JP2010139884A - 偏光性回折素子の製造方法および偏光性回折素子 - Google Patents

偏光性回折素子の製造方法および偏光性回折素子 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は連続生産が可能であり、経済性に優れ、かつ得られる偏光性回折素子の光学特性にも優れた偏光性回折素子の製造方法および該製造方法で得られた偏光性回折素子を提供すること。
【解決手段】本発明の偏光性回折素子の製造方法は、(I)透明樹脂(A)からなる基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成し、部材(b)を得る工程、(II)前記部材(b)のパターンを有する面に、化合物(C)を含む組成物を塗布し、前記凹部を少なくとも化合物(C)により充填し、充填部を有する部材(c)を得る工程、および(III)部材(c)を延伸し、部材(d)を得る工程を有する偏光性回折素子の製造方法であり、偏光性回折素子において、前記凸部に由来する部分および前記充填部に由来する部分の一方が光学等方性を有し、他方が光学異方性を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、偏光性回折素子の製造方法および偏光性回折素子に関する。
光ディスク装置は、非接触、単位体積あたりの情報量の多さ、高速アクセス性、低コストなどの理由から、近年、大きく伸長している光学情報記録・再生装置であり、これらの特徴を生かし、各種の記録媒体が開発されている。例えば、あらかじめ記録された情報を音や画像あるいはコンピュータ用プログラムなどとして再生するコンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(LD)、CD−ROM、DVD−ROMなど、レーザーによって情報を1回だけ書き込め、係る情報を再生できるCD−R、DVD−Rなど、情報の記録再生が繰り返しできる光磁気ディスク(MO)、DVD−RAM、DVD−RWなどに対応した光ピックアップ装置が開発されている。
このような光ピックアップ装置の光学系には、装置の小型化や高性能化を図るために様々な光学部品が組み込まれて使用されている。例えば、光源であるレーザー、回折格子、波長板、ハーフミラー、偏光性回折素子、対物レンズなどが代表的な部品の例である。
これら部品の中で、偏光性回折素子とは、直線偏光であるレーザー光を往路では透過し、復路では透過しない、いわゆる戻り光をブロックするための光学部品である。偏光性回折素子としては、従来からガラス基板やプラスチック基板を用いて作製されるもの(例えば、特許文献1および2参照)やニオブ酸リチウムなどの光学異方性の結晶基板を用いて作製されるものが知られている(例えば、特許文献3参照)。これらはすべて、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程を経て製造されるものである。
ところが、上記のようにフォトリソグラフィー工程やエッチング工程を経て製造される場合には、装置の制約上から基板としては枚葉の基板しか用いることができない。そのため、いわゆるバッチ処理でしか製造できないために連続生産性が乏しいのが実情である。また、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程はフォトレジストやエッチングによって除去される材料があることを前提とした工程であり、偏光性回折素子の製造工程が煩雑であることも相まって、コストや経済性の観点から問題があった。
偏光性回折素子は、等方性を有する材料と異方性を有する材料を組み合わせて作製することが、知られている。異方性を有する材料については、特許文献3には、ニオブ酸リチウムなどの光学異方性の結晶基板を用いることが記載されており、特許文献1および2には、液晶材料を用いることが記載されている。特許文献1の実施例には、有機系の材料である液晶材料を用いる場合において、その配向方法として配向膜をラビングする方法が記載されている。ところが、ラビングを行なう場合には、機械的に配向膜表面をラビング布で擦るために、細かなパーティクルが発生して、基板を汚染するという問題があった。
特開平11−064615号公報 特開2004−133074号公報 特開平11−295524号公報
本発明は上記従来技術の有する課題を鑑みてされたものであり、連続生産性に優れており、経済性に優れ、かつ得られる偏光性回折素子の光学特性にも優れた偏光性回折素子の製造方法を提供すること、および該製造方法で得られた偏光性回折素子を提供することを
目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、転写法により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが形成された基板の凹部に、特定の化合物を充填し、充填部を形成し、さらに延伸することにより光学異方性を有する材料を配向させる工程を有する偏光性回折素子の製造方法により、得られる偏光性回折素子は、凸部および充填部を異なる材料で構成することにより、光学特性に優れることを見出した。
また、該製造方法は、従来の製造方法と比べて、ラビング工程を含まないために異物の発生がないために経済性に優れており、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程を必要としないため、基板の制約が少なく、連続生産性および経済性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の偏光性回折素子の製造方法は、(I)基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成し、部材(b)を得る工程、(II)前記凹部を少なくとも化合物(C)により充填し、充填部を有する部材(c)を得る工程、および(III)部材(c)を延伸し、部材(d)を得る工程を有する偏光性回折素子の製造方法であり、偏光性回折素子において、前記凸部に由来する部分および前記充填部に由来する部分の一方が光学等方性を有し、他方が光学異方性を有することを特徴とする。
前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)の少なくとも片面に直接転写することにより形成されることが好ましい。
また、前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜を得た後に、該塗膜に転写されて形成されることも好ましい。
なお、本発明の偏光性回折素子の製造方法で得られる、偏光性回折素子は、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学異方性を有するか、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有する。
本発明の偏光性回折素子の製造方法で得られる偏光性回折素子が、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学異方性を有する場合には、前記化合物(C)が光学異方性を有する紫外線硬化型液晶単量体であることが好ましく、前記化合物(B)が紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体であることが好ましい。
本発明の偏光性回折素子の製造方法で得られる偏光性回折素子が、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有する場合には、前記化合物(B)が光学異方性を有する紫外線硬化型液晶単量体であることが好ましく、前記化合物(C)が紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体であることが好ましい。
前記基板(a)が熱可塑性樹脂からなることが好ましい。
前記基板(a)が環状オレフィン系樹脂からなることが好ましい。
本発明の偏光性回折素子は、上述の偏光性回折素子の製造方法で製造される。
本発明によれば、連続生産性に優れており、経済性に優れかつ得られる偏光性回折素子の光学特性にも優れた偏光性回折素子の製造方法および該製造方法により得られる偏光性
回折素子を提供することができる。
該偏光性回折素子は、光ピックアップ装置などに組み込まれる光学部品などとして、好適に用いることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の偏光性回折素子の製造方法は、(I)基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成し、部材(b)を得る工程、(II)前記凹部を少なくとも化合物(C)により充填し、充填部を有する部材(c)を得る工程、および(III)部材(c)を延伸し、部材(d)を得る工程を有する偏光性回折素子の製造方法であり、偏光性回折素子において、前記凸部に由来する部分および前記充填部に由来する部分の一方が光学等方性を有し、他方が光学異方性を有することを特徴とする。
なお、(I)基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成し、部材(b)を得る工程を、(I)工程、(II)前記凹部を少なくとも化合物(C)により充填し、充填部を有する部材(c)を得る工程を、(II)工程、(III)部材(c)を延伸し、部材(d)を得る工程を(III)工程とも記す。
(I)工程において、前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを、転写により基板(a)の少なくとも片面に形成する方法としては、大きく二つの態様に分けられる。すなわち、前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)の少なくとも片面に直接転写することにより形成される態様と、前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜を得た後に、該塗膜に転写されて形成される態様である。
