JP2010130925A - 核酸増幅方法、核酸増幅装置及び微量液体の保持方法 - Google Patents

核酸増幅方法、核酸増幅装置及び微量液体の保持方法 Download PDF

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Abstract

【課題】PCR等の核酸増幅反応時において、反応液等の試料の破裂を抑制できる核酸増幅方法、該増幅方法での使用に好適な核酸増幅装置、及び該増幅方法での適用に好適な微量液体の保持方法の提供。
【解決手段】核酸増幅を行う反応液を密封せずに保持した液体保持手段を加圧雰囲気下に配置し、反応液の沸点を105℃以上として核酸増幅反応を行う工程を有する核酸増幅方法;かかる核酸増幅方法で使用する核酸増幅装置であって、反応液の温度を調節する温調手段、反応液を密封することなく保持した液体保持手段を配置する密閉室、及び密閉室内に接続され、密閉室内を加圧する加圧手段を備える核酸増幅装置;微量液体を基板上で保持し、微量液体よりも比重が小さく、微量液体とは混和せず、微量液体の蒸発を抑制する被覆液で微量液体を被覆し、基板を密閉室内に配置し、密閉室内を加圧した状態で微量液体を加熱する工程を有する微量液体の保持方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅反応時に反応液等の試料の破裂を抑制できる核酸増幅方法、該増幅方法での使用に好適な核酸増幅装置、及び該増幅方法での適用に好適な微量液体の保持方法に関する。
バイオテクノロジー分野では、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)やEIA(enzyme immunoassay)が多く利用されている。これらの反応を行うにあたっては、試薬コストの低減が重要であり、さらにシングルセルを直接PCRに供するために、反応液量の低減が求められている。
一般的なPCR用の反応容器は、マイクロタイタープレートやサンプルチューブであり、反応液量としては、約20μl必要とされる。そこで、反応液量をさらに低減するために、反応液を基板上で保持して、さらにこれをミネラルオイル等で被覆する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。これらの方法によれば、反応液量は1μl以下の微量にまで低減できる。
国際公開WO98/58240号パンフレット 特開2000−46827号公報
しかし、特許文献1及び2に記載の方法では、反応液を100℃近くまで加熱すると、反応液又はミネラルオイル中の溶存気体が気泡化して、反応液やミネラルオイルが破裂することがある。また、温度制御にばらつきが生じて、100℃を超えて加熱されると、反応液又はミネラルオイル中の低沸点成分が突沸し、同様にこれらが破裂することがある。この時、基板上の反応液は、マイクロタイタープレートやサンプルチューブを使用した場合の様に、ミネラルオイル以外では、物理的に他の反応液とは仕切られていない。したがって、反応液やミネラルオイルが破裂すると、破裂して飛散した反応液が他の反応液に混入し、正確な反応結果が得られないことがあるという問題点があった。また、反応液の飛散により、反応自体が停止してしまうこともあるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、PCR等の核酸増幅反応時において、反応液等の試料の破裂を抑制できる核酸増幅方法、該増幅方法での使用に好適な核酸増幅装置、及び該増幅方法での適用に好適な微量液体の保持方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、核酸増幅を行う反応液を密封することなく保持した液体保持手段を加圧雰囲気下に配置し、前記反応液の沸点を105℃以上として、核酸増幅反応を行う工程を有することを特徴とする核酸増幅方法である。
請求項2に記載の発明は、前記液体保持手段を密閉室内に配置し、該密閉室内を加圧することを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅方法である。
請求項3に記載の発明は、前記液体保持手段が基板であり、前記反応液を該基板上で保持し、前記反応液よりも比重が小さく、前記反応液とは混和せず、前記反応液の蒸発を抑制する被覆液で、前記反応液を被覆することを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸増幅方法である。
請求項4に記載の発明は、前記反応液が親水性で、前記被覆液が親油性であることを特徴とする請求項3に記載の核酸増幅方法である。
請求項5に記載の発明は、前記被覆液の沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の核酸増幅方法である。
請求項6に記載の発明は、加圧雰囲気下での圧力が121.59kPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の核酸増幅方法である。
