JP2013212347A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】不正行為に対応した特定事象の発生を好適に検知することが可能とすること。
【解決手段】本パチンコ機は、遊技を統括制御する主制御装置122と、磁気を検知する磁気センサモジュール81と、を備えている。磁気センサモジュール81は、磁気の検知値と基準値である0値との相対関係を変更することが可能な構成となっている。また、磁気センサモジュール81は、主制御装置122と電気的に接続されている。主制御装置122は、調整条件が成立したか否かを判定する手段を備え、調整条件が成立している場合に磁気センサモジュール81に信号を送信する。そして、磁気センサモジュール81は主制御装置122による信号に基づいて上記の相対関係の変更を実行する。
【選択図】 図7

Description

本発明は遊技機に関するものである。
遊技機の一種としてパチンコ機がある。パチンコ機においては、例えば遊技領域に発射された遊技球が作動口に入球することに基づき、当たり抽選が行われる。当該抽選において当たり状態の発生に当選すると、例えば所定の表示装置において変動表示される図柄が予め定められた特定の組み合わせで停止表示された後、遊技領域に設けられた可変入球装置の開閉が実行される。そして、可変入球装置への入球数に応じた遊技球が払い出されるといった特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。
特開2004−756号公報
ここで、パチンコ機には不正行為に対応した特定事象の発生を検知する検知センサが設けられている。例えば、磁石を用いて遊技球を作動口等の遊技者に有利な場所へ誘導させる不正行為が行われることがあり、当該不正行為を抑制するために、磁気を検知する磁気センサを設け、当該磁気センサが磁気を検知した場合には報知を行う。しかし、パチンコ機内部に設けられた各種装置の通常の動作によっても磁気は発生し得る。また、パチンコ機が設けられた周辺の環境等によっても磁場は変化し得る。したがって、このような状況下では、上記不正行為に基づく磁気を検知するにあたり、磁気センサの誤検知につながりかねない。
なお、以上の課題は、磁気を検知する磁気センサに限定されることなく、例えば電波や振動を検知する検知センサにおいても同様である。更に、パチンコ機に限定されることはなく、検知センサが用いられている他の遊技機においても同様である。
本発明は、以上例示した事情等に鑑みてなされたものであり、不正行為に対応した特定事象の発生を好適に検知することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
特定事象が発生した場合に検知値が変動し、基準値に対する当該検知値の変化量が所定値に達したことに基づいて特定出力を行う検知手段と、
前記特定出力を前記検知手段が行ったことに基づいて、対応処理を実行する対応処理実行手段と、
前記検知手段は、前記基準値と前記検知値との相対関係を変更する変更手段を備え、
調整条件が成立しているか否かを判定する判定手段と、
当該判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に、前記検知手段に対して調整指令を行う指令手段と、
を備え、
前記変更手段は、前記指令手段が前記調整指令を行った場合に前記相対関係の変更を行うものであることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、
特定事象が発生した場合に検知値が変動し、基準値に対する当該検知値の変化量が所定値に達したことに基づいて特定出力を行う検知手段と、
前記特定出力を前記検知手段が行ったことに基づいて、対応処理を実行する対応処理実行手段と、
前記検知手段は、前記基準値を前記検知値に応じて変更する変更手段を備え、
調整条件が成立しているか否かを判定する判定手段と、
当該判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に、前記検知手段に対して前記基準値の調整指令を行う指令手段と、
を備え、
前記変更手段は、前記指令手段が前記調整指令を行った場合に前記基準値を前記検知値に応じて変更するものであることを特徴とする。
本発明によれば、不正行為に対応した特定事象の発生を好適に検知することが可能な遊技機を提供することができる。
パチンコ機を示す正面図である。 パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。 パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。 遊技盤の構成を示す正面図である。 磁気センサユニットと遊技盤との関係を示す説明図である。 裏パックユニットの構成を示す正面図である。 パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。 遊技制御に用いる各種カウンタの概要を示す説明図である。 主制御基板のMPUによるメイン処理を示すフローチャートである。 主制御基板のMPUによるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。 磁気センサモジュールのMPUによる立ち上げ処理を示すフローチャートである。 (a),(b)磁気センサモジュールの検知感度を説明するための説明図である。 磁気センサモジュールのオフセット処理を説明するための説明図である。 磁気センサモジュールのMPUによる第1オフセット処理を示すフローチャートである。 磁気センサモジュールのMPUによる通常処理を示すフローチャートである。 磁気センサモジュールのMPUによる磁気検知処理を示すフローチャートである。 磁気センサモジュールのMPUによる第2オフセット処理を示すフローチャートである。 (a),(b)磁気センサモジュールの検知対象とする領域を説明するための説明図である。 主制御基板のMPUによるセンサ確認処理を示すフローチャートである。 主制御基板のMPUによる検知状態信号読み込み処理を示すフローチャートである。 主制御基板のMPUによるセンサ補正処理を示すフローチャートである。 主制御基板のMPUによる磁気検知用処理を示すフローチャートである。 磁気センサモジュールがオフセット処理を実行するタイミングをパチンコ機の電源と内枠との関係から説明するためのタイミングチャートである。 第2の実施形態における、磁気センサモジュールのMPUによる立ち上げ処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態における、主制御基板のMPUによるセンサ確認処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態における、主制御基板のMPUによる成否信号読み込み処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態における、主制御基板のMPUによるセンサ補正処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態における、磁気センサモジュールがオフセット処理を実行するタイミングをパチンコ機の電源と内枠との関係から説明するためのタイミングチャートである。 第3の実施形態における、主制御基板のMPUによるセンサ確認処理を示すフローチャートである。 (a)第4の実施形態における、磁気センサモジュールの電気的構成を示すブロック図であり、(b)感度係数を説明するための説明図である。 第4の実施形態における、磁気センサモジュールのMPUによる第2オフセット処理を示すフローチャートである。 第4の実施形態における、磁気センサモジュールのMPUによる調整用検知処理を示すフローチャートである。 第5の実施形態における、磁気センサモジュールのMPUによる立ち上げ処理を示すフローチャートである。 第5の実施形態における、磁気センサモジュールのMPUによる第1調整用検知処理を示すフローチャートである。 第5の実施形態における、磁気センサモジュールのMPUによる通常処理を示すフローチャートである。 第5の実施形態における、磁気センサモジュールのMPUによる第2調整用検知処理を示すフローチャートである。
<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機本体12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図2に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
なお、遊技機本体12には、図3に示すように、その回動先端部に施錠装置16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース20を主体に構成されている。樹脂ベース20の上部には、図2に示すように、前扉枠14が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する前扉枠開放スイッチ(前面体開放検知手段)14aが設けられている。前扉枠開放スイッチ14aは、樹脂ベース20の前面から出没可能なピンを有しており、内枠13に対して前扉枠14を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠14の閉鎖が検知され、内枠13に対して前扉枠14を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠14の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、前扉枠開放スイッチ14aは、前扉枠14が開放状態の場合に後述する主制御装置122に対して前扉枠開放信号としてHIレベル信号を出力し、前扉枠14が閉鎖状態の場合にはLOWレベル信号を出力する。ただし、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。
図1に示すように、前扉枠14は内枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状ランプ部23が設けられている。環状ランプ部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状ランプ部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラーランプ部24が設けられ、更にその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、内枠13の下方に搭載された遊技球発射機構40から遊技球が発射される。遊技球発射機構40には駆動部として図示しない発射ソレノイド及び球送り装置が設けられており、遊技球発射ハンドル41が操作されることに基づいて、当該発射ソレノイド及び球送り装置が駆動状態となり0.6sec毎に遊技球が発射される。
内枠13には遊技盤50が着脱可能に取り付けられている。遊技盤50は合板よりなり、遊技盤50の前面が内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤50の構成を図4に基づいて説明する。図4は、遊技盤50の正面図である。
遊技盤50には、内レール部51と外レール部52とが取り付けられており、これらレール部51、52によって囲まれた遊技領域Zが形成されている。これら内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、後述する遊技球発射機構40から発射された遊技球は遊技領域Zの上部に案内されるようになっている。
遊技領域Zには、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口53,可変入賞装置54,作動口55,スルーゲート56及び可変表示ユニット57等がそれぞれ設けられている。一般入賞口53は、左右にそれぞれ2個ずつ合計4個設けられており、それぞれ所定の間隔を隔てた位置に配置されている。一般入賞口53、可変入賞装置54及び作動口55に遊技球が入ると、それが遊技盤50に配設された検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。特に、作動口55への入賞をトリガとして、予め定めた特別遊技状態(以下、大当たりという)に当選か否かの内部抽選が行われる。
その他に、遊技盤50の最下部にはアウト口58が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口58を通って遊技領域Zから排出される。また、遊技盤50には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘59が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット57には、作動口55への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置61が設けられている。また、可変表示ユニット57には、図柄表示装置61を囲むようにしてセンターフレーム62が配設されている。センターフレーム62の上部には、第1特定ランプ部63及び第2特定ランプ部64が設けられている。また、センターフレーム62の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部65,66が設けられている。下側の保留ランプ部65は、図柄表示装置61及び第1特定ランプ部63に対応しており、遊技球が作動口55を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部65の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部66は、第2特定ランプ部64に対応しており、遊技球がスルーゲート56を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部66の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置61は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置61には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、大当たりとして可変入賞装置54が開放される。
第1特定ランプ部63では、作動口55への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部64では、遊技球のスルーゲート56の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口55に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置54は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞しにくい閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り替えられるようになっている。可変入賞装置54の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置54が繰り返し開放されるものが一般的である。
ここで、遊技盤50には、磁気検知手段として磁気センサモジュール81が設けられている。磁気センサモジュール81について、図5を用いて説明する。図5は、遊技盤50と磁気センサモジュール81との位置関係を示す説明図である。なお、図5においては、磁気センサモジュール81が磁気を検知可能な領域を二点鎖線にて示している。
磁気センサモジュール81は、作動口55の周辺における遊技盤50の背面側に設置されている。上記のとおり大当たり当選か否かの内部抽選は作動口55への入賞をトリガとして行われるため、ガラス22の前方において作動口55周辺に磁石を近付け、不正に作動口55へと遊技球を誘導させようとする行為が想定される。これに対して、磁気センサモジュール81が設けられていることにより、上記磁石を用いた不正行為が行われた場合には、それを検知することが可能となっている。
更に、図5において二点鎖線にて示すように、磁気センサモジュール81が磁気を検知可能な領域には、作動口55の他に、一般入賞口53、スルーゲート56及び可変入賞装置54が含まれている。上記のとおり、作動口55だけでなく、一般入賞口53及び可変入賞装置54へ遊技球が入球したことに基づいても、所定数の賞球の払い出しが実行されるため、一般入賞口53又は可変入賞装置54に対しても磁石を用いて不正に遊技球を誘導させようとする行為が想定される。また、上記のとおり、スルーゲート56への入賞をトリガとして、作動口55に設けられた電動役物が開放状態となるか否かの抽選が行われるため、スルーゲート56に対しても磁石を用いて不正に遊技球を誘導させようとする行為が想定される。そこで、磁気センサモジュール81を、その検知領域に一般入賞口53、可変入賞装置54、作動口55及びスルーゲート56を含むように設置することにより、上記磁石を用いた不正行為が行われた場合には、それを検知することが可能となっている。
そして、磁気センサモジュール81は後述する主制御装置と電気的に接続されており、磁気センサモジュール81の検知結果は主制御装置に入力される。主制御装置は磁気センサモジュール81の検知結果に基づいて磁石を用いた不正行為を特定した場合には、磁気を検知した旨の報知を行うための処理を実行する。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。
図3に示すように、内枠13(具体的には、遊技盤50)の背面には、遊技の主たる制御を司る主制御装置122と、音声やランプ表示及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御装置113と、が搭載されている。
なお、主制御装置122の基板ボックス(図示略)に対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
主制御装置122や音声ランプ制御装置113を含めて内枠13の背面側を覆うようにして裏パックユニット15が設置されている。
ここで、裏パックユニット15についてより詳細に図6を参照して説明する。図6は裏パックユニット15の正面図である。
裏パックユニット15は、裏パック131を備えており、当該裏パック131に対して、払出機構部132及び制御装置集合ユニット133が取り付けられている。裏パック131は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部132などが取り付けられるベース部141と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部142とを有する。保護カバー部142は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット57を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部141には、その右上部に外部端子板143が設けられている。外部端子板143には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。
外部端子板143よりも外側には、内枠13が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する内枠開放スイッチ13aが設けられている。外枠11に対して内枠13を閉じた状態では当該内枠開放スイッチ13aの金属接点が閉じて内枠13の閉鎖が検知され、外枠11に対して内枠13を開いた状態では金属接点が開いて内枠13の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、内枠開放スイッチ13aは、内枠13が開放状態の場合に主制御装置122に対して内枠開放信号としてHIレベル信号を出力し、内枠13が閉鎖状態の場合にはLOWレベル信号を出力する。ただし、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。
ベース部141には、保護カバー部142を迂回するようにして払出機構部132が配設されている。すなわち、裏パック131の最上部には上方に開口したタンク151が設けられており、タンク151には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク151の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール152が連結され、タンクレール152の下流側には上下方向に延びるケースレール153が連結されている。ケースレール153の最下流部には払出装置154が設けられている。払出装置154より払い出された遊技球は、当該払出装置154の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック131のベース部141に設けられた遊技球分配部155に供給される。
遊技球分配部155は、払出装置154より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又はベース部141の下端部に設けられ、遊技ホールの島設備等へ遊技球を導く排出通路(図示略)の何れかに振り分けるための機能を有している。
払出機構部132には、裏パック基板156が設置されている。裏パック基板156には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ156aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
ベース部141の下端部には、制御装置集合ユニット133が取り付けられている。制御装置集合ユニット133は、横長形状をなす取付台161を有し、取付台161に払出制御装置162と電源及び発射制御装置163とが搭載されている。これら払出制御装置162と電源及び発射制御装置163とは、払出制御装置162がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置162は、基板ボックス164内に払出制御基板が収容されており、主制御装置122からの信号に応じて所定の遊技球を払い出すように払出装置154を制御するように構成されている。
電源及び発射制御装置163は、基板ボックス165内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、更に遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置163にはRAM消去スイッチ166が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
なお、RAM消去スイッチ166は、電源及び発射制御装置163に設けられている構成に限られず、例えば、主制御装置122に設けられている構成としてもよい。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図7のブロック図に基づいて説明する。図7では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置122には、主制御基板201と電断監視基板(停電監視基板)202とが設けられている。
主制御基板201には、MPU211が搭載されている。MPU211には、当該MPU211により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM(不揮発性記憶手段)212と、そのROM212内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM(揮発性記憶手段)213と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、MPU211、ROM212及びRAM213の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。
RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置163から記憶保持用電力が供給されて情報が記憶保持される構成となっている。
MPU211には入出力ポートが設けられており、MPU211において入出力が適宜変更されるようになっている。なお、入力ポートと出力ポートとをそれぞれ個別に有する構成としてもよい。
MPU211の入力側には、電断監視基板202、払出制御装置162及びその他センサ群などが接続されている。この場合に、電断監視基板202には電源及び発射制御装置163が接続されており、MPU211には電断監視基板202を介して電源及び発射制御装置163から動作電力として直流+12V及びロジック用の直流+5Vが供給される。また、電源及び発射制御装置163には、内枠開放スイッチ13a及び前扉枠開放スイッチ14aが接続されており、内枠開放信号及び前扉枠開放信号が電断監視基板202を介してMPU211に入力される。
センサ群の一部として、作動口55及び可変入賞装置54などといった入球部に設けられた複数の検知センサが接続されており、主制御装置122のMPU211において入球部の入球判定が行われる。また、MPU211では、入球部のうち、作動口55への入球に基づいて大当たり発生判定を実行する。
ここで、MPU211にて大当たり発生判定を行う上での電気的な構成について図8を用いて説明する。
MPU211は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部63の発光色の設定や、図柄表示装置61の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たりや通常大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置61が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1特定ランプ部63に表示される色の切り替えを行う期間及び図柄表示装置61における図柄の変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。
カウンタC1〜C3,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM213の抽選カウンタ用バッファ213aに適宜格納される。RAM213には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア213bが設けられており、これらの各エリアには、作動口55への遊技球の入球履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜676)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が作動口55に入球したタイミングでRAM213の保留球格納エリア213bに格納される。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が作動口55に入球したタイミングでRAM213の保留球格納エリア213bに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が作動口55に入球したタイミングでRAM213の保留球格納エリア213bに格納される。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSによって、第1特定ランプ部63に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。この切替表示時間は、図柄表示装置61の図柄の変動表示時間に相当する。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部63に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置61による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
