JP2010138528A - ポリエステル系制電糸および制電性織物 - Google Patents

ポリエステル系制電糸および制電性織物 Download PDF

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Abstract

【課題】
低温低湿度環境において衣料のまつわりつきやホコリ付着の原因である静電気の発生を軽減することにより、衣服着用時の不快感を改善することができる制電糸および制電性織物を提供することができる。
【解決手段】
制電剤が繊維重量に対して2重量%以上3重量%未満の割合で含まれ、該制電剤が、繊維長手方向に、複数の独立した筋状態を形成している、単繊維繊度0.05デシテックス以上5デシテックス以下であるポリエステル系熱可塑性合成繊維の単繊維を12本以上100本以下集合したマルチフィラメントからなり、水蒸気分圧0.5mmHg以上1mmHg以下の環境における比抵抗が60×10Ω・cm以下であることを特徴とする制電糸。
【選択図】図1

Description

本発明は、低温低湿度環境下で優れた制電性を発揮するポリエステル系制電糸および制電性織物に関するものであり、特に冬物衣料に好適に使用することができるものである。
ポリエステルやアクリルなどに代表される熱可塑性合成繊維は、引張や摩耗などの物理的強度、耐洗濯性、W&W性などに優れているため、衣料用途において多くのアイテムに使用されている。また、機械的強度や耐薬品性、耐候性などにも優れているため、衣料だけでなく、産業用などの幅広い用途に使用されている。しかしながら、これらの熱可塑性合成繊維は、きわめて制電性が低いため、乾燥した環境において衣服を着脱する際に発生する静電気は、スカート裏地の足へのまつわりつきやホコリ付着などの問題があり、『ぱちぱち君』と呼ばれる火花放電は、時には人体に衝撃を与えることもあり嫌われている。静電気は、湿度の高い環境下では発生しにくく、湿度の低い乾燥した環境下では発生しやすい。天然繊維や再生繊維は水分率が高く、制電性が良好であると言うだけでなく、汗処理など着用快適性も良好であるが、一方、一般的なポリエステルやアクリルのような熱可塑性繊維は水分率が非常に低く、中でもポリエステルは、ほとんどゼロに近い水分率であることから、標準状態(20℃×65%RH、水蒸気分圧11.4mmHg)においても静電気が発生しやすいのである。
従来、この問題を解決するために、繊維の帯電性を低減するため、繊維の表面に親水性の化合物などの帯電防止剤を塗布する方法や、繊維に帯電防止効果のあるポリマーなどを練り込む方法などが提案されている。しかしながら、これら従来の方法では、特に暖房され湿度が非常に低くなった部屋や、中国内陸部などの低温低湿環境の元では、親水性化合物が制電効果を発揮するのに十分な水分が環境中になく、帯電防止効果が得られないのが現状であった。
たとえば、ポリエステルの中に制電剤として親水性ポリマーを筋状に分散させることにより、ポリエステル繊維に制電性を付与する方法が提案されている(特許文献1および2)。しかしながら、これらの方法では、水分子の介在があって初めて制電性を発揮するものであり、水蒸気分圧1mmHg以下のような極端な低湿度環境下では十分な性能が得られなかった。また、中空部分があることにより、着用上十分な強力が得られない可能性もあった。
また、繊維表層に導電性高分子を付着させることで、低湿度環境下でも高い制電効果が得られる方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この方法では、織物表面の抵抗値は下がっても、固体としての繊維の抵抗値までは下げることができないだけでなく、繰り返し洗濯による樹脂脱落があり、洗濯耐久性に限界があった。また、表面に付着した樹脂により滑りが悪くなり、特に裏地に使用した際に着用感が劣る問題があった。
さらに、ポリエーテルエステルアミド系の制電剤を配合することにより、ポリエステル系繊維の制電効果を良好に得られることが記載されている(特許文献4)。ただし、当該方法においては、当該制電剤を0.2〜0.5重量%と少量配合することが好ましいとされている。かかる配合量では、水蒸気分圧1mmHg以下の低湿度環境下では十分な性能発揮がされないことが問題となっていた。
特開昭63−282311号公報 特開昭57−82523号公報 特開2007−113132号公報 特開平11−279837号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、低温低湿度環境下で優れた制電性を発揮するポリエステル系制電糸および織編物を提供するものであり、特に冬物衣料における裏地に好適に使用することができるものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用する。
1. 制電剤が繊維重量に対して2重量%以上3重量%未満の割合で含まれ、該制電剤が、繊維長手方向に、複数の独立した筋状態を形成している、単繊維繊度0.05デシテックス以上5デシテックス以下であるポリエステル系熱可塑性合成繊維の単繊維を12本以上100本以下集合したマルチフィラメントからなり、水蒸気分圧0.5mmHg以上1mmHg以下の環境における比抵抗が60×10Ω・cm以下であることを特徴とする制電糸。
2. 制電剤が、(A)アミノカルボン酸、ラクタムおよびジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれる少なくとも一種、(B)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび(C)ジカルボン酸から構成されるポリエーテルエステルアミドであって、ポリエーテルエステル単位が30〜70重量%である該ポリエーテルエステルアミド100重量部と、スルホン酸の金属化合物2〜20重量部とからなることを特徴とする前記1記載の制電糸。
3. 繊維長手方向に形成された独立した筋が、アスペクト比100以上であることを特徴とする前記1または2記載の制電糸。
4. 経糸、緯糸の少なくとも一方が前記1〜3のいずれかに記載の制電糸を有し、該制電糸の全重量に対する割合が35重量%以上であり、水蒸気分圧1mmHg以下の環境における摩擦帯電圧が2kV以下であることを特徴とする制電性織物。
5.裏地として用いることを特徴とする前記4記載の制電性織物。
6. KES法による平均摩擦係数(MIU)が経方向および緯方向ともに0.10以上0.35以下の範囲にあることを特徴とする前記5に記載の制電性織物。