請求項7に記載の発明は、増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを測定して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸増幅方法である。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法で使用する核酸増幅装置であって、核酸増幅を行う反応液の温度を調節する温調手段、及び前記反応液を密封することなく保持した液体保持手段を配置する密閉室を備え、前記温調手段が加熱状態にある時に、その熱で前記密閉室内が加圧されるようになっていることを特徴とする核酸増幅装置である。
請求項9に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法で使用する核酸増幅装置であって、核酸増幅を行う反応液の温度を調節する温調手段、前記反応液を密封することなく保持した液体保持手段を配置する密閉室、及び前記密閉室内に接続され、前記密閉室内を加圧する加圧手段を備えることを特徴とする核酸増幅装置である。
請求項10に記載の発明は、さらに、前記反応液中の光シグナルを検出する検出手段を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の核酸増幅装置である。
請求項11に記載の発明は、微量液体を基板上で保持し、前記微量液体よりも比重が小さく、前記微量液体とは混和せず、前記微量液体の蒸発を抑制する被覆液で、前記微量液体を被覆して、前記基板を密閉室内に配置し、前記密閉室内を加圧した状態で、前記微量液体を加熱する工程を有することを特徴とする微量液体の保持方法である。
請求項12に記載の発明は、前記微量液体が親水性で、前記被覆液が親油性であることを特徴とする請求項11に記載の微量液体の保持方法である。
請求項13に記載の発明は、前記被覆液の沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項11又は12に記載の微量液体の保持方法である。
請求項14に記載の発明は、前記密閉室内の加圧した状態での圧力が121.59kPa以上であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の微量液体の保持方法である。
請求項15に記載の発明は、請求項11〜14のいずれか一項に記載の保持方法で、前記微量液体として核酸増幅を行う反応液を使用し、該反応液を加熱及び冷却する工程を有することを特徴とする核酸増幅方法である。
請求項16に記載の発明は、増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを測定して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することを特徴とする請求項15に記載の核酸増幅方法である。
本発明によれば、反応液や被覆液中に溶存気体が存在しても気泡化が抑制されると共に、温度制御にばらつきが生じて、反応液や被覆液が過剰に加熱されても、低沸点成分の突沸が抑制される。したがって、反応液や被覆液等の試料の破裂が抑制され、高精度な増幅結果が得られる。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
<核酸増幅方法>
本発明に係る核酸増幅方法は、核酸増幅を行う反応液を密封することなく保持した液体保持手段を加圧雰囲気下に配置し、前記反応液の沸点を105℃以上として、核酸増幅反応を行う工程を有することを特徴とする。
本発明の核酸増幅方法は、反応液を加圧雰囲気下に置くことで沸点を上昇させ、核酸増幅反応中における反応液の破裂を抑制するものである。これは、沸点を上昇させることで、反応液中に溶存気体が存在しても気泡化が抑制され、反応液が過剰に加熱されても、低沸点成分の突沸が抑制されることによる。これにより、核酸増幅を高精度に行うことができる。
なお、本発明において「加圧」とは、圧力を大気圧(1気圧)よりも高くすることを指す。
核酸は、DNA、RNA、その他のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド等いずれでも良い。そして、核酸増幅反応は、反応液の加熱を伴うものであればいずれでも良いが、なかでも加熱及び冷却を繰り返す工程が必要な方法が好ましく、特にポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと略記する)法が好ましい。
反応液中の核酸は、例えば、増幅反応で得られた増幅核酸、増幅反応時に鋳型となる核酸、増幅核酸の原料となる核酸、プライマー等である。すなわち、反応液としては、酵素などの増幅反応に必要な各成分を含有する増幅反応開始前の反応液や、増幅反応中の反応液が例示できる。これら反応液は、通常水溶液である。
反応液中の核酸は、光シグナルを利用して検出するのが好適である。ここで光シグナルとは、光学的に検出可能なシグナルであり、反応液中の核酸、又は該核酸を標識する標識物質などに由来するものである。ここで「核酸を標識する標識物質」とは、核酸に共有結合している標識物質、又は核酸と共有結合せずに相互作用する標識物質のことを指す。そして、光シグナルは通常、反応液中の核酸や標識物質などが、励起光の照射等により励起された結果発するものである。
本発明においては、増幅された核酸に由来する光シグナル、又は増幅された核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを測定して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することにより、核酸増幅量をリアルタイムで確認できる。