また、前述のように本発明の製造方法により得られる偏光性回折素子において、前記凸部に由来する部分および前記充填部に由来する部分の一方が光学等方性を有し、他方が光学異方性を有する。すなわち、本発明の製造方法により得られる偏光性回折素子は、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学異方性を有するか、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有する。
<(I)工程>
本発明の偏光性回折素子の製造方法が有する(I)工程とは、(I)基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成し、部材(b)を得る工程である。
該工程で得られる部材(b)は、凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを少なくとも片面に有する部材である。部材(b)の模式図を図1に示す。
また、本発明に用いられる基板(a)とは、通常は下記透明樹脂(A)からなり、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、環状オレフィン系樹脂からなることがより好ましい。
(透明樹脂(A))
前記透明樹脂(A)としては、本発明の製造方法により得られる偏光性回折素子を使用する際のレーザー波長において透明であれば特に制限無く用いることができる。
透明樹脂(A)としては例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、PMMA、PS
、PC、PES、PSU、環状オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂等を使用できる。透明樹脂(A)としては、光学等方性材料が通常は使用される。なお、本発明における光学等方性材料とは、後述の加熱延伸工程を経た場合には厳密には僅かに光学異方性を発現する。しかしながら、ここでいう光学等方性材料の複屈折値は、後述する光学異方性材料の複屈折値の10分の1以下であり、後述する光学異方性材料との相対比較においては、等方性材料とみなすことができる。
本発明の偏光性回折素子の製造方法は、(III)工程において、延伸を行うため、透明樹脂(A)としては、延伸する際に、設定した延伸倍率に応じて伸びることが求められる。なお、延伸は通常加熱下で行われる。なお、加熱下で行われる延伸を、加熱延伸とも記す。
加熱延伸を行うため、透明樹脂(A)としては、熱変形温度を有する熱可塑性樹脂が通常用いられるが、構造を適宜調製した紫外線硬化樹脂を用いることができる。紫外線硬化樹脂としては、例えば後述する紫外線硬化型(メタ)アクリル樹脂を用いることができる。
なかでも透明樹脂(A)としては、耐熱性や耐久性および加工性の観点から環状オレフィン系樹脂が好ましい。環状オレフィン系樹脂としては、熱変形温度の指標となるガラス転移温度(Tg)が、通常90〜200℃であり、好ましくは100〜190℃であり、さらに好ましくは110〜180℃である。Tgが110℃以上である場合には、得られた偏光性回折素子が優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが90℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが200℃を超える場合には、フィルム形状に加工する際に酸化劣化による着色が起こって光学特性が低下するという問題が生じたり、延伸加工などする際に加工温度が高くなりすぎて、(III)工程を行う際に用いる部材(c)が劣化する場合がある。
ここで、ガラス転移温度(Tg)とは、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度20℃/分、窒素雰囲気にて測定した際に得られる微分示差走査熱量曲線の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求められる。
(基板(a))
本発明に用いる基板(a)は、通常前記透明樹脂(A)からなる。
本発明に用いる基板(a)は、枚葉の形態でもよく、長手方向に長尺の形態を有しても良い。長手方向に長尺の形態を有する所謂ロール形状とした場合には、連続生産性の観点からより好ましいが、ロール形状とした後に枚葉の形態に裁断を施すことも好ましい。なお、基板(a)は、前記透明樹脂(A)からなる基板であるため、ガラス基板や結晶基板と比べて、柔らかく、容易にロール形状とすることができるため好ましく、また所望の形状に打ち抜く等の加工が容易であるために好ましい。ロール形状とする場合に基板(a)の幅には特に制限は無いが、工業的な取り扱い性を鑑みると、好ましくは300〜2200mm、さらに好ましくは500〜1500mmとするのが良い。300mmより幅が狭くなると、経済的な生産性の観点から好ましくなく、2200mmより幅が広くなると製造に用いる装置が大型化するために実生産としては非効率的となるために好ましくない。また、基板(a)の厚みは光学部品としての形態を保持できれば特に制限はないが、ロール形状とする場合には10〜500μmとすることが好ましく、さらに好ましくは50〜300μmであり、最も好ましくは80〜200μmである。厚みが30μm未満では基板としての剛性が弱いために好ましくなく、厚みが300μmを超えるとロール形状とす
るのが困難なことに加えて、ロール形状としたときの巻き長さが短くなってしまうために、連続生産性が落ちるため好ましくない。さらに、打ち抜きなどの加工を行なう際にバリが発生したりクラックが発生したりし易くなるために好ましくない。枚葉の形態とする場合には、工業的な取り扱い性を鑑みると、幅および長さが3〜100cmとすることが好ましく、さらに好ましくは5〜80cmとするのが良い。なお、幅と長さは一致する必要はなく、適宜加工しやすい大きさに設定すればよい。例えば、A4サイズをもって枚葉の形態とする場合には、21cm×30cmの大きさとなる。枚葉の場合には、幅と長さが3cm未満とすると工業的に生産性が欠けるために好ましくなく、幅と長さが100cmを超える場合には、装置が大型化して加工性に欠け、かえって生産性が乏しくなるために好ましくない。
(パターン形成方法)
(I)工程においては、前記基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成し、部材(b)を得る。該パターンを形成する方法としては、例えば基板(a)の少なくとも片面に直接転写してもよく、基板(a)上に化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜を得た後に、該塗膜にパターンを転写する方法等が挙げられる。すなわち、前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)の少なくとも片面に直接転写することにより形成される態様と、前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜を得た後に、該塗膜に転写されて形成される態様とがある。
凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが前記透明樹脂(A)からなる基板(a)に直接転写された部材(b)の模式図を図1(a)に示し、該パターンが前記透明樹脂(A)からなる基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜を得た後に、該塗膜に転写された部材(b)の模式図を図1(b)に示す。
前記基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成する方法としては、前記基板(a)自体に凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを転写する方法(以下、転写法Bという)や前記基板(a)上に化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜に凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを転写する方法(以下、転写法Aという)が挙げられる。
なお、(I)工程で得られる部材(b)が有するパターンの凸部と凹部の幅は、凸部の幅をLで表し、凹部の幅をSで表したときに、L/(L+S)の値が0.4≦{L/(L+S)}≦0.6であることが好ましく、さらに好ましくは0.45≦{L/(L+S)}≦0.55である。なかでもL=Sの場合、すなわち凸部の幅と凹部の幅が一致する場合が特に好ましい。さらに凸部の幅Lは、1μm≦L≦10μmであることが好ましく、さらに好ましくは1μm≦L≦5μm、最も好ましくは1μm≦L≦3μmである。凹部の幅Sについても1μm≦S≦10μmであることが好ましく、さらに好ましくは1μm≦S≦5μm、最も好ましくは1μm≦S≦3μmである。このような凸部の幅Lと凹部の幅Sを選択した場合に、所望の偏光回折能が得られるために好ましい。また、パターンの凹部深さとしては、使用するレーザーの波長や使用する材料種によって設計が異なるが、一般には1〜10μmの範囲である。
転写法B
転写法Bでは、基板(a)自体に凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを転写する。転写の方法としては、基板(a)を熱変形温度以上に加熱しながら予め用意した凹部と凸部とが連続的に形成されたモールドを圧着させる方法(プレス成形法)が好ましい。圧着の手法としては、平板状のモールドを用いて枚葉の基板(a)を処理する手法やロー
