JP2010130798A - ハイブリッドカーの充放電制御方法 - Google Patents

ハイブリッドカーの充放電制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータによる車両の走行を好ましい状態としながら、ピーク電流による電池の劣化を少なくして電池の寿命を長くする。
【解決手段】ハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の電圧を検出し、充電される電池の電圧があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の電圧があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の電圧を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電する。この充放電制御方法は、電池の電圧が、不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、電池が充電されて電圧が充電制限値に上昇した後は、電池を放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の電圧まで電池を放電する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハイブリッドカーの電池の充放電を制御する方法に関する。
ハイブリッドカーを走行させる電池は、過充電と過放電で性能が著しく低下して寿命が短くなる。電池を長い期間にわたって有効に使用するために、電池の過充電と過放電を防止し、さらに、残容量を満充電容量のほぼ50%とする不感領域にコントロールしながら充放電の電流を制御している。
このことを実現するために、従来のハイブリッドカーは、図1に示すように、放電制限値と充電制限値とを設定して、残容量をこの範囲に制御し、さらに、常に残容量を50%にもどす制御、すなわちPID制御を行っている。図1においては、放電制限値を満充電容量の20%に設定し、充電制限値を満充電容量の80%に設定している。この充放電制御方法は、残容量を20〜80%の不感領域とし、さらに、残容量ができるかぎり50%に近付くように電池を充放電させるので、電池性能を低下させることなく、長期間に使用できる特長がある。
さらに、ハイブリッドカーの電池の充放電制御方法として、電池の残容量が、残容量50%領域を含む不感領域においては、充電と放電の両方を許容して、自動車の走行状態で電池を充放電し、残容量が減少して過放電領域になると、放電を禁止して充電のみできる状態とし、残容量が過充電領域まで増加すると、充電を禁止して放電のみできる状態とし、さらに、不感領域と過放電領域の間の重み関数領域、および、不感領域と過充電領域の間の重み関数領域においては、残容量偏差重み関数にしたがって電池の充放電を制御し、残容量偏差重み関数が、過放電領域に接近するにしたがって放電よりも充電を優先し、過充電領域に接近するにしたがって充電よりも放電を優先するように制御する方法が開発されている。
この充放電制御方法は、たとえば、残容量偏差重み関数を、不感領域と過放電領域との間の第1重み関数領域で直線的に変化し、不感領域と過充電領域との間の第2重み関数領域で直線的に変化させる。
特開2001−314040号公報
以上の充放電制御方法は、電池の残容量を50%付近に制御することで電池の劣化を少なくできるが、電池のピーク電流による劣化を有効に防止できない。電池は極めて大きなピーク電流によって劣化する。ハイブリッドカーは、車両を加速するときに電池からモータに電流を供給して、モータでエンジンをアシストして加速する。このとき、車両が急加速されると電池に大きなピーク電流が流れる。ピーク電流の大きさは、電池からモータに供給する電力に比例する。電池は大きなピーク電流で劣化するので、放電のピーク電流をたとえば200A以下に制限している。また、車両がブレーキをかけて回生制動するとき、電池は車両の運動のエネルギーで充電される。このとき、車両の急ブレーキの程度で回生制動による充電電流のピーク電流が特定される。このピーク電流も電池を劣化する原因となるので、充電電流のピーク値も制限している。電池は、放電電流と充電電流のピーク電流を制限して劣化を少なくできるが、電池のピーク電流を制限することは、車両の走行に影響を与える。電池を放電する電流のピーク電流を小さく制限すると、モータによる加速が制限され、また、電池を充電する電力のピーク電流を小さく制限すると、電池の充電に時間がかかるばかりでなく、急ブレーキによる回生制動のエネルギーで効率よく電池を充電できなくなる。車両の走行状態から電池を充放電するピーク電流は大きくすることが要求されるが、このことは電池の劣化を促進することになるので、充放電のピーク電流は最適値に設定が難しい。このため、電池の劣化を少なくしながら、モータによる車両の走行を好ましい状態にするのは極めて難しい。