前記標識物質としては、好ましいものとして蛍光物質が例示できる。
そして、該蛍光物質としては、公知の如何なるものも使用でき特に限定されない。具体的には、フルオレセイン、ローダミン(ローダミングリーン、TAMRA等)、アクリフラビン、アレクサ(アレクサ647等)、サイバーグリーン(SYBR Green)等が例示できる。
例えば、サイバーグリーンI(SYBR GREEN I)は、二重らせん構造を形成している核酸と特異的にインターカレートし、その結果、青色光(波長488nm)を吸収し、緑色光(波長522nm)の蛍光を発することが知られている。したがって、サイバーグリーンIを含む反応液を増幅反応に供して核酸を増幅すると、増幅された核酸の二重らせんにサイバーグリーンIがインターカレートするので、励起光を照射すると蛍光を発し、この時の蛍光強度は、増幅された核酸の量に比例する。
標識物質は一種を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率等は、目的に応じて適宜選択し得る。
また、増幅核酸に導入する標識物質の量も、目的に応じて適宜選択し得る。
液体保持手段としては、例えば公知のものであれば、サンプルチューブ等の容器状のもの、マイクロタイタープレート等のウェルを備えたものが使用できる。また、特に微量の反応液を増幅反応に供する場合には、基板状の液体保持手段が好ましい。この場合、後記する微量液体の保持方法で使用する基板を、本発明の核酸増幅方法で適用することが特に好ましい。
液体保持手段の材質は特に限定されないが、透光性の材質が好ましい。透光性の材質とは、光の透過率が高く且つ自家蛍光の少ない材質を指し、具体的にはガラス類や透明な樹脂類が例示できる。
本発明においては、液体保持手段で、反応液を密封することなく保持する。ここで「反応液を密封する」とは、例えば、容器内で反応液を保持し、この容器に蓋を装着することであり、保持した反応液を固形状のもので遮蔽して、反応液に気体を吹き付けることができない状態に置くことを指す。
加圧条件は、反応液の組成に応じて、沸点が105℃以上となるように適宜調整すれば良い。
核酸増幅時に必要とされる加熱温度は、核酸増幅方法に応じて調整する必要があるが、通常は100℃を超えることは無く、例えばPCR法では95℃程度が上限である。そこで、反応液が通常水溶液であることも考慮すると、沸点の下限を105℃とすることで十分な効果が得られる。
加圧雰囲気下での圧力は、大気圧よりも高ければ良いが、通常は121.59kPa(1.2気圧)以上であることが好ましく、141.85kPa(1.4気圧)以上であることがより好ましい。上限は、装置等を破損することなく実現できる範囲であれば特に限定されない。
加圧時に反応液が接する気体は、核酸増幅反応が阻害されない限り特に限定されない。通常は、反応液を空気雰囲気下に置けば良いが、必要に応じて、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下に置いても良い。
また、後記する微量液体の保持方法のように、反応液を被覆液で被覆しても良い。この場合には、被覆液も反応液と同様に、溶存気体の気泡化と低沸点成分の突沸が抑制され、破裂が抑制されるので、反応液の場合と同様の効果が得られる。被覆液で被覆した反応液も、被覆液を使用しない場合と同様の雰囲気下に置けば良い。
加圧は、可能であれば、液体保持手段を所定の空間内に密閉せずに行っても良いが、通常は、外気から遮断された密閉室内に液体保持手段を配置して、該密閉室内を加圧することで行うのが好ましい。
前記加圧条件は、反応液の液量によらず有効であるが、後記する微量液体の保持方法における微量液体の量と同様の液量、すなわち、5μl以下程度の極微量である時に、特に有効である。
密閉室内を加圧する方法としては、反応液加熱時に放散される熱によって密閉室内の気体の温度を上昇させる方法が例示できる。すなわち、反応液の加熱時には、主に熱源から、さらには液体保持手段等、熱源から熱が伝導された部位から、熱が放散される。この熱を利用すれば、密閉室内は気体の温度上昇に伴い、圧力が高くなる。したがって、この場合には、熱源を備える温調手段と密閉室以外に、密閉室内を加圧する加圧手段は不要である。加圧時の圧力は、反応液の温度を考慮しながら、温調手段の設定温度を調節することで、調節すれば良い。
さらに、密閉室内を加圧する方法としては、密閉室内を加圧する加圧手段を別途使用する方法も例示できる。この場合には、反応液の温度に関わらず独立して密閉室内の圧力を調節でき、圧力設定の自由度が高くなる。加圧手段は、公知のもので良く、なかでもコンプレッサー等が好適であり、密閉室内に接続して使用すれば良い。
核酸増幅反応時には、加圧時の圧力を一定にしても良いし、必要に応じて変化させても良い。圧力を変化させる場合には、そのパターンは特に限定されず、圧力を順次上昇させても良いし、順次低下させても良く、上昇及び低下を任意に組み合わせて行っても良い。
<微量液体の保持方法>
本発明に係る微量液体の保持方法は、微量液体を基板上で保持し、前記微量液体よりも比重が小さく、前記微量液体とは混和せず、前記微量液体の蒸発を抑制する被覆液で、前記微量液体を被覆して、前記基板を密閉室内に配置し、前記密閉室内を加圧した状態で、前記微量液体を加熱する工程を有することを特徴とする。
前記被覆液は、微量液体の露出面を被覆して、微量液体の蒸発を抑制するものであり、微量液体を密封するものではない。
