JP2010138956A - 真空断熱材 - Google Patents

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真弥 小島
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Abstract

【課題】ヒートブリッジ現象を抑制し、長期に亘って断熱効果を維持することが可能な真空断熱材を提供する。
【解決手段】蒸着膜を有するガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムが複層され少なくとも無機繊維からなる芯材15を減圧密封するための一枚の外被材16を備え、熱溶着性フィルムが内面となるように外被材16が折り返され、外被材16の周縁部に位置し対向する熱溶着性フィルム同士が熱溶着された真空断熱材1であって、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した溶着部23の断面が凹部を有しており、凹部と折り返し線22との間に位置する溶着部23のうち少なくとも一部の厚みを熱溶着性フィルムの二倍より大きくしたので、折り返し線22付近における未溶着部の形成を防ぐことで長期に亘って断熱効果を維持し、ヒートブリッジ現象の抑制が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空断熱材に関するものである。
近年、地球環境問題である温暖化の対策として省エネルギーを推進する動きが活発となっており、温冷熱利用機器に関しては、熱を有効活用するという観点から優れた断熱性能を有する真空断熱材が普及しつつある。
真空断熱材とは、ガスバリア性を有する外被材を袋状に加工し、グラスウールやシリカ粉末等のように気相容積比率が高く微細な空隙を構成する芯材を袋内に挿入し、芯材を減圧密封したものである。
芯材の空隙径を、減圧下における気体分子の平均自由行程よりも小さくすることで気体熱伝導成分は小さくなり、また、1mm程度の微細な空隙では対流熱伝達成分の影響は無視できるようになる。さらに、室温付近では輻射成分の影響は軽微であるため、真空断熱材における熱伝導は芯材の固体熱伝導成分と僅かに残る気体熱伝導成分が支配的であるとされている。
また、空隙の減圧状態を維持するために、外被材は、ガスや水蒸気の透過を防止するためのガスバリア性フィルムと、ガスバリア性フィルムの一方の面には外部からの突刺しに対しガスバリア性フィルムを保護する表面保護層と、他方の面には外被材を袋状に加工するための熱溶着性フィルムにより構成されている。
しかしながら、以上のように構成された従来の真空断熱材は、ガスバリア性能とコストの観点からガスバリア性フィルムとして厚さ6〜9μmのアルミニウム箔を使用しているため、気体の熱伝導を極小化しても外被材を構成するアルミニウム箔を伝わる熱の影響が大きく、真空断熱材の外殻を伝わる熱伝導、いわゆるヒートブリッジ現象によって真空断熱材の断熱効果が小さなる。特にガラス繊維を芯材とした真空断熱材の場合、芯材の固体熱伝導成分は、シリカなどの粉末を芯材とした真空断熱材より小さいため、ヒートブリッジ現象の影響が非常に大きくなるという課題を有していた。
また、外被材を構成する熱溶着性フィルムはガスバリア性フィルムの内面にあるため、熱溶着性フィルムが熱溶着された溶着部を介して芯材が構成する空隙へガスや水蒸気が侵入する。これにより気体熱伝導成分が増加し、真空断熱材の熱伝導率が経年的に変化する。特にガラス繊維を芯材とした真空断熱材の場合、3〜10μm程度の汎用的なガラス繊維が構成する空隙の寸法は、シリカなどの微粉末からなる芯材が形成する空隙の寸法に比べて大きいため、ガスや水蒸気の侵入による気体熱伝導成分の増加が大きくなるという課題を有していた。
そこで、第一の課題であるヒートブリッジ現象を解決するために、支持基材上に形成された有機物膜と無機物膜との積層膜を有するガスバリア性の積層フィルムを外装体とし、外装体内部に断熱コア材を封入し、その外装体内部を真空排気した真空断熱材が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、第二の課題である熱伝導率の経年変化を抑制するために、ガスバリア性フィルムと接着層とを備えたフィルムからなる外皮体の封止部分において、接着層を相互に接着した接着部の一部を薄肉にした薄肉条部を設けた真空断熱材が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
図19および図20は、それぞれ特許文献1に記載された従来の真空断熱材の断面図と、積層フィルムの断面図である。
図19、図20において、真空断熱材1は、ガスバリア性を有する積層フィルム2からなる外装体内部に断熱コア材3を封入したものであり、積層フィルム2は、支持基材4上に形成された有機物膜5と無機物膜6との積層膜を含むものである。
本文献によれば、無機物膜6の厚みをアルミニウム箔よりも薄くできるため、真空断熱材1の外装体を通しての熱の移動がなく、また、無機物膜6のクラックや欠陥の伝播を有機物膜5が補うため、蒸着面に対して垂直方向のガスバリア性が高いことから長期にわたって外装体内部の真空状態が保たれ、断熱性能が維持できるとされている。
また、図21および図22は、それぞれ特許文献2に記載された従来の真空断熱パネルの封止部分の断面図と、真空断熱パネルの製造過程を封止用冶具とともに示した断面図である。
図21、図22において、真空断熱パネル7は、袋状の外皮体8の内部にパーライト等の粉体9を充填したものであり、外皮体8はガスバリア性フィルム10と熱溶着性層11とを積層したものである。この外皮体8の封止部分において熱溶着性層11が相互に接着した接着部12の一部を薄肉にした薄肉条部13が形成されている。この薄肉条部13は、ヒーターを備えた封止用冶具14を用い、当該部分のフィルムを特に強く加圧することで得られるものである。
本文献によると、接着層を通って内部に侵入する空気量は接着層の厚さ寸法に略比例するため、接着部12に設けた薄肉条部13において、空気の侵入抵抗が増大し、芯材9が構成する空隙内部に空気が侵入し難くなる。これにより長期間にわたり優れた断熱性能を維持できるとされている。
特開2003−172493号公報 実開昭62−141190号公報
しかしながら上記特許文献1の構成では、一枚の積層フィルム2で断熱コア材3を封入すると、積層フィルム2の折り返し部分が生じる。この折り返し部分は対向する熱溶着性フィルム同士が完全に密着しないため、対向する熱溶着性フィルム同士を熱溶着しても、折り返し部付近の熱溶着性フィルムにおいて溶着されない箇所が生じる可能性が高い。この折り返し部を通じてガスや水蒸気が侵入するため、外装体内部の真空状態を長期にわたって維持できない。
また、同文献中に、二枚の積層フィルム2で断熱コア材3を封入した実施例が示されているが、上記特許文献2のように、熱溶着性フィルムの溶着部を介して真空断熱材1内部へ侵入するガスや水蒸気への対策が講じられていないため、芯材3が構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の量は、アルミニウム箔をガスバリア性フィルムとして利用した真空断熱材よりも、蒸着面からの侵入量分だけ増加するので、空隙における真空度の増加速度は従来よりも大きくなる。
よって、上記特許文献1の技術手段のみでは、真空断熱材1を製作した直後の熱伝導率と、積層フィルム2のガスバリア性に関する記載はあっても熱伝導率の経年的な変化に関する記載が無く、長期にわたって外装体内部の真空状態が保たれ、断熱性能が維持できると言い難い。
また、上記特許文献2の構成では、真空断熱材7の周縁に設けた接着部12の全周に薄肉条部13を付与しなければならず、文献に示された封止用冶具14で薄肉条部13を形成すると、封止用冶具14の形状によってはガスバリア性フィルム10が傷付く。よって薄肉条部13の形成によって空気の侵入抵抗が増大してもガスバリア性フィルム10の傷付き箇所が新たな空気の侵入経路となるため、長期にわたり優れた断熱性能が維持できるとは限らない。
本発明では、上記従来の課題を解決するものであり、ヒートブリッジ現象を抑制し、熱伝導率の経年的な変化を抑制する真空断熱材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとが複層され少なくとも無機繊維からなる芯材を減圧密封するための一枚の外被材を備え、前記熱溶着性フィルムが内面となるように前記外被材が折り返され、前記外被材の周縁部に位置し対向する熱溶着性フィルム同士が溶着された真空断熱材において、前記外被材の折り返し線に対して略垂直な平面で切断した断面を見たときに、少なくとも前記折り返し線の近傍に位置する前記溶着部が凹部を有しており、前記凹部の最深部に位置する前記溶着部の厚みが前記最深部の周辺部に位置する前記溶着部よりも薄い薄肉部が形成されており、前記凹部と前記折り返し線の間に位置する前記溶着部のうち少なくとも一部の厚みが前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きいことを特徴とするものである。
