JP2021112164A - 新規ルシフェラーゼおよび蛍光蛋白質 - Google Patents

新規ルシフェラーゼおよび蛍光蛋白質 Download PDF

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Abstract

【課題】発光蛋白質のひとつであり、発光源になる発色団とアポ蛋白質で構成されているフォラシンのアポ蛋白質であるアポフォラシンに関する新たなポリヌクレオチド、発光反応方法、蛍光蛋白質の提供。【解決手段】特定の配列を有すポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリヌクレオチド、発光反応方法、蛍光蛋白質などに関する。
ヒカリカモメガイ(Pholas dactylus)の発光系は、1887年、Duboisにより最初に報告された。この発光系は、糖タンパク質である2種類蛋白質、フォラシン(分子量34kDaの活性酸素感受性発光蛋白質)とペルオキシダーゼ(銅イオンを含む2量体で分子量310kDa)から構成されている。
現在、フォラシンは、発光蛋白質のひとつであり、発光源になる発色団とアポ蛋白質で構成されている。
1990年、MullerとCampbellらは、ヒカリカモメガイの抽出物の蛍光スペクトルから、発色団は、セレンテラジンやウミホタルルシフェリンではなく、フラビン様骨格を持つと報告している(非特許文献1:Journal of Bioluminescence and Chemiluminescence(1990),5(1),25−30.)。
2000年、フォラシンのアポ蛋白質であるアポフォラシンのcDNA遺伝子が単離され、機能する20個の分泌シグナル配列を含む225個のアミノ酸よりなることが明らかになった(特許文献1:国際公開第00/28025号;非特許文献2:Journal of Biological Chemistry(2000),275(13),9403−9409.)。アポフォラシンのcDNA遺伝子を、大腸菌内発現した場合、アポフォラシンは、不溶性蛋白として発現するため、解析は行われていない。一方、昆虫細胞を用いた真核細胞性での発現においては、アポフォラシンは培養液に分泌発現することができたが、発現培養液とヒカリカモメガイのエタノール抽出物により、活性酸素と反応して発光する天然型フォラシンの再構成には、成功していない。
2008年、久世らは、セレンテラジンのデヒドロ体であるデヒドロセレンテラジンを市販の天然フォラシンに添加することにより、発光強度が増加することを示した(非特許文献3:Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2008),18(20),5657−5659.)。デヒドロセレンテラジンがアポフォラシンのSH基に共有結合し、その状態から、酸素と反応して発光すると説明している。
フォラシンを用いて、活性酸素種(ROS)を発光で高感度に検出する方法は、医薬研究で重要な手法である。フォラシンは、ROS検出キットとして市販されている。しかし、現在市販されているフォラシンは、イギリス海岸に生息するカモメガイより抽出・精製された天然由来のフォラシンのみであり、高価でありその供給量にも限界があり、安定に安価なフォラシンの提供が望まれている。
天然アポフォラシンのcDNAクローニングにより、一次構造が明らかになっているが、安価にアポフォラシン製造できる方法は確立されていない。
国際公開第00/28025号
Journal of Bioluminescence and Chemiluminescence(1990),5(1),25−30. Journal of Biological Chemistry(2000),275(13),9403−9409. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2008),18(20),5657−5659.
上記状況において、新たなポリヌクレオチド、発光反応方法、蛍光蛋白質などが求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。具体的には、実施例に示したように、発色源である発色団が不明であるフォラシンについて、その発光源を特定した。すなわち、1)蛋白質部分であるアポフォラシンを遺伝子組換えの手法で調製し、その安定供給を可能にしたうえで、2)発光源になる可能性のある化合物を化学合成し、その化合物とアポフォラシンを組み合わせることによって、発光能を確認した。その結果、1)アポフォラシンの最適化ヒト型およびヒト型遺伝子を化学合成し、宿主として動物培養細胞および大腸菌を用いることで、アポフォラシンを可溶性蛋白質として発現することができたこと、2)当該可溶性蛋白質に、セレンテラジン類を添加することにより、ルシフェラーゼ様の発光能を確認できたこと、などに基づき、本発明を完成するに至った。
ここでは、以下のものが提供される。
[1] 以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるいずれかのポリヌクレオチド:
(a)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列において1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
(d)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[2] 前記ポリヌクレオチドが、配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、上記[1]に記載のポリヌクレオチド。
[3] さらに、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含有する、上記[1]または[2]に記載のポリヌクレオチド。
[4] 配列番号3、配列番号4、配列番号6および配列番号8のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、上記[3]に記載のポリヌクレオチド。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
[6] 上記[5]に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
[7] 上記[6]に記載の形質転換体を培養し、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドがコードする蛋白質を生成させる工程を含む、蛋白質の製造方法。
[8] 上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、上記[5]に記載の組換えベクター、または上記[6]に記載の形質転換体を含むキット。
[9] さらに、セレンテラジン類を含む、上記[8]に記載のキット。
[10] セレンテラジン類が、セレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、上記[9]に記載のキット。
[11] (i)上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質;および
(ii)セレンテラジン類を含む、キット。
[12] (i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質;および
(ii)セレンテラジン類を含む、キット。
[13] 蛋白質が、配列番号5のアミノ酸配列を含有する、上記[12]に記載のキット。
[14] 蛋白質が、さらに、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を含有する、上記[12]または[13]に記載のキット。
[15] 蛋白質が、配列番号1、配列番号7または配列番号9のアミノ酸配列を含有する、上記[14]に記載のキット。
[16] セレンテラジン類がセレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、上記[11]〜[15]のいずれか1項に記載のキット。
[17] 上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質と、セレンテラジン類とを接触させることを含む、発光反応を行う方法。
[18] (i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質;および
(ii)セレンテラジン類を接触させることを含む、発光反応を行う方法。
[19] 蛋白質が、配列番号5のアミノ酸配列を含有する、上記[17]または[18]に記載の方法。
[20] 蛋白質が、さらに、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を含有する、上記[18]または[19]に記載の方法。
[21] 蛋白質が、配列番号1、配列番号7または配列番号9のアミノ酸配列を含有する、上記[20]に記載の方法。
[22] セレンテラジン類がセレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、上記[17]〜[21]のいずれか1項に記載の方法。
[23] 上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドをレポーター遺伝子として用い、プロモーター制御に関与する配列の活性を測定する方法。
[24] レポーター遺伝子のための発光基質として、セレンテラジン類を用いる、上記[23]に記載の方法。
[25] セレンテラジン類がセレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、上記[24]に記載の方法。
[26] (i)式(Z)
(式中、nは1〜5の整数を表し、Zは以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチドを表す:
(a)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号10のアミノ酸配列において1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド)
で表され、かつ、第2のアミノ酸配列との融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第1のアミノ酸配列;および
(ii)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
のアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列
を含有する、融合蛋白質。
[27] 融合蛋白質が配列番号7のアミノ酸配列を含有する、上記[26]に記載の融合蛋白質。
[28] (i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチド:
(a)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号14のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
であって、第2のアミノ酸配列との融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第1のアミノ酸配列;および
(ii)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
のアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列を有する蛋白質
を含有する、融合蛋白質。
[29] 融合蛋白質が配列番号9のアミノ酸配列を含有する、上記[28]に記載の融合蛋白質。
[30] 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
に、デヒドロセレンテラジン類を接触させて得られた蛍光蛋白質。
[31] 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
と、デヒドロセレンテラジン類を含む蛍光蛋白質。
[32] 上記[30]または[31]に記載の蛍光蛋白質を、カタラーゼおよびHにより生成する活性酸素種と接触させることを含む、発光反応を行う方法。
[33] 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
に、デヒドロセレンテラジン類を接触させることを含む、蛍光蛋白質の製造方法。
[34] 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
に、セレンテラジン類を接触させて得られた蛍光蛋白質。
[35] 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質;および
セレンテラミン類を含む蛍光蛋白質。
[36] 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
に、セレンテラジン類を接触させることを含む、蛍光蛋白質の製造方法。
ここでは、新たなポリヌクレオチド、発光反応方法、蛍光蛋白質などが提供される。
ウエスタンブロット解析によるアポフォラシン蛋白質の分泌発現の確認の結果を示す図である。レーン1:pcDNA3−opPhoをトランスフェクションしたCHO−K1細胞の培養液(300μL);レーン2:天然フォラシン蛋白質(0.15ug)。左の数字は、マーカー蛋白質の分子量(kDa)である。 ZZ融合蛋白質発現ベクターpCZZP−Xを示す図である。A:pCZZP−Xベクターのプラスミドマップ;B:ZZ蛋白質のアミノ末端領域の部分アミノ酸配列(配列番号20)(図2Bでは配列の一部が省略されている。);C:ZZ蛋白質のカルボキシ末端領域の部分塩基配列(配列番号21)(図2Cでは配列の一部が省略されている。);D:ZZ蛋白質のカルボキシ末端領域からの塩基配列決定用シークエンスプライマー(配列番号22)。 ZZ融合アポフォラシン蛋白質発現ベクターpCZZP−hPhoである。A:pCZZP−hPhoベクターのプラスミドマップ;B:ZZドメインとアポフォラシンの結合部分の塩基配列(配列番号6)とアミノ酸配列(配列番号7)。 GST融合蛋白質発現ベクターpCGST−P−Xを示す図である。A:pCGST−P−Xのプラスミドマップ;B:GST蛋白質のアミノ末端領域の部分アミノ酸配列(配列番号23)(図4Bでは配列の一部が省略されている。);C:GST蛋白質のカルボキシ末端領域の部分塩基配列(配列番号24)(図4Cでは配列の一部が省略されている。);D:GST蛋白質のカルボキシ末端領域からの塩基配列決定用シークエンスプライマー(GST1−1F:配列番号25;GST1−1R:配列番号26)。 GST融合アポフォラシン蛋白質発現ベクターpCGST−P−hPhoを示す図である。A:pCGST−P−hPhoベクターのプラスミドマップ;B:GSTとアポフォラシンの結合部分の塩基配列(配列番号8)とアミノ酸配列(配列番号9)。 GST融合アポフォラシン蛋白質とセレンテラジン類縁体による発光パターンを示す図である。 GST融合アポフォラシンとセレンテラジンの反応による発光スペクトルを示す図である。 セレンテラジンを基質とした場合のGST融合アポフォラシンの発光反応の至適pHを示す図である。 青色蛍光蛋白質の吸収スペクトル(a,b)と蛍光スペクトル(c)を示す図である。吸収スペクトル:a.蛋白質濃度0.67mg/mL、b.蛋白質濃度3.34mg/mL;蛍光スペクトル:c.蛋白質濃度0.34mg/mL,励起光=330nm。 HPLC分析による青色蛍光蛋白質の発色団CTMの同定を示す図である。A.標準サンプル:セレンテラミン(CTM),セレンンテラジン(CTZ),セレンテラミド(CTMD)およびデヒドロセレンテラジン(dCTZ);B.黄色蛍光蛋白質より抽出画分、米印はCTMを示す。 GST−apoPholasinによる新規セレンテラジン発光機構を説明する図である。 GST融合アポフォラシンとセレンテラジンとの発光反応および青色蛍光蛋白質生成の模式図である。GST−apoPho(GST融合アポフォラシン蛋白);CTZ(セレンテラジン);CTM(セレンテラミン);GST−apoPho:CTM(GST融合アポフォラシン蛋白とCTMの複合体)。 黄色蛍光蛋白質(GST−apoPho/dCTZ複合体)の吸収スペクトルと蛍光スペクトルである。A:吸収スペクトル、a.蛋白質濃度0.64mg/mL、b.蛋白質濃度9.88mg/mL;B:蛍光スペクトル、a.蛍光ペクトル(励起光=430nm)、b.励起スペクトル(エミッション光=540nm) GST融合アポフォラシンとデヒドロセレンテラジンによる黄色蛍光蛋白質生成の模式図である。GST−apoPho(GST融合アポフォラシン蛋白);dCTZ(デヒドロセレンテラジン);dCTZ*(デヒドロセレンテラジン互変異性体);GST−apoPho:dCTZ*(GST融合アポフォラシン蛋白とdCTZの複合体);Gu−HCl(グアニジン塩酸)。 次亜塩素酸ナトリウムによる天然フォラシンおよび黄色蛍光蛋白質の発光パターンを示す図である。a:次亜塩素酸ナトリウムによる天然フォラシンの発光パターン;b:次亜塩素酸ナトリウムによる黄色蛍光蛋白質の発光パターン。 過酸化水素水−カタラーゼ系における黄色蛍光蛋白質の発光パターンを示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。

