V、Y30F、D116N、D116E、D157 N、Y226F、D228N Y230F。
アミノ酸セット6:
アミノ酸セット6は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn 87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318である。
セット6におけるアミノ酸の番号付与は、P10480(配列番号2)におけるアミノ酸残基を参照したものである。他の配列骨格における対応するアミノ酸は、P10480及び/又は1IVNに対する相同性アラインメント及び/又は構造アラインメントによって求めることができる。
アミノ酸セット7:
アミノ酸セット7は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn 87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318、Y30X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、Y226X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、Y230X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、S18X(ここで、Xは、A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W又はYから選択される)、D157X(ここで、Xは、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はYから選択される)である。
セット7におけるアミノ酸の番号付与は、P10480(配列番号2)におけるアミノ酸残基を参照したものである。他の配列骨格における対応するアミノ酸は、P10480及び/又は1IVNに対する相同性アラインメント及び/又は構造アラインメントによって求めることができる)。
親脂質アシル基転移酵素は、以下のアミノ酸配列、すなわち、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43又は配列番号45のいずれか1つ又は配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43又は配列番号45の配列のいずれか1つと75%以上が同一であるアミノ酸配列を含むことが好ましい。
適切には、本発明による親脂質アシル基転移酵素は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43又は配列番号45の配列のいずれか1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より少なくとも98%相同性を有するアミノ酸配列を含む。
適切には、親脂質アシル基転移酵素は、以下のヌクレオチド配列、すなわち、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号、配列番号29、配列番号31、配列番号32、配列番号35、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44又は配列番号46又は配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号32、配列番号35、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44又は配列番号46の配列のいずれか1つと少なくとも75%以上同一であるヌクレオチド配列のいずれか1つによってコードすることができる。
適切には、ヌクレオチド配列は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号32、配列番号35、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44又は配列番号46の配列のいずれか1つと80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上同一にすることができる。
親酵素は、基準配列(配列番号2)とアラインメントさせたとき、又はP10480の構造モデルと構造的にアラインメントさせたとき、又はpfamコンセンサス配列とアラインメントさせP10480の構造モデルに従って改変されたときに、セット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されるアミノ酸残基の1個又は複数において改変されることが好ましい。
適切には、本酵素変異体は、ガラクト脂質に対する活性とリン脂質及び/又はトリグリセリドに対する活性との比が親酵素よりも高くすることができる。
適切には、本発明による方法は、
(i)ガラクト脂質基質からの転移酵素活性、及び
(ii)リン脂質基質からの転移酵素活性、
について脂質アシル基転移酵素変異体を試験するステップと、
親酵素と比較したときに、ガラクト脂質からの転移酵素活性とリン脂質からの転移酵素活性との比が大きい酵素変異体を選択するステップと
を含むことができる。1個又は複数
適切には、本発明による酵素変異体のガラクト脂質からの転移酵素活性とリン脂質からの転移酵素活性との比は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5とすることができる。
適切には、本発明による方法は、
(a)ガラクト脂質基質からの転移酵素活性、及び
(b)ガラクト脂質基質に対する加水分解活性
について脂質アシル基転移酵素変異体を試験するステップと、
ガラクト脂質からの転移酵素活性と糖脂質に対するその加水分解活性との比が親酵素よりも大きい酵素変異体を選択するステップ
を含むことができる。
適切には、ガラクト脂質に対する転移酵素活性とガラクト脂質に対する加水分解活性との比は1を超え、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも4又は少なくとも5とすることができる。
ガラクト脂質及び/又はリン脂質から転移酵素及び加水分解活性を求めるアッセイは、例えば実施例8に教示されている。
「ガラクト脂質に対する高い活性」という用語は、脂質アシル供与体がガラクト脂質であるときに、酵素が親酵素よりも増大された(すなわちより高い)転移酵素活性を有すること(ガラクト脂質転移酵素活性)及び/又はリン脂質転移酵素活性と比較したときにガラクト脂質転移酵素活性の比が親酵素よりも大きいこと(GLt:PLt比)及び/又はガラクト脂質加水分解活性と比較したときにガラクト脂質転移酵素活性の比が親酵素よりも大きいこと(GLt:GLh比)を意味する。
適切には、親酵素と比較した本酵素変異体は、高いガラクト脂質転移酵素活性及び同じ又はそれ以下のガラクト脂質加水分解活性を有することができる。換言すれば、適切には、本酵素変異体は、そのガラクト脂質加水分解活性と比較したガラクト脂質転移酵素活性を親酵素よりも高くすることができる。適切には、本酵素変異体は、ガラクト脂質を単純に加水分解するのではなく、ガラクト脂質からアシル受容体にアシル基を優先的に移行することができる。
一実施形態においては、本発明による酵素は、リン脂質に対して親酵素よりも高い転移酵素活性(すなわち、高いリン脂質転移酵素活性)を有することができる。この高いリン脂質転移酵素活性は、ガラクト脂質に対する高い活性とは無関係であり得る。しかし、適切には、本酵素変異体は、高いガラクト脂質転移酵素活性及び高いリン脂質転移酵素活性を有することができる。
一実施形態においては本発明は、アミノ酸配列モチーフGDSX(式中、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含むことを特徴とする脂質アシル基転移酵素変異体であって、リン脂質に対して親酵素よりも高い活性、好ましくは高いリン脂質転移酵素活性を有し、セット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数において親配列と比較して1個又は複数のアミノ酸改変を含む、脂質アシル基転移酵素変異体を提供する。
本明細書では「改変」という用語は、付加、置換及び/又は欠失を意味する。好ましくは「改変」という用語は「置換」を意味する。
不確かさを回避するために、アミノ酸が親酵素において置換されるときには、アミノ酸は親酵素中のその位置に最初に存在したものとは異なるアミノ酸で好ましくは置換されて、酵素変異体を生成する。換言すれば、「置換」という用語は、あるアミノ酸の同じアミノ酸による置換を包含するものではない。
親酵素は、配列番号2及び/又は配列番号28のアミノ酸配列を含む酵素であることが好ましい。
本酵素変異体は、セット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されるアミノ酸残基の任意の1個又は複数における1個又は複数のアミノ酸改変を除いて、配列番号2のアミノ酸配列を含む酵素であることが好ましい。
一実施形態においては、本酵素変異体は、セット4に規定されるアミノ酸残基の少なくとも1個において親配列と比較した1個又は複数のアミノ酸改変を含むことが好ましい。
適切には、酵素変異体は、親酵素と比較して以下のアミノ酸改変、すなわち、
S3E、A、G、K、M、Y、R、P、N、T又はG
E309Q、R又はA、好ましくはQ又はR
−318Y、H、S又はY、好ましくはY
の1個又は複数を含む。
GDSXモチーフのXはLであることが好ましい。したがって、親酵素は、アミノ酸モチーフGDSLを含むことが好ましい。
脂質アシル基転移酵素変異体の製造方法は、さらに、以下のステップ、すなわち、
1)構造的相同性マッピング、又は
2)配列相同性アラインメント
の1個又は複数を含むことが好ましい。
適切には、構造的相同性マッピングは、以下のステップ、すなわち、
i)親配列を図52の構造モデル(1IVN.PDB)とアラインメントさせるステップ、
ii)(セット1又はセット2に規定されるアミノ酸残基の1個又は複数などの)活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く10Åの球内の1個又は複数のアミノ酸残基を選択するステップ(図53参照)、及び
iii)前記親配列においてステップ(ii)に従って選択された1個又は複数のアミノ酸を改変するステップ
の1つ又は複数を含むことができる。
一実施形態においては、選択されるアミノ酸残基は、活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く9Åの球内、好ましくは8、7、6、5、4又は3Åの球内に存在することができる(図53参照)。
適切には、構造的相同性マッピングは、以下のステップ、すなわち、
i)親配列を図52の構造モデル(1IVN.PDB)とアラインメントさせるステップ、
ii)(セット1又はセット2に規定されるアミノ酸残基の1個又は複数などの)活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く10Åの球内の1個又は複数のアミノ酸を選択するステップ(図53参照)、
iii)ステップ(ii)によって選択された1個又は複数のアミノ酸残基が高度に保存されている(特に、活性部位残基及び/又はGDSxモチーフの一部及び/又はGANDYモチーフの一部である)かどうかを求めるステップ、並びに
iv)前記親配列中のステップ(iii)によって特定された保存領域を除いて、ステップ(ii)によって選択された1個又は複数のアミノ酸を改変するステップ
の1つ又は複数を含むことができる。
一実施形態においては、選択されるアミノ酸残基は、活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く9Åの球内、好ましくは8、7、6、5、4又は3Åの球内に存在することができる(図53参照)。
上記構造的相同性マッピングとは別に、又はそれと組み合わせて、構造的相同性マッピングは、P10480モデル及び1IVNが重ね合わされたpfamアラインメント(アラインメント2、図56)から誘導される特定のLR(loop region)又はIVR(介在領域;intervening region)を選択することによって実施することができる。LR(loop region)又はIVR(intervening region)は下表に規定されている。
Figure 2010142243
本発明の一部の実施形態においては、アシル基転移酵素変異体は、セット1〜4及び6〜7のいずれか1個に規定されるアミノ酸の1個又は複数におけるアミノ酸改変を含むだけでなく、上記IVR(intervening region)1〜6の1個又は複数における(好ましくはIVR3、5及び6の1個又は複数における、より好ましくはIVR5又はIVR6における)、且つ/又は上記LR(loop region)1〜5の1個又は複数における(好ましくはLR1、LR2又はLR5の1個又は複数における、より好ましくはLR5における)少なくとも1個のアミノ酸改変も含む。
一実施形態においては、本発明によるアシル基転移酵素変異体又は本発明による方法によって得られるアシル基転移酵素変異体は、セット2、4、6及び7の1個又は複数によって規定されるだけでなくIVR1〜6の1個又は複数内(好ましくはIVR3、5又は6内、より好ましくはIVR5又はIVR6内)或いはLR1〜5の1個又は複数内(好ましくはLR1、LR2又はLR5内、より好ましくはLR5内)にある1個又は複数のアミノ酸改変を含むことができる。
適切には、本発明によるアシル基転移酵素変異体又は本発明による方法によって得られるアシル基転移酵素変異体は、セット1又は2内だけでなくIVR3内の1個又は複数のアミノ酸改変を含むことができる。
適切には、本発明によるアシル基転移酵素変異体又は本発明による方法によって得られるアシル基転移酵素変異体は、セット1又は2内だけでなくIVR5内の1個又は複数のアミノ酸改変を含むことができる。
適切には、本発明によるアシル基転移酵素変異体又は本発明による方法によって得られるアシル基転移酵素変異体は、セット1又は2内だけでなくIVR6内の1個又は複数のアミノ酸改変を含むことができる。
適切には、本発明によるアシル基転移酵素変異体又は本発明による方法によって得られるアシル基転移酵素変異体は、セット1又は2内だけでなくLR1内の1個又は複数のアミノ酸改変を含むことができる。
適切には、本発明によるアシル基転移酵素変異体又は本発明による方法によって得られるアシル基転移酵素変異体は、セット1又は2内だけでなくLR2内の1個又は複数のアミノ酸改変を含むことができる。
同様に、本発明の一部の実施形態においては、アシル転移酵素変異体は、活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く10Åの球内、好ましくは9、8、7、6、5、4又は3Åの球内に存在する1個又は複数のアミノ酸残基におけるアミノ酸改変を含むだけでなく(図53参照)、上記IVR(intervening region)1〜6の1個又は複数における(好ましくはIVR3、5及び6の1個又は複数における、より好ましくはIVR5又はIVR6における)、且つ/又は上記LR(loop region)1〜5の1個又は複数における(好ましくはLR1、LR2又はLR5の1個又は複数における、より好ましくはLR5における)少なくとも1個のアミノ酸改変も含む。
一実施形態においては、アミノ酸改変は、10Åの球内に存在し、LR5内にも存在する1個又は複数のアミノ酸残基におけるものであることが好ましい。
したがって、構造的相同性マッピングは、以下のステップ、すなわち、
i)親配列を図52の構造モデル(1IVN.PDB)とアラインメントさせるステップ、
ii)(セット1又はセット2に規定されるアミノ酸残基の1個又は複数などの)活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く10Åの球内で1個又は複数のアミノ酸残基を選択するステップ(図53参照)及び/或いはIVR1〜6内で(好ましくはIVR3、5又は6内で、より好ましくはIVR5又はIVR6内で)1個又は複数のアミノ酸残基を選択するステップ)及び/或いはLR1〜5内で(好ましくはLR1、LR2又はLR5内で、より好ましくはLR5内で)1個又は複数のアミノ酸残基を選択するステップ、並びに
iii)前記親配列においてステップ(ii)に従って選択された1個又は複数のアミノ酸を改変するステップ
の1つ又は複数を含むことができる。
一実施形態においては、選択されるアミノ酸残基は、活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く9Åの球内、好ましくは8、7、6、5、4又は3Åの球内に存在することができる(図53参照)。
適切には、構造上の相同性マッピングは、以下のステップ、すなわち、
i)親配列を図52の構造モデル(1IVN.PDB)とアラインメントさせるステップ、
ii)(セット1又はセット2に規定されるアミノ酸残基の1個又は複数などの)活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く10Åの球内で1個又は複数のアミノ酸を選択するステップ(図53参照)及び/或いはIVR1〜6内で(好ましくはIVR3、5又は6内で、より好ましくはIVR5又はIVR6内で)1個又は複数のアミノ酸残基を選択するステップ)及び/或いはLR1〜5内で(好ましくはLR1、LR2又はLR5内で、より好ましくはLR5内で)1個又は複数のアミノ酸残基を選択するステップ、
iii)ステップ(ii)によって選択された1個又は複数のアミノ酸残基が高度に保存されている(特に、活性部位残基及び/又はGDSxモチーフの一部及び/又はGANDYモチーフの一部である)かどうかを求めるステップ、並びに
前記親配列中のステップ(iii)によって特定された保存領域を除いて、ステップ(ii)によって選択された1個又は複数のアミノ酸を改変するステップ
の1つ又は複数を含むことができる。
適切には、上で詳述された方法において選択された1個又は複数のアミノ酸は、(セット1又はセット2に規定されるアミノ酸残基の1個又は複数などの)活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を置く10Åの球内だけでなく(図53参照)、IVR1〜6の1個又は複数内(好ましくはIVR3、5又は6内、より好ましくはIVR5又はIVR6内)或いはLR1〜5の1個又は複数内(好ましくはLR1、LR2又はLR5内、より好ましくはLR5内)にもある。
一実施形態においては、1個又は複数のアミノ酸改変はLR5内であることが好ましい。改変がLR5内である場合には、改変はセット5に規定されるものではない。適切には、1個又は複数のアミノ酸改変は、LR5によって規定される領域内にあるだけでなく、セット2、セット4、セット6又はセット7の1個又は複数内のアミノ酸も構成する。
適切には、配列相同性アラインメントは、以下のステップ、すなわち、
i)第1の親脂質アシル基転移酵素を選択するステップ、
ii)望ましい活性を有する第2の関連脂質アシル基転移酵素を特定するステップ、
iii)前記第1の親脂質アシル基転移酵素と前記第2の関連脂質アシル基転移酵素とをアラインメントさせるステップ、
iv)前記2つの配列間で異なるアミノ酸残基を特定するステップ、及び
v)前記親脂質アシル基転移酵素中のステップ(iv)によって特定されたアミノ酸残基の1個又は複数を改変するステップ
の1つ又は複数を含むことができる。
適切には、配列相同性アラインメントは、以下のステップ、すなわち、
i)第1の親脂質アシル基転移酵素を選択するステップ、
ii)望ましい活性を有する第2の関連脂質アシル基転移酵素を特定するステップ、
iii)前記第1の親脂質アシル基転移酵素と前記第2の関連脂質アシル基転移酵素とをアラインメントさせるステップ、
iv)前記2つの配列間で異なるアミノ酸残基を特定するステップ、
v)ステップ(iv)によって選択された1個又は複数のアミノ酸残基が高度に保存されている(特に、活性部位残基及び/又はGDSxモチーフの一部及び/又はGANDYモチーフの一部である)かどうかを求めるステップ、並びに
vi)前記親配列中のステップ(v)によって特定された保存領域を除いて、ステップ(iv)によって特定されたアミノ酸残基の1個又は複数を改変するステップ
の1つ又は複数を含むことができる。
適切には、前記第1の親脂質アシル基転移酵素は、以下のアミノ酸配列、すなわち、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43又は配列番号45のいずれか1個を含むことができる。
適切には、前記第2の関連脂質アシル基転移酵素は、以下のアミノ酸配列、すなわち、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43又は配列番号45のいずれか1個を含むことができる。
本酵素変異体は、親酵素と比較して少なくとも1個のアミノ酸改変を含まなければならない。一部の実施形態においては、本酵素変異体は、親酵素と比較して少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個、好ましくは少なくとも9個、好ましくは少なくとも10個のアミノ酸改変を含むことができる。
適切には本発明による方法は、パン改質(bread improving)組成物などの酵素組成物及び/又は食料品組成物中に本酵素変異体を処方するさらなるステップを含むことができる。
GDSxポリペプチド配列(親配列)を配列番号2(P01480)とアラインメントさせるためには、対アラインメント(pairwise alignment)などの配列アラインメントを使用することができる HYPERLINK http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.html) ( HYPERLINK http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.html) http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.html)。それによって、配列番号2に関してセット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されたアミノ酸の1個又は複数に対応する代替親GDSxポリペプチド中の等価なアミノ酸を決定し、改変することができる。当業者には容易に理解できるように、エンボス対アラインメント(emboss pairwise alignment)を使用するときには、標準設定で通常は十分である。対応する残基は、両方の配列の全長にわたるアラインメントをするために「針(needle)」を用いて特定することができる。しかし、2つの配列間の類似度の最適領域を「水」を用いて発見することもできる。
或いは、特に、親GDSxポリペプチドと配列番号2との相同性が低い場合には、配列番号2に関してセット2、セット4、セット6又はセット7に規定されたアミノ酸の1個又は複数に対応する代替親GDSxポリペプチド中の対応するアミノ酸は、( HYPERLINK http://www.expasy.org/spdbv/ www.expasy.org/spdbv/から入手される)「Deep View Swiss-PDB viewer」を用いてP10480由来の構造モデルと1IVN.PDB及び1DEO.PDBの構造座標との比較によって得られる、P10480の構造モデルに対する構造アラインメントによって決定することができる(図53及び実施例1)。等価な残基は、セット1とセット2を比較した表に示されるように、得られたP010480構造モデル中の残基と重なる残基又は最も近い残基として特定される(上記「セットの定義」参照)。このようにして、他のGDSXポリペプチドを1IVN.PBD結晶座標と比較し、セット1に等価な残基を決定することができる。
或いは、特に、親GDSxポリペプチドと配列番号2との相同性が低い場合には、配列番号2に関してセット2又はセット4又はセット6又はセット7に規定されたアミノ酸の1個又は複数に対応する代替親GDSxポリペプチド中の等価なアミノ酸は、アラインメント1(図55)に示される構造アラインメントに基づいて改変されたPFAMデータベース(PFAMコンセンサス)から得られるアラインメントから決定することができる。構造モデルに基づく改変は、最適な一致を確実にするためにアラインメントをわずかにシフトさせるのに必要となり得る。アラインメント1(図55)はこの点で指標となる。
本発明による酵素変異体は、セット5に規定されるアミノ酸改変の1個又は複数を含まないことが好ましい。
適切には、本酵素変異体は、部位特異的変異誘発によって調製することができる。
或いは、例えば、Stratagene社製GeneMorph PCR変異誘発キット、Clontech社製Diversify PCR無作為変異誘発キットなどの市販キットを用いて変異を無作為に導入することができる。EP 0 583 265は、PCRに基づく変異誘発を最適化する方法に言及している。この方法は、EP 0 866 796に記載されたものなどの変異原性DNAアナログの使用と組み合わせることもできる。誤りを犯しやすいPCR技術は、好ましい諸特性を有する脂質アシル基転移酵素の変異体の生成に適している。国際公開第0206457号は、リパーゼの分子進化について言及している。
新規配列を得る第3の方法は、任意の数のDnase Iなどの制限酵素又は酵素を用いて、異なるヌクレオチド配列を断片化し、機能タンパク質をコードする完全なヌクレオチド配列を再び組み立てることである(以下「シャフリング」と記述する)。或いは、完全ヌクレオチド配列の再組み立て中に、1個又は複数の異なるヌクレオチド配列を用い、変異を導入することができる。DNAシャフリング及びファミリーシャフリング技術は、好ましい諸特性を有する脂質アシル基転移酵素変異体の製造に適している。「シャフリング」を実施する適切な方法は、EP 0 752 008、EP 1 138 763、EP 1 103 606にある。シャフリングは、US 6,180,406及び国際公開第01/34835号に記載された別の形のDNA変異誘発と組み合わせることもできる。
したがって、多数の部位特異的又は無作為な変異をヌクレオチド配列中にインビボ又はインビトロで生成させ、続いて、コードされたポリペプチド変異体の機能が改善されたかどうかを様々な手段によってスクリーニングすることができる。
さらに、非限定的な例として、ポリヌクレオチド配列の変異体又は自然変異体は、野生型又は他の変異体若しくは自然変異体と組み換えて新しい変異体を生成することもできる。かかる新しい変異体も、コードされたポリペプチドの機能が改善されたかどうかによってスクリーニングすることができる。
以下の領域、すなわち、IVR3、IVR5、IVR6、LR1、LR2及び/又はLR5、最も好ましくはLR5は、局在化された無作為変異誘発及び/又はシャフリングのために選択されることが好ましい。
変異体ライブラリを作成するために、微生物真核生物又は原核生物発現宿主を使用することができる。変異体ライブラリ内での均一な発現を確実にするために、低コピー数、好ましくは単回の染色体発現系が好ましいことがある。無作為変異誘発及び/又はシャフリング技術を用いて調製されるものなど、大きい変異体ライブラリ(>1000コロニー)の発現の場合には特に、形質転換頻度の高い発現系も好ましい。
酵素の生成における真核生物発現宿主、すなわち酵母の使用に適切な方法は、EP 1131416に記載されている。酵母などの微生物真核生物発現宿主は、真核生物アシル基転移酵素親遺伝子を用いて作成される変異体ライブラリの発現に好ましいことがある。
酵素の生成における発現宿主としてバチルス、すなわちバチルス サブチリス(Bacillus subtilis)を用いた適切な方法は、国際公開第02/14490号に記載されている。バチルスなどの微生物原核生物発現宿主は、原核生物アシル基転移酵素親遺伝子、例えばP10480基準配列(配列番号2)を用いて作成された変異体ライブラリの発現に好ましいことがある。
適切には、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、親酵素と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも99%の相同性を保持する。
適切な親酵素としては、エステラーゼ又はリパーゼ活性を有する任意の酵素などが挙げられる。
親酵素は、pfam00657コンセンサス配列と整合することが好ましい。
好ましい実施形態においては、脂質アシル基転移酵素変異体は、GDSx、GANDY及びHPTブロック中のpfam00657コンセンサス配列アミノ酸残基の少なくとも1個若しくは複数を保持し、又は含む。
