しかしながら、上述した特許文献1記載の搬送システムによれば、搬送車は、第1の移動により入庫を行い、続く第2の移動により出庫を行う。即ち、入庫及び出庫を連続して行おうとすれば、入庫及び出庫の間に、搬送車が入庫用の一のポートに対応する位置から、出庫用の他のポートに対応する位置へ移動するための時間が取られるために、搬送効率が低下してしまうという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、効率よく荷を入出庫することを可能ならしめる保管庫、及びこのような保管庫の入出庫方法を提供することを課題とする。
本発明の保管庫は上記課題を解決するために、一の荷の入庫及び他の荷の出庫が、前記一の荷及び前記他の荷を夫々昇降可能な搬送車との間で、連続して行われる保管庫であって、筐体又はフレームと、該筐体又はフレーム内に配置され且つ前記一の荷及び前記他の荷を収容若しくは載置可能であり、(i)前記筐体の外壁又は前記フレームの外枠に設けられた一の出入口を介して前記筐体又は前記フレームの内側並びに外側間で前記一の荷が載置された状態で水平移動可能に構成されており、前記外側へ移動された際に前記搬送車から前記一の荷が縦載置により載置される入庫ポートとして機能する一の棚部分と(ii)前記一の出入口が設けられた前記外壁又は前記外枠に且つ前記一の出入口と鉛直方向に並んで設けられた他の出入口を介して前記内側並びに前記外側間で前記他の荷が載置された状態で水平移動可能に構成されており、前記外側へ移動された際に前記搬送車へ前記他の荷が前記縦移載により取り出される出庫ポートとして機能する他の棚部分とを含む複数の棚部分と、前記一の棚部分及び前記他の棚部分のうち少なくとも前記鉛直方向の上側に設けられている一方の棚部分を前記一の出入口又は前記他の出入口を介して選択的に水平移動させる外内移動手段とを備える。
本発明の保管庫によれば、例えば一の荷の入庫及び他の荷の出庫が連続して行われる際に、一の棚部分及び他の棚部分が選択的に水平移動される。ここで「選択的」とは、例えば入庫時に、入庫ポートとして機能させるために筐体又はフレームの外側に移動させる対象として一の棚部分を選択したり、搬送車による縦移載を妨げないように筐体又はフレームの内側に移動させる対象として他の棚部分を選択するという意味である。また、例えば出庫時に、入庫時とは逆に、出庫ポートとして機能させるために筐体又はフレームの外側に移動させる対象として他の棚部分を選択したり、搬送車による縦移載を妨げないように筐体又はフレームの内側に移動させる対象として一の棚部分を選択するという意味もある。「縦移載」とは、例えば一の荷及び他の荷を鉛直方向に昇降させることにより、搬送車と入庫ポート又は出庫ポートと間で移載するという意味である。上述の水平移動を実行する外内移動手段は、例えば一の棚部分が他の棚部分より鉛直方向の上側に設けられている(即ち、一の棚部分が「一方の棚部分」に相当する)場合に、搬送車及び他の棚部分間の縦移載を妨げないように、一の棚部分を水平移動させて他の棚部分の上方から退避させる。一方、例えば他の棚部分が一の棚部分より鉛直方向の上側に設けられている(即ち、他の棚部分が「一方の棚部分」に相当する)場合に、搬送車及び一の棚部分間の縦移載を妨げないように、他の棚部分を水平移動させて一の棚部分の上方から退避させる。尚、外内移動手段は、一の棚部分を選択的に水平移動させる一の棚部分用の第1外内移動手段と、他の棚部分を選択的に水平移動させる他の棚部分用の第2外内移動手段とを備えていてもよい。
具体的には、入庫時には、例えばFOUP等の入庫すべき一の荷は、例えばOHT(Overhead Hoist Transport)等の搬送車により、入庫ポートまで搬送される。ここに「搬送車」は、例えば天井走行型のビークルであり、荷を保持するグリッパ機構、荷をグリッパ機構ごと昇降させるホイスト機構、並びに荷をグリッパ機構及びホイスト機構ごと収容すると共に走行機能を持つ本体部を有する。
このような搬送車の搬送と相前後して又は並行して、入庫ポートとして機能する一の棚部分は、例えばスライダ機構、コンベア機構等を有する外内移動手段によって、筐体の外壁又はフレームの外枠に設けられた一の出入口を介して、筐体又はフレームの外側に移動される。即ち、一の棚部分は、筐体又はフレームの外にせり出された状態とされる。この状態で、一の荷は、停止した搬送車から、筐体又はフレームの外側へと移動された一の棚部分である入庫ポートへ、典型的には、縦移載或いは縦載置される。具体的には例えば、一の荷は、搬送車におけるグリッパ機構等により保持されたままホイスト機構等の昇降動作によって、入庫ポートの上方位置から入庫ポートまで下降される。更に、グリッパ機構等の解放動作によって、入庫ポートに移載される。
このように入庫ポートへの移載が完了すると、今度は、この入庫ポートとして機能する一の棚部分が、外内移動手段により筐体又はフレームの内側へと移動される。続いて、一の荷は、一の棚部分から、例えば鉛直駆動部及び水平駆動部を備える駆動手段によって、複数或いは多数の棚部分のうち所望の棚部分へと移動される。即ち、入庫に続いて保管庫内搬送される。尚、このような保管庫内搬送は、次に説明する出庫に係る動作と相前後して又は並行して行われてよい。
他方、出庫時には、上述の入庫に係る動作と相前後して又は並行して、例えばFOUP等の出庫すべき他の荷は、駆動手段により、複数或いは多数の棚部分のうち所望の棚部分から、出庫ポートとして機能する他の棚部分まで保管庫内搬送される。続いて、他の棚部分は、外内移動手段によって、筐体の外壁又はフレームの外枠に且つ一の出入口と鉛直方向に並んで設けられた他の出入口を介して、筐体又はフレームの外側へと移動される。この状態で、他の荷は、筐体又はフレームの外側へと移動され、上述した入庫ポートの鉛直方向に位置する他の棚部分である出庫ポートから、例えば入庫ポートへの入庫を終えたばかりの搬送車へと、典型的には、入庫時と同様にして縦移載或いは縦載置される。具体的には例えば、他の荷は、グリッパ機構等の保持動作により保持される。続いて、ホイスト機構等の昇降動作によって、出庫ポートから出庫ポートの上方位置まで上昇されることによって、搬送車に移載される。その後、搬送車へ移載された他の荷は、搬送車の本体部に、例えばグリッパ機構及びホイスト機構と共に収容されることによって、搬送車より搬送可能となる。
尚、FOUP等の荷について、文言上、入庫すべき一の荷と、出庫すべき他の荷との二つの荷を規定するが、一の荷及び他の荷を同一の一つの荷として、例えば一の荷の入庫及び出庫が連続して行われてもよい。
尚、入庫ポート及び一の棚部分、並びに出庫ポート及び他の棚部分の組み合わせについて、ポートと棚部分とを別扱いせずに、入庫ポート及び棚部分の一つ、並びに出庫ポート及び棚部分の一つは、夫々兼用させてもよい。
以上の結果、同一の鉛直方向に選択的に配置される入庫ポート及び出庫ポート(言い換えれば、一の棚部分及び他の棚部分)に対して、搬送車は、縦移載により入庫及び出庫を連続して行うことが可能となる。この際、前述した背景技術の如く、搬送車が入庫及び出庫の間に、入庫ポートから出庫ポートに対応する位置へ移動する必要は無く、搬送車から入庫ポートへ一の荷を載置した後に、続けて同一の位置で、出庫ポートから搬送車へ他の荷を取り出すことが可能となる。また、当該保管庫内で一の荷及び他の荷を移動させる手段から独立した外内移動手段により、保管庫内で、入庫に係る動作及び出庫に係る動作を少なくとも部分的に並列に行うことが可能となる。従って、入出庫に係る時間を短縮して、効率よく入出庫することが可能となる。