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、モータによる車両の走行を好ましい状態としながら、ピーク電流による電池の劣化を少なくして電池の寿命を長くできるハイブリッドカーの充放電制御方法を提供することにある。
本発明の請求項1のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の電圧を検出し、充電される電池の電圧があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の電圧があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の電圧を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電する。この充放電制御方法は、電池の電圧が、不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、電池が充電されて電圧が充電制限値に上昇した後は、電池を放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の電圧まで電池を放電する。
本発明の請求項2のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の電圧を検出し、充電される電池の電圧があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の電圧があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の電圧を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電する。この充放電制御方法は、電池の電圧が、不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、電池が放電されて電圧が放電制限値まで低下した後は、電池を充電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の電圧まで電池を充電する。
本発明の請求項3のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の残容量を検出し、充電される電池の残容量があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の残容量があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の残容量を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電する。この充放電制御方法は、電池の残容量が不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、電池が充電されて残容量が充電制限値まで増加した後は、電池を放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の残容量まで電池を放電する。
本発明の請求項4のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の残容量を検出し、充電される電池の残容量があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の残容量があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の残容量を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電する。この充放電制御方法は、電池の残容量が不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、電池が放電されて残容量が放電制限値まで減少した後は、電池を充電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の残容量まで電池を充電する。
本発明の請求項5のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の劣化度を検出し、電池が劣化にするにしたがって、電池の充放電する電流のピーク値を小さくする減少させる。
本発明のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の劣化度を、電圧又は残容量が放電下限値に達する回数をカウントして判定することができる。さらに、本発明のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の劣化度を、電圧又は残容量が充電上限値に達する回数をカウントして判定することができる。さらにまた、本発明のハイブリッドカーの充放電制御方法は、電池の劣化度を、電池の充電容量の積算値、放電容量の積算値、又は充放電容量の積算値で判定することができる。
