JP2010132963A - 焼結鉱の製造方法および焼結機 - Google Patents

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Abstract

【課題】方吸引式の焼結機において、高強度高品質の焼結鉱を、高歩留でかつ安全に製造することができる焼結鉱の製造方法と焼結機を提供する。
【解決手段】循環移動するパレット8と、前記パレット8上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する原料供給装置と、前記装入層の炭材に点火するための点火炉と、前記パレットの下方に配設したウインドボックス11と、前記点火炉の下流側に配設された、配管閉塞物質を含む配管閉塞物質含有気体燃料を前記装入層の上方の大気中に噴出し、空気と混合させる開口径が6mm以上に設定された燃料噴出ノズルを有する気体燃料供給装置15とを備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、下方吸引式のドワイトロイド(DL)焼結機を用いて、高強度高品質の焼結鉱を製造する方法、およびその製造に用いる焼結機に関するものである。
高炉製銑法の主原料である焼結鉱は、一般に、図9に示すような工程を経て製造される。原料は、鉄鉱石粉、製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉(返鉱)、石灰石及びドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などである。これらの原料は、ホッパー1・・・の各々から、コンベヤ上に所定の割合で切り出される。切り出した原料は、ドラムミキサー2等により適量の水を加えて混合し、造粒して、3.0〜6.0mmの平均径を有する擬似粒子である焼結原料とする。一方、整粒した塊鉱石を床敷ホッパー4から切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成させる。
焼結原料は、焼結機上に配置されているサージホッパー5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、無端移動式の焼結機パレット8上の床敷層上に装入され、焼結ベッドともいわれる焼結原料の装入層9を形成する。装入層の厚さ(高さ)は通常400〜800mm前後である。その後、装入層9の上方に設置された点火炉10で、この装入層9の表層中の炭材に点火するとともに、パレット8の下に配設されているウインドボックス11を介して空気を下方に吸引することにより、該装入層中の炭材を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱によって、前記焼結原料を燃焼、溶融して焼結ケーキを得る。このようにして得た焼結ケーキは、その後、破砕、整粒され、5.0mm以上の塊成物からなる成品焼結鉱として回収される。
前記製造プロセスにおいては、まず、点火炉10により装入層表層に点火が行われる。点火された装入層中の炭材は、ウインドボックスにより装入層の上層部から下層部に向かって吸引される空気によって燃焼を続け、その燃焼帯はパレット8の移動につれて次第に下層にかつ前方(下流側)に進行する。この燃焼の進行にともない、装入層中の焼結原料粒子中に含まれる水分は、炭材の燃焼で発生する熱によって気化し、下方に吸引されて、まだ温度が上昇していない下層の焼結原料中に濃縮し湿潤帯を形成する。その水分濃度がある程度以上になると、吸引ガスの流路である原料粒子間の空隙を、水分が埋めるようになり、通気抵抗を増大させる。なお、燃焼帯に発生する焼結化反応に必要な溶融部分も、通気抵抗を高める要因となる。
焼結機の生産量(t/hr)は、一般に、焼結生産率(t/hr・m2)×焼結機面積(m2)により決定される。即ち、焼結機の生産量は、焼結機の機幅や機長、原料堆積層の厚さ(装入層厚さ)、焼結原料の嵩密度、焼結(燃焼)時間、歩留などにより変化する。そして、焼結鉱の生産量を増加させるには、装入層の通気性(圧損)を改善して焼結時間を短縮する、あるいは、破砕前の焼結ケーキの冷間強度を高めて歩留を向上することなどが有効であると考えられている。
図15は、厚さが600mmの装入層中を移動する燃焼(火炎)前線が、該装入層のパレット上約400mm(装入層表面から200mm)の位置にあるときにおける装入層内の圧損と温度の分布を示したものである。このときの圧損分布は、湿潤帯におけるものが約60%、燃焼・溶融帯におけるものが約40%である。
図16は、焼結鉱の高生産時と低生産時の装入層内の温度分布を示したものである。原料粒子が溶融し始める1200℃以上の温度に保持される時間(以降、「高温域保持時間」と称する)は、低生産の場合にはt1、生産性を重視した高生産の場合にはt2で表されている。高生産の場合、パレットの移動速度を上げるため、高温域保持時間t2が低生産場合のt1と比べて短くなる。高温域保持時間が短くなると、焼成不足となって、焼結鉱の冷間強度の低下を招き、歩留が低下する。したがって、高強度焼結鉱の生産量を上げるためには、短時間の焼結においても、焼結ケーキの強度、即ち焼結鉱の冷間強度を上げて、歩留の維持、向上を図ることができる何らかの手段を講じる必要がある。なお、焼結鉱の冷間強度を表す指標としては、一般に、SI(シャッターインデックス)、TI(タンブラーインデックス)が用いられる。
図17(a)は焼結機パレット上の装入層における焼結の進行過程を、図17(b)は装入層内の焼結過程における温度分布(ヒートパターン)を、図17(c)は焼結ケーキの歩留分布を示したものである。図17(b)からわかるように、装入層の上部は下層部に比べて温度が上昇し難く、高温域保持時間も短くなる。そのため、この装入層上部では、燃焼溶融反応(焼結化反応)が不十分となり、焼結ケーキの強度が低くなるため、図17(c)に示すように、歩留が低く、生産性の低下を招く要因となっている。
こうした問題点に鑑み、装入層上層部に高温保持を付与するための方法が従来から提案されている。例えば、特許文献1は、装入層に点火後、装入層上に気体燃料を噴射する技術を開示している。しかし、上記技術は、気体燃料(可燃性ガス)の種類が不明であるが、プロパンガス(LPG)や天然ガス(LNG)であるとしても、高濃度のガスを使用している。しかも、可燃性ガスの吹き込みに際し、炭材量を削減していないため、焼結層内が、1380℃を超える高温となる。そのため、この技術では、十分な冷間強度の向上や歩留の改善効果を享受できていない。しかも、点火炉直後に可燃性ガスを噴射した場合には、可燃性ガスの燃焼により焼結ベッド上部空間で火災を起こす危険が高く、現実性に乏しい技術であって、実用化には至っていない。