ル形状のモールドを用いてロール形状の基板(a)を連続処理する手法や平板状のモールドを用いてロール形状の基板(a)を間欠搬送しながら連続的にバッチ処理する手法などが好ましく用いられる。モールドとしては、凹部と凸部とが連続的に形成されたものが好ましく用いられる。凹部と凸部とが連続的に形成されたモールドの材質としては、所望のパターンが作製できれば特に制限はないが、ニッケルなどの金属製のものやシリコン製のもの、あるいは合成石英などの透明なものなどが好ましく用いられる。また、形状を付与するために塗膜と密着させた後の型離れを良くするために、凹部と凸部とが連続的に形成されたモールド表面には、フッ素系やシリコーン系の離経済をコーティングするなどして離型処理を行うことも好ましい。凹部と凸部とが連続的に形成されたモールドの形状としては、平板状やロール形状など、所望のパターンが作製できれば特に制限はなく、基板が枚葉の形態の場合には、平板状のモールドを、基板がロールの形態の場合には、平板状あるいはロール形状のモールドを使用すればよい。
転写法A
転写法Aでは、まず前記基板(a)上に化合物(B)を含む組成物を塗布する。この時、塗布する手法としては公知のコーティング方法を制限なく採用することができる。具体的な塗工方法としては、たとえば、スピンコート法、リップコート法、コンマコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、グラビアコート法、プリント法等が挙げられる。中でも、厚み精度と量産性の観点から、コンマコート法やグラビアコート法などが好ましく用いられる。
塗布した材料の厚みとしては、所望するパターンが付与できれば特に制限はないが、厚み精度を確保する目的から、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜20μm、最も好ましくは1〜15μmである。パターンの凹部深さとしては、使用するレーザーの波長や使用する材料種によって設計が異なるが、一般には1〜10μmの範囲である。従って、前述の範囲で塗布した材料の厚みを制御することで、厚み精度を確保しつつ、不要な材料を使用することも無く経済性に優れた設計とできるために好ましい。
塗布された材料は、加熱による処理などを適宜経た後に、パターンの形成に供せられる塗膜となる。
凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを前記材料により形成された塗膜に付与する方法としては、凹部と凸部とが連続的に形成されたモールドが好ましく用いられる。凹部と凸部とが連続的に形成されたモールドの材質としては、所望のパターンが作製できれば特に制限はないが、ニッケルなどの金属製のものやシリコン製のもの、あるいは合成石英などの透明なものなどが好ましく用いられる。また、形状を付与するために塗膜と密着させた後の型離れを良くするために、凹部と凸部とが連続的に形成されたモールド表面には、フッ素系やシリコーン系の離経済をコーティングするなどして離型処理を行うことも好ましい。凹部と凸部とが連続的に形成されたモールドの形状としては、平板状やロール形状など、所望のパターンが作製できれば特に制限はなく、基板が枚葉の形態の場合には、平板状のモールドを、基板がロールの形態の場合には、平板状あるいはロール形状のモールドを使用すればよい。
(化合物(B)を含む組成物)
(I)工程において、前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜を得た後に、該塗膜に転写されて形成される場合における、化合物(B)を含む組成物としては、特に限定はなく、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学異方性を有する場合と、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有する場合とで、用いることが可能な組成物が異なる。
化合物(B)を含む組成物から形成される塗膜としては、透明樹脂(B)から形成されることが好ましい。すなわち、本発明において透明樹脂(B)とは、化合物(B)を含む組成物から形成される。前記透明樹脂(B)としては、本発明の製造方法により得られる偏光性回折素子を使用する際のレーザー波長において透明であり、所望の光学等方性または光学異方性を有していればよく、特に制限なく用いることができる。
化合物(B)を含む組成物を用いて、偏光性回折素子を製造する場合には、偏光性回折素子の前記凸部に由来する部分が、化合物(B)を含む組成物に由来する。以下、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有する場合と、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有する場合とに分けて記す。
前記凸部に由来する部分が光学等方性を有する場合には、前記透明樹脂(B)としては例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、PMMA、PS、PC、PES、PSU、環状オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、紫外線硬化型や熱硬化型樹脂等を使用できる。紫外線硬化型や熱硬化型樹脂としては、シリコン系、エポキシ系、(メタ)アクリル系、オキセタン系、メラミン系樹脂を使用できる。光学的に等方性を有する樹脂であれば特に制限はないが、連続的に経済的に偏光性回折素子を生産するという観点から、紫外線硬化型樹脂を含むことが好ましく、透明性や光学的な等方性を得やすい面から紫外線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体からなる樹脂(紫外線硬化型(メタ)アクリル樹脂とも記す)がより好ましい。
化合物(B)としては、前記透明性樹脂(B)そのものであってもよく、前記透明性樹脂(B)を形成するための単量体等であってもよい。前記単量体としては、紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体等が挙げられる。化合物(B)が紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体である場合には、前記基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、必要に応じて乾燥を行い、紫外線照射を行い、紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体を紫外線硬化することにより、透明樹脂(B)である紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体からなる樹脂から形成される塗膜が形成される。
本発明で用いられる化合物(B)を含む組成物としては、化合物(B)自体が流動性を有する場合には、化合物(B)のみでも、化合物(B)を二種以上含む混合物でもよいが、さらに塗布性を向上させるために、溶剤を添加した溶液を組成物として用いてもよい。化合物(B)を含む組成物として溶剤を添加した溶液を用いる場合には、該組成物を、塗布した後に、加熱により溶剤を揮発させることが好ましい。なお、溶剤の揮発は、紫外線硬化を行う前に行うことが好ましい。
溶剤の揮発を行う際の加熱の温度としては、化合物(B)の種類にもよるが、通常透明樹脂(A)の耐熱性も鑑みると40〜150℃とすることが好ましく、さらに好ましくは50〜140℃である。加熱温度が150℃を超えると化合物(B)を含む組成物が塗布された基板(a)が変形する恐れがあり好ましくなく、逆に加熱温度が40℃未満では、溶剤が揮発せずに残留してしまうために好ましくない。また、上記温度範囲であれば、加熱温度は段階的に上げても良い。
なお、前記紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体からなる樹脂(紫外線硬化型(メタ)アクリル樹脂)を得るためには、前記紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体の紫外線硬化を行うことが好ましい。化合物(b)として紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体を用い、前記紫外線硬化を行なうためには、化合物(B)を含む組成物は後述の光重合開始剤(光ラジカル発生剤)が添加されてなることが好ましい。
紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体としては、分子内に少なくとも一つの(メタ)ア
クリロイル基を有している(メタ)アクリレート化合物であれば特に制限されるものではない。たとえば、(メタ)アクリレート化合物としては単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
なお、本発明において(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物およびメタクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を示し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を示す。
単官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリヒドロキシエチルトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;
イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレートのポリ(メタ)アクリレート類;
トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレート等のシクロアルカンのポリ(メタ)アクリレート類;
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とから得られる(メタ)アクリレート等のビスフェノールAの(メタ)アクリレート誘導体類;
3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタンジ(メタ)アクリレート、3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−ジ(メタ)アクリロイルプロパン、N−n−プロピル−N−2,3−ジ(メタ)アクリロイルプロピルパーフルオロオクチルスルホンアミド等の含フッ素(メタ)アクリレート類;
