以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(本発明の実施形態に係る表示装置の処理の概要)
本発明の実施形態に係る表示装置について説明する前に、まず、本発明の実施形態に係る表示装置の処理の概要について説明する。なお、以下では、本発明の実施形態に係る表示装置に画像信号が入力されるものとして説明するが、表示装置に入力される画像信号は、静止画像を示すものであってもよいし、または、動画像(いわゆる映像)であってもよい。
また、以下では、本発明の実施形態に係る表示装置に入力される画像信号がデジタル信号であるとして説明するが、上記に限られず、例えば、アナログ放送などで用いられるアナログ信号がA/Dコンバータ(Analog to Digital converter)でデジタル信号に変換されたものとすることもできる。また、本発明の実施形態に係る表示装置に入力される画像信号は、例えば、放送局から送信され表示装置が受信したものとすることができるが、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る表示装置に入力される画像信号は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して外部装置から送信され表示装置が受信したものであってもよいし、または、表示装置が備える記憶部に保持された映像ファイルや画像ファイルを表示装置が読み出したものであってもよい。
本発明の実施形態に係る表示装置における処理は、〔1〕入力された画像信号を補正する画像処理フェーズと、〔2〕補正された画像信号を表示する表示フェーズ、とに分けられる。
〔1〕画像処理フェーズ
本発明の実施形態に係る表示装置は、画像処理フェーズにおいて、例えば以下の〔1−1〕、〔1−2〕の処理を行い、入力されたNビット(Nは正の整数)の画像信号(以下、「入力画像信号」という。)を、N+k(kは正の整数)の画像信号(以下、「出力画像信号」という。)に変換する。ここで、上記kの値は、本発明の実施形態に係る表示装置が画像を表示する表示部の階調性能に応じた値とすることができる。なお、本発明の実施形態に係る表示装置が画像を表示する表示部の階調性能が入力画像信号と同じNビットの場合には、本発明の実施形態に係る表示装置は、N+kビットの出力画像信号をさらにNビットに補正することもできる。
〔1−1〕グラデーション領域の判定
本発明の実施形態に係る表示装置は、入力画像信号が示す画像を、エッジを示す「エッジ領域」、エッジ領域以外で凹凸の数が少ない領域を示す「グラデーション領域」、およびエッジ領域以外で凹凸の数が多い領域を示す「テクスチャ領域」に大きく分類し、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を判定する。ここで、本発明の実施形態に係る表示装置は、例えば、入力画像信号が対応する画素ごとにグラデーション領域の判定を行う。
〔1−2〕画像信号の補正
本発明の実施形態に係る表示装置は、上記〔1−1〕における判定結果に基づいて、画素ごとに以下の(A)、(B)のように画像信号の補正を行う。
(A)グラデーション領域ではないと判定された場合
本発明の実施形態に係る表示装置は、グラデーション領域ではないと判定した場合(すなわち、エッジ領域またはテクスチャ領域の場合)には、例えば、入力された画像信号をkビット左へシフトさせ、入力画像信号の下位にkビットの固定値を付加した第1出力画像信号を出力する。
(B)グラデーション領域と判定した場合
本発明の実施形態に係る表示装置は、グラデーション領域と判定した場合には、入力された画像信号の平滑化が行われてN+kビットに拡張された第2出力画像信号を出力する。
本発明の実施形態に係る表示装置は、各画素に対応する入力画像信号に対して上記(A)または(B)の補正を行うことによって、Nビットの入力画像信号をN+kビットの出力画像信号に補正することができる。
また、本発明の実施形態に係る表示装置は、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、当該判定結果に基づいて、グラデーション領域に対しては入力画像信号を平滑化し、エッジ領域またはテクスチャ領域に対しては入力画像信号を平滑化しない。したがって、本発明の実施形態に係る表示装置では、入力画像信号の補正によって細かい凹凸が失われることはなく、例えば、壁や遠い山などの質感も損なわれないので、高画質化を図ることができる。
〔2〕表示フェーズ
本発明の実施形態に係る表示装置は、上記〔1〕の画像処理フェーズにおいて補正された画像信号(出力画像信号)に基づいて、画像を表示する。
本発明の実施形態に係る表示装置は、上述した処理によって、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して入力画像信号を平滑化し、入力画像信号よりも階調数の多い出力画像信号に変換して画像を表示することができる。
