JP2010131580A - フィルタ及びそれを用いた排気装置並びにフィルタ製造方法及びフィルタ製造装置 - Google Patents

フィルタ及びそれを用いた排気装置並びにフィルタ製造方法及びフィルタ製造装置 Download PDF

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正明 仲矢
Kohei Tokuda
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Abstract

【課題】目付を大きくしたりフィルタ厚さを増したりすることなく、低価格で、取扱い時に簡単に撓んだり腰折れしたりしない起立保持性を具備したフィルタ及びそれを用いた排気装置を提供することである。また、前記起立保持性を高めたフィルタを低価格で製造できるフィルタ製造方法及びフィルタ製造装置を提供することである。
【解決手段】フィルタ1はガラス繊維を全体的に絡み合せて、上下方向と左右方向における繊維間の絡み密度を異ならせた不織布状繊維フィルタである。フィルタ本体の基材形成段階で、左右方向の前記絡み密度が上下方向より大きくなるように形成され、上下方向に沿ったフィルタ本体の両側縁に補強枠2が取着されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、調理場、台所、調理器等の付近に設置され、調理時に発生する煙、油煙、調理臭、燃焼ガス、蒸気、油滴等を含む廃ガスを吸引して排気する排気装置に装着されるフィルタ及びそれを用いた排気装置、並びにフィルタ製造方法及びフィルタ製造装置に関するものである。
調理場、調理器、台所等には、排気装置として、例えば、レンジフードや換気扇が設置されている。調理用の油脂、魚や肉から油分が蒸発すると、レンジフードや換気扇の表面に大量の油分や塵埃が付着し、その除去作業が必要になる。そのため、レンジフードの廃ガス吸引口等には油煙や塵芥等を捕集するためのレンジフードフィルタが装着されている。かかるレンジフードフィルタは、例えば、特許文献1に示すように、廃ガス吸引口に水平に設置されたり、特許文献2に示すように、前傾姿勢で縦置き状に設置されたりしている。
フィルタ材としては、排気中の油分や塵埃を効率的に捕集する繊維フィルタが使用されている。この繊維フィルタは売切商品として販売されており、またレンタル商品としても広範囲に実用化されている。
従来、主に使用される繊維フィルタは、長繊維や短繊維をバインダ剤で相互に結着した不織布を所定形状に裁断した不織布フィルタからなる。この不織布フィルタは、廃ガスから捕集した油煙や塵埃によって、目詰まりが生じて、通気抵抗が大きくなり、捕集効果が低減してしまうため、新品フィルタへの交換を頻繁に行う必要がある。
特開2000−304325号公報 特開2007−271193号公報
従来、フィルタの取付にはレンジフードや換気扇の廃ガス吸引口等に、ビス止めや磁石による固定方法が行われている。しかし、フィルタ交換は、レンジフードや換気扇から直接、作業者等が脱着する手作業によって行われているため、ビスや磁石を用いると、脱着に手間がかかり、また、取り扱い時にビス等を落下させたりして作業性が悪い不具合がある。そこで、簡易にフィルタ脱着作業が行うには、矩形状フィルタの2側辺部を取り外し自在に係止する差込部からなるフィルタ取着部をレンジフード等に設けるのが好ましい。
ところで、前記繊維フィルタは軽量且つ柔軟性を有するため、フィルタ交換の際に腰折れしやすく、油分や塵埃で汚れたフィルタから汚染物質が漏れて手や指が汚れたり、また衣服に付着したりする問題を生ずる。そこで、従来のフィルタにおいては、その周囲の4側辺部に補強枠を取着して撓んだり腰折れするのを防止していた。しかしながら、前記補強枠材の取着はフィルタ基材の側辺部に樹脂を溶着、固定したり、あるいは固定枠材を固着したりして行われているため、4側辺部すべてに枠材を取着する工程に手間を要し、また、樹脂使用量等のフィルタ製造コストが嵩むといった問題を生じていた。
一方、繊維フィルタの撓みや腰折れを防ぐには、フィルタ目付(g/m)を大きくしたり厚さを増したりすれば、取扱い時の形態保持性を高めることができる。しかし、目付を増やすには繊維使用量を増加する必要があるため、フィルタ製造コストの上昇を招くといった不具合を生ずる。
本発明の目的のひとつは、上記課題に鑑み、目付を大きくしたりフィルタ厚さを増したりすることなく、低価格で、取扱い時に簡単に撓んだり腰折れしたりしない起立保持性を具備したフィルタを提供することである。
本発明の別の目的は、フィルタに取着する補強枠数を低減して低価格化を実現でき、しかもフィルタ脱着作業を円滑に行うことができるフィルタを用いた排気装置を提供することである。
本発明の更に別の目的は、繊維使用量を増加させずに前記起立保持性を高めたフィルタを低価格で製造することのできるフィルタ製造方法及びフィルタ製造装置を提供することである。
本発明の第1の形態は、レンジフード又は換気扇の排気装置に取着されるフィルタにおいて、繊維を全体的に絡み合せて不織布状に扁平形成され、前記不織布面上に直交するX軸とY軸を設定したときに、X方向の繊維間の絡み密度がY方向の繊維間の絡み密度より大きいフィルタである。
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記繊維を全体的に斜交させ、その斜交角を鋭角にして、前記X方向の繊維間の絡み密度を前記Y方向より大きくしたフィルタである。
