以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の遊技用部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された遊技用部品としての演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、特別図柄の可変表示に同期した飾り図柄の可変表示を行う飾り図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、飾り図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。飾り図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の識別情報を、例えば上から下に移動するように可変表示する。飾り図柄表示領域には「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア(図柄表示ライン)9L,9C,9Rがあるが、図柄表示エリア9L,9C,9Rの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリア9L,9C,9Rの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、特別図柄表示器8で特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
遊技盤6における下部の左側には、識別情報としての特別図柄を可変表示する特別図柄表示器8が設けられている。この実施の形態では、特別図柄表示器8は、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、特別図柄表示器8は、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
小型の表示器は、例えば方形状に形成されている。また、この実施の形態では、特別図柄表示器8は、例えば、00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開放状態とされる。可変入賞球装置15が開放状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。また、可変入賞球装置15が閉放状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口14に極めて入賞しやすい。
なお、この実施の形態では、図1に示すように、第2始動入賞口14に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
特別図柄表示器8の側方には、始動入賞口に入った有効入賞球数すなわち保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、保留記憶数が上限値に達していないことを条件として(有効始動入賞であることを条件として)、保留記憶数を1増やす。また、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1増やす。そして、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、開始条件が成立したこと)、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始される。すなわち、特別図柄の可変表示は、始動入賞口への入賞に対応する。なお、特別図柄表示器8での可変表示が開始される毎に、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1減らす。
また、演出表示装置9の表示画面には、保留記憶数を表示する領域(以下、保留記憶表示部18cという。)が設けられている。
特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示(確定)させることである。
特別図柄表示器8において、特別図柄の可変表示が開始された後、所定時間(変動時間)が経過すると、特別図柄の可変表示結果である停止図柄を停止表示(導出表示)する。大当りにすることに決定されている場合には、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示される。はずれにすることに決定されている場合には、大当り図柄以外の特別図柄が停止表示される。大当り図柄が導出表示された場合には、遊技状態が、特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。この実施の形態では、一例として、「3」、「7」を示す数字を大当り図柄とし、「−」を示す記号をはずれ図柄にする。
特別図柄表示器8に大当り図柄が停止表示された場合には、特別可変入賞球装置20における開閉板が、所定期間(例えば、29秒間)または所定個(例えば、10個)の入賞球が発生するまでの期間、開放状態になって、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態に変化させるラウンドが開始される。ラウンドの回数は、例えば15である。
また、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が時短状態に制御される。時短状態では、通常状態(確変状態や時短状態ではない状態)に比べて特別図柄の可変表示における特別図柄の変動時間が短縮される。時短状態は、例えば、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の可変表示が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了する。なお、大当り状態が終了した後に、時短状態にせずに通常状態になるようにしてもよい。
遊技状態を確変状態に制御することに決定されている場合には、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が確変状態に制御される。確変状態は、例えば、次に可変表示結果として大当り図柄が導出表示されるまで継続する。遊技状態を大当り遊技状態に制御することに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、大当り図柄という。そして、遊技状態を大当り状態に制御しないことに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、はずれ図柄という。
また、確変状態では、低確率状態(通常状態)に比べて、大当りに決定される確率が高くなっている。例えば、10倍になっている。具体的には、確変状態では、大当り判定用乱数の値と一致すると大当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて10倍になっている。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率が高められている。すなわち、第2始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなっている。具体的には、確変状態は、普通図柄当り判定用乱数の値と一致すると当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて多い。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めることに加えて、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。また、時短状態でも、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めたり、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。
演出表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における飾り図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点が同じであって、可変表示の期間が同じであることをいう。特別図柄表示器8において大当り図柄が停止表示されるときと、演出表示装置9において大当りを想起させるような飾り図柄の組み合わせが停止表示される。
演出表示装置9の表示領域では、開始条件が成立したことにもとづいて、「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動が開始され、例えば、「左」→「右」→「中」の順序で飾り図柄の停止図柄が停止表示(導出表示)される。
飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて停止図柄が導出表示されるまでの期間(可変表示期間=変動時間)で、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された飾り図柄が大当り組み合わせの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の飾り図柄が大当り組み合わせの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、特別図柄表示器8に特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
遊技領域6には、遊技球の入賞にもとづいてあらかじめ決められている所定数の景品遊技球の払出を行うための入賞口(普通入賞口)29,30,33,39も設けられている。入賞口29,30,33,39に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aで検出される。
遊技盤6の右側方には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示する。
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開放状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。また、確変状態ではないが図柄の変動時間が短縮されている時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)でも、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
遊技盤6の遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED(ランプでもよい。)25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED(ランプでもよい。)28が設けられている。
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出された後、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始されるとともに、演出表示装置9において飾り図柄の可変表示が開始される。
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路503は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を可変表示(変動表示)する特別図柄表示器8、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18および普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う。
なお、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路(図示せず)も主基板31に搭載されている。
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する演出表示装置9の表示制御を行う。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、ランプドライバ基板35を介して、遊技盤に設けられている装飾LED25や枠側に設けられている枠LED28等の表示制御を行うとともに、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行う。
図3は、中継基板77、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。なお、図3に示す例では、ランプドライバ基板35および音声出力基板70には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板35および音声出力基板70を設けずに、演出制御に関して演出制御基板80のみを設けてもよい。演出制御基板80のみを設けた場合には、図3に示すランプドライバ基板35および音声出力基板70に搭載されている回路等も、演出制御基板80に搭載される。
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、および演出制御プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行うVDP109が演出制御基板80に搭載されている。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP109は、VRAM内の画像データをフレームメモリを介して演出表示装置9に出力する。
演出制御用CPU101は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP109に出力する。CGROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP109は、演出制御用CPU101の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP109は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバ102に入力する。入力ドライバ102は、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。なお、図3に示す出力ポート571は、図2に示されたI/Oポート部57の一部である。
さらに、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート104を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ351を介してLEDドライバ352に入力される。LEDドライバ352は、LEDを駆動する信号にもとづいて枠LED28などの枠側に設けられている発光体に電流を供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25に電流を供給する。
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
例えば、音番号データに応じた制御データとして、所定の期間内の効果音(音声および楽曲を含む。)のディジタルデータが音声データROM704に格納されている。ディジタルデータとして、例えばPCMデータが使用される。その場合には、1秒間の効果音が8ビット×8k(8000)=64kビットで表される。なお、ここでは、PCMデータを用いる場合を例にするが、ADPCMデータ等の他の形式のディジタル音声データを用いてもよい。
また、演出制御基板80には、互いに直交する2軸に沿って配置されたアモルファスワイヤに外部から与えられた磁界によるインピーダンスの変化を検出して各々の変化量にもとづく検出電圧を出力する構成の磁界検出素子(磁気センサ)130と、磁界検出素子130の検出電圧にもとづいて磁石が遊技機近傍に存在するか否か判定する磁界検出用回路140とが設けられている。アモルファスワイヤは、アモルファス磁性体を細線状(例えば、太さ100μm)に形成したものである。
磁界検出用回路140は、磁石が遊技機近傍に存在すると判定した場合に、エラー信号を出力する。エラー信号は、入力ポート107を介して演出制御用CPU101に入力される。演出制御用CPU101は、エラー信号が入力されると、遊技機に設けられている演出装置(演出表示装置9、スピーカ27、LED等の発光体)を用いて、異常報知(不正行為発見報知)を行う。
磁石によって遊技球を入賞領域(特に、始動入賞口)に誘導する不正行為が行われるときには、磁石が遊技機1の近傍に存在することになる。磁界検出用回路140が遊技機近傍に磁石が存在すると判定したときに演出制御用CPU101が異常報知を行う制御を実行することによって、不正行為が行われている場合に、または不正行為が行われる可能性がある場合に、異常報知によって遊技店員等に、その旨を認識させることができる。
次に、遊技機の動作について説明する。図4は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAM55をアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10〜S15)。