本発明のハイブリッドカーの充放電制御方法は、モータによる車両の走行を好ましい状態としながら、ピーク電流による電池の劣化を少なくして電池の寿命を長くできる特徴がある。それは、本発明の充放電制御方法が、電池の電圧や残容量を検出して、電池を充放電するピーク電流を最適値に制御するからである。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのハイブリッドカーの充放電制御方法を例示するものであって、本発明は充放電制御方法を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図2は、本発明の充放電制御方法に使用するハイブリッドカーの構成を示している。このブロック図に示すハイブリッドカーは、充放電できる電池1と、電池1の電圧と残容量を検出して、電圧や残容量で電池1の充放電を制御するバッテリECU2と、自動車の走行状態を制御するエンジンECU3と、電池1の残存容量を表示する残存容量表示器7とを備える。
電池1は、多数の電池セルを直列に接続している。ニッケル水素電池からなる電池は、複数のニッケル水素電池を直列に接続して電池モジュールとして電池モジュールを電池セルとして、複数の電池モジュールを直列に接続している。リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池からなる電池セルは、ひとつのリチウムイオン電池やリチウムポリマー電池を電池セルとしている。
バッテリECU2は、電池1の電圧と電流から残容量を検出し、さらに電池の劣化度も検出する。バッテリECU2は、検出した残容量、電圧、劣化度のいずれかで、あるいはこれ等の複数をパラメータとして、電池1を充放電するピーク電流を制御する。検出した残容量は、残存容量表示器7に出力される。電池1の残容量は、充電容量から放電容量を減算して演算する。充電容量は、充電電流の積算値と充電効率との積で演算される。放電容量は、放電電流の積算値で演算できる。電流に加えて、電池電圧を検出して残容量を演算するバッテリECU2は、電池電圧が低下したときと、上昇したときの電圧で残容量を補正できるので、より正確に残容量を演算できる。
電池1の電流は、電池1と直列に接続している電流検出抵抗に発生する電圧を増幅して検出する。充電電流と放電電流は、電流検出抵抗に発生する+−が逆になるので、+−の極性で充電と放電を識別できる。
バッテリECU2は、各々の電池セルの電圧を検出して、電池1の電圧と、残容量と、劣化度を検出する。ただし、バッテリECUは、電池のトータル電圧を検出して、電圧と残容量と劣化度を検出することもできる。さらに、図のバッテリECU2は、電池1の温度も検出して充放電を制御している。温度を検出するバッテリECU2は、電池1の温度が設定温度よりも高くなると、温度が低下するまで、電池1の充放電を停止し、あるいは、充放電の電流を制限する。電池1の温度は温度センサー8で検出する。この温度センサー8は、電池1に接近して配設され、あるいは電池1に接触して設けられる。
バッテリECU2が、電圧と残容量と劣化度で充放電を制御する状態を図3ないし図5に示す。バッテリECU2は、電池1の電圧と残容量を検出し、充電される電池1の電圧又は残容量があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池1の電圧又は残容量があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池1の電圧と残容量を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池1を充放電する。バッテリECU2は、電池1の電圧と残容量のいずれかを検出して、電圧又は残容量のいずれかが充電制限値と放電制限値との間の不感領域となるように制御することもできる。
図3は、残容量で電池を充放電するピーク電流を制御する状態を示すグラフである。このバッテリECU2は、電池1の残容量の不感領域を10%〜90%に設定して、残容量の充電制限値を90%、放電制限値を10%に設定している。この図は、充電制限値を90%とするが、充電制限値は、たとえば70%〜90%の範囲に設定することができる。また、放電制限値を10%に設定してるいが、放電制限値は、10%〜30%の範囲に設定することもできる。
図3の制御をするバッテリECU2は、電池1の残容量が不感領域にあっては、電池1を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流である±150Aに制限する。すなわち、電池1の残容量を不感領域とする状態にあっては、電池1を充放電する電流の最大値をノーマルピーク電流である±150Aに制限する。