本発明の第3の形態は、前記第1又は第2の形態において、前記繊維としての無機質繊維を絡み合せて、前記バインダーにより接着して結合させた繊維フィルタからなるフィルタである。
本発明の第4の形態は、前記第3の形態において、前記無機質繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナファイバー、シリカアルミナファイバー、ムライトファイバー又はロックウールのいずれかであるフィルタである。
本発明の第5の形態は、前記第1又は第2の形態において、前記繊維としての耐熱性繊維を絡み合せて、前記バインダーにより接着して結合させた繊維フィルタからなるフィルタである。
本発明の第6の形態は、前記第5の形態において、前記耐熱繊維は、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ノボロイド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維又はポリベンゾイミダゾール繊維のいずれかであるフィルタである。
本発明の第7の形態は、前記第1〜第6のいずれかの形態において、少なくとも1対の対向する両辺に沿った各側縁に補強枠を取着したフィルタである。
本発明の第8の形態は、前記第7の形態において、前記補強枠は、前記両側縁に沿って樹脂材、金属材又はセラミックス材を溶着、接着又は圧着して取着された枠材からなるフィルタである。
本発明の第9の形態は、前記第8の形態において、前記補強枠は、前記側縁の端部を覆う断面略コ字形状又は断面略L字形状を有するフィルタである。
本発明の第10の形態は、前記第1〜第9のいずれかの形態に係るフィルタがフィルタ取着部に取着され、廃ガスを前記フィルタを介して吸引ファンにより吸引して排気する排気装置であって、前記フィルタ取着部は、前記フィルタの上端及び下端を取り外し自在に係止する一対の差込部からなり、前記一対の差込部の間に前記補強枠が介在するように、前記フィルタの上辺部と下辺部を各差込部に差し入れて取着した排気装置である。
本発明の第11の形態は、レンジフード又は換気扇の排気装置に取着される繊維フィルタの原反を、全体的に繊維を絡み合せて不織布状に扁平形成するフィルタ製造方法において、複数個の紡糸ノズルから前記繊維を噴出させて回転ローラ面に付着させながら、そのローラ軸方向に沿って前記紡糸ノズルを往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維を巻き付け、且つ前記バインダーを吹き付けて接着、結合させてフィルタ材を形成した後、前記回転ローラ面から剥離して乾燥させて、前記ローラ軸方向に対応したX方向における繊維間の絡み密度が前記X方向と直交するY方向における繊維間の絡み密度より大きいフィルタ原反を製造するフィルタ製造方法である。
本発明の第12の形態は、前記第11の形態において、前記紡糸ノズルの移動と前記回転ローラの回転との相対速度により、前記フィルタ材の繊維斜交角を鋭角に調整するフィルタ製造方法である。
本発明の第13の形態は、前記第11の形態において、前記フィルタ原反の引き延ばし量により前記フィルタ本体の繊維斜交角を鋭角に調整するフィルタ製造方法である。
本発明の第14の形態は、前記第11、第12又は第13の形態において、前記バインダーの吹付を前記噴出繊維の巻付に同期して行うフィルタ製造方法である。
本発明の第15の形態は、レンジフード又は換気扇の排気装置に取着される繊維フィルタの原反を、全体的に繊維を絡み合せて不織布状に扁平形成するフィルタ製造装置において、回転ローラと、前記回転ローラのローラ面に対向配置され、細径の溶融繊維を噴出する、複数個の紡糸ノズルと、前記紡糸ノズルを前記回転ローラのローラ軸方向に沿って往復移動させるノズル往復移動装置と、バインダーを前記ローラ面に向けて吹き付けるバインダー吹付装置とを有し、前記複数個の紡糸ノズルから前記溶融繊維を噴出させて前記回転ローラ面に付着させながら、前記ローラ軸方向に沿って前記紡糸ノズルを往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維を巻き付け、且つ前記バインダーを吹き付けて接着、結合させてフィルタ材を形成した後、前記回転ローラ面から剥離して乾燥させて、前記ローラ軸方向に対応したX方向における繊維間の絡み密度が前記X方向と直交するY方向における繊維間の絡み密度より大きいフィルタ原反を製造するフィルタ製造装置である。
本発明の第16の形態は、前記第15の形態において、前記紡糸ノズルの移動と前記回転ローラの回転との相対速度により、前記フィルタ材の繊維斜交角を鋭角に調整したフィルタ製造装置である。
本発明の第17の形態は、前記第15の形態において、前記フィルタ原反の引き延ばし量により前記フィルタ本体の繊維斜交角を鋭角に調整するフィルタ製造装置である。
本発明の第18の形態は、前記第15、第16又は第17の形態において、前記バインダー噴出装置を前記紡糸ノズルの移動と連動して移動可能にして、前記バインダーの吹付を前記噴出繊維の巻付に同期して行うフィルタ製造装置である。
上記課題に鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、例えば、不織布フィルタを作製する際に、ガラス繊維等を溶融させて全体的に絡み合せ、上下方向と左右方向における繊維間の絡み密度を異ならせて不織布状に形成したときには、四辺方向に均一な絡み密度を持たせる場合よりも、繊維使用量を低減でき、しかも絡み密度の低い方向に沿った側辺部だけに補強枠を設けるだけでも、手指等で支持するための十分な補強強度が得られるといった知見が得られた。