凹部と折り返し線の間に位置する溶着部のうち少なくとも一部の厚みを前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きくしたことで、折り返し線付近に生じやすい未溶着部が溶着されるため、折り返し線付近に位置する溶着部を介して芯材が構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の侵入量が減少するという作用を有する。
また、一枚の外被材を折り返して芯材を覆った真空断熱材は、二枚の外被材で芯材を覆った真空断熱材に比べて溶着部の長さが減少するため、芯材を構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用を有する。
また、凹部を形成する箇所を、折り返し線付近と限定したことから、凹部の形成によって生じるガスバリア性フィルムの傷付き箇所が減少し、傷付き箇所を新たな空気の侵入経路として空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用を有する。
さらに、上記の作用に加えてガスバリア性フィルムを金属箔ではなく、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムに変更したことから、外被材の熱伝導率が低下するという作用を有する。
本発明の真空断熱材は、凹部と折り返し線の間に位置する溶着部のうち少なくとも一部の厚みを前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きくしたことで、折り返し線付近に生じやすい未溶着部が溶着されるため、折り返し線付近に位置する溶着部を介して芯材が構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の侵入量が減少するという作用や、また、一枚の外被材を折り返して芯材を覆った真空断熱材は、二枚の外被材で芯材を覆った真空断熱材に比べて溶着部の長さが減少するため、芯材を構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用や、さらに凹部を形成する箇所を、折り返し線付近と限定したことから、凹部の形成によって生じるガスバリア性フィルムの傷付き箇所が減少し、傷付き箇所を新たな空気の侵入経路として空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用を有する。
これにより、空隙における真空度の経年的な上昇が抑制され、無機繊維を芯材とした真空断熱材の課題であった経年的な熱伝導率の変化が小さくなり、長期に亘って断熱効果を維持する真空断熱材を提供することが可能となる。
さらに、上記の効果に加え、ガスバリア性フィルムを金属箔ではなく、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムに変更したことから、外被材の熱伝導率が低下するという作用により、無機繊維のように粉末に比べて低い固体熱伝導を有する芯材とした真空断熱材の課題であったヒートブリッジが抑制され、無機繊維が本来持つ低固体熱伝導成分を十分に発揮した断熱効果の高い真空断熱材を提供することが可能となる。
本発明の請求項1に記載の発明は、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとが複層され少なくとも無機繊維からなる芯材を減圧密封するための一枚の外被材を備え、前記熱溶着性フィルムが内面となるように前記外被材が折り返され、前記外被材の周縁部に位置し対向する熱溶着性フィルム同士が溶着された真空断熱材において、前記外被材の折り返し線に対して略垂直な平面で切断した断面を見たときに、少なくとも前記折り返し線の近傍に位置する前記溶着部が凹部を有しており、前記凹部の最深部に位置する前記溶着部の厚みが前記最深部の周辺部に位置する前記溶着部よりも薄い薄肉部が形成されており、前記凹部と前記折り返し線の間に位置する前記溶着部のうち少なくとも一部の厚みが前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きいことを特徴とするものである。
凹部と折り返し線の間に位置する溶着部のうち少なくとも一部の厚みを前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きくしたことで、折り返し線付近に生じやすい未溶着部が溶着されるため、折り返し線付近に位置する溶着部を介して芯材が構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の侵入量が減少するという作用を有する。
また、一枚の外被材を折り返して芯材を覆った真空断熱材は、二枚の外被材で芯材を覆った真空断熱材に比べて溶着部の長さが減少するため、芯材を構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用を有する。
また、凹部を形成する箇所を、折り返し線付近と限定したことから、凹部の形成によって生じるガスバリア性フィルムの傷付き箇所が減少し、傷付き箇所を新たな空気の侵入経路として空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用を有する。
以上これらの作用により、空隙における真空度の経年的な上昇が抑制され、無機繊維を芯材とした真空断熱材の課題であった経年的な熱伝導率の変化が小さくなり、長期に亘って断熱効果を維持する真空断熱材を提供することが可能となる。
さらに、上記の作用に加えてガスバリア性フィルムを金属箔ではなく、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムに変更したことから、外被材の熱伝導率が低下するという作用を有する。
これにより、無機繊維のように粉末に比べて低い固体熱伝導を有する芯材とした真空断熱材の課題であったヒートブリッジが抑制され、無機繊維が本来持つ低固体熱伝導成分を十分に発揮した断熱効果の高い真空断熱材を提供することが可能となる。
なお、ここで蒸着膜を有するガスバリア性フィルムとは、基材となるプラスチックフィルム上に蒸着膜を形成したものである。
また、基材に関して特に指定するものではないが、外被材のガスバリア性を高めるため、ナイロン−6やナイロン−66などのポリアミドフィルムや、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムや、ポリビニルアルコールフィルムや、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのようにガスバリア性の高い材料を使用することが望ましい。
また、蒸着膜に関して特に指定するものではないが、アルミニウムやカーボン、酸化アルミニウム、酸化珪素のような単体あるいはそれらの混合体によって構成される、金属または金属酸化物が望ましい。また、基材に金属または金属酸化物を蒸着した表面に、蒸着物の隙間や欠陥を埋める目的や、蒸着物の保護を目的に有機物膜を設けても良い。
また、蒸着膜の厚みは特に指定しないが、金属箔の厚みを超えない程度であれば自由に決定することができる。
さらに、蒸着膜の形成方法は、基材上に蒸着膜を堆積させる物理気相成長法(Physical Vapor Deposition)や基材上または気相中での化学反応により蒸着膜を形成させる化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition)が利用可能である。
また、熱溶着性フィルムとしては特に指定するものではないが、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性フィルム或いはそれらを含む混合体や積層体が使用できる。
また、外被材の周縁部とは、外被材の複層方向に対して垂直な方向から見たときに、外被材の複層状態が確認な外被材の端部付近を指す。さらに具体的には、外被材の複層方向に対して垂直な方向から見たときに、外被材の複層状態が確認な外被材の端部から熱溶着性フィルム同士が熱溶着可能な50mm以内の場所を指す。フィルムの使用量削減や製作し易さを鑑みると30mm以内が望ましい。