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを演出制御基板80に送信する(ステップS43)。そして、ステップS14に移行する。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次RAM55における作業領域に設定する(ステップS12)。
ステップS11およびS12の処理によって、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
また、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)を演出制御基板80に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。なお、初期化処理において、CPU56は、客待ちデモンストレーション指定(デモ指定)コマンドも送信する。
また、CPU56は、乱数回路503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS14)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路503にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
そして、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう(ステップS15)。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
初期化処理の実行(ステップS10〜S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS19)。この実施の形態では、表示用乱数とは、変動パターン等を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施の形態では、初期値用乱数とは、普通図柄の当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ560が、遊技機に設けられている可変表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、大当り判定用乱数発生カウンタ等のカウント値が1周(乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図5に示すステップS20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、CPU56は、特別図柄表示器8、普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。特別図柄表示器8および普通図柄表示器10については、ステップS32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通当り図柄決定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24,S25)。
なお、この実施の形態では、大当り判定用乱数(ランダムR)は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されたハードウェアが生成する乱数であるが、大当り判定用乱数として、遊技制御用マイクロコンピュータ560によってプログラムにもとづいて生成されるソフトウェア乱数を用いてもよい。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、特別図柄表示器8および大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示を実行する。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(ステップS34)、処理を終了する。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S33(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
次に、演出制御手段の動作を説明する。図6は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、所定の乱数を生成するためのカウンタのカウンタ値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS702)。そして、タイマ割込フラグの監視(ステップS703)を行う。タイマ割込フラグがセットされていない場合には、ステップS702に移行する。なお、タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS704)、ステップS705〜S706の演出制御処理およびステップS707の不正検出処理を実行する。
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:ステップS705)。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS706)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置9の表示制御を実行する。
また、演出制御用CPU101は、ステップS707の不正検出処理において、磁界検出用回路140からのエラー信号が異常状態(磁石を検出した状態)を示しているか否か確認し、エラー信号が異常状態を示していたら、演出装置を用いて異常報知を行う。
図7は、図6に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS706)を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理では、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S807のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800):演出制御プロセスフラグの値が変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値である場合に実行される。変動パターンコマンド受信待ち処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターンコマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターンコマンドを受信している場合には、そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動開始処理(ステップS801):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動開始処理では、飾り図柄および飾り図柄の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動中処理(ステップS802):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動中処理では、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動停止処理(ステップS803):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動停止処理では、全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)を受信したことにもとづいて、飾り図柄(および飾り図柄)の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(ステップS804)または変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
大当り表示処理(ステップS804):演出制御プロセスフラグの値が大当り表示処理(ステップS804)に対応した値である場合に実行される。大当り表示処理では、変動時間の終了後、演出表示装置9に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
ラウンド中処理(ステップS805):演出制御プロセスフラグの値がラウンド中処理(ステップS805)に対応した値である場合に実行される。ラウンド中処理では、ラウンド中の表示制御を行う。そして、ラウンド終了条件が成立したら、最終ラウンドが終了していなければ、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(ステップS806)に対応した値に更新する。最終ラウンドが終了している場合には、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値に更新する。
