JP2010132762A - 光硬化性樹脂組成物および凹凸フィルムの製造方法 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物および凹凸フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の凹凸形状を有する凹凸フィルムをより生産性良く製造することができる凹凸フィルムの製造方法、およびこの製造方法に好適に用いられる光硬化性樹脂組成物、を提供すること。
【解決手段】エチレン性不飽和結合基およびカルボキシル基を有し、酸価50mgKOH/g〜650mgKOH/gでありガラス転移温度が100℃〜200℃である、樹脂(A)、
樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成する官能基を有し、樹脂(A)とポリマーコンプレックス構造を形成する、多官能(メタ)アクリレート(B)、および
光重合開始剤(C)、
を含む光硬化性樹脂組成物であって、
この光硬化性樹脂組成物は、光硬化前の状態においてRa0.1〜1.0の凹凸形状を保持する、
光硬化性樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に微細な凹凸を有する凹凸フィルムの形成に適した光硬化性樹脂組成物、および凹凸フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置(液晶ディスプレイ)は、薄型、軽量、低消費電力などの利点を有しており、コンピュータ、ワードプロセッサ、テレビジョン、携帯電話、携帯情報端末機器等の様々な分野で使用されている。これらの液晶表示装置においては、ディスプレイ表面上に、表面を粗面化する防眩(AG:Anti Glare)フィルムが設けられることが多い。ディスプレイ表面上に防眩フィルムを設けることによって、防眩フィルムの表面の凹凸によって外光を乱反射させ、これによりディスプレイ表面に反射した像の輪郭をぼかすことができる。これによって、ディスプレイ表面上における反射像の視認性を低下することができ、そしてディスプレイ使用時における反射像の映り込みによる画面視認性の障害を解消することができる。液晶表示装置はまたこのような防眩フィルム以外にも、液晶モジュールの光出射部から出射する光を散乱または拡散させることにより輝度を均一にするための、凹凸形状を有する光拡散フィルム、屈折率の異なる光透過性部材の貼り付きを防止することにより干渉縞の発生を防ぐ凹凸フィルムなど、様々なフィルムが用いられている。
このような凹凸フィルムの製造方法の一例として、樹脂粒子を含む層をフィルム上に設けてフィルムの表面を粗面化する方法が挙げられる。特開2002−221610号公報(特許文献1)には、透光性樹脂と透光性微粒子とを含む防眩層が積層された防眩フィルムであって、透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率の差が0.3以下であって、透光性樹脂が防眩層の表面より0.1〜0.3μm突出してなる防眩フィルムが記載されている。しかしながらこのような防眩フィルムの製造においては、例えば使用する微粒子が均一に分散しないという問題が挙げられる。溶液中に樹脂を均一に分散させるためには、例えば溶液粘度を制御・調整するなどの注意が必要とされる。微粒子が均一に分散せずに凝集すると、表面上の凹凸形状が所望の範囲から外れてしまい、透過画像鮮明性が低下したり、いわゆる白ぼけが起こるなどの不具合が生じることがある。
液晶表示装置に用いられる凹凸フィルムの製造方法の他の一例として、凹凸フィルム製造時において、凹凸パターンを有する鋳型をフィルムに押し当てることによってフィルム表面に凹凸形状を形成する方法が挙げられる。この方法は、所望の凹凸パターンに従った凹凸形状を有する凹凸フィルムを得ることができるという利点がある。例えば特開2006−264221号公報(特許文献2)には、透明基材フィルム上にハードコート層形成用材料からなる薄膜と反射防止層形成用材料からなる薄膜を順次成膜し、その後に両薄膜に対してエンボス加工を一括して施して凹凸を賦型して硬化せしめ、透明基材フィルム上に凹凸を有するハードコート層と反射防止層を形成することを特徴とする防眩性反射防止フィルムの製造方法が記載されている。図2は、この方法を示す概略説明図である。この方法においては、エンボス加工鋳型がフィルムに接触した状態で硬化させる必要があり、エンボス加工鋳型とフィルムとを所定時間接触させておかなければならない。硬化前にエンボス加工鋳型を取り除いた場合は、未硬化の材料がフローしてしまい、凹凸形状が崩れてしまうからである。そのためこの方法においては、加熱あるいは活性エネルギー線の照射により完全硬化しない程度に半硬化させる必要があった。しかしながら半硬化の程度が異なれば、凹凸の程度が異なるため、完全に硬化させない程度の調整には煩雑さを伴うものであり、工業的に繰り返し実行するには難点があった。また、この方法においては1バッチに1つの鋳型が必要となり、凹凸フィルムの生産性を向上させるためには複数のエンボス加工鋳型を準備する必要がある。そのため、生産効率の向上が容易ではないという問題がある。この方法においてはまた、フィルムと同程度の大きさを有するエンボス加工鋳型が必要とされる。そのため、形成する凹凸フィルムの大きさに応じたエンボス加工鋳型を準備する必要がある。
このような問題を解決する一手段が、特開2007−098742号公報(特許文献3)に開示されている。この特許文献3には、表面に凹凸を有するエンボスロールを用いて透明樹脂フィルム上に凹凸パターンを形成する凹凸パターンフィルムの製造方法において、エンボスロールに巻きまわした透明樹脂とエンボスロールとの間に紫外線硬化型樹脂組成物を導入し、エンボスロールの内側より紫外線を照射した後、表面に凹凸が形成された紫外線硬化樹脂層を透明樹脂フィルムと共にエンボスロールから剥離する方法が記載されている。この方法によって、複数のエンボス加工鋳型を準備することなく生産性を向上させることができ、また均一な凹凸を有する長尺フィルムを製造することが可能となるという利点がある。しかしながらこの方法は、未硬化の紫外線硬化型樹脂組成物に対してエンボスロールが接触した状態でエンボスロールの内側から紫外線を照射する方法であるため、エンボスロールの材質が大きく限定されるという問題がある。すなわち、エンボスロールを経て樹脂組成物に紫外線を照射するため、エンボスロールの材質は紫外線を透過する材質である必要がある。また紫外線照射は発熱も伴うため、耐熱性に優れることも必要とされる。そのため、この特許文献3の方法においては、石英のエンボスロールが用いられている。しかしながら石英のエンボスロールは非常に高価であり、その取り扱いが困難であるという問題がある。さらなる問題として、未硬化の紫外線硬化型樹脂組成物に対してエンボスロールが接触した状態でエンボスロールの内側から紫外線を照射する際に、エンボスロールが接触していない状態である紫外線硬化型樹脂組成物の部分にも紫外線が照射されてしまう恐れがある点が挙げられる。このような箇所に紫外線が照射されてしまうと、その部分はもはや凹凸パターンを形成することはできなくなってしまう。
特開2008−006716号公報(特許文献4)には、シート状体の表面に凹凸ローラー表面の凹凸を転写形成する凹凸状シートの製造方法において、帯状可撓性のシート状体を連続走行させる工程、連続走行している前記シート状体の表面に放射線硬化樹脂液を塗布し塗布層を形成する工程、連続走行しているシート状体を回転する前記凹凸ローラーに巻き掛け、塗布層に前記凹凸ローラー表面の凹凸を転写する工程、連続走行しているシート状体が凹凸ローラーに巻き掛けられている状態で放射線を照射し前記塗布層を硬化させる工程、を含む、凹凸状シートの製造方法が記載されている。この特許文献4に記載される方法もまた、シート状体が凹凸ローラーに巻き掛けられている状態で放射線(紫外線)を照射する方法であるため、凹凸ローラーの耐熱性が要求されることとなる。そしてこの方法もまた、上記方法と同様に、凹凸ローラーが接触していない状態であるシート状体に放射線が照射される恐れがある。