また、凹部の形状に関して、多角形状や略円弧状など様々な形状が考えられるが、凹部を略円弧状とすることで、凹部の形状に沿って外被材を屈曲させると外被材は熱溶着部の形状に沿って略円弧状に屈曲しやすい作用を有することから、真空断熱材の取り扱い時に外被材を屈曲させても外被材にクラックが生じ難いため、クラックによる新たなガスや水蒸気の侵入経路の形成が抑制される。以上のことから凹部の形状は略円弧状とすることがより好ましいと考える。
また、凹部と外被材の折り返し線との間に位置する溶着部の形成方法は特に指定するものではないが、外被材の熱溶着性フィルムと同種の材料を外被材の熱溶着性フィルム側に設け、前記材料を設けた箇所に折り返し線が形成されるよう外被材を折り返し、外被材の熱溶着性フィルムを熱溶着する方法や、外被材の熱溶着性フィルムが凹部を形成するような熱溶着冶具を用いて薄肉部を形成すると同時に、薄肉部を形成する部分に位置する熱溶着性フィルムを熱溶着によって流動させる方法や、外被材の熱溶着性フィルムを平板の熱溶着冶具を用いて溶着部を形成した後に、溶着部に凹部を形成するような熱溶着冶具を用いて薄肉部を形成すると同時に薄肉部を形成する部分に位置する熱溶着性フィルムを熱溶着によって流動させる方法を利用しても良い。
なお、熱溶着性フィルムを熱溶着によって流動させる方法で凹部を形成する場合は、凹部を外被材の折り返し線に対して略垂直な平面で切断した断面へ一様に形成しても良い。
なお、外被材の熱溶着性フィルムと同種の材料を外被材の熱溶着性フィルム側に設け、前記材料を設けた箇所に折り返し線が形成されるよう外被材を折り返し、外被材の熱溶着性フィルムを熱溶着する方法を利用する場合は、対向する熱溶着性フィルム同士のみを熱溶着した溶着部を凹部とする。
また、薄肉部とは、溶着部の断面を見たときに、凹部に位置する最深部としたが、外被材の熱溶着性フィルムと同種の材料を外被材の熱溶着性フィルム側に設け、前記材料を設けた箇所に折り返し線が形成されるよう外被材を折り返し、外被材の熱溶着性フィルムを熱溶着する方法を利用する場合においては、熱溶着性フィルム同士のみを熱溶着した溶着部の厚みと定義する。
また、本発明において近傍とは、熱溶着性フィルムを熱溶着によって流動させた場合においては、熱溶着によって熱溶着フィルムの一部が流動可能な範囲を指す。具体的には、凹部の最深部と凹部の端程度の幅以内であることが望ましい。また、外被材の熱溶着性フィルムと同種の材料を外被材の熱溶着性フィルム側に設け、前記材料を設けた箇所に折り返し線が形成されるよう外被材を折り返し、外被材の熱溶着性フィルムを熱溶着する方法を利用する場合は、前記材料のうち折り返し線から見て遠方の端部より遠方の部分を指す。
次に真空断熱材の構成材料について説明する。
まず、芯材は真空断熱材の断熱部を形成するものであり、断熱部の骨格としての役割を果たすものである。
なお、無機繊維は、グラスウールやロックウール、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカアルミナ繊維など従来公知の材料が利用できるが、繊維自体の弾性が高く、また繊維自体の熱伝導率が低く、なおかつ工業的に安価なグラスウールを用いることが望ましい。
また、芯材に繊維同士を結着させる結着剤を用いて芯材を成形しても良い。
外被材は、真空断熱材の真空度を維持する役割を果たすものであり、基材上に金属または金属酸化物を蒸着したガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとを接着剤により複層したものである。
なお、本発明を構成する外被材について、ガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムに関する記載を行ったが、真空断熱材を取り扱う際に、冶具や装置などの外的要因からガスバリア性フィルムを保護するために、ガスバリア性フィルムのうち、熱溶着性フィルムを複層した一方の面と対向する他方の面に表面保護層を複層することが望ましい。
なお、表面保護層の材質や厚みに関して特に指定するものではないが、ナイロンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなど従来公知の材料が使用できる。
また、ガスバリア性フィルムの複層枚数に関して特に指定するものではないが、外被材のガスバリア性を高めるために、ガスバリア性フィルムを複数積層することが望ましい。さらに、ガスバリア性フィルムを偶数枚積層する場合は、蒸着面における蒸着物の隙間や欠陥を補完するために、ガスバリア性フィルムの蒸着面が対向するように積層することがより望ましい。
また、ガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとの複層は、ウェットラミネーションやホットメルトラミネーション、押出コーティング・ラミネーション、共押出ラミネーション、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、サーマルラミネーションなど従来公知の複層方法が利用可能であるが、真空断熱材の外被材に求められる特性として、複層フィルム同士の接着性や耐熱性を考慮するとドライラミネーションによる複層が最も好ましい。また、ドライラミネーションで用いる接着剤は、ラミネート技術に用いられる従来公知の接着剤が利用可能である。
なお、外被材の折り返し方法に関しては特に指定するものではないが、センターシール袋や、L字シール袋、ガゼットシール袋などのように、外被材の開口部を熱溶着して真空断熱材を得た時に、ガスや水蒸気の侵入経路となる外被材の溶着部の長さが、二枚の外被材を用いた三方シール袋に比べて短くなる折り返し方法が望ましい。
また、本発明を構成する真空断熱材について、芯材と外被材に関する記載を行ったが、ガスや水蒸気の侵入による気体熱伝導成分の増加を抑制するためにゼオライトや酸化カルシウム等のように、真空断熱材に侵入するガスや水蒸気を補足する吸着剤を芯材とともに減圧密封することが望ましい。
なお、センターシール袋や、L字シール袋、ガゼットシール袋などのように、外被材の開口部を熱溶着して真空断熱材を得た時に、ガスや水蒸気の侵入経路となる外被材の溶着部の長さが、二枚の外被材を用いた三方シール袋に比べて短くなるため、芯材とともに減圧密封する吸着剤の使用量は従来の真空断熱材に比べて減少するという効果も生じる。
また、請求項2に記載の発明の真空断熱材は、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとが複層され少なくとも無機繊維からなる芯材を減圧密封するための一枚の外被材を備え、前記熱溶着性フィルムが内面となるように前記外被材が折り返され、前記外被材の周縁部に位置し対向する熱溶着性フィルム同士が溶着された真空断熱材において、前記外被材の折り返し線に対して略平行かつ、前記芯材の伝熱面に対して略垂直な平面で切断した断面を見たときに、少なくとも前記折り返し線の近傍に位置する前記溶着部が凹部を有しており、前記凹部の最深部に位置する前記溶着部の厚みが前記最深部の周辺部に位置する前記溶着部よりも薄い薄肉部が形成されており、前記凹部の周辺部に位置する最高部の前記溶着部の厚みは前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きいことを特徴とするものである。
凹部の周辺部に位置する最高部の溶着部の厚みを熱溶着性フィルムの二倍よりも大きくすることで、折り返し線付近に生じやすい未溶着部の形成を抑制するという作用を有する。
また、一枚の外被材を折り返して芯材を覆った真空断熱材は、二枚の外被材で芯材を覆った真空断熱材に比べて溶着部の長さが減少するため、芯材を構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用を有する。
また、本発明は請求項1に記載の発明と異なり、凹部の最深部に位置する溶着部の厚みが最深部の周辺部に位置する溶着部よりも薄い薄肉部が形成されていることから、ガスや水蒸気の侵入経路となる熱溶着性フィルムに狭窄部が存在するため、ガスや水蒸気の侵入抵抗が増加し、芯材を構成する空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少する作用を有する。
以上これらの作用により、空隙における真空度の経年的な上昇が抑制され、無機繊維を芯材とした真空断熱材の課題であった経年的な熱伝導率の変化が小さくなり、長期に亘って断熱効果を維持する真空断熱材を提供することが可能となる。
さらに、上記の作用に加えてガスバリア性フィルムを金属箔ではなく、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムに変更したことから、外被材の熱伝導率が低下するという作用を有する。
これにより、無機繊維のように粉末に比べて低い固体熱伝導を有する芯材とした真空断熱材の課題であったヒートブリッジが抑制され、無機繊維が本来持つ低固体熱伝導成分を十分に発揮した断熱効果の高い真空断熱材を提供することが可能となる。