1.蛋白質
ここで提供される蛋白質は、配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、および当該蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する蛋白質である。
「配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能」とは、例えば、セレンテラジンを基質とする発光活性、すなわち、ルシフェリン(ここでは、セレンテラジン)が酸素分子で酸化されてオキシルシフェリンが励起状態で生成する反応を触媒するようになる活性もしくは機能を意味する。なお、励起状態で生成したオキシルシフェリンは可視光を発して基底状態となる。
このような活性もしくは機能は、例えば、Inouye S.et al.Protein Express.Purif.(2013)、88、150−156に記載の方法によって測定することができる。具体的には、蛋白質をセレンテラジンと混合することにより発光反応を開始させ、発光測定装置を用いて発光活性を測定することができる。発光測定装置としては、市販されている装置、例えばAB2270 Luminescencer−Octa(アトー社製)を使用することができる。
セレンテラジンは、市販のものを入手して利用することができる。
「配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、および当該蛋白質と実質的に同質の活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する蛋白質」は、例えば、下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質である。
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質。
本願明細書において「1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加」とは、同一配列中の任意かつ1〜20個のアミノ酸配列中の位置において、1〜20個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加があることを意味する。
「1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列」における「1〜20個」の範囲は、例えば、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個である。欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸の数は、一般的に少ないほど好ましい。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。このような領域は、“Sambrook J.et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2012)”、“Ausbel F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38,John Wiley and Sons(1987−1997)”、“Nuc.Acids.Res.,10,6487(1982)”、“Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)”、“Gene,34,315(1985)”、“Nuc.Acids.Res.,13,4431(1985)”、“Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、o−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン;
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸;
C群:アスパラギン、グルタミン;
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸;
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン;
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン;
G群:フェニルアラニン、チロシン。
「配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列」における、「欠失、置換、挿入および/または付加」は、例えば、次の通りである。すなわち、欠失の例は、配列番号5のアミノ酸配列のカルボキシ末端より10個あるいは20個のアミノ酸の欠失である。置換の例は、配列番号5のアミノ酸配列内にある7個のシステイン残基(5番、45番、68番、117番、126番、166番、および184番)のうち少なくとも一個(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個または7個)のシステイン残基のセリン残基への置換である。
本願明細書において、「90%以上の同一性を有するアミノ酸配列」における「90%以上」の範囲は、例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上である。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Altzshul S.F.et al.,J.Mol.Biol.215,403(1990)参照)等の解析プログラムを用いて決定できる。BLASTを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
また、蛋白質は、後述のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質であってもよい。
好ましくは、蛋白質は、下記(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質である。
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、および
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質。
さらに好ましくは、蛋白質は、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリぺプチドを含有する蛋白質である。
ここで提供される蛋白質は、さらに他のペプチド配列をN末端および/またはC末端、好ましくはN末端に含んでいてもよい。すなわち、他のペプチド配列が、ここで提供される蛋白質のN末端および/またはC末端、好ましくはN末端に融合されていてもよい。他のペプチド配列を含む蛋白質を、「融合蛋白質」という場合がある。
他のペプチド配列としては、例えば、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を挙げることができる。
他のペプチド配列は、好ましくは、精製のためのペプチド配列および/または分泌シグナルペプチド配列である。別の好ましい態様では、他のペプチド配列は、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、および蛋白質を可溶性蛋白質として発現するための配列からなる群から選択される少なくとも1つの配列である。
融合蛋白質は、さらに、制限酵素サイトのリンカー配列が含まれていてもよい。
翻訳促進のためのペプチド配列としては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。翻訳促進のためのペプチド配列としては、例えば、TEE配列が挙げられる。
精製のためのペプチド配列としては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、例えば、ヒスチジン残基が4残基以上、好ましくは6残基以上連続したアミノ酸配列を有するヒスチジンタグ配列、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の配列、プロテインAの配列、およびアビジンタグ配列が挙げられる。いくつかの態様では、精製のためのペプチド配列として、ヒスチジンタグ配列、および/またはGSTの配列を用いる。ここで、GSTは、例えば、以下のものである。
以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチド:
(a)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号14のアミノ酸配列において1〜20個(例えば、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド。
好ましくは、GSTは、配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
分泌シグナルペプチドとは、当該分泌シグナルペプチドに結合された蛋白質を、細胞膜透過させる役割を担うペプチド領域を意味する。このような分泌シグナルペプチドのアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列は、当技術分野において周知であり、報告されている(例えばvon Heijine G(1988)Biochim.Biohys.Acra 947:307−333、von Heijine G(1990)J.Membr.Biol.115:195−201参照)。分泌シグナルペプチドとしては、例えば、真核細胞において分泌可能なシグナルペプチドであり、分泌ルシフェラーゼであるガウシアルシフェラーゼ(Inouye S,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun,(2013)437,23−28)およびウミホタルルシフェラーゼ(Thompson,E.M.et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86,6567−6571)のシグナルペプチド配列、内分泌ホルモンおよび成長因子由来のシグナルペプチド配列があげられ、さらに、天然アポフォラシン由来の分泌シグナルペプチド配列(配列番号16のアミノ酸配列からなるペプチド)なども挙げられる。
蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列としては、例えば式(Z)で表わされるポリペプチド配列、前述のGSTの配列を挙げることができる。式(Z)で表わされるポリペプチドのアミノ酸配列としては、特開2008−99669号に記載したものなどが挙げられる。具体的には、式(Z)で表わされるポリペプチドは、以下の通りである。
式(Z)
(式中、nは1〜5(すなわち、1、2、3、4または5)の整数を表し、Zは以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチドを表す:
(a)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号10のアミノ酸配列において1〜5個(例えば、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド)
で表されるポリペプチド。
好ましくは、式(Z)で表わされるポリペプチドは、式(Z)で表わされるポリペプチドである。好ましくは、式(Z)で表わされるポリペプチドは、以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチドである。
(a)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号12のアミノ酸配列において1〜5個(例えば、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号12のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド)
で表されるポリペプチド。
制限酵素サイトのリンカー配列としては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。
いくつかの態様では、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有する蛋白質が提供される。
別のいくつかの態様では、以下の融合蛋白質が提供される。
(i)式(Z)
(式中、nは1〜5の整数を表し、Zは以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチドを表す:
(a)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号10のアミノ酸配列において1〜5個(例えば、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド)
で表され、かつ、第2のアミノ酸配列との融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第1のアミノ酸配列;および
(ii)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個(例えば、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
のアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列
を含有する、融合蛋白質。
好ましくは、融合蛋白質は、以下のものである。
(i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される式(Z)で表わされるポリペプチド:
(a)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号12のアミノ酸配列において1〜5個(例えば、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号12のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド)
で表されるポリペプチド;および