また、特許文献2も、装入層に点火後、装入層に吸引される空気中に可燃性ガスを添加する技術を開示している。点火後、約1〜10分程度の供給が好ましいとされているが、点火炉での点火直後の表層部は、赤熱状態の焼結鉱が残存しており、供給の仕方によっては可燃性ガスの燃焼により火災を起こす危険が高く、また、具体的記述は少ないが、焼結済みの焼結帯で可燃ガスを燃焼させても効果は無く、焼結帯で燃焼すると、燃焼ガスによる温度上昇と熱膨張により通気性を悪化させるため、生産性を低減させてしまう傾向にあるので、これまで実用化には至っていない。
また、この技術にしても可燃性ガスの吹込みに際し、炭材量を削減していないため、焼結層内が1380℃を超える高温となる。そのため、十分な冷間強度の向上や歩留の改善効果を享受できない。さらに得られる焼結鉱にしても被還元性の悪い焼結鉱となる。
また、特許文献3は、焼結原料の装入層内を高温にするため、装入層の上にフードを配設し、そのフードを通じて空気やコークス炉ガスとの混合ガスを点火炉直後の位置で吹き込むことを開示している。しかし、この技術も、焼結層内の燃焼溶融帯の温度が1380℃を超える高温となるため、コークス炉ガス吹き込みの効果を享受できないとともに、可燃性混合ガスが焼結ベッド上部空間で発火し、火災を起こす危険性があり、実用化されていない。
さらに、特許文献4は、低融点溶剤と炭材や可燃性ガスを同時に、点火炉直後の位置で吹き込む方法を開示している。しかし、この方法もまた、表面に火炎が残留した状態で可燃性ガスを吹き込むため、焼結ベッド上部空間で火災になる危険性が高く、また、焼結帯の幅を十分に厚くできない(約15mm未満)ため、可燃性ガス吹き込みの効果を十分に発現することができない。さらに、低融点溶剤が多く存在するため、上層部において過剰な溶融現象を引き起こして、空気の流路となる気孔を閉塞してしまい、通気性を悪化させて、生産性の低下を招くことから、この技術もまた、現在に至るまで実用化されていない。
以上説明したように、これまで提案された従来技術は、いずれも実用化されておらず、実施可能な可燃性ガス吹込み技術の開発が切望されていた。
上記問題点を解決する技術として、本出願人は、特許文献5において、焼結機のパレット上に大切させた焼結原料の装入層の上から燃焼下限濃度以下に希釈した各種気体燃料を供給して装入層中に導入し、燃焼させることにより、装入層内の最高到達温度および高温域保持時間の何れか一方又は双方を調整する方法を提案している。
特開昭48−18102号公報 特公昭46−27126号公報 特開昭55−18585号公報 特開平5−311257号公報 WO2007−052776号公報
上記特許文献5の技術は、下方吸引式焼結機において、所定の濃度に希釈した気体燃料を装入層中に供給(導入)し、装入層内の目標とする位置で燃焼させる気体燃料供給を行うことにより、焼結原料の燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間を適正に制御することができ、ひいては、熱量不足で焼結鉱の冷間強度が低くなりやすい装入層上層部のみならず、装入層中層部以下の任意の部分における焼結鉱強度を高めるような操業を行うことができる。
しかし、上記気体燃料供給焼結操業を行う場合、焼結ベッドや焼結ケーキのひび割れ部などの高温部が火種となって気体燃料に逆火し、気体燃料が燃焼する(着火)おそれがある。このような引火状態で焼結操業を続けると(爆発の問題は別として)、気体燃料を装入層内に供給できなくなるばかりでなく、気体燃料の燃焼によって酸素が消費された酸素不足の大気が装入層中に供給(導入)されることになる。その結果、燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間を制御できなくなるばかりでなく、燃焼不足を起こして、焼結鉱の強度低下を招き、歩留りや生産性を低下させるため、焼結操業に重大な悪影響を及ぼすことになる。特に、吐出ノズルに付着し易いタールやスケール等の不純物を含む気体燃料例えばコークス炉ガスを装入層上に吹込む場合には、短期間でのノズル清掃や点検が必要となり、焼結操業の焼結鉱の生産量に大きな影響を与えることになる。
そこで、本発明は上記従来例の課題に着目してなされたものであり、下方吸引式の焼結機において、ノズルに付着しやすいタールやスケール等を含む配管閉塞物質含有気体燃料を吐出する吐出口での配管閉塞物質の付着を抑制して、清掃及び点検周期を長くすることができる焼結鉱の製造方法と焼結機とを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る焼結鉱の製造方法は、循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して、パレット上に焼結原料の装入層を形成する装入工程と、前記装入層表面の炭材に点火炉を使って点火する点火工程と、前記装入層の上方で空気中に配管閉塞物質を含む配管閉塞物質含有気体燃料を噴出して燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料とする気体燃料供給工程と、前記希釈気体と空気とを前記パレット下に配置されたウインドボックスで吸引して前記装入層内に導入し、当該装入層内において希釈気体燃料と炭材を燃焼させて焼結ケーキを生成する焼結工程とを有し、前記気体燃料供給工程は、前記配管閉塞物質含有気体燃料を開口径が6mm以上の噴出口から噴出させることを特徴としている。
また、請求項2に係る焼結鉱の製造方法は、請求項1に係る発明において、前記配管閉塞物質含有気体燃料を噴出させる噴出口の開口径を10mm以上で且つ15mm以下に設定したことを特徴としている。
また、請求項3に係る焼結鉱の製造方法は、請求項1又は2に係る発明において、前記配管閉塞物質含有気体燃料は、コークス炉ガスであることを特徴としている。
また、請求項4に係る焼結鉱の製造方法は、前記コークス炉ガスは、前記点火炉に供給するコークス炉ガスを使用することを特徴としている。
また、請求項5に係る焼結機は、循環移動するパレットと、前記パレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する原料供給装置と、前記装入層の炭材に点火するための点火炉と、前記パレットの下方に配設したウインドボックスと、前記点火炉の下流側に配設された、配管閉塞物質を含む配管閉塞物質含有気体燃料を前記装入層の上方の大気中に噴出し、空気と混合させる開口径が6mm以上に設定された燃料噴出ノズルを有する気体燃料供給装置とを備えていることを特徴としている。
また、請求項6に係る焼結機は、請求項5に係る発明において、前記燃料噴出ノズルの開口径は、10mm以上で且つ15mm以下に設定されていることを特徴としている。
また、請求項7に係る焼結機は、請求項5又は6に係る発明において、前記配管閉塞物質含有気体燃料は、コークス炉ガスであることを特徴としている。
また、請求項8に係る焼結機は、請求項7に係る発明において、前記コークス炉ガスは、前記点火炉に供給するコークス炉ガスを使用することを特徴としている。