水系環境において脂質アシル基転移酵素活性がない又は低いリパーゼなどの酵素は、分子進化ツールを用いて変異させて転移酵素活性を導入し又は高めることができ、それによって本発明の組成物及び方法に使用するのに適切なかなりの転移酵素活性を有する脂質アシル基転移酵素変異体が生成される。
適切には、本発明に使用される脂質アシル基転移酵素は、極性脂質、好ましくは糖脂質に対する酵素活性が親酵素よりも高い変異体とすることができる。かかる変異体は、リゾ極性脂質に対しても低い活性を有するか、又は活性を持たないことが好ましい。極性脂質、好ましくは糖脂質に対する高い活性は、加水分解及び/又は転移酵素活性或いは両方の組み合わせの結果かもしれない。
本発明に使用される脂質アシル基転移酵素変異体は、トリグリセリド及び/又はモノグリセリド及び/又はジグリセリドに対して親酵素よりも低い活性を有することができる。
適切には、本酵素変異体は、トリグリセリド及び/又はモノグリセリド及び/又はジグリセリドに対して活性を持たなくすることができる。トリグリセリドに対する低い活性は、製パン用途、卵又は卵を主成分とする生成物の処理及び/又は油の精練に使用される酵素変異体において好ましい。
一実施形態においては、適切には、本酵素変異体は、ジグリセリドに対して高い活性を有し、トリグリセリドに対して活性を持たない又は低い活性を有することができる。
本明細書において特定のアミノ酸残基に言及するときには、番号付与は、変異体配列と配列番号2の基準配列とのアラインメントから得られるものである。
一態様においては、酵素変異体は、以下のアミノ酸置換、すなわち、
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY;及び/又はL17A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S18A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W、又はY;及び/又は
K22A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
M23A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y30A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
G40A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N80A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
P81A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
K82A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N87A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
W111A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;及び/又は
V112A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
A114C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y117A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
L118A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
P156A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
D157A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
G159A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Q160A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N161A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
P162A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S163A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY;及び/又は
A164C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
R165A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S166A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY;及び/又は
Q167A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
K168A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
V169A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
V170A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
E171A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
A172C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
H180A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N181A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Q182A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY、好ましくはK;及び/又は
M209A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
L210 A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
R211 A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
N215 A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Y226A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、又はW;及び/又は
Y230A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW;及び/又は
K284A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
M285A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
V290A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、又はY;及び/又は
E309A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY;及び/又は
S310A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、又はY
の1個又は複数を含むことが好ましい。
それに加えて又はそれとは別に、1個又は複数のC末端伸長があり得る。好ましくは、追加のC末端伸長は、1個又は複数の脂肪族アミノ酸、好ましくは非極性アミノ酸、より好ましくはI、L、V又はGを含む。したがって、本発明は、さらに、以下のC末端伸長、すなわち、318I、318L、318V、318Gの1個又は複数を含む酵素変異体を提供する。
P10480及び/又は1IVNに対する相同性アラインメント及び/又は構造アラインメントによって判定して、親骨格中の残基がP10480(配列番号2)中のそれと異なる場合には、P10480 (配列番号2)中の以下のアミノ酸残基、すなわち、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn 87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309 又はSer310の任意の1個又は複数と整合する残基をそれぞれP10480中の残基で置換することが望ましいことがある。
P10480の以下の野生型残基、すわなち、L17、W111、R221、S3、G40、N88、K22、Y117、L118、N181、M209、M285、E309、M23は、良好な活性、特にガラクト脂質からの良好な転移酵素活性を保持するために好ましいことが判明した。したがって、本酵素変異体は、これらの部位の任意の1個又は複数においてP10480中に存在するアミノ酸残基を含むことが好ましい。
極性脂質に対して高い加水分解活性を有する酵素変異体は、極性脂質からの高い転移酵素活性も有することができる。
PC(phosphatidylcholine)などのリン脂質に対して高い加水分解活性を有する酵素変異体は、リン脂質からの高い転移酵素活性も有することができる。
DGDGなどのガラクト脂質に対して高い加水分解活性を有する酵素変異体は、ガラクト脂質からの高い転移酵素活性も有することができる。
PC(phosphatidylcholine)などのリン脂質からの高い転移酵素活性を有する酵素変異体は、リン脂質に対する高い加水分解活性も有することができる。
DGDGなどのガラクト脂質からの高い転移酵素活性を有する酵素変異体は、ガラクト脂質に対する高い加水分解活性も有することができる。
極性脂質からの高い転移酵素活性を有する酵素変異体は、極性脂質に対する高い加水分解活性も有することができる。
適切には、以下の部位、すなわち、Leu17、Ala114、Tyr179、His180、Asn181、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290の1個又は複数は、基質の結合に関与することができる。
本発明による酵素変異体は、親酵素と比較して以下の機能、すなわち、
1)(実施例8に示される)%TDG/TPCとして計算される、PCよりもガラクト脂質(DG)に対する高い相対転移酵素活性
2)(実施例8に示される)ガラクト脂質(DG)に対する高い絶対転移酵素活性
3)(実施例8に示される)ガラクト脂質(DG)に対する加水分解活性HDGに比べてガラクト脂質を供与体として用いた高い転移酵素活性(TDG
4)(実施例8に示される)PCに対する高い絶対転移酵素活性
の1個又は複数を有することができる。
ここで、DGはガラクト脂質(例えば、DGDG)であり(本明細書ではGLとも記述される)、PCはリン脂質(例えば、レシチン)である。ガラクト脂質に対して高い活性を有する変異体としては、上記カテゴリー1)、2)及び3)の変異体などが挙げられる。ガラクト脂質に対して高い活性を有する変異体は、(上記カテゴリー4)に従って)リン脂質において高い活性を有することもできる。
1.以下の残基、すなわち、−318、N215、L210、S310、E309、H180、N80、V112、Y30X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、V290、Q289、K22、G40、Y179、M209、L211、K22、P81、N87、Y117、N181、Y230X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、Q182の1個又は複数を改変すると、%TDG/TPCとして計算される、PCよりもDGに対して高い相対転移酵素活性を有する酵素変異体がもたらされ得る。
一般に、以下の置換、すなわち、
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY、好ましくはM、R、N、G、T、Q、P、Y、S、L、E、W、最も好ましくはQ
K22A、E、C、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはA、C、E又はR
Y30A、C、D、H、K、M、N、P、Q、R、T、V、W、G、I、L、S、M、A、R又はE、好ましくはH、T、W、N、D、C、Q G、I、L、S、M、A、R又はE
G40 L、N、T、V又はA
N80N、R、D、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、S、T、V、W又はY、好ましくはH、I、Y、C、Q、M、S、W、L、N、R、D又はF
P81A、C、D、E、F、G H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはI、M、F、G、V、Y、D、C又はA
K82A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはH、K、S又はR
N87A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはI、Y、M、T、Q、S、W、F、V又はP
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはC、V、A又はF
V112C
Y117A、C、D、E、F、H、T、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、V又はW、好ましくはA、N、E、H、T、I、F、C、P又はS
L118A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY、好ましくはF
V112A、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W又はY、好ましくはI、M、F、Y、N、E、T、Q、H又はP
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW、好ましくはF、C、H、I、L、M、P、V又はW
H180K、Q、A、C、D、E、F、G、I、L、M、P、R、S、T、V、W、又はY、好ましくはM、F、C、K又はQ
N181A又はV
Q182A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY、好ましくはK
M209L、K、M、A、C、D、E、F、G、H、I、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はY、好ましくはI、F、T、D、C、H、L、K、M又はP
L210 G、I、H、E、M、S、W、V、A、R、N、D、Q、T、C、F、K、P又はY、好ましくはG、I、H、E、M、S、W、V、A、R、N、D、Q、T、Y又はF
R211G、Q、K、D、A、C、E、F、H、I、L、M、N、P、R、S、T、V、W又はY、好ましくはG、Q、K、D、H、I、M、F、P、S、Y、N、C、L又はW
N215A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはI、F、P、T、W、H又はA
Y230A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW、好ましくはI、T、G、D、R、E、V、M又はS、最も好ましくはI、D、R又はE
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W又はY、好ましくはF、W、H、I、Y、L、D、C、K、V、E、G、R、N又はP、より好ましくはR、T、D、K、N又はP
V290A、C、D、E、H、F、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W又はY;
E309S、Q、R、A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、T、V、W又はY、好ましくはF、W、N、H、I、M、S、Q、R、A又はY
S310A、P、T、H、M、K、G、C、D、E、F、I、L、N、Q、R、V、W又はY、好ましくはF、Y、C、L、K、A、P、T、H、M、K又はG
−318 A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、Y、H又はS
の1個又は複数が好ましいことがある。
好ましくは、以下の改変、すなわち、
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY、好ましくはM、R、N、G、T、Q、P、Y、S、L、E、W、最も好ましくはQ
G40 L、N、T、V又はA
K82A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはH、K、S又はR
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはC、V、A又はF
Y230A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW、好ましくはI、T、G、D、R、E、V、M又はS、最も好ましくはD、R又はE
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W又はY、好ましくはF、W、H、I、Y、L、D、C、K、V、E、G又はP、より好ましくはR、T、D、K又はP
の1個又は複数は、%TDG/TPCとして計算される、PCよりもDGに対して高い相対転移酵素活性を有する酵素変異体をもたらし得る。
以下の改変、すなわち、
−318 Y、H又はS
N215H
L210G、I、H、E、M、S、W、V、A、R、N、D、Q又はT
S310A、P、T、H、M、K又はG
E309S、Q、A又はR
H180K、T又はQ
N80N、R又はD
V112C
Y30G、I、L、S、M、A、R又はE、より好ましくはY30M、A又はR
V290R、E、H又はA
Q289R、T、D又はN
K22E
G40L
Y179V又はR
M209L、K又はM
L211G、Q、K又はD
Y230V
G40Q、L又はV
N88W
N87R又はD
の1個又は複数を改変すると、%TDG/TPCとして計算される、PCよりもDGに対して高い相対転移酵素活性を有する酵素変異体がもたらされる。
一部の実施形態では、以下の置換、すなわち、
K22A又はC
P81G
N87 M
Y117A、N、E、H又はT
N181A又はV
Y230I
V290H
N87R、D、E又はM
Q182T
も適切であり得る。
ガラクト脂質転移酵素とリン脂質転移酵素活性の比を増大させるために改変される残基は、−318、N215、L210、E309、H180、N80の1個又は複数であることが好ましい。
一般に、以下の置換、すなわち、
−318 Y、H又はS、最も好ましくはY
N215H
L210D、Q又はT
E309Q又はR
H180K又はQ
N80N、R又はD
の1個又は複数が好ましい。
2.以下の残基、すなわち、
−318、N215、L210、S310、E309、H180、N80、V112、Y30X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、V290、Q 289、K22、G40、Y179、M209、L211、K22、P81、N87、Y117、N181、Y230X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、V290、N87、Q182、S3、S310、K82、A309の1個又は複数を改変すると、DGに対して高い絶対転移酵素活性を有する変異体がもたらされ得る。
特に、以下の改変、すなわち、
−318Y、H、S、A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V又はW、好ましくはY、H、S又はI
N215A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはH、I、F、P、T、W又はA、最も好ましくはH、S、L、R、Y
L210G、I、H、E、M、S、W、V、A、R、N、D、Q、T、C、F、K、P又はY、好ましくはD、Q、T、Y又はF
S310A、P、T、H、M、K、G、C、D、E、F、I、L、N、Q、R、V、W又はY、好ましくはF、Y、C、L、K又はP、
E309S、Q、R、A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、S、T、V、W又はY;好ましくはS、Q、R、F、W、N、H、I、M又はY、最も好ましくはS、Q、R、N、P又はA
H180A、C、D、E、F、G、I、K、Q L、M、P、R、S、T、V、W又はY;好ましくはK、Q、M、F又はC、最も好ましくはT、K又はQ
N181A又はV
N80N、R、D、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、S、T、V、W又はY、好ましくはH、I、Y、C、Q、M、S、W、L、N、R、D又はF、最も好ましくはN、R、D、P、V、A又はG
V112A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W又はY;好ましくはI、M、F、Y、N、E、T、Q、H又はP
Y30G、I、L、S、A、E、C、D、H、K、M、N、P、Q、R、T、V又はW、好ましくはH、T、W、N、D、C又はQ
V290A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W又はY;
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W又はY;好ましくはR、E、G、P、N又はR
K22A、C、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはC
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW;好ましくはF、C、H、I、L、M、P又はW、より好ましくはE、R、N、V、K、S
M209A、C、D、E、F、G、H、I、L、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはR、N、Y、E又はV
R211A、C、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、K、D、R、S、T、V、W又はY、好ましくはH、I、M、F、P、S、Y、N、C、L又はW、最も好ましくはR
S310 C、D、E、F、I、L、N、Q、R、V、W又はY、好ましくはF、Y、C、L、K又はP
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY、好ましくはM、R、N、A、G、T、Q、P、Y又はS 最も好ましくはQ又はN
K82A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはH、K、S、E又はR
P81A、C、D、E、F、G,H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはI、M、F、V、Y、D、C又はA
N87A、C、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、D、E、S、T、V、W又はY;好ましくはL、G又はA
Y117A、N、E、H、T、C、D、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、V又はW;好ましくはI、F、C、P又はS
N87A、C、F、G、H、I、K、L、P、Q、S、T、V、W又はY;好ましくはI、Y、T、Q、S、W、F、V又はP
Q182A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W又はY、好ましくはD又はK
Y230A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW、好ましくはW、H、Q、L、P又はC、最も好ましくはT又はG
D157A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY、好ましくはC
G40L
Y226I
の1個又は複数は、DGに対して高い絶対転移酵素活性を有する変異体をもたらし得る。
一般に、以下の置換、すなわち、
−318 Y、H又はS
N215H
L210G、I、H、E、M、S、W、V、A、R、N、D、Q又はT
S310A、P、T、H、M、K又はG
E309S、Q又はR
H180K又はQ
N80N、R又はD
V112C
Y30G、I、L、S、M、A、R又はE、より好ましくはY30M、A又はR
V290R、E、H又はA
Q289R又はN
K22E
G40L
Y179V
M209L、K又はM
L211G、Q、K又はD
の1個又は複数が好ましい。
一部の実施形態では、以下の置換、すなわち、
K22A又はC
P81G
N87 M
Y117A、N、E、H又はT
N181A又はV
Y230 I
V290H
N87R、D、E又はM
Q182T
も適切であり得る。
ガラクト脂質基質(DGDG)からの転移酵素活性を増加させるために改変される残基は、−318、N215、L210、E309、H180、N80の1個又は複数であることが好ましい。
一般に、以下の置換、すなわち、
−318 Y、H又はS、最も好ましくはY
N215H
L210D、Q又はT
E309Q又はR
H180K又はQ
N80N、R又はD
の1個又は複数が好ましい。
3.以下の残基、すなわち、
Y230、S310、H180、Q289、G40、N88、Y179、N215、L210、N80、Y30X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、N87、M209、R211、S18X(ここで、Xは、A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W又はYから特異的に選択される)
の1個又は複数における改変は、DGに対して加水分解活性HDGよりも高い転移酵素活性TDGを有する酵素変異体をもたらし得る。
好ましくは、以下の改変、すなわち、
Y230A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T又はW、好ましくはW、H、Q、L、P又はC
S310A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、T、V、W又はY、好ましくはF、Y、C、L、K又はP
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、又はW、好ましくはF、C、H、I、L、M、P又はW
H180A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、V、W又はY、好ましくはM、F又はC
Q289A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、V、W又はY;好ましくはF、W、H、I、Y、L、D、C、K、V、E、G又はP
G40A、C、D、E、F、H、I、K、M、N、P、R、S、T、W又はY;好ましくはI、P、W又はY
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V又はY;好ましくはI又はH
N87A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、S、T、V、W又はY;好ましくはI、Y、T、Q、S、W、F、V又はP
の1個又は複数は、DGに対して加水分解活性HDGよりも高い転移酵素活性TDGを有する酵素変異体をもたらし得る。
一般に、以下の置換、すなわち、
Y179 E、R、N又はQ
N215G
L210D、H、R、E、A、Q、P、N、K、G、R、T、W、I、V又はS
N80G
Y30L
N87G
の1個又は複数が好ましい(かかる酵素変異体は、低い加水分解活性(ガラクト脂質及び/又はリン脂質)及び/又はガラクト脂質からの高い転移酵素活性を有することができる。
一般に、以下の置換、すなわち、
Y179 E、R、N、Q
N215 G
L210 D、H、R、E、A、Q、P、N、K、G、R、T、W、I、V及びS
N80 G
Y30 L
N87 G
H180 I、T
M209 Y
R211 D、T及びG
S18 G、M及びT
G40 R及びM
N88 W
N87 C、D、R、E及びG