(ii)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個(例えば、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光触媒活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
のアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列
を含有する、融合蛋白質。
より好ましくは、融合蛋白質は、配列番号7のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有する。
別のいくつかの態様では、以下の融合蛋白質が提供される。
(i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチド:
(a)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号14のアミノ酸配列において1〜20個(例えば、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
であって、第2のアミノ酸配列との融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第1のアミノ酸配列;および
(ii)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
(b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個(例えば、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
(c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上(例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
のアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列を有する蛋白質
を含有する、融合蛋白質。
好ましくは、融合蛋白質は、配列番号9のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有する。
いくつかの態様の蛋白質は、配列番号1、配列番号5、配列番号7、および配列番号9のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有する蛋白質である。
ここで提供される蛋白質の取得方法については特に制限はない。蛋白質としては、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組換え技術により作製した組換え蛋白質であってもよい。蛋白質を化学合成する場合には、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等により合成することができる。また、アドバンスドケムテック社製、パーキンエルマー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジーインストゥルメント社製、シンセセルーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製作所社製等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。蛋白質を遺伝子組換え技術により作製する場合には、通常の遺伝子組換え手法により作製することができる。より具体的には、蛋白質をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA)を適当な発現系に導入することにより、蛋白質を作製することができる。蛋白質をコードするポリヌクレオチド、蛋白質の発現系での発現などについては、後述する。
2.ポリヌクレオチド
ここでは、前述した蛋白質をコードするポリヌクレオチドも提供する。当該ポリヌクレオチドとしては、前述した蛋白質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよいが、好ましくはDNAである。DNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、細胞・組織由来のcDNA、細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAなどが挙げられる。ライブラリーに使用するベクターは、特に制限はなく、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、細胞・組織からtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドとしては、以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるいずれかのポリヌクレオチドが挙げられる。
以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるいずれかのポリヌクレオチド:
(a)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列において1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
(d)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
ここで、「セレンテラジンを基質とする発光活性」は、前述の通りである。
「1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列」とは、同一配列中の任意かつ1〜20個の塩基配列中の位置において、1〜20個の塩基の欠失、置換、挿入および/または付加があることを意味する。
「1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列」における「1〜20個」の範囲は、例えば、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個である。欠失、置換、挿入もしくは付加した塩基の数は、一般的に少ないほど好ましい。上記塩基の欠失、置換、挿入および付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。このような領域は、“Sambrook J.et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2012)”、“Ausbel F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38,John Wiley and Sons(1987−1997)”、“Nuc.Acids.Res.,10,6487(1982)”、“Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)”、“Gene,34,315(1985)”、“Nuc.Acids.Res.,13,4431(1985)”、“Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
ある塩基配列に対して、1もしくは20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加したポリヌクレオチドは、部位特異的変異導入法(例えば、Gotoh,T.et al.,Gene 152,271−275(1995)、Zoller,M.J.,and Smith,M.,Methods Enzymol.100,468−500(1983)、Kramer,W.et al.,Nucleic Acids Res.12,9441−9456(1984)、Kramer W,and Fritz H.J.,Methods.Enzymol.154,350−367(1987)、Kunkel,T.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.82,488−492 (1985)、およびKunkel,Methods Enzymol.85,2763−2766 (1988)参照)、アンバー変異を利用する方法(例えば、Gapped duplex法、Nucleic Acids Res.12,9441−9456(1984)参照)などを用いることにより得ることができる。
また目的の変異(欠失、付加、置換および/または挿入)を導入した配列をそれぞれの5’端に持つ1組のプライマーを用いたPCR(例えば、Ho S.N.et al.,Gene 77,51(1989)参照)によっても、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。
また欠失変異体の一種である蛋白質の部分断片をコードするポリヌクレオチドは、その蛋白質をコードするポリヌクレオチド中の作製したい部分断片をコードする領域の5’端の塩基配列と一致する配列を有するオリゴヌクレオチドおよび3’端の塩基配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、その蛋白質をコードするポリヌクレオチドを鋳型にしたPCRを行うことにより取得できる。
「配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列において1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列」における、「欠失、置換、挿入および/または付加」は、例えば、次の通りである。すなわち、欠失の例は、616番〜675番の欠失、646番〜675番の欠失などである。置換の例は、73番〜75番のシステイン残基をコードするコドンのセリン残基をコードするコドンへの置換、190番〜193番のシステイン残基をコードするコドンのセリン残基をコードするコドンへの置換、262番〜265番のシステイン残基をコードするコドンのセリン残基をコードするコドンへの置換、409番〜411番のシステイン残基をコードするコドンのセリン残基をコードするコドンへの置換、436番〜439番のシステイン残基をコードするコドンのセリン残基をコードするコドンへの置換、556番〜568番のシステイン残基をコードするコドンのセリン残基をコードするコドンへの置換、610番〜612番のシステイン残基をコードするコドンのセリン残基をコードするコドンへの置換などである。挿入の例は、69番目と70番目間に、システイン残基をコードするコドンの挿入である。付加の例は、61番目あるいは675番目に抗体に対するエピトープタグ配列をコードするペプチド配列、具体的には、ヒスチジン配列(HHHHHH)、c−Myc配列(EQKLISEED)、FLAG配列(DYKDDDK)、V5(GKPIPNPLLGLDST)や、リンカー配列をコードするペプチド配列、具体的には、(GGS)n(n=2〜6)などである。
「90%以上の同一性を有する塩基配列」における「90%以上」の範囲は、例えば、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上である。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Altzshul S.F.et al.,J.Mol.Biol.215,403(1990)参照)等の解析プログラムを用いて決定できる。BLASTを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドの全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/LのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、“Sambrook J.et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Fourth Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2012)”、“Ausbel F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38,John Wiley and Sons(1987−1997)”、“Glover D.M.and Hames B.D.,DNA Cloning 1:Core Techniques,A practical Approach,Second Edition, Oxford University Press(1995)”等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。
「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5(w/v)%SDS、50%(v/v)ホルムアミド、50℃の条件である。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要とする相補性が高くなる。具体的には、例えば、これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコールにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1%(w/v)SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、BLAST等の解析プログラムにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドと約60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAをあげることができる。なお、塩基配列の同一性は、前述した方法を用いて決定できる。
好ましい態様のポリヌクレオチドは、以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるポリヌクレオチドである。
(a)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列において1〜10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に対して95%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
(d)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
さらに好ましい態様のポリヌクレオチドは、以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリヌクレオチドである。
(a)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列において1〜5個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に対して98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
特に好ましい態様のポリヌクレオチドとして、配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドが挙げられる。
ポリヌクレオチドは、他のペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを、5’末端および/または3’末端、好ましくは5’末端に含んでいてもよい。他のペプチド配列としては、例えば、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を挙げることができる。
ポリヌクレオチドは、さらに、制限酵素サイトのリンカー配列をコードするポリヌクレオチドを含んでいてもよい。