7. 下式で示されるカバーファクター(CF)が1200以上2000以下の平織物であることを特徴とする前記5または6に記載の制電性織物。
CF={√(D1)×X}+{√(D2)×Y}
D1:経糸の繊度(デシテックス)
X :経糸の密度(本/2.54cm)
D2:緯糸の繊度(デシテックス)
Y :緯糸の密度(本/2.54cm)
8. 前記CFが1600以上2500以下のツイル織物であることを特徴とする前記5または6に記載の制電性織物。
本発明によれば、衣料のまつわりつきやホコリ付着の原因である静電気の発生を軽減することにより、衣服着用時の不快感を改善することができる。
本発明は、前記課題、つまり衣服を着用時に発生する静電気によって起こる、スカート裏地のまつわりつきや、衣服へのホコリ付着や、衣服の着脱時の『ぱちぱち君』などを防ぐ方法を鋭意検討した結果、到達したものである。すなわち、本発明者らは、繊維重量に対する制電剤の量を2重量%以上3重量%未満と、従来技術に比較して若干多くすることにより、制電性を向上させるとともに、かかる制電剤が繊維長手方向に複数の独立した筋状で存在し、好ましくはかかる筋状状態がアスペクト比100以上であることにより、単繊維繊度0.05デシテックス以上5デシテックス以下のポリエステル系熱可塑性合成繊維の単繊維を12本以上100本以下集合したマルチフィラメントで、水蒸気分圧1mmHg以下の環境における比抵抗が、60×10Ω・cm以下であることを特徴とする制電糸を使用することによって、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明のポリエステル系熱可塑性合成繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル系繊維および芳香族ポリエステルに第三成分を共重合した芳香族ポリエステル系繊維、L−乳酸を主成分とするもので代表される脂肪族ポリエステル系繊維などのポリエステル系繊維であることが好ましい。かかるポリエステルは任意の方法で製造されたものでよく、例えばポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコールを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸とエチレンオキサイドを反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエステル及び/またはその低重合体を生成させ、ついでこの生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで縮重合反応させることで容易に製造される。なお、このポリエステルはそのテレフタル酸成分の一部を他の二官能基カルボン酸成分で置き換えてもよい。かかるカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルキシエンタンカルボン酸、β−オキシエトキシ安息香酸の如き二官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸の如き二官能性脂肪族カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き二官能性脂環族カルボン酸等を挙げることができる。また、上記グリコール成分の一部を他のグリコール成分と置き換えてもよく、かかるグリコール成分としてはシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、2,2−ビス〔3,5−ジブロモ−4−(2−ハイドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられる。更に上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマーを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸等の鎖分岐剤を少割合使用したものであってもよい。この他、本発明のポリエステルは通常のポリエステルと同様に酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤が添加されたものであっても勿論よい。
本発明において制電剤として使用されるポリマーとしては、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの縮合生成物あるいは両者の縮合生成物などのポリアルキレンエーテル(ポリアルキレンオキシド)やポリアルキレンオキシド成分に、アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミン、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルなどを反応させた化合物であるポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルまたはポリエーテルエステルアミドなどのブロック共重合ポリマーなどが挙げられる。なかでもポリエーテルエステルアミドが好ましい。
ポリエーテルエステルアミドとしては、構成成分である(A)アミノカルボン酸、ラクタムおよびジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれる少なくとも一種が挙げられ、いずれも炭素数6以上のものが好ましく、より好ましくは、アミノカルボン酸としてはω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルコン酸、ω−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられ、ラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム及びラウロラクタムなどが挙げられ、ジアミン−ジカルボン酸の塩としてはヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸などが挙げられる。その中でもカプロラクタム、1,2−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が特に好ましく用いられる。
また、ポリエーテルエステルアミドの他の構成成分である(B)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体などが好ましく用いられるが、これらの中でも、制電性が優れる点で特にポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
