以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態では、遊技機1の一例としてパチンコ遊技機を例にとって説明を行うが、本発明の対象となる遊技機1としては、このようなパチンコ遊技機以外に、スロット遊技機等、各種遊技機を採用することが可能である。まず、遊技機1の全体の構成について説明する。図1は遊技機1を正面からみた正面図である。図1の右下に、遊技機1に関する座標系を定義しておく。遊技機1を正面からみたとき、左方向をX軸正の方向、上方向をY軸正の方向、手前から奥に貫く方向をZ軸正の方向である。定義した座標系は、図14、図15、図21で説明する遊技機1の座標系と同一である。
遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示せず)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球を発射する打球操作ハンドル5(操作ノブ)が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の遊技用部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された遊技用部品としての演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、特別図柄の可変表示に同期した飾り図柄の可変表示を行う飾り図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、飾り図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。飾り図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の識別情報を、例えば上から下に移動するように可変表示する。飾り図柄表示領域には「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L,9C,9R(図柄表示ライン)があるが、図柄表示エリア9L,9C,9Rの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリア9L,9C,9Rの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100によって制御される。演出制御用マイクロコンピュータ100が、特別図柄表示器8で特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
遊技盤6における下部の左側には、識別情報としての特別図柄を可変表示する特別図柄表示器8が設けられている。この実施の形態では、特別図柄表示器8は、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、特別図柄表示器8は、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。小型の表示器は、例えば方形状に形成されている。また、この実施の形態では、特別図柄表示器8は、例えば、00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示する等、各種表示形態を採用することが可能である。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13(第1始動口)を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。また、第1始動入賞口13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14(第2始動口)を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開放状態とされる。可変入賞球装置15が開いた状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。また、可変入賞球装置15が閉じた状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口14に極めて入賞しやすい。なお、この実施の形態では、図1に示すように、第2始動入賞口14に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
特別図柄表示器8の側方には、始動入賞口に入った有効入賞球数すなわち保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出されると、保留記憶数が上限値に達していないことを条件として(有効始動入賞であることを条件として)、保留記憶数を1増やす。また、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1増やす。そして、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、開始条件が成立したこと)、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始される。すなわち、特別図柄の可変表示は、始動入賞口への入賞に対応する。なお、特別図柄表示器8での可変表示が開始される毎に、特別図柄保留記憶表示器18において点灯する表示器の数を1減らす。
また、演出表示装置9の表示画面には、保留記憶数を表示する領域(以下、保留記憶表示部18cという。)が設けられている。
特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、可変表示時間が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示(確定)させることである。
特別図柄表示器8において、特別図柄の可変表示が開始された後、所定時間(変動時間)が経過すると、特別図柄の可変表示結果である停止図柄を停止表示(導出表示)する。大当りにすることに決定されている場合には、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示される。はずれにすることに決定されている場合には、大当り図柄以外の特別図柄が停止表示される。大当り図柄が導出表示された場合には、遊技状態が、特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。この実施の形態では、一例として、「3」、「7」を示す数字を大当り図柄とし、「−」を示す記号をはずれ図柄にする。
特別図柄表示器8に大当り図柄が停止表示された場合には、特別可変入賞球装置20における開閉板が、所定期間(例えば、29秒間)または所定個(例えば、10個)の入賞球が発生するまでの期間、開放状態になって、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態に変化させるラウンドが開始される。ラウンドの回数は、例えば15である。
また、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が時短状態に制御される。時短状態では、通常状態(確変状態や時短状態ではない状態)に比べて特別図柄の可変表示における特別図柄の変動時間が短縮される。時短状態は、例えば、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の可変表示が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了する。なお、大当り状態が終了した後に、時短状態にせずに通常状態になるようにしてもよい。
遊技状態を確変状態に制御することに決定されている場合には、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が確変状態に制御される。確変状態は、例えば、次に可変表示結果として大当り図柄が導出表示されるまで継続する。遊技状態を大当り遊技状態に制御することに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、大当り図柄という。そして、遊技状態を大当り状態に制御しないことに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、はずれ図柄という。