特開2002−221610号公報 特開2006−264221号公報 特開2007−098742号公報 特開2008−006716号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、所望の凹凸形状を有する凹凸フィルムをより生産性良く製造することができる凹凸フィルムの製造方法、およびこの製造方法に好適に用いられる光硬化性樹脂組成物、を提供することにある。
本発明は、
エチレン性不飽和結合基およびカルボキシル基を有し、酸価50mgKOH/g〜650mgKOH/gでありガラス転移温度が100℃〜200℃である、樹脂(A)、
樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成する官能基を有し、樹脂(A)とポリマーコンプレックス構造を形成する、多官能(メタ)アクリレート(B)、および
光重合開始剤(C)、
を含む光硬化性樹脂組成物であって、
この光硬化性樹脂組成物は、塗装して得られた光硬化前の塗膜の状態においてRa0.1〜1.0μmの凹凸形状を保持する、
光硬化性樹脂組成物、を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
上記樹脂(A)の数平均分子量は20000〜300000であるのがより好ましい。
また、上記樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)の重量比(A)/(B)は、80/20〜40/60であるのがより好ましい。
また、上記多官能(メタ)アクリレート(B)は、イソシアヌレート環含有多官能(メタ)アクリレートまたはトリアジン環含有多官能(メタ)アクリレートであり、および
上記多官能(メタ)アクリレート(B)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成する官能基は、イソシアヌレート環を構成する窒素原子またはトリアジン環を構成する窒素原子である、
のがより好ましい。
上記光硬化性樹脂組成物は防眩フィルム形成用であるのがより好ましい。
本発明はまた、
上記光硬化性樹脂組成物を、基材上に塗装する工程、
基材上に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して、Ra0.1〜1.0μmの凹凸パターンを有する凹凸鋳型を接触させて、この凹凸鋳型の表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成する工程、
この凹凸鋳型と塗膜表面とを引き離し、凹凸鋳型が塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程、
を包含する、Ra0.1〜1.0μmの凹凸形状を有する凹凸フィルムの製造方法、も提供する。
本発明はさらに、
上記光硬化性樹脂組成物を、基材運搬部上のシート状基材に塗装する工程、
シート状基材上に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して、Ra0.1〜1.0μmの凹凸パターンを有する凹凸ローラーを接触させて、この凹凸ローラー表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成する工程、
この凹凸ローラーが塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程、
を包含する、Ra0.1〜1.0μmの凹凸形状を有する凹凸フィルムの製造方法も提供する。
本発明はまた、上記凹凸フィルムの製造方法によって得られる凹凸フィルムも提供する。
本発明はまた、上記凹凸フィルムの製造方法によって得られる防眩フィルムも提供する。
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いることによって、微細な凹凸であり所望の凹凸形状を有する凹凸フィルムを、欠陥なくより高品質で、そしてより生産性良く製造することができる。
光硬化性樹脂組成物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、
・エチレン性不飽和結合基およびカルボキシル基を有し、酸価50mgKOH/g〜650mgKOH/gでありガラス転移温度が100℃〜200℃である、樹脂(A)、
・樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成する官能基を有し、樹脂(A)と水素結合などのポリマーコンプレックス構造を形成する、多官能(メタ)アクリレート(B)、および
・光重合開始剤(C)、
を含む光硬化性樹脂組成物である。そしてこの光硬化性樹脂組成物は、光硬化前の状態において凹凸鋳型または凹凸ローラーを接触することによって形成された、凹凸鋳型または凹凸ローラーが有する凹凸パターンを転写して形成したRa0.1〜1.0μmの微細な凹凸形状を、凹凸鋳型または凹凸ローラーが離れた状態であっても保持するという特徴を有する。
なお本明細書中における「Ra0.1〜1.0μmの微細な凹凸形状を、凹凸鋳型または凹凸ローラーが離れた状態であっても保持する」とは、光硬化前の光硬化性樹脂組成物の塗膜に、凹凸鋳型または凹凸ローラーが有する凹凸パターンを転写して形成した凹凸形状のRa値の経時変化が少ないことを意味する。具体的には、凹凸鋳型または凹凸ローラーが離れた直後のRa値および離れてから5分経過のRa値の変化率:
(5分経過後のRa値/直後のRa値)×100
が、80%以上であることを意味する。この数値は、60%以上のものが好ましいが、70%以上のものがさらに好ましく、特に80%以上のものが特に好ましい。
上記「Ra」とは粗さ曲線の算術平均粗さであり、JIS B 0601−2001において規定されるパラメーターである。粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)は、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。なお、JIS B0601−2001は、ISO 4287を翻訳し、技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。このRa(粗さ曲線の算術平均粗さ)は、例えば(株)キーエンス製、超深度形状測定顕微鏡などを用いて、JIS B 0601−2001に準拠して測定することができる。
樹脂(A)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合基およびカルボキシル基を有し、酸価50mgKOH/g以上でありガラス転移温度が100℃以上である樹脂(A)を含む。このような樹脂(A)は、例えば、カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂のカルボキシル基の一部と、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物とを反応させることによって得ることができる。
カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂は、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸2‐サクシノロイルオキシエチル、メタクリル酸2‐マレイノロイルオキシエチル、メタクリル酸2‐フタロイルオキシエチル、メタクリル酸2‐ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸を1種またはそれ以上用いて重合することにより調製することができる。カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂の調製において、上記不飽和カルボン酸とあわせて、カルボキシル基を有さない他の不飽和二重結合含有モノマーを用いてもよい。
他の不飽和二重結合含有モノマーとして、例えば下記モノマーが挙げられる;
(I)ヒドロキシル基含有モノマー:例えば2‐ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコール、N‐(4‐ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN‐(4‐ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−、p−ヒドロキシスチレン、o−、m−、p−ヒドロキシフェニル‐アクリレートまたは‐メタクリレート;
