JP2010135648A - プレドープ型蓄電デバイス及びそれに使用する負極材料 - Google Patents

プレドープ型蓄電デバイス及びそれに使用する負極材料 Download PDF

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Abstract

【課題】負極材料のメソ・マクロ孔比表面積を規定することで、蓄電デバイスの特性改善を図る。
【解決手段】リチウムイオンをドープ、脱ドープする負極材料のメソ・マクロ孔表面積を所定範囲に規定する。かかる負極材料が、負極活物質の場合にはそのメソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上〜35m2/g以下となるように調製する。また、活物質以外にリチウムイオンをドープ、脱ドープする導電助剤等の炭素材料が負極材料に含まれる場合には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が上記範囲にあればよいとする。リチウムイオン蓄電デバイスの直流抵抗を低減し、高負荷充放電におけるエネルギー密度の向上、低温特性の向上が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は蓄電デバイスの技術に関し、特にリチウムイオンを予め負極にドープするプレドープ型蓄電体に適用して有効である。
以下に説明する技術は、本発明を完成するに際し、本発明者によって検討されたものであり、その概要は次のとおりである。
近年、車社会の排気ガス等の大気に対する環境問題が、クローズアップされている。かかる中、環境にやさしい電気自動車等の開発が行われている。電気自動車の開発に当たっては、特に電源となる蓄電デバイスの開発が盛んである。旧来の鉛蓄電池に代わり、種々の形式の蓄電デバイスが提案されている。
蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタを含めたハイブリッドキャパシタ等の蓄電デバイスが、現在、注目を集めている。一部には、実際の車両にも搭載され、その実用化に向けての実施試験も行われている。しかし、一方では、かかる蓄電デバイスについて、さらなる要素技術の開発も進められている。
上記要素技術の開発としては、例えば、蓄電デバイスの負極材料の技術開発が挙げられる。特許文献1には比表面積が0.01〜50m2/g、全メソ孔容積が0.005〜1.0cc/g、細孔直径100〜400Å(10〜40nm)のメソ孔容積が全メソ孔容積の25%以上を占める炭素材料が、蓄電デバイスの負極活物質として開示されている。かかる負極活物質を用いることで、高エネルギー、高出力、さらには良好な低温特性が得られることが記載されている。
特許文献2には、リチウムイオンキャパシタにおいて、負極活物質粒子の50%体積累積径を0.1〜2.0μmにすることで低温特性が改善できることが開示されている。また、特許文献3には、BET法で求めた比表面積と定義された全比表面積(BET比表面積)、およびBJH法で求めたメソポア領域の比表面積が10〜40m2/gの範囲で、全比表面積に対する上記メソポア領域の比表面積の比が0.7以上である炭素材料が開示されている。かかる炭素材料を、リチウムイオン二次電池の負極活物質に用いることで、パワー特性が向上すると記載されている。
WO 2006/118120 A1 特開2006−303330号公報 特開2007−91557号公報
上記の如く、電極を構成する活物質のメソ孔等を種々規定することで、それを使用する蓄電デバイスの特性向上が盛んに研究されている。本発明者も、リチウムイオンをプレドープする構成の蓄電デバイスの性能向上について長年研究してきた。リチウムイオンをドープ、脱ドープする種々の活物質の細孔径等を規定することで、蓄電デバイスの特性向上を図ってきた。しかし、かかる蓄電デバイスでは、未だ十分に満足できる特性改善には至っていない。
かかる中、本発明者は、負極材料のメソ孔比表面積の従来提案の範囲外、さらにはマクロ孔比表面積まで入れた範囲を精査に検証してみることで、より有効な特性発現が得られるのではないかと考えた。
なお、本明細書では、ドープとは、吸蔵、担持、吸着または挿入を意味し、正極にリチウムイオン及び/又はアニオンが入る現象、あるいは負極にリチウムイオンが入る現象を意味する。また、脱ドープとは、放出、脱着、脱離をも意味し、上記ドープの逆の現象をいうものとする。 本発明の目的は、負極材料のメソ・マクロ孔比表面積を規定することで、蓄電デバイスの特性改善を図ることにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。すなわち、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する負極用合材に含まれる負極活物質、あるいは負極活物質と負極活物質以外の物質でリチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する炭素材料等の負極用合材成分において、その重量平均メソ・マクロ孔比表面積(メソ・マクロ孔比表面積の概念を含む場合もある)を特定範囲に規定する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば次のとおりである。すなわち、活物質、あるいは活物質と活物質以外の電極用合材成分において、その重量平均メソ・マクロ孔比表面積を最適化することにより、最小限の比表面積の付与で負極に起因する直流抵抗を最大限に小さくし、ハイパワーにおけるエネルギー密度を高めることができる。これにより比表面積の過剰な付与によるエネルギー密度の低下、入出力特性の低下を抑えることができる。さらには、低温特性をも向上させることができる。因みに、本明細書で言う直流抵抗とは、充放電開始直後に生じる電圧降下における降下電圧と電流値の比を言うものとする。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、負極にリチウムイオンを予めドープする構成のプレドープ型蓄電デバイス、及びそれに使用する電極材料に関する技術である。リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する負極用材料に関するものである。特に、負極活物質、あるいは負極活物質と負極活物質を除くリチウムイオンのドープ、脱ドープを行う負極用合材成分とからなる負極材料に関する。かかる負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を、正確にはメソ・マクロ孔比表面積の概念を含めて、従来とは異なる範囲に規定することで、特段に優れた効果が得られることを見出し本発明となしたものである。
リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する物質が負極活物質のみの場合には重量平均メソ・マクロ孔比表面積(正確にはメソ・マクロ孔比表面積)を、従来提案されている範囲とは異なる所定の範囲に規定することで優れた特性を得ることができる。また、リチウムイオンをドープ、脱ドープする負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積が上記所定範囲外から外れる場合には、リチウムイオンをドープ、脱ドープ可能な導電助剤等の他の物質を混ぜることで、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が所定の範囲に入るようにすれば、優れた特性が得られるのである。かかる新たな知見に基づき、本発明はなされたものである。
すなわち、本発明は、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を、11m2/g以上〜35m2/g以下と規定するものである。より好ましくは、18m2/g以上〜35m2/g以下の範囲に規定するものである。かかる負極材料としては、例えば、負極活物質が挙げられる。さらには、負極活物質と、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する導電助剤等の炭素材料を含めた負極用合材成分とからなる負極材料であっても構わない。
リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する負極材料が活物質のみからなる場合には、活物質のメソ・マクロ孔比表面積が、11m2/g以上〜35m2/g以下であればよい。より好ましくは、18m2/g以上〜35m2/g以下の範囲にあればよい。また、上記の如く、負極活物質以外にも、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与し得る導電助剤等の炭素材料が負極用合材に含まれる場合には、負極活物質と負極活物質以外の導電助剤等の炭素材料との重量平均メソ・マクロ孔比表面積が、11m2/g以上〜35m2/g以下の範囲にあればよい。より好ましくは、18m2/g以上〜35 m2/g以下の範囲にあればよい。
上記負極活物質、あるいは負極活物質と負極活物質を除く負極用合材成分とから構成される負極材料において、そのメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が、11m2/g未満の場合には、かかる負極材料を使用した場合の充放電開始直後に生じる電圧降下における降下電圧と電流値の比である直流抵抗の低減効果は十分に得られない。負極材料による直流抵抗低減効果が蓄電デバイスの特性改善に効果があると見做すためには、少なくとも11m2/g以上が必要と判断された。
勿論、かかるメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、負極材料として何を使用するかでも影響を受ける。しかし、本発明者の検討したこれまで使用されてきた負極材料の範囲内では、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が少なくとも12m2/g以上、あるいは18m2/g以上あれば、直流抵抗低減効果による蓄電デバイスの特性改善が顕著に感得できた。よって、より好ましくは、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、12m2/g以上、18m2/g以上である。
また、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が35 m2/gを超えると、後述するリチウムイオンプレドープというプロセスによって初期不可逆容量を相殺できたとしても、低減した充電時の直流抵抗が逆に増加しだすため好ましくない。さらには負極上で継続的に生じる電解液との不可逆反応が顕著になる結果、充放電バランスのズレに起因したサイクル特性等の寿命特性が低下する等の不都合があり好ましくない。
従って、本発明では、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積の上限を35m2/gと設定するものである。メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が35m2/g以下ならば、直流抵抗の低減効果による蓄電デバイスの特性改善効果が感得できる。さらに、好ましくは30m2/g以下である。
かかる本発明は、負極用合材に含まれる活物質を含む炭素材料等の構成成分のメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積を、リチウムイオンがドープ、脱ドープする際の出入口の数として把握するものである。かかる把握の仕方は、全く新規な捉え方である。さらには、かかる負極材料が、活物質と、活物質以外のリチウムイオンをドープ、脱ドープ可能なカーボンブラック等の導電助剤の機能として用いられる炭素材料等から構成される場合には、メソ・マクロ孔比表面積の表現形式として重量平均メソ・マクロ孔比表面積を用いることも新規な着想で、本発明における特徴的構成の一つでもある。かかる場合には、従来の単なるメソ・マクロ孔比表面積としての表現形式ではないことに注意すべきである。
リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する物質が活物質のみの場合は、メソ・マクロ孔比表面積を用いる。活物質以外に導電助剤等のリチウムイオンのドープ、脱ドープを行う物質がある場合には、重量平均で示すメソ・マクロ孔表面積を用いるのである。すなわち、本発明で言うところの重量平均メソ・マクロ孔表面積は、概念としてメソ・マクロ孔比表面積を含むものである。
このように負極材料のメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定範囲に規定することで、直流抵抗の低減効果を大きくして、最終的にリチウムイオン蓄電デバイスの充電及び放電における高出力化、所謂高入出力化と高エネルギー密度化の両立を図ることができる。低温特性の改善にも顕著な効果を示す。