また、請求項9に係る焼結機は、請求項5乃至8の何れか1つに係る発明において、前記燃料吐出ノズルは、配管閉塞物質含有気体燃料を噴出するノズル部の外周側に高速で希釈混合促進用気体を吹込む気体吹込み部が形成されていることを特徴としている。
また、請求項10に係る焼結機は、請求項5乃至8の何れか1つに係る発明において、前記燃料吐出ノズルは、配管閉塞物質含有気体燃料を、渦流を形成しながら前記装入層の上方側に吐出するように構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、下方吸引式焼結機の操業において、装入層の上方で配管閉塞物質含有気体燃料を大気中に吐出して所定の濃度に希釈調整された希釈気体燃料を装入層中に供給(導入)し、装入層内の目標とする位置で燃焼させることができる。しかもこの場合において、配管閉塞物質含有気体燃料を吐出する吐出口の開口径を6mm以上で、好ましくは10mm以上に設定することにより、吐出口への配管閉塞物質の付着を抑制して、清掃及び点検周期を延長させることができ、焼結操業の生産量を向上させることができる。
ここで、配管閉塞物質含有気体燃料を吐出する吐出口の開口径を6mm未満に設定すると、少なくとも吐出口へのタール、スケール等の配管閉塞物質の付着量が多くなり、清掃や点検の周期を短くする必要があり、この清掃や点検時に焼結操業を停止しなければならず、焼結操業の生産量が減少することになる。しかしながら、本願発明のように配管閉塞物質含有気体燃料を吐出する吐出口の開口径を6mm以上に設定することにより、配管閉塞物質の付着量を抑制することができ、長期の使用に耐え得ることになる。
本発明に係る焼結鉱の製造方法は、装入工程、点火工程、希釈気体燃料生成工程および燃焼工程を含んで構成されている。この製造方法において、前記装入工程は、循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して、パレット上に焼結原料の装入層を形成する工程であり、前記点火工程は、装入層表面の炭材に点火炉を使って点火する工程である。また、前記希釈気体燃料生成工程は、配管閉塞物質を含む配管閉塞物質含有気体燃料を装入層上方の空気中に供給して希釈し、燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料を得る工程であり、前記燃焼工程は、パレット下に配置されたウインドボックスの吸引力により、上記希釈気体燃料と空気とを装入層内に吸引し、該希釈気体燃料を装入層内において燃焼させると同時に、装入層内に吸引した空気により、該装入層内の炭材を燃焼させ、発生する燃焼熱によって、焼結原料を焼結し、焼結ケーキを生成させる工程であり、上記希釈気体燃料生成工程および燃焼工程が本発明における特徴である。
前記希釈気体燃料生成工程は、点火炉のパレット進行方向の下流側で、配管閉塞物質含有気体燃料を開口径が6mm以上で好ましくは開口径が10mm以上の噴出口から装入層の上方の大気中に噴出し、空気と混合させて、燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料をとし、これを装入層中に導入させるための工程であり、本発明の焼結機は、上記希釈気体燃料を得るための気体燃料供給装置を有することを特徴としている。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の焼結機を示す概略構成図であって、前述した従来例で記載したように、鉄鉱石粉、製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉、石灰石及びドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などの各原料を個々のホッパーから切り出し、ドラムミキサーにより適量の水を混合し、造粒して、3.0乃至6.0mmの平均径を有する疑似粒子である焼結原料をサージホッパー5に貯留すると共に、細粒の焼結鉱を床敷ホッパー4に貯留しておく。
無端移動式の焼結機パレット8の移動に伴って、床敷ホッパー4から細粒の焼結鉱を切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成させ、この床敷層上にサージホッパー5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、焼結原料が装入されて、焼結ベッドとも言われる400〜800mm程度の厚さ(高さ)の装入層9を形成する。
そして、切り出しシュート7の下流側には、装入層9の上方に点火炉10が配設され、この点火炉10で、装入層9の表層中の炭材に点火する。この点火炉10には、製鉄所内のコークス炉で発生する所謂Cガスと称されるコークス炉ガスが供給されており、このコークス炉ガスを燃焼させることにより、装入層9の表層中の炭材に点火する。
この点火炉10の下流側には、気体燃料供給装置15が配設されている。
この気体燃料供給装置15は、図2に示すように、点火炉10の下流側且つ燃焼・溶融帯が装入層9中を進行する過程におけるパレット進行方向の何れかの位置に一つ以上配設され、装入層9中への気体燃料ミストの供給は、装入層9中の炭材への点火後の位置で行われるのが好ましい。この気体燃料噴射装置15は、点火炉10の下流側で、燃焼前線が表層下に進行した以降の任意の位置に一つ又は複数個配設されるものであり、目標とする製品焼結鉱の冷間強度及び被還元性を調整する観点から、大きさ、位置、配置数が後述するように決められる。
この気体燃料供給装置15は、図2及び図3に示すように、焼結機パレット8の上部を囲う上端を開放したフード16でフード16外に気体燃料が漏洩しないように囲われている。このフード16を構成する前後ウォール17間に燒結機パレット8の搬送方向に沿って延長し、頂点を上方とする断面く字状の邪魔板19を燒結機パレット8の搬送方向と直交する幅方向に所定ピッチpを保って所定本数平行に配設した構成を有する邪魔板列20を配して、吸引された邪魔板列20間を通じて通過する大気と、前記気体燃料供給装置15から供給される気体燃料との混合を図り、気体燃料希釈できるようになっている。本実施形態では、邪魔板列20は上下方向に3列配置し、上下方向に隣接する邪魔板列20間で、一方の邪魔板列20の邪魔板19間に他方の邪魔板列20の邪魔板19が位置するように配設されている。また、最下段の邪魔板列20の下側における邪魔板19間に焼結機パレット8の搬送方向に延長し、搬送方向と直交する幅方向に所定間隔を保って例えば7本の気体燃料供給配管21が配設されている。これら各気体燃料供給配管21は、図2に示すように、焼結機パレット8の搬送方向の両端でそれぞれ気体燃料供給元配管22に連結され、これら気体燃料供給元配管22に、前述した点火炉10に供給されるタールやスケール等の配管閉塞物質を含む配管閉塞物資室含有気体燃料としてコークス炉ガス(Cガス)が供給されている。
