JP2010142201A - 発光蛋白質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たなカルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質などが求められていた。
【解決手段】(1)発現誘導可能なプロモーター配列;(2)式(Z)で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリペプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び(4)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列を含有する発現ベクターを用いて融合蛋白質を可溶性蛋白質として発現させ、該融合蛋白質をリンカーペプチドの切断サイトで切断することで、N末端にGly−Pro−Glu−Pheが付加した前記(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドを含む蛋白質を得ることを含む、蛋白質を製造する方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、発光蛋白質、その製造方法などに関する。
生物発光に関与する蛋白質の一つに、カルシウム結合型発光蛋白質がある。この発光蛋白質は、Ca2+と特異的に結合し瞬間的に発光する。カルシウム結合型発光蛋白質は、発光のバックグランドが弱く、S/N比が高いため、レポーター蛋白質として有用である。また、カルシウム結合型発光蛋白質は、Ca2+に特異的に結合して発光するため、カルシウム濃度の定量に用いることができる。また、カルシウム結合型発光蛋白質は、生物発光共鳴エネルギー移動法(BRET:Bioluminescence Resonance Energy Transfer)に用いることが望まれている。このBRETは、発光反応により生じたエネルギーを蛍光有機化合物あるいは蛍光蛋白質へ移動させて蛍光物質を光らせる方法である。
カルシウム結合型発光蛋白質は、酸素添加機能をもつ蛋白質と発光基質であるルシフェリンのペルオキシドを含む複合体である。カルシウム結合型発光蛋白質において、酸素添加機能をもつ蛋白質はアポ蛋白質とよばれ、ルシフェリンのペルオキシドはセレンテラジンペルオキシド(2-hydroperoxycoelenterazine)である。このようなカルシウム結合型蛋白質としては、具体的には、イクオリン(aequorin)、クライティン−I(clytin−I)、クライティン−II(clytin−II)、マイトロコミン(mitrocomin)、及びオベリン(obelin)などの腔腸動物由来のものが知られている。これらのカルシウム結合型発光蛋白質の最大発光波長は、約460nm〜約480nmであり、その半値全幅(FWHM)は、約80nm〜90nmである。また、イクオリン、クライティン、及びマイトロコミンの中で、カルシウム濃度に対する感度が一番良い発光蛋白質は、イクオリンであり、マイトロコミン、クライティンの順にカルシウム濃度に対する感度が低くなると報告されている(非特許文献1)。
マイトロコミン(ハリスタリン(Halistaurin)ともいう)は、1963年に下村らにより、発光クラゲ(Mitrocoma cellularia(正式には、Halistaura mitrocoma))から単離された(非特許文献2)。マイトロコミンのアポ蛋白質であるアポマイトロコミンは、6つのシステイン残基と、Ca2+を結合するEF−handドメインと、C末端チロシン残基とを含む。そして、アポマイトロコミンのcDNAとしては、GenBank Accession No L31623が知られている(塩基配列を配列番号:7に、アミノ酸配列を配列番号:8に示す)。アポマイトロコミンのアミノ酸配列は、アポイクオリン又はアポクライティンなどの他のカルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質のアミノ酸配列との同一性が高い(非特許文献3)。また、大腸菌(E.coli)で発現させたアポマイトロコミンから調製したマイトロコミンの発光スペクトルが、イクオリンの発光スペクトルと同じであること、その最大発光波長が470nmであることが報告されている(非特許文献3)。
ここで、カルシウム結合型発光蛋白質のうち、イクオリン、オベリン、及びクライティンについては、遺伝子組換えの手法を用いて、宿主大腸菌にて、組換えアポイクオリン、組換えアポオベリン、又は組換えアポクライティンを発現し、その組換えアポ蛋白質を精製する方法が報告されている。しかしながら、組換えアポマイトロコミンの精製方法および精製組換えマイトロコミン調製方法についての報告は、現在までない。
O. Shimomura, A. Shimomura, Halistaurin, phialidin and modified forms of aequorin as Ca2+ indicator in biological systems, Biochem. J. 228 (1985) 745-749 O. Shimomura, F.H. Johnson, Y. Saiga, Extraction and properties of Halistaurin, a bioluminescent protein from the Hydromedusan Halistaura, J. Cell. Comp. Physiol. 59 (1963) 223-240 T.F. Fagan, Y. Ohmiya, J.R. Blinks, S. Inouye, F.I. Tsuji, Cloning, expression and sequence analysis of cDNA for the Ca2+-binding photoprotein, mitrocomin, FEBS Lett. 333 (1993) 301-305
上記状況において、公知の発光蛋白質と異なる発光スペクトルを有するカルシウム結合型発光蛋白質、組換えマイトロコミンの調製法などが求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の配列を組合せた発現系を用いて、種々検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す、発光蛋白質の製造方法、及び発光蛋白質などを提供する。
(1) (1)発現誘導可能なプロモーター配列;
(2)式(Z)
(式中、nは1〜5の整数を表し、Zは以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるポリペプチドを表す:
(a)配列番号:2のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:2のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(d)配列番号:1の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチド)
で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;ならびに
(4)以下の(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列;
(i)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(j)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有するポリペプチド、
(k)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有するポリペプチド、及び
(l)配列番号:7の第42番目〜第614番目の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有するポリペプチド、
を含有する発現ベクターを用いて融合蛋白質を可溶性蛋白質として発現させ、
該融合蛋白質をリンカーペプチドの切断サイトで切断し、N末端にGly−Pro−Glu−Pheが付加した前記(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドを含む蛋白質を得ることを含む、蛋白質を製造する方法。
(2) 前記式(Z)で表されるポリペプチドが、(Z)で表されるポリペプチドである、上記(1)記載の方法。
(3) 前記式(Z)で表されるポリペプチドが、
(e)配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(f)配列番号:4のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチド、
(g)配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチド、及び
(h)配列番号:3の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリペプチドである、上記(2)記載の方法。
(4) 前記発現誘導可能なプロモーター配列が、低温で発現誘導可能なプロモーター配列である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5) 前記低温で発現誘導可能なプロモーター配列が、コールドショック遺伝子のプロモーター配列である、上記(4)記載の方法。
(6) 前記コールドショック遺伝子のプロモーター配列が、大腸菌コールドショック遺伝子のプロモーター配列である、上記(5)記載の方法。
(7) 前記大腸菌コールドショック遺伝子のプロモーター配列が、大腸菌コールドショック遺伝子cspA、cspB、cspG、cspI又はcsdAのプロモーター配列である、上記(6)記載の方法。
(8) 前記第1のコード配列の5’側に、さらに精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列を含有する、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法。
(9) 前記精製のためのアミノ酸配列が、ヒスチジンタグ配列である、上記(8)記載の方法。
(10) 上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法により製造した蛋白質と、セレンテラジン又はセレンテラジン類縁体とを接触させて、カルシウム結合型発光蛋白質を得ることを含む、カルシウム結合型発光蛋白質の製造方法。
(11) セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、Bis−セレンテラジン、e−セレンテラジン、及びメトキシセレンテラジンからなる群から選択される、上記(10)記載の方法。
(12) セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、及びe−セレンテラジンからなる群から選択される、上記(11)記載の方法。
(13) 以下の(m)〜(p)からなる群から選択される蛋白質:
(m)配列番号:10のアミノ酸配列からなる蛋白質;
(n)配列番号:10のアミノ酸配列において、第1番目〜第4番目のアミノ酸以外の1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有する蛋白質;
(o)配列番号:10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有し、第1番目〜第4番目のアミノ酸がGly−Pro−Glu−Pheであるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有する蛋白質;及び
(p)配列番号:9の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ、第1番目〜第4番目のアミノ酸がGly−Pro−Glu−Pheであるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有する蛋白質。
(14) 上記(13)に記載の蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシド又はセレンテラジン類縁体のペルオキシドとを含む、カルシウム結合型発光蛋白質。
(15) セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、Bis−セレンテラジン、e−セレンテラジン、及びメトキシセレンテラジンからなる群から選択される、上記(14)に記載の蛋白質。
(16) セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、及びe−セレンテラジンからなる群から選択される、上記(15)記載の蛋白質。
(17) 上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の方法によって製造したカルシウム結合型発光蛋白質を用いることを含む、カルシウムイオンを検出または定量する方法。
(18) 上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載のカルシウム結合型発光蛋白質を用いることを含む、カルシウムイオンを検出または定量する方法。
(19) 検出または定量するカルシウムイオンが10−6M〜10−4Mの濃度範囲である、上記(17)または(18)に記載の方法。
(20) 上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の方法によって製造したカルシウム結合型発光蛋白をドナー蛋白質として用いて、生物発光共鳴エネルギー移動法を行うことを特徴とする、生理活性物質の分析方法。
(21) 上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載のカルシウム結合型発光蛋白をドナー蛋白質として用いて、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法を行うことを特徴とする、生理機能の解析方法。
(22) 上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載のカルシウム結合型発光蛋白をドナー蛋白質として用いて、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法を行うことを特徴とする、酵素活性の測定方法。
本発明の一つの態様によれば、新たなカルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質が提供される。本発明の好ましい態様のアポ蛋白質から調製したカルシウム結合型発光蛋白質は、イクオリン、マイトロコミン、又はクライティンなどと異なる発光スペクトルを示す。本発明のさらに好ましい態様のアポ蛋白質から調製したカルシウム結合型発光蛋白質は、カルシウム濃度に対する感受性がイクオリン、マイトロコミン、又はクライティンなどに比べて低く、高濃度のカルシウムの定量に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.本発明の蛋白質