また、確変状態では、低確率状態(通常状態)に比べて、大当りに決定される確率が高くなっている。例えば、10倍になっている。具体的には、確変状態では、大当り判定用乱数の値と一致すると大当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて10倍になっている。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率が高められている。すなわち、第2始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなっている。具体的には、確変状態は、普通図柄当り判定用乱数の値と一致すると当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて多い。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めることに加えて、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。また、時短状態でも、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めたり、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。
演出表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における飾り図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点が同じであって、可変表示の期間が同じであることをいう。特別図柄表示器8において大当り図柄が停止表示されるときと、演出表示装置9において大当りを想起させるような飾り図柄の組み合わせが停止表示される。
演出表示装置9の表示領域では、開始条件が成立したことにもとづいて、「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動が開始され、例えば、「左」→「右」→「中」の順序で飾り図柄の停止図柄が停止表示(導出表示)される。
飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアにおいて停止図柄が導出表示されるまでの期間(可変表示期間=変動時間)で、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された飾り図柄が大当り組み合わせの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の飾り図柄が大当り組み合わせの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、特別図柄表示器8に特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
遊技領域7には、遊技球の入賞にもとづいてあらかじめ決められている所定数の景品遊技球の払出を行うための入賞口(普通入賞口)29、30、33、39も設けられている。入賞口29、30、33、39に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aで検出される。
遊技盤6の右側方には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示する。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開放状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。
普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。また、確変状態ではないが図柄の変動時間が短縮されている時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)でも、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
遊技盤6の遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25(ランプでもよい。)が設けられ、下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカー27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED(ランプでもよい。)28が設けられている。
遊技機1には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入り、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aで検出された後、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄の可変表示が開始されるとともに、演出表示装置9において飾り図柄の可変表示が開始される。
図2は、主基板31(遊技制御基板)における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等、主基板31の周囲構成も含めて示されている。主基板31には、プログラムに従って遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は1チップマイクロコンピュータとして構成されている。なお、1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
RAM55は、その一部または全部が電源基板(図示せず)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータはRAM55に保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路503は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を可変表示(変動表示)する特別図柄表示器8、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18および普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う。
本実施形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する演出表示装置9の表示制御を行う。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、ランプドライバ基板35を介して、遊技盤に設けられている装飾LED25や枠側に設けられている枠LED28等の表示制御を行うとともに、音声出力基板70を介してスピーカー27からの音出力の制御を行う。
また、主基板31には、ホール管理コンピュータと通信可能な通信部42が接続されている。通信部42は、ホール管理コンピュータと通信接続され、大当り遊技状態等、各種遊技状態を示す情報を、通信部42を介してホール管理コンピュータに送信することが可能である。また、通信部42は、磁気検出器90により、磁石を使用した不正検出が判定された場合にも、不正を示す情報をホール管理コンピュータに送信する。
また、主基板31には、中継基板60を介して磁気検出器90が接続されている。本実施形態の中継基板60は、磁気検出器90の出力に基づいて、外部磁気の有無を検出する機能(後述する検出部189)と、磁気検出器90に電源を供給する機能を備えている。磁気検出器90は、遊技機1の外部から磁石をあてがう等、外部磁気による不正操作を検出するためのセンサーであって、不正操作による外部磁界により発生した信号を検出部189に出力する。検出部189は、磁気検出器90からの信号に基づいて、外部磁気を検出した場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560にエラー信号を出力する。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、エラー信号を受信した場合、演出表示装置9、スピーカー27、通信部42を使用してホールスタッフ等の管理者に対し、遊技機1に異常があったことを報知する異常報知処理を実行する。
本実施形態では、中継基板60に、外部磁気の有無を検出する検出部189を設けた形態としているが、検出部189は、磁気検出器90内部に設ける形態、あるいは、主基板31に設ける形態とすることも可能である。
図3は、中継基板77、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。なお、図3に示す例では、ランプドライバ基板35および音声出力基板70には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板35および音声出力基板70を設けずに、演出制御に関して演出制御基板80のみを設けてもよい。演出制御基板80のみを設けた場合には、図3に示すランプドライバ基板35および音声出力基板70に搭載されている回路等も、演出制御基板80に搭載される。