本発明の保管庫の一態様では、前記複数の棚部分は、前記鉛直方向に複数段に渡って設けられており、前記一の出入口及び前記他の出入口は、前記複数段のうちの最上段及び該最上段の1つ下の段に対応する前記外壁又は前記外枠に夫々設けられており、前記一の棚部分は、前記複数の棚部分のうち前記一の出入口に隣接する棚部分であり、前記他の棚部分は、前記複数の棚部分のうち前記他の出入口に隣接する棚部分である。
この態様では、入庫時に、例えば、外内移動手段により、最上段にある一の棚部分が、隣接する一の出入口を介して筐体又はフレームの外側に移動され、一の棚部分が入庫ポートとして機能する。続いて、搬送車が入庫ポートの上方に停止され、搬送車から入庫ポートへ一の荷が入庫される。ここで「一の出入口に隣接する」とは、例えば一の段に設けられた複数の棚部分のうち、一の出入口の最も近くにある棚部分を示す。
他方、出庫時に、例えば、一の棚部分の直下に位置する他の棚部分が、隣接する他の出入口を介して筐体又はフレームの外側に移動され、他の棚部分が出庫ポートとして機能する。続いて、入庫を行った直後の搬送車へ、出庫ポートから他の荷が出庫される。
このように、一の棚部分及び他の棚部分を、最上段及び最上段の1つ下の段に設けることにより、縦移載による一の荷及び他の荷の昇降距離が最短となり、移載時間を短縮することが可能となる。また、一の棚部分及び他の棚部分を、一の出入口及び他の出入口に隣接するように設けることにより、外内移動手段による一の棚部分又は他の棚部分の水平移動距離が最短となり、移動時間を短縮することが可能となる。従って、入出庫に係る時間をより短縮して、一層効率よく入出庫することが可能となる。
尚、上述した例と反対に、一の棚部分を最上段の1つ下の段に設け、他の棚部分を最上段に設けても、上述した例と同様の効果が得られる。
本発明の保管庫の他の態様では、前記一の棚部分及び前記他の棚部分は、前記外側へ夫々移動された際に、前記搬送車が前記一の荷及び前記他の荷を搬送する軌道の下方に位置するように配置される。
この態様では、入庫時又は出庫時、並びに連続した入出庫時に、例えば、搬送車は、当該保管庫に対して予め設定された停止位置に停止される。続いて、外内移動手段により、一の棚部分が入庫ポートとして機能する入庫位置へ移動される。これら停止位置及び入庫位置は、軌道の下方に、具体的には、同一の鉛直方向に位置する。これにより、搬送車は、入庫ポートへ一の荷を載置した後に、続けて同一の位置で、出庫ポートから他の荷を取り出すことが可能となる。
本発明の保管庫の他の態様では、前記搬送車は、搬送時に、前記一の荷又は前記他の荷の少なくとも一部を内部に収容した状態で搬送し、前記一の棚部分又は前記他の棚部分は、前記外側へ移動された際に、前記一の荷を載置する又は前記他の荷を取り出す前記搬送車との間に、前記一の荷又は前記他の荷の1つ分の高さより短い距離を有する。
この態様では、搬送車の本体部について、例えば一の棚部分及び他の棚部分が水平移動される方向に対応する側面には、一の荷又は他の荷の少なくとも一部(具体的には、一の荷又は他の荷の上部)を通過させるための開口が形成されている。例えば最上段に、一の棚部分が設けられている。この場合に、入庫時に、例えば、一の荷を載置すべき搬送車が当該保管庫に対応する停止位置で停止され、搬送車から入庫ポート(即ち、一の棚部分)に一の荷が移載される。この移載により、一の荷が下降され、その底面が入庫ポートの上面に接触するが、一の荷の上部が搬送車の内部に残される。続いて、入庫ポートが一の荷を載置した状態で筐体又はフレームの内側に移動されるが、この際に、一の荷の上部が本体部の開口を介して搬送車の外部に移動される。
他方、例えば最上段に、他の棚部分が設けられている。この場合に、出庫時に、例えば、他の荷を取り出すべき搬送車が当該保管庫に対応する停止位置で停止される。続いて、出庫ポート(即ち、他の棚部分)が他の荷を載置した状態で筐体又はフレームの外側に移動されるが、この際に、他の荷の上部が、本体部の開口を介して搬送車の内部に移動される。続いて、出庫ポートから搬送車へ他の荷が移載される。この移載により、他の荷が上昇され、その底面が出庫ポートの上面から離れるが、他の荷の下部が搬送車の内部に収容されない。
このように、例えば、移載時に、一の荷又は他の荷の上部が搬送車の内部に位置するように、即ち、搬送車と入庫ポート又は出庫ポートとの間に一の荷又は他の荷の下部が位置するように、搬送車に対して、一の荷又は他の荷の1つ分の高さより短い距離をとって、入庫ポート又は出庫ポートを設置してもよい。これにより、軌道に対して、当該保管庫を最大限高く構成することが可能となり、多数の一の荷又は他の荷を収容することが可能となる。また、入庫ポート又は出庫ポートに対して、軌道の高さを調整するような場合に、縦移載による昇降距離が最短となり、移載時間を短縮することが可能となる。
本発明の保管庫の他の態様では、前記複数の棚部分は、前記一の棚部分及び前記他の棚部分からなる一対の棚部分を、前記軌道に沿って配列された形で複数含み、前記一対の棚部分は、隣り合う2つの前記一対の棚部分の各々の中心間の距離が、前記搬送車の前記軌道に沿った方向の長さより大きくなるように設けられる。
この態様では、例えば軌道に沿って隣り合うように配列された2つの入庫ポートに対して、2つの搬送車が同時に入庫を行う。具体的には、例えば、軌道の下流側にある第1の入庫ポートに対して第1の搬送車が入庫を行い、この入庫と同時に、軌道の上流側にある第2の入庫ポートに対して、第1の搬送車に続く第2の搬送車が入庫を行う。この場合に、これら2つの入庫ポートの中心間の距離が、搬送車1台の軌道に沿った方向の長さより大きくなっている。これにより、第1の入庫ポートの上方に第1の搬送車を停止させ、第2の入庫ポートの上方に第2の搬送車を停止させることが可能である。よって、当該保管庫に対して、複数台の搬送車が複数の入庫ポート又は出庫ポートを介して同時に入庫又は出庫することが可能となり、一対の棚部分のみ備える場合と比較して更に効率よく入出庫することが可能となる。
本発明の保管庫の他の態様では、前記一の荷を入庫すべき場合に、前記一の棚部分を前記外側へ水平移動させるように前記外内移動手段を制御し、前記一の荷が前記一の棚部分に載置された後に、前記一の棚部分を前記内側へ水平移動させるように前記外内移動手段を制御すると共に、前記他の荷を出庫すべき場合に、前記他の荷が載置された状態で前記他の棚部分を前記外側へ水平移動させるように前記外内移動手段を制御し、前記他の荷が取り上げられた後に、前記他の棚部分を前記内側へ水平移動させるように前記外内移動手段を制御する制御手段を更に備える。
この態様によれば、一の荷を入庫すべき場合に、例えばコントローラ、プロセッサ、メモリ等を有する制御手段による制御下で、外内移動手段によって、一の棚部分は、筐体又はフレームの外側へ水平移動させられ、即時に載置可能な入庫ポートとして機能し得る。即ち、筐体又はフレームから外側にせり出した入庫ポートを介して、一の荷を当該保管庫へ入庫できる。但し、この場合、入庫ポートの上方には、例えば出庫ポートを含む障害物が存在しないものとする。更に、制御手段による制御下で、外内移動手段によって、一の荷が移載された一の棚部分は、筐体又はフレームの内側へ水平移動させられる。よって、入庫された一の荷の保管庫内搬送を、入庫ポートへの移載から遅延なく実行可能となる。
他方、他の荷を出庫すべき場合に、制御手段による制御下で、外内移動手段によって、他の荷が載置された他の棚部分は、筐体又はフレームの外側へ水平移動させられて、即時に取り出し可能な出庫ポートとして機能し得る。即ち、筐体又はフレームから外側にせり出した出庫ポートを介して、他の荷を当該保管庫から出庫できる。但し、この場合、出庫ポートの上方には、例えば入庫ポートを含む障害物が存在しないものとする。更に、制御手段による制御下で、外内移動手段によって、他の荷が取り出された他の棚部分は、筐体又はフレームの内側へ水平移動させられる。よって、次に出庫すべき他の荷の保管庫内搬送を、搬送車への移載から遅延なく実行可能となる。