(II)アルキルアクリレートもしくはメタクリレート:例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチルアクリレート、2‐クロロエチルアクリレート;
(III)ビニルエーテル類:例えばエチルビニルエーテル、2‐クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル;
(IV)ビニルエステル類:例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル;
(V)スチレン類:例えばスチレン、α‐メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン;
(VI)ビニルケトン類:例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン;
(VII)オレフィン類:例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン;
など。
カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂として、無水マレイン酸を、スチレン、α‐メチルスチレン等と共重合させ、無水マレイン酸をメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の一価アルコールでハーフエステル化あるいは水により加水分解させた樹脂も挙げられる。
カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂として、さらに、ノボラックエポキシアクリレート樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂等に(メタ)アクリル酸、メタクリル酸2‐サクシノロイルオキシエチル、メタクリル酸2‐マレイノロイルオキシエチル、メタクリル酸2‐フタロイルオキシエチル、メタクリル酸2‐ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、等の不飽和カルボン酸あるいは酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸等の飽和カルボン酸を付加させた後、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水フタル酸等の酸無水物で変性させた樹脂も挙げられる。
上記カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂の中でも、アクリル共重合体がより好ましい。アクリル共重合体は、多官能(メタ)アクリレート(B)との相溶性に優れており、また透明性にも優れるからである。カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂の好ましい具体例として、例えば、メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル/メタクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル/スチレン/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸イソボルニル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸などが挙げられる。
上記方法によって調製された、カルボキシル基をペンダント基として有する樹脂に対して、樹脂中のカルボキシル基の一部と、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物とを反応させることによって、エチレン性不飽和結合基およびカルボキシル基を有する樹脂(A)が得られることとなる。エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明で用いられる樹脂(A)は、こうして導入されるエチレン性不飽和結合基を有するため、光照射によって多官能(メタ)アクリレート(B)と反応して硬化することとなる。
本発明で用いられる樹脂(A)は、酸価50mgKOH/g〜650mgKOH/gの樹脂である。そして樹脂(A)の酸価が50mgKOH/g以上であることによって、樹脂(A)が有するカルボキシル基と、多官能(メタ)アクリレート(B)が有する官能基との水素結合などのポリマーコンプレックス構造が発現することとなる。そしてこのポリマーコンプレックス構造の発現によって、本発明の光硬化性樹脂組成物は、光硬化前の状態において凹凸形状を保持することとなる。樹脂(A)の酸価は50〜150mgKOH/gであるのがより好ましく、70〜130mgKOH/gであるのがさらに好ましい。
なお本明細書における「ポリマーコンプレックス構造」とは、樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)の分子間相互作用に基づく樹脂の集合現象を意味する。具体的には、「高分子集合体」(高分子錯体研究会編、学会出版センター、1983年)の第1章(11ページ〜13ページ)に記されている(「a)高分子電解質錯体」「b)水素結合性コンプレックス」「c)van der Waals力を介したコンプレックス」および「d)電荷移動錯体」)などからなる「高分子の集合現象」を指す。より具体的には、樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と多官能(メタ)アクリレート(B)の官能基とが水素結合、樹脂(A)と樹脂(B)のπ電子相互作用や樹脂(A)と樹脂(B)の疎水性相互作用などが考えられる。これら種々のポリマーコンプレックスが考えられるが、本発明では、樹脂の配合比などの影響が少ない水素結合を形成し、これにより樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)に水素結合による分子間相互作用が生じ、樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)が擬似的に集合体構造を持つ状態を用いるのが好ましい。
本発明で用いられる樹脂(A)はまた、ガラス転移温度が100℃以上である樹脂である。樹脂(A)のガラス転移温度の上限は特に限定はないものの、一般に200℃以下であるのが好ましい。樹脂(A)のガラス転移温度が100℃以上であることによって、光硬化性樹脂組成物が光硬化前の状態において凹凸形状を良好に保持することができる。樹脂(A)のガラス転移温度は130℃以上であるのがより好ましい。なおガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計を用いて樹脂のガラス転移に伴う熱変化を検出することにより測定することができる。使用できる示差走査熱量計としては、例えば、セイコー電子工業社製DSC220C等を挙げることができる。
本発明で用いられる樹脂(A)は、数平均分子量が20000〜300000であるのが好ましい。数平均分子量が20000未満である場合は、最終的に得られる凹凸フィルムの物理的強度が劣ることとなるおそれがある。また数平均分子量が300000を超える場合は、凹凸鋳型または凹凸ローラーに対する転写性が損なわれるおそれがある。数平均分子量の測定は、ポリスチレンを標準として用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果から算出することができる。
多官能(メタ)アクリレート(B)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成する官能基を有し、樹脂(A)とポリマーコンプレックス構造を形成する、多官能(メタ)アクリレート(B)を含む。多官能(メタ)アクリレート(B)の、水素原子と水素結合を形成する官能基として、例えば窒素原子が挙げられる。なおここでいう多官能(メタ)アクリレート(B)の官能基は、樹脂(A)が有するエチレン性不飽和結合基と反応しない基であることを条件とする。多官能(メタ)アクリレート(B)の官能基が樹脂(A)のエチレン性不飽和結合基と反応してしまうと、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とのポリマーコンプレックス構造はもはや形成されないからである。より具体的には、樹脂(A)のエチレン性不飽和結合基とマイケル付加反応する1級アミノ基などは、多官能(メタ)アクリレート(B)の官能基として含まれない。