本発明の蛋白質とは、配列番号:10のアミノ酸配列からなる蛋白質および配列番号:10のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質を意味する。本明細書中、配列番号:10のアミノ酸配列からなる蛋白質および配列番号:10のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質を「組換えアポマイトロコミン」と称することがある。
実質的に同質の活性もしくは機能とは、例えば、(i)前記蛋白質がセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと結合して発光蛋白質を形成することができる機能、(ii)前記蛋白質がセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光する発光蛋白質を形成することができる機能、(iii)前記発光蛋白質がカルシウムイオンと結合することによって生じる発光の最大発光強度(Imax)が、配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質の最大発光強度(Imax)の1/4以上、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/2以上、さらに好ましくは1/1.5以上であること、(iv)前記発光蛋白質がカルシウムイオンと結合することによって生じる発光の半減期(T1/2、秒)が、配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質の半減期(T1/2、秒)の4倍以下、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下であること、などのいずれかを意味する。なお、上記の発光活性や発光パターンの測定は、例えば、Shimomura 0.et al (1988) Biochem. J.251,405-410 およびShimomura 0.et al. Biochem. J. (1989)261, 913-920などに記載の方法によって測定することができる。 具体的には、例えば、前記発光蛋白質にカルシウム溶液を加えることにより発光反応を開始させ、発光測定装置を用いて発光活性または発光パターンを測定することができる。発光測定装置としては、市販されている装置、例えばTD−4000(ラボサイエンス社製)、Centro LB 960(ベルトールド社製)などを使用することができる。
本明細書において、「カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性または機能」とは、例えば、アポ蛋白質がセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと結合してカルシウム結合型発光蛋白質を形成する活性または機能を意味する。「蛋白質がセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと結合してカルシウム結合型発光蛋白質を形成する」とは、具体的には、(1)蛋白質が、セレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと結合して発光蛋白質を形成すること、だけではなく(2)蛋白質が、酸素存在下に、セレンテラジンもしくはその誘導体と接触することにより、蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドとを含有する発光蛋白質(複合体)を形成すること、をも意味する。
本明細書において、セレンテラジン類縁体とは、本発明の蛋白質と結合し、カルシウムイオンの作用によって発光しうる発光蛋白質を形成することができる化合物を意味する。
本発明の一つの態様の蛋白質は、以下の(m)〜(p)からなる群から選択される蛋白質である。
(m)配列番号:10のアミノ酸配列からなる蛋白質;
(n)配列番号:10のアミノ酸配列において、第1番目〜第4番目のアミノ酸以外の1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性若しくは機能を有する蛋白質;
(o)配列番号:10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有し、第1番目〜第4番目のアミノ酸がGly−Pro−Glu−Pheであるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性若しくは機能を有する蛋白質;及び
(p)配列番号:9の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ、第1番目〜第4番目のアミノ酸がGly−Pro−Glu−Pheであるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性若しくは機能を有する蛋白質。
上記「1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列」における「1〜複数個」の範囲は、例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個である。欠失、置換、挿入若しくは付加したアミノ酸の数は、一般的に少ないほど好ましい。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。このような領域は、「モレキュラークローニング第3版」、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
また、上記「90%以上の同一性を有するアミノ酸配列」における「90%以上」の範囲は、例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上である。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Altzshul S. F. et al., J. Mol. Biol. 215, 403 (1990)、など参照)等の解析プログラムを用いて決定できる。BLASTを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。本発明の一つの態様では、塩基配列の同一性の数値は、BLASTを用いて決定する。
また、上記「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、配列番号:9の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド又は配列番号:10のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの全部又は一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/LのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997)、Glover D. M. and Hames B. D., DNA Cloning 1: Core Techniques, A practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。
ここで言う「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5(w/v)%SDS、50%(v/v)ホルムアミド、50℃の条件である。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要とする相補性が高くなる。具体的には、例えば、これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコールにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、BLAST等の解析プログラムにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:10のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと約60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAをあげることができる。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、前述した方法を用いて決定できる。本発明の一つの態様では、塩基配列の同一性の数値は、BLASTを用いて決定する。
2.本発明のカルシウム結合型発光蛋白質
本発明のカルシウム結合型発光蛋白質は、本発明の蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシド又はセレンテラジン類縁体のペルオキシドとを含む。本発明の一つの態様によれば、セレンテラジン類縁体は、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、bis−セレンテラジン、e−セレンテラジン、及びメトキシセレンテラジンからなる群から選択される。本発明の好ましい態様によれば、セレンテラジン類縁体は、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、及びe−セレンテラジンからなる群から選択される。本発明の別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、n−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、cp−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、hcp−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、f−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、fcp−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、h−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、e−セレンテラジンである。
本発明の好ましい態様のカルシウム結合型発光蛋白質は、イクオリン、マイトロコミン、又はクライティンなどと異なる発光スペクトルを示す。本発明のさらに好ましい態様のカルシウム結合型発光蛋白質は、カルシウム濃度に対する感受性がイクオリン、マイトロコミン、又はクライティンなどに比べて低く、高濃度のカルシウムの定量に用いることができる。
尚、セレンテラジンを含む本発明の好ましい態様のカルシウム結合型発光蛋白質は、組換えマイトロコミンである。また、セレンテラジン類縁体を含む本発明の好ましい態様のカルシウム結合型発光蛋白質は、半合成組換えマイトロコミンである。
3.本発明の蛋白質の製造方法
本発明の一つの態様によれば、以下の蛋白質製造方法が提供される:
(1)発現誘導可能なプロモーター配列;
(2)式(Z)で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能又は活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(4)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列;
を含有する発現ベクターを用いて融合蛋白質を可溶性蛋白質として発現させ、
該融合蛋白質をリンカーペプチドの切断サイトで切断し、N末端にGly−Pro−Glu−Pheが付加した前記(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドを含む蛋白質を得ることを含む、蛋白質を製造する方法。
該製造方法によれば、新たなカルシウム結合型蛋白質のアポ蛋白質を提供することができる。
3.1.融合蛋白質
以下、融合蛋白質についてより詳細に説明する。融合蛋白質は、以下のペプチドを含む:
(1)式(Z)で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチド;
(2)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチド;及び
(3)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチド。
(1)式(Z)で表されるポリペプチド
融合蛋白質において、式(Z)で表されるポリペプチドは、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性又は機能を有する。
Zは、以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるポリペプチドを表す:
(a)配列番号:2のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号:2のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(d)配列番号:1の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
上記「1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列」における「1〜複数個」の範囲は、例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個である。欠失、置換、挿入若しくは付加したアミノ酸の数は、一般的に少ないほど好ましい。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。このような領域は、「モレキュラークローニング第3版」、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
また、上記「90%以上の同一性を有するアミノ酸配列」における「90%以上」の範囲は、例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上である。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Altzshul S. F. et al., J. Mol. Biol. 215, 403 (1990)、など参照)等の解析プログラムを用いて決定できる。BLASTを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。本発明の一つの態様では、アミノ酸配列又は塩基配列の同一性の数値は、BLASTを用いて決定する。
また、上記「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド又は配列番号:2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの全部又は一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/LのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997)、Glover D. M. and Hames B. D., DNA Cloning 1: Core Techniques, A practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。
