JP2010136552A - Dc/dcコンバータ装置及びdc/dcコンバータの駆動方法 - Google Patents

Dc/dcコンバータ装置及びdc/dcコンバータの駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチング素子のスイッチングオン時間のばらつきの影響を低減するDC/DCコンバータの駆動方法を提供する。
【解決手段】スイッチングオン時間tonに対応する駆動信号のオン時間Tonが閾値時間Tthより短い時間となったときに、3相の相アームUA、VA、WAを交替駆動から同時にスイッチングする全相同時駆動とを切り替えるコンバータ制御部48を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、1次側と2次側との間に、スイッチング素子を有し電圧変換を行う複数の相アームが並列的に接続されたDC/DCコンバータ装置及びDC/DCコンバータの駆動方法に関する。
従来から、図11に示すように、充電により再生できない1次電池3を一の電源とし、前記1次電池3よりも電圧の低い充放電可能な2次電池4を他の電源として準備し、該2次電池4と前記1次電池3との間に双方向性のDC/DCコンバータ5を配し、1次電池3の電圧と2次電池4を昇圧した電圧によりインバータ1を通じてモータ2を駆動するDC/DCコンバータ装置6が提案されている(特許文献1の第10図)。
この場合、2次電池4は、1次電池3及び(又は)モータ2の回生電源をDC/DCコンバータ5により降圧した電圧により充電される。
このDC/DCコンバータ装置6では、スイッチング素子7、8を、デッドタイムを挟んで駆動信号により交互にオンオフさせている(特許文献1の第9図)。
国際公開第2002/093730号パンフレット
ところで、DC/DCコンバータでは、高圧側の電圧に対する低圧側の電圧の比の値が、スイッチング素子の駆動信号のデューティ(駆動デューティ)[{Ton/(Ton+Toff)}=(Ton/T){Tonはオン期間(オン時間)、Toffはオフ期間(オフ時間)、Tはスイッチング周期(T=Ton+Toff)}]対応しているが、スイッチング素子に供給される駆動信号の駆動デューティが一定であっても、スイッチング素子のオン時間(tonという。)がばらつく場合があるということが分かった。
スイッチング素子のオン時間がばらつくとDC/DCコンバータ装置の出力電圧の安定性が低下する等、制御性が低下する。
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、スイッチング素子のオン時間のばらつきの影響を低減することを可能とするDC/DCコンバータ装置及びDC/DCコンバータの駆動方法を提供することを目的とする。
この発明に係るDC/DCコンバータ装置は、1次側と2次側との間に、それぞれスイッチング素子を有し電圧変換を行う複数の相アームが並列的に接続されたDC/DCコンバータ装置であって、前記スイッチング素子のスイッチングオン時間が閾値時間より長い時間であるときに複数の前記相アームを交替してスイッチングする交替駆動と、前記スイッチングオン時間が前記閾値時間より短い時間であるときに複数の前記相アームを同時にスイッチングする全相同時駆動と、を切り替える制御部を備えることを特徴とする。
また、この発明に係るDC/DCコンバータの駆動方法は、1次側と2次側との間に、それぞれスイッチング素子を有し電圧変換を行う複数の相アームが並列的に接続されたDC/DCコンバータの駆動方法であって、前記スイッチング素子のスイッチングオン時間が閾値時間より長い時間であるときに複数の前記相アームを交替してスイッチングする交替駆動過程と、前記スイッチングオン時間が前記閾値時間より短い時間であるときに複数の前記相アームを同時にスイッチングする全相同時駆動過程と、を切り替えることを特徴とする。
この場合、前記閾値時間は、前記各スイッチング素子のスイッチングオン時間のばらつきが許容範囲内になる時間に設定することが好ましい。
この発明によれば、スイッチングオン時間が閾値時間より短い時間となったときに、DC/DCコンバータの相アームを交替駆動から全相同時駆動に切り替えるようにしたので、スイッチング素子のスイッチングオン時間のばらつきによる制御性の低下を抑制することができる。
以下、この発明に係るDC/DCコンバータの駆動方法を実施するDC/DCコンバータ装置が適用された車両等の実施形態について図面を参照して説明する。