ラウンド後処理(ステップS806):演出制御プロセスフラグの値がラウンド後処理(ステップS806)に対応した値である場合に実行される。ラウンド後処理では、ラウンド間の表示制御を行う。そして、ラウンド開始条件が成立したら、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
大当り終了演出処理(ステップS807):演出制御プロセスフラグの値が大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値である場合に実行される。大当り終了演出処理では、演出表示装置9において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
図8は、ステップS707の不正検出処理を示すフローチャートである。不正検出処理において、演出制御用CPU101は、異常報知(不正検出報知)の実行中であることを示す異常報知中フラグがセットされているか否か確認する(ステップS901)。異常報知中フラグがセットされている場合には、処理を終了する。
異常報知中フラグがセットされていない場合には、磁界検出用回路140からのエラー信号が磁界検出(磁石検出)に対応する状態(例えば、ハイレベル)になっているか否か確認する(ステップS902)。なお、以下、エラー信号が磁界検出(磁石検出)に対応する状態になっていることをエラー信号が出力されているといい、エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態(例えば、ローレベル)になっていることをエラー信号が出力されていないという。
エラー信号が出力されている場合には、演出表示装置9に、例えば「磁石発見」を示す画像や異常検出の旨を示す画像を表示する制御を行う(ステップS903)。また、スピーカ27から異常報知音が出力されるように、異常報知音に対応する音番号データを音声出力基板70に出力する(ステップS904)。そして、異常報知中フラグをセットする(ステップS905)。
以上のような処理によって、遊技球を入賞領域に不正に誘導するような不正行為に使用される可能性がある磁石、または不正行為に使用されている磁石が発見された場合には、演出表示装置9において異常報知がなされ、同時に、スピーカ27から異常報知音が出力される。
なお、磁界検出用回路140からエラー信号が出力されたときに、演出表示装置9のみを用いて異常報知を行ったり、スピーカ27のみを用いて異常報知を行ってもよい。また、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)を用いて異常報知を行ったり、演出表示装置9やスピーカ27と、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)とを併用してもよい。
また、この実施の形態では、磁界検出用回路140からエラー信号が出力されると、遊技機に対する電力供給が停止されるまで異常報知が継続して実行される。しかし、磁界検出用回路140からのエラー信号の出力がなくなると(エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態になると)、異常報知を終了してもよい。また、遊技機に設けられている所定のスイッチが押下されたことにもとづいて、異常報知を終了してもよい。
図9は、磁界検出素子(磁気センサ)130の設置位置を説明するための説明図である。この実施の形態では、図9(A)に示すように、磁界検出素子130は、演出制御基板80に搭載されている。すなわち、磁界検出素子130は、遊技盤6に設けられた演出表示装置9を制御する演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータ100)が搭載された演出制御基板80に搭載されている。なお、演出制御基板80は、演出表示装置9の裏側(遊技者が存在する方を表側とする。)に設置されている。遊技盤6における遊技領域に磁界検出素子130を設置しないことから、本来の機能を実現するための機構部品の遊技盤6における配置等を制約しないようにすることができる。
磁界検出素子130は、図9(B)に示すように、遊技枠2Aに設けられていてもよい。すなわち、磁界検出素子130が、遊技盤6が着脱可能に取り付けられる遊技枠2Aに設けられていてもよい。磁界検出素子130が、遊技盤6が着脱可能に取り付けられる遊技枠2Aに設置されているので、遊技店において遊技盤6が交換されても、磁界検出素子130を継続して使用することができ、遊技機のコストを低減することができる。なお、図9(B)に示す例では、磁界検出素子130は、遊技枠2Aにおける比較的上部に設置されているが、打球供給皿3の近傍など他の箇所に設置してもよい。
また、磁界検出素子130の設置位置は、遊技盤6または遊技枠2Aに限られず、遊技機に設けられている回路基板(主基板31、演出制御基板80、払出制御基板37など)に設置してもよく、回路基板とは別に専用の基板を設け、その基板に、磁界検出素子130を設置してもよい。
図10(b),(c)は、遊技機におけるソレノイド16,21(図2参照)として使用可能なソレノイド121の漏れ磁束による磁界とソレノイド121からの距離との関係の一例を示す説明図である。図10(b),(c)において、横軸はソレノイド121からの距離を示し、縦軸は、ソレノイド121の漏れ磁束による磁界を示す。
図10(a)に示すように、磁界検出素子130に対してソレノイド121がいずれの位置にあっても、磁界検出素子130とソレノイド121との間の距離A〜Dが10cm以上であれば、磁界検出素子130の位置におけるモータ122の漏れ磁束による磁界はほぼ0なる。すなわち、磁界検出素子130の位置におけるソレノイド121の漏れ磁束による磁界は100μTよりもはるかに小さくなる。よって、磁界検出素子130の検出感度(磁界あり/なしの判定のしきい値)を100μT程度にすると、遊技機に設けられているソレノイド121から磁界検出素子130を10cm以上離せば、磁界検出素子130は、ソレノイド121の漏れ磁束の影響を受けずに、不正行為に使用される磁石を検出できることがわかる。
図11(b)は、遊技機におけるモータ(球払出装置97や打球発射装置等におけるモータ)として使用可能なモータ122の漏れ磁束による磁界とモータ122からの距離との関係の一例を示す説明図である。図10(b)において、横軸はモータ122からの距離を示し、縦軸は、モータ122の漏れ磁束による磁界を示す。
図11(a)に示すように、磁界検出素子130に対してモータ122がいずれの位置にあっても、磁界検出素子130とモータ122との間の距離A〜Dが5cm以上であれば、磁界検出素子130の位置におけるモータ122の漏れ磁束による磁界はほぼ0なる。よって、遊技機に設けられているモータ122から磁界検出素子130を5cm以上離せば、磁界検出素子130は、モータ122の漏れ磁束の影響を受けずに、不正行為に使用される磁石を検出できることがわかる。
以上のことから、磁界検出素子130を、遊技機に設けられているソレノイド121から10cm以上離して設置し、遊技機に設けられているモータ122から5cm以上離して設置することが好ましいといえる。
次に、遊技機において使用されるソレノイド(ソレノイド16,21)について説明する。一般に、ソレノイドは、コイル401、ヨーク402およびプランジャ403等で構成される。図12には、プランジャ403に嵌め込まれるEリング404も示されている。
ソレノイドに通電するとコイル401が磁力線を発生し、その磁力線でプランジャ403が吸引されヨーク402とプランジャ403とで磁力線の閉回路ができる。しかし、一般的なソレノイドはプランジャ403の吸引時にプランジャ403の先端がヨーク402上面より飛び出している。飛び出している部分は磁性体であるために、その内部を通り最終的に空気中に飛び出す磁力線が多い(図13参照)。なお、図13において、複数の曲線は、磁力線を示す。
そこで、図14に示すように、プランジャ403の長さをプランジャ403の吸引時にプランジャ403の上端がヨーク402の上面と同じ位置にくるようにソレノイドを構成する。プランジャ403の上端とヨーク402の上面とを同じ位置にすることによって、プランジャ403内部を通った磁力線は、プランジャ403の上端の外周の角部分から飛び出し、すぐ横にあるヨーク402に入りやすくなるので、空気中に飛び出す磁力線を減らすことができる(図15参照)。なお、図14には、他の部材を接続するための接続部405とOリング406も示されている。また、図15において、複数の曲線は、磁力線を示す。
なお、プランジャ403の長さを、吸引時にヨーク402の上面より下(ソレノイド内部)に引っ込むような長さにすると、吸引トルクが落ちるので好ましくない。ヨーク402の上面より上(ソレノイド外部)に出るような長さにする場合には、空気中に飛び出す磁力線の量が増えるが、高感度の磁界センサに影響を与えなければ実用上問題にはならない。