かかる上記メソ・マクロ孔比表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積の特定範囲に規定される炭素材料において、黒鉛のように異方性を有する材料では、粒子の長径と短径の比で示されるアスペクト比がより1に近いことが好ましい。アスペクト比が1に漸近するにつれメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積とリチウムイオンが出入りするサイトをより定量的に把握することが可能となるためである。しかしながら、リチウムイオンの出入口を考えるに際しては、その出入口に方向性がある場合よりも、方向性がない方がより好ましい。さらには、結晶質よりもアモルファス炭素のような非晶質の方が構造的には好ましいとも言える。
上記構成を有する本発明を、以下、前記従来技術との差異において、詳細に説明する。かかる説明を通して、より本発明の構成が理解されるためである。
すなわち、前記特許文献1は、確かに優れた発明である。かかる構成では、負極炭素材料に導入する細孔は、細孔直径100〜400Å(10〜40nm)の範囲にあるメソ孔容積が、全メソ孔容積の25%以上であることが好ましいと提案されている。
かかる特許文献1に記載の発明は、電解液、およびリチウムイオンの易動性について着目した発明である。規定された細孔サイズの細孔を負極材料に導入することによって、細孔内における電解液およびリチウムイオンの易動性を向上させて、出力特性の向上を図ることを基本思想としている。すなわち、出力特性の向上という目的を達成するための手段として、特許文献1に記載の発明が主張しているものは、細孔サイズとその細孔サイズにおける容積である。
これに対し、本発明では、細孔直径200nmまでのマクロ孔の範囲を含めたメソ・マクロ孔比表面積を含めた重量平均メソ・マクロ孔比表面積をリチウムイオンが負極活物質内部へと出入り可能なサイトの準定量的な数として捉えている。すなわちメソ・マクロ孔比表面積をリチウムイオンの負極への出入りに関わる実効表面積と近似的に捉えるものである。
このように、本発明では、特許文献1、および後述する特許文献3とは異なり、細孔直径が200nmまでのマクロ孔を含めたメソ・マクロ孔比表面積を採用している。材料が有する細孔直径2nm以上における比表面積と、セル特性との関係を精査したところ、その相関は細孔直径が200nmのマクロ孔を含めたメソ・マクロ孔表面積の方が、メソ孔比表面積だけの場合よりも、良好に把握することができることが分かった。マクロ孔を多く有する材料を活物質として用いた場合には、細孔範囲をBJH法で求められる200nmのマクロ孔の領域にまで拡張することで、特性と比表面積との相関が把握できるのである。
メソ・マクロ孔比表面積の絶対値を増加させることで、リチウムイオンの出入りの円滑性を確保することができると考える。かかる出入口を増やすことで、リチウムイオンの出入りの円滑化を図り、入出力特性の向上が得られる。このように、本発明は、リチウムイオンがドープ、脱ドープする際の負極材料の電解液に向けて開けた出入口の数を増やすことにより、入出力特性の改善を図ったものである。細孔内のリチウムイオンの易動性に着目した前者とは基本的に思想が異なる。また、本発明と特許文献1との決定的な違いは、材料が有する細孔径が20Å(2nm)以上であれば、出力特性が細孔径サイズに依存するとはしていない点である。
特許文献2も優れた発明で、負極活物質粒子の50%体積粒子経を0.1〜2.0μmに規定することを特徴としている。さらに、リチウムイオンをプレドープすることにより、負極活物質の微粒化に伴う初期充放電効率の低下を解消し、負極活物質/電解液の反応界面の増大を図っている。かかる構成で、リチウムイオン蓄電装置の低温特性の改善を見込んだものである。
しかし、負極炭素材料の微粒化は、目標とする粒子サイズが小さくなるほど生産性が悪くなる。具体的には粉砕効率の低下、凝集性が強まることによる篩効率の低下、そして電極スラリーの調合時における難分散性等が挙げられる。そのため、活物質の極端な微粒化は粉砕工程および以後の工程において多大な時間と労力を要することとなり、実際の生産現場では俄には採用し難い構成である。また、微粒化された炭素材料は、電極化の際において個々の活物質粒子を結着させるためにバインダ等の電極添加物を多量に必要とする。かかる電極添加物は、蓄電デバイスにおける電極反応を阻害し、充放電時の抵抗成分となるため、その配合量の増加は好ましくない。従って、蓄電デバイスの低温特性は思うようには向上しないものと思料される。
かかる特許文献2に対して、本発明では、負極材料としての活物質を含む炭素材料は、メソ・マクロ孔比表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積が、所定範囲にあればよいとするものである。そのため、電極形成上の不都合さえなければ、特許文献2に記載の如く活物質の平均粒子径、およびその分布を問うことは必要ないのである。
特許文献3に記載の発明も優れた発明である。しかし、活物質のBJH法で求めたメソポア領域の比表面積とBET法で求めた比表面積と定義された全比表面積の比と、充放電特性との関連性に関しては、本発明者の追試の結果では、面積比が0.7以上になるからといって必ずしも充放電特性が向上するとは限らなかった。
さらに、特許文献3にも記載があるが、全比表面積、およびメソポア比表面積の増大は初期充電過程における不可逆容量の増大を招き、エネルギー密度にロスが生じるため好ましくないとある。しかし、かかる特許文献3の記載に関しては、本発明ではセル作製工程中にリチウムイオンをプレドーピングする工程を含ませることで、かかる初期不可逆量の増大による容量ロスを無視できるのである。
また、特許文献3には、負極活物質の上記全比表面積、およびBJH法で求めたメソポア領域の比表面積が10〜40m2/gの範囲で、上記全比表面積に対する上記メソポア領域の比表面積の比を0.7以上にすることが好ましいとある。また、上記全比表面積は10m2/g〜20m2/gがさらに好ましいとしている。しかし、特許文献3に記載の実施例において、上記範囲を満たす材料はメソポア比表面積が13m2/g、および27m2/gである2種の材料のみであり、27m2/g以上の材料についての具体的記述が見られない。そこで、メソポア比表面積が40m2/g以上である材料に対するメソポア比表面積が27m2/gである材料の優位性が不明確であり、またメソポア比表面積が40m2/g以上である材料に対するメソポア比表面積が27m2/g以上〜40m2/g以下の範囲にある材料の優位性も確認することができない。
従って、特許文献3において、上記全比表面積、およびBJH法で求めたメソポア領域の比表面積が10〜40m2/gの範囲でかつ、上記全比表面積に対する上記メソポア比表面積の比を0.7以上とすることで特性の向上を実証できたと真に主張し得るのは、10〜13m2/gの範囲であると思料される。
しかし、本発明では、メソ・マクロ孔比表面積を含めた重量平均メソ・マクロ孔比表面積を規定するもので、特許文献3とは、根本的に違うものである。特に、本発明で述べる重量平均メソ・マクロ孔比表面積とは、[負極活物質の主体である炭素(活物質炭素と呼ぶことにする)のメソ・マクロ孔比表面積と負極合材中に占める活物質炭素重量の積、および導電助剤として添加されるカーボンブラック等の炭素(非活物質炭素と呼ぶことにする)のメソ・マクロ孔比表面積と負極合材中に占めるカーボンブラック等の非活物質炭素重量の積]の和と、[負極合材中に占める前記負極活物質である活物質炭素と前記導電助剤である非活物質炭素との重量の和]との比のことである。
かかるメソ・マクロ孔比表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定の範囲に規定することを、本発明では特徴としているのである。例えば、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積を、11m2/g以上〜35m2/g以下と規定することで、低抵抗でかつ、充電および放電負荷特性に優れたリチウムイオン蓄電デバイス用負極材料を提供することができるのである。
仮に、メソ孔の領域に5m2/gの比表面積を有し、かつメソ・マクロ孔比表面積が5m2/gである負極活物質の活物質炭素が、負極合材中に80g存在する場合を想定する。さらに、メソ・マクロ孔比表面積が80m2/gであるカーボンブラックの非活物質炭素も、負極合材中に20g含まれるものとする。かかる場合には、負極合材中に含まれるリチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は20m2/gとなり、上記12m2/g以上〜35m2/g以下の範囲に入るのである。
しかし、上記想定例の場合では、特許文献3で述べるメソポア領域の比表面積としては5m2/gとなる。本発明の重量平均メソ・マクロ孔比表面積では、上記の如く、20m2/gとなるものである。このように、本発明で述べる重量平均メソ・マクロ孔比表面積と、特許文献3で述べるメソポア領域の比表面積とは、全く異質なものである。
以上の如く、本発明では、負極材料のメソ・マクロ孔比表面積を含めた重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定の範囲に規定することをその特徴的構成として有するものである。かかる結果、リチウムイオンプレドーピング工程の存在により、例えば重量平均メソ・マクロ孔比表面積の多い材料を、不可逆容量のロスをなくして負極として使用できるのである。これにより、広い温度範囲で蓄電デバイスであるセルの直流抵抗の低減を図ることができる。
また、メソ・マクロ孔比表面積を含めた重量平均メソ・マクロ孔比表面積の最適化によりリチウムイオン蓄電源の直流抵抗を低減し、高負荷充放電におけるエネルギー密度、低温特性を向上させることができるのである。さらには、負極活物質粒子の微粒化が不要であるため、電極添加物の増量化を回避でき、エネルギー密度低下の抑制、および材料の生産性向上に資することができるのである。
本発明で使用する負極材料のメソ・マクロ孔等の表現は、国際純正応用化学連合:IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)の分類に従った。すなわち、細孔直径が2nm以下をミクロ孔、2〜50nmをメソ孔、50nmを超えるものをマクロ孔と定義する。また、本発明にかかるメソ・マクロ孔比表面積とは、日本ベル株式会社製自動比表面積/細孔分布測定装置BELSORP-miniIIを用いて77Kにおける窒素吸着法により得られる窒素吸着等温線をBJH(Barrett-Joyner-Halenda)法で解析することで求められる細孔直径が2nm〜50nmの範囲のメソ孔の比表面積と、細孔直径50nm〜200nmの範囲におけるマクロ孔の比表面積の和を意味するものとする。BET比表面積とは、上記窒素吸着等温線をBET(Brunauer-Emmett-Teller)法におけるBET多点法で解析することで得られる比表面積を意味するものとする。
(実施の形態1)
上記リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与するメソ・マクロ孔比表面積を含めた重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上〜35m2/g以下の負極材料について、より詳細に説明する。かかる負極材料を使用する蓄電デバイスとしては、例えば、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン二次電池等を想定する。
上記負極材料としては、負極用合材を構成する活物質が挙げられる。例えば、活物質としての易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素等の炭素材料を挙げることができる。さらには、ポリアセン系物質(PAS)も挙げることができる。易黒鉛化性炭素としては、例えば、石油コークス、石炭ピッチコークス、ポリ塩化ビニル等を原料とする炭素が挙げられる。難黒鉛化性炭素としては、フェノール樹脂、フラン樹脂等を原料とする炭素が挙げられる。また、賦活処理された活性炭も挙げることができる。
負極用合材に活物質と共に混合され、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する物質としては、例えば、導電助剤等を挙げることができる。導電助剤のうち、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する物質としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛微粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の導電性炭素材料を挙げることができる。