したがって、本発明の実施形態に係る表示装置は、表示部の階調性能が入力画像信号よりも高い場合であっても、表示部の表示性能を引き出すことができ、また、入力画像信号の補正によって細かい凹凸が失われることはないので、高画質化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態に係る表示装置の構成について、具体的に説明する。また、以下では、本発明の実施形態に係る表示装置として、上記〔1〕画像処理フェーズを担う「画像処理部」と、上記〔2〕表示フェーズを担う「表示部」とを備える構成を示す。なお、本発明の実施形態は、上記の構成に限られず、例えば、以下に示す画像処理部を独立の装置(画像処理装置)として実現することもできる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置1000を示すブロック図である。なお、図1では、表示装置1000として、画像処理部100が、モノクロ画像の処理、あるいはカラー画像の複数チャンネルのうちの1チャンネル分の処理を行う構成を示している。
[表示装置1000の構成]
図1を参照すると、表示装置1000は、画像処理部100と、表示部190とを備える。
また、表示装置1000は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され表示装置1000全体を制御することが可能な制御部(図示せず)や、制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory。図示せず)、制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory。図示せず)、放送局などから送信される画像信号を受信する受信部(図示せず)、映像ファイルや画像ファイルなどを記憶可能な記憶部(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、外部装置(図示せず)と通信を行うための通信部(図示せず)などを備えてもよい。表示装置1000は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。
ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。また、操作部(図示せず)としては、例えば、キーボードやマウスなどの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。
また、表示装置1000と外部装置(図示せず)とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子やIEEE1394規格の端子、DVI(Digital Visual Interface)端子、あるいはHDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子などを介して物理的に接続されてもよいし、また、WUSB(Wireless Universal Serial Bus)やIEEE802.11などを利用して無線で接続することもできる。さらに、表示装置1000と外部装置(図示せず)とは、例えば、ネットワークを介して接続することもできる。ネットワークとしては、例えば、LANやWAN(Wide Area Network)など有線ネットワーク、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)を用いたWLAN(Wireless Local Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられるが、上記に限られない。したがって、通信部(図示せず)は、外部装置(図示せず)との接続形態に応じたインタフェースを有する。
画像処理部100は、入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号Diを、N+k(kは正の整数)ビットの出力画像信号Doに変換する。より具体的には、画像処理部100は、入力画像信号Diが示す画像を画素ごとにグラデーション領域の判定を行う制御部102と、制御部102から出力される制御信号Dcに基づいて画素ごとに階調数の拡張、または、入力画像信号Diの補正および階調数の拡張を行う階調数拡張部104とを備える。画像処理部100の詳細については後述する。
表示部190は、N+kビットの階調性能を有し、画像処理部100から出力されるN+kビットの出力画像信号Doが示す画像を表示する。
〔表示部190の構成例〕
表示部190は、例えば、画像表示部(図示せず)と、行駆動部(図示せず)と、列駆動部(図示せず)と、電源供給部(図示せず)と、表示制御部(図示せず)とを備える。
