JP2010137343A - クランプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークを高精度に位置決め可能なクランプ装置を提供すること。
【解決手段】ワークWの穴に挿入後拡径された状態で穴の内周面をグリップ可能なグリップ部材2と、このグリップ部材2に内嵌係合させたテーパ軸部31を有するクランプロッド3と、前記グリップ部材2とクランプロッド3とを軸心方向へ進退駆動可能な流体圧シリンダ4とを有するクランプ装置において、グリップ部材2とクランプロッド3と流体圧シリンダ4とが付設されるクランプ本体1と、クランプ本体1のワーク側端部のうちの、グリップ部材2とクランプロッド3の外周側部分に形成された位置決め用嵌合部19であって、ワークに形成された位置決め用嵌合凹部20に嵌合してワークを位置決めする位置決め用嵌合部19を設けた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、クランプ装置に関し、特にワークの穴にグリップ部材のグリップ爪を係合させて着座面の方へ引き付けることでワークをクランプするクランプ装置に関する。
ワークの全面に亙って機械加工するような場合には、ワークの端部を上方から押圧具で押圧する形式のクランプ装置を採用することができないため、上記のようなクランプ装置(所謂、ホールクランプ装置)が採用される。このクランプ装置では、本体部材にクランプ対象のワークを着座させる着座面が形成され、ワーク投入時にワークを着座面に搭載して支持し、ワークの穴にグリップ部材と、このグリップ部材に挿入されたテーパ軸部を有するクランプロッドを挿入し、クランプロッドを着座面側へ引き付けることで、テーパ軸部によりグリップ爪を拡径させて穴の内周面に係合させてから、そのグリップ部材を更に着座面側へ引き付けることで、ワークを着座面に固定する。
特許文献1,2には、上記のようなクランプ装置が開示されている。
特に、特許文献1に記載されたクランプ装置では、ワークの穴の位置のバラツキに対処するために、グリップ部材と、テーパ軸部を有するクランプロッドを軸心と直交方向へ可動に構成し、ワークの穴の位置が本来の正規の位置から多少ズレている場合にも、確実にクランプ可能に構成している。
クランプ装置には、ワークを固定した際に軸心方向への位置決めを行うため、ワークを着座させる着座面が設けられている。ワークがグリップ部材とクランプロッドにより着座面側に引き付けられ、ワークが着座面に密着状に当接することで、ワークをクランプ装置に対して軸心方向へ位置決めすることができる。
特許第3550010号公報 ドイツ特許第4020981号公報
ところで、このクランプ装置は、グリップ部材のグリップ部に設けられた複数段のグリップ爪をワークの穴の内周面に食い込ませてグリップする構成であり、ワークの穴にグリップ部を密着状に内嵌させる構成ではないので、グリップ部材のグリップ爪以外の部分は、ワークの穴よりも小径に形成されている。このため、このクランプ装置は、ワークを着座面に密着させることでグリップ部材及びクランプロッドの軸心方向へ位置決めすることは可能であるが、前記軸心と直交する方向への位置決め機能を有していない。それ故、クランプ装置のクランプ本体に対してワークを前記軸心と直交する方向へ高精度(10μm程度の精度)に位置決めすることができない。
例えば、ワークのフランジ部に形成された複数の穴を、複数のクランプ装置でクランプした状態において、フランジ部の上面を機械加工し、その後フランジ部の上面側からインロー嵌合部又はインロー嵌合穴を機械加工するような場合に、ワークを複数のクランプ装置でクランプする際の位置決め精度が低いため、フランジ部に対するインロー嵌合部又はインロー嵌合穴の位置精度を高めることができない。
本発明の目的は、ワークをクランプ装置に対して高精度に位置決めが可能なクランプ装置を提供することである。