なお、ここで蒸着膜を有するガスバリア性フィルムは、請求項1に記載の発明と同様のものが利用可能である。
なお、ここで外被材の周縁部とは、請求項1に記載の発明と同様に外被材の複層方向に対して垂直な方向から見たときに、外被材の複層状態が確認な外被材の端部付近を指す。さらに具体的には、外被材の複層方向に対して垂直な方向から見たときに、外被材の複層状態が確認な外被材の端部から熱溶着性フィルム同士が熱溶着可能な50mm以内の場所を指す。フィルムの使用量削減や製作し易さを鑑みると30mm以内が望ましい。
また、凹部の形状に関して、請求項1に記載の発明と同様に多角形状や略円弧状など様々な形状が考えられるが、凹部を略円弧状とすることで、凹部の形状に沿って外被材を屈曲させると外被材は熱溶着部の形状に沿って略円弧状に屈曲しやすい作用を有することから、真空断熱材の取り扱い時に外被材を屈曲させても外被材にクラックが生じ難いため、クラックによる新たなガスや水蒸気の侵入経路の形成が抑制される。以上のことから凹部の形状は略円弧状とすることがより好ましいと考える。
なお、この凹部を外被材の折り返し線の近傍に位置する溶着部だけでなく、外被材の周縁に位置する溶着部全体へ設けると、溶着部全体にガスや水蒸気の侵入経路となる熱溶着性フィルムに狭窄部が存在するため、溶着部全体におけるガスや水蒸気の侵入抵抗が増加し、単位時間あたりに真空断熱材中へ侵入するガスや水蒸気の侵入量がさらに減少することから、凹部を外被材の周縁に位置する溶着部全体へ設けることがより望ましいと考える。
この場合の凹部の形成方法は、外被材の熱溶着性フィルムが凹部を形成するような熱溶着冶具を用いて薄肉部を形成すると同時に、薄肉部を形成する部分に位置する熱溶着性フィルムを熱溶着によって流動させる方法や、外被材の熱溶着性フィルムを平板の熱溶着冶具を用いて溶着部を形成した後に、溶着部に凹部を形成するような熱溶着冶具を用いて薄肉部を形成すると同時に薄肉部を形成する部分に位置する熱溶着性フィルムを熱溶着によって流動させる方法を利用しても良い。
なお、本発明において、凹部を外被材の折り返し線の近傍に位置する溶着部だけでなく、外被材の周縁に位置する溶着部全体へ設けた場合、特許文献2に記載の真空断熱材に比べて凹部の形成箇所が減るため、凹部の形成によって生じるガスバリア性フィルムの傷付き箇所が減少し、傷付き箇所を新たな空気の侵入経路として空隙へ侵入するガスや水蒸気の量が減少するという作用を有する。
また、真空断熱材の構成材料に関しては、請求項1に記載の発明と同様の材料が使用可能である。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、ガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムは接着剤により複層され、前記接着剤はエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤および硬化促進剤を含む樹脂組成物であり、前記樹脂組成物より形成される硬化物中に、(化1)の骨格構造を含有することを特徴とするものである。
Figure 2010138956
真空断熱材内へ侵入するガスや水蒸気の侵入経路は、蒸着面に対して垂直な方向より侵入する経路と、ガスバリア性フィルムの内面にある熱溶着性フィルムより侵入する経路の二つと説明したが、厳密には、ガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムを複層する接着剤も侵入経路として数えられる。
従来のラミネート用接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン系接着剤が主流となっているが、上記の接着剤は、本来エポキシ樹脂が備える各種基材に対する接着性や耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性を損なうことなく、(化1)の骨格構造を含有することで広範囲の硬化条件でより高いガスバリア性を発現する接着剤である。
この接着剤をラミネート用接着剤として、ガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとを複層すると、蒸着面に対して垂直な方向より侵入するガスと、接着剤より侵入するガスの量が同時に減少するため、空隙における真空度の経年的な上昇がさらに抑制され、無機繊維を芯材とした真空断熱材の課題であった経年的な熱伝導率の変化がさらに小さくなり、長期に亘って断熱効果を維持する真空断熱材を提供することが可能となる。
また、ガスバリア性フィルムのうち、熱溶着性フィルムを複層した一方の面と対向する他方の面に表面保護層を積層した場合も上記の接着剤を使用することが望ましい。この場合も同様に、外被材の複層方向に対して垂直なガスバリア性が向上するため、空隙における真空度の経年的な上昇がさらに抑制され経年的な熱伝導率の変化がさらに小さくなる。
また、基材上に金属または金属酸化物を蒸着したガスバリア性フィルムのうち、金属または金属酸化物からなる蒸着面が、他のガスバリア性フィルムや表面保護層や熱溶着性フィルムと対向するように上記接着剤で複層すると、蒸着面における蒸着物の隙間や欠陥を補完できるため、空隙における真空度の経年的な上昇がさらに抑制され経年的な熱伝導率の変化がさらに小さくなる。
なお、ここでエポキシ樹脂は、飽和または不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれでもよく特定するものではないが、特に(化1)の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、具体的には、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基および/またはグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂が望ましい。
さらに、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
また、柔軟性や耐衝撃性や耐湿熱性の向上を目的に、上記のエポキシ樹脂を混合して使用しても良い。
また、被接着物との接着性を高める為に、アンカーコート剤を用いても良い。
以上、上記接着剤として三菱瓦斯化学株式会社製ドライラミネート用接着剤(商品名:マクシーブ)が好ましく使用できる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、芯材を真空断熱材の断熱方向から見たときに、前記芯材と外被材との間に前記芯材の伝熱面を覆う緩衝部材を設けたことを特徴とするものである。
芯材の伝熱面を覆うように緩衝部材を設けることで、無機繊維の突き刺しに対して外被材に生じる応力が緩和されるという作用を有する。これにより、外被材全体の厚みを小さくできるため、外被材のヒートブリッジ現象がさらに抑制可能となる。
なお、ここで真空断熱材の断熱方向とは、芯材を板状の立体として見たときに、立体を構成する面の中で、最も広い面積を有する面とその対向面に対して略垂直な方向を指す。
また、ここで伝熱面とは、芯材を板状の立体として見たときに、立体を構成する面の中で、最も広い面積を有する面とその対向面を指す。
また、ここで緩衝部材とは、無機繊維の突き刺しに対して外被材に生じる応力を緩和する役割を果たすものであり、ヒートブリッジ現象を抑制する観点から熱伝導率の高い金属箔を除く無機物や、有機物からなるフィルムや織布や不織布、またはフィルムや織布や不織布からなる袋が利用可能である。上記無機物や有機物の中でも真空下におけるガス発生の少ないガラスクロスや、ポリエステル系やポリオレフィン系のフィルムや織布や不織布を用いることがより望ましい。
また、緩衝部材と伝熱面との関係は、伝熱面全体を覆うことが望ましいが、芯材や緩衝部材の加工精度のズレや真空排気時の緩衝部材の移動により伝熱面全体を覆えない場合であっても、本請求項における効果に大きな影響は無い。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における真空断熱材の平面図であり、図2は本発明の実施の形態1の真空断熱材における外被材の構成を表す断面図である。
図1、図2において、真空断熱材1は、厚さ10mmのガラス繊維の積層体からなる芯材15を一枚の外被材16で覆い、芯材15を減圧密封したものである。また外被材16は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材17にアルミニウムからなる厚さ200Åの蒸着膜18を蒸着したガスバリア性フィルム18と、厚さ25μmのナイロンフィルムからなる表面保護層19と、厚さ50μmの低密度ポリエチレンからなる熱溶着性フィルム20とをそれぞれ図2のようにポリイソシアネートとポリオールとを主原料とするウレタン系接着剤21で複層したものである。