画像表示部は、例えば、マトリクス状(行列状)に配置された複数の画素を備える。例えば、SD(Standard Definition)解像度の映像を表示する画像表示部は、少なくとも640×480=307200(データ線×走査線)の画素を有し、カラー表示のために当該画素が赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)のサブピクセル(sub pixel)からなる場合には、640×480×3=921600(データ線×走査線×サブピクセルの数)のサブピクセルを有する。同様に、例えば、HD(High Definition)解像度の映像を表示する表示部は、1920×1080の画素を有し、カラー表示の場合には、1920×1080×3のサブピクセルを有する。
また、画像表示部は、例えば、画素ごとに印加する電圧量/電流量を制御するための画素回路を備えていてもよい。画素回路は、例えば、印加される走査信号および電圧信号により電流量を制御するためのスイッチ素子およびドライブ素子と、電圧信号を保持するためのキャパシタで構成される。上記スイッチ素子および上記ドライブ素子は、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)で構成される。
行駆動部および列駆動部は、例えば、画像表示部が有する複数の画素に電圧信号を印加して各画素を発光させる。ここで、行駆動部および列駆動部は、一方が画素のON/OFFを決定する電圧信号(走査信号)を印加し、他方が表示させる映像に応じた電圧信号(画像信号)を印加する役割を果たすことができる。また、行駆動部および列駆動部の駆動方式としては、例えば、上記マトリクス状に配置された画素ごとに発光させる点順次駆動走査方式、上記マトリクス状に配置された画素を一列ごとに発光させる線順次駆動走査方式、そして、上記マトリクス状に配置された全ての画素を発光させる面順次駆動走査方式などが挙げられる。
電源供給部は、行駆動部および列駆動部に電源を供給し、行駆動部および列駆動部には電圧が印加される。また、電源供給部が、行駆動部および列駆動部に印加する電圧の大きさは、画像処理部100から出力される出力画像信号Doに応じて可変する。
表示制御部は、例えば、MPUなどで構成され、画像処理部100から出力される出力画像信号Doに応じて、行駆動部および列駆動部の一方に画素のON/OFFを決定する電圧を画素に印加するための制御信号を入力し、また、他方に画像信号を入力する。また、表示制御部は、画像処理部100から出力される出力画像信号Doに応じて、電源供給部による行駆動部および列駆動部への電源の供給を制御することもできる。
表示部190は、上記のような構成により、出力画像信号Doに応じた画像を表示する。ここで、表示部190としては、例えば、有機ELディスプレイや、FED、PDPなどの自発光型の表示デバイスや、LCDなどのバックライト型の表示デバイスが挙げられるが、上記に限られない。
本発明の第1の実施形態に係る表示装置1000は、図1に示すような構成により、入力画像信号に基づいて対応する画素ごとにグラデーション領域を判定し、当該判定結果に応じて入力画像信号Diの階調数の拡張、または、入力画像信号Diの補正(例えば、平滑化)および階調数の拡張を行う。そして、表示装置1000は、階調数が拡張された画像信号、すなわち、出力画像信号Doに基づいて画像を表示することができる。次に、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100について、より詳細に説明する。なお、以下では、説明の簡単化のために、水平方向の処理を例に挙げて説明を行う。
[第1の実施形態に係る画像処理部100]
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100を示すブロック図である。図2を参照すると、画像処理部100は、制御部102と、階調数拡張部104とを備える。また、制御部102は、周波数成分検出部106と、検出値平滑部108と、制御信号生成部110とを備える。
周波数成分検出部106は、入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出し、検出結果を周波数成分検出値Dfとして出力する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部106の構成例を示すブロック図である。図3を参照すると、周波数成分検出部106は、バンドパス・フィルタ112(Band-Pass Filter。以下、「BPF」とよぶ場合もある。)と絶対値変換部114とで構成される。
バンドパス・フィルタ112は、特定の周波数帯域の画像信号のみを通過させ、その他の帯域の画像信号を減衰させることによって、BPF出力Dbpfを画素ごとに出力する。図4は、本発明の第1の実施形態に係るバンドパス・フィルタ112の周波数特性の一例を示す説明図である。図4を参照すると、バンドパス・フィルタ112は、周波数fをピークとする通過帯域を有する。ここで周波数fは、例えば、テクスチャ領域の周波数特性に応じて、周波数f付近の成分がテクスチャ領域に多く含まれるように定めることができる。また、周波数fは、表示部190の画面サイズと画素数、そして想定される視距離に応じて設定することができる。
絶対値変換部114は、BPF出力Dbpfの絶対値を算出して周波数成分検出値Dfとして出力する。