このように、一の棚部分及び他の棚部分を筐体又はフレームの内側並びに外側へ水平移動させるという比較的簡単な構成により、迅速且つ効率よく入出庫すると共に、入庫後の出庫時に、入庫された一の荷の保管庫内搬送、又は次に出庫される他の荷の保管庫内搬送を効率よく行うことができる。
この態様では、前記一の荷及び前記他の荷を夫々その底側から支持可能な第1載置面を有する載置部と、該載置部を、前記複数の棚部分の相互間で移動可能である駆動手段とを更に備え、前記制御手段は、前記一の荷を入庫すべき場合に、前記一の棚部分が前記内側へ水平移動された後に、前記載置部により前記一の荷を前記一の棚部分から前記複数の棚部分のうち前記一の棚部分以外の棚部分へ移動させるように前記駆動手段を制御し、前記他の荷を出庫すべき場合に、前記載置部により前記他の荷を前記複数の棚部分のうち前記他の棚部分以外の棚部分から前記他の棚部分へ移動させるように前記駆動手段を制御してもよい。
このように構成すれば、例えば一の荷又は他の荷の保管庫内搬送時に、制御手段による制御下で、例えばアクチュエータ、スライダ、モータ、ロボットアーム等を有する駆動手段によって、載置部が複数の棚部分の相互間で移動される。具体的には、例えば一の荷を支持する一の棚部分が筐体又はフレームの内側へ水平移動された後に、載置部により、一の棚部分上の一の荷が、一の棚部分以外の棚部分へ移動される。ここで「一の棚部分以外の棚部分」は、例えば保管用棚部分や、出庫ポートとして機能する他の棚部分であり、保管用棚部分に移動された場合に、入庫された一の荷が当該保管庫内に少なくとも一時的に収容される。このように、入庫された一の荷が、一の棚部分から所定の棚へ、直ちに移載された場合に、第1の搬送車による入庫を終えた直後に、第1の搬送車に続く第2の搬送車により入庫可能となる。これにより、効率よく連続して入庫することができる。
他方、他の棚部分が筐体又はフレームの外側へ水平移動されるより前に、載置部により、他の棚部分以外の棚部分に載置されている他の荷が、他の棚部分へ移動される。ここで「他の棚部分以外の棚部分」は、例えば保管用棚部分や、入庫ポートとして機能する一の棚部分である。このように、他の荷を出庫する準備が、入庫よりも前に行われた場合に、入庫を終えた直後に、他の荷が出庫可能となる。これにより、効率よく連続して出庫することができる。
この態様では、前記駆動手段は、前記載置部を水平一方向に往復移動可能な水平駆動部と、前記載置部を前記鉛直方向に往復移動可能な鉛直駆動部とを有し、前記複数の棚部分は、前記鉛直方向に複数段に渡って段毎に、前記水平駆動部により到達可能な水平位置に一又は複数設けられると共に、前記第1載置面との間で前記荷を相互に移載可能に構成されている第2載置面を夫々有してもよい。
このように構成すれば、保管庫内搬送の際には、複数段に渡って段毎に一又は複数設けられる複数の棚部分のうち、搬送元としての棚部分に向かって、例えば水平アクチュエータ、水平スライダ、ロボットアームの水平移動機構等の水平駆動部によって、載置部が水平一方向に往復移動される。この水平一方向の移動と相前後して、かかる搬送元の棚部分に向かって、例えば鉛直エレベータ、鉛直アクチュエータ、ロボットアームの鉛直移動機構等の鉛直駆動部によって、載置部は、鉛直方向に往復移動される。その後、搬送元としての棚部分における第2載置面から第1載置面への荷の移載が行われる。更に、複数の棚部分のうち、搬送先としての棚部分に向かって、水平駆動部によって、載置部は、水平一方向に往復移動される。この水平一方向の移動と相前後して、かかる搬送先としての棚部分に向かって、鉛直駆動部によって、載置部は、鉛直方向に往復移動される。その後、搬送先としての棚部分における第2載置面へと第1載置面からの荷の移載が行われる。ここでの載置面間での荷の受け渡しは、次のように行われる。
即ち、複数の棚部分は、鉛直方向に一列又は複数列配列された複数の載置面(即ち、第2載置面)を有する。例えば、鉛直方向にm(但し、mは2以上の自然数)段、水平一方向にn(但し、nは1以上の自然数)列、且つこれに垂直である残る水平一方向(以下、単に「厚み方向」と称する)には1列のみといった具合に、薄く且つ縦に細長い平板形状となるように、棚全体の骨格は、構成される。載置部は、例えばその第1載置面上に荷を載せた状態で、このような保管庫内を、鉛直駆動部及び水平駆動部によって、鉛直方向及び水平一方向という2方向或いは2軸方向に移動可能に構成されている。
第1及び第2載置面は、一の荷及び他の荷を夫々、相互に移載可能である。入庫時に、例えば、入庫ポートとして機能する一の棚部分が筐体又はフレームの外側へ移動され、搬送車から一の棚部分の第2載置面に一の荷が縦移載される。この縦移載により、当該保管庫に一の荷が入庫される。続いて、一の棚部分が筐体又はフレームの内側へ移動されると、一の荷が保管庫内搬送可能な状態となる。続いて、一の棚部分の第2載置面上の一の荷は、2軸方向に移動可能な載置部の第1載置面に移載される。例えば、第1及び第2載置面は、荷(一の荷又は他の荷)の底面における相異なる部分(典型的には、中央寄り部分と周辺寄り部分)を支持するように構成されており、どちらか一方で荷(一の荷又は他の荷)を支持することが可能である。具体的には、載置部が、第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動された際に、第2載置面に代わって、第1載置面で一の荷を支持することで、第2載置面から第1載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が第2載置面より高くなるまで移動されることで、一の荷は、第1載置面によって支持されることとなる。これにより、入庫時における保管庫内搬送が開始される。ここでは、鉛直駆動部及び水平駆動部による簡単な2軸動作によって、棚部分におけるいずれの第2載置面にも迅速に保管庫内搬送が可能である。
続いて、載置部が、保管に使用しようとする第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動された際には、第1載置面に代わって、第2載置面で一の荷を支持することで、第1載置面から第2載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が第2載置面より低くなるまで移動されることで、一の荷は、第2載置面によって支持されることとなる。これにより、入庫時における保管庫内搬送が終了され、棚部分での保管が開始される。
他方、出庫時には、載置部が、出庫しようとする他の荷が載置されている第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動される。続いて、第2載置面に代わって、第1載置面で支持することで、第2載置面から第1載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が第2載置面より高くなるまで移動されることで、他の荷は、第1載置面によって支持されることとなる。これにより、出庫時における保管庫内搬送が開始される。続いて、載置部が、出庫ポートとして機能する他の棚部分の第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動される。ここでは、鉛直駆動部及び水平駆動部による簡単な2軸動作によって、いずれの第2載置面からでも迅速に保管庫内搬送が可能である。
続いて、第1載置面に代わって他の棚部分の第2載置面で支持することで、他の棚部分の第2載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が他の棚部分の第2載置面より低くなるまで移動されることで、他の荷は、他の棚部分の第2載置面によって支持されることとなる。これにより出庫時における保管庫内搬送が終了され、出庫ポートから搬送車への移載が可能な状態となる。