さらに、ポリエーテルエステルアミドのもう一つの構成成分である(C)ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2、7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸及び5−スルホイソフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及びジシクロヘキシル−4,4’ −ジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、及びコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジ酸(デカンジカルボン酸)の如き脂肪族カルボン酸などが挙げられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸及びドデカジン酸が重合性、色調及び物性の点から好ましく用いられる。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとジカルボン酸は反応上は1:1のモル比で反応する。使用するジカルボン酸の種類により通常仕込み比を変え、ポリマー内で1:1のモル比となるように支給される。
本発明のポリエーテルエステルアミドにおいて、ポリエーテルエステル単位は30重量%以上70重量%以下の範囲で用いられ、優れた機械的性質、製糸性良好で、得られる繊維の制電性を十分満足できる。
本発明の制電剤におけるスルホン酸の金属塩化合物とは、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属とから形成される塩や、アルキルスルホン酸とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属から形成される塩であり、中でもドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
該スルホン酸金属塩化合物のポリエーテルエステルアミドへの配合量は、ポリエーテルエステルアミド100重量部に対し2重量部以上、20重量部以下であり、特に好ましくは3重量部以上10重量部以下である。配合量が本範囲を満足する制電剤を用いて得られる繊維は、より制電性に優れ、かつ製糸性も良好となる。尚、本発明においてポリエステルに含有させるポリエーテルエステルアミド系制電剤には従来公知の抗酸化剤、着色防止剤等が添加されても勿論良い。
制電剤が上記構成を満足することにより、制電成分の筋が均一に分散しやすくなり、制電性と単糸繊度ばらつきの両立がより良く達成されるものと推定される。
本発明において、制電剤は繊維重量に対して2重量%以上3重量%未満の割合で含有されることが肝要である。好ましくは、2.5重量%以下である。2重量%よりも少ないと、上記した低湿度環境下にて十分な制電性能が得られない。逆に、2重量%配合することにより、1重量%である場合に比べて格段の性能の向上が見られる。また、3重量%以上であると、制電性は良好であるが、製糸工程通過性や、着用、洗濯などに耐えられる物理的強度が十分に得られなくなり、下記する制電剤のアスペクト比100以上という要件を満たすことができなくなる。
本発明の制電剤は、ポリエステル系熱可塑性合成繊維中にて、繊維長手方向に複数の独立した筋状態を形成していることが好ましい。独立した筋状態を形成している状態とは、隣り合う筋同士が交わらない状態を指す。長手方向に筋状態に存在することにより、制電性成分の暴露面積が広くなり制電効果が向上する。該複数の独立した筋状態については、アスペクト比100以上であるとさらに好ましい。アスペクト比が100以上であることで、帯電した電荷が単繊維表面を流れやすくなり、より良好な制電性が得られるのである。上記したように、アスペクト比を当該範囲とするためには、製糸工程通過性を考慮する必要があり、例えば制電剤の配合量を多くし過ぎると満たすことができない場合がある
制電剤をポリエステル系熱可塑性合成繊維の長手方向に筋状態に形成する方法としては、ポリエステルの重合工程から紡糸工程における紡出までの任意の段階で制電性成分を添加することが好ましい。特に紡糸機内で混合させる方法が好ましい。チップブレンドの方法としては、ブレンダー等により機械的にブレンドさせる手段もあるが、ブレンドチップ移送時の脱混合を防止する面から、計量供給装置により溶融押出装置の供給部へ各チップを所定の比率にて連続的に計量・供給し、ブレンドする方がより好ましい。こうして溶融されたポリマーは、周知の紡糸方法で製糸することができる。中でも延伸工程を必要としない高速紡糸法は生産性の向上、延伸工程の省略によるコスト低減・毛羽発生の減少をもたらすとともに染色性向上効果も期待できるため、他の種類の繊維との交編交織が容易となり、用途拡大が可能となるので、好ましい方法といえる。例えば溶融紡糸するに際し、溶融紡糸したポリエステル糸条を一旦冷却固化し、引き続き加熱域に導入して延伸した後、4500m/min以上の速度で巻き取る方法がある。冷却後引き続き行う加熱域での延伸は、ガラス転移温度以上融点以下の温度で行うことが好ましい。ガラス転移点未満の温度では、糸物性が実用に耐え難い著しく劣った繊維となってしまう。逆に融点を超える温度では、加熱域での単糸間の融着や糸切れをまねき操業上の問題となるばかりでなく、得られた繊維を製織または製編して得られる布帛の風合いが著しく劣ったものとなる。ここでいう加熱域での延伸とは、非接触式の間接加熱域における延伸でも、加熱引取ローラーと加熱延伸ローラーを用いた延伸のいずれでも構わない。
本発明の制電糸は、単繊維繊度0.05デシテックス以上5デシテックス以下であるポリエステル系熱可塑性合成繊維単繊維を12本以上100本以下集合したマルチフィラメントであることが好ましい。単繊維繊度が0.05デシテックスより細くなると衣料として着用するに十分な物理的強力が得られない。また、5デシテックスより太くなると、十分な制電性が得られないだけでなく、風合いが硬くなり、着用感を損なうため好ましくない。単繊維繊度は、好ましくは、0.1デシテックス以上4デシテックス以下であり、さらに好ましくは、0.5デシテックス以上3.5デシテックス以下である。本発明の制電糸は、フィラメントであることが好ましい。スパン糸であると、制電剤の筋が断絶してしまい十分なアスペクト比が得られないため、制電効果が低くなってしまう。