再度図2を参照して画像処理部100の構成要素について説明する。検出値平滑部108は、周波数成分検出部106から出力された各画素に対応する周波数成分検出値Dfに基づいて、周波数成分検出値Dfの平滑化を画素ごとに行い、平滑化された平均検出値Daveを出力する。ここで、平均検出値Daveは、後述する制御信号生成部110におけるグラデーション領域の判定に用いられる。
検出値平滑部108は、平滑化を行う画素に対応する注目画素を含む所定の平滑領域を画素ごとに設定し、当該平滑領域内に含まれる画素に対応する周波数成分検出値Dfの平均値を算出することによって、平均検出値Daveを画素ごとに出力する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る検出値平滑部108における平滑化処理の一例を説明するための説明図であり、平滑領域として水平方向に8画素分の大きさの領域が設定された例を示している。ここで、検出値平滑部108が設定する平滑領域は、図5に示す水平方向に8画素分の大きさの領域に限られず、水平方向および/または垂直方向に任意の大きさの領域とすることができる。また、平滑領域は、すべての注目画素に対して同一の大きさに設定されることに限られず、例えば、画面上の位置に応じて大きさを変えてもよい。
また、検出値平滑部108が算出する平均値は、例えば、相加平均で求めることができるが、かかる算出方法に限られず、例えば、相乗平均としてもよいし、所定の重み付けをした重み付け平均とすることもできる。
再度図2を参照して画像処理部100の構成要素について説明する。制御信号生成部110は、検出値平滑部108から出力される平均検出値Daveに基づいて、グラデーション領域の判定を閾値処理によって画素ごとに行う。
〔平均検出値Daveに基づいて判定を行う意義〕
ここで、画像処理部100が、平均検出値Daveに基づいてグラデーション領域の判定を行う意義について説明する。
エッジ領域では周波数成分検出値Dfの値が大きくなり、一方、グラデーション領域やテクスチャ領域では、ともに周波数成分検出値Dfの値は小さくなる。したがって、周波数成分検出値Dfの値の大小だけに注目した場合、グラデーション領域とテクスチャ領域とを区別することができない。
ここで、平滑領域における周波数成分検出値Dfの検出の頻度に着目すると、グラデーション領域では周波数成分検出値Dfの検出の頻度は低いが、テクスチャ領域では比較的検出の頻度が高くなる。また、平滑領域に含まれる周波数成分検出値Dfの値は、グラデーション領域およびテクスチャ領域ともに同程度の大きさである。つまり、平滑領域における平均的な周波数成分検出値Dfの値、すなわち平均検出値Daveに着目すると、グラデーション領域の平均検出値Daveよりもテクスチャ領域の平均検出値Daveの方が大きくなる。
したがって、平均検出値Daveと、グラデーション領域とテクスチャ領域とを区別するための適切な閾値THとに基づく閾値処理を行えば、平均検出値Daveが閾値THより小さい場合はグラデーション領域、また、平均検出値Daveが閾値THより大きい場合はテクスチャ領域またはエッジ領域として、区別することができる。ここで、閾値THの値は、例えば、明らかにグラデーションを示す領域を有する画像を示す画像信号と、明らかにテクスチャを示す領域を有する画像を示す画像信号とを用いて決定することができる。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る制御信号生成部110における閾値処理を説明するための説明図である。制御信号生成部110は、図6に示すように、平均検出値Daveが閾値THより小さいときにはグラデーション領域を示す「1」を制御信号Dcとして出力し、平均検出値Daveが閾値TH以上のときにはテクスチャ領域またはエッジ領域、すなわちグラデーション領域以外を示す「0」を制御信号Dcとして出力する。
ここで、制御信号生成部110がグラデーション領域を判定するために用いる閾値THの情報は、例えば、画像処理部100が備える記憶手段に記憶され、当該記憶手段から入力される。ここで、画像処理部100が備える記憶手段としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、閾値THの情報は、例えば、制御信号生成部110が記憶手段を備えて保持することができ、また、表示装置1000の記憶部(図示せず)に記憶され、制御信号生成部110が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
制御部102は、上記のような周波数成分検出部106、検出値平滑部108、および制御信号生成部110を備えることによって、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定することができる。
次に、階調数拡張部104について説明する。図7は、本発明の第1の実施形態に係る階調数拡張部104を示すブロック図である。