プランジャ403の上端面には駆動対象機構等の部材を接続するための接続部405を取り付けるねじ穴が設けられ、非磁性体である真鍮で形成した接続部405を、丸ワッシャ(Oリング)406を間に挟み込む形でプランジャ403にねじ止めする。なお、接続部405の材質は、非磁性体で耐久性のある材質であればよく、例えば、POM(ポリアセタール)やステンレス等でもよい。また、プランジャ403に接続できる耐久性があれば、接続部405の形状は任意である。
磁界検出素子130は、磁石の検出範囲を広くするために、微弱な磁力線を検出するように設定されるので、近傍にソレノイドが設置されているとソレノイドが通電されたときに漏れる磁力線に起因して磁界の誤検出を生じてしまう。そこで、上記のように、磁界検出素子130を、ソレノイド121から10cm以上離して設置することが好ましいが、10cm以上離せない場合には、図14に示されたようなソレノイドを使用することによって、ソレノイド121が磁界検出素子130に与える影響をより小さくすることができ、誤検出の可能性を低減することができる。
図16は、磁界検出素子130の軸を示す説明図である。磁界検出素子130にはX軸の検出素子(X軸センサ)とY軸の検出素子(Y軸センサ)とが内蔵され、図16(A),(B)に示すように、直交する2軸(X軸およびY軸)を有する。図16(A)と図16(B)とは、磁界検出素子130を異なる方向から眺めた場合の斜視図に相当する。また、図16(A),(B)において、一方の方向への矢印がX軸またはY軸に相当し、その方向に直交する方向への矢印がY軸またはX軸に相当する。
図17は、磁界検出素子130の検出範囲を説明するための説明図である。図17において、磁界検出素子130を中心とする曲面を表面とする立体状の部分が検出範囲である。図17(A)には、磁界検出素子130の2軸ともに磁石300の方向を向いていない場合の検出範囲が示されている。つまり、磁石300のN極からS極への方向が、X軸およびY軸を含むXY平面に対して垂直である場合の検出範囲が示されている。また、図17(B)には、磁界検出素子130の2軸のいずれかが磁石300の方向を向いている場合の検出範囲が示されている。つまり、磁石300のN極からS極への方向が、X軸またはY軸の方向と合致している場合の検出範囲が示されている。図17(A)に示す検出範囲において、磁界検出素子130からいずれの方向についても同形状である。また、図17(B)に示す検出範囲において、磁石300の方向を向いている軸の方向の検出範囲は広いが、それ以外の方では検出範囲はやや狭くなっている。
図18(A),(B)は、図9(A)に示すように磁界検出素子130が遊技盤6の裏面に設定されている場合の遊技枠における前面枠(一般にガラス板)2Bでの磁界検出素子130の検出範囲を示す説明図である。図18(A),(B)に示す検出範囲は、磁界検出素子130の2軸ともに磁石(図18において図示せず)の方向を向いていない場合の検出範囲である。なお、図18(B)に、4種類の検出感度が示されているが、検出感度については後述する。
また、図18(A)において、矢印が、磁界検出素子130の2軸の方向を示す。
図18(A)には、2種類の磁石(直径φ、厚さt)が前面枠2Bに近接された場合の検出範囲(丸枠内)が示されている。また、図18(B)には、3種類の磁石(直径φ、厚さt)が前面枠2Bに近接された場合の検出範囲が数値(検出範囲の直径)で示されている。
図19は、図9(A)に示すように磁界検出素子130が遊技盤6の裏面に設定されている場合の遊技枠における前面枠(一般にガラス板)2Bでの磁界検出素子130の検出範囲を示す説明図である。図19に示す検出範囲は、磁界検出素子130の2軸のいずれかが磁石(図19において図示せず)の方向を向いている場合の検出範囲である。図19には、2種類の磁石(直径φ、厚さt)が前面枠2Bに近接された場合の検出範囲(曲線内)が示されている。
また、図19(A)において、矢印が、磁界検出素子130の2軸の方向を示す。
図20は、この実施の形態における磁界検出素子130の検出範囲と、磁石(図20において、黒丸で示されている。)の動きと、磁界検出素子130を内蔵する磁石検出センサ装置の出力信号(MG信号:磁気検出信号)との関係を示す説明図である。
遊技機に対して電力供給が開始された時点(電源オン時)から所定の期間(例えば、5秒)が経過するまで(図20における「電源ON時に磁石が検出範囲に有った時」)、検出範囲内に磁石が存在しても、磁石検出センサ装置は、「磁気非検出」を示す信号を出力する。電源オン中(電源オン時から5秒経過した後)に磁石が磁界検出素子130の近くに存在する場合には(図20における「電源ON中に磁石がセンサに近い位置に有った時」)、磁石検出センサ装置は、「磁気検出」を示す信号を出力する。
電源オン中(電源オン時から5秒経過した後)に磁石が検出範囲外から検出範囲内に入った場合には(図20における「電源ON中に磁石を検出範囲に入れた時」)、磁石検出センサ装置は、「磁気非検出」を示す信号を出力する状態から「磁気検出」を示す信号を出力する状態に変化する。磁石が検出範囲内から検出範囲外に出た場合には(図20における「磁気検出後、磁石が検出範囲から出た時」)、磁石検出センサ装置は、「磁気検出」を示す信号を出力する状態から「磁気非検出」を示す信号を出力する状態に変化する。磁石が検出範囲外から検出範囲内に極めてゆっくりと入った場合には(図20における「10〜30分位かけてゆっくり検出範囲に近づけた時」)、磁石検出センサ装置は、「磁気非検出」を示す信号を出力する。
図21は、磁界検出用回路140の構成例を、磁界検出素子130とともに示すブロック図である。この実施の形態では、磁界検出用回路140は、制御回路180で実現されている。
制御回路180は、A−D変換器160を内蔵している。A−D変換器160は、磁界検出素子130が出力するアナログ信号である検出電圧をディジタル信号に変換する。また、制御回路180は、XY選択信号を出力する機能に加えて、基準値設定機能、検出電圧平均化機能、基準値との比較機能、および感度設定機能を有する。
なお、制御回路180としてプログラムに従って制御動作を行うマイクロコントローラ(例えば、テキサスインスツルメント社製MSP430F2002)を使用することができる。制御回路180としてマイクロコントローラを使用する場合には、それらの機能は、プログラムで実現される。
磁界検出用素子130は、互いに直交する2軸(X軸、Y軸)に沿って配置されたアモルファスワイヤに外部から与えられた磁界によるインピーダンスの変化を検出して各々の変化量にもとづく検出電圧を出力する構成であり、制御回路180は、磁界検出用素子130に対してXY選択信号を出力する機能を有する。XY選択信号は、X軸の検出素子(X軸センサ)およびY軸の検出素子(Y軸センサ)のうちのどの検出素子からの検出電圧を出力させるのかを選択するための信号である。
基準値設定機能は、磁界検出素子130が出力する検出電圧と比較される基準値を設定する機能である。検出電圧平均化機能は、磁界検出素子130が出力する検出電圧を時間平均する機能である。基準値との比較機能は、磁界検出素子130が出力する検出電圧と基準値とを比較する機能である。制御回路180は、磁界検出素子130が出力する検出電圧の基準値からの変化量(差)が所定量を越えると、エラー信号を演出制御用マイクロコンピュータ100に対して出力する。
図22は、磁石検出センサ装置の実現例の回路構成を示すブロック図である。図23は、図22に示す磁石検出センサ装置における入出力部(入出力端子)の機能を示す説明図である。図22に示す磁石検出センサ装置150は、磁界検出素子130と磁界検出用回路140とが一体になった装置である。図22に示す例では、磁石検出センサ装置150は、磁界検出素子130を内蔵するセンサIC181と、磁界検出用回路140(制御回路180)に相当する制御IC182と、外部から入力される+12Vの電圧を安定化してセンサIC181および制御IC182に供給するレギュレータ183と、感度選択信号(SELECT1,2)を入力して制御IC182に出力するバッファ回路185,186と、磁気検出信号(MG信号)を出力する出力トランジスタ184とを含む。
図24は、センサIC181の構成例(磁界検出素子130の構成例でもある。)を示すブロック図である。図24に示す例では、磁界検出素子130は、X軸センサ13XおよびY軸センサ13Yに加えて、クロック信号を出力する発振器131と、発振器131からのクロック信号を、X軸センサ13XまたはY軸センサ13Yに対して出力するタイミング制御回路132と、X軸センサ13XおよびY軸センサ13Yの出力側に接続された基準電圧発生器133と、入力端子CH1,CH2に入力されるXY選択信号に従って、タイミング制御回路132にクロック出力選択信号を出力するとともに、X軸センサ13XまたはY軸センサ13Yの検出電圧を入力するサンプルホールド回路(選択回路)134と、サンプルホールド回路134が入力した検出電圧を増幅して出力する差動増幅器135とを有する。