A.全体的な構成の説明
[全体構成]
図1は、この実施形態に係る燃料電池車両10の概略全体構成図を示している。
この燃料電池車両10は、基本的には、1次側1Sに1次電圧V1を発生する第1直流電源装置としてのバッテリ12と2次側2Sに2次電圧V2を発生する第2直流電源装置としての燃料電池(Fuel Cell)14とから構成されるハイブリッド直流電源装置と、このハイブリッド直流電源装置から電力が供給される負荷である走行用のモータ16とから構成される。
[燃料電池とそのシステム]
燃料電池14は、例えば固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成されたセルを積層したスタック構造にされている。燃料電池14には、反応ガス供給部18が配管を通じて接続されている。反応ガス供給部18は、一方の反応ガスである水素(燃料ガス)を貯留する水素タンクと、他方の反応ガスである空気(酸化剤ガス)を圧縮するコンプレッサを備えている。反応ガス供給部18から燃料電池14に供給された水素と空気の燃料電池14内での電気化学反応により生成された発電電流がモータ16とバッテリ12に供給される。
燃料電池システム11は、燃料電池14及び反応ガス供給部18とこれらを制御する燃料電池制御部(FC制御部)44とから構成される。
[DC/DCコンバータ]
DC/DCコンバータ20は、一方側が1次側1Sに接続されたバッテリ12に接続され、他方側が燃料電池14とモータ16との接続点である2次側2Sに接続されたチョッパ型の電圧変換装置である。
DC/DCコンバータ20は、1次電圧V1を2次電圧V2(V1≦V2)に電圧変換(昇圧変換)するとともに、2次電圧V2を1次電圧V1に電圧変換(降圧変換)する昇降圧型の電圧変換装置である。
[インバータとモータ及びドライブ系]
インバータ22は、3相フルブリッジ型の構成とされて、直流/交流変換を行い、直流を3相の交流に変換してモータ16に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流を2次側2SからDC/DCコンバータ20を通じて1次側1Sに供給し、バッテリ12を充電等する。
モータ16は、トランスミッション24を通じて車輪26を回転する。なお、実際上、インバータ22とモータ16を併せて負荷23という。
[高圧バッテリ]
1次側1Sに接続される高圧(High Voltage)のバッテリ12は、蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えばリチウムイオン2次電池又はキャパシタ等を利用することができる。この実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。
[各種センサ、メインスイッチ及び通信線]
メインスイッチ(電源スイッチ)34と各種センサ36が統括制御部40に接続される。メインスイッチ34は、燃料電池車両10及び燃料電池システム11をオン(起動又は始動)オフ(停止)するイグニッションスイッチとしての機能を有する。各種センサ36は、車両状態及び環境状態等の状態情報を検出する。通信線38としては、車内LANであるCAN(Controller Area Network)等が使用される。
[制御部]
通信線38に対して、統括制御部40、FC制御部44、モータ制御部46、コンバータ制御部48、及びバッテリ制御部52が相互に接続される。DC/DCコンバータ20と、このDC/DCコンバータ20を制御するコンバータ制御部48とによりDC/DCコンバータ装置50が形成される。
各制御部40、44、46、48、52は、それぞれマイクロコンピュータを含み、メインスイッチ34等の各種スイッチ及び各種センサ36の状態情報を検出するとともに制御部40、44、46、48、52同士で共有し、これらスイッチ及びセンサからの状態情報及び互いに他の制御部からの情報(指令等)を入力とし、各CPUがメモリ(ROM)に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する機能実現部(機能実現手段)として動作する。制御部40、44、46、48、52は、CPU、メモリの他、必要に応じて、タイマ、A/D変換器、D/A変換器等の入出力インタフェースを有する。
B.詳細な構成の説明
[DC/DCコンバータ装置]