各気体燃料供給配管21の内、幅方向の両端の気体燃料供給配管21については内側向きに気体燃料噴出ノズル23が配設され、残りの気体燃料供給配管21については隣接する気体燃料供給配管21に対向する対称位置に焼結機パレット8の搬送方向に所定ピッチで所定数の気体燃料を水平方向に噴出する噴出口としての吐出気体燃料噴出ノズル23が配設されている。
ここで、隣接する気体燃料供給配管21間で、図4に示すように、一方の気体燃料供給配管21の気体燃料噴出ノズル23が他方の気体燃料供給配管21の気体燃料噴出ノズル23間の中央位置に配置されるように隣接する気体燃料供給配管21間で水平方向に気体燃料噴出ノズル23が千鳥状に配置されている。このため、隣接する気体燃料供給配管21で水平方向に噴射される気体燃料が互いに干渉することなく、均一に分散されて装入層9上に噴射されて空気と混合されて希釈気体燃料24となる。その後、焼結機パレット8下の図示されていないウインドボックスの吸引力を利用して、装入層9の表層に生成した焼結ケーキを経て、装入層の深部(下層)にまで導入される。なお、符号18は、焼結機パレット8の進行方向に向かって囲うウォールである。
また、上記気体燃料供給装置15は、例えば、気体燃料供給配管21やノズル等に流量制御手段を設けることにより、パレット幅方向における気体燃料の供給量を制御することができることが好ましい。特に、パレット幅方向のサイドウォール18の近傍では、横風の影響を受けて、供給した気体燃料が機側方向に流されたり、機外に漏出したりして、気体燃料濃度が希薄になるおそれが高いので、そのサイドウォール18の近傍に気体燃料を多く供給できるようにしたものであることが好ましい。
また、上記気体燃料供給装置15は、気体燃料を、装入層9の上方で、大気中に高速で吐出させ、それによって周囲の空気と短時間で混合し、その気体燃料の燃焼下限濃度以下の濃度に希釈し、その後、装入層中にその希釈気体燃料24を導入する必要がある。
上記のように、気体燃料を燃焼下限濃度以下の濃度に希釈する理由は、下記による。
表1は、本発明で用いることができる代表的な気体燃料の燃焼下限濃度、供給濃度等を示したものである。焼結原料中に気体燃料を供給する時のガス濃度は、火災の発生を防止するためには、燃焼下限濃度より低いほど安全である。すなわち、常温状態では燃焼しない(できない)ようにして供給することが安全のため必要である。この点、都市ガスは、Cガス(コークス炉ガス)と燃焼下限濃度が近似しているが、熱量がCガスよりも高いことから、供給濃度を低くできる。したがって、安全性を確保する観点からは、供給濃度を低くすることができる都市ガスの方がCガスより優位であるが、Cガスは製鉄所内のコークス炉から調達できることからランニングコストが都市ガスに比較して大幅に低い。
Figure 2010132963
表2は、気体燃料中に含まれる燃焼成分(水素,CO,メタン)と、それら成分の燃焼下限・上限濃度、層流、乱流時の燃焼速度等を示したものである。焼結中における火災発生を防止する、すなわち、焼結中に供給している気体燃料による火災発生を防止するためには、逆火防止を図る必要があるが、そのためには、少なくとも層流燃焼速度以上、好ましくは乱流燃焼速度以上の高速で気体燃料を吐出させれば良い。例えば、都市ガスの主要燃焼成分であるメタンを気体燃料とする場合には、3.7m/sを超える速度で吐出させれば、逆火の恐れはないわけである。一方、水素ガスは、乱流燃焼速度がCOやメタンと比較して速いため、安全を確保するためには、その分、高速で吐出させる必要がある。この点から、表1に示した気体燃料を比較すると、水素成分を含まない都市ガスは、水素成分を59vol%も含有しているCガスと比較して、吐出速度を遅くすることができる点で有利である。しかも、都市ガスは、CO成分を含まないので、ガス中毒を起こすおそれもなく安全である。したがって、安全性を確保する観点からは、都市ガスは、気体燃料として使用する上で好ましい特性を有すると言うことができる。Cガスも、気体燃料として使用することができるが、以上述べた問題があり、困難を伴う。本発明では、これらの点も合わせて解決する。
Figure 2010132963
表3は、気体燃料を供給する形式による得失を評価した結果を示したものである。表中、直上吹込みとは、都市ガスやCガス等の気体燃料を、そのまま供給(吐出)して周囲の大気を巻き込ませることにより所定の濃度に希釈し、装入層中に吸引(導入)させる形式、予混合吹込みとは、あらかじめ大気と気体燃料とを混合して所定の濃度まで希釈したものを装入層上に供給し、装入層中に吸引(導入)させる、いわゆるプレミックス形式をさす。直上吹込み形式では、上述した乱流燃焼速度以上の速度で気体燃料を吐出すれば、逆火防止は容易であるが、予混合吹込み形式では、濃度偏差が発生したとき、逆火を起こす可能性がある。一方、直上吹込み形式では、気体燃料を周囲の大気と混合し希釈させる際、濃度ムラが発生しやすいため、装入層中で燃焼ムラを起こす可能性が、予混合吹込み形式に比べて大きい。しかし、ランニングコストを考慮せず設備コストを含めて総合的に評価した場合には、都市ガスの直上吹込みが最も優位であるが、ランニングコストを考慮するとCガスの直上吹込みが最も優位である。
Figure 2010132963
また、本発明では、上記気体燃料供給装置15により、気体燃料を、装入層9の上方で、大気中に高速で吐出させ、それによって周囲の空気と短時間で混合し、その気体燃料が有する燃焼下限濃度以下の濃度に希釈し、その後、装入層中にその希釈気体燃料を導入する必要がある理由は、下記による。
図5(a)に示したように、内径300mmφ×高さ400mmの焼結鍋に焼結ケーキを充填し、その焼結ケーキの中央部の上から深さ90mmの位置にノズルを埋め込んで、対空気で1vol%となるよう100%濃度のメタンガスを吹き込み、焼結ケーキ内の円周方向および深さ方向におけるメタンガス濃度を測定した結果を表4に示した。一方、図5(b)に示したように、同じノズルを用いて、焼結ケーキの上方350mmの位置からメタンガスを供給した場合について、上記と同様にしてメタンガス濃度の分布を測定した結果を表5に示した。これらの結果から、メタンガスを焼結ケーキ中に直接導入した場合には、メタンガスの横方向の拡散が不十分であるのに対して、メタンガスを焼結ケーキ上方で供給した場合には、焼結ケーキ内のメタンガス濃度はほぼ均一であり、十分に横方向に拡散していることがわかる。以上の結果から、気体燃料は、焼結ケーキの上方で空気中に供給することにより、装入層内に導入される前に、均一に希釈しておくことが好ましいことがわかる。
Figure 2010132963
Figure 2010132963
次に、Cガスの利用に際しての問題は、配管閉塞物質であるタールやスケールを含むことである。従って、噴射ノズル径が1〜3mmΦのいわゆる細管であっては、数日待って閉塞という状態となり、Cガス供給を行なう焼結鉱製造方法自体が継続困難となる。そのため、本発明において、気体燃料供給配管21から気体燃料を吐出させる気体燃料噴射ノズル23の開口径は、気体燃料としてタールやスケールを含むコークス炉ガスであることから6mm以上に設定することが好ましい。その理由は、吐出部の開口面積が小さいとタールやスケールの混合物でなる配管閉塞物質が噴射ノズル23に付着して噴射ノズル23の清掃や点検を数日で、或いは2〜3週間毎に行わなければならず、その間は焼結操業を停止させる必要があることから生産量が減少してしまう。