の1個又は複数が好ましい(かかる酵素変異体は低い加水分解活性(ガラクト脂質及び/又はリン脂質)を有しつつ、ガラクト脂質からのかなりの転移酵素活性を保持することができる。
4.以下の残基、すなわち、
S3、D157、S310、E309、Y179、N215、K22、Q289、M23、H180、M209、L210、R211、P81、V112、N80、L82、N88;N87
の1個又は複数を改変すると、リン脂質に対して高い絶対転移酵素活性を有する酵素変異体がもたらされ得る。
リン脂質からの改善された転移酵素活性を有する酵素変異体を提供することができる特定の改変は、以下、すなわち、
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY;好ましくはN、E、K、R、A、P又はM、最も好ましくはS3A
D157A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY ;好ましくはD157S、R、E、N、G、T、V、Q、K又はC
S310A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY;好ましくはS310T
−318 E
E309A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W又はY;好ましくはE309 R、E、L、R又はA
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はW;好ましくはY179 D、T、E、R、N、V、K、Q又はS、より好ましくはE、R、N、V、K又はQ
N215A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN215 S、L、R又はY
K22A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはK22 E、R、C又はA
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W又はY;好ましくはQ289 R、E、G、P又はN
M23A、C、D、E、F、G、H、I、K、L N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはM23 K、Q、L、G、T又はS
H180A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはH180 Q、R又はK
M209 A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはM209 Q、S、R、A、N、Y、E、V又はL
L210A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはL210 R、A、V、S、T、I、W又はM
R211A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W又はY;好ましくはR211T
P81A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはP81G
V112A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W又はY;好ましくはV112C
N80A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN80 R、G、N、D、P、T、E、V、A又はG
L82A、C、D、E、F、G、H、I、M、N、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはL82N、S又はE
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN88C
N87A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はY;好ましくはN87M又はG
の1個又は複数から選択することができる。
以下の残基、すなわち、
S3 N、R、A、G
M23 K、Q、L、G、T、S
H180 R
L82 G
Y179 E、R、N、V、K又はQ
E309 R、S、L又はA
の1個又は複数を改変すると、リン脂質に対して高い絶対転移酵素活性を有する酵素変異体がもたらされる。
5.その改変によってガラクト脂質基質(DGDG)からの高い転移酵素活性及びガラクト脂質転移酵素とリン脂質転移酵素活性の比の増加がもたらされる残基としては、−318、N215、L210、S310、E309、H180、N80、V112、Y30X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、V290、Q 289、K22、G40、Y179、M209、L211、K22、P81、N87、Y117、N181、Y230X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、Q182の1個又は複数などが挙げられる。
一般に、以下の置換、すなわち、
−318 Y、H又はS
N215H
L210G、I、H、E、M、S、W、V、A、R、N、D、Q又はT
S310A、P、T、H、M、K又はG
E309S、A、Q又はR
H180K又はQ
N80N、R又はD
V112C
Y30G、I、L、S、M、A、R又はE、より好ましくはY30M、A又はR
V290R、E、H又はA
Q289R又はN
K22E
G40L
Y179V
M209L、K又はM
L211G、Q、K又はD
の1個又は複数が好ましい。
一部の実施形態では、以下の置換、すなわち、
K22A又はC
P81G
N87 M
Y117A、N、E、H又はT
N181A又はV
Y230I
V290H
N87R、D、E又はM
Q182T
も適切であり得る。
ガラクト脂質基質からの転移酵素活性(DGDG)及び/又はガラクト脂質転移酵素とリン脂質転移酵素活性との比を増大させるために改変される残基は、−318、N215、L210、E309、H180、N80の1個又は複数であることが好ましい。
一般に、以下の置換、すなわち、
−318 Y、H又はS、最も好ましくはY
N215H
L210D、Q又はT
E309Q又はR
H180K又はQ
N80N、R又はD
の1個又は複数が好ましい。
6.P10480の以下の野生型残基、すなわち、W111、R211、N181、S3、L17、G40、N88、Y117、L118、N181、K22、M209、M285、M23は、良好な活性、特にガラクト脂質からの良好な転移酵素活性を保持するのに好ましいことが判明した。
これらの残基は本酵素変異体中に保持されることが好ましい。
GDSxアシル転移酵素変異体をガラクト脂質基質からの高活性転移酵素にする場合、親酵素が位置W111、R211、N181、S3、L17、G40、N88、Y117、L118、N181、K22、M209、M285、M23においてP10480の残基以外のP10480配列の残基に対応する残基を有するときには、好ましくは、変異体は、対応する位置における置換を含み、P10480配列中のアミノ酸残基を含むことができる。
L17は好ましくは疎水性アミノ酸残基である。
7.以下の組み合わせは、ガラクト脂質基質(DGDG)からの高い転移酵素活性を有することができ、且つ/又はガラクト脂質転移酵素活性とリン脂質転移酵素活性の比が増加し得る。
N215H & −318Y
N215H & L210D、Q、又はT
−318Y & L210、D、Q、又はT
N215H & −318Y & L210D、Q、又はT
上記組み合わせは、−318Y、H又はS、好ましくは−318YなどのC末端アミノ酸付加を場合により含んでいてもよい。
上記組み合わせは、以下の改変を場合により含んでいてもよい。
適切には、以下の組み合わせ、すなわち、
E309A、Q又はR。
N215H & −318Y、H、又はS、好ましくはY。
L210D、Q又はT & −318Y、H、又はS、好ましくはY。
N215H & E309A、Q又はR
L210D、Q又はT & E309A、Q又はR
−318Y & E309A、Q又はR
の1個又は複数は、ガラクト脂質基質(DGDG)からの高い転移酵素活性を有することができ、且つ/又はガラクト脂質転移酵素活性とリン脂質転移酵素活性の比が増加し得る。
上記組み合わせは、位置Q182、好ましくはQ182Kにおいて置換を場合により含んでいてもよい。
以下の組み合わせは、ガラクト脂質基質(DGDG)からの高い転移酵素活性を有することができ、且つ/又はガラクト脂質転移酵素活性とリン脂質転移酵素活性の比が増加することがあり、且つ/又はガラクト脂質転移酵素と加水分解活性の比が増加することがある。
N215H & N80G
−318Y & N80G
L210D又はQ & N80G
N215H & N88N
−318Y & N88N
L210D又はQ & N88N
N215H & Y30L
−318Y & Y30L
L210D又はQ & Y30L
N215H & N87G
−318Y & N87G
L210D又はQ & N87G
N215H & Y179E、R、N又はQ
−318Y & Y179 E、R、N又はQ
L210D又はQ & Y179 E、R、N又はQ
上述したように、本明細書において特定のアミノ酸残基に言及するときには、番号付与は、変異体配列と配列番号2の基準配列とのアラインメントから得られるものである。
不確かさを回避するために、特定のアミノ酸が特異的な部位、例えばL118において教示されるときには、これは配列番号2中の残基番号118における特異的アミノ酸を指す。しかし、異なる親酵素中の部位118におけるアミノ酸残基はロイシンと異なっていてもよい。
したがって、残基118におけるアミノ酸置換が教示されたときには、L118に言及され得るものではあるが、親酵素が配列番号2に示されるもの以外であるときには、置換されるアミノ酸はロイシンでなくてもよいことが当業者には容易に理解されるはずである。したがって、配列番号2のアミノ酸配列を有する酵素ではない親酵素においてアミノ酸配列を置換するときには、新しい(置換)アミノ酸は、配列番号2に教示されるものと同じものにすることができる。これは、例えば、残基118のアミノ酸がロイシンではなく、したがって配列番号2における残基118のアミノ酸とは異なる場合でもよい。換言すれば、例えば残基118において、親酵素がその位置においてロイシン以外のアミノ酸を有する場合には、このアミノ酸は本発明に従ってロイシンで置換することができる。
本明細書では「脂質アシル基転移酵素」という用語は、(一般に、国際生化学分子生物学連合の命名委員会の酵素命名法推奨(1992)に従ってE.C.2.3.1.xに分類される)アシル基転移酵素活性を有する酵素を意味し、それによってこの酵素は、脂質からステロール、スタノール、炭水化物、タンパク質、タンパク質サブユニット、グリセリンの1個又は複数などの1個又は複数の受容体基質にアシル基を転移させることが可能である。
脂質アシル基転移酵素は、脂質から少なくともステロール及び/又はスタノール、例えばコレステロールにアシル基を転移できることが好ましい。
本発明による脂質アシル基転移酵素変異体及び/又は本方法に使用される脂質アシル基転移酵素変異体及び/又は本発明の使用による脂質アシル基転移酵素変異体は、(本明細書に規定される)脂質から、以下のアシル受容体基質、すなわち、ステロール、スタノール、炭水化物、タンパク質若しくはそのサブユニット又はグリセリンの1個又は複数にアシル基を転移させることが可能であることが好ましい。
一部の態様では、本発明による「アシル受容体」は、例えば、グリセリンを含めた多価アルコール;ステロール;スタノール;炭水化物;フルーツ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸及びアスコルビン酸を含めたヒドロキシ酸;タンパク質又は例えばアミノ酸、タンパク水解物、ペプチド(部分加水分解タンパク質)などのそのサブユニット;それらの混合物及び誘導体などのヒドロキシ基(−OH)を含む任意の化合物とすることができる。本発明による「アシル受容体」は水ではないことが好ましい。
一実施形態においては、アシル受容体はモノグリセリド及び/又はジグリセリドではないことが好ましい。
一態様においては、本酵素変異体は、脂質からステロール及び/又はスタノールにアシル基を転移させることが可能であることが好ましい。
一態様においては、本酵素変異体は、脂質から炭水化物にアシル基を転移させることが可能であることが好ましい。
一態様においては、本酵素変異体は、脂質からタンパク質又はそのサブユニットにアシル基を転移させることが可能であることが好ましい。適切には、タンパク質サブユニットは、以下、すなわち、アミノ酸、タンパク水解物、ペプチド、ジペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドの1個又は複数とすることができる。
適切には、タンパク質又はタンパク質サブユニットにおいては、アシル受容体は、タンパク質又はタンパク質サブユニットの以下の構成物質、すなわち、セリン、トレオニン、チロシン又はシステインの1個又は複数とすることができる。
タンパク質サブユニットがアミノ酸であるときには、適切には、そのアミノ酸を任意の適切なアミノ酸とすることができる。適切には、前記アミノ酸は、例えば、セリン、トレオニン、チロシン又はシステインの1個又は複数とすることができる。
一態様においては、本酵素変異体は、脂質からグリセリンにアシル基を転移させることが可能であることが好ましい。
一態様においては、本酵素変異体は、脂質からヒドロキシ酸にアシル基を転移させることが可能であることが好ましい。
一態様においては、本酵素変異体は、脂質から多価アルコールにアシル基を転移させることが可能であることが好ましい。
一態様においては、本脂質アシル基転移酵素変異体は、脂質からステロール及び/又はスタノールにアシル基を転移させることができるとともに、さらに、脂質から、以下、すなわち、炭水化物、タンパク質、タンパク質サブユニット、グリセリンの1個又は複数にアシル基を転移させることができる。
本発明による脂質アシル基転移酵素変異体が作用する脂質基質は、以下の脂質、すなわち、レシチン、例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質、トリアシルグリセリド、カルジオリピン、ジグリセリド又は例えばDGDG(digalactosyl diglyceride)、MGDG(monogalactosyl diglyceride)などの糖脂質の1種類又は複数であることが好ましい。より好ましくは、本発明による酵素変異体は、DGDG及びMGDGの一方又は両方に作用する。本発明による酵素変異体は、DGMG(digalactosyl monoglyceride)及びMGMG(monogalactosyl monoglyceride)に対する活性を持たない(又は限られた活性しか持たない)ことが好ましい。したがって、脂質基質はDGMG又はMGMGの一方又は両方ではないことが好ましい。この脂質基質は、本明細書では「脂質アシル供与体」と記述することができる。本明細書において使用されるレシチンという用語は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン及びホスファチジルグリセロールを包含する。
本明細書では「ガラクト脂質」という用語は、DGDG又はDGMGの1個又は複数を意味する。
本明細書では「リン脂質」という用語は、ホスファチジルコリンを含めたレシチンを意味する。
本明細書では「極性脂質」という用語は、リン脂質及び/又はガラクト脂質、好ましくはリン脂質及びガラクト脂質を意味する。
一部の態様では、本脂質アシル基転移酵素変異体が作用する脂質基質は、レシチン、例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質であることが好ましい。
一部の態様では、脂質基質は、例えばDGDG、MGDGなどの糖脂質であることが好ましい。
脂質基質は、食品脂質、すなわち食料品の脂質成分であることが好ましい。
一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、トリグリセリド及び/又は1−モノグリセリド及び/又は2−モノグリセリドに対して作用することができない或いは実質的に作用することができないことが好ましい。
適切には、脂質基質又は脂質アシル供与体は、以下の基質、すなわち、ラード、タロー及びバター脂肪を含めた脂肪;パーム油、ヒマワリ油、大豆油、サフラワー油、綿実油、落花生油、コーン油、オリーブ油、落花生油、ヤシ油及びなたね油から抽出又は誘導される油を含めた油の1種類又は複数の中に存在する1種類又は複数の脂質とすることができる。大豆、なたね又は卵黄から得られるレシチンも適切な脂質基質である。脂質基質は、オートムギ脂質、又はガラクト脂質を含む他の植物系材料とすることができる。
一態様においては、脂質アシル供与体は、好ましくは、卵黄中の(ホスファチジルコリンなどの)レシチンである。
本発明の一部の態様では、脂質は、8個から22個の炭素の脂肪酸鎖長を有する脂質から選択することができる。
本発明の一部の態様では、脂質は、16個から22個の炭素、より好ましくは16個から20個の炭素の脂肪酸鎖長を有する脂質から選択することができる。
本発明の一部の態様では、脂質は、14個以下の炭素の脂肪酸鎖長を有する脂質、適切には、4個から14個の炭素、適切には4個から10個の炭素、適切には4個から8個の炭素の脂肪酸鎖長を有する脂質から選択することができる。
適切には、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、以下のリパーゼ活性、すなわち、グリコリパーゼ活性(E.C.3.1.1.26)、トリアシルグリセロールリパーゼ活性(E.C.3.1.1.3)、ホスホリパーゼA2活性(E.C.3.1.1.4)又はホスホリパーゼA1活性(E.C.3.1.1.32)の1つ又は複数を示すことができる。本明細書では「グリコリパーゼ活性」という用語は「ガラクトリパーゼ活性」を包含する。
適切には、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、以下の活性、すなわち、グリコリパーゼ活性(E.C.3.1.1.26)及び/又はホスホリパーゼA1活性(E.C.3.1.1.32)及び/又はホスホリパーゼA2活性(E.C.3.1.1.4)の少なくとも1つ又は複数を有することができる。
一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、少なくともグリコリパーゼ活性(E.C.3.1.1.26)を有することができる。
適切には、一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、糖脂質及び/又はリン脂質から、以下の受容体基質、すなわち、ステロール、スタノール、炭水化物、タンパク質、グリセリンの1個又は複数にアシル基を転移させることができる。
一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、糖脂質及び/又はリン脂質からステロール及び/又はスタノールにアシル基を転移させて、少なくともステロールエステル及び/又はスタノールエステルを形成できることが好ましい。
一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、糖脂質及び/又はリン脂質から炭水化物にアシル基を転移させて、少なくとも炭水化物エステルを形成できることが好ましい。
一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、糖脂質及び/又はリン脂質からタンパク質にアシル基を転移させて、少なくともタンパク質エステル(又はタンパク質脂肪酸縮合物)を形成できることが好ましい。
一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、糖脂質及び/又はリン脂質からグリセリンにアシル基を転移させて、少なくともジグリセリド及び/又はモノグリセリドを形成できることが好ましい。
一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、トリアシルグリセロールリパーゼ活性(E.C.3.1.1.3)を示さないことが好ましい。
一部の態様においては、本脂質アシル基転移酵素変異体は、アシル基を脂質からステロール及び/又はスタノールに転移させることができる。したがって、一実施形態においては、本発明による「アシル受容体」は、ステロール、スタノール又はステロールとスタノールの組み合わせとすることができる。
一実施形態においては、適切には、ステロール及び/又はスタノールは、以下の構造上の特徴、すなわち、
i)3−ベータヒドロキシ基若しくは3−アルファヒドロキシ基、及び/又は
ii)シス位におけるA:B環若しくはトランス位におけるA:B環若しくはC5−C6が不飽和である
の1つ又は複数を含むことができる。
適切なステロールアシル受容体としては、コレステロール及び植物ステロール、例えば、アルファ−シトステロール、ベータ−シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、カンペステロール、5,6−ジヒドロステロール、アブラナステロール、アルファ−スピナステロール、ベータ−スピナステロール、ガンマ−スピナステロール、デルタスピナステロール、フコステロール、ディモステロール(dimosterol)、アスコステロール(ascosterol)、セレビステロール(serebisterol)、エピステロール(episterol)、アナステロール(anasterol)、ハイポステロール(hyposterol)、コンドリラステロール(chondrillasterol)、デスモステロール、カリノステロール(chalinosterol)、ポリフェラステロール、クリオナステロール、ステロールグリコシド、他の天然又は合成異性体及び誘導体などが挙げられる。
本発明の一態様においては、適切には1個を超えるステロール及び/又はスタノールがアシル受容体として働くことができ、適切には2個を超えるステロール及び/又はスタノールがアシル受容体として働くことができる。換言すれば、本発明の一態様においては、適切には1個を超えるステロールエステル及び/又はスタノールエステルを生成することができる。適切には、コレステロールがアシル受容体であるときには、1個若しくは複数のさらなるステロール又は1個若しくは複数のスタノールもアシル受容体として働くことができる。したがって、一態様においては、本発明は、コレステロールエステルと少なくとも1個のステロール又はスタノールエステルを組み合わせてin situ製造する方法を提供する。換言すれば、脂質アシル基転移酵素は、本発明の一部の態様では、アシル基を脂質からコレステロールと少なくとも1個のさらなるステロール及び/又は少なくとも1個のスタノールに転移させることができる。
一態様においては、ステロールアシル受容体は、以下、すなわち、アルファ−シトステロール、ベータ−シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール及びカンペステロールの1個又は複数であることが好ましい。
一態様においては、ステロールアシル受容体はコレステロールであることが好ましい。コレステロールが本脂質アシル基転移酵素変異体に対するアシル受容体である場合には、食料品中の遊離コレステロール量は、本脂質アシル基転移酵素変異体に暴露される前の食料品よりも、且つ/又は本脂質アシル基転移酵素変異体で処理されていない同等の食料品よりも減少する。
適切なスタノールアシル受容体としては、植物スタノール、例えば、ベータ−シトスタノール、ss−シトスタノールなどが挙げられる。
一態様においては、ステロール及び/又はスタノールアシル受容体は、コレステロール以外のステロール及び/又はスタノールであることが好ましい。
一部の態様においては、本発明によって調製された食料品を使用して、血清コレステロールを減少させ、且つ/又は低密度リポタンパク質を減少させることができる。血清コレステロール及び低密度リポタンパク質はともに、例えばアテローム性動脈硬化症及び/又は心疾患などのヒトにおけるある種の疾患に関連している。したがって、本発明によって調製された食料品を使用してかかる疾患のリスクを軽減することができると予見される。
したがって、一態様においては、本発明は、アテローム性動脈硬化症及び/又は心疾患の治療及び/又は予防に使用される本発明による食料品の使用を提供する。したがって、一態様においては、この食料品を機能性食品とみなすことができる。
別の態様においては、本発明は、本発明による食料品を含む医薬品を提供する。
別の態様においては、本発明は、本発明による食料品の有効量をヒト又は動物患者に投与することを含む、前記患者における疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。
適切には、ステロール及び/又はスタノール「アシル受容体」は、食料品中に天然に存在することができる。或いは、ステロール及び/又はスタノールは、食料品に添加することができる。ステロール及び/又はスタノールを食料品に添加する場合には、ステロール及び/又はスタノールは、本発明による脂質アシル基転移酵素の添加前、添加と同時及び/又は添加後に添加することができる。適切には、本発明は、本発明による酵素変異体の添加前又は添加と同時に、外来性ステロール/スタノール、特に植物ステロール/植物スタノールを食料品に添加することを包含することができる。
一部の態様では、食料品中の1種類若しくは複数のステロールは、本脂質アシル基転移酵素変異体を本発明によって添加する前に又は添加するのと同時に、1種類若しくは複数のスタノールに転化することができる。ステロールをスタノールに転化する任意の適切な方法を使用することができる。例えば、この転化は、例えば化学水素化によって実施することができる。この転化は、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体の添加前に又は本発明による脂質アシル基転移酵素変異体の添加と同時に実施することができる。適切には、スタノールへのステロールの転化用酵素は、国際公開第00/061771号に教示されている。
適切には、本発明は、植物スタノールエステルを食料品中で生成させるために使用することができる。植物スタノールエステルは、脂質膜を通る高い溶解性、生物学的利用能及び健康上の優れた利点を有する(例えば、国際公開第92/99640参照)。
本発明の一部の実施形態においては、スタノールエステル及び/又はステロールエステルは、香味料及び/又は食感付与剤(texturiser)とすることができる。この場合、本発明は、香味料及び/又は食感付与剤のin situ製造を包含する。
一実施形態においては、本発明は、本発明による酵素変異体を用いて油を処理することによって、遊離脂肪酸を形成せずに(例えばダイズ油などの植物油などの)食用油中で植物ステロールエステル及び/又はスタノールエステル及びリゾレシチンを製造する方法を提供する。かかる場合において、かくして製造されたリゾレシチンは、精練プロセスによって除去することができる。公知の精練プロセスの1つ又は複数など任意の精練プロセスを使用することができる。遊離脂肪酸は、必要に応じて、脱臭によって除去することができる。特に、油中で生成されるスタノール/ステロールエステルは、脱臭プロセスによって除去されない。したがって、製造される食用油は、血液コレステロールレベルの低下などの有益な栄養及び/又は機能性食品効果を有し得るステロールエステル及び/又はスタノールエステルを含む。
この方法を実施することができる適切な油は、とりわけレシチン及びステロール/スタノールを含む油である。適切には、油は、処理されるときには粗製油(crude oil)である。適切には、食用油は、以下、すなわち、トウモロコシ胚芽油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、落花生油、菜種油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油及びコムギ胚芽油の1種類又は複数である。
本発明の一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、アシル受容体として炭水化物を利用することができる。炭水化物アシル受容体は、以下、すなわち、単糖、二糖、オリゴ糖又は多糖の1種類又は複数とすることができる。炭水化物は、以下、すなわち、グルコース、フルクトース、無水フルクトース、マルトース、ラクトース、スクロース、ガラクトース、キシロース、キシロオリゴ糖、アラビノース、マルトオリゴ糖、タガトース、ミクロセシン(microthecin)、アスコピロン(ascopyrone)P、アスコピロンT、コータルセロン(cortalcerone)の1個又は複数であることが好ましい。