本発明の微量液体の保持方法は、上記本発明の核酸増幅方法と同様に、微量液体を加圧条件下に置くことで沸点を上昇させ、加熱中における破裂を抑制するものである。また、被覆液についても、微量液体と同様に破裂を抑制する。
前記微量液体としては、先に述べた核酸増幅を行う反応液が好適である。
被覆液は、微量液体よりも比重が小さく、微量液体とは混和しないものである。ここで「微量液体と混和しない」とは、微量液体と混合した際に、少なくとも混合比が極端に大きいか又は小さい場合を除いて、単一層を形成しないことを指す。したがって、微量液体が水溶液等の親水性であれば、被覆液は親油性である。
被覆液は、微量液体が水溶液である場合、主溶媒である水の蒸発を抑制し、微量液体加熱時における耐熱性を持たせるという目的から、沸点が100℃以上であることが好ましい。
被覆液としては、上記のような物性を有するものであれば如何なるものも使用し得るが、好ましい市販品として、各種ミネラルオイルが例示できる。
本発明において「微量液体」とは、好ましくは0.1〜5μl、より好ましくは0.2〜3μl、特に好ましくは0.5〜2μl程度の液体のことを指す。
また被覆液の量は、微量液体を被覆できる範囲で選択すれば良いが、例えば、微量液体の量が上記範囲である場合には、1〜10μlであることが好ましく、2〜8μlであることがより好ましく、4〜6μlであることが特に好ましい。
基板の材質は特に限定されないが、前記液体保持手段と同様に、透光性の材質が好ましい。なかでも好ましいものとしては、水板ガラス、白板ガラス、ハーフホワイトガラス等のガラス類が例示できる。
基板は、表面及び裏面が平滑なものが好ましい。ここで、基板の表面とは、後記する試料保持部が設けられている側の基板の面を指し、基板の裏面とは、前記表面とは反対側の基板の面を指す。
基板の大きさは特に限定されず、例えば表面及び裏面の大きさは、目的に応じて適宜選択し得る。また、基板の厚みも目的に応じて適宜選択し得るが、強度も考慮して取り扱いのし易さという観点からは、0.9〜1.1mmであることが好ましい。
基板の表面には、微量液体を保持するための試料保持部が設けられている。微量液体が上記反応液である場合には、試料保持部は、核酸増幅反応を行う部位でもある。
試料保持部は平面状であり、スポットした微量液体を保持できれば如何なる形態でも良く、基板表面の特定領域をそのまま試料保持部としても良いが、微量液体を安定して保持できる形態とすることが好ましい。微量液体を安定して保持するためには、試料保持部の少なくとも一部の領域を親水性としたものが例示できる。このような基板の一例として、微量液体を保持した状態のものを図1に例示する。図1(a)は、基板の斜視図、(b)は(a)のII−II線における基板の断面図である。
図1(b)に示すように、基板の表面21には、第一親水性領域211と、該第一親水性領域211の周縁部を包囲する第一撥水性領域212とが設けられている。微量液体20は、試料保持部である第一親水性領域211上で安定して保持される。そして、第一撥水性領域212を設けることで、微量液体20の移動が抑制されるので、微量液体20がより安定して保持される。第一親水性領域211は、平面状であればその外形は特に限定されず、目的に応じて選択すれば良いが、図1に示すように略円形状が好ましい。第一撥水性領域212も平面状であることが好ましい。そしてその外形は特に限定されず、目的に応じて選択すれば良いが、リング状であることが好ましい。このようにすることで、微量液体20がより安定して保持される。
基板の表面21においては、図1に示すように、第一撥水性領域212の外側周縁部を包囲する第二親水性領域213と、該第二親水性領域213の外側周縁部を包囲する第二撥水性領域214とが設けられていることが好ましい。このようにすることで、被覆液25で微量液体20を被覆した際に、被覆液25も移動が抑制され、安定して保持できる。第二親水性領域213及び第二撥水性領域214は平面状であることが好ましい。そして、第二親水性領域213の外形は特に限定されないが、リング状であることが好ましい。このようにすることで、被覆液25がより安定して保持される。また、第二撥水性領域214の外形はリング状でも良いし、その他の形状でも良く、特に限定されない。そして、第一親水性領域211、第一撥水性領域212及び第二親水性領域213は、同心状に設けられていることが好ましい。
被覆液25で微量液体20を直接被覆することで、マイクロタイタープレートやサンプルチューブを使用した場合のように、微量液体20近傍に多量の空気層が存在することがなく、微量液体20は加熱時に溶媒が蒸発することがなく、濃度変化が抑制される。したがって、例えば、微量液体20として核酸増幅を行う反応液を使用した場合、安定して核酸増幅を行うことができる。
親水性領域及び撥水性領域の寸法は、目的に応じて適宜選択し得る。例えば、0.2〜3μl程度の微量液体20を保持する場合には、第一親水性領域211の直径D1は0.5mm〜6mmとすることが好ましく、第一撥水性領域212の幅L1及び第二親水性領域213の幅L2は0.2mm〜3mmとすることが好ましい。第二撥水性領域214の寸法は、基板2の大きさや試料保持部の数を考慮して、任意に選択し得る。例えば、図1に示すように、第二親水性領域213の外側全面を第二撥水性領域214としても良い。
親水性領域及び撥水性領域を有する基板2は、公知の方法で作製できる。具体的には、基板表面に親水処理及び撥水処理を施す方法、親水性基板表面に撥水処理を施す方法が例示できる。