電池が放電されて残容量が放電制限値の10%まで減少した後は、電池の残容量を速やかに不感領域の好ましい残容量とするために、電池を充電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流の200Aに設定して不感領域の所定の残容量まで、図にあっては残容量が50%となるまで電池を充電する。すなわち、電池が放電されて残容量が放電制限値まで低下すると、残容量が放電制限値よりも小さくならないように、放電電流を遮断した後、充電電流のピーク電流を拡大ピーク電流と大きくして、速やかに充電して残容量を増加させる。図3にあっては、残容量が放電制限値まで低下した後は、残容量が50%に増加するまで、充電電流のピーク電流を拡大ピーク電流に設定するが、残容量が50%となるまでの間に、電池が放電される走行状態になると、残容量が放電制限値になるまではノーマルピーク電流で電池を放電し、放電制限値まで低下すると放電電流を遮断する。すなわち、電池の残容量が放電制限値まで低下した後は、残容量が50%に増加するまでは、充電電流のピーク電流を拡大ピーク電流として電池の充電容量を大きくするが、この間に電池の残容量が50%と放電制限値の10%の間にある状態では、電池の放電を許容する。ただし、バッテリECUは、電池の残容量が放電制限値まで低下した後は、残容量があらかじめ設定している容量、たとえば、50%〜70%となるまでは放電を停止するように制御することもできる。
電池が充電されて残容量が充電制限値の90%まで増加した後は、電池の残容量を速やかに不感領域の好ましい残容量とするために、電池を放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流の200Aに設定して不感領域の所定の残容量まで、図にあっては残容量が50%となるまで電池を放電する。すなわち、電池が充電されて残容量が充電制限値まで増加すると、残容量が充電制限値よりも大きくならないように、充電電流を遮断した後、放電電流のピーク電流を拡大ピーク電流と大きくして、速やかに放電して残容量を減少させる。図3にあっては、残容量が充電制限値まで増加した後は、残容量が50%に減少するまで、放電電流のピーク電流を拡大ピーク電流に設定するが、残容量が50%となるまでの間に、回生制動で電池が充電される走行状態になると、残容量が充電制限値になるまではノーマルピーク電流で電池を充電し、充電制限値まで増加すると充電電流を遮断する。すなわち、電池の残容量が充電制限値まで増加した後は、残容量が50%に低下するまでは、放電電流のピーク電流を拡大ピーク電流として電池の放電容量を大きくするが、この間に電池の残容量が50%と充電制限値の90%の間にある状態では、電池の充電を許容する。ただし、バッテリECUは、電池の残容量が充電制限値まで増加した後は、残容量があらかじめ設定している容量、たとえば、50%〜30%となるまでは充電を停止するように制御することもできる。
電池が放電されて、電圧が放電制限値の2.2Vまで低下した後は、電池の電圧を速やかに不感領域の好ましい電圧に上昇させるために、電池を充電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流の200Aに設定して不感領域の所定の電圧まで、図にあっては電圧が3Vとなるまで電池を充電する。すなわち、電池が放電されて電圧が放電制限値まで低下すると、電圧が放電制限値よりも小さくならないように、放電電流を遮断した後、充電電流のピーク電流を拡大ピーク電流と大きくして、速やかに充電して電圧を上昇させる。図4にあっては、電圧が放電制限値の2.2Vまで低下した後は、電圧が3Vに増加するまで、充電電流のピーク電流を拡大ピーク電流に設定するが、電圧が3Vとなるまでの間に、電池が放電される走行状態になると、電圧が放電制限値の2.2Vに低下するまではノーマルピーク電流で電池を放電し、放電制限値まで低下すると放電電流を遮断する。すなわち、電池の電圧が放電制限値まで低下した後は、電圧が3Vに増加するまでは、充電電流のピーク電流を拡大ピーク電流として電池の充電容量を大きくするが、この間に電池の電圧が3Vと放電制限値の2.2Vの間にある状態では、電池の放電を許容する。ただし、バッテリECUは、電池の電圧が放電制限値まで低下した後は、電圧があらかじめ設定している電圧、たとえば、3V〜4Vとなるまでは放電を停止するように制御することもできる。