適切には、炭水化物「アシル受容体」は、食料品中に天然に存在することができる。或いは、炭水化物は食料品に添加することができる。炭水化物を食料品に添加する場合には、炭水化物は、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体の添加前、添加と同時及び/又は添加後に添加することができる。
炭水化物エステルは、食料品中の貴重な乳化剤として機能することができる。したがって、酵素がアシル基を糖に転移させる機能を果たす場合には、本発明は、食料品中の第2のin situ乳化剤の生成を包含する。
一部の実施形態においては、本脂質アシル基転移酵素変異体は、ステロール及び/又はスタノール及び炭水化物をアシル受容体として利用することができる。
炭水化物並びにステロール及び/又はスタノールにアシル基を転移させることができる脂質アシル基転移酵素変異体を利用することは、卵を含む食料品では特に有利である。特に、卵及び卵製品中に糖、特にグルコースが存在することは、欠点と見られることが多い。卵黄は、最高1%のグルコースを含むことができる。一般に、卵又は卵を主成分とする製品は、このグルコースの一部又は全部を除去するために、グルコースオキシダーゼで処理することができる。しかし、本発明によれば、この望ましくない糖は、糖を「エステル化」して糖エステルを形成することによって容易に除去することができる。
本発明の一部の態様では、本発明による脂質アシル基転移酵素変異体は、アシル受容体としてタンパク質を利用することができる。適切には、タンパク質は、食料製品中、例えば、乳製品及び/又は肉製品中に存在するタンパク質の1種類又は複数とすることができる。単なる例として、適切なタンパク質は、ラクトグロブリンなどの凝乳又は乳清中に存在するタンパク質とすることができる。他の適切なタンパク質としては、卵の卵白アルブミン、グリアジン、グルテニン、プロインドリン(puroindoline)、穀物の脂質転移タンパク質、肉のミオシンなどが挙げられる。
本発明による親脂質アシル基転移酵素は、以下の判定基準を用いて特徴づけできることが好ましい。
(i)本酵素は、脂質アシル供与体の本来のエステル結合のアシル部分がアシル受容体に転移して新しいエステルを形成するエステル転移活性として定義することができるアシル基転移酵素活性を有する。
(ii)本酵素は、アミノ酸配列モチーフGDSX(ここで、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含む。
GDSXモチーフのXはLであることが好ましい。すなわち、本発明による酵素は、アミノ酸配列モチーフGDSLを含むことが好ましい。
GDSXモチーフは、4個の保存アミノ酸からなる。このモチーフ内のセリンは、脂質アシル基転移酵素の触媒作用性セリンであることが好ましい。適切には、GDSXモチーフのセリンは、Brumlik & Buckley (Journal of Bacteriology Apr. 1996, Vol. 178, No. 7, p 2060-2064)に教示されたアエロモナス ヒドロフィラ脂肪分解酵素中のSer−16に対応する位置に存在することができる。
タンパク質が本発明によるGDSXモチーフを有するかどうかを判定するために、配列をpfamデータベースのHMM(hidden markov model)プロファイルと比較することが好ましい。
Pfamは、タンパク質ドメインファミリーのデータベースである。Pfamは、各ファミリーに対して検証された(curated)複数の配列アラインメント及び新しい配列中のこれらのドメインを特定するためのプロファイルHMM(hidden Markov model)を含む。Pfamの序論は、Bateman A et al. (2002) Nucleic Acids Res. 30; 276-280にある。隠れマルコフモデルは、タンパク質を分類するためのいくつかのデータベースにおいて使用されている。総説として、Bateman A and Haft DH (2002) Brief Bioinform 3; 236-245を参照されたい。
HYPERLINK "http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list#uids=12230032&dopt=Abstract"
HYPERLINK "http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list#uids=11752314&dopt=Abstract"
隠れマルコフモデルの詳細な説明及びそのモデルをPfamデータベースに適用する方法については、Durbin R, Eddy S, and Krogh A (1998) Biological sequence analysis; probabilistic models of proteins and nucleic acids. Cambridge University Press, ISBN 0-521-62041-4を参照されたい。Hammerソフトウェアパッケージは、Washington University, St Louis, USAから入手することができる。
或いは、GDSXモチーフは、Hammerソフトウェアパッケージを用いて特定することができる。その説明は、Durbin R, Eddy S, and Krogh A (1998) Biological sequence analysis; probabilistic models of proteins and nucleic acids. Cambridge University Press, ISBN 0-521-62041-4及びその中の参考文献にある。HMMER2プロファイルは本明細書に記載されている。
PFAMデータベースには、例えば、現在は以下のウェブサイトにあるいくつかのサーバーを介して接続することができる。
HYPERLINK "http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/index.shtml"
HYPERLINK "http://pfam.wustl.edu/"
HYPERLINK "http://pfam.jouy.inra.fr/"
HYPERLINK "http://pfam.cgb.ki.se/"
このデータベースは、タンパク質配列を入力することができる検索機能を提供している。次いで、データベースのデフォルトパラメータを用いて、タンパク質配列をPfamドメインの有無について解析する。GDSXドメインは、このデータベースにおいて確立されたドメインであり、したがってあらゆる検索配列中にその存在が認められる。データベースは、検索配列に対してPfam00657コンセンサス配列のアラインメントを返す。
アエロモナス サルモニシダ又はアエロモナス ヒドロフィラを含めて、複数のアラインメントは、
a)手引書
上記手順に従って、目的タンパク質とPfam00657コンセンサス配列とのアラインメント及びP10480とPfam00657コンセンサス配列とのアラインメントを得る;
又は
b)データベースによって
データベースは、Pfam00657コンセンサス配列の特定後に、検索配列のアラインメントをPfam00657コンセンサス配列のシードアラインメントに示す選択肢を提供する。P10480はこのシードアラインメントの一部であり、GCAT_AERHYで示される。検索配列とP10480の両方は同じ枠内に示される。
によって得ることができる。
アエロモナス ヒドロフィラ基準配列:
アエロモナス ヒドロフィラGDSXリパーゼの残基は、NCBIファイルP10480中で番号付与されている。本文中の番号は、好ましい実施形態において本発明の脂質アシル基転移酵素中に存在する特定のアミノ酸残基を求めるために本発明において使用されるファイル中の番号である。
Pfamアラインメントを実施した(図33及び図34)。
以下の保存残基は認識することができ、好ましい実施形態においては、本発明の組成物及び方法に使用される酵素変異体中に存在することができる。
ブロック1 − GDSXブロック
hid hid hid hid Gly Asp Ser hid
28 29 30 31 32 33 34 35
ブロック2 − GANDYブロック
hid Gly hid Asn Asp hid
130 131 132 133 134 135
ブロック3 − HPTブロック
His
309
ここで、「hid」は、Met、Ile、Leu、Val、Ala、Gly、Cys、His、Lys、Trp、Tyr、Pheから選択される疎水性残基を意味する。
本発明の組成物/方法に使用される親脂質アシル基転移酵素及び/又は脂質アシル基転移酵素変異体は、Pfam00657コンセンサス配列を用いてアラインメントさせることができることが好ましい。
pfam00657ドメインファミリーのHMM(hidden markov model)プロファイルとの正の一致(positive match)によって、本発明によるGDSL又はGDSXドメインの存在が示されることが好ましい。
好ましくは、Pfam00657コンセンサス配列とアラインメントさせたとき、本発明の組成物/方法に使用される親脂質アシル基転移酵素及び/又は脂質アシル基転移酵素変異体は、GDSxブロック、GANDYブロック、HPTブロックの少なくとも1個、好ましくは2個以上、好ましくは3個以上を有する。適切には、親脂質アシル基転移酵素及び/又は脂質アシル基転移酵素変異体は、GDSxブロック及びGANDYブロックを有することができる。或いは、親酵素及び/又は酵素変異体は、GDSxブロック及びHPTブロックを有することができる。親酵素及び/又は酵素変異体は、少なくともGDSxブロックを含むことが好ましい。
好ましくは、Pfam00657コンセンサス配列とアラインメントさせたときに、本発明の組成物/方法に使用される親酵素及び/又は酵素変異体は、基準A.ヒドロフィラポリペプチド配列、すなわち配列番号26と比較したときに、以下のアミノ酸残基、すなわち、28hid、29hid、30hid、31hid、32gly、33Asp、34Ser、35hid、130hid、131Gly、132Hid、133Asn、134Asp、135hid、309Hisの少なくとも1個、好ましくは2個以上、好ましくは3個以上、好ましくは4個以上、好ましくは5個以上、好ましくは6個以上、好ましくは7個以上、好ましくは8個以上、好ましくは9個以上、好ましくは10個以上、好ましくは11個以上、好ましくは12個以上、好ましくは13個以上、好ましくは14個以上、好ましくは15個以上を有する。
pfam00657 GDSXドメインは、このドメインを有するタンパク質を他の酵素から識別する一義的な識別子である。
pfam00657コンセンサス配列を図1に配列番号1として示す。この配列は、本明細書ではpfam00657.6と記述されることもあるpfamファミリー00657、データベースバージョン6の識別子から誘導される。
このコンセンサス配列は、今後公開されるpfamデータベースを使用して更新することができる。
例えば、図33及び34に、本明細書ではpfam00657.11と記述されることもあるデータベースバージョン11由来のファミリー00657のpfamアラインメントを示す。
GDSx、GANDY及びHPTブロックは、公開された両方のデータベースのpfamファミリー00657に存在する。将来公開されるpfamデータベースを使用して、pfamファミリー00657を特定することができる。
本発明による親脂質アシル基転移酵素は、以下の判定基準を用いて特徴づけできることが好ましい。
(i)本酵素は、脂質アシル供与体の最初のエステル結合のアシル部分がアシル受容体に転移して新しいエステルを形成するエステル転移活性として定義することができるアシル基転移酵素活性を有する。
(ii)本酵素は、アミノ酸配列モチーフGDSX(ここで、Xは以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1個又は複数である)を含む。
(iii)本酵素は、His−309を含み、又は図2(配列番号2又は配列番号26)に示されるアエロモナス ヒドロフィラ脂肪分解酵素中のHis−309に対応する位置にヒスチジン残基を含む。
GDSXモチーフのアミノ酸残基はLであることが好ましい。
配列番号26においては、最初の18アミノ酸残基はシグナル配列を形成する。完全長配列、すなわち、シグナル配列を含むタンパク質のHis−309は、タンパク質の成熟部分、すなわち、シグナル配列を含まない配列のHis−291に一致する。
本発明による親脂質アシル基転移酵素は、以下の触媒作用の3つ組、すなわち、Ser−16、Asp−116及びHis−291を含むことが好ましく、或いは図2(配列番号2)に示されるアエロモナス ヒドロフィラ脂肪分解酵素中のSer−16、Asp−116及びHis−291に対応する位置又は図28(配列番号26)に示される完全長配列のSer−34、Asp−134及びHis−309に対応する位置において、それぞれ、セリン残基、アスパラギン酸残基及びヒスチジン残基を含むことが好ましい。上述したように、配列番号26の配列においては、最初の18アミノ酸残基はシグナル配列を形成する。完全長配列、すなわち、シグナル配列を含むタンパク質のSer−34、Asp−134及びHis−309は、タンパク質の成熟部分、すなわち、シグナル配列を含まない配列のSer−16、Asp−116及びHis−291に一致する。pfam00657コンセンサス配列においては、図1(配列番号1)に示されるように、活性部位残基は、Ser−7、Asp−157及びHis−348に対応する。
本発明による親脂質アシル基転移酵素は、以下の判定基準を用いて特徴づけできることが好ましい。
(i)本酵素は、第1の脂質アシル供与体の最初のエステル結合のアシル部分がアシル受容体に転移して新しいエステルを形成するエステル転移活性として定義することができるアシル基転移酵素活性を有する。
(ii)本酵素は、図28(配列番号26)における位置Gly−32、Asp−33、Ser−34、Asp−134及びHis−309にそれぞれ等しい図2(配列番号2)のアエロモナス ヒドロフィラ酵素に対応する位置において、少なくともGly−14、Asp−15、Ser−16、Asp−116及びHis−191を含む。
適切には、本発明による親脂質アシル基転移酵素は、以下の属、すなわち、アエロモナス、コリネバクテリウム、ノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)、テルモビフィダ(Termobifida)、ストレプトミセス、サッカロミセス、ラクトコッカス、マイコバクテリウム、ストレプトコッカス、ラクトバチルス、デサルフィトバクテリウム(Desulfitobacterium)、バチルス、カンピロバクター、ビブリオナシエ(Vibrionaceae)、キシレラ(Xylella)、スルフォロブス(Sulfolobus)、アスペルギルス、シゾサッカロミセス、リステリア、ナイセリア、メソルヒゾビウム(Mesorhizobium)、ラルストニア(Ralstonia)、ザントモナス及びカンジダの1種類又は複数に由来する生物から得ることができ、好ましくは得られる。
適切には、本発明による親脂質アシル基転移酵素は、以下の生物、すなわち、アエロモナス ヒドロフィラ、アエロモナス サルモニシダ、ストレプトミセス コエリコラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトミセス リモサス(Streptomyces rimosus)、マイコバクテリウム、ストレプトコッカス ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス ピオゲネス、ストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、デサルフィトバクテリウム デハロゲナンス(Desulfitobacterium dehalogenans)、バチルス種、カンピロバクター ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、ビブリオナシエ、キシレラ ファスチジオサ(Xylella fastidiosa)、スルフォロブス ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、アスペルギルス テレウス(Aspergillus terreus)、シゾサッカロミセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、リステリア イノキュア(Listeria innocua)、リステリア モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ナイセリア メニンジティディス(Neisseria meningitidis)、メソルヒゾビウム ロティ(Mesorhizobium loti)、ラルストニア ソラナセアルム(Ralstonia solanacearum)、ザントモナス カンペストリス(Xanthomonas campestris)、ザントモナス アクソノポディス(Xanthomonas axonopodis)、コリネバクテリウム エフィシエンス(Corynebacterium efficens)、ノボスフィンゴビウム アロマティシボランス(Novosphingobium aromaticivorans)、テルモビフィダ フスカ(Termobifida fusca)及びカンジダ パラプシロシス(Candida parapsilosis)の1種類又は複数から得ることができ、好ましくは得られる。
一態様においては、好ましくは、本発明による親脂質アシル基転移酵素は、アエロモナス ヒドロフィラ又はアエロモナス サルモニシダの1種類又は複数から得ることができ、好ましくは得られる。
一態様においては、本発明による親脂質アシル基転移酵素は、LCAT(lecithin:cholesterol acyltransferase)又はその変異体(例えば、分子進化によって造られた変異体)とすることができる。
適切なLCATは当分野で公知であり、例えば以下の生物、すなわち、哺乳動物、ラット、マウス、ヒヨコ、キイロショウジョウバエ、アラビドプシス(Arabidopsis)及びオリザ サティバ(Oryza sativa)を含めた植物、線虫、真菌並びに酵母の1種類又は複数から得ることができる。
本発明による方法を実施するときには、生成物(すなわち、食料品)は、食料品中の遊離脂肪酸を増加させずに又は実質的に増加させずに生成されることが好ましい。
本明細書では「転移酵素」という用語は、「脂質アシル基転移酵素」という用語と区別なく使用される。
本明細書では「ガラクト脂質転移酵素活性」という用語は、ガラクト脂質供与体から例えばグリセリンなどの(水以外の)受容体分子へのアシル基転移を触媒する酵素の能力を意味する。
同様に、本明細書では「リン脂質転移酵素活性」という用語は、リン脂質供与体から例えばグリセリンなどの(水以外の)受容体分子へのアシル基転移を触媒する酵素の能力を意味する。
本明細書では「ガラクトリパーゼ転移酵素活性とリン脂質転移酵素活性の高い比」という用語は、酵素変異体が、前記親酵素と比較したときに、ガラクト脂質転移酵素をリン脂質転移酵素よりも高速で触媒することができることを意味する。これは、ガラクト脂質転移酵素活性とリン脂質転移酵素活性の両方が親酵素よりも増加すること、又は親酵素と比較してガラクト脂質転移酵素活性が増加しリン脂質転移酵素活性が減少することを意味し得る。重要なのは2つの活性間の最終関係である。
適切には、本明細書に規定される脂質アシル基転移酵素は、以下の反応、すなわち、エステル交換、エステル転移、アルコール分解、加水分解の1種類又は複数を触媒する。
「エステル交換」という用語は、脂質供与体と脂質受容体の間の酵素によって触媒されたアシル基転移を意味する。ここで、脂質供与体は遊離アシル基ではない。
本明細書では「エステル転移」という用語は、(遊離脂肪酸以外の)脂質供与体から(水以外の)アシル受容体への酵素によって触媒されたアシル基転移を意味する。
本明細書では「アルコール分解」という用語は、生成物の一方がアルコールのHと結合し、もう一方の生成物がアルコールのOR基と結合するような、アルコールROHとの反応による酸誘導体の共有結合の酵素による切断を指す。
本明細書では「アルコール」という用語は、ヒドロキシル基を含むアルキル化合物を指す。
本明細書では「加水分解」という用語は、脂質から水分子のOH基への酵素によって触媒されたアシル基転移を指す。加水分解に起因するアシル転移には水分子の分離が必要である。
本明細書では「ガラクト脂質加水分解活性」という用語は、ガラクト脂質から水分子のOH基にアシル基を転移させることによってガラクト脂質の加水分解を触媒する酵素の能力を意味する。
同様に、本明細書では「リン脂質加水分解活性」という用語は、リン脂質から水分子のOH基にアシル基を転移させることによってリン脂質の加水分解を触媒する酵素の能力を意味する。
本明細書では「ガラクトリパーゼ転移酵素活性とガラクト脂質加水分解活性の高い比」という用語は、酵素変異体が、前記親酵素と比較したときに、ガラクト脂質転移酵素をガラクト脂質加水分解よりも高速で触媒することができることを意味する。これは、ガラクト脂質転移酵素活性とガラクト脂質加水分解活性の両方が親酵素よりも増加すること、又は親酵素と比較してガラクト脂質転移酵素活性が増加しガラクト脂質加水分解活性が減少することを意味し得る。重要なのは2つの活性間の最終関係である。
本明細書では「遊離脂肪酸を増加させずに、又は実質的に増加させずに」という用語は、本発明による脂質アシル基転移酵素が、100%転移酵素活性を有する(すなわち、加水分解活性を持たずに、アシル基の100%をアシル供与体からアシル受容体に転移させる)ことが好ましいが、脂質アシル供与体中のアシル基の100%未満をアシル受容体に転移させてもよいことを意味する。この場合、好ましくは、アシル基転移酵素活性は、全酵素活性の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%及びより好ましくは少なくとも98%を占める。%転移酵素活性(すなわち、全酵素活性の百分率としての転移酵素活性)は、以下のプロトコールによって求めることができる。
%アシル基転移酵素活性を求めるプロトコール:
本発明による脂質アシル基転移酵素が添加された食料品は、以下の詳細な手順に従って、酵素反応後にCHCl3:CH3OH 2:1で抽出し、脂質材料を含む有機相を単離し、GLCによって分析することができる。GLC(及び必要に応じてHPLC分析)から、遊離脂肪酸及びステロール/スタノールエステル;炭水化物エステル、タンパク質エステル;ジグリセリド又はモノグリセリドの1個又は複数の量が求められる。本発明による酵素が添加されていない対照食料品も同様に分析される。
計算:
GLC(及び場合によりHPLC分析)の結果から、遊離脂肪酸及びステロール/スタノールエステル及び/又は炭水化物エステル及び/又はタンパク質エステル及び/又はジグリセリド及び/又はモノグリセリドの増加量を計算することができる。
Δ%脂肪酸=%脂肪酸(酵素)−%脂肪酸(対照);Mv脂肪酸=脂肪酸の平均分子量;
A=Δ%ステロールエステル/Mvステロールエステル(ここで、Δ%ステロールエステル=%ステロール/スタノールエステル(酵素)−%ステロール/スタノールエステル(対照)及びMvステロールエステル=ステロール/スタノールエステルの平均分子量)−アシル受容体がステロール及び/又はスタノールである場合に適用可能;
B=Δ%炭水化物エステル/Mv炭水化物エステル(ここで、Δ%炭水化物エステル=%炭水化物エステル(酵素)−%炭水化物エステル(対照)及びMv炭水化物エステル=炭水化物エステルの平均分子量)−アシル受容体が炭水化物である場合に適用可能;
C=Δ%タンパク質エステル/Mvタンパク質エステル(ここで、Δ%タンパク質エステル=%タンパク質エステル(酵素)−%タンパク質エステル(対照)及びMvタンパク質エステル=タンパク質エステルの平均分子量)−アシル受容体がタンパク質である場合に適用可能;並びに
D=ジグリセリド及び/又はモノグリセリド/Mvジ/モノグリセリドの絶対値(ここで、Δ%ジグリセリド及び/又はモノグリセリド=%ジグリセリド及び/又はモノグリセリド(酵素)−%ジグリセリド及び/又はモノグリセリド(対照)並びにMvジ/モノグリセリド=ジグリセリド及び/又はモノグリセリドの平均分子量)−アシル受容体がグリセリンである場合に適用可能。
転移酵素活性は、全酵素活性の百分率として計算される。
%転移酵素活性=(A*+B*+C*+D*×100) / (A*+B*+C*+D*+Δ%脂肪酸/(Mv脂肪酸))
*−適宜削除
「非極性」、「極性−無電荷」、「極性−荷電」という用語の範囲内にあるアミノ酸を下表に示す。「脂肪族」及び「芳香族」という用語の範囲内にあるアミノ酸も同様である。「極性」という用語は、「極性−無電荷」と「極性−荷電」アミノ酸の両方を指す。
Figure 2010142243
GLC分析
WCOT溶融シリカカラム12.5m×0.25mm ID×0.1μ膜厚5%フェニル−メチル−シリコーン(Chrompack社製CP Sil 8 CB)を備えたPerkin Elmer社製Autosystem 9000 Capillary Gas Chromatograph。
キャリアガス:ヘリウム。
インジェクター.PSSIコールドスプリット注入(初期温度50℃ 385℃に昇温)、体積1.0μl
検出器 FID:395℃
乾燥器プログラム: 1 2 3
乾燥器温度、℃ 90 280 350
等温、時間、min 1 0 10
昇温速度、℃/min 15 4
試料調製:内部標準ヘプタデカン0.5mg/mlを含むヘプタン:ピリジン2:1 9mlに試料30mgを溶解した。試料溶液300μlをクリンプバイアルに移し、MSTFA(N-Methyl-N-trimethylsilyl-trifluoraceamid)300μlを添加し、60℃で20分間反応させた。
計算:モノ−ジ−トリグリセリド及び遊離脂肪酸の応答係数を標準2(モノ−ジ−トリグリセリド)から求めた。コレステロール、パルミチン酸コレステリル及びステアリン酸コレステリルの場合には、純粋な基準材料(純粋材料10mgを計量)から応答係数を求めた。
技術的効果
本発明は、卵製品、特にマヨネーズにおける以下の予想外の技術的効果、すなわち、低温殺菌中の熱安定性の改善、感覚器官が感知し得る諸特性の改善、粘稠性の改善の1つ又は複数を提供することができる。
高いリン脂質転移酵素活性、特にリン脂質とコレステロールなどのステロール及び/又はスタノールとの間の高い転移酵素活性を有する酵素変異体は、リゾリン脂質の製造方法並びに/或いは食用油の酵素精練方法並びに/或いは改善された乳化特性及び/又は健康上の利点を有する卵製品の製造方法に特に有用であり得る。
酵素精練方法に使用する場合には、ステロールへの高い絶対リン脂質転移酵素活性を有する変異体が好ましい。
適切には、本発明は、卵又は卵製品における以下の予想外の技術的効果、すなわち、エマルジョンの安定性の改善、エマルジョンの熱安定性、風味の改善、悪臭の減少、濃化特性の改善、粘稠性の改善の1つ又は複数を提供することができる。
本発明は、生地及び/又は焼いた製品における以下の予想外の技術的効果、すなわち、生地又は焼いた製品(例えば、パン及び/又はケーキ)の比体積の改善;生地安定性の改善;外皮成績(crust score)(例えば、薄く且つ/又はぱりぱりしたパン外皮)の改善、パンの身の成績(crumb score)(例えば、より均一なパンの身の分布及び/又はより細かいパンの身構造及び/又はより柔らかいパンの身)の改善;外観(例えば、ふくれも穴もない又はふくれも穴も実質的にない滑らかな表面)の改善;老化の減少;柔らかさの向上;匂いの改善;味覚の改善の1つ又は複数を提供することができる。
適切には、本発明は、食料品における以下の予想外の技術的効果、すなわち、外観の改善、口当たりの改善、安定性の改善、特に、熱安定性の改善、味覚の改善、柔軟性の改善、弾性の改善、乳化の改善の1つ又は複数を提供することができる。
適切には、本発明は、アイスクリームなどの乳製品における以下の予想外の技術的効果、すなわち、例えば口当たりの改善(好ましくは、よりふわっとして滑らかな口当たり)、味覚の改善、溶融の改善の1つ又は複数を提供することができる。
食料品調製において、本明細書に規定される脂質アシル基転移酵素の使用に伴う具体的な技術的効果を下表に示す。
Figure 2010142243
適切には、本発明は、チーズにおける以下の予想外の技術的効果、すなわち、チーズにおけるオイルオフ現象の抑制;チーズ収率の増加;風味の改善;悪臭の減少;「石けんのような」味覚の減少の1つ又は複数を提供することができる。