なお、1遊技回の開始に際しては、主制御基板201のMPU211にて、保留球格納エリア213bに格納されている各カウンタC1〜C3,CSの値を用いて大当たり抽選や第1特定ランプ部63に表示される色の切り替え時間が決定されるが、ここで決定された抽選結果の情報や切り替え時間の情報は遊技回用コマンドとして音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113では、当該遊技回用コマンドに基づいて、図柄表示装置61における変動パターンやリーチ発生の有無といった該当する遊技回の演出内容を決定する。
また、上記各カウンタ以外にも、作動口55に設けられている電動役物を開放状態とするか否かの抽選に用いられる第2特定ランプ乱数カウンタが設けられており、スルーゲート56への入賞が発生したタイミングでその時点での第2特定ランプ乱数カウンタの値が取得され、その取得した値に基づいて電動役物を開放状態とするか否かの抽選が実行される。
図7の説明に戻り、MPU211の出力側には、電断監視基板202、払出制御装置162及び音声ランプ制御装置113が接続されている。払出制御装置162には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。主制御基板201から音声ランプ制御装置113には遊技回用の各種コマンドが出力される。
電断監視基板202は、主制御基板201と電源及び発射制御装置163とを中継し、また電源及び発射制御装置163から出力される最大電圧である直流+24Vの電圧を監視する。そして、この電圧が+22V以上の場合には、主制御基板201に対し非電断信号(第1情報)としてのHIレベル信号を出力(送信)し、この電圧が+22V未満になると電源遮断の発生と判断し、主制御基板201に対して停電信号(第2情報)としてのLOWレベル信号を出力(送信)する。主制御基板201では、このLOWレベル信号の入力を所定の態様で確認することにより、その確認結果に基づいて後述する電断時処理(停電時処理)を実行する。
払出制御装置162は、主制御基板201から入力される賞球コマンド等に基づいて、所定の遊技球を払い出すように払出装置154を制御するものである。
電源及び発射制御装置163は、例えば、裏パック基板156を介して遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御装置122や払出制御装置162等各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて供給する。その概要としては、電源及び発射制御装置163は、裏パック基板156を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種センサやモータ等を駆動するための直流+12V電圧、ロジック用の直流+5V電圧などを生成し、これら直流+12V電圧、直流+5V電圧を主制御装置122や払出制御装置162等に対して供給する。
また、電源及び発射制御装置163の出力側には、遊技球発射機構40が接続されている。そして、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構40の発射制御を実行する。遊技球発射機構40は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御装置163には、電断時用電源部が搭載されており、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における電断発生時といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、電断時用電源部から主制御基板201のRAM213に対して記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、RAM213に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
音声ランプ制御装置113は、主制御基板201から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23、24、25、スピーカ部26、及び表示制御装置214を制御する。表示制御装置214は、音声ランプ制御装置113から入力される表示コマンドに基づいて図柄表示装置61を制御する。
ここで、主制御基板201の入力側及び出力側には磁気センサモジュール81が電気的に接続されている。磁気センサモジュール81は、磁気センサ221と、当該磁気センサ221での磁気の検知情報を処理する演算装置である1チップマイコンとしてのMPU222と、を備えている。磁気センサ221とMPU222とは電気的に接続されている。磁気センサ221は3軸のMI素子(磁気インピーダンス素子)からなり、リードスイッチタイプやホール素子を用いた磁気センサよりも高感度で広範囲に磁気を検知することが可能であり、また、いずれの方向から磁気が印加されたかを特定することが可能となっている。
MPU222は、MPU222により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM223と、ワークメモリ等として使用されるRAM224とを備えている。磁気センサ221に磁気が印加されると磁気センサ221のインピーダンスが変化し、MPU222は、当該インピーダンスの変化量を解析し、磁気の検知値として算出する。そして、当該検知値に基づいて磁気検知状態とするか否かの所定の処理を実行後、磁気検知状態とする場合には、主制御装置122のMPU211に対して磁気検知状態信号としてのHIレベル信号を出力し、磁気検知状態としない場合には、LOWレベル信号を出力する。ただし、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。なお、MPU222の上記処理については、後に詳細に説明する。
また、MPU222は、主制御基板201からの信号に基づいて、磁気の検知値を校正するオフセット処理を実行する機能を有している。かかる処理の詳細も後述するが、主制御基板201のMPU211は、磁気センサモジュール81がオフセット処理を実行すべき状態の場合には、オフセット信号としての出力態様をLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えて出力し、オフセット処理を実行すべき状態でない場合にはHIレベル信号からLOWレベル信号に切り替えて出力する。ただし、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、HIレベル信号とLOWレベル信号との関係が逆であってもよい。
<主制御基板201のMPU211における処理構成>
次に、主制御基板201のMPU211により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU211の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に起動されるタイマ割込み処理とがある。
<メイン処理>
まず、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
まずステップS101では、電源投入ウェイト処理を実行する。当該電源投入ウェイト処理では、例えばメイン処理が起動されてから1secが経過するまで次の処理に進行することなく待機する。続くステップS102では、RAM213のアクセスを許可するとともに、ステップS103にてMPU211の内部機能レジスタの設定を行う。
その後、ステップS104では、電源及び発射制御装置163に設けたRAM消去スイッチ166がオンされているか否かを判定し、続くステップS105ではRAM213に停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。また、ステップS106ではRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ166を押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチ166が押されていれば、ステップS108の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS108の処理に移行する。ステップS108では、RAM213の初期化として当該RAM213をクリアする。その後、ステップS109に進む。
一方、RAM消去スイッチが押されていない場合には、停電フラグに「1」がセットされていること、及びチェックサムが正常であることを条件に、ステップS108の処理を実行することなくステップS109に進む。
ステップS109では、電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といったRAM213の所定のエリアを初期値に設定するとともに、各制御装置に電源投入時処理を実行させるためのコマンドを送信する。具体的には、音声ランプ制御装置113に対しては、現状の遊技状態を認識させるために現状の遊技状態に対応したコマンドを送信し、払出制御装置162に対しては、払出装置154の初期駆動テストを実行させるためのコマンドを送信する。なお、電源及び発射制御装置163における電源投入時処理は、電源及び発射制御装置163が主制御装置122よりも商用電源の上流側に配置されている関係上、主制御装置122からのコマンドを契機とせずに、電源スイッチ156aの切替操作又は島設備からの電源供給がOFFからONへとなることに基づいて実行される。電源及び発射制御装置163の電源投入時処理では、遊技球発射機構40における発射ソレノイドや球送り装置の初期駆動テストを実行する。またステップS109では、タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行う。
続くステップS110では、磁気センサモジュール81が正常に起動したか否かを確認するセンサ確認処理を実行する。かかる処理については、後に詳細に説明する。
その後、ステップS111〜ステップS114の残余処理に進む。つまり、MPU211はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS111〜ステップS114の残余処理を繰り返し実行する。この点、当該ステップS111〜ステップS114の残余処理は、非定期的に実行される非定期処理であると言える。
残余処理では、まずステップS111にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS112では、乱数初期値カウンタCINIの更新を行う乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS113にて変動種別カウンタCSの更新を行う変動用カウンタ更新処理を実行する。これらの更新処理では、RAM213の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS114にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り替える割込み許可の設定を行う。ステップS114の処理を実行したら、ステップS111に戻り、ステップS111〜ステップS114の処理を繰り返す。
ここで、上記のように残余処理では、割込み禁止の処理及び割込み許可の処理に挟まれるようにして乱数初期値更新処理及び変動用カウンタ更新処理が設定されているのみであるため、後述するタイマ割込み処理が開始されるタイミングは常にステップS111の直前となる。そうすると、タイマ割込み処理が終了した後は常にステップS111から開始すればよいこととなり、タイマ割込み処理後の戻りアドレスが一義的なものとなる。よって、タイマ割込み処理の開始に際して現状の戻りアドレスを記憶する必要はなく、タイマ割込み処理の開始に際しての処理負荷が軽減される。
また、MPU211において所定のデータの演算を行っている途中でタイマ割込み処理が発生することもないため、タイマ割込み処理の開始に際してMPU211のレジスタにその時点で格納されているデータのRAM213への退避処理を実行する必要がなく、同様にタイマ割込み処理の終了に際してMPU211のレジスタへのデータの復帰処理を実行する必要がない。よって、タイマ割込み処理の開始に際しての処理負荷が軽減されるとともに、タイマ割込み処理の終了に際しての処理負荷も軽減される。
また、乱数初期値カウンタCINIの更新途中や変動種別カウンタCSの更新途中でタイマ割込み処理が開始されることがないため、これらの更新途中であるにも関わらず、タイマ割込み処理にてこれらカウンタの数値情報が取得されたり、さらなる更新処理が実行されてしまうことを防止できる。
<タイマ割込み処理>
次に、図10のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。
ここで、MPU211にてタイマ割込み処理を定期的に実行するためのハード構成について説明する。主制御基板201には所定周期でパルス信号を出力するパルス信号出力手段としてクロック回路が設けられており、更に当該クロック回路とMPU211との間の信号経路の途中位置に存在するように分周回路が設けられている。
分周回路は、クロック回路からのパルス信号の周期を変更する周波数変更手段として機能し、タイマ割込み処理の起動タイミングをMPU211にて特定するためのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、分周回路からMPU211に対して特定周期である4msec周期の間隔でパルス信号が供給されるようになっている。MPU211では、かかるパルス信号の立ち上がり又は立下りといった特定の信号形態の発生を確認する処理を実行し、特定の信号形態の発生を確認したことを少なくとも一の条件としてタイマ割込み処理を起動して実行する。
この場合、タイマ割込み処理の起動が禁止されている状況において上記特定の信号形態の発生を確認した場合には、その割込みが禁止されている状態から割込みが許可された状態となった場合にタイマ割込み処理が起動される。つまり、MPU211における処理の実行状況によっては前回のタイマ割込み処理が開始されてから4.1msec経過後に次のタイマ割込み処理が開始される場合が生じ、このような事象が発生した場合には次のタイマ割込み処理は直前のタイマ割込み処理が開始されてから3.9msec経過後に開始されることとなる。
ただし、上記分周回路からのパルス信号の出力はMPU211における処理の経過内容に関係なく4msecといった特定周期で行われるため、基本的にはタイマ割込み処理は特定周期で起動される。また、MPU211の処理構成は、所定のタイミングにおけるタイマ割込み処理が前回のタイマ割込み処理が起動されてから特定周期を超える期間が経過した後に起動されたとしても、当該所定のタイミングの次のタイミングにおけるタイマ割込み処理にてその特定周期を超えた分が吸収されて、更に次のタイミングにおけるタイマ割込み処理ではパルス信号の入力を確認したタイミングで起動されるように設定されている。
さて、タイマ割込み処理では、まずステップS201にて、停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、停電監視回路203から電源遮断の発生に対応した停電信号を受信しているか否かを監視し、停電の発生を特定した場合には停電時処理を実行する。
続くステップS202では、磁気センサモジュール81に磁気の検知値の校正を行わせるセンサ補正処理を実行する。かかる処理については、後に詳細に説明する。
続くステップS203では、抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。
その後、ステップS204ではステップS112と同様に乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS205にてステップS113と同様に変動用カウンタ更新処理を実行する。続くステップS206では、遊技停止判定処理を実行する。遊技停止判定処理では、遊技の進行を停止すべき状況であるか否かを監視し、遊技の進行を停止すべき状況であれば遊技を進行させるための処理の実行を停止する。
その後、ステップS207では遊技の進行を停止している状態であるか否かを判定し、遊技の進行を停止していない状態であることを条件に、ステップS208以降の処理を実行する。
ステップS208では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部に行うための処理を実行する。続くステップS209では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、停電信号及び入賞信号以外の、内枠開放スイッチ13aからの内枠開放信号、前扉枠開放スイッチ14aからの前扉枠開放信号、磁気センサモジュール81からの検知状態信号といった、各種信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。なお、磁気センサモジュール81からの検知状態信号の読み込み処理については、後に詳細に説明する。
続くステップS210では、各入賞検知センサから受信している信号を読み込むとともに、その読み込んだ情報に対応した処理を行うための入賞検知処理を実行する。また、ステップS211では、RAM213に設けられている所定のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。
続くステップS212では、不正用の監視対象として設定されている所定の事象が発生しているか否かを監視する不正検知処理を実行する。かかる処理において、不正目的で磁気が印加された場合の磁気検知用処理が実行される。磁気検知用処理の内容については、後に詳細に説明する。
続くステップS213では、遊技球の発射制御を実行する発射制御処理を実行する。かかる処理では、遊技球を発射させることが可能である場合に、遊技球発射機構40の発射ソレノイドや球送り装置を駆動制御し、遊技球発射ハンドル41の操作量に基づく発射強度で遊技球を発射させる。
ステップS214では、入力状態監視処理として、ステップS209の読み込み処理にて読み込んだ情報に基づいて、各入賞検知センサの断線確認や、遊技機本体12や前扉枠14の開放確認を行う。
続くステップS215では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。当該特図特電制御処理では、保留球格納エリア213bに記憶されている保留情報の数が上限数未満である状況で作動口55への入賞が発生した場合に、その時点における大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留情報として、保留球格納エリア213bに時系列的に格納してゆく処理を実行する。また、特図特電制御処理では、遊技回中及び開閉実行モード中ではなく且つ保留情報が記憶されていることを条件に、その保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定する当否判定処理、及び大当たり当選に対応している場合にはその保留情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを判定する振分判定処理を実行する。また、特図特電制御処理では、当否判定処理及び振分判定処理だけでなく、その保留情報が大当たり当選に対応していない場合には、その保留情報がリーチ発生に対応しているか否かを判定するリーチ判定処理を実行するとともに、その時点における変動種別カウンタCSの数値情報を利用して遊技回の継続時間を選択する継続時間の選択処理を実行する。そして、それら各処理の結果に応じた継続時間の情報を含む変動用コマンドと、遊技結果の情報を含む種別コマンドとを、音声ランプ制御装置113に送信するとともに、第1特定ランプ部63における発光色の切り替えを開始させる。これにより、1遊技回が開始された状態となり、第1特定ランプ部63及び図柄表示装置61にて遊技回用の演出が開始される。
なお、大当たり当選である場合、及び大当たり非当選であってリーチ判定処理の処理結果がリーチ発生に対応した結果である場合には、変動種別カウンタCSの数値情報を利用して、遊技回の継続時間としてリーチ表示の発生に対応した継続時間が決定されることにより、音声ランプ制御装置113側では変動用コマンドからリーチ表示の種類を特定することが可能となる。
また、特図特電制御処理では、1遊技回の実行中にはその遊技回の終了タイミングであるか否かを判定し、終了タイミングである場合には遊技結果に対応した表示を行った状態で、その遊技回を終了させる処理を実行する。この場合、遊技回を終了させるべきことを示す最終停止コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。また、特図特電制御処理では、遊技回の結果が開閉実行モードへの移行に対応した結果である場合には、当該開閉実行モードを開始させるための処理を実行する。この開始に際しては、開閉実行モードが開始されることを示すオープニングコマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。また、特図特電制御処理では、各ラウンド遊技を開始させるための処理及び各ラウンド遊技を終了させるための処理を実行する。これら各処理に際して、ラウンド遊技が開始されることを示す開放コマンドを音声ランプ制御装置113に送信するとともに、ラウンド遊技が終了されることを示す閉鎖コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。また、開閉実行モードにおいて、可変入賞装置54を所定期間の間隔で開閉させるために、可変入賞装置54の駆動部を駆動制御する。また、特図特電制御処理では、開閉実行モードを終了させる場合にそのことを示すエンディングコマンドを音声ランプ制御装置113に送信するとともに、開閉実行モード後の当否抽選モードやサポートモードを設定するための処理を実行する。
タイマ割込み処理においてステップS215の特図特電制御処理を実行した後は、ステップS216にて普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート56への入賞が発生している場合に電動役物開放カウンタC4の数値情報を取得するための処理を実行するとともに、当該数値情報が記憶されている場合にその数値情報について開放判定を行い、更にその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、作動口55の電動役物を開閉させるべく、当該電動役物の駆動部を駆動制御する。
続くステップS217では、直前のステップS215及びステップS216の処理結果に基づいて、第1特定ランプ部63の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行うとともに、第2特定ランプ部64の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行う。
続くステップS218では、遊技回及び開閉実行モードの両方が実行されていない状況において図柄表示装置61の表示内容を待機表示用のものとするためのデモ表示用処理を実行するとともに、ステップS219では、払出制御装置162から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。また、ステップS220では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。
続くステップS221では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するように外部情報設定処理を実行する。また、ステップS222では、試射試験情報を編集するための処理を実行する。
ステップS207にて肯定判定をした場合、又はステップS208〜ステップS222の処理を実行した後は、ステップS223に進む。ステップS223では、割込み終了宣言の設定を実行する。MPU211では、一度タイマ割込み処理が起動された場合、次のタイマ割込み処理が起動されるための条件の1つとして割込み終了宣言の設定を行うことが定められており、ステップS223では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み終了宣言の設定を行う。また、ステップS224では、割込み許可の設定を行う。MPU211では、タイマ割込み処理が一旦起動されると、割込み禁止の状態に設定されるため、ステップS224では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み許可の設定を行う。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
<磁気検知に関する処理>
次に、磁気検知に関する各処理について説明する。まず、磁気センサモジュール81のMPU222において実行される処理について説明する。MPU222の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、当該立ち上げ処理の終了後に開始され周期的(例えば20msec毎)に起動される通常処理とがある。
先ず、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。
パチンコ機10の電源が投入されると、ステップS301にて各入力端子の読み込み処理を実行する。磁気センサモジュール81の入力端子としては、主制御基板201から出力されるオフセット信号を受信するオフセット端子のほか、検知距離設定端子が設けられている。ステップS301では、主制御基板201から当該検知距離設定端子に入力される信号を基に、磁気センサ221にて磁気を検知する領域をどれくらいの広さに設定するかを決定する。
ここで、ステップS301にて設定する検知領域の広さと検知感度との関係について図12を参照して説明する。図12(a)は、検知領域を説明するための標準磁石HG(表面磁束430mT)と磁気センサモジュール81との位置関係を説明するための説明図であり、図12(b)は標準磁石HGが図12(a)における位置に配置される場合の磁気センサモジュール81での検知値を示す図である。
既に説明したとおり、磁気センサモジュール81は、磁気センサ221におけるインピーダンスの変化量を検知値(結束密度)として算出する構成としている。図12(b)に示すように、磁気センサモジュール81にて検知される検知値は、磁気センサモジュール81と標準磁石HGとの距離の二乗に反比例する。また、磁気センサモジュール81は、検知領域の広さを示す感度レベルが複数レベル(本実施形態では、4つのレベル)設定されており、上記ステップS301では、主制御基板201からの信号を基に当該複数レベルの感度レベル1〜4のうち1の感度レベルに設定する。これら複数の感度レベル1〜4は、それぞれ閾値が設定されており、MPU222は当該各閾値よりも低い場合には磁気検知状態としない。そして、各閾値は、感度レベル1が最も低く、感度レベル4が最も高くなるようになっており、感度レベル1、感度レベル2、感度レベル3、感度レベル4の順に閾値が高くなるように設定されている。換言すれば、感度レベル1は最も検知感度が高く、感度レベル4は最も検知感度が低いといえる。
具体的には、標準磁石HGが図12(a)におけるAの位置に配置される場合は、標準磁石HGの磁気によって磁気センサ221のインピーダンスの変化は生じているものの、その変化量は感度レベル1の閾値よりも小さく、いずれの感度レベルに設定されている場合であっても磁気検知状態としない。標準磁石HGがBの位置に配置される場合には、インピーダンスの変化量は感度レベル1の閾値よりは大きく、感度レベル2の閾値よりは小さい。したがって、感度レベル1に設定されている場合には磁気検知状態とし、感度レベル2〜4に設定されている場合には磁気の磁気検知状態としない。標準磁石HGがCの位置に配置される場合には、インピーダンスの変化量は感度レベル2の閾値よりは大きく、感度レベル3の閾値よりは小さい。したがって、感度レベル1〜2に設定されている場合には磁気検知状態とし、感度レベル3〜4に設定されている場合には磁気検知状態とする。標準磁石HGがDの位置に配置される場合には、インピーダンスの変化量は感度レベル3の閾値よりは大きく、感度レベル4の閾値よりは小さい。したがって、感度レベル1〜3に設定されている場合には磁気検知状態とし、感度レベル4に設定されている場合には磁気検知状態とする。そして、標準磁石HGがEの位置に配置される場合には、インピーダンスの変化量はいずれの感度レベル1〜4の閾値よりも大きくなり、いずれの感度レベル1〜4に設定されている場合であっても磁気検知状態とする。