請求項1のクランプ装置は、クランプ対象物であるワークの穴に挿入後拡径された状態で穴の内周面をグリップ可能なグリップ部材と、このグリップ部材に内嵌嵌合させたテーパ軸部を有するクランプロッドと、前記グリップ部材とクランプロッドとを軸心方向へ進退駆動可能な流体圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記グリップ部材とクランプロッドと流体圧シリンダとが付設されるクランプ本体と、前記クランプ本体のワーク側端部のうちの、前記グリップ部材とクランプロッドの外周側部分に形成された位置決め用嵌合部であって、前記ワークに形成された位置決め用嵌合凹部に嵌合してワークを位置決めする位置決め用嵌合部とを備えたことを特徴としている。
請求項2のクランプ装置は、請求項1の発明において、前記クランプ本体のうちの前記位置決め用嵌合部のワークと反対側の基端部の外周側部分に、クランプロッドと直交する方向と平行に形成されてワークを着座可能な着座面を設けたことを特徴としている。
請求項3のクランプ装置は、請求項1又は2の発明において、前記位置決め用嵌合部は、外周形状が円形の円環状に形成されたことを特徴としている。
請求項4のクランプ装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記位置決め用嵌合凹部は、前記ワークの穴と同心状に形成されたことを特徴としている。
請求項5のクランプ装置は、請求項1〜4の何れかの発明において、前記ワークの穴は前記クランプ本体に向かって徐々に小径化するテーパ穴に形成され、前記グリップ部材は、前記テーパ穴に密着状に係合可能なグリップ部であって、前記クランプ本体に向かって徐々に小径化するテーパ外周面を有するグリップ部を有することを特徴としている。
請求項6のクランプ装置は、請求項3の発明において、前記位置決め用嵌合部は、前記外周形状と同じ直径を有し且つ軸心を挟んで対向する位置に形成された1対の部分円筒部と、この1対の部分円筒部以外の部分に形成された部分円筒部より小径の1対の小径部とを有することを特徴としている。
請求項1の発明によれば、前記クランプ本体のワーク側端部のうちの、前記グリップ部材とクランプロッドの外周側部分に形成された位置決め用嵌合部であって、前記ワークに形成された位置決め用嵌合凹部に嵌合してワークを位置決めする位置決め用嵌合部とを備えているので、ワークをクランプ装置に固定した場合には、クランプ装置の位置決め用嵌合部がワークの位置決め用嵌合凹部に嵌合して、ワークをクランプ装置のグリップ部材及びクランプロッドの軸心と直交する方向に高精度に位置決めすることができ、加工精度を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、前記クランプ本体のうちの前記位置決め用嵌合部のワークと反対側の基端部の外周側部分に、クランプロッドと直交する方向と平行に形成されてワークを着座可能な着座面を設けたので、ワークをクランプ装置に固定した場合には、ワークが着座面に密着状に着座して、ワークを軸心方向に高精度に位置決めすることができ、加工精度を向上させることができる。
請求項3の発明によれば、前記位置決め用嵌合部は、外周形状が円形の円環状に形成されたので、位置決め用嵌合部を簡単且つ安価に形成することができる。
請求項4の発明によれば、前記位置決め用嵌合凹部は、前記ワークの穴と同心状に形成されたので、位置決め用嵌合凹部を簡単且つ安価に形成することができる。
請求項5の発明によれば、前記ワークの穴は前記クランプ本体に向かって徐々に小径化するテーパ穴に形成され、前記グリップ部材は、前記テーパ穴に密着状に係合可能なグリップ部であって、前記クランプ本体に向かって徐々に小径化するテーパ外周面を有するグリップ部を有するので、グリップ性能を高めることができる。
請求項6の発明によれば、前記位置決め用嵌合部は、前記外周形状と同じ直径を有し且つ軸心を挟んで対向する位置に形成された1対の部分円筒部と、この1対の部分円筒部以外の部分に形成された部分円筒部より小径の1対の小径部とを有するので、ワークを複数のクランプ装置でクランプした場合に、ワーク側の複数の位置決め用嵌合凹部の間の距離に誤差があっても、その誤差を前記1対の小径部を介して吸収することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に基づいて説明する。