さらには、かかる負極用合材を構成する活物質に導電助剤以外の目的で添加する物質も、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与するものであれば、その物質も本発明で言う重量平均メソ・マクロ孔比表面積で考慮すべき負極材料として挙げることができる。また、上記重量平均メソ・マクロ孔比表面積で表示対象となる物質は、上記炭素材料以外でも可能である。例えば、元来等方性でかつ非晶質であるSiOxで示されるSiO2やSiO等の酸化ケイ素や、リチウムイオンをドーピングすることでその材料の結晶構造が乱れ、非晶質化する金属ケイ素やスズ等の材料を挙げることができる。金属ケイ素等のリチウムイオンのドーピングに伴う結晶構造の乱れは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いてリチウムイオンのドープ前後における材料の結晶像を観察することで確認可能である。
かかる負極材料は、例えば、次のようにして調製することができる。例えば、負極活物質の原料には、市販のカーボンブラックと、フェノール樹脂等からなる炭素前駆体を用いる。かかるカーボンブラックと炭素前駆体を加熱ニーダー等を用いて混捏する。その後、非酸化性雰囲気中で焼成、あるいは黒鉛化する。焼成に際しては、焼成材料に応じて、例えば800〜3200℃の温度範囲で適宜に温度を選択して行えばよい。このようにして焼成、あるいは黒鉛化した後で、粉砕する。粉砕後、再度焼成、あるいは黒鉛化を行っても構わない。粉砕に際しては、例えば、平均粒子径(D50%)が電極化に際して不都合のない範囲に入るようにすればよい。粉砕粒子の平均粒子径(D50%)は、株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950で測定した値とする。このようにして得られた活物質粒子はカーボンブラックが炭素材で結着された微粒子の集合体を形成しており、特定の細孔構造を有する多孔質の炭素材料及び黒鉛材料に構成されている。
また、炭素前駆体としては、上記のフェノール樹脂以外にも、例えば、石油または石炭系のピッチ、あるいは上述のフェノ−ル樹脂、フラン樹脂、ジビニルベンゼン等の樹脂が使用でき、これらを一種または二種以上混合したものが使用できる。このようにして得られた負極活物質に、アセチレンブラック等の導電助剤を適宜量加えることで、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が所定範囲に入る負極材料が調製できる。かかる負極材料を、例えばバインダ等と混合して負極用合材を形成すればよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、前記実施の形態で述べた負極材料を用いた蓄電デバイスについて説明する。かかる蓄電デバイスとしては、例えば、リチウムイオンキャパシタに構成することができる。さらには、蓄電デバイスをリチウムイオン二次電池に構成することもできる。
図1は、蓄電デバイスをリチウムイオンキャパシタに構成した場合の電極構成の概略を模式的に示した図である。図1に示すように、蓄電デバイスは、例えば、積層型のリチウムイオンキャパシタAに構成されている。かかるリチウムイオンキャパシタAは、リチウム極10と、正極20と、負極30とを有している。複数の正極20、負極30が、セパレータ40を介して交互に積層されている。かかる積層構成の外側には、負極30が配置されている。かかる負極30に対面して、リチウム極10が、セパレータ40を介して設けられている。このようにして、積層ユニットが形成されている。かかる積層ユニットは、図示はしないが、電解液に浸されている。
リチウム極10は、図1に示すように、リチウムイオン供給源11として例えば金属リチウム11aが、所定層厚で集電体12上に設けられている。正極20は、正極用合材21が、集電体22上に所定層厚で設けられている。負極30も、負極用合材31が、所定層厚で集電体32上に設けられている。かかる集電体22、32には、図1に示すように、表裏に貫通する孔が設けられて多孔に構成されている。
また、正極20では、集電体22から引き出されて正極端子23が設けられている。負極30では、集電体32から引き出されて負極端子33が設けられている。蓄電デバイスのリチウムイオンキャパシタAの使用に際しては、上記正極端子23、負極端子33を使用する。このようにして、正極20と負極30を有する積層型ユニットとしてのリチウムイオンキャパシタAが構成されている。ここで、正極とは放電に際して電流が流れ出る側の極を言い、負極とは放電に際して電流が流れ込む側を言うものとする。
かかるリチウムイオンキャパシタAは、例えば、ラミネートフィルム等の外装容器であるパッケージに入れられて製品とされる。このように構成されるリチウムイオンキャパシタAでは、製品とする前に、リチウムイオンのプレドープが行われる。すなわち、リチウムイオンキャパシタの組立工程内で、プレドープを行う。かかるプレドープは、リチウム極10と負極30との間で行われ、負極30にリチウムイオンが予めドープされた形で、製品として出荷される。
リチウムイオンのプレドープにより、正極と負極を短絡させた後の正極の電位は、好ましくは例えば2V(対Li/Li)以下にされていることが必要である。このようにすることで、正極の利用容量を高くして、エネルギー密度を向上させている。
正極と負極を短絡させた後の正極電位が、例えば2V(対Li/Li)以下とは、次のいずれかの方法で求められる正極電位が、2V(対Li/Li)以下の場合を言うものとする。すなわち、リチウムイオンのドープ後、リチウムイオンキャパシタのセルの正極端子と負極端子を導線で直接結線して短絡させ、その状態で12時間以上放置する。その後に、短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位が2V(対Li/Li)以下の場合を言うものとする。
あるいは、充放電試験機にて、12時間以上かけて0Vまで定電流放電させ、その後に正極端子と負極端子を導線で結線して短絡させる。その状態で12時間以上放置し、その後に短絡を解除し0.5〜1.5時間内に測定した正極電位が2V(対Li/Li)以下の場合を言うものとする。
一般的に充電電圧の上限は、正極電位の上昇による電解液の分解が起こらない電圧に設定される。そこで、正極電位を上限にした場合、負極電位が低下する分、充電電圧を高めることが可能となるのである。しかし、短絡後の正極電位を3V(対Li/Li)以下、より好ましくは2V(対Li/Li)以下に低下させることができれば、それだけ正極の利用容量が増え、高容量とすることができる。
通常、正極に活性炭、負極にリチウムイオン二次電池で使用する黒鉛や難黒鉛化性炭素のような炭素材を用いたいわゆるハイブリッドキャパシタでは、活性炭や炭素材は通常3V(対Li/Li)前後の電位を有している。そのため、短絡しても正極電位は変化せず3V(対Li/Li)のままである。そこで、本発明のリチウムイオンキャパシタでは、別途金属リチウム等のリチウムイオン供給源から、負極にリチウムイオンをドープすることで、短絡した場合の正極電位を2V(対Li/Li)以下になるようにするのである。
このように、リチウムイオンキャパシタのセルで、予め負極に上記の如くリチウム極からリチウムイオンをプレドープし、正極と負極を短絡させた後の正極の電位を、2V(対Li/Li)以下となるようにしているのである。
リチウムイオンのプレドープは、負極と正極のいずれか一方、あるいは双方に行ってもよいものである。しかし、リチウムイオンのドープ量を多くして正極電位を下げ過ぎると、リチウムイオンを不可逆的に消費してしまい、セルの容量が低下するなどの不具合が生じることになる。そのため、例えば、負極と正極の双方にプレドープするリチウムイオンは、かかる不具合が発生しないように、両極のプレドープ量を制御する必要がある。しかし、かかる制御は工程上極めて煩雑となるため、リチウムイオンのドープを負極に対してのみ行うようにするのが好ましく、本発明のリチウムイオンキャパシタでもそのようにしている。
また、本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極活物質の単位重量当たりの静電容量を、正極活物質の単位重量当たりの静電容量の3倍以上に設定することが好ましい。
かかる構成のリチウムイオンキャパシタAでは、負極30で、前記実施の形態で説明した負極材料が使用されている。すなわち、負極用の集電体32上に設けられた負極用合材31に、前記実施の形態で説明した負極材料が含まれているのである。負極用合材31には、例えば、活物質として難黒鉛化性炭素材料と、導電助剤としてカーボンブラックとが含まれている。かかる活物質と導電助剤とから構成される負極材料は、その重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上〜35m2/g以下の範囲に入っているものが使用されている。
あるいは、上記負極用合材31には、カーボンブラック等の導電助剤を含まず、重量平均をとることなくメソ・マクロ孔比表面積のみで示される構成でもよい。勿論、かかるメソ・マクロ孔比表面積は、11m2/g以上〜35m2/g以下の範囲に入っているものが使用されている。
リチウムイオンのドープ、脱ドープには、主体的には上記活物質が関与する。しかし、導電助剤も、導電性向上の目的で添加されてはいるが、しかし、リチウムイオンのドープ、脱ドープをも厳密には行っているのである。
また、正極20では、正極用合材21が集電体22上に設けられている。かかる正極用合材21には、例えば、正極用の活物質として、リチウムイオンと、リチウムイオンとが対をなす例えばBF4 -、PF6 -等のようなアニオンを可逆的にドープできるものが使用される。かかる正極活物質としては、例えば、活性炭、導電性高分子、ポリアセン系物質等を挙げることができる。特に、活性炭は、例えば、水酸化カリウム等のアルカリで賦活処理が施されているものを用いれば、賦活処理されていないものに比べて、比表面積が大きくて好ましい。かかる活物質には、必要に応じて、導電助剤等を用いても構わない。
以上述べた構成の負極用合材の構成成分、正極用合材の構成成分には、さらにバインダが含まれている。かかるバインダとしては、例えば、ゴム系バインダ、あるいはフッ素系樹脂、熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂等の結着樹脂を使用することができる。ゴム系バインダとしては、例えば、ジエン系重合体であるSBR、NBR等を挙げることができる。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸・アクリロニトリル・エチレングリコールジメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
また、前記負極用合材、正極用合材に使用する導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、および、膨張黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の導電性炭素材料を挙げることができる。さらには、前記負極用合材、正極用合材には、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)等を混ぜても構わない。
上記活物質、バインダ、必要に応じて導電助剤、増粘剤等を、例えば水、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒を用いてスラリーに形成すればよい。かかるスラリーにより形成される負極用合材、正極用合材は、孔開きの集電体面上に所定層厚で設けておく。設けるに際しては、例えば、ダイコーターやコンマコーター等の塗工装置を用いて、塗工処理を行えばよい。さらに、所定層厚で集電体上に塗工処理した合材層は、バインダの耐熱性にもよるが、通常真空中150〜200℃の温度で12時間程度乾燥させて電極が製造される。
かかる構成の負極、正極は、例えば、電解液を介して設けられている。かかる電解液には、電解質が溶解されている。リチウムイオンキャパシタの場合には、電解液には、例えば、非プロトン性極性溶媒を使用することができる。非プロトン性極性溶媒は、非プロトン性有機電解質溶液を形成する。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。
さらに、これら非プロトン性極性溶媒の二種以上を混合した混合液を用いても構わない。充放電特性に寄与する比誘電率、蓄電デバイスの作動可能温度範囲に寄与する凝固点および沸点、そして安全性に寄与する引火点の観点からはプロピレンカーボネートを用いることが好ましい。しかし、負極の活物質に黒鉛を用いる場合、負極の電位が約0.8V(対Li/Li+)においてプロピレンカーボネートは黒鉛上で分解してしまうために代替としてエチレンカーボネートを使用することが好ましい。
エチレンカーボネートは融点が36℃であり、常温では固体である。このためにエチレンカーボネートを電解液の溶媒として用いる場合には、エチレンカーボネートを室温下で液状とするためにエチレンカーボネート以外の非プロトン性極性溶媒と混合させることが必須となる。さらに、エチレンカーボネートと併用する非プロトン性極性溶媒には充放電特性、および蓄電デバイスの作動可能温度範囲の観点からジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネート等に代表される低粘度でかつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒を選択することが好ましい。
