JP2010131320A - 義歯の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 石膏からロウ義歯やレジン義歯床の離脱性を向上させ、簡便かつ精密な義歯の製造方法を提供すること。
【解決手段】 フラスコを用いた重合システムによる義歯の製造方法であって、人工歯を配列した咬合床模型の底面側を、下部フラスコの埋没用石膏に埋没させる1次埋没工程S1、その咬合床模型の上部を、粘弾性材料中に埋没させて該咬合床模型を被覆する2次埋没工程S2、その粘弾性材料の上面側を、上部フラスコの埋没用石膏に埋没させる3次埋没工程S3、埋没用石膏及び粘弾性材料の硬化後に、咬合床模型だけを除去する咬合床模型除去工程S4、咬合床模型が除去された空間にレジンを填入するレジン填入工程S5、レジンの固化後に、該埋没用石膏を除去して義歯を取り出す取り出し工程S6の各工程により製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フラスコを用いた重合システムによる義歯の製造方法に関し、特に石膏に埋没した義歯を簡便に取り出すことのできる技術に係る。
高齢化社会の進行に伴い、有床義歯治療に対するニーズが高まっている。有床義歯治療の内容も多様化し、材料や技工上の技術進歩が著しい。
有床義歯の製作過程において、患者の口腔内で蝋義歯を型取りして作成した後、蝋義歯の義歯床部分をレジンに置換するための埋没、流蝋、レジン填入、重合の一連の操作は、完成義歯の口腔内での適合精度と咬合構成の精度に大きく影響を及ぼす要素である。
埋没法としては、アメリカ法(倒位埋没法)やフランス法(正位埋没法)、両者の折衷法などが知られている。
アメリカ法は、人工歯、維持装置、連結装置などすべての構成要素をフラスコの上部に固定する方法であり、ワックスの除去、分離剤の塗布、レジン填入などの操作が容易で、各構成要素の位置的誤差が少ない利点がある。しかし、レジン填入時にバリが生じるとこれらの義歯構成要素と床粘膜面との位置関係に誤差が生じやすく、バリの部分だけ全体が浮きあがった義歯になる大きな欠点がある。
フランス法は、人工歯、維持装置、連結装置などすべての構成要素をフラスコの下部に固定する方法で、すべての構成要素間の位置的誤差が生じにくい。また、フラスコの分離が容易で義歯に歪みが生じにくく、義歯の掘り出しが比較的容易である。しかし、ワックスや基礎床の除去、分離剤の塗布、レジン填入などの操作が煩雑な上に、レジン填入も側方から行うため十分な圧を加えにくく、加圧不足になりやすい欠点がある。
折衷法とは、両者の利点を生かし、人工歯のみフラスコ上部に固定、その他全ての義歯構成要素をフラスコ下部に固定する方法である。これによると埋没操作が比較的容易なうえに義歯床粘膜面に対するレスト、維持装置、大連結子、小連結子の位置関係をいずれも正確に保つことができる。また、人工歯の位置は、レジン填入時のフラスコ上部と下部に生じた間隙(バリ)の分だけ挙上されるが、この咬合関係の誤差はスプリットキャスト法による適切なリマウント後の咬合調整により補うことができる。
填入法としては、加圧填入法と加圧注入(射出)法、流し込みレジン法などがある。
加圧填入法は、埋没、流蝋後、上下フラスコに餅状のレジンを圧入し、数回の試圧を繰り返し約30kgf加圧下で填入する方法である。レジンが餅状のタイミングで注入することが望ましく、その見極めが重要である。この加圧填入法は現在最も広く臨床応用されている。
加圧注入法は、加圧填入法と違い、流蝋後に上下フラスコを閉じて固定し、注入孔から4〜6気圧でレジンを填入する方法である。
この填入法は均一に圧が加わるため気泡の発生がほとんどなく、適度な流動性を保った状態で低加圧注入するので、維持装置や連結装置、人工歯の位置に狂いが極めて生じにくいという利点がある。また、バリがほとんど発生しないため、この点からも人工歯をはじめとする義歯構成要素の位置的栗が極めて生じにくく、咬合高径の誤差が少ないことも利点である。
さらにレジンの重合方法としては、湿式による加熱重合法、乾式による加熱重合法、マイクロ波による加熱重合法、常温重合法などがある。
湿式による加熱重合法は、従来一般に広く臨床応用されてきた方法であり、反応熱の情報を見越して65〜70度の温湯中に40〜90分間浸漬して予備重合を行い、ほぼ重合を完了させた後に100度の温湯中に30〜40分浸漬して本重合を行い重合を完了させる。
乾式による加熱重合法は、専用のヒーター付きプレス装置を用いて温水を使用せず、熱を直接フラスコの片面から伝えて重合する方法である。