本発明はこの知見に基づきなされたものであり、本発明の第1の形態によれば、繊維を全体的に絡み合せて不織布状に扁平形成され、前記不織布面上に直交するX軸とY軸を設定したときに、X方向の繊維間の絡み密度がY方向の繊維間の絡み密度より大きいので、例えば、全体形状を矩形として、X方向、Y方向を夫々、左右方向、上下方向にした場合には、左右方向の絡み密度が大きく、上下方向の両側辺部を把持するだけで、取着・取外時に上下に腰折れや撓んだりすることなく取扱いやすい面状フィルタの起立保持性を具備させることができる。しかも、本形態においては、繊維間の絡み密度がX方向又はY方向で異ならせて疎密状態にすることができるので、繊維原料の削減が可能となり、フィルタ厚さを余分に増やすことなく、低価格で、取扱い時の起立保持性を高めることができる。
本発明の第2の形態によれば、前記繊維を全体的に斜交させ、その斜交角を鋭角にして、前記X方向の繊維間の絡み密度を前記Y方向より大きくしたので、取扱い時における優れたフィルタ起立保持性を具備し、且つ繊維間の絡み密度をX方向又はY方向で異ならせて疎密状態にして繊維の使用量を低減でき、フィルタの低価格化を実現することができる。
本発明の第3の形態によれば、前記フィルタ本体は、無機質繊維を絡み合せて、バインダーにより接着して結合させた矩形繊維フィルタであるので、X方向とY方向における繊維間の絡み密度を異ならせて不織布状に形成して、補強枠の取着数と繊維の使用量を低減しフィルタ製造コストの低価格化を実現することができる。
本発明の第4の形態によれば、前記無機質繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナファイバー、シリカアルミナファイバー、ムライトファイバー又はロックウールのいずれかであるので、繊維間の絡み密度の調整をして、補強枠の取着数と繊維の使用量を低減しフィルタ製造コストの低価格化を実現することができる。
本発明の第5の形態によれば、前記フィルタ本体は、耐熱性繊維を絡み合せて、バインダーにより接着して結合させた矩形繊維フィルタであるので、第3の形態と同様に、X方向とY方向における繊維間の絡み密度を異ならせて不織布状に形成して、補強枠の取着数と繊維の使用量を低減しフィルタ製造コストの低価格化を実現することができる。
本発明の第6の形態によれば、前記耐熱繊維は、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ノボロイド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維又はポリベンゾイミダゾール繊維のいずれかであるので、繊維間の絡み密度の調整をして、補強枠の取着数と繊維の使用量を低減しフィルタ製造コストの低価格化を実現することができる。
本発明の第7の形態によれば、少なくとも1対の対向する両辺に沿った各側縁に補強枠を取着するので、例えば、前記左右方向の前記絡み密度が前記上下方向より大きいとしたときに、前記上下方向に沿った両側縁に前記補強枠を取着するだけで、より優れた起立保持性を具備して、補強枠の取着数と繊維の使用量を従来より低減して低価格化を実現でき、しかもフィルタ脱着作業を支障なく円滑に行うことができる。特に、前記繊維を全体的に斜交させて、その斜交角を鋭角にして前記上下方向と前記左右方向の前記絡み密度を異ならせてフィルタ形成することにより、前記斜交角の対頂角方向を上下方向にして前記補強枠を設けることができる。
本発明の第8の形態によれば、前記補強枠は、樹脂材を用いて前記両側縁に沿って溶着させて前記フィルタ本体に固着、形成した樹脂固定枠としたり、あるいは長手状に成形した樹脂固定枠を用いて、溶着、接着又は圧着によりフィルタ側縁に固着、形成することができるので、補強枠の取着加工を簡単に行え、フィルタ製造コストの低価格化に寄与する。また、前記補強枠は、金属材又はセラミックス材を用いて前記両側縁に沿ってフィルタ側縁に固着、形成することができ、前記樹脂固定枠と同様に、補強枠の取着加工を簡単に行うことができる。
本発明の第9の形態によれば、前記補強枠は、前記側縁の端部を覆う断面略コ字形状又は断面略L字形状を有するので、前記補強枠を前記両側縁に添設することにより十分な補強力を得ることができる。従って、Y方向の側部にだけ前記補強材を設けても、前記Y方向に腰折れしたり、あるいは撓んだりせず、取扱時に十分な起立保持性を保つことができるため、フィルタ脱着作業を支障なく円滑に行うことができる。特に、断面略コ字形状の前記補強枠を用いれば、前記端部からの汚染物質の漏洩を防止して、フィルタ交換時の取扱いの際に手指等が汚染されず、より円滑にフィルタ脱着作業を行うことができる。
本発明の第10の形態によれば、前記フィルタ取着部は、前記フィルタの上端及び下端を取り外し自在に係止する一対の差込部からなり、前記一対の差込部の間に前記補強枠が介在するように、前記フィルタ本体の上辺部と下辺部を各差込部に差し入れて取着するので、繊維の使用量を低減してフィルタ製造コストを安価した、本発明に係るフィルタの使用により、排気処理に必要な消耗備品のひとつであるフィルタコストの低価格化に伴って、排気処理費用のコストダウンを実現することができる。