しかしながら、ジエチルカーボネート等の低粘度かつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒とエチレンカーボネートからなる電解液は、雰囲気温度が約−10℃以下になることでエチレンカーボネートの凝固にともなう急激なイオン伝導度の低下を引き起こし、低温特性が悪くなりがちである。よって本発明による効果の一つでもある、−30℃の環境においても良好な特性を有する蓄電デバイスを得るには、エチレンカーボネートに起因する課題を改善するために非プロトン性有機電解質溶液の溶媒にプロピレンカーボネートを含むことが望ましい。負極の活物質、および導電助剤にはプロピレンカーボネートの還元分解性が低い材料を用いることが望ましい。
電解液に溶解される電解質としては、リチウムイオンを生成し得る電解質であれば使用可能である。例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2等が挙げられる。
また、近年電解液に添加することによって蓄電デバイスの特性が向上するとしてビニレンカーボネート等の添加剤が多用されている。本発明におけるリチウムイオンキャパシタにおいても電解液にかかる添加剤を添加しても構わない。
一方、リチウム極10には、初期充電時に、リチウムイオンを負極30にプレドープさせるためのリチウムイオン源として、例えば、金属リチウムあるいはリチウム−アルミニウム合金等が使用できる。すなわち、少なくともリチウム元素を含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質であれば使用可能である
以上に説明の負極、正極、リチウム極との間に設けられるセパレータには、電解液、正極活物質、負極活物質等に対して耐久性があり、連通気孔を有する電子伝導性のない多孔質体等を用いることができる。例えば、通常は、紙(セルロース)、ガラス繊維、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等からなる布、不織布あるいは多孔体が用いられる。セパレータの厚みは、電解液の保持量やセパレータの強度等を勘案して適宜設定することができる。なお、セパレータの厚みは、蓄電デバイスの直流抵抗を小さくするために薄い方が好ましい。
上記説明では、積層型ユニットに構成したリチウムイオンキャパシタについて説明した。しかし、リチウムイオンキャパシタは、単一型ユニットに構成しても一向に構わない。単一型ユニットは、例えば、正極と負極が一対相対して設けられ、さらにその負極に相対してリチウム極が1個設けられ、それぞれがセパレータを介して設けられる構成である。
さらには、リチウム極、負極、正極を長尺状に形成して、それぞれがセパレータを介して重ねた状態で巻きつけられた捲回型に構成しても一向に構わない。また、積層された電極構成の外側の負極に対向してリチウム極が設けられた構成を示したが、かかるリチウム極は、積層した電極構成の間に挟むようにして設けておいても構わない。その配置構成は、基本的には自由である。
なお、図1では、集電体22、32には表裏に貫通する孔を設けた多孔性の集電体を使用した場合について説明したが、プレドープの効率は悪くなるが、かかる孔を設けない構成の集電体を使用することもできる。さらには、集電体12には、孔開きの構成を使用しない場合を図1では示したが、かかる集電体12に孔開きの構成を採用しても一向に構わない。
本実施の形態で述べたメソ・マクロ孔表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積が所定の範囲に規定された負極材料を使用して形成した負極を有するリチウムイオンキャパシタは、例えば、電気自動車等の蓄電デバイス搭載品で有効に適用できる。
(実施の形態3) 本実施の形態では、蓄電デバイスをリチウムイオン二次電池Bに構成した場合について説明する。図2に示すように、リチウムイオン二次電池Bは、例えば、積層型に構成されている。かかるリチウムイオン二次電池Bは、リチウム極100と、正極200と、負極300とを有している。複数の正極200、負極300が、セパレータ400を介して交互に積層されている。かかる積層した電極群の外側には、負極300が配置されている。かかる負極300に対面して、リチウム極100が、セパレータ400を介して設けられている。このようにして構成された積層ユニットは、電解液に浸されている。
リチウム極100は、図2に示すように、リチウムイオン供給源110として例えば金属リチウム110aが、所定層厚で集電体120上に設けられている。正極200は、正極用合材210が、集電体220上に所定層厚で設けられている。負極300も、負極用合材310が、所定層厚で集電体320上に設けられている。かかる集電体220、320には、図2に示すように、表裏に貫通する孔が設けられた多孔状に構成されている。
また、正極200では、集電体220から引き出されて正極端子230が設けられている。負極300では、集電体320から引き出されて負極端子330が設けられている。蓄電デバイスのリチウムイオン二次電池Bの使用に際しては、かかる正極端子230、負極端子330を使用する。このようにして、正極200と負極300を有する積層型ユニットとしてのリチウムイオン二次電池Bが構成されている。かかるリチウムイオン二次電池Bは、例えば、ラミネートフィルム等の外装容器であるパッケージに入れられて製品とされる。
このように構成されるリチウムイオン二次電池Bでは、製品とする前に、リチウムイオンのプレドープが行われる。すなわち、リチウムイオン二次電池の組立工程内で、プレドープを行う。かかるプレドープは、リチウム極100と負極300との間で行われ、負極300にリチウムイオンが予めドープされた形で、製品として出荷される。
かかる構成のリチウムイオン二次電池Bでは、負極300に、前記実施の形態で説明した負極材料が使用されている。すなわち、負極用の集電体320上に設けられた負極用合材310に、前記実施の形態で説明した負極材料が含まれている。負極用合材310には、例えば、活物質として難黒鉛化性炭素材料と、導電助剤としてカーボンブラックとが含まれている。かかる活物質と導電助剤とから構成される負極材料は、その重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上〜35m2/g以下の範囲に入っている。
あるいは、上記負極用合材310には、カーボンブラック等の導電助剤を含まず、重量平均をとる必要のないメソ・マクロ孔比表面積で示される構成でもよい。勿論、かかるメソ・マクロ孔比表面積は、11m2/g以上〜35m2/g以下の範囲に入っているものが使用されている。
リチウムイオンのドープ、脱ドープには、主体的には上記活物質が関与する。しかし、導電助剤も、導電性向上の目的で添加されてはいるが、しかし、リチウムイオンのドープ、脱ドープをも厳密には行っているのである。
かかる構成のリチウムイオン二次電池Bでは、正極200は、正極用合材210が集電体220上に設けられている。正極用合材210を構成する正極用の活物質としては、例えば、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が挙げられる。かかる金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、燐酸鉄リチウム、ニッケル−マンガン−コバルト酸リチウム、ニッケル−コバルト酸リチウム、ニッケル−マンガン酸リチウム、鉄−マンガン酸リチウム、鉄−マンガン−コバルト酸リチウム、珪酸鉄リチウム、珪酸鉄−マンガンリチウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ等を挙げることができる。
特に、近年頻発したリチウムイオン二次電池の過剰発熱・発火事故の経験を踏まえた高い安全性というリチウムイオン二次電池への要求特性の観点から、高温環境下でもその構造中から酸素を放出し難い材料が好ましい。中でも、燐酸鉄リチウムや酸化バナジウムが好ましい。かかるバナジウム酸化物でも、例えば、五酸化バナジウム(V2O5)は、VO5を一単位とする5面体ユニットが2次元方向に共有結合で広がることで一つの層を形成している。この層と層とが積層することで全体として層状構造となっている。かかる層間に、リチウムイオンをドープすることができるのである。
リチウム極100には、前記実施の形態で述べたと同様、金属リチウムあるいはリチウム−アルミニウム合金等のリチウム元素を含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質が使用されている。
また、上記負極用合材、正極用合材では、前記実施の形態と同様に、例えば、ゴム系バインダ、あるいはフッ素系樹脂、熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂等の結着樹脂が使用されている。例えば、ゴム系バインダとしては、SBR、NBR等のジエン系重合体が使用できる。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸・アクリロニトリル・エチレングリコールジメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
なお、リチウムイオン二次電池で使用する正極活物質が、例えばバナジウム酸化物の場合には、水に溶けるので、かかるバインダは、非水溶媒に溶解、または分散させて用いる必要がある。
また、前記負極用合材、正極用合材に使用する導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、および膨張黒鉛、鱗片状黒鉛微粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の導電性炭素材料を挙げることができる。さらには、前記負極用合材、正極用合材には、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)等を混ぜても構わない。
上記活物質、バインダ、必要に応じて導電助剤等を、例えば水、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒を用いてスラリーに形成すればよい。かかるスラリーにより形成される負極用合材、正極用合材は、孔開きの集電体面に、所定層厚で設けられる。設けるに際しては、例えば、ダイコーターやコンマコーター等の塗工装置を用いて、塗工処理を行えばよい。さらに、所定層厚で集電体上に塗工処理された合材層は、バインダの耐熱性にもよるが通常、真空中150〜200℃で12時間程度乾燥させることで、電極が製造される。
かかる構成の負極、正極は、例えば、電解液を介して設けられている。かかる電解液には、電解質が溶解されている。リチウムイオン二次電池の場合には、例えば、電解液には非プロトン性極性溶媒を使用することができる。非プロトン性極性溶媒は、非プロトン性有機電解質溶液を形成する。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。
さらに、これら非プロトン性極性溶媒の二種以上を混合した混合液を用いても構わない。充放電特性に寄与する比誘電率、蓄電デバイスの作動可能温度範囲に寄与する凝固点および沸点、そして安全性に寄与する引火点の観点からはプロピレンカーボネートを用いることが好ましい。しかし、負極の活物質に黒鉛を用いる場合、負極の電位が約0.8V(対Li/Li+)においてプロピレンカーボネートは黒鉛上で分解してしまうために代替としてエチレンカーボネートを使用することが好ましい。エチレンカーボネートは融点が36℃であり、常温では固体である。このためにエチレンカーボネートを電解液の溶媒として用いる場合には、エチレンカーボネートを室温下で液状とするためにエチレンカーボネート以外の非プロトン性極性溶媒と混合させることが必須となる。
さらに、エチレンカーボネートと併用する非プロトン性極性溶媒には充放電特性、および蓄電デバイスの作動可能温度範囲の観点からジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネート等に代表される低粘度でかつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒を選択することが好ましい。
しかしながら、ジエチルカーボネート等の低粘度かつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒とエチレンカーボネートからなる電解液は、雰囲気温度が約−10℃以下になることでエチレンカーボネートの凝固にともなう急激なイオン伝導度の低下を引き起こし、低温特性が悪くなりがちである。よって本発明による効果の一つでもある、−30℃の環境においても良好な特性を有する蓄電デバイスを得るには、非プロトン性有機電解質溶液の溶媒にプロピレンカーボネートを含むことが望ましい。負極の活物質、および導電助剤にはプロピレンカーボネートの還元分解性が低い材料を用いることが望ましい。