しかしながら、気体燃料噴射ノズル23の開口径を6mm以上に設定することにより、気体燃料噴射ノズル23の清掃頻度を半年程度に延長することができ、開口径を10mm以上とする清掃頻度を10カ月以上に延長することができる。
このように、気体燃料噴射ノズル23の開口径は大きければ大きい程タールやスケールの混合物でなる配管閉塞物質の付着を抑制することができるものであるが、配管径を大きくすると、噴出する気体燃料の噴射速度が低下し、吐出範囲も狭くなることから、開口径は15mm以下とすることが望ましい。
なお、気体燃料噴射ノズル23や気体燃料供給配管21等を予熱する予熱機構を配置して、タールやスケール等の配管閉塞物質が気体燃料供給配管21や気体燃料噴射ノズル23内で固化することを抑制するようにすれば、さらに清掃や点検周期を長くすることができる。
これらの気体燃料を吐出させる配管と開口部が同一形状である場合、一般的に、燃料を供給元ヘッダーに近いほど、燃料が出やすく、遠くなるほど燃料が出にくくなる。そこで、長尺の配管を使用する場合には、
(a)配管内の断面積を徐々に小さくしたテーパー状配管を用いる
(b)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口断面積を大きくする
(c)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口部やノズルのピッチを狭め、単位配管長さ当りの開口部ないしノズル断面積の和が大きくする、
のいずれか1つを適用するか、これらを組み合わせて適用することにより、配管長さが長い場合でも、均等に燃料を供給することができる。
なお、上記気体燃料供給装置での気体燃料の吐出は、装入層表面上方300mm以上の高さで行うことが好ましい。
また、上記気体燃料供給装置での気体燃料の吐出は、装入層表面上方300mm以上の高さ、及び吐出方向を略水平方向として行うことが好ましい。
図6は、Cガスを使用する際、焼結原料の装入層中でのCガス拡散度を測定する実験である。すなわち、装入層中でCガス濃度が偏る場合、燃焼ムラを生じ得られる焼結鉱品質が不均一となる問題を避けるためである。
図6は、焼結原料の充填層aの表面bの上方に気体供給配管cを配置し、気体供給配管cの設けたノズルdによるCガス供給を行った際の焼結原料の充填層a中のCガス濃度を測定したCガス拡散度測定装置である。焼結原料の充填層a下部から排気する形で焼結原料の充填層aの表面bの上方の空気を吸引する状態で、上記気体供給配管cのノズルdから、Cガスを吐出させ、充填層a中の各箇所丸印1から丸印15で採取したCガス濃度を測定してCガス拡散度を判定した。上記気体供給配管cのノズルdは、充填層aの表面bに向かって吐出させたのが、下吹き、充填層aの表面bの沿う方向に向かって吐出させたのが、水平横吹きと称する。
図7は、その結果であり、水平横吹きの際の充填層aの上層、中層、下層で検出されるCガス濃度を図B(a)に、下向きで吐出させた際のCガス濃度を図7(b)に示した。
Cガスは、CH4ガス同様、充填層a中を拡散し難く、下吹きよりも、水平横吹きの方がCガス濃度は均一化されている。
また、図8及び図9は、下吹きガス拡散混合の解析結果であり、図8の条件(Cガス吹き込み、ノズル口径10mm、下向き3m/sの吐出速度)での結果を図9に示す。図9において、垂直断面、水平断面ともにノズル間でガス拡散混合が不十分な領域が生じており、この濃度不均一なCガスが焼結原料の装入層に供給されるため燃焼村の発生は避けがたいことが予想できる。
図10は、ノズル口径、吐出速度は同一として、水平横吹きとして解析した結果である。水平横吹きのCガスは、焼結原料の装入層側に大気とともに吸引され、均一混合状態で供給されることがわかる。
鍋試験結果を、図11に示す。ガス吹込みを行わない焼結操業で得られる焼結鉱強度、歩留まり、生産性、焼結時間をベースとし比較したが、ベース、及び下向き気体供給に比べ、水平横吹きの供給形態が最も優れた結果となった。なお、水平横吹きとは、焼結原料の装入層と平行状態を指し、水平方向±30度の範囲において許容できる。このましくは水平方向±20度の範囲である。
この結果から、吐出された気体燃料の装入層表面における跳ね返りを考慮し、Cガスの大気中への供給は、装入層表面上方300mm以上の高さで行うこと及びCガスの供給は装入層表面上方で水平横吹きで行なうこととする。
次に、本発明の気体燃料供給装置の横風対策について説明する。
本発明では、前述したように、焼結機パレット8の上部を覆うフード16を設けている。このフード16によって横風による希釈気体燃料29の濃度分布に与える影響を抑制するようにしている。すなわち、本発明者等は、種々の検討を行った結果、フード16の設置は、横風対策として、衝立以上の効果があることが分かった。但し、このフード16は前述したように、上方中央部に開口17を有するか又は適当な透過率(空隙率)を有するものとし、この部分から、大気を取り入れることができる構造とする必要がある。
これにより、フード16内部で、気体燃料噴射ノズル23から噴射されたコークス炉ガスと大気とが混合される。
さらに、フード16の焼結機パレット8の搬送方向に沿う左右のサイドウォール18の上端に、図3に示すように、透過率30%程度のパンチメタル等で構成される横風減衰フェンス16cを設けることが好ましい。
また、フード16の下側と、焼結ベッド表面(装入層表面)との間には、必然的に間隙が生じるが、この間隙部分のシールが十分でないと、例えば、透過率が20〜30%あると、この部分からフード16内部に空気を巻き込み、希釈気体燃料の濃度分布の偏りを増大させることが分かった。したがって、フード16の下端からの空気の侵入を防止することは重要である。
このため、フード16の焼結機パレット8の搬送方向に沿う左右のサイドウォール18の下端とパレットサイドウォール8aとの間及びスプレー機構23の分岐噴射部27の下面と装入層9の上面との間には、図3に模式的に示すように焼結機パレット8の搬送方向に延長するワイヤーブラシ間にシールシートを介挿したワイプレシール41が設置され、その外側にワイプレシール41を外側から覆うカバー42が設けられている。なお、シール材としてはワイプレシール41に限らず、チェーンカーテン、シールブラシ、密着シール等のシール材を適用することができる。また、上記シール材は、耐熱性があり、且つ、可撓性ないし変形の自由度が大きく、装入層9の表面を傷つけないものであることが好ましい。
一方、焼結機パレット8の搬送方向の上流側及び下流側でのフード16の前後板部16bの下端と装入層9の表面との間では、図12に示すようなフード16の前後ウォール19に沿って空気通路43を配設し、この空気通路43の下方から空気を噴出させてエアカーテン44を形成することが好ましい。