ここで言う「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5(w/v)%SDS、50%(v/v)ホルムアミド、50℃の条件である。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要とする相補性が高くなる。具体的には、例えば、これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコールにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、BLAST等の解析プログラムにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと約60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAをあげることができる。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、前述した方法を用いて決定できる。本発明の一つの態様では、塩基配列の同一性の数値は、BLASTを用いて決定する。
nは、1〜5の整数を表し、2又は3であるのが好ましく、特に2であるのが好ましい。
式(Z)で表されるポリペプチドにおいて、各Zは同一であっても異なっていてもよい。
式(Z)で表されるポリペプチドとしては、特に式(Z)で表されるポリペプチドが好ましい。
式(Z)で表されるポリペプチドとしては、例えば、配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチド又は配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチドと実質的に同質の活性若しくは機能を有するポリペプチドが挙げられる。本明細書中、配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチド又は配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチドと実質的に同質の活性若しくは機能を有するポリペプチドを「ZZドメイン」と称することがある。
前記「実質的に同質の活性若しくは機能」とは、例えば、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性若しくは機能を意味する。このような活性若しくは機能、例えば、ZZドメインのIgG 結合能は、IgGとの結合アッセイ法により測定することができる。
式(Z)で表されるポリペプチドとしては、より具体的には、例えば、
(e)配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(f)配列番号:4のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性若しくは機能を有するポリペプチド、
(g)配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性若しくは機能を有するポリペプチド、及び
(h)配列番号:3の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性若しくは機能を有するポリペプチド
からなる群から選択されるポリペプチドなどが挙げられる。
(2)切断サイトを有するリンカーペプチド
融合蛋白質は、式(Z)で表されるポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第1のアミノ酸配列と、(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列との間に、切断サイトを有するリンカーペプチドのアミノ酸配列を含有するアミノ酸配列を含む。本発明のある態様では、リンカーペプチドは、切断したときに、式(Z)で表されるポリペプチドを除去するとともに、(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheが付加したポリペプチドを含む蛋白質を生成する。
切断サイトを有するリンカーペプチドとは、酵素的または化学的切断物質により切断することができる切断サイトを有するリンカーペプチドを意味する。酵素(プロテアーゼ)または化学物質により切断されるペプチドは多数知られている(例えば、Harlow and Lane, Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1988);Walsh, Proteins Biochemistry and Biotechnology, John Wiley & Sons, LTD., West Sussex, England (2002)など参照)。切断物質とは、ペプチドにおける切断サイトを認識し、ペプチド内の結合の切断によりペプチドを2つのペプチドに分割する化学物質または酵素である。切断物質としては、例えば、化学物質、プロテアーゼなどが挙げられる。
切断サイトを有するリンカーペプチドは、好ましくは、プロテアーゼ切断サイトを有するリンカーペプチドである。プロテアーゼ切断サイトとしては、例えば、トロンビン切断サイト、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断サイト、ファクターXa切断サイトなどが挙げられる。
切断サイトを有するリンカーペプチドは、好ましくは、配列番号:6のアミノ酸配列からなるリンカーペプチドである。配列番号:6のアミノ酸配列からなるリンカーペプチドは、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断サイトを有する。
(3)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチド
融合蛋白質には、以下の(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドが含まれる:
(i)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(j)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(k)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び
(l)配列番号:7の第42番目〜第614番目の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性又は機能を有するポリペプチド。
「1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列」及び「90%以上の同一性を有するアミノ酸配列」、及び「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」の意味は、前記と同じである。
(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとしては、例えば、配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列からなるポリペプチド又は配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドと実質的に同質の活性若しくは機能を有するポリペプチドが挙げられる。
実質的に同質の活性もしくは機能とは、例えば、(i)前記ポリペプチドがセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと結合して発光蛋白質を形成することができる機能、(ii)前記ポリペプチドがセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光する発光蛋白質を形成することができる機能、(iii)前記発光蛋白質がカルシウムイオンと結合することによって生じる発光の最大発光強度(Imax)が、配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドの最大発光強度(Imax)の1/4以上、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/2以上、さらに好ましくは1/1.5以上であること、(iv)前記発光蛋白質がカルシウムイオンと結合することによって生じる発光の半減期(T1/2、秒)が、配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドの半減期(T1/2、秒)の4倍以下、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下であること、などのいずれかを意味する。なお、上記の発光活性や発光パターンの測定は、例えば、Shimomura 0.et al (1988) Biochem. J.251,405-410 およびShimomura 0.et al. Biochem. J. (1989)261, 913-920などに記載の方法によって測定することができる。 具体的には、例えば、前記発光蛋白質にカルシウム溶液を加えることにより発光反応を開始させ、発光測定装置を用いて発光活性または発光パターンを測定することができる。発光測定装置としては、市販されている装置、例えばTD−4000(ラボサイエンス社製)、Centro LB 960(ベルトールド社製)などを使用することができる。
融合蛋白質は、さらに、翻訳促進のためのアミノ酸配列及び/又は精製のためのアミノ酸配列を含んでいてもよい。翻訳促進のためのアミノ酸配列としては、当技術分野において用いられているアミノ酸配列を使用することができる。翻訳促進のためのアミノ酸配列としては、例えば、TEE配列などが挙げられる。精製のためのアミノ酸配列としては、当技術分野において用いられているアミノ酸配列を使用することができる。精製のためのアミノ酸配列としては、例えば、ヒスチジン残基が4残基以上、好ましくは6残基以上連続したアミノ酸配列を有するヒスチジンタグ配列、グルタチオン S−トランストランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインのアミノ酸配列などが挙げられる。精製のためのアミノ酸配列は、前記第1のアミノ酸配列のアミノ末端側に存在するのが好ましい。
3.2.ポリヌクレオチド
以下、前述した融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドについて説明する。ポリヌクレオチドとしては、融合蛋白質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよいが、好ましくはDNAである。DNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、細胞・組織由来のcDNA、細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAなどが挙げられる。ライブラリーに使用するベクターは、特に制限はなく、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織からtotalRNA又はmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
ポリヌクレオチドは、具体的には、次の(1)〜(3)の配列を含有するポリヌクレオチドである:
(1)式(Z)で表され、
(式中、n及びZ前記と同じ意味を表す。)
かつ、(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(2)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(3)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列。
式(Z)で表されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、以下の(e)〜(h)からなる群から選択されるポリヌクレオチドなどが挙げられる:
(e)配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(f)配列番号:3の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ目的蛋白質との融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(g)配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、及び
(h)配列番号:4のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつリンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
このような好ましいポリヌクレオチドとしては、例えば、次のコード配列を含有するポリヌクレオチドが挙げられる:
(1)以下の(e)〜(h)からなる群から選択される第1のコード配列;
(e)配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(f)配列番号:3の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつリンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(g)配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、及び
(h)配列番号:4のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつリンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(2)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(3)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド(例えば、DNA)」とは、配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド又は配列番号:4のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの全部又は一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/LのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997)、Glover D. M. and Hames B. D., DNA Cloning 1: Core Techniques, A practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。