本発明のクランプ装置C,CAは、長方形状のベース板Bに夫々装着されて、ワークWの穴Hにグリップ部材2のグリップ爪24を係合させて着座面18の方へ引き付けることでワークWをベース板Bにクランプするものである。先ずはクランプ装置Cについて説明し、次いでクランプ装置CAについて説明する。
先ず、クランプ装置Cについて説明する。
図1〜図3に示すように、このクランプ装置Cは、クランプ本体1と、グリップ部材2と、クランプロッド3と、グリップ部材2とクランプロッド3を軸心方向(上下方向)に駆動可能な油圧シリンダ4(流体圧シリンダ)と、油圧シリンダ4に含まれる環状受圧部材5とを備えている。前記クランプ本体1(クランプ本体)は、上部本体部材11と下部本体部材12と基部本体部材13とで構成されている。基部本体部材13はベース板Bと一体的に形成されている。グリップ部材2とクランプロッド3と油圧シリンダ4はクランプ本体1に付設されている。
上部本体部材11は平面視にてほぼ長円形であり、この上部本体部材11は4つのボルト穴に挿入される4つのボルト14で基部本体部材13(ベース板B)に固定される。下部本体部材12はシリンダ穴41を形成する筒状部材であり、この下部本体部材12の上端部が上部本体部材11の下面側の凹部15に嵌合され、4つのボルト16により上部本体部材11に固定されている。
このクランプ装置Cは、クランプ本体1のワークW側端部のうちの、前記グリップ部材2とクランプロッド3の外周側部分に形成された位置決め用嵌合部19であって、前記ワークWに形成された位置決め用嵌合凹部20に嵌合してワークWを位置決めする位置決め用嵌合部19とを備えている。位置決め用嵌合部19(以下、嵌合部19という)は、外周形状が円形の円環状に形成され、上部本体部材11の上端部に一体的に形成されている。位置決め用嵌合凹部20(以下、嵌合凹部20という)は、ワークWの穴Hの直径よりも大径に形成され且つ前記ワークWの穴Hと同心状に形成されている。嵌合凹部20は、穴Hの軸心と直交する平面における断面形状が円形である。
前記クランプ本体1のうちの前記位置決め用嵌合部19のワークWと反対側の基端部の外周側部分に、クランプロッド3と直交する方向と平行に形成されてワークWを着座可能な着座面18を設けてある。この着座面18は、グリップ部材2を囲むように環状に形成され、上部本体部材11に形成されているため、これら着座面18にワークWを着座させてクランプ状態にすることができる。上部本体部材11の上面は、緩い傾斜角の部分円錐面に形成されている。
図1〜図3に示すように、前記グリップ部材2は、上部本体部材11の中心部分の開口穴17を上下に貫通するように配設されている。略環状のグリップ部材2はクランプ対象物であるワークWの穴Hに挿入後拡径された状態で穴Hの内周面をグリップ可能なものである。このグリップ部材2は、ロッド挿通孔21と、中段部に形成された中段筒部23、中段筒部23より上部に形成されたグリップ爪部24と、この中段筒部23に対してグリップ爪部24と反対側に形成された基端鍔部26とを備えている。
グリップ部材2は、中段筒部23、グリップ爪部24、基端鍔部26がスリット(図示略)により周方向に4等分に分割された4つのグリップ分割体2bからなる。グリップ部材2は金属部材で構成され、グリップ部材2において各グリップ分割体2bのグリップ爪部24の外周面には、ワークWの穴Hの内周面をグリップし易くする3段の歯24aが形成されている。グリップ部材2には、クランプロッド3を挿通させるロッド挿通孔21が形成され、このロッド孔21のうちのグリップ爪部対応部分は、クランプロッド3のテーパ軸部31が密着状に係合するテーパ孔部21aに形成されている。
図1〜図3に示すように、上部本体部材11の開口穴17にはグリップ部材2の中段筒部23に摺接するゴムや合成樹脂等の弾性材料製のスレクーパ28が装着されている。グリップ部材2の外周部には分割されたグリップ爪部24を縮径方向へ付勢するOリング29が装着されている。グリップ部材2の基端鍔部26は、上部本体部材11の円形凹部6に収容され、円形凹部6の上壁部と環状受圧部材5の水平板部62との間に挟着されている。グリップ部材2は、環状受圧部材5と一体的に昇降可能であると共に、円形凹部6の環状隙間7とスクレーパ28の弾性変形を介して、油圧シリンダ4の軸心と直交する水平方向へ移動可能に装着されている。