以下のビスフェノール構造を有するポリオール(a)と、有機ポリイソシアネート(b)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(c)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート類;
(a)ビスフェノール構造を有するポリオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール等が挙げられる。これらの中で、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオールが好ましい。これらの市販品としては、例えば、日本油脂(株)製 DA−400、DB−400等が挙げられる。
(b)有機ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。このうち特に、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートが好ましい。
(c)水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうち、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。
これらの多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
これらの多官能(メタ)アクリレート化合物のうち、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなど、1分子内に含まれるアクリロイル基の数が多く、架橋密度の向上が図れ、優れた膜硬度を与える多官能(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
化合物(B)として、前記紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体を用いる場合には、塗膜を形成する際に、紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体を重合(硬化)し、紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体からなる樹脂とするが、該重合を行う際に光重合開始剤(光ラジカル発生剤)を用いることが好ましい。すなわち、化合物(B)を含む組成物中に光重合開始剤(光ラジカル発生剤)が含まれることが好ましい。
光重合開始剤(光ラジカル発生剤)の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。これらの光重合開始剤(光ラジカル発生剤)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの光重合開始剤(光ラジカル発生剤)の中でも、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
また、このような光重合開始剤(光ラジカル発生剤)は、市販品を用いることができる。たとえば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンは、イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)として、また、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンは、イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)として入手することができる。
光重合開始剤(光ラジカル発生剤)の添加量としては、前記紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体の質量100質量%に対して、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下である。添加量が10質量%を超えると、未反応の光重合開始剤が残留して偏光性回折素子の物性に与える影響が無視できなくなるため好ましくない。
紫外線硬化を行う際の光源の例としては、メタルハライドランプや高圧水銀ランプが挙げられる。尚、紫外線照射は、塗膜側(パターンが形成される面、パターンを有する面)から行ってもよく、パターンが形成されない面側から行ってもよい。また、連続的にパターンを形成する場合には、前記モールドの反対側、すなわち基板(a)のパターンが形成されない面側から紫外線の照射を行うことが好ましい。
前記凸部に由来する部分が光学異方性を有する場合には、前記透明樹脂(B)としては例えば、液晶材料が好ましく用いられる。液晶材料の中でも、連続的に経済的に偏光性回折素子を生産するという観点から、紫外線硬化型液晶が好ましく用いられる。紫外線硬化型液晶は、通常は後述の紫外線硬化型液晶単量体を含む組成物を、乾燥などを適宜施した後に紫外線照射することにより得られる。
化合物(B)としては、前記透明樹脂(B)そのものであってもよく、前記透明樹脂(B)を形成するための単量体等であってよい。前記単量体としては、前記紫外線硬化型液晶単量体等が挙げられる。化合物(B)が紫外線硬化型液晶単量体である場合には、前記基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、必要に応じて乾燥を行い、紫外線照射を行い、紫外線硬化型液晶単量体を紫外線硬化することにより、透明樹脂(B)である紫外線硬化型液晶から形成される塗膜が形成される。
本発明で用いられる化合物(B)を含む組成物としては、化合物(B)自体が流動性を有する場合には、化合物(B)のみでも、化合物(B)を二種以上含む混合物でもよいが、さらに塗布性を向上させるために、溶剤を添加した溶液を組成物として用いてもよい。化合物(B)を含む組成物として溶剤を添加した溶液を用いる場合には、該組成物を、塗布した後に、加熱により溶剤を揮発させることが好ましい。なお、溶剤の揮発は、紫外線硬化を行う前に行うことが好ましい。
溶剤の揮発を行う際の加熱の温度としては、化合物(B)の種類にもよるが、通常透明樹脂(A)の耐熱性も鑑みると40〜150℃とすることが好ましく、さらに好ましくは50〜140℃である。加熱温度が150℃を超えると化合物(B)を含む組成物が塗布された基板(a)が変形する恐れがあり好ましくなく、逆に加熱温度が40℃未満では、溶剤が揮発せずに残留してしまうために好ましくない。また、上記温度範囲であれば、加熱温度は段階的に上げても良い。
なお、前記紫外線硬化型液晶を得るためには、前記紫外線硬化型液晶単量体の紫外線硬化を行うことが好ましい。化合物(B)として、紫外線硬化型液晶単量体を用い、前記紫外線硬化を行なうためには、化合物(B)を含む組成物は後述の光重合開始剤(光ラジカル発生剤)が添加されてなることが好ましい。
紫外線硬化型液晶単量体としては、特に限定されることが無く、ネマティック型液晶、スメクティック型液晶にアクリレート基および/またはメタクリレート基を1個以上導入したものを単量体として用いることができる。
このような紫外線硬化型液晶単量体の例としては、アゾキシ系液晶、シアノビフェニル系液晶、シッフ系液晶、シアノフェニルエステル系液晶、シアノフェニルシクロヘキサン系液晶、安息香酸フェニルエステル系液晶、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル系液晶、フェニルピリミジン系液晶、フェニルジオキサン系液晶などの低分子液晶にアクリレート基および/またはメタクリレート基を1個以上導入した紫外線硬化型液晶単量体が挙げられる。また、これらの紫外線硬化型液晶単量体は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
なお、前記紫外線硬化型液晶単量体の硬化物(紫外線硬化型液晶)を得るためには、紫外線硬化を行うことが好ましい。紫外線硬化を行なうためには、化合物(B)を含む組成物は光重合開始剤(光ラジカル発生剤)が添加されてなることが好ましい。光重合開始剤としては凸部に由来する部分が光学等方性を有する場合における、化合物(B)を含む組成物において、紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体を重合(硬化)する際に用いることができる、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)と同様のものを使用することができる。
添加量としては、本発明の紫外線硬化型液晶単量体の質量100質量%に対して、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下である。添加量が10質量%を超えると、未反応の光重合開始剤が液晶転移温度など偏光性回折素子の物性に与える影響が無視できなくなるため好ましくない。
紫外線硬化を行う際の光源の例としては、メタルハライドランプや高圧水銀ランプが挙げられる。尚、紫外線照射は、塗膜側(パターンが形成される面、パターンを有する面)から行ってもよく、パターンが形成されない面側から行ってもよい。また、連続的にパターンを形成する場合には、前記モールドの反対側、すなわち基板(a)のパターンを形成されない面側から紫外線の照射を行うことが好ましい。
なお、前述の透明樹脂(A)、透明樹脂(B)および後述する透明樹脂(C)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、消泡剤、界面活性剤などの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
<(II)工程>
本発明の偏光性回折素子の製造方法が有する(II)工程とは、前記凹部を少なくとも化合物(C)により充填し、充填部を有する部材(c)を得る工程である。