図2は、DC/DCコンバータ20の詳細な構成を示している。DC/DCコンバータ20は、1次側1Sと2次側2Sとの間に配される3相の相アームUA、VA、WAと、リアクトル90とから構成される。
U相アームUAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子81uとダイオード83u)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82uとダイオード84u)とで構成される。
V相アームVAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子81vとダイオード83v)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82vとダイオード84v)とで構成される。
W相アームWAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子81wとダイオード83w)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82wとダイオード84w)とで構成される。
上アームスイッチング素子81u、81v、81wと下アームスイッチング素子82u、82v、82wには、それぞれ例えばMOSFET又はIGBT等が採用される。
リアクトル90は、各相アームUA、VA、WAの中点(共通接続点)とバッテリ12の正極との間に挿入され、DC/DCコンバータ20により1次電圧V1と2次電圧V2との間で電圧を変換する際に、エネルギを放出及び蓄積する作用を有する。
上アームスイッチング素子81u、81v、81wは、コンバータ制御部48から出力されるゲート駆動信号(駆動電圧)UH、VH、WHのハイレベルによりオンにされ、下アームスイッチング素子82u、82v、82wは、ゲート駆動信号(駆動電圧)UL、VL、WLのハイレベルによりそれぞれオンにされる。なお、コンバータ制御部48は、1次側平滑コンデンサ94に並列に設けられた電圧センサ91により1次電圧V1を検出し、電流センサ101により1次電流I1を検出し、2次側平滑コンデンサ96に並列に設けられた電圧センサ92により2次電圧V2を検出し、電流センサ102により2次電流I2を検出する。
[DC/DCコンバータ装置の動作]
この実施形態において、DC/DCコンバータ装置50は、3相アーム交替駆動動作又は全相同時駆動動作で動作する。
(3相アーム交替駆動動作:3相交替駆動又は3相運転ともいう。)
図3のタイムチャートは、DC/DCコンバータ装置50の3相アーム交替駆動動作の説明図である。
降圧動作(回生動作)に係る降圧チョッパ制御では、負荷23や燃料電池14から流れ出す2次電流I2がDC/DCコンバータ20を通過して1次電流I1としてバッテリ12を充電等する。昇圧動作(力行動作)に係る昇圧チョッパ制御では、バッテリ12から流れ出す1次電流I1がDC/DCコンバータ20を通過し2次電流I2としてモータ16を含む負荷23を駆動する。
スイッチング周期を2π=T、上下アームスイッチング素子81、82に対してハイレベルの駆動信号が送信される期間をTonとすると、デッドタイムdtを無視すれば、降圧チョッパ制御での駆動デューティ(ONデューティ)は、(1)式で表され、昇圧チョッパ制御での駆動デューティは、(2)式で表される。
Ton/T=V1/V2 …(1)
Ton/T=(1−V1/V2) …(2)
駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLの波形中、ハッチングを付けた「ON」と表示している期間Tonは、駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLが供給されているアームスイッチング素子(例えば、駆動信号UHに対応するアームスイッチング素子は上アームスイッチング素子81u)が通流している(電流が流れている)期間を示している。ハッチングを付けていない「ON」と表示している期間(期間はTonに等しい)は、駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLが供給されているアームスイッチング素子(例えば、駆動信号ULに対応するアームスイッチング素子は下アームスイッチング素子82u)が通流していない(電流が流れていない)期間を示している。