クランプロッド3は、グリップ部材2に内嵌係合させたテーパ軸部31と、このテーパ軸部31の下端に連なる小径ロッド部32と、この小径ロッド部32の下端に連なる大径ロッド部33と、この大径ロッド部33の下端に連なる大径鍔部34とを一体形成したものである。テーパ軸部31と小径ロッド部32とがグリップ部材2のロッド孔21に挿通されている。テーパ軸部31は、上方程大径化するようにクランプロッド3の上端部分に形成され、テーパ軸部31がグリップ部材2のテーパ孔部21aに内嵌係合している。
図1〜図3に示すように、油圧シリンダ4は、グリップ部材2とクランプロッド3とを軸心方向へ進退駆動する為のものである。この油圧シリンダ4は、下部本体部材12と基部本体部材13とで形成された立向きのシリンダ穴41と、このシリンダ穴41に装着されたピストン部材42と、このピストン部材42と一体でそのピストン部43から上方へ延びる筒状ピストンロッド44と、ピストン部43の上側のクランプ用油室45及びピストン部43の下側のアンクランプ用油室46と、環状受圧部材5とを備えている。
シリンダ穴41の底面は基部本体部材13で塞がれ、シリンダ穴41の下端近傍部の環状溝には、ピストン部材42の下方移動を規制するストップリング47が装着されている。ピストン部材42はストップリング47で受け止められて下限位置になる。ピストン部材42には中央孔が形成され、この中央孔は、筒状ピストンロッド44に形成された上部の小径孔48と中段部の中径孔49と下部の大径孔50とで構成されている。この大径孔50には封鎖部材51が装着され、ストップリング52aで抜け止めされている。
前記クランプロッド3の大径ロッド部33が小径孔48内に位置し、大径鍔部34が中径孔49内に位置している。大径ロッド部33と小径孔48の内周面との間には約2mmの環状隙間48aが形成され、大径ロッド部33の外周の環状溝に太いOリング52(弾性リング部材)が装着され、このOリング52は大径ロッド部33と筒状ピストンロッド44の間に僅かに圧縮させた状態に装着されている。
大径鍔部34の厚さは中径孔49の厚さとほぼ等しい。大径鍔部34の外周面と中径孔49の内周面との間には僅かな隙間が形成されている。それ故、クランプロッド3は、ピストン部材42と一体的に昇降移動するが、ピストン部材42に対して相対的に軸心と直交する水平方向へ移動可能になっている。グリップ部材2はクランプロッド3と一体的に上記軸心と直交する水平方向へ移動可能である。ここで、スクレーパ28とOリング52が、グリップ部材2とクランプロッド3の軸心を油圧シリンダ4の軸心に一致させるように、グリップ部材2とクランプロッド3を弾性付勢する。
図1〜図3に示すように、環状受圧部材5は、受圧筒部61と、この受圧筒部61の上端に連なる水平板部62とを有し、この水平板部62の上面にグリップ部材2の基端鍔部26が載置されてグリップ部材2の基端面が支持されている。水平板部62の中心部の円形穴63に、クランプロッド3の大径ロッド部33が遊嵌状に挿通しており、水平板部62の外周部には、受圧筒部61よりも僅かに大径の係止鍔62aが形成されている。下部本体部材12には、シリンダ穴41の上端に連なるシリンダ穴41より小径の上部シリンダ穴64が形成されている。
上部本体部材11には、上部シリンダ穴64の上端に連なる収容穴65が形成されている。この収容穴65の厚さは水平板部62の厚さよりも例えば1.2〜2.0mm位大きい。環状受圧部材5の受圧筒部61は、上部シリンダ穴64の内周面と筒状ピストンロッド44の間の環状穴に油密に且つ上下方向に摺動自在に装着され、水平板部62は、収容穴65に上下方向に摺動自在に装着されている。尚、油室からの油圧の油のリークを防止する為の複数のシール部材(符号省略)が設けられている。