多官能(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリレート基の個数は一分子中に2つまたはそれ以上であるのが好ましく、3つまたはそれ以上であるのがより好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレート(B)は、イソシアヌレート環含有多官能(メタ)アクリレートまたはトリアジン環含有多官能(メタ)アクリレートであるのが好ましい。多官能(メタ)アクリレート(B)がイソシアヌレート環含有多官能(メタ)アクリレートである場合は、イソシアヌレート環を構成する窒素原子が、樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成することとなる。また多官能(メタ)アクリレート(B)がトリアジン環含有多官能(メタ)アクリレートである場合は、トリアジン環を構成する窒素原子が、樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成することとなる。
イソシアヌレート環含有多官能(メタ)アクリレートは、例えば、トリヒドロキシエチルイソシアヌレート(物質名:1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)などの、イソシアヌレートトリアルキレンオキシド1モルに対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートを2モル以上、好ましくは3モルをエステル縮合させることによって、調製することができる。
また、トリグリシジルイソシアヌレート(物質名:1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)1モルに対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートを2モル以上、好ましくは3モル付加させることによって、調製することができる。
トリアジン環含有多官能(メタ)アクリレートは、例えば、シアヌル酸(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール)、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジンなどを1モルに対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートを2モル以上、好ましくは3モルをエステル縮合させることによって、調製することができる。
なおここで用いることができる「カルボキシル基含有(メタ)アクリレート」として、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を用いることができ、さらには不飽和基とカルボン酸の間に鎖延長された変性不飽和モノカルボン酸など、例えばβ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性等エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸、エーテル結合を有する変性不飽和モノカルボン酸など、も用いることができる。
前記樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)の重量比(A)/(B)は、80/20〜40/60であるのが好ましい。樹脂(A)の重量比が上記範囲より少ない場合、また樹脂(A)の重量比が上記範囲を超える場合は、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とのポリマーコンプレックス構造が良好に形成され難くなるおそれがある。なお、樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)の重量比(A)/(B)の適正な範囲は、基本的には樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)においてポリマーコンプレックス構造を形成する官能基数によって導き出されることとなる。そして本発明において、樹脂(A)の酸価が50mg/KOH以上であり、かつ多官能(メタ)アクリレート(B)がイソシアヌレート環含有多官能(メタ)アクリレートまたはトリアジン環含有多官能(メタ)アクリレートである場合は、重量比(A)/(B)は80/20〜40/60という範囲が適した範囲となる。
光重合開始剤(C)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤(C)が存在することによって、上記樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)が光照射により重合することとなる。光重合開始剤(C)の例として、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤などが挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤として、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。チタノセン系光重合開始剤として、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。オキシムエステル系重合開始剤として、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
上記光重合開始剤(C)のうち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどがより好ましく用いられる。
光重合開始剤(C)は、光硬化性樹脂組成物の固形分重量に対して0.1〜20重量%(固形分重量比)ほど用いるのが好ましい。光重合開始剤(C)の量が上記範囲を外れる場合は、光硬化性が不十分となるか、または物理的強度が劣ることとなるおそれがある。
他の成分
本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、希釈溶媒としての有機溶媒を含んでもよい。光硬化性樹脂組成物において用いることができる溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ミネラルスピリットなどの脂肪族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、また混合して用いてもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物はまた、必要に応じて、光重合開始助剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤などの通常用いられる添加剤を含んでもよい。本発明の光硬化性樹脂組成物はさらに、樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)以外の他の樹脂成分を含んでもよい。但しこの他の樹脂成分の量は、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とがポリマーコンプレックス構造を形成することを妨げない量であることを条件とする。
光硬化性樹脂組成物の調製
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記成分を混合することによって調製することができる。また、組成物の調製時に、必要に応じて、希釈に用いることができる有機溶媒を用いてもよい。なお、本発明の光硬化性樹脂組成物は、希釈して用いてもよく、また希釈することなく用いてもよい。