その後、他の荷を載置した状態で他の棚部分が筐体又はフレームの外側へ移動され、入庫時と同一の停止位置に待機していた搬送車によって、他の棚部分の第2載置面から搬送車に他の荷が縦移載される。この縦移載により、当該保管庫から他の荷が出庫される。
以上のように、第1載置面及び第2載置面間で荷が受け渡されることにより、保管庫内搬送における一の荷及び他の荷の移載時間を短縮することが可能となる。よって、連続する複数の入出庫を効率よく行うことも可能となる。尚、外内移動手段と水平駆動部とは、少なくとも部分的に、機構又は機能が共有或いは共用であってもよい。
搬送車が軌道に沿って一の荷及び他の荷を搬送する態様は、前記搬送車は、前記軌道に沿って走行する走行手段と、前記外側へ移動された前記一の棚部分又は前記他の棚部分の上方に停止するように前記走行手段を制御する走行制御手段とを有し、前記搬送車は、前記走行制御手段により停止された場合に、前記外側へ移動された前記一の棚部分へ前記一の荷を載置すること、及び前記外側へ移動された前記他の棚部分から前記他の荷を取り出すことを連続して実行してもよい。
このように構成すれば、例えば搬送コントローラからの搬送指示に従って、例えばCPU、ROM、RAM、及びメモリ等を備える走行制御手段により、搬送車が停止位置で停止される。すると、搬送車により、一の荷が入庫ポートに載置され(即ち、入庫が行われ)、その後に、他の荷が、入庫ポートの鉛直方向に設けられた出庫ポートから取り出される(即ち、出庫が行われる)。このように、停止位置を移動すること無く、入庫及び出庫を連続して行うことにより、入出庫に係る時間を短縮して、効率よく入出庫することが可能となる。
本発明の入出庫方向は上記課題を解決するために、(I)筐体又はフレーム、(II)該筐体又はフレーム内に配置され且つ一の荷及び他の荷を収容若しくは載置可能であり、(i)前記筐体の外壁又は前記フレームの外枠に設けられた一の出入口を介して前記筐体又は前記フレームの内側並びに外側間で前記一の荷が載置された状態で水平移動可能に構成されており、前記外側へ移動された際に前記一の荷及び前記他の荷を夫々昇降可能な搬送車から前記一の荷が縦載置により載置される入庫ポートとして機能する一の棚部分と(ii)前記一の出入口が設けられた前記外壁又は前記外枠に且つ前記一の出入口と鉛直方向に並んで設けられた他の出入口を介して前記内側並びに前記外側間で前記他の荷が載置された状態で水平移動可能に構成されており、前記外側へ移動された際に前記搬送車へ前記他の荷が前記縦移載により取り出される出庫ポートとして機能する他の棚部分とを含む複数の棚部分、並びに(III)前記一の棚部分を、前記一の出入口を介して選択的に水平移動させる外内移動手段、及び前記他の棚部分を、前記一の出入口を介して選択的に水平移動させる外内移動手段を備える保管庫と、前記搬送車との間で、前記一の荷の入庫及び前記他の荷の出庫を連続して行う入出庫方法であって、前記一の荷を入庫すべき場合に、前記一の棚部分を前記外側へ水平移動させるように前記外内移動手段を制御する第1制御工程と、該第1制御工程に続いて前記一の荷が前記一の棚部分に載置された後に、前記一の棚部分を前記内側へ水平移動させるように前記外内移動手段を制御する第2制御工程と、該第2制御工程に続いて前記他の荷を出庫すべき場合に、前記他の荷が載置された状態で前記他の棚部分を前記外側へ水平移動させるように前記外内移動手段を制御する第3制御工程とを備える。
本発明の入出庫方法によれば、上述した本発明の保管庫と同様に、同一の鉛直方向に選択的に配置される入庫ポート及び出庫ポート(言い換えれば、一の棚部分及び他の棚部分)に対して、搬送車は、縦移載により入庫及び出庫を連続して行うことが可能となる。この際、前述した背景技術の如く、搬送車が入庫及び出庫の間に、出庫ポートに対応する位置へ移動する必要は無く、搬送車から入庫ポートへ一の荷を載置した後に、続けて同一の位置で、出庫ポートから搬送車へ他の荷を取り出すことが可能となる。
本発明の入出庫方法の一態様では、前記保管庫は、前記一の荷及び前記他の荷を夫々その底側から支持可能な第1載置面を有する載置部と、該載置部を、前記複数の棚部分の相互間で移動可能である駆動手段とを更に備え、前記一の荷を入庫すべき場合に、前記第2制御工程によって前記一の棚部分が前記内側へ水平移動された後に、前記第3制御工程と相前後して又は並行して、前記載置部により前記一の荷を前記一の棚部分から前記複数の棚部分のうち前記一の棚部分以外の棚部分へ移動させるように前記駆動手段を制御する第4制御工程と、前記他の荷を出庫すべき場合に、前記第1及び第2制御工程と相前後して若しくは並行して、又は前記第3制御工程より前に、前記載置部により前記他の荷を前記複数の棚部分のうち前記他の棚部分以外の棚部分から前記他の棚部分へ移動させるように前記駆動手段を制御する第5制御工程とを更に備える。
この態様によれば、第4制御工程により、例えば出庫のために他の棚部分が外側へ移動される第3制御工程と並行して、入庫された一の荷が一の棚部分以外の棚部分へ移動される。このように、一の荷を迅速に保管用棚部分へ移載することにより、連続した入庫に対応することが可能となる。
また、第5制御工程により、例えば入庫のために一の棚部分が外側へ移動される第1制御工程の実行より前に、出庫すべき他の荷が他の棚部分以外の棚部分から他の棚部分へ移動される。このように、他の荷を入庫及び出庫に先立って他の棚部分へ移載することにより、例えば入庫を終えた直後に、迅速に出庫に対応することが可能となると共に、連続した出庫に対応することも可能となる。よって、より効率よく入出庫することが可能となる。
尚、本発明の入出庫方法においても、上述した本発明の保管庫における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
実施形態に係る保管庫の構成について図1から図5を参照して説明する。ここに図1は、実施形態に係る保管庫を備える製造システムの外観を示し、図2は、図1の保管庫の内部構造を、搬送車による入庫時の動作状態を模式的に示し、図3は、図1の保管庫の内部構造を、搬送車による出庫時の動作状態を模式的に示し、図4は、実施形態に係る棚部分及び載置部の係合状態を示し、図5は、実施形態に係る外内移動手段の動作状態を示す。
図1において、製造システム100は、レール1、ビークル2、ストッカ10、製造指示部30、搬送指示部31、搬送コントローラ32、及びストッカコントローラ33を備える。製造システム100は、ビークル2を制御してFOUP3をストッカ10へ搬送すると共に、ストッカ10を制御してストッカ10の内部でFOUP3の搬送を行う。また、本実施形態では、ビークル2からストッカ10へ入庫すべきFOUP3を移載すると共に、ストッカ10からビークル2へ出庫すべきFOUP3を移載する。
レール1は、ビークル2が走行するための軌道の役割を果たす。本実施形態では、レール1の所定位置の下方に、ストッカ10の入庫ポートP1及び出庫ポートP2が設定されている。
ビークル2は、本発明に係る「搬送車」の一例として、リニアモータにより駆動されるOHT(天井走行車)であって、レール1に沿って走行すると共に、FOUP3を搬送する。ビークル2は、本体部2a、及び上下移動部5を備える。
本体部2aは、内部に、FOUP3を収容可能な空間を有する。本体部2aは、収容しているFOUP3を、当該本体部2aの下方へ移動可能に底面を開放している。本体部2aの内部の天壁には、上下移動部5が取り付けられている。