電解液に溶解される電解質としては、リチウムイオンを生成し得る電解質であれば使用可能である。例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2等が挙げられる。
なお、正極と負極との間に介挿される電解質層としては、上記の如く電解質を溶解させた非プロトン性有機電解質溶液であってもよいし、この電解質溶液を含むポリマーゲル(ポリマーゲル電解質)であっても構わない。要は、正極、負極間のリチウムイオンの移動を円滑に支持するものであればよい。
また、近年電解液に添加することによって蓄電デバイスの特性が向上するとしてビニレンカーボネート等の添加剤が多用されている。本発明におけるリチウムイオンキャパシタにおいても電解液に添加剤を添加しても構わない。
さらに、以上に説明の負極、正極、リチウム極との間に設けられるセパレータには、電解液、正極活物質、負極活物質等に対して耐久性があり、連通気孔を有する電子伝導性のない多孔質体等を用いることができる。例えば、通常は、紙(セルロース)、ガラス繊維、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等からなる布、不織布あるいは多孔体が用いられる。セパレータの厚みは、電解液の保持量やセパレータの強度等を勘案して適宜設定することができる。なお、セパレータの厚みは、蓄電デバイスの直流抵抗を小さくするために薄い方が好ましい。
上記説明では、積層型ユニットに構成したリチウムイオン二次電池について説明した。しかし、単一型ユニットに構成しても一向に構わない。単一型ユニットは、例えば、正極と負極が一対相対して設けられ、さらに負極に相対してリチウム極が1個設けられ、それぞれがセパレータを介して設けられている構成である。
さらには、リチウム極、負極、正極を長尺状に形成して、それぞれがセパレータを介して重ねた状態で巻きつけられた捲回型に構成しても一向に構わない。また、図2では、積層された電極構成の外側の負極に対向してリチウム極が設けられた構成を示したが、かかるリチウム極は、積層した電極構成の間に挟むようにして設けておいても構わない。その配置構成は、基本的には自由である。
なお、図2では、集電体220、320には表裏に貫通する孔を設けた多孔性の集電体を使用した場合について説明した。しかし、プレドープの効率は悪くなるが、かかる孔を設けない構成の集電体を使用することもできる。さらには、集電体120には、孔開きの構成を使用しない場合を図2では示したが、かかる集電体120に孔開きの構成を採用しても一向に構わない。
本実施の形態に述べたメソ・マクロ孔表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積が所定の範囲に規定された負極材料を使用した負極を有するリチウムイオン二次電池は、例えば、電気自動車等の蓄電デバイス搭載品に有効に適用できる。
(実施例1)
本実施例1では、前記実施の形態で述べた本発明にかかる負極材料を用いた蓄電デバイスを構成して、本発明の有効性を検証した。蓄電デバイスとしては、リチウムイオンキャパシタを用いた。
すなわち、本実施例では、本発明の有効性を検証するために、複数のリチウムイオンキャパシタを構成した。すなわち、複数のリチウムイオンキャパシタの各々には、リチウムイオンのドープ、脱ドープ(吸蔵・脱離)が可能な負極材料としての炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が種々異なる負極が備えられている。さらに、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する物質として活物質のみを考慮して、重量平均をとらずにメソ・マクロ孔比表面積で示される構成の負極もある。
一方、かかる複数のリチウムイオンキャパシタには、同一の正極が備えられている。可逆的にアニオンおよびリチウムイオンの担持可能な活性炭を正極活物質に用いた正極が備えられている。すなわち、負極のみメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積がそれぞれ異なる構成にして、原則、正極を含めてその他の構成を同一にしたリチウムイオンキャパシタを複数作製し実験に用いた。
かかるリチウムイオンキャパシタを用いて、セル電圧3.8V-2.2V間で充放電することで充放電特性を取得した。リチウムイオンキャパシタはセル完成後、セル内に設けたリチウムイオンプレドーピング用リチウム極から負極へリチウムイオンを供給することでリチウムイオンプレドープを実施した。以下、本実施例1で用いた実験例1〜9、比較例1〜5のリチウムイオンキャパシタの詳細を説明する。
[実験例1]
(負極の作製方法)
フタル酸ジブチル吸油量が95ml/100gである一次粒子径が12nmのカーボンブラック100重量部と、軟化点が170℃である光学的等方性ピッチ100重量部とを、加熱ニ−ダ−で混捏し、これを非酸化性雰囲気下800℃で焼成した。かかる炭素前駆体を粉砕し、その後に再度非酸化性雰囲気において1000℃で焼成することで負極活物質を得た。この材料のメソ・マクロ孔比表面積は9.0m2/gであり、BET法で求めた全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.220、平均粒子径(D50%)は3.5μmであった。
次に、メソ・マクロ孔比表面積が24.0m2/gである電気化学工業株式会社製のアセチレンブラック(特殊プレス品HS-100)を導電助剤として、上記活物質100重量部に対して22重量部混合することで負極前駆体を得た。この時の負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、11.6m2/gであった。
なお、活物質の粒度分布は、負極活物質100重量部、カルボキシメチルセルロース10重量部と水を混練することで調製したペーストを希釈し、この希釈されたペーストを株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950を用いて測定することで得た。
上記負極前駆体92重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部と水を混練することでペーストを調製した。かかるペーストに、スチレンブタジエンジゴムバインダーのラテックスを固形分として4重量部になるよう添加することで、負極用合材としての電極塗料を調製した。かかる電極塗料を、負極活物質が3.5mg/cm2の塗付量となるよう、厚さが25μmである貫通孔を有する銅のエキスパンドメタルの両面に塗布して負極を得た。
(正極の作製方法)
フェノール樹脂をアルカリ賦活することでBET比表面積が2281m2/g、細孔容積比Aおよび細孔容積比Bが70.2%、20.4%である活性炭を得た。この活性炭に対し、十分に洗浄することで残留灰分の除去、pH調製を実施した。このようにして作成された活性炭を正極活物質として、活物質100重量部、アセチレンブラック6重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部を水と混練することでペーストを調製した。かかるペーストに、アクリレート系ゴムバインダーのエマルジョンを固形分として6重量部になるように添加することで正極用合材としての電極塗料を調製した。かかる電極塗料を、カーボン系導電塗料を厚さ38μmの貫通孔を有するアルミニウム製エキスパンドメタルの両面に塗付した集電基材の両面に塗布して正極を得た。
尚、細孔容積比Aとは、正極活物質の細孔直径範囲0.6nm以上〜200nm以下の細孔容積に占める細孔直径範囲0.6nm以上〜1nm未満の細孔容積の比を言うものとする。また、細孔容積比Bとは、正極活物質の細孔直径範囲0.6nm以上〜200nm以下の細孔容積に占める細孔直径範囲1nm以上〜6nm以下の細孔容積の比を言うものと定義する。細孔直径範囲0.6nm以上〜2nm以下の細孔容積は、77Kにおける窒素吸着法により得られた窒素吸着等温線を基に公知のMP法で解析することで得た。また、細孔直径範囲2nm以上〜200nm以下の細孔容積は、上述の窒素吸着等温線を基に公知のBJH法で解析することで得た。
(セルの作製方法)
上記要領で得られた正極および負極のそれぞれに対して、減圧乾燥を実施した。乾燥後、3.8cm×2.4cmのサイズの正極5枚と2.6cm×4.0cmのサイズの負極6枚を50μmの厚みのセルロース系セパレータの電極を介して積層した。積層した正極、負極に、正極用および負極用端子をそれぞれ溶接した。
リチウム極は、120μmの厚みのステンレスメッシュにリチウムイオンプレドープ量に相当する重量以上の金属リチウム箔を圧着し、リチウム極用端子を溶接することで作製した。リチウムイオンプレドープ用のリチウム極を電極積層体の外部に配置して、リチウムイオンキャパシタ素子を作製した。
かかる素子を外装材であるアルミラミネートフィルムで覆い、三辺を加熱融着した。その後に、LiPF6を1.2mol/Lの濃度になるようにプロピレンカーボネートに溶解して、電解液を調製した。かかる電解液を素子内に注入し、減圧含浸工程を経て残りの一辺を真空封止して、実験例1としてのリチウムイオンキャパシタセルを作製した。尚、図では、便宜上リチウムイオンキャパシタをLICと略す場合がある。因みに、セル作製にあたり、正極活物質重量と負極活物質重量の比は0.80であった。得られたセルに対し、セル電圧を3.8Vに印加した際に負極の電位が0.02V(対Li/Li+)になるように充放電試験機を用いて負極とリチウム極との間で放電操作を行うことで、所定量のリチウムイオンを負極に電気化学的にドーピングした。このようにしてリチウムイオンのプレドープを完了させた。
[実験例2]
フタル酸ジブチル吸油量が140ml/100gで、一次粒子径が48nmのカーボンブラックを上記実験例1で使用した負極活物質の原料となるカーボンブラックの替わりに用いた。また、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する実験例1に記載の導電助剤HS-100を7重量部にした。フタル酸ジブチル吸油量が140ml/100gの一次粒子径が48nmのカーボンブラックを使用したことと、負極前駆体の作製のために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にしたこと以外は、上記実験例1と同様にした。
このようにして、負極活物質および負極を作成し、本実験例2で使用するリチウムイオンキャパシタを得た。かかる材料のメソ・マクロ孔比表面積は10.6m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.300、平均粒子径(D50%)は3.5μmであった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は11.4m2/gであった。
[実験例3]
フタル酸ジブチル吸油量が123ml/100g、一次粒子径が23nmのカーボンブラックを前記実験例1に記載の負極活物質の原料となるカーボンブラックの替わりに用いた。また、炭素前駆体に添加する光学的等方性ピッチの添加量を150重量部にした。そして、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にした。フタル酸ジブチル吸油量が123ml/100gの一次粒子径が23nmのカーボンブラックを使用したことと、光学的等方性ピッチの添加量を150重量部にしたことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にしたこと以外は、前記実験例1と同様にして、負極活物質および負極、そして本実験例3で使用するリチウムイオンキャパシタを作製した。かかる負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は17.6m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.476、平均粒子径(D50%)は4.5μmであった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は18.0m2/gであった。
[実験例4]
フタル酸ジブチル吸油量が55ml/100g、一次粒子径が70nmであるカーボンブラックを負極活物質として用いた。負極前駆体には、実験例1に記載の導電助剤として添加するアセチレンブラックの特殊プレス品HS-100を添加しなかった。負極ペースト調製時におけるカルボキシメチルセルロースの添加量を、7重量部に変更した。すなわち、フタル酸ジブチル吸油量が55ml/100gの一次粒子径が70nmであるカーボンブラックを活物質として使用し、活物質92重量部、カルボキシメチルセルロース7重量部と水を混練することで調製したペーストにスチレンブタジエンジゴムバインダーのラテックスを固形分として4重量部になるよう添加した電極塗料で負極用合材を形成させたこと以外は前記実験例1と同様にした。