一方、単繊維数が12本より少なくなると、織物重量あたりの制電性成分が少なくなり、十分な制電性が得られない。また、単繊維数が100本より多くなると、制電性は問題ないが、発色性の低下など衣服としての審美性が低下して好ましくない。単繊維数は、好ましくは、24本以上75本以下であり、さらに好ましくは、24本以上50本以下である。
かかる制電糸は、紡糸〜延伸しただけの生糸でもよく、熱板を通したりすることによって捲縮を付加した加工糸でもよく、また、適宜撚りやエアーなどによる交絡があっても良い。また、ポリエステル系熱可塑性合成繊維は、マルチフィラメントであることが好ましい。スパン糸を用いた場合は、繊維表面の毛羽により摩擦係数が高くなり、摩擦によって静電気が発生しやすくなるため好ましくない。
こうして得られた本発明における制電糸は、水蒸気分圧1mmHg以下の環境における比抵抗が60×10Ω・cm以下である。ポリエステル系繊維は、一般に電気が通らない性質を有しており、制電剤を全く添加しない場合、電気抵抗にすると、およそ1.0×1014Ω・cm程度であることが知られている。水蒸気分圧1mmHg以下の環境とは、例えば、中国内陸部の冬期間の平均的な温湿度環境である10℃×10%RH以下に該当する。静電気は、空気中の水分量に左右され、湿度の高い環境下では静電気は起こりにくく、乾燥した環境下では静電気が起こりやすい。そこで、十分な制電性を発揮するために、水蒸気分圧0.5mmHg以上1mmHg以下の環境における制電糸の比抵抗が、60×10Ω・cm以下であることがよく、40×10Ω・cm以下であることが好ましい。水蒸気分圧0.9mmHg以上1.0mmHg以下で上記範囲にあればよく、0.8mmHg以上0.9mmHg以下で上記範囲にあればより好ましく、0.5mmHg以上0.8mmHg以下で、制電糸の比抵抗が、60×10Ω・cm以下を達成できれば、さらに好ましい。
本発明の制電性織物は、上記制電糸を、経糸、緯糸の少なくとも一方に使用し、織物の全重量に対して35重量%以上の割合で含有することが好ましい。35重量%未満であると、織物全体に対する制電性成分の絶対量が少なくなり、結果として着用時に必要十分な制電性能が得られない。また、摩擦によって発生する静電気に対処するためには、制電糸が織物の表面に暴露される形態が好ましい。織物の表面に暴露される形態とは、衣服を着用した時に、該織物が接触する人体や、表地あるいは裏地などに、制電糸が直接触れる位置にあることを示す。
本発明の制電糸を経糸、緯糸のいずれか一方に使用する場合、もう一方に使用する糸の素材としては、ウールや綿などの天然繊維、レーヨンやアセテートなどの再生繊維、ナイロンやポリエステル、アクリルなどの合成繊維など、特に限定するものではない。
こうして得られた制電性織物は、水蒸気分圧1mmHg以下の環境における摩擦帯電圧が2kV以下であることが好ましい。摩擦帯電圧が低くなるほど制電性が良好であるが、一般のポリエステル繊維の摩擦帯電圧は、標準状態(20℃×65%RH、水蒸気分圧11.4mmHg)でおよそ5〜6kV程度であり、制電性が良好であると言われる帯電防止加工を施した織物などで3kV程度である。より過酷な乾燥した環境の元で必要な制電性としては、好ましくは、水蒸気分圧1mmHg以下の環境における摩擦帯電圧が1kV以下である。
本発明の制電性織物は、裏地として好ましく用いられる。静電気の発生によって起きる問題として主たるものは、ワンピースやスカートなどの裏地が、歩行時に足にまつわりついたり、ジャケットの裏地と中衣のセーターやシャツとの摩擦でおこる火花放電である。本発明の制電性織物を裏地に使用することにより、これらの問題が解消し、着用時の快適性を得ることができる。
本発明の制電性織物は、上記特徴を有する制電糸を、その経糸、緯糸の少なくとも一方に用いる。さらには、織物が平織物の場合、下式で示されるカバーファクター(CF)が1200以上2000以下であることが好ましい。または、織物がツイル織物である場合、CFは1600以上2500以下であることが好ましい。CFのさらに好ましい範囲は、平織物では1300以上1600以下、ツイル織物では2000以上2300以下である。
CF={√(D1)×X}+{√(D2)×Y}
D1:経糸の繊度(デシテックス)
X :経糸の密度(本/2.54cm)
D2:緯糸の繊度(デシテックス)
Y :緯糸の密度(本/2.54cm)
CFが、平織物で1200、あるいはツイル織物で1600より小さくなると、目ズレやスナッグなどにより、衣服として着用するに際して物理的強度が低くなるため好ましくない。また、CFが、平織物で2000、ツイル織物で2500より大きくなると、風合いが硬くなり、衣服として着用した際に快適性が乏しくなるので好ましくない。もちろん、本発明に係る織物は平織物、ツイル織物に限るものではなく、サテン織物や変化組織の織物でも何ら問題はない。用途が裏地であり、例えば、サテン織物の場合、CFは2000以上4000以下が好ましい。さらに好ましくは、2200以上3000以下である。
本発明の制電性織物は、KES法による平均摩擦係数(MIU)が経方向および緯方向ともに0.10以上0.35以下の範囲にあることが好ましい。特に裏地として使用する場合、平均摩擦係数が0.10より小さいと、目ズレやスナッグなどにより着用時の物理的強度が低くなり好ましくない。また、平均摩擦係数が0.35より大きいと、摩擦による抵抗が大きくなり、静電気の発生を助長することになるだけでなく、特に裏地として使用した場合は、滑りが悪く、裏地としての特性をはたすことができなくなる。すなわち、平均摩擦係数を0.10以上0.35以下にすることで、摩擦による静電気が軽減され、また、裏地として使用する際に適度な抵抗により、表地への沿いが良く、着用時に表地と裏地のズレが生じず着用感の良いものとなる。
一般的に衣服に使用するポリエステル織物は、風合い改良を目的としたアルカリ減量加工が施される場合が多いが、本発明の制電性織物にアルカリ減量加工を施しても、制電性効果の低下は見られない。さらに、必要に応じて仕上げ加工剤、例えば、柔軟仕上げ剤、吸汗剤、撥水剤や一時耐電防止剤、また、抗菌防臭加工剤、消臭剤などの特殊な機能加工剤などを付与しても、相互の機能性能になんら問題はない。
また、本発明の制電糸は、例えば、スリップ、キャミソール、ペチコート、ショーツ、アンダーパンツ、Tシャツ、丸首シャツ、U首シャツ、ボディスーツ、ガードル、トランクス等をはじめとする肌着、タイツ、パンティーストッキング、靴下などのレッグウェア類、ドレスシャツ、ブラウス、スラックス、スカートなどの一般衣料、ポロシャツ、ウォームアップウェア、水着、レオタードなどのスポーツウェア、パジャマ、浴衣などのリラックスウェア、マフラー、スカーフなどの衣料雑貨、布団側地、布団カバー、枕カバー、ベッドカバーなどの寝装品などに用いても、何ら問題はない。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、被評価布帛や処理方法は、これらに限定されるものではない。