図7を参照すると、階調数拡張部104は、画像平滑部116と、選択部118とを備える。
画像平滑部116は、Nビットの入力画像信号Diを平滑化し、N+kビットの平滑化画像信号Dsを出力する。画像平滑部116は、例えば、遮断周波数より大きな周波数の画像信号を減衰させるローパス・フィルタ(Low-Pass Filter。図示せず)と、制御部102が備える検出値平滑部108と同様に平滑化を行いさらにN+kビットの精度の平滑化画像信号Dsを出力する検出値平滑部(図示せず)とで構成することができる。ここで、平滑化画像信号Dsは、上述した第2出力画像信号に該当する。なお、画像平滑部116が平滑化のために設定する平滑領域は、制御部102が備える検出値平滑部108と同様の領域とすることができるが、異なる領域であってもよい。
また、画像平滑部116は、ローパス・フィルタを備える構成に限られず、例えば、εフィルタ(ε-Filter)やバイラテラル・フィルタ(Bilateral Filter)を備えることもできる。上記フィルタは、微小な画像の変化だけを平滑化し、大きな画像の変化は平滑化しないという特徴を有することが知られている。これらを用いることにより、たとえ、領域の判定結果が誤った場合であっても、エッジ領域の劣化を最小限に抑制させることができる。
選択部118は、制御信号生成部110から出力される制御信号Dcに基づいて、以下の(i)または(ii)に示すように、N+kビットの出力画像信号Doを対応する画素ごとに選択的に出力する。
(i)制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域を示す「0」である場合
制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域を示す「0」である場合には、選択部118は、入力画像信号Diをkビット左へシフトさせ、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加したN+kビットの第1出力画像信号を出力する。
(ii)制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」である場合
制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」である場合には、選択部118は、画像平滑部116から出力されたN+kビットの第2出力画像信号(平滑化画像信号Ds)を出力画像信号Doとして出力する。
階調数拡張部104は、図7に示す構成によって、制御部102から出力される制御信号Dcに応じて第1出力画像信号または第2出力画像信号を選択的に出力画像信号Doとして出力することができる。
〔画像処理部100における各信号〕
第1の実施形態に係る画像処理部100は、上述した構成によって、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を判定し、N+kビットの第1出力画像信号、または平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力画像信号Doとして出力することができる。ここで、画像処理部100における上述した各信号をグラデーション領域、テクスチャ領域、エッジ領域それぞれについて示す。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100における各信号の一例を示す説明図である。ここで、図8(a)は入力画像信号Diを示し、図8(b)は、BPF出力Dbpfを示している。同様に、図8(c)〜図8(g)は、周波数成分検出値Df、平均検出値Dave、制御信号Dc、平滑化画像信号Ds、出力画像信号Doをそれぞれ示している。
〔A〕グラデーション領域(図8(1))
(A−1)図8(a)
入力画像信号Diとして、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる。
(A−2)図8(b)
バンドパス・フィルタ112から出力されるBPF出力Dbpfの振幅は小さく、検出される頻度も低い。
(A−3)図8(c)
BPF出力Dbpfは、絶対値変換部114において絶対値に変換され、周波数成分検出値Dfが出力される。周波数成分検出値Dfの値は小さく、検出される頻度も低い。
(A−4)図8(d)
検出値平滑部108において、対応する画素ごとに平滑領域における周波数成分検出値Dfの平均値が算出され、平均検出値Daveが出力される。また、平均検出値Daveの値は、閾値THよりも小さな値となる。
(A−5)図8(e)
制御信号生成部110において閾値処理が行われることによって、制御信号Dcが出力される。図8(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さいため、制御信号Dcは、グラデーション領域を表す「1」を示す。
(A−6)図8(f)
画像平滑部116が出力する平滑化画像信号Dsは、N+kビットの精度を有するので、Nビットの入力画像信号Diよりも画像の変化が滑らかとなる。
(A−7)図8(g)