光硬化性樹脂組成物の調製方法としては、例えば、上記樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)および光重合開始剤(C)、そして必要に応じた添加剤および有機溶媒等を混合することによって、調製することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物においては、樹脂(A)が有するカルボキシル基と、多官能(メタ)アクリレート(B)が有する官能基とのポリマーコンプレックス構造が発現する。そしてこのポリマーコンプレックス構造の発現によって、本発明の光硬化性樹脂組成物は、光硬化前の状態であってもRa0.1〜1.0の微細な凹凸形状を保持することとなる。本発明の光硬化性樹脂組成物においてはさらに、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とがポリマーコンプレックス構造を形成しているため、未硬化塗膜の表面のべたつき(タック)が少ないという利点もある。べたつき(タック)が少ないことによって、凹凸鋳型または凹凸ローラーからの未硬化塗膜の離型性が優れている。そのため、未硬化塗膜の表面へ、凹凸パターンをより良好に形成することができることとなる。
凹凸フィルムの製造方法
上記光硬化性樹脂組成物を用いて凹凸フィルムを製造する方法として、凹凸鋳型を用いる方法と、凹凸ローラーを用いる方法とが挙げられる。上記光硬化性樹脂組成物は、光硬化前の状態において凹凸鋳型または凹凸ローラーを接触することによって形成されたRa0.1〜1.0の微細な凹凸形状を、凹凸鋳型または凹凸ローラーが離れた状態であっても保持するという特徴を有する。そのため、いずれの方法であっても、凹凸鋳型または凹凸ローラーが離れた状態で光硬化することによって、より生産効率の優れた方法によって凹凸フィルムを得ることができるという利点がある。
凹凸鋳型を用いる凹凸フィルムの製造方法は、下記工程を包含する方法である:
上記光硬化性樹脂組成物を、基材上に塗装する工程、
基材上に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して、Ra0.1〜1.0の凹凸パターンを有する凹凸鋳型を接触させて、この凹凸鋳型の表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成する工程、
この凹凸鋳型と塗膜表面とを引き離し、凹凸鋳型が塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程。
凹凸鋳型を用いる従来の方法においては、エンボス加工鋳型がフィルムに接触した状態で硬化させる必要があったため、1バッチに1つの凹凸鋳型が必要であった。これに対して上記光硬化性樹脂組成物を用いることによって、1つの凹凸鋳型で凹凸パターンを形成した複数の未硬化塗膜をまとめて光硬化させることができるという利点がある。これにより、凹凸鋳型を用いて凹凸フィルムを製造する場合の生産効率を向上させることができるという利点がある。なおこの方法における光硬化性樹脂組成物の塗装方法、基材の種類、凹凸鋳型の材質などは、以下に詳述する凹凸ローラーを用いる凹凸フィルムの製造方法の場合と同様である。
次に、凹凸ローラーを用いる凹凸フィルムの製造方法について説明する。凹凸ローラーを用いる凹凸フィルムの製造方法は、下記工程を包含する方法である:
上記光硬化性樹脂組成物を、基材運搬部上のシート状基材に塗装する工程、
シート状基材上に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して、Ra0.1〜1.0の凹凸パターンを有する凹凸ローラーを接触させて、この凹凸ローラー表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成する工程、
この凹凸ローラーが塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程。
図1は、凹凸ローラーを用いる凹凸フィルムの製造方法の概略を示す概略構成図である。基材運搬部9および13は、光硬化性樹脂組成物を塗装するシート状基材(基材運搬部9上に存在。図示せず。)を連続的に運搬する手段である。これにより、例えば長尺シート状の基材に連続的に凹凸パターンを形成することができる。
塗装手段1は、基材運搬部上のシート状基材に光硬化性樹脂組成物を塗装する手段である。光硬化性樹脂組成物の塗装方法として、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコーター法、グラビアコート法、スプレー法、ローラー法、はけ塗り法などが挙げられる。これらの塗装方法のうち、凹凸フィルムの製造方法に応じた塗装方法を用いることができる。凹凸ローラーを用いる方法においてはダイコーターを用いる方法が好適に用いられる。光硬化性樹脂組成物の塗装において、得られる凹凸フィルムの凹凸層の厚さが0.1〜20μmとなるように塗装するのが好ましい。凹凸フィルムの凹凸層の厚さの好ましい下限を下回ると、形成された凹凸の形態が損なわれる恐れがあり望ましくない一方、好ましい上限を上回ると紫外線照射しても十分な硬化性を確保できない恐れがあり望ましくない。
なお、本発明の光硬化性樹脂組成物の塗装においては、必要に応じて加熱してもよい。本発明の光硬化性樹脂組成物は、加熱することによって、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とのポリマーコンプレックス構造が可逆的に解消されて、粘度が低下する。そのため、塗装時に加熱して粘度を下げることによって、光硬化性樹脂組成物をより良好に塗装することができることとなる。なお、光硬化性樹脂組成物の加熱によって解消された、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とのポリマーコンプレックス構造は、塗布後冷却されることによって、再び出現することとなる。
光硬化性樹脂組成物を塗装する基材として、樹脂フィルムが用いられる。用いることができる樹脂フィルムとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースダイアセテートなどの公知の樹脂フィルムを用いることができる。上記樹脂フィルムのうち、ポリエステル、セルロースアシレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィンを用いるのがより好ましい。なお防眩フィルムを製造する場合は、基材である樹脂フィルムは透明性に優れることが必要となる。基材である樹脂フィルムの厚さは、例えば1〜1000μmの範囲で適宜選択することができる。樹脂フィルムは必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、熱処理、除塵処理などの処理を行ってもよい。
凹凸ローラーを用いる凹凸フィルムの製造方法においては、シート状基材が用いられる。シート状基材の幅は例えば0.1〜3m程、シート状基材の長さは例えば1〜10000m程などであってよいが、上記範囲に限定されるものではない。
凹凸ローラーは、凹凸パターンの精度、ローラーの機械的強度および真円度などが所望範囲であれば特に限定されない。このような凹凸ローラーとして、例えば金属製の凹凸ローラーなどが挙げられる。そしてこの凹凸ローラーは、Ra0.1〜1.0の微細な凹凸パターンを有する。この凹凸ローラーが有する凹凸パターンは、得られる凹凸フィルムが有する凹凸パターンを反転させた形状である。凹凸ローラーが有するRa0.1〜1.0の微細な凹凸パターンの形成方法としては、例えば、切削加工方法、フォトエッチング法、電子線描画法、レーザー加工法といった、当業者に知られた方法が挙げられる。凹凸ローラーの表面は、必要に応じて、フッ素樹脂コーティングまたはシリコーン樹脂コーティングなどの離型処理を行ってもよい。
基材運搬部上のシート状基材状に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜に対して、Ra0.1〜1.0の凹凸パターンを有する凹凸ローラーを接触させることによって、この凹凸ローラー表面が有する凹凸パターンが、未硬化塗膜の塗膜表面に転写形成されることとなる。