図2及び図3において、上下移動部5は、ホイスト5a、ベルト5b、及びグリッパ5cを備える。ホイスト5aは、図示しないモータを備えており、該モータを制御してベルト5bを下方へ繰り出す、又は上方へ巻き上げる動作を行う。ベルト5bの一端は、ホイスト5aの図示しない巻き軸に固定されており、その他端は、グリッパ5cの上面に固定されている。グリッパ5cの両端部は、内側に向けて屈曲されている。グリッパ5cは、その屈曲された両端部でFOUP3の上部に取り付けられたフランジ4を把持する把持位置と、把持されたフランジ4を解放する解放位置との間で変位される。ホイスト5aは、ベルト5bの繰り出し動作又は巻き上げ動作により、グリッパ5cを上下方向に移動させる。ビークル2は、入庫すべきFOUP3又は出庫すべきFOUP3を把持するための体位(例えば、水平二方向及び回転方向についての位置)を微調整する調整機構を更に備えていてもよい。
ビークル2は、ストッカ10との間でFOUP3を移載する(即ち、単に入庫する、単に出庫する、又は連続して入庫及び出庫を行う)際に、ストッカ10の入庫ポートP1及び出庫ポートP2の上方に対応する移載位置に停止される。移載位置にあるビークル2は、入庫時に、ホイスト5aにより、FOUP3(具体的には、フランジ4)を把持した状態のグリッパ5cを入庫ポートP1(即ち、図2に示される)まで下降させ、グリッパ5cにより、把持しているFOUP3を解放する。この解放により、ビークル2からストッカ10へ、入庫すべきFOUP3が入庫される。
一方、移載位置にあるビークル2は、出庫時に、ホイスト5aにより、FOUP3を解放した状態のグリッパ5cを出庫ポートP2(即ち、図3に示される)まで下降させ、グリッパ5cにより、出庫ポートP2に載置されているFOUP3を把持すると共に、ホイスト5aにより、グリッパ5cを本体部2aの内部へ再び上昇させる。この上昇により、ストッカ10からビークル2へ、出庫すべきFOUP3が出庫される。ビークル2は、上述した入庫及び出庫を連続して行う場合に、移載位置を変更することがない。
FOUP3は、本発明に係る「荷」の一例として、ストッカ10内で、ビークル2との間の入庫及び出庫、並びに保管位置の調整等のために搬送(即ち、保管庫内搬送)される。図4において、FOUP3は、底面に、凹部4a,4bを有している。凹部4aは、後述する棚部分15に設けられた凸部16に対応するサイズに形成されている。一方、凹部4bは、後述する載置部11に設けられた凸部12に対応するサイズに形成されている。
(保管庫単体)
次に、ストッカ10の構造及び動作について、図2から図5を参照して説明する。ストッカ10は、本発明に係る「保管庫」の一例として、レール1に隣接して設けられており、複数のFOUP3を収容可能である。本実施形態では、ストッカ10は、ビークル2との間で、入庫すべきFOUP3の入庫処理、及び出庫すべきFOUP3の出庫処理を連続して行う。
図2において、ストッカ10は、本体部10a、保管庫内搬送装置19、複数の棚部分15、及び2つのスライド部21を備える。
本体部10aは、本発明に係る「筐体又はフレーム」の一例として、FOUP3を入出庫させるために、レール1側の側面が一部開放されている。具体的には、本体部10aには、入庫すべきFOUP3を内部へ入れるための開口H1(即ち、本発明に係る「一の出入口」の一例)、及び出庫すべきFOUP3を外側へ出すための開口H2(即ち、本発明に係る「他の出入口」の一例)が形成されている。
保管庫内搬送装置19は、例えばスタッカ或いはスタッカロボットであり、載置部11、水平駆動部13、及び鉛直駆動部14を有し、ストッカコントローラ33の制御により、複数の棚部分15間でFOUP3を移載(即ち、保管庫内搬送)する。
載置部11は、複数の棚部分15間でFOUP3を移載するために、水平駆動部13により水平一方向に、且つ鉛直駆動部14により鉛直方向に移動される。載置部11は、上面に第1載置面11aを有している。
図4において、第1載置面11aは、いずれかの棚部分15に載置されているFOUP3を移載する際に、FOUP3の底面に接触し(即ち、図4(a)に点線で示される状態)、FOUP3をその底側から支持する。第1載置面11aには、支持部材として、凸部12が形成されている。図4(b)に示すように、凸部12は、FOUP3の凹部4bに対応するサイズに形成されており、移載時に、この凹部4bに係合される。
図2において、水平駆動部13は、本発明に係る「駆動手段」の一例として、図示しないモータにより、水平一方向に延びる水平ガイド17上で、駆動される。水平駆動部13は、載置部11と連結されており、載置部11を水平ガイド17に沿って、水平一方向(即ち、図2における左右方向)に往復移動させる。
鉛直駆動部14は、本発明に係る「駆動手段」の一例として、図示しないモータにより、鉛直方向に延びる鉛直ガイド18上で、駆動される。鉛直駆動部14には、水平ガイド17の中央部が固定されている。鉛直駆動部14は、この水平ガイド17を鉛直ガイド18に沿って、鉛直方向(即ち、図2における上下方向)に往復移動させる。この往復移動時に、載置部11は、水平ガイド17の中央部に位置する。このように、載置部11は、水平駆動部13及び鉛直駆動部14により、鉛直方向及び水平一方向の2軸方向に移動される。
複数の棚部分15は、鉛直方向に7段、各段における水平一方向に2列、且つ各段における厚み方向に1列として、合計14個の棚部分から構成されている。各棚部分15は、上面に第2載置面15aを有しており、この第2載置面15aに、FOUP3が載置される。図4において、第2載置面15aには、支持部材として、凸部16が形成されている。図4(a)に示すように、凸部16は、FOUP3の凹部4aに対応するサイズに形成されており、載置(保管)時に、この凹部4aに係合されている。
次に、第1載置面11a及び第2載置面15aの形態について説明する。図5は、具体的には、図2におけるA1−A1断面に相当しており、ストッカ10の最上段に設置される2つの棚部分15(言い換えれば、第2載置面15a)を示している。該2つの棚部分15のうち開口H1側の棚部分15iは、後述する入庫用棚部分15iである。
ストッカ10の上面側から視て、第2載置面15aは、馬蹄のようにU字形に形成され、第1載置面11aは、そのU字形の中央を埋める島のように形成されている。即ち、第1載置面11a及び第2載置面15aは、相互に相補の平面形状を有している。このような第1載置面11a及び第2載置面15aの間で、FOUP3の移載が行われる。
尚、本実施形態では、図4及び図5に示すように、平面的に見て、第1載置面11aが第2載置面15aの内側に位置しており、第1載置面11aの外形が第2載置面15aの外形より小さくなっている。しかしながら、逆に、第1載置面11aが第2載置面15aの外側に位置するように、第1載置面11aの外形が第2載置面15aの外形より小さくなるように、両者は構成されてもよい。
(保管庫内搬送動作)
次に、保管庫内搬送装置19による、ストッカ10の内部におけるFOUP3の移載動作(即ち、保管庫内搬送動作)について、図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4において、保管庫内搬送装置19は、最上段の2つの棚部分のうちレール1側にある後述する入庫用棚部分15iに載置されているFOUP3を、上から2番目の段の2つの棚部分15のうちレール1と反対側にある棚部分15(即ち、図3において二点鎖線P4内に配置される)に移載する。この場合に、二点鎖線P3内に位置する載置部11が、入庫用棚部分15iの第2載置面15aの直下に移動される。この際、載置部11が、水平駆動部13により水平ガイド17の略中央に移動された後、鉛直駆動部14により鉛直ガイド18に沿って所定の鉛直位置に移動される。この所定の鉛直位置は、入庫用棚部分15iの第2載置面15aよりも下方である。この後、所定の鉛直位置にある載置部11が、水平駆動部13により水平ガイド17に沿って所定の水平位置に移動される。図4(a)に示すように、この所定の水平位置は、FOUP3の凹部4bの鉛直下方向に、載置部11の凸部12が存在する位置である。