親水処理としては、水酸基、アミノ基又はカルボキシ基等の親水性の官能基を基板表面に導入するものが例示できる。撥水処理としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基等の低極性の官能基や、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基又はアルコキシ基等の疎水性の官能基を基板表面に導入するものが例示できる。
このような、親水性領域及び撥水性領域を有する基板2としては市販品を使用しても良く、例えば、極微量の微量液体20を保持する目的においては、Advalytix社製のAmpliGrid(登録商標)が好適である。
密閉室内の加圧時の圧力、加圧方法、加圧雰囲気は、上記本発明の核酸増幅方法における加圧の場合と同様である。また、微量液体の加熱も、上記本発明の核酸増幅方法における反応液の場合と同様に行えば良い。
<核酸増幅装置>
本発明に係る核酸増幅装置は、上記本発明の核酸増幅方法で使用する核酸増幅装置であって、核酸増幅を行う反応液の温度を調節する温調手段、前記反応液を密封することなく保持した液体保持手段を配置する密閉室、及び前記密閉室内に接続され、前記密閉室内を加圧する加圧手段を備えることを特徴とする。
図2は、本発明に係る核酸増幅装置を例示する概略構成図であり、液体保持手段として先に述べた基板2を装着した状態を例示している。基板2上では、核酸増幅を行う反応液とこれを被覆する被覆液からなる試料20’が保持されている。
ここに例示する核酸増幅装置1は、主に核酸の増幅に関わる構成として、温調手段4を備える。
温調手段4は、基板2に保持された試料20’中でPCR等の核酸増幅を行う時に、基板2を装着してその温度を調節するものである。温調手段4は、具体的には、熱伝導部41、熱源部42、放熱部43及び送風ファン44を備える。熱源部42は、熱伝導部41及び放熱部43間に配置されており、熱伝導部41が、熱源部42との間で熱を伝導させることで、装着した基板2の温度を調節する。また、放熱部43は、温調手段4全体の放熱を促進するものであり、冷却時には熱伝導部41から熱を奪い、送風ファン44からの送風により熱の放散がさらに促進される。
基板2は通常、基板裏面22が温調手段4の熱伝導部41に接触するように装着される。
基板2は、熱伝導部41に直接接触させて装着してもよいし、熱伝導性の材質からなる介在物を介して間接的に接触させて装着してもよい。
なお、ここでは、基板2を温調手段4に装着した例について示しているが、例えば、別途設けた支持体で基板2を支持しながら、温調手段の熱伝導部41を直接又は間接的に基板2に接触させてもよい。
熱伝導部41の材質は、耐熱性で且つ熱伝導性の高いものが好ましく、アルミニウム、鉄、銅、銀などの金属、ステンレスなどの合金、熱伝導性の各種樹脂類が例示できる。なかでも安定性、熱伝導性に優れることから、金属又は合金が好ましい。
熱源部42は、加熱及び冷却が可能であれば特に限定されないが、ペルチェ素子が好適である。
放熱部43の材質は、熱伝導部41と同様のものであることが好ましい。また、その形状は特に限定されないが、放熱効果を高めるために表面積を広くすることが好ましく、ここに例示するように、フィンを備えたものが特に好ましい。
熱伝導部41の基板装着部位410は、開口端部410aにおいて、パッキン46を介し蓋状のシールド45で封止されている。シールド45及びパッキン46は、留め冶具47で固定されるようになっている。
また、シールド45には貫通孔450が設けられている。そして、留め冶具47は公知のもので良く、例えば、シールド45及び熱伝導部41と係合してシールド45を固定できるようになっているものが挙げられる。
温調手段4においては、熱伝導部41、シールド45及びパッキン46により、密閉室40が形成されており、貫通孔450又はこれを介した開口部を閉塞した時に、該密閉室40内に基板2を密封できるようになっている。
本発明においては、このように温調手段と密閉室が、それぞれの構成の一部を共有するように一体に設けられていても良いが、例えば、密閉室内に別途温調手段を設けるなど、密閉室内で微量液体を温度調節できるようになっていれば良い。
シールド45の材質は、基板2の加熱時の温度に対する耐熱性と透光性を有するものであれば良い。ここで透光性とは、基板での説明における透光性と同様である。具体的には、ガラス類が好ましく、光学ガラスがより好ましい。
パッキン46の材質も、同様の耐熱性と弾力性を有するものが好ましく、各種エラストマーが例示できる。パッキン46は必須のものではないが、これを使用して、密閉室40内の気密性を向上させることが好ましい。パッキン46を使用せずに気密性を向上させる方法としては、密閉室を形成するように熱伝導部41とシールド45とを当接させ、その当接部周縁部を封止テープで封止する方法が例示できるが、これに限定されるものではない。
留め冶具47の材質も、熱伝導部41と同様の耐熱性を有するものが例示できる。
温調手段としては、ここに例示するものに限定されず、液体保持手段の種類に応じて、加温及び冷却が可能な公知のものから適宜選択して使用できる。例えば、温度調節を迅速かつ高精度に行える観点から、市販品を使用してもよく、PCR用のサーマルサイクラーが好適である。