各感度レベル1〜4の閾値について具体的には、表面磁束430mTの標準磁石が磁気センサモジュール81の磁気センサ221から20cm離間させた位置に配置される場合のインピーダンスの変化量が感度レベル1の閾値に相当し、順に感度レベル2では17cm、感度レベル3では15cm、感度レベル4では12cmとなっている。ただし、これら各閾値や感度レベルの数は任意である。
なお、上記各感度レベル1〜4における閾値との関係から、磁気センサモジュール81における磁気の検知とは、インピーダンスの変化量が設定された感度レベルの閾値以上であることを示す。
感度レベルの設定についてより詳細には、内枠13の背面には感度レベル設定スイッチ(図示略)が設けられており、遊技ホールの管理者等は当該感度レベル設定スイッチを操作することによって感度レベルを設定することが可能となっている。感度レベル設定スイッチは、1〜4のメモリにあわせて調節することが可能に構成されており、例えば、感度レベルを1から4に変更する場合には、合わせるメモリを1から4にすることで感度レベルを変更することが可能となっている。なお、感度レベルの変更に関する構成についてはこれに限定されず、例えば、操作の回数によって感度レベルを設定できる構成や、磁気センサモジュール81にスイッチが設けられている構成であってもよい。磁気センサモジュール81にスイッチを設ける構成とすると、主制御装置122が磁気センサモジュール81に感度レベルの設定値を指示する信号(検知感度設定信号)を出力する構成を省略することができる。
磁気センサモジュール81の立ち上げ処理(図11)の説明に戻り、ステップS301では、主制御基板201からの信号を基に、磁気センサ221の検知領域の広さとして上記の各感度レベル1〜4のうち感度レベル1に設定する。つまり、本パチンコ機10では、磁気センサ221の検知領域の広さを最も広い領域となるように設定している。これにより、磁石による不正行為を広範囲で特定することが可能となる。詳細な説明は省略するが、いずれの感度レベルに設定するかは遊技ホールのホール管理者が変更可能であり、主制御基板201から磁気センサモジュール81の検知距離設定端子に出力される信号の設定を変更することで、上記感度レベルを変更することができる。例えば、高架下等の遊技ホールにおいては、電車の通過により磁場が大きく変化することが想定され、このような場合は、感度レベルを下げることで磁気センサモジュール81の誤検知を抑制できるようになっている。
ステップS301の処理を実行した後は、ステップS302にて第1オフセット処理を実行する。ここで、第1オフセット処理について図13及び図14を参照して説明する。図13は、磁気センサモジュール81のオフセット処理を説明するための説明図であり、図14は第1オフセット処理を示すフローチャートである。
先ず簡単に、オフセット処理の内容について説明する。
オフセット処理は、磁気センサ221が現状検知している磁気の検知値を0値として校正する処理である。具体的には、図13に示すように、感度レベル1〜4のいずれかの感度レベル(x)に設定されている場合において、閾値以上の磁気をTaのタイミングからTbのタイミングまでの所定期間(本実施形態では、300msec)計測し、その積算値を所定期間で割った数値を検知値の0値に更新する処理である。
ちなみにオフセット処理では、MPU222におけるROM223に記憶された所定の基準値以上の磁気が検出された場合と、オフセット処理中に検知値の最高値Hと最低値Lとの幅が所定値以上となった場合と、はエラー処理として検知値にエラー値(マイナス値)を入力する。具体的には、強力な磁気(例えば、標準磁石HGが10cm以内に配置された場合に相当する磁気)が検知された場合と、オフセット処理中に内枠13の開閉が行われた場合等により検知値にぶれが生じた場合(例えば、磁気センサ221から10cm離間させて配置された標準磁石HGが、20cm離間する方向に移動する際に相当する検知値のぶれが生じた場合)、はエラー処理を実行する。
また、図13に示すように、オフセット処理前とオフセット処理後における、感度レベル(x)の閾値Tは変化しない。したがって、オフセット処理を実行することにより感度レベル(x)を再設定する等の処理が必要なく、簡素な処理とすることが可能となっている。
さて、磁気センサモジュール81の立ち上げ処理(図11)におけるステップS302の第1オフセット処理について説明すると、先ず、ステップS401では、磁気センサモジュール81の磁気センサ221における現状のインピーダンスから磁気の検知値を算出し、当該検知値を積算する処理を実行する。具体的には、RAM224に設けられた検知値積算エリアに現状の検知値を積算する処理を実行する。当該積算処理に際して、積算する検知値がROM212に記憶された上記所定の基準値以上の値の場合には、積算を行わずエラー処理として検知値にエラー値を入力する。この場合、後述する当該オフセット処理が正常に実行できたか否かを判定する処理(ステップS303)にてエラー判定となる。
続くステップS402では、第1オフセット処理の終了タイミングか否かを判定する。本パチンコ機10において、第1オフセット処理の終了タイミングは、第1オフセット処理を開始してから300msecが経過したタイミングとなっている。なお、当該タイミングの判定にはソフト乱数が用いられる。ただし、クロック回路等を用いて判定してもよい。
ステップS402にて終了タイミングでない場合には、ステップS401に戻り、検知値の積算処理を繰り返す。また、ステップS401の積算処理に際しては、積算する検知値の数値情報として最高値及び最低値がそれぞれ記憶される。そして、記憶されている最高値を超える数値情報又は最低値を下回る数値情報を積算する場合には、当該最高値又は最低値を更新する処理が実行される。
ステップS402にて肯定判定することで、ステップS403に進む。ステップS403では、上記RAM224の検知値積算エリアの数値情報を平均化する処理を実行する。また、当該平均化処理に際して、上記記憶された最高値と最低値の幅が算出され、当該幅が上記所定値以上となった場合には、平均化処理を行わずエラー処理として、検知値にエラー値が入力される。この場合、後述する当該オフセット処理が正常に実行できたか否かを判定する処理(ステップS303)にてエラー判定となる。
続くステップS404では、ステップS403の処理結果をRAM224に設けられた0値情報記憶エリアに上書きする処理を実行し、本第1オフセット処理を終了する。但し、ステップS404では、上記ステップS401又はステップS403の処理にて検知値にエラー値が入力されている場合には上記上書き処理を実行せずに、本第1オフセット処理を終了する。
立ち上げ処理(図11)の説明に戻り、ステップS302にてオフセット処理を実行した後は、続くステップS303にて、ステップS302の第1オフセット処理が正常に実行できたか否かを判定する。この場合、検知値を確認し、ステップS401又はステップS403にてエラー値が入力されているか否かを判定することで、当該オフセット処理の成否結果を判定できる。
ステップS303にて肯定判定した場合には、本立ち上げ処理を終了する。一方、上記ステップS303で、オフセット処理が正常に実行できていないと判定した場合、すなわち、検知値にエラー値が入力されている場合には、ステップS304に進む。ステップS304では、RAM224の初期化処理としてRAM224の各記憶領域をクリアし、続くステップS303にて、検知状態信号をHIレベル信号に設定する。当該検知状態信号は、初期設定としてLOWレベル信号に設定されている。そして、ステップS302に戻り再度第1オフセット処理を実行する。つまり、第1オフセット処理に成功するまでは、本立ち上げ処理は終了せず、後述する通常処理が開始されない。また、立ち上げ処理が終了する際には、検知状態信号は必ずLOWレベル信号となっている。
詳細は後述するが、主制御装置122は検知状態信号を確認することで、第1オフセット処理に成功したか否かを特定することができる。当該第1オフセット処理がエラーであった場合には、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214を通じて所定の報知が行われる。これにより、ホール管理者は磁気センサモジュール81が正常に起動していないことを認識することが可能となり、エラーの原因となった磁石を取り除く等、所定の処置を行うことができる。
また、ホール管理者によりエラーの原因となった磁石を取り除く等の所定の処置が行われずに再度オフセット処理が正常に実行できなかった場合には、ステップS302→ステップS303→ステップS304→ステップS305→ステップS302をループすることになる。一方、エラーの原因が検知値のぶれ幅が所定値を超えたことによるものである場合には、再度のオフセット処理では立ち上げ処理を終了する側に進む可能性が高く、例えば、エラーとなった場合に電源を再度投入する必要がある構成と比較して、効率よく立ち上げ処理を実行することが可能となっている。
次に、立ち上げ処理の終了後に開始され、周期的に起動される通常処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。
通常処理では、先ずステップS501にて磁気検知処理を実行する。ここで、ステップS501の磁気検知処理について、図16のフローチャートを参照して説明する。
磁気検知処理では、まずステップS601にて、磁気を検知しているか否かを判定する。具体的には、インピーダンスの変化量が設定された感度レベルの閾値以上であるか否かを判定する。磁気を検知している場合には、続くステップS602にて、方位フィルタ処理を実行する。かかる処理は、磁気センサ221が検知した磁気の方位を特定し、検知対象とする方位のみを抽出する処理である。より具体的には、3軸の磁気センサ221の検知値を解析し、パチンコ機10の前方から印加された磁気のみを抽出する処理を実行する。続くステップS603では、ステップS602の処理結果、検知した磁気は前方から印加されたものか否かを判定する。前方から印加された磁気である場合には、ステップS604にて、RAM224に設けられた検知カウンタKの数値情報を、1加算するように更新する処理を実行する。検知カウンタKは、前方から印加された磁気を検知した回数を、MPU222が特定するためのカウンタである。続くステップS605では、ステップS604の処理結果、検知カウンタKの数値情報が3であるか否かを判定する。検知カウンタKの数値情報が3である場合、ステップS606にて磁気検知状態として検知状態信号をHIレベル信号に設定し、本磁気検知処理を終了する。これにより主制御装置122のMPU211は、磁気センサモジュール81が磁気検知状態であることを特定することが可能となる。ステップS605にて、検知カウンタKの数値情報が3でない場合には、そのまま本磁気検知処理を終了する。
ステップS601又はステップS603にて否定判定した場合、ステップS607にて検知カウンタKの数値情報を0に更新する処理を実行する。続くステップS608では磁気検知状態を解除する処理として、検知状態信号をLOWレベル信号に設定し、本磁気検知処理を終了する。これにより主制御装置122のMPU211は、磁気センサモジュール81が磁気検知状態ではないことを特定することが可能となる。
つまり磁気検知処理では、3回の処理回にて連続して磁気を検知した場合に磁気検知状態に設定する構成となっている。磁気検知処理が含まれる通常処理は、上記のとおり周期的(20msec毎)に起動されるところ、本構成は、60msec以上連続して磁気が印加された場合、又は磁気検知処理の処理タイミングと3回連続で同期して磁気が印加された場合に磁気検知状態に設定することになる。これに対して、例えば、遊技球発射機構40における発射ソレノイド等が駆動して発せられる磁気は、1駆動回において上記60msecよりも短い。また、当該発射ソレノイド等は、上述の如く0.6sec周期で駆動して遊技球を発射させる構成であるところ、磁気検知処理の処理タイミングと3回連続で同期することはない。一方、遊技球を作動口55等に誘導させ得る不正の磁気は、遊技球の重量や流下スピードを考慮すると60msec以上連続して印加されるものであることが想定される。したがって、各駆動部から発せられた磁気を検知した場合であっても、すぐには磁気検知状態とせず、好適に不正に印加される磁気と区別することが可能となっている。
通常処理(図14)の説明に戻り、ステップS501にて磁気検知処理を実行した後は、ステップS502にて、オフセット信号の読み込み処理を実行する。具体的には、主制御基板201からのオフセット信号の出力態様がLOWレベル信号である場合にはその情報(例えば「0」)をRAM224に記憶し、HIレベル信号である場合にはその情報(例えば「1」)をRAM224に記憶する処理を実行する。続くステップS503では、ステップS502の処理結果、オフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えが行われたか否かを判定する。具体的には、前回の処理回で記憶された上記オフセット信号の出力態様を示す情報と今回の処理回で記憶された上記オフセット信号の出力態様を示す情報とを比較し、オフセット信号の出力態様がLOWレベル信号からHIレベル信号に変化したか否かを判定する。
ステップS503にて肯定判定した場合、ステップS504にてRAM224に設けられたオフセット中フラグに「1」をセットする処理を実行する。当該オフセット中フラグは、MPU222が後述する第2オフセット処理(ステップS507)中であることを特定するためのフラグである。続くステップS505では、RAM224に設けられたセンサ用オフセットカウンタSTを「0」にクリアする処理を実行する。当該センサ用オフセットカウンタSTは、第2オフセット処理の実行期間を計測するためのカウンタである。
ステップS503にて否定判定した後、又はステップS505の処理を実行した後は、ステップS506に進む。ステップS506では、上記オフセット中フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。オフセット中フラグに「1」がセットされていない場合には、そのまま本通常処理を終了する。オフセット中フラグに「1」がセットされている場合には、ステップS507にて、第2オフセット処理を実行した後に、本通常処理を終了する。
ここで、ステップS507の第2オフセット処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS701では、第1オフセット処理(図14)におけるステップS401と同様に、現状の磁気の検知値を積算する処理を実行する。続くステップS702では、上記センサ用オフセットカウンタSTに「1」を加算する処理を実行する。
ステップS702の処理を行った後は、ステップS703にて、ステップS702の処理の結果、センサ用オフセットカウンタSTの数値情報が「15」であるか否かを判定する。センサ用オフセットカウンタSTの数値情報が「15」でない場合には、そのまま本第2オフセット処理を終了する。センサ用オフセットカウンタSTの数値情報が「15」である場合には、ステップS704に進む。
ステップS704では、第1オフセット処理(図14)におけるステップS403の処理と同様に、オフセット処理中の検知値の平均化処理を実行する。続くステップS705では、オフセット中フラグを「0」にクリアする処理を実行する。そして、ステップS706にて、立ち上げ処理(図11)におけるステップS303の処理と同様に、今回のオフセット処理(第2オフセット処理)に成功したか否かを判定する。第2オフセット処理が成功であった場合には、ステップS707にて、第1オフセット処理におけるステップS404の処理と同様に、0値の上書き処理を実行する。その後、検知状態信号をLOWレベル信号に設定し、本第2オフセット処理を終了する。ステップS706にて否定判定した場合、すなわち第2オフセット処理がエラーであった場合には、ステップS709にて検知状態信号をHIレベル信号に設定し、本第2オフセット処理を終了する。
すなわち、磁気センサモジュール81は、立ち上げ処理において第1オフセット処理を実行し、通常処理においてオフセット信号の切り替えを条件に第2オフセット処理を実行する構成としている。
立ち上げ処理にて実行する第1オフセット処理は、磁気センサモジュール81の電源投入時、すなわちパチンコ機10の電源投入時に実行する構成としているところ、パチンコ機10の電源は、パチンコ機10が通常駆動する状態で投入されるとは限られない。上記のとおり、パチンコ機10は島設備に並列させて遊技ホールに設置され、島設備の電源を投入することで当該島設備に設置された複数台のパチンコ機10の電源を同時に投入することが可能となっている。この場合、例えば、パチンコ機10の内枠13を閉鎖状態として電源が投入される場合もあれば、パチンコ機10の内部点検等のため、内枠13を開放状態として電源が投入される場合もある。また、島設備の電源を投入することでパチンコ機10の電源を投入する場合に限られず、個々のパチンコ機10を手動で電源投入する場合であっても、上述の如く電源スイッチ156aが内枠13を開放させた状態で操作可能な位置に設けられていることから、当該手動で電源投入する場合は必然的に内枠13が開放状態となっている。
ここで磁気センサモジュール81における検知領域とパチンコ機10が島設備に取り付けられる態様との関係について、図18を用いて説明する。図18(a)は、磁気センサモジュール81の検知領域を説明するためのパチンコ機10を上方から見た図であり、図18(b)は、パチンコ機10が島設備に取り付けられる様子について説明するためのホール島設備を上方から見た図である。
図18(a)に示すように、磁気センサモジュール81は、磁気センサ221が前方を向くように遊技盤50の背面と当接させて設けられている。
不正目的で磁気を印加する行為としては、パチンコ機10の前方から印加する行為が想定されるところ、磁気センサモジュール81が検知対象とする領域はこれらパチンコ機10の前方が含まれるように設定されている。これに対して、既に説明したとおり、遊技盤50の後方には主制御装置122、電源及び発射制御装置163、音声ランプ制御装置113、表示制御装置214及び払出制御装置162等といった電気的に制御される各種制御装置や各種駆動部が設けられている(図3参照)。そして、磁気センサモジュール81では、方位フィルタ処理(ステップS602)にて後方に配置される各種制御装置や各種駆動部を検知対象から除外している。したがって、これら各種制御装置や各種駆動部から発生する磁気を検知対象とせず、好適に不正目的で印加される磁気を検知することが可能となっている。
一方、図18(b)に示すように、パチンコ機10は、一般的に遊技ホールにおいて島設備に並列させて設置される。また、既に説明したとおり、磁気センサモジュール81、上記各種制御装置及び各種駆動部が取り付けられた内枠13は、外枠11に対して前方へ回動可能とされている(図2参照)。この場合、並列させたパチンコ機10の内枠13をそれぞれ開放させると、一のパチンコ機10における内枠13の背面が、他のパチンコ機10の内枠13の前方に位置する。上述の如く、内枠13の背面には各種制御装置が取り付けられ、また、磁気センサモジュール81は内枠13の前方を検知対象とする領域としているところ、上記他のパチンコ機10の磁気センサモジュール81の検知対象とする領域内に、上記一のパチンコ機10の各種制御装置及び各種駆動部が含まれることになる。
したがって、内枠13が開放状態となっている場合にパチンコ機10の電源が投入されると、磁気センサモジュール81における電源投入時の第1オフセット処理も、内枠13を開放させた状態で行われることになる。この場合、上記のとおり、磁気センサモジュール81の検知対象とする領域内に、他のパチンコ機10の各種制御装置及び各種駆動部が含まれるため、これら各種制御装置及び各種駆動部から発生する磁気を加味して検知値の基準となる0値の校正が行われることになってしまう。
特に、パチンコ機10の電源投入時には、各種制御装置では各種駆動部の初期駆動テストを実行し、当該初期駆動テストによっても磁気は発生する。また、電源投入に伴い各種制御装置へ電圧が印加されていない状態から電圧が印加される状態に変化することで磁場が変化する。内枠13が開放状態となっている場合にパチンコ機10の電源が投入された場合、第1オフセット処理は、これら電源投入に伴う磁気や磁場の変化も加味してしまうことになり、好ましくない。
一方、磁気センサモジュール81を電源投入時に第1オフセット処理を実行しない構成とすると、上記の各不具合を解消するためには、電源投入時の各駆動部の初期駆動テストの終了後であって、内枠13が閉鎖状態である場合にオフセット処理を実行する構成とする必要がある。しかしこの場合、内枠13が閉鎖状態であるか否かは、内枠開放スイッチ13aのON状態かOFF状態かという物理的な状態変位により判断する構成としているところ、例えば不正治具を用いて当該内枠開放スイッチ13aをOFF状態に保持する行為が懸念される。更に、磁気センサモジュール81に磁気を印加させつつ当該不正治具が取り外されると、このタイミングでオフセット処理が行われることから、磁気の検知の基準となる0値がプラス側にずれることになる。つまり、磁気が印加されている状態が0値となり、当該状態を磁気検知状態とすることができない。また、感度レベルの閾値もずれることから、更に磁気が印加された場合であっても当該閾値を超えない範囲では磁気検知状態とすることができない。したがって、磁石等を用いて遊技球を誘導する不正行為を好適に抑制できず、当該不正行為を抑制するためには電源投入時にオフセット処理を実行する必要があるといえる。
そこで、本パチンコ機10では、磁気センサモジュール81の電源投入時の立ち上げ処理内で第1オフセット処理を実行する構成としたうえで、主制御装置122が、磁気センサモジュール81に再度オフセット処理(第2オフセット処理)を実行させるべくオフセット信号を所定のタイミングでHIレベル信号に切り替える構成としている。以下、主制御装置122のMPU211がオフセット信号を切り替えるための処理について説明する。
まず、パチンコ機10の電源投入時に実行されるメイン処理(図9)におけるセンサ確認処理(ステップS110)について、図19のフローチャートを参照して説明する。
ステップS801では、磁気センサモジュール81の検知距離設定端子に対して検知感度設定信号を送信する。磁気センサモジュール81は、当該信号を受信することにより立ち上げ処理(図11)におけるステップS301にて検知感度を設定する。本信号はLOWレベル信号とHIレベル信号とのパルス信号により構成されており、各検知感度において異なるパルス信号となるように周期が設定されている。ステップS801では、感度レベル1〜4のうちの最も感度が高い感度レベル1を示すパルス信号を送信する。これにより、磁気センサモジュール81の検知範囲が最も広範囲となる。
続くステップS802では、所定期間待機する。具体的には、磁気センサモジュール81の立ち上げ処理における第1オフセット処理の1処理回分よりも長く2処理回分よりも短い期間に相当する期間(本実施形態では、400msec)待機する。
続くステップS803では、磁気センサモジュール81からの検知状態信号がHIレベル信号であるか否かを判定することで、磁気センサモジュール81における最初の第1オフセット処理が成功したか否かを特定する。最初の第1オフセット処理が成功であった場合、ステップS804にてRAM213の各種フラグ格納エリア213cに設けられた起動確認フラグに「1」をセットする処理を実行する。起動確認フラグは、磁気センサモジュール81における第1オフセット処理がエラーとなっていない状態であることをMPU211が特定するためのフラグである。
最初の第1オフセット処理がエラーであった場合(ステップS803:YES)、ステップS805にて、RAM213の各種フラグ格納エリア213cに設けられたエラーフラグに「1」をセットする処理を実行する。エラーフラグは、磁気センサモジュール81における第1オフセット処理又は第2オフセット処理がエラーとなったことをMPU211が特定するためのフラグである。
ステップS804又はステップS805の処理を実行した後は、本センサ確認処理を終了する。
既に説明したとおり、磁気センサモジュール81側の立ち上げ処理(図11)では、第1オフセット処理(ステップS302)が成功しない場合には、再度オフセット処理を実行し、当該オフセット処理が成功するまで当該オフセット処理を繰り返す構成としている。これに対して、主制御装置122側では、上記第1オフセット処理が成功しない場合、すなわち検知状態信号がHIレベル信号である場合も、その後の処理が進行される構成としている。
例えば、主制御装置122側のメイン処理でも磁気センサモジュール81が正常に起動するまで待機する構成とすると、タイマ割込み処理における発射制御処理(ステップS213)や外部情報設定処理(ステップS221)のように遊技の進行に関する処理が、磁気センサモジュール81が正常に起動するまで実行できない構成となる。この場合、例えば遊技球の試射試験を行う場合等においては、磁気センサモジュール81とは関係のない制御にもかかわらず、磁気センサモジュール81が正常に起動していないと当該試験を行うことができないため、非効率的となる。更に、磁気センサモジュール81の第1オフセット処理がエラーとなった場合に、他の制御装置(音声ランプ制御装置113や表示制御装置214)を制御して、当該エラーとなった情報を報知することが困難となる。そこで本パチンコ機10では、磁気センサモジュール81による最初の第1オフセット処理がエラーであった場合も、主制御装置122側ではその後の処理を進行させる構成とし、上記不具合の発生を抑制している。
ここで、第1オフセット処理及び第2オフセット処理の処理結果は、磁気検知状態か否かを示す検知状態信号を利用して送信される構成としていることから、当該処理結果を送信するために検知状態信号の出力態様を切り替えると、磁気検知状態の情報との混同が懸念される。そこで、以下に説明するように、当該検知状態信号の読み込みに関する処理に特徴ある工夫が施されている。
磁気センサモジュール81からの検知状態信号は、上記センサ確認処理を終了した後は、タイマ割込み処理(図10)の読み込み処理(ステップS209)にて読み込まれる。ここで、読み込み処理にて実行される検知状態信号読み込み処理について、図20のフローチャートを参照して説明する。
先ずステップS901では、磁気センサモジュール81からの検知状態信号がHIレベル信号であるか否かを判定する。検知状態信号がLOWレベル信号である場合(ステップS901:NO)、ステップS902にて、上記起動確認フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。検知状態信号がLOWレベル信号であって、起動確認フラグに「1」がセットされている場合、磁気センサモジュール81は正常に起動しており、いずれのオフセット処理もエラーとなっておらず、且つ磁気検知状態でもないため、そのまま本検知状態信号読み込み処理を終了する。
起動確認フラグに「1」がセットされていない場合(ステップS902:NO)、検知状態信号がLOWレベル信号であって、上記センサ確認処理(図19)では起動確認フラグに「1」がセットされていない場合であり、初回の第1オフセット処理はエラーとなったものの、その後の第1オフセット処理に成功したことを意味する。この場合、ステップS903にて起動確認フラグに「1」をセットし、続くステップS904にて起動確認コマンドを音声ランプ制御装置113への送信対象として設定して、本検知状態信号読み込み処理を終了する。当該起動確認コマンドは、タイマ割込み処理(図10)の外部情報設定処理(ステップS221)にて、音声ランプ制御装置113に送信される。また音声ランプ制御装置113は表示制御装置214に起動確認コマンドをそのまま送信する。起動確認コマンドを受信した音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214の処理については後述する。