また、真空断熱材1は、外被材16で芯材15を覆う際、外被材16の折り返し線22が生じる。この折り返し線22の近傍に位置する溶着部23の一部に凹部24および凹部24の最深部には薄肉部25(図示せず)が形成されている。また折り返し線22と凹部24との間に位置する溶着部23には厚肉部26(図示せず)が形成されている。
以上のように構成された真空断熱材1について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化の抑制効果について確認した結果を実施例1から実施例3に示し、比較例を比較例1および比較例3に示す。
なお、ヒートブリッジ現象の抑制効果を明確にするため、本実施の形態では、真空断熱材1の伝熱面の寸法を幅300mm、長さ300mmとした。また、真空断熱材1の伝熱面のうち、一方の面を50℃に保った熱板上に静置させ、他方の面には断熱部の端部から中心部を結ぶ直線上に熱流センサーを複数個取り付け、真空断熱材1の温度が安定したときの表面温度と、熱流束から算出した個々の熱伝導率を測定し、断熱部の端部と中心それぞれの熱伝導率の差分を真空断熱材1の外被材16を伝わる熱伝導、いわゆるヒートブリッジ現象による熱伝導率成分とした。
また、熱伝導率の経年変化の抑制効果を明確にするため、真空断熱材1の伝熱面の寸法を幅500mm、長さ1000mmとし、真空断熱材1製作直後と真空断熱材1を30℃の雰囲気で10年間放置した場合の熱伝導率を試算した。なお本試算は、過去の実験からガスバリア性を把握している蒸着フィルムと熱溶着性フィルムおよび接着剤を適用し、空隙の真空度からヒートブリッジを除く熱伝導率を求めたものである。
なお、ヒートブリッジ現象の抑制効果の判断は、ヒートブリッジが少ないとされている蒸着膜をガスバリア性フィルムとした外被材を用い、従来どおり二枚の外被材の周縁に溶着部を設けた真空断熱材(比較例3)に比べて同等またはそれ以下のヒートブリッジ量であれば効果があると判断した。
また、熱伝導率の経年変化抑制効果の判断は、比較例3と比べて熱伝導率の変化が小さい場合を効果があると判断した。
(実施例1)
本実施の形態1における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、折り返し線の付近で対向する熱溶着性フィルム20同士の間に熱溶着性フィルム20とは別部材となる厚さ30μmの低密度ポリエチレンを熱溶着部材として介在させ、熱溶着部材を含めて外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、熱溶着部材を含めて熱溶着し、真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、図3のように凹部24と薄肉部25と厚肉部26を確認した。なお、凹部24に位置する薄肉部25および、凹部24と折り返し線22の間に位置する溶着部23の厚さをマイクロスコープでそれぞれ確認したところ、薄肉部25は100μmであり、厚肉部26は130μmであった。この結果から、熱溶着部材が外被材16の折り返し線22付近に生じやすい未溶着部の形成を抑制可能であることを確認した。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0015W/mK、0.0018W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0003W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0015W/mKに対して0.0070W/mKであった。
(実施例2)
本実施の形態1における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、図4に示す熱溶着冶具29を用いて折り返し線22近傍に位置する溶着部23へ角型の凹部24が形成されるよう外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、図4に示す熱溶着冶具29を用いて折り返し線22近傍に位置する溶着部23へ凹部24を形成するよう熱溶着し、真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、図5の通りであった。
なお、凹部24に位置する薄肉部25および、凹部24と折り返し線22の間に位置する溶着部23の厚さをマイクロスコープでそれぞれ確認したところ、薄肉部25は13μmであり、厚肉部26は205μmであった。この結果から、熱溶着冶具29によって薄肉部25が形成される際、薄肉部25にあった熱溶着性フィルム20が折り返し線22付近に流動したことによって、外被材16の折り返し線22付近に生じやすい未溶着部の形成が抑制可能であることを確認した。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0018W/mK、0.0020W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0002W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0018W/mKに対して0.0072W/mKであった。
(実施例3)
本実施の形態1における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、図6に示す熱溶着冶具29および弾性体30を用いて折り返し線22近傍に位置する溶着部23へ略円弧状の凹部24が形成されるよう外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、図6に示す熱溶着冶具29および弾性体30を用いて折り返し線近傍に位置する溶着部23へ凹部24を形成するよう熱溶着し、真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、図7の通りであった。なお、凹部24に位置する薄肉部25および、凹部24と折り返し線22の間に位置する溶着部23の厚さをマイクロスコープでそれぞれ確認したところ、薄肉部25は33μmであり、厚肉部26は179μmであった。この結果から、熱溶着冶具29によって薄肉部25が形成される際、薄肉部25にあった熱溶着性フィルム20が折り返し線22付近に流動したことによって、外被材16の折り返し線22付近に生じやすい未溶着部の形成が抑制可能であることを確認した。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0022W/mK、0.0026W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0004W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0022W/mKに対して0.0075W/mKであった。
(比較例1)
本実施の形態1における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、平板のインパルスシーラーを用いて外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、平板のインパルスシーラーを用いて熱溶着し、真空断熱材を作製した。
この真空断熱材の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、図8のように小さな未溶着部31の存在を確認した。このため、真空断熱材製作後2日目には、外被材16が真空度を維持できない状態となっていた。この結果から、平板のインパルスシーラーでは、熱溶着部材が外被材16の折り返し線付近に生じやすい未溶着部31の形成が抑制できないことを確認した。
よって、本比較例における真空断熱材において、ヒートブリッジ現象および10年後の熱伝導率を測定および試算することは不可能であった。
(比較例2)
厚さ15μmのナイロンフィルムからなる第一の表面保護層と、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートからなる第二の表面保護層と、厚さ6μmのアルミニウム箔からなるガスバリア性フィルムと、厚さ50μmの低密度ポリエチレンからなる熱溶着性フィルム20とを順次ウレタン系接着剤で複層し、外被材を得た。この外被材を熱溶着性フィルムが内面となるよう折り返し、実施例2と同様の熱溶着冶具29を用いて外被材の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材を袋状に加工した。