本明細書でいう「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5(w/v)%SDS、50%(v/v)ホルムアミド、50℃の条件である。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要とする相補性が高くなる。具体的には、例えば、これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコールにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、BLAST等の解析プログラムにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:4のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと約60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAをあげることができる。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、前述した方法を用いて決定できる。本発明の一つの態様では、塩基配列の同一性の数値は、BLASTを用いて決定する。
あるアミノ酸配列に対して、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列を有する領域をコードするポリヌクレオチドは、部位特異的変異導入法(例えば、Gotoh, T. et al., Gene 152, 271-275 (1995)、Zoller, M.J., and Smith, M., Methods Enzymol. 100, 468-500 (1983)、Kramer, W. et al., Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456 (1984)、Kramer W, and Fritz H.J., Methods. Enzymol. 154, 350-367 (1987)、Kunkel,T.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82, 488-492 (1985)、Kunkel, Methods Enzymol. 85, 2763-2766 (1988)、など参照)、アンバー変異を利用する方法(例えば、Gapped duplex法、Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456 (1984)、など参照)などを用いることにより得ることができる。
また目的の変異(欠失、付加、置換及び/又は挿入)を導入した配列をそれぞれの5’端に持つ1組のプライマーを用いたPCR(例えば、Ho S. N. et al., Gene 77, 51 (1989)など参照)によっても、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。
また欠失変異体の一種である蛋白質の部分断片をコードするポリヌクレオチドは、その蛋白質をコードするポリヌクレオチド中の作製したい部分断片をコードする領域の5’端の塩基配列と一致する配列を有するオリゴヌクレオチド及び3’端の塩基配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、その蛋白質をコードするポリヌクレオチドを鋳型にしたPCRを行うことにより取得できる。
ポリヌクレオチドの具体例としては、例えば、配列番号:12のアミノ酸配列からなる融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどがあげられる。配列番号:12のアミノ酸配列からなる融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。これらの塩基配列及びアミノ酸配列を、図8に示す。
本発明のポリヌクレオチドは、翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド(コード配列)及び/又は精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド(コード配列)を含んでいてもよい。翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを使用することができる。翻訳促進のためのアミノ酸配列としては、前記したものなどが挙げられる。精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを使用することができる。精製のためのアミノ酸配列としては、前記したものなどが挙げられる。精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド(コード配列)は、前記第1のコード配列の5’側に存在するのが好ましい。
3.3.発現ベクター及び形質転換体
さらに、本発明は、上述したポリヌクレオチドを含有する発現ベクター及び形質転換体を提供する。
(1)発現ベクター
発現ベクターは、適当なベクターに前述のポリヌクレオチド(DNA)を連結(挿入)することにより得ることができる。より具体的には、精製されたポリヌクレオチド(DNA)を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入して、ベクターに連結することにより得ることができる。
発現ベクターとしては、具体的には、例えば、次のプロモーター配列、及びコード配列を含有する発現ベクターなどが挙げられる:
(1)発現誘導可能なプロモーター配列;
(2)式(Z)
(式中、n及びZ前記と同じ意味を表す。)
で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(4)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列。
ポリヌクレオチドを挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、動物ウイルス等が挙げられる。プラスミドとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322, pBR325, pUC118, pUC119等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110, pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13, YEp24, YCp50等)などがあげられる。バクテリオファージとしては、例えば、λファージなどがあげられる。動物ウイルスとしては、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、昆虫ウイルス(例えば、バキュロウイルスなど)などがあげられる。また、pCold Iベクター、pCold IIベクター、pCold IIIベクター、pCold IVベクター(以上、タカラバイオ社製)なども好適に使用することができる。
ポリヌクレオチドは、通常、適当なベクター中のプロモーター(発現誘導可能なプロモーター)の下流に、発現可能なように連結される。用いられるプロモーターとしては、形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、Trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが好ましい。宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。また、低温で発現誘導可能なプロモーターも好適に使用することができる。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、例えば、コールドショック遺伝子のプロモーター配列などが挙げられる。コールドショック遺伝子としては、例えば、大腸菌コールドショック遺伝子(例えば、cspA、cspB、cspG、cspI、csdAなど)、Bacillus caldolyticusコールドショック遺伝子(例えば、Bc−Cspなど)、Salmonella entericaコールドショック遺伝子(例えば、cspEなど)、Erwinia carotovoraコールドショック遺伝子(例えば、cspGなど)などが挙げられる。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、なかでも、例えば、cspAプロモーター、cspBプロモーター、cspGプロモーター、cspIプロモーター、csdAプロモーターなどを好適に使用することができる。
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、選択マーカなどを含有しているものを用いることができる。選択マーカとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子などがあげられる。
また、発現ベクターは、翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチド及び/又は精製のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含んでいてもよい。翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。翻訳促進のためのアミノ酸配列としては、前記したものなどが挙げられる。精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている精製のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。精製のためのアミノ酸配列としては、前記したものなどが挙げられる。
(2)形質転換体
このようにして得られた、ポリヌクレオチド(すなわち、融合蛋白質をコードするポリヌクレオチド)を含有する発現ベクターを、適当な宿主中に導入することによって、形質転換体を作成することができる。宿主としては、ポリヌクレオチド(DNA)を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、シュードモナス属菌、リゾビウム属菌、酵母、動物細胞又は昆虫細胞などがあげられる。エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などがあげられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などがあげられる。シュードモナス属菌としては、例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などがあげられる。リゾビウム属菌としては、例えば、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)などがあげられる。酵母としては、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などがあげられる。動物細胞としては、例えば、COS細胞、CHO細胞などがあげられる。昆虫細胞としては、例えば、Sf9、Sf21などがあげられる。
発現ベクターの宿主への導入方法及びこれによる形質転換方法は、一般的な各種方法によって行うことができる。発現ベクターの宿主細胞への導入方法としては、例えば、例えばリン酸カルシウム法(Virology, 52, 456-457 (1973))、リポフェクション法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 (1987))、エレクトロポレーション法(EMBO J., 1, 841-845 (1982))などがあげられる。エシェリヒア属菌の形質転換方法としては、例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)、Gene, 17, 107 (1982)などに記載の方法などがあげられる。バチルス属菌の形質転換方法としては、例えば、Molecular & General Genetics,168, 111 (1979)に記載の方法などがあげられる。酵母の形質転換方法としては、例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,75,1929 (1978)に記載の方法などがあげられる。動物細胞の形質転換方法としては、例えば、Virology,52, 456 (1973)に記載の方法などがあげられる。昆虫細胞の形質転換方法としては、例えば、Bio/Technology, 6, 47-55 (1988)に記載の方法などがあげられる。このようにして、融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
(3)低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクター及び形質転換体
発現ベクターとしては、なかでも低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが好ましい。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターとは、具体的には、次のプロモーター配列、及びコード配列を含有する発現ベクターを意味する:
(1)低温で発現誘導可能なプロモーター配列;
(2)式(Z)
(式中、n及びZは前記と同じ意味を表す。)
で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(4)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターとしては、なかでも、次のプロモーター配列、及びコード配列を含有する発現ベクターが好ましい:
(1)低温で発現誘導可能なプロモーター配列;
(2)式(Z)
(式中、Zは前記と同じ意味を表す。)
で表されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(4)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列とは、宿主細胞を増殖させる培養条件から、温度を下げることによって融合蛋白質の発現を誘導可能なプロモーター配列を意味する。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、例えば、コールドショック蛋白質をコードする遺伝子(コールドショック遺伝子)のプロモーターが挙げられる。コールドショック遺伝子のプロモーターとしては、例えば、大腸菌のコールドショック遺伝子のプロモーター、Bacillus caldolyticusコールドショック遺伝子のプロモーター(例えば、Bc−Cspなど)、Salmonella entericaコールドショック遺伝子のプロモーター(例えば、cspEなど)、Erwinia carotovoraコールドショック遺伝子のプロモーターなど(例えば、cspGなど)が挙げられる。大腸菌のコールドショック遺伝子のプロモーターとしては、例えば、cspAプロモーター、cspBプロモーター、cspGプロモーター、cspIプロモーター、csdAプロモーターなどが挙げられ、cspAプロモーターが好ましい。Bacillus caldolyticusコールドショック遺伝子のプロモーターとしては、例えば、Bc−Cspなどが挙げられる。Salmonella entericaコールドショック遺伝子のプロモーターとしては、例えば、cspEなどが挙げられる。Erwinia carotovoraコールドショック遺伝子のプロモーターとしては、例えば、cspGなどが挙げられる。