ステップS901にて、検知状態信号がHIレベル信号である場合、ステップS905に進む。ステップS905では、起動確認フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。検知状態信号がHIレベル信号であって、起動確認フラグに「1」がセットされていない場合、磁気センサモジュール81では第1オフセット処理がエラーとなっている状態を示し、この場合、そのまま本検知状態信号読み込み処理を終了する。
ステップS905にて、起動確認フラグに「1」がセットされている場合、磁気センサモジュール81では第1オフセット処理に成功しており、通常処理(図15)における磁気検知処理(ステップS501)及び第2オフセット処理(ステップS507)のいずれかで検知状態信号がHIレベル信号に切り替えられたことを意味する。この場合、続くステップS906にて、主制御装置122側からオフセット信号をHIレベル信号で出力しているか否かを判定する。
かかるオフセット信号の切り替えについての処理は後述するが、主制御装置122の初期設定としてはLOWレベル信号に設定されており、HIレベル信号には、磁気センサモジュール81に対して第2オフセット処理を実行させる際に切り替えられる。オフセット信号をHIレベル信号で出力している場合には、ステップS907にてエラーフラグに「1」をセットする処理を実行し、本検知状態信号読み込み処理を終了する。また、オフセット信号をHIレベル信号で出力していない場合には、ステップS908にてRAM213の各種フラグ格納エリア213cに設けられた再オフセットフラグに「1」が格納されているか否かを判定する。再オフセットフラグは、第2オフセット処理がエラーとなったことを主制御装置122のMPU211が特定してから、再度第2オフセット処理を実行させるまでの状態であることをMPU211が特定するためのフラグである。再オフセットフラグに「1」がセットされている場合、そのまま本検知状態信号読み込み処理を終了する。
ステップS908にて、再オフセットフラグに「1」がセットされていない場合、いずれのオフセット処理もエラーとなっておらず、検知状態信号がHIレベル信号となっていることから、磁気センサモジュール81では磁気検知状態として検知状態信号をHIレベル信号に切り替えたことを意味する。この場合、ステップS909にてRAM213の各種フラグ格納エリア213cに設けられた検知状態フラグに「1」をセットする処理を実行して、本検知状態信号読み込み処理を終了する。当該検知状態フラグは、後述する磁気検知用処理(図22)で参照される。
次に、所定周期で実行されるタイマ割込み処理(図10)におけるセンサ補正処理(ステップS202)について、図21のフローチャートを参照して説明する。
センサ補正処理では、まずステップS1001にて、オフセット信号をHIレベル信号で出力しているか否かを判定する。オフセット信号をLOWレベル信号で出力している場合、続くステップS1002にて、起動確認フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。起動確認フラグに「1」がセットされていない場合、磁気センサモジュール81では第1オフセット処理がエラーとなっている状態を示し、この場合、ステップS1003にて、エラーフラグに「1」がセットされているか否かを判定する。エラーフラグに「1」がセットされている場合、続くステップS1004にて、エラーフラグを「0」にクリアする処理を実行し、ステップS1005にて第1エラーコマンドを音声ランプ制御装置113への送信対象として設定して、本センサ補正処理を終了する。
当該第1エラーコマンドは、タイマ割込み処理(図10)の外部情報設定処理(ステップS221)にて、音声ランプ制御装置113に送信される。第1エラーコマンドを受信した音声ランプ制御装置113は、エラーランプ部24及びスピーカ部26を制御して、第1オフセット処理が正常に行われなかったことを教示する第1エラー報知を実行する。また表示制御装置214に第1エラーコマンドをそのまま送信する。表示制御装置214では、図柄表示装置61を制御して第1エラー報知として第1オフセット処理が正常に行われなかったことを教示する内容を表示させる。これにより、遊技ホールの管理者は、磁気センサモジュール81において立ち上げ処理の第1オフセット処理が正常に行われず磁気センサモジュール81が正常に起動していないことを認識することができる。当該第1エラー報知は、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214において、上述した起動確認コマンドを受信するまで実行される。そして、起動確認コマンドを受信することで、エラーランプ部24、スピーカ部26及び図柄表示装置61にて、当該エラーが解除されたことを教示するための報知が行われる。また、当該第1エラー報知が繰り返し実行される場合、すなわち所定の措置を行っても、第1オフセット処理がエラーとなる場合には、パチンコ機10の電源を再度入れなおす必要がある。
つまり、磁気センサモジュール81の第1オフセット処理がエラーとなった場合に第1エラー報知が開始され、その後第1オフセット処理に成功した場合に第1エラー報知が終了する。また、ステップS1004にてエラーフラグをクリアすることから、一度第1エラーコマンドを送信した後は、再び第1エラーコマンドを送信することはなく、既に第1エラー報知が開始されているのに繰り返し第1エラーコマンドを送信してしまう不都合を抑制している。
ステップS1002にて起動確認フラグに「1」がセットされ磁気センサモジュール81の第1オフセット処理がエラーとなっていない場合、又はステップS1003にてエラーフラグに「1」がセットされておらず上記第1オフセット処理がエラーとなってもその後の第1オフセット処理で成功している場合、はステップS1006に進む。ステップS1006では、RAM213の各種フラグ格納エリア213cに設けられた調整済みフラグに「1」がセットされているか否かを判定する。調整済みフラグは、磁気センサモジュール81に第2オフセット処理を実行させたことMPU211が特定するためのフラグである。調整済みフラグに「1」がセットされている場合には、そのまま本センサ補正処理を終了する。調整済みフラグに「1」がセットされていない場合には、ステップS1007にて内枠開放信号を確認し、内枠13が開放状態であるか否かを判定する。開放状態である場合には、そのまま本センサ補正処理を終了する。
ステップS1007にて内枠13が閉鎖状態であると判定した場合、ステップS1008にてRAM213の各種カウンタエリア213dに設けられたオフセットカウンタOTに「100」をセットする処理を実行する。当該オフセットカウンタOTは、磁気センサモジュール81が第2オフセット処理中であることをMPU211が特定するためのカウンタであり、タイマ割込み処理(図10)が1処理回実行される度にステップS211のタイマ更新処理にて1減算処理されるカウンタである。ステップS1008にて入力した数値情報は400msecに相当し、磁気センサモジュール81がオフセット処理に要する期間(300msec)よりも長く設定されている。
続くステップS1009では、調整済みフラグに「1」をセットする処理を実行する。これにより、第2オフセット処理を実行させたことをMPU211が特定することが可能となる。続くステップS1010では、再オフセットフラグを確認し、「1」がセットされている場合には「0」にクリアし、セットされていない場合にはその状態を維持する処理を実行する。そして、ステップS1011にてオフセット信号をHIレベル信号に設定し、本センサ補正処理を終了する。既に説明したとおり、磁気センサモジュール81側では、オフセット信号の切り替え(LOW→HI)を特定することで、第2オフセット処理を開始する。
ステップS1001にて、オフセット信号をHIレベル信号で出力中の場合、ステップS1012に進む。ステップS1012では、オフセットカウンタOTの数値情報が「0」であるか否かを判定する。「0」でない場合には、そのまま本センサ補正処理を終了する。
オフセットカウンタOTの数値情報が「0」である場合、ステップS1013にてエラーフラグに「1」がセットされているか否かを判定する。エラーフラグに「1」がセットされている場合、ステップS1014にて、当該エラーフラグを「0」にクリアするとともに、ステップS1015にて調整済みフラグを「0」にクリアする処理を実行する。そして、ステップS1016にて、再オフセットフラグに「1」をセットする処理を実行し、続くステップS1017にて、第2エラーコマンドを音声ランプ制御装置113への送信対象として設定する。当該第2エラーコマンドは、タイマ割込み処理(図10)の外部情報設定処理(ステップS221)にて、音声ランプ制御装置113に送信される。第2エラーコマンドを受信した音声ランプ制御装置113は、エラーランプ部24及びスピーカ部26を制御して、第2オフセット処理が正常に行われなかったことを教示する第2エラー報知を実行する。また表示制御装置214に第2エラーコマンドをそのまま送信する。表示制御装置214では、図柄表示装置61を制御して第2エラー報知として第2オフセット処理が正常に行われなかったことを教示する内容を表示させる。これにより、遊技ホールの管理者は、第2オフセット処理が正常に行われなかったことを認識することができる。当該第2エラー報知は、エラーランプ部24、スピーカ部26及び図柄表示装置61において所定期間継続されて実行される。つまり、当該所定期間の経過後は、再び第2エラーコマンドを送信しない限り第2エラー報知は実行されない。また、当該第2エラー報知が繰り返し実行される場合、すなわち所定の措置を行っても、第2オフセット処理がエラーとなる場合には、パチンコ機10の電源を再度入れなおす必要がある。
ここで、上記第1エラーコマンドを受信したことに基づく第1エラー報知と、第2エラーコマンドを受信したことに基づく第2エラー報知と、では、エラーランプ部24及びスピーカ部26の制御態様及び図柄表示装置61の表示内容の少なくともいずれかが異なるように設定されている。具体的には、第1エラー報知よりも第2エラー報知のほうが、よりホール管理者の注意を引くように派手な報知内容となっている。
これは、第1エラー報知及び第2エラー報知のいずれもが、磁気センサモジュール81の各オフセット処理がエラーとなったことを報知するものであるものの、第1エラー報知は、磁気センサモジュール81の立ち上げ処理内で自動的に行われる第1オフセット処理(ステップS302)に対応するものであり、第2エラー報知は、主制御装置122からの指示により行われる第2オフセット処理(ステップS404)に対応するものであり、オフセット処理の契機となる条件が異なることによるものである。
第1オフセット処理は、例えば内枠13を開放させた状態で電源投入がなされた場合、隣接する他のパチンコ機10から発生する磁気や磁場の変化を加味される関係上、当該第1オフセット処理がエラーとなることは通常にも起り得る。これに対して主制御装置122からの指示による第2オフセット処理は、内枠13が閉鎖された状態で実行されるものであることから上記隣接するパチンコ機10は関係なくなり、当該第2オフセット処理がエラーとなった場合は、例えば、前方から強力な磁気が印加された場合等、不正行為に基づくエラーである可能性が高い。特に、第2オフセット処理は、電源投入時に実行される上記第1オフセット処理が成功したことが一の開始条件となっていることから、上記前方から印加された強力な磁気は、電源投入時には印加されていなかったものといえ、上記不正行為の可能性はより高くなる。したがって、第1エラー報知よりも第2エラー報知を派手に行うことで、上記不正行為が行われた場合であってもホール管理者が早急に対処できるようになっている。
なお、これらエラー報知を行う場合、外部端子板143を介してホールコンピュータにエラー情報を出力する構成としてもよい。
センサ補正処理(図21)の説明に戻り、ステップS1013にてエラーフラグに「1」がセットされていない場合、又はステップS1017の処理を実行した後は、ステップS1018にて、オフセット信号をLOWレベル信号に設定し、本センサ補正処理を終了する。
したがって、パチンコ機10では、電源投入時に磁気センサモジュール81は自身の立ち上げ処理(図11)にて第1オフセット処理を実行し、その後、内枠13が閉鎖状態であることを一の条件に主制御装置122からの指示で第2オフセット処理を実行する構成としている。これにより、内枠13が開放された状態で電源投入がなされた場合であっても、内枠13が閉鎖された状態で再度オフセット処理が実行され、好適に不正目的で印加される磁気を検出することが可能となっている。
また、磁気センサモジュール81に対して第2オフセット処理を実行させる場合には、調整済みフラグに「1」をセットする。そして、当該第2オフセット処理がエラーとなった場合には、調整済みフラグをクリアする。したがって、第2オフセット処理が成功となった後は、内枠13が開閉されてもオフセット処理を実行させない。仮に、内枠13の開閉作業の度にオフセット処理を実行させる構成とすると、オフセット処理に伴う磁気センサ221の劣化を招くばかりでなく、ホール営業中においてもオフセット処理が行われることになるため、ホール管理者の目を盗んでオフセット処理中に磁気を印加する不正行為が懸念される。これに対して、本構成によれば、これらの不都合を解消することが可能となる。
上記のように、磁気センサモジュール81がオフセット処理を複数回に亘って実行する構成とする場合、これらオフセット処理の成否結果に基づいて主制御装置122側で所定の処理(音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214に各エラー報知を実行させる処理)を実行するためには、各オフセット処理の終了タイミング、及び当該オフセット処理の処理結果をそれぞれ特定する必要がある。そこで、本実施形態では、磁気検知状態であることを示す検知状態信号に加えて主制御装置122から送信するオフセット信号を利用して、終了タイミングの情報と処理結果の情報とをそれぞれ特定するが可能な構成となっている。
次に、検知状態信号読み込み処理(図20)において、検知状態フラグに「1」がセットされた場合における、主制御装置122のMPU211の処理について、図22を参照して説明する。図22は、タイマ割込み処理(図10)における不正検知処理(ステップS212)にて実行される磁気検知用処理を示すフローチャートである。なお、不正検知処理においては、磁気検知用処理の他、入賞検知センサ54aに遊技球の入賞を誤検知させようとする行為を検知する不正入賞用処理や、電波を用いて遊技球の入賞を不正に発生させようとする行為を検知する電波検知用処理が含まれている。
磁気検知用処理では、まずステップS1101にて、検知状態フラグに「1」がセットされているか否かを確認することで、磁気センサモジュール81が磁気検知状態となっているか否かを特定する。磁気センサモジュール81が磁気検知状態でない場合は、ステップS1102にて、RAM213の各種カウンタエリア213dに設けられた磁気検知用カウンタを「0」にクリアして、本磁気検知用処理を終了する。磁気検知用カウンタは、磁気センサモジュール81が磁気検知状態となったことをMPU211が特定した回数を示すカウンタである。
磁気センサモジュール81が磁気検知状態である場合には、続くステップS1003にて、上記磁気検知用カウンタを1加算する処理を実行する。続くステップS1004では、その加算後の数値情報が「2」であるか否かを判定する。つまり、磁気センサモジュール81が磁気検知状態となったことを主制御装置122側のMPU211でも複数回に亘って確認したか否かを判定する。磁気検知カウンタの数値情報が「2」でない場合には、そのまま本磁気検知用処理を終了する。
ステップS1004にて肯定判定をした場合には、ステップS1005にて、磁気検知コマンドを音声ランプ制御装置113への送信対象に設定する。磁気検知コマンドは、磁気を印加する不正行為の発生をMPU211にて特定したことをサブ側の制御装置である音声ランプ制御装置113に認識させるためのコマンドである。当該磁気検知コマンドは、タイマ割込み処理(図10)における外部情報設定処理(ステップS221)にて音声ランプ制御装置113に送信される。
磁気検知コマンドを受信した音声ランプ制御装置113は、磁気を印加する不正行為の特定に対応した報知を、エラーランプ部24及びスピーカ部26を通じて実行する。また、磁気検知コマンドの受信に対応した報知系のコマンドを表示制御装置214に送信する。表示制御装置214は、磁石を用いた不正行為の特定に対応した報知を、図柄表示装置61を通じて実行する。これにより、ホール管理者は当該不正行為を特定することが可能となる。
ステップS1105の処理を実行した後は、ステップS1106に進む。ステップS1106では、磁気を印加する不正行為の発生を特定したことを遊技ホールの管理コンピュータに認識させるために異常用の外部出力開始処理を実行する。なお、外部端子板143に対する出力設定は、タイマ割込み処理(図10)の外部情報設定処理(ステップS221)にて実行される。ステップS1106の処理を実行した後は、本磁気検知用処理を終了する。
したがって、本パチンコ機10では磁気センサモジュール81側で複数回に亘って磁気の確認処理を実行する構成に加えて、主制御装置122側でも複数回に亘って確認処理を実行する構成としており、磁気の誤検知を抑制可能となっている。
次に、磁気センサモジュール81がオフセット処理を実行するタイミングについて図23を参照して説明する。図23は、磁気センサモジュール81のオフセット処理の実行タイミングを、パチンコ機10の電源と内枠13の状態との関係から説明するためのタイミングチャートであり、図23(a)は、内枠13の開閉状態を示し、図23(b)はパチンコ機10の電源の状態を示し、図23(c)は磁気センサモジュール81がオフセット処理を実行する様子を示し、図23(d)はRAM213の起動確認フラグを示し、図23(e)はRAM213のエラーフラグを示し、図23(f)はRAM213の調整済みフラグを示し、図23(g)はRAM213の再オフセットフラグを示し、図23(h)は主制御装置122からのオフセット信号の状態を示し、図23(i)は磁気センサモジュール81からの検知状態信号の状態を示している。
まず、磁気センサモジュール81における第1オフセット処理と、主制御装置122からの指示に基づく第2オフセット処理と、がいずれも正常に実行できた場合について説明する。
t1のタイミングでパチンコ機10の電源が投入されると、図23(c)に示すように、磁気センサモジュール81では、立ち上げ処理(図11)により第1オフセット処理が実行される。既に説明したとおり、当該第1オフセット処理は主制御装置122側からの指示により実行されるものではなく、磁気センサモジュール81自身の処理により自動的に実行される。したがって、図23(h)に示すように、主制御装置122が出力するオフセット信号はLOWレベル信号のままである。
t2のタイミングで上記第1オフセット処理が終了し、当該第1オフセット処理が成功であった場合(ステップS303:YES)、主制御装置122側においては、当該検知状態信号がLOWレベル信号であることを確認して、図23(d)に示すように、起動確認フラグに「1」がセットされる(ステップS804)。磁気センサモジュール81側においては、上記オフセット処理に成功したことにより、立ち上げ処理(図11)を終了し、通常処理(図15)が開始されて磁気検知処理(ステップS501)等を実行することが可能となる。ただし、t1のタイミングで実行された第1オフセット処理は、内枠13が開放された状態で実行されているため、隣接して設けられた他のパチンコ機10から発生する磁気や磁場の変化を加味した調整となっている可能性が高い。
そこで、t3のタイミングで、内枠13が閉鎖されると、主制御装置122側においては、図23(h)に示すように、オフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。またこの場合、図23(f)に示すように、調整済みフラグに「1」がセットされる。オフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替わったことにより(ステップS503:YES)、磁気センサモジュール81においては、図21(c)に示すように、第2オフセット処理が実行される(ステップS507)。
t4のタイミングで第2オフセット処理が終了し、当該第2オフセット処理が成功(ステップS706:YES)であった場合、磁気センサモジュール81側においては、検知状態信号がLOWレベル信号に設定される(ステップS708)。主制御装置122側においては、既にタイマ割込み処理(図10)が周期的に実行されており、t5のタイミングでオフセットカウンタOTの数値情報が「0」であることで、第2オフセット処理が終了したことを特定することが可能となる。この場合、図23(e)に示すようにエラーフラグは「0」のままであることから、調整済みフラグはクリアされず、オフセット信号がLOWレベル信号に切り替えられる。また、図23(g)に示すように、再オフセットフラグも「0」のままである。
その後、t6のタイミングで内枠13が開放され、t7のタイミングで閉鎖されても、既に調整済みフラグに「1」がセットされていることから、再度のオフセット信号の切り替えは行われず、磁気センサモジュール81はオフセット処理を実行しない。
そして、t8のタイミングで、磁気が印加された場合には、図23(i)に示すように、磁気センサモジュール81側では検知状態信号がHIレベル信号に切り替えられ、主制御装置122側では、起動確認フラグに「1」がセットされていること(ステップS905:YES)、オフセット信号をLOWレベル信号で出力していること(ステップS906)、及び再セットフラグに「1」がセットされていないこと(ステップS908:NO)を条件に、検知状態フラグに「1」がセットされ、磁気検知用処理(図22)にて磁気センサモジュール81が磁気検知状態となった場合の処理が実行される。
次に、磁気センサモジュール81の立ち上げ処理における第1オフセット処理がエラーとなった場合について説明する。
t9のタイミングでパチンコ機10の電源が投入されると、上記と同様に磁気センサモジュール81では第1オフセット処理が開始される。例えば、当該オフセット処理において、強力な磁気が検知された場合、t10のタイミングで当該第1オフセット処理が終了すると、図23(i)に示すように、検知状態信号がHIレベル信号に切り替えられる。この場合、主制御装置122側では、センサ確認処理(図19)においてエラーフラグに「1」がセットされる(ステップS805)。主制御装置122では、センサ確認処理(図17)及びメイン処理(図9)を終了することができ、タイマ割り込み処理(10)が開始され、他の制御が実行可能となる。そして、起動確認フラグに「1」がセットされておらず、エラーフラグに「1」がセットされていることにより、t11のタイミングで実行されるタイマ割込み処理のセンサ補正処理(図19)にて、第1エラーコマンドが設定され(ステップS1005)、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214による第1エラー報知が実行される。これにより、ホール管理者は、当該エラーを認識することが可能となり、エラーの原因となった上記強力な磁気を取り除く等の措置をとることが可能となる。また、第1エラーコマンドの設定に際して、エラーフラグは「0」にクリアされる。したがって、一のエラーに対して第1エラーコマンドが複数送信されることはない。
t9のタイミングで開始した第1オフセット処理がエラーであったため、磁気センサモジュール81では、立ち上げ処理(図11)において第1オフセット処理がt12のタイミングで再度開始される。今回の第1オフセット処理も、磁気センサモジュール81が主制御装置122からの指示によらず実行するため、主制御装置122から出力されるオフセット信号はLOW信号のままである。なお、図では理解の容易のためt10のタイミングの第1オフセット処理の終了タイミングとt12のタイミングの第1オフセット処理の開始タイミングを分けて記載しているが、実際にはt10のタイミングで第1オフセット処理がエラーとなると連続して再度の第1オフセット処理が開始される。
当該第1オフセット処理中であるt13のタイミングで、例えば内枠13が閉鎖(図23(a)参照)されたとすると、磁気センサモジュール81における検知値のぶれ幅が大きくなり、当該オフセット処理は再びエラーとなる。したがって、t14のタイミングで当該オフセット処理が終了しても検知状態信号はHIレベル信号のままである。主制御装置122側では、検知状態信号がHIレベル信号であっても、起動確認フラグに「1」がセットされていないため、エラーフラグは「0」のままであり、検知状態フラグも「0」のままである。
t12のタイミングで開始した第1オフセット処理が再びエラーであったため、更にt15のタイミングで第1オフセット処理が開始される。この場合も、主制御装置122から出力されるオフセット信号はLOW信号のままである。なお、上記同様に、図では理解の容易のためt14のタイミングの第1オフセット処理の終了タイミングとt15のタイミングの第1オフセット処理の開始タイミングを分けて記載している。
t16のタイミングで、上記第1オフセット処理が終了し、当該第1オフセット処理が成功であった場合、磁気センサモジュール81からの検知状態信号は、LOWレベル信号に切り替えられる。この場合、主制御装置122側では、起動確認フラグに「1」がセットされる。
そして、t17のタイミングで実行されるセンサ補正処理にて、調整済みフラグに「1」がセットされるとともに、オフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。その結果、磁気センサモジュール81側では、上記オフセット信号の切り替えが行われたことにより、第2オフセット処理が実行される。
t18のタイミングで第2オフセット処理が終了し、当該第2オフセット処理が成功であった場合、既に説明したとおり、主制御装置122側では、t19のタイミングで、オフセットカウンタOTの数値情報が「0」となることにより当該第2オフセット処理が終了したことを特定することができ、エラーフラグが「0」であることにより第2オフセット処理の処理結果を特定することができ、オフセット信号がLOWレベル信号に切り替えられる。
次に、主制御装置122側からの指示に基づく第2オフセット処理がエラーとなった場合について説明する。なお以下の説明では、パチンコ機10の電源が既にONとなっており、主制御装置122側ではタイマ割込み処理が開始され、磁気センサモジュール81側では通常処理が開始されている状況から説明する。
t20のタイミングで、内枠13が閉鎖されると、主制御装置122からのオフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。そして、当該オフセット信号の切り替えに基づいて、磁気センサモジュール81側では第2オフセット処理が開始される。
例えば、当該オフセット処理において、強力な磁気を印加する不正行為が行われた場合、t21のタイミングで当該オフセット処理が終了すると検知状態信号がHIレベル信号に切り替えられる。この場合、検知状態信号がHIレベル信号であり(ステップS901:YES)、起動確認フラグに「1」がセットされており(ステップS905:YES)、オフセット信号をHIレベル信号で出力中である(ステップS906:YES)であることから、エラーフラグに「1」がセットされる(ステップS907)。
オフセットカウンタOTの数値情報が「0」となるt22のタイミングで実行されるセンサ補正処理では、エラーフラグ及び調整済みフラグがクリア(ステップS1014、ステップS1015)され、図23(g)に示すように、再オフセットフラグに「1」がセットされる(ステップS1016)。さらに、第2エラーコマンドが設定され(ステップS1017)、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214による第2エラー報知が実行される。これにより、ホール管理者は、上記不正行為を認識することが可能となり、不正行為に対する適切な措置をとることが可能となる。そして、オフセット信号がLOWレベル信号に切り替えられる。