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、および演出制御プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。本実施形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
本実施形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行うVDP109が演出制御基板80に搭載されている。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP109は、VRAM内の画像データを、フレームメモリを介して演出表示装置9に出力する。
演出制御用CPU101は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP109に出力する。CGROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP109は、演出制御用CPU101の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP109は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバ102に入力する。入力ドライバ102は、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。なお、図3に示す出力ポート571は、図2に示されたI/Oポート部57の一部である。
さらに、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート104を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ351を介してLEDドライバ352に入力される。LEDドライバ352は、LEDを駆動する信号にもとづいて枠LED28などの枠側に設けられている発光体に電流を供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25に電流を供給する。
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し、増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカー27に出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
例えば、音番号データに応じた制御データとして、所定の期間内の効果音(音声および楽曲を含む。)のディジタルデータが音声データROM704に格納されている。ディジタルデータとして、例えばPCMデータが使用される。その場合には、1秒間の効果音が8ビット×8k(8000)=64kビットで表される。なお、ここでは、PCMデータを用いる場合を例にするが、ADPCMデータ等の他の形式のデジタル音声データを用いてもよい。
次に、遊技機1の動作について説明する。図4は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機1に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを第2モードに設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAM55をアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、第2モードとは、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合(ステップS6:Y)には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10〜S13)。
クリアスイッチがオンの状態でない場合(ステップS6:N)には、遊技機1への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら(ステップS7:N)、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら(ステップS7:Y)、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合(ステップS8:N)には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常(ステップS8:Y)であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを演出制御基板80に送信する(ステップS43)。そして、ステップS47に移行する。
初期化処理(ステップS10〜S13)では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次RAM55における作業領域に設定する(ステップS12)。ステップS11およびステップS12の処理によって、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
そして、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)を演出制御基板80に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。なお、初期化処理において、CPU56は、客待ちデモンストレーション指定(デモ指定)コマンドも送信する。
そして、CPU56は、乱数回路503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS47)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路503にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
そして、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう(ステップS48)。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS50)および初期値用乱数更新処理(ステップS51)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS49)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS52)。
この実施の形態では、表示用乱数とは、変動パターン等を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施の形態では、初期値用乱数とは、普通図柄の当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ560が、遊技機1に設けられている可変表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、大当り判定用乱数発生カウンタ等のカウント値が1周(乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図5に示すステップS20〜ステップS35のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、CPU56は、特別図柄表示器8、普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。特別図柄表示器8および普通図柄表示器10については、ステップS32、ステップS33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通当り図柄決定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24、S25)。