マイクロ波による加熱重合法は、電場を与えたときのエネルギーが熱として失われる現象を利用したもので、電子レンジにより数分間で重合を完了することができる。
常温重合レジンを用いて重合する方法には、前述のフラスコを使わずに石膏やシリコンでコアを作成し、流動性の高い液状レジンの陰型に注入して成形重合する流し込みレジン法と専用のフラスコに埋没し、混和後適度な流動性を示す状態のレジンを低加圧注入して重合する方法がある。
本技術に関連する文献としては、特許文献1及び2の技術を挙げることができる。特許文献1では、熱可塑性プレートを加圧成型することによって患者の顎模型に適合した義歯粘膜床を作り、この義歯粘膜床にワックスを盛った後に人工歯を植設してワックス義歯を作り、このワックス義歯のワックスをレジンで置換して義歯を作ることが提案されている。
また、レジンの填入、重合システムの一例として、ヘレウスクルツァージャパン株式会社の「パラジェットシステム」を挙げることができる。本システムの特徴については、非特許文献1及び2にも紹介されている。
特開2008-119210号公報 星久雄、藤田良磨、小出馨、宮本績輔「パラジェットシステムを用いた精密重合法」、日本歯科評論 Vol.65(9)別刷(2005年9月号)、pp.61-69 福田博規「パラジェットシステムの特徴と使用方法」、日本歯技 第466号別刷、2008年4月
上述したように有床義歯の製作には多様な方法が行われているが、いずれの場合にも、重合したレジンを石膏から掘り出す際に、極めて複雑な形状をしている人工歯や義歯床の間に石膏が入り込み、型からの離脱性が悪い問題がある。従来は、分離剤を塗布しておき石膏の付着を防ぐようにし、付着した石膏は溶解剤を用いて溶解したり、研磨して石膏を除去する作業が必要であった。
分離剤の塗布には手間がかかる上、分離剤の乾燥が不十分であれば歯頸部付近のレジン床部への石膏の強固な付着が生じてしまう。
また、分離材を塗布すると人工歯基底面に分離材が付着し、人工歯と義歯床との結合が不十分となり、人工歯が脱落しやすくなる問題もある。
さらに、流蝋の工程でも、従来は蝋を完全に軟化させて確実に除去するのに手間がかかる上、症例によって細部まで対応することが困難な場合があった。
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、石膏からロウ義歯やレジン義歯床の離脱性を向上させ、簡便かつ精密な義歯の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような義歯の製造方法を提供する。
すなわち、フラスコを用いた重合システムによる義歯の製造方法であって、次の各工程を有することを特徴とする。
(S1)人工歯を配列した咬合床模型を上面に載置した口腔内模型の底面側を、下部フラスコの埋没用石膏に埋没させる1次埋没工程
(S2)その咬合床模型の上部を、粘弾性材料中に埋没させて該咬合床模型を被覆する2次埋没工程
(S3)その粘弾性材料の上面側を、上部フラスコの埋没用石膏に埋没させる3次埋没工程
(S4)埋没用石膏及び粘弾性材料の硬化後に、咬合床模型だけを除去する咬合床模型除去工程
(S5)咬合床模型が除去された空間にレジンを填入するレジン填入工程
(S6)レジンの固化後に、該埋没用石膏を除去して義歯を取り出す取り出し工程
本発明は、上記製造方法において、咬合床模型を低温溶融性材料で構成すると共に、融点がそれよりも高い前記粘弾性材料を用いてもよい。この場合、前記咬合床模型除去工程では、咬合床模型を融解して除去する。
上記の2次埋没工程において、粘弾性材料の辺縁を厚みが漸次薄くなる移行部を設けてもよい。
また、上記粘弾性材料に、シリコン印象材を用いてもよい。
上記のレジンに常温重合レジンを用い、本発明の重合システムが、レジンを加圧しながら填入する方式であってもよい。
本発明は、上記構成を備えることにより次のような効果を奏する。
すなわち、シリコン印象材等の粘弾性材料を2次埋没工程で用いることにより、義歯の掘り出しが極めて容易になり、操作の簡便化と作業時間の短縮を図ることができる。特に、レジン床部への埋没用石膏の強固な付着が生じず、石膏溶解剤を使用する必要もない。
また、分離材を塗布刷る必要がないため、人工歯と義歯床との確実な化学結合を得ることができる。
また、従来のように上下のフラスコの開輪時にフラスコを温湯に浸して加熱し、蝋を軟化させる必要もなく、3次埋没用石膏が硬化した直後に開輪することができる。