図8(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、選択部118は、画像平滑部116が出力する平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)を選択して出力画像信号Doとして出力する。
図8に示すように、グラデーション領域では、出力画像信号Doとして平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)が出力されるので、グラデーション領域の変化がより滑らかになる。
〔B〕テクスチャ領域(図8(2))
(B−1)図8(a)
入力画像信号Diとして、1階調ずつ変化しながら凹凸を形成するテクスチャ領域を例に挙げる。
(B−2)図8(b)
図8(1)のグラデーション領域と比較して、バンドパスフィルタ112から出力されるBPF出力Dbpfの振幅は同程度であるが、検出される頻度は高い。
(B−3)図8(c)
BPF出力Dbpfは、絶対値変換部114において絶対値に変換され、周波数成分検出値Dfが出力される。図8(1)のグラデーション領域と比較して、周波数成分検出値Dfの値は同程度であるが、検出される頻度は高い。
(B−4)図8(d)
検出値平滑部108において、対応する画素ごとに平滑領域における周波数成分検出値Dfの平均値が算出され、平均検出値Daveが出力される。また、平均検出値Daveの値は、閾値THよりも比較的大きな値となる。
(B−5)図8(e)
制御信号生成部110において閾値処理が行われることによって、制御信号Dcが出力される。図8(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより大きいため、制御信号Dcは、グラデーション領域以外の領域を表す「0」を示す。
(B−6)図8(f)
画像平滑部116が出力する平滑化画像信号Dsは、N+kビットの精度を有するので、Nビットの入力画像信号Diよりも画像の変化が滑らかとなるが、凹凸の変化が乏しくなる。
(B−7)図8(g)
図8(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域を示す「0」であるため、選択部118は、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号を出力画像信号Doとして出力する。
図8に示すように、テクスチャ領域では、出力画像信号Doとして入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号が出力されるので、凹凸の変化を損なうことがなくなる。したがって、画像のぼやけを防止することができる。
〔C〕エッジ領域(図8(3))
(C−1)図8(a)
入力画像信号Diとして、急峻に変化するエッジ領域を例に挙げる。
(C−2)図8(b)
バンドパス・フィルタ112から出力されるBPF出力Dbpfは、振幅の大きさに幅がある。
(C−3)図8(c)
BPF出力Dbpfは、絶対値変換部114において絶対値に変換され、周波数成分検出値Dfが出力される。図8(1)のグラデーション領域、図8(2)のテクスチャ領域と比較して、周波数成分検出値Dfの値は非常に大きくなる。
(C−4)図8(d)
検出値平滑部108において、対応する画素ごとに平滑領域における周波数成分検出値Dfの平均値が算出され、平均検出値Daveが出力される。また、平均検出値Daveの値は、エッジの近傍において閾値THよりも十分に大きな値となる。
(C−5)図8(e)
制御信号生成部110において閾値処理が行われることによって、制御信号Dcが出力される。エッジ近傍の領域では図8(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより大きいため、制御信号Dcはグラデーション領域以外の領域を表す「0」を示す。また、エッジ近傍から遠い領域では、図8(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さくなるため制御信号Dcはグラデーション領域を表す「1」を示す。
(C−6)図8(f)
画像平滑部116が出力する平滑化画像信号Dsは、N+kビットの精度を有するので、Nビットの入力画像信号Diよりも画像の変化が滑らかとなるが、エッジの急峻さは鈍る。
(C−7)図8(g)
エッジ近傍の領域では、図8(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域を示す「0」であるため、選択部118は、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号を出力画像信号Doとして出力する。また、エッジ近傍から遠い領域では、図8(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、選択部118は、画像平滑部116が出力する平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)を選択して出力画像信号Doとして出力する。
