JP2010133683A - バーナチップ構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バーナチップ本体10内で燃料油を蒸気により微粒化して炉内へ投入する2流体式のバーナチップ構造において、バーナチップ本体10のチップ長さを延長して軸中心位置上流側に形成された燃料油主流路11と、燃料油主流路11の下流側端部から放射状外向きに分岐して形成された複数の分割燃料油流路12と、燃料油主流路11の外周に軸中心方向へ傾斜して形成されるとともに入口開口13aが周方向へ等ピッチに配置されている複数の蒸気流路13と、蒸気流路13の下流側に連通し略同方向へ傾斜して設けられている混合区間流路14とを備え、分割燃料油流路12を混合区間流路14の入口近傍側面に対して斜め方向から合流させた。
【選択図】図1
Description
2流体式のバーナチップ構造は、噴霧媒体として空気や蒸気を用い、燃料である油(アスファルトやVR(Vacuum Residue : 減圧残油)等の粗悪燃料を含む)を微粒化することにより、着火及び燃焼を確立させる方法がよく知られている。このような2流体式のバーナチップ構造においては、燃料油と蒸気はチップ内の混合区間で混合され、微粒化されながら炉内へ投入される。
なお、図中の符号6は、バーナチップ本体1の上流側に連結されているバックプレートであり、蒸気及び燃料油の整流や流路切替を行うものである。
また、2流体式のバーナチップ構造に関する他の従来技術としては、ボイラ装置用CWM(高濃度石炭・水スラリ)等のスラリ燃料を良好に微粒化(噴霧)させるスラリ燃料用アトマイザ構造が提案されている。この従来技術は、微粒化媒体供給環状流路を先端側で収束させて微粒化媒体を加速してからスラリ燃料と合流させるものである。(たとえば、特許文献2参照)
一方、噴霧媒体となる蒸気量については、蒸気消費率(蒸気流量/燃料油流量)を増加させることにより、油の微粒化を促進するとともに燃焼排ガス中の煤塵や窒素酸化物(NOx)を低減できることが知られている。
しかし、蒸気消費量を増加するためには、混合区間流路4の流路径Dを拡大する必要があるため、混合区間流路4が上述したL/Dの条件を満たす十分な流路長さLを確保することは、バーナチップ本体1が有する外径寸法上の制約から困難になる。すなわち、上述したL/Dの条件を満たして流路径Dを大きくするためには、流路長さLについても長くする必要が生じるので、バーナチップ本体1の外径や全長も増加して形状が大型化することは避けられない。
このような背景から、流路径Dを拡大して蒸気消費量を増加した場合であっても、バーナチップ本体1の形状を大型化することなく混合区間流路4に十分な混合距離Lを確保できるバーナチップ構造の開発が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バーナチップ本体の形状を大型化することなく流路径Dを拡大し、混合区間流路4に十分な混合距離Lを確保して蒸気消費量を増加できるバーナチップ構造を提供することにある。
本発明に係るバーナチップ構造は、バーナチップ本体内で燃料油を噴霧媒体により微粒化して炉内へ投入する2流体式のバーナチップ構造において、前記バーナチップ本体のチップ長さを延長して軸中心位置上流側に形成された燃料油主流路と、該燃料油主流路の下流側端部から放射状外向きに分岐して形成された複数の分割燃料油流路と、前記燃料油主流路の外周に軸中心方向へ傾斜して形成されるとともに入口開口が周方向へ等ピッチに配置されている複数の噴霧媒体流路と、該噴霧媒体流路の下流側に連通し略同方向へ傾斜して設けられている混合区間流路とを備え、前記分割燃料油流路を前記混合区間流路の入口近傍側面に対して斜め方向から合流させたことを特徴とするものである。
また、バーナチップ本体のチップ長さを延長すると、バーナチップ本体とバックプレートとの接合面を延長分だけ炉外へ移動させることができる。
<第1の実施形態>