本発明の第11の形態によれば、レンジフード又は換気扇の排気装置に取着される繊維フィルタの原反を、全体的に繊維を絡み合せて不織布状に扁平形成するフィルタ製造方法において、複数個の紡糸ノズルから前記繊維を噴出させて回転ローラ面に付着させながら、そのローラ軸方向に沿って前記紡糸ノズルを往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維を巻き付け、且つ前記バインダーを吹き付けて接着、結合させてフィルタ材を形成した後、前記回転ローラ面から剥離して乾燥させて、前記ローラ軸方向に対応したX方向における繊維間の絡み密度が前記X方向と直交するY方向における繊維間の絡み密度より大きいフィルタ原反を製造することができるので、前記フィルタ原反から成形して、繊維使用量を増加させることなく、X方向の繊維間の絡み密度をY方向の繊維間の絡み密度より大きくして前記起立保持性を高めた不織布状フィルタを安価に得ることができる。前記乾燥処理は、前記剥離したフィルタ材を乾燥炉内でキュアしたり、温熱風をブロワにより吹き付けたりして乾燥、固化することにより行え、更に自然乾燥により固化させてもよい。
本発明の第12の形態によれば、前記紡糸ノズルの移動と前記回転ローラの回転との相対速度により、前記フィルタ材の繊維斜交角を鋭角に調整するので、X方向とY方向の前記絡み密度の調整を制御して、前記絡み密度を最適化してフィルタ製造コストの低減を実現することができる。
本発明の第13の形態によれば、前記フィルタ原反の引き延ばし量により前記フィルタ本体の繊維斜交角を鋭角に調整するので、X方向とY方向の前記絡み密度を簡易に調整でき、前記絡み密度を最適化してフィルタ製造コストの低減を実現することができる。
本発明の第14の形態によれば、前記バインダーの吹付を前記噴出繊維の巻付に同期して行うので、前記噴出繊維の巻付直後に前記巻付繊維どうしの交差部分に対して隈なく前記バインダーを吹付けて、接着、結合させて強固なフィルタ材を形成して、前記起立保持性の強度を増加させたフィルタ原反を製造することができる。
本発明の第15の形態によれば、前記複数個の紡糸ノズルから前記溶融繊維を噴出させて前記回転ローラ面に付着させながら、前記ローラ軸方向に沿って前記紡糸ノズルを往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維を巻き付け、且つ前記バインダーを吹き付けて接着、結合させてフィルタ材を形成した後、前記回転ローラ面から剥離して乾燥させて、前記ローラ軸方向に対応したX方向における繊維間の絡み密度が前記X方向と直交するY方向における繊維間の絡み密度より大きいフィルタ原反を製造するので、細径の溶融繊維を噴出する前記紡糸ノズルを前記ノズル往復移動装置により前記ローラ軸方向に沿って往復移動させる機構と、前記バインダー吹付装置により、簡単な工程で前記繊維を全体的に斜交させて絡み合わせることができ、X方向の繊維間の絡み密度をY方向の繊維間の絡み密度より大きくして前記起立保持性を高めた不織布状フィルタの原反を安価に製造することができる。
本発明の第16の形態によれば、前記紡糸ノズルの移動と前記回転ローラの回転との相対速度により、前記フィルタ材の繊維斜交角を鋭角に調整するので、X方向とY方向の前記絡み密度を簡易に調整でき、前記絡み密度を最適化してフィルタ製造コストの低減を実現することができる。
本発明の第17の形態によれば、前記フィルタ原反の引き延ばし量により前記フィルタ本体の繊維斜交角を鋭角に調整するので、X方向とY方向の前記絡み密度を簡易に調整でき、前記絡み密度を最適化してフィルタ製造コストの低減を実現することができる。
本発明の第18の形態によれば、前記バインダー噴出装置を前記紡糸ノズルの移動と連動して移動可能にして、前記バインダーの吹付を前記噴出繊維の巻付に同期して行うので、前記噴出繊維の巻付直後に前記巻付繊維どうしの交差部分に対して隈なく前記バインダーを吹付けて、接着、結合させて強固なフィルタ材を形成して、前記起立保持性の強度を増加させたフィルタ原反を製造することができる。
本発明の一実施形態である補強枠付きフィルタの概略外観図である。 前記実施形態のフィルタ基材形成工程図である。 前記実施形態のフィルタ基材剥離工程図である。 前記実施形態のフィルタ成形工程及び補強材取着工程を示す図である。 前記実施形態に係る補強枠2によるフィルタ補強作用を説明するための模式的説明図である。 本発明に係るレンジフード3の外観斜視図である。 レンジフード3の下方視外観斜視図である。 レンジフード3の概略構成図である。 補強枠2の概略縦断面図及び本発明に用いる別の補強枠を示す概略縦断面図である。
本発明の実施形態に係る補強枠付きフィルタを図面を参照して以下に説明する。
図1は本実施形態に係る補強枠付きフィルタ1の概略外観図である。フィルタ1はレンジフードの廃ガス吸引口に取着されるレンジフードフィルタであり、全体として扁平直方体形状を有する。フィルタ素材はガラス繊維からなり、フィルタ厚みは5〜30ミリであり、好ましくは10〜25ミリ、最も好ましくは14〜20ミリである。フィルタ1はガラス繊維を全体的に絡み合せて、上下方向と左右方向における繊維間の絡み密度を異ならせた不織布状繊維フィルタである。本実施形態においては、フィルタ本体の基材形成段階で、左右方向の前記絡み密度が上下方向より大きくなるように形成しており、上下方向に沿ったフィルタ本体の両側縁に補強枠2が取着されている。
補強枠2は前記両側縁に沿って樹脂材を溶着させて形成した樹脂固定枠であり、側縁の端部を覆う断面略コ字形状を有する。この樹脂材にはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。補強枠2を樹脂材の溶着により形成するので、補強枠の取着加工を簡単に行え、フィルタ製造コストの低価格化に寄与する。また、補強枠2は側縁の端部を覆う断面略コ字形状を有するので、前記端部からの汚染物質の漏洩を防止して、フィルタ交換時の取扱いの際に手指等が汚染されず、円滑なフィルタ脱着作業を実現することができる。