次のセンサ補正処理の処理回であるt23のタイミングで、調整済みフラグに「1」がセットされるとともに、再オフセットフラグがクリアされる。そして、オフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。その結果、磁気センサモジュール81では再度第2オフセット処理が開始される。t24のタイミングで当該第2オフセット処理が終了し、当該第2オフセット処理が成功であった場合、磁気センサモジュール81からの検知状態信号はLOWレベル信号に切り替えられる。そして、t25のタイミングでオフセットカウンタOTの数値情報が「0」となることで、主制御装置122からのオフセット信号はLOWレベル信号に切り替えられる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
磁気センサモジュール81は、電源投入後、主制御装置122側の初期駆動が終了した後のタイミングで、内枠13が閉鎖状態であることを契機に第2オフセット処理を実行する構成とした。これにより、パチンコ機10の電源投入時に生じる磁場の変化や、電源投入に伴う各制御装置の初期駆動テストにより発生する磁気を加味しない検知値で、その後の周辺の磁気を検知することが可能となる。
一般的にパチンコ機10は、ホール島設備に対して並列させて設置され、設置された複数のパチンコ機10をいずれも内枠13を開放させた状態とすると、一のパチンコ機10おける内枠13の前方に、他のパチンコ機10の内枠13の背面が配置されることになる。すなわち、内枠13を開放させた状態でオフセット処理を実行すると、一のパチンコ機10の磁気センサモジュール81は、他のパチンコ機10の内枠13に設けられた各制御装置から発生する磁気も加味して検知値の校正を行ってしまうことになる。これらの磁気は、パチンコ機10が通常駆動する状態においては検知し得ない磁気である。したがって、内枠13が閉鎖状態であることを第2オフセット処理の実行条件とすることで、これらの通常検知し得ない磁気を加味せずに検知値の校正を行うことが可能となる。
ここで、上記のように電源投入後であって内枠13が閉鎖状態である状況にてオフセット処理を実行する構成において、当該状況にのみオフセット処理を実行する構成とすることも可能である。このような構成のほうが磁気センサモジュール81の構成の簡素化という観点からすると好ましくも思える。しかし当該構成とすると、例えば、内枠開放スイッチ13aに対して不正治具を取り付け主制御装置122に内枠13が開放状態と判断させ、磁気センサモジュール81にオフセット処理を行わせないようにする不正行為が懸念される。上述の電源投入時に発生する磁気や他のパチンコ機10からの磁気と比較して、不正に印加される磁気は遊技球を開口部へ誘導し得る磁気であることから強力な磁気といえる。そこで、本実施形態では、電源投入時に仮の校正値を算出すべく自動的にオフセット処理を実行する構成とすることで、上記のような優れた効果を奏しつつも、オフセット処理を実行させない不正行為を抑制することが可能となる。
磁気センサモジュール81は、磁気が前方から印加された場合に、磁気検知状態とする構成とした。具体的には、磁気検知処理(図15)にて印加される磁気の方位を特定する方位フィルタ処理(ステップS502)を実行し、磁気センサ221に対して前方から印加される磁気のみを抽出して検知対象とする構成とした。磁気センサモジュール81は遊技盤50に設けられており、不正に印加される磁気は遊技盤50の前方から印加されることが想定される一方で、遊技盤50の背面には各種駆動部や各種制御装置が設けられている。したがって、これら各種駆動部や各種制御装置に基づく磁気を検知対象とせずに不正に印加される磁気のみ検知対象とすることが可能となる。
磁気センサモジュール81は、周期的(20msec)に磁気検知処理を実行し、複数所理回(3回)に亘って磁気を検知した場合に磁気検知状態とする構成とした。パチンコ機10の各種駆動部にて発生する磁気は、当該磁気検知処理の周期よりも短い期間で収束することが想定されるため、仮に磁気検知処理の一処理回にて検知されても、次の処理回では検知されない。更に、各種駆動部のうちの遊技球発射機構40は発射ソレノイドや球送り装置が周期的に駆動状態となることで遊技球が発射される構成としているところ、上記磁気検知処理の周期は発射ソレノイドや球送り装置の周期よりも短く、その周期が複数回に亘って同期することはない。これにより、これら発射ソレノイドや球送り装置により発生する磁気を検知対象とせずに不正に印加される磁気のみを検知対象とすることが可能となる。
磁気センサモジュール81で実行する第2オフセット処理の処理結果を、主制御装置122側へ検知状態信号を用いて送信する構成とした。上記のように、第2オフセット処理を主制御装置122側の初期駆動後に実行する場合、主制御装置122が通常駆動状態、すなわちタイマ割込み処理が開始されている状態で、第2オフセット処理が行われることになる。つまり、当該第2オフセット処理の処理結果に基づいて所定の処理(第2エラー報知)を実行するためには、タイマ割込み処理内で当該処理結果を受信する必要がある。一方で、送受信の端子や接続ラインの数が極端に増加することは好ましくない。したがって、上記処理結果の情報と、磁気検知状態の情報と、を同じ信号で出力する構成とすることで、構成の簡素化を図りつつ、処理結果に基づく所定の処理を実行することが可能となる。
この場合、主制御装置122側で、上記処理結果の情報と、磁気検知状態の情報と、の混同が懸念される。そこで、本実施形態では、磁気センサモジュール81に対して第2オフセット処理を実行させるために用いるオフセット信号の出力態様の情報から、上記処理結果の情報と、磁気検知状態の情報と、を区別することが可能となっている。したがって、上記各効果を奏するために用いた出力信号(オフセット信号)を、上記処理結果の情報と磁気検知状態の情報とを区別するために用いることで、構成の簡素化を図りつつ上記懸念される混同を抑制している。
各オフセット処理は所定期間に亘って実行される構成であり、当該期間において所定の基準値を超える磁気が検知された場合には各オフセット処理はエラーとなり対応するエラー報知を実行する構成とした。各オフセット処理は磁気センサモジュール81周辺の磁気を0値として校正する処理であるのに対して、不正に印加される磁気は例えば遊技球を誘導する程度の磁気強度であることが想定され、各オフセット処理中に不正に磁気が印加された場合には当該オフセット処理がエラーとなる可能性が高い。そして、当該オフセット処理がエラーとなると上記のようにエラー報知が実行される。したがって、各オフセット処理を実行している期間においても実質的に不正に印加される磁気を監視している状態といえ、不正に印加される磁気を好適に検知することが可能となっている。
磁気センサモジュール81は、内枠13が閉鎖状態である状況にて第2オフセット処理を実行した後、その後内枠13の開閉作業が行われても第2オフセット処理を実行しない構成とした。上記のように各オフセット処理中も不正に印加される磁気を監視している状態であるとはいえ、正規の磁気検知処理(図16)が行われている期間ではない。したがって、オフセット処理の処理回数を減らし、磁気検知処理を実行している期間を長くして、不正に印加される磁気を好適に検知することを可能としている。
磁気センサ221とMPU222とからなり、磁気センサ221の検知情報に基づいてMPU222が各処理を実行する構成とした。したがって、磁気検知センサの検知情報に基づいて主制御装置122が各処理を実行する構成と比較して、主制御装置122の処理負荷を低減することが可能となる。
<第2の実施形態>
本実施形態では、磁気センサモジュール81の各オフセット処理の処理結果を送信する構成が、上記第1の実施形態と異なっている。以下、異なる構成について図24〜図28を参照して説明する。
上記第1の実施形態では、各オフセット処理の処理結果を、検知状態信号を用いて送信する構成としていたが、本実施形態では、磁気センサモジュール81に設けられた他の出力端子を用いて送信する構成とする。具体的には、磁気センサモジュール81には、検知状態信号を出力する出力端子とは別に、各オフセット処理の成否結果を出力するための出力端子が設けられており、当該出力端子も主制御基板201と電気的に接続されている。そして、当該出力端子から、各オフセット処理の成否結果を示す成否信号として、オフセット成功信号とエラー信号とを送信する。オフセット成功信号とエラー信号とは、いずれもLOWレベル信号とHIレベル信号との切り替えを短時間で繰り返すことで構成されるパルス信号からなり、当該パルス信号の周期を異ならせることで、いずれの成否信号であるかが特定可能となっている。
まず、本実施形態における磁気センサモジュール81側の処理について説明する。図24は、本実施形態における立ち上げ処理を示すフローチャートである。
本実施形態における立ち上げ処理では、第1の実施形態におけるステップS301〜ステップS303と同様に、ステップS1201〜ステップS1203にて、端子読み込み処理、第1オフセット処理、及び当該第1オフセット処理の成否結果を判定する処理を実行する。ステップS1203にて、第1オフセット処理に成功したと判定した場合には、続くステップS1204にて、上記の成否信号のうちのオフセット成功信号を主制御装置122に送信し、本立ち上げ処理を終了する。
ステップS1203にて第1オフセット処理がエラーであった場合には、ステップS1205に進み、上記の成否信号のうちのエラー信号を主制御装置122に送信する。そして、ステップS1206にてRAM224のクリアを実行し、ステップS1203に戻り、再び第1オフセット処理を実行する。
また、図示はしないが、本実施形態における通常処理の第2オフセット処理(図17)では、ステップS708で上記オフセット成功信号を送信し、ステップS709でエラー信号を送信する構成とする。
次に、主制御装置122側の処理について説明する。図25は、本実施形態におけるセンサ確認処理を示すフローチャートである。
本実施形態におけるセンサ確認処理では、第1の実施形態におけるステップS801の処理と同様に、ステップS1301にて検知感度設定信号を送信する。続くステップS1302では、上記成否信号として、オフセット成功信号又はエラー信号を受信したか否かを判定する。そしていずれの成否信号も受信していない場合には、そのまま待機する。したがって、ステップS1302では、磁気センサモジュール81の第1オフセット処理が1回終了するまで待機することになる。
ステップS1302で肯定判定することで、ステップS1303に進む。ステップS1303では、RAM213の各種フラグ格納エリア213cに設けられた成否受信フラグに「1」をセットする処理を実行する。成否受信フラグは、オフセット成功信号及びエラー信号の成否信号を受信したことをMPU211が特定するためのフラグである。
続くステップS1304では、ステップS1302で受信した信号の周期を確認することで、エラー信号であったか否かを判定する。磁気センサモジュール81からの成否信号がエラー信号であった場合、磁気センサモジュール81において第1オフセット処理が正常に実行されなかったことを意味する。この場合、ステップS1305にて、RAM213のエラーフラグに「1」をセットする処理を実行する。
ステップS1304にて否定判定した場合、又はステップS1305の処理を実行した後は、本センサ確認処理を終了する。
次に、タイマ割込み処理(図10)の読み込み処理(ステップS209)にて実行される、成否信号読み込み処理について図26のフローチャートを参照して説明する。
まずステップS1401では、磁気センサモジュール81からの成否信号として、オフセット成功信号又はエラー信号を受信しているか否かを判定する。いずれの信号も受信していない場合には、そのまま本成否信号読み込み処理を終了する。
いずれかの信号を受信している場合、続くステップS1402にて上記成否受信フラグを確認し、「1」がセットされている場合にはその状態を維持し、セットされていない場合には「1」をセットする処理を実行する。続くステップS1403では、ステップS1401で受信した成否信号がエラー信号であったか否かを判定する。エラー信号でない場合、ステップS1404にて上記エラーフラグを確認し、「1」がセットされている場合には「0」にクリアする処理を実行し、セットされていない場合にはその状態を維持して、本成否信号読み込み処理を終了する。一方、ステップS1403にてエラー信号であった場合には、ステップS1405にてエラーフラグを確認し、「1」がセットされている場合にはその状態を維持し、セットされていない場合には「1」をセットする処理を実行して、本成否信号読み込み処理を終了する。
したがって、成否信号読み込み処理では、オフセット成功信号を受信した場合には、成否受信フラグに「1」をセットするとともに、エラーフラグを「0」にクリアし、エラー信号を受信した場合には、同じく成否受信フラグに「1」をセットする一方で、エラーフラグにも「1」をセットする処理を実行する。これにより、磁気センサモジュール81がオフセット処理を実行した場合に、当該オフセット処理が終了したこと、及び当該オフセット処理の成否結果を、主制御装置122のMPU211が特定することが可能となっている。
なお、図示はしないが、本実施形態における検知状態信号読み込み処理では、上記のとおりオフセット処理の処理結果を成否信号として出力する構成としている関係上、HIレベル信号の検知状態信号を読み込んだことを条件に、他の処理を実行せずに検知状態フラグに「1」をセットする。
次に、本実施形態におけるセンサ補正処理について、図27のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態におけるセンサ補正処理では、まず、ステップS1501にて、第1の実施形態のステップS1001の処理と同様に、オフセット信号をHIレベル信号で出力しているか否かを判定する。オフセット信号がHIレベル信号でない場合、続くステップS1502にて、最後に受信した成否信号がエラー信号であるか否かを判定する。具体的には、成否受信フラグに「1」がセットされていて且つエラーフラグにも「1」がセットされているか否かを判定することで、エラー信号の後にオフセット成功信号を受信していないことが特定できる。この場合、磁気センサモジュール81の第1オフセット処理がエラーとなっている状態であり、続くステップS1503では、第1エラーコマンドを音声ランプ制御装置113への送信対象として設定する。当該第1エラーコマンドを設定することで、第1の実施形態と同様に、エラーランプ部24、スピーカ部26及び図柄表示装置61にて第1エラー報知が実行される。但し、本実施形態における第1エラー報知は、エラーランプ部24、スピーカ部26及び図柄表示装置61において所定期間実行した場合に終了する構成としている。
ステップS1503の処理を実行した後は、ステップS1504にて、成否受信フラグを「0」にクリアする処理を実行し、本センサ補正処理を終了する。
ステップS1502にて否定判定した場合、すなわち、成否受信フラグ及びエラーフラグの少なくとも一方が「0」である場合、ステップS1505に進み、エラーフラグに「1」がセットされているか否かを判定する。ステップS1505にてエラーフラグに「1」がセットされている場合とは、第1オフセット処理に失敗した場合であって既に前回の処理回においてステップS1503及びステップS1504の処理を実行している状態であり、この場合、そのまま本センサ補正処理を終了する。
ステップS1505にてエラーフラグに「1」がセットされていない場合、すなわち、磁気センサモジュール81において第1オフセット処理に成功している状態の場合、ステップS1506にて、成否受信フラグを確認し、「0」である場合にはその状態を維持し、「1」がセットされている場合には「0」にクリアする処理を実行する。
続くステップS1507では、RAM213の各種フラグ格納エリア213cに設けられた調整済みフラグに「1」がセットされているか否かを判定する。調整済みフラグに「1」がセットされている場合には、そのまま本センサ補正処理を終了する。調整済みフラグに「1」がセットされていない場合には、ステップS1508にて内枠開放信号を確認し、内枠13が開放状態であるか否かを判定する。開放状態である場合には、そのまま本センサ補正処理を終了する。
ステップS1508にて内枠13が閉鎖状態であると判定した場合、ステップS1509にてオフセット信号をHIレベル状態に設定し、本センサ補正処理を終了する。
ステップS1501にて肯定判定した場合、すなわちオフセット信号をHIレベル信号で出力中である場合には、ステップS1510に進む。ステップS1510では、成否受信フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。成否受信フラグに「1」がセットされていない場合には、そのまま本センサ補正処理を終了する。
ステップS1510にて成否受信フラグに「1」がセットされている場合、磁気センサモジュール側では第2オフセット処理が終了していることを意味し、この場合ステップS1511に進む。ステップS1511では、エラーフラグに「1」がセットされているか否かを判定することで、上記再度のオフセット処理に成功したか否かを特定する。第2オフセット処理がエラーであった場合(ステップS1511:YES)、ステップS1512にて、第2エラーコマンドを音声ランプ制御装置113への送信対象として設定する。当該第2エラーコマンドを設定することで、第1の実施形態と同様に、エラーランプ部24、スピーカ部26及び図柄表示装置61にて第2エラー報知が実行される。
ステップS1512又はステップS1513の処理を実行した後は、ステップS1514に進み、成否受信フラグ及びエラーフラグを「0」にクリアする処理を実行する。その後、ステップS1515にて、オフセット信号をLOWレベル信号に設定し、本センサ補正処理を終了する。
次に、本実施形態における、磁気センサモジュール81がオフセット処理を実行するタイミングについて図28を参照して説明する。図28は、磁気センサモジュール81のオフセット処理の実行タイミングを、パチンコ機10の電源と内枠13の状態との関係から説明するためのタイミングチャートであり、図28(a)は、内枠13の開閉状態を示し、図28(b)はパチンコ機10の電源の状態を示し、図28(c)は磁気センサモジュール81がオフセット処理を実行する様子を示し、図28(d)はRAM213の成否受信フラグを示し、図28(e)はRAM213のエラーフラグを示し、図28(f)はRAM213の調整済みフラグを示し、図28(g)は主制御基板201からのオフセット信号の状態を示している。
まず、磁気センサモジュール81における第1オフセット処理と、主制御装置122からの指示に基づく第2オフセット処理と、がいずれも正常に実行できた場合について説明する。
t1のタイミングでパチンコ機10の電源が投入されると、図28(c)に示すように、磁気センサモジュール81は、第1オフセット処理を実行する。既に説明したとおり、当該オフセット処理は主制御装置122側からの指示により実行されるものではなく、磁気センサモジュール81自身が自動的に実行する。したがって、図28(g)に示すように、主制御装置122が出力するオフセット信号はLOWレベル信号のままである。
t2のタイミングで第1オフセット処理が終了し、当該第1オフセット処理が成功であった場合、磁気センサモジュール81からは、成否信号としてオフセット成功信号が送信される(ステップS1204)。主制御装置122側においては、オフセット成功信号を受信したことに基づいて、図28(d)に示すように、成否受信フラグに「1」がセットされる(ステップS1303)。磁気センサモジュール81側においては、第1オフセット処理に成功したことにより立ち上げ処理(図24)を終了し、通常処理が開始されて磁気検知処理等を実行することが可能となる。ただし、本実施形態においても、t1のタイミングで実行された第1オフセット処理は、内枠13が開放された状態で実行されているため、隣接して設けられた他のパチンコ機10から発生する磁気や磁場の変化を加味した調整となっている可能性が高い。
そこで、t3のタイミングで、内枠13が閉鎖されると、主制御装置122側においては、図28(d)に示すように、成否受信フラグが「0」にクリアされるとともに、図28(g)に示すように、オフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。その結果、磁気センサモジュール81においては、上記オフセット信号が切り替えられることにより、図28(c)に示すように、第2オフセット処理が実行される。
t4のタイミングで上記第2オフセット処理が終了し、当該第2オフセット処理が成功であった場合、磁気センサモジュール81からは、成否信号としてオフセット成功信号が送信される。主制御装置122側においては、既にタイマ割込み処理(図10)が周期的に実行されており、オフセット成功信号を受信したことに基づいて、成否信号読み込み処理(図26)にて成否受信フラグに「1」がセットされる(ステップS1402)。その後、t5のタイミングで、図28(f)に示すように、調整済みフラグに「1」がセットされ(ステップS1513)、成否受信フラグが「0」にクリアされる(ステップS1514)。そして、図28(g)に示すように、オフセット信号がLOWレベル信号に切り替えられる(ステップS1515)。
その後、t6のタイミングで内枠13が開放され、t7のタイミングで閉鎖されても、既に調整済みフラグに「1」がセットされていることから、再度のオフセット信号の切り替えは行われず、磁気センサモジュール81はオフセット処理を実行しない。
次に、磁気センサモジュール81の立ち上げ処理におけるオフセット処理がエラーとなった場合について説明する。
t8のタイミングでパチンコ機10の電源が投入されると、上記同様に第1オフセット処理が開始される。例えば、当該第1オフセット処理において、強力な磁気が検知された場合、t9のタイミングで当該第1オフセット処理が終了するとエラー信号が送信される。この場合、主制御装置122側では、成否受信フラグに「1」がセットされるとともに、図28(e)に示すように、エラーフラグにも「1」がセットされる。主制御装置122側では、これら各フラグをセットした後センサ確認処理(図25)を終了することができ、タイマ割り込み処理(10)が開始されて、他の制御が実行可能となる。そして、成否受信フラグ及びエラーフラグに「1」がセットされていることにより、t10のタイミングで実行されるセンサ補正処理(図27)にて、第1エラーコマンドが設定され(ステップS1503)、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214による第1エラー報知が実行される。これにより、ホール管理者は、当該エラーを認識することが可能となり、エラーの原因となった上記強力な磁気を取り除く等の措置をとることが可能となる。また、第1エラーコマンドが設定される場合、成否受信フラグは「0」にクリアされる。したがって、一のエラーに対して第1エラーコマンドが複数送信されることはない。
t8のタイミングで開始した第1オフセット処理がエラーであったため、t11のタイミングで再度第1オフセット処理が開始される。この場合の第1オフセット処理も、磁気センサモジュール81が主制御装置122からの指示によらず実行するため、主制御装置122から出力されるオフセット信号はLOW信号のままである(図28(g)参照)。なお、本実施形態においても第1オフセット処理がエラーであった場合には連続的に再度第1オフセット処理が開始される構成としているが、図では理解の容易のため、第1オフセット処理の終了タイミングと再度の第1オフセット処理の開始タイミングを分けて記載している。
当該第1オフセット処理中であるt12のタイミングで、例えば内枠13が閉鎖(図28(a)参照)されたとすると、磁気センサモジュール81における検知値のぶれ幅が大きくなり、当該第1オフセット処理は再びエラーとなる。そして、t13のタイミングで当該第1オフセット処理が終了するとエラー信号が送信される。主制御装置122側では、既にタイマ割込み処理が開始されているため、当該オフセット成功信号の読み込みは、成否信号読み込み処理(図26)にて行われる。この場合、図28(d)及び図28(e)に示すように、成否受信フラグには「1」がセットされ、エラーフラグは「1」がセットされた状態で維持される。そして、t14のタイミングで、第1エラーコマンドが再び設定され、第1エラー報知が実行される。この場合、成否受信フラグは「0」にクリアされる。
t11のタイミングで開始した第1オフセット処理が再びエラーであったため、更にt15のタイミングで第1オフセット処理が開始される。この場合も、主制御装置122から出力されるオフセット信号はLOW信号のままである(図28(g)参照)。なお、上記同様に、図では理解の容易のため、第1オフセット処理の終了タイミングと再度の第1オフセット処理の開始タイミングを分けて記載している。
t16のタイミングで、第1オフセット処理が終了し、当該第1オフセット処理が成功であった場合、磁気センサモジュール81からはオフセット成功信号が送信される。この場合、主制御装置122側では、図28(d)及び図28(e)に示すように、成否受信フラグには「1」がセットされ、エラーフラグは「0」にクリアされる。
そして、t17のタイミングで、成否受信フラグが「0」にクリアされるとともに、オフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。その結果、磁気センサモジュール81側では、上記オフセット信号の切り替えが行われたことにより、第2オフセット処理が開始される。
t18のタイミングで第2オフセット処理が終了し、当該第2オフセット処理が成功であった場合、既に説明したとおり、主制御装置122側では、成否受信フラグに「1」がセットされる。そして、t19のタイミングで、調整済みフラグに「1」されるとともに、成否受信フラグが「0」にクリアされ、オフセット信号がLOWレベル信号に切り替えられる。
次に、主制御装置122側からの指示に基づくオフセット処理がエラーとなった場合について説明する。なお以下の説明では、パチンコ機10の電源が既にONとなっており、主制御装置122側ではタイマ割込み処理が開始され、磁気センサモジュール81側では通常処理が開始されている状況から説明する。
t20のタイミングで、内枠13が閉鎖されると、主制御装置122からのオフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。そして、当該オフセット信号の切り替えに基づいて、磁気センサモジュール81側ではオフセット処理が開始される。
例えば、当該オフセット処理において、強力な磁気を印加する不正行為が行われた場合、t21のタイミングで当該オフセット処理が終了するとエラー信号が送信される。この場合、主制御装置122側では、成否受信フラグに「1」がセットされるとともに、エラーフラグにも「1」がセットされる。
オフセット信号をHIレベル信号で出力中(ステップS1501:YES)であって、成否受信フラグ及びエラーフラグに「1」がセットされていることから、t22のタイミングで実行されるセンサ補正処理(図25)にて、第2エラーコマンドが設定され(ステップS1512)、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置214による第2エラー報知が実行される。これにより、ホール管理者は、上記不正行為を認識することが可能となり、不正行為に対する適切な措置をとることが可能となる。また、この場合、成否受信フラグは「0」にクリアされる(ステップS1514)。したがって、一のエラーに対して第2エラーコマンドが複数送信されることはない。更に、エラーフラグも「0」にクリアされるとともに、オフセット信号がLOWレベル信号に切り替えられる。したがって、次のセンサ補正処理の処理回にて磁気センサモジュール81にオフセット処理を行わせるための処理を実行することができる(ステップS1501:YES、ステップS1505:YES)
t23のタイミングで、再びオフセット信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられると、磁気センサモジュール81では再度第2オフセット処理が開始される。t24のタイミングで当該第2オフセット処理が終了し、当該第2オフセット処理が成功であった場合、磁気センサモジュール81からはオフセット成功信号が送信される。主制御装置122側では、成否受信フラグは「1」がセットされ、エラーフラグは「0」にクリアされる。
そして、t25のタイミングで実行されるセンサ補正処理にて、調整済みフラグに「1」がセットされるとともに、オフセット信号がLOWレベル信号に切り替えられる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