(II)工程で得られる部材(c)の模式図を図2に示す。なお、図2では、部材(c)の一例として、凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが前記基板(a)に直接転写された部材(b)から得られた部材(c)の模式図を示す。なお、図2では、後述する(III)工程における延伸方向を合せて記す。
なお、前記凹部を少なくとも化合物(C)により充填する方法としては、特に限定はないが通常は、前記部材(b)のパターンを有する面に、化合物(C)を含む組成物を塗布することにより行われる。なお、図2においては、前記凹部のみに充填されているが、実際には、凹部への充填と同時に、凸部の上部にも化合物(C)を含む組成物が塗布され、凸部の上部にも化合物(C)が存在する場合がある。
すなわち、(II)工程では通常、化合物(C)を含む組成物を、前記凹部を埋めるように塗布し、前記凹部が少なくとも化合物(C)により充填される。化合物(C)を含む組成物を塗布する際の方法としては、特に限定はなく、公知のコーティング方法を制限なく採用することができる。具体的な塗工方法としては、たとえば、スピンコート法、リップコート法、コンマコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、グラビアコート法、プリント法等が挙げられる。中でも、厚み精度と量産性の観点から、コンマコート法やグラビアコート法などが好ましく用いられる。また、前記凹部への化合物(C)を含む組成物の充填をよりし易くするために減圧環境下で塗工してもよい。
(化合物(C)を含む組成物)
(II)工程において用いられる、化合物(C)を含む組成物としては、特に限定はなく、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学異方
性を有する場合と、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有する場合とで、用いることが可能な組成物が異なる。
部材(c)が有する充填部としては、透明樹脂(C)から形成されることが好ましい。すなわち、本発明において透明樹脂(C)とは、化合物(C)を含む組成物から形成される。前記透明樹脂(C)としては、本発明の製造方法により得られる偏光性回折素子を使用する際のレーザー波長において透明であり、所望の光学等方性または光学異方性を有していればよく、特に制限なく用いることができる。
化合物(C)を含む組成物を用いて、偏光性回折素子を製造する場合には、偏光性回折素子の前記充填部に由来する部分とは、化合物(C)を含む組成物に由来する。以下、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有する場合と、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有する場合とに分けて記す。
前記充填部に由来する部分が光学異方性を有する場合とは、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有する場合であり、化合物(C)を含む組成物としては、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有する場合における化合物(B)を含む組成物と同様のものが用いられる。
また、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有する場合とは、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有する場合であり、化合物(C)を含む組成物としては、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有する場合における化合物(B)を含む組成物と同様のものが用いられる。
<(III)工程>
本発明の偏光性回折素子の製造方法が有する(III)工程とは、部材(c)を延伸し、部材(d)を得る工程である。
(III)工程により、前記部材(c)を延伸し、光学異方性材料を配向させることができるため、(III)工程によって得られる部材(d)は、偏光回折能を有し、本発明の偏光性回折素子の製造方法により得られる偏光性回折素子に所望の偏光回折能を付与することができる。
前記部材(c)を延伸する方法としては、通常前記部材(c)を加熱延伸する方法が用いられる。加熱延伸する方法は、異物などの発生が少なく、また歩留まり良く生産することができるため好ましい。また、延伸としては、一軸延伸が通常用いられる。なお、(III)工程における延伸方向を図2に示した。
前記部材(c)を延伸する方法としては、(1)加熱下で、部材(c)の長手方向に一軸延伸する方法(以下(1)の方法とも記す)、(2)加熱下で、部材(c)の幅方向に一軸延伸する方法(以下(2)の方法とも記す)が好ましい。
部材(c)を延伸する際には、延伸時の加熱温度が、部材(c)の延伸部位全体において精密に制御されていることが好ましい。たとえば、上記(1)の方法における長手方向の一軸延伸、すなわち縦一軸延伸は、温度分布が設定温度±0.6℃以内、好ましくは設定温度±0.4℃以内、より好ましくは設定温度±0.2℃以内にコントロールされたオーブン中で行うのが望ましい。
ここで、設定温度は、オーブン中の全領域で等しい温度であってもよく、段階的にあるいは勾配的に分布を設けた温度であってもよい。設定温度が分布を設けた温度である場合
には、オーブン中の実際の温度分布と、設定された温度分布とが、±0.6℃以内、好ましくは±0.4℃以内、より好ましくは±0.2℃以内であるのが望ましい。
長手方向一軸延伸の設定温度は、部材(c)を構成する各成分(透明樹脂(A)、化合物(C)を含む組成物、必要に応じて用いられる化合物(B)を含む組成物)の種類、延伸倍率および延伸速度、部材(c)の厚み、延伸後の光学異方性材料の所望位相差などにより設定すればよく、特に限定されるものではないが、たとえば、部材(c)を構成する透明樹脂(A)が熱可塑性樹脂の場合には、熱可塑性樹脂の熱変形温度の指標としてガラス転移温度(Tg)を基準とすることができる。設定温度は、このTgを基準として、通常、(Tg−10℃)〜(Tg+70℃)の範囲であり、好ましくは(Tg±0℃)〜(Tg+50℃)の範囲である。このような温度範囲では、部材(c)の熱劣化が起きることなく、また破断することなく延伸できるため好ましい。
上記(1)の方法においては、長手方向一軸延伸の延伸倍率は、たとえば1.03〜1.5倍、好ましくは1.05〜1.3倍、特に好ましくは1.1〜1.2倍の範囲である。延伸倍率が1.03倍未満となると光学異方性材料が所望の配向をしないために好ましくなく、延伸倍率が1.5倍を超えると、(I)工程において形成された凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンに、割れが発生するなどの不具合が生じるために好ましくない。
また、上記(1)の方法における長手方向一軸延伸の延伸速度は、たとえば2〜100m/分、好ましくは5〜50m/分の範囲である。
(III)工程で得られる部材(d)において、長手方向に一軸延伸された光学異方性材料の、部材(d)面内の最大屈折率方向は、部材(d)長手方向に対して通常0±3度の範囲、好ましくは0±2度の範囲、より好ましくは0±1度の範囲、最も好ましくは0±0.5度の範囲にある。
上記(2)の方法で(III)工程を行う場合は、部材(c)を幅方向に一軸延伸する。この幅方向の一軸延伸、すなわち横一軸延伸を、長手方向の一軸延伸よりもさらに精密な温度制御下で行うことにより、全面において均質な偏光性回折素子を好適に得ることができる。たとえば、幅方向の一軸延伸は、温度分布が設定温度±0.5℃以内、好ましくは設定温度±0.3℃以内、より好ましくは設定温度±0.2℃以内にコントロールされたオーブン中で行うのが望ましい。
ここで、幅方向一軸延伸の設定温度は、長手方向一軸延伸の場合と同様、オーブン中の全領域で等しい温度であってもよく、段階的にあるいは勾配的に分布を設けた温度であってもよい。設定温度が分布を設けた温度である場合には、オーブン中の実際の温度分布と、設定された温度分布とが、±0.5℃以内、好ましくは±0.3℃以内、より好ましくは±0.2℃以内であるのが望ましい。この幅方向一軸延伸の設定温度は、長手方向一軸延伸の工程における設定温度と同様であってもよく、異なっていてもよい。
幅方向一軸延伸の設定温度は、長手方向一軸延伸の場合と同様に特に限定されるものではないが、例えば、部材(c)を構成する透明樹脂(A)が熱可塑性樹脂の場合には、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)を基準として、通常、(Tg−10℃)〜(Tg+70℃)の範囲であり、好ましくは(Tg±0℃)〜(Tg+50℃)の範囲である。
幅方向一軸延伸の延伸倍率は、製造する偏光性回折素子の所望特性に応じて決定すればよいが、上記(2)の方法による場合には、たとえば1.02〜1.4倍、好ましくは1.04〜1.25倍、特に好ましくは1.05〜1.2倍の範囲である。延伸倍率が1.02倍未満となると光学異方性材料が上手く均一に発現しないために好ましくなく、延伸
倍率が1.4倍を超えると、(I)工程において形成された凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンに割れが発生するなどの不具合が生じるために好ましくない。
上記幅方向一軸延伸の延伸速度は、たとえば2〜100m/分、好ましくは5〜50m/分の範囲である。
上記(2)の方法では、得られる部材(d)の面内の最大屈折率方向は、部材(d)の幅方向に対して通常0±3度の範囲、好ましくは0±2度の範囲、より好ましくは0±1度、最も好ましくは0±0.5度の範囲にある。