本実施形態においては、ガラス繊維を全体的に斜交させて、ガラス繊維不織布面上に直交するX軸とY軸を設定したときに、その斜交角を鋭角にしてX方向とY方向の繊維間の絡み密度を異ならせるフィルタ製造方法に基づいて矩形状フィルタ1を製造している。なお、フィルタ矩形の上下方向及び左右方向は夫々、X方向とY方向に対応する。
フィルタ製造装置は、巻付ローラ18と、巻付ローラ18のローラ回転面に対向配置され、細径の溶融繊維を噴出する、複数個の紡糸ノズルと、前記紡糸ノズルを巻付ローラ18のローラ軸方向に沿って往復移動させるノズル往復移動装置(図示せず)と、バインダーをローラ回転面に向けて吹き付けるバインダー吹付装置を備える。巻付ローラ18には直径1〜2m、幅2〜4mの長尺ドラムを使用することができる。数10〜500個の紡糸ノズルがローラ回転面に対向して紡糸ノズル部19に配設され、前記紡糸ノズルより溶融ガラス繊維溜(図示せず)から供給された溶融ガラス繊維が噴射される。紡糸ノズルのノズル噴射径は2〜40μmである。
巻付ローラ18の回転数は40〜60rpmである。紡糸ノズル部19はノズル往復移動装置により、6〜10m/minの速度で往復移動する。前記紡糸ノズルからの繊維噴射速度は60〜90m/minである。前記バインダー吹付装置はローラ回転面に対して対向配置されたバインダー噴射ノズル20からなる。バインダー噴射ノズル20は紡糸ノズル部19の往復移動に連動してローラ面に対して平行移動自在に配設されている。バインダー噴射ノズル20によるバインダー噴射量は10〜30g/mである。バインダー剤には、アクリル樹脂、尿素系樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
上記構成のフィルタ製造装置を用いたフィルタ製造方法においては、まず、複数個の紡糸ノズル(紡糸ノズル部19)から溶融繊維を噴出させて、巻付ローラ18の回転面に付着させながら、そのローラ軸方向に沿って前記紡糸ノズルを往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維を巻き付け、且つバインダーを吹き付けて接着、結着させてフィルタ材(フィルタ基材21)を形成する。ついで、フィルタ材の形成後、前記回転ローラ面から前記フィルタ材を剥離して乾燥させてフィルタ原反を作製する。更に、このフィルタ原反を成形加工して、補強材を取着していないフィルタ本体を形成することができる。本実施形態におけるX方向及びY方向は夫々、前記ローラ軸方向、前記ローラ軸方向に直交する方向に対応する。
フィルタ1の製造工程を図2〜図4に基づき具体的に説明する。図2はガラス繊維によるフィルタ基材の形成工程を示す。巻付ローラ18の上方には、ローラ軸方向に移動自在に配置された紡糸ノズル部19が配設されている。紡糸ノズル部19の各紡糸ノズルからはローラ面上に、前記溶融ガラス繊維溜から供給された溶融ガラス繊維が噴射される。
複数個の紡糸ノズルから溶融ガラス繊維32を噴出させて回転ローラ面に付着させながら、そのローラ軸方向に沿って紡糸ノズル部20を往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維32を巻付ローラ18に巻き付けていく。不織布状に噴射繊維32をローラ面に巻き付ける際、バインダー噴射ノズル20により、バインダータンク(図示せず)から供給されたバインダー22をローラ面に巻き付いたフィルタ基材21に吹き付けて接着、結合させる。
巻付ローラ18への巻付工程の後、フィルタ基材剥離工程、フィルタ成形工程及び補強材取着工程に移る。図3はフィルタ基材剥離工程を示す。巻付ローラ18に噴射繊維32を多重に巻き付けた後、バインダー22により結着され、所定の厚さに巻回されたフィルタ基材21を剥離し、更に、剥離フィルタ23を成形ローラ22に巻き取らせる。
図4はフィルタ成形工程及び補強材取着工程を示す。成形ローラ22に巻き取った剥離フィルタ23を、搬送コンベア28による搬送路上に引出して、原反回収ローラ27側に送る。この搬送路にはフィルタ延伸部25と厚さ調整部26が配設されている。フィルタ延伸部25においては、搬送フィルタの両側部を人手ないし機械的に引張して拡幅させる。厚さ調整部26には搬送フィルタを上下方向から押圧する厚さ調整ローラ29が設けられている。搬送フィルタに厚さ調整ローラ29の押圧力を与えることにより、所定のフィルタ厚みに調整する。厚さ調整部26は室内温度が100〜200℃に保たれた乾燥室にもなっており、搬送フィルタは厚さ調整ローラ29を通過しながらキュア(乾燥)処理される。
フィルタ延伸部25による拡幅処理及び厚さ調整部26による厚さ調整処理を終えた搬送フィルタはフィルタ原反として原反回収ローラ27に巻き取られて回収される。フィルタ原反のフィルタ特性は、上記の巻付ローラ18の回転数、紡糸ノズル部19のノズル往復移動速度、紡糸ノズルからの繊維噴射速度に基づき設定することができる。本実施形態においては、フィルタ原反は100〜200(g/m)の繊維目付、3〜5Paの圧損、20〜40μmの平均繊維径からなるフィルタ特性を具備して製造される。なお、圧損(Pa)はレンジフード等のファン駆動時に生起するフィルタ前後の圧力差を意味する。
原反回収ローラ27に巻き取ったフィルタ原反30は所定のサイズに裁断されて、フィルタ本体31が作成される。フィルタ本体31は平面視長方形を有する。フィルタ本体31は、巻付ローラ18への巻付工程においてガラス繊維を全体的に斜交させて巻き取られたフィルタ基材21から作製されている。