なお、この実施の形態では、大当り判定用乱数(ランダムR)は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されたハードウェアが生成する乱数であるが、大当り判定用乱数として、遊技制御用マイクロコンピュータ560によってプログラムに基づいて生成されるソフトウェア乱数を用いてもよい。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、特別図柄表示器8および大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、ホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a、30a、33a、39aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置22を駆動する。
この実施形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1加算する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示を実行する。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ステップS34の不正検出処理において、中継基板60からのエラー信号が異常状態(磁石を検出した状態)を示しているか否か確認し、エラー信号が異常状態を示していた場合、演出表示装置9、スピーカー27、通信部42等を使用して、ホールスタッフ等の管理者に対して異常を通知する異常報知処理を実行する。本実施形態では、この異常報知処理を遊技制御用マイクロコンピュータ560で実行することとしているが、異常報知処理は、演出制御用マイクロコンピュータ100等、遊技制御用マイクロコンピュータ560以外の構成を使用して実行することとしてもよい。一連の処理を実行した後、割込許可状態に設定し(ステップS35)、タイマ割込処理を終了する。
この実施形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S34(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理を実行しているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
次に、演出制御手段の動作を説明する。図6は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、所定の乱数を生成するためのカウンタのカウンタ値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS702)。そして、タイマ割込フラグの監視(ステップS703)を行う。タイマ割込フラグがセットされていない場合(ステップS703:N)には、ステップS702に移行する。なお、タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。タイマ割込フラグがセットされていたら(ステップS703:Y)、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS704)、ステップS705〜S706の演出制御処理を実行する。
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:ステップS705)。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS706)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置9の表示制御を実行する。
図7は、図6に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS706)を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理では、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S807のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800):演出制御プロセスフラグの値が変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値である場合に実行される。変動パターンコマンド受信待ち処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターンコマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターンコマンドを受信している場合には、そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動開始処理(ステップS801):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動開始処理では、飾り図柄および飾り図柄の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動中処理(ステップS802):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動中処理では、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切り替えタイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値に更新する。
飾り図柄変動停止処理(ステップS803):演出制御プロセスフラグの値が飾り図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値である場合に実行される。飾り図柄変動停止処理では、全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)を受信したことにもとづいて、飾り図柄(および飾り図柄)の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(ステップS804)または変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
大当り表示処理(ステップS804):演出制御プロセスフラグの値が大当り表示処理(ステップS804)に対応した値である場合に実行される。大当り表示処理では、変動時間の終了後、演出表示装置9に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
ラウンド中処理(ステップS805):演出制御プロセスフラグの値がラウンド中処理(ステップS805)に対応した値である場合に実行される。ラウンド中処理では、ラウンド中の表示制御を行う。そして、ラウンド終了条件が成立したら、最終ラウンドが終了していなければ、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(ステップS806)に対応した値に更新する。最終ラウンドが終了している場合には、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値に更新する。
ラウンド後処理(ステップS806):演出制御プロセスフラグの値がラウンド後処理(ステップS806)に対応した値である場合に実行される。ラウンド後処理では、ラウンド間の表示制御を行う。そして、ラウンド開始条件が成立したら、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
大当り終了演出処理(ステップS807):演出制御プロセスフラグの値が大当り終了演出処理(ステップS807)に対応した値である場合に実行される。大当り終了演出処理では、演出表示装置9において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
図8は、磁気検出器90の外観を示す斜視図である。図8(A)は、磁気検出器90を斜め上から見たときの斜視図であり、図8(B)は、磁気検出器90を斜め下から見たときの斜視図である。両斜視図には、磁気検出器90について定義された座標系(xyz)が記載されている。磁気検出器90は、上ケース92と下ケース93を組み合わせることで形成された筐体91を有する。また、外部に露出する構成としてケーブルを接続するためのコネクタ94を有する。また、下ケース93の下面には、筐体91の内部に斜面93dを形成するための斜面形成部93aが形成されている。
図9は、磁気検出器90の組み立てを説明するための斜視図である。磁気検出器90は、主な構成として、上ケース92、基板95、下ケース93、永久磁石89を有して構成されている。上ケース92、下ケース93は、それぞれプラスチック等の樹脂で形成されており、両者が嵌合した際、上ケース92側の両辺に設けられた係止片92aが、下ケース93側の係止孔93fに嵌まることで両者を固定する。