翻訳促進のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている翻訳促進のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを使用することができる。翻訳促進のためのペプチド配列としては、前記したものなどが挙げられる。
精製のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている精製のためのペプチド配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、前記したものなどが挙げられる。ここで、GSTをコードする塩基配列を配列番号15に示す。
分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、当記述分野において知られている分泌シグナルペプチドをコードする核酸配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。分泌シグナルペプチドとしては、前記したものなどが挙げられる。
蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当記述分野において知られている可溶性タンパク質として発現するためのペプチドをコードする核酸配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチドとしては、前記したものなどが挙げられる。ここで、式Zで表されるポリペプチドをコードする塩基配列を配列番号11に示す。また、ZZをコードする塩基配列を配列番号13に示す。
制限酵素サイトのリンカー配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている精製のためのペプチド配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。
いくつかの態様のポリヌクレオチドは、配列番号3、配列番号4、配列番号6および配列番号8のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドである。
3.組換えベクターおよび形質転換体
さらに、ここでは、上述したポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび形質転換体が提供される。
[組換えベクターの作製]
組換えベクターは、適当なベクターに、前述のポリヌクレオチド(DNA)を連結(挿入)することにより得ることができる。より具体的には、精製されたポリヌクレオチド(例えば、DNA)を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入して、ベクターに連結することにより得ることができる。ポリヌクレオチドを挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、動物ウイルス等が挙げられる。プラスミドとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322,pBR325,pUC118,pUC119等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110,pTP5等)、および酵母由来のプラスミド(例えばYEp13,YEp24,YCp50等)があげられる。バクテリオファージとしては、例えば、λファージがあげられる。動物ウイルスとしては、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、および昆虫ウイルス(例えば、バキュロウイルス)があげられる。また、pCold Iベクター、pCold IIベクター、pCold IIIベクター、pCold IVベクター(以上、タカラバイオ社製)、PICZ aベクター(インビトロジェン社製)なども好適に使用することができる。
ポリヌクレオチドは、通常、適当なベクター中のプロモーターの下流に、発現可能なように連結される。用いられるプロモーターとしては、形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、Trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが好ましい。宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
また、低温で発現誘導可能なプロモーターも好適に使用することができる。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、例えば、コールドショック遺伝子のプロモーター配列が挙げられる。コールドショック遺伝子としては、例えば、大腸菌コールドショック遺伝子(例えば、cspA、cspB、cspG、cspI、およびcsdA)、Bacillus caldolyticusコールドショック遺伝子(例えば、Bc−Csp)、Salmonella entericaコールドショック遺伝子(例えば、cspE)、およびErwinia carotovoraコールドショック遺伝子(例えば、cspG)が挙げられる。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、なかでも、cspAプロモーター、cspBプロモーター、cspGプロモーター、cspIプロモーター、csdAプロモーターなどを好適に使用することができる。
組換えベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、選択マーカーなどを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子があげられる。
[形質転換体の作製]
このようにして得られた、ポリヌクレオチドを含有する組換えベクターを、適当な宿主中に導入することによって、形質転換体を作成することができる。宿主としては、前述のポリヌクレオチド(例えば、DNA)を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、シュードモナス属菌、リゾビウム属菌、酵母、動物細胞または昆虫細胞などがあげられる。エシェリヒア属菌としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などがあげられる。バチルス属菌としては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などがあげられる。シュードモナス属菌としては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などがあげられる。リゾビウム属菌としては、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)などがあげられる。酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などがあげられる。動物細胞としては、COS細胞、CHO細胞、HeLa細胞などがあげられる。昆虫細胞としては、Sf9、Sf21などがあげられる。
組換えベクターの宿主への導入方法およびこれによる形質転換方法は、一般的な各種方法によって行うことができる。組換えベクターの宿主細胞への導入方法としては、リン酸カルシウム法(Virology,52,456−457(1973))、リポフェクション法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987))、エレクトロポレーション法(EMBO J.,1,841−845(1982))などがあげられる。エシェリヒア属菌の形質転換方法としては、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)、Gene,17,107(1982)などに記載の方法などがあげられる。バチルス属菌の形質転換方法としては、Molecular & General Genetics,168,111(1979)に記載の方法などがあげられる。酵母の形質転換方法としては、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)に記載の方法などがあげられる。動物細胞の形質転換方法としては、Virology,52,456(1973)に記載の方法などがあげられる。昆虫細胞の形質転換方法としては、Bio/Technology,6,47−55(1988)に記載の方法などがあげられる。このようにして、蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有する組換えベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
[低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターおよび形質転換体]
発現ベクターとしては、なかでも低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが好ましい。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターとは、具体的には、次のプロモーター配列、およびコード配列を含有する発現ベクターを意味する:
(1)低温で発現誘導可能なプロモーター配列;および
(2)前述のポリヌクレオチドを含有するコード配列。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列とは、宿主細胞を増殖させる培養条件から、温度を下げることによって蛋白質の発現を誘導可能なプロモーター配列を意味する。低温で発現誘導可能なプロモーターとしては、例えば、コールドショック蛋白質をコードする遺伝子(コールドショック遺伝子)のプロモーターが挙げられる。コールドショック遺伝子のプロモーターとしては、前記したものが挙げられる。
ここで用いられる低温で発現誘導可能なプロモーターが発現誘導しうる温度としては、通常30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、特に好ましくは15℃以下である。ただし、より効率良く発現を誘導させるため、通常は5℃以上、好ましくは10℃以上、特に好ましくは約15℃で発現誘導させる。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターを作製する場合、ポリヌクレオチドを挿入するためのベクターとしては、pCold Iベクター、pCold IIベクター、pCold IIIベクター、pCold IVベクター(以上、タカラバイオ社製)などを好適に使用することができる。これらのベクターを使用して、原核細胞を宿主として発現させた場合、蛋白質を宿主細胞の細胞質中に可溶性蛋白質として産生させることができる。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターを導入する宿主としては、原核細胞が好ましく、さらに大腸菌が好ましく、特にBL21株、JM109株が好ましく、なかでもBL21株が好ましい。
低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが導入された形質転換体を細胞増殖させる培養温度は、通常25〜40℃、好ましくは30〜37℃である。発現誘導させる温度は、通常4〜25℃、好ましくは10〜20℃、より好ましくは12〜18℃、特に好ましくは15℃である。
4.蛋白質の製造
また、ここでは、前記形質転換体を培養し、前述の蛋白質を生成させる工程を含む、蛋白質の製造方法を提供する。蛋白質は、例えば、前記形質転換体の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(DNA)が発現可能な条件下で培養し、蛋白質を生成・蓄積させ、分離・精製することによって製造することができる。
[形質転換体の培養]
形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。該培養によって、形質転換体によって前述の蛋白質が生成され、形質転換体内または培養液中などに蛋白質が蓄積される。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する培地としては、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプンなどの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが用いられる。無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)などを、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)などを培地に添加してもよい。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加える。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加える。
宿主が酵母である形質転換体を培養する培地としては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培地(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,4505(1980))や0.5%(w/v)カザミノ酸を含有するSD培地(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,5330(1984))があげられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する培地としては、約5〜20%(v/v)の胎児牛血清を含むMEM培地(Science,122,501(1952)),DMEM培地(Virology,8,396(1959))などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する培地としては、Grace’s Insect Medium(Nature,195,788(1962))に非働化した10%(v/v)ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
なお、低温で発現誘導可能なプロモーター配列を含有する発現ベクターが導入された形質転換体を細胞増殖させる培養温度および発現誘導させる温度は、前記した通りである。
[蛋白質の分離・精製]
上記培養物から、蛋白質を分離・精製することによって、蛋白質を得ることができる。ここで、培養物とは、培養液、培養菌体もしくは培養細胞、または培養菌体もしくは培養細胞の破砕物のいずれをも意味する。蛋白質の分離・精製は、通常の方法に従って行うことができる。
具体的には、蛋白質が培養菌体内もしくは培養細胞内に蓄積される場合には、培養後、通常の方法(例えば、超音波、リゾチーム、または凍結融解)で菌体もしくは細胞を破砕した後、通常の方法(例えば、遠心分離、またはろ過)により蛋白質の粗抽出液を得ることができる。蛋白質がペリプラズムスペース中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば、浸透圧ショック法)により蛋白質を含む抽出液を得ることができる。蛋白質が培養液中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば、遠心分離、またはろ過)により菌体もしくは細胞と培養上清とを分離することにより、蛋白質を含む培養上清を得ることができる。
このようにして得られた抽出液もしくは培養上清中に含まれる蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。蛋白質が上述した精製のためのペプチド配列を含有する場合、これを用いて精製するのが好ましい。具体的には、蛋白質がヒスチジンタグ配列を含有する場合にはニッケルキレートアフィニティークロマト法、S−トランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインを含有する場合にはグルタチオン結合ゲルによるアフィニティークロマト法、プロテインAのアミノ酸の配列を含有する場合には抗体アフィニティークロマト法を用いることができる。