本発明で用いられる低温で発現誘導可能なプロモーターが発現誘導しうる温度としては、通常30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、特に好ましくは15℃以下である。ただし、より効率良く発現を誘導させるため、通常は5℃以上、好ましくは10℃以上、特に好ましくは約15℃で発現誘導させる。
本発明の低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターを作製する場合、本発明のポリヌクレオチドを挿入するためのベクターとしては、pCold Iベクター、pCold IIベクター、pCold IIIベクター、pCold IVベクター(以上、タカラバイオ社製)などを好適に使用することができる。これらのベクターを使用して、原核細胞を宿主として発現させた場合、融合蛋白質を宿主細胞の細胞質中に可溶性蛋白質として産生させることができる。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターを導入する宿主としては、原核細胞が好ましく、さらに大腸菌が好ましく、特にBL21株、JM109株が好ましく、なかでもBL21株が好ましい。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが導入された形質転換体を細胞増殖させる培養温度は、通常25〜40℃、好ましくは30〜37℃である。発現誘導させる温度は、通常4〜25℃、好ましくは10〜20℃、より好ましくは12〜18℃、特に好ましくは15℃である。
また、発現ベクターとしては、次のプロモーター配列、コード配列、及び制限酵素サイトを含有する発現ベクターなどが挙げられる:
(1)発現誘導可能なプロモーター配列;
(2)式(Z)
(式中、n及びZは前記と同じ意味を表す。)
で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる活性又は機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(4)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列を挿入することができる少なくとも1つの制限酵素サイト。
「(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列を挿入することができる少なくとも1つの制限酵素サイト」とは、(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列を挿入することができる制限酵素認識部位を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドである。前記制限酵素サイトとしては、(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列を挿入することができればよく、特に制限はないが、いわゆるマルチクローニングサイトであるのが好ましい。マルチクローニングサイトなどの制限酵素サイトは、当技術分野において周知であり、報告されている(例えば、Yanisch-Perron, C., Vieira, J. and Messing, J. Gene 33 (1985) 103-119、Improved M13 phage cloning vectors and host strains: Nucleotide sequences of the M13mp18 and pUC19 vectors. Gene 33 (1985) 103-119など参照)。
このような発現ベクターの(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列を挿入することができる少なくとも1つの制限酵素サイトに、上述の(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを連結(挿入)することにより、融合蛋白質を発現できる発現ベクターを作製することができる。
このような発現ベクターとしては、なかでも、次のプロモーター配列、コード配列、及び制限酵素サイトを含有する発現ベクターが好ましい。
(1)低温で発現誘導可能なプロモーター配列;
(2)式(Z)
(式中、Zは前記と同じ意味を表す。)
で表されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
(3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;及び
(4)(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列を挿入することができる少なくとも1つの制限酵素サイト。
前記第1のコード配列の5’側に、さらに精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列を含有していてもよい。精製のためのアミノ酸配列については、前記した通りである。
3.4.融合蛋白質及び本発明の蛋白質の製造
また、本発明は、前記形質転換体を培養し、融合蛋白質を生成させる工程を含む、融合蛋白質の製造方法を提供する。融合蛋白質は、例えば、前記形質転換体を本発明の融合蛋白質をコードするポリヌクレオチド(DNA)が発現可能な条件下で培養し、融合蛋白質を生成・蓄積させ、分離・精製することによって製造することができる。
さらに、本発明は、融合蛋白質をリンカーペプチドの切断サイトで切断し、式(Z)で表わされるポリペプチドのない、N末端にGly−Pro−Glu−Pheが付加した(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドを含む蛋白質(本発明の蛋白質)を得る工程を含む、本発明の蛋白質の製造方法を提供する。本発明の蛋白質は、例えば、前記製造した融合蛋白質を、リンカーペプチドの切断サイトで切断し、分離・精製することによって製造することができる。
(形質転換体の培養)
本発明の形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。該培養によって、形質転換体によって本発明の融合蛋白質が生成され、形質転換体内又は培養液中などに融合蛋白質が蓄積される。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する培地としては、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプンなどの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが用いられる。無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)などを、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)などを培地に添加してもよい。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加える。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加える。
宿主が酵母である形質転換体を培養する培地としては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (1980))や0.5%(w/v)カザミノ酸を含有するSD培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 5330 (1984))があげられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する培地としては、たとえば約5〜20%(v/v)の胎児牛血清を含むMEM培地(Science, 122, 501 (1952)),DMEM培地(Virology, 8, 396 (1959))などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する培地としては、Grace's Insect Medium(Nature,195,788(1962))に非働化した10%(v/v)ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
なお、低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが導入された形質転換体を細胞増殖させる培養温度及び発現誘導させる温度は、前記した通りである。
(融合蛋白質の分離・精製)
上記培養物から、融合蛋白質を分離・精製することによって、融合蛋白質を得ることができる。ここで、培養物とは、培養液、培養菌体若しくは培養細胞、又は培養菌体若しくは培養細胞の破砕物のいずれをも意味する。融合蛋白質の分離・精製は、通常の方法に従って行うことができる。
具体的には、本発明の融合蛋白質が培養菌体内若しくは培養細胞内に蓄積される場合には、培養後、通常の方法(例えば、超音波、リゾチーム、凍結融解など)で菌体若しくは細胞を破砕した後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により融合蛋白質の粗抽出液を得ることができる。融合蛋白質がペリプラズムスペース中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば浸透圧ショック法など)により融合蛋白質を含む抽出液を得ることができる。融合蛋白質が培養液中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により菌体若しくは細胞と培養上清とを分離することにより、融合蛋白質を含む培養上清を得ることができる。
このようにして得られた抽出液若しくは培養上清中に含まれる融合蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、又は適宜組み合わせて用いることができる。融合蛋白質が上述した精製のためのアミノ酸配列を含有する場合、これを用いて精製するのが好ましい。具体的には、融合蛋白質がヒスチジンタグ配列を含有する場合にはニッケルキレートアフィニティークロマト法、S−トランストランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインを含有する場合にはグルタチオン結合ゲルによるアフィニティークロマト法を用いることができる。
(融合蛋白質の切断)
上記融合蛋白質の切断は、公知の方法により行うことができる。
具体的には、融合蛋白質は、切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドを含むので、上記融合蛋白質を、切断物質で処理することによって、式(Z)nで表わされるポリペプチドが融合蛋白質から除去され、N末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドが付加した(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドを含む蛋白質を得ることができる。
切断物質としては、例えば、酵素的切断物質と化学的切断物質を挙げることができる。酵素的切断物質は、好ましくは、プロテアーゼである。プロテアーゼとしては、例えば、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼなどが挙げられる。
切断サイトを有するリンカーペプチドは、好ましくは、配列番号:6のアミノ酸配列からなるリンカーペプチドである。配列番号:6のアミノ酸配列からなるリンカーペプチドは、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断サイトを有する。ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断サイトの切断に用いるプロテアーゼとしては、例えば、PreScission protease(GE−Healthcare Bio−Science、Piscataway、NJ)を挙げることができる。
(本発明の蛋白質の分離・生成)
上記切断処理物中に含まれる本発明の蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、又は適宜組み合わせて用いることができる。融合蛋白質が上述した精製のためのアミノ酸配列を含有する場合、これを用いて精製するのが好ましい。具体的には、融合蛋白質がヒスチジンタグ配列を含有する場合にはニッケルキレートアフィニティークロマト法、S−トランストランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインを含有する場合にはグルタチオン結合ゲルによるアフィニティークロマト法を用いることができる。これにより、切断処理物中の、未切断の融合蛋白質及び切断された式(Z)で表わされるポリペプチドから、本発明の蛋白質を分離・精製することができる。
4.本発明のカルシウム結合型発光蛋白質
本発明のカルシウム結合型発光蛋白質は、本発明の蛋白質の製造方法により製造した蛋白質と、セレンテラジン又はセレンテラジン類縁体とを接触させて、カルシウム結合型発光蛋白質を得ることにより、製造又は再生することができる。
ここで、「接触」とは、本発明の蛋白質と、セレンテラジン又はセレンテラジン類縁体とを同一の反応系に存在させることを意味し、例えば、セレンテラジン又はセレンテラジン類縁体を収容した容器に本発明の蛋白質を添加すること、本発明の蛋白質を収容した容器にセレンテラジン又はセレンテラジン類縁体を添加すること、又は本発明の蛋白質とセレンテラジン又はセレンテラジン類縁体とを混合すること、などが含まれる。本発明の1つの態様によれば、接触は、還元剤(例えば、メルカプトエタノール、又はジチオスレイトールなど)及び酸素の存在下、低温で行う。より具体的には、本発明の発光蛋白質は、例えば、Shimomura 0.et al (1988) Biochem. J.251,405-410 およびShimomura 0.et al. Biochem. J. (1989)261, 913-920などに記載の方法によって製造することができる。本発明の発光蛋白質は、酸素存在下において、本発明の蛋白質と、セレンテラジンと分子状酸素から生成するセレンテラジンのペルオキシドとが複合体を形成した状態で存在する。前記複合体にカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な発光を示し、セレンテラジンの酸化物であるセレンテラミドと二酸化炭素を生成する。前記複合体を「本発明の発光蛋白質」と称することがある。
セレンテラジン類縁体としては、例えば、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、bis−セレンテラジン、e−セレンテラジン、及びメトキシセレンテラジンからなる群から選択されるものを挙げることができる。本発明の好ましい態様によれば、セレンテラジン類縁体は、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、及びe−セレンテラジンからなる群から選択される。本発明の別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、n−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、cp−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、hcp−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、f−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、fcp−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、h−セレンテラジンである。本発明のさらに別の態様によれば、セレンテラジン類縁体は、e−セレンテラジンである。