上記環状受圧部材5の受圧筒部61の下端は、クランプ用油圧室45に臨んでその油圧を受圧する。クランプ用油室45は、油路67,68を介して油圧供給源に接続され、油路67,68の油圧を検出する油圧検出センサ(図示略)も設けられている。アンクランプ用油室46は、油路71を介して油圧供給源に接続され、油路71の油圧を検出する油圧検出センサ(図示略)も設けられている。環状受圧部材5は、グリップ部材2が外側(上方)へ進出した位置になる第1位置と、グリップ部材2が後退(下降)した位置となる第2位置とに亙って軸心方向に所定ストローク移動可能になっている。
図1〜図3に示すように、ワークWをクランプした状態で、ワークWの下面が着座面18に密着したことを検出する着座センサ(図示略)が設けられている。この着座センサは、着座面18に開口された加圧エア噴出孔(図示略)と、この加圧エア噴出孔に連通するように上部本体部材11内に形成されたエア通路(図示略)と、このエア通路に加圧エアを供給する加圧エア供給源と、エア通路内の加圧エアの圧力が所定値以上に昇圧したことを検出する圧力スイッチなどで構成されている。
エアブローの為に、開口穴17に加圧エアを供給するエア通路(図示略)が上部本体部材11内に形成されている。開口穴17に供給されたエアはグリップ部材2のスリットから上方へ流れ、着座面18をエアブローし且つ余分なエアは外部へ流れる。
次に、クランプ装置CAについて説明する。
このクランプ装置CAは、前記クランプ装置Cと協働してワークをクランプするのに適用されるものであり、このクランプ装置CAは、前記クランプ装置Cから所定距離離れた位置に配設され、ワークの一端側部分をクランプ装置Cで位置決めした状態でクランプし、ワークの他端側部分をクランプ装置CAで位置決めしてクランプするのに適用される。 位置決め用嵌合部19の構造以外の構成についてはクランプ装置Cと同様であるので、同様の構成については主要構成要素に同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図1,図2,図4に示すように、クランプ装置CAの位置決め用嵌合部19Aは、前記嵌合部19と同じ直径を有し且つ前記軸心を挟んで対向する位置に形成された1対の部分円筒部19aと、この1対の部分円筒部19a以外の部分に形成された部分円筒部19aより小径の1対の小径部19bとを有する。1対の小径部19bは、軸心を挟んで形成された4つの面取部19cで構成されている。ワークWをクランプした状態では、面取部19cと位置決め用嵌合凹部20の外周面との間に僅かな隙間20aが形成される。
以上、クランプ装置C,CAの作用及び効果について説明する。
クランプ装置C,CAによりワークWを固定する場合、先ず最初に、クランプ用油室45とアンクランプ用油室46にほぼ同圧の油圧を供給する。すると、ピストン部材42におけるクランプ用油室45の受圧面積よりもアンクランプ用油室46の受圧面積の方が大きいため、図3に示すように、ピストン部材42は上限位置まで上昇して停止状態となる。環状受圧部材5はクランプ用油室45の油圧を受圧するため上限位置を保持し、グリップ部材2も上限位置を保持する。
この状態において、ワークWを投入して、図2,図3に示すように、ワークWの1対の穴Hにクランプ装置C,CAのグリップ部材2とクランプロッド3とを夫々挿入し、1対の穴Hと同心状に形成されている1対の嵌合凹部20,20に嵌合部19,19Aを夫々嵌合させた状態にして、ワークWを両方の着座面18に着座させる。このとき、ワークWの製作誤差により嵌合凹部20,20の中心間距離に誤差がある場合でも、クランプ装置CA側に形成されている1対の小径部19bを介してこの誤差を吸収することができる。
次に、アンクランプ用油室46の油圧をクランプ用油室45の油圧よりも低い所定の油圧に切換え、ピストン部材42に下方向きのある程度強い所定の油圧力を作用させる。すると、クランプ用油室45の油圧を受圧する環状受圧部材5は、前記と同様に上限位置を保持し、グリップ部材2も上限位置を保持するが、ピストン部材42には下方向きの油圧力が作用し、ピストン部材42が下方へ駆動されるため、クランプロッド3がグリップ部材2に対して相対的に下方へ移動する。