また、気体燃料噴射装置15の設置位置、大きさ、配置数は以下のようにして設定される。
すなわち、装入層9中の炭材に点火された後の装入層9上に、焼結完了帯が生じた後に、希釈気体燃料24を装入層9上へ供給(導入)する。その理由は、点火直後の赤熱部分の存在位置で希釈気体燃料24を供給しても、逆火のおそれがあるからである。したがって、装入層9の上部の焼結原料が焼成されて、焼結ケーキの層が形成された後に、希釈気体燃料24を装入層9へ供給する必要がある。なお、希釈気体燃料24の供給は、装入層9の表面に焼結ケーキの層が形成されていれば、焼結が完了するまでの任意の位置で行うことができる。希釈気体燃料24の供給を焼結ケーキの層が形成された後に行う上記以外の理由は、下記の通りである。
(a)装入層9の上部に焼結ケーキ(焼結層)が生成していない状態で希釈気体燃料24の供給を行うと、この装入層9の上で燃焼を起こす可能性がある。
(b)希釈気体燃料の供給は、焼結鉱の歩留りを向上させる必要のある部分に対して行う、即ち、焼結鉱の強度を上昇させたい部分で燃焼を起こすよう供給するのが好ましい。
希釈気体燃料24の装入層9の上方側で燃焼しないようにするには、装入層9の表層部に点火炉10による着火後、着火して焼結ケーキが表面に生成された後は、装入層9の表層部分に火種が無く逆火(引火)の確率は低くなる。この焼結ケーキは前述した図14(a)に示すように、焼結機パレット8が点火炉10から下流側に移動するに応じて厚みが厚くなることから、焼結ケーキの装入層9の表面からの厚みが20mm以上となると逆火を生じる可能性が十分に低く、焼結ケーキの厚みが50mm以上となると逆火を確実に防止することができる。
このように、焼結ケーキの厚みが20mm以上、好ましくは50mm以上となる希釈気体燃料の好適な吹込み位置は、点火炉10から下流側に5〜6mの位置となり、この位置に最初の気体燃料供給装置15を配設する。複数の気体燃料供給装置15を配設する場合には、最初の気体燃料供給装置15の下流側であれば、装入層9の表面に火種が全くないので、任意の位置に気体燃料供給装置15を設けることができ、本実施形態では4台の気体燃料供給装置15が焼結機パレット8の搬送方向に沿って直列に配設されている。
また、装入層最高筒体温度又は高温領域保持時間の何れか又は両方を調整するために、燃焼・溶融帯の厚みが少なくとも15mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上となった状態において、希釈気体燃料24の供給を行うことが好ましい。燃焼・溶融帯の厚みが15mm未満では、焼結ケーキ(焼結層)を通して吸引される空気と希釈気体燃料24による冷却効果によって、希釈気体燃料24を燃焼させてもその効果が不十分となり、燃焼・溶融帯の厚みの拡大を図れないからである。
一方、前記燃焼・溶融帯の厚みが15mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上となる段階で希釈気体燃料24を供給すると、燃焼・溶融帯の厚みが大きく拡大し、高温域保持時間を延長することができ、ひいては冷間強度の高い焼結鉱を得ることができる。
また、希釈気体燃料24の装入層9への導入は、燃焼前線が表層下に下がり、燃焼・溶融帯が表層から100mm以上、好ましくは200mm以上下がった位置、すなわち、装入層9の中・下層に生成した焼結ケーキ領域(焼結層)を燃焼することなく通過し、燃焼前線が表層から100mm以上移動した段階で燃焼するように供給するのが好ましい。その理由は、燃焼前線が表層から100mm以上下がった位置であれば、焼結層を通して吸引される空気による冷却の悪影響が軽減され、燃焼・溶融帯の厚みの拡大を図ることができるからである。さらに、燃焼・溶融帯が表層から200mm以上下がった位置であれば、空気による冷却の影響が略解消されて、燃焼・溶融帯の厚みを30mm以上に拡大することができる。また、希釈気体燃料24の供給は、歩留り低下の大きいパレット幅方向両炭部のサイドウォール近傍で行うことがより好ましい。
なお、気体燃料供給装置15は、焼結機の規模にもよって異なるが、例えば、生産量が約1.5万t/日で、機長が90mの規模の焼結機では、点火炉10の下流側約5m以降の位置に配置することが好ましい。
本発明に係る焼結鉱の製造方法では、装入層中への希釈気体燃料24の導入は、生成した焼結ケーキの再加熱を促進するものであることも意味している。即ち、この希釈気体燃料の供給は、もともと高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い部分に対して、固体燃料に比べて反応性の高い気体燃料ミストを供給することによって、不足しやすいこの部分の燃焼熱を補填し、燃焼・溶融帯の再生−拡大を図るという意義を担うものだからである。
また、本発明に係る焼結鉱の製造方法では、点火後の装入層上部からの希釈気体燃料24の供給は、装入層内する導入された希釈気体燃料24の少なくとも一部が未燃焼のまま、燃焼・溶融帯にまで到達して、燃焼熱の補填を図りたい目標位置で燃焼するようにするのが好ましい。それは、希釈気体燃料の供給、即ち装入層中への導入効果を単に装入層上部のみならず、厚み方向の中央部である燃焼・溶融帯にまで波及させることがより効果的と考えられるからである。つまり、希釈気体燃料24の供給が、熱不足(高温域保持時間の不足)になりやすい装入層の上層部で行われると、十分な燃焼熱を提供することになり、この部分の焼結ケーキの品質を改善することができ、さらに、希釈気体燃料24の供給作用を中層部以下の帯域にまで及ぶようにすると、本来の炭材による燃焼・溶融帯の上に希釈気体燃料24による再燃焼・溶融帯を形成するのと等しい結果となり、燃焼・溶融帯の上下方向の拡幅につながるので、最高到達温度を上げることなく、高温域保持時間の延長を果すことが可能になるので、パレットの移動速度を落すことなく十分な焼結が実現できるからである。その結果、装入層9全体の焼結ケーキの品質改善(冷間強度の向上)をもたらし、ひいては成品焼結鉱の品質(冷間強度)と生産性の向上につながる。
また、本発明において、希釈気体燃料24を装入層9中へ導入(供給)するに当っては、その供給位置を調整するだけでなく、燃焼・溶融帯自体の形態を制御し、ひいては、燃焼・溶融帯における最高到達温度および/または高温域保持時間をも制御するようにすることが好ましい構成である。
一般に、点火後の装入層9では、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図17(a)に示すように変化する。そして、図17(b)に示すように、焼結層内の焼結過程で受ける熱履歴は、上層、中層、下層で異なり、上層〜下層間では、高温域保持時間(約1200℃以上となる時間)は大きく異なる。その結果、パレット8内の位置別焼結鉱の歩留まりは、図17(c)に示すような分布を示す。即ち、表層部(上層部)の歩留は低く、中層、下層部で高い歩留分布となる。そこで、本発明方法に従って、前記希釈気体燃料24を供給すると、燃焼・溶融帯は、上下方向の厚みやパレット進行方向の幅などが拡大し、これが成品焼結鉱の品質向上に反映されるのである。そして、高い歩留分布となる中層部や下層部は、さらに高温域保持時間を制御できるため、歩留をより上昇させることができる。