また、流蝋時に人工歯の全てを一旦取り外すことができるため、いかなる症例でも細部まで確実に蝋の除去が行える効果も奏する。
レジンを加圧しながら填入する方式の重合システムを用いても、2次埋没させる粘弾性材の周囲に3次埋没材として石膏が強固に包囲しているため、内圧が高く維持され、重合時に人工歯の変位が生じることがなく、精密重合システムの利点が反映可能である。そのため咬合器ヘリマウント後の削合操作をほとんど必要とすることがない。
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
有床義歯を作成する工程は公知(例えば特許文献2)のように、歯科医師により精密印象材を用いて口腔内の印象(陰型)を採取することから始まる。そして、印象材に水と練和した石膏を流し込み、口腔内模型を製作する。この口腔内模型(101)の断面図を図7(a)に示す。
特開2007-254303号公報
次に、図7(b)に示すように口腔内模型(101)上で、蝋材(ワックス)を使って義歯床の元となる咬合床(102)を形成し、さらに人工歯(103)を咬合床(102)上に配列して咬合床模型(104)を構成する。
本発明では、咬合床模型から義歯を製造する方法を提供するものであり、咬合床模型の製作方法や態様は上記に限られない。
本発明の製造工程を図1に示す。各工程を説明する断面図を図2〜図4に、実際の製作の様子を示す説明図を図5、図6に示す。
まず、図2(a)と図5(a)に示すように、咬合床模型(104)の底面側(口腔内と接する粘膜面側)が下になるように口腔内模型(101)を下部のフラスコ(105)内に充填されている石膏(106)に埋没させる。(1次埋没工程:S1)
この1次埋没用石膏は普通石膏で足りる。
図示のフラスコは1床用であるが、2床用のデュオフラスコで上下2床を同時に製造してもよい。
次に、直径7mm程度の蝋材を用いて、後でレジンを填入するための管路(107)を形成するためにスプルーイングを行う。また、反対側には直径3mm程度の蝋材でベント部(108)を付与する。
そして、本発明の要点である2次埋没の工程(S2)に進む。
すなわち、図2(b)と図5(b)に示すように、パテタイプのシリコン印象材(109)に咬合床模型(104)の上部(人工歯側)を埋没させる。パテ状の印象材(109)を用いているので、咬合床模型(104)に密着するように手で被覆していくことは容易である。
埋没させる範囲は、咬合床(102)及び人工歯(103)全体が覆われるようにするのが望ましいが、特に人工歯(103)とその歯肉周辺は精密に表面形状が再現されることが必要なので確実に埋没させる。
シリコン印象材(109)はアンダーカットが生じにくく、後段の工程で印象材から義歯床を剥離するときに適度な弾性を有するように、概ね3mm以上10mm以下の厚み、特に5mm程度の厚みとするのが好ましい。
また、シリコン印象材(109)の辺縁部(109a)は漸次厚みが薄くなるように移行形に形成する。これにより、シリコン印象材が上下の石膏に強固に固定するようにする。
本実施例では、シリコン印象材としてヘレウス株式会社製「プロビールノボパテ」を用いている。このシリコン印象材は、印記面が滑沢で、重合完了後の義歯床研磨面の研磨操作が容易となる特性を持つ。
本発明の実施には上記に限らず、いかなる印象材を用いてもよい。その際の条件としては、咬合床(102)と人工歯(103)の形状を確実に写し取る粘性と、義歯床を取り出す際に形状が復元する弾性が必要である。また、蝋材を溶解して除去する場合には、蝋材の融点よりも印象材の融点が高いことが必要である。
次に、シリコン印象材(109)の上面側を上部のフラスコ(110)内に充填された石膏(111)に埋没させる。(3次埋没工程:S3) この石膏(111)も普通石膏でよい。
本工程により、上部の埋没用石膏(111)とシリコン印象材(109)、下部の埋没用石膏(106)に、咬合床模型(104)がサンドイッチ状に挟み込んで固定され、シリコン印象材(109)も上部の石膏(111)に密着して変位することがなくなる。
従来は、このあとフラスコ(105)(110)ごと加熱して咬合床模型(104)を構成する蝋材を軟化させていた。例えば80℃で4〜5分加熱していたが、加熱しすぎると、蝋材が溶け出して石膏に染み込むことがあった。このようになると、後段で用いる分離剤の効果を低減させてしまうため、過度のフラスコ加熱を避ける必要があった。