また、バッテリECUは、電池が充電されて、その電圧が充電制限値の4.1Vまで上昇した後は、電池の電圧を速やかに不感領域の好ましい電圧に低下させるために、電池を放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流の200Aに設定して不感領域の所定の電圧まで、図にあっては電圧が3Vとなるまで電池を放電する。すなわち、電池が充電されて電圧が充電制限値まで上昇すると、電圧が充電制限値よりも上昇しないように、充電電流を遮断した後、放電電流のピーク電流を拡大ピーク電流と大きくして、速やかに放電して電圧を減少させる。図4にあっては、電圧が充電制限値まで上昇した後は、電圧が3Vに低下するまで、放電電流のピーク電流を拡大ピーク電流に設定するが、電圧が3Vとなるまでの間に、回生制動で電池が充電される走行状態になると、電圧が充電制限値になるまではノーマルピーク電流で電池を充電し、充電制限値まで上昇すると充電電流を遮断する。すなわち、電池の電圧が充電制限値まで上昇した後は、電圧が3Vに低下するまでは、放電電流のピーク電流を拡大ピーク電流として電池の放電容量を大きくするが、この間に電池の電圧が3Vと充電制限値の4.1Vの間にある状態では、電池の充電を許容する。ただし、バッテリECUは、電池の電圧が充電制限値まで増加した後は、電圧があらかじめ設定している電圧、たとえば、2.2V〜3Vに低下するまでは充電を停止するように制御することもできる。
さらに、バッテリECU2は、図5に示すように、電池1の劣化度を検出して、電池1が劣化するにしたがって、電池1を充放電するピーク電流を小さくする。バッテリECU2は、図5の実線で示すように、電池1の劣化度に対して、電池1の充電電流と放電電流のピーク電流を直線的に小さくなるように制御する。この図でピーク電流を制御するバッテリECU2は、電池1が全く劣化しない状態、すなわち電池1の劣化度を100%とする状態では、ピーク電流を±150Aとしている。すなわち、電池1がこの状態にあるとき、電池1を充放電する電流のピーク電流を150Aとするので、バッテリECU2は、150A以内の電流で放電し、あるいは充電される。電池1が劣化して劣化度が50%になると、バッテリECU2は、電池1の充放電を許容するピーク電流を±150/2、すなわち75Aと少なく変更する。図5は、電池1の劣化度に対して、許容するピーク電流を直線的に減少させているが、図5の鎖線で示すように、電池1の劣化度に対して複次関数的に変化することもできる。また、図示しないが、バッテリECUは、電池の劣化度に対するピーク電流をルックアップテーブルに記憶して、このルックアップテーブルに記憶される情報に基づいて、ピーク電流を小さく変更することもできる。
バッテリECU2は、電池1の電圧や残容量が放電下限値に達する回数をカウントして、劣化度を判定することができる。また、バッテリECU2は、電圧や残容量が充電上限値に達する回数をカウントして劣化度を判定することもできる。さらに、バッテリECU2は、電池1の充電容量の積算値、放電容量の積算値、又は充放電容量の積算値で劣化度を判定することもできる。このバッテリECU2は、電池1の劣化度を検出して、検出される劣化度SOHを通信回線9を介して車両側のエンジンECU3に伝送する。
さらに、バッテリECU2は、以下の方法で電池1の劣化度を検出することができる。このバッテリECU2は、電池1の満充電容量から検出される第1の劣化度SOH1と、電池1の放電内部抵抗から得られる第2の劣化度SOH2と、充電内部抵抗から得られる第3の劣化度SOH3から劣化度SOHを演算する。このバッテリECU2は、以下の式で電池1の劣化度SOHを演算する。
劣化度SOH=ウェイト1×第1の劣化度SOH1
+ウェイト2×第2の劣化度SOH2
+ウェイト3×第3の劣化度SOH3
ただし、ウェイト1+ウェイト2+ウェイト3=1である。
ウェイト1とウェイト2とウェイト3は、図6のグラフに示すように、電池1の内部抵抗によって特定する。この図は、横軸を電池の放電内部抵抗と充電内部抵抗の平均値の相対値として、縦軸にウェイト1とウェイト2とウェイト3を示している。ただし、この図は、電池1の劣化度SOHを0%とする状態、いいかえると寿命の尽きた電池1の内部抵抗を100としている。この図に示すように、電池1の劣化が進んで劣化度SOHが小さくなるにしたがって、ウェイト1を小さく、ウェイト2とウェイト3を大きくする。電池1は、充電内部抵抗と放電内部抵抗が大きくなって劣化が進んだ状態では、内部抵抗が劣化度SOHを正確に特定するからである。また、図6は、放電内部抵抗と充電内部抵抗の平均値に対するウェイト2とウェイト3とを同じ値としているが、ウェイト2とウェイト3は、放電内部抵抗と充電内部抵抗に対して、各々最適な値とすることができる。
以上の方法は、電池1の内部抵抗からウェイト1とウェイト2とウェイト3を特定する。ただ、本発明の検出方法は、電池の放電内部抵抗と充電内部抵抗から特定される第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3から、ウェイト1〜ウェイト3を特定し、あるいは第1〜第3の劣化度から判定される劣化度SOHからウェイト1〜ウェイト3を特定することもできる。この場合も、劣化度SOHが小さくなる、いいかえると寿命末期に近づくにしたがって、ウェイト1を小さくしてウェイト2とウェイト3を大きくする。