(繊維の比抵抗測定方法)
試料を、0.2重量%のアニオン界面活性剤の弱アルカリ水溶液中で十分に精練して油剤などを除いた後、十分にすすぎ、乾燥する。ついで、該試料を、長さ(L)5cm、総繊度(D)2000デニール(2200デシテックス)の繊維束に引き揃えて、20℃×40%RH(水蒸気分圧7.02mmHg)または10℃×10%RH(水蒸気分圧0.93mmHg)の各条件下で2日間放置調湿した後、振動容量型微少電位測定装置により、印加電圧500Vで試料の抵抗を測定し、次式によって算出する。
ρ=(R×D)/(9×10×L×d)
ρ:体積固有抵抗(Ω・cm)
R:抵抗(Ω)
d:試料密度(g/cm
D:繊度(デニール)
L:試料長(cm)
(摩擦帯電圧の測定方法)
試料の調湿および測定室環境が、20℃×40%RHおよび10℃×10%RHである場合のそれぞれにおいて、JIS L 1094(1997)に規定される摩擦帯電圧測定方法で行う。
(平均摩擦係数(MIU)測定)
カトーテック(株)製のKES−FB4を用いて測定した。糸目を通した20cm×20cmの織物試料を平滑な金属表面上におき、19.6cN/cmの一軸張力をかけて0.5mmのピアノ線を移動軸方向に垂直に10本並べた摩擦面寸法が5mm×5mmの接触子を50gfの荷重で試料に圧着し、試料を0.1cm/secの速度で水平に2cm移動させたときの摩擦抵抗力から平均摩擦係数(MIU)を求めた。MIUは下式により求められる。
μ:摩擦力/試料を圧する力(50gf)
x:試料表面上の位置X:移動距離(2cm)
(実着用評価;帯電電荷量、着用感)
実着用時に発生する電荷量を、以下の方法で測定した。
評価には、ウール100%スカートと、評価対象の試料を用いて作成したペチコートを使用する。スカートは、裾幅58cm、スカート丈60cmのストレートスタイルで、ウェストには3cm幅のベルト芯を入れる。ペチコートは、裾幅57cm、丈58cm、裾は左右に16cmベンツを設け、ウェストは裾幅と同サイズにして幅1cmのゴムを通しておく。評価に際しての基本的なウェアリングを以下に示す。
<上衣>
・ブラジャー(適宜)
・半袖ポロシャツ(ポリエステル30重量%/綿70重量%)
・中綿入りブルゾン(側地および裏地は、ポリエステル100%タフタ、中綿は、ポリエステル100% 約300g/着g、前ファスナー、裾ゴム(調整具付き))
<下衣>
・ショーツ(綿100%)
・パンティーストッキング(ナイロン100%、サポートなし)
・スカート(ウール100%)
評価に使用する衣服類は、予め10℃×10%RHに温湿度を調整した測定室内において24時間以上放置しておく。所定の上衣、下衣を着用するとき、ポロシャツはエリを折り、ボタンは全部止める。ポロシャツの裾は、スカートに重ならないようウェスト部まで捲り上げクリップなどで固定する。ブルゾンは、前ファスナーを襟元まで全閉し、裾ゴムを適度に締めて、スカートに重ならないよう捲り上げる。評価対象のペチコートを、スカートの下に着用する。
1×1014Ω以上の体積抵抗を持つ床の上に、パンティーストッキングを履いただけの素足で立ち、スカート、ペチコートを捲り上げて、足およびペチコートの足側の面を除電バーにて除電する。除電の方法は、JIS L−1094(1997)の摩擦帯電電荷量の測定方法に準じる。続いて、ペチコートを緩やかにおろし、ペチコートのスカート側と、スカートの裏側を同様に除電する。引き続き、スカートを緩やかにおろし、スカートの表側を除電する。
股関節および膝関節が約90度になるよう足を上げ、2回/秒の間隔で30秒間その場足踏みを行う。所定の時間その場足踏み運動をした後、ペチコートを素早く脱いでファラデーゲージに投入し、発生した電荷量を測定する。ファラデーゲージは、JIS L−1094(1997)に記載されるものを使用する。
その場足踏み運動を行った際のまつわりつき具合など着用感を記録する。
20℃×40%RH環境下においても、同様の方法で評価を行う。
(洗濯処理)
洗濯はJIS L 0217(1995)の103の方法に準じた。
(アスペクト比)
制電糸をNaOH濃度100g/L溶液で処理して制電剤部分を溶かした後に、繊維表面に現れた筋をSEMにて観察し、アスペクト比=繊維表面の筋状部分の長さ/幅×100(%)で示した。
<実施例>
実施例1
制電剤として、カプロラクタム50重量%、ポリエーテルエステル単位47.3重量%、アジピン酸2.7重量%からなるポリエーテルエステルアミド100重量部に、スルホン酸金属塩化合物として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを5重量部配合し、ポリエーテルエステルアミド系制電剤チップを調整した。調整時には、抗酸化剤として1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ−terブチル−4−ヒドロキシル)ベンゼンを、ポリエーテルエステルアミド100重量部に対し5.5重量部添加した。該ポリエーテルエステルアミド系制電剤チップを80℃で6時間乾燥した後、160℃で6時間真空乾燥したポリエチレンテレフタレートチップ98重量部に対しポリエーテルエステルアミド2重量部の割合でブレンドして溶融紡糸機にて溶融混練し84デシテックス36フィラメントの延伸糸を得た。
こうして得られた制電性ポリエステルフィラメント糸の評価結果を表1に示す。制電糸の筋形成状態は良好であり、SEM写真判定にてアスペクト比は100以上であることを確認した。水蒸気分圧0.93mmHg環境下における比抵抗は、52.0×10Ω・cmであった。
実施例2
実施例1に記載の制電糸を経緯糸に使用し、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経92本/2.54cm、緯86本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1541であった。得られた生機を、オープンソーパー精錬機にて拡布状態で98℃×100m/minで精錬、リラックス熱処理を施し、シリンダー乾燥機にて130℃で乾燥後、ピンテンターにて乾熱195℃×100m/minで中間セットを行った。続いて、液流染色機にて、100℃、NaOH濃度100g/L溶液にて減量加工をした後、135℃で黒に染色し、還元洗浄を行った後、2度目の洗浄工程と同時に一時帯電防止剤を付与した後、シリンダー乾燥機にて130℃×90m/minで乾燥後、ピンテンターにて乾熱180℃×80m/minで仕上げセットを行った。仕上げ密度は、経糸103本/2.54cm、緯糸96本/2.54cm、カバーファクターは1723であった。また、仕上げ反のアルカリ減量率は8%であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく、風合い良好で着用感は快適であった。