このような偏光性回折素子の加熱延伸工程においては、部材(c)を構成する各成分(透明樹脂(A)、化合物(C)を含む組成物、必要に応じて用いられる化合物(B)を含む組成物)の種類を、ポリマー種、共重合比率、分子量分布、熱変形温度(ガラス転移温度)などの特性を考慮しながら選択し、長手方向の一軸延伸ならびに幅方向の一軸延伸の各工程における、オーブン中の設定温度の選択、延伸倍率および延伸速度の選択などにより、得られる偏光性回折素子の特性を制御することができる。なお、延伸工程を経ることで、パターンの凹部や凸部の幅、パターンの凹部深さは減少するが、延伸工程を経た後の形状が前述した範囲となるように調整することにより偏光性回折素子の特性を制御することができる。
本発明の製造方法により得られる偏光性光学素子は、光ピックアップ装置などに組み込まれる光学部品として好適に使用される。このようなレーザー光が通過する光学部品においては、レーザー光が通過する際にレーザー光がゆがまないために、部品の平滑性が求められる。このような平滑性の指標としては、透過波面収差(全面RMS、λrms)が用いられているが、本発明の製造方法により得られる偏光性光学素子においては、平滑な基板(a)を用いたり、精密な材料塗布(充填)工程((II)工程)や精密な延伸工程((III)工程)を経たりしているため、十分な平滑性が確保できている。本発明の製造方法により得られる偏光性光学素子の透過波面収差としては、例えばDVD波長における光径2mmφの場合の全面RMS値で好ましくは25mλ以下、さらに好ましくは20mλ以下、最も好ましくは15mλ以下である。全面RMS値で25mλを超える場合は、出射レーザー光がゆがみ、光ピックアップ装置の読み書き性能が低下するために好ましくない。
<反射防止処理>
本発明の製造方法により得られる、偏光性回折素子は、(III)工程で得られる部材(d)そのものでもよいが、通常は、さらに反射防止層を有する。
本発明の製造方法により得られる偏光性回折素子は、反射防止層を有することが好ましい。反射防止層は、熱硬化性樹脂組成物あるいは光硬化性樹脂組成物をグラビアコート、ダイコート、スロットコート等公知の塗工方法で塗工し、必要に応じて乾燥させた後、硬化して形成することができる。また、スパッタリングや蒸着等により形成することもできる。これらの層は、部材(d)の片面に設けても良いし、両面に設けても良い。また、あらかじめ基板(a)のパターンを形成しない側に設けてもよく、部材(b)のパターンを有さない面や、部材(c)に設けてもよい。
反射防止層は通常、低屈折率層からなり、さらに反射防止性能を高めるために、低屈折率層と高屈折率層との積層構造を有していてもよく、またさらに耐擦傷性を確保するため、ハードコート層を有していてもよい。積層順は、偏光素子の最外層側から、好ましくは、ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層の順に積層される。また必要に応じて、低屈折率層と高屈折率層の間、あるいはハードコート層と高屈折率層の間に中屈折率層を有してもよい。
低屈折率層および高屈折率層を形成するための組成物としては、公知の硬化性組成物が挙げられる。例えば、バインダー樹脂として、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等を1種以上含有し、さらに、低屈折率層形成用組成物はフッ素含有化合物を含有し、高屈折率層形成用組成物は高屈折率の無機粒子、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、スカンジア、フッ化マグネシウム等金属酸化物粒子を含有する。
低屈折率層および高屈折率層の屈折率および厚みは公知の範囲で用いられるが、使用する波長における反射防止効果を高めるため、低屈折率層の屈折率(25℃、波長589nmでの平均屈折率)は、1.45以下であることが好ましく、低屈折率層の厚みは50〜300nmであることが好ましい。また、高屈折率層の屈折率(25℃、波長589nmでの平均屈折率)は、低屈折率層の屈折率より0.05以上大きい屈折率であることが好ましく、厚みは50〜10,000nmであることが好ましい。
本発明の偏光性回折素子は、前述の偏光性回折素子の製造方法により得られる素子である。該製造方法は経済性に優れた製造方法であり、面全体において高度に偏光回折性能が制御されているため、該製造方法により得られる偏光性回折素子は光ピックアップ装置などに組み込まれる光学部品などとして好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各性状は次のようにして測定し、評価した。
(1)常光透過率および異常光透過率
大塚電子社製RETS−1200VAを用い、光径5mmφの条件で、偏光性回折素子の常光透過率と異常光透過率をそれぞれ測定した。
(2)波面収差
フジノン社製レーザー干渉計R−10を用い、波長656nm、光径2mmφのレーザー光を用いて、偏光性回折素子の波面収差として全面RMS(λrms)を測定した。
(3)反射率
反射防止層を設けた面の反対側の表面を黒色スプレーで塗装し、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、偏光性回折素子の波長660nmおよび785nmにおける反射率を反射防止層側から測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、反射率を660nmおよび785nmにて測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。樹脂のTgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。紫外線硬化型アクリル樹脂のTgは、強制共振振動型の動的粘弾性測定装置を用いて、硬化フィルムとしてのガラス転移温度を測定した。具体的には、硬化フィルムに周波数10Hzの振動を与えながら、昇温速度3℃/分で、損失正接を測定した。損失正接が最大値を示した温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(5)水素添加率
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3
.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、樹脂の水素添加率を算出した。
(6)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロ
フラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8質量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、樹脂の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
(7)残留溶媒量
サンプル(フィルム)を塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
(8)対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃
で樹脂の対数粘度を測定した。
(9)飽和吸水率
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプル(樹脂)を浸漬し、浸漬前後の質量変化を測定して求めた。
(10)全光線透過率、ヘイズ
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用してフィルムの全光線透過率を測定した。
[合成例1](樹脂(A−1)(環状オレフィン系樹脂)の製造)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン(DNM)225質量部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)25質量部とを単量体として用い、1−ヘキセン(分子量調節剤)27質量部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750質量部とともに、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5mol/リットル)0.62質量部と、tert−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(tert−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35mol:0.3mol:1mol)のトルエン溶液(濃度0.05mol/リットル)3.7質量部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液1,000質量部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12質量部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水
素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重
合体(以下、「樹脂(A−1)」という。)を得た。
このようにして得られた樹脂(A−1)の1H−NMRにより測定した水素添加率は9
9.9%、DSC法により測定したTgは130℃、GPC法により測定したポリスチレン換算によるMnは20,800、Mwは62,000およびMw/Mnは3.00、23℃における飽和吸水率は0.21%ならびに30℃におけるクロロホルム中での対数粘度は0.51dl/gであった。
[合成例2](樹脂(A−2)(環状オレフィン系樹脂)の製造)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン53部と、8−エチリデ
ンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン46部と、トリシクロ[
4.3.0.12,5]−デカ−3,7−ジエン66部とを使用し、1−ヘキセン(分子量