図1に示す実施形態のバーナチップ構造は、燃料油を燃焼させる油焚きボイラに適用されるものであり、蒸気や空気を噴霧媒体として燃料油を微粒化した後、微粒化燃料を炉内へ投入する2流体式である。この場合の燃料油は、重油等の一般的な油種はもちろんのこと、たとえばアスファルトやVR等のように、低燃焼性及び高粘度の重質化した粗悪燃料を含むものとする。
すなわち、蒸気流路13及び混合区間流路14は、バーナチップ本体10の内部を傾斜して通る同一軸線に連通して設けられ、複数ある軸線(図示の構成例では6本)は、できるだけ長い距離を確保して互いに交差しないように配置されている。さらに、同一軸線に沿って形成される蒸気流路13及び混合区間流路14についても、隣接する流路間が互いに干渉しないよう考慮した配置となっている。なお、蒸気流路13の軸線方向長さについては、混合区間流路14の流路長さを最大限に確保するため、厳密には分割燃料油流路12の合流位置から混合区間流路14の出口開口14aまでの十分な混合距離Lを確保するため、可能な限り短くすることが望ましい。
このように構成された混合区間流路14の入口部近傍には、すなわち蒸気流路13と連結された直後の位置には、燃料油主流路11の下流側端部から放射状外向きに分岐して形成された複数の分割燃料油流路12が接続されている。この分割燃料油流路12は、蒸気流路13から混合区間流路14に流入した蒸気の流れに対し、側方から斜めに衝突するようにして燃料油を投入する。
また、バーナチップ本体10のチップ長さを延長すると、ボイラに設置した状態ではチップ先端位置が同じになるため、バーナチップ本体10とバックプレートとの接合面は延長分だけ炉外へ移動する。このため、バーナチップ本体10とバックプレートとの接合面が熱影響を受けにくくなるので、接合面から燃料油や空気がリークする可能性を低下させるという利点もある。
すなわち、混合区間流路14に投入された水は、加熱を受けることで蒸発して沸騰微粒化を誘発する。このため、蒸気と比較して流路断面積が小さくてすむ水を投入することにより、コンパクトなバーナチップ構造で蒸気消費率を増加させることができる。
また、流路径D1を拡大してもバーナチップ本体10の外径を大きくする必要がないので、図示しないバーナ保炎器などバーナ全体の構造を大きくする必要もない。
本発明に係るバーナチップ構造について、第2の実施形態を図2に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図2に示すバーナチップ構造は、バーナチップ本体20内で燃料油を噴霧媒体により微粒化して炉内へ投入する2流体式とされ、バーナチップ本体20のチップ長さが上述した第1の実施形態と同様に軸方向に延長されている。
なお、バーナチップ本体20の後端面20aに開口する蒸気主流路21及び燃料油流路23は、それぞれが図示しない上流側のバックプレートを介して、蒸気や燃料油の供給源に接続されている。
すなわち、混合区間流路22に投入された水は、加熱を受けることで蒸発して沸騰微粒化を誘発するため、蒸気と比較して流路断面積が小さくてすむ水を投入することにより、コンパクトなバーナチップ構造で蒸気消費率を増加させることができる。
本発明に係るバーナチップ構造について、第3の実施形態を図3に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図3に示すバーナチップ構造は、バーナチップ本体30内で燃料油を噴霧媒体により微粒化して炉内へ投入する2流体式とされ、バーナチップ本体30の内部には、噴霧媒体となる蒸気を供給する蒸気主流路31が上流側の中心部に形成されている。この蒸気主流路31は、バーナチップ本体30の軸方向においてバーナチップ本体30の後端面30aから略中間位置まで形成され、その先端部31aには複数(たとえば6箇所)の分割蒸気流路32が放射状外向きに形成されている。この分割蒸気流路32は、それぞれの出口開口33aがバーナチップ本体30の先端部30bに開口するよう設けられた複数の混合区間流路33に連通している。この混合区間流路33は分割蒸気流路32と同数(たとえば6箇所)設けられ、同一軸線上において分割蒸気流路32から流路断面積を拡径して設けられている。