図8に示すように、エッジ領域では、エッジ近傍では画像は平滑化されず、エッジ近傍以外の変化の小さい領域では画像が平滑化されてより滑らかになる。
画像処理部100は、入力される入力画像信号Diに基づいて、図8に示すように、グラデーション領域、テクスチャ領域、エッジ領域それぞれについて、画質の劣化が生じないように適した出力画像信号Doを出力することができる。
〔画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号〕
次に、図8の比較例として、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合、すなわち、周波数成分検出値Dfに対して閾値処理を行う場合における信号を、〔I〕閾値THが大きい場合、〔II〕閾値が小さい場合それぞれについて示す。
〔I〕閾値THが大きい場合
図9は、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号の第1の例を示す説明図である。ここで、図9(a)は周波数成分検出値Dfを示し、図9(b)は制御信号Dcを示している。
図9(a)を参照すると、上述したように周波数成分検出値Dfは、グラデーション領域、テクスチャ領域ともに同程度の小さな値となる。ここで、図9(a)に示すように、グラデーション領域の周波数成分検出値Dfが閾値THを下回るよう、閾値THをやや大きく設定した場合、テクスチャ領域でも周波数成分検出値Dfが閾値THを下回る可能性が高い。このとき、図9(b)に示すように、グラデーション領域とテクスチャ領域のいずれの場合も、制御信号Dcは、グラデーション領域を示す「1」を示す。
したがって、選択部118は、グラデーション領域とテクスチャ領域のいずれの領域に対しても画像平滑部116が出力する平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)を選択して出力画像信号Doとして出力する。上記の場合には、テクスチャ領域に対しても平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)が出力されるため、テクスチャ領域の凹凸の変化が損なわれる、すなわち画像がぼやけるという問題が生ずる。
また、エッジ領域では、エッジ近傍で周波数成分検出値Dfが閾値THよりも十分大きくなる。したがって、制御信号Dcはエッジ近傍のみグラデーション領域以外の領域を示す「0」となるため、エッジ近傍では平滑化されず、エッジ以外のグラデーション領域は滑らかに変換される。つまり、エッジ領域では特に問題は生じない。
〔II〕閾値THが小さい場合
図10は、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号の第2の例を示す説明図である。ここで、図10(a)は周波数成分検出値Dfを示し、図10(b)は制御信号Dcを示している。
図10(a)に示すように、グラデーション領域の周波数成分検出値Dfが閾値THを上回るよう、閾値THをやや小さく設定した場合、グラデーション領域でも周波数成分検出値Dfが閾値THを上回る箇所が出てくる。ここで、周波数成分検出値Dfが閾値THを上回る箇所とは、入力画像信号Diが変化している箇所を意味するが、図10(b)に示すように制御信号Dcは、グラデーション領域以外の領域を示す「0」となる。したがって、入力画像信号Diが変化している箇所では平滑化されず、図8(1)に示すようなグラデーション領域の階段状の変化を滑らかにすることができないという問題が生ずる。
また、エッジ領域では、エッジ近傍以外のグラデーション領域についても制御信号Dcは、グラデーション領域以外の領域を示す「0」となるので、上記グラデーション領域と同様の問題が生じる。
図9、図10に示すように、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合には、グラデーション領域、テクスチャ領域、エッジ領域それぞれについて問題が生じる。
これに対して、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100は、検出値平滑部108を備えて検出値平滑処理を行うことによって、グラデーション領域と、グラデーション領域以外の領域(テクスチャ領域およびエッジ領域)を区別することができる。特に、画像処理部100は、テクスチャ領域とグラデーション領域を的確に判別できるため、誤ってテクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を防止することができる。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る表示装置1000は、Nビットの入力画像信号DiをN+kビットの出力画像信号Doに補正する画像処理部100と、N+kビットの階調性能を有する表示部190とを備える。画像処理部100は、制御部102と階調数拡張部104とを備え、制御部102が入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定して制御信号Dcを出力し、制御信号Dcに基づいて階調数拡張部104が、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力画像信号Doとして出力する。したがって、表示装置1000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して表示することができる。