DC/DCコンバータ20の降圧チョッパ制御及び昇圧チョッパ制御のいずれの動作の場合にも、1スイッチング周期2π毎に、同じ相の上アームスイッチング素子81(81u〜81w)及び下アームスイッチング素子82(82u〜82w)にハイレベルの駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLを出力する。また、駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLは、UVW相を交替(ローテーション)して出力する。降圧チョッパ制御では、駆動信号UH、VH、WHにより上アームスイッチング素子81(81u〜81w)を通流させ、昇圧チョッパ制御では、駆動信号UL、VL、WLにより下アームスイッチング素子82(82u〜82w)を通流させる。
この場合、上下アームスイッチング素子81、82間が同時に通流して2次電圧V2が短絡することを防止するために、各駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLは、それぞれデッドタイムdtを挟んでハイレベルの「ON」とするようにしている。すなわち、デッドタイムdtを挟んで、いわゆる同期スイッチングを行っている。
降圧チョッパ制御では、まず、駆動信号UHにより上アームスイッチング素子81u(U相)のみが通流している期間には、2次電流I2が上アームスイッチング素子81uを通じてリアクトル90に1次電流I1として流れ、リアクトル90にエネルギが蓄積されるとともに、バッテリ12に充電される。
次に、駆動信号ULのみがハイレベルとなっている期間には、当該下アームスイッチング素子82uは通流せず、ダイオード84u、84v、84wが導通してリアクトル90に蓄積されているエネルギが放出され、バッテリ12に充電される。以下、同様に、V相、W相と繰り返す。
昇圧チョッパ制御では、まず、駆動信号UL(U相)のみがハイレベルとされている期間(ハッチングで示す期間)には、バッテリ12からの1次電流I1によりリアクトル90にエネルギが蓄積される。なお、このとき、2次側平滑コンデンサ96から負荷23に電流が供給されている。
次に、駆動信号VH(V相)のみがハイレベルとされている期間には、当該上アームスイッチング素子81vは通流せず、ダイオード83u、83v、83wが導通してリアクトル90に蓄積されているエネルギが放出され、リアクトル90からの1次電流I1がDC/DCコンバータ20を通過し、2次電流I2として2次側平滑コンデンサ96を充電するとともに、負荷23に供給される。以下、同様にV相、W相と繰り返す。
このように、3相アーム交替駆動動作では、U相アームUAと、V相アームVAと、W相アームWAとが交替してスイッチングする。
この3相アーム交替駆動動作では、上アームスイッチング素子81u、81v、81w及び下アームスイッチング素子82u、82v、82wが同時にオンされることがなく、かつ異なる相アームUA、VA、WAが同時にオンされることがない。したがって、常時、多くても1つのスイッチング素子がオン状態とされるのみである。よって、放熱性に優れる(放熱設計が容易である)。結果として、DC/DCコンバータ装置50の大きさを小型化し、かつ重量を軽量化することができる。
(全相同時駆動動作:全相アーム同時駆動動作ともいう。)
上述の3相アーム交替駆動動作では、上下アームスイッチング素子81、82に供給される駆動デューティ{Ton/(Ton+Toff)}={Ton/T}(Ton:オン期間、Toff:オフ期間、T=Ton+Toff:スイッチング周期)が一定であっても、換言すれば、スイッチングオン期間Tonが一定であっても、上下アームスイッチング素子81、82のオン時間tonが短くなってくると、上下アームスイッチング素子81、82のオン時間tonがばらつく場合があるということが分かった。
上下アームスイッチング素子81、82のオン時間tonがばらつくと、制御性能が低下する。例えば、2次電圧V2を所定値に制御しようとする場合に、2次電圧V2の安定性が低下する等の不都合が発生する。この不都合(制御性の低下)を抑制するために、全相同時駆動動作を行うことが有効である。そこで、この全相同時駆動動作について説明する。
図4のタイムチャートは、DC/DCコンバータ装置50の全相同時駆動動作の説明図である。