調節剤)の添加量を22部とし、開環重合反応用溶媒としてトルエンの代わりにシクロヘキサンを使用したこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体(以下、「樹脂(A−2)」という)を得た。
得られた樹脂(A−2)について、水素添加率は99.9%、ガラス転移温度(Tg)は125℃、Mnは30,000、Mwは122,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.07、対数粘度は0.63dl/gであった。
[合成例3](樹脂(A−3)(環状オレフィン系樹脂)の合成)
DNM71質量部、ジシクロペンタジエン(DCP)15質量部、およびノルボルネン1質量部を単量体として用い、分子量調節剤の1−へキセン 18質量部、およびトルエ
ン 200質量部とともに、窒素置換した反応容器に仕込んで100℃に加熱した。
これにトリエチルアルミニウム 0.005質量部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2:WCl6=103:630:427 質量比)0.005質量部
を加えて1分反応させ、次いで、DCP 10質量部とNB3質量部を5分で追加添加し
て、さらに45分反応させることにより、DNM/DCP/NB=69.77/26.01/4.23(wt%)の共重合体を得た。
次いで、得られた共重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを200部加えた。次に、反応調整剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを1質量部と水素添加触媒であるRuHCl(CO)[
P(C65)]3を0.006質量部添加し、155℃まで過熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行った。反応終了後、トルエン100質量部、蒸留水3質量部、乳酸0.72質量部、過酸化水素0.00214質量部を加え60℃で30分加熱した。その後、メタノール200質量部を加え60℃で30分加熱し、これを25℃まで冷却すると2層に分離した。上澄み液500質量部を除去し、再びトルエン350質量部、水3質量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240質量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。上澄み液500質量部を除去し、さらにトルエン350質量部、水3質量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240質量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。最後に上澄み液500質量部を除去後、残ったポリマー溶液を、2.0μm、1.0μm、0.2μmのそれぞれのフィルターを用いて濾過した。その後、ポリマー固形分量を55%まで濃縮し、250℃、4torr、滞留時間1時間で脱溶媒処理を行い、10μmのポリマーフィルターを通過させて、共重合体を得た(以下、「樹脂(A−3)」という)。
このようにして得られた樹脂(A−3)の1H−NMRにより測定した水素添加率は9
9.9%、DSC法により測定したTgは131℃、GPC法により測定したポリスチレン換算によるMnは16,000、Mwは61,000およびMw/Mnは3.81、23℃における飽和吸水率は0.18%ならびに30℃におけるクロロホルム中での対数粘度は0.52dl/gであった。
[合成例4](ウレタンアクリレートの合成)
攪拌機を備えた反応容器に、2−フェノキシエチルアクリレートを49.96質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを0.01質量部、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.04質量部、トリレンジイソシアネートを17.74質量部加え、5〜15℃に冷却した。温度が10℃以下になったところで、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.84質量部を攪拌しながら滴下し、液温度を20〜35℃で制御しながら1時間攪拌した。その後、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール(日本油脂(株)製
DA−400)を20.40質量部仕込み、55〜65℃で3時間反応を続け、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とし、ウレタンアクリレートを得た。
[調整例1](紫外線硬化型アクリル樹脂の調製)
攪拌機を備えた反応容器に、次に示す配合比(質量部)で各成分を仕込み、50℃で1時間攪拌混合して、液状組成物を得た。具体的な配合比は、合成例6で得たウレタンアクリレート9.8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート13.7質量部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸アクリル酸エステル29.4質量部、ポリオキシアルキレンビスフェノールAジアクリレート32.3質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物4.9質量部、N−ビニル−2−ピロリドン7.8質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1.5質量部、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.3質量部、ジエチルアミン0.1質量部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル0.3質量部、以上合計で100.1質量部とした。得られた液状組成物としての紫外線硬化型アクリル材料の粘度は、JIS K7117に従い、回転粘度計を用いて25℃における値で540mPa・sであり、紫外線硬化後の樹脂のTgは120℃であった。
[製造例1](基板(a−1)の製造)
合成例1で得た樹脂(A−1)と酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、二軸押出機(東芝機械株式会社製;TEM−48)を用いて押出し、ストランドダイより流出させた樹脂ストランドを冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、米粒状に裁断し、造粒樹脂(透明樹脂(A−1))を得た。酸化防止剤添加量は、樹脂100質量部に対して0.1質量部とした。
この造粒樹脂を窒素雰囲気下で100℃×4時間乾燥の後、単軸押出機(90mmΦ)に送り込み、260℃で溶融しながら、ギアポンプで定量押出を実施し、公称の目開きを10μmとした日本精線製の金属繊維焼結フィルターを用いて、溶融ろ過を行い、コートハンガー型のダイ(1700mm幅)を用いて、コートハンガーダイ出口の間隙を0.5mmとして260℃で膜状に押出した。このときに用いたダイのダイランド長(ダイ出口の平行部分の長さ)は、20mmであった。ダイ出口からロール圧着点までの距離を65mmとして、押出したフィルムを、表面粗さが0.1Sの250mmΦの鏡面ロールと、0.3mm厚の金属ベルトの間に挟んで、フィルムの表面を光沢面に転写した。金属ベルト(幅1650mm)は、ゴム被覆のロール(保持するロールの径は150mmΦ)と、冷却ロール(ロール径150mm)により保持したもので、市販のスリーブ式転写ロール(千葉機械工業製)を用いて、転写した。転写するときのロール間隔は、0.35mmで
あり、転写圧力は、0.35MPaであった。
このときの、鏡面ロールの外周の周速度を10m/minとした。このときの鏡面ロールの温度は、オイル温調機を用いて125℃、ゴム被覆ロールの温度は、115℃に設定した。
鏡面ロールの下流側には、250mmΦの冷却ロールを配置し、鏡面ロールから剥ぎ取ったフィルムは、115℃に設定した冷却ロールに圧着するまでの時間を2.1秒間として冷却した。その後フィルムを、剥離張力0.4MPa・cmで剥離して、片面にマスキングフィルムを貼合して、巻き取り機で巻き取り、厚み130μmの樹脂フィルムを得た(以下、「基板(a−1)」という)。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
[製造例2](基板(a−2)の製造)
製造例1において、樹脂(A−1)に代えて、合成例2で得た樹脂(A−2)を用いた以外は、製造例1と同様にして、厚み100μmの樹脂フィルムを得た(以下、「基板(a−2)」という)。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は124℃であった。
[製造例3](基板(a−3)の製造)
製造例1において、樹脂(A−1)に代えて、合成例3で得た樹脂(A−3)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、厚み130μmの樹脂フィルムを得た(以下、「基板(a−3)」という)。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は131℃であった。
[実施例1]
製造例1で得た基板(a−1)上に、井上金属工業製INVEXラボコーターにて200メッシュの小径グラビアロールを用いて、調整例1で得た紫外線硬化型アクリル材料を塗布した。次いで、凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが転写されるように調製した転写ロールを用いて、塗布面に凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを転写させた。転写するのと同時に高圧水銀ランプを用いて紫外線を、パターンを有さない側から500mJ/cm2のエネルギー量で照射して凹部と凸部とが連続的に形成されたパター