その後、上部フラスコ(110)を取り外すことになるが、本実施例で用いるパラジェットシステムではフラスコの形状が丸いため、石膏を上下に分割する鉗子が入れにくい点も問題であった。従来はこの工程でも長時間の作業を要していた。
本発明では、上部の石膏(111)が硬化した後、咬合床模型(104)を軟化させることなく、容易に上部フラスコ(110)を取り外すことができる。
図3(a)はフラスコ開輪時の断面図、図6(a)は開輪時の下部フラスコの状態を示す説明図である。すなわち、シリコン印象材(109)は咬合床模型(104)からの剥離性が極めてよく、蝋材を簡単に除去することができる。(咬合床模型除去工程:S4)
従来のようにフラスコの開輪時に蝋材を軟化する必要がなく、石膏(111)が硬化したら直後にそのまま開輪することができる。その分、手間が省け短時間で迅速に作業を行うことができるようになる。
図3(a)や図6(a)に示すように、人工歯(103)はシリコン印象材(109)と密着して残留する場合や、咬合床(102)と共に離脱する場合がある。本発明では人工歯(103)もシリコン印象材(109)からの離脱性がよく、全てを取り外すことができる。そのため、いかなる症例であっても、細部まで確実に蝋材の除去を行うことができ、この点でも従来の技術に対して優位である。
図6(b)は咬合床模型(104)を口腔内模型(101)から離脱させた時の下部フラスコ(105)の状態である。このとき、管路(107)とベント(108)の蝋材も一緒に除去する。
図6(c)は上記と同時の上部フラスコ(110)の状態を示す。上部フラスコ(110)内の3次埋没した石膏(111)と、シリコン印象材(109)は密着している。
蝋材を取り出した後に熱湯で流蝋を行う。このとき人工歯が義歯床から離脱するのを防ぐために、人工歯の油分を分解する洗剤等を使用し、筆で洗うことにより確実に油分を取り除くことが重要である。すべての人工歯(103)を取り外せることはこの点にも寄与する。
流蝋の完了後、再び人工歯(103)をシリコン印象材(109)内の対応する部位に配列し、図3(b)のように上下のフラスコ(105)(110)を合わせると、シリコン印象材(109)と口腔内模型(101)との間隙に、咬合床(102)の型の空間が生じる。
上下のフラスコ(105)(106)を図示しないパラジェットシステムに装着し、管路(107)を下方、ベント(108)を斜め上方に向ける。このような向きにセットすることで、フラスコ基底からレジンを注入したときにフラスコ内の空気が抜けやすく、ベントからレジンが溢出したことで隅々まで填入されたことが目視できるようになる。
本実施例において、レジンは液と粉を重量比2:1で混和する。練和カップにスパチュラを用いて攪拌することで、モノマー内でのポリマーの分布を均等化させることができる。
攪拌したレジンは、プラスチックシリンダー内に糸状に垂らして気泡を抜きながら移し、それを金属シリンダーにセットしてシステムに装着する。
この後、フラスコ基底部から4気圧でレジンを注入する。(レジン填入工程:S5)
極端な高圧ではないため、維持装置の移動が生じにくい。また、糸引き状後半期で填入することで、重合後の歪みを最小限に抑制することができる。
本発明の構成では、シリコン印象材(109)の周囲を石膏に3次埋没させている。このため、加圧して内圧を高く維持しても重合時に人工歯の変位が生じることがなく、精密重合システムの利点がそのまま反映される。
図3(c)はレジン(113)を填入した状態を示している。
レジン注入後、ベント部(108)からレジンが溢出したことを確認し、ベント部(108)を封鎖、5分間加圧保持する。
常温重合レジンが最も重合収縮する初期重合時に加圧保持し、シリンダーよりレジンを補充することにより、重合収縮を最小限に抑えることができる。
さらに、図示しない重合釜(商品名パラマートエリート)を用いて55℃2気圧下で30分間の重合を行う。この重合釜を用いることで、レジン内部の温度分布を均一化することができ、歪みの起こりにくい重合を実現できる。重合完了後、室温まで放冷する。
図4に示すように、上下のフラスコから石膏(106)(111)ごと取り出し(図4(a))、下部石膏(106)(図4(b))、上部石膏(111)(図4(c))取り外していく。
そして、本発明によればシリコン印象材(109)を用いることで、レジンで構成した義歯床(113)と人工歯(103)からごく簡便に印象材を剥離することができる。(図4(d))
最後に口腔内模型(101)から義歯(14)を取り外す。(取り出し工程:S6)