このようにして、負極活物質および負極、そして本実験例4で使用するリチウムイオンキャパシタを作製した。かかる負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は21.0m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.518、平均粒子径(D50%)は1.2μmであった。
尚、本実験例4は、負極材料として導電助剤を含まない活物質のみをリチウムイオンのドープ、脱ドープに関わる物質として把握した例である。
[実験例5]
実験例2のカーボンブラックを実験例1に記載の負極活物質の原料となるカーボンブラックの替わりに用いた。炭素前駆体に添加する光学的等方性ピッチの添加量を40重量部にした。また、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にした。すなわち、実験例2のカーボンブラックを実験例1に記載の負極活物質の原料となるカーボンブラックの替わりに用いたことと、光学的等方性ピッチの添加量を40重量部にしたことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にしたこと以外は、実験例1と同様にして、負極活物質および負極、そして本実験例5で使用するリチウムイオンキャパシタを得た。かかる材料のメソ・マクロ孔比表面積は22.8m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.378、平均粒子径(D50%)は0.8μmであった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は22.9m2/gであった。
[実験例6]
フタル酸ジブチル吸油量が174ml/100g、一次粒子径が30nmであるカーボンブラックを実験例1に記載の負極活物質の原料となるカーボンブラックの替わりに用いた。炭素前駆体に添加する光学的等方性ピッチの添加量を120重量部にした。そして、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にした。すなわち、フタル酸ジブチル吸油量が174ml/100gの一次粒子径が30nmであるカーボンブラックを使用したことと、光学的等方性ピッチの添加量を120重量部にしたことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にしたこと以外は、実験例1と同様にした。このようにして負極活物質および負極、そして本実験例6で使用するリチウムイオンキャパシタを作製した。かかる材料のメソ・マクロ孔比表面積は22.9m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.320、平均粒子径(D50%)は3.2μmであった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は23.0m2/gであった。
[実験例7]
株式会社クレハ製の難黒鉛化性炭素カーボトロンP(F)-Sを平均粒子径D50%が1.7μm、平均粒子径D90%が5.1μmになるまで粉砕することで得られた材料を負極活物質として用いたことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にしたこと以外は、実験例1と同様にした。このようにして負極活物質および負極、そして本実験例7で使用するリチウムイオンキャパシタを得た。かかる負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は24.7m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.157であった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は24.6m2/gであった。
[実験例8]
実験例3のカーボンブラックを実験例1に記載の負極活物質の原料となるカーボンブラックの替わりに用いたことと、炭素前駆体に添加する実験例1に記載の光学的等方性ピッチの添加量を75重量部に変更したことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にした以外は、実験例1と同様にした。このようにして負極、および本実験例8で使用するリチウムイオンキャパシタを得た。負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は30.8m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.441、平均粒子径(D50%)は2.8μmであった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は30.4m2/gであった。
[実験例9]
実験例2のカーボンブラックを負極活物質として用いた。負極前駆体には、実験例1に記載の導電助剤として添加するアセチレンブラックの特殊プレス品HS-100を添加しなかった。負極ペースト調製時におけるカルボキシメチルセルロースの添加量を、7重量部に変更した。すなわち、実験例2に記載のカーボンブラックを活物質として使用し、活物質92重量部、カルボキシメチルセルロース7重量部と水を混練することで調製したペーストにスチレンブタジエンジゴムバインダーのラテックスを固形分として4重量部になるよう添加した電極塗料で負極用合材を形成させたこと以外は前記実験例1と同様にした。このようにして負極、および本実験例9で使用するリチウムイオンキャパシタを作製した。かかる負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は23.8m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.731、平均粒子径(D50%)は0.8μmであった。
尚、本実験例9は、負極材料として導電助剤を含まない活物質のみをリチウムイオンのドープ、脱ドープに関わる物質として把握した例である。
[比較例1]
株式会社クレハ製の難黒鉛化性炭素カーボトロンP(F)-Sを負極活物質として用いたことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にした以外は、実験例1と同様にして負極、および比較例1で使用するリチウムイオンキャパシタを得た。かかる負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は1.2m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.096、平均粒子径(D50%)は10.1μmであった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は2.6m2/gであった。
[比較例2]
実験例2で使用した負極前駆体に添加する実験例1に記載の導電助剤HS-100を添加しなかった。すなわち、実験例2の活物質92重量部、および実験例1に記載のカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンジゴムバインダーの添加量で調合した電極塗料で負極用合材を形成させたこと以外は、実験例2と同様にして、負極および本比較例2のリチウムイオンキャパシタを得た。
[比較例3]
実験例4のカーボンブラックを実験例1に記載の負極活物質の原料となるカーボンブラックの替わりに用い、炭素前駆体に添加する光学的等方性ピッチの添加量を50重量部にしたことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にした以外は、実験例1と同様にした。このようにして負極、および本比較例3で使用するリチウムイオンキャパシタを得た。負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は36.2m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.477、平均粒子径(D50%)は15.2μmであった。また、負極前駆体である負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は35.5m2/gであった。
[比較例4]
実験例3のカーボンブラックを負極活物質として用いた。また、負極前駆体に添加する実験例1に記載の導電助剤HS-100を添加しなかった。そして、負極ペースト調製時におけるカルボキシメチルセルロースの添加量を、12重量部に変更した。すなわち、フタル酸ジブチル吸油量が123ml/100gの一次粒子径が23nmであるカーボンブラックを活物質として使用し、活物質92重量部、カルボキシメチルセルロース12重量部と水を混練することで調製したペーストにスチレンブタジエンジゴムバインダーのラテックスを固形分として4重量部になるよう添加した電極塗料で負極用合材を形成させたこと以外は、前記実験例1と同様にした。このようにして負極活物質および負極、そして本比較例4で使用するリチウムイオンキャパシタを作製した。かかる負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は84.4m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.535、平均粒子径(D50%)は0.6μmであった。
[比較例5]
東新化成株式会社製のアエロジル200を添加・分散させた重合浴中でレゾール型フェノール樹脂を重合し、フェノール樹脂中にシリカが分散された複合樹脂を得た。この樹脂を非酸化性雰囲気下で1000℃の温度で焼成し、粉砕することで活物質前駆体を得た。得られた活物質前駆体の一部を酸素雰囲気下で1000℃の温度で焼成したところ、仕込み重量に対して68重量部の残留灰分が得られた。蛍光X線分析の結果、活物質前駆体を酸素雰囲気下で1000℃焼成することで得られた残留灰分はシリカを構成するケイ素と酸素のみからなる物質であった。
次に、活物質前駆体を46重量部のフッ化水素酸に48時間浸漬して、活物質前駆体に含まれるシリカを活物質前駆体中から溶解除去した。その後、ろ過および十分な洗浄によりpH調製を施すことで、活物質となる炭素材料を得た。かかる炭素材料を負極活物質として用いたことと、負極前駆体を作製するために負極活物質と混合する導電助剤HS-100の添加量を7重量部にした以外は実験例1と同様にして、負極および本比較例5で使用するリチウムイオンキャパシタを得た。この負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積は160.9m2/gであり、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.199、平均粒子径(D50%)は9.3μmであった。また、負極前駆体の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は152.5m2/gであった。
このようにして構成した実験例1〜9、比較例1〜5におけるリチウムイオンキャパシタを用いて、そのセルの蓄電特性を調べた。蓄電特性の改善効果については、次のようにして行った。
すなわち、各セルに対し、25℃の雰囲気温度で3.8Vの電圧まで0.2Aの電流値で定電流定電圧充電を30分実施したのち、電流値を変えながら電圧2.2Vに到達するまで定電流放電を繰り返し実施することで放電特性を取得した。
上述のようにして取得した放電特性において、横軸に各放電電流値を、縦軸に各負荷電流における放電開始直前のセル電圧と放電開始1秒後のセル電圧との電圧差をプロットした電流−電圧図を作成し、最小二乗法により原点を通る各プロットの近似直線の傾きから放電直流抵抗を算出した。
また、上記電流−電圧図と同様にして、放電開始5秒後のセル電圧を電流―電圧図の縦軸とした図において、最小二乗法により放電開始直前のセル電圧を通る各プロットの近似直線を作成し、縦軸2.2Vと外挿した近似直線が交わる点における電流値を最大放電電流値とし、平均電圧である3Vと最大放電電流値との積を5秒出力パワーとした。
さらに、放電特性を取得したセルに対して、2.2Vの電圧まで0.2Aの電流値で定電流定電圧放電を30分実施したのち、電流値を変えながら電圧3.8Vに到達するまで定電流充電を繰り返し実施した。かかる実施をすることで充電負荷特性を取得した。全てのリチウムイオンキャパシタのセルにおいて、低負荷時における充電容量と放電容量はほぼ同等であった。
また、放電直流抵抗と同様にして、取得した充電特性において、横軸に各充電電流値を、縦軸に各負荷電流における充電開始直前のセル電圧と充電開始1秒後のセル電圧との電圧差をプロットした電流―電圧図を作成し、最小二乗法により原点を通る各プロットの近似直線の傾きから充電直流抵抗を算出した。
さらに、上記電流−電圧図と同様にして、充電開始5秒後のセル電圧を電流―電圧図の縦軸とした図において、最小二乗法により充電開始直前のセル電圧を通る各プロットの近似直線を作成した。縦軸3.8Vと外挿した近似直線が交わる点における電流値を最大充電電流値とし、平均電圧である3Vと最大充電電流値との積を5秒入力パワーとした。