5.蛋白質の利用
[発光による検出マーカーとしての利用]
ここで提供される蛋白質は、ルシフェリン存在下、発光による検出マーカーとして利用することができる。当該検出マーカーは、イムノアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイなどにおける目的物質の検出に利用することができる。
前述の蛋白質は、例えば、目的蛋白質との融合蛋白質として発現させ、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入することによって、前記目的蛋白質の分布を測定するために利用することもできる。このような目的タンパク質などの分布の測定は、発光イメージング等の検出法などを利用して行うこともできる。なお、蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、細胞内で発現させて用いることもできる。
用いる発光基質(ルシフェリン)は、例えば、イミダゾピラジノン環を主骨格とするセレンテラジン類が挙げられる。セレンテラジン類は、以下の基本骨格の構造式で示される化合物である。
Figure 2021112164
式中、R、R、およびRは任意のそれぞれ独立に有機基である。ここで、セレンテラジン類は、セレンテラジンまたはその類縁体のことを意味する。セレンテラジン類縁体としては、例えば、h−セレンテラジン、6h−セレンテラジン、bis−セレンテラジン、フリマジン(furimazine)、hcp−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジン、n−セレンテラジン、MeO−セレンテラジン、e−セレンテラジン、cl−セレンテラジン、ch−セレンテラジン、3iso−セレンテラジン、3meo−セレンテラジン、cf3−セレンテラジン、i−セレンテラジン、et−セレンテラジン、me−セレンテラジン、3me−セレンテラジン、αmeh−セレンテラジン 8−(1−naphthyl)−セレンテラジン、8−(2−naphthyl)−セレンテラジン、8−(2−thienyl)−セレンテラジン、6,8−di(2−thienyl)−セレンテラジン、8−(4−hydroxyphenyl)−セレンテラジン、8−(2−benzothienyl)−セレンテラジン、8−(b−styryl)−セレンテラジン、8−phenyl−セレンテラジン、6−deoxy−セレンテラジン、8−(3−thienyl)−セレンテラジン、8−(3−benzo[b]thienyl)−セレンテラジンがあげられる。いくつかの態様では、セレンテラジン類は、セレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである。
これらのセレンテラジン類は、公知の方法で合成してもよく、あるいは、市販のものを入手することもできる。
セレンテラジン類の合成方法としては、例えば、Shimomura et al.(1988)Biochem.J.251,405−410、Shimomura et al.(1989)Biochem.J.261,913−920、Shimomura et al.(1990)Biochem.J.270,309−312、Nakamura et al.(1997)Tetrahedron Lett. 38:6405−6406、WO2010/090319号公報、もしくはInouye et al.(2010)Anal.Biochem.407,247−252に記載の方法またはそれに準ずる方法が挙げられる。また、フリマジンは、Hall et al.(2012)ACS Chem.Biol.16;848−1857に記載の方法により製造することができる。さらに、セレンテラジン類縁体は、Shakhmin A. et al.Chem.Eur.J.2016,22,10369−10375に記載の方法により製造することができる
また、セレンテラジン類の市販品に関しては、例えば、JNC株式会社製のセレンテラジン、cf3−セレンテラジンおよびh−セレンテラジン;ビオチウム(Biotium)社製のhcp−セレンテラジン、cp−セレンテラジン、f−セレンテラジン、fcp−セレンテラジンおよびn−セレンテラジン;ならびにプロメガ社製のセレンテラジン、フリマジンおよびh−セレンテラジンを挙げることができる。
用いる発光基質(ルシフェリン)がセレンテラジン類である場合、図11に示すような新しい発光経路により発光が生じると考えられる。具体的には、セレンテラジン類は、酸素添加により励起セレンテラミド類を生成し、その結果励起セレンテラミド類より発光を生じ、セレンテラミン類に分解される。ここで、セレンテラミド類はセレンテラミドまたはその類縁体のことを意味する。セレンテラミド類の基本骨格は以下の構造式で示される。
Figure 2021112164
式中、R、R2およびRは、それぞれ独立に有機基である。ここで、セレンテラミド類縁体としては、例えば、h−セレンテラミド、6h−セレンテラミド、bis−セレンテラミド、cf3−セレンテラミド等があげられる。また、特開2010−180180号公報、国際公開公報第2010/090318号パンフレットに記載のセレンテラミド類縁体も挙げられる。
[レポーター蛋白質としての利用]
ここで提供される蛋白質は、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。蛋白質をコードするポリヌクレオチドを、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列(例えば、エンハンサー)に融合したベクターを構築する。前記ベクターを宿主細胞に導入し、ルシフェリン(発光基質)存在下、蛋白質に由来する発光を検出することにより、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列の活性を測定することができる。
用いるルシフェリンは、セレンテラジン類であるのが好ましい。
ポリヌクレオチドは、上述のようにして、レポーター遺伝子として利用することができる。
[アミューズメント用品の材料]
ここで提供される蛋白質は、ルシフェリンが酸素分子で酸化されてオキシルシフェリンが励起状態で生成される反応を触媒する活性を有する。励起状態のオキシルシフェリンは可視光を発して基底状態となる。よって、前述の蛋白質などは、アミューズメント用品の材料の発光基材として好適に使用することができる。アミューズメント用品としては、たとえば、発光シャボン玉、発光アイス、発光飴、発光絵の具等があげられる。アミューズメント用品は、通常の方法によって製造することができる。
用いるルシフェリンは、セレンテラジン類であるのが好ましい。
[生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法]
ここで提供される蛋白質は、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)法による分子間相互作用の原理を利用した生理機能の解析や酵素活性の測定等の分析方法に利用することができる。
例えば、蛋白質(「ルシフェラーゼ」という場合がある。)をドナーとして使用し、蛍光物質(例えば、有機化合物、および蛍光蛋白質)をアクセプターとして使用して、両者の間で生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)を起こすことによりドナーとアクセプターとの間の相互作用を検出することができる。
いくつかの態様では、アクセプターとして使用する有機化合物は、Hoechst33342、Indo−1、DAPIなどである。別のいくつかの態様では、アクセプターとして使用する蛍光蛋白質は、緑色蛍光蛋白質(GFP)、青色蛍光蛋白質(BFP)、変異GFP蛍光蛋白質、フィコビリンなどである。
好ましい態様において、解析する生理機能は、オーファン受容体(特にG蛋白質共役受容体)、アポトーシス、または遺伝子発現による転写調節などである。また、好ましい態様において、分析する酵素は、プロテアーゼ、エステラーゼまたはリン酸化酵素などである。
BRET法による生理機能の解析は、公知の方法で行うことができ、例えば、Biochem.J.2005,385,625−637、またはExpert Opin.Ther Tarets,2007 11:541−556に記載の方法に準じて行うことができる。また、酵素活性の測定も、公知の方法で行うことができ、例えば、Nature Methods 2006,3:165−174、またはBiotechnol.J.2008,3:311−324に記載の方法に準じて行うことができる。
用いる発光基質(ルシフェリン)は、セレンテラジン類であるのが好ましい。
[キット]
ここでは、前述のポリヌクレオチド、前述の組換えベクター、および前述の形質転換体から選択されるいずれかを含むキットも提供する。また、ここでは、前述の蛋白質を含むキットも提供する。キットには、さらにルシフェリンが含まれていてもよい。
ルシフェリンは、前述の通り、セレンテラジン類であるのが好ましい。
キットは、通常用いられる材料および方法で製造することができる。キットは、例えば、サンプルチューブ、プレート、キット使用者に対する指示書、溶液、バッファー、試薬、標準化のために好適なサンプルまたは対照サンプルを含んでもよい。キットには、さらに、ハロゲン化物イオンを含む塩などを含んでいてもよい。
キットは、上述したレポーター蛋白質もしくはレポーター遺伝子を用いた測定、発光による検出マーカー、BRET法による生理機能の解析または酵素活性の測定などに利用することができる。また、後述の発光反応方法に用いることもできる。
[発光反応方法]
発光活性
ここで提供される蛋白質は、ルシフェリン(例えば、セレンテラジン類)を酸素分子で酸化して励起状態のオキシルシフェリンを生成させる反応を触媒する活性を有する。励起状態のオキシルシフェリンは、基底状態となる際に可視光を発する。すなわち、ここで提供される蛋白質は、ルシフェリンを基質とする発光反応を触媒し、発光を生じさせる活性を有する。この活性を、「発光活性」と称することがある。
発光反応
前述の蛋白質を用いた、ルシフェリンを基質とする発光反応は、蛋白質とルシフェリンとを接触させることにより行うことができる。ここで、「接触」とは、蛋白質とルシフェリンとを同一の反応系に存在させることを意味し、例えば、ルシフェリンを収容した容器に蛋白質を添加すること、蛋白質を収容した容器にルシフェリンを添加すること、蛋白質とルシフェリンとを混合することが含まれる。反応条件としては、発光反応に通常用いられる条件またはそれに準じた条件で行うことができる。
具体的には、反応溶媒としては、Tris−HCl緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液、水、などが用いられる。
反応温度は、通常約4℃〜約40℃、好ましくは約4℃〜約25℃である。
反応溶液のpHは、通常約5〜約10、好ましくは約6〜約9、より好ましくは約7〜約8、特に好ましくは約7.5である。
ルシフェリンとしては、前述の通り、セレンテラジン類が好ましい。
ルシフェリンは、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールの溶液として反応系に加えてもよい。
6.蛍光蛋白質

6.1.新規青色蛍光蛋白質(BFP)様蛍光蛋白質
[蛍光蛋白質およびその製造方法]
いくつかの態様の蛍光蛋白質は、前述の蛋白質とセレンテラミン類を含む複合体である。すなわち、蛍光蛋白質は、前述の蛋白質とセレンテラミン類を含む。ここでは、この蛍光蛋白質を「青色蛍光蛋白質(BFP)様蛍光蛋白質」という場合がある。BFP様蛍光蛋白質は、光の励起を受けて蛍光を発生することができる。
BFP様蛍光蛋白質は、前述の蛋白質から次のようにして製造し得る。すなわち、前述の蛋白質を、セレンテラジン類に接触させて、BFP様蛍光蛋白質を得ることで、BFP様蛍光蛋白質を製造する。接触は、BFP様蛍光蛋白質の製造を可能にする条件下で行う。ここで、「接触」とは、蛋白質とセレンテラジン類を同一の反応系に存在させることを意味し、例えば、セレンテラジン類を収容した容器に蛋白質を添加すること、蛋白質を収容した容器にセレンテラジン類を添加すること、または蛋白質とセレンテラジン類とを混合すること、などが含まれる。蛋白質と接触させたセレンテラジン類は、対応するセレンテラミン類に変換される。
BFP様蛍光蛋白質を製造するのに用いるセレンテラジン類は、前記で説明した通りである。
BFP様蛍光蛋白質の製造のために用いるセレンテラジン類の量は、特に制限されないが、前述の蛋白質1molに対して、例えば、1mol〜5mol、好ましくは、1mol〜2mol、さらに好ましくは、1mol〜1.2molである。
「BFP様蛍光蛋白質の製造を可能にする条件」における、反応溶媒は、特に限定されないが、例えば、水溶性溶媒が好ましく;反応pHは、特に限定されないが、例えば、pH6〜pH10、好ましくは、pH6.5〜pH8、より好ましくは、pH7.0〜pH7.5の間である。
BFP様蛍光蛋白質の製造における反応温度および反応時間は、例えば、4℃〜40℃で0.1時間〜168時間、好ましくは、10℃〜37℃で0.1時間〜168時間、より好ましくは、20℃〜25℃で0.1時間〜96時間である。
このようにして得たBFP様蛍光蛋白質は、さらに精製に供してもよい。BFP様蛍光蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、又は適宜組み合わせて用いることができる。
ここで、セレンテラミン類は、対応するセレンテラジン類の分解生成物であり、セレンテラミンまたはその類縁体のことを意味する。セレンテラミン類の基本骨格は以下の構造式で示される。
Figure 2021112164
ここで、RおよびRは、それぞれ独立に有機基である。前記対応するセレンテラミン類は、例えば、セレンテラミン、6h−セレンテラミンなどである。
[蛍光蛋白質の利用]
(1)レポーター蛋白質としての利用
BFP様蛍光蛋白質は、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。前述の蛋白質をコードするポリヌクレオチドを、目的のプロモーター又は他の発現制御配列(例えば、エンハンサーなど)に融合したベクターを構築する。前記ベクターを宿主細胞に導入し、さらに、これに、セレンテラジン類を接触させ、蛍光蛋白質に由来する蛍光を検出することにより、目的のプロモーター又は他の発現制御配列の活性を測定することができる。ここで、「接触」とは、宿主細胞とセレンテラジン類とを同一の培養系・反応系に存在させることを意味し、例えば、宿主細胞の培養容器にセレンテラジン類を添加すること、宿主細胞とセレンテラジン類を混合すること、宿主細胞をセレンテラジン類の存在下で培養することなどが含まれる。
(2)検出マーカーとしての利用
BFP様蛍光蛋白質は、蛍光による検出マーカーとして利用することができる。検出マーカーは、例えば、イムノアッセイ又はハイブリダイゼーションアッセイなどにおける目的物質の検出に利用することができる。BFP様蛍光蛋白質を化学修飾法など通常用いられる方法により目的物質(蛋白質或いは核酸など)と結合させて使用することができる。このような検出マーカーを用いた検出方法は、通常の方法によって行うことができる。
また、検出マーカーは、例えば、蛋白質と目的物質との融合蛋白質として発現させ、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入し、さらに、これにセレンテラジン類を接触させること等によって、前記目的物質の分布を測定するために利用することもできる。ここで、「接触」とは、細胞とセレンテラジン類を同一の培養系・反応系に存在させることを意味し、例えば、細胞の培養容器にセレンテラジン類を添加すること、細胞とセレンテラジン類を混合すること、宿主細胞をセレンテラジン類の存在下で培養することなどが含まれる。