下ケース93は、永久磁石89を収容するための収容空間93cと、基板95を収容するための基板配置空間93gに分離する収容壁93bを有している。収容空間93cの下面は、永久磁石89を初期位置に保持するための斜面93dが形成されている。斜面93dは、磁気検出器90に外部磁気や振動が作用していない状態において、永久磁石89を初期位位置に位置させる。永久磁石89(本発明の「移動体」に相当)は、収容空間93c内で自由に移動可能であり、外部磁気(あるいは振動)の影響を受けて移動する。本実施形態では、永久磁石89の形状を球形としたが、永久磁石136は、移動(転がり)可能な形状であれば、円筒形状等、各種形状を採用することが可能である。なお、収容空間93c内には位置する移動体としては、永久磁石89のみならず、外部磁気の影響を受けて移動する物体であれば各種形態を採用することが可能である。
また、収容壁93bには、2つの切り欠き93eが設けられている。これら切り欠き93eは、上ケース92と下ケース93が嵌合した際、光センサーの光を通すための導光路を形成する。基板配置空間93gには基板が配置される。基板95は、磁気検出器90の電気的な構成を搭載する部材であって、本実施形態では、光センサー(発光素子96と受光素子97のペア)、各種電子部品98a〜98e、ケーブルを接続するためのコネクタ94を搭載している。発光素子96と受光素子97は、発光素子96で出射した光を受光素子97で受光することで永久磁石89の移動を検出することになるため、両者の位置合わせを正確に行う必要があるが、本実施形態では、発光素子96と受光素子97は、基板95上で位置合せが完了した状態となっている。したがって、磁気検出器90の組み立て時に、発光素子96と受光素子97の位置合わせを必要とせず、組み立てを簡単なものとしている。
基板95の形状は、下ケース93の基板配置空間93gの内部形状に合わせて形成されている。そのため、基板95を基板配置空間93gに配置した際、発光素子96と受光素子97は下ケース93内において適切な位置に配置される。発光素子96と受光素子97は、切り欠き93eによって形成される導光路に合わせて配置する必要があるが、本実施形態では、発光素子96と受光素子97が適切な位置に配置された基板95を、基板配置空間93gに設置するだけで、発光素子96、受光素子97、切り欠き93eにて形成される導光路の位置関係を適切にすることが可能となっている。
磁気検出器90の組み立ては、まず、下ケース93の基板配置空間93gに基板95を配置し、収容空間93cに永久磁石89を配置する。図10は、このときの下ケース93の上面図である。図10の上面図から分かるように発光素子96と受光素子97の間に切り欠き93eが位置した状態となっており、切り欠き93eで形成される導光路と、光センサーの位置関係が適切になっていることが分かる。次に、この状態の下ケース93に、上ケース92を嵌合する。上ケース92に向けられた係止片92aが、下ケース93に設けられた係止孔93fに嵌まることで両者は強固に固定される。このように本実施形態の磁気検出器90は、光センサーと導光路の関係を正確に維持しつつ、簡単な作業で組み立てることが可能となっている。
図11は、組み立て後の磁気検出器90の内部を示す断面図である。図11(A)は、zx平面における磁気検出器90の断面図である。図11(B)は、xy平面について、図11(A)に示すB−B間での断面図である。図11(C1)は、yz平面について、図11(A)に示すC1−C1間での断面図である。図11(C2)は、yz平面について、図11(A)に示すC2−C2間での断面図である。
図11に示す断面図において、理解を助けるため、上ケース92の断面は縦線でハッチングし、下ケース93の断面は斜線でハッチングしている。下ケース93の内部構成については、図9、図10で説明したように、内部空間を収容壁93bで仕切ることで、収容空間93c、基板配置空間93gを形成している。一方、上ケース92は、周囲壁92bを有して構成されている。磁気検出器90の形成時、図11(C2)、図11(B)から分かるように、周囲壁92bは基板95と突き当たることで、基板95を上ケース92と下ケース93の間で挟持し、基板95を正確な位置に位置決めしている。また、図11(A)から分かるように、周囲壁92bには2つの突起92cが設けられている。この突起92cは、磁気検出器90の形成時、下ケース93の切り欠き93eに位置し、切り欠き93e部分において、突起92cと下ケース93との間に導光路を形成する。
導光路形成の様子は、図11(B)の断面図にてよくみてとれる。突起92cは、切り欠き93e部分の下まで達しない高さを有しており、切り欠き93eの残った空間が導光路となる。ちょうど導光路部分において発光素子96と受光素子97が対峙して配置されるため、発光素子96から出射した光は、導光路を通過して受光素子97で受光することが可能となる。このように本実施形態では、(1)発光素子96と受光素子97が同じ基板95に配置されていること、(2)基板95が基板配置空間93gの形状に合わせて形成されていること、(3)上ケース92側に形成した突起92cと下ケース93の切り欠き93eとの間で導光路を形成すること、によって簡単な構成かつ簡単な作業で、光センサーと導光路が正確に位置する磁気検出器90を構成している。
図12は、上ケース92と下ケース93によって形成される導光路、及び、導光路の周囲を説明するための図である。図12(A)は、yz平面における磁気検出器90の一部断面斜視図(磁気検出器90の上面、及び、基板95は略して記載している)である。なお、図11と同様、上ケース92の断面は縦線でハッチングし、下ケース93の断面は斜線でハッチングしている。また、上ケース92の表面を薄い褐色でハッチングし、下ケース93の表面を濃い褐色でハッチングしている。この断面斜視図を見て分かるように、下ケース93が形成する切り欠き93eの上面に、上ケース92の突起92cが嵌まることで導光路が形成されていることがみてとれる。
ところで、本実施形態において、永久磁石89の位置を正確に検出するには、受光素子97は、導光路のみを通過した光(発光素子96の直接光)を受光することが好ましい。直接光以外の間接光を受光した場合、光センサーの誤検出となってしまうことが考えられる。そのため、本実施形態では、導光路以外から光が漏れることを抑制する構成を有している。図12(B)は、図12(A)中、導光路の上部に表示するA−A間について、zx面での断面を示した図である。収容空間93c外部、あるいは、収容空間93c内部への漏れ光を防ぐため、収容壁93bの周囲を周囲壁92bで覆う二重構造となっている。突起92cと切り欠き93eの間には、組み立て上、隙間が生じる場合もある。本実施形態では、このような二重構造により、例えば、収容空間93c側から、突起92cと切り欠き93eの間を光が通過した場合であっても、周囲壁92bで光を阻止することで、基板配置空間93g内に光が漏れることの抑制を図っている。特に、本実施形態では、収容壁93bと周囲壁92b間が屈曲した経路となっており、光の漏れを効果的に抑制している。
図13は、磁気検出器90、中継基板60の回路構成を示す図である。磁気検出器90は、外部に設置された中継基板60とケーブルを介して接続されている。本実施形態では、磁気検出器90側に発光素子96、受光素子97、電子部品98a〜98dを有し、中継基板60側にA/D変換器188と検出部189を有している。中継基板60は電源端子を有し、電源端子に印加された電源電圧を、ケーブルを介して磁気検出器90に供給する。磁気検出器90側において、発光素子96は、発光素子96に流れる電流を制限するための電子部品98a(抵抗)を介して電源電圧に接続されている。また、受光素子97は、受光素子97のオン/オフ検出用の電子部品98c(抵抗)を介して電源電圧に接続されている。また、電子部品98b(FET)は、受光素子97の検出用であって、その出力側には、静電気対策の電子部品98d(抵抗)、電子部品98e(コンデンサ)が接続されている。
永久磁石89が初期位置にある状態では、発光素子96から出射された光は、永久磁石89で遮られ、受光素子97に届かないため、電子部品98b(FET)はオン状態となる。一方、外部磁気が作用している、あるいは、振動によって永久磁石89が初期位置から移動した場合、受光素子97は、発光素子96の光を受光し、電子部品98b(FET)をオフ状態に変更する。
中継基板60に配置されたA/D変換器188は、電子部品98e(コンデンサ)にかかる電圧値、すなわち、永久磁石89の位置によって変化する電圧値を2値化して出力する。本実施形態では、永久磁石89が初期位置にあるときの値を「1」、初期位置から外れたときの値を「0」として出力する。A/D変換器188の出力値は、検出部189に出力される。検出部189は、A/D変換器188の出力値に基づいて外部磁気あるいは振動の発生の有無を判定し、主基板31に出力する。なお、本実施形態では、中継基板60にA/D変換器188と検出部189を設置しているが、A/D変換器188、もしくはA/D変換器188と検出部189を磁気検出器90に設けてもよい。あるいは、主基板31に検出部189、もしくはA/D変換器188と検出部189を設けてもよい。