さらに、バッテリECU2は、第1の劣化度SOH1を以下の式で判定する。
第1の劣化度SOH1(%)=
100×[現在の満充電容量(Ahf)−終期の満充電容量(Ahe)]/
[初期の満充電容量(Ahs)−終期の満充電容量(Ahe)]
たとえば、初期の満充電容量(Ahs)が5[Ah]、終期の満充電容量(Ahe)を2.5[Ah]とする電池の現在の満充電容量(Ahf)が3.75[Ah]であると、前記の式から劣化度SOHは以下の式で、50%と演算される。
劣化度SOH=100×[5−3.75]/[5−2.5]=50%
バッテリECU2は、電池1の現在の満充電容量(Ahf)を、以下の方法で検出する。
図7に示すように、第1の検出タイミング(t)と第2の検出タイミング(t)との間において、充放電される電池の充電電流と放電電流の積算値から電池の容量変化値(δAh)を演算する。さらに、第1の検出タイミング(t)における電池の第1の開放電圧(VOCV1)と第2の検出タイミング(t)における電池の第2の開放電圧(VOCV2)を検出して、検出される第1の開放電圧(VOCV1)から電池の第1の残容量(SOC[%])を判定すると共に、第2の開放電圧(VOCV2)から電池の第2の残容量(SOC[%])を判定する。開放電圧(VOCV)に対する残容量(SOC)は、あらかじめ測定して記憶している。判定される第1の残容量(SOC[%])と第2の残容量(SOC[%])の差から残容量の変化率(δS[%])を演算する。以上のようにして検出される残容量の変化率(δS[%])と容量変化値(δAh)から、下記の式で電池の現在の満充電容量(Ahf)を演算することができる。
満充電容量(Ahf)=δAh/(δS/100)
以上の方法で電池の満充電容量(Ahf)を検出する方法は、たとえば第1の検出タイミング(t)を、車両のメインスイッチであるイグニッションスイッチをオンに切り換える所定のタイミングであって、電池の負荷電流を遮断するタイミングとし、第2の検出タイミング(t)を、イグニッションスイッチをオフに切り換えた後とする。また、第1の検出タイミング(t)と第2の検出タイミング(t)の間を一定の時間とし、あるいは又、第1の検出タイミング(t)の後、容量変化値(δAh)が所定の値になったタイミングを第2の検出タイミング(t)とすることで、現在の満充電容量(Ahf)をより正確に検出することができる。
さらに、バッテリECU2は、電池1の放電内部抵抗と充電内部抵抗を検出し、放電内部抵抗から第2の劣化度SOH2を、充電内部抵抗から第3の劣化度SOH3を判定する。内部抵抗(R)を有する電池1の等価回路を図8に示す。この等価回路の電池1を充放電して、電流Iと出力電圧VLを検出すると図9と図10に示すようになる。図9において、電池の電流−電圧特性を示すラインAの傾きから放電内部抵抗(Rd)が演算され、図10において、電池の電流−電圧特性を示すラインBの傾きから充電内部抵抗(Rc)が演算される。
電池1の開放電圧をVoとし、放電電流Idのときに電圧をVLとすれば、
VL=Vo−Rd×Id
この式から、放電内部抵抗(Rd)は
Rd=(Vo−VL)/Id で演算される。
また、電池1の開放電圧をVoとし、充電電流Icのときに電圧をVLとすれば、
VL=Vo+Rc×Ic
この式から、充電内部抵抗(Rc)は
Rc=(VL−Vo)/Ic で演算される。
電池1の放電内部抵抗と充電内部抵抗に対する電池の第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3はあらかじめ測定されて、バッテリECU2のLUTに記憶され、あるいはバッテリECU2は、放電内部抵抗と充電内部抵抗に対する第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3を関数として記憶している。LUTに記憶され、あるいは関数として記憶される、放電内部抵抗と充電内部抵抗に対する第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3は図11に示す値とする。この図から、たとえば、電池の放電内部抵抗や充電内部抵抗が300mΩであるとき、第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3は60%とする。さらに、電池1の放電内部抵抗や充電内部抵抗が最高値となるときの第2の劣化度SOHと第3の劣化度SOH3を0%とする。図11は、わかりやすくするために、放電内部抵抗と充電内部抵抗に対する第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3とを同じ値としているが、放電内部抵抗と充電内部抵抗に対する第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3は、現実に使用される電池を測定して、各々最適な値とすることができる。