このような目的物質などの分布の測定は、蛍光イメージング等の検出法などを利用して行うこともできる。なお、アポ蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、細胞内で発現させて用いることもできる。
(3)アミューズメント用品の材料
BFP様蛍光蛋白質は、光の励起をうけて蛍光を生じる。よって、BFP様蛍光蛋白質は、アミューズメント用品の材料の蛍光基材として好適に使用することができる。アミューズメント用品としては、たとえば、蛍光シャボン玉、蛍光アイス、蛍光飴、蛍光絵の具等があげられる。アミューズメント用品は、通常の方法によって製造することができる。
(4)蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)法
BFP様蛍光蛋白質は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)法による分子間相互作用の原理を利用した生理機能の解析や酵素活性の解析(又は測定)等の分析方法に利用することができる。
例えば、BFP様蛍光蛋白質をドナーまたはアクセプターとして使用し、有機化合物または他の蛍光蛋白質をアクセプターまたはドナーとして使用して、両者の間で蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を起こすことにより蛋白質間の相互作用などを検出することができる。いくつかの態様では、アクセプターまたはドナーとして使用する有機化合物は、Hoechst33342、Indo−1又はDAPIなどである。別のいくつかの態様では、アクセプター又はドナーとして使用する他の蛍光蛋白質は、他の緑色蛍光蛋白質(GFP)、他の青色蛍光蛋白質(BFP)、他の変異GFP蛍光蛋白質又はフィコビリンなどである。好ましい態様において、解析する生理機能は、オーファン受容体(特にG蛋白質共役受容体)、アポトーシス、又は遺伝子発現による転写調節などである。また、好ましい態様において、分析する酵素は、プロテアーゼ、エステラーゼ又はリン酸化酵素などである。
FRET法による生理機能の解析は、公知の方法で行うことができ、例えば、文献Hoffmann,C et al Nat Methods(2005)2:171−176,Paulsson,J.F.et al.Exp.Diabetes Res.2008:2008,865850.などに記載の方法に準じて行うことができる。また、酵素活性の測定も、公知の方法で行うことができ、例えば、文献Ting,A.Y.et al(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:15003−15008,Evellin,S et al(2004)Methods.Mol.Biol.284:259−270,Palmer A.E & Tsien,R.Y.(2006)1:1057−1065などに記載の方法に準じて行うことができる。
さらに、ここでは、上記分析方法に使用するためのキットが提供される。キットは、BFP様蛍光蛋白質と、有機化合物および/または他の蛍光蛋白質とを含む。BFP様蛍光蛋白質、有機化合物、他の蛍光蛋白質などの試薬は、適当な溶媒に溶解することにより保存に適した形態に調製することができる。溶媒としては、水、エタノール、各種緩衝液などからなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。本キットは、さらに必要に応じて、専用容器、その他必要なアクセサリー、及び説明書などからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
6.2.黄色蛍光蛋白質(YFP)様蛍光蛋白質
[黄色蛍光蛋白質(YFP)様蛍光蛋白質およびその製造]
別のいくつかの態様の蛍光蛋白質は、前述の蛋白質とデヒドロセレンテラジンおよびその類縁体を含む複合体である。ここでは、この蛍光蛋白質を「黄色蛍光蛋白質(YFP)様蛍光蛋白質」という場合がある。YFP様蛍光蛋白質は、光の励起を受けて蛍光を発生することができる。
YFP様蛋白質は、前述の蛋白質から次のようにして製造し得る。すなわち、前述の蛋白質を、デヒドロセレンテラジン類に接触させて、YFP様蛍光蛋白質を得ることで、YFP様蛍光蛋白質を製造する。接触は、YFP様蛍光蛋白質の製造を可能にする条件下で行う。ここで、「接触」とは、蛋白質とデヒドロセレンテラジン類を同一の反応系に存在させることを意味し、例えば、デヒドロセレンテラジン類を収容した容器に蛋白質を添加すること、蛋白質を収容した容器にデヒドロセレンテラジン類を添加すること、または蛋白質とデヒドロセレンテラジン類とを混合すること、などが含まれる。
YFP様蛍光蛋白質を製造するのに用いるデヒドロセレンテラジン類は、前記で説明した通りである。
YFP様蛍光蛋白質の製造のために用いるデヒドロセレンテラジン類の量は、特に制限されないが、前述の蛋白質1molに対して、例えば、1mol〜5mol、好ましくは、1mol〜2mol、さらに好ましくは、1mol〜1.2molである。
「YFP様蛍光蛋白質の製造を可能にする条件」において、反応溶媒は、特に限定されないが、例えば、水溶性溶媒が好ましく;反応pHは、特に限定されないが、例えば、pH6〜pH10、好ましくは、pH6.5〜pH8、より好ましくは、pH7.0〜pH7.5の間である。
YFP様蛍光蛋白質の製造における反応温度及び反応時間は、特に限定されないが、例えば、4℃〜60℃で0.1時間〜2時間、好ましくは、10℃〜37℃で0.1時間〜2時間、より好ましくは、20℃〜25℃で0.1時間〜2時間である。
このようにして得たYFP様蛍光蛋白質は、さらに精製に供してもよい。YFP様蛍光蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、又は適宜組み合わせて用いることができる。
このようにして得たYFP様蛋白質は、さらに精製に供してもよい。YFP様蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、又は適宜組み合わせて用いることができる。
ここで、デヒドロセレンテラジン類は、以下の構造式で示されるものである。
Figure 2021112164
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に有機基である。
デヒドロセレンテラジン類は、デヒドロセレンテラジンまたはその類縁体を意味する。本明細書中、デヒドロセレンテラジン類としては、例えば、h−デヒドロセレンテラジン、cf3−デヒドロセレンテラジン、bis−デヒドロセレンテラジン、6h−デヒドロセレンテラジンがあげられる。
これらのデヒドロセレンテラジン類は、公知の方法で合成してもよい。
デヒドロセレンテラジン類の合成方法としては、INOUE,S.et al.,Chem.Lett.(1977)pp259−262記載のデヒドロセレンテラジン類を二酸化マンガンによる酸化による方法,または、INOUE,S.et al.Chem. Lett.(1980)pp299−300に記載のケト酸類とセレンテラミドとの縮合反応による方法またはそれに準ずる方法が挙げられる。
[蛍光蛋白質の利用]
(1)発光触媒としての利用
いくつかの態様のYFP様蛍光蛋白質は、発光基質に作用しそれを発光させるので、発光触媒として利用できる。そこで、ここでは、YFP様蛍光蛋白質を、カタラーゼとHにより生成する活性酸素種と接触させることを含む、発光反応を行う方法を提供する。ここで、「接触」とは、YFP様蛍光蛋白質とカタラーゼおよびHにより生成する活性酸素種とを同一の反応系に存在させることを意味し、例えば、YFP様蛍光蛋白質を収容した容器にカタラーゼおよびHを添加すること、カタラーゼおよびHを収容した容器にYFP様蛍光蛋白質を添加すること、又はYFP様蛍光蛋白質とカタラーゼおよびHとを混合すること、などが含まれる。
YFP様蛍光蛋白質を、カタラーゼとHにより生成する活性酸素種と接触させることによって、YFP様蛍光蛋白質は発光を示す。通常発光時間は、数秒〜数分であるが、条件の選択により、発光時間を更に長時間とすることも、又は発光時間を更に短時間とすることも可能である。
(2)レポーター蛋白質としての利用
YFP様蛍光蛋白質は、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。アポ蛋白質をコードするポリヌクレオチドを、目的のプロモーター又は他の発現制御配列(例えば、エンハンサーなど)に融合したベクターを構築する。前記ベクターを宿主細胞に導入し、さらに、これに、デヒドロセレンテラジン類を接触させてYFP様蛋白質を生成させることでYFP様蛍光蛋白質を生成させ、YFP様蛍光蛋白質に由来する蛍光を検出することにより、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列の活性を測定することができる。
(3)検出マーカーとしての利用
YFP様蛍光蛋白質は、蛍光による検出マーカーとして利用することができる。検出マーカーは、例えば、イムノアッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイなどにおける目的物質の検出に利用することができる。YFP様蛍光蛋白質を化学修飾法など通常用いられる方法により目的物質(蛋白質或いは核酸など)と結合させて使用することができる。このような検出マーカーを用いた検出方法は、通常の方法によって行うことができる。また、検出マーカーは、例えば、蛋白質と目的物質との融合蛋白質として発現させ、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入し、さらに、これに、デヒドロセレンテラジン類を接触させてYFP様蛍光蛋白質を生成させること等によって、前記目的物質の分布を測定するために利用することもできる。このような目的物質などの分布の測定は、蛍光イメージング等の検出法などを利用して行うこともできる。なお、アポ蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、細胞内で発現させて用いることもできる。
(4)アミューズメント用品の材料
YFP様蛍光蛋白質は、アミューズメント用品の材料の蛍光材として好適に使用することができる。アミューズメント用品としては、たとえば、蛍光シャボン玉、蛍光アイス、蛍光飴、蛍光絵の具等があげられる。アミューズメント用品は、通常の方法によって製造することができる。
(5)蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)法
YFP様蛍光蛋白質は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)法による分子間相互作用の原理を利用した生理機能の解析や酵素活性の解析(又は測定)等の分析方法に利用することができる。
例えば、YFP様蛍光蛋白質をドナーまたはアクセプターとして使用し、有機化合物または他の蛍光蛋白質をアクセプター又はドナーとして使用して、両者の間で蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を起こすことにより蛋白質間の相互作用などを検出することができる。いくつかの態様では、アクセプターまたはドナーとして使用する有機化合物は、Hoechst3342、Indo−1又はDAPIなどである。別のいくつかの態様では、アクセプターまたはドナーとして使用する他の蛍光蛋白質は、他の緑色蛍光蛋白質(GFP)、他の青色蛍光蛋白質(BFP)、他の変異GFP蛍光蛋白質又はフィコビリンなどである。好ましい態様において、解析する生理機能は、オーファン受容体(特にG蛋白質共役受容体)、アポトーシス、又は遺伝子発現による転写調節などである。また、好ましい態様において、分析する酵素は、プロテアーゼ、エステラーゼ又はリン酸化酵素などである。
FRET法による生理機能の解析は、公知の方法で行うことができ、例えば、文献Hoffmann,C et al Nat Methods(2005)2:171−176,Paulsson,J.F.et al.Exp.Diabetes Res.2008:2008,865850.などに記載の方法に準じて行うことができる。また、酵素活性の測定も、公知の方法で行うことができ、例えば、文献Ting,A.Y.et al(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:15003−15008,Evellin,S et al(2004)Methods.Mol.Biol.284:259−270,Palmer A.E & Tsien,R.Y.(2006)1:1057−1065などに記載の方法に準じて行うことができる。
さらに、ここでは、上記分析方法に使用するためのキットが提供される。キットは、YFP様蛍光蛋白質と、有機化合物及び/又は他の蛍光蛋白質とを含む。YFP様蛍光蛋白質、有機化合物、他の蛍光蛋白質などの試薬は、適当な溶媒に溶解することにより保存に適した形態に調製することができる。溶媒としては、水、エタノール、各種緩衝液などからなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。本キットは、さらに必要に応じて、専用容器、その他必要なアクセサリー、及び説明書などからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
また、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を実施できる。発明を実施するための最良の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
以下に実施例により本発明を説明するが、実施例は本発明を制限するものではない。
[方法及び材料]
セレンテラジン、h−セレンテラジン,bis−セレンテラジンは、JNC株式会社より入手した。デヒドロセレンテラジンは、Kakoi,H.とInoue,S.によるHeterocycles(1998)48,1669−1672記載の縮合反応の方法で合成した。6h−セレンテラジン、h−デヒドロセレンテラジンおよびcf3−デヒドロセレンテラジンは、東京医科歯科大学細谷孝充博士から提供された。
次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過酸化水素水、ウシ肝臓由来カタラーゼ、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)、りん酸緩衝生理食塩水(D−PBS(−),PBSとも表記する)、ジメチル硫酸、およびイミダゾールは、和光純薬社より入手した。ニッケルキレートゲルとセファデックスG−25ゲル(ス−パーファイングレード)は、GE−Healthcare社(米国)より入手した。
[蛋白質分析]
蛋白質定量試薬(Bio−Rad社製)および基準としてのウシ血清アルブミン(Pierce社製)を用い、Bradford,M.M.によるAnal.Biochem.(1976)72,248−254記載の色素結合法によって、蛋白質の濃度を決定した。また、電気泳動法による蛋白質の分離は、Laemmli,U.K.によるNature(1970)227,680−685の記載の方法により、12%分離ゲル(テフコ株式会社、東京)を用い、還元性条件下で行った。蛋白質は、コロイドCBB 染色キット(テフコ株式会社)で検出した。ウエスタンブロット分析は、SDS−PAGE分析後、ゲル蛋白質をニトロセルロース膜(0.45mm、バイオラッド社製)に電気的に移し、一次抗体を抗組換えアポフォラシンIgG(2.6μg protein/mL)を用い、二次抗体としてアルカリフォスファターゼ結合抗ウサギIgG(H+L)(1μg protein/mL)(インビトロジェン社製)と反応後、ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(和光純薬社製)と5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸p−トルイジン塩(和光純薬社製)による発色法により検出した。
