JP2010137795A - 鉄道車両の制振装置 - Google Patents

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Hiroshi Niimura
浩 新村
Nobuyuki Okada
信之 岡田
Yasuhiko Tanigawa
安彦 谷川
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Abstract

【課題】制振用ダンパの制御の切り換えに伴って生じる衝撃を無くすことで、乗心地悪化を防止するようにした鉄道車両の制振装置を提供すること。
【解決手段】検知手段7,29からの検知信号に基づいて、制御コントローラ6が車体2と台車3との間に設けられた制振用ダンパ5を制御するものであって、その制御コントローラ6は、制振用ダンパ5に対し、アンロード弁25を開けるアンロード指令と、アンロード弁25を閉じて圧力調整弁23を制振用ダンパ5の減衰力が大きくなるように作動させる大減衰力オンロード指令と、アンロード弁を閉じて圧力調整弁23を制振用ダンパ5の減衰力が小さくなるように作動させる小減衰力オンロード指令を選択制御する鉄道車両1の制振装置10。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄道車両の車体に生じる振動をセミアクティブダンパで制振する制振装置に関し、特に、セミアクティブダンパの制御の切り換えに伴って生じる衝撃を回避して乗心地の悪化を防止した鉄道車両の制振装置に関する。
鉄道車両では、一般に台車と車体の間には空気バネが設けられ、台車からの振動を緩和して乗心地を良くしている。しかし、空気バネは横方向振動を減衰させることができないので、振動が持続したり、外乱に対して共振する問題がある。そこで、鉄道車両には、空気バネの横方向振動を減衰させるため、台車と車体との間に制振用ダンパを備えた制振装置が設けられている。制振用ダンパには種々のものが使用されているが、横方向振動の程度によって減衰力を変動可能にしたいわゆるセミアクティブダンパがあり、例えば特許第3505581号公報に開示されている。
セミアクティブ制御は、車体と台車との相対移動方向(ダンパ伸縮方向)及び車体の移動方向(移動速度の符号)を基に、セミアクティブダンパの減衰係数(オンロード/アンロード)を切り換えて車体を制振する制御方式である。そのセミアクティブダンパは、オンロード時には比例リリーフ弁による減衰力可変制御が行われ、アンロード時にはアンロード弁を開いて減衰力が小さくなるように構成されている。
特許第3505581号公報
ところで、車体の移動速度とセミアクティブダンパの伸縮速度には位相差がある。そのため、基本的には、左右に振れる車体の移動方向が切り換わる時にセミアクティブダンパは伸縮の最中であり、逆にセミアクティブダンパの伸縮が切り換わる時に車体が一方へ移動中である。従って、セミアクティブダンパが瞬時にアンロードからオンロードに切り換えられると、アンロード弁を流れる作動油の瞬断による油撃や、減衰力の不連続によって発生する衝撃加速度のため、鉄道車両の乗心地が悪化する場合がある。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、制振用ダンパの制御の切り換えに伴って生じる衝撃を無くすことで、乗心地悪化を防止するようにした鉄道車両の制振装置を提供することを目的とする。
本発明に係る鉄道車両の制振装置は、車体に生じる振動を抑えるために当該車体と台車との間に設けられた制振用ダンパと、その制振用ダンパに構成された圧力調整弁やアンロード弁を含む流体回路の流体機器を制御するための制御コントローラとを有し、検知手段からの検知信号に基づいて前記制御コントローラが前記制振用ダンパを制御するものであって、前記制御コントローラは、前記制振用ダンパに対し、前記アンロード弁を開けるアンロード指令と、前記アンロード弁を閉じて前記圧力調整弁を前記制振用ダンパの減衰力が大きくなるように作動させる大減衰力オンロード指令と、前記アンロード弁を閉じて前記圧力調整弁を前記制振用ダンパの減衰力が小さくなるように作動させる小減衰力オンロード指令とを選択制御するものであることを特徴とする。
また、本発明に係る鉄道車両の制振装置は、前記制御コントローラが、前記車体の移動方向が変化する場合には、変化の前後で、前記大減衰力オンロード指令から前記アンロード指令に切り換える選択制御を行い、又は前記小減衰力オンロード指令から前記大減衰力オンロード指令に切り換える選択制御を行うものであることが好ましい。