一態様においては、本発明は、脂質アシル基転移酵素を使用することによって、チーズなどの食品の収率を改善することができるという理解に一部基づいている。それとは別に又はそれに加えて、食品の風味、食感、酸化安定性及び/又は品質保持期間を改善することができる。それとは別に又はそれに加えて、食品のコレステロールレベルを低下させ、又は植物ステロール/スタノールエステルの含量を増加させることができる。
本発明は、一態様においては、本明細書に規定される脂質アシル転移酵素を含む食品添加組成物を提供することができる。
本発明は、別の態様においては、本明細書に規定される脂質アシル基転移酵素を含む化粧品組成物を提供することができる。
また、本発明は、化粧品組成物を製造するための本明細書に規定されるアシル基転移酵素の使用を提供することができる。
利点
本発明の転移酵素変異体は、親酵素と比較して、以下の有利な諸特性の1つ又は複数を有する。
i)極性脂質に対する高い活性及び/又はトリグリセリドよりも極性脂質に対する高い活性
ii)DGDG(digalactosyl diglyceride)及び/又はMGDG(monogalactosyl diglyceride)の1個又は複数などのガラクト脂質(糖脂質)に対する高い活性。
iii)ガラクト脂質(糖脂質)とリン脂質及び/又はトリグリセリドに対する高い活性比。
本発明の転移酵素変異体は、DGDG(digalactosyl diglyceride)及び/又はMGDG(monogalactosyl diglyceride)に対して高い活性を有することが好ましい。
本発明の転移酵素変異体は、DGDG及び/又はMGDGに対して高い活性を有し、DGMG及び/又はMGMGに対して低い活性を有することが好ましい。
本発明の転移酵素変異体は、トリグリセリドに対しても高い活性を有することができる。
本発明の転移酵素変異体は、ホスファチジルコリンを含めたレシチンなどのリン脂質に対しても高い活性を有することができる。
本発明の転移酵素変異体は、トリグリセリド及び/又はモノグリセリド及び/又はジグリセリドに対して低い活性を有することができる。
極性脂質という用語は、生地中に通常存在する極性脂質、好ましくはガラクト脂質及びリン脂質を指す。
生地又は焼いた製品の調製に使用されたときに、本発明の転移酵素変異体は、生地及び/又は焼いた製品における以下の予想外の技術的効果、すなわち、生地又は焼いた製品(例えば、パン及び/又はケーキ)の比体積の改善;生地安定性の改善;外皮成績(例えば、薄く且つ/又はぱりぱりしたパン外皮)の改善、パンの身の成績(例えば、より均一なパンの身の分布及び/又はより細かいパンの身構造及び/又はより柔らかいパンの身)の改善;外観(例えば、ふくれも穴もない又はふくれも穴も実質的にない滑らかな表面)の改善;老化の減少;柔らかさの向上;匂いの改善;味覚の改善の1つ又は複数をもたらすことができる。
単離
一態様においては、本発明に使用されるポリペプチド又はタンパク質は、単離された形であることが好ましい。「単離された」という用語は、配列が本来天然に付随し、天然に存在する少なくとも1個の他の成分から、その配列が少なくとも実質的に遊離されていることを意味する。
精製
一態様においては、本発明に使用されるポリペプチド又はタンパク質は、精製された形であることが好ましい。「精製された」という用語は、配列が比較的純粋な状態、例えば少なくとも純度約51%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも純度約90%、少なくとも純度約95%又は少なくとも純度約98%であることを意味する。
本発明によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のクローニング
本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチド又は改変に適切であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、前記ポリペプチドを産生するあらゆる細胞又は生物から単離することができる。ヌクレオチド配列を単離する様々な方法が当技術分野で周知である。
例えば、ゲノムDNA及び/又はcDNAライブラリは、ポリペプチドを産生する生物から得られる染色体DNA又はメッセンジャーRNAを用いて構築することができる。ポリペプチドのアミノ酸配列が知られている場合には、標識オリゴヌクレオチドプローブを合成し、それを使用して、ポリペプチドをコードするクローンを、生物から調製されるゲノムライブラリから特定することができる。或いは、別の既知のポリペプチド遺伝子と相同な配列を含む標識オリゴヌクレオチドプローブを使用して、ポリペプチドをコードするクローンを特定することができる。後者の場合には、厳密性のより低いハイブリッド形成条件及び洗浄条件が使用される。
或いは、ポリペプチドをコードするクローンは、ゲノムDNAの断片をプラスミドなどの発現ベクターに挿入し、得られたゲノムDNAライブラリで酵素陰性細菌を形質転換し、次いでポリペプチドによって阻害される酵素を含む寒天上に形質転換細菌を播くことによって特定することができ、それによってポリペプチドを発現するクローンを特定することができる。
さらなる別法においては、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、確立された標準方法、例えば、Beucage S.L. et al (1981) Tetrahedron Letters 22, p 1859-1869に記載されたホスホラミダイト法又はMatthes et al (1984) EMBO J. 3, p 801-805に記載された方法によって合成して調製することができる。ホスホラミダイト法においては、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成装置中で合成され、精製され、アニールされ、連結され、適切なベクターにクローン化される。
ヌクレオチド配列は、標準技術に従って合成、ゲノム又はcDNA起源の断片を(適宜)連結することによって調製された混合ゲノム・合成起源、混合合成・cDNA起源又は混合ゲノム・cDNA起源とすることができる。連結された各断片は、ヌクレオチド配列全体の様々な部分に対応する。DNA配列は、例えば、US 4,683,202又はSaiki R K et al (Science (1988) 239, pp 487-491)に記載された特異的プライマーを用いたPCR(polymerase chain reaction)によって調製することもできる。
ヌクレオチド配列
本発明は、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列も包含する。本明細書では「ヌクレオチド配列」という用語は、オリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列並びに(その部分などの)その変異体、相同体、断片及び誘導体を意味する。ヌクレオチド配列は、センス鎖であろうとアンチセンス鎖であろうと、2本鎖でも1本鎖でもよいゲノム、合成又は組換え起源とすることができる。
本発明では「ヌクレオチド配列」という用語は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA及びRNAを含む。この用語は、コード配列のDNA、より好ましくはcDNAを意味することが好ましい。
好ましい実施形態においては、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列自体は、やはりその天然環境にあるその天然に付随する配列に連結されたときに、その天然環境における未変性ヌクレオチド配列を包含しない。参照を容易にするために、本発明者らはこの好ましい実施形態を「変性(non-native)ヌクレオチド配列」と称する。この点で、「未変性ヌクレオチド配列」という用語は、その本来の環境にあるヌクレオチド配列全体であって、それが天然に付随し、やはりその本来の環境にあるプロモーター全体に動作可能に連結されるときのヌクレオチド配列全体を意味する。したがって、本発明のポリペプチドは、その固有の生物中のヌクレオチド配列によって発現され得るが、そのヌクレオチド配列は、その生物中の天然に付随するプロモーターの制御下にはない。
このポリペプチドは、未変性ポリペプチドではないことが好ましい。この点で、「未変性ポリペプチド」という用語は、その本来の環境にあり、その未変性ヌクレオチド配列によって発現されたときのポリペプチド全体を意味する。
一般に、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、組換えDNA技術を用いて調製される(すなわち、組換えDNA)。しかし、本発明の別の実施形態においては、このヌクレオチド配列は、当分野で周知の化学的方法によって全体的又は部分的に合成することができる(Caruthers MH et al (1980) Nuc Acids Res Symp Ser 215-23及びHorn T et al (1980) Nuc Acids Res Symp Ser 225-232参照)。
分子進化
酵素をコードするヌクレオチド配列が単離された後に、又は酵素をコードする推定ヌクレオチド配列が特定された後に、選択されたヌクレオチド配列を改変することが望ましいことがあり、例えば、本発明による酵素を調製するためにその配列を変異させることが望ましいことがある。
変異は、合成オリゴヌクレオチドを用いて導入することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、所望の変異部位に隣接するヌクレオチド配列を含む。
適切な方法は、Morinaga et al (Biotechnology (1984) 2, p646-649)に開示されている。酵素をコードするヌクレオチド配列に変異を導入する別の方法は、Nelson and Long (Analytical Biochemistry (1989), 180, p 147-151)に記載されている。
上述したものなどの部位特異的変異誘発の代わりに、例えば、Stratagene社製GeneMorph PCR変異誘発キット、Clontech社製Diversify PCRランダム変異誘発キットなどの市販キットを用いて変異をランダムに導入することができる。EP 0 583 265は、PCRに基づく変異誘発を最適化する方法に言及している。この方法は、EP 0 866 796に記載されたものなどの変異原性DNAアナログの使用と組み合わせることもできる。誤りを犯しやすいPCR技術は、好ましい諸特性を有する脂質アシル基転移酵素の変異体の生成に適している。国際公開第0206457号は、リパーゼの分子進化について言及している。
新規配列を得る第3の方法は、任意の数のDnase Iなどの制限酵素又は酵素を用いて異なるヌクレオチド配列を断片化し、機能タンパク質をコードする完全なヌクレオチド配列を再び組み立てることである。或いは、完全ヌクレオチド配列の再組み立て中に、1個又は複数の異なるヌクレオチド配列を用い、変異を導入することができる。DNAシャフリング及びファミリーシャフリング技術は、好ましい諸特性を有する脂質アシル基転移酵素変異体の製造に適している。「シャフリング」を実施する適切な方法は、EP 0 752 008、EP 1 138 763、EP 1 103 606にある。シャフリングは、US 6,180,406及び国際公開第01/34835号に記載された別の形のDNA変異誘発と組み合わせることもできる。
したがって、多数の部位特異的又は無作為な変異をヌクレオチド配列中にインビボ又はインビトロで生じさせ、続いて、コードされたポリペプチドの機能が改善されたかどうかを様々な手段によってスクリーニングすることができる。コンピュータ及びエキソ媒介(exo mediated)組換え方法(国際公開第00/58517号、US 6,344,328、US 6,361,974参照)を用いて、例えば、生成される変異体が、既知の酵素又はタンパク質に対して極めて低い相同性を有する分子進化を実施することができる。それによって得られるかかる変異体は、既知の転移酵素に構造がかなり類似しているが、極めて低いアミノ酸配列相同性を有することができる。
さらに、非限定的な例として、ポリヌクレオチド配列の変異体又は自然変異体は、野生型又は他の変異体若しくは自然変異体と組み換えて新しい変異体を生成することもできる。かかる新しい変異体も、コードされたポリペプチドの機能が改善されたかどうかによってスクリーニングすることができる。
上述及び類似の分子進化方法を適用することによって、タンパク質構造又は機能の予備知識なしに、好ましい諸特性を有する本発明の酵素の変異体を特定し選択することができ、予測不可能であるが有益な突然変異体又は変異体を生成することができる。当分野では、酵素活性を最適化又は変更するために分子進化を適用した例が多数ある。かかる例としては、以下、すなわち、宿主細胞中又はインビトロで最適化された発現及び/又は活性、酵素活性の増大、基質及び/又は生成物特異性の変化、酵素又は構造安定性の増大又は低下、好ましい環境条件、例えば温度、pH、基質における酵素活性/特異性の変化の1つ又は複数が挙げられるが、これらだけに限定されない。
当業者には明らかなように、分子進化ツールを使用して、酵素を変化させて酵素の機能を改善することができる。
適切には、本発明において使用される脂質アシル基転移酵素は変異体とすることができ、すなわち、親酵素と比較したときに少なくとも1個のアミノ酸置換、欠失又は付加を含むことができる。酵素変異体は、親酵素と少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%の相同性を保持する。適切な親酵素としては、エステラーゼ又はリパーゼ活性を有する任意の酵素などが挙げられる。親酵素は、pfam00657コンセンサス配列と整合することが好ましい。
好ましい実施形態においては、脂質アシル基転移酵素変異体は、GDSx、GANDY及びHPTブロック中のpfam00657コンセンサス配列アミノ酸残基の少なくとも1個若しくは複数を保持し、又は含む。
水系環境において脂質アシル基転移酵素活性がない又は低いリパーゼなどの酵素は、分子進化ツールを用いて変異させて転移酵素活性を導入し又は高めることができ、それによって本発明の組成物及び方法に使用するのに適切なかなりの転移酵素活性を有する脂質アシル基転移酵素を生成することができる。
適切には、本発明において使用される脂質アシル基転移酵素は、極性脂質、好ましくはリン脂質及び/又は糖脂質に対する酵素活性が親酵素よりも高い変異体とすることができる。かかる変異体は、リゾ極性脂質に対しても低い活性を有するか、又は活性を持たないことが好ましい。極性脂質、リン脂質及び/又は糖脂質に対する高い活性は、加水分解及び/又は転移酵素活性或いは両方の組み合わせの結果かもしれない。
本発明に使用される脂質アシル基転移酵素変異体は、トリグリセリド及び/又はモノグリセリド及び/又はジグリセリドに対して親酵素よりも低い活性を有することができる。
適切には、本酵素変異体は、トリグリセリド及び/又はモノグリセリド及び/又はジグリセリドに対して活性を持たなくすることができる。
或いは、本発明に使用される酵素変異体は、トリグリセリドに対して高い活性を有することができ、且つ/又は以下、すなわち、極性脂質、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン、糖脂質、ジガラクトシルモノグリセリド、モノガラクトシルモノグリセリドの1個若しくは複数に対しても高い活性を有することができる。
脂質アシル基転移酵素の変異体は公知であり、かかる変異体の1個若しくは複数は、本発明による方法及び使用並びに/又は本発明による酵素組成物に使用するのに適切なことがある。単なる例として、脂質アシル基転移酵素の変異体は、以下の参考文献、すなわち、Hilton & Buckley J Biol. Chem. 1991 Jan 15: 266 (2): 997-1000; Robertson et al J. Biol. Chem. 1994 Jan 21; 269(3): 2146-50; Brumlik et al J. Bacteriol 1996 Apr; 178 (7): 2060-4; Peelman et al Protein Sci. 1998 Mar; 7(3):587-99に記載されており、本発明によって使用することができる。
アミノ酸配列
本発明は、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドのアミノ酸配列も包含する。
本明細書では「アミノ酸配列」という用語は、「ポリペプチド」という用語及び/又は「タンパク質」という用語と同義である。「アミノ酸配列」という用語が「ペプチド」という用語と同義である場合もある。
アミノ酸配列は、適切な出所から調製/単離することができ、或いは組換えDNA技術を用いて合成又は調製することができる。
適切には、アミノ酸配列は、本明細書に教示される単離ポリペプチドから標準技術によって得ることができる。
単離ポリペプチドからアミノ酸配列を決定するのに適切な一方法は以下のとおりである。
精製ポリペプチドを凍結乾燥させ、その凍結乾燥材料100μgを8M尿素と0.4M炭酸水素アンモニウム、pH8.4の混合物50μlに溶解させることができる。溶解されたタンパク質を変性し、窒素で覆い、45mMジチオスレイトール5μlを添加した後に、50℃で15分間還元することができる。室温に冷却後、100mMヨードアセトアミド5μlを添加し、窒素下、暗所において室温で15分間システイン残基を誘導体化することができる。
水135μl及びエンドプロテアーゼLys−C 5μgの5μl水溶液を上記反応混合物に添加し、窒素下37℃で24時間消化することができる。
生成したペプチドは、逆相HPLCによってVYDAC C18カラム(0.46×15cm;10μm;The Separation Group, California, USA)上で溶媒A:0.1%TFA水溶液及び溶媒B:0.1%TFAのアセトニトリル溶液を用いて分離することができる。選択されたペプチドをDevelosil C18カラム上で同じ溶媒系を用いて再度クロマトグラフにかけた後、N末端の配列を決定することができる。配列決定は、Applied Biosystems 476A配列決定装置を用い、製造者(Applied Biosystems, California, USA)の指示に従ってパルス液体高速サイクル(pulsed liquid fast cycles)を用いて実施することができる。
配列同一性又は配列相同性
本発明は、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドのアミノ酸配列とある程度の配列同一性又は配列相同性を有する配列、或いはかかるポリペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列の使用も包含する(以下「相同配列」と記述する)。ここで、「相同体」という用語は、対象アミノ酸配列及び対象ヌクレオチド配列とある相同性を有する実体を意味する。ここで、「相同性」という用語は「同一性」と同等とみなすことができる。
相同アミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列は、機能活性を保持するポリペプチド及び/又は酵素の活性を高めるポリペプチドを提供及び/又はコードすべきである。
本明細書において、相同配列は、対象配列に少なくとも75、85又は90%同一、好ましくは少なくとも95又は98%同一であり得るアミノ酸配列を含むと解釈される。一般に、相同体は、対象アミノ酸配列と同じ活性部位などを含む。相同性は類似性の点から考えることもできるが(すなわち、類似の化学特性/機能を有するアミノ酸残基)、本発明では配列同一性の点から相同性を表現することが好ましい。
本明細書において相同配列は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(対象配列)に少なくとも75、85又は90%同一、好ましくは少なくとも95又は98%同一であり得るヌクレオチド配列を含むと解釈される。一般に、相同体は、対象配列と同じ、活性部位などをコードする配列を含む。相同性は類似性の点から考えることもできるが(すなわち、類似の化学特性/機能を有するアミノ酸残基)、本発明では配列同一性の点から相同性を表現することが好ましい。
相同性比較は、目視によって、又はより一般的には、容易に利用可能な配列比較プログラムを利用して実施することができる。これらの市販コンピュータプログラムは、2個以上の配列間の%相同性を計算することができる。
%相同性は、隣接配列にわたって計算することができる。すなわち、一方の配列はもう一方の配列とアラインメントさせ、一方の配列中の各アミノ酸はもう一方の配列中の対応するアミノ酸と1回に1個の残基が直接比較される。これは、「ギャップのない」アラインメントと呼ばれる。一般に、かかるギャップのないアラインメントは、比較的少数の残基にわたってのみ実施される。
これは極めて単純で一貫性のある方法ではあるが、例えば、それ以外は同一である配列対における1つの挿入又は欠失によって後続のアミノ酸残基がアラインメントから排除され、したがって、全体的なアラインメントを実施したときに%相同性が大きく低下する可能性があることを考慮していない。その結果、ほとんどの配列比較方法は、全体の相同性スコアを不当に減少させずに、起こり得る挿入及び欠失を考慮する最適なアラインメントとなるように設計されている。これは、「ギャップ」を配列アラインメントに挿入して局所的相同性が最大になるようにすることによって実施される。
しかし、これらのより複雑な方法は、同数の同一アミノ酸の場合に、2個の比較配列間の高い関連性を反映してギャップができるだけ少ない配列アラインメントが、ギャップが多い配列アラインメントよりも高いスコアが得られるように、アラインメント中に存在する各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当てる。ギャップの存在に対しては比較的高いコストを課し、ギャップにおける各後続残基に対してはペナルティを減少させる「アフィンギャップコスト」が一般に使用される。これは、最も一般的に使用されるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティが、ギャップのより少ない最適なアラインメントを生じることは言うまでもない。ほとんどのアラインメントプログラムは、ギャップペナルティを変更することができる。しかし、かかるソフトウエアを配列比較に用いるときには、デフォルト値を使用することが好ましい。例えば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージを使用するときには、アミノ酸配列のデフォルトのギャップペナルティは、ギャップに対しては−12であり、各伸長に対しては−4である。
したがって、最大%相同性の計算は、まず、ギャップペナルティを考慮して、最適なアラインメントを作成する必要がある。このようなアラインメントを実行するのに適切なコンピュータプログラムは、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(Devereux et al 1984 Nuc. Acids Research 12 p387)である。配列比較を実施することができる他のソフトウエアの例としては、BLASTパッケージ(Ausubel et al 1999 Short Protocols in Molecular Biology, 4th Ed - Chapter 18参照)、FASTA(Altschul et al 1990 J. Mol. Biol. 403-410)、GENEWORKS比較ツールスイートなどが挙げられるが、これらだけに限定されない。BLASTとFASTAの両方ともオフライン及びオンライン検索で利用可能である(Ausubel et al 1999, pages 7-58 to 7-60参照)。しかし、一部の適用例では、GCG Bestfitプログラムを使用することが好ましい。BLAST 2 Sequencesと呼ばれる新しいツールは、タンパク質及びヌクレオチド配列を比較することもできる(FEMS Microbiol Lett 1999 174(2): 247-50; FEMS Microbiol Lett 1999 177(1): 187-8及びtatiana@ncbi.nlm.nih.gov参照)。
最終%相同性は同一性の点から測定することができるが、アラインメントプロセス自体は全か無かの対比較には一般に基づいていない。その代わり、化学的類似度又は進化距離に基づいて各対ごとの比較に対してスコアが割り当てられるスケールド類似度スコアマトリックス(scaled similarity score matrix)が一般に使用される。通常使用されるかかるマトリックスの例は、BLASTプログラムスイートのデフォルトマトリックスであるBLOSUM62マトリックスである。GCG Wisconsinプログラムは、公開デフォルト値又はもし提供されていれば個別のシンボル比較表(symbol comparison table)を一般に使用する(さらなる詳細については利用者マニュアルを参照されたい)。一部の適用例では、GCGパッケージの場合には公開デフォルト値を、他のソフトウエアの場合にはBLOSUM62などのデフォルトマトリックスを使用することが好ましい。
或いは、相同性百分率は、CLUSTAL(Higgins DG & Sharp PM (1988), Gene 73(1), 237-244)に類似したアルゴリズムに基づくDNASIS(商標)(Hitachi Software社製)の複数のアラインメント機能を用いて計算することができる。
ソフトウエアが最適なアラインメントを作成した後に、%相同性、好ましくは%配列同一性を計算することが可能になる。ソフトウエアは、一般に、配列比較の一部としてこれを実行し、数値結果を与える。
配列は、サイレントな変化をもたらし機能的に等価な物質を生じるアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を含むこともある。物質の二次結合活性(secondary binding activity)が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性における類似性に基づいて、計画的なアミノ酸置換を実施することができる。例えば、負に帯電したアミノ酸としてはアスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられ、正に帯電したアミノ酸としてはリジン、アルギニンなどが挙げられ、類似した親水性値を有する無電荷極性頭部基を含むアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシンなどが挙げられる。
保存的置換は、例えば下表に従って実施することができる。第2カラムの同じブロックのアミノ酸及び好ましくは第3カラムの同じ行のアミノ酸は互いに置換することができる。
Figure 2010142243
本発明は、起こり得る相同置換(置換と交換は、本明細書ではともに、既存のアミノ酸残基と別の残基を取り替えることを意味する)、すなわち、塩基性残基と塩基性残基、酸性残基と酸性残基、極性残基と極性残基などの同種(like−for−like)置換も包含する。非相同置換、すなわち、1クラスの残基から別のクラスの残基への非相同置換、或いはオルニチン(以後、Zと記述する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以後、Bと記述する)、ノルロイシンオルニチン(以後、Oと記述する)、ピリイルアラニン(pyriylalanine)、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、フェニルグリシンなどの人為的なアミノ酸の介在も含む非相同置換も起こることがある。
交換は、人為的(unnatural)アミノ酸によっても成されうる。
変異体アミノ酸配列は、グリシン、β−アラニン残基などのアミノ酸スペーサーに加えて、メチル、エチル、プロピル基などのアルキル基を含めて、配列の任意の2個のアミノ酸残基の間に挿入することができる適切なスペーサー基を含むことができる。さらに別の形の変異は、1個又は複数のペプトイド型アミノ酸残基の存在を含み、当業者には十分知られている。不確かさを回避するために、「ペプトイド型」は、α−炭素置換基が残基のα−炭素ではなく窒素原子上にある変異体アミノ酸残基を意味するために使用される。ペプトイド型ペプチドを調製する方法は当分野、例えば、Simon RJ et al., PNAS (1992) 89(20), 9367-9371及びHorwell DC, Trends Biotechnol. (1995) 13(4), 132-134において公知である。