所定の鉛直位置且つ水平位置に移動された載置部11は、鉛直駆動部14により上昇される。この上昇により、載置部11が入庫用棚部分15iの中央を通過して、図4(b)に示すように、入庫用棚部分15iの第2載置面15aよりも高くなる。この時、FOUP3の凹部4a及び入庫用棚部分15iの凸部16の係合が外れ、第2載置面15aに代わって、第1載置面11aでFOUP3が支持されると共に、載置部11の凸部12及びFOUP3の凹部4bが相互に係合されることで、FOUP3が第2載置面15aから第1載置面11aへ移載される。
FOUP3が移載された載置部11は、エリアP4内の棚部分15の第2載置面15aの直上に移動される。この際、載置部11が、水平駆動部13により水平一方向の所定の水平位置に移動される。この所定の水平位置は、エリアP4内の棚部分15の凸部16の鉛直上方向に、FOUP3の凹部4aが存在する位置である。所定の水平位置に移動された載置部11は、鉛直駆動部14により下降される。この下降により、載置部11がエリアP4の棚部分15の中央を通過して、図4(a)に示すように、棚部分15の第2載置面15aよりも低くなる。この時、エリアP4における載置部11の凸部12及びFOUP3の凹部4bの係合が外れ、第1載置面11aに代わって、第2載置面15aでFOUP3が支持されると共に、FOUP3の凹部4a及び載置部11の凸部16が相互に係合されることで、FOUP3が第1載置面11aから第2載置面15aへ移載される。これにより、入庫用棚部分15iからエリアP4内の保管用棚部分15へのFOUP3の移載動作が完了される。尚、この移載工程を逆の順序で行えば、保管用棚部分15から入庫用棚部分15iへの移載動作となる。
図2において、最上段の2つの棚部分15のうち、レール1側に設けられた棚部分15を入庫用棚部分15iとし、上から2番目の段の2つの棚部分15のうち、レール1側(即ち、入庫用棚部分15iの直下)に設けられた棚部分15を出庫用棚部分15oとする。複数の棚部分15のうち、入庫用棚部分15i及び出庫用棚部分15oを除いた残りの棚部分15は、FOUP3を保管するための保管用棚部分15(即ち、図2における、例えば二点鎖線P3,P4で示される)として機能する。
図5において、2つのスライド部21の各々は、本体部22、及び支持部23を備える。本体部22は、不図示のアクチュエータを備えており、アクチュエータを駆動して、支持部23をレール1の鉛直方向と直交する水平方向に移動させる。支持部23は、入庫用棚部分15i又は出庫用棚部分15oの底面に固着されており、入庫用棚部分15i又は出庫用棚部分15oをその底側から支持する。
2つのスライド部21は、入庫用スライド部21i及び出庫用スライド部21oからなる。入庫用スライド部21iは、本発明に係る「外内移動手段」の一部として機能し、入庫用棚部分15iを、本体部10aの内部及び外部間で、開口H1を介して水平移動可能である。具体的には、入庫用棚部分15iは、本体部10aの内部に移動された場合に、図3に示すように、最上段の左側に位置し、載置部11との間でFOUP3を移載可能である。また、入庫用棚部分15iは、本体部10aの外部に移動された場合に、図2に示すように、最上段の水平方向で且つレール1の下方に位置し、ビークル2からFOUP3を入庫するための入庫ポート(即ち、図2における二点鎖線P1で示される)として機能する。
出庫用スライド部21oは、本発明に係る「外内移動手段」の一部として機能し、出庫用棚部分15oを、本体部10aの内部及び外部間で、開口H2を介して水平移動可能である。具体的には、出庫用棚部分15oは、本体部10aの内部に移動された場合に、図2に示すように、上から2段目の段の左側に位置し、載置部11との間でFOUP3を移載可能である。また、出庫用棚部分15oは、本体部10aの外部に移動された場合に、図3に示すように、上から2段目の段の水平方向で且つレール1の下方に位置し、ビークル2へFOUP3を出庫するための出庫ポート(即ち、図3における二点鎖線P2で示される)として機能する。尚、出庫用スライド部21oは単に、出庫ポートとして機能させることも可能である。即ち、本体部10aの外部に移動された出庫用スライド部21oと載置部11との間で出庫すべきFOUP3を移載可能であれば、出庫用棚部分15oを本体部10aの内部及び外部間で水平移動させなくてもよい主旨である。
製造指示部30は、半導体素子製造工場内におけるメインコントローラであって、半導体素子製造工程を示す製造スケジュールを作成し、製造スケジュールに基づいて、搬送指示部31に対してFOUP3の搬送を指示する。
搬送指示部31は、MCS(Material Control System)であって、製造指示部30からの指示を受けて、製造スケジュールに基づいて搬送スケジュールを作成する。搬送指示部31は、搬送スケジュールに基づいて、搬送コントローラ32に対してFOUP3の搬送を指示すると共に、ストッカコントローラ33に対してFOUP3の保管庫内搬送を指示する。
搬送コントローラ32は、搬送指示部31からの指示を受けて、ビークル2を制御して、レール1に沿ってFOUP3を搬送すると共に、不図示の作業装置やストッカ10との間でFOUP3を移載する。
ストッカコントローラ33は、搬送指示部31からの指示を受けて、ストッカ10の各部を制御して、ビークル2との間でFOUP3を移載すると共に、ストッカ10の内部でFOUP3を搬送し、FOUP3を所定の位置に収容する。
搬送コントローラ32は、FOUP3をストッカ10との間で移載する(即ち、入庫する若しくは出庫する、又は連続した入庫及び出庫を行う)際に、ストッカ10に対応する所定の停止位置に、ビークル2を停止させる。搬送コントローラ32は、入庫時に、停止位置に停止されたビークル2を制御して、レール1の下方に移動された入庫用棚部分15iに、ビークル2に把持されているFOUP3を入庫用棚部分15iの第2載置面15aに移載させる。この移載により、ストッカ10へFOUP3が入庫される。一方、出庫時に、停止位置に停止されたビークル2を制御して、レール1の下方に移動された出庫用棚部分15oから、出庫用棚部分15oに載置されているFOUP3をビークル2側に移載させる(即ち、グリッパ5cに把持させ、グリッパ5cを上昇させる)。この移載により、ストッカ10からFOUP3が出庫される。
ストッカコントローラ33は、FOUP3をビークル2との間で移載する(即ち、入庫する若しくは出庫する、又は連続した入庫及び出庫を行う)際に、スライド部21を制御して、入庫用棚部分15i及び出庫用棚部分15oのいずれか一方をレール1の下方へ移動させる。ストッカコントローラ33は、入庫時に、入庫用棚部分15iに、入庫されたFOUP3が載置されている場合に、保管庫内搬送装置19を制御して、入庫されたFOUP3をいずれかの保管用棚部分15に移載させる。ストッカコントローラ33は、入庫用スライド部21iを制御して、FOUP3が載置されていない空荷の入庫用棚部分15iをレール1の下方に移動させる。この移動により、入庫用棚部分15iが入庫ポートとして機能する。一方、出庫時に、出庫用棚部分15oに、出庫すべきFOUP3が載置されていない場合に、保管庫内搬送装置19を制御して、出庫すべきFOUP3を収容しているいずれかの保管用棚部分15から出庫用棚部分15oに移載させる。ストッカコントローラ33は、出庫用スライド部21oを制御して、出庫すべきFOUP3が載置されている出庫用棚部分15oをレール1の下方に移動させる。この移動により、出庫用棚部分15oが出庫ポートとして機能する。