温調手段4は、図2に示すように、コンピュータ15に電気的に接続されていることが好ましい。この場合、核酸の増幅に際して、増幅反応の進行条件を予め設定しておくことで、増幅反応の進行及び停止を自動で行うことができる。また、増幅反応時の温度、時間、サイクル数等の増幅条件を予め設定しておくことで、増幅反応を自動で行うことができる。これにより、膨大な数のサンプルも迅速に処理できる。
温調手段4の配置位置は、試料中の光シグナルの検出を妨げない限り特に限定されない。
温調手段4は、公知の加温冷却装置等と同様に作製できる。
シールド45の貫通孔450は、弁30が間挿された連結管31を介して、加圧手段3と接続されている。
加圧手段3は、コンプレッサー等、公知のもので良い。
連結管31の材質は、気密性及び耐圧性を有するものであれば良く、各種エラストマーが好適である。
弁30は、三方弁等、公知のもので良い。
すなわち、弁30が連結管31同士を連通するように開放されている場合には、密閉室40内は加圧手段3により加圧でき、弁30が閉塞されている場合には、密閉室40内を外気から遮断できるになっている。さらに、弁30として三方弁を使用し、これを開放して密閉室40内を外気に対して開放できるようにしても良い。
本発明に係る核酸増幅装置は、さらに、反応液中の光シグナルを検出する検出手段を備えることが好ましい。
図2に例示する核酸増幅装置1は、主に光シグナルの発生や伝達に関わる構成として、照明用光学系5、光源6、励起フィルタ7、ミラー8、対物レンズ9、フレネルレンズ10、吸収フィルタ11等を備える。そして、光シグナルを検出する検出手段13を備える。これらは、例えば、通常の蛍光検出装置等、光シグナル検出装置において使用されるもので良い。
光源6は、試料20’中へ励起光を照射し、光シグナルを生じさせるものであり、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LED等が使用できる。
また、照明用光学系5は公知のものでよく特に限定されない。
励起フィルタ7は、光源6からの照射光60のうち、励起に必要な特定範囲の波長の光のみを透過させて励起光61とするものであり、試料20’中の励起対象、例えば標識物質の種類に応じて選択すれば良い。そして、反射光や迷光から生じるゴースト像の発生を防止するために、励起に必要な波長範囲以外の光を精度良く減衰させるものが好ましく、例えば、標識物質として蛍光物質であるサイバーグリーンを使用する場合には、488nm近傍を中心とする波長帯域の光を透過させるものが好ましい。
ミラー8は、励起光61を反射させてこれを標識物質等の励起対象に導く。
フレネルレンズ10は、ミラー8で反射された励起光61を、基板2に略垂直な方向へ導光し、標識物質等の励起対象に導く。
対物レンズ9は、励起光61により励起されて生じた光シグナル200を通過させる。
吸収フィルタ11は、ミラー8を透過した光シグナル200の特定範囲の波長の光のみを透過させ、検出光201とするものであり、光シグナルに応じて選択すれば良い。そして、反射光や迷光から生じるゴースト像の発生を防止するために、目的とする波長範囲以外の光を精度良く減衰させるものが好ましく、例えば、標識物質としてサイバーグリーンを使用する場合には、522nm近傍を中心とする波長帯域の光を透過させるものが好ましい。
検出手段13は、光シグナルの強度を検出できるものであれば良く、公知の光検出器等を使用できる。ここでは、検出光201を検出するようになっている。なかでも、基板2を撮影できる撮像手段と一体化されたものが好ましく、基板2の撮像データから光シグナルの強度を算出できるものがより好ましく、CCDカメラを備えたものが例示できる。
また、検出手段13は、コンピュータ15に電気的に接続されていることが好ましい。このようにすることで、シグナルデータ解析条件を予め設定しおくことで、光シグナルの検出結果に基づいて、増幅核酸の量を自動で算出できる。また、検出手段13が撮像手段と一体化されていれば、光シグナル検出時の撮像回数、撮像タイミング、露光時間等の検出条件を予め設定しておくことで、シグナルデータの取得を自動で行うことができる。これにより、膨大な数のサンプルも迅速に処理でき、所望の情報を効率的且つ高精度に入手できる。
検出手段及び撮像手段を一体に設けることで、さらに装置を小型化かつ合理化できるが、これら各手段を個別に設けても良い。この場合にも、検出手段及び撮像手段は、コンピュータ15と電気的に接続されていることが好ましい。
本発明においては、図2に示すように、暗箱14を設けることが好ましい。このようにすることで、正確に特定範囲の波長の励起光を照射でき、光シグナルの検出を高精度に行なうことができる。また、暗箱14を使用する代わりに、光シグナルの検出を暗室内で行っても良いし、暗幕を使用して光シグナルの検出を行っても良い。
なお、本発明の核酸増幅装置においては、本発明の効果を損なわない範囲において、上記構成の一部を削除又は変更しても良いことは、言うまでも無い。
本発明においては、核酸増幅装置1を使用して、温調手段4の熱源部42の温度を制御し、熱伝導部41を加熱又は冷却することで、基板2上の試料20’における反応液の温度を調節し、核酸増幅反応を行うことができる。この時、基板2を配置した密閉室40内を加圧手段3で加圧することにより、試料20’を加圧雰囲気下に置き、反応液の沸点を105℃以上として核酸増幅反応を行うことができる。これにより、反応液及び被覆液の破裂が抑制され、試料20’の飛散が抑制される。
密閉室40内は、温調手段4による温度調節時に、常時加圧手段3を稼動させて加圧しても良いし、温度調節の途中で弁30を閉塞させて加圧状態を維持するようにしても良いし、温度調節前に弁30を閉塞させて加圧状態を維持するようにしても良い。