バッテリECU2は、以上の方法で第1の劣化度SOH1と第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3を演算し、演算された第1の劣化度SOH1と第2の劣化度SOH2と第3の劣化度SOH3から、ウェイト1とウェイト2とウェイト3を特定して、電池の劣化度SOHを判定する。バッテリECU2が、劣化度SOHを演算するフローチャートを図12に示す。
[n=1のステップ]
このステップで、バッテリECU2は電池の現在の満充電容量(Ahf)を検出して、検出される満充電容量(Ahf)から第1の劣化度SOH1を判定する。第1の劣化度SOH1は、以下の式で検出される。
第1の劣化度SOH1(%)=
100×[現在の満充電容量(Ahf)−終期の満充電容量(Ahe)]/
[初期の満充電容量(Ahs)−終期の満充電容量(Ahe)]
以上の式において、初期の満充電容量(Ahs)と終期の満充電容量(Ahe)はあらかじめ特定されている。
[n=2のステップ]
このステップで、バッテリECU2は、放電している電池の電流と電圧から放電内部抵抗を演算し、充電している電池の電流と電圧から放電内部抵抗を演算する。このとき、温度によるフィルタリングをして、測定精度を高くする。放電内部抵抗と充電内部抵抗が温度により変化するからである。温度によるフィルタリングは、電池の放電内部抵抗及び充電内部抵抗を検出するときの電池温度を検出し、検出される温度を関数として設定温度における内部抵抗に変換する。内部抵抗をフィルタリングするバッテリECU2は、温度に対する内部抵抗の変化を、関数として、あるいはLUTに記憶している。この記憶値から、内部抵抗を設定温度の内部抵抗にフィルタリングして補正する。
[n=3のステップ]
さらに、バッテリECU2は、記憶しているLUTや関数に基づいて、放電内部抵抗から第2の劣化度SOH2を、充電内部抵抗から第3の劣化度SOH3を演算する。
[n=4のステップ]
このステップで、バッテリECU2は、ウェイト1とウェイト2とウェイト3を特定する。ウェイト1とウェイト2とウェイト3は、図6から特定する。
[n=5のステップ]
バッテリECU2は、ウェイト1及び第1の劣化度SOH1と、ウェイト2及び第2の劣化度SOH2と、ウェイト3と第3の劣化度SOH3から電池1の劣化度SOHを演算する。バッテリECU2は、以下の式で劣化度SOHを演算する。
劣化度SOH=ウェイト1×第1の劣化度SOH1
+ウェイト2×第2の劣化度SOH2
+ウェイト3×第3の劣化度SOH3
バッテリECU2は、以上のようにして電池1の劣化度SOHを判定し、判定された劣化度SOHを通信回線9を介して車両側のエンジンECU3に伝送する。
バッテリECU2は、出力電力が最低出力電力となる状態における電池1の劣化度SOHを0%とする。このような劣化度SOHを検出することにより、電池1の寿命を知ることができる。また、各劣化度SOHにおける各種のパラメータ、たとえば、その劣化度SOHにおける電圧と電池容量(SOC)との関係、その劣化度SOHにおける満充電容量(Ahf)等を予め保存しておき、判定、検出されたその時点における劣化度SOHに応じて、このような保存されたパラメータを利用することができる。
電動車両は、多数の電池セルを直列に接続して、電池1の出力電圧を高くしている。この電池1の劣化度は、各々の電池セルの劣化度を検出して、劣化度が最低となる素電池の劣化度を電池1の劣化度とする。
エンジンECU3は、バッテリECU2から伝送される電池1のピーク電流よりも充放電する電流が小さくなるように、電池1の充放電、すなわちモータ4と発電機5をコントロールして、車両をエンジン6とモータ4とで走行させる。すなわち、車両を急加速する状態においては、電池1の放電電流がバッテリECU2で特定されるピーク電流よりも小さくなるように制御し、また、急ブレーキで発電機5を駆動して回生制動する状態において、あるいはエンジン6で発電機5を駆動して電池1を充電する状態においては、電池1の充電電流がバッテリECU2で特定されるピーク電流よりも小さくなるように制御して、電池1を充放電する電流をピーク電流よりも小さく制御する。
従来の充放電制御方法が残容量で充放電を制御する状態を示す図である。 本発明の一実施例にかかる充放電制御方法に使用するハイブリッドカーのブロック図である。 本発明の一実施例にかかる充放電制御方法が残容量で充放電を制御する状態を示す図である。 本発明の他の実施例にかかる充放電制御方法が電池の電圧で充放電を制御する状態を示す図である。 本発明の他の実施例にかかる充放電制御方法が電池の劣化度で充放電を制御する状態を示す図である。 内部抵抗の相対値に対するウェイト1とウェイト2とウェイト3を示すグラフである。 電池の現在の満充電容量(Ahf)を検出する原理を示す図である。 内部抵抗を有する電池の等価回路を示す図である。 電池の放電時における電流−電圧特性を示すグラフである。 電池の充電時における電流−電圧特性を示すグラフである。 内部抵抗に対する劣化度SOH2、SOH3を示すグラフである。 バッテリECUが劣化度SOHを演算するフローチャートである。