実施例3
実施例1に記載の制電糸を緯糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス18フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を経糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経100本/2.54cm、緯78本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1382であった。得られた生機を実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は9.8%、仕上げ密度は、経糸109本/2.54cm、緯糸81本/2.54cm、カバーファクターは1472であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく風合い良好で着用感は快適であった。
実施例4
実施例1に記載の制電糸を経糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を緯糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経92本/2.54cm、緯90本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1433であった。得られた生機を実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は10%、仕上げ密度は、経糸98本/2.54cm、緯糸95本/2.54cm、カバーファクターは1520であった。
こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく風合い良好で着用感は快適であった。
実施例5
実施例1に記載の制電糸を経緯糸に使用し、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経150本/2.54cm、緯96本/2.54cmのツイル織物を製織した。生機のカバーファクターは、2130であった。得られた生機を、実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は15%、仕上げ密度は、経糸170本/2.54cm、緯糸100本/2.54cm、カバーファクターは2338であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく風合い良好で着用感は快適であった。
実施例6
実施例1に記載の制電糸を緯糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス18フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を経糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経160本/2.54cm、緯105本/2.54cmのツイル織物を製織した。生機のカバーファクターは、2040であった。得られた生機を、実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は12.4%、仕上げ密度は、経糸168本/2.54cm、緯糸109本/2.54cm、カバーファクターは2131であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく風合い良好で着用感は快適であった。
実施例7
実施例1に記載の制電糸を経糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を緯糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経150本/2.54cm、緯100本/2.54cmのツイル織物を製織した。生機のカバーファクターは、2006であった。得られた生機を、実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は12.4%、仕上げ密度は、経糸171本/2.54cm、緯糸110本/2.54cm、カバーファクターは2258であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく風合い良好で着用感は快適であった。
実施例8
実施例1に記載の制電糸を経緯糸に使用し、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経94本/2.54cm、緯84本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1541であった。得られた生機を、減量加工を除いた以外は実施例2と同様の処理を行った。仕上げ密度は、経糸96本/2.54cm、緯糸93本/2.54cm、カバーファクターは1636であった。
こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく着用感は快適であった。
実施例9
実施例1に記載の制電糸を緯糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス18フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を経糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経100本/2.54cm、緯79本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1391であった。得られた生機を、実施例8と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反の仕上げ密度は、経糸110本/2.54cm、緯糸86本/2.54cm、カバーファクターは1522であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく着用感は快適であった。