そして、本実施形態のバーナチップ本体30は、混合区間流路33に対して水を投入する水流路35を備えている。図示の構成例において、水流路35は、混合区間流路33と同数の6本が設けられており、各混合区間流路33に対して直接水を投入できるようになっている。
従って、蒸気主流路31、分割蒸気流路32及び混合区間流路33のように蒸気が流れる流路の流路径を拡大することなく、蒸気消費量を増加させることができる。すなわち、水流路35から投入された水は加熱を受けて気体の蒸気になるので、同じ蒸気量を得るためには、液体の水を流すため流路断面積が小さくてすむ水流路35を備えたコンパクトなバーナチップ本体30を用い、効率よく蒸気を供給して蒸気消費率を増加させることができる。
ところで、図3に示す水流路35は、図4に示す従来構造のバーナチップ本体1に追加して設けた構成例であるが、上述した各実施形態のバーナチップ本体10,20に追加して設けることも可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 燃料油主流路
12 分割燃料油流路
13 蒸気流路
14,22,33 混合区間流路
21,31 蒸気主流路
23,34 燃料油流路
35 水流路
Claims (6)
- バーナチップ本体内で燃料油を噴霧媒体により微粒化して炉内へ投入する2流体式のバーナチップ構造において、
前記バーナチップ本体のチップ長さを延長して軸中心位置上流側に形成された燃料油主流路と、該燃料油主流路の下流側端部から放射状外向きに分岐して形成された複数の分割燃料油流路と、前記燃料油主流路の外周に軸中心方向へ傾斜して形成されるとともに入口開口が周方向へ等ピッチに配置されている複数の噴霧媒体流路と、該噴霧媒体流路の下流側に連通し略同方向へ傾斜して設けられている混合区間流路とを備え、
前記分割燃料油流路を前記混合区間流路の入口近傍側面に対して斜め方向から合流させたことを特徴とするバーナチップ構造。 - 前記バーナチップ本体の上流側端部に開口する前記噴霧媒体流路の入口開口と、前記バーナチップ本体の下流側端部に開口する前記混合区間流路の出口開口とは、前記混合区間流路の長さを最大にする開口間が軸中心から傾斜する直線により連結されていることを特徴とする請求項1に記載のバーナチップ構造。
- バーナチップ本体内で燃料油を噴霧媒体により微粒化して炉内へ投入する2流体式のバーナチップ構造において、
前記バーナチップ本体のチップ長さを延長して軸中心位置上流側に形成された噴霧媒体主流路と、該噴霧媒体主流路の下流側端部から軸中心線と平行に分岐して形成された複数の混合区間流路と、前記噴霧媒体主流路の外周に軸中心方向へ傾斜して形成され、前記混合区間流路の入口近傍側面に対して斜め方向から合流するとともに入口開口が周方向へ等ピッチに配置されている複数の燃料油流路とを備え、
前記混合区間流路を軸中心線と平行に形成された流路途中から微粒化燃料噴射角度で外向きに傾斜させたことを特徴とするバーナチップ構造。 - 前記バーナチップ本体にバックプレートを一体化し、前記混合区間流路と前記燃料油流路との合流位置を前記バックプレート部に設けたことを特徴とする請求項3に記載のバーナチップ構造。
- 前記噴霧媒体を蒸気とし、前記混合区間流路に水を投入する流路が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバーナチップ構造。
- バーナチップ本体内で燃料油を蒸気により微粒化して炉内へ投入する2流体式のバーナチップ構造において、
前記バーナチップ本体の軸中心位置上流側に形成された蒸気主流路と、該蒸気主流路の下流側端部から放射状外向きに分岐して形成された複数の分割蒸気流路と、前記蒸気主流路の外周に軸中心方向へ傾斜して形成されるとともに入口開口が周方向へ等ピッチに配置されている複数の燃料油流路と、該燃料油流路の下流側に連通し略同方向へ傾斜して設けられている混合区間流路と、該混合区間流路に水を投入する水流路とを備えていることを特徴とするバーナチップ構造。
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