前記希釈気体燃料24の供給(導入)位置を調整することにより、燃焼・溶融帯の形態、即ち、燃焼・溶融帯の高さ方向の厚さおよび/またはパレット進行方向の幅を制御できると共に、最高到達温度や高温域保持時間を制御することができる。これらの制御は、本発明の効果をより一層際立たせて、燃焼・溶融帯の上下方向の厚さやパレット進行方向の幅の拡大や、最高到達温度、高温域保持時間の制御を通じて、常に十分な焼成を果し、成品焼結鉱の冷間強度の向上に有効に寄与する。
また、本発明において、装入層9中への希釈気体燃料24の供給(導入)は、成品焼結鉱全体の冷間強度を制御するためであると言うこともできる。すなわち、希釈気体燃料24を供給するそもそもの目的は、焼結ケーキ、ひいては焼結鉱の冷間強度を向上させることにあり、とくに、希釈気体燃料24の供給位置制御や、焼結原料が燃焼・溶融帯に滞在する時間である高温域保持時間の制御、最高到達温度の制御を通じて、焼結鉱の冷間強度(シャッターインデックスSI)を75〜85%程度、好ましくは80%以上、より好ましく90%以上にすることである。
この強度レベルは、本発明では、とくに前記希釈気体燃料24の濃度、供給量、供給位置および供給範囲を、好ましく焼結原料中の炭材量を考慮した(投入熱量を一定にする条件下で)上で調整することによって、安価に達成することができる。なお、焼結鉱の冷間強度の向上は、一方で、通気抵抗の増大と生産性の低下を招くことがあるが、本発明では、そうした問題を最高到達温度や高温域保持時間をも制御することによって解消した上で、焼結鉱の冷間強度を向上させる。なお、実機焼結機によって製造された焼結鉱の冷間強度SI値は、鍋試験で得られる値よりもさらに10〜15%高い値を示す。
本発明の製造方法において、パレット進行方向における前記希釈気体燃料24の装入層9中への導入位置は、装入層9中に生成した焼結ケーキから湿潤帯までの間の任意の帯域における焼結鉱の冷間強度をどのようにするかということを基準とする。この制御のために、本発明では、気体燃料噴射装置の規模(大きさ)、数、位置(点火炉からの距離)、ガス濃度を、好ましくは焼結原料中の炭材量(固体燃料)に応じて調整することにより、主として燃焼・溶融帯の大きさ(上下方向の厚さおよびパレット進行方向の幅)のみならず、高温到達温度、高温域保持時間をも制御し、このことによって、装入層9中に生成する焼結ケーキの強度を制御する。
Cガスを使用する際は、燃焼下限濃度は5.0vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は3.8vol%、60%に希釈したガス濃度上限は3.0vol%、25%に希釈したガス濃度は1.3vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、Cガスの場合、気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は0.24vol%である。
好ましい範囲(1): 5.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(2): 3.8vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(3): 3.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(4): 1.3vol%〜0.24vol%
次に、上記実施形態の動作を説明する。
先ず、図1に示すように、床敷ホッパー4から整粒した塊鉱石を切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成し、この床敷層上にサージホッパー5からドラムフィーダー6で定量切り出しされた焼結原料が装入されて焼結ベッドとも言われる400〜800mm程度の装入層9を形成する。
そして、焼結機パレット8の搬送に伴って、点火炉10下に移動された装入層9の表層中の炭材に点火される。
点火後の装入層9では、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図12(a)に示すように変化する。そして、燃焼・溶融帯の位置が上層から中層に移行する表層から20mm程度に達するときに、焼結機パレット8が気体燃料供給装置15の位置に達する。
この気体燃料供給装置15では、焼結機パレット8の上方を覆うフード16内で気体燃料噴射ノズル23によって噴射される。
このとき、この気体燃料噴射ノズル23が図4に示すように、隣接する組のスプレー機構23同士が対向しないように隣接する組間で焼結パレット8の搬送方向に半ピッチずらして配置されているので、隣接する組における気体燃料噴射ノズル23から噴射される気体燃料が互いに干渉することなく均一な噴射領域が形成される。
このとき、気体燃料噴射ノズル23の開口径が6mm以上で、好ましくは10mm以上に設定されていることにより、タールやスケール等の配管閉塞物質を多く含むコークス炉ガス(Cガス)であっても、配管閉塞物質の付着を抑制して、清掃や点検の周期を半年〜10カ月以上延長させることができ、清掃や点検のための焼結操業の停止を少なくして焼結操業の生産量を向上させることができる。この場合、気体燃料噴射ノズル23や気体燃料供給配管21等を予熱する予熱機構を配置して、タールやスケール等の配管閉塞物質が気体燃料供給配管21や気体燃料噴射ノズル23内で固化することを抑制するようにすれば、さらに清掃や点検周期を長くすることができる。
噴射された気体燃料は、邪魔板19によって乱流とされた空気と混合されて常温における燃焼下限濃度以下に希釈され、装入層9の上方での燃焼を抑制することができる。
そして、気体燃料噴射ノズル23から噴射され空気で希釈された希釈気体燃料24は、焼結機パレット8の下側に配設されたウインドボックス11を介して空気を下方に吸引することにより、装入層9内に導入される。
装入層9内に導入された希釈気体燃料29は、表層部に生成された焼結ケーキを通過して表面から20mm以上下側の燃焼・溶融帯に達し、この燃焼・溶融層で燃焼される。このため、元々高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い上・中層域を1200℃以上の高温域に保持する高温域保持時間を長くすることができ、焼結鉱の冷間強度を向上させることができる。したがって、希釈気体燃料24の吹き込みを行わない場合の図17(c)に示す歩留りの低い上・中層部の歩留りを向上させることができる。