また、本発明に係る核酸増幅装置は、上記本発明の核酸増幅方法で使用する核酸増幅装置であって、核酸増幅を行う反応液の温度を調節する温調手段、及び前記反応液を密封することなく保持した液体保持手段を配置する密閉室を備え、前記温調手段が加熱状態にある時に、その熱で前記密閉室内が加圧されるようになっていることを特徴とする。かかる核酸増幅装置においては、密閉室内を加圧する加圧手段を備えていなくても、密閉室内の反応液を温調手段で加熱する際に、それに伴う密閉室内の温度上昇によって、密閉室内の圧力が上昇して加圧状態となり、反応液を加圧雰囲気下に置くことができる。
このような核酸増幅装置としては、図2の核酸増幅装置1において、加圧手段3、弁30及び連結管31が省略され、シールド45における貫通孔450が省略されたもの又は貫通孔450が閉塞されたものが例示できる。
このような核酸増幅装置を使用する場合は、加圧手段による加圧を行わないこと以外は、核酸増幅装置1を使用する場合と同様に、核酸増幅を行うことができる。
本発明の核酸増幅装置を使用することで、反応液の沸点を容易に上昇させることができ、上記本発明の核酸増幅方法の場合と同様の効果が容易に得られる。そして、装置を自動化することで、膨大な数のサンプルも迅速に処理できる。また、装置の構成も簡便であり、装置の小型化と安価な作製が可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜2、比較例1]
図2に示す検出装置を使用して、以下に示す方法でRNAの逆転写反応およびPCRを行い、蛍光標識された増幅核酸をリアルタイムで検出した。
(基板)
核酸溶液を保持する基板として、図1に示す構成のAmpliGrid AG480F(商品名、Advalytix社製)を使用した。
(反応液)
核酸増幅を行うための反応液として、表1に示す組成の、濃度が5通りのRNA溶液とネガティブコントロール(以下、NCと略記する)を調製した。なお、表1中、2× SYBR Green Reaction Mix(Invitrogen社製)は、サイバーグリーンIを含む。
Figure 2010130925
(試料分注)
前記基板を3つ(基板No.1〜3)用意し、全てにおいて、図3に示すレイアウトで親水性領域に前記5種類のRNA溶液を1μlずつ、ピペットを用いて分注した。さらに、これら溶液上部に、シーリングソリューション(Advalytix社製)を5μlずつ、ピペットを用いて分注し、図1に示すように、RNA溶液をシーリングソリューションで被覆した試料を調製した。
(核酸増幅反応)
以下に示す温度条件で基板を加熱及び冷却して、基板上に保持した反応液中で逆転写反応とリアルタイムPCRを行った。
・逆転写反応とPCRの温度条件
55℃/30分 → 94℃/2分 → (94℃/15秒 → 55℃/30秒 → 72℃/30秒)×50サイクル → 25℃
なお、加熱、冷却時の温度変化の速度は、それぞれ1℃/秒、−1℃/秒とした。
この時、三方弁とコンプレッサーを操作して、基板ごとに密閉室内の圧力を、表2に示すように設定した。なお、密閉室内の圧力は、圧力計(図示略)で測定した最大値である。
基板No.1については、三方弁を開放して密閉室内を外気に対して開放し、加圧せずにPCRを行った(比較例1)。
基板No.2については、三方弁を閉塞させて密閉室内を外気から遮断し、コンプレッサーによる加圧は行わず、密閉室内の気体の温度上昇による加圧のみを行い、PCRを行った(実施例1)。
基板No.3については、三方弁を開放して密閉室内をコンプレッサーで加圧し、次いで三方弁を閉塞させて密閉室内を外気から遮断し、密閉室内の加圧を維持した状態でPCRを行った(実施例2)。
Figure 2010130925
(光シグナルのリアルタイム検出)
PCR中の各サイクル72℃の工程において、基板上方から励起光を基板に照射し、CCDカメラで基板上の全ての試料を一度に撮像した。この時、サイバーグリーンIの蛍光を検出するために、励起光の波長は488nm、検出する蛍光の波長は522nmとなるように、励起フィルタと吸収フィルタを設定した。
(検出結果)
(1)破裂
50サイクルまでに破裂した試料の数を、試料の撮像データ(画像)から計測し、破裂率を算出した。結果を、密閉室内の圧力と共に表3に示す。なお、ここで「試料の破裂」とは、「反応液及び被覆液のいずれか一方又は両方の破裂」を指すものとする。
Figure 2010130925
表3に示すように、密閉室内を加圧することで、反応液の破裂を防止できることが確認できた。
(2)PCRの結果
試料が一つも破裂しなかった基板No.3の各試料の画像より、カイネティックコンピュータを用いて、各試料について、反応液のRNA濃度が同一濃度である試料の蛍光強度の平均値を算出した。
その結果、1サイクル時では、いずれのRNA濃度の試料も蛍光強度は等しかった。これは、PCR産物がまだ増幅されていないことを示しており、蛍光シグナルは増幅反応前のDNA自体に由来するものである。
20サイクル時では、RNA濃度が16ng/μl、1.6ng/μl、160pg/μlである試料の蛍光強度が強まってきたことが確認でき、蛍光強度は増幅産物の濃度に比例していた。
30サイクル時には、RNA濃度が16ng/μl、1.6ng/μl、160pg/μlである試料の蛍光強度が等しかった。一方、RNA濃度が16pg/μl、1.6pg/μlである試料においては、蛍光強度が強まってきたことが確認でき、蛍光強度は増幅RNAの濃度に比例していた。