この外被材内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、実施例2と同様の熱溶着冶具29を用いて熱溶着し、真空断熱材を作製した。この真空断熱材の溶着部を、外被材の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例2と同様の形状であった。
この真空断熱材を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0017W/mK、0.0040W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0023W/mKと非常に大きいことを確認した。
また、この真空断熱材の10年後の熱伝導率は製作直後0.0017W/mKに対して0.0062W/mKであった。
(比較例3)
本実施の形態1における外被材16を二枚用意し、外被材16の熱溶着性フィルム20同士が対向するように、平板のインパルスシーラーを用いて外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、酸化カルシウムからなる水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、平板のインパルスシーラーを用いて熱溶着し、真空断熱材を作製した。
この真空断熱材を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0012W/mK、0.0016W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0004W/mKであった。
また、この真空断熱材の10年後の熱伝導率は製作直後0.0012W/mKに対して0.0083W/mKと実施例と比較して非常に大きいものであった。
以上のように構成された真空断熱材1について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化抑制効果について確認した結果(実施例1から実施例3および、比較例1から比較例3)を(表1)に示す。
Figure 2010138956
(表1)の結果から、本実施の形態における真空断熱材1は、基材17上に金属または金属酸化物を蒸着したガスバリア性フィルム10を有する一枚の外被材16を折り返し、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面のうち、凹部24と折り返し線22の間に位置する溶着部23の厚みを熱溶着性フィルム20の二倍よりも大きくしたことで、ヒートブリッジ現象が抑制可能であり、かつ長期にわたって断熱効果が維持可能な真空断熱材1であることを確認した。
(実施の形態2)
図9は本発明の実施の形態2における真空断熱材1の模式図である。図9において真空断熱材1は、実施の形態1と同様の芯材15を一枚の外被材16で覆い、芯材15を減圧密封したものである。
また外被材16は、実施の形態1における図2と類似した構成であり、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材17に酸化アルミニウムと酸化珪素からなる厚さ200Åの蒸着膜18を蒸着したガスバリア性フィルム18と、厚さ25μmのナイロンフィルムからなる表面保護層19と、厚さ50μmの低密度ポリエチレンからなる熱溶着性フィルム20とをそれぞれ図2のようにポリイソシアネートとポリオールとを主原料とするウレタン系接着剤20で複層したものである。
また、図9に係る真空断熱材は、外被材16で芯材15を覆う際、外被材16の折り返し線22が生じる。この折り返し線22の近傍に位置する溶着部23の一部に凹部24および凹部24の最深部には薄肉部25(図示せず)が形成されている。また凹部24の周辺部に位置する溶着部23には厚肉部26(図示せず)が形成されている。
以上のように構成された真空断熱材1について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化の抑制効果について確認した結果を実施例4および実施例5に示し、比較例を比較例4および比較例5に示す。
なお、ヒートブリッジ現象の抑制効果および、熱伝導率の経年変化抑制効果の確認は実施の形態1と同様の方法で行った。
(実施例4)
本実施の形態2における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、図10に示す熱溶着冶具29を用いて外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、図10に示す熱溶着冶具29を用いて折り返し線近傍に位置する溶着部23へ凹部24を形成するよう熱溶着し、真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略平行かつ、伝熱面に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、図11の通りであった。なお、凹部24に位置する薄肉部25および、凹部24と折り返し線22の間に位置する溶着部23の厚さをマイクロスコープでそれぞれ確認したところ、薄肉部25は21μmであり、厚肉部26は182μmであった。この結果から、熱溶着冶具29によって薄肉部25が形成される際、薄肉部25にあった熱溶着性フィルム20が折り返し線22付近に流動したことによって、外被材16の折り返し線22付近に生じやすい未溶着部の形成が抑制可能であることを確認した。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0020W/mK、0.0024W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0004W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0020W/mKに対して0.0066W/mKであった。
(実施例5)
本実施の形態2における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、図12に示す熱溶着冶具29および弾性体30を用いて外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、図12に示す熱溶着冶具29および弾性体30を用いて折り返し線22近傍に位置する溶着部23へ凹部24を形成するよう熱溶着し、真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、図13の通りであった。なお、凹部24に位置する薄肉部25および、凹部24と折り返し線22の間に位置する溶着部23の厚さをマイクロスコープでそれぞれ確認したところ、薄肉部25は15μmであり、厚肉部26は176μmであった。この結果から、熱溶着冶具29によって薄肉部25が形成される際、薄肉部25にあった熱溶着性フィルム20が折り返し線22付近に流動したことによって、外被材16の折り返し線22付近に生じやすい未溶着部の形成が抑制可能であることを確認した。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0019W/mK、0.0021W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0002W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0019W/mKに対して0.0065W/mKであった。
(比較例4)
本実施の形態2における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、平板のインパルスシーラーを用いて外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、平板のインパルスシーラーを用いて熱溶着し、真空断熱材を作製した。
この真空断熱材の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、図14のように小さな未溶着部31の存在を確認した。このため、真空断熱材製作後4日目には、外被材16が真空度を維持できない状態となっていた。この結果から、平板のインパルスシーラーでは、熱溶着部材が外被材16の折り返し線付近に生じやすい未溶着部31の形成が抑制できないことを確認した。
よって、本比較例における真空断熱材において、ヒートブリッジ現象および10年後の熱伝導率を測定および試算することは不可能であった。
(比較例5)
比較例2で使用した外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、実施例5と同様の熱溶着冶具29および弾性体30を用いて外被材16の熱溶着性フィルム20に熱溶着を施し、外被材16を袋状に加工した。