図14は、遊技機1に対する磁気検出器90の取付形態を示す図である。本実施形態では遊技盤6の背面に磁気検出器90を配置する形態としている。外部磁石を使用した不正行為は、遊技盤6の表側から行われることが通常である。本実施形態では、遊技盤6の表側からの外部磁気を有効に検出できるように、永久磁石89を収容する収容空間93cの広がった方が、遊技盤6の表側を向けて磁気検出器90を取り付けている。本実施形態の磁気検出器90は、取付方向を間違えることのないよう、筐体91の1つの角に傾斜部91aが設けられている。また、遊技盤6には、磁気検出器90を取り付けるための収容開口61が設けられている。この収容開口61内には、筐体91の傾斜部62aの形状に合わせた傾斜部62aを有する収容空間62が形成されている。
図14の右下には、破線内に磁気検出器90を取り付けるときの様子が示されている。磁気検出器90の取り付けは、収容空間62の傾斜部62aと磁気検出器90の傾斜部91aを位置合わせした状態で、磁気検出器90を収容開口61に挿入することで適正に行われる。これ以外の向きで磁気検出器90を取り付けようとした場合、収容空間62に嵌合しないため、作業者は適切な向きでないことが確認できる。
図15は、図14の磁気検出器90の設置状態における外部磁気の有効検出範囲を示す図であり、遊技機1を前面から見たときの図である。有効検出範囲Dは、磁気検出器90を中心として所定半径の外部磁気を検出することが可能である。本実施形態では、アウト口26周辺の外部磁気を検出するように、磁気検出器90が配置されている。磁石を使用した不正行為としては、アウト口26周辺で遊技球を磁石で吸引することで、アウト口26に入らせないようにし、アウト口26周囲に複数の遊技球を積み重ねることで、入賞口に遊技球を投入させる行為がある。本実施形態の磁気検出器90は、このようなアウト口26周辺での不正行為を検出するため、アウト口26周辺の外部磁気を検出するように配置されている。本実施形態の磁気検出器90は、コイル等を使用した磁気検出器と比較して、有効検出範囲は小範囲であるものの、部品点数の少なさ、構成の簡単さ等により、安価、小型に製造することが可能であり、このようなアウト口26周辺の外部磁気検出に適している。
磁気検出器90を使用した不正検出処理について説明する。図16は、外部磁気が作用している際の磁気検出器90の断面図である。図14のように、磁気検出器90を遊技盤6に取り付けた場合、磁気検出器90のzx面は、遊技盤6のZX面と平行、すなわち、磁気検出器90のy軸方向が鉛直方向となる。重力は鉛直方向に作用するため、永久磁石89に外部磁気や振動が作用していない状態では、永久磁石89は、収容空間93c内に形成された斜面93dにより、初期位置すなわち、図11に示される位置に位置する。したがって、永久磁石89が初期位置に位置している場合、発光素子96から出射した光は、永久磁石89によって遮られ、受光素子97には届かない。この場合、電子部品98b(FET)はオン状態となり、A/D変換器188の出力は「1」となる。
一方、図16に示すように、遊技盤6の表側に外部磁石Mが位置した場合、外部磁石Mの外部磁気が永久磁石89に作用して、外部磁石M側に引き寄せられる。この状態では、発光素子96から出射した光は、永久磁石89によって遮られることなく、受光素子97で受光される。この場合、電子部品98b(FET)はオフ状態となり、A/D変換器188の出力は「0」となる。このように本実施形態の磁気検出器90は、収容空間93c内の永久磁石89の移動を検出することで、外部磁気あるいは振動が検出することが可能である。
本実施形態の磁気検出器90は、収容空間93cに収容した永久磁石89の移動によって,外部磁気の検出を行うこととしている。その際、収容空間93cの形状、すなわち、永久磁石89が移動できる範囲に工夫を設けた構成となっている。図17は、永久磁石89の移動と電子部品98a〜99dの配置を説明するための図である。初期位置の永久磁石89の中心位置を89a、永久磁石89が収容空間93cの下辺に沿って最も左に移動したときの永久磁石89の中心位置を89b、永久磁石89が収容空間93cの下辺に沿って最も右に移動したときの永久磁石89の中心位置を89cと規定する。また、永久磁石89の各位置において、永久磁石89自身の磁気によって影響する範囲を磁気影響範囲A〜Cと規定する。なお、本明細書でいう磁気影響範囲とは、永久磁石89からの距離を規定するために規定した用語であって、この範囲に入った電子部品98a〜98dが実際に影響を受けることをいうものではない。この磁気影響範囲A〜Cは、中心位置89a〜89cを中心に有し、同一の半径を有する。また、磁気影響範囲A〜Cの半径は、永久磁石89が初期位置(中心位置89a)に位置したとき、最も近くに位置する電子部品98a〜98d(この例では、電子部品98c)までの距離で規定している。
ところで、永久磁石89は自身で磁気を発生するため、発生した磁気が、磁気検出器90内に配置された光センサー(発光素子96と受光素子97)に電源を供給、あるいは、光センサーの出力を受信する電子部品98a〜98dに対して影響し、磁気検出器90で誤検出を生じることが考えられる。本実施形態では、このような事情を鑑み、電子部品98a〜98dに対し、永久磁石89の磁気が影響しにくい構成を採用している。上述したように、永久磁石89が初期位置(中心位置89a)に位置しているとき、磁気影響範囲Aは、電子部品98a〜98d(この例では、電子部品98c)に最も近くなっている。一方、永久磁石89の移動に伴い、磁気影響範囲も移動する。図17には、永久磁石89の中心位置89bにおける磁気影響範囲B、中心位置89cにおける磁気影響範囲Cを記載しているが、磁気影響範囲A〜Cの接線が、永久磁石89の移動に伴う磁気影響範囲となる。
図から分かるように、磁気影響範囲Aが電子部品98a〜98d(この例では、電子部品98c)に最も近く位置し、磁気影響範囲BあるいはCへの移動に伴って離れていくことが分かる。本実施形態では、永久磁石89が初期位置から移動したときに、永久磁石が電子部品98a〜98dから離れるように移動することで、電子部品98a〜98dに対する永久磁石89の影響抑制を図っている。
また、本実施形態では、収容空間93cの形状を、z軸正の方向に頂部を有し、頂部から磁気検出側(z軸負の方向)に向かうに従って拡大する空間としており、収容空間93cの頂部を永久磁石89の初期位置としている。このような収容空間93cの形状とすることで以下の利点が得られる。
第1の利点としては、初期位置が収容空間93cの頂点で一意に決まるため、設計上、永久磁石89の磁気を考慮する上で好都合である。磁気検出器90の設計時、電子部品98a〜98dに対して永久磁石89の磁気が影響しないように設計を行う必要があるが、本実施形態のように最も磁気影響範囲が電子部品98a〜98dに近くなる頂部位置を、永久磁石89の初期位置とすることで、初期位置のみで試験を行うだけで、永久磁石89の影響を考慮することが可能である。また、初期位置は永久磁石89が安定して位置するため、試験を行う際にも有利である。
第2の利点としては、収容空間93cの形状が、永久磁石89の初期位置から、磁気検出側に向かうに従って拡大する形状であるため、広い範囲にわたって有効に磁気検出を行うことが可能である。図17の例では、中心位置89aと89bを結ぶ線分方向から、中心位置89aと89cを結ぶ線分方向にわたる角度で有効に磁気検出を行うことが可能である。このような形態は、特に、本実施形態のように遊技盤6の片側に対して磁気検出を行う場合に有利である。また、収容空間93cの省スペース化を図ることが可能であって、本実施形態のように、頂部両側に位置するスペース内に電子部品98a〜98dを配置することで、磁気検出器90の小型化を図ることも可能となる。
図18には、不正検出処理を示すフローチャートが示されている。この不正検出処理は、図5で説明した主基板31で行われるタイマ割込処理中、ステップS34にて実行される処理であり、外部磁気による不正行為を検出するための処理である。主基板31は、中継基板60(検出部189)からの出力信号を監視し、中継基板60からエラー信号が磁気検出に対応する状態(例えば、ハイレベル)になっているか否かを確認する(ステップS901)。なお、以下、エラー信号が磁気検出(磁石検出)に対応する状態になっていることをエラー信号が出力されているといい、エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態(例えば、ローレベル)になっていることをエラー信号が出力されていないという。