本発明に使用されるヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、合成又は改変ヌクレオチドをその中に含むことができる。オリゴヌクレオチドに対するいくつかの異なる改変タイプが当分野で知られている。これらの改変は、メチルホスホネート骨格及びホスホロチオエート骨格並びに/或いは分子の3’末端及び/又は5’末端におけるアクリジン鎖又はポリリジン鎖の付加を含む。本発明では、本明細書に記載されるヌクレオチド配列は、当分野で利用可能な任意の方法によって改変できることを理解されたい。かかる改変は、ヌクレオチド配列のインビボでの活性を高め又は寿命を延ばすために実施することができる。
本発明は、本明細書に考察される配列又は任意の誘導体、その断片若しくは誘導体に相補的であるヌクレオチド配列の使用も包含する。配列がその断片に相補的である場合には、その配列をプローブとして使用して他の生物などにおける類似のコード配列を特定することができる。
本発明の配列に100%相同ではないが、本発明の範囲内にあるポリヌクレオチドは、いくつかの方法で得ることができる。本明細書に記載される配列の他の変異体は、例えば、ある範囲の個体、例えば、異なる集団からの個体で構成されるDNAライブラリを探索することによって得ることができる。また、他のウイルス/細菌又は細胞の相同体、特に哺乳動物細胞(例えばラット、マウス、ウシ及び霊長類細胞)中にある細胞相同体を得ることができ、かかる相同体及びその断片は、一般に、本明細書の配列リストに示される配列と選択的にハイブリッド形成することができる。かかる配列は、他の動物種から作製されたcDNAライブラリ又はゲノムDNAライブラリを探索することによって、また、添付された配列リスト中の配列のいずれか1つの全部又は一部を含むプローブを用いて中度から高度の厳密性の条件下でかかるライブラリを探索することによって、得ることができる。本発明のポリペプチド又はヌクレオチド配列の種相同体及び対立遺伝子変異体を得るために、類似の考察が適用される。
変異体及び系統/種相同体は、本発明の配列内の保存アミノ酸配列をコードする変異体及び相同体内の配列を標的にするように設計されたプライマーを使用した縮重PCRによって得ることもできる。保存配列は、例えば、いくつかの変異体/相同体から得られるアミノ酸配列をアラインメントさせることによって予測することができる。配列アラインメントは、当分野で公知のコンピュータソフトウエアを使用して実施することができる。例えば、GCG Wisconsin PileUpプログラムが広く用いられる。
縮重PCRに使用されるプライマーは、1個又は複数の縮重位置を含み、既知の配列に対する単一配列プライマーを用いて配列をクローニングするために使用される厳密性よりも低い厳密性の条件で使用される。
或いは、かかるポリヌクレオチドは、特徴の明らかな配列の部位特異的変異誘発によって得ることができる。これは、例えば、ポリヌクレオチド配列が発現される特定の宿主細胞に対してコドン優先度を最適化するためにサイレントなコドン配列変化が必要な場合に有用となり得る。制限ポリペプチド認識部位を導入するために、或いはポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特性又は機能を変えるために、別の配列変化が望まれる場合もある。
本発明のポリヌクレオチド(ヌクレオチド配列)を使用して、プライマー、例えばPCRプライマー、選択的増幅反応用プライマー、プローブ、例えば放射性又は非放射性標識を用いて従来の手段によって明示用標識(revealing label)で標識されたプローブを作製することができ、或いはこのポリヌクレオチドをベクターにクローン化することができる。かかるプライマー、プローブ及び他の断片は、少なくとも15、好ましくは少なくとも20、例えば、少なくとも25、30又は40ヌクレオチド長であり、本明細書において使用される本発明のポリヌクレオチドという用語によってやはり包含される。
本発明によるDNAポリヌクレオチド、プローブなどのポリヌクレオチドは、組換え、合成又は当業者に利用可能なあらゆる手段によって作製することができる。これらは、標準技術によってクローン化することもできる。
一般に、プライマーは、所望の核酸配列を1回に1個のヌクレオチドで段階的に製造することを含めた合成手段によって作製される。自動化技術を用いてこれを実施する技術は、当分野で容易に利用することができる。
より長鎖のポリヌクレオチドは、一般に、組換え手段、例えば、PCR(polymerase chain reaction)クローニング技術を用いて作製される。PCRクローニング技術は、クローン化が求められる脂質ターゲティング配列領域に隣接する1対のプライマー(例えば、約15から30ヌクレオチド)を作製すること、そのプライマーを動物又はヒト細胞から得られるmRNA又はcDNAと接触させること、前記所望領域の増幅をもたらす条件下でポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、増幅断片を(例えば、アガロースゲル上で反応混合物を精製することによって)単離すること及び増幅DNAを回収することを含む。プライマーは、増幅DNAを適切なクローニングベクターにクローン化することができるように、適切な制限酵素認識部位を含むように設計することができる。
ハイブリッド形成法
本発明は、本発明の配列に相補的である配列、或いは本発明の配列又はそれに相補的である配列とハイブリッド形成可能である配列も包含する。
本明細書では「ハイブリッド形成法」という用語は、「核酸の鎖が塩基対形成によって相補鎖と連結されるプロセス」及びPCR(polymerase chain reaction)技術において実施される増幅プロセスを含むものとする。
本発明は、本明細書に考察される対象配列又は任意の誘導体、その断片若しくは誘導体に相補的である配列とハイブリッド形成可能であるヌクレオチド配列の使用も包含する。
本発明は、本明細書で考察されるヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な配列に相補的である配列も包含する。
ハイブリッド形成条件は、Berger and Kimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, San Diego CA)に教示されたようにヌクレオチド結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、以下に説明される規定の「厳密性」を与えるものである。
最大の厳密性は、一般に、約Tm−5℃(プローブのTmよりも5℃低温)で得られ、高度の厳密性はTmよりも約5℃から10℃低温、中度の厳密性はTmよりも約10℃から20℃低温、低度の厳密性はTmよりも約20℃から25℃低温で得られる。当業者には理解されるように、最大の厳密性のハイブリッド形成法は、同一ヌクレオチド配列を特定又は検出するために使用することができ、中度(又は低度)の厳密性のハイブリッド形成法は、類似又は関係するポリヌクレオチド配列を特定又は検出するために使用することができる。
本発明は、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と高度の厳密性条件又は中度の厳密性条件下でハイブリッド形成可能である配列に相補的な配列を包含することが好ましい。
より好ましくは、本発明は、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と高度の厳密性条件下(例えば、65℃及び0.1xSSC{1xSSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na pH7.0})でハイブリッド形成可能である配列に相補的な配列を包含する。
本発明は、(本明細書で考察されるヌクレオチド配列の相補的配列も含めて)本明細書で考察されるヌクレオチド配列とハイブリッド形成することができるヌクレオチド配列にも関する。
本発明は、(本明細書で考察されるヌクレオチド配列の相補的配列も含めて)本明細書で考察されるヌクレオチド配列とハイブリッド形成することができる配列に相補的であるヌクレオチド配列にも関する。
本明細書で考察されるヌクレオチド配列と中度から最大の厳密性条件下でハイブリッド形成することができるポリヌクレオチド配列も本発明の範囲内に含まれる。
好ましい態様においては、本発明は、本明細書で考察されるヌクレオチド配列又はその補体と厳密な条件下(例えば、50℃及び0.2xSSC)でハイブリッド形成することができるヌクレオチド配列を包含する。
より好ましい態様においては、本発明は、本明細書で考察されるヌクレオチド配列又はその補体と高度の厳密性条件下(例えば、65℃及び0.1xSSC)でハイブリッド形成することができるヌクレオチド配列を包含する。
ポリペプチドの発現
本発明に使用されるヌクレオチド配列又は本明細書に定義される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、複製可能な組換えベクターに組み込むことができる。このベクターを使用して、適合した宿主細胞中で、且つ/又は適合した宿主細胞から、ヌクレオチド配列を複製し、ポリペプチドの形で発現させることができる。発現は、プロモーター/エンハンサー及び他の発現調節シグナルを含む調節配列を用いて制御することができる。原核生物プロモーター及び真核細胞中で機能するプロモーターを使用することができる。組織特異的又は刺激特異的プロモーターを使用することができる。上記2種類以上の異なるプロモーターに由来する配列要素を含むキメラプロモーターを使用することもできる。
ヌクレオチド配列の発現によって宿主組換え細胞によって産生されるポリペプチドは、使用される配列及び/又はベクターに応じて分泌されても、細胞内に含まれてもよい。コード配列は、特定の原核細胞膜又は真核細胞膜を通って物質コード配列(substance coding sequence)の分泌を誘導するシグナル配列を用いて設計することができる。
発現ベクター
「発現ベクター」という用語は、インビボ又はインビトロでの発現が可能な構築体を意味する。
発現ベクターは、生物のゲノム中に組み込まれることが好ましい。「組み込む」という用語は、ゲノム中への安定な組み込みを好ましくは包含する。
本発明のヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列はベクター中に存在することができ、そのベクター中でヌクレオチド配列は、制御配列がヌクレオチド配列の発現を適切な宿主生物によってもたらすことができるように、制御配列に作動可能に結合される。すなわち、このベクターは発現ベクターである。
本発明のベクターは、以下に示される適切な宿主細胞に形質転換されて、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドを発現することができる。
ベクター、例えばプラスミド、コスミド、ウイルス又はファージベクターの選択は、それが導入される宿主細胞によって決まることが多い。
ベクターは、抗生物質抵抗性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン抵抗性を与える遺伝子などの1個又は複数の選択可能な標識遺伝子を含むことができる。或いは、選択は、(国際公開第91/17243号に記載された)同時形質転換によって実施することができる。
ベクターは、インビトロで、例えばRNAの産生に使用することができ、又は宿主細胞に形質移入し、又は宿主細胞を形質転換するのに使用することができる。
したがって、さらなる実施形態においては、本発明は、複製可能なベクター中にヌクレオチド配列を導入し、そのベクターを適合性宿主細胞に導入し、そのベクターの複製をもたらす諸条件下でその宿主細胞を増殖させることによって、本発明のヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を作製する方法を提供する。
ベクターは、さらに、当該宿主細胞中でベクターを複製することができるヌクレオチド配列を含むことができる。かかる配列の例は、プラスミドpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1及びpIJ702の複製開始点である。
制御配列
一部の適用例においては、本発明に使用されるヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、選択された宿主細胞などによって、ヌクレオチド配列の発現を可能にする制御配列に作動可能に結合することができる。例として、本発明は、かかる制御配列に作動可能に結合した本発明のヌクレオチド配列を含むベクターを包含する。すなわち、このベクターは発現ベクターである。
「作動可能に結合され」という用語は、記述された成分が意図したように機能できる関係にある近位を指す。コード配列に「作動可能に結合され」る制御配列は、調節配列に適合した諸条件下でコード配列が発現されるように連結される。
「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー及び他の発現調節シグナルを含む。
「プロモーター」という用語は、当技術分野の通常の意味で使用され、例えばRNAポリメラーゼ結合部位である。
本明細書に規定される具体的諸特性を有する酵素をコードするヌクレオチド配列の発現増大は、異種調節領域、例えばプロモーター領域、分泌リーダー領域及びターミネーター領域を選択することによって実施することもできる。
本発明のヌクレオチド配列は、少なくともプロモーターに作動可能に結合できることが好ましい。
細菌、真菌又は酵母宿主中でヌクレオチド配列の転写を誘導するのに適切なプロモーターの例は、当分野で周知である。
構築体
「構築体」という用語は、「抱合体」、「カセット」、「ハイブリッド」などの用語と同義であり、プロモーターに直接又は間接的に結合し、本発明によって使用される、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。間接的な結合の例は、プロモーターと本発明のヌクレオチド配列の間に介在するSh1−イントロン、ADHイントロンなどのイントロン配列などの適切なスペーサー基の提供である。直接又は間接的結合を含む、本発明に関係する「融合」という用語でも同じことが当てはまる。これらの用語は、野生型遺伝子プロモーターを通常伴うタンパク質をコードするヌクレオチド配列の天然の組み合わせを、それらがどちらも天然環境にあるときに包含しない場合もある。
構築体は、さらに、遺伝子構築体の選択を可能にするマーカーを含み、発現させることもできる。
一部の適用例では、構築体は、プロモーターに作動可能に結合された、少なくとも本発明のヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことが好ましい。
宿主細胞
本発明に関係する「宿主細胞」という用語は、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドの組換え産生に使用される上記発現ベクターのどちらかを含む任意の細胞を含む。
したがって、本発明の別の実施形態は、本発明のヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドを発現するヌクレオチド配列で形質転換された、又はそれを形質移入した宿主細胞を提供する。これらの細胞は、前記ベクターに適合するように選択され、例えば、原核(例えば、細菌)細胞、真菌細胞、酵母細胞又は植物細胞とすることができる。宿主細胞は、ヒト細胞ではないことが好ましい。
適切な細菌宿主生物の例はグラム陰性菌又はグラム陽性菌である。
本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の性質及び/又は発現タンパク質のさらなるプロセシングの望ましさに応じて、酵母、他の真菌などの真核生物宿主が好ましいことがある。一般に、酵母細胞は、操作が容易であるので、真菌細胞よりも好ましい。しかし、一部のタンパク質は、酵母細胞からうまく分泌されないか、又は適切に処理されない場合がある(例えば、酵母における過剰糖鎖形成(hyperglycosylation))。これらの場合には、異なる真菌宿主生物を選択すべきである。
酵母、真菌、植物宿主細胞などの適切な宿主細胞を使用すると、本発明の組換え発現産物に対して最適な生物活性を付与するために必要となることがある翻訳後修飾(例えばミリストイル化、グリコシル化、切断、投石(lapidation)及びチロシン、セリン又はトレオニンリン酸化)が可能になる。
宿主細胞は、プロテアーゼ欠乏又はプロテアーゼマイナス系統とすることができる。
生物
本発明に関係する「生物」という用語は、本発明によるヌクレオチド配列又は本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又はそれらから得られる生成物を含むことができるあらゆる生物を含む。
適切な生物としては、原核生物、真菌、酵母又は植物を挙げることができる。
本発明に関係する「トランスジェニック生物」という用語は、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又はそれから得られる生成物を含み、且つ/又はプロモーターが、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のその生物内での発現を可能にする、あらゆる生物を含む。ヌクレオチド配列は、生物のゲノム中に組み込まれることが好ましい。
「トランスジェニック生物」という用語は、その天然環境にあるその未変性プロモーターの制御下にあるときのやはりその天然環境にある未変性ヌクレオチドコード配列を包含しない。
したがって、本発明のトランスジェニック生物としては、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、本明細書に規定される構築体、本明細書に規定されるベクター、本明細書に規定されるプラスミド、本明細書に規定される細胞又はそれらの産物のいずれか1個又は組み合わせを含む生物が挙げられる。例えば、トランスジェニック生物は、異種プロモーターの制御下にある、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むこともできる。
宿主細胞/生物の形質転換
先に示したように、宿主生物は、原核生物又は真核生物とすることができる。適切な原核生物宿主の例としては、大腸菌及びバチルス サブチリスが挙げられる。
原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当分野ではこれまでたくさん記述されており、例えば、Sambrook et al (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照されたい。原核生物宿主が使用される場合には、ヌクレオチド配列は、イントロンの除去などによって形質転換前に適切に改変する必要があることがある。
別の実施形態においては、トランスジェニック生物は酵母とすることができる。
糸状菌細胞は、既知の方法によるプロトプラスト形成及びプロトプラストの形質転換、それに続く細胞壁の再生を含むプロセスなど当分野で既知の様々な方法を用いて形質転換することができる。宿主微生物としてアスペルギルスを使用することは、EP 0 238 023に記載されている。
別の宿主生物は植物とすることができる。植物の形質転換に使用される一般技術の総説は、Potrykus (Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol [1991] 42: 205-225)及びChristou (Agro-Food-Industry Hi-Tech March/April 1994 17-27)の論文にある。植物の形質転換に関するさらなる教示は、欧州特許公開第0449375号にある。
真菌、酵母及び植物の形質転換に関する全般的な教示を以下の項に示す。
形質転換細菌
宿主生物は、ストレプトミセス、バチルス サブチリス、大腸菌などの細菌とすることができる。大腸菌中での異種発現の適切な方法は、国際公開第04/064537号に開示されている。バチルス中での異種発現の適切な方法は、国際公開第02/214490号に開示されている。適切な細菌宿主生物の例は、バチルス サブチリス、バチルス リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス レンタス(Bacillus lentus)、バチルス ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス ロータス(Bacillus lautus)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)及びバチルス チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)を含めたバチルス科、ストレプトミセス ムリナス(Streptomyces murinus)などのストレプトミセス種、ラクトコッカス ラクチスなどのラクトコッカス種、ラクトバチルス ロイテリ(Lactobacillus reuteri)を含めたラクトバチルス種、ロイコノストック種、ペジオコッカス種及びストレプトコッカス種を含めた乳酸菌種などのグラム陽性菌種である。或いは、大腸菌を含めた腸内細菌科又はシュードモナス科に属するグラム陰性菌種の系統を宿主生物として選択することができる。
形質転換真菌
宿主生物は、糸状菌などの真菌とすることができる。適切なかかる宿主の例としては、サーモマイセス(Thermomyces)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、ムコール(Mucor)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、トリコデルマ(Trichoderma)属などに属するあらゆるメンバーが挙げられる。
糸状真菌の形質転換に関する教示は、US−A−5741665に概説されており、糸状真菌の形質転換及び真菌培養の標準技術が当分野で周知であることが記載されている。N.クラッサ(N. crassa)に適用された技術の広範な総説は、例えば、Davis and de Serres, Methods Enzymol (1971) 17A: 79-143にある。
糸状菌の形質転換に関するさらなる教示は、US−A−5674707に概説されている。
一態様においては、宿主生物は、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)などのアスペルギルス属とすることができる。
本発明によるトランスジェニックアスペルギルスは、例えば、Turner G. 1994 (Vectors for genetic manipulation. In: Martinelli S.D., Kinghorn J.R. (Editors) Aspergillus: 50 years on. Progress in industrial microbiology vol 29. Elsevier Amsterdam 1994. pp. 641-666)の教示に従って調製することもできる。
糸状菌における遺伝子発現は、Punt et al. (2002) Trends Biotechnol 2002 May; 20(5): 200-6, Archer & Peberdy Crit Rev Biotechnol (1997) 17(4): 273-306に概説されている。
形質転換酵母
別の実施形態においては、トランスジェニック生物は酵母とすることができる。
酵母における異種遺伝子発現の原理の総説は、例えば、Methods Mol Biol (1995), 49: 341-54及びCurr Opin Biotechnol (1997) Oct; 8(5): 554-60にある。
この点で、サッカロミセス セレビシ(Saccharomyces cerevisi)種又はピキア パストリス(Pichia pastoris)種(FEMS Microbiol Rev (2000 24(1): 45-66参照)などの酵母は、異種遺伝子発現用ビヒクルとして使用することができる。
サッカロミセス セレビシエにおける異種遺伝子発現、及び遺伝子産物の分泌の原理の総説は、E Hinchcliffe E Kenny (1993, "Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes", Yeasts, Vol 5, Anthony H Rose and J Stuart Harrison, eds, 2nd edition, Academic Press Ltd.)にある。
酵母の形質転換の場合には、いくつかの形質転換プロトコールが開発されている。例えば、本発明によるトランスジェニックサッカロミセスは、Hinnen et al., (1978, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 75, 1929)、Beggs, J D (1978, Nature, London, 275, 104)及びIto, H et al (1983, J Bacteriology 153, 163-168)の教示に従って調製することができる。
形質転換酵母細胞は、栄養要求性マーカー優性抗生物質抵抗性マーカーなどの様々な選択マーカーを使用して選択することができる。
適切な酵母宿主生物は、ピキア種、ハンゼヌラ種、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ヤロウイニア(Yarrowinia)種、S.セレビシエを含めたサッカロミセス種又はシゾサッカロミセ ポンベ(Schizosaccharomyce pombe)を含めたシゾサッカロミセ(Schizosaccharomyce)種から選択される酵母種など、ただしこれらだけに限定されない生物工学的に関連する酵母種から選択することができる。
メチロトローフの酵母種ピキア パストリスの系統を宿主生物として使用することができる。
一実施形態においては、宿主生物は、(国際公開第01/39544号に記載された)H.ポリモルファ(H. polymorpha)などのハンゼヌラ種とすることができる。
形質転換植物/植物細胞
本発明に適切な宿主生物は植物とすることができる。一般技術の総説は、Potrykus (Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol [1991] 42: 205-225)及びChristou (Agro-Food-Industry Hi-Tech March/April 1994 17-27)による論文又は国際公開第01/16308号にある。トランスジェニック植物は、例えば、高レベルの植物ステロールエステル及び植物スタノールエステルを産生することができる。
したがって、本発明は、本明細書に規定される脂質アシル基転移酵素を用いて(特に、本明細書に規定される脂質アシル基転移酵素を含む発現ベクター又は構築体を用いて)植物細胞を形質転換するステップと、その形質転換植物細胞から植物を成長させるステップとを含む、高レベルの植物ステロールエステル及び植物スタノールエステルを含むトランスジェニック植物を生成する方法にも関する。
分泌
ポリペプチドは、発現宿主から、酵素をより容易に回収することができる培地中に分泌されることが望ましいことが多い。本発明によれば、分泌リーダー配列は、所望の発現宿主に基づいて選択することができる。ハイブリッドシグナル配列は、本発明の状況でも使用することができる。
異種分泌リーダー配列の典型的な例は、真菌のAG(amyloglucosidase)遺伝子(例えば、アスペルギルス由来のglaA−18及び24アミノ酸)、a因子遺伝子(酵母、例えばサッカロミセス、クルイベロミセス及びハンゼヌラ)又はα−アミラーゼ遺伝子(バチルス)に由来する分泌リーダー配列である。
検出
アミノ酸配列の発現を検出し、測定する様々なプロトコールが当分野で知られている。例としては、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)、RIA(radioimmunoassay)及びFACS(fluorescent activated cell sorting)が挙げられる。
多種多様な標識及び抱合(conjugation)技術が当業者に知られており、様々な核酸及びアミノ酸アッセイに使用することができる。
Pharmacia Biotech (Piscataway, NJ)、Promega (Madison, WI)、US Biochemical Corp (Cleveland, OH)など数社が、これらの手順用の市販キット及びプロトコールを提供している。