この外被材16内に本実施の形態1における芯材15と、水分吸着剤を挿入し、袋の内部を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を、実施例5と同様の熱溶着冶具29および弾性体30を用いて熱溶着し、真空断熱材を作製した。
この真空断熱材の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例5と同様の形状であった。
この真空断熱材を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0016W/mK、0.0041W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0025W/mKと非常に大きいことを確認した。
また、この真空断熱材の10年後の熱伝導率は製作直後0.0016W/mKに対して0.0065W/mKであった。
以上のように構成された真空断熱材について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化抑制効果について確認した結果(実施例4と実施例5および、比較例4と比較例5)を(表2)に示す。
Figure 2010138956
(表2)の結果から、本実施の形態における真空断熱材1は、基材17上に金属または金属酸化物を蒸着したガスバリア性フィルム10を有する一枚の外被材16を折り返し、外被材16の折り返し線22に対して略平行かつ、伝熱面に対して略垂直な平面で切断した断面のうち、凹部24と折り返し線22の間に位置する溶着部23の厚みを熱溶着性フィルム20の二倍よりも大きくしたことで、ヒートブリッジ現象が抑制可能であり、かつ長期にわたって断熱効果が維持可能な真空断熱材1であることを確認した。
(実施の形態3)
図15は本発明の実施の形態3における真空断熱材1の模式図であり、図16は本発明の実施の形態3における真空断熱材1を構成する外被材16の断面図である。
図15において真空断熱材1は、実施の形態1と同様の芯材15を一枚の外被材16で覆い、芯材15を減圧密封したものである。また図16において外被材16は、実施の形態1における図2と類似した構成であり、同様の基材17、蒸着膜18、ガスバリア性フィルム18、表面保護層19、熱溶着性フィルム20をそれぞれ、エポキシ樹脂を主原料とするエポキシ系接着剤27で複層したものである。
また、図15に係る真空断熱材1は、実施の形態1と同様に外被材16で芯材15を覆う際、外被材16の折り返し線22が生じる。この折り返し線22の近傍に位置する溶着部23の一部に凹部24および凹部24の最深部には薄肉部25(図示せず)が形成されている。また折り返し線22と凹部24との間に位置する溶着部23には厚肉部26(図示せず)が形成されている。
以上のように構成された真空断熱材1について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化の抑制効果について確認した結果を実施例6から実施例8に示し、比較例を比較例6から比較例8に示す。
なお、ヒートブリッジ現象の抑制効果および、熱伝導率の経年変化抑制効果の確認は実施の形態1と同様の方法で行った。
(実施例6)
本実施の形態3に示す外被材16を実施例1と同様の方法で袋状に加工し、実施例1と同様の方法で真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例1と同様の形状であった。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0015W/mK、0.0019W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0004W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0015W/mKに対して0.0044W/mKであった。
(実施例7)
本実施の形態3に示す外被材16を実施例2と同様の方法で袋状に加工し、実施例2と同様の方法で真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例2と同様の形状であった。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0019W/mK、0.0022W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0003W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0019W/mKに対して0.0045W/mKであった。
(実施例8)
本実施の形態3に示す外被材16を実施例3と同様の方法で袋状に加工し、実施例3と同様の方法で真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例3と同様の形状であった。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0018W/mK、0.0022W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0004W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0018W/mKに対して0.0042W/mKであった。
(比較例6)
実施例7と比較可能な実施例1を比較例6として用いた。
(比較例7)
実施例8と比較可能な実施例2を比較例7として用いた。
(比較例8)
実施例9と比較可能な実施例3を比較例8として用いた。
以上のように構成された真空断熱材について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化抑制効果について確認した結果(実施例6から実施例8および、比較例6から比較例8)を(表3)に示す。
Figure 2010138956
(表3)の結果から、本実施の形態における真空断熱材1は、実施の形態1の効果に加えて、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤および硬化促進剤を含む樹脂組成物とし、樹脂組成物より形成される硬化物中に、(化1)の骨格構造を含有する接着剤27でガスバリア性フィルム10および熱溶着性フィルム20を複層したことにより、さらに長期にわたって断熱効果が維持可能な真空断熱材1であることを確認した。
(実施の形態4)
図17は本発明の実施の形態4における真空断熱材1の模式図であり、図18は本発明の実施の形態4における真空断熱材1を構成する外被材16の構成図である。
図17において真空断熱材1は、実施の形態1と同様の芯材15を緩衝部材28で覆ったものを一枚の外被材16でさらに覆い、芯材15を減圧密封したものである。
また図18において、外被材16は、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材17にアルミニウムからなる厚さ200Åの蒸着膜18を蒸着したガスバリア性フィルム18を蒸着膜18が対向するよう2枚重ね合わせたものと、厚さ25μmの低密度ポリエチレンからなる熱溶着性フィルム20とをそれぞれ、ポリイソシアネートとポリオールとを主原料とするウレタン系接着剤20で複層したものである。
また、図17に係る真空断熱材1は、外被材16で芯材15を覆う際、外被材16の折り返し線22が生じる。この折り返し線22の近傍に位置する溶着部23の一部に凹部24および凹部24の最深部には薄肉部25(図示せず)が形成されている。また折り返し線22と凹部24との間に位置する溶着部23には厚肉部26(図示せず)が形成されている。
以上のように構成された真空断熱材1について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化の抑制効果について確認した結果を実施例9および実施例10に示し、比較例を比較例9に示す。
なお、ヒートブリッジ現象の抑制効果および、熱伝導率の経年変化抑制効果の確認は実施の形態1と同様の方法で行った。
(実施例9)
本実施の形態4における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、実施例5と同様の方法で外被材16を袋状に加工した。