5.本発明のカルシウム結合蛋白質などの利用
(カルシウムイオンの検出または定量)
上述したように、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)は、セレンテラジンまたはセレンテラジン類縁体と分子状酸素より生成するセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン類縁体のペルオキシドと非共有的な結合を形成することによって生成可能な蛋白質であって、且つカルシウムイオンの作用によって発光する発光蛋白質(ホロ蛋白質)を形成することができる。よって、本発明の蛋白質または本発明の発光蛋白質は、カルシウムイオンの検出または定量に使用することができる。
カルシウムイオンの検出または定量を行う場合には、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)とセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン類縁体のペルオキシドとからなる発光蛋白質を使用する。発光蛋白質は、前述した方法に従って製造することができる。カルシウムイオンの検出または定量は、検体溶液を直接発光蛋白質溶液に添加し、発生する発光を測定することにより行うことができる。あるいは、検体溶液に発光蛋白質溶液を添加し、発生する発光を測定することにより、カルシウムイオンを検出または定量することもできる。また、前記発光蛋白質は、カルシウムイオンの検出または定量を行う測定系に添加する前に、予め本発明の蛋白質(アポ蛋白質)水溶液とセレンテラジンまたはその誘導体(例えば、h-セレンテラジン、e-セレンテラジン、cl-セレンテラジン、ch-セレンテラジン、hcp-セレンテラジンなど)とを接触させて生成させたものを用いてもよい。また、測定系中で、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)とセレンテラジンまたはその誘導体)とを接触させることにより、本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドとからなる発光蛋白質を生成させてもよい。生成した発光蛋白質は、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドとの複合体(発光蛋白質)であり、前記複合体(すなわち本発明の発光蛋白質)はカルシウムイオン濃度依存的に発光する。従って、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)または本発明の発光蛋白質は、カルシウムイオンの検出に使用することができる。カルシウムイオンの検出は、具体的には、前述の通り、検体溶液を直接発光蛋白質溶液に添加し、発生する発光を測定することにより行うことができる。あるいは、検体溶液に発光蛋白質溶液を添加し、発生する発光を測定することによりカルシウムイオンを検出することもできる。
カルシウムイオンの検出または定量は、カルシウムイオンによる本発明の発光蛋白質の発光を、発光測定装置を用いて測定することにより行うことができる。発光測定装置としては、市販されている装置、例えば、Centro LB 960(ベルトールド社製)などを使用することができる。カルシウムイオン濃度の定量は、発光蛋白質を用いて、既知のカルシウムイオン濃度に対する発光標準曲線を作成することにより、測定可能である。本発明の好ましい態様によれば、検出または定量するカルシウムイオンは、高濃度、例えば、10−6M〜10−4Mの濃度範囲である。
本発明の蛋白質は、本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン類縁体のペルオキシドとからなる発光蛋白質を作製し、前記発光蛋白質をマイクロインジェクション法などの手法により細胞内に直接導入することによって、生理的条件下の細胞内カルシウムイオン濃度変化の検出に利用することもできる。
本発明の蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、アポ蛋白質遺伝子(本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド)を細胞内で発現させることによって、細胞内で生成させてもよい。さらに、生成した本発明の蛋白質(アポ蛋白質)に細胞外よりセレンテラジンまたはその誘導体を付与することにより、発光蛋白質を生成させてもよい。
このようにして細胞内に導入した、または細胞内で生成した本発明の発光蛋白質を用いて、外部刺激(たとえば、レセプターに関与する薬剤による刺激等)に対する細胞内のカルシウムイオン濃度の変化を測定することもできる。
(レポーター蛋白質としての利用)
本発明の蛋白質は、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(すなわち、本発明のポリヌクレオチド)を、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列(例えば、エンハンサーなど)に融合したベクターを構築する。前記ベクターを宿主細胞に導入し、本発明の蛋白質に由来する発光(すなわち、本発明の発光蛋白質の発光)を検出することにより、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列の活性を測定することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、上述のようにして、レポーター遺伝子として利用することができる。
(発光による検出マーカとしての利用)
本発明の蛋白質は、発光による検出マーカとして利用することができる。本発明の検出マーカは、例えば、イムノアッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイなどにおける目的物質の検出に利用することができる。本発明の発光蛋白質を化学修飾法など通常用いられる方法により目的物質(蛋白質あるいは核酸など)と結合させて使用することができる。このような検出マーカを用いた検出方法は、通常の方法によって行うことができる。また、本発明の検出マーカは、例えば、目的物質との融合蛋白質として発現させ、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入することによって、前記目的物質の分布を測定するために利用することもできる。このような目的物質などの分布の測定は、発光イメージング等の検出法などを利用して行うこともできる。なお、本発明の蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、細胞内で発現させて用いることもできる。
(アミューズメント用品の材料)
本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン類縁体のペルオキシドとからなる複合体(本発明の発光蛋白質)は、微量のカルシウムイオンと結合するだけで発光する。よって、本発明の蛋白質、本発明の発光蛋白質などは、アミューズメント用品の材料の発光基材として好適に使用することができる。アミューズメント用品としては、たとえば、発光シャボン玉、発光アイス、発光飴、発光絵の具等があげられる。本発明のアミューズメント用品は、通常の方法によって製造することができる。
(生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法)
本発明の発光蛋白質は、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法による分子間相互作用の原理を利用した生理機能の解析や酵素活性の測定等の分析方法に利用することができる。
例えば、本発明の発光蛋白質をドナー蛋白質として使用し、有機化合物又は蛍光蛋白質をアクセプター蛋白質として使用して、両者の間で生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)を起こすことにより蛋白質間の相互作用を検出することができる。本発明のある態様では、アクセプター蛋白質として使用する有機化合物は、Hoechist3342、Indo-1又はDAP1などである。本発明の別の態様では、アクセプター蛋白質として使用する蛍光蛋白質は、緑色蛍光蛋白質(GFP)、青色蛍光蛋白質(BFP)、変異GFP蛍光蛋白質又はフィコビリンなどである。本発明の好ましい態様において、解析する生理機能は、オーファン受容体(特にG蛋白質共役受容体)、アポトーシス、又は遺伝子発現による転写調節などである。また、本発明の好ましい態様において、分析する酵素は、プロテアーゼ、エステラーゼ又はリン酸化酵素などである。
BRET法による生理機能の解析は、公知の方法で行うことができ、例えば、Biochem. J. 2005, 385, 625-637、又はExpert Opin. Ther Tarets, 2007 11: 541-556などに記載の方法に準じて行うことができる。また、酵素活性の測定も、公知の方法で行うことができ、例えば、Nat Methods 2006, 3:165-174、又はBiotechnol J. 2008, 3:311-324などに記載の方法に準じて行うことができる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を実施できる。発明を実施するための最良の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
[方法及び材料]
材料
組換えイクオリンをShimomura & Inouye, Protein Express. Purif. 16 (1999) 91-95、クライティン−IをInouye & Sahara, Protein Express. Purif. 53 (2007) 384-389、及びクライティン−IIをInouye, J. Biochem. 143 (2008) 711-717の記載に従って調製した。
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA・2Na)、CaCl・2HO、100mM CaCO標準溶液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、(±)−ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、イミダゾール、NiSO・6HO、(NHSO、及びn−セレンテラジン(n−CTZ)を和光純薬(株)より入手した。
キレートセファロース ファーストフロー 、及びPreScission proteaseをGE−Healthcare Bio−Science(Piscataway、NJ)より入手した。
cp−セレンテラジン(cp−CTZ)、hcp−セレンテラジン(hcp−CTZ)、f−セレンテラジン(f−CTZ)、及びfcp−セレンテラジン(fcp−CTZ)をプロメガ社(madison、WI)より入手した。
セレンテラジン(CTZ)、h−セレンテラジン(h−CTZ)、及びBis−セレンテラジン(Bis−CTZ)を、チッソ株式会社より入手した。
e−セレンテラジン(e−CTZ)、及びメトキシセレンテラジン(MeO−CTZ)を寺西克倫先生(三重大学)よりご提供頂いた(合成方法については、Shimomura et al., Biochem.J. 251(1988) 405-410など参照。)。
pCold−ZZ−P−Xの構築
pCold−ZZ−P−Xは、低温で発現誘導可能なベクターであり、ニッケルキレートアフィニティークロマトグラフィのためのヒスチジンタグ配列と、ZZドメイン配列と、目的蛋白質のコード配列との間のヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ(PreScission protease)の切断配列と、マルチクローニング部位(EcoRI/XhoI/HindIII/SalI/PstI/XbaI)とを含む。pCold−ZZ−P−Xは、pCold−ZZ−X(Inouye & Sahara, Biochem. Biophys. Res. Commun.376 (2008) 448-453)から次の手順で構築した。
pCold−ZZ−Xを制限酵素BamHI/EcoRIで消化後、PreScission protease の切断認識配列をもつ合成リンカー(PreScission B/E−F(配列番号:13、5’ GA TCT CTG GAA GTT CTG TTC CAG GGG CCC G 3’)とPreScission B/E−R(配列番号:14、5’ AA TTC GGG CCC CTG GAA CAG AAC TTC CAG A 3’))を合成し、pCold−ZZ−XのBamHI−EcoRIサイトに挿入することによりpCold−ZZ−P−Xを得た(図2(A)、及び(B))。本ベクターは、lac オペレーターによって制御されるコールドショックプロテインA(cspA)のプロモーター(Qing et al., Nature Biotechnol. 22 (2004) 877-882)を含む。
融合蛋白質発現ベクター(pCold−ZZ−P−MI)の構築
pCold−ZZ−P−MIは、大腸菌においてアポマイトロコミンとZZドメインとの融合蛋白質を発現するベクターである。pCold−ZZ−P−MIを次のように構築した。
pMI−17(Fagan et al., FEBS Lett., 333 (1993) 301-305)を鋳型とし、MI−5N/EcoRI(配列番号:15、5’ ggc GAA TTC GTC AAG CTT ACG ACT GAC TTT 3’ ;下線はEcoRIサイト)及びpCold−Rプライマー(配列番号:16、5’ GGC AGG GAT CTT AGA TTC TG 3’)のプライマーセットを用いて、Ex−Taq polimeraseにより、PCR増幅(25サイクル;94℃で1分間、50℃で1分間、及び72℃で1分間)を行い、組換えマイトロコミンのコード領域を含むフラグメントを得た。得られたフラグメントをEcoRIとXhoIで消化し、pCold−ZZ−P−XのEcoRI−XhoIサイトに挿入して、pCold−ZZ−P−MIを得た(図2(A))。Applied Biosystems model 310 DNA Sequencerと、BigDye Terminator v1.1 cycle sequence kitを用いて、pCold−ZZ−P−MIの塩基配列を確認した。
大腸菌細胞での融合蛋白質の発現と組換えアポマイトロコミンの精製