(第1入出庫動作処理)
次に、本実施形態の第1入出庫動作処理について図6を参照して説明する。ここに図6は、本実施形態の第1入出庫動作処理を示すフローチャートである。
図6において、先ず搬送指示部31により、半導体素子製造工程の搬送スケジュールに基づいて、ストッカ10から、出庫の要求が有るか否かが判定される(ステップS31)。この判定の結果、要求が無いと判定された場合に(ステップS31:NO)、ステップS32及びS33による出庫準備が省かれ、ステップS34の処理が実行される。
一方、ステップS31の判定の結果、出庫の要求が有ると判定された場合に(ステップS31:YES)、保管庫内搬送装置19により、エリアP3の保管用棚部分15に保管されている出庫すべきFOUP3が、載置部11に移載される(即ち、保管用棚部分15から取り出される)(ステップS32)。続いて、出庫すべきFOUP3を載置した状態にある載置部11が、出庫用棚部分15oを介して下方へ移動され、出庫すべきFOUP3が載置部11から出庫用棚部分15oに移載される(ステップS33)。
次に、搬送指示部31により、搬送スケジュールに基づいて、ストッカ10に対応して、所定の停止位置にビークル2が到着したか否かが判定されると共に、到着したビークル2が入庫を行うか又は出庫を行うかが判定される(ステップS34)。この判定により、ビークル2が到着しないと判定された場合に(ステップS34:未着)、再びステップS31の処理が実行される。
一方、ステップS34の判定の結果、ビークル2が出庫を行うと判定された場合に(ステップS34:出庫ビークル)、ステップS38の処理が実行される。他方、ビークル2が入庫を行うと判定された場合に(ステップS34:入庫ビークル)、搬送コントローラ32の制御下で、ビークル2による縦移載により、入庫すべきFOUP3がビークル2から、入庫エリアP1にある入庫用棚部分15iに移載される(ステップS35)。続いて、ストッカコントローラ33の制御下で、入庫用棚部分15oが本体部10aの内側に水平移動される(ステップS36)。この水平移動により、入庫されたFOUP3が保管庫内搬送装置19により保管庫内搬送可能となる。
続いて、ストッカコントローラ33により、出庫すべきFOUP3が出庫ポートP2に在るか否かが判定される(ステップS37)。この判定により、出庫すべきFOUP3が無い場合に(ステップS37:NO)、ステップS41の処理が実行される。一方、出庫すべきFOUP3が在る場合に(ステップS37:YES)、出庫すべきFOUP3を載置した状態で出庫用棚部分15oがストッカ10外へ水平移動される(ステップS38)。続いて、搬送コントローラ32の制御下で、ビークル2による縦移載により、出庫すべきFOUP3が、出庫エリアP2にある出庫用棚部分15oからビークル2へ移載される(ステップS39)。
続いて、ストッカコントローラ33により、入庫されたFOUP3が、ステップS36の処理により本体部10aの内側に移動された入庫用棚部分15iに在るか否かが判定される(ステップS40)。ここで入庫されたFOUP3が無い場合に(ステップS40:NO)、一連の入出庫動作処理が終了され、再びステップS31の処理が実行される。一方、入庫されたFOUP3が未だ在る場合に(ステップS40:YES)、保管庫内搬送装置19により、搬送位置にある入庫用棚部分15iに載置されているFOUP3が、載置部11に移載される(即ち、入庫用棚部分15iから取り出される)(ステップS41)。続いて、入庫されたFOUP3を載置した状態にある載置部11が、エリアP4の保管用棚部分15の上方から下方へ移動され、入庫されたFOUP3が載置部11から該保管用棚部分15に移載される(ステップS42)。これにより、一連の入出庫動作処理が終了される。
このように、本実施形態のストッカ10によれば、同一の鉛直方向に選択的に配置される入庫ポートP1及び出庫ポートP2(言い換えれば、入庫用棚部分15i及び出庫用棚部分15o)に対して、ビークル2は、縦移載により入庫及び出庫を連続して行うことが可能となる。即ち、ビークル2が入庫及び出庫の間に、出庫ポートP2に対応する位置へ移動する必要は無く、ビークル2から入庫ポートP1へ入庫すべきFOUP3を載置した後に、続けて同一の位置で、出庫ポートP2からビークル2へ出庫すべきFOUP3を取り出すことが可能となる。また、ストッカ10内で、前回に入庫されたFOUP3の収容、入庫用棚部分15iのレール1下への移動、又は出庫すべきFOUP3の出庫用棚部分15oへの移載を少なくとも部分的に並列に行うことが可能となる。従って、入出庫に係る時間を短縮して、効率よく入出庫することが可能となる。
尚、本実施形態によれば、出庫ポートP2を入庫ポートP1の下方に配置するが、これとは逆に、出庫ポートP2を入庫ポートP1の上方に配置してもよい。
(第2入出庫動作処理)
次に、本実施形態の入出庫動作処理より他の第2入出庫動作処理について図7を参照して説明する。ここに図7は、第2入出庫動作処理を示すフローチャートである。該第2実施形態では、入庫ポートP11を、上から2番目の段の2つの段部分のうち開口H2側の棚部分に設定し、出庫ポートP12を、最上段の2つの棚部分のうち開口H1側の棚部分に設定する。即ち、入庫用棚部分P11及び出庫用棚部分P12は、上述した入庫ポートP1及び出庫ポートP2が逆に配置されたように設けられる。
図7において、先ず、図6に示されるステップS31からS35と同様にして、先ず半導体素子製造工程の搬送スケジュールに基づいて、ストッカ10から、出庫の要求が有るか否かが判定され(ステップS31)、要求が無いと判定された場合に(ステップS31:NO)、ステップS34の処理が実行される。
一方、出庫の要求が有ると判定された場合に(ステップS31:YES)、エリアP3の保管用棚部分15に保管されている出庫すべきFOUP3が、載置部11に移載され(ステップS32)、出庫すべきFOUP3を載置した状態にある載置部11が移動されることにより、出庫すべきFOUP3が載置部11から出庫用棚部分15oに移載される(ステップS33)。
次に、搬送スケジュールに基づいて、ストッカ10に対応して、所定の停止位置にビークル2が到着したか否かが判定されると共に、到着したビークル2が入庫を行うか又は出庫を行うかが判定される(ステップS34)。この判定により、ビークル2が到着しないと判定された場合に(ステップS34:未着)、再びステップS31の処理が実行される。
一方、ステップS34の判定の結果、ビークル2が出庫を行うと判定された場合に(ステップS34:出庫ビークル)、ステップS50の処理が実行される。他方、ビークル2が入庫を行うと判定された場合に(ステップS34:入庫ビークル)、ビークル2による縦移載により、入庫すべきFOUP3がビークル2から、入庫エリアP1にある入庫用棚部分15iに移載される(ステップS35)。続いて、ストッカコントローラ33により、出庫すべきFOUP3が出庫ポートP2に在るか否かが判定される(ステップS37)。この判定により、出庫すべきFOUP3が無い場合に(ステップS37:NO)、入庫用棚部分15oが本体部10aの内側に水平移動される(ステップS36)。この水平移動により、入庫されたFOUP3が保管庫内搬送装置19により保管庫内搬送可能となる。続いて、ステップS41の処理が実行される。
一方、出庫すべきFOUP3が在る場合に(ステップS37:YES)、出庫すべきFOUP3を載置した状態で出庫用棚部分15oがストッカ10外へ水平移動される(ステップS38)。続いて、ビークル2による縦移載により、出庫すべきFOUP3が、出庫エリアP2にある出庫用棚部分15oからビークル2へ移載される(ステップS39)。