また、本発明に係る鉄道車両の制振装置は、前記制御コントローラが、前記制振用ダンパの伸縮方向が変化する場合であって、前記制振用ダンパの減衰力を下げる場合には、変化の前後で、前記大減衰力オンロード指令から前記小減衰力オンロード指令に切り換える選択制御を行うものであることが好ましい。
また、本発明に係る鉄道車両の制振装置は、前記圧力調整弁が比例リリーフ弁であって、前記大減衰力オンロード指令による可変の圧力調整によって減衰力を高圧側で変化させ、前記小減衰力オンロード指令による固定の圧力調整によって減衰力を小さく設定するものであることが好ましい。
本発明によれば、制御コントローラが、制振用ダンパに対し、従来のアンロード指令および大減衰力オンロード指令に加え小減衰力オンロード指令を選択制御するようにしたことで、例えば車体の移動方向が変化する場合に、その変化の前後で、小減衰力オンロード指令から大減衰力オンロード指令に切り換える選択制御を行うことにより、急激に作動油の流れの抵抗が大きくなるようなことはなく、作動油の瞬断による油撃や減衰力の不連続によって発生する衝撃加速度を防止し、鉄道車両の乗心地を良くすることができる。
次に、本発明に係る鉄道車両の制振装置について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、鉄道車両に設けられた制振装置を概念的に示した図であり、車体長手方向に見た図である。
鉄道車両1は、前後2台の台車3に空気バネ4を介して車体2が載せられており、そうした車体2と台車3との間に、車体2の横揺れを防止するための制振装置10のセミアクティブダンパ5が設けられている。セミアクティブダンパ5は、車体2の横方向に生じる振動の程度によって減衰力を変化させて制振度合いの調節を可能にしたものであり、車体2と台車3との間で連結されている。
セミアクティブダンパ5は、作動流体を制御する比例リリーフ弁やアンロード弁等を備えた流体回路が構成されており、制振装置10は、この流体回路の比例リリーフ弁やアンロード弁等の作動を制御する制振コントローラ6を有している。また、鉄道車両1には、車体2の左右横方向の振動を検出する加速度センサ7が設けられ、それに制振コントローラ6が接続されている。
次に、図2は、セミアクティブダンパ5を構成する油圧回路を示した図である。セミアクティブダンパ5は、シリンダチューブ11内のピストン15を挟んでヘッド側室13とロッド側室14が設けられ、そのピストン15には両室を連通する流路が形成され、ヘッド側室13からロッド側室14へのみ流れが生じるようにチェック弁16が設けられている。また、ヘッド側室13の断面積はピストンロッド12の断面積の2倍に設定され、ピストンロッド12が伸びたり縮んだりする何れの方向のストロークに対しても、セミアクティブダンパ5から排出される作動油の量が同じになるように構成されている。
ヘッド側室13は流路17によって油タンク18に接続され、この流路17にはヘッド側室13から油タンク18への流れを止めるチェック弁19が設けられている。そのチェック弁19には、チェック弁19の作動を検知することによってピストンロッド12の伸縮を検出する伸縮検知センサ29が設けられている。一方、ロッド側室14には流路21が接続され、その流路21は、フィルタ22を介して比例リリーフ弁23が設けられた流路24と、アンロード弁25が設けられた流路26とに分岐し、それぞれの流路24,26が油タンク18へ連結されている。流路24には、比例リリーフ弁23の二次側にオリフィス27と低圧リリーフ弁28が並列に接続されている。
ところで、制振装置10で行われるセミアクティブ制御は、加速度センサ7や伸縮検知センサ29からの信号を受けた制御コントローラ6によって、比例リリーフ弁23やアンロード弁25の作動が制御され、セミアクティブダンパ5の減衰力を変えた制振制御が行われる。制振コントローラ6は、車体2と台車3との相対移動方向(ダンパ伸縮方向)及び車体2の移動方向(移動速度の符号)に基づいて、アンロードとオンロードを切り換えることによって車体2の制振が実行される。制御対象となる鉄道車両1の振動には、車体2を揺らす加振原因として主に、車体2を直接揺らす空力加振と台車3を先に揺らす軌道加振とがある。
空力加振は、例えばトンネル内に進入したり対向車両とすれちがう場合に生じるものであり、風圧によって車体2に横方向の外力が作用する。図3は、そうした場合を示しており、車体2が左方(或いは右方)に振れ、それを止めようとするセミアクティブダンパ5を介して台車3に反力が作用する。一方、軌道加振は、例えば鉄道車両1がレールの狂いが生じている箇所を走行したり、レール分岐点での軌道の切り換え時に生じる。図4に矢印で示すように、先に揺れた台車3が車体2よりも速い速度で左方(或いは右方)に移動し、それに引かれる車体2が同方向に振れる。