一般的には取り出し後に義歯(14)を研磨して完成する。
従来はこの取り出し工程(S6)に上下顎総義歯の場合に1時間以上を要していた。それが本発明によればほとんど瞬間的に離脱させることができる。特に、2次埋没のシリコン印象材(109)を適切な厚さにすることで、重合が完了した義歯(14)から一挙に取り外すことができる。この点が本発明の最大の特徴である。
本発明によれば、シリコン印象材(109)から義歯床(113)等の離脱性がよいため、従来必要であった石膏内部への分離剤の塗布は不要である。このため、作業の簡便化と時間の短縮に寄与する。また、分離剤を塗布しないことで、人工歯基底面に分離剤が付着することがなく人工歯(103)と義歯床(113)との確実な化学結合が得られる。従って、重合後の人工歯(103)の脱落が非常に起こりにくく、使用上の大きな利点となる。
分離剤を塗布しなくてもよいことは、分離剤の乾燥が不十分なことに由来する歯頸部付近の義歯床部への埋没用石膏の強固な付着が生じない。従来、この付着のために義歯を石膏溶解剤に浸漬するなど、付着石膏の除去操作に手間と時間を要していたが、本発明によればこのような煩雑な作業がすべて不要となる。
上記実施例では、常温重合レジンを用い加圧しながら填入する構成で説明したが、重合の方法はこれに限られない。加熱重合レジンに用いられている填入タイプの重合システムでは、シリコン印象材を用いると、バリ発生に伴って変形するため適応し難いが、印象材の材料を適宜選択することにより本発明を実施することは可能である。
また、総義歯に限らず、部分義歯の製造方法として提供することもできる。
義歯の材料はプラスチックの他、任意の材料を使用することができる。
以上のように、本発明は有床義歯製作にあたり作業工程の合理化と義歯製造に係る所要時間を大幅に短縮する。さらに、補綴装置を損傷する危険性の排除を確実なものとし、歯科医療にもたらす有効性は極めて大きい。
本発明の製造工程の説明図である。 本発明の義歯製造方法の各工程を説明する断面図である。 本発明の義歯製造方法の各工程を説明する断面図である。 本発明の義歯製造方法の各工程を説明する断面図である。 本発明の義歯製造方法よる実際の製作の様子を示す説明図である。 本発明の義歯製造方法よる実際の製作の様子を示す説明図である。 口腔内模型の製作方法を説明する断面図である。
符号の説明
S1 咬合床模型の底面側を下部フラスコの埋没用石膏に埋没させる1次埋没工程
S2 咬合床模型の上部を、粘弾性材料中に埋没させて咬合床模型を被覆する2次埋没工程
S3 粘弾性材料の上面側を、上部フラスコの埋没用石膏に埋没させる3次埋没工程
S4 咬合床模型だけを除去する咬合床模型除去工程
S5 咬合床模型が除去された空間にレジンを填入するレジン填入工程
S6 埋没用石膏を除去して義歯を取り出す取り出し工程

Claims (5)

  1. フラスコを用いた重合システムによる義歯の製造方法であって、
    人工歯を配列した咬合床模型を上面に載置した口腔内模型の底面側を、下部フラスコの埋没用石膏に埋没させる1次埋没工程、
    該咬合床模型の上部を、粘弾性材料中に埋没させて該咬合床模型を被覆する2次埋没工程、
    該粘弾性材料の上面側を、上部フラスコの埋没用石膏に埋没させる3次埋没工程、
    埋没用石膏及び粘弾性材料の硬化後に、該咬合床模型だけを除去する咬合床模型除去工程、
    該咬合床模型が除去された空間にレジンを填入するレジン填入工程、
    レジンの固化後に、該埋没用石膏を除去して義歯を取り出す取り出し工程
    からなることを特徴とする義歯の製造方法。
  2. 前記咬合床模型を低温溶融性材料で構成すると共に、融点がそれよりも高い前記粘弾性材料を用いる構成において、前記咬合床模型除去工程では、該咬合床模型を融解して除去する
    請求項1に記載の義歯の製造方法。
  3. 前記2次埋没工程において、
    前記粘弾性材料の辺縁を厚みが漸次薄くなる移行部を設ける
    請求項1又は2に記載の義歯の製造方法。
  4. 前記粘弾性材料が、シリコン印象材である
    請求項1ないし3のいずれかに記載の義歯の製造方法。
  5. 前記レジンに常温重合レジンを用い、前記重合システムが、該レジンを加圧しながら填入する方式である
    請求項1ないし4のいずれかに記載の義歯の製造方法。
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