続いて、図6に示されるステップS40からS42と同様にして、入庫されたFOUP3が、本体部10aの内側に移動された入庫用棚部分15iに在るか否かが判定される(ステップS40)。ここで入庫されたFOUP3が無い場合に(ステップS40:NO)、一連の入出庫動作処理が終了され、再びステップS31の処理が実行される。一方、入庫されたFOUP3が未だ在る場合に(ステップS40:YES)、ストッカ10の内側にある入庫用棚部分15iに載置されているFOUP3が、載置部11に移載され(ステップS41)、入庫されたFOUP3を載置した状態にある載置部11が、エリアP4の保管用棚部分15の上方から下方へ移動され、入庫されたFOUP3が載置部11から保管用棚部分15に移載される(ステップS42)。これにより、一連の入出庫動作処理が終了される。
このように、第2入出庫動作処理によれば、レール1の鉛直下方向であって且つレール1に近い位置に出庫ポートを設定し、その出庫ポートの下方に入庫ポートを設定しても、第1入出庫動作処理と同様にして、入庫ポートに対応する位置に停止したビークル2によって、入庫及び出庫を同一の停止位置で連続的に行うことが可能となる。また、入庫ポート及び出庫ポートの位置を、例えば設置スペースに応じて自由に設定することも可能である。ポートを自由に設定可能とする効果について、例えば、多くの段を有するストッカであればあるほど、レール1の直下に入庫ポート及び出庫ポートを設定して、グリッパの5cの昇降距離を短くすることが可能となり、入出庫に係る時間を確実に短縮することが可能となる。
尚、本実施形態に適用されたビークル2について、入庫ポート又は出庫ポートとの間の移載時に、グリッパ5cに把持されたFOUP3は、本体部10aの外部(言い換えれば、下方)に位置するが、該FOUP3の少なくとも一部が、本体部10aの内部に位置した状態で、移載が行われてもよい。
図8は、本実施形態に適用されたビークル2の他の形態を示す。図8において、ビークル102は、本体部102a、図1のビークル2と同一の把持部5を備えており、軌道101に沿って走行する。軌道101は、半導体素子製造工場内の天井高さに対応して、図1の軌道1より低い位置に敷設されている。軌道101が敷設された高さは、ストッカ10の本体部10aの上面高さと比較して僅かに大きい程度である。この場合に、ストッカ10における停止位置に停止されたビークル102(即ち、図8において点線で示される)の底面と、入庫ポートとして機能する入庫用棚部分15iとの間の距離は、1つのFOUP3の高さより短くなっている。
ビークル102の本体部102aにおいて、走行方向に直交する2方向にある両側面において、ストッカ10側の側面(即ち、図8において本体部102aの右側面)が少なくとも一部解放されている。図8に示すように、この右側面の解放により、本体部102aの内部に位置した状態で入庫用棚部分15iに載置されたFOUP3は、スライド部21により、本体部102aの右側面の解放部、及びストッカ10の開口を介してストッカ10の内部に移動される。このように、ビークル102の右側面の解放により、FOUP3の昇降距離をより短くすることが可能となり、入出庫に係る時間をより確実に短縮することが可能となる。
尚、本実施形態に適用されたスライド部21について、本体部22のアクチュエータを駆動して支持部23を水平移動させることにより棚部分15i,15oを移動させるが、スライド部の構成はこれに限定されない。
図9は、本実施形態に適用されたスライド部より他の形態を示す。図9において、スライド部41は、螺子軸42及びナット43からなるボール螺子、並びにモータ44を備える。螺子軸42は、ギヤを介してモータ44に接続されている。ナット43は、FOUP3の中央部を支持する棚部分135iの底面に固着されており、棚部分135iを支持する。スライド部41は、モータ44を駆動して、螺子軸42を回転させることにより、棚部分135iを水平一方向に移動させる。
また、図10は、本実施形態に適用されたスライド部及び図9のスライド部より他の形態を示す。図10において、スライド部51は、リニアアクチュエータ52、支持部53、モータ54、ローラ55、並びにリニアガイド56を備える。リニアアクチュエータ52は、モータ54の回転に伴って、水平一方向に移動する。棚部分135oには、一端部に支持部53が固着されており、一端部と反対側の端部にローラ55が固定されている。ローラ55は、棚部分135oの移動に伴って、リニアガイド56にガイドされ、水平一方向に移動する。スライド部51は、モータ54を駆動して、リニアアクチュエータ52を移動させることにより、棚部分135oを水平一方向に移動させる。
このようなスライド部51において、出庫用棚部分135oの直上に、入庫用棚部分が設けられている場合に、入庫に先立って、図10に示すように、出庫すべきFOUP3oが載置された状態で出庫用棚部分135oがストッカ10の外側へ水平移動され、レール1の下方より更に外方へ設置される。入庫時には、出庫用スライド部51におけるリニアアクチュエータ52及びリニアガイド56間の空間を介して、レール1の下方に移動された入庫用棚部分まで、入庫すべきFOUP3iが下降され、入庫用棚部分に移載される。この移載後に出庫が要求される場合に、ビークル2のグリッパ5cが、出庫すべきFOUP3iの上方まで上昇される。すると、出庫用棚部分135oがストッカ10の内側へ向けて水平移動され、レール1の下方に設置される。すると、出庫すべきFOUP3がグリッパ5cに把持され、出庫用棚部分135oからビークル2へ移載される。
尚、本実施形態のストッカ10は、上下段に設けられた一対の入庫用棚部分15i及び出庫用棚部分15oを備えるが、ストッカ10の収容数に応じて、上述した一対の入庫用棚部分及び出庫用棚部分を複数備えてもいいし、これと併せて、単独の入庫用棚部分若しくは出庫用棚部分、又は同段に隣り合うように設けられた一対の入庫用棚部分若しくは出庫用棚部分を備えてもよい。
図11は、本実施形態のストッカ10より他の形態を示す。図11において、ストッカ110は、上述した一対の入庫用棚部分15i及び出庫用棚部分15oを2組備えると共に、隣り合う一対の入庫用棚部分115i及び出庫用棚部分115oを備える。これら複数の入庫用棚部分15i,115i及び出庫用棚部分15o,115oは、ストッカコントローラ33により、選択的に使用される。例えば、現在要求される入出庫の内容、載置部11の空き若しくは載置の状況、入庫用棚部分又は出庫用棚部分の空き、載置の状況若しくは移動位置などに応じて、複数の入庫用棚部分15i,115i及び出庫用棚部分15o,115oを適宜に入庫ポートとして又は出庫ポートとして選択してもよい。特に、多数のストッカ及び多数のビークル2を含んでなる搬送システムにおいては、このような入庫用棚部分又は出庫用棚部分の使い分けによって、搬送効率の一層の向上が可能である。
ストッカ110において、2組の一対の入庫用棚部分15i及び出庫用棚部分15oは、相互に隣り合って設けられているが、2つの入庫用棚部分15iの中心間の距離L1は、ビークル2における走行方向の長さより大きく設定されている。即ち、2台のビークル2は、2つの入庫用棚部分15iに対応する停止位置に同時に停止することが可能である。このため、ストッカに多くのポートを設けた場合に、多数のビークル2により、多数のFOUP3を同時に入出庫した場合に、搬送効率のより一層の向上が可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う入出庫方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…レール、2…ビークル(天井走行車)、3…FOUP(荷)、10…ストッカ(保管庫)、11…載置部、13…水平駆動部、14…鉛直駆動部、15…棚部分、21…スライド部、33…ストッカコントローラ、100…製造システム