エラー信号が出力されている場合(ステップS901:Y)には、異常が検知されたことを報知するための異常報知処理(ステップS902〜S904)を実行する。本実施形態では、異常報知処理として、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に対し、例えば「磁石発見」を示す画像や異常検出の旨を示す画像を演出表示装置9に表示する制御を行う(ステップS902)。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御基板80に対し、異常報知音に対応する音番号データを音声出力基板70に出力させ、スピーカー27から異常報知音が出力させる(ステップS903)。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、異常が検知された遊技機1の識別情報等を含む情報を、通信部42を介してホール管理コンピュータに送信する(ステップS904)。そして、異常報知中フラグをセットする(ステップS905)。なお、セットされた異常報知中フラグは、ホールスタッフ等の管理者の操作等により解除されるまで、セットされた状態が維持される。
以上のような異常報知処理によって、遊技球をアウト口26周辺に留まらせる等の不正行為に使用される可能性がある外部磁石検出された場合には、遊技機1において、演出表示装置9において異常を示す状態が表示されるとともに、スピーカー27から異常報知音が出力される。そして、ホール管理コンピュータに対しても通報が行われる。
なお、磁気検出器90からエラー信号が出力されたときに実行する異常報知処理としては、演出表示装置9のみを用いて異常報知を行うことや、スピーカー27のみを用いて異常報知を行う等、適宜形態を採用することが可能である。また、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)を用いて異常報知を行うことや、演出表示装置9やスピーカー27と、他の演出装置(例えば、LED等の発光体)とを併用してもよい。
また、この実施の形態では、磁気検出器90からエラー信号が出力されると、ホールスタッフ等の管理者の操作により異常報知中フラグが解除されるまで、異常報知処理は継続して実行される。異常報知処理は、この他、遊技機1に対する電力供給が停止されるまで継続して実行する、あるいは、磁気検出器90からのエラー信号の出力が無くなると(エラー信号が磁界未検出(磁石未検出)に対応する状態になると)、異常報知を終了する等、各種継続の形態を採用することが可能である。あるいは、異常報知処理は、エラー信号の入力が中断してから所定時間後に自動で終了してもよい。この場合、エラー信号が入力されてから所定時間だけ、報知が行われることになる。この場合、管理者の手間の抑制を図ると共に、異常が検出されたパチンコ遊技機1の周囲の遊技者に対して、報知音が継続する等による迷惑を抑制することが可能となる。
磁気検出器90の出力値に基づく外部磁気発生の検出について説明する。図19は、各種状態における磁気検出器90(A/D変換器188)の出力値の時間変化を示す図である。外部磁気、振動・衝撃が発生していない、あるいは、少ない場合には、永久磁石89は、初期位置に位置しており、A/D変換器188の出力は「1」となる。一方、外部磁気、振動・衝撃量が多い場合、永久磁石89は初期位置から移動し、発光素子96、受光素子97間を開放する。そのため、A/D変換器188の出力は「1」となる。
このように永久磁石89は、外部磁気以外の要因、例えば振動・衝撃等によって、初期位置から移動することが考えられる。そのため、検出部189では、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tに基づいて、外部磁気の検出を行うこととしている。振動等、外部磁気以外の要因によって永久磁石89が移動する場合、外部磁気の場合と比較して、短時間であることが予想される。本実施形態では、このような特徴に基づき、検出部189は、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tが閾値Xを上回ったことを条件として、外部磁気が発生している、すなわち、外部磁石Mを使用した不正処理が行われていることを検出する。
一方、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tが閾値Xを下回っている場合には、振動等、外部磁気以外の要因である可能性が高いため、外部磁気が発生しているとは検出しないこととしている。このような形態では、外部磁気が発生していることを検出するための閾値Xを変更することで、磁気検出器90の感度を調整することが可能となる。図13の回路例では、検出部189に感度設定用のつまみを設ける、あるいは、検出部189に感度調整用の信号を入力することにより、閾値Xを変更することが考えられる。また、主基板31に検出部189を設ける、あるいは、検出部189の機能を持たせる場合、主基板31で実行されるプログラムで閾値Xをあらかじめ設定しておくことが考えられる。あるいは、主基板31で実行されるプログラムにより閾値Xを変更可能なようにしてもよい。
あるいは、検出部189では、磁気検出器90を使用して、外部磁気と、振動・衝撃を分別して検出可能としてもよい。例えば、A/D変換器の出力値が「0」となった時間長Tが閾値Xを上回った場合、検出部189は、主基板31に対して、外部磁気が発生している旨を示すエラー信号を出力する。一方、時間長Tが、閾値Xを下回っている場合は、検出部189は、振動が発生している旨のエラー信号を、主基板31に出力することが考えられる。エラー信号を受け取った主基板31では、外部磁気の発生、もしくは、振動の発生を分別して報知することが可能となる。振動を検出することで、遊技者が、故意に遊技機1を叩く等の行為を検出することが可能となる。なお、振動を検出する際には、A/D変換器188の出力値が「0」となった時間長Tが、閾値Xが所定期間内に所定回数(例えば、B回)以上発生したことを条件とすることとしてもよい。外部磁気と、振動・衝撃を分別して検出可能とする場合、異常報知処理では検出した種別(外部磁気、または、振動・衝撃)に応じて、報知の形態を変化させることとしてもよい。例えば、外部磁気を検出した場合は、故意の不正である可能性が大きいため、スピーカーから異常報知音を出力するとともに、ホール管理コンピュータに通報する形態とし、振動・衝撃を検出した場合は、遊技者の不慮の接触の可能性もあるため、ホール管理コンピュータに通報するのみとすることが考えられる。あるいは、検出した種別(外部磁気、または、振動・衝撃)に応じて、報知時間を異ならせることも考えられる。
以上、本実施形態の磁気検出器90は、永久磁石89の移動を検出するという簡単な構成によって、外部磁気あるいは振動の検出を行うことが可能である。このような形態では、外部磁気を検出可能とする有効検出範囲は、コイルを使用した磁気検出器と比較して小範囲となるものの、部品点数の少なさ、構成の簡単さによって、小型で安価な外部磁気の検出手段とすることが可能である。本実施形態では、収容空間93c内に斜面93dを形成することで、球形の永久磁石89を初期位置に位置させる形態としているが、このような形態以外に各種形態を採用することが考えられる。
図20、図21は、他の実施形態における磁気検出器90の内部を示す断面図である。磁気検出器90の外観は、図8と同様である。図20、図21、ともに(A)は、磁気検出器90のzx面での断面であり、(B)は(A)に示すB−B間の位置での断面図である。前述の実施形態は、永久磁石89を、収容空間93c内に形成した斜面93dを使用し、永久磁石に作用する重力(場の作用力)によって初期位置に位置させていた。図20、図21に示す実施形態では、永久磁石89に接続された付勢手段(この場合、弾性体99)によって、永久磁石89を初期位置に位置させている。そのため、収容空間93cには斜面は設けられていない。弾性体99は、永久磁石89と収容空間93cの内面に接続されており、永久磁石89に外部磁気が影響しない状態では、永久磁石89を前述の実施形態と同様の初期位置に位置させる。一方、永久磁石89に外部磁気が影響することで、図21に示すように永久磁石89は、外部磁石Mに引き寄せられ、発光素子96と受光素子97間の導光路を開放状態にする。このように、磁気検出器90において永久磁石89を初期位置に位置させる方法としては、図11、図16で説明したような重力による場の作用力、あるいは、図20、図21の実施形態で説明したような弾性力などの付勢手段による作用力を使用することが可能である。