セミアクティブダンパ5は、車体2の横揺れに伴う振動加速度を検出する加速度センサ7や、ピストンロッド12の伸縮状態を検出する伸縮検知センサ29からの検出信号を基に、制御コントローラ6の選択によって制振制御が行われる。すなわち、制御コントローラ6では、各検出信号に基づいて減衰力を発生させるか否か、つまりアンロードかオンロードかの選択が行われ、その選択に従って比例リリーフ弁23やアンロード弁25の作動制御が行われる。
制御コントローラ6からオンロードの選択制御が行われた場合は、アンロード弁25が閉じられ、比例リリーフ弁23を介して流路21から流路24へ作動油が流れる。すなわち、ロッド側室14から流路21へ流れた作動油は、フィルタ22から比例リリーフ弁23を通り、流路24のオリフィス27と低圧リリーフ弁28を介して油タンク18へと還流する。従って、セミアクティブダンパ5は、比例リリーフ弁23またはオリフィス27もしくは低圧リリーフ弁28を流れる作動油の抵抗によって減衰力が発生する。このとき、オリフィス27の両端の差圧が低圧リリーフ弁28のリリーフ圧より高い場合には、低圧リリーフ弁28が作動する。
一方、制御コントローラ6からからアンロードの選択制御が行われた場合には、アンロード弁25が開いて流路21と流路26とが連通する。それにより、流路21を流れた作動油は、フィルタ22からアンロード弁25を通って流路26へ流れ、油タンク18へと還流し、セミアクティブダンパ5による車体2と台車3との関係が絶縁状態になる。制振装置10では、こうして制御コントローラ6によるセミアクティブダンパ5のオンロードとアンロードとの切り換え制御が行われる。
ところで、単純にアンロードからオンロードへと切り換え制御を行ったのでは、前述したように、車体2の移動速度とセミアクティブダンパ5伸縮速度の位相差によって、油撃などによる乗心地悪化を引き起こすことになる。そこで、本実施形態では、車体2の移動方向が変化する際、アンロードからオンロードへの切り換えを禁止したり、セミアクティブダンパ5の伸縮方向が変化する時には、オンロードからアンロードへの切り換えはせず、オンロードを可変減衰力制御からから減衰力を小さく固定した小減衰力制御を実行するように構成されている。
ここで、図5(a)〜(e)は、軌道加振時の制御コントローラ6によるセミアクティブダンパ5の制振制御を概念的に示した図であり、それぞれの矢印によって車体2と台車3との相対的な移動速度と方向を示し、更にセミアクティブダンパ5にかかる車体2や台車3からの力の大きさと方向を示している。
軌道狂いなどによって台車3に振動が生じた軌道加振時は、台車3から車体2へ振動が伝達され、台車3の動きが車体2より先行する。このときセミアクティブダンパ5は、台車3の振動が伝わらないようにアンロード状態になっている(a)。そして、セミアクティブダンパ5の伸縮方向が変わると、車体2と台車3が引っ張り合う状態になり、車体2の振れを止めるためセミアクティブダンパ5がオンロードに切り換えられる(b)。
その後、振動する車体2の移動方向が右から左に変わり、台車3に引っ張られる状態になってセミアクティブダンパ5がアンロードに切り換えられる(c)。更に、台車3の振動方向が変わってセミアクティブダンパ5の伸縮方向が伸びから縮みに変わると、車体2と台車3とが押し合う状態になってセミアクティブダンパ5がオンロードに切り換えられる(d)。そして、車体2の移動方向が左から右に変わり台車3に押される状態になると、セミアクティブダンパ5がアンロードに切り変えられる(e)。その後、再びセミアクティブダンパ5の伸縮が縮みから伸びに変わると、そのセミアクティブダンパ5がオンロードに切り換えられる(b)。
こうして、軌道加振により車体2が台車3から振動を受けた後は、車体2の移動方向やセミアクティブダンパ5の伸縮の変化によって、そのセミアクティブダンパ5のオンロード及びアンロードの制振制御が実行され、(b)〜(e)が繰り返される。
ここで、図7は、制御コントローラ6がセミアクティブダンパ5に対して実行する前記制御の制御指令選択方法を表にしたものであり、表(A)は車体2の移動方向が切り換わる時の制御指令選択を示し、表(B)はセミアクティブダンパ5の伸縮が切り換わる時の制御指令選択を示したものである。