磁気センサモジュール81における各オフセット処理の処理結果を送信する場合に、磁気検知状態の情報を示す検知状態信号とは別途設けた成否信号により、当該処理結果を送信する構成とした。これにより、主制御装置122側からの指示により第2オフセット処理を実行している間も、パチンコ機10に磁気が印加される不正行為を磁気検知処理で検知することが可能となる。したがって、不正行為により印加される磁気を好適に検知することができる。
特に、本実施形態では、成否信号として別途送信する構成としたことで、各オフセット処理の処理結果だけでなく、各オフセット処理の終了タイミングも主制御装置122側で特定することが可能となっている。第1の実施形態では、タイマカウンタ(オフセットカウンタOT)を用いて、当該終了タイミングを特定していたが、主制御装置122と磁気センサモジュール81との処理タイミングの相違によって、主制御装置122が特定した終了タイミングと、実際にオフセット処理が終了したタイミングと、がずれる場合があり、当該ずれによる誤動作を抑制するために、主制御装置122側のタイマカウンタは実際のオフセット処理の処理期間よりも長くカウントする構成としていた。これに対して、本実施形態によれば、実際のオフセット処理の終了タイミングで成否信号が送信され、当該成否信号を受信することで主制御装置122は終了タイミングを特定することが可能となることから、実際の終了タイミングにより近いタイミングとして特定することが可能となる。これにより、オフセット処理の処理結果に応じた処理(各エラー報知)を、迅速に実行することができ、ホール管理者により早く認識させることが可能となる。
<第3の実施形態>
本実施形態では、磁気センサモジュール81のオフセット処理を実行するタイミングが、上記第1,第2の実施形態と異なっている。以下、相違する構成について図29を参照して説明する。図29は、本実施形態におけるセンサ確認処理を示すフローチャートである。なお以下の説明では、第1の実施形態をベースにして相違点のみを説明する。
ここでまず、本実施形態では、磁気センサモジュール81は、立ち上げ処理において第1オフセット処理を実行しない構成としている。つまり、第1オフセット処理を実行せずに第2オフセット処理のみ実行する構成となる。また、第1オフセット処理を実行しない構成であることから、本実施形態における検知状態信号読み込み処理(図20)では、ステップS901にて否定判定した場合はそのまま本処理を終了する構成とする。更に本実施形態におけるセンサ補正処理(図21)では、ステップS1001にて否定判定した場合には、ステップS1006に進む構成とする。
さて、本実施形態におけるセンサ確認処理では、まずステップS1601にて検知感度設定信号を送信し、続くステップS1602にて、内枠13が開放状態か否かを判定する。内枠13が開放状態の場合には、そのまま本センサ確認処理を終了する。この場合、センサ補正処理(図21)にて、調整済みフラグに1がセットされていないこと(ステップS1006:NO)、及び内枠13が閉鎖状態であること(ステップS1007:NO)を条件にオフセット処理を実行させる。ステップS1602にて、内枠13が閉鎖状態の場合には、ステップS1603にて、第1待機処理を実行する。第1待機処理は、メイン処理(図10)のステップS109における電源投入設定処理に基づく各制御装置の初期駆動テストが実行される間待機する処理であり、具体的には10sec待機する。ステップS1603の処理の後は、ステップS1604にてオフセット信号をLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替える。
続くステップS1605では、第2待機処理を実行する。当該第2待機処理は、第1の実施形態におけるステップS802の処理に相当する。ステップS1606〜ステップS1608の処理は、第1の実施形態におけるステップS803〜ステップS805の処理と同様である。但し、ステップS1607では、調整済みフラグに「1」をセットする処理を実行する。ステップS1607又はステップS1608の処理を実行後、本センサ確認処理を終了する。
すなわち本実施形態では、内枠13が開放された状態でパチンコ機10の電源が投入された場合には、その後内枠13が閉鎖されたタイミングで磁気センサモジュール81にオフセット処理を実行させ、内枠13が閉鎖された状態でパチンコ機10の電源が投入された場合には、各制御装置の初期駆動テストの実行後に磁気センサモジュール81にオフセット処理を実行させる構成となる。
以上詳述した本実施形態によれば、磁気センサモジュール81がオフセット処理を行う回数を減らすことが可能となる。既に説明したとおり、オフセット処理中は正規の磁気検知処理を実行している期間ではないため、オフセット処理の回数を減らすことで実質的に磁気検知処理を実行できる期間を長くすることが可能となる。これにより、不正に印加される磁気を好適に検知することができる。
ただし、本実施形態の場合には、内枠開放スイッチ13aを不正治具により常にOFF状態(開放状態)とさせることで、磁気センサモジュール81のオフセット処理を実行させない不正行為を抑制できない。したがって、本実施形態の場合には、内枠開放スイッチ13aに対する不正行為を抑制するように、所定の対策を講じることが望ましい。所定の対策としては、例えば、不正治具が挿入されにくく又は挿入できなくする遮蔽部を設ける等の物理的な対策や、主制御装置122や磁気センサモジュール81自信が内枠13の開閉状態(位置)を判断できるようにするソフト的な対策が考えられる。
<第4の実施形態>
本実施形態では、磁気センサモジュール81が磁気を検知した場合の検知値に関する構成が上記第1〜第3の実施形態と異なっている。以下、異なる構成について説明する。
上記のように第1〜第3の実施形態では、磁気検知状態となるまでに要する0値からの変化量としての閾値により感度レベルが定められていた。これに対して本実施形態では、磁気センサ221における磁気の検知値(インピーダンスの変化量)を増幅させる(振幅を変更する)機能により感度レベルを設定する。
先ず、磁気センサモジュール81の磁気センサ221について、図30(a)のブロック図を参照して詳細に説明する。
本実施形態における磁気センサ221は、印加される磁気に基づいてインピーダンスの変化が生じるセンサ部225と、当該インピーダンスの変化量を増幅させる増幅部226と、からなる。センサ部225についてより詳細には、MI素子(磁気インピーダンス素子)からなるアモルファスワイヤ(図示略)に、パルス振幅回路(図示略)が接続されている。そして、当該パルス振幅回路からパルス電流がアモルファスワイヤへ出力されている状況において、アモルファスワイヤに対して磁気が印加されると、アモルファスワイヤのインピーダンスが変化する。さらに、本センサ部225ではアモルファスワイヤに対してピックアップコイル(図示略)が巻かれており、上記インピーダンスの変化によってピックアップコイルに誘起電圧が発生する。上記の増幅部226はオペアンプにより構成され、センサ部225におけるピックアップコイルに接続されている。そして、増幅部226はピックアップコイルに生じる誘起電圧を1〜N(Nは自然数)の係数(感度係数G)に従って増幅する機能を有している。すなわち、本実施形態では、磁気センサ221により検知される磁気の検知値は増幅部226によって1〜N倍に増幅される。
上記のように増幅部226により増幅される検知値とオフセット処理との関係について図30(b)を参照して説明する。図30(b)は、感度係数Gと検知値の関係を説明するための説明図である。なお、図30(b)においては、検知値の比較のため、各係数における検知値を重ねて表示している。
既に説明したように、オフセット処理はTaからTbのタイミングにおいて検知値を監視してその平均値を0値として変更する処理であり、検知値の基準となる0値と、磁気検知状態とするか否かの判断基準となる閾値と、を周囲の磁気のレベルにあわせて移動する処理といえる。そして、増幅部226により検知値を増幅する際の係数(感度係数G)の決定はこのオフセット処理の後に実行される(図で示す調整用検知処理が、感度係数Gを決定する処理に相当する)。調整用検知処理については、後に詳細に説明するが、この処理では、所定期間に亘って検知値が閾値を越えるか否かを監視して感度係数Gを決定する。上記のようにオフセット処理では0値と閾値とを周囲の磁気のレベルにあわせて移動するものの、検知値の振幅によってはオフセット処理後の閾値と検知値との差が異なり得る。閾値と検知値との差が異なると、同じ強度の磁気が印加されても閾値を越えることもあれば超えないこともある。そこで、本実施形態では、オフセット処理後において磁気の検知値の振幅を感度係数Gによって調整する構成としている。
ここで、本実施形態では、第1〜第3の実施形態とは異なり、閾値は予め定められた固定の値となっている。そしてその値は、第1〜第3の実施形態における閾値(感度レベル1〜4の閾値)よりも大きく設定されている。より具体的には、遊技ホールにて想定される磁気の最大値よりも大きい値(本実施形態では想定される磁気の最大値の5倍)としている。この遊技ホールにて想定される磁気とは、不正に印加される磁気は含まず、例えば地磁気や各種制御装置等による磁気であり、遊技ホールでの設置状態における内的要因である。なお、閾値を想定される磁気の最大値よりも大きい値に設定した作用については後に詳細に説明する。
上記の調整用検知処理は、磁気センサモジュール81の第2オフセット処理内で実行される。ここで、本実施形態における第2オフセット処理について、図31のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態における第2オフセット処理では、上記ステップS701〜ステップS707の処理と同様にステップS1701〜ステップS1707の処理を実行し、その後にステップS1708にて調整用検知処理を実行する。すなわち、調整用検知処理は、第2オフセット処理に成功(ステップS1706:YES)した場合であって、0値の上書き処理(ステップS1707)が行われた後に実行され、第2オフセット処理がエラーであった場合には実行されない。既に説明したとおり、0値の上書き処理では、0値とともに閾値も更新される。したがって、調整用検知処理は、0値及び閾値の更新後に実行される。
ここでステップS1708にて実行される調整用検知処理について、図32のフローチャートを参照して説明する。
先ずステップS1801にてRAM224に設けられた感度係数Gの数値情報を「1」に設定する処理を実行する。上記のように感度係数Gは検知値の増幅に用いられるものであり、例えば感度係数Gが「2」である場合には、増幅部226により検知値が2倍に増幅される。
続くステップS1802では検知値の監視を行い、ステップS1803にて監視の終了タイミングであるか否かを判定し、終了タイミングではない場合にはステップS1802に戻る。つまり、ステップS1802及びステップS1803では、図30(b)に示すように、所定期間(TbからTcまでの期間)に亘って磁気の検知値を監視することになる。なお、本実施形態では所定期間として100msecが設定されている。
ステップS1803にて終了タイミングである場合には、ステップS1804に進む。ステップS1804では、ステップS1802にて監視した磁気の検知値が、閾値以上となったか否かを確認する。
ステップS1804にて否定判定した場合、ステップS1805にて、感度係数Gが予め定められた所定値(本実施形態では20)であるか否かを判定し、所定値ではない場合には、ステップS1806にて感度係数Gに「1」を加算してからステップS1802に戻り、再度所定期間に亘って磁気の検知値の監視を行う。
ステップS1805の所定値は、通常であれば当該所定値に従って検知値を増幅することで閾値を越えるに十分な値として設定されている。より具体的には、遊技ホールにて想定される磁気の最小の検知値を、当該所定値に従って増幅した場合に閾値を越えるように設定されている。つまり、通常であればステップS1805にて感度係数Gが所定値に達する前に、ステップS1802にて閾値以上の検知値となり、ステップS1804にて肯定判定する(ステップS1805へ進まない)。
ステップS1804にて肯定判定した場合は、ステップS1807にて、感度係数Gが「4」以下であるか否かを判定する。上記のように、本実施形態における閾値は、遊技ホールにて想定される磁気の最大値の5倍としており、通常であれば感度係数Gが「4」以下であるのにもかかわらず、ステップS1804で肯定判定(ステップS1802にて閾値以上の検知値)とはならない。ステップS1807にて感度係数Gが「4」よりも大きい場合には、ステップS1808にて感度係数Gから予め設定された数値(設定値)を減算する処理を実行し、ステップS1809に進む。ステップS1809では、上記ステップS1808にて減算された感度係数GをRAM224に設けられた感度係数記憶エリアに記憶させる処理を実行して、本調整用検知処理を終了する。
上記のステップS1808にて感度係数Gから減算する数値を大きくすると、閾値と検知値との幅は大きくなり、減算する数値を小さくすると、閾値と検知値との幅は小さくなる。同じ強度の磁気が印加された場合、閾値と検知値との幅が大きくなると閾値を超えにくくなり、閾値と検知値との幅が小さくなると閾値を越えやすくなる。つまり、上記のステップS1808にて感度係数Gから減算する数値は、感度レベルを示すものといえる。すなわち、本実施形態において感度レベルとは、上記第1〜第3の実施形態のように0値と閾値とにより規定されるものではなく、ステップS1808において感度係数から減算する数値によって定められる閾値と検知値との幅により規定される。この感度係数Gから減算する数値は、遊技ホールの管理者等が設定可能となっている。より詳細には、上記減算する数値を「1〜4」まで設定可能となっている。この設定には、第1の実施形態で示した感度レベル設定スイッチが用いられる。本実施形態では、感度レベルを下げたい場合には、感度レベル設定スイッチを操作することで、ステップS1808にて感度係数Gから減算する数値を大きくし、感度レベルを上げたい場合には、減算する数値を小さくする。この設定された減算する数値の情報は、主制御装置122側のセンサ確認処理(図19)のステップS801にて磁気センサモジュール81へ送信される。磁気センサモジュール81側では立ち上げ処理(図11)のステップS301の端子読み込み処理にて当該情報を読み取り、ステップS1808にて減算する数値を設定する。
ステップS1805にて感度係数Gが「20」である場合、又はステップS1807にて感度係数Gが「4」以下である場合には、ステップS1810に進む。上記のようにステップS1805にて感度係数Gが「20」である場合とは、通常であれば既に検知値が閾値を越えるはず(ステップS1804:YES)であり、磁気センサ221自身の故障や磁気センサ221の周囲に遮蔽物等が存在する等、何らかの要因で磁気センサモジュール81が磁気を検知することができない状態であることが考えられる。また、ステップS1807にて感度係数Gが「4」以下である場合とは、遊技ホールの磁気(ノイズ)が想定よりも大きい場合が考えられる。そこでステップS1810では、正常に磁気を検知できる状態ではないとして、RAM224に設けられたエラーフラグに「1」をセットして、本調整用検知処理を終了する。
既に説明した通り、本実施形態における閾値は遊技ホールにて想定される磁気の最大値よりも大きい値に設定されている。仮に、遊技ホールにて想定される磁気の範囲内に閾値を設定すると、感度係数Gを上下する処理を用意しておく必要が生じる。そこで、本実施形態のように閾値を設定することで、上記ステップS1802〜ステップS1806にて感度係数Gを上げてゆくだけでよく、簡易な処理構成で感度係数Gを決定することができる。
第2オフセット処理(図31)の説明に戻り、ステップS1708の処理を実行した後は、ステップS1709にて上記エラーフラグに「1」がセットされているか否かを判定する。エラーフラグに「1」がセットされていない場合には、ステップS1710にて検知状態信号をLOWレベル信号に設定して、第2オフセット処理を終了する。一方、エラーフラグに「1」がセットされている場合には、ステップS1711にて検知状態信号をHIレベル信号に設定して、第2オフセット処理を終了する。
したがって本実施形態では、オフセット処理がエラーであった場合に加え、調整用検知処理がエラーであった場合にも第2エラー報知が行われる。これにより、遊技ホールの管理者等は第2エラー報知に基づいて所定の処置を行うことができる。調整用検知処理がエラーの場合とは、上記のように、磁気センサモジュール81が磁気を検知できない場合か、ノイズが想定よりも大きい場合である。前者の場合、磁気センサモジュール81の周囲に磁気を遮蔽する部材の有無を確認する処置や、磁気センサモジュール81自体を交換する処置が考えられる。また後者の場合、ノイズの原因を追究(例えば、周囲に電磁波を出力する機器が取り付けられていないか等)し、当該原因を取り除く処置や、磁気センサモジュール81の取り付け位置を再設計する処置が考えられる。このような処置を行う余地を残すことで、磁気センサモジュール81自体の故障や周囲の環境等によって磁気を検知できない状況であるのにもかかわらず、磁気センサモジュール81側で磁気検知処理が行われてしまうことを抑制することが可能となる。
なお、調整用検知処理にてエラーとなった場合と、オフセット処理にてエラーとなった場合とで、異なる報知が行われる構成としてもよい。この場合、遊技ホールの管理者は、エラーの原因がいずれの処理であったかを特定することができ、対処もスムーズに行うことが可能となる。またこれらの場合、遊技ホールの管理コンピュータに認識させるための情報を出力する構成としてもよい。
図による説明は省略するが、第2オフセット処理内で調整用検知処理を行う構成とした関係上、主制御装置122側において第2オフセット処理が終了したことを把握する構成は、調整用検知処理も含めて終了したことを把握する構成となっている。具体的には、センサ補正処理(図21)におけるステップS1008では、オフセットカウンタOTに「600」をセットする構成としている。これにより、磁気センサモジュール81に対してオフセット処理を指示(ステップS1011)してから、第2オフセット処理が終了したことを把握(ステップS1012にてオフセットカウンタOTが「0」であることを確認)するまでの期間は2400msecとなり、調整用検知処理も含めて第2オフセット処理が行われる期間(400〜2300msec)よりも長くなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
磁気センサモジュール81において検知値の振幅(感度係数G)を増幅部226により調整可能とした。上記のようにオフセット処理によって0値と閾値とが変更されるものの、検知値の振幅によっては変更後の閾値と検知値の差が異なることから、このように検知値の振幅を変更可能とすることで、より正確に感度レベルを調整することが可能となる。
検知値の振幅を変更する構成として、閾値を、想定される磁気(内的要因)よりも大きな値に設定した。これにより、調整用検知処理では感度係数Gを上げてゆくだけでよいため、簡素な処理構成で感度係数Gを決定することができる。
感度係数Gの決定に際しては、閾値を越える検知値が検知された場合よりも予め定められた数値だけ下げた係数となるようにした。そして、当該予め定められた数値を遊技ホールの管理者等が変更可能とした。調整用検知処理は、閾値と検知値との幅を決定する処理といえるため、その幅の基準となる上記数値は感度レベルを示すものといえる。したがって、本実施形態では当該数値を変更可能とすることで、磁気センサモジュール81の感度レベルを変更することができる。
調整用検知処理を第2オフセット処理において0値及び閾値の更新後に実行する構成とした。これは、0値と閾値とを利用して磁気検知状態とするか否かの処理を行う構成においては、ノイズの強弱は0値と閾値(特に閾値)との関係によって判断されるものであるからである。仮に0値及び閾値の更新前にノイズの強弱を判断して感度係数Gを決定したとすると、更新された後の0値や閾値では、先にしたノイズの強弱の判断が覆される可能性もある。具体的には、例えば、0値及び閾値の更新前においてノイズが閾値を越えないぎりぎりのレベルで感度係数Gを決定したとしても、0値及び閾値はプラス側に更新されるため、当然にして閾値とノイズとの差は更新前に比べて大きくなってしまう。そこで、本実施形態のように更新後に調整用検知処理を実行する構成とすることで、ノイズと閾値との関係が崩れることがなく、その後の磁気検知処理において不正目的で印加される磁気を好適に特定することが可能となる。
<第5の実施形態>
本実施形態においては、オフセット処理の代わりに上記第4の実施形態で示した調整用検知処理が行われる。以下、具体的な構成を説明する。
先ず、本実施形態における磁気センサモジュール81の立ち上げ処理について、図33のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態における立ち上げ処理では、先ずステップS301と同様にステップS1901にて端子読み込み処理を実行する。端子読み込み処理では、上記のように主制御装置122からの検知感度設定信号をもとに調整用検知処理において感度係数Gから減算する数値を設定する。続くステップS1902では、第1調整用検知処理を実行する。
ここで第1調整用検知処理について、図34のフローチャートを参照して説明する。
第1調整用検知処理は、上記の調整用検知処理(図32)と概ね同様の処理である。第1の相違点としては、上記ステップS1802とステップS1803との間に、監視中の検知値がエラーの対象となるものであるか否かの判定処理が挿入されている点である。具体的には、ステップS1801及びステップS1802の処理と同様に、ステップS2001及びステップS2002の処理を実行した後、ステップS2003にてエラーの対象となるものであるか否かを判定する。エラーの対象となる場合とは、監視中の検知値が閾値を大幅に超えた場合と、監視中の検知値の最高値と最低値とのぶれ幅が所定値以上である場合と、である。すなわち、上記の第1〜第4の実施形態で示したオフセット処理の処理中に強力な磁気が印加された場合や、処理中に内枠13が開閉動作された場合に相当する。エラーの対象となるものではない場合には、ステップS2004に進み、終了タイミングであるか否かの判定を行い、終了タイミングでない場合にはステップS2002に戻る。
ステップS2004にて終了タイミングである場合には、ステップS1804〜1809の処理と同様に、ステップS2005〜ステップS2010の処理を実行して、第1調整用検知処理を終了する。但し、本実施形態ではステップS2006にて判定する所定値を「40」としており、上記第4の実施形態のものよりも大きく設定している。また、ステップS2008では「8」以下であるか否かを判定し、これも上記第4の実施形態のものよりも大きくなっている。これは、本実施形態では閾値を上記第4の実施形態のものよりも大きく設定していることに起因する。第4の実施形態では、調整用検知処理をオフセット処理後に行う構成としており、オフセット処理によってある程度は調整用検知処理の検知値が閾値を下回るようになっているため、閾値を想定される磁気の最大値よりも大きい値としているもののそれほど大きく設定する必要性が生じなかった。これに対して本実施形態では、オフセット処理を行わずに調整用検知処理を行う構成としているため、予め第4の実施形態の閾値よりも大きい値(具体的には想定される磁気の最大値の10倍)に設定し、調整用検知処理にて検知値が閾値を下回るようにしている。このように閾値を大きく設定している関係上、上記のようにステップS2006にて磁気センサ221の故障等か否かを判定する数値と、ステップS2008にてノイズレベルが想定よりも大きいと判断する数値と、を第4の実施形態よりも大きく設定している。以上が調整用検知処理(図32)との第2の相違点である。
第1調整用検知処理(図34)の説明に戻り、ステップS2003にてエラーの対象となる場合、ステップS2006にて感度係数Gが「40」である場合、又はステップS2008にて感度係数Gが「8」以下である場合には、ステップS2010に進み、エラー値として検知値にマイナス値を入力し、第1調整用検知処理を終了する。
立ち上げ処理(図33)の説明に戻り、ステップS1902にて第1調整用検知処理を実行した後は、ステップS1903にて第1調整用検知処理に成功したか否かを判定する。具体的には、検知値にマイナス値が入力されているか否かを確認することで、第1調整用検知処理に成功したか否かを判定することができる。ステップS1903にて第1調整用検知処理に成功している場合には、そのまま立ち上げ処理を終了する。成功していない場合にはステップS304及びステップS305と同様に、ステップS1904にてRAM224のクリアを実行して、続くステップS1905にて検知状態信号をHIレベル信号に設定してからステップS1902に戻り、再度第1調整用検知処理を実行する。
次に、本実施形態における磁気センサモジュール81の通常処理について、図35のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態における通常処理では、先ずステップS501と同様にステップS2101にて磁気検知処理を実行する。続くステップS2102では、調整信号の読み込み処理を実行する。本実施形態においては、主制御装置122はオフセット信号の代わりに調整信号を磁気センサモジュール81に対して送信する構成としている。具体的には、センサ補正処理(図21)におけるステップS1011では調整信号をHIレベル信号に設定し、また、ステップS1018では調整信号をLOWレベル信号に設定する構成としている。さらに、ステップS906及びステップS1001では調整信号をHIレベル信号で出力中か否かを判定する構成としている。
続くステップS2103では、調整信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられたか否かを判定し、切り替えられた場合にはステップS2104にてRAM224に設けられた調整中フラグに「1」をセットする。調整中フラグは、上記のオフセット中フラグに対応するものである。
ステップS2103にて否定判定した場合、又はステップS2104の処理を実行した後は、ステップS2105に進む。ステップS2105では、上記の調整中フラグに「1」がセットされているか否かを判定し、セットされている場合にはステップS2106にて第2調整用検知処理を実行した後に、通常処理を終了する。ステップS2105にて調整中フラグに「1」がセットされていなければ、そのまま通常処理を終了する。
ここで、ステップS2106にて実行される第2調整用検知処理について図36のフローチャートを参照して説明する。
第2調整用検知処理は、上記の第1調整用検知処理(図34)と概ね同様の処理である。相違点としては、上記のようにエラーの対象となる場合には、第2調整用検知処理の終了を待たずに検知状態信号をHIレベル信号に設定する点と、エラーとならずに終了する場合には検知状態信号をLOWレベル信号に設定する点である。
具体的には、ステップS2001〜ステップS2010と同様にステップS2201〜ステップS2210の処理が行われる。ステップS2210にて感度係数Gを記憶した後は、ステップS2211にて検知状態信号をLOWレベル信号に設定し、第2調整用検知処理を終了する。また、ステップS2203にてエラーの対象となっている場合、ステップS2206にて感度係数Gが「40」である場合、又はステップS2208にて感度係数Gが「8」以下である場合には、ステップS2212にて検知状態信号をHIレベル信号に設定し、第2調整用検知処理を終了する。
主制御装置122側の処理の他の変更点としては、センサ確認処理(図19)におけるステップS802の待機処理では、第1調整用検知処理が終了するまで待機し、具体的には4000msec待機する。したがって、上記第4の実施形態よりも電源投入時の処理期間は長期間となる。