このように、希釈気体燃料24の供給作用を中層部以下の領域にまで及ぶようにすると、本来の炭材による燃焼・溶融帯の上に希釈気体燃料24による再燃焼・溶融帯を形成するのと等しい結果となり、燃焼・溶融帯の上下方向の拡幅につながるので、最高到達温度を上げることなく高温域保持時間の延長を果たすことが可能になるので、焼結機パレット8の移動速度を落とすことなく十分な焼結が実現できる。その結果、装入層9全体の焼結ケーキの品質改善(冷間強度の向上)をもたらし、ひいては焼結鉱の品質(冷間強度)と生産性の向上につながる。
なお、上記実施形態においては、気体燃料噴射ノズル23が単に開口を有するノズルで構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図13に示すように、ノズルの先端部に回転翼60を配設して、気体燃料を渦流として噴出させることにより、空気との混合をより確実に行うようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、点火炉10の下流側に気体燃料供給装置15を配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、点火炉10の下流側に保温炉が配設されている場合には、この保温炉の下流側に気体燃料供給装置15を配設すればよい。
また、上記実施形態においては、気体燃料噴射装置15のフード16を上方を開放したフードとした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上端を狭くし所定の開口率の開口を形成するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、気体燃料としてコークス炉ガスを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、コークス炉ガスと高炉ガスとを混合したMガスを適用するようにしてもよい。
本発明の技術は、製鉄用、とくに高炉用原料として使われる焼結鉱の製造技術として有用であるが、その他の鉱石塊成化技術としても利用することができる。
本発明の一実施形態を示す概略構成図である。 気体燃料供給装置の概略構成図である。 気体燃料供給装置の搬送方向と直交する方向の断面図である。 気体燃料供給装置の気体燃料噴射状態を示す説明図である。 焼結ケーキへの気体燃料供給位置の影響を調べる実験を説明する図である。 焼結原料の装入層中でのCガス拡散度を測定する実験を説明する図である。 図6の実験の測定結果を説明する図である。 下吹きガス拡散混合の条件を示す図である。 図8の実験の解析結果である。 ノズル口径、吐出速度を同一として、水平横吹きとして解析した結果を示す図である。 気体燃料の吐出速度、ノズル径が希釈気体の濃度分布に及ぼす影響を示すグラフである。 フードの前後のシール状態を示す説明図である。 気体燃料噴射ノズルの変形例を示す正面図である。 従来の焼結プロセスを説明する図である。 焼結層内における圧損と温度分布を説明する図である。 高生産時と低生産時の温度分布を比較した説明図である。 焼結機内における温度分布と歩留分布のグラフである。
符号の説明
1…原料ホッパー
2…ドラムミキサー
3…ロータリーキルン
4…サージホッパー
5…床敷ホッパー
6…ドラムフィーダー
7…切り出しシュート
8…燒結機パレット
9…装入層
10…点火炉
11…ウインドボックス
15…気体燃料噴射装置
16…フード、
19…邪魔板
20…邪魔板列
21…気体燃料配管
22…気体燃料供給元配管
23…気体燃料噴射ノズル

Claims (10)

  1. 循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して、パレット上に焼結原料の装入層を形成する装入工程と、
    前記装入層表面の炭材に点火炉を使って点火する点火工程と、
    前記装入層の上方で空気中に配管閉塞物質を含む配管閉塞物質含有気体燃料を噴出して燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料とする気体燃料供給工程と、
    前記希釈気体と空気とを前記パレット下に配置されたウインドボックスで吸引して前記装入層内に導入し、当該装入層内において希釈気体燃料と炭材を燃焼させて焼結ケーキを生成する焼結工程とを有し、
    前記気体燃料供給工程は、前記配管閉塞物質含有気体燃料を開口径が6mm以上の噴出口から噴出させることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 前記配管閉塞物質含有気体燃料を噴出させる噴出口の開口径を10mm以上で且つ15mm以下に設定したことを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記配管閉塞物質含有気体燃料は、コークス炉ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 前記コークス炉ガスは、前記点火炉に供給するコークス炉ガスを使用することを特徴とする請求項3に記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 循環移動するパレットと、
    前記パレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する原料供給装置と、
    前記装入層の炭材に点火するための点火炉と、
    前記パレットの下方に配設したウインドボックスと、
    前記点火炉の下流側に配設された、配管閉塞物質を含む配管閉塞物質含有気体燃料を前記装入層の上方の大気中に噴出し、空気と混合させる開口径が6mm以上に設定された燃料噴出ノズルを有する気体燃料供給装置とを備えていることを特徴とする焼結機。
  6. 前記燃料噴出ノズルの開口径は、10mm以上で且つ15mm以下に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の焼結機。
  7. 前記配管閉塞物質含有気体燃料は、コークス炉ガスであることを特徴とする請求項5又は6に記載の焼結機。
  8. 前記コークス炉ガスは、前記点火炉に供給するコークス炉ガスを使用することを特徴とする請求項7に記載の焼結機。
  9. 前記燃料噴出ノズルは、配管閉塞物質含有気体燃料を吐出するノズル部の外周側に高速で希釈混合促進用気体を吹込む気体吹込み部が形成されていることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の焼結機。
  10. 前記燃料吐出ノズルは、配管閉塞物質含有気体燃料を、渦流を形成しながら前記装入層の上方側に吐出するように構成されていることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の焼結機。
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