前述した軌道加振に対する制振制御では、車体2の移動方向が変化する図5(c),(e)の場合に、セミアクティブダンパ5は、オンロードからアンロードに切り換えられることになる。この制御選択は表(A)に従って行われる。すなわち、振動する車体2の移動方向が左右に変化する場合であって、その車体移動方向とセミアクティブダンパ5の伸縮方向との組合せによってアンロードが選択される。一方、セミアクティブダンパ5のアンロードからオンロードへの切り換え制御は、図5(b),(d)のタイミングで行われるが、この場合は表(B)に従った選択制御が行われる。
すなわち、車体2の移動方向は変化せず、セミアクティブダンパ5の伸縮方向が変化することを検出し、それによって車体2の移動方向とともに選択された通常のオンロード(これを「減衰力可変オンロード」という)の制御が行われる。こうしたアンロードから減衰力可変オンロードに切り換えられる(b),(d)では、車体2の移動方向の変化は無く、また、セミアクティブダンパ5自身の伸縮が縮み方向から伸び方向へ変化する時であり、伸縮速度がゼロであるため、減衰力の不連続は発生しない。
続いて、図6(a)〜(e)は、空力加振時の制御コントローラ6によるセミアクティブダンパ5の制振制御を概念的に示した図である。
空力加振では、鉄道車両1がトンネルへ進入する場合など、空気圧力によって車体2が直接加振され、車体2の動きが台車3より先行する。そこで、車体2が左に振られると、それを加速度センサ7の信号に基づいて制御コントローラ6が算出し、セミアクティブダンパ5に対する制振制御では減衰力可変オンロードが選択される(a)。そのため、車体2の振動がセミアクティブダンパ5を介して台車3に伝達され、その台車3が同方向に押される。
次に、車体2が振れてその移動方向が右に変わると、台車3との間で引っ張り合いになるが、そうした伸びのセミアクティブダンパ5に対しては減衰力可変オンロードが選択される(b)。そして、車体2が右方向に振れたままであって、台車3がそれに続くように振れが右に変化した場合には、セミアクティブダンパ5の伸縮方向が縮みに切り換えられる(c)。このとき車体2が台車3に押されて振れが大きくならないようにセミアクティブダンパ5の減衰力を小さくすることが必要になる。
従来は、こうした場合に、図2に示すアンロード弁25を開いて流路26へ作動油を流すアンロード制御を行い、オンロードから直接アンロードへの切り換えが行われていた。しかし、本実施形態では、アンロード弁25を開けることなく閉弁させたまま、比例リリーフ弁23の減衰力を小さく設定したオンロード(これを「小減衰力オンロード」という)を行うようにした。すなわち、アンロード弁25を閉じたまま比例リリーフ弁23に対する減衰係数を小さい値に固定し、弁の開口を大きくして作動油を流路24へ流すことにより、減衰力を小さくしたオンロード制御を行うようにした。
続いて、車体2の移動方向が左に切り換わって台車3の方向と逆向きになり、収縮状態のセミアクティブダンパ5の制御は、比例リリーフ弁23の減衰力を大きい値に変化させた減衰力可変オンロードに切り換えられる(d)。そして、車体2の移動方向がそのままで台車3の振れが左方向に変化し、セミアクティブダンパ5の伸縮が伸びに変化した場合には、小減衰力オンロード制御が行われる(e)。その後、再び車体2の移動方向が変化すると、セミアクティブダンパ5が減衰力可変オンロードに切り換えられる(b)。
こうした空力加振に対する車体2の制振制御も、図7に示す制御選択に従ってセミアクティブダンパ5のオンロード及びアンロード制御が実行され、(b)〜(e)が繰り返される。
すなわち、空力加振では、車体2の移動方向が変化する図6(b),(d)の場合に、セミアクティブダンパ5が小減衰力オンロードから減衰力可変オンロードに切り換えられる。この場合は、図7に示す表(A)に従って車体2の移動方向が左右に変化し、その移動方向とセミアクティブダンパ5の伸縮方向との組合せによって減衰力可変オンロードが選択される。
一方、セミアクティブダンパ5の小減衰力オンロードへの切り換え制御は、図6(c),(e)のタイミングで行われるが、この場合は表(B)に従った選択制御が行われる。すなわち、セミアクティブダンパ5の伸縮方向の変化と、車体2の移動方向の組合せによって小減衰力オンロード制御が行われる。従って、図6の(b)や(d)の車体2の移動方向が変化するタイミングで減衰力が大きくなる場合であっても、その前の(e)や(c)の段階で小減衰力が働いているため、減衰力の不連続は発生しない。
よって、本実施形態に係る鉄道車両1の制振装置10によれば、制御コントローラ6からセミアクティブダンパ5に対する制御指令を上記の通り選択することにより、アンロード弁25を流れる油の瞬断による油撃がなくなる。
また、小減衰力オンロードから減衰力可変オンロードへ切り換わる時の減衰力変化を滑らかに行うことにより、減衰力の不連続がなくなるので、比例リリーフ弁23に対する減衰係数切換え時の衝撃加速度による乗心地悪化を防止することができる。