X軸センサ13XおよびY軸センサ13Yは、軸方向が互いに直交するように配置されている。また、X軸センサ13XおよびY軸センサ13Yの軸はアモルファスワイヤであり、図24に示す例では、アモルファスワイヤに巻かれたコイルが、アモルファスワイヤに外部から与えられた磁界によるインピーダンスの変化を検出して、インピーダンスの変化に応じた電圧値の検出電圧を出力する。なお、インピーダンスの変化を検出する部材は、アモルファスワイヤに巻かれたコイルではなく、アモルファスワイヤの近傍に設置されたコイルでもよい。
また、この実施の形態では、磁界検出素子130は、X軸センサ13Xの軸およびY軸センサ13Yの軸を含むXY平面が前面枠(一般にガラス板)2Bと並行になるように設置される。すなわち、図18(A)に示すように、磁界検出素子130が設置される。
図25は、基準値との比較機能を説明するための説明図である。図25(A)に示すように、外部磁界が存在しない場合に、磁界検出素子130におけるX軸センサ13XおよびY軸センサ13Yのそれぞれ(以下、センサという。)が、1.5Vの検出電圧を出力する場合を例にする。また、センサは、素子のばらつき等に起因して、外部磁界が存在しない場合に、0.8〜1.9Vの範囲で検出電圧が変動する特性を有するとする。
よって、この実施の形態では、センサの検出電圧が0.8〜1.9Vの範囲である場合には、外部磁界が存在しないと判定することにする。すなわち、0.8〜1.9Vの範囲を磁界検出のための誤差範囲とする。
さらに、地磁気の影響を排除するために磁界検出のための誤差範囲をさらに広げることにする。日本列島における地磁気の大きさは44000〜51000nTである。また、センサの感度が、2.4mV(標準)/μTで3.8mV(最大)/μTであるとすると、センサの出力電圧に対して地磁気が与える影響は、51μT×3.8mV=0.1938Vである。
そこで、図25(B)に示すように、誤差範囲を0.2V広げ、0.6〜2.1Vを誤差範囲とする。よって、図25(C)に示すように、2.2Vを越える範囲、および0.6V未満の範囲を磁界検出範囲とする。
さらに、後述するように、さらに余裕を設け、2.598Vを越える範囲、および0.096Vを越える範囲未満の範囲を磁界検出範囲とする。また、磁界検出範囲内の磁界を検出した場合には「強磁界検出」したとするとともに(図25(D)参照)、0.096〜2.598Vの範囲内に、「弱磁界検出」したとするしきい値を設定する。
図26〜図28は、磁界検出用回路140(制御回路180)の機能を具体的に示すブロック図である。この実施の形態では、制御回路180を実現するマイクロコントローラのソフトウェアによって、センサの特性のばらつき等や地磁気の影響を排除する。具体的には、遊技機に対する電力供給が開始されたとき等に磁界検出素子130から検出電圧を入力して、入力した検出電圧を基準値とし、磁界検出素子130からの検出電圧の基準値からの変化量が所定値を越えた場合に、遊技機の近傍に磁石が存在すると判断する。なお、基準値は適宜更新される。
なお、図26〜図28には、主として、X軸センサ13Xの検出電圧を例にした構成および機能が示されているが、制御回路180は、Y軸センサ13Yの検出電圧についても、X軸センサ13Xの検出電圧についての処理と同様の処理を行う。
また、制御回路180は、遊技機に対する電力供給が開始された時点から5秒が経過するまで、磁界検出処理を実行しない(図20における「電源ON時に磁石が検出範囲に有った時」参照)。その後、制御回路180は、1分が経過する毎に、基準値を更新する。すなわち、定期的に基準値を更新する。基準値を更新する際に、磁界検出素子130(磁気センサ)の検出電圧と過去の磁気センサの検出電圧とにもとづいて、新たな基準値を決定する。定期的に基準値を更新する理由は、遊技機の稼働が進むと遊技機に設けられている電磁部品等が着磁する可能性も考えられ、着磁した場合には、遊技機の近傍に磁石が存在しない場合にセンサが出力する検出電圧の値が変わるからである。なお、この実施の形態では、1分毎に基準値を更新するが、1分の周期は一例であり、他の更新周期を用いてもよい。ただし、基準値を更新する周期が短すぎると、磁石を低速で動かして行う不正行為を検出できなくなるおそれがあるので、ある程度以上の長さの周期であることが好ましい。
図24に示された発振器131は、約200kHzで発振しているとする。すなわち、発振器131は、約200kHzのクロック信号を出力しているとすると、磁界検出素子130からの検出電圧に約200kHzのノイズが混入している可能性がある。そこで、制御回路180は、磁界検出素子130からの検出電圧を平均化し、平均化後の信号を用いて処理を行う。制御回路180はA−D変換器160を有し、A−D変換器160がディジタル化した検出電圧を用いて処理を行う。なお、A−D変換器160は、10ビットのディジタル信号を出力し、「1」は、約3.2mVに相当する。つまり、「0000000000」が0Vであるとすると、「0000000001」は約3.2mVを示し、「0000000010」は約6.4mVを示す。10ビットで表される以降の値についても同様に、「1」増えた数値は、約3.2mV多くなっている値に相当する。
制御回路180は、X軸センサ13XとY軸センサ13Yとを、2ms毎に順に選択する。すなわち、2ms毎に、XY選択信号を、X軸センサ13XおよびY軸センサ13Yが順に動作するように変化させる。
また、制御回路180は、2msの期間内にX軸センサ13Xの検出電圧を4回入力することにする。入力の周期(サンプリング周期)は、例えば123.2μsである。123.2μは、5μs(200kMz相当)よりも十分長い時間であり、その周期で4回サンプリングすれば、約200kMzのノイズ成分の影響は排除されると考えられる。
図26に示すように、A−D変換器160の4回の出力は、それぞれ、レジスタ211〜214に順次格納される。第1平均化部202は、レジスタ211〜214に格納された検出電圧(ディジタル値に変換されたもの)を加算し、加算値を、下位ビットの方向に2ビット分シフトする。すなわち、1/4する処理を実行する。このように、平均化の対象の信号数を4にすれば、ビットシフト処理のみで平均化処理を実現できる。
第1平均化部202の出力は、レジスタ221〜228に順次格納される。第1平均化部202は、4msに1回平均化処理を実行するので、レジスタ221〜228には、4ms毎の検出電圧の平均値が順次格納される。なお、第1平均化部202が新たなデータを出力する度に、レジスタ221〜228内のデータが次段に順次シフトされる。すなわち、レジスタ22x(x:1〜8)の内容がレジスタ22(x+1)に転送される。また、初段のレジスタ221に第1平均化部202が出力したデータが格納され、最終段のレジスタ228内のデータは破棄される。
そして、第2平均化部203は、全てのレジスタ221〜228に平均値(第1平均化部202が出力したデータ)が格納された後、第1平均化部202が新たなデータを出力する度に、レジスタ221〜228に格納された平均値を加算し、加算値を、下位ビットの方向に3ビット分シフトする。すなわち、1/8する処理を実行する。よって、レジスタ221〜228に格納された平均値が、さらに平均化される。このように、第2平均化部203による平均化の対象の信号数を8にすれば、ビットシフト処理のみで平均化処理を実現できる。
第1平均化部202はノイズ除去のために平均化処理を行ったが、第2平均化部203は、X軸センサ13Xの検出電圧を時間的に平均する(時間平均する)。時間平均する理由は、瞬間的な磁界変化の検出を排除するためである。つまり、瞬間的な磁界変化の影響を排除するためである。
第2平均化部203は、算出した平均化された検出電圧を、基準磁界補正部204および減算部205に出力する。第2平均化部203は、4ms経過する毎に、平均化された検出電圧(具体的には、検出電圧を示す値のデータ)を出力する。
なお、第2平均化部203は、電力供給が開始されてから5秒間、すなわち制御回路180が動作開始してから5秒間、検出電圧を出力する処理を実行しない。電力供給が開始されてから5秒が経過するまで検出電圧を出力しない理由は、遊技機の周辺の磁界環境が安定する前に磁界検出処理を実行しないようにするためであり、他の時間(0秒でもよい。)にしてもよい。