−30℃の放電負荷特性は、まず室温にてセル電圧を2.2Vに調製したセルを、充放電試験機に接続したまま恒温槽内に静置した。恒温槽表示温度が−30℃に達してから3時間以上が経過したのちに、充放電を実施することで試験を開始した。−30℃における放電負荷特性は、3.8Vの電圧まで0.03Aの電流値で定電流定電圧充電を30分実施した。その後に、電流値を変えながら電圧2.2Vに到達するまでの定電流放電を繰り返し実施することで取得した。−30℃の放電直流抵抗は25℃における放電直流抵抗と全く同様にして算出した。
図3は、25℃で、負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を横軸に、放電直流抵抗を縦軸にそれぞれプロットしたものである。図中の●は、本発明にかかる重量平均メソ・マクロ孔比表面積の負極材料を使用した場合の実験結果を示す。図中の○は、本発明に係る重量平均メソ・マクロ孔比表面積の範囲外の実験結果を示すものである。
図4は、25℃で、図3と同様にして構成したリチウムイオンキャパシタを用い、負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を横軸に、充電直流抵抗を縦軸にプロットしたものである。図5は−30℃の環境温度にて、図3、4と同様に負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を横軸に、放電直流抵抗を縦軸にプロットしたものである。
図6は、横軸に負極活物質の50%体積累積径(D50%平均粒子径)、縦軸に図3と同様に25℃における放電直流抵抗をプロットしたものである。図7は、重量平均メソ・マクロ孔比表面積に対する4A放電における放電容量と0.2A放電における放電容量の比率(放電容量保持率)の状況を示したものである。図8、9には横軸に重量平均メソ・マクロ孔比表面積を、縦軸に出力パワー特性、あるいは入力パワー特性を示したものである。
上記した図3、4から、リチウムイオンキャパシタの直流抵抗が負極の重量平均メソ・マクロ孔比表面積に依存していることが確認できる。また、重量平均メソ・マクロ孔比表面積を増加させることで、より充放電の直流抵抗の低抵抗化が図れることも確認できる。
図3に示すように、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が、●で示した11m2/g以上〜30m2/g以下の範囲では、放電直流抵抗が約130mΩから約65mΩまで、急激な低下を起こしていることが確認される。また、充電直流抵抗でも、約130mΩから約90mΩまで急激な抵抗の降下が確認できる。このように11m2/g以上〜30m2/g以下の範囲内では、放電直流抵抗、充電直流抵抗の低減効果が確実であることが分かる。
また、本実施例1のデータでは示さなかったが、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が35m2/gまでは、その放電直流抵抗、充電直流抵抗の低減効果が蓄電デバイスに有効に反映され、利用可能であることも実験で確認されている。すなわち、本発明にかかる重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、広くは、11m2/g以上〜35m2/g以下であると言える。より好ましくは11m2/g以上〜30m2/g以下であると言える。以下、本発明の効果を示す図では、図3に示すように、直接的には重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上〜30m2/g以下の範囲しか記載しないが、実際的には実験で11m2/g以上〜35m2/g以下の有効性が確認されている。
図3、4では、重量平均メソ・マクロ孔比表面積36m2/gの負極でもリチウムイオンキャパシタの放電特性としては、その有効性が確認できる。しかし、充電時における直流抵抗を考える場合に、好ましくないことが分かった。すなわち、低減した充電時の直流抵抗が逆に増加しだすため、図9に示すように、●の場合よりも重量平均メソ・マクロ孔比表面積が○の36m2/gの場合の方が入力パワー特性が低下する傾向が見られ好ましくないのである。例えば、図9に示す場合には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11m2/g未満を大きく下回る場合にまで低下することが確認される。かかる点は、例えば、図4においてもその傾向は読み取れる。
また、本実施例1では例示はしていないが、本発明者の実験等により、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が36m2/g以上になると、負極上で継続的に生じる電解液との不可逆反応が顕著になる結果、充放電バランスのズレに起因したサイクル特性等の寿命特性が低下するために好ましくないことが分かっている。
図5は−30℃の環境温度にて、図3、4と同様に負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を横軸に、セル電圧3.8Vから放電した際の直流抵抗を縦軸にプロットしたものである。−30℃においても25℃と同様に放電直流抵抗が負極の重量平均メソ・マクロ孔比表面積に依存することが確認される。また、メソ・マクロ孔比表面積を増大させることで直流抵抗を低下させられることも確認できる。
図3〜5において、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が○の36m2/g以上の範囲で抵抗値が略一定となっている。かかる現象は、本発明にかかる重量平均メソ・マクロ孔表面積の範囲内の負極材料を用いて得られる抵抗の寄与が小さくなる結果と思われる。蓄電デバイスとしてのリチウムイオンキャパシタの直流抵抗の律速因子が、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積から他の因子に変化したためと考えられる。すなわち、直流抵抗の律速因子が、他の因子にとって替わったものと推察されるのである。
図6は、横軸に負極活物質の50%体積累積径、縦軸に図3と同様に25℃における放電直流抵抗をプロットしたものである。すなわち、本発明にかかる重量平均メソ・マクロ孔比表面積の負極材料を50%体積累積径として把握し、図6を作成したものである。図6から明瞭に確認できるように、直流抵抗は単純に活物質粒度に依存しているとは限らないのである。
また、重量平均メソ・マクロ孔比表面積の大きな負極材料を負極として用いることで、特許文献2に記載の如く50%体積累積径を0.1〜2.0μmに収めなくても低温特性の改善が図れることが確認できた。すなわち50%体積累積径が2μm以上の材料を負極活物質に用いた場合においても、セルの直流抵抗を大幅に低減できることが図6から確認でき、その結果低温特性の改善が行えるものと容易に推察できる。
図7には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積に対する高負荷放電における放電容量と低負荷放電における放電容量の比率(放電容量保持率)の状況を示した。図7から、重量平均メソ・マクロ孔比表面積を11m2/g以上にすることで、放電容量保持率は向上することが分かる。重量平均メソ・マクロ孔比表面積が80m2/g を超えると、若干ではあるが放電容量保持率は逆に低下する傾向を示している。全体的傾向としては、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が、例えば36m2/g以上と35m2/gを超えた場合でも、放電容量保持率でみた場合は良好な特性を示していると言える。
しかし、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が35m2/gを超えてくると、必要以上に負極材料に対して細孔を付与することとなり、電極密度が低下してしまう。これにより、電極へのリチウムイオンをドープ、脱ドープする炭素の充填性が低下するため好ましくない。また、上述した充電特性、および寿命特性の観点からも重量平均メソ・マクロ孔比表面積の上限を35m2/g以下に設定した方が好ましいのである。すなわち、放電容量保持率のみを考えた場合では良好なものの、他の特性要因を考慮すると重量平均メソ・マクロ孔比表面積が35m2/g以下の場合が好ましいのである。
図8、9には重量平均メソ・マクロ孔比表面積と出力パワー特性と入力パワー特性との関係をそれぞれ示した。図7に示す場合と同様に、重量平均メソ・マクロ孔比表面積を広くは11m2/g〜35m2/g、狭くは12m2/g〜30m2/gにすることで出力パワー特性と入力パワー特性は有効であることが確認できる。さらには、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が18m2/g〜25m2/gの範囲では概ね極大値を示していることも確認できる。
図10、11は、特許文献3に記載されている活物質のBJH法で求めたメソポア比表面積と全比表面積の比に対する直流抵抗、容量保持率を示したものである。上記面積比と直流抵抗、面積比と容量保持率に相関性は確認できない。図10からは、上記面積比を特許文献3に記載の0.7以上にしたからといって、必ずしも特性が向上するわけでないことが確認できる。図11からは、上記パラメータを特許文献3に係る範囲内としたからといって、必ずしも特性が向上するとは限らないことが確認できる。
因みに、◆は、特許文献3に係る記載の全比表面積に対するメソポア比表面積の比が0.7以上で、活物質の全比表面積、およびメソポア比表面積が10〜40m2/gの範囲内を満たす場合である。◇は特許文献3に係る範囲外の場合である。
図12〜14には、活物質のメソポア比表面積と容量保持率、出力パワー特性、入力パワー特性との関係をそれぞれ示したものである。◆は、特許文献3に記載の活物質の全比表面積、およびメソポア比表面積が10〜40m2/gの範囲内で、かつ、活物質の全比表面積に対するメソポア比表面積の比が0.7〜1.0の範囲内である材料を用いた場合である。因みに、かかる場合の活物質のメソポア比表面積は21m2/g、全比表面積に対するメソポア比表面積の比は0.731である。
また、◇は特許文献3に記載の上記範囲外の材料である。図より、活物質の全比表面積、およびメソポア比表面積、およびBET法で求めた全比表面積に対するメソポア比表面積の比を規定の範囲内にしたからといって、必ずしも期待される効果は得られるとは限らないことが確認できる。
尚、図15には、上記説明の本実施例1に関わる実験例、比較例で使用した負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積等を一覧として示した。さらに、図16には、負極材料が実験例5および比較例1であり、負極集電体への負極活物質の塗布量、正極活物質と負極活物質の重量比、負極材料への単位重量当たりのリチウムイオンプレドープ量、正極合材に必要な正極合材の単位重量当たりの電解液量、負極合材に必要な負極合材の単位重量当たりの電解液量は実験例5および比較例1と同一で、正極と負極の電極サイズ、積層枚数、セパレータ厚みを変更し、電極部の幅、および長さが103mm、135mmであり、かつセル厚みが10mmであるアルミラミネート型リチウムイオンキャパシタを作製し、その充放電特性をエネルギー密度として捉えた場合の効果を対比した。なお、セパレータの厚みは35μmに変更した。
以上、負極のリチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する複数の炭素材料に重量平均で示されるメソ・マクロ孔比表面積、あるいはメソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上〜35m2/g以下の材料を使用した効果について、リチウムイオンキャパシタを用いて検証した。しかし、リチウムイオン二次電池でも同様の効果が実験により得られたことは言うまでもない。重複のため、その効果については省略する。
また、前記実施の形態で述べた本発明にかかる負極材料を本実施例では使用しているが、実験例4、9では、前述の如く、負極材料に導電助剤を含まない活物質のみの重量平均メソ・マクロ孔比表面積(正確にはメソ・マクロ孔比表面積)で示される負極材料を使用している。
(実施例2)
本実施例2では、前記実施の形態で説明した本発明にかかる負極材料を用いた蓄電デバイスのリチウムイオンキャパシタで、ある特定の正極活物質を使用した構成を示す。すなわち、本発明の負極材料と、特定の正極材料とを組み合わせた構成である。
前記実施の形態で述べたリチウムイオンキャパシタAの構成において、本実施例2では、正極20に、BET法で求めた全比表面積が1500m2/g以上〜3000m2/g以下で、細孔直径範囲0.6nm以上〜200nm以下の細孔容積に占める細孔直径範囲0.6nm以上〜1nm未満の細孔容積の比が0%以上〜80%以下で、細孔直径範囲0.6nm以上〜200nm以下の細孔容積に占める細孔直径範囲1nm以上〜6nm以下の細孔容積の比が20%以上〜00%以下である活性炭を用いた。また、負極30には、本発明に係る重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上〜35m2/g以下の負極材料を使用した負極構成が採用されている。