図1の手順に従って、組換えアポマイトロコミンを精製した。先ず、大腸菌細胞で可溶性蛋白質として融合蛋白質を発現させた。発現させた融合蛋白質は、6個のヒスチジン残基を含むヒスチジンタグと、ZZドメインと、プロテアーゼ切断サイトと、目的蛋白質(すなわち、組換えアポマイトロコミン)とを持つ。次に、大腸菌細胞で発現させた融合蛋白質を含む可溶性画分を、一回目のニッケルキレートカラムにかけた。そして、カラムに吸着した画分を、融合蛋白質を含む画分として回収した。次に、カラムから溶出させた融合蛋白質をプロテアーゼで切断した。さらに、融合蛋白質の切断フラグメントを2回目のニッケルキレートカラムにかけ、カラム通過画分を回収した。通過画分には、目的蛋白質である組換えアポマイトロコミンが含まれる。未切断融合蛋白質と切断ヒスチジンタグZZドメインはゲルに吸着させた。以下、これらの手順について詳細に説明する。
(i)可溶性蛋白質としてのHis−ZZ−P−アポマイトロコミン(His−ZZ−P−apoMI)の発現
宿主大腸菌株としてBL21(Novagen、Madison、WI)を用いた。アンピシリン(50μg/ml)を含有する10mlのLuria−Bertani培地で、37℃で18時間、pCold−ZZ−P−MIを含むBL21株を培養した。この種培養を、400mlのLB培地を含む3Lフラスコに植菌し、3時間培養し、その後、冷水で、1時間冷却した。その培地に、最終濃度が0.2mMとなるようにIPTGを加えた後、さらに15℃で17時間培養した。800mlの培養液から、3000xgで5分間の遠心分離により大腸菌を回収し、80mlの50mM Tris−HCl(pH7.6)中に懸濁し、Branson model 250 sonifier(Danbury、CT)を用いて行い、冷却しながら3分間に3回の超音波処理することにより大腸菌を破壊した。12000xgで20分間の遠心分離後、ZZ−P−アポマイトロコミンを含む上清を、20mM Tris−HCl(pH7.6)で平衡化したニッケルキレートカラム(カラムサイズ;2.5×6cm)に供した。250mlの50mM Tis−HCl(pH7.6)でカラムを洗浄した後、0.1Mイミダゾールで吸着したZZ−P−アポマイトロコミンを溶出させた。800mlの培養細胞からの融合蛋白質His−ZZ−P−apoMIの収量は、51.2mgであり、SDS−PAGE分析では、純度95%以上であった。
(ii)PreScission proteaseによるHis−ZZ−P−ApoMIの消化
最適な消化条件を検討するため、ニッケルキレートカラムから溶出したHis−ZZ−P−apoMI(2.2mg)を、150mM Nacl、1mM EDTA、1mM DTTを含む1mlの50mM Tris−HCl(pH7.0)中で、様々な量(1、3、10、及び20ug)のPreScission proteaseを用いて、4℃で18時間消化した。融合蛋白質His−ZZ−P−apoMIの消化は、SDS−PAGEにより分析した。
尚、以下の組換えアポマイトロコミンの精製のためには、9.3mgのHis−ZZ−P−apoMIにつき、6μgのPreScission proteaseを用いた。
(iii)組換えアポマイトロコミンの精製
PreScission proteaseによるHis−ZZ−P−ApoMIの消化処理溶液の中には、切断により生じるZZドメインと組換えアポマイトロコミンと、未切断His−ZZ−P−apoMIとが含まれる。切断ZZドメインと未切断His−ZZ−P−apoMIから組換えアポマイトロコミンを分離するため、PreScission protease処理溶液を、20mM Tris−HCl(pH7.6)で平衡化したニッケルキレートカラム(0.5 x6cm)に直接かけた。そして、組換えアポマイトロコミンを含む通過分画を回収した。
組換えマイトロコミンと半合成組換えマイトロコミンの発光活性の測定
組換えマイトロコミン又は半合成組換えマイトロコミンを再生は、1μlの2−メルカプトエタノールを含む1mlの30mM Tris−HCl(pH7.6)−10mM EDTA中で、1μgのセレンテラジン又はセレンテラジン類縁体(メタノール中に1μg/μl)と組換えアポマイトロコミン(1ug)を4℃で2時間放置することにより行なった。組換えマイトロコミンは、組換えアポマイトロコミンとセレンテラジンから再生させたものであり、半合成組換えマイトロコミンは、組換えアポマイトロコミンとセレンテラジン類縁体から再生させたものである。発光測定は、Hamamatsu R4220P photomultiplierに備えたアトー社製AB2200 luminometerを用いた。50mM CaClを含む50mM Tris−HCl(pH7.6)100μlを、再生させた組換えマイトロコミン又は半合成組換えマイトロコミン(1μl)へ注入し、10秒間測定し。初期発光強度(Imax)、発光能、及び半減衰時間を決定した。
組換えマイトロコミンのCa 2+ 検出感度の測定
組換えアポマイトロコミンから再生した組換えマイトロコミンを、0.01mM EDTAと0.1%ウシアルブミンと150mM NaClとを含む50mM Tris−HCl(pH7.6)中で溶解し、10μlの組換えマイトロコミン(5ng)を、50μlの様々なCa2+濃度(10−8.5〜10−4M)を含む50mM Tris−HCl(pH7.6)溶液に注入した。9124B photomultiplier(Electron tube limited、UK)に備え付けたBerthold technologies(Bad Wildbad、Germany) model Centro 960 luminometerを用いて、組換えマイトロコミンの発光強度を測定した。
組換え発光蛋白質の生物発光の発光スペクトルの測定
組換えマイトロコミン、クライティン−I、クライティン−II、及びイクオリンのCa2+による発光スペクトルは、Inouye & Sasaki FEBS Lett. 580 (2006) 1977-1982の記載に従って、 蛍光分光測定装置FP6500(日本分光社製)(発光バンド幅、10nm;レスポンス、0.5秒;感度、medium;走査速度、1000nm/min)により、22〜25℃で、励起光源を消した状態で、測定した。
蛋白質の解析
SDS−PAGE分析は、Laemmli, Nature 227 (1970) 680-685に記載に従って、12%分離ゲルを用いて、還元条件下で行った。電気泳動条件は、25mAの電流で90分間行った。泳動後、ゲルは、コロイドCBB染色キット(TEFCO)を用いて染色した。蛋白質濃度は、市販の蛋白質測定キット(Bio−Rad、Richmond、CA)によりウシ血清アルブミン(Pierce、Rockford、IL)標準物質としてBradfordの色素結合法(Bradford, Anal. Biochem. 72 (1976) 248-254)に従い、決定した。
質量分析
蛋白質の質量分析は、Voyager DE Pro mass spectrometer(PerSeptive Biosystems Inc.、Framingham、MA)を用いて、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−TOF−MS)により行った(Inouye et al., Anal. Biochem. 316 (2003) 216-222.)。
[結果及び考察]
大腸菌細胞で融合蛋白質(ZZドメイン結合アポマイトロコミン)を発現するベクターの構築
最近、本発明者らは、大腸菌を用いた低温誘導システムにおいて、ZZドメインを可溶性パートナーとした、目的蛋白質を可溶性蛋白質として発現させることに成功した(Inouye & Sahara, Biochem. Biophys. Res. Commun .376 (2008) 448-453)。
ZZドメインを除いた目的蛋白質を調製するには、融合蛋白質からZZドメインを取り除く必要がある。本発明者らは、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ(PreScission protease)の切断サイトをZZドメインと目的蛋白質の間に導入することで達成した(図1)。この目的のために、本発明者らは、新規発現ベクターpCold−ZZ−P−Xを構築した(図2)。これは、pCold−ZZ−X(Inouye & Sahara, Biochem. Biophys. Res. Commun .376 (2008) 448-453)に由来するベクターである(図1)。
大腸菌細胞の細胞質で融合蛋白質として発現させるため、pMI−17(Fagan et al., FEBS Lett. 333 (1993) 301-305)のアポマイトロコミンのコード領域をpCold−ZZ−P−XのEcoRI−XhoIサイトに挿入し、pCold−ZZ−P−MIを得た(図2(A))。この発現ベクターは、6つのヒスチジンを含むヒスチジンタグ配列と、ZZドメイン配列と、PreScission proteaseの切断配列と、cspAプロモーターと、lac オペレーターの制御下にアポマイトロコミンのcDNAの一部(配列番号:7の第42番目〜第614番目の塩基配列)とを有する。15℃での低温および0.2mM IPTGを用いて融合蛋白質の発現を誘導した。融合蛋白質の塩基配列を配列番号:11に、アミノ酸配列を配列番号:12に、それぞれ示す(図8)。
ZZドメイン結合アポマイトロコミンからの組換えアポマイトロコミンの精製
融合蛋白質(ヒスチジンタグZZドメイン結合アポマイトロコミン:His−ZZ−P−apoMI)を大腸菌細胞の細胞質で可溶性蛋白質として発現させ、ニッケルキレートアフィニティクロマトグラフィにより精製した(図3、レーン 2)。800mlの培養細胞から、51.7mgの精製His−ZZ−P−apoMIを得た(表1)。His−ZZ−P−apoMIからZZドメインを取り除くために、様々な濃度のPreScission proteaseを用いて、PreScission proteaseの切断条件を調べた(図3のレーン 3〜6)。その結果、PreScission proteaseに対するHis−ZZ−P−apoMIの割合が2000倍を超える条件下で、ZZドメインのない組換えアポマイトロコミンを得ることができた(図3のレーン 6)。融合蛋白質をPreScission proteaseによって消化処理した後、消化処理物を、直接、ニッケルカラムにかけて、未切断His−ZZ−P−apoMIと切断ヒスチジンタグZZドメインから組換えアポマイトロコミンを分離した。このようにして、組換えアポマイトロコミンを含む分画を得た(図4、レーン 5)。還元条件でのSDS−PAGE分析では、組換えアポマイトロコミンは、95%以上の純度で24kDaの分子量を示した(図4、レーン 5)。ニッケルキレートクロマトグラフィーにより、5.9mgの組換えアポマイトロコミンが得られた(表1)。
PreScission protease切断により融合蛋白質が正確に切断されていることを確認するために、MALDI−TOF−MS解析を行い、質量値m/z22,245.3を観測した。この質量値は、精製組換えアポマイトロコミンの計算平均質量[M+H]+22,261.9と良く一致していた。このことから、PreScission protease消化によりZZドメインを正確に切断できたことを確認した。すなわち、組換えアポマイトロコミンは、Gly-Pro-Glu-Pheの追加のアミノ酸配列をN末端に含む194アミノ酸残基からなる組換え蛋白質である。組換えアポマイトロコミンの塩基配列を配列番号:9に、アミノ酸配列を配列番号:10に示す。
組換えマイトロコミンの発光スペクトル解析
組換えイクオリン調製の場合の方法(Inouye et al., J. Biochem. 105(1989) 473-477)と同様に、2−メルカプトエタノールの存在下、4℃で、セレンテラジン又はセレンテラジン類縁体とともに組換えアポマイトロコミンをインキュベートすることにより、組換えマイトロコミン又は半合成組換えマイトロコミンを再生させた。2時間放置で、組換えマイトロコミン又は半合成組換えマイトロコミンを95%以上再生できた。組換えマイトロコミンのCa2+添加による発光スペクトルを測定し、他の発光蛋白質の発光スペクトルと比較した(図5)。組換えマイトロコミン生物発光スペクトルは、456nmで発光ピークを示し、72nmの半値全幅(FWHM)であった(図5)。このスペクトルは、天然マイトロコミン(Halistaurin)やマイトロコミンの粗調製物のもの(Fagan et al., FEBS Lett. 333 (1993) 301-305及びShimomura et al., Biochem. J. 228 (1985) 745-749)と似ているが、一致していない。同条件下で、イクオリン(Inouye & Sasaki, FEBS Lett. 580 (2006) 1977-1982)とクライティン(Inouye, J. Biochem. 143 (2008) 711-717及びInouye & Sahara, Protein Express. Purif. 53 (2007) 384-389)は、それぞれ、84nmのFWHMで460nmの最大発光波長であり、76nmのFWHMで470nmの最大発光波長である。これらの結果は、組換えアポマイトロコミン内において、発光源となったセレンテラミドの環境が、アポイクオリンやアポクライティンのものと異なることを示唆する。
組換えマイトロコミンと半合成組換えマイトロコミンの発光特性
Ca2+添加による組換えマイトロコミンの発光パターンを図6(A)に示した。半減衰時間は1.33秒であり、他のすべての発光蛋白質のものより遅い減衰時間を示した。
半合成イクオリンの調製法(Shimomura et al., Biochem. J. 270 (1990) 309-312及びShimomura et al., Cell Calcium, 14 (1993) 373-378)と同様の手順により、組換えアポマイトロコミンとセレンテラジン類縁体をインキュベートすることにより半合成組換えマイトロコミンを調製した。過剰のCa2+を半合成組換えマイトロコミンに添加し、初期発光強度、発光量、及び半減衰時間を測定し、他の論文に記載のイクオリンや、クライティン−I、クライティン−IIのものと比較した。その比較結果を、表2に示す。また、発光パターンを比較した結果を、図6(A)に示す。さらに、半合成組換えマイトロコミンの発光パターンを図6(B)に示す。興味深いことに、n−セレンテラジンから得られた組換えn−マイトロコミンは、ゆっくりと大きくなる発光パターンを示し、10秒を超える半減衰時間を有した。また、hcp−セレンテラジンやfcp−セレンテラジンから得られた半合成組換えマイトロコミンは、他の発光蛋白質よりも良好な発光強度を示した。セレンテラジンにおけるイミダゾピラジノン構造の8位のシクロフェニル(cp)基は、マイトロコミンの発光強度に有意に影響を与えるものと考えられる。
組換えマイトロコミンのCa 2+ 検出感度
標準Ca2+溶液中に組換えマイトロコミンを注入することにより、組換えマイトロコミンのCa2+に対する検出感度を測定し、Inouye, J. Biochem. 143 (2008) 711-717又はInouye & Sahara, Protein Express. Purif. 53 (2007) 384-389に記載されている他の発光蛋白質のものと比較した。標準Ca2+溶液のCa2+濃度を10−8.5〜10−4Mと変動させたところ、10−6〜10−4Mの高濃度でCa2+で組換えマイトロコミンを検出することができた。この結果は、組換えマイトロコミンの感度が、天然マイトロコミン(halistaurin)(Shimomura et al., Biochem. J. 228 (1985) 745-749)を含む天然の発光蛋白質や、他の組換え発光蛋白質(Inouye, J. Biochem. 143 (2008) 711-717、Inouye & Sahara, Protein Express. Purif., 53 (2007) 384-389、及びMarkova et al., Biochemistry, 41 (2002) 2227-2236)よりも10倍以上低いことが明らかとなった(図7)。この組換え蛋白質は、高濃度のCa2+の検出測定に使用することができる。