図28は、基準磁界補正部204の機能構成を示すブロック図である。基準磁界補正部204において、設定更新部271は、電源オンから5秒経過したときに、第2平均化部203が出力する検出電圧を、レジスタ261〜268に順次格納する。第2平均化部203は4msに1回検出電圧を出力するので、レジスタ261〜268には、4ms毎の検出電圧(平均化された検出電圧)が順次格納される。なお、電源オンから5秒経過したときから、第2平均化部203が新たなデータを出力する度に、レジスタ261〜268内のデータが次段に順次シフトされる。すなわち、レジスタ26x(x:1〜8)の内容がレジスタ26(x+1)に転送される。また、設定更新部271は、電源オンから5秒経過したときだけでなく、制御回路180が磁界検出しなくなったとき(MG信号の状態を磁界非検出の状態にしたとき)から5秒経過したときに、第2平均化部203が出力した検出電圧を、レジスタ261〜268に順次格納する。
その後、設定更新部271は、1分毎に、レジスタ26x(x:1〜8)の内容がレジスタ26(x+1)に転送するとともに、第2平均化部203が出力する検出電圧をレジスタ261に格納する。なお、最終段のレジスタ268内にあったデータは破棄される。また、第3平均化部273は、レジスタ261〜268に格納された検出電圧を加算し、加算値を、下位ビットの方向に3ビット分シフトする。すなわち、1/8する処理(平均化する処理)を実行する。そして、第3平均化部273は、平均化した値を基準値として、減算部205(図26参照)および設定更新部271に出力する。なお、設定更新部271は、第3平均化部273から出力された基準値と直前の基準値との差が大きい(例えば、5以上)場合には、直前の基準値との差が5になるように第3平均化部273から出力された基準値を補正し、補正後の基準値をレジスタ261に格納する。
以上のように、この実施の形態では、基準値を作成するためのデータが格納されるレジスタ261〜268には、電力供給開始時(具体的には、電源オンから5秒経過時)に第2平均化部203が出力したデータが初期値として格納され、その後、1分経過する度に、第2平均化部203が出力したデータで更新されるとともに、基準値が再計算される。つまり、基準値は、電源オンしてから5秒経過した後、1分ごとに更新される。なお、この実施の形態では、基準値は、第2平均化部203が現在出力したデータと、過去7分間の1分毎に第2平均化部203が出力したデータとの平均値である。
図26に示す減算部205は、第2平均化部203が出力する検出電圧(平均化された検出電圧)を現在磁界を示すデータとし、その値から、基準磁界補正部204が出力する基準値を減算する。すなわち、現在磁界の値と基準値との差を演算する。そして、演算値の絶対値を合成ベクトル算出部233に出力する。合成ベクトル算出部233には、基準値に対する磁界変化量(X軸センサ13Xが検出した磁界変化量)の絶対値が入力されることになる。
制御回路180において、Y軸センサ13Yの出力についても、X軸センサ13Xの出力に対する処理と同様の処理が実行され、合成ベクトル算出部233には、基準値に対するY軸に関する磁界変化量(Y軸センサ13Yが検出した磁界変化量)の絶対値が入力される。
合成ベクトル算出部233は、入力された2つの磁界変化量の値から合成磁界変化量(一方の値の2乗と他方の値の2乗との和の平方根)を算出し、弱磁界検出部241に出力する。以下、合成磁界変化量をベクトル長という。
弱磁界検出部241は、ベクトル長を所定のしきい値と比較することによって、磁界(弱磁界)が存在しているか否か判定する。
上述したように、磁界検出用回路140において、制御回路180に相当する制御IC182には、感度選択信号(SELECT1,2)が入力される(図22参照)。
図29(A)は、感度設定タイミングを示す説明図であり、図29(B)は、MG信号の出力例を示す説明図である。図29(A)に示すように、制御回路180は、電源がオンになったときから5秒後に感度選択信号を取り込んで、感度選択信号が示す感度を内部設定する。制御回路180がマイクロコントローラで実現されている場合には、例えば、感度はマイクロコントローラにおけるレジスタに設定される。図18(B)に示されたように、感度選択信号(SELECT1,2)が(0,0)を示す場合には「最高」感度を設定し、(0,1)を示す場合には「高」感度を設定し、(1,0)を示す場合には「中」感度を設定し、(0,0)を示す場合には「低」感度を設定する。
また、感度には、「しきい値」、「チャタリング除去時間」、「ヒステリシス」が含まれる。「しきい値」は、磁界が存在するか否か判定するための判定値に相当する。「チャタリング除去時間」は、その時間以上、ベクトル長が「しきい値」を越えている場合に磁界が存在すると判定するための時間である。「ヒステリシス」は、磁界が存在すると判定された後、磁界が消えたと判定するための値であり、しきい値よりも小さい値である。
従って、制御回路180は、図29(B)に示すように、ベクトル長(図29(B)において曲線で示す。)がしきい値を越えている時間がチャタリング除去時間tを越えると、MG信号の状態を磁気検出を示す状態にする。また、MG信号の状態が磁気検出を示す状態であるときに、ベクトル長がヒステリシスの値まで低下したら、MG信号の状態を磁気非検出を示す状態にする。なお、図29(B)には、制御回路180が、MG信号の状態を磁気検出を示す状態にした場合には、少なくとも2msその状態を維持することが示されている。また、図29(B)に示す例では、ローレベルが、MG信号の状態が磁気検出を示す状態に相当する。
図27に示すように、弱磁界検出部241は、4種類の検出方法を実行し、それぞれの検出方法による検出結果をエラー判定部(磁界検出部)251に出力する。4種類の検出方法は、以下のような検出方法である。
(1)しきい値が45(60μTに相当)、チャタリング除去時間が1000ms、ヒステリシスが34(45μTに相当)
(2)しきい値が53(70μTに相当)、チャタリング除去時間が500ms、ヒステリシスが40(53μTに相当)
(3)しきい値が68(90μTに相当)、チャタリング除去時間が250ms、ヒステリシスが51(68μTに相当)
(4)しきい値が150(200μTに相当)、チャタリング除去時間が150ms、ヒステリシスが113(150μTに相当)
図27に示すように、4種類の検出方法による検出結果は、上記の(1)の検出情報の検出結果である「60μT磁界有無」、上記の(2)の検出情報の検出結果である「70μT磁界有無」、上記の(3)の検出情報の検出結果である「90μT磁界有無」、上記の(4)の検出情報の検出結果である「200μT磁界有無」である。
なお、上記の「しきい値」、「チャタリング除去時間」、「ヒステリシス」の値は好ましい例であるが、他の値を採用してもよい。
また、4種類の検出方法のそれぞれにおける「しきい値」、「チャタリング除去時間」、「ヒステリシス」の値は変更可能である。
この実施の形態では、感度選択信号(SELECT1,2)は、エラー判定部251に入力されている。エラー判定部251は、上記のように、電源がオンになったときから5秒後に感度選択信号を取り込んで、感度選択信号が示す感度を内部設定する。そして、設定された感度に応じて、弱磁界検出部241からの検出結果を選択し、選択した検出結果にもとづいてエラー信号(磁気検出を示す状態のMG信号に相当)を出力する。
図26に示すように、第2平均化部203が出力する検出電圧(平均化された検出電圧)は比較部234,235にも入力される。比較部234は、入力された検出電圧の値としきい値(812D(10進))とを比較し、入力された検出電圧の値がしきい値を越えている場合には異常信号(X軸強磁界エラー信号)エラー判定部251に出力する。また、比較部235は、入力された検出電圧の値としきい値(30D(10進))とを比較し、入力された検出電圧の値がしきい値未満である場合には異常信号をエラー判定部251に出力する。
A−D変換器160が出力するデータにおける「1」は約3.2mVに相当するので、「812」は、約3.2mV×812=約2.598Vに相当する。また、「30」は、約3.2mV×30=約0.096Vに相当する。よって、X軸センサ13Xからの検出電圧が0.096〜2.598Vの範囲から外れていることを示している場合には、異常信号が出力される。なお、Y軸センサ13Yからの検出電圧が0.096〜2.598Vの範囲から外れていることを示している場合にも異常信号(Y軸強磁界エラー信号)がエラー判定部251に出力される。
図30は、制御回路180におけるエラー判定部251の具体的処理例を示す説明図である。エラー判定部251は、「低」感度が設定されている場合には、ベクトル長がしきい値である150を越えている時間がチャタリング除去時間である150msを越えたとき、または強磁界検出時(X軸強磁界エラー信号またはY強磁界エラー信号が出力されたとき)に、磁石を検出したとして、エラー信号を出力する。すなわち、上記の(4)の検出方法によって弱磁界が検出されるか強磁界が検出されたときにエラー信号を出力する。