本構成は、負極材料と、正極材料をそれぞれ規定することで、極めて優れた特性が得られたもので、実施例2として本発明の実施例中に開示するものである。
上記比表面積の1500m2/g以上〜3000m2/g以下の値は、窒素吸着等温線を用いた公知のBET法に基づき算出する値である。また、細孔直径範囲0.6nm以上〜2nm以下の細孔容積は窒素吸着等温線を用いた公知のMP解析法で、細孔直径範囲2nm以上〜200nm以下の細孔容積は窒素吸着等温線を用いた公知のBJH解析法で求められる。
例えば、本実施例2では、上記構成の正極、負極を有するリチウムイオンキャパシタを、次のようにして作製した。
[正極の作製]BET比表面積が2446m2/gで、細孔直径範囲0.6〜200nmの細孔容積に占める細孔直径範囲0.6〜1nmの細孔容積の比Aが0.486で、細孔直径範囲0.6〜200nmの細孔容積に占める細孔直径範囲1nm〜6nmの細孔容積の比Bが0.384である活性炭を、正極活物質として使用した。かかる正極用の活性炭を、前記実施例1の実験例1で記載した正極の作製方法と同様にして正極を作製した。
[負極の作製]前記実施例1の実験例5に記載した方法で負極を作製した。
[リチウム極の作製]厚さ120μmのステンレスメッシュにリチウムイオンプレドープ量に相当する重量以上の金属リチウム箔を圧着し、リチウム極用端子を溶接することでリチウム極を作製した。
[リチウムイオンキャパシタの作製]上記要領で得られた正極および負極のそれぞれに対して、減圧乾燥を行った。乾燥後、所定の寸法に切り出した正極および負極を35μmの厚みのセルロース系セパレータを介して積層した。積層した正極、負極に、正極用および負極用端子をそれぞれ溶接した。
また、別途作製したリチウム極は、上記電極積層体の外部に配置して、リチウムイオンキャパシタ素子を作製した。かかる素子を外装材であるアルミラミネートフィルムで覆い、三辺を加熱融着した。その後に、LiPF6を1.2mol/Lの濃度になるようにプロピレンカーボネートに溶解して電解液を調製し、素子内に注入し減圧含浸工程を行った。その後、残りの一辺を真空封止して、実施例2で使用する電極部の幅、および長さが103mm、135mmであり、かつセル厚みが10mmであるアルミラミネート型リチウムイオンキャパシタセルを作製した。得られたセルに対し、セル電圧を3.8Vに印加した際に負極の電位が0.02V(対Li/Li+)になるように充放電試験機を用いて負極とリチウム極との間で放電操作を行うことで、所定量のリチウムイオンを負極に電気化学的にドーピングした。このようにしてリチウムイオンのプレドープを完了させた。因みに、セル作製にあたり、正極活物質重量と負極活物質重量の比は0.80であった。
このようにして作製したリチウムイオンキャパシタに対して、前記実施例1で述べたと同様の方法で、充電、放電負荷特性を取得した。なお、セルのサイズ変更に伴い、充電負荷特性における定電流定電圧放電の電流値は10Aに変更した。また、放電負荷特性における定電流定電圧充電の電流値は、25℃においては10Aに、−30℃においては3Aに変更した。−30℃における充電特性は、−30℃における放電特性を上述の様にして取得したのちに、2.2Vの電圧まで3Aの電流値で定電流定電圧放電を30分実施したのち、電流値を変えながら電圧3.8Vに到達するまで定電流充電を繰り返し実施することで充電負荷特性を取得した。図16に示した前記実施例1における比較例1のリチウムイオンキャパシタセルと同一セルサイズ同士、および同一評価条件でエネルギー密度を比較した結果を、図17に示した。
図17からも明瞭に分かるように、負極の高出力化に加え、細孔径分布を規定した活性炭を正極活物質として用いることで25℃における負荷特性が向上している。さらに、−30℃の環境においては負荷電流の大小問わず充放電エネルギー密度を向上させることが可能となり、特に−30℃における高負荷充電においてはエネルギー密度を飛躍的に向上させることができた。
図17には、本実施例2で示す構成のリチウムイオンキャパシタについて、その一例を示し、その効果を示したものである。しかし、本実施例2では、図17に示す構成以外の構成でも有効に使用できることが実験により確認されている。
すなわち、正極としてBET比表面積が2446m2/g以外の1500m2/g以上〜3000m2/g以下で、細孔直径範囲0.6〜200nmの細孔容積に占める細孔直径範囲0.6〜1nmの細孔容積の比Aが0.486(48.6%)以外の0%以上〜80%以下で、細孔直径範囲0.6〜200nmの細孔容積に占める細孔直径範囲1nm〜6nmの細孔容積の比Bが0.384(38.4%)20%以上〜100%以下の活性炭を使用して、負極に重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11 m2/g以上〜35m2/g以下の前記実施例1の実験例5で示した負極材料を使用した場合でも、その有効性は確認された。
[実験例10]
本実験例10として、上記説明の本実施例2のリチウムイオンキャパシタの構成で、正極活物質の塗布量を増量して、正極活物質と負極活物質の重量比を2.1に構成した場合のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。かかる本実験例10のリチウムイオンキャパシタでは、正極活物質の塗布量増量と、これに伴う正極活物質と負極活物質の重量比と、積層枚数以外は、上記実施例2の構成と全く同様とした。かかる場合について、上記図17で説明したのと同様の方法で、その特性評価を行った。その結果を、図18に示す。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明はプレドープ型蓄電デバイスの分野で有効に利用することができる。
本発明の蓄電デバイスの構成を模式的に示す説明図である。 本発明の蓄電デバイスの構成を模式的に示す説明図である。 25℃における負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積とリチウムイオンキャパシタの放電直流抵抗の関係を示す説明図である。 25℃における負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積とリチウムイオンキャパシタの充電直流抵抗の関係を示す説明図である。 −30℃における負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積とリチウムイオンキャパシタの放電直流抵抗との関係を示す説明図である。 負極の50%体積累積径とリチウムイオン蓄電源の25℃における直流抵抗との関係を示す説明図である。 重量平均メソ・マクロ孔比表面積に対する放電容量保持率の関係を示す説明図である。 重量平均メソ・マクロ孔比表面積と出力パワー特性との関係を示す説明図である。 重量平均メソ・マクロ孔比表面積と入力パワー特性との関係を示す説明図である。 負極活物質のメソポア比表面積の全比表面積に対する比と放電直流抵抗の関係を示す説明図である。 負極活物質のメソポア比表面積の全比表面積に対する比と放電容量保持率との関係を示す説明図である。 負極活物質の炭素のメソポア比表面積と放電容量保持率との関係を示す説明図である。 負極活物質の炭素のメソポア比表面積と出力パワー特性との関係を示す説明図である。 負極活物質の炭素のメソポア比表面積と入力パワー特性との関係を示す説明図である。 実施例1で使用するリチウムイオンキャパシタの負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積等を表形式で示す説明図である。 実験例5と比較例1とにおけるリチウムイオンキャパシタの充放電特性の対比を表形式で示した説明図である。 実施例2におけるリチウムイオンキャパシタの正極活物質の細孔特性を規定範囲にした場合の充放電特性をエネルギー密度換算の表形式で示す説明図である。 実施例2におけるリチウムイオンキャパシタの正極活物質重量比を増加した場合の充放電特性をエネルギー密度換算の表形式で示す説明図である。
符号の説明
10 リチウム極
11 リチウムイオン供給源
11a 金属リチウム
20 正極
21 正極用合材
22 集電体
30 負極
31 負極用合材
32 集電体
40 セパレータ
100 リチウム極
110 リチウムイオン供給源
110a 金属リチウム
200 正極
210 正極用合材
220 集電体
300 負極
310 負極用合材
320 集電体
400 セパレータ
A リチウムイオンキャパシタ
B リチウムイオン二次電池

Claims (9)

  1. 負極と、正極とを有し、前記負極にリチウムイオンを予めドープしたプレドープ型蓄電デバイスであって、
    負極にはリチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な物質を少なくとも1種以上含み、
    前記負極に含まれる1種以上からなるリチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な物質の重量平均で示されるメソ・マクロ孔比表面積は11m2/g以上〜35m2/g以下であることを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  2. 請求項1記載のプレドープ型蓄電デバイスにおいて、
    前記リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な物質には、炭素材料が含まれることを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  3. 請求項2記載のプレドープ型蓄電デバイスにおいて、
    前記炭素材料は、カーボンブラック、またはカーボンブラックの表面をカーボンブラックとは異なる非晶質な炭素材料で被覆した複合炭素材料を含むことを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレドープ型蓄電デバイスにおいて、
    前記負極に含まれる1種以上からなるリチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な物質の重量平均で示されるBET比表面積に対して、前記負極に含まれる1種以上からなるリチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な物質の重量平均で示されるメソ孔比表面積の比が0.7未満であることを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレドープ型蓄電デバイスにおいて、
    前記プレドープ型蓄電デバイスが、リチウムイオンキャパシタに構成されていることを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  6. 請求項5に記載のプレドープ型蓄電デバイスにおいて、 前記リチウムイオンキャパシタの正極には、BET比表面積が1500m2/g以上〜3000m2/g以下で、
    細孔直径範囲0.6nm以上〜200nm以下の細孔容積に占める細孔直径範囲0.6nm以上〜1nm未満の細孔容積の比が0%以上〜80%以下で、
    細孔直径範囲0.6nm以上〜200nm以下の細孔容積に占める細孔直径範囲1nm以上〜6nm以下の細孔容積の比が20%以上〜100%以下である活性炭が正極活物質として用いられていることを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレドープ型蓄電デバイスにおいて、 前記正極には、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が正極活物質として用いられ、
    前記プレドープ型蓄電デバイスがリチウムイオン二次電池に構成されていることを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のプレドープ型蓄電デバイスにおいて、
    電解液にプロピレンカーボネートが含まれていることを特徴とするプレドープ型蓄電デバイス。
  9. 負極と、正極と、リチウム極とを有し、前記負極にリチウムイオンを予めドープしたプレドープ型蓄電デバイスに使用する負極材料であって、
    前記負極材料は、負極活物質と導電助剤とを有する負極用合材の構成成分で、重量平均で示されるメソ・マクロ孔比表面積が11m2/g以上、35m2/g以下で、前記リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する炭素材料であることを特徴とする負極材料。
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