図4から分かるように、全相同時駆動動作では、U相アームUAとV相アームVAとW相アームWAの3相アームを同時にスイッチングする。
DC/DCコンバータ20の降圧チョッパ制御の場合、1スイッチング周期T=2π毎に、同時にUVW全相の上アームスイッチング素子81(81u、81v、81w)にハイレベルの駆動信号UH、VH、WHを出力し、昇圧チョッパ制御の場合、1スイッチング周期T=2π毎に、同時にUVW全相の下アームスイッチング素子82(82u、82v、82w)にハイレベルの駆動信号UL、VL、WLを出力する。
この場合、降圧チョッパ制御では、ハッチングを付けた領域で上アームスイッチング素子81(81u〜81w)を通流させ、昇圧チョッパ制御では、ハッチングを付けた領域で下アームスイッチング素子82(82u〜82w)を通流させる。
すなわち、全相同時駆動動作では、U相アームUAと、V相アームVAと、W相アームWAとが同時にオン、オフを繰り返して同期スイッチングする。
ここで、上下アームスイッチング素子81、82のオン時間(スイッチングオン時間)tonが短いと判断するときの閾値時間をTthとする。実際上、この閾値時間Tthには、図5に示すように、第1閾値時間Tth1と第2閾値時間Tth2とを設け、ヒステリシスを持たせることが好ましい(Ton=Tth1<Tth2)。
ヒステリシスを持たせることで、制御切り替え時の切り替えチャタリングが発生することを防止し、切り替え制御を安定化させることができる。
なお、以下の説明においては、繁雑さを回避するために、1つの閾値時間Tth(Tth=Tth1=Tth2)によって3相アーム交替駆動と全相同時駆動とを切り替えるものとする。
C.動作説明
次に、上下アームスイッチング素子81、82のオン時間tonに応じて3相アーム交替駆動と全相同時駆動とを切り替えるDC/DCコンバータ20の駆動方法が適用されたDC/DCコンバータ装置50の動作について図6のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1において、コンバータ制御部48は、統括制御部40から送出された2次電圧指令値V2comを受領する。
ここで、統括制御部40は、燃料電池14の状態、バッテリ12の状態、モータ16の状態、及び図示しない補機の状態の他、各種センサ36からの入力(負荷要求)に基づき決定した燃料電池車両10の総負荷要求量から、燃料電池14が負担すべき燃料電池分担負荷量(要求出力)と、バッテリ12が負担すべきバッテリ分担負荷量(要求出力)と、回生電源が負担すべき回生電源分担負荷量の配分(分担)を調停しながら決定し、FC制御部44、モータ制御部46及びコンバータ制御部48に指令を送出する。
ここで、燃料電池分担負荷量を決定する場合には、燃料電池14の効率が考慮される。また、燃料電池14は、概ね発電電流の増加に対して発電電圧が低下する個々の燃料電池14に対応した特性(I−V特性)を有しているが、この特性は、予め測定されて統括制御部40のメモリに記憶される。なお、実際には、燃料電池14の運転・停止の繰り返し時間、周囲温度等により前記特性が変動するので、特性は、燃料電池車両10の使用中に測定しながら更新することが好ましい。
ステップS2において、コンバータ制御部48では、電圧センサ92により検出される2次電圧V2が、統括制御部40から受領した2次電圧指令値V2comとなるスイッチング素子の駆動デューティTon/Tを算出する。
そして、そのステップS2において、コンバータ制御部48は、算出した駆動デューティTon/Tのハイレベル期間Tonが閾値時間Tth以下の時間であるかどうかを判断する(Ton≦Tth)。なお、フローチャートでの処理は、駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLのハイレベル期間Tonを上下アームスイッチング素子81、82のオン時間(スイッチングオン時間)tonとみなしている。
算出した駆動デューティTon/Tのハイレベル期間Tonが閾値時間Tth以下の時間である場合、コンバータ制御部48は、ステップS3において、全相同時駆動でDC/DCコンバータ20を駆動し、その一方、閾値時間Tthを上回る時間である場合には、ステップS4において、3相交替駆動でDC/DCコンバータ20を駆動する。
ここで、この実施形態において、スイッチングオン時間tonが比較的に短いときに閾値時間Tthを設定する意義について、仮想図を用いて説明する。