[発光活性の測定法]
アトー株式会社製(東京)のAB2270型ルミノメーターを用いて、カットフィルターを使用せずに、発光強度を測定し、相対発光強度(rlu)で表記した。
[吸収スペクトル、蛍光スペクトル、および発光スペクトルの測定法]
Jasco(日本分光株式会社、東京)のV−560分光光度計(帯域幅:0.5nm、レスポンス:中程度、スキャン速度:100nm/分)により、石英セル(光路長10 mm)を用いて22−25℃で吸収スペクトルを測定した。また、JascoのFP−6500蛍光分光光度計(発光/励起帯域幅:5nm、レスポンス:0.5sec、スキャン速度:100nm/分)を用いて蛍光スペクトルを測定した。発光スペルトルは、JascoのFP−6500蛍光分光光度計(発光/励起帯域幅:20nm、レスポンス:1sec、スキャン速度:1000nm/分)で、励起光を停止して測定した。
[HPLC分析方法]
アジレント社(CA,USA)1200シリーズ HPLCシステムを使用した。分析条件は以下のとおりである。
使用カラム:Wakosil 5C4(4.6mm×250mm,和光純薬社製);
溶媒:0.1%トリフリオロ酢酸を含むアセトニトリル(CHCN);
グラジエント:40%CHCN/10分間,40−50%CHCN/20分間,50−80%CHCN/10分間,80%CHCN/10分間;
流速:0.5mL/分;
検出波長:330nmおよび450nm;
標準化合物溶出時間:CTM,CTZ,CTMD,およびdCTZは、12.6分,13.6分,17.4分および34.9分である。
実施例1:アポフォラシン遺伝子の合成
天然型アポフォラシンのアミノ酸配列(配列番号1)に基づき、天然型アポフォラシン遺伝子配列(配列番号2)と遺伝子配列と異なる、最適化ヒト型およびヒト型アポフォラシン遺伝子を化学合成した。最適化ヒト型アポフォラシン合成遺伝子(opPho:配列番号3)を含むプラスミドpEX−opPhoは、ユーロフィンゲノミックス社(東京)で化学合成をした。ヒト型アポフォラシン合成遺伝子(hPho:配列番号4)を含むプラスミドpCR2.1−hPhoは、オペロン株式会社(東京)で化学合成をした。
実施例2:動物培養細胞系での最適化ヒト型アポフォラシン遺伝子の発現ベクターの構築
塩基配列AAG CTT GGT ACC ACC(配列番号17)(アンダーラインの配列(AAG CTT)は制限酵素HindIIIの認識配列、アンダーラインの配列(ACC ACC)はコザック配列)をメチオニンコドンの上流にもつ最適化ヒト型アポフォラシン遺伝子(opPho)のHindIII−XbaIフラグメントを、pcDNA3(インビロジェン社製)のHindIII−XbaIサイトへ挿入することにより、動物培養細胞発現ベクターpcDNA3−opPhoを作製した。
実施例3:動物培養細胞CHO−K1でのアポフォラシン分泌発現および発現蛋白質の確認
チャイニーズハムスター卵巣由来の細胞株CHO−K1株を、10%(v/v)牛胎児血清(ギブコ社製)を含むHam’s F−12培地(和光純薬社製)(以降Ham’s−F12培地と記載することもある)にて培養した。CHO−K1細胞を2×10細胞/ウエル/3mL培地にて6ウエルプレートに播種し、インキュベーター中37℃、5%(v/v)COにて培養した。24時間後、精製したpcDNA3−opPhoプラスミドをFuGene HD(プロメガ社製)トランスフェクションキットを用いて、CHO−K1細胞にトランスフェクションし、アポフォラシンの発現を行い、次の実験を行った。具体的には、100μLの培地に、pcDNA3−opPho 1μgと、FuGene HD 3μLを加え、室温で15分間放置した。100μLのDNA/FuGene HD複合体溶液を、6ウエルの細胞に添加した。24時間培養後、3mLのD−PBS(−)で3回洗浄後、無血清培地MCDB201(シグマ社製)でさらに、24時間培養した。
培養液のアポフォラシン蛋白質の確認は、抗アポフォラシン抗体を使用し、ウエスタンブロット法により解析した。具体的には、培養液300μLをアミコンウルトラ−15遠心式フィルターユニット(MWCO 10,000)(メルク社製)で濃縮し使用した。コントロールとして、0.15μgの天然フォラシン(英国、Knight Scientific Limited社製)を用いて解析した。その結果、天然フォラシンと同じ分子量35kDa付近に、バンドを確認した(図1)。すなわち、組換えアポフォラシンは、分泌シグナルが切断された205個アミノ酸から構成され(配列番号5)、細胞外へ分泌発現することより、最適化ヒト型アポフォラシン合成遺伝子は、機能する遺伝子であることが明らかとなった。
実施例4:分泌アポフォラシンの発光活性の確認
アポフォラシンを含む培養液100μLに、エタノールに溶解した発光基質セレンテラジン1μg/μLを添加し、アトー株式会社(東京)のAB2270型ルミノメーターを用いて、60秒間測定し、最大発光強度(Imax)と60秒間の積算値(Int.60s)を相対発光強度(rlu)で表記した。その結果、表1に示すように、アポフォラシンの発現している培養液には、セレンテラジンを基質として、発光活性があることが判明した。同様に、h−セレンテラジン、bis−セレンテラジン、6h−セレンテラジンも同程度の発光活性を示した。
表1 分泌アポフォラシンと発光基質セレンテラジンによる発光
Figure 2021112164
実施例5:大腸菌系でのフォラシン融合蛋白質発現ベクターの構築
1)pCold−ZZ−P−apoPholasinの構築
pCold−ZZ−P−Xは、低温で発現誘導可能なベクターであり、ニッケルキレートアフィニティークロマトグラフィのためのヒスチジンタグ配列と、ZZドメイン配列と、目的蛋白質のコード配列との間にヒトレノウイルス3Cプロテアーゼ(PreScission protease)の切断配列と、マルチクローニング部位(EcoRI/XhoI/HindIII/SalI/PstI/XbaI)とを含む(Inouye,S.and Sahara,Y.(2009)Protein Express.Purif.66,52−57に記載)(図2)。大腸菌系でのフォラシン融合蛋白質発現ベクターpCold−ZZ−P−apoPholasinは、次の手順で構築した。ヒト型アポフォラシン合成遺伝子を含むpCR2.1−hPhoプラスミドより分泌シグナル配列を除いたアポフォラシンコーディング領域を含むBamHI−XbaIフラグメントをpCold IIベクター(タカラバイオ社製)のBamHI−XbaIサイトにサブクローニングし、pCold−hPhoを作製後、そのXhoI−XbaIフラグメントを、pCold−ZZ−P−XのXhoI−XbaIサイトに挿入し、pCold−ZZ−P−hPhoを作製した(図3)。ZZ融合アポフォラシン遺伝子配列(配列番号6)から発現する蛋白質の融合蛋白質は、363個のアミノ酸から構成される(配列番号7)
2)pCold−GST−P−apoPholasinの構築
低温誘導発現型pCold−GST−P−Xベクター構築は、グルタチオントランスフェラーゼ蛋白質遺伝子(GST)をpCold−ZZ−P−XのNedI−SacIのZZ配列部分を、グルタチオントランスフェラーゼ蛋白質遺伝子(GST)のGenBank Accession no.U13852配列に基づき、制限酵素NedI−SacIを持つGST遺伝子配列を合成し、置換することでpCold−GST−P−X発現ベクターを作製した(図4)。ここで、GST蛋白質のカルボキシ末端領域からの塩基配列決定用シークエンスプライマーとして、GST1−1F(配列番号25)およびGST1−1R(配列番号26)を用いた。
pCold−GST−P−apoPholasinは、以下の手順で作製した。pCR2.1−hPhoを鋳型とし、hPho−N−EcoRI(30)(配列番号18:5’ ggc GAA TTC GTA CAG TGC GCC ATG AAT TGG 3’(EcoRI:アンダーライン))とhPho−C−XbaI(30)(配列番号19:5’ ACT GGA GAA TTT TTC TGG TAG TCT AGA ggc 3’(XbaI:アンダーライン))のプライマーセットを用いて、Ex−Taq polymeraseにより、PCR増幅(25サイクル;94℃で1分間、50℃で1分間、および72℃で1分間)を行い、組換えアポフォアシンのコード領域を含むフラグメントを得た。得られたフラグメントをEcoRIとXbaIで消化し、pCold−GST−P−XのEcoRI−XbaIサイトに挿入して、pCold−GST−P−apoPholasinを得た(図5)。GST融合アポフォラシン遺伝子配列(配列番号8)から発現する蛋白質の融合蛋白質は、457個のアミノ酸から構成される(配列番号9)。
実施例6:大腸菌でのフォラシン融合蛋白質発現及び精製
フォラシン融合蛋白質であるZZドメイン融合フォラシン(ZZ−hPho)およびGST融合フォラシン(GST−hPho)を、大腸菌において発現させるため、発現ベクターpCold−ZZ−P−apoPholasinまたはpCold−GST−P−apoPholasinを用いた。常法により大腸菌BL21株に導入し、得られた形質転換株を、アンピシリン(50μg/mL)を含有する10mLのLB液体培地(水1リットルあたり、バクトトリプトン10g、イーストイクストラクト5g、塩化ナトリウム5g、pH7.2)に植菌し、37℃で18時間培養を行った。次いで、その培養物をLB液体培地400mLを含む2Lフラスコ 2本(総量800 mL)に添加して37℃で3時間培養を行い、その後、冷水で、1時間冷却した。その培地に、最終濃度が0.1mMとなるようにIPTGを加えた後、さらに15℃で18時間培養した。800mLの培養液から、3,000×gで5分間の遠心分離により大腸菌を回収し、50mLの50mM Tris−HCl(pH7.6)中に懸濁し、ブランソン社モデル−250超音波破砕装置を用いて、冷却しながら3分間に2回の超音波処理することにより大腸菌を破壊した。12,000×gで20分間の遠心分離後、可溶性上清を50mM Tris−HCl(pH7.6)で平衡化したニッケルキレートカラム(カラムサイズ;1.5×6 cm)に供した。150mLの50mM Tris−HCl(pH7.6)でカラムを洗浄した後、100mMイミダゾールで吸着蛋白質を溶出させた。800mLの培養細胞からの融合蛋白質ZZ−hPhoおよびGST−hPhoの収量は、23.0mgおよび13.8mgであった。SDS−PAGE分析の結果、それぞれの純度95%以上であった。
実施例7:抗アポフォラシン抗体の調製
抗原である組換えアポフォラシンは、精製融合蛋白質ZZ−apoPholasinをInouye,S.とSahara,Y.のProtein Express.Purif.(2009)66,52−57の記載の方法よりZZドメインを切断した。具体的には、0.15M NaClを含む50mM Tris−HCl(pH7.6)中で、50mMの融合蛋白質(2.46mg)に組換えヒトレノウイルスプロテアーゼ(タカラバイオ社製)4μgを添加し、4℃で24時間消化処理した後、消化処理物を、ニッケルキレートカラム(直径0.5cmx3cm)に供し、組換えアポフォラシンを含むフロースルー画分(1.0mg)を取得した。得られたアポフォラシンを抗原として、日本産ホワイトウサギに免疫し、抗体を作製し、抗アポフォラシン抗体のIgG画分をユーロフィンジェノミック社(東京)より入手した。
実施例8:GST融合アポフォラシン(GST−hPho)の基質特異性
大腸菌より精製したGST−hPho蛋白質2μgを含む100μLのPBS溶液に、エタノールに溶解した発光基質1μg/μLを添加し、アトー株式会社(東京)のAB2270型ルミノメーターを用いて、60秒間測定し、最大発光強度(Imax)と60秒間の積算値(Int.60s)を相対発光強度(rlu)で表記した。その結果、培養細胞で分泌発現したアポフォラシン同様に、融合蛋白質アポフォラシンは、表2に示すように、セレンテラジンおよびその類縁体が発光基質となり幅広い基質特異性を示すことが明らかとなった。その発光パターンを図6に示した。さらに、培養細胞で分泌発現したアポフォラシンで検出できなかったデヒドロセレンテラジンを基質においても、有意な発光活性を検出した。
表2 GST融合アポフォラシン(GST−hPho)の基質特異性
Figure 2021112164
実施例9:GST融合アポフォラシン(GST−hPho)の発光スペクトル
発光スペクトルは、1.43mgのGST−hPho蛋白質を含む1mLの50mM Tris−HCl(pH7.6)に、10μLのエタノールに溶解した10μgセレンテラジンを添加することにより、発光スペクトルを測定した。図7に示すように、最大発光波長(λmax)461nmで、スペクトルの半値幅(FWHM)は75nmであった。このスペクトルの性質は、同一測定条件で測定したオプロフォーラスルシフェラーゼの触媒19kDa蛋白質のλmax=460nm、FWHM=72nmの値に似ているが、その一次構造との相同性は全くない。一方、他のセレンテラジンを発光基質とするガウシアルシフェラーゼ(λmax=488nm,FWHM=81nm)、イクオリン(λmax=468nm,FWHM=94nm)、レニラルシフェラーゼ(λmax=483nm,FWHM=95nm)の値とも異なっており、その一次構造はアポフォラシンとの相同性も全くない。すなわち、セレンテラジン類を基質とした新規な酵素(ルシフェラーゼ)である。
実施例10:GST融合アポフォラシン(GST−hPho)の発光の至適pH
セレンテラジンを基質として、GST−hPhoの酵素的至適pHを決定した。その結果を、図8に示す。図8に示すように、アポフォラシンはpH8−10に幅広い至適pHを有する酵素である。
実施例11:GST融合アポフォラシン(GST−hPho)の発光への還元剤の影響
還元剤である0.1% 2−メルカプトエタノールおよび10mM ジチオスレイトール存在下で、セレンテラジンを発光基質としたGST−hPhoの発光活性を測定した結果、発光活性へ影響を受けないことが明らかとなった。すなわち、アポフォラシンの分子内に存在する7個のシステイン残基は、発光反応へ影響を与えないことを示している。
実施例12:新規青色蛍光蛋白質の調製法
GST融合アポフォラシン(GST−hPho)6mg(113nmol)と50μLのエタノールに溶解したセレンテラジン50μg(118nmol)を1.5mLの50mM Tris−HCl(pH7.6)に混合し、発光反応を4℃、1週間でインキュベーションする。反応後の溶液は、最大波長365nmのUVランプ下で、青色蛍光を示す。反応液をセファデックスG−25カラム(直径1.0cm×12cm)に供し、青色蛍光を持つボイドボリューム画分を回収することによって、蛍光発色団を有する青色蛍光蛋白質を得る。図9に示すように、青色蛍光蛋白質の吸収スペクトルは、350nm付近に発色団由来の吸収ピークを有し、350nmで励起した蛍光スペクトルは、422nmに最大波長を有する。すなわち、青色蛍光蛋白質は、セレンテラジンの発光酸化生成物とアポファフォラシンの複合体である。
実施例13:新規青色蛍光蛋白質の蛍光発色団の同定
青色蛍光蛋白質画分(0.8mg/200μL)に、200μLの6M グアニジン塩酸を添加し蛋白を変性させた後、200μLのジエチルエーテルで3回抽出し、減圧下、濃縮し、蛍光発色団画分を回収する。得られた画分を以下のHPLC分析を行った結果、図10に示すように、蛍光発色団はセレンテラミン(CTM)であることが分かる。
また、セレンテラミド(CTMD)は、GST融合アポフォラシンの有無にかかわらず、セレンテラミン(CTM)への加水分解は起きない。通常セレンテラジンを基質とするルシフェラーゼの発光反応後の主生成物はセレンテラミドであることから、アポフォラシンによる発光反応は、図11に示すような新しい発光経路を有する発光酵素によることが示された。
すなわち、発光基質セレンテラジンは、アポフォラシンにより発光触媒され、その生成物セレンテラミンは、青色蛍光をもつアポフォラシンとセレンテラミンとの複合体である青色蛍光蛋白質を生成する。その発光反応を模式図として図12に示した。