符号の説明
1…電池
2…バッテリECU
3…エンジンECU
4…モータ
5…発電機
6…エンジン
7…残存容量表示器
8…温度センサー
9…通信回線

Claims (8)

  1. 電池の電圧を検出し、充電される電池の電圧があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の電圧があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の電圧を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電するハイブリッドカーの充放電制御方法であって、
    充放電される電池の電圧が、不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、
    電池が充電されて電圧が充電制限値に上昇した後は、電池を放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の電圧まで電池を放電するハイブリッドカーの充放電制御方法。
  2. 電池の電圧を検出し、充電される電池の電圧があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の電圧があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の電圧を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電するハイブリッドカーの充放電制御方法であって、
    充放電される電池の電圧が、不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、
    電池が放電されて電圧が放電制限値まで低下した後は、電池を充電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の電圧まで電池を充電するハイブリッドカーの充放電制御方法。
  3. 電池の残容量を検出し、充電される電池の残容量があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の残容量があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の残容量を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電するハイブリッドカーの充放電制御方法であって、
    電池の残容量が不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、
    電池が充電されて残容量が充電制限値まで増加した後は、電池を放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の残容量まで電池を放電するハイブリッドカーの充放電制御方法。
  4. 電池の残容量を検出し、充電される電池の残容量があらかじめ設定している充電制限値に上昇すると充電電流を遮断し、放電している電池の残容量があらかじめ設定している放電制限値まで低下すると放電電流を遮断して、電池の残容量を、充電制限値と放電制限値との間の残容量50%領域を含む不感領域にコントロールしながら電池を充放電するハイブリッドカーの充放電制御方法であって、
    電池の残容量が不感領域にあっては、電池を充放電する電流のピーク値をノーマルピーク電流に制限し、
    電池が放電されて残容量が放電制限値まで減少した後は、電池を充電する電流のピーク値をノーマルピーク電流よりも大きい拡大ピーク電流に設定して不感領域の所定の残容量まで電池を充電するハイブリッドカーの充放電制御方法。
  5. 電池の劣化度を検出し、電池が劣化にするにしたがって、電池の充放電する電流のピーク値を小さくする減少させることを特徴とするハイブリッドカーの充放電制御方法。
  6. 電池の劣化度を、電圧又は残容量が放電下限値に達する回数をカウントして判定する請求項5に記載されるハイブリッドカーの充放電制御方法。
  7. 電池の劣化度を、電圧又は残容量が充電上限値に達する回数をカウントして判定する請求項5に記載されるハイブリッドカーの充放電制御方法。
  8. 電池の劣化度を、電池の充電容量の積算値、放電容量の積算値、又は充放電容量の積算値で判定する請求項5に記載されるハイブリッドカーの充放電制御方法。
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