従来の繊維不織布フィルタの製法においては、長繊維や短繊維を混錬してバインダ剤で相互に結着して不織布形態に製造するものであるため、フィルタ繊維相互の絡み具合を製造段階で制御することは極めて困難であり、製作されたフィルタ生地が繊維絡み具合が四方に対してほぼ均一化されたものとなってしまう。しかし、上記フィルタ製造方法によれば、巻付ローラ18の回転と、前記紡糸ノズルの往復移動とによって、X方向とY方向の繊維絡み密度が異なるように、簡単な工程で前記繊維を全体的に斜交させて絡み合わせることができるので、本発明に必要な繊維間の絡み方向性を持たせたフィルタ生地を簡単且つ低コストで製造することができる。
本実施形態においては、ローラ回転面に対してバインダー噴射ノズル20が対向配置され、バインダー噴射ノズル20は紡糸ノズル部19の往復移動に連動してローラ回転面に対して平行移動自在に配設されているが、バインダー噴射ノズル20を紡糸ノズル部19に連結して、相互に同期して往復移動自在にしてもよく、バインダーの吹付を噴出繊維の巻付に同期して行えば、噴出繊維の巻付直後に巻付繊維どうしの交差部分に対して隈なくバインダーを吹付けて、接着、結合させて強固なフィルタ材を形成でき、起立保持性の強度を増加させたフィルタ原反を製造することができる。
更に、本実施形態においては、フィルタ延伸部25による拡幅処理及により、その斜交角を鋭角にして前記上下方向と前記左右方向の絡み密度を異ならせて形成されている。即ち、図4に示すように、平均的なフィルタ繊維の向きは互いに交差する方向a、bが鋭角θ2をなしている。原反回収ローラ27に巻き取ったフィルタ原反から、鋭角θ2の対頂角に対する補角θ1が長手方向の側部に向くように裁断してフィルタ本体31は作製されている。
次に、図4に示すように、前記斜交角の対頂角方向を上下方向にして、補強枠材用樹脂の付着処理を行う。フィルタ本体31の補角θ1が対向する両側部を、溶融樹脂槽33の溶融樹脂34に浸漬して、付着させ、乾燥工程を経て補強枠2が取着される。
上記製造工程により得られた補強枠2付きフィルタ1は、ガラス繊維を全体的に斜交させて、その斜交角を鋭角にして上下方向と左右方向の繊維間の絡み密度を異ならせており、前記斜交角の対頂角方向を上下方向にして補強枠2を設けている。
図5は一対の補強枠2によるフィルタ補強作用を説明するための模式的説明図である。図5の(5A)は、フィルタを構成する交差繊維F1、F2の斜交角θ1、θ2がθ1=θ2=90°の場合を示す。この場合、所定面積A当たりの交差点の数、つまり繊維間の絡み密度は上下、左右で同じか略同一となる。
図5の(5B)は、(5A)のフィルタを縦方向に約2倍に延伸した延伸状態を示す。この延伸状態においては、斜交角θ1>θ2(鋭角)となっている。この場合、所定面積B(=A)当たりの左右方向の絡み密度は平均的にみると、上下方向より大きくなっている。例えば、左右方向の小区画Cでは3個の絡みがあるが、同一大きさの上下方向の小区画Dでは、それより少ない2個の絡み数になっている。従って、この延伸状態においては、上下方向にだけ、腰折れあるいは撓みやすい形態を呈するので、上下方向の側部にだけ補強材2を設けても十分な起立保持性を保つことが可能となる。巻付ローラ18への巻付加工だけでも斜交状に形成され、X方向とY方向の繊維絡み密度を異ならせることができるが、フィルタ基材作製工程における延伸処理によって縦方向に引き伸ばして、一層、繊維絡み密度の差異を拡大できるため、引き延ばした量だけ繊維使用量が減少して目付が縮減されて原反製造コストを格段に低減することができる。従って、補強材の点数削減と共にフィルタ製造原価の低減を実現することができ、しかも、補強材の取着回数の減少による製造工程の簡素化も実現することができる。
前記延伸処理は、紡糸ノズル19の移動と回転ローラ21の回転との相対速度により、フィルタ基材の繊維斜交角を鋭角に調整して行うことができる。また、フィルタ延伸部25における、フィルタ原反30の引き延ばし処理の際、その引き伸ばし量によりフィルタ本体の繊維斜交角を鋭角に調整することができる。
フィルタ1における補強枠2は、図4に示したように、フィルタ本体31側縁のうち、フィルタ上下方向に沿った端部36を溶融樹脂槽33に浸漬して、溶融樹脂34を付着、固化して形成されている。
図9の(9A)は補強枠2の概略断面を示す。補強枠2は、溶融樹脂34の付着、固着によって端部36を覆う断面略コ字形状を有するため、補強枠2を前記上下方向の側部に添設するだけで十分な補強力を得ることができる。従って、フィルタ1を前記上下方向に向いた縦長状に把持して取り扱う際に、補強枠2によって、前記上下方向に腰折れしたり、あるいは撓んだりせず、取扱時に十分な起立保持性を保つことができ、フィルタ脱着作業を支障なく円滑に行うことができる。特に、断面略コ字形状の補強枠2を用いれば、端部36からの汚染物質の漏洩を防止して、フィルタ交換時の取扱いの際に手指等が汚染されず、より円滑にフィルタ脱着作業を行うことができる。なお、(9E)に示すように、溶融樹脂41を端部36の繊維内部まで含浸させて固化し、端部36と強固に一体化して補強枠2を形成するようにしてもよい。
補強枠2は、樹脂材を用いてフィルタ両側縁に沿って溶着させ、フィルタ本体に固着、形成した樹脂固定枠であるが、前記両側縁に沿った長手形状で且つ断面略コ字形状に予め成形加工した樹脂固定枠を用いることができる。つまり、断面略コ字形状の樹脂固定枠を用いて、溶着、接着又は圧着によりフィルタ本体に固着、形成することができるので、上記樹脂溶着の場合と同様に、補強枠の取着加工を簡単に行え、フィルタ製造コストを低価格化することができる。