ンを形成し、部材(b−1)を得た。凸部の幅は2.5μm、凹部の幅は2.5μmとし、凹部の深さは2.6μmとした。次に、形成された凹部へ、井上金属工業製INVEXラボコーターにて200メッシュの小径グラビアロールを用いて、メルク株式会社製の紫外線硬化型液晶材料であるRMS03−013Cを塗布し、乾燥路を通過させて乾燥させた。なお、RMS03−013Cは、紫外線硬化型液晶単量体や光重合開始剤、溶剤などを含む混合物としてメルク株式会社より市販されている。
乾燥させた後に、高圧水銀ランプを用いて紫外線を、パターンを有さない側から500mJ/cm2のエネルギー量で照射して硬化させることで、充填部を形成し、部材(c−
1)を得た。
次いで、延伸機炉内温度130℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率1.1倍で、フィルム(部材(c−1))幅方向を固定しないフィルム(部材(c−1))長手方向の一軸延伸をおこない、部材(d−1)を得た。得られた部材(d−1)の両面に反射防止処理を行い、偏光性回折素子(1)を得た。得られた偏光性回折素子(1)の常光透過率は、波長660nmにおいて98.5%、波長785nmにおいて98.4%であり、異常光透過率は、波長660nmにおいて1.5%、波長785nmにおいて3.2%であった。反射率は、パターンおよび充填部を有する側(パターン側)の面で660n
mにおいて0.1%、波長785nmにおいて0.2%であり、基板(a−1)側(基板側)の面で660nmにおいて0.2%、波長785nmにおいて0.2%であった。また、波面収差を測定した結果、λrms=12mλであり、平坦な面ができていることが分かった。
[実施例2]
製造例2で得た基板(a−2)を間欠搬送させながら、20cm角の転写面積をもつニッケル製モールドを用いて温度230℃条件下でプレスを行うことにより、凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを基板(a−2)に転写し、部材(b−2)を得た。凸部の幅は2.5μm、凹部の幅は2.5μmとし、凹部の深さは2.6μmとした。次に、形成された凹部へ、井上金属工業製INVEXラボコーターにて200メッシュの小径グラビアロールを用いて、メルク株式会社製の紫外線硬化型液晶材料であるRMS03−013Cを塗布し、乾燥路を通過させて乾燥させた。
乾燥させた後に、高圧水銀ランプを用いて紫外線を、パターンを有さない側から500mJ/cm2のエネルギー量で照射して硬化させることで、充填部を形成し、部材(c−
2)を得た。
次いで、延伸機炉内温度130℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率1.1倍で、フィルム(部材(c−2))幅方向を固定しないフィルム(部材(c−2))長手方向の一軸延伸をおこない、部材(d−2)を得た。得られた部材(d−2)の両面に反射防止処理を行い、偏光性回折素子(2)を得た。得られた偏光性回折素子(2)の常光透過率は、波長660nmにおいて98.2%、波長785nmにおいて98.3%であり、異常光透過率は、波長660nmにおいて1.7%、波長785nmにおいて3.6%であった。反射率は、パターンおよび充填部を有する側(パターン側)の面で660nmにおいて0.2%、波長785nmにおいて0.1%であり、基板(a−2)側(基板側)の面で660nmにおいて0.2%、波長785nmにおいて0.3%であった。また、波面収差を測定した結果、λrms=10mλであり、平坦な面ができていることが分かった。
[実施例3]
製造例3で得た基板(a−3)上に、井上金属工業製INVEXラボコーターにて200メッシュの小径グラビアロールを用いて、メルク株式会社製の紫外線硬化型液晶材料であるRMS03−013Cを調整例1で得た紫外線硬化型アクリル材料を塗布し、乾燥路を通過させて乾燥させた。次いで、凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが転写されるように調製した転写ロールを用いて、塗布面に凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを転写させた。転写するのと同時に高圧水銀ランプを用いて紫外線を、パターンを有さない側から500mJ/cm2のエネルギー量で照射して凹部と凸部とが連続的に形
成されたパターンを形成し、部材(b−3)を得た。凸部の幅は2.5μm、凹部の幅は2.5μmとし、凹部の深さは2.6μmとした。次に、形成された凹部へ、井上金属工業製INVEXラボコーターにて200メッシュの小径グラビアロールを用いて、調整例1で得た紫外線硬化型アクリル材料を塗布した。塗布後に、高圧水銀ランプを用いて紫外線を、パターンを有さない側から500mJ/cm2のエネルギー量で照射して硬化させ
ることで、充填部を形成し、部材(c−3)を得た。
次いで、延伸機炉内温度130℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率1.1倍で、フィルム(部材(c−3))幅方向を固定しないフィルム(部材(c−3))長手方向の一軸延伸をおこない、部材(d−3)を得た。得られた部材(d−3)の両面に反射防止処理を行い、偏光性回折素子(3)を得た。得られた偏光性回折素子(3)の常光透過率は、波長660nmにおいて99.0%、波長785nmにおいて98.8%であ
り、異常光透過率は、波長660nmにおいて1.1%、波長785nmにおいて3.4%であった。反射率は、パターンおよび充填部を有する側(パターン側)の面で660nmにおいて0.3%、波長785nmにおいて0.2%であり、基板(a−3)側(基板側)の面で660nmにおいて0.3%、波長785nmにおいて0.4%であった。また、波面収差を測定した結果、λrms=9mλであり、平坦な面ができていることが分かった。
Figure 2010139884
凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが前記基板(a)に直接転写された部材(b)の模式図(a)および、凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが透明樹脂(B)により形成された塗膜に転写された部材(b)の模式図(b)を示す。 部材(c)の模式図を示す。
符号の説明
1・・・凹部
3・・・凸部
5・・・透明樹脂(A)
7・・・透明樹脂(B)により形成された塗膜
9・・・充填部
11・・・(III)工程における延伸方向

Claims (12)

  1. (I)基板(a)の少なくとも片面に、転写により凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンを形成し、部材(b)を得る工程、
    (II)前記凹部を少なくとも化合物(C)により充填し、充填部を有する部材(c)を得る工程、および
    (III)部材(c)を延伸し、部材(d)を得る工程を有する偏光性回折素子の製造方法であり、
    偏光性回折素子において、前記凸部に由来する部分および前記充填部に由来する部分の一方が光学等方性を有し、他方が光学異方性を有することを特徴とする偏光性回折素子の製造方法。
  2. 前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)の少なくとも片面に直接転写することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  3. 前記凹部と凸部とが連続的に形成されたパターンが、前記基板(a)上に、化合物(B)を含む組成物を塗布し、該組成物から形成される塗膜を得た後に、該塗膜に転写されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  4. 前記偏光性回折素子において、前記凸部に由来する部分が光学等方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学異方性を有することを特徴とする請求項2または3に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  5. 前記偏光性回折素子において、前記凸部に由来する部分が光学異方性を有し、前記充填部に由来する部分が光学等方性を有することを特徴とする請求項3に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  6. 前記化合物(C)が光学異方性を有する紫外線硬化型液晶単量体であることを特徴とする請求項4に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  7. 前記化合物(B)が紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体であることを特徴とする請求項4に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  8. 前記化合物(B)が光学異方性を有する紫外線硬化型液晶単量体であることを特徴とする請求項5に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  9. 前記化合物(C)が紫外線硬化型(メタ)アクリル単量体であることを特徴とする請求項5に記載の偏光性回折素子の製造方法。
  10. 前記基板(a)が熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の偏光性回折素子の製造方法。
  11. 前記基板(a)が環状オレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の偏光性回折素子の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の偏光性回折素子の製造方法で製造された偏光性回折素子。
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