次に本実施の形態1と同様の芯材15の伝熱面全体を、芯材15の伝熱面と略同一形状を有するポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布で覆い、水分吸着剤とともに袋状外被材16の中へ挿入した。そして、この袋内を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を実施例5と同様の方法で熱溶着し、真空断熱材1を得た。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略平行かつ、伝熱面に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例5と同様の形状であった。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0014W/mK、0.0016W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0002W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0014W/mKに対して0.0057W/mKであった。
(実施例10)
本実施の形態4における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、実施例5と同様の方法で外被材16を袋状に加工した。
次に本実施の形態1と同様の芯材15の伝熱面全体を包む高密度ポリエチレンからなる袋で覆い、水分吸着剤とともに袋状外被材16の中へ挿入した。そして、この袋内を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を実施例5と同様の方法で熱溶着し、真空断熱材を得た。
この真空断熱材1の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略平行かつ、伝熱面に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例5と同様の形状であった。
この真空断熱材1を50℃に保った熱板上に静置させ、伝熱面の中央部および伝熱面の周縁部の熱伝導率はそれぞれ0.0017W/mK、0.0019W/mKであることからのヒートブリッジ現象による熱伝導率成分は0.0002W/mKであった。
また、この真空断熱材1の10年後の熱伝導率は製作直後0.0017W/mKに対して0.0059W/mKであった。
(比較例9)
本実施の形態4における外被材16を熱溶着性フィルム20が内面となるよう折り返し、実施例5と同様の方法で外被材16を袋状に加工した。
次に本実施の形態1と同様の芯材15と、水分吸着剤とともに袋状外被材16の中へ挿入した。そして、この袋内を3Paまで減圧した後に袋の開口部に位置する熱溶着性フィルム20を実施例5と同様の方法で熱溶着し、真空断熱材を得た。
この真空断熱材の溶着部23を、外被材16の折り返し線22に対して略平行かつ、伝熱面に対して略垂直な平面で切断した断面を確認すると、実施例5と同様の形状であった。
しかし、真空断熱材製作後3日目には、外被材16が真空度を維持できない状態となっていた。この真空断熱材を解体し、外被材16の状態を確認すると、ガラス繊維の突き刺しによって外被材16を貫通する孔が確認できた。
よって、本比較例における真空断熱材において、ヒートブリッジ現象および10年後の熱伝導率を測定および試算することは不可能であった。
以上のように構成された真空断熱材について、ヒートブリッジ現象の抑制効果と熱伝導率の経年変化の抑制効果について確認した結果(実施例9と実施例10および、比較例9)を(表4)に示す。
Figure 2010138956
(表4)の結果から、本実施の形態における真空断熱材1は、実施の形態1の効果に加えて、芯材15を真空断熱材1の断熱方向から見たときに、芯材15と外被材16との間に芯材15の伝熱面を覆う緩衝部材28を設けたことにより、外被材16全体の厚みを小さくすることが可能となり、外被材16のヒートブリッジ現象がさらに抑制されたことが確認できる。
以上のように、本発明の真空断熱材は、金属または金属酸化物を蒸着した外被材が有するヒートブリッジ現象の抑制効果に加え、折り返し線付近に生じやすい未溶着部の形成が抑制され、かつ二枚の外被材で芯材を覆った真空断熱材に比べて溶着部の長さが減少するためガスや水蒸気の侵入量が減少することから長期に亘って真空断熱材の断熱効果が維持可能となる。以上のことから本発明における真空断熱材は、冷蔵庫やジャーポット等の民生機器、住宅や商業施設ならびに工場や事務所における断熱効果の向上と長期信頼性の確保が両立可能である。また、断熱効果が向上するため、新築住宅や既存住宅、商業施設や工場、事務所等の断熱材として適用可能である。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の平面図 本発明の実施の形態1の真空断熱材における外被材の構成を表す断面図 実施例1における溶着部を表す断面図 実施例2における熱溶着冶具を表す断面図 実施例2における溶着部を表す断面図 実施例3における熱溶着冶具を表す断面図 実施例3における溶着部を表す断面図 比較例1における溶着部を表す断面図 本発明の実施の形態2における真空断熱材の平面図 実施例5における熱溶着冶具を表す断面図 実施例5における溶着部を表す断面図 実施例6における熱溶着冶具を表す断面図 実施例6における溶着部を表す断面図 比較例4における溶着部を表す断面図 本発明の実施の形態3における真空断熱材の平面図 本発明の実施の形態3の真空断熱材における外被材の構成を表す断面図 本発明の実施の形態4における真空断熱材の平面図 本発明の実施の形態4の真空断熱材における外被材の構成を表す断面図 特許文献1に示される従来の真空断熱材の断面図 特許文献1に示される従来の積層フィルムの断面図 特許文献2に示される従来の真空断熱パネルの断面図 特許文献2に示される従来の真空断熱パネルの製造過程を封止用冶具とともに表す断面図
符号の説明
1 真空断熱材
10 ガスバリア性フィルム
15 芯材
16 外被材
17 基材
18 蒸着膜
19 表面保護層
20 熱溶着性フィルム
21 ウレタン系接着剤
22 折り返し線
23 溶着部
24 凹部
25 薄肉部
26 厚肉部
27 エポキシ系接着剤
28 緩衝部材

Claims (4)

  1. 蒸着膜を有するガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとが複層され少なくとも無機繊維からなる芯材を減圧密封するための一枚の外被材を備え、前記熱溶着性フィルムが内面となるように前記外被材が折り返され、前記外被材の周縁部に位置し対向する熱溶着性フィルム同士が溶着された真空断熱材において、前記外被材の折り返し線に対して略垂直な平面で切断した断面を見たときに、少なくとも前記折り返し線の近傍に位置する前記溶着部が凹部を有しており、前記凹部の最深部に位置する前記溶着部の厚みが前記最深部の周辺部に位置する前記溶着部よりも薄い薄肉部が形成されており、前記凹部と前記折り返し線の間に位置する前記溶着部のうち少なくとも一部の厚みが前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きいことを特徴とする真空断熱材。
  2. 蒸着膜を有するガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムとが複層され少なくとも無機繊維からなる芯材を減圧密封するための一枚の外被材を備え、前記熱溶着性フィルムが内面となるように前記外被材が折り返され、前記外被材の周縁部に位置し対向する熱溶着性フィルム同士が溶着された真空断熱材において、前記外被材の折り返し線に対して略平行かつ、前記芯材の伝熱面に対して略垂直な平面で切断した断面を見たときに、少なくとも前記折り返し線の近傍に位置する前記溶着部が凹部を有しており、前記凹部の最深部に位置する前記溶着部の厚みが前記最深部の周辺部に位置する前記溶着部よりも薄い薄肉部が形成されており、前記凹部の周辺部に位置する最高部の前記溶着部の厚みは前記熱溶着性フィルムの二倍よりも大きいことを特徴とする真空断熱材。
  3. ガスバリア性フィルムと熱溶着性フィルムは接着剤により複層され、前記接着剤はエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤および硬化促進剤を含む樹脂組成物であり、前記樹脂組成物より形成される硬化物中に、(化1)の骨格構造を含有する請求項1または2に記載の真空断熱材。
    Figure 2010138956
  4. 芯材を真空断熱材の断熱方向から見たときに、前記芯材と外被材との間に前記芯材の伝熱面を覆う緩衝部材を設けた請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
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