図9の(9B)及び(9C)は本発明に用いる別の補強枠37の概略断面を示す。補強枠37はフィルタ本体の前記両側縁に沿った長手形状で且つ断面略コ字形状に予め成形加工した、鉄、アルミ、ステンレス等の金属製圧着式固定枠である。(9B)に示すように、補強枠37は開放端部37a、37bを互いに内向きに曲げ加工した細長溝形状を有する。開放端部37a、37bの先端間の幅はフィルタ本体38の厚みより狭く設定されている。フィルタ両側縁への装着は、(9C)に示すように、開放端部37a、37bの先端間にフィルタ両側縁の端部を押し込み、あるいは先端間を拡幅して押し入れて、開放端部37a、37bの押圧、挟持により、補強枠37をフィルタ本体38の上下方向側部に圧着、固着することができるので、十分な補強力を具備した補強枠38を簡易に取着することができる。なお、断面略コ字形状に成形加工した金属ないし樹脂製固定枠を使用する場合には、フィルタ本体端部を押圧・挟持する枠片内側に凹凸や溝を刻設するなどして粗面加工しておくことにより、該フィルタ本体端部のフィルタ繊維と絡みやすくなって、簡単に脱離しない取着性を維持することができる。
固定枠材としては、樹脂固定枠や金属固定枠の他に、セラミックス材で補強枠を成形加工して、セラミックス固定枠をフィルタ本体の両側縁に沿って接着ないし圧着して形成することにより、前記樹脂固定枠や金属固定枠と同様に、補強枠の取着加工を簡単に行うことができる。
本発明に係る補強材はフィルタ本体の上下方向に腰折れしたり、あるいは撓んだりせず、取扱時に十分な起立保持性を保つことができる補強力を付与することができればよく、補強枠2、37のように、フィルタ本体側縁の端部両面側を覆う断面略コ字形状を有する形態の他に、図9の(9D)に示すように、断面略L字形状を有する補強材39を使用することができる。即ち、補強枠39は端部両面側を覆わず、フィルタ本体側縁の端部40の一面側と端縁を覆う断面略L字形形態を有し、樹脂材、軽金属材あるいはセラミックス材で成形加工されている。補強枠39の屈曲面内側を、フィルタ本体側縁の端部40の一面側と端縁に当接させ、該端部40の一面側及び/又は端縁に接着ないし溶着、固定される。かかる断面略L字形固定枠を用いれば、より簡単な形状で取着加工も一層簡易になるため、補強枠の取着加工費用をより低減することができる。なお、補強材39の内側取着面に上記粗面加工を施しておけば、より固着性を向上させることができる。
図6〜図8は上記実施形態に係る補強枠付きフィルタ1を取着して用いたレンジフード3を示す。図6はレンジフード3の外観斜視図、図7はレンジフード3の下方視外観斜視図、図8はレンジフード3の概略構成図である。
レンジフード3は、補強枠付きフィルタ13がフィルタ取着部に取着され、廃ガスを吸引口部4の内側に配したフィルタ13を介して吸引ファン16により吸引して排気する排気装置である。吸引ファン16はシロッコファン9及び駆動モータ10からなる。レンジフード3は、厨房などの天井7と側壁6で囲まれた隅部に設置され、吸引ファン16の排気口に連通した排気管8が側壁6の外気口17に延設され、吸引ファン16による排気は外気口17を通じて外気に排出される。
レンジフード3の収納体5の内部に吸引ファン16が収納され、吸引ファン16に対向して、一対のフィルタ取着枠15が設けられている。図7においては、一対のフィルタ取着枠15の片方を設置した状態を示している。フィルタ取着枠15は収納体5の天板と底板14の間に設けられている。フィルタ取着枠15は
フィルタ13の上端及び下端を取り外し自在に係止する一対の差込部35を有する。差込部35は断面略コ字形状を有する板金からなる。一対の差込部35の間に補強枠2が介在するように、フィルタ1の上辺部と下辺部を各差込部35に差し入れてフィルタ13を取着することができる。
レンジフード3において使用済みフィルタを脱離させる場合には、一対の差込部35の間に介在する補強枠2ないしその枠付近を掴持して、取り外すことができる。このとき、上述のように、本発明に係るフィルタ13は優れた起立保持性を備えているので、上下方向の補強枠2だけであっても、腰折れしたり、あるいは撓んで変形もせずに、円滑に脱離させることができる。しかも、フィルタ製造コストを低減した、本発明に係る補強枠付きフィルタ13の使用により、排気処理に必要な消耗備品のひとつであるフィルタコストの低価格化に伴って、排気処理費用のコストダウンを実現することができる。なお、フィルタ13には、捕集された油剤の燃焼を防止するために、フィルタ表面に難燃剤を担持させる処理を施すようにしてもよい。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本発明によれば、取扱時に十分な起立保持性を具備し、フィルタ脱着作業を支障なく円滑に行うことができるフィルタ及びそれを用いたレンジフードや換気扇を提供することができる。また、本発明によれば、優れた前記起立保持性を具備したフィルタ原反を低価格で製造することができるフィルタ製造装置を提供することができる。
1 フィルタ
2 補強枠
3 レンジフード
4 吸引口部
5 収納体
6 側壁
7 天井
8 排気管
9 シロッコファン
10 駆動モータ
13 フィルタ
14 底板
15 フィルタ取着枠
16 吸引ファン
17 外気口
18 巻付ローラ
19 紡糸ノズル部
20 バインダー噴射ノズル
21 フィルタ基材
22 バインダー
23 剥離フィルタ
24 成形ローラ
25 フィルタ延伸部
26 厚さ調整部
27 原反回収ローラ
28 搬送コンベア
29 厚さ調整ローラ