大腸菌細胞で発現させたZZドメイン融合蛋白質からの目的蛋白質の精製方法を示す図である。 切断サイトを有するZZドメイン融合蛋白質の発現ベクターを示す図である。(A)発現ベクターpCold−ZZ−P−Xのプラスミドマップである。cpsA:コールドショックプロテインAのプロモーター、TEF:translational enhancing element、His_Tag:6個のヒスチジンを含むヒスチジンタグ配列。(B)ZZドメインとマルチクローニングサイト(MCS)を含むpCold−ZZ−P−XのN末端領域のアミノ酸配列と塩基配列を示す図である。 His−ZZ−P−apoMIの様々な量のPreScission Proteaseによる酵素消化処理後のSDS−PAGE分析の結果を示す写真である。レーン 1:分子量マーカ(テフコ社製)(β−ガラクトシダーゼ(116kDa)、ホスフォリラーゼb(97.4kDa)、ウシ血清アルブミン(96.0kDa)、グルタミン酸脱水素酵素(55.0kDa)、乳酸脱水素酵素(36.5kDa)、カルボニックアンヒドラーゼ(29.0kDa)、及びトリプシンインヒビター(20.1kDa))、レーン 2:ニッケルカラムから溶出したHis−ZZ−P−apoMI(2.2μg蛋白質)、レーン 3:His−ZZ−P−apoMI/PreScission protease=2.2mg/20μg(6.6μg蛋白質)、レーン 4:His−ZZ−P−apoMI/PreScission protease=2.2mg/10μg(6.6μg蛋白質)、レーン 5:His−ZZ−P−apoMI/PreScission protease=2.2mg/3μg(6.6μg蛋白質)、レーン 6:His−ZZ−P−apoMI/PreScission protease=2.2mg/1μg(6.6μg蛋白質)。 組換えアポマイトロコミン精製の各ステップでの蛋白質のSDS−PAGE分析の結果を示す写真である。レーン 1:分子量マーカ、レーン 2:大腸菌の粗抽出物(16.5μg蛋白質)、レーン 3:ニッケルキレートカラムから溶出させた精製His−ZZ−P−apoMI(2.2μg蛋白質)、レーン 4:PreScission proteaseでの切断後にニッケルキレートカラムから溶出させた精製His−ZZ−P−apoMI(2.5μg蛋白質)、レーン 5:ニッケルキレートカラムから溶出させた精製組換えアポマイトロコミンの通過画分(1.6μg蛋白質)。 組換えマイトロコミン(MI)と、イクオリン(AQ)、クライティン−I(CL−I)、及びクライティン−II(CL−II)との生物発光の発光スペクトルを比較したスペクトル図である。イクオリン、クライティン−I、及びクライティン−IIの発光スペクトルは、Inouye, J. Biochem. 143 (2008) 711-717に記載のものである。 組換えマイトロコミンと半合成組換えマイトロコミンのCa2+添加による発光反応を示す図である。。(A)組み換えマイトロコミン(MI)と、イクオリン(AQ)、クライティン−I(CL−I)、及びクライティン−II(CL−II)との発光パターンを比較した図である。(B)Ca2+添加による、半合成組換えマイトロコミンの発光パターンを比較した図である。 組換えマイトロコミン(MI)、イクオリン(AQ)、クライティン−I(CL−I)、及びクライティン−II(CL−II)の初期発光強度とCa2+濃度との間の関係を示す図である。イクオリン及びクライティンのデータは、それぞれ、Inouye, J. Biochem. 143 (2008) 711-717と、Inouye & Sahara Protein Express. Purif. 53 (2007) 384-389に記載のものである。 融合蛋白質の塩基配列とアミノ酸配列を示す図である。
〔配列番号:1〕式Zで表されるポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:2〕式Zで表されるポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:3〕式(Z)で表されるポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕式(Z)で表されるポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:5〕リンカーペプチドをコードするDNAの塩基配列の一例を示す。
〔配列番号:6〕リンカーペプチドのアミノ酸配列の一例を示す。
〔配列番号:7〕アポマイトロコミンをコードするDNAの塩基配列の一例を示す(Accession No L31623)。
〔配列番号:8〕アポマイトロコミンのアミノ酸配列の一例を示す。
〔配列番号:9〕実施例で作製した組換えアポマイトロコミンのアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:10〕実施例で作製した組換えアポマイトロコミンのアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:11〕実施例で作製した融合蛋白質のアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:12〕実施例で作製した融合蛋白質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:13〕実施例で用いた合成リンカーDNAの塩基配列(F)を示す。
〔配列番号:14〕実施例で用いた合成リンカーDNAの塩基配列(R)を示す。
〔配列番号:15〕実施例で用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:16〕実施例で用いたプライマーの塩基配列を示す。

Claims (22)

  1. (1)発現誘導可能なプロモーター配列;
    (2)式(Z)
    (式中、nは1〜5の整数を表し、Zは以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるポリペプチドを表す:
    (a)配列番号:2のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (c)配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
    (d)配列番号:1の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチド)
    で表され、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第1のコード配列;
    (3)切断サイトを有し、かつ、切断したときに(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドのN末端にGly−Pro−Glu−Pheのアミノ酸配列からなるポリぺプチドを付加するリンカーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列;ならびに
    (4)以下の(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する第2のコード配列;
    (i)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (j)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有するポリペプチド、
    (k)配列番号:8の第9番目〜第198番目のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有するポリペプチド、及び
    (l)配列番号:7の第42番目〜第614番目の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有するポリペプチド、
    を含有する発現ベクターを用いて融合蛋白質を可溶性蛋白質として発現させ、
    該融合蛋白質をリンカーペプチドの切断サイトで切断し、N末端にGly−Pro−Glu−Pheが付加した前記(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドを含む蛋白質を得ることを含む、蛋白質を製造する方法。
  2. 前記式(Z)で表されるポリペプチドが、(Z)で表されるポリペプチドである、請求項1記載の方法。
  3. 前記式(Z)で表されるポリペプチドが、
    (e)配列番号:4のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (f)配列番号:4のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチド、
    (g)配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチド、及び
    (h)配列番号:3の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、リンカーペプチドと(i)〜(l)からなる群から選択されるポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチド
    からなる群から選択されるポリペプチドである、請求項2記載の方法。
  4. 前記発現誘導可能なプロモーター配列が、低温で発現誘導可能なプロモーター配列である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記低温で発現誘導可能なプロモーター配列が、コールドショック遺伝子のプロモーター配列である、請求項4記載の方法。
  6. 前記コールドショック遺伝子のプロモーター配列が、大腸菌コールドショック遺伝子のプロモーター配列である、請求項5記載の方法。
  7. 前記大腸菌コールドショック遺伝子のプロモーター配列が、大腸菌コールドショック遺伝子cspA、cspB、cspG、cspI又はcsdAのプロモーター配列である、請求項6記載の方法。
  8. 前記第1のコード配列の5’側に、さらに精製のためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含有するコード配列を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記精製のためのアミノ酸配列が、ヒスチジンタグ配列である、請求項8記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により製造した蛋白質と、セレンテラジン又はセレンテラジン類縁体とを接触させて、カルシウム結合型発光蛋白質を得ることを含む、カルシウム結合型発光蛋白質の製造方法。
  11. セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、Bis−セレンテラジン、e−セレンテラジン、及びメトキシセレンテラジンからなる群から選択される、請求項10記載の方法。
  12. セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、及びe−セレンテラジンからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
  13. 以下の(m)〜(p)からなる群から選択される蛋白質:
    (m)配列番号:10のアミノ酸配列からなる蛋白質;
    (n)配列番号:10のアミノ酸配列において、第1番目〜第4番目のアミノ酸以外の1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有する蛋白質;
    (o)配列番号:10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有し、第1番目〜第4番目のアミノ酸がGly−Pro−Glu−Pheであるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有する蛋白質;及び
    (p)配列番号:9の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ、第1番目〜第4番目のアミノ酸がGly−Pro−Glu−Pheであるアミノ酸配列からなり、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質のアポ蛋白質活性を有する蛋白質。
  14. 請求項13に記載の蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシド又はセレンテラジン類縁体のペルオキシドとを含む、カルシウム結合型発光蛋白質。
  15. セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、Bis−セレンテラジン、e−セレンテラジン、及びメトキシセレンテラジンからなる群から選択される、請求項14に記載の蛋白質。
  16. セレンテラジン類縁体が、n−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、hcp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、h−セレンテラジン、及びe−セレンテラジンからなる群から選択される、請求項15記載の蛋白質。
  17. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法によって製造したカルシウム結合型発光蛋白質を用いることを含む、カルシウムイオンを検出または定量する方法。
  18. 請求項13〜15のいずれか1項に記載のカルシウム結合型発光蛋白質を用いることを含む、カルシウムイオンを検出または定量する方法。
  19. 検出または定量するカルシウムイオンが10−6M〜10−4Mの濃度範囲である、請求項17または18に記載の方法。
  20. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法によって製造したカルシウム結合型発光蛋白をドナー蛋白質として用いて、生物発光共鳴エネルギー移動法を行うことを特徴とする、生理活性物質の分析方法。
  21. 請求項13〜15のいずれか1項に記載のカルシウム結合型発光蛋白をドナー蛋白質として用いて、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法を行うことを特徴とする、生理機能の解析方法。
  22. 請求項13〜15のいずれか1項に記載のカルシウム結合型発光蛋白をドナー蛋白質として用いて、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法を行うことを特徴とする、酵素活性の測定方法。
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