その結果、クランプロッド3のテーパ軸部31によりグリップ部材2のグリップ爪部24が拡径駆動されて、ワークWの穴Hの内周面をグリップして係合状態になる。この状態において、アンクランプ用油室46の油圧をドレン圧まで低下させると、ピストン部材42には下方向きの大きな油圧力が作用し、グリップ部材2とクランプロッド3とは相対移動不能であるため、ピストン部材42とグリップ部材2とクランプロッド3と環状受圧部材5は一体的に下方へ駆動され、ワークWが着座面18に密着状態になり、下方へ強く引き付けられたクランプ状態になって停止する。
クランプ装置C,CAの嵌合部19,19Aが、ワークWの嵌合凹部20,20に夫々内嵌係合して、ワークWをクランプ装置C,CAの軸心と直交する方向に位置決めして、ワークWの底面を着座面18に密着させて軸心方向に位置決めを行うので、ワークWをベース板Bに対して高精度に位置決めすることができる。それ故、グリップ部材2とクランプロッド3の軸心方向へは高精度に位置決めすることができ、加工精度を向上させることができる。ここで、クランプ装置CAの1対の部分円弧部19aは、クランプ装置C,CAの軸心A,AAを結ぶ線の両側に配置されているため、クランプ装置CAの嵌合部19Aの1対の部分円弧部19aにより、クランプ装置Cの軸心Aを中心とする回転方向への移動を拘束し、小径部19bと嵌合凹部20との間に形成された隙間20aにより、ワークWの嵌合凹部20,20間寸法の製作誤差を吸収しつつ、クランプ装置C,CAにより確実にクランプすることができる。
複数のクランプ装置C,CAでワークWをクランプするので、個々のワークWの製作誤差によりワークWの穴Hの中心の位置が僅かにズレている場合には、クランプロッド3とグリップ部材2を穴Hに挿入してクランプするとき、スクレーパ28とOリング52の弾性変形を介して、クランプロッド3とグリップ部材2の軸心が、油圧シリンダ4の軸心からズレることで、前記誤差を吸収することができる。
ワークWの機械加工後に、クランプ装置C,CAをアンクランプ状態に復帰させると、スクレーパ28とOリング52の弾性力により、クランプロッド3とグリップ部材2の軸心が、油圧シリンダ4の軸心と一致するように自動的に復帰する。この場合、クランプロッド3に上下2箇所で弾性力を付与して復帰させるため、クランプロッド3をガタなくスムーズに復帰させることができる。それ故、アンクランプ状態になる毎に、それら両軸心を一致させる復帰作業を手動操作で行う必要がないので、ワークをクランプする作業の作業能率を高めることができる。しかも、Oリング52により、クランプロッド3の大径鍔部34と筒状ピストンロッド44の中径孔49との摺動部分に切粉等の異物が侵入することを確実に防いで、クランプロッド3の軸心方向と直交する方向へ円滑なスライド移動を確実に確保できる。
ところで、グリップ部材2を交換する場合には次のようにして行うことができる。先ず、下部本体部材12と基部本体部材13にボルト締結されている上部本体部材11を取り外す。この場合、上部本体部材11を上方へ移動させて取り外す。そして、上部本体部材11を取り外すと、グリップ部材2は完全に4分割されたものであるため、グリップ部材の各分割部をクランプロッド3と干渉させずに容易に取外すことができる。新たなグリップ部材2を装着する場合には、前記逆の作業で行うことができる。
この実施例2に係るクランプ装置CB,CCについて説明する。このクランプ装置CB,CCは、グリップ部材2のグリップ爪部24Bの構造とワークWの穴HBの構造以外の構成については実施例1のクランプ装置C,CAと同様であるので、同様の構成については主要構成要素に同一符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図5〜図7に示すように、このクランプ装置CB,CCでは、ワークWの穴HBは、クランプ本体1に向かって徐々に小径化するテーパ穴に形成されている。穴HBの軸心と直交する平面における断面形状は円形である。