算出された蛍光強度をサイクル数に対してプロットしたグラフを図4に示す。図4から明らかなように、PCR産物が増幅される速度はRNAの濃度に比例していることが確認された。また、基板No.1の破裂しなかった試料においても、図4と同様の結果が得られた。これらの結果より、密閉室内を加圧してもPCRは阻害されず、反応液や被覆液の破裂が抑制されて、高精度な増幅結果が得られることが確認された。
本発明は、核酸の増幅反応を必要とするゲノム研究に利用可能である。
微量液体を保持した状態の本発明における基板を例示する図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のII−II線における断面図である。 本発明に係る核酸増幅装置を例示する概略構成図である。 実施例1〜2及び比較例1における基板上の試料のレイアウトを示す図である。 実施例1〜2及び比較例1における試料の蛍光強度の算出結果を示すグラフである。
符号の説明
1・・・核酸増幅装置、2・・・基板、3・・・加圧手段、4・・・温調手段、13・・・検出手段、20・・・微量液体、25・・・被覆液、40・・・密閉室、200・・・光シグナル、201・・・検出光

Claims (16)

  1. 核酸増幅を行う反応液を密封することなく保持した液体保持手段を加圧雰囲気下に配置し、前記反応液の沸点を105℃以上として、核酸増幅反応を行う工程を有することを特徴とする核酸増幅方法。
  2. 前記液体保持手段を密閉室内に配置し、該密閉室内を加圧することを特徴とする請求項1に記載の核酸増幅方法。
  3. 前記液体保持手段が基板であり、前記反応液を該基板上で保持し、前記反応液よりも比重が小さく、前記反応液とは混和せず、前記反応液の蒸発を抑制する被覆液で、前記反応液を被覆することを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸増幅方法。
  4. 前記反応液が親水性で、前記被覆液が親油性であることを特徴とする請求項3に記載の核酸増幅方法。
  5. 前記被覆液の沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の核酸増幅方法。
  6. 加圧雰囲気下での圧力が121.59kPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
  7. 増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを測定して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
  8. 請求項2〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法で使用する核酸増幅装置であって、
    核酸増幅を行う反応液の温度を調節する温調手段、及び前記反応液を密封することなく保持した液体保持手段を配置する密閉室を備え、
    前記温調手段が加熱状態にある時に、その熱で前記密閉室内が加圧されるようになっていることを特徴とする核酸増幅装置。
  9. 請求項2〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法で使用する核酸増幅装置であって、
    核酸増幅を行う反応液の温度を調節する温調手段、前記反応液を密封することなく保持した液体保持手段を配置する密閉室、及び前記密閉室内に接続され、前記密閉室内を加圧する加圧手段を備えることを特徴とする核酸増幅装置。
  10. さらに、前記反応液中の光シグナルを検出する検出手段を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の核酸増幅装置。
  11. 微量液体を基板上で保持し、前記微量液体よりも比重が小さく、前記微量液体とは混和せず、前記微量液体の蒸発を抑制する被覆液で、前記微量液体を被覆して、前記基板を密閉室内に配置し、前記密閉室内を加圧した状態で、前記微量液体を加熱する工程を有することを特徴とする微量液体の保持方法。
  12. 前記微量液体が親水性で、前記被覆液が親油性であることを特徴とする請求項11に記載の微量液体の保持方法。
  13. 前記被覆液の沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項11又は12に記載の微量液体の保持方法。
  14. 前記密閉室内の加圧した状態での圧力が121.59kPa以上であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の微量液体の保持方法。
  15. 請求項11〜14のいずれか一項に記載の保持方法で、前記微量液体として核酸増幅を行う反応液を使用し、該反応液を加熱及び冷却する工程を有することを特徴とする核酸増幅方法。
  16. 増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを測定して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することを特徴とする請求項15に記載の核酸増幅方法。
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