これに対して、センサ補正処理(図21)におけるステップS1008では、オフセットカウンタOTに「10」をセットし、当該オフセットカウンタOTが「0」となるまでに要する期間が上記第1の実施形態よりも短い期間となるように設定する。これは、調整信号がLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられたことを、磁気センサモジュール81が特定可能な最低限の期間である20msecに対応する数値である。そして、主制御装置122では調整信号をLOWレベル信号で出力中にHIレベル信号の検知状態信号を受信した場合には、検知状態信号読み込み処理(図20)にて検知状態フラグに「1」をセットし(ステップS901:YES、ステップS906:NO)、磁気検知用処理(図22)にて磁気が検知された場合と同様の処理を行う。これは、本実施形態では、上記のように第2調整用検知処理においてエラーの対象となる場合には、当該第2調整用検知処理の終了を待たずに検知状態信号がHIレベル信号に設定される構成としているため、この場合には直ちに報知を行うことが好ましい。また、第2調整用検知処理の前に第1調整用検知処理を行っているため、第2調整用検知処理でのエラーは不正目的で磁気が印加された可能性が高い。そこで上記のような構成とすることで、第1調整用検知処理の処理期間は長くなるものの、第2調整用検知処理にてエラーとなった場合には遊技ホールの管理者は直ちにそれを特定することが可能となる。
なお、磁気検知用処理にて磁気が検知された場合と、第2調整用検知処理にてエラーとなった場合とで、異なる報知が行われるようにしてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
上記第1の実施形態において、オフセット処理の代わりに調整用検知処理を実行する構成とした。具体的には、第2調整用検知処理の契機となる調整信号は、主制御装置122側のセンサ補正処理にて内枠13が閉鎖状態であることを条件にLOWレベル信号からHIレベル信号に切り替えられる。したがって、上記第1の実施形態における第2オフセット処理と同様に、本実施形態における第2調整用検知処理も、主制御装置122側の初期駆動が終了した後のタイミングであって、内枠13が閉鎖状態であることを条件に実行される。このような構成とすることで、他のパチンコ機10に設けられた各制御装置等から発生する磁気を加味せずに、感度係数Gを決定することができる。
調整用検知処理は、閾値との関係で磁気の検知値の振幅を周囲の磁気の強さ(ノイズのレベル)にあわせる処理である。一方、オフセット処理は、周囲の磁気の強さにあわせて閾値と0値とを変更する処理である。したがって、オフセット処理の代わりに調整用検知処理を実行する構成としても、少なくとも周囲の磁気を加味してその後の磁気検知処理を行ってしまう不都合を回避することができる。
予め定められた閾値を第4の実施形態のものよりも大きく設定した。より具体的には、第4の実施形態では遊技ホールにて想定される磁気の最大値よりも大きく設定し、本実施形態では、その第4の実施形態における閾値よりも更に大きく設定している。したがってオフセット処理を行わない構成としても、調整用検知処理における検知値を監視する処理で、いきなり閾値を越えてしまう不都合を回避することができる。これにより、調整用検知処理では感度係数Gを上げてゆくだけでよく、簡素な処理構成で感度係数Gを決定することが可能となる。
またオフセット処理は、例えば周囲の磁気が閾値に対して微弱であった場合には、磁気センサモジュール81の検出限界(下限)付近で0値の設定が行われるため、安定した設定が行われない可能性もある。その点、調整用検知処理では、検知値の振幅を周囲の磁気の強さにあわせて設定するため、周囲の磁気が微弱であった場合にも安定して磁気センサモジュール81側の設定を行うことが可能となる。この点において、オフセット処理の代わりに調整用検知処理を行う利点がある。
但し、調整用検知処理は、増幅部226により感度係数Gを設定する構成であり、オフセット処理はソフト的な処理によって磁気センサモジュール81の設定を行う構成であるため、磁気センサモジュール81の構成の簡素化という観点からすると、オフセット処理により磁気センサモジュール81の設定を行う構成が適している。
また、上記のように閾値を第4の実施形態よりも大きくしている関係から、調整用検知処理において検知値が閾値を越えるか否かを監視する処理の処理回数が第4の実施形態よりも多くなり、処理にかかる時間も長くなる。この点において、第4の実施形態のようにオフセット処理と調整用検知処理とを行う構成のほうが優れている。
<他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。
(1)上記各実施形態においては、主制御装置122が磁気センサモジュール81に対してオフセット処理(調整用検知処理)を実行させた後は、内枠13が開閉動作されても再度オフセット処理(調整用検知処理)を実行させない構成としたが、再度実行させる構成としてもよい。本構成とすると、遊技ホールの営業中にもオフセット処理(調整用検知処理)を実行することになり、よりパチンコ機10が通常駆動する状態に近い状態でオフセット処理(調整用検知処理)を実行させることができる。ただしこの場合、上記のとおり、オフセット処理(調整用検知処理)中に不正に磁気を印加して不正な値で検知値を校正させる又は感度係数Gを決定させる行為が懸念される。しかしこの場合であっても、オフセット処理(調整用検知処理)中に所定の数値以上の磁気を検知した場合には磁気センサモジュール81はエラー値を入力する構成としていることから、少なくとも上記懸念される行為は抑制可能である。
(2)上記各実施形態において、磁気センサモジュール81にオフセット処理(調整用検知処理)を実行させるタイミングは、上記のものに限定されない。電源投入時に発生する磁気や磁場の変化を調整の対象外とする観点からすると、パチンコ機10の電源投入時の各制御装置に初期駆動が終了した後にオフセット処理(調整用検知処理)を実行させる構成であればよい。例えば、電源投入後に定期的に実行されるタイマ割込み処理(図10)の処理回数が所定の回数となった場合にオフセット処理(調整用検知処理)を実行させてもよく、電源投入後の所定期間をカウントするタイマカウンタを設け当該タイマカウンタが所定値になった場合にオフセット処理(調整用検知処理)を実行させる構成としてもよく、電断監視基板202の監視する電圧値が所定値となった場合にオフセット処理(調整用検知処理)を実行させる構成としてもよい。
更に、この観点からすると、磁気センサモジュール81への電力供給経路上に、クロック回路等を設け、パチンコ機10の電源投入後、所定期間経過後に磁気センサモジュール81に電力が供給される構成としてもよい。この場合、各制御装置の初期駆動後に磁気センサモジュール81に電源が投入される構成とするとよい。
また、各種制御装置の初期駆動後として、タイマ割込み処理の各処理を実行するタイミング、例えば、遊技球の発射がなされたタイミングでオフセット処理(調整用検知処理)を実行させる構成であってもよく、払出装置154からの賞球の払い出しが行われたタイミングでオフセット処理(調整用検知処理)を実行させる構成であってもよく、各制御装置に接続されたいずれかの駆動部が駆動状態となったタイミングでオフセット処理(調整用検知処理)を実行させる構成であってもよい。
(3)磁気センサモジュール81は、内枠開放スイッチ13aから電源及び発射制御装置163を介して主制御装置122の主制御基板201に接続される構成として、主制御基板201からのオフセット信号(調整信号)を基にオフセット処理(調整用検知処理)を実行する構成としたが、他の制御装置を介して内枠開放スイッチ13aと接続される構成としてもよく、内枠開放スイッチ13aと直接接続される構成としてもよい。他の制御装置を介して内枠開放スイッチ13aと接続される構成の場合、当該他の制御装置から磁気センサモジュール81にオフセット信号(調整信号)が出力される構成とするとよく、内枠開放スイッチ13aと直接接続される構成の場合、磁気センサモジュール81のMPU222に内枠開放スイッチ13aからの内枠開放信号のHI/LOWを識別する処理を付加して、オフセット処理(調整用検知処理)を実行すべきタイミングを自身が判断する構成とするとよい。
(4)各オフセット処理において、第5の実施形態のように、検知値の積算処理にて所定の基準値以上の磁気が検知された場合、及び平均化処理にて所定の幅以上のぶれ幅である場合、に検知値にエラー値を入力するとともに、主制御装置122側へ当該エラーの情報を出力する構成としてもよい。具体的には、検知値にエラー値を入力する際に、第1,第3及び第4の実施形態では、検知状態信号をHIレベル信号に設定し、第2の実施形態では、エラー信号を出力する構成としてもよい。これにより、オフセット処理中に不正に磁気が印加された場合の報知(各エラー報知)をより早く実行することができ、ホール管理者はより早急に当該不正行為を特定することが可能となる。
(5)磁気センサモジュール81のオフセット処理(第2調整用検知処理)中に内枠13の開放がなされた場合には、エラーとする構成としてもよい。より具体的には、タイマ割込み処理(図10)の読み込み処理(ステップS209)にて、オフセット信号(調整信号)をHIレベル信号で出力している場合に内枠開放信号がHIレベル信号となった場合に、エラーフラグに「1」をセットする処理を加えるとよい。既に説明したとおり、オフセット処理(第2調整用検知処理)中の検知値のぶれ幅が所定値以上となった場合にエラーとする構成としているが、当該所定値は絶対的な値なのに対して、内枠13が開閉されることによる検知値のぶれは相対的なものであるため、オフセット処理(第2調整用検知処理)中に内枠13が開放されてもエラーとならない場合も想定される。例えば、オフセット処理(第2調整用検知処理)中に内枠13に不正治具を挿入できる程度開放させて磁気を印加して当該オフセット処理(第2調整用検知処理)による0値をプラス側にずらす(第2調整用検知処理の場合には感度係数Gを低くする)不正行為が考えられる。これに対して、本構成によれば、オフセット処理(第2調整用検知処理)中に内枠13が開放された場合にはエラーとなりエラー報知が実行されるため、オフセット処理(第2調整用検知処理)中の検知値のぶれ幅が所定値未満であっても上記不正行為を特定することが可能となる。
(6)磁気センサモジュール81の磁気センサ221は、MI素子からなるものに限定されず、ホール素子やMR素子等であってもよく、少なくともMPU222が磁気の検知値を校正することが可能又は磁気センサ221の検知値の振幅を変更可能なように接続されるものであればよい。
また、スイッチングタイプの磁気検知センサを用いる場合には、当該磁気検知センサを主制御装置122に接続し、磁気を検知した場合に接触するスイッチ同士の接触面の大きさ等から電流の抵抗値を算出して磁気の検知値とするとよい。これにより、スイッチングタイプの磁気検知センサであっても磁気の検知値を校正することが可能となる。
さらに、第4,第5の実施形態のように増幅部226により検知値を増幅させる構成に限定されず、例えば、センサ部225へ出力される電圧やパルス振幅等の変更により検知値を増幅させる構成としてもよい。
(7)磁気センサモジュール81は、遊技球発射機構40における遊技球の発射周期よりも短い期間である60msec間に複数回(3回)磁気を検知した場合に磁気検知状態とする構成としたが、遊技球の発射周期(0.6sec)よりも短ければ当該期間は60msecに限定されず、これよりも長くても短くてもよい。
また、他の駆動部の駆動周期よりも短い期間に設定してもよい。例えば、可変入賞装置54を開閉駆動する駆動周期として開閉実行モードのラウンド周期よりも短い期間としてもよく、払出装置154が遊技球を払い出す周期よりも短い期間としてもよい。
これら設定した期間内において磁気検知状態とする検知回数は、複数回であれば3回に限定されるものではないことは、言うまでもない。
(8)磁気センサモジュール81は、方位フィルタ処理(図15におけるステップS507)にて、前方から印加された磁気のみ抽出する処理を実行する構成としたが、後方から印加された磁気を抽出する構成としてもよく、上方又は下方から印加された磁気を抽出する構成としてもよく、これら各方位の磁気を組み合わせて又は全部抽出する構成としてもよい。前方以外から印加される磁気を検知対象とすることで、不正に印加される磁気以外も検知対象に含まれることになり得るものの、不正に印加される磁気は前方からのみとは限られないため不正対策としては強力なものとなる。また抽出する方位を増やすことで、磁気センサモジュール81をパチンコ機10に設置する際の取り付け方向に自由度が増し、設置作業の簡素化を図ることも可能である。
また、これら各方位の磁気の検知値の閾値をそれぞれ異ならせる構成としてもよい。この場合、特に後方からの磁気の検知値の閾値を前方からの磁気の検知値の閾値よりも大きくすることで、各制御装置から発生する磁気を検知対象としない構成とすることも可能である。
(9)磁気センサモジュール81を3軸の磁気センサ221からなる構成として、方位フィルタ処理により後方からの磁気を検知対象としない構成としたが、アルミ等の透磁率の低い部材で磁気センサモジュール81後方を覆い、後方からの磁気を遮蔽する構成としてもよい。
(10)磁気センサモジュール81の取り付け位置は、上記のものに限定されない。例えば、前扉枠14に設けてもよく、遊技機本体12側に設けられていてもよい。また、磁気センサモジュール81は、内枠13が閉鎖状態である場合に第2オフセット処理(第2調整用検知処理)を実行する構成としたが、前扉枠14が閉鎖状態である場合に第2オフセット処理(第2調整用検知処理)を実行する構成としてもよく、いずれの枠13,14も閉鎖している場合に第2オフセット処理(第2調整用検知処理)を実行する構成としてもよい。これらの場合、第2オフセット処理(第2調整用検知処理)によって0値(感度係数G)を遊技機の通常状態に合わせるためには、少なくとも磁気センサモジュール81が内枠13又は前扉枠14に設けられる構成か、遊技機本体12において内枠13又は前扉枠14が検知範囲に含まれる位置に設けられる構成であればよい。遊技機本体12側に設けられている場合であっても、内枠13や前扉枠14を開放状態とした場合に、これら枠13,14に設けられた金属板を有する電気機器の位置変化により磁場の変化が生じるため、内枠13を閉鎖状態として第2オフセット処理(第2調整用検知処理)を実行することにより当該磁場の変化を加味せずに0値(感度係数G)を設定することができる。
(11)センサ確認処理(図17)はメイン処理において実行される構成としたが、これに限られず、例えばタイマ割込み処理において実行する構成としてもよいし、タイマ割込み処理におけるセンサ補正処理において実行する構成としてもよい。ただし、メイン処理で実行する構成の方が、遊技が行われる前段階で磁気センサモジュール81の確認を行うことから、磁気センサモジュール81に異常がある状態で遊技が行われることがなく、この点において優れている。
(12)検知状態信号は主制御装置122に入力される構成としたが、これに限られず、例えば音声ランプ制御装置113に入力される構成であってもよく、払出制御装置162に入力される構成であってもよい。また、検知状態信号が外部端子板143を介して直接遊技ホールの管理制御装置に向けて出力される構成としてもよい。
(13)主制御基板201は電断監視基板202を介して電源及び発射制御装置163から動作電力が供給されている構成としたが、これに限られず、電断監視基板202を省略する構成としてもよい。この場合、電圧を監視する回路を主制御基板201に設ける必要がある。
(14)各オフセット処理において、所定期間に亘って検知値の積算を行いその平均値を0値としたが、例えば、検知値の最高値と最低値とを平均化して0値とする構成としてもよい。この場合、処理の簡素化を図れるとともに、0値の更新後において周囲の磁気による検知値の最高値が閾値を越える不都合を低減することができる。
(15)調整用検知処理において、閾値を想定される磁気よりも大きい値に設定し感度係数Gを上げてゆく構成としたが、閾値を想定される磁気よりも小さい値に設定し感度係数Gを下げてゆく構成としてもよい。この場合、例えば第4の実施形態では、ステップS1801にて感度係数Gを「20」として設定し、ステップS1802にて検知値の最高値が閾値を下回るか否かを監視する構成とする。そして、ステップS1804にて検知値の最高値が閾値を下回った場合に肯定判定し、下回らない場合には、ステップS1805にて感度係数Gが「4」であるか否かを判定する。「4」でなければステップS1806にて感度係数Gから「1」を減算し、ステップS1802に戻る。また、ステップS1804にて肯定判定した場合には、ステップS1807にて感度係数Gが「20」であるか否かを判定する。「20」ではない場合にはステップS1807にて、感度係数Gから設定値を減算した後に、ステップS1809にて当該減算後の感度係数GをRAM224に記憶し、調整用検知処理を終了する。ステップS1805にて「4」である場合、又はステップS1807にて「20」である場合にはステップS1810にてエラーフラグに「1」をセットしてから、調整用検知処理を終了する。この場合、上記の閾値を通常であれば感度係数Gが「4」で検知値が下回るように設定することで、ノイズが大きい場合の異常とすることができる。また、検知値の最高値が閾値を下回ることを監視する構成としていることから、上記ステップS1807にて減算する設定値を、「4」→「3」、「3」→「2」、「2」→「1」、「1」→「0」と変更するとよい。
また第5の実施形態では、上記のように変更した構成における閾値よりも小さい(例えば2分の1)として、各調整用検知処理を上記の構成に対応させて変更する。この場合、感度係数Gが十分大きいのにもかかわらず閾値を下回ってしまう異常(磁気センサ221の故障等)の判定用の処理として、閾値を上記のように2分の1とするならば、ステップS2001(ステップS2201)にて入力する感度係数G、及びステップS2006(ステップS2206)にて監視する感度係数Gを、それぞれ「10」として、上記「20」の2分の1にするとよい。
(16)調整用検知処理において、感度係数Gを「1」よりも小さい値に変更可能としてもよい。この場合、例えば感度係数Gが「0.5」の場合には、感度係数Gが「1」の場合と比較して検知値が2分の1となる。上記(15)の構成に本構成を付加することで、例えばノイズが想定外に大きい場合等、検知値の最高値が設定した閾値を下回らない場合に有効である。
(17)調整用検知処理において、周囲の磁気のレベルと閾値との関係により感度係数Gを上げるか下げるかを決定する構成としてもよい。この場合、閾値を想定される磁気よりも大きく(小さく)設定する必要がなく、検知値を監視する処理の繰り返し回数を少なくすることができる。例えば、閾値を遊技ホールにて想定される磁気の平均値付近に設定し、調整用検知処理を行う前(例えばステップS1801の前)に、感度係数Gを所定値(例えば「10」)として検知値と閾値との比較を行う。そしてこの比較の結果に基づいて、感度係数Gを上げるか下げるかを決定するとよい。感度係数Gを上げる場合には上記第4,第5の実施形態にて示した処理を行い、感度係数Gを下げる場合には上記(15)で示した処理を行うとよい。
(18)調整用検知処理において、ステップS1807、ステップS2008及びステップS2208にて感度係数Gが所定の値(第4の実施形態では「4」であり、第5の実施形態では「8」)以下の場合にはエラーとする構成としたが、当該所定の値の感度係数Gから、検知値が閾値を越えることを監視する処理を開始する構成としてもよい。この場合、当該所定の値の感度係数Gで検知値が閾値を越えた場合には、エラーとする構成とすると、監視に関する処理の回数を削減することができる。但しこの場合、初回の監視に関する処理と、それ以降(感度係数Gを上げてから)の監視に関する処理と、を別処理とする必要があり、処理構成の複雑化が生じ得る。
(19)調整用検知処理において、感度係数Gを変更する構成としたが、周囲の磁気の強弱によって閾値を変更する構成としてもよい。具体的には、所定期間に亘って磁気の検知値を監視し、閾値を越えない場合には閾値を下げて再び磁気の検知値の監視を行う。そして、閾値を越える検知値となった時点の閾値よりも所定量だけ大きい閾値を実際の閾値として設定する構成とするとよい。この場合、感度レベル設定スイッチにより上記所定量を設定可能な構成とするとよい。このような構成とすることで、検知値を増幅させる機能(増幅部226)を備える必要がなく、ソフト的な処理で周囲の磁気の強弱にあわせて磁気センサモジュール81側の設定を変更することが可能となる。
(20)調整用検知処理において、所定期間に亘って検知値を監視する構成としたが、例えば所定期間によらずに感度係数Gを徐々に上げてゆく構成としてもよい。この場合、調整用検知処理において所定期間に亘る検知値の監視が繰り返し行われないため、調整用検知処理が行われる期間を短くすることができる。但しこの場合、周囲の磁気の変化の最高値や最低値を対象として感度係数Gを決定してしまう可能性も生じる。これら最高値や最低値で感度係数Gが決定されると、その後の磁気の検知値が大きくなり過ぎたり小さくなり過ぎたりし、不正に印加される磁気を好適に特定することが難しくなる。したがって、上記のように所定期間に亘って監視する構成とすることで、このような不都合を回避することができる。
(21)磁気センサモジュール81の感度レベルを、感度レベル設定スイッチにより遊技ホールの管理者等が設定可能な構成としたが、主制御装置122又は磁気センサモジュール81の処理内で感度レベルを設定可能な構成としてもよい。この観点からすると、上記の第4,第5の実施形態は、調整用検知処理を行うことで設定されている閾値に対して周囲の磁気の検知値の振幅を調整することができるので、遊技ホールの管理者等が閾値(感度レベル)を変更しなくても周囲の磁気の強弱に対応させて磁気センサモジュール81側の設定を変更することが可能な構成といえる。
(22)主制御装置122又は磁気センサモジュール81が、第2オフセット処理(第2調整用検知処理)の結果をRAM213又はRAM224に記憶する機能を備えていてもよい。この記憶した結果を、RAM213又はRAM224のクリアが行われるまで保持される構成とすることで、日々の電源投入時にはオフセット処理(調整用検知処理)を省略することができる。より具体的には、磁気センサモジュール81側で上記結果を記憶する場合には、電源投入時の立ち上げ処理にてRAM224に上記結果が記憶されていることを条件に当該結果に基づいて0値及び閾値(感度係数G)を設定し、オフセット処理(調整用検知処理)を行わない構成とする。そして、このように設定した場合には第2オフセット処理(第2調整用検知処理)も行わない構成とするとよい。
また、主制御装置122側で上記結果を記憶する場合には、磁気センサモジュール81側の第2オフセット処理(第2調整用検知処理)後に磁気センサモジュール81が当該結果を主制御装置122へ特定させるための信号を送信し、当該信号に基づいて主制御装置122はRAM213に上記結果を記憶する。そして、主制御装置122は電源投入時のメイン処理にて当該結果が記憶されている場合に磁気センサモジュール81へ当該結果に基づいて0値や閾値(感度係数G)を設定させる信号を送信する。磁気センサモジュール81側の立ち上げ処理では主制御装置122側からの上記設定させる信号を受信した場合に当該信号に基づいて0値及び閾値(感度係数G)を設定し、オフセット処理(調整用検知処理)を行わない構成とする。そして、このように設定した場合には第2オフセット処理(第2調整用検知処理)も行わない構成とするとよい。
一般的にパチンコ機10は、遊技ホールの島設備に設置された後は頻繁には移動されない。つまり一度島設備に設置されると、その後はパチンコ機10の周囲の地磁気等の変動は大きくないことが想定される。このように周囲の地磁気等の変動が大きくないと想定される場合には、一度決定した0値及び閾値(感度係数G)を繰り返し使用し、オフセット処理(調整用検知処理)を省略する構成とすることで、日々の電源投入時の立ち上げをスムーズに実行することが可能となる。また、0値及び閾値(感度係数G)を変更したい場合には、RAM213又はRAM224のクリアを実行すればよいので、例えば、異常に磁気検知状態となる等の症状が生じた場合や、パチンコ機10の設置箇所を移動した場合等は、RAM213又はRAM224のクリアを実行して再度0値及び閾値(感度係数G)を決定させればよい。
これらの場合、主制御装置122側で記憶する構成のほうが、磁気センサモジュール81の構成の簡素化を図ることが可能となる。仮に、磁気センサモジュール81のRAM224を長期間記憶可能な構成とすると、電断時におけるRAM224のバックアップ電源を確保すべく、磁気センサモジュール81に大容量のコンデンサ等を搭載する必要が生じる。これに対して、主制御装置122側では、一般的に電断時におけるバックアップ電源としてのコンデンサ等が既に搭載されており、既に搭載されている主制御装置122側のコンデンサ等を利用して上記結果を記憶しておく構成とすることで、パチンコ機10全体として更なる部材(コンデンサ)の追加を低減することが可能となる。
(23)磁気を検知する磁気センサモジュール81以外にも、他の特定事象を検知する検知手段に対しても本発明を適用できる。他の特定事象を検知する検知手段としては、例えば、電波を検知する電波検知手段や、開口部への遊技球の入球を検知する入球検知手段、振動を検知する振動検知手段等が考えられる。
(24)上記実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作される又は所定期間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組合せが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも、本発明を適用できる。
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
これらの遊技機の場合であっても、当該遊技機に用いられる各種検知手段における検知値と0値との相対関係を調整条件(例えば上記各実施形態のように電源投入時の立ち上げ処理後であって扉体が閉鎖していること)が成立した場合に調整することで、周囲の環境によって上記各種検知手段が誤検知となることを抑制することができる。
<上記各実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴は、「遊技機の一種としてパチンコ機がある。パチンコ機においては、例えば遊技領域に発射された遊技球が作動口に入球することに基づき、当たり抽選が行われる。当該抽選において当たり状態の発生に当選すると、例えば所定の表示装置において変動表示される図柄が予め定められた特定の組み合わせで停止表示された後、遊技領域に設けられた可変入球装置の開閉が実行される。そして、可変入球装置への入球数に応じた遊技球が払い出されるといった特典が遊技者に付与される。ここで、パチンコ機には不正行為に対応した特定事象の発生を検知する検知センサが設けられている。例えば、磁石を用いて遊技球を作動口等の遊技者に有利な場所へ誘導させる不正行為が行われることがあり、当該不正行為を抑制するために、磁気を検知する磁気センサを設け、当該磁気センサが磁気を検知した場合には報知を行う。しかし、パチンコ機内部に設けられた各種装置の通常の動作によっても磁気は発生し得る。また、パチンコ機が設けられた周辺の環境等によっても磁場は変化し得る。したがって、このような状況下では、上記不正行為に基づく磁気を検知するにあたり、磁気センサの誤検知につながりかねない。なお、以上の課題は、磁気を検知する磁気センサに限定されることなく、例えば電波や振動を検知する検知センサにおいても同様である。更に、パチンコ機に限定されることはなく、検知センサが用いられている他の遊技機においても同様である。」という技術背景及び課題等を解決するためになされたものである。
<特徴A群>
特徴A1.特定事象(例えば磁気)が発生した場合に検知値が変動し、基準値(0値)に対する当該検知値の変化量が所定値(閾値)に達したことに基づいて特定出力(検知状態信号をHIレベル信号に切替える)を行う検知手段(磁気センサモジュール81)と、
前記特定出力を前記検知手段が行ったことに基づいて、対応処理(主制御装置122のMPU211におけるステップS1105及びステップS1106の処理)を実行する対応処理実行手段(主制御装置122のMPU211における磁気検知用処理を実行する機能)と、
を備え、
前記検知手段は、前記基準値を前記検知値に応じて変更する変更手段(磁気センサモジュール81のMPU222における第2オフセット処理を実行する機能)を備え、
調整条件が成立しているか否かを判定する判定手段(主制御装置122のMPU211におけるセンサ補正処理を実行する機能)と、