適切なレポーター分子又は標識としては、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤又は発色剤並びに基質、補因子、阻害剤、磁性粒子などが挙げられる。かかる標識の使用を教示している特許としては、US−A−3,817,837、US−A−3,850,752、US−A−3,939,350、US−A−3,996,345、US−A−4,277,437、US−A−4,275,149及びUS−A−4,366,241が挙げられる。
また、組換え免疫グロブリンは、US−A−4,816,567に示されたように製造することができる。
融合タンパク質
本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドは、融合タンパク質として生成され、例えば、その抽出及び精製に役立てることができる。融合タンパク質パートナーの例としては、(GST(glutathione-S-transferase)、6xHis、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性化ドメイン)、β−ガラクトシダーゼなどが挙げられる。融合タンパク質パートナーと目的タンパク質配列の間にタンパク質分解性切断部位を入れて、融合タンパク質配列の除去を可能にすることが好都合な場合もある。融合タンパク質は、タンパク質配列の活性を妨げないことが好ましい。
大腸菌における遺伝子融合発現系は、Curr. Opin. Biotechnol. (1995) 6(5): 501-6に概説されている。
本発明の別の実施形態においては、本明細書に規定される具体的諸特性を有するポリペプチドのアミノ酸配列を異種配列に連結させて、融合タンパク質をコードすることができる。例えば、物質活性に影響を及ぼすことができる薬剤についてペプチドライブラリをスクリーニングするために、市販抗体によって認識される異種エピトープを発現するキメラ物質をコードすることが有用な場合がある。
単なる例として以下の図及び実施例を参照して、本発明を以下に説明する。
1IVN上でのアエロモナス ヒドロフィラGDSxリパーゼのモデリング
アエロモナス ヒドロフィラGDSXリパーゼアミノ酸配列(P10480)とエシェリキア コリ(Escherichia coli)チオエステラーゼアミノ酸配列(1IVN)及びアスペルギルス アキュレアタス(Aspergillus aculeatus)ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼアミノ酸配列(1DEO)とのアラインメントは、PFAMデータベースからFASTA形式で得られた。P10480と1IVNのアラインメントは、1IVN.PDB結晶構造座標ファイル図52)と一緒に自動3D構造モデラー( HYPERLINK "http://www.expasy.org" www.expasy.orgのSWISS−MODELLERサーバー)に入力された。得られたP10480モデルは、(www.expasy.org/spdbv/から得られる)’Deep View Swiss-PDBビューア’を用いて1IVN.PDB及び1DEO.PDBの結晶構造座標に構造的にアラインメントさせた(図53)。PFAMデータベースから得られたアミノ酸アラインメント(アラインメント1−(図55))は、1DEO.PDB及び1IVN.PDBの構造アラインメントに基づいて改変された。この別のアミノ酸アラインメントはアラインメント2(図56)と呼ばれる。
1IVN.PDB構造はグリセリン分子を含む。この分子は、触媒作用残基の付近にあるので活性部位中に存在すると考えられる。したがって、選択は、活性部位に近く、そのために基質結合、生成物放出及び/又は触媒作用に影響を及ぼす可能性がある残基から行うことができる。1IVN.PDB構造においては、活性部位中のグリセリン分子の中心炭素原子上に中心を有する10Åの球内の全アミノ酸が選択された(アミノ酸セット1)(図53及び図54参照)。
以下のアミノ酸がP10480配列から選択された;(1)アラインメント1におけるアミノ酸セット1に対応するP10480中の全アミノ酸、(2)アラインメント2におけるアミノ酸セット1に対応するP10480中の全アミノ酸、(3)P10480モデルと1IVN中のグリセリン分子から12Å以内のP10480モデル中の1IVN全アミノ酸との重なり(overlay)から。全3グループは組み合わされてアミノ酸セット2を与える。
配列P10480は「AAG09804.1 GI:9964017グリセロリン脂質−コレステロールアシル基転移酵素[アエロモナス サルモニシダ]」とアラインメントさせ、アミノ酸セット2に対応するAAG09804中の残基が、アミノ酸セット3を得るために選択された。
セット1、2、及び3
アミノ酸セット1:
アミノ酸セット1(これらは1IVN中のアミノ酸であることに留意されたい−図57及び図58)。
Gly8、Asp9、Leu11、Ser12、Tyr15、Gly44、Asp45、Thr46、Glu69、Leu70、Gly71、Gly72、Asn73、Asp74、Gly75、Leu76、Gln106、Ile107、Arg108、Leu109、Pro110、Tyr113、Phe121、Phe139、Phe140、Met141、Tyr145、Met151、Asp154、His157、Gly155、Ile156、Pro158
GDSx、触媒作用残基などの高度に保存されたモチーフは、セット1から除外された(下線を引いた残基)。不確かさを回避するために、セット1は、1IVNモデルの活性部位中のグリセリンの中心炭素原子の10Å以内にあるアミノ酸残基を規定する。
アミノ酸セット2:
アミノ酸セット2(アミノ酸の番号付与は、P10480成熟配列中のアミノ酸を参照したものであることに留意されたい)
Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289及びVal290。
セット2と比較したセット1中の選択残基の表:
Figure 2010142243
Figure 2010142243
アミノ酸セット3:
アミノ酸セット3はセット2と同一であるが、アエロモナス サルモニシダ(配列番号28)コード配列を指す。すなわち、アミノ酸残基番号は、シグナル配列を含むタンパク質(配列番号28)と比較した成熟タンパク質(配列番号2)中のアミノ酸番号付与の差を反映して、セット3が18大きい。
アエロモナス サルモニシダGDSX(配列番号28)とアエロモナス ヒドロフィラGDSX(配列番号26)の成熟タンパク質は5アミノ酸だけ異なる。これらは、Thr3Ser、Gln182Lys、Glu309Ala、Ser310Asn、Gly318−である。サルモニシダ残基は最初に、ヒドロフィラ残基は最後に記載されている(図59)。ヒドロフィラタンパク質は、わずか317アミノ酸長であり、318位の残基を欠いている。アエロモナス サルモニシダGDSXは、ガラクト脂質基質などの極性脂質に対してアエロモナス ヒドロフィラタンパク質よりもかなり高い活性を有する。全5個のアミノ酸位置に対して部位の走査が実施された。
アミノ酸セット4:
アミノ酸セット4はS3、Q182、E309、S310及び−318である。
アミノ酸セット5:
F13S、D15N、S18G、S18V、Y30F、D116N、D116E、D157 N、Y226F、D228N Y230F。
アミノ酸セット6:
アミノ酸セット6は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn 87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318である。
セット6におけるアミノ酸の番号付与は、P10480(配列番号2)におけるアミノ酸残基を参照したものである。他の配列骨格における対応するアミノ酸は、P10480及び/又は1IVNに対する相同性アラインメント及び/又は構造アラインメントによって求めることができる。
アミノ酸セット7:
アミノ酸セット7は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn 87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318、Y30X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、Y226X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、Y230X(ここで、Xは、A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V又はWから選択される)、S18X(ここで、Xは、A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W又はYから選択される)、D157X(ここで、Xは、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W又はYから選択される)。
セット7におけるアミノ酸の番号付与は、P10480(配列番号2)におけるアミノ酸残基を参照したものである。他の配列骨格における対応するアミノ酸は、P10480及び/又は1IVNに対する相同性アラインメント及び/又は構造アラインメントによって求めることができる)。
結晶構造から二次構造分類(secondary structure classification)を得ることができる。すなわち、各アミノ酸をアルファヘリックス又はベータシートの部分として分類することができる。図57に、1DEO、1IVN及びP10480(データベース アエロモナス ヒドロフィラ)のPFAMアラインメントを示す。配列の各行の下に付記されたのは構造分類である。
PFAMデータベースは、配列同一性が低いタンパク質のアラインメントを含む。したがって、これらのアラインメントはあまり良くない。アラインメントアルゴリズム(HAMMERプロファイル)は保存モチーフを認識するのに適切であるが、このアルゴリズムは詳細なレベルではあまり良くない。したがって、PFAMアラインメントと構造アラインメントとの相違を見出すことは驚くべきことではない。当業者は容易に気づくとおり、構造データに基づいてPFAMアラインメントを改変することができる。重複する構造上の要素をアラインメントさせることができることを意味する。
図55に、1DEO、1IVN及びP10480の最初のPFAMアラインメントを示す。アラインメントに付記されているのは、1DEO及び1IVNの結晶構造から得られる二次構造情報である。図56のアラインメント2は手操作で改変されたアラインメントであり、二次構造要素間の一致が改善される。1DEOとP10480又は1IVNとP10480の間の保存残基に基づいて、アラインメントは、P10480に対しても同様に改変された。配列ブロックを容易に区別するために、アラインメント2における配列識別子はさらにmを有する(1DEOm、1IVNm、P10480m)。
アラインメント3は1と2の混合であり、ブロックごとのアラインメントを与える。
部位走査ライブラリの構築
Stratagene社製Quick Change Multi Site-Directed Mutagenesis Kitを製造者の指示に従って使用した。各ライブラリに対して、1個のNNK又はNNS(ヌクレオチド略語)コドンを有する縮重プライマーが設計された。プライマー設計は、Stratagene社ウェブサイト上で利用可能なツールを用いて実施した。プライマーの品質管理は、プライマーがヘアピン又はプライマー2量体を形成する可能性があるかどうかを分析する標準分析ツールを用いてさらに確認された。
この方法の主概念は以下のとおりである。すなわち、Pfu-Turbo、単一プライマーなどの非鎖置換高忠実度DNAポリメラーゼを用いて、DNAテンプレートを線形増幅するものである。これは、PCR反応の通常の指数増幅プロセスとは対照的である。この線形増幅プロセスによってエラー頻度は確実に低くなる。生成物は、一本鎖非メチル化DNA及び二重鎖半メチル化DNAである。適切な宿主生物からテンプレートが得られる場合には、テンプレートは二重鎖メチル化DNAである。これは、テンプレートDNAが、Dpn Iエンドヌクレアーゼによって、生成物DNAを消化することなく、消化され得ることを意味する。したがって、適切な宿主中にこのDNAを形質転換すると、非変異誘発プラスミドによる形質転換体が極めて低頻度である。
部位走査ライブラリからの勝者の選択
2つの代替手法、すなわち、ライブラリ配列決定とそれに続く一義的なアミノ酸の分析又はライブラリ分析とそれに続く勝者の配列決定が記述される。
勝者選択方法1;ライブラリ配列決定とそれに続く一義的アミノ酸の分析
大腸菌における部位走査ライブラリ/変異体の作製及びB.サブチリスにおける変異体発現に使用される形質転換/発現シャトルベクターは、選択カセットをカナマイシン選択カセットに置換することによってpDP66S、Penninaga et al., (Biochemistry (1995), 3368-3376)から誘導された。P32プロモーターの下流のcgt遺伝子の代わりにアシル基転移酵素変異体遺伝子を挿入するのに使用されたベクター。ベクターは、P32プロモーターを使用してB.サブチリス中でアシル基転移酵素変異体遺伝子を発現させる。
発現ベクターは、Molecular Biological Methods for Bacillus (Ed. C.R. Harwood and S.M. Cutting), 1990. John Wiley & Sons Ltd. Chichester, UK)の第3章に記載されたとおり、形質転換方法を用いてnprE−、aprA−バチルス サブチリスDB104(Kawamura and Doi, J. of Bacteriology Oct 1984, p442-444)に形質転換された。
部位走査ライブラリは、1個のNNKコドンを含む縮重オリゴを用いて構築された。ここで、KはG又はTであり、NはA、C、G又はTである。これは、(「部位走査ライブラリ」としても知られる)NNKプライマーを用いた増幅反応から構築される1セットのクローンが、32個の一義的コドン(4×4×2=32の組み合わせ選択肢)を原則的には含むことを意味する。然るべき偏り(bias due)がないとして、32個のコドンの各々を少なくとも1回選択する確率が95%であるように選択する必要があるクローン数は95である。これは、以下の式を用いて計算することができる。
式1;n={log(1−c)}/{log(1−f)}
式中、nはクローン数であり、cは信頼区間の割合であり、例えば95%信頼区間は0.95の値を有し、99%信頼区間は0.99の割合であり、fは各個々のコドンが発生する頻度であり、NNKプライマーの場合には1/32又は0.03125である。nについて式を解くと94.36又は95個のクローンが得られる。95%信頼区間は低すぎると考えられる場合、或いはライブラリ構築プロセスの1つ又は複数のステップにおいて偏りを回避することができない場合には、より多くのクローンを分析し又は配列決定することに決めることができる。例えば、式1において、nを384、fを1/32又は0.03125と設定すると、信頼区間cは99%よりもはるかに大きい。クローンの60%が同じ変異又は野生型コドンを含む場合でも、363個のクローンは、全32個のコドンを得る信頼度が99%である。このことから、384個のクローンは、32個のコドンの各々を少なくとも1回含む信頼度が99%であると結論することができる。
コロニーPCRを実施した(細菌コロニー又は細菌培養液上でのPCR反応によって細菌内部のプラスミドから断片を増幅し、続いて変異誘発された断片部分の配列を決定するのが確立された手順である。コロニーPCRは、コロニーPCR、配列決定及び配列精製用の(キットとしても知られる)既成の材料の入手性のために、96のセットに対して常法に従って実施することができる。この手順全体は、AGOWA GmbH, Glienicker weg 185, D-12489 Berlin, Germanyなどのいくつかの会社によってサービスとして提供される。
96個の配列反応を解析した後に、96個の配列からなるセットにおいて利用可能である各コドンに対して1個の個々のクローンが選択される。続いて、変異体であるクローンの各々について、カナマイシン50mg/lが補充されたLBブロス5ml(カゼイン酵素消化、10g/l;低ナトリウム酵母エキス、5g/l;塩化ナトリウム、5g/l;不活性錠剤形成助剤(tableting aid)、2g/l)が接種され、33℃で6時間205rpmでインキュベートされた。この培養物0.7mlを使用して、カナマイシン50mg/l及び高マルトースデンプン加水分解物溶液(60g/l)が補充されたSAS基質50ml(K2HPO4、10g/l;MOPS(3-morpholinopropane sulfonic acid)、40g/l;塩化ナトリウム、5g/l;消泡剤(Sin 260)、5滴/l;脱脂大豆粉、20g/l;Biospringer 106(100% dw YE)、20g/l)を接種した。インキュベーションを33℃及び180rpmで40時間続けた後、19000rpmで30分間遠心分離して培養上清を分離した。上清を清浄な管に移し、アッセイに直接使用した。
勝者選択方法2;ライブラリスクリーニングとそれに続く勝者の配列決定
384個のクローンの配列決定を選択することもできるが、それらを分析し改良変異体を選択した後に配列決定することもできる。
かかるいくつかの試料をスクリーニングするときには、いくつかの問題を考慮すべきである。網羅的でなく、1個の基質に対する活性が変化した変異体を選択することは可能であるが、384ウェルマイクロタイタープレートを用いたとしても、384個の培養物間の発現レベル差は相当なものになり得、その結果、バックグラウンドが高くなる。したがって、2つの活性を測定し、比の変化に基づいて勝者を選択することが好ましい方法である。例えば、2つの活性がある比Rを有する場合、存在する酵素の絶対量にかかわらず、2つの活性の比は常にRである。R値の変化は、第2の活性に対して1つの活性を変えた変異を示す。
図60に部位走査ライブラリから得られたデータセットを示す。クローンは、PC(phosphatidyl cholin)及びDGDG(digalactosyl diglyceride)に対する活性についてすべて試験される。R値が変化しない全クローンは、変異していてもいなくても、ある許容誤差をもって直線上に載る。これらのクローンを無視すると、目的とする3個のグループは図61のようになる。
図61のセクション1は、(変異していない)野生型よりもかなり高いRを有するが全DGDG活性がそれよりも低い全クローンを含む。セクション2は、野生型よりも高いR値及びDGDG活性を有するクローンを含む。セクション3は、より高いR値を持たないがかなり高いDGDG又はPC活性を有するクローンを含む。
DGDGに対して高い活性を有する変異体に関心がある場合には、セクション2は最も興味深い変異体を含み、セクション3も目的とする変異体を含む。加水分解活性が大きく増加するセクション3の変異体は、転移酵素活性の減少を伴うことがある。
1つのことが注目に値する。特異性決定残基に命中した場合には、20個の可能なアミノ酸の大部分は極めて異なるR値を生じ得る。しかし、ライブラリが単一のアミノ酸に対して大きな偏りを含む(例えば60%がチロシンである)場合には、これらの変異体はすべて依然として直線上に載る。
384ウェルマイクロタイタープレートにおけるPC及びDGDG活性のアッセイ
出発材料
・EM培地
・形質転換体を含むプレート
・野生型を含むプレート
・384個のプレート
・コロニー採取器(colony picker)
・Waco社製NEFA-Cキット
・384プレート中のPC及びDGDG溶液
パート1−コロニー採取
・EM培地が充填された384プレートにコロニーを採取する
・4個のウェルを抜かし、非変異骨格を含むコロニーでそれらを接種する
・30℃、振とう速度200rpmでo/nを増殖させる
パート2−基質上でのインキュベーション
・o/n増殖プレートを遠心分離する;2500rpm、20分間
・各ウェルから2個の空の384プレートに上清10μlを移す
・12.5mM DGDG 5μlをプレートの一方に添加し、12.5mM PC 5μlをもう一方のプレートに添加する
・両方のプレートを37℃で2時間インキュベートする。最初に振とうして混合し、次いで振とうを停止する
・NEFA C手順を続ける
パート3−NEFA-C手順
・A溶液10μlを添加する
・37℃、300rpmで10分間インキュベートする
・B溶液20μlを添加する
・37℃、300rpmで10分間インキュベートする
・550nmでプレートを読み取る
基質組成−mM
25mM PC eller DGDG
10mM CaCl2
60mM Triton X 100
15mM NaN3
20mM Briton Robinson pH5.0
選択変異体
酵素活性の測定
さまざまな基質に対する酵素活性を測定するために、酵素溶液4μlを基質11μlと一緒に37℃で60分間インキュベートした。続いて、WACO社製NEFA-Cキットを用いて遊離脂肪酸量を測定した。酵素+基質混合物15μlにNEFA溶液A 75μlを添加し、37℃で15分間インキュベートした。続いて、NEFA溶液B 150μlを添加し、15分間インキュベートした。続いて、試料の光学濃度(OD)を550nmで測定した。
対照として、各変異体から、酵素溶液4μlをHEPES緩衝剤11μlと一緒に37℃で60分間インキュベートした。続いて、上述したように遊離脂肪酸量を測定した。この対照試料のOD値を各基質に対する実測ODから差し引いて、補正された活性を得た。
4個の異なる基質が使用された。組成物は、一般に、脂質30mg、50mM HEPES緩衝剤pH7 4.75ml、0.6M CaCl2 42.5μl、10%Triton X-100 H2O2無添加200μlであった。脂質30mgは、PC(phosphatidyl choline)、9:1比のPCとコレステロール、DGDG(digalactosyl diglyceride)又は9:1比のDGDGとコレステロールであった。
改良変異体の選択
PCに対する活性が改善された変異体
PCに対してインキュベートされたときに野生型酵素よりもODが増加した変異体は、ホスホリパーゼ活性が改善された変異体として選択された。
DGDGに対する活性が改善された変異体
DGDGに対してインキュベートされたときに野生型酵素よりもODが増加した変異体は、DGDGに対する活性が改善された変異体として選択された。
DGDGに対する特異性が改善された変異体
DGDGに対する特異性は、DGDGに対する活性とPC(phosphatidylcholine)に対する活性の比である。DGDGとPCの比が野生型よりも高い変異体は、DGDGに対する特異性が改善された変異体として選択された。
アシル供与体としてPCを用いて転移酵素活性が改善された変異体
PCに対して及びPCとコレステロールに対して酵素をインキュベートするときに形成される遊離脂肪酸量の差は、加水分解活性量に対する転移酵素活性量の指標である。転移酵素活性は、遊離脂肪酸の形成を生じない。転移酵素優先度は、基質としてPCが使用されたときに形成される遊離脂肪酸と、基質としてPCとコレステロールが使用されたときに形成される遊離脂肪酸との比である。転移酵素優先度の増加を示す変異体及びPCに対して野生型活性よりも高い変異体は、改善された転移酵素活性を有するとして選択された。
アシル供与体としてDGDGを用いて転移酵素活性が改善された変異体
DGDG及びDGDGとコレステロールに対して酵素をインキュベートするときに形成される遊離脂肪酸量の差は、加水分解活性量に対する転移酵素活性量の指標である。転移酵素活性は、遊離脂肪酸の形成を生じない。転移酵素優先度は、基質としてDGDGが使用されたときに形成される遊離脂肪酸と、基質としてDGDGとコレステロールが使用されたときに形成される遊離脂肪酸との比である。転移酵素優先度の増加を示す変異体及びDGDGに対して野生型活性よりも高い変異体は、改善された転移酵素活性を有するとして選択された。
選択変異体
上記4つの選択判定基準の各々に対していくつかの変異体が選択された。この実施例における「野生型」酵素はA.サルモニシダ(配列番号28)である。
PCに対する活性が改善された変異体:
Figure 2010142243
DGDGに対する活性が改善された変異体:
Figure 2010142243
DGDGに対する特異性が改善された変異体:
Figure 2010142243
アシル供与体としてPCを用いて転移酵素活性が改善された変異体:
Figure 2010142243
アシル供与体としてDGDGを用いて転移酵素活性が改善された変異体:
Figure 2010142243
転移酵素アッセイ リン脂質:コレステロール
リン脂質はDGDGで置換されて、ガラクト脂質からの転移酵素アッセイを提供することができる。他の受容体、例えば、グリセリン、グルコース、ヒドロキシ酸、タンパク質又はマルトースも同じアッセイに使用することができる。
ホスファチジルコリン(Avanti #441601):コレステロール(Sigma C8503)9:1 300mgをWheatonガラスに計量する。50mM HEPES緩衝剤pH7.0 10mlを添加し、40℃で撹拌して基質を分散させる。
基質0.5mlを4mlバイアルに移し、40℃の加熱ブロック中に置く。転移酵素溶液0.050mlを添加し、水0.050mlを含む対照も同様に分析する。反応混合物を40℃で4時間撹拌する。次いで、試料を凍結し、凍結乾燥させ、GLCによって分析する。
計算:
GLC分析から、遊離脂肪酸とコレステロールエステルの含量を計算する。
酵素活性は以下のとおり計算される。
%転移酵素活性=(Δ%コレステロールエステル/(Mvステロールエステル)×100) / (Δ%コレステロールエステル/(Mvコレステロールエステル)+Δ%脂肪酸/(Mv脂肪酸))
%加水分解活性=(Δ%脂肪酸/(Mv脂肪酸)×100) / (Δ%コレステロールエステル/(Mvコレステロールエステル)+Δ%脂肪酸/(Mv脂肪酸))
転移酵素/加水分解(Hydrolyse)比=%転移酵素活性/%加水分解活性
ここで、
Δ%コレステロールエステル=%コレステロールエステル(試料)−%コレステロールエステル(対照)
Δ%脂肪酸=%脂肪酸(試料)−%脂肪酸(対照)
転移酵素アッセイ ガラクト脂質:コレステロール。
DGDG(digalactosyldiglyceride)(純度>95ガラクト脂質、使用されるDGDGはコムギ脂質から精製される。Sigma社製DGDG D4651も適切に使用することができる):コレステロール(Sigma社製)9:1 300mgをWheatonガラスに計量する。50mM HEPES緩衝剤pH7.0 10mlを添加し、40℃で撹拌して基質を分散させる。
基質0.5mlを4mlバイアルに移し、40℃の加熱ブロック中に置く。転移酵素溶液0.050mlを添加し、水0.050mlを含む対照も同様に分析する。反応混合物を40℃で4時間撹拌する。次いで、試料を凍結し、凍結乾燥させ、GLCによって分析する。
計算:
GLC分析から、遊離脂肪酸とコレステロールエステルの含量を計算する。
酵素活性は以下のとおり計算される。
%転移酵素活性=(Δ%コレステロールエステル/(Mvステロールエステル)×100) / (Δ%コレステロールエステル/(Mvコレステロールエステル)+Δ%脂肪酸/(Mv脂肪酸))
%加水分解活性=(Δ%脂肪酸/(Mv脂肪酸)×100) / (Δ%コレステロールエステル/(Mvコレステロールエステル)+Δ%脂肪酸/(Mv脂肪酸))
転移酵素/加水分解比=%転移酵素活性/%加水分解活性
ここで、
Δ%コレステロールエステル=%コレステロールエステル(試料)−%コレステロールエステル(対照)
Δ%脂肪酸=%脂肪酸(試料)−%脂肪酸(対照)
アエロモナス ヒドロフィラの脂質アシル基転移酵素変異体(配列番号26)
変異は、Stratagene, La Jolla, CA92037, USA社製QuikChange(登録商標)Multi-Site Directed Mutagenesisキットを用いて、Stratagene社の指示に従って導入された。
Tyr256における変異は、リン脂質に対する活性を増大させた。
Tyr256及びTyr260における変異は、ガラクト脂質に対する活性を増大させた。
Tyr265における変異は、アシル供与体としてのガラクト脂質と一緒に転移酵素活性を増大させた。
番号は、以下の配列上の位置を示す:そのアミノ酸配列が配列番号26で示されるアエロモナス ヒドロフィラ由来の酵素。ヌクレオチド配列は配列番号27で示される。
アエロモナス サルモニシダ由来のGCAT(glycerophospholipid:cholesterol acyltransferase)の変異体のスクリーニング
ホスファチジルコリンよりもジガラクトシルジグリセリドに対して良好な活性を有する変異体を選択する目的で、アエロモナス サルモニシダ由来のGCAT(glycerophospholipid:cholesterol acyltransferase)の点変異から得られる変異体を、供与体としてホスファチジルコリン又はジガラクトシルジグリセリド及び受容体としてコレステロールを用いて転移酵素活性についてスクリーニングした。