グリップ部材24Bは、テーパ穴に密着状に係合可能なグリップ部24Bであって、クランプ本体1に向かって徐々に小径化するテーパ外周面を有するグリップ部24Bを有する。但し、穴HBの最小直径は、縮径状態のグリップ部材2とクランプロッド3を挿入可能とする大きさに形成されている。前記穴HBが、本体部材1に向かって徐々に小径化するテーパ穴に形成されているため、グリップ性能を高めることができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]実施例1のクランプ装置のように、必ずしも2組のクランプ装置でもってワークをクランプするとは限らず、1組のクランプ装置でクランプしても良いし、3組以上のクランプ装置でクランプしても良い。ワークWの穴H,HBは、袋穴でも良いが、貫通状の穴でも良い。
2]前記ワークWの穴H,HBの内周面にグリップ部材のグリップ爪と噛み易くする為の1又は複数の円周状の浅い凹溝を形成しても良い。
3]その他、当業者ならば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記実施例に種々の変更を不可した形態で実施することができ、本発明はそれらの変更形態も包含するものである。
本発明の実施例1に係る2組のクランプ装置の平面図である。 図1のII−II線断面図である。 図2の左側のクランプ装置の断面図である。 図2の右側のクランプ装置の断面図である。 実施例2に係る図2相当図である。 実施例2に係る図3相当図である。 実施例2に係る図4相当図である。
符号の説明
W ワーク
H,HB 穴
C,CA,CB,CC クランプ装置
1 本体部材
2 グリップ部材
3 クランプロッド
4 油圧シリンダ
5 環状受圧部材
18 着座面
19,19A 位置決め用嵌合部
20 位置決め用嵌合凹部
24,24B グリップ部

Claims (6)

  1. クランプ対象物であるワークの穴に挿入後拡径された状態で穴の内周面をグリップ可能なグリップ部材と、このグリップ部材に内嵌係合させたテーパ軸部を有するクランプロッドと、前記グリップ部材とクランプロッドとを軸心方向へ進退駆動可能な流体圧シリンダとを有するクランプ装置において、
    前記グリップ部材とクランプロッドと流体圧シリンダとが付設されるクランプ本体と、
    前記クランプ本体のワーク側端部のうちの、前記グリップ部材とクランプロッドの外周側部分に形成された位置決め用嵌合部であって、前記ワークに形成された位置決め用嵌合凹部に嵌合してワークを位置決めする位置決め用嵌合部とを備えたことを特徴とするクランプ装置。
  2. 前記クランプ本体のうちの前記位置決め用嵌合部のワークと反対側の基端部の外周側部分に、クランプロッドと直交する方向と平行に形成されてワークを着座可能な着座面を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
  3. 前記位置決め用嵌合部は、外周形状が円形の円環状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクランプ装置。
  4. 前記位置決め用嵌合凹部は、前記ワークの穴と同心状に形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のクランプ装置。
  5. 前記ワークの穴は前記クランプ本体に向かって徐々に小径化するテーパ穴に形成され、
    前記グリップ部材は、前記テーパ穴に密着状に係合可能なグリップ部であって、前記クランプ本体に向かって徐々に小径化するテーパ外周面を有するグリップ部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のクランプ装置。
  6. 前記位置決め用嵌合部は、前記外周形状と同じ直径を有し且つ前記軸心を挟んで対向する位置に形成された1対の部分円筒部と、この1対の部分円筒部以外の部分に形成された部分円筒部より小径の1対の小径部とを有する請求項3に記載のクランプ装置。
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