30 フィルタ原反
31 フィルタ本体
32 溶融ガラス繊維
33 溶融樹脂槽
34 溶融樹脂
35 差込部
36 端部
37 補強枠
37a 開放端部
37b 開放端部
38 フィルタ本体
39 補強材
40 端部
41 溶融樹脂

Claims (18)

  1. レンジフード又は換気扇の排気装置に取着されるフィルタにおいて、繊維を全体的に絡み合せて不織布状に扁平形成され、前記不織布面上に直交するX軸とY軸を設定したときに、X方向の繊維間の絡み密度がY方向の繊維間の絡み密度より大きいことを特徴とするフィルタ。
  2. 前記繊維を全体的に斜交させ、その斜交角を鋭角にして、前記X方向の繊維間の絡み密度を前記Y方向より大きくした請求項1に記載のフィルタ。
  3. 前記繊維としての無機質繊維を絡み合せて、前記バインダーにより接着して結合させた繊維フィルタからなる請求項1又は2に記載のフィルタ。
  4. 前記無機質繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナファイバー、シリカアルミナファイバー、ムライトファイバー又はロックウールのいずれかである請求項3に記載のフィルタ。
  5. 前記繊維としての耐熱性繊維を絡み合せて、前記バインダーにより接着して結合させた繊維フィルタからなる請求項1又は2に記載のフィルタ。
  6. 前記耐熱繊維は、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ノボロイド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維又はポリベンゾイミダゾール繊維のいずれかである請求項5に記載のフィルタ。
  7. 少なくとも1対の対向する両辺に沿った各側縁に補強枠を取着した請求項1〜6のいずれかに記載のフィルタ。
  8. 前記補強枠は、前記両側縁に沿って樹脂材、金属材又はセラミックス材を溶着、接着又は圧着して取着された枠材からなる請求項7に記載のフィルタ。
  9. 前記補強枠は、前記側縁の端部を覆う断面略コ字形状又は断面略L字形状を有する請求項8に記載のフィルタ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のフィルタがフィルタ取着部に取着され、廃ガスを前記フィルタを介して吸引ファンにより吸引して排気する排気装置であって、前記フィルタ取着部は、前記フィルタの上端及び下端を取り外し自在に係止する一対の差込部からなり、前記一対の差込部の間に前記補強枠が介在するように、前記フィルタの上辺部と下辺部を各差込部に差し入れて取着したことを特徴とする排気装置。
  11. レンジフード又は換気扇の排気装置に取着される繊維フィルタの原反を、全体的に繊維を絡み合せて不織布状に扁平形成するフィルタ製造方法において、複数個の紡糸ノズルから前記繊維を噴出させて回転ローラ面に付着させながら、そのローラ軸方向に沿って前記紡糸ノズルを往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維を巻き付け、且つ前記バインダーを吹き付けて接着、結合させてフィルタ材を形成した後、前記回転ローラ面から剥離して乾燥させて、前記ローラ軸方向に対応したX方向における繊維間の絡み密度が前記X方向と直交するY方向における繊維間の絡み密度より大きいフィルタ原反を製造することを特徴とするフィルタ製造方法。
  12. 前記紡糸ノズルの移動と前記回転ローラの回転との相対速度により、前記フィルタ材の繊維斜交角を鋭角に調整する請求項11に記載のフィルタ製造方法。
  13. 前記フィルタ原反の引き延ばし量により前記フィルタ本体の繊維斜交角を鋭角に調整する請求項11に記載のフィルタ製造方法。
  14. 前記バインダーの吹付を前記噴出繊維の巻付に同期して行う請求項11、12又は13に記載のフィルタ製造方法。
  15. レンジフード又は換気扇の排気装置に取着される繊維フィルタの原反を、全体的に繊維を絡み合せて不織布状に扁平形成するフィルタ製造装置において、回転ローラと、前記回転ローラのローラ面に対向配置され、細径の溶融繊維を噴出する、複数個の紡糸ノズルと、
    前記紡糸ノズルを前記回転ローラのローラ軸方向に沿って往復移動させるノズル往復移動装置と、バインダーを前記ローラ面に向けて吹き付けるバインダー吹付装置とを有し、前記複数個の紡糸ノズルから前記溶融繊維を噴出させて前記回転ローラ面に付着させながら、前記ローラ軸方向に沿って前記紡糸ノズルを往復移動させて、全体的に斜交させて不織布状に噴射繊維を巻き付け、且つ前記バインダーを吹き付けて接着、結合させてフィルタ材を形成した後、前記回転ローラ面から剥離して乾燥させて、前記ローラ軸方向に対応したX方向における繊維間の絡み密度が前記X方向と直交するY方向における繊維間の絡み密度より大きいフィルタ原反を製造することを特徴とするフィルタ製造装置。
  16. 前記紡糸ノズルの移動と前記回転ローラの回転との相対速度により、前記フィルタ材の繊維斜交角を鋭角に調整した請求項15に記載のフィルタ製造装置。
  17. 前記フィルタ原反の引き延ばし量により前記フィルタ本体の繊維斜交角を鋭角に調整する請求項15に記載のフィルタ製造装置。
  18. 前記バインダー噴出装置を前記紡糸ノズルの移動と連動して移動可能にして、前記バインダーの吹付を前記噴出繊維の巻付に同期して行う請求項15、16又は17に記載のフィルタ製造装置。
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