なお、前記実施形態では、空力加振時に、従来アンロード指令が行われていた選択を小減衰力オンロードとしているが、こうした制御であってもセミアクティブダンパ5による車体2の制振効果は損なわれない。すなわち、車体2は既に振動エネルギーを持っているため、セミアクティブダンパ5の発熱等でエネルギーを消費する必要があるからである。また、アンロードの目的は、台車3からの振動を車体2に伝達しない様にするためであるが、空力加振は低周波振動であるため、車体2と台車3との間の相対変位が空気バネ4による復元力によって大きくなることから、アンロードにしても台車3からの振動を車体2に伝達しない様にすることが難しいからである。更に、低周波の軌道加振では、台車3からの振動を完全に絶縁できず、車体2が振動し始めて以後は、空力加振時と同様の制振制御動作となるが、この場合も上記理由から制振効果は損なわれない。
以上、本発明に係る鉄道車両の制振装置につて実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態のセミアクティブダンパ5は、比例リリーフ弁23を使用した油圧回路によって大減衰力(減衰力可変)オンロードと小減衰力オンロードの状態をつくり出していたが、複数の開閉弁とオリフィスを並列に接続するなど、別の流路回路によって構成されたセミアクティブダンパであってもよい。
鉄道車両に設けられた制振装置を概念的に示した図であり、車体長手方向に見た図である。 セミアクティブダンパを構成する油圧回路を示した図である。 車体に生じる空力加振時の振動をイメージした図である。 車体に生じる軌道加振時の振動をイメージした図である。 軌道加振時の制御コントローラによるセミアクティブダンパの制振制御を概念的に示した図である。 空力加振時の制御コントローラによるセミアクティブダンパの制振制御を概念的に示した図である。 制御コントローラがセミアクティブダンパに対して実行する制振制御の制御指令選択方法を表にしたものである。
符号の説明
1 鉄道車両
2 車体
3 台車
5 セミアクティブダンパ
6 制御コントローラ
7 加速度センサ
10 制振装置
11 シリンダチューブ
12 ピストンロッド
15 ピストン
23 比例リリーフ弁
25 アンロード弁
29 伸縮検知センサ

Claims (4)

  1. 車体に生じる振動を抑えるために当該車体と台車との間に設けられた制振用ダンパと、その制振用ダンパに構成された圧力調整弁やアンロード弁を含む流体回路の流体機器を制御するための制御コントローラとを有し、検知手段からの検知信号に基づいて前記制御コントローラが前記制振用ダンパを制御する鉄道車両の制振装置において、
    前記制御コントローラは、前記制振用ダンパに対し、前記アンロード弁を開けるアンロード指令と、前記アンロード弁を閉じて前記圧力調整弁を前記制振用ダンパの減衰力が大きくなるように作動させる大減衰力オンロード指令と、前記アンロード弁を閉じて前記圧力調整弁を前記制振用ダンパの減衰力が小さくなるように作動させる小減衰力オンロード指令とを選択制御するものであることを特徴とする鉄道車両の制振装置。
  2. 請求項1に記載する鉄道車両の制振装置において、
    前記制御コントローラは、前記車体の移動方向が変化する場合には、変化の前後で、前記大減衰力オンロード指令から前記アンロード指令に切り換える選択制御を行い、又は前記小減衰力オンロード指令から前記大減衰力オンロード指令に切り換える選択制御を行うものであることを特徴とする鉄道車両の制振装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する鉄道車両の制振装置において、
    前記制御コントローラは、前記制振用ダンパの伸縮方向が変化する場合であって、前記制振用ダンパの減衰力を下げる場合には、変化の前後で、前記大減衰力オンロード指令から前記小減衰力オンロード指令に切り換える選択制御を行うものであることを特徴とする鉄道車両の制振装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する鉄道車両の制振装置において、
    前記圧力調整弁は、比例リリーフ弁であって、前記大減衰力オンロード指令による可変の圧力調整によって減衰力を高圧側で変化させ、前記小減衰力オンロード指令による固定の圧力調整によって減衰力を小さく設定するものであることを特徴とする鉄道車両の制振装置。
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