図9の仮想図(比較例)において、スイッチングオン時間tonが比較的に短いときには、駆動信号UHのハイレベル期間Tonが一定であっても、例えば、上アームスイッチング素子81uの前々回スイッチング周期での駆動時(前々回駆動時)には、スイッチングオン時間ton3のスイッチング波形Sf3になり、前回スイッチング周期での駆動時(前回駆動時)には、スイッチングオン時間ton2のスイッチング波形Sf2になり、今回スイッチング周期での駆動時(今回駆動時)には、スイッチングオン時間ton1のスイッチング波形Sf1になる。
すなわち、同一の上アームスイッチング素子81uにスイッチング周期T毎に同一のハイレベル期間Tonを有する駆動信号UHを印加しても、スイッチング周期T毎にスイッチングオン時間tonがばらついてしまう場合があることが分かった(図9において、ton1<ton3<ton2)。
なお、スイッチングオン時間ton1、ton2、ton3は、それぞれ、便宜的に、スイッチング波形Sf1、Sf2、Sf3の波高値の1/2の振幅値での値を採っている。
図9の仮想図(比較例)に示したように、上アームスイッチング素子81uの駆動信号UHのハイレベル期間Tonが一定であるにもかかわらず、駆動時点毎に、実際のスイッチングオン時間tonがばらつくと、制御電圧である2次電圧V2がふらつく等、制御性が低下する。
また、図10の仮想図(比較例)に示すように、例えば、同一仕様の上アームスイッチング素子81uと上アームスイッチング素子81vであっても、閾値時間Tth以下の駆動信号UH、VHのハイレベル期間Tonの変化に対して、実際のスイッチングオン時間tonが、リニア(線形)でなく、特性181u(上アームスイッチング素子81uの仮想の特性)、特性181v(上アームスイッチング素子81vの仮想の特性)に示すように、ばらつく。なお、ハイレベル期間Tonが閾値時間Tthを上回ると、スイッチングオン時間tonは、上アームスイッチング素子81uと81vとで同一になりリニアに変化する。
そこで、制御性を改善するために、特性181u、181vを考慮して、駆動信号UH、VHのハイレベル期間Tonが長いほうから短くなってきて閾値時間Tthに等しくなったとき(ステップS2:YES)、ステップS4の3相アーム交替駆動動作(3相交替駆動動作)からステップS3の全相同時駆動に移行させる。
すなわち、駆動信号UH、VH、WHのハイレベル期間Ton(スイッチングオン時間tonと同定)が、閾値時間Tthより短いと判断したとき、3相アームUA、VA、WAを全相同時駆動(同時スイッチング)にすることで、上アームスイッチング素子81u、81v、81w中、或いは下アームスイッチング素子82u、82v、82w中のスイッチングオン時間tonの長い側にスイッチングオン時間tonがオフセットされてばらつき幅が小さくなり、制御性を向上できる。
この制御性の向上の具体例について、図9、図10の比較例の仮想図に対応する図7、図8の実施例の仮想図により説明する。
図7の仮想図(実施例)において、駆動信号、前々回駆動時、前回駆動時、今回駆動時の各波形は、図9の仮想図(比較例)と同じものである。この仮想図では、全相同時駆動時の合成スイッチング波形Sfsは、最も立ち上がり時点の早い前々回駆動時のスイッチング波形Sf3で立ち上がり、最も立ち下がり時点の遅い前回駆動時のスイッチング波形Sf2で立ち下がる波形となる。
この場合、図8の仮想図(実施例)に示すように、閾値時間Tth以下の駆動信号UH、VHのハイレベル期間Tonの変化に対して、実際のスイッチングオン時間tonが、実線で示す特性181sとなり(スイッチングオン時間tonの長い方にオフセットし)、リニアな線に対するばらつき幅が、概ねばらつき時間Δrから半分程度のばらつき時間Δsに小さくなることが分かる。これにより、スイッチングオン時間tonのばらつきが小さくなる。よって、制御性が向上する。
以上説明したように、上述した実施形態によれば、1次側1Sと2次側2Sとの間に、それぞれ上下アームスイッチング素子81、82を有し電圧変換を行う3相の相アームUA、VA、WAが並列的に接続されたDC/DCコンバータ装置50であって、前記上下アームスイッチング素子81、82のスイッチングオン時間ton(上記実施形態では、Tonをtonとみなしている。)が閾値時間Tthより長い時間であるとき、3相の相アームUA、VA、WAを駆動信号(UH、VH、WH又はUL、VL、WL)により交替してスイッチングする交替駆動(図3参照)と、スイッチングオン時間tonが閾値時間Tthより短い時間であるとき、3相の相アームUA、VA、WAを前記駆動信号(図3の駆動信号UH、VH、WH又はUL、VL、WL)とは異なるタイミングの駆動信号(図4の駆動信号UH、VH、WH又はUL、VL、WL)により同時にスイッチングする全相同時駆動(図4)と、をコンバータ制御部48により切り替えるようにしている。