「中」感度が設定されている場合には、ベクトル長がしきい値である68を越えている時間がチャタリング除去時間である250msを越えたとき、ベクトル長がしきい値である150を越えている時間がチャタリング除去時間である150msを越えたとき、または強磁界検出時(X軸強磁界エラー信号またはY強磁界エラー信号が出力されたとき)に、磁石を検出したとして、エラー信号を出力する。すなわち、上記の(3)の検出方法または(4)の検出方法によって弱磁界が検出されるか強磁界が検出されたときにエラー信号を出力する。
換言すれば、制御回路180は、「中」感度が設定されている場合には、上記の(3)の検出方法によって弱磁界を検出しているとともに、(4)の検出方法によって弱磁界を検出していることになる。
「高」感度が設定されている場合には、ベクトル長がしきい値である53を越えている時間がチャタリング除去時間である500msを越えたとき、ベクトル長がしきい値である68を越えている時間がチャタリング除去時間である250msを越えたとき、ベクトル長がしきい値である150を越えている時間がチャタリング除去時間である150msを越えたとき、または強磁界検出時(X軸強磁界エラー信号またはY強磁界エラー信号が出力されたとき)に、磁石を検出したとして、エラー信号を出力する。すなわち、上記の(2)の検出方法、上記の(3)の検出方法または(4)の検出方法によって弱磁界が検出されるか強磁界が検出されたときにエラー信号を出力する。
換言すれば、制御回路180は、「高」感度が設定されている場合には、上記の(2)の検出方法によって弱磁界を検出しているとともに、上記の(3)の検出方法によって弱磁界を検出し、さらに(4)の検出方法によって弱磁界を検出していることになる。
「最高」感度が設定されている場合には、ベクトル長がしきい値である45を越えている時間がチャタリング除去時間である1000msを越えたとき、ベクトル長がしきい値である53を越えている時間がチャタリング除去時間である500msを越えたとき、ベクトル長がしきい値である68を越えている時間がチャタリング除去時間である250msを越えたとき、ベクトル長がしきい値である150を越えている時間がチャタリング除去時間である150msを越えたとき、または強磁界検出時(X軸強磁界エラー信号またはY強磁界エラー信号が出力されたとき)に、磁石を検出したとして、エラー信号を出力する。すなわち、上記の(1)の検出方法、上記の(2)の検出方法、上記の(3)の検出方法または(4)の検出方法によって弱磁界が検出されるか強磁界が検出されたときにエラー信号を出力する。
換言すれば、制御回路180は、「最高」感度が設定されている場合には、上記の(1)〜(4)の全ての検出方法によって弱磁界を検出していることになる。
この実施の形態では、エラー判定部251が、複数段階の設定値のうち第1段階の設定値(「低」感度を示す感度選択信号)が入力された場合には、判定値として第1判定値(しきい値としての150)を設定し、複数段階の設定値のうち第1段階の設定値より高感度の設定値である第2段階の設定値(「中」感度を示す感度選択信号)が入力された場合には、判定値として第1判定値と第2判定値(しきい値としての68)とを設定し、第2段階の設定値が入力部に入力された場合には、第1判定値を用いた判定と第2判定値を用いた判定とを重複して行うように構成されているので、高感度の設定値が設定されている場合でも、低感度の設定値も用いて磁石の存在を検出することになり、高感度の設定値が設定されたときに広い範囲に亘って精度よく磁石の存在を検出することができる。
なお、この実施の形態では、磁石が遊技機近傍に存在すると判定する際に、合成ベクトル算出部233が出力するベクトル長(弱磁界を示す信号)と強磁界エラー信号とを併用したが、弱磁界を示す信号のみを用いて、磁石が遊技機近傍に存在すると判定するようにしてもよい。
以上のように、この実施の形態では、制御回路180が、磁界検出素子(磁気センサ)130の検出電圧を入力して、所定の時期(遊技機の周囲の磁界が安定していると判断される時期)以降に入力した検出電圧の値を基準値として設定し、磁界検出素子130の検出電圧が基準値に対して所定値(「しきい値」に相当)を越える差があることを検出した場合に、磁石が遊技機近傍に存在すると判定するので、磁石の向きによらず磁界を検出することができ、また、広い範囲に亘って磁石の存在を精度よく検知できる。
また、この実施の形態では、定期的に更新される基準値と、磁界検出素子130の検出電圧とを比較するので、遊技機において磁界を生じさせる部品や、磁気を帯びる可能性がある部品を使用している場合でも、磁石が遊技機近傍に存在することを精度よく検出することができる。例えば、磁界検出素子130の近傍に、金属部品、ソレノイド、スピーカ等の磁気を帯びる可能性がある部品が存在する場合でも、従来の磁石検出方式とは異なり、それらの部品によって誤検出してしまうことなく、精度よく磁石を検出することができる。
また、この実施の形態では、制御回路180は、磁界検出素子130の検出電圧を平均化した上で比較処理等を実行するので、ノイズの影響を排除することができるとともに、突発的に生じた磁界変化(不正行為に用いられる磁石によらない磁界変化)によって誤って磁石を検出した状態になることを防止することができる。さらに、遊技機における電気回路に電流が流れるときには電流にもとづく磁界が生ずるが、電流にもとづく磁界の影響も排除することができる。
以上に説明したように、この実施の形態では、磁石の向きによらず磁界を検出することができ、また、広い範囲に亘って磁石の存在を精度よく検知できる。さらに、遊技機の裏面に磁界を生じさせる可能性がある正規の部材が存在する場合にも、磁石の存在を精度よく検知できる。
なお、この実施の形態では、始動入賞にもとづいて特別図柄表示器8に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると大当りになるタイプの遊技機(第1種パチンコ遊技機ということにする。)を例にしたが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域(特定領域:V入賞領域)への入賞があると大当りになるタイプの遊技機(第2種パチンコ遊技機ということにする。)にも本発明を適用することができる。
第2種パチンコ遊技機では、電動役物の入口および特定領域が不正行為を受けやすいので、磁界検出素子130および磁界検出用回路140は、特に、電動役物の入口および特定領域に遊技球を不正に誘導する行為を発見できるように設けられていることが好ましい。第2種パチンコ遊技機では、不正に遊技球を特定領域に入賞させることによって直接的に大当りを発生させることができ遊技店が被る損害が大きいので、磁界検出素子130および磁界検出用回路140による効果は大きい。しかし、この実施の形態で例示した第1種パチンコ遊技機についても、始動入賞口に遊技球を不正に誘導したり、大入賞口に遊技球を不正に誘導したりする不正行為によって遊技店が損害を被るおそれがあるので、磁界検出素子130および磁界検出用回路140を設けることは効果的である。
また、この実施の形態では、磁界検出用回路140は演出制御基板80に設置され、磁界検出用回路140からのエラー信号は演出制御用マイクロコンピュータ100に入力されていたが、磁界検出用回路140を主基板31に設置し、磁界検出用回路140からのエラー信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力させるように構成してもよい。そのように構成する場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、直接、不正行為に用いられる可能性がある磁石を発見したことを報知用の電気部品(演出装置等)を用いて報知する制御を行ってもよいし、遊技制御用マイクロコンピュータ560が演出制御用マイクロコンピュータ100にコマンドを送信し、演出制御用マイクロコンピュータ100が、報知用の電気部品(演出装置等)を用いて報知する制御を行ってもよい。
また、この実施の形態では、図21に示された制御回路180は、演出制御用マイクロコンピュータ100の外部(エラー信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力させるように構成された場合には遊技制御用マイクロコンピュータ560の外部)に設けられているマイクロコントローラで実現されたが、制御回路180の機能を、演出制御用マイクロコンピュータ100または遊技制御用マイクロコンピュータ560で実現するようにしてもよい。
なお、電子コンパス(磁気コンパス)を、遊技機に対する不正行為に用いられる磁石を検出するために単に流用したのでは、精度よく磁石を検出することは困難である。地磁気の影響を受け、しかも緯度の違いに応じて地磁気の強さは異なるからである。しかし、この実施の形態では、地磁気の影響を考慮して検出のしきい値を設定するので、地磁気の影響を受けずに、精度よく磁石を検出することができる。