実施例10
実施例1に記載の制電糸を経糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を緯糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経92本/2.54cm、緯92本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1447であった。得られた生機を、実施例8と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反の仕上げ密度は、経糸97本/2.54cm、緯糸101本/2.54cm、カバーファクターは1554であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく着用感は快適であった。
実施例11
フィラメント数が72本である以外は、実施例1と同様の方法で製造した制電糸を緯糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス48フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を経糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経100本/2.54cm、緯78本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1382であった。得られた生機を、実施例8と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は10.2%、仕上げ密度は、経糸111本/2.54cm、緯糸84本/2.54cm、カバーファクターは1512であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく着用感は快適であった。
実施例12
実施例1に記載の制電糸を緯糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を経糸に使用し、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経230本/2.54cm、緯90本/2.54cmのサテン織物を製織した。生機のカバーファクターは、2405であった。得られた生機を、実施例8と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反の仕上げ密度は、経糸260本/2.54cm、緯糸95本/2.54cm、カバーファクターは2661であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく着用感は快適であった。
<比較例>
比較例1
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートチップを99.9重量部に対しポリエーテルエステルアミド0.1重量部の割合でブレンドした以外は、実施例1と同様の方法で得られた84デシテックス36フィラメントの延伸糸の評価結果を表1に示す。制電糸の筋形成状態は良好であるが、比抵抗は非常に高く、制電性に劣るものであった。
比較例2
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートチップを94重量部に対しポリエーテルエステルアミド6.0重量部の割合でブレンドした以外は、実施例1と同様の方法で得られた84デシテックス36フィラメントの延伸糸の評価結果を表1に示す。制電性は良好であるが、製糸工程通過性が悪く実用に適さないものであった。
比較例3
一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス18フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸を経糸に使用し、同様に、一般的な工程にて紡糸、延伸した84デシテックス36フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸を緯糸に使用し、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経100本/2.54cm、緯78本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1382であった。得られた生機を、実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は8.5%、仕上げ密度は、経糸110本/2.54cm、緯糸80本/2.54cm、カバーファクターは1470であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で静電気の発生が激しいものであった。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきも激しく、着用感が非常に悪いものであった。
比較例4
一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス18フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を経糸に使用し、緯糸に同ポリエステル糸と実施例1に記載の制電糸を一本交互に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経100本/2.54cm、緯78本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは、1382であった。得られた生機を実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は9.7%、仕上げ密度は、経糸110本/2.54cm、緯糸81本/2.54cm、カバーファクターは1479、制電糸の含有割合は26.3%であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で静電気の発生が著しいものであった。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきも著しく、着用感が悪いものであった。