本発明においては、凹凸ローラーが未硬化塗膜の塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができるという優れた利点を有する。これにより、図1に示されるように例えば塗膜表面の上方部から光照射を行うことも可能となっている。
この性質を利用するにより、基材上に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して、Ra0.1〜1.0μmの凹凸パターンを有する凹凸鋳型を接触させて、該凹凸鋳型の表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成する工程、該凹凸鋳型と塗膜表面とを引き離し、凹凸鋳型が塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程、を包含する、Ra0.1〜1.0μmの凹凸形状を有する凹凸フィルムの製造方法を形成することができる。
従来技術方法として、例えば凹凸ローラーと塗膜が接触している状態において、凹凸ローラーの下方部から、基材運搬部を通過させて光を照射して、塗膜を硬化させる方法があった。しかしながらこの方法においては、基材運搬部は光透過性の材質でなければならない。その一方で、基材運搬部が光透過性であることによって、凹凸ローラーが接触していない状態である、凹凸パターンを形成していない塗膜に対しても光が照射される恐れがある。こうして光が照射され硬化した塗膜は、もはや凹凸パターンを形成することはできなくなってしまう。さらに、基材運搬部および凹凸ローラー両方に耐熱性が要求されることとなる。
本発明の方法によって、このような従来技術の問題は解消されることとなる。本発明の方法において用いられる光硬化性樹脂組成物は、凹凸ローラーが離れた状態であっても、Ra0.1〜1.0の微細な凹凸形状を保持するという優れた特徴を有する。そのため、図1に示されるように、凹凸ローラーから離れた場所で光照射および光硬化を行うことが可能となっている。そしてこれにより、従来技術の問題が解消されることとなった。
なお光硬化性樹脂組成物の塗膜に対する光照射条件は、適宜選択することができ、例えば、200〜500nmの波長の光を用いて、0.1〜240秒間照射することができる。
こうして得られる凹凸フィルムは、所望の凹凸パターンを有しており、かつ、この凹凸パターンは樹脂粒子または無機粒子などの粒状物の形状に由来するものではなく透明性に優れている。そのため、得られた凹凸フィルムを例えば液晶表示装置の防眩フィルムとして用いる場合であっても、透過画像鮮明性が低下したり、いわゆる白ぼけまたはギラツキなどが起こるといった不具合を伴わない。このような特徴を有する本発明の凹凸フィルムは、防眩フィルムとして良好に用いることができる。
本発明の凹凸フィルムはさらに、液晶モジュールの光出射部から出射する光を散乱または拡散させることにより輝度を均一にする光拡散フィルム、屈折率の異なる光透過性部材の貼り付きを防止することにより干渉縞の発生を防ぐ凹凸フィルムなどのような、液晶表示装置の内部構造において用いられる凹凸フィルムとしても良好に用いることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、重量基準による。
製造例1 樹脂(A)(1)の調製
イソボルニルメタクリレート48.6g、メチルメタクリレート1.4g、メタクリル酸50gからなる混合物を調整した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた500mlのコルベンに仕込み、窒素雰囲気下で100℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル150gに対して、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの11.0g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後1時間100℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を滴下して100℃で1時間反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gとハイドロキノン0.1gを含む5gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらにグリシジルメタクリレート55.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテル21.3gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけてさらに反応させた。得られた樹脂(A)(1)は、酸価70、数平均分子量22000、固形分濃度は45%であった。
製造例2 樹脂(A)(2)の調製
イソボルニルメタクリレート48.6g、メチルメタクリレート1.4g、メタクリル酸50gからなる混合物を調整した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた500mlフラスコ中の、窒素雰囲気下で100℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル150gに対して、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの11.0g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後1時間100℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を滴下して100℃で1時間反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gとハイドロキノン0.1gを含む5gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらにグリシジルメタクリレート39.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテル1.8gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけてさらに反応させた。得られた樹脂(A)(2)は、酸価123、数平均分子量21000、固形分濃度は45%であった。
製造例3 樹脂(A)(3)の調製
イソブチルメタクリレート48.6g、メチルメタクリレート1.4g、メタクリル酸50gからなる混合物を調整した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた500mlフラスコ中の、窒素雰囲気下で100℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル150gに対して、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの11.0g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後1時間100℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を滴下して100℃で1時間反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gとハイドロキノン0.1gを含む5gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらにグリシジルメタクリレート55.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテル1.8gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけてさらに反応させた。得られた樹脂(A)(2)は、酸価70、数平均分子量22000、固形分濃度は45%であった。
製造例4 樹脂(A)(4)の調製