実施例14:新規黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)の調製法
GST融合アポフォラシン(GST−hPho)6mg(113nmol)と50μLのジメチル硫酸に溶解したデヒドロセレンテラジン50μg(118nmol)を1.5mLの50mM Tris−HCl(pH7.6)を室温で混合する。混合した直後反応溶液は,即座に黄色に変化する。さらに、最大波長365nmのUVランプ下で、あざやかな黄色蛍光を示す。すなわち、無蛍光であるデヒドロセレンテラジンを,アポフォラシン蛋白を用いて、簡易に蛍光法によって検出する新規な方法であり、現在まで、デヒドロセレンテラジンを蛍光法で検出する方法の報告はない。
反応液をセファデックスG−25カラム(直径1.0cm×12cm)に供し、黄色蛍光を持つボイドボリューム画分を回収することによって、蛍光発色団を有する黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)を得ることができた。図13に示すように、黄色蛍光蛋白質の吸収スペクトルは、347nm付近と430nmに発色団由来の吸収ピークを有する。430nmの励起した蛍光スペクトルは、539nmに最大波長を有する。
実施例15:黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)の蛍光発色団の同定
黄色蛍光蛋白質画分(0.3mg/100μL)に、200μLの6M グアニジン塩酸を添加し、95℃で3分間加熱する。100μLのエタノールと500μLのジエチルエーテルを加えた後、30秒撹拌し、10、000×gで5分間遠心後、上清を回収し、減圧下、約100μLまで濃縮する。得られたピンク色の水溶液を再度、500μLのジエチルエーテルで抽出、減圧下で、濃縮乾燥し、黒紫色の発色団画分を得た。得られた画分をエタノールに溶解後、TLCおよびHPLC分析を行った。TLC分析は、シリカゲル60 F254プレート(メルク社製)を用い、展開溶媒をジクロロメタン:メタンノール=9:1として行った。その結果、発色団画分は、標準物質のデヒドロセレンテラジンと同じRf値0.63を示した。さらに、HPLC分析の結果、主要ピークはデヒドロセレンテラジンの溶出時間と一致した。このことから、黄色蛍光蛋白質の蛍光発色団は、デヒドロセレンテラジンある。デヒドロセレンテラジンは、300−500nmでの励起光では、蛍光を発しないことから、黄色蛍光蛋白質の蛍光発色団は、デヒドロセレンテラジン由来の互変異性体と推定される。また、蛋白質変性により、蛍光発色団デヒドロセレンテラジンが変性剤と熱処理から回収されることから、アポフォラシンに強く非共有結合で結合していることを示している。
黄色蛍光蛋白質の概略を模式図として図14に示した。
実施例16:黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)と活性酸素源を次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)とする発光反応
10μgの黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)を含む100μLのPBS溶液に、100μLの2%のNaClO水溶液をインジェクションし、発光活性をAB2270型ルミノメーターで発光を測定した。コントロールとして,0.15μgの天然フォラシンを使用した。その結果を図15に示した。天然フォラシンは、ゆっくりとした発光パターンを示す(図15のa)が、黄色蛍光蛋白質は、フラッシュとそれに続くグローな発光を示した(図15のb)。
実施例17:黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)と活性酸素源を過酸化水素−カタラーゼ系とする発光反応
500μLのPBS溶液において、10μgの黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)、300ユニットのウシ肝臓カタラーゼ、0.3%の過酸化水素溶液(H)の組合せで、それぞれの発光活性を、AB2270型ルミノメーターで測定した。表3に示すように、黄色蛍光蛋白質とカタラーゼとHの組合せのみで、顕著な発光活性を見いだした。すなわち、活性酸素の発光による検出が可能である。
表3 活性酸素源を過酸化水素−カタラーゼ系とする黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)の発光
Figure 2021112164
また、10μgの黄色蛍光蛋白質(GST−apoPholasin/dCTZ複合体)と300ユニットのウシ肝臓カタラーゼを含む500μLのPBS溶液に5μLの30%過酸化水素溶液(H)を添加した場合の、発光パターンを図16に示した。
実施例18:デヒドロセレンテラジン類縁体による黄色蛍光蛋白質の調製法
デヒドロセレンテラジン(dCTZ)の類縁体であるh−デヒドロセレンテラジン(h−dCTZ)およびcf3−デヒドロセレンテラジン(cf3−dCTZ)を用いて、デヒドロセレンテラジンと同様にアポフォラシンとの蛍光蛋白質生成を確かめるために、GST融合アポフォラシンの代わりに、ZZ融合アポファフォラシンを使用し、dCTZ類縁体との混合により、黄色蛍光能を確認した。調製は、実施例14に記載の方法に準じて行った。調製には、h−dCTZおよびcf3−dCTZを使用した。dCTZの場合と同様に、混合直後に黄色になり、最大波長365nmのUVランプ下で、黄色蛍光を発した。セファデックスG−25カラムにより、ボイドボリューム画分の黄色の蛋白質を回収することによって、h−dCTZおよびcf3−dCTZを持つ、黄色蛍光蛋白質(ZZ融合アポフォラシン/dCTZ類縁体複合体)を得ることができた。調製した蛍光蛋白質の蛍光発色団に関する吸収スペクトル及び蛍光スペクトルの最大波長を、表4に示した。蛍光スペクトルは、PBS溶液中で、励起光430nmで測定した。この結果から、dCTZ類縁体からもdCTZ同様に、黄色蛍光蛋白質の調製が可能であることが明らかとなった。
表4 各種黄色蛍光蛋白質の吸収スペクトルと蛍光スペクトルの比較
Figure 2021112164
以下に、各配列を記載する。
Figure 2021112164
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Figure 2021112164
Figure 2021112164
ここでは、新たなポリヌクレオチド、発光反応方法、蛍光蛋白質などが提供される。これらは、例えば、発光や蛍光を利用したアッセイや、当該アッセイに用いるキットなどのために利用することができる。

Claims (36)

  1. 以下の(a)〜(d)からなる群から選択されるいずれかのポリヌクレオチド:
    (a)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (b)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列において1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加した塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (c)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、および
    (d)配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  2. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号3の61番目〜675番目または配列番号4の61番目〜675番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. さらに、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
  4. 配列番号3、配列番号4、配列番号6および配列番号8のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  6. 請求項5に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
  7. 請求項6に記載の形質転換体を培養し、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドがコードする蛋白質を生成させる工程を含む、蛋白質の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項5に記載の組換えベクター、または請求項6に記載の形質転換体を含むキット。
  9. さらに、セレンテラジン類を含む、請求項8に記載のキット。
  10. セレンテラジン類が、セレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、請求項9に記載のキット。
  11. (i)請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質;および
    (ii)セレンテラジン類を含む、キット。
  12. (i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質;および
    (ii)セレンテラジン類を含む、キット。
  13. 蛋白質が、配列番号5のアミノ酸配列を含有する、請求項12に記載のキット。
  14. 蛋白質が、さらに、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を含有する、請求項12または13に記載のキット。
  15. 蛋白質が、配列番号1、配列番号7または配列番号9のアミノ酸配列を含有する、請求項14に記載のキット。
  16. セレンテラジン類がセレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、請求項11〜15のいずれか1項に記載のキット。
  17. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドにコードされる蛋白質と、セレンテラジン類とを接触させることを含む、発光反応を行う方法。
  18. (i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質;および
    (ii)セレンテラジン類を接触させることを含む、発光反応を行う方法。
  19. 蛋白質が、配列番号5のアミノ酸配列を含有する、請求項17または18に記載の方法。
  20. 蛋白質が、さらに、翻訳促進のためのペプチド配列、精製のためのペプチド配列、分泌シグナルペプチド配列、蛋白質を可溶性蛋白質として発現するためのペプチド配列、および抗体認識可能なエピトープ配列からなる群から選択される少なくとも1つのペプチド配列を含有する、請求項18または19に記載の方法。
  21. 蛋白質が、配列番号1、配列番号7または配列番号9のアミノ酸配列を含有する、請求項20に記載の方法。
  22. セレンテラジン類がセレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドをレポーター遺伝子として用い、プロモーター制御に関与する配列の活性を測定する方法。
  24. レポーター遺伝子のための発光基質として、セレンテラジン類を用いる、請求項23に記載の方法。
  25. セレンテラジン類がセレンテラジン、h−セレンテラジンまたはbis−セレンテラジンである、請求項24に記載の方法。
  26. (i)式(Z)
    (式中、nは1〜5の整数を表し、Zは以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチドを表す:
    (a)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (b)配列番号10のアミノ酸配列において1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (c)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド)
    で表され、かつ、第2のアミノ酸配列との融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第1のアミノ酸配列;および
    (ii)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
    のアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列
    を含有する、融合蛋白質。
  27. 融合蛋白質が配列番号7のアミノ酸配列を含有する、請求項26に記載の融合蛋白質。
  28. (i)以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるポリペプチド:
    (a)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (b)配列番号14のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (c)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
    であって、第2のアミノ酸配列との融合蛋白質として発現された場合に、該融合蛋白質が可溶性蛋白質として発現されうる機能を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含有する第1のアミノ酸配列;および
    (ii)以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
    のアミノ酸配列を含有する第2のアミノ酸配列を有する蛋白質
    を含有する、融合蛋白質。
  29. 融合蛋白質が配列番号9のアミノ酸配列を含有する、請求項28に記載の融合蛋白質。
  30. 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
    に、デヒドロセレンテラジン類を接触させて得られた蛍光蛋白質。
  31. 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
    と、デヒドロセレンテラジン類を含む蛍光蛋白質。
  32. 請求項30または31に記載の蛍光蛋白質を、カタラーゼおよびHにより生成する活性酸素種と接触させることを含む、発光反応を行う方法。
  33. 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
    に、デヒドロセレンテラジン類を接触させることを含む、蛍光蛋白質の製造方法。
  34. 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
    に、セレンテラジン類を接触させて得られた蛍光蛋白質。
  35. 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質;および
    セレンテラミン類を含む蛍光蛋白質。
  36. 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される蛋白質:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ、セレンテラジンを基質とする発光活性を有する蛋白質
    に、セレンテラジン類を接触させることを含む、蛍光蛋白質の製造方法。
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