本実施形態の磁気検出器90は、コイルの電磁誘導を使用する磁気検出器と比較して、有効検出範囲が小範囲であるため、アウト口26周辺などでの不正行為検出に有効である。また、有効検出範囲が小範囲であるため、遊技盤6の全域における不正行為検出には役不足となる場合がある。したがって、コイル等を使用した他のタイプの磁気検出器と組み合わせることで、他のタイプの磁気検出器が検出できない範囲を補助する構成としてもよい。
図22には、複数の磁気検出器を併用した場合の有効検出範囲を説明するための図が示されている。図22(A)は遊技機1を前面から見たときの図であり、図22(B)は遊技機1を背面から見たときの図である。図22(B)に示すように、背面には、本実施形態の磁気検出器90と、コイルなどを使用した本実施形態とは異なるタイプの磁気検出器140a、140bが配置されている。磁気検出器140a、140bは、それぞれ外部磁気の有効検出範囲E1、E2を有している。また、磁気検出器90は、外部磁気の有効検出範囲Dを有している。磁気検出器140a、140bは、磁気検出器90と比較して広い有効検出範囲を有するが、構成の複雑さ等を理由として高価となることが予想される。図22(A)から分かるように、2つの磁気検出器140a、140bの配置では、ちょうどアウト口26近傍が有効検出範囲E1、E2から外れることになる。本実施形態では、2つの磁気検出器140a、140が検出できないアウト口26周辺の外部磁気を検出するため、磁気検出器90を補助的に使用することとしている。
このような配置形態では、磁気検出器140a、140bの有効検出範囲内に磁気検出器90が位置することになる。磁気検出器90は、永久磁石89を有しているため、永久磁石89から発生した磁気が磁気検出器140a、140bに作用することが考えられる。このような場合、遊技機1の電源投入時において、磁気検出器140a、140bは、磁気検出器90の永久磁石89による磁気を、地磁気等と同様、設置環境に基づく初期値として設定することで、永久磁石89による誤検出を防止することが可能となる。また、永久磁石89に作用する僅かな外部磁気を検出することも可能である。すなわち、永久磁石89に外部磁気が作用した場合、永久磁石89が導光路を開放しない程度に移動する、あるいは、永久磁石89が回転することが考えられる。このような場合、永久磁石89の移動、回転などに基づく磁界変化を磁気検出器140a、140bで検出することが可能となる。このように、磁気検出器140a、140bの有効検出範囲E1、E2内に磁気検出器90を位置させることで、間接的に外部磁気を検出することが可能となる。
なお、磁気検出器90は、アウト口26の周辺の磁気を検出するべく、アウト口26の近傍に設置する形態以外に、遊技領域7中、不正行為が行われる可能性のある各種箇所に設置することも可能である。例えば、図1のような遊技領域7においては、入賞口29、30、33、39、ゲート32、特別可変入賞球装置20、の何れか、あるいは複数の近傍に設置すること等が考えられる。
次に、磁気検出器90の変形例について図23〜図25を用いて説明する。図23は、磁気検出器90の変形例の外観を示す斜視図であり、図24は、磁気検出器90の変形例の組み立てを説明するための斜視図であり、図25は、磁気検出器90の変形例の内部を示す断面図である。なお、この変形例において、前ケース921、後ケース931以外の構成は、先に説明した実施形態と同様の機能であるため、同じ符号を使用している。
図23の斜視図に示すように、本変形例の磁気検出器90は、筐体91の構成が先に説明した実施形態と異なっている。この変形例の磁気検出器921は、前ケース921と後ケース931を組み合わせて筐体91を構成している。図23の斜視図には磁気検出器90の座標系(xyz)が示されている。図14で説明した実施形態の座標系と同様、磁気検出器90の座標系(xyz)の各方向x、y、zを、遊技機1の座標系(XYZ)の各方向X、Y、Zと合わせるように、磁気検出器90は遊技機1に取り付けられる。すなわち、磁気検出器921の前ケース921は、遊技機1に取り付けたときに、遊技機1の前方向を向くことになる。
この変形例は、筐体91内における基板95の配置方向において、先に説明した実施形態と大きく異なっている。基板95の面がxy平面と平行になるように配置することで、z方向突出量を抑えている。図24の組み立て図において、前ケース921と後ケース931の間に、基板95を介在させた状態で両者を嵌合し、係止片92aを係止孔93fに嵌めることで磁気検出器90の筐体91が完成する。
図25は、磁気検出器90の断面図であって、図25(A)は、zx平面における磁気検出器90の断面図である。図25(B)は、xy平面について、図25(A)に示すB−B間での断面図である。図25(C)は、yz平面について、図25(A)に示すC−C間での断面図である。図25に示す断面図において、理解を助けるため、前ケース921の断面は斜線でハッチングし、後ケース931の断面は縦線でハッチングしている。
この変形例では、前ケース921側に、収容壁93bにて形成された収容空間93cを有している。また、収容壁93bには切り欠き93eが設けられており、発光素子96と受光素子97を結ぶ線上に導光路を形成している。図25(C)から分かるように、変形例の磁気検出器90は、z軸方向の厚さを収容空間93c程度としており、先に説明した実施形態よりも、z軸方向の突出量、すなわち、遊技機1に設置したときの背面方向の突出量が抑えられている。
図25(B)は、収容空間93c内での永久磁石89の移動が理解しやすい図である。
図25の各において、永久磁石89は、外部磁気などが作用していない初期位置に位置している。z軸負の方向から外部磁気が作用した場合、永久磁石89は、収容空間93c内でz軸負の方向に移動する。前実施形態と同様、収容空間は、収容空間93c内の頂部を初期位置として、頂部から磁気検出側に向かうに従って拡大する内部形状を有する。収容空間93cのこのような形状により、永久磁石89を多方向に移動可能とし、特定の一方向だけでなく、多方向の外部磁気を有効に検出することを可能とする。特に、磁気検出側について多方向の外部磁気を有効に検出することが可能である。また、磁気検出側とは反対側に頂部を持つことで、磁気検出器90の小型化を図る点においても有利である。なお、変形例においても、永久磁石89が初期位置から移動したときに、永久磁石が電子部品98a〜98dから離れるように移動する形態となっており、電子部品98a〜98dに対する永久磁石89の影響抑制が図られている。
以上説明した変形例では、筐体91の形成、並びに、収容空間93cに対する基板95の配置の点において、前実施形態と異なった構成となっている。具体的には、収容空間93c内での永久磁石89の主たる移動面(zx平面)を、基板面(xy平面)と略直交させたことで、磁気検出器90の厚さ(z方向)を収容空間93c程度に抑えている。
以上、各種実施形態について説明を行ったが、本実施形態の磁気検出器90、また、磁気検出器90を備えた遊技機1では、永久磁石89の位置を検出するという簡単な構成で、不正行為などによる外部磁気の発生を検出することが可能である。したがって、従来のコイル等を使用したタイプの磁気検出器と比較して、コストを抑えるとともに、小型化を図ることが可能である。
本実施形態では、永久磁石89の位置を検出するため、光センサーを使用しているが、永久磁石89の位置を検出する手段には各種形態を採用することが可能である。例えば、永久磁石89が接触するスイッチなど、機械的手段を使用することとしてもよい。なお、機械的手段と比較して、光センサーは、非接触で永久磁石89の位置を検出できるため、耐久性において有利である。また、非接触で永久磁石89の位置を検出する手段としては、光センサーのように光を使用する形態以外に、超音波など音を使用する形態も考えられる。なお、音を使用する形態においては、磁気検出器90の筐体の内面に遮音性を持たせ、誤検出を抑制することが好ましい。
以上、本実施形態では、遊技機の一例として、球払出装置22により外部に賞球を行うパチンコ遊技機1に適用した例を説明したが、本発明は、他の形態の遊技機に適用することも可能である。例えば、外部に賞球することなく、内部で賞球をカウントする封入式のパチンコ遊技機、あるいは、スロットマシン等の遊技機を適用の対象とすることが考えられる。スロットマシンは、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とする遊技機である。スロットマシンでは、遊技媒体として、球状の遊技球(パチンコ球)に代え、メダル等の非球状の遊技媒体が使用される。
なお、本実施形態では、磁気検出器90を主基板31に接続した形態を採用しているが、磁気検出器90は、主基板31に接続する形態の他、演出制御基板80等、他の基板に接続して使用する形態としてもよい。