また、表示装置1000は、グラデーション領域を判定して選択的にグラデーション領域をより滑らかに補正するため、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。また、表示装置1000は、エッジ領域やテクスチャ領域では入力画像を補正しないため、出力画像信号Doが示す画像は鮮鋭感を損なわない。
また、一般的に、階調性能が不足する場合には、視覚的には、グラデーション領域では等高線状に偽輪郭が生じるなどの画質劣化がユーザにより視認され、エッジ領域やテクスチャ領域では画質劣化が目立ちにくい。表示装置1000は、選択的にグラデーション領域の階調性能を向上させるので、視覚的には画像全体に階調性能が向上したのと同様な効果を得ることができる。
さらに、表示装置1000は、所定の周波数帯域の信号(BPF出力Dbpf)を検出し、所定の平滑領域で検出値を平滑した結果に基づいて閾値処理を行う。したがって、表示装置1000は、テクスチャ領域とグラデーション領域を的確に判別することができるので、誤ってテクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を防止することができる。
[表示装置1000の変形例]
〔第1の変形例〕
上記では、第1の実施形態に係る表示装置1000として、図3に示すように周波数成分検出部106が一つのバンドパス・フィルタ112を備えることにより周波数成分検出値Dfを出力する構成を示した。しかしながら、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部は、図3の構成に限られず、複数のバンドパス・フィルタを備える構成とすることもできる。
図11は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る周波数成分検出部を示すブロック図である。なお、図11では、バンドパス・フィルタを2つ備える構成を例を示しているが、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部の変形例が、2つのバンドパス・フィルタを備える構成に限られないことは、言うまでもない。
図11を参照すると、第1の変形例に係る周波数成分検出部は、第1のバンドパス・フィルタ112a、第1の係数乗算部120a、および第1の絶対値変換部114aと、第2のバンドパス・フィルタ112b、第2の係数乗算部120b、および第2の絶対値変換部114bと、最大値選択部122とを備える。
第1のバンドパス・フィルタ112aには、入力画像信号Diが入力され、周波数f1をピークとする周波数特性に基づいてBPF出力Dbpf1を出力する。
第1の係数乗算部120aは、BPF出力Dbpf1に所定の係数K1を乗算し、重み付けがなされたBPF出力Dk1を出力する。ここで、第1の係数乗算部120aが乗算に用いる係数K1の情報は、例えば、画像処理部100が備える記憶手段に記憶され、当該記憶手段から入力されるが、上記に限られない。例えば、係数K1の情報は、第1の係数乗算部120aが記憶手段を備えて保持することができ、また、表示装置の記憶部(図示せず)に記憶され、第1の係数乗算部120aが当該記憶部(図示せず)から適宜読み出すこともできる。
第1の絶対値変換部114aは、重み付けがなされたBPF出力Dk1の絶対値を算出して第1周波数成分検出値Df1を出力する。
また、第2のバンドパス・フィルタ112bには、入力画像信号Diが入力され、周波数f2をピークとする周波数特性に基づいてBPF出力Dbpf2を出力する。第2の係数乗算部120bは、BPF出力Dbpf2に所定の係数K2を乗算し、重み付けがなされたBPF出力Dk2を出力し、第2の絶対値変換部114bは、重み付けがなされたBPF出力Dk2の絶対値を算出して第2周波数成分検出値Df2を出力する。ここで、第2の係数乗算部112bが乗算に用いる係数K2の情報は、第1の係数乗算部112aが乗算に用いる係数K1と同様に、例えば、画像処理部100が備える記憶手段に記憶されて当該記憶手段から入力されるが、上記に限られない。
最大値選択部122は、対応する画素ごとに周波数成分検出値Df1、Df2のうち大きい方の値を選択して、周波数成分検出値Dfとして出力する。
ここで、第1の変形例に係る周波数成分検出部が図11の構成をとる意義について説明する。図12は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る周波数成分検出部