GCAT変異体を、供与体としてDG(digalactosyldiglyceride)及びPC(phosphatidylcholine)並びに受容体としてコレステロールを用いて転移酵素活性についてスクリーニングした。
DG(純度>95%ジガラクトシルジグリセリド(使用されるDGDGはコムギ脂質から精製される。Sigma社製DGDG D4651もSignma社製D4651から適切に使用することができる)、)及びコレステロール(Sigma社製C8503)を比9:1で計量し、クロロホルムに溶解させ、蒸発乾固させた。
基質は、3%DG:コレステロール 9:1を50mM HEPES緩衝剤pH7に分散させることによって調製された。
基質0.250mlをネジ蓋つき3mlガラスに移した。変異体GCATの発酵から得られた上清0.025mlを添加し、40℃で2時間インキュベートした。酵素の代わりに水を含む基準試料も調製された。反応混合物を沸騰水浴中で10分間加熱して酵素反応を停止させた。
99%エタノール2mlを添加し、コレステロール分析及び遊離脂肪酸分析に供した。
コレステロールアッセイ
コレステロールオキシダーゼ(SERVA Electrophoresis GmbH cat. No 17109)1.4U/ml、ABTS(Sigma社製A-1888)0.4mg/ml、ペルオキシダーゼ(Sigma社製6782)6U/mlを含む基質100μlの0.1M TRIS、HCl緩衝剤pH6.6+0.5%Triton X 100(Sigma社製X-100)溶液を37℃で5分間インキュベートした。コレステロール試料5μlを添加し混合した。反応混合物をさらに5分間インキュベートし、OD 405nmを測定した。コレステロール含量を、0.4mg/ml、0.3mg/ml、0.20mg/ml、0.1mg/ml、0.05mg/ml及び0mg/mlを含むコレステロール標準液の分析から計算した。
遊離脂肪酸アッセイ
試料中の遊離脂肪酸は、NEFA Cキット(WAKO Chemicals GmbH)を用いて測定された。
NEFA試薬A 75μlを37℃で10分間インキュベートした。酵素試料15μlを添加し、混合した。反応混合物を10分間インキュベートした。NEFA試薬B 150μlを添加し、混合し、さらに10分間インキュベートし、OD 540nmを測定した。遊離脂肪酸は、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05及び0mM脂肪酸標準液から計算された。
供与体としてホスファチジルコリンを用いた転移酵素アッセイも同様に測定されたが、DG(DGDG)の代わりにホスファチジルコリン(Avanti #441601)を用いた。
転移酵素活性は、基準試料中の遊離コレステロールと酵素試料中の遊離コレステロールの差から計算された%エステル化コレステロールとして表された。
加水分解活性は、酵素試料中の遊離脂肪酸と基準試料中の遊離脂肪酸の差から計算された生成遊離脂肪酸%として表された。
DGとPCに対する相対転移酵素活性は、%TDG/TPCとして計算された。DGに対する変異体の転移酵素活性TDG/加水分解活性HDGは、以下のとおり計算された。
(0.1×%TDG/386) / (% HDG/280) = (0.1×%TDG×280) / (% HDG×386)
ここで、386=コレステロールのMW及び280=脂肪酸のMW。
DG>50%及びTDG/TPC>3及び(0.1×%TDG/386) / (% HDG/280) > 2.5
の変異体が、改良変異体として選択された。
上記実施例から得られたデータは、鍵となる部位及び/又はTPCに比べてTDGの高い割当て(ration)などの所望の活性プロファイルを与える特異的アミノ酸置換を特定し優先順位をつけるために、統計学によって分析することができる。例えば、以下の堅牢なモデリングが提案される。
PC及びTDGに関する情報は、打切り応答最大(0、TPC)及び最大(0、TDG)によって伝達される。試験の目的は、絶対スケールと対照(負)と比較した相対スケールとの両方において正の値が優先されるln(1+TDG)−ln(1+TPC)のスコアに基づいて、TDG>=Tpcとなる設定を特定することである。好ましい設定は、バイナリ応答(イベント、非イベント)に基づいて特定される。ここで、イベントは、スコアに関して好ましい応答と定義される。予備情報が含まれない経験的データ構造に基づく、相補的log−logリンクを有する二項式GLIMモデルによって、バイナリ応答が分析される。統計解析を実施する方法の詳細については、以下の参考文献を参照されたい:proc LOGISTIC in SAS Institute Inc., SAS/STAT(登録商標) User's Guide, Version 6, 4.Ed, Vol.2, Cary, NC: SAS Institute Inc., 1989。
Figure 2010142243
Figure 2010142243
アエロモナス サルモニシダ由来のGCAT(glycerophospholipid:cholesterol acyltransferase)の改良変異体の選択
この実施例における「親」酵素はA.サルモニシダ(配列番号28)である。
アエロモナス サルモニシダ由来のGCATの32個の位置(230 Tyr、182 Lys、3 Thr、157 Asp、310 Thr、318 Gly、309 Glu、17 Leu、111 Trp、117 Tyr、179 Tyr、118 Leu、215 Asn、22 Lys、290 Val、289 Gln、285 Met、18 Ser、23 Met、180 His、284 Lys、181 Asn、209 Met.、210 Leu、211 Arg、40 Gly、81 Pro,112 Val、80 Asn、82 Lys、88 Asn、87 Asnを、実施例8の実験概要に従ってスクリーニングした。
スクリーニング結果及び3つの選択判定基準に基づいて、表1に記載された以下の変異体が選択された。
Figure 2010142243
アエロモナス サルモニシダ由来のGCAT(glycerophospholipid:cholesterol acyltransferase)の変異に対する目的とする特異的アミノ酸領域の選択
pfamアラインメント(アラインメント2;図56)及びP10480モデルと1IVNとの重なりから、1IVNの活性部位中のグリセリン分子を包囲する領域中の全アミノ酸が選択され、特定の目的領域(ループ)を限定するために使用された。(番号は、P10480成熟配列(配列番号2)中のアミノ酸を指す):
Thr 20- Arg 41 (ループ1、L1)
Ile 77- Leu 89 (ループ2、L2)
Leu 118 - Asp 127 (ループ3、L3)
Gly 146- Val 176 (ループ4、L4)
Glu 208 - Trp 287 (ループ5、L5)
したがって、IVR(intervening region)は以下のとおり命名される。
Ala 1 - Asp 19 (IVR1)
Phe 42 - Lys 76 (IVR2)
Asp 90 - Tyr 117 (IVR3)
Ala 128 - Asn 145 (IVR4)
Ser 177 - Ala 207 (IVR5)
Asp 288 - His 317 (IVR6)
以下の表は、アエロモナス サルモニシダ由来のGCAT(glycerophospholipid:cholesterol acyltransferase)の変異に対する好ましい位置の割当てを要約したものである。この結果は、実施例8から10に記載された実験概要に基づく。
Figure 2010142243
上記明細書に述べられたすべての刊行物を参照により本明細書に援用する。本発明に記載の方法及びシステムの様々な改変形態及び変更形態が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者には明らかである。本発明を具体的な好ましい実施形態と関連して説明したが、特許請求する本発明がかかる具体的実施形態に不当に限定されるべきでないことを理解すべきである。実際、生化学及びバイオテクノロジー又は関連分野の当業者に明白である本発明の記載された実施形態の様々な変形形態は、以下の特許請求の範囲内にあるものとする。
データベースバージョン6からのpfam00657コンセンサス配列(配列番号1)を示す図である。 生物アエロモナス ヒドロフィラ(P10480;GI:121051)から得られるアミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。このアミノ酸配列は基準酵素であり、本発明による親酵素とすることができる。 生物アエロモナス サルモニシダ(AAG098404;GI:9964017)から得られるアミノ酸配列(配列番号3)を示す図である。 生物ストレプトミセス コエリコラーA3(2)から得られるアミノ酸配列(配列番号4)(Genbankアクセッション番号NP_631558)を示す図である。 生物ストレプトミセス コエリコラーA3(2)から得られるアミノ酸配列(配列番号5)(Genbankアクセッション番号CAC42140)を示す図である。 生物サッカロミセス セレビシエから得られるアミノ酸配列(配列番号6)(Genbankアクセッション番号P41734)を示す図である。 pfam00657コンセンサス配列に対する選択配列のアラインメントを示す図である。 pfam00657コンセンサス配列に対する選択配列のアラインメントを示す図である。 pfam00657コンセンサス配列に対する選択配列のアラインメントを示す図である。 アミノ酸配列同一性が93%である配列番号3と配列番号2の対アラインメントを示す図である。シグナル配列には下線が引かれている。+は相違を示す。活性部位セリン16を含むGDSXモチーフ並びに活性部位アスパラギン酸116及びヒスチジン291は強調表示されている(陰影付きの領域を参照)。アミノ酸の後ろの番号は、シグナル配列を引いたものである。 生物アエロモナス ヒドロフィラから得られる、本発明による脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号7)を示す図である。 生物アエロモナス サルモニシダから得られる、本発明による脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号8)を示す図である。 生物ストレプトミセス コエリコラーA3(2)から得られる、本発明による脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号9)(Genbankアクセッション番号Nc_003888.1:8327480..8328367)を示す図である。 生物ストレプトミセス コエリコラーA3(2)から得られる、本発明による脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号10)(Genbankアクセッション番号AL939131.1:265480..266367)を示す図である。 生物サッカロミセス セレビシエから得られる、本発明による脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号11)(Genbankアクセッション番号Z75034)を示す図である。 生物ラルストニアから得られるアミノ酸配列(配列番号12)(Genbankアクセッション番号AL646052)を示す図である。 生物ラルストニアから得られる、本発明による脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号13)を示す図である。 配列番号14.Scoe1 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB39707.1 GI:4539178保存仮想タンパク質(hypothetical protein)[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB39707.1 GI:4539178保存仮想タンパク質をコードする配列番号15のヌクレオチド配列[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 配列番号16.Scoe2 NCBIタンパク質アクセッションコードCAC01477.1 GI:9716139保存仮想タンパク質のアミノ酸[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 Scoe2 NCBIタンパク質アクセッションコードCAC01477.1 GI:9716139保存仮想タンパク質をコードする配列番号17のヌクレオチド配列[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 アミノ酸配列(配列番号18)Scoe3 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB88833.1 GI:7635996推定分泌タンパク質[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 Scoe3 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB88833.1 GI:7635996推定分泌タンパク質をコードする配列番号19のヌクレオチド配列[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 アミノ酸配列(配列番号20)Scoe4 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB89450.1 GI:7672261推定分泌タンパク質[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 Scoe4 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB89450.1 GI:7672261推定分泌タンパク質をコードする配列番号21のヌクレオチド配列[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 アミノ酸配列(配列番号22)Scoe5 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB62724.1 GI:6562793推定リポタンパク質[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 Scoe5 NCBIタンパク質アクセッションコードCAB62724.1 GI:6562793推定リポタンパク質をコードする配列番号23のヌクレオチド配列[ストレプトミセス コエリコラーA3(2)]を示す図である。 アミノ酸配列(配列番号24)Srim1 NCBIタンパク質アクセッションコードAAK84028.1 GI:15082088 GDSL−リパーゼ[ストレプトミセス リモサス]を示す図である。 Srim1 NCBIタンパク質アクセッションコードAAK84028.1 GI:15082088 GDSL−リパーゼをコードする配列番号25のヌクレオチド配列[ストレプトミセス リモサス]を示す図である。 アミノ酸配列(配列番号26)−アエロモナス ヒドロフィラ(ATCC #7965)由来の脂質アシル基転移酵素を示す図である。 アエロモナス ヒドロフィラ(ATCC #7965)由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号27)を示す図である。 アエロモナス サルモニシダ亜種サルモニシダ(ATCC#14174)由来の脂質アシル基転移酵素のアミノ酸配列(配列番号28)を示す図である。 アエロモナス サルモニシダ亜種サルモニシダ(ATCC#14174)由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号29)を示す図である。 アエロモナス遺伝子の相同体は、National Center for Biotechnology Information, NIH, MD, USAの基本的局所アラインメント検索ツールサービス及び完全ゲノムデータベースを用いて特定できることを示す図である。GDSXモチーフがデータベース検索に使用され、脂肪分解活性を有する酵素を潜在的にコードするいくつかの配列/遺伝子が特定された。遺伝子は、ストレプトミセス属、ザントモナス属及びラルストニア属から特定された。以下の例として、ラルストニア ソラナセアルムがアエロモナス サルモニシダ(satA)遺伝子とアラインメントさせた。対アラインメントによって23%同一であることが判明した。活性部位セリンはアミノ末端に存在し、触媒作用性残基ヒスチジン及びアスパラギン酸を特定することができる。 Pfam00657.11[ファミリー00657、データベースバージョン11]コンセンサス配列(以後、Pfamコンセンサスと呼ぶ)及び様々な配列とPfamコンセンサス配列のアラインメントを示す図である。各矢印は活性部位残基を示し、下線が引かれたボックスは[Upton C and Buckley JT (1995) Trends Biochem Sci 20;179-179]によって示された相同性ボックスのうちの3個を示す。Pfamコンセンサス中の大文字は、多数のファミリーメンバーにおいて保存されている残基を示す。−記号は、Pfamコンセンサスの隠れマルコフモデルによって残基が存在すると予想されたが存在せず、ギャップが挿入される位置を示す。記号は、Pfamコンセンサス中に対応する残基がない残基を示す。これらの配列は、図16、18、20、22、24、26、28及び30に記載されたアミノ酸配列である。 Pfam00657.11[ファミリー00657、データベースバージョン11]コンセンサス配列(以後、Pfamコンセンサスと呼ぶ)及び様々な配列とPfamコンセンサス配列のアラインメントを示す図である。各矢印は活性部位残基を示し、下線が引かれたボックスは[Upton C and Buckley JT (1995) Trends Biochem Sci 20;179-179]によって示された相同性ボックスのうちの3個を示す。Pfamコンセンサス中の大文字は、多数のファミリーメンバーにおいて保存されている残基を示す。−記号は、Pfamコンセンサスの隠れマルコフモデルによって残基が存在すると予想されたが存在せず、ギャップが挿入される位置を示す。記号は、Pfamコンセンサス中に対応する残基がない残基を示す。これらの配列は、図16、18、20、22、24、26、28及び30に記載されたアミノ酸配列である。 Pfam00657.11[ファミリー00657、データベースバージョン11]コンセンサス配列(以後、Pfamコンセンサスと呼ぶ)及び様々な配列とPfamコンセンサス配列のアラインメントを示す図である。各矢印は活性部位残基を示し、下線が引かれたボックスは[Upton C and Buckley JT (1995) Trends Biochem Sci 20; 179-179]によって示された相同性ボックスのうちの3個を示す。Pfamコンセンサス中の大文字は、多数のファミリーメンバーにおいて保存されている残基を示す。−記号は、Pfamコンセンサスの隠れマルコフモデルによって残基が存在すると予想されたが存在せず、ギャップが挿入される位置を示す。記号は、Pfamコンセンサス中に対応する残基がない残基を示す。これらの配列は、図2、16、18、20、26、28及び30に記載されたアミノ酸配列である。これらのタンパク質はすべて脂質基質に対して活性であることが判明した。 実施例7においてアエロモナス ヒドロフィラ脂質アシル基転移酵素遺伝子の変異誘発に使用された融合構築体のアミノ酸配列(配列番号30)を示す図である。下線が引かれたアミノ酸は、キシラナーゼシグナルペプチドである。 キシラナーゼシグナルペプチドを含むアエロモナス ヒドロフィラ由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号31)を示す図である。 ストレプトミセス由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号32)を示す図である。 ストレプトミセス由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド配列(配列番号33)を示す図である。 テルモビフィダ由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド配列(配列番号34)を示す図である。 テルモビフィダ由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号35)を示す図である。 テルモビフィダ由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド配列(配列番号36)を示す図である。 コリネバクテリウム\エフィシエンス\GDSx 300 aa_由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド(配列番号37)を示す図である。 コリネバクテリウム\エフィシエンス\GDSx 300 aa_由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号38)を示す図である。 ノボスフィンゴビウム\アロマティシボランス\GDSx 284 aa_由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド(配列番号39)を示す図である。 ノボスフィンゴビウム\アロマティシボランス\GDSx 284 aa由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号40)を示す図である。 ストレプトミセス\コエリコラー\GDSx 268 aa由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド(配列番号41)を示す図である。 ストレプトミセス\コエリコラー\GDSx 268 aa由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号42)を示す図である。 ストレプトミセス\アベルミチリス(avermitilis)\GDSx 269 aa由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド(配列番号43)を示す図である。 ストレプトミセス\アベルミチリス\GDSx 269 aa由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号44)を示す図である。 ストレプトミセス由来の脂質アシル基転移酵素のポリペプチド(配列番号45)を示す図である。 ストレプトミセス由来の脂質アシル基転移酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号46)を示す図である。 活性部位中にグリセリンを有する1IVN.PDB結晶構造のリボン表示である。図は、Deep View Swiss-PDBビューアを用いて作製された。 活性部位中にグリセリンを有する1IVN.PDB結晶構造のDeep View Swiss-PDBビューアを用いた側面図である。活性部位グリセリンの10Å以内の残基は黒く塗られている。 活性部位中にグリセリンを有する1IVN.PDB結晶構造のDeep View Swiss-PDBビューアを用いた上面図である。活性部位グリセリンの10Å以内の残基は黒く塗られている。 アラインメント1を示す図である。 アラインメント2を示す図である。 1IVNとP10480(P10480は、A ヒドロフィラ酵素のデータベース配列である)のアラインメントを示す図である。このアラインメントは、PFAMデータベースから得られ、モデル構築プロセスに使用された。 1IVNとP10480(P10480は、A ヒドロフィラ酵素のデータベース配列である)のアラインメントを示す図である。このアラインメントは、PFAMデータベースから得られ、モデル構築プロセスに使用された。 1IVNとP10480(P10480は、A ヒドロフィラ酵素のデータベース配列である)のアラインメントを示す図である。このアラインメントは、PFAMデータベースから得られ、モデル構築プロセスに使用された。 P10480がアエロモナス ヒドロフィラのデータベース配列であるアラインメントを示す図である。この配列は、モデル構築及び部位選択に使用される。完全タンパク質が示され、(配列番号2に等しい)成熟タンパク質は残基19から始まることに留意されたい。A.salはアエロモナス サルモニシダ(配列番号28)GDSXリパーゼであり、A.hydはアエロモナス ヒドロフィラ(配列番号26)GDSXリパーゼである。コンセンサス配列は、示された各配列間の相違位置にある*を含む。 P10480がアエロモナス ヒドロフィラのデータベース配列であるアラインメントを示す図である。この配列は、モデル構築及び部位選択に使用される。完全タンパク質が示され、(配列番号2に等しい)成熟タンパク質は残基19から始まることに留意されたい。A.salはアエロモナス サルモニシダ(配列番号28)GDSXリパーゼであり、A.hydはアエロモナス ヒドロフィラ(配列番号26)GDSXリパーゼである。コンセンサス配列は、示された各配列間の相違位置にある*を含む。 典型的な384クローンセットを示すグラフである。野生型対照は、0.9PC、0.8DGDGの交点にある。 目的とする3つの区域を示すグラフである。セクション1は、比Rは増加するがDGDGに対する活性は低下する変異体を含む。領域2は、比Rが増加しDGDG活性が増加する変異体を含む。領域3は、PC又はDGDG活性は増加するが比Rは増加しないクローンを含む。

Claims (8)

  1. リン脂質転移酵素活性が向上した脂質アシル基転移酵素変異体であって、前記酵素がアミノ酸配列モチーフGDSXを含み、ただしXが、アミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M又はSの1又は複数であり、前記酵素変異体が、親配列と比較して以下のアミノ酸残基:
    S3N、E、K、R、A、P又はM;
    D157S、R、E、N、G、T、V、Q、K又はC;
    S310T;
    318E;
    E309R、E、L、R又はA;
    Y179D、T、E、R、N、V、K、Q又はS;
    N215S、L、R又はY;
    K22E、R、C又はA;
    Q289R、E、G、P又はN;
    M23K、Q、L、G、T又はS;
    H180Q、R又はK;
    M209Q、S、R、A、N、Y、E、V又はL;
    L210R、A、V、S、T、I、W又はM;
    R211T;
    P81G;
    V112C;
    N80R、G、N、D、P、T、E、V、A又はG;
    L82N、S又はE;
    N88C;
    N87M又はG
    の1又は複数において1又は複数のアミノ酸改変を含み、
    アミノ酸残基の番号付与が前記変異体配列と配列番号2の基準配列とのアラインメントから得られる、変異体。
  2. 食料品を調製する方法であって、請求項1に記載の脂質アシル基転移酵素変異体を食料品の1又は複数の成分に添加するステップを含む方法。
  3. 焼いた生成物を生地から調製する方法であって、請求項1に記載の脂質アシル基転移酵素変異体を前記生地に添加するステップを含む方法。
  4. 卵又は卵を主成分とする生成物を処理してリゾリン脂質を製造する方法における、請求項1に記載の脂質アシル基転移酵素変異体の使用。
  5. 植物油又は食用油の酵素精練方法であって、極性脂質(例えば、リン脂質及び/又は糖脂質)の主要な部分を加水分解するために、請求項1に記載の脂質アシル基転移酵素変異体で前記食用油又は植物油を処理するステップを含む方法。
  6. 食用油のリン脂質含有量を削減する方法における請求項1に記載の脂質アシル基転移酵素変異体の使用であって、前記リン脂質の主要な部分を加水分解するために前記脂質アシル基転移酵素変異体で前記油を処理するステップと、加水分解されたリン脂質を含む水相を前記油から分離するステップとを含む使用。
  7. 炭水化物エステル及び/又はタンパク質エステル及び/又はタンパク質サブユニットエステル及び/又はヒドロキシ酸エステルなどの高価な生成物を製造するための極性脂質(好ましくは糖脂質)の生物変換における、請求項1に記載の脂質アシル基転移酵素変異体の使用。
  8. 請求項1に記載の固定化脂質アシル基転移酵素変異体。
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