当該判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に、前記検知手段に対して前記基準値の調整指令(オフセット信号をHIレベル信号に切替える)を行う指令手段(主制御装置122のMPU211におけるステップS1011、ステップS1509又はステップS1604の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記変更手段は、前記指令手段が前記調整指令を行った場合に前記基準値を前記検知値に応じて変更するものであることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、検知手段は特定出力を行う基準となる基準値を、調整条件が成立したことにより変更できる。当該検知手段は、基準値に対する変化量が所定量に達した場合に特定出力を行う構成であることから、変更した基準値によっては検知値が同じ量変化しても所定値に達する場合もあれば、所定値に達しない場合もある。したがって、当該基準値は、不正行為の発生の可能性が高い遊技者により遊技が行われる遊技機の通常状態を基準として変更すべきである。例えば、電源投入時の起動処理により基準値の変更を実行する構成とすると、上記通常状態とは異なる状態で基準値の変更がなされたことになる。この場合、当該基準値を用いると所定値に達せず特定出力が行われない可能性もあり、特定事象の発生を好適に検知できない。そこで本遊技機では、判定手段により調整条件が成立していると判定された場合に、検知手段に対して調整指令がなされ検知手段の基準値が変更させる構成としているため、電源投入タイミングとは関係なく、調整条件を例えば上記通常状態とすることで通常状態での基準値の変更を行うことが可能となり、不正行為に対応する特定事象の発生を好適に検知することができる。
特に、変更手段が基準値を変更する構成とすると、検知値の振幅を変更する構成と比較して簡易な構成で上記の効果を奏することができる。具体的には、検知値の振幅を変更するには、検知手段において検知値を変化させるための構成(例えばオペアンプなど)が必要となる。これに対して基準値を変更する構成としては、検知値の変化量を監視する手段(例えばMPU222)のソフト的な変更で行えるため簡易な構成とすることができる。
特徴A2.遊技機の状態を監視可能であり、その監視結果に応じた処理(例えばタイマ割込み処理)を実行可能な制御手段(主制御装置122)を備え、
前記判定手段及び前記指令手段は、当該制御手段が備えていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、遊技機の状態を監視しその監視結果に応じた処理を実行する制御手段が、調整条件が成立しているか否かを判定し、調整指令を行う。したがって、遊技機の状態に合わせて、例えば遊技機が通常状態となった場合に検知手段における基準値の変更を行うことで、特徴A1で述べたように基準値のずれが生じず、不正目的に対応する特定事象の発生を好適に検知することが可能となる。
特徴A3.前記調整条件は、当該遊技機の所定の構成体(例えば内枠13)が遊技者により遊技が行われる場合の通常状態(例えば閉鎖状態)となった場合に成立するものであることを特徴とする特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、所定の構成体が遊技者により遊技が行われる通常状態となった場合に、変更手段によって基準値の変更がなされる。したがって、当該変更された基準値を用いることで、遊技者により遊技が行われる状況での基準値とずれが生じず、特定事象の発生を好適に検知することが可能となる。
特徴A4.遊技機本体に対して開状態と閉状態とのそれぞれに切替可能に支持され、前記検知手段が搭載されている又は前記検知手段の検知範囲に含まれる扉体(内枠13)を備え、
前記調整条件は、当該扉体が閉状態であることを少なくとも一の条件に成立するものであることを特徴とする特徴A1乃至A3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A4によれば、少なくとも扉体が閉状態である場合に調整条件が成立し、基準値の変更がなされる。例えば、扉体を開状態とする際には特定事象として振動が発生し得る。また、扉体には一般的に金属板や電気機器が搭載されており、扉体を開状態とすると、遊技機の通常状態で検知される電波や磁気の検知値が異なり得る。したがって、本構成のように、扉体が閉状態として基準値の変更を行うことで、基準値のずれを抑制し、特定事象の発生を好適に検知することが可能となる。
特徴A5.前記変更手段は、前記調整指令によって前記基準値を変更した後は、その後に前記扉体が開状態とされ更に前記閉状態となった場合には前記基準値の変更を行わない構成であることを特徴とする特徴A4に記載の遊技機。
特徴A5によれば、扉体が閉状態の際に基準値の変更がなされた後は、その後に扉体を開状態として再度閉状態としても基準値の変更がなされない。例えば、遊技機においては、遊技中に点検等のため扉体を開閉作業が行われる場合があり、当該点検の際も基準値の変更をする構成とすると、基準値の変更を行う頻度が多くなる。したがって、相対的に特定事象の発生を検知する期間が短くなり、好ましくない。これに対して本構成のように、基準値を変更した後に再度扉体が開閉されても基準値の変更を行わない構成とすることで、特定事象の発生を検知する期間を相対的に長くし、不正行為に対応する特定事象の発生を好適に検知することが可能となる。
特徴A6.前記検知手段は、前記扉体に設けられており、
さらに当該扉体の背面には、当該遊技機の電源を電入状態及び電断状態に切替可能な切換手段が設けられていることを特徴とする特徴A4又は特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、切替手段が扉体の背面に設けられていることから、当該切換手段により遊技機の電源を電断状態から電入状態に切替えるためには、扉体を開状態とする必要が生じる。一般的に遊技機は、島設備に対して並列させて設置され、このように並列させた各遊技機の扉体をそれぞれ開状態とすると、一の遊技機の扉体と他の遊技機の扉体との距離が短くなる。この状況においては、検知手段は当該扉体に設けられていることから、一の遊技機の扉体に設けられた検知手段と、他の遊技機の扉体との距離が近くなる。また、一般的に扉体には遊技の進行に必要な駆動装置等が搭載されており、当該駆動装置からも特定事象は発生し得る。つまり、このような他の遊技機の扉体との距離が近い状態で基準値の変更がなされると、他の遊技機の駆動装置等からの特定事象も加味してしまい、ずれが生じる可能性がある。これに対して、本構成によれば、特徴A4に記載したとおり、扉体が閉状態であることが調整条件の一条件となっているため、切換手段により電源の投入がなされた場合であっても、扉体が閉状態となってから基準値の変更がなされ、上記懸念される基準値のずれを抑制し、不正目的に対応する特定事象の発生を好適に検知することが可能となる。
特徴A7.前記変更手段による前記基準値を変更するための調整処理は、所定期間に亘って実行されるものであり、
前記検知手段は、当該所定期間においても前記特定事象の発生を前記対応処理実行手段が特定可能とする出力を実行するものであることを特徴とする特徴A1乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A7によれば、変更手段が基準値を変更している所定期間中も、特定事象の発生を対応処理実行手段が特定することができ、当該所定期間中においても不正目的に対応する特定事象の発生した場合の処置を実行することができる。
特徴A8.前記変更手段は前記調整指令により前記基準値の変更のための調整を開始し、当該調整が完了しなかった場合には前記検知手段からその旨の情報が出力される構成であり、
前記指令手段は、当該その旨の情報を受けた場合には、前記判定手段により前記調整条件が成立していると再度判定された場合に、前記検知手段に対して前記調整指令を再度行う構成であることを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A8によれば、調整指令による基準値の変更の調整が完了しなかった場合には、再度調整条件が成立した場合に基準値の変更の調整を開始することができる。例えば、基準値の変更の調整が完了しなかった場合に再び自動的に当該調整が開始される構成とすると、調整条件が成立していない状態で調整が開始される可能性がある。この場合、調整条件が成立していないため、既に述べたとおり、基準値がずれる不都合が懸念される。これに対して本構成によれば、再度調整条件が成立した場合に調整が開始されるため、上記懸念される不都合の発生を抑制することができる。
特徴A9.前記変更手段は、動作電源が供給された場合には、前記調整指令に基づかず前記基準値の変更を行う構成であることを特徴とする特徴A1乃至A8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A9によれば、変更手段は動作電源が供給された場合及び調整指令を受けた場合に基準値の変更を行う。例えば、調整指令を受けた場合のみ基準値の変更がなされる構成とすると、調整条件が成立しないようにして意図するタイミングで調整条件を成立させる不正行為が想定される。この場合、基準値の調整中に特定事象を発生させ基準値をずらして変更させると、その後に特定事象を発生させても特定出力がなされず、当該不正行為が特定されない可能性がある。不正行為に対応する特定事象は、遊技機周囲の環境による特定事象よりも検知値の変動が大きいことが想定されるところ、本構成によれば、調整条件を成立させない不正行為がなされた場合であっても、少なくとも動作電源が供給された場合に基準値の変更がなされるため、当該変更された基準値を用いて、少なくとも不正行為に対応する特定事象を特定することが可能となる。
特徴A10.動作電源が供給された場合に初期駆動を実行する駆動手段(例えば遊技球発射機構40)を備え、
前記変更手段は、当該駆動手段による前記初期駆動が行われた後に、前記調整指令により前記基準値の変更を行うものである構成であることを特徴とする特徴A1乃至A9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A10によれば、駆動手段の初期駆動により発生する特定事象を加味しないで基準値の変更を行うことが可能となる。当該初期駆動による特定事象は電源投入時特有のものであることから、当該特定事象を加味して基準値を変更すると、不正目的に対応する特定事象の発生を検知すべき状態と基準値のずれが生じることになる。これに対して本構成によれば、不正目的に対応する特定事象の発生を検知すべき状態で基準値の変更を行うことができ、好適に不正行為を特定することが可能となる。
特徴A11.前記指令手段は、前記検知手段が前記特定出力を行うことが可能な状況で前記判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に前記調整指令を行う構成であり、
前記検知手段は、前記基準値を変更した場合にその調整結果を前記対応処理実行手段に対して出力する構成であり、
前記対応処理実行手段は、前記特定出力と、前記調整結果の出力とを区別することが可能な構成であることを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A11によれば、特定事象の発生に対応する特定出力と、調整結果の情報に対応する出力と、が区別されるため、対応処理実行手段は、特定事象の発生を特定しつつ基準値の調整結果を特定することができる。したがって、不正行為に対応する特定事象の発生を特定すべきタイミングと、基準値の変更を行ったタイミングと、が重なる場合であっても、それぞれの情報に基づいて別々の対応処理を実行することが可能となる。
各情報に対応した処理とは、不正行為を特定した場合には、例えば、遊技機に設けられた報知手段による報知を行うための処理や、遊技の進行に関する制御を停止させる処理が考えられ、基準値の調整結果を特定した場合には、例えば、調整結果によって再度調整を行わせる処理や、調整結果を報知する処理が考えられる。
特徴A12.前記検知手段は、前記特定事象として磁気を検知するものであることを特徴とする特徴A1乃至A11のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A12によれば、不正に印加される磁気を検知して、上述の優れた効果を奏することができる。
一般的に遊技機には、遊技球が入球可能な開口部が設けられており、開口部に遊技球が入球することに基づいて特典が付与される。また、所定の開口部に遊技球が入球すると、遊技者にとって有利な有利状態に移行させるか否かの判定が行われる。したがって、磁気を用いて遊技球をこれら開口部に誘導する不正行為が懸念される。そこで、検知手段が磁気を検知することで、当該不正行為を抑制することが可能となる。
一方、遊技機には各種駆動装置が搭載されており、これら各種駆動装置が駆動することによっても磁気は発生する。また、遊技ホールの環境によっては、例えば高架下の遊技ホールなどは地磁気が検知手段の検知値に影響を及ぼし得る。これら駆動装置により発生する磁気や遊技ホールの環境による地磁気は、遊技の進行中も検知手段により検知され得る磁気といえる。したがって、これらの磁気を加味して基準値を変更することで、遊技の進行中も検知手段により検知され得る磁気を除外して、好適に不正行為に対応する磁気を検知することが可能となる。
しかし、遊技機の電源投入時には立ち上げ処理として各種駆動装置の初期駆動が行われ、当該初期駆動によっても磁気が発生する。更に電源投入時には、各種駆動装置に対して電圧が印加されることにより磁場が変化する。これらの磁気の発生や磁場の変化は、不正目的で印加される磁気とは異なり、電源投入時特有のものといえる。したがって、電源投入時の起動処理で基準値を変更すると、これら電源投入時特有の磁気や磁場の変化を加味して基準値がずれてしまう。これに対して、特徴A1で述べたとおり、調整条件が成立した場合に検知手段に基準値を変更させることで、電源投入時特有の磁気を排除し、誤検知を抑制しつつ不正目的で印加される磁気を好適に検知することが可能となる。
特徴A13.特定事象(例えば磁気)が発生した場合に検知値が変動し、基準値(0値)に対する当該検知値の変化量が所定値(閾値)に達したことに基づいて特定出力(検知状態信号をHIレベル信号に切替える)を行う検知手段(磁気センサモジュール81)と、
前記特定出力を前記検知手段が行ったことに基づいて、対応処理(主制御装置122のMPU211におけるステップS1105及びステップS1106の処理)を実行する対応処理実行手段(主制御装置122のMPU211における磁気検知用処理を実行する機能)と、
を備え、
前記検知手段は、前記基準値と前記検知値との相対関係(0値及び閾値により規定される感度、又は検知値の振幅により規定される感度)を変更する変更手段(磁気センサモジュール81のMPU222における第2オフセット処理又は第2調整用検知処理を実行する機能)を備え、
調整条件が成立しているか否かを判定する判定手段(主制御装置122のMPU211におけるセンサ補正処理を実行する機能)と、
当該判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に、前記検知手段に対して調整指令(オフセット信号又は調整信号をHIレベル信号に切替える)を行う指令手段(主制御装置122のMPU211におけるステップS1011、ステップS1509又はステップS1604の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記変更手段は、前記指令手段が前記調整指令を行った場合に前記相対関係の変更を行うものであることを特徴とする遊技機。
特徴A13によれば、検知手段は特定出力を行う基準となる基準値と検知値との相対関係を、調整条件が成立したことにより変更できる。当該検知手段は、基準値に対する検知値の変化量が所定量に達した場合に特定出力を行う構成であることから、変更した相対関係によっては所定値に達する場合もあれば、所定値に達しない場合もある。したがって、当該相対関係の変更は、不正行為の発生の可能性が高い遊技者により遊技が行われる遊技機の通常状態を基準として行うべきである。例えば、電源投入時の起動処理により相対関係の変更を行う構成とすると、上記通常状態とは異なる状態で相対関係の変更がなされたことになる。この場合、当該相対関係を用いると検知値が所定値に達せず特定出力が行われない可能性もあり、特定事象の発生を好適に検知できない。そこで本遊技機では、判定手段により調整条件が成立していると判定された場合に、検知手段に対して調整指令がなされ検知手段の基準値と検知値との相対関係を変更させる構成としているため、電源投入タイミングとは関係なく、調整条件を例えば上記通常状態とすることで通常状態で相対関係の変更を行うことが可能となり、不正行為に対応する特定事象の発生を好適に検知することができる。
上記特徴A13に対して、上記特徴A1乃至A12のいずれかにおいて限定した構成を適用してもよい。
<特徴B群>
特徴B1.特定事象(例えば磁気)が発生した場合に検知値が変動し、基準値(0値)に対する当該検知値の変化量が所定値(閾値)に達したことに基づいて特定出力(検知状態信号をHIレベル信号に切替える)を行う検知手段(磁気センサモジュール81)と、
前記特定出力を前記検知手段が行ったことに基づいて、対応処理(主制御装置122のMPU211におけるステップS1105及びステップS1106の処理)を実行する対応処理実行手段(主制御装置122のMPU211における磁気検知用処理を実行する機能)と、
を備え、
前記検知手段は、前記検知値の振幅(感度係数G)を前記所定値に応じて変更する変更手段(磁気センサモジュール81のMPU222における第2調整用検知処理を実行する機能)を備え、
調整条件が成立しているか否かを判定する判定手段(主制御装置122のMPU211におけるセンサ補正処理を実行する機能)と、
当該判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に、前記検知手段に対して前記振幅の調整指令(調整信号をHIレベル信号に切替える)を行う指令手段(主制御装置122のMPU211におけるステップS1011、ステップS1509又はステップS1604の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記変更手段は、前記指令手段が前記調整指令を行った場合に前記所定値に応じて前記検知値の振幅を変更するものであることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、検知手段は特定出力を行う基準となる検知値の振幅を、調整条件が成立したことにより変更できる。当該検知手段は、基準値に対する変化量が所定量に達した場合に特定出力を行う構成であることから、所定値に応じて検知値の振幅を変更した場合には、同じ強度の特定事象でも検知値の変化量が変化し所定値に達する場合もあれば、所定値に達しない場合もある。したがって、当該検知値の振幅は、不正行為の発生の可能性が高い遊技者により遊技が行われる遊技機の通常状態を基準として変更すべきである。例えば、電源投入時の起動処理により検知値の振幅の変更を実行する構成とすると、上記通常状態とは異なる状態で検知値の振幅の変更がなされたことになる。この場合、当該振幅を用いると所定値に達せず特定出力が行われない可能性もあり、特定事象の発生を好適に検知できない。そこで本遊技機では、判定手段により調整条件が成立していると判定された場合に、検知手段に対して調整指令がなされ検知手段の検知値の振幅を変更させる構成としているため、電源投入タイミングとは関係なく、調整条件を例えば上記通常状態とすることで通常状態での検知値の振幅の変更を行うことが可能となり、不正行為に対応する特定事象の発生を好適に検知することができる。
特に、変更手段が検知値の振幅を変更する構成とすると、基準値を変更する構成と比較して遊技機の周囲で発生する特定事象の強弱の影響を低減することができる。具体的には、基準値を変更する構成とすると、遊技機の周囲で発生する特定事象が検知手段の検知限界付近である場合には検知値が安定せず基準値を好適に変更できない等の不都合が懸念される。これに対して、検知値の振幅を変更することで、検知手段の検知限界の幅を広げることになり、上記懸念される不都合を回避することができる。
特徴B2.前記変更手段は、前記基準値を前記検知値に応じて変更する手段(磁気センサモジュール81のMPU222における第2オフセット処理を実行する機能)を備え、
前記変更手段は、前記基準値を前記検知値に応じて変更した後に、前記検知値の振幅を変更するものであることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、調整指令によって基準値が検知値に応じて変更された後に、検知値の振幅が変更される。検知値の振幅を変更する際に検知値が所定値に対してかけ離れている場合、振幅の変更を繰り返し行う必要が生じてしまう等の不都合が懸念される。したがって、基準値を変更してから振幅を変更する構成とすることで、上記懸念される不都合を回避して振幅の変更を好適に行うことができる。
特徴B3.前記変更手段は、前記検知値の振幅を変更した後に、当該変更した振幅に基づく検知値が前記所定値との関係で所定の条件(閾値を検知値が越える、又は検知値が閾値を下回る)を満たした場合には当該振幅に基づいて最終的な振幅を決定し、前記変更した振幅に基づく検知値が前記所定値との関係で前記所定の条件を満たさない場合には前記振幅を更に変更して当該変更した振幅に基づく検知値が前記所定値との関係で前記所定の条件を満たすか否かを確認する構成であることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、振幅の変更を段階的に行う。このような振幅の変更が段階的になされる構成において、特徴B2に記載したように、振幅の変更前に基準値の変更がなされているため、変更後の振幅に基づく検知値が所定値との関係で所定の条件を満たす可能性が高く、比較的スムーズに振幅を変更するための処理を終了することができる。したがって、振幅を変更するための処理中に特定事象の発生を特定することが困難である場合であっても、上記のように処理がスムーズに進行するため、特定事象の発生を特定容易な期間を相対的に長くし、不正行為に対応する特定事象の発生を好適に検知することが可能となる。
特徴B4.前記所定値は、遊技場での設置状態における内的要因(地磁気や各種制御装置等による磁気)により変化し得る前記検知値の範囲よりも大きい又は小さい値に設定されていることを特徴とする特徴B1乃至B3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B4によれば、所定値に対応させて検知値の振幅を変更する際に、振幅を大きくするか小さくするかの一方の処理のみで行えるため、簡易な処理構成で変更することができる。
上記特徴B1乃至B4のいずれか1に対して、上記特徴A1乃至A13のいずれかにおいて限定した構成を適用してもよい。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構40)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域(遊技領域Z)に導く球通路(内レール部51及び外レール部52からなる誘導レール)と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口53等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、更に、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。
10…遊技機としてのパチンコ機、13…内枠、40…遊技球発射機構、81…磁気センサモジュール、122…主制御装置、201…主制御基板、211…MPU、221…磁気センサ、222…MPU。

Claims (10)

  1. 特定事象が発生した場合に検知値が変動し、基準値に対する当該検知値の変化量が所定値に達したことに基づいて特定出力を行う検知手段と、
    前記特定出力を前記検知手段が行ったことに基づいて、対応処理を実行する対応処理実行手段と、
    を備え、
    前記検知手段は、前記基準値と前記検知値との相対関係を変更する変更手段を備え、
    調整条件が成立しているか否かを判定する判定手段と、
    当該判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に、前記検知手段に対して調整指令を行う指令手段と、
    を備え、
    前記変更手段は、前記指令手段が前記調整指令を行った場合に前記相対関係の変更を行うものであることを特徴とする遊技機。
  2. 特定事象が発生した場合に検知値が変動し、基準値に対する当該検知値の変化量が所定値に達したことに基づいて特定出力を行う検知手段と、
    前記特定出力を前記検知手段が行ったことに基づいて、対応処理を実行する対応処理実行手段と、
    を備え、
    前記検知手段は、前記基準値を前記検知値に応じて変更する変更手段を備え、
    調整条件が成立しているか否かを判定する判定手段と、
    当該判定手段により前記調整条件が成立していると判定された場合に、前記検知手段に対して前記基準値の調整指令を行う指令手段と、
    を備え、
    前記変更手段は、前記指令手段が前記調整指令を行った場合に前記基準値を前記検知値に応じて変更するものであることを特徴とする遊技機。
  3. 遊技機の状態を監視可能であり、その監視結果に応じた処理を実行可能な制御手段を備え、
    前記判定手段及び前記指令手段は、当該制御手段が備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
  4. 前記調整条件は、当該遊技機の所定の構成体が遊技者により遊技が行われる場合の通常状態となった場合に成立するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の遊技機。
  5. 遊技機本体に対して開状態と閉状態とのそれぞれに切替可能に支持され、前記検知手段が搭載されている又は前記検知手段の検知範囲に含まれる扉体を備え、
    前記調整条件は、当該扉体が閉状態であることを少なくとも一の条件に成立するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の遊技機。
  6. 前記変更手段は、前記調整指令によって前記基準値を変更した後は、その後に前記扉体が開状態とされ更に前記閉状態となった場合には前記基準値の変更を行わない構成であることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
  7. 前記検知手段は、前記扉体に設けられており、
    さらに当該扉体の背面には、当該遊技機の電源を電入状態及び電断状態に切替可能な切換手段が設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の遊技機。
  8. 前記変更手段による前記基準値を変更するための調整処理は、所定期間に亘って実行されるものであり、
    前記検知手段は、当該所定期間においても前記特定事象の発生を前記対応処理実行手段が特定可能とする出力を実行するものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の遊技機。
  9. 記変更手段は前記調整指令により前記基準値の変更のための調整を開始し、当該調整が完了しなかった場合には前記検知手段からその旨の情報が出力される構成であり、
    前記指令手段は、当該その旨の情報を受けた場合には、前記判定手段により前記調整条件が成立していると再度判定された場合に、前記検知手段に対して前記調整指令を再度行う構成であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の遊技機。
  10. 前記検知手段は、前記特定事象として磁気を検知するものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の遊技機。
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