イソボルニルメタクリレート48.6g、メチルメタクリレート1.4g、メタクリル酸50gからなる混合物を調整した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた500mlフラスコ中の、窒素雰囲気下で80℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル150gに対して、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの10.3g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後1時間80℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を滴下して100℃で1時間反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gとハイドロキノン0.1gを含む5gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらにグリシジルメタクリレート55.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテル1.8gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけてさらに反応させた。得られた樹脂(A)(2)は、酸価70、数平均分子量130000、固形分濃度は45%であった。
比較製造例1 樹脂(5)の調製
イソボルニルメタクリレート48.6g、メチルメタクリレート1.4g、メタクリル酸50gからなる混合物を調整した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた500mlフラスコ中の、窒素雰囲気下で100℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル150gに対して、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの11.5g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後1時間100℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を滴下して100℃で1時間反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gとハイドロキノン0.1gを含む5gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらにグリシジルメタクリレート55.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテル34.8gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけてさらに反応させた。得られた樹脂(A)(3)は、酸価70、数平均分子量13000、固形分濃度は45%であった。
比較製造例2 樹脂(6)の調製
イソボルニルメタクリレート48.6g、メチルメタクリレート1.4g、メタクリル酸50gからなる混合物を調整した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた500mlのフラスコ中の、窒素雰囲気下で100℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル150gに対して、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの11.0g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後1時間100℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を滴下して100℃で1時間反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gとハイドロキノン0.1gを含む5gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらにグリシジルメタクリレート82.5gとプロピレングリコールモノメチルエーテル55.0gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけてさらに反応させた。得られた樹脂(A)(3)は、酸価0.1、数平均分子量22000、固形分濃度は45%であった。
比較製造例3 樹脂(7)の調製
エチルヘキシルメタクリレート48.6g、メチルメタクリレート1.4g、メタクリル酸50gからなる混合物を調整した。この混合液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管及び滴下漏斗を備えた500mlのフラスコ中の、窒素雰囲気下で100℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル150gに対して、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの11.0g溶液と同時に3時間かけて等速で滴下し、その後1時間100℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.1gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を滴下して100℃で1時間反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gとハイドロキノン0.1gを含む5gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらにグリシジルメタクリレート82.5gとプロピレングリコールモノメチルエーテル55.0gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけてさらに反応させた。得られた樹脂(A)(3)は、酸価0.1、数平均分子量22000、固形分濃度は45%であった。
実施例1
製造例1の樹脂(A)(1)を133.3重量部、多官能(メタ)アクリレート(B)であるアロニックスM−315を40重量部、光重合開始剤である1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを5重量部溶媒であるMIBKに混合して固形分濃度が40%となるように光硬化性樹脂組成物を作成した。
こうして得られた光硬化性樹脂組成物を、厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコーター(No.20)を用いて、塗装した後、熱風循環乾燥炉に80℃で5分間入れ、溶剤を除去することにより、乾燥膜厚10μmの未硬化塗膜を形成した。次いで、凹凸鋳型を押し当てて、塗膜表面に凹凸形状を形成した。冷却後、凹凸鋳型を外し、紫外線を400mJ/cm照射して硬化し、凹凸フィルムを得た。得られた凹凸フィルムの凹凸表面のRa値は0.29であった。なおRa値は、キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡を用いて、JIS−B0601−2001に準拠して測定した。
実施例2〜7および比較例1〜4
各成分の種類および配合量を下記表の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光硬化性樹脂組成物を調製した。得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作により凹凸フィルムを得た。
上記実施例および比較例により得られた光硬化性樹脂組成物について、以下の評価を行った。
Ra変化率
実施例および比較例より得られた光硬化性樹脂組成物を、バーコーター(No.20)を用いて10μmの厚さで塗装し、未硬化塗膜を形成した。次いで、凹凸鋳型を押し当てて、塗膜表面に凹凸形状を形成した。凹凸鋳型が離れた直後に紫外線を照射し硬化した塗膜のRa値および離れてから5分経過後に紫外線を照射し硬化した塗膜のRa値を測定し、変化率:
(5分経過後のRa値/直後のRa値)×100
を求めた。
ヘイズ変化率
実施例および比較例より得られた光硬化性樹脂組成物を、バーコーター(No.20)を用いて10μmの厚さで塗装し、未硬化塗膜を形成した。次いで、凹凸鋳型を押し当てて、塗膜表面に凹凸形状を形成した。凹凸鋳型が離れた直後に紫外線を照射し硬化した塗膜のヘイズおよび離れてから5分経過後に紫外線を照射し硬化した塗膜のヘイズを測定し、変化率:
(5分経過後のヘイズ/直後のヘイズ)×100
を求めた。
未硬化塗膜のタック評価
実施例および比較例より得られた光硬化性樹脂組成物を、バーコーター(No.20)を用いて10μmの厚さで塗装し、未硬化塗膜を形成した。得られた未硬化の塗膜を80℃で5分間乾燥した後、室温に冷却した。得られた、乾燥後の未硬化塗膜を指で押さえ、粘着性(タック)の有無を下記基準で評価した。
○:粘着性なし
×:粘着性あり
Figure 2010132762
Figure 2010132762

表中、
多官能(メタ)アクリレート(B)(1):アロニックスM−315(東亞合成社製、イソシアヌレート環含有多官能(メタ)アクリレート)、
多官能(メタ)アクリレート(B)(2):BMA−200(BomarSpecialties社製、トリアジン環含有多官能(メタ)アクリレート)
多官能(メタ)アクリレート(B)(3)(比較例):アロニックスM−450(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、東亞合成社製)、これは多官能(メタ)アクリレートであるものの、分子中にN原子を有していないため、(A)成分とポリマーコンプレックス構造を形成しない成分である、
を示す。
実施例8
実施例1より得られた光硬化性樹脂組成物および凹凸ローラーを用いて、図1に示すように凹凸フィルムの連続生産を行った。
実施例1の光硬化性樹脂組成物を、厚さ100μm、幅1.3mのPETフィルムの片面に、ダイコーターを用いて、80℃で、乾燥膜厚10μmの厚さで塗装した。硬化性樹脂組成物の塗膜を移動させ、次いで、図1に示すように配置された凹凸ローラーを、硬化性樹脂組成物の未硬化塗膜に接触させ、凹凸ローラー表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成した。次いで未硬化塗膜をさらに移動させ、凹凸ローラーが離れた状態で未硬化の塗膜に紫外線を400mJ/cm照射して硬化し、凹凸フィルムを得た。得られた凹凸フィルムの凹凸表面のRa値は0.29であった。また凹凸ローラーが塗膜から離れてから紫外線を照射するまでの時間は0.5分であった。
上記表から明らかであるように、実施例1〜3の光硬化性樹脂組成物は、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)がポリマーコンプレックス構造を形成するため、鋳型から離型した後も表面の凹凸形状(Ra値)の変化が少なく、凹凸形状が高い割合で保持されることが確認できた。そして実施例4においては、実施例の光硬化性樹脂組成物を用いることによって、凹凸ローラーを用いた凹凸フィルムの製造が良好に行われることが確認できた。
一方、比較例1〜3においては、いずれも樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)がポリマーコンプレックス構造を形成しないため、凹凸鋳型から離した直後からRa値の値が大きく低下し、凹凸鋳型から離した5分後においては、凹凸形状はほとんど存在しない状態となっていた。
このように本発明の光硬化性樹脂組成物は、凹凸鋳型または凹凸ローラーを用いた凹凸フィルムの形成において、凹凸鋳型または凹凸ローラーに接触していない状態で光硬化させることが可能となるという、製造上優れた利点を有する。
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いることによって、微細な凹凸であり所望の凹凸形状を有する凹凸フィルムを、欠陥なくより高品質で、そして生産性良く製造することができる。
凹凸ローラーを用いる、本発明の凹凸フィルムの製造方法の概略を示す概略構成図である 従来の方法を示す概略説明図である。
符号の説明
1:塗装手段、
3:凹凸ローラー、
5:光照射手段、
7:凹凸フィルム、
9:基材運搬部、
13:基材運搬部。

Claims (9)

  1. エチレン性不飽和結合基およびカルボキシル基を有し、酸価50mgKOH/g〜650mgKOH/gでありガラス転移温度が100℃〜200℃である、樹脂(A)、
    樹脂(A)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成する官能基を有し、樹脂(A)とポリマーコンプレックス構造を形成する、多官能(メタ)アクリレート(B)、および
    光重合開始剤(C)、
    を含む光硬化性樹脂組成物であって、
    該光硬化性樹脂組成物は、塗装して得られた光硬化前の塗膜においてRa0.1〜1.0μmの凹凸形状を保持する、
    光硬化性樹脂組成物。
  2. 樹脂(A)の数平均分子量は20000〜300000である、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記樹脂(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)の重量比(A)/(B)は、80/20〜40/60である、請求項1または2記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記多官能(メタ)アクリレート(B)は、イソシアヌレート環含有多官能(メタ)アクリレートまたはトリアジン環含有多官能(メタ)アクリレートであり、および
    前記多官能(メタ)アクリレート(B)が有するカルボキシル基の水素原子と水素結合を形成する官能基は、イソシアヌレート環を構成する窒素原子またはトリアジン環を構成する窒素原子である、
    請求項1〜3いずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 防眩フィルム形成用である、請求項1〜4いずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を、基材上に塗装する工程、
    基材上に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して、Ra0.1〜1.0μmの凹凸パターンを有する凹凸鋳型を接触させて、該凹凸鋳型の表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成する工程、
    該凹凸鋳型と塗膜表面とを引き離し、凹凸鋳型が塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程、
    を包含する、Ra0.1〜1.0μmの凹凸形状を有する凹凸フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜5いずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を、基材運搬部上のシート状基材に塗装する工程、
    シート状基材上に塗装された光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して、Ra0.1〜1.0μmの凹凸パターンを有する凹凸ローラーを接触させて、該凹凸ローラー表面が有する凹凸パターンを塗膜表面に転写形成する工程、
    該凹凸ローラーが塗膜表面に接触していない状態で、光硬化性樹脂組成物の塗膜表面に対して光を照射して、光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程、
    を包含する、Ra0.1〜1.0μmの凹凸形状を有する凹凸フィルムの製造方法。
  8. 請求項6または7記載の凹凸フィルムの製造方法によって得られる凹凸フィルム。
  9. 請求項6または7記載の凹凸フィルムの製造方法によって得られる防眩フィルム。
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