比較例5
実施例1に記載の制電糸を緯糸に使用し、一般的な工程にて紡糸、延伸した54デシテックス24フィラメントのポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル糸を経糸に使用して、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経230本/2.54cm、緯70本/2.54cmのサテン織物を製織した。生機のカバーファクターは、2232であった。得られた生機を、実施例8と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反の仕上げ密度は、経糸260本/2.54cm、緯糸75本/2.54cm、カバーファクターは2488、制電糸の含有割合は30.2%であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で静電気の発生が強いものであった。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきも激しく、着用感が悪いものであった。
比較例6
経緯糸が、20℃×65%RH環境下での吸湿率が12.6%であって、30℃×90%RH環境下での吸湿率が21.5%である銅アンモニア法にて得られた再生セルロース繊維からなる、84デシテックス45フィラメントの糸を経糸に使用し、同じ再生セルロース繊維からなる100デシテックス75フィラメントの糸を緯糸に使用し、一般的な工程にて製織、染色を施し平織物を得た。仕上げ反の仕上げ密度は、経糸111本/2.54cm、緯糸82本/2.54cm、カバーファクターは1837であった。得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で静電気の発生が激しいものであった。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきも激しく、着用感が非常に悪いものであった。
比較例7
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートチップを99重量部に対しポリエーテルエステルアミド1重量部の割合でブレンドした以外は、実施例1と同様の方法で得られた84デシテックス36フィラメントの延伸糸の評価結果を表1に示す。制電糸の筋形成状態は良好であるが、比抵抗は高く、制電性に劣るものであった。
比較例8
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートチップを97重量部に対しポリエーテルエステルアミド3重量部の割合でブレンドした以外は、実施例1と同様の方法で得られた84デシテックス36フィラメントの延伸糸の評価結果を表1に示す。製糸性がやや不良であり、制電糸の筋形成状態は良好であるが、SEM写真判定にてアスペクト比が100以下の部分があることを確認した。水蒸気分圧0.93mmHg環境下における比抵抗は、46.8Ω・cmであった。
比較例9
比較例8に記載の制電糸を経緯糸に使用し、一般的な工程でウォータージェット織機にて、生機密度 経101本/2.54cm、緯82本/2.54cmの平織物を製織した。生機のカバーファクターは1584であった。得られた生機を実施例2と同様の方法で染色仕上げした。仕上げ反のアルカリ減量率は8.8%、仕上げ密度は、経糸110本/2.54cm、緯糸84本/2.54cm、カバーファクターは1680であった。こうして得られた織物の評価結果は、表2に示したとおり、水蒸気分圧0.93mmHg環境下で良好な制電性を示した。さらに、この織物を用いてペチコートを作成し、同環境下で実着用評価を実施したところ、運動時および運動後のまつわりつきがなく風合い良好で着用感は快適であったが、着用−洗濯によって織物表面にフロスティングが見られ、実用には不十分な物性であった。
本願発明に係る制電子の断面図および側面図であり、NaOH溶液処理にて筋状態を顕在化した図である。

Claims (8)

  1. 制電剤が繊維重量に対して2重量%以上3重量%未満の割合で含まれ、該制電剤が、繊維長手方向に、複数の独立した筋状態を形成している、単繊維繊度0.05デシテックス以上5デシテックス以下であるポリエステル系熱可塑性合成繊維の単繊維を12本以上100本以下集合したマルチフィラメントからなり、水蒸気分圧0.5mmHg以上1mmHg以下の環境における比抵抗が60×10Ω・cm以下であることを特徴とする制電糸。
  2. 制電剤が、(A)アミノカルボン酸、ラクタムおよびジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれる少なくとも一種、(B)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび(C)ジカルボン酸から構成されるポリエーテルエステルアミドであって、ポリエーテルエステル単位が30〜70重量%である該ポリエーテルエステルアミド100重量部と、スルホン酸の金属化合物2〜20重量部とからなることを特徴とする請求項1記載の制電糸。
  3. 繊維長手方向に形成された独立した筋が、アスペクト比100以上であることを特徴とする請求項1または2記載の制電糸。
  4. 経糸、緯糸の少なくとも一方が請求項1〜3のいずれかに記載の制電糸を有し、該制電糸の全重量に対する割合が35重量%以上であり、水蒸気分圧1mmHg以下の環境における摩擦帯電圧が2kV以下であることを特徴とする制電性織物。
  5. 裏地として用いることを特徴とする請求項4記載の制電性織物。
  6. KES法による平均摩擦係数(MIU)が経方向および緯方向ともに0.10以上0.35以下の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の制電性織物。
  7. 下式で示されるカバーファクター(CF)が1200以上2000以下の平織物であることを特徴とする請求項5または6に記載の制電性織物。
    CF={√(D1)×X}+{√(D2)×Y}
    D1:経糸の繊度(デシテックス)
    X :経糸の密度(本/2.54cm)
    D2:緯糸の繊度(デシテックス)
    Y :緯糸の密度(本/2.54cm)
  8. 前記CFが1600以上2500以下のツイル織物であることを特徴とする請求項5または6に記載の制電性織物。
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