このように切り替えることで、上下アームスイッチング素子81、82のスイッチングオン時間tonのばらつきによる制御性の低下や各上下アームスイッチング素子81、82の毎回のスイッチングオン時間tonの影響による制御性の低下を抑制することができる。換言すれば、上下アームスイッチング素子81、82のばらつきの影響が低減され制御性が向上する。
この場合、閾値時間Tthは、3相の相アームUA、VA、WAに供給される駆動信号UH、VH、WH、UL、VL、WLの駆動時間Tonが同一であるときの各上下アームスイッチング素子81、82のスイッチングオン時間tonのばらつきが許容範囲内になる、例えば、最も短い時間に設定することが好ましい。
また、上下アームスイッチング素子81、82のスイッチング時間tonについてのリニアリティが悪化する領域{図8に示す、閾値時間Tthに対応するスイッチング時間tonより短い領域}から3相アーム交替駆動から全相同時駆動に切り替えるようにしてもよい。
さらに、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、1次側1Sと2次側2Sとの間に複数の相アーム、すなわち、2相アーム以上のDC/DCコンバータ装置に適用する等、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
この発明の一実施形態に係る燃料電池車両の概略全体構成図である。 この実施形態に係るDC/DCコンバータの詳細な構成を示す回路図である。 3相アーム交替駆動動作の説明に供されるタイムチャートである。 全相同時駆動動作の説明に供されるタイムチャートである。 ヒステリシス制御の説明図である。 この実施形態に係るDC/DCコンバータの駆動方法の説明に供されるフローチャートである。 実施例に係る全相同時駆動を説明するスイッチング波形図である。 実施例に係るスイッチングオン時間のばらつきの説明図である。 比較例に係る3相ローテーション駆動時のスイッチング波形図である。 比較例に係るスイッチングオン時間のばらつきの説明図である。 従来技術に係るDC/DCコンバータ装置の回路図である。
符号の説明
10…燃料電池車両 11…燃料電池システム
12…バッテリ 14…燃料電池
16…モータ 20…DC/DCコンバータ
48…コンバータ制御部 50…DC/DCコンバータ装置

Claims (3)

  1. 1次側と2次側との間に、それぞれスイッチング素子を有し電圧変換を行う複数の相アームが並列的に接続されたDC/DCコンバータ装置であって、
    前記スイッチング素子のスイッチングオン時間が閾値時間より長い時間であるときに複数の前記相アームを交替してスイッチングする交替駆動と、前記スイッチングオン時間が前記閾値時間より短い時間であるときに複数の前記相アームを同時にスイッチングする全相同時駆動と、を切り替える制御部
    を備えることを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
  2. 請求項1記載のDC/DCコンバータ装置において、
    前記閾値時間は、前記各スイッチング素子のスイッチングオン時間のばらつきが許容範囲内になる時間に設定する
    ことを特徴とするDC/DCコンバータ装置。
  3. 1次側と2次側との間に、それぞれスイッチング素子を有し電圧変換を行う複数の相アームが並列的に接続されたDC/DCコンバータの駆動方法であって、
    前記スイッチング素子のスイッチングオン時間が閾値時間より長い時間であるときに複数の前記相アームを交替してスイッチングする交替駆動過程と、
    前記スイッチングオン時間が前記閾値時間より短い時間であるときに複数の前記相アームを同時にスイッチングする全相同時駆動過程と、を切り替える
    ことを特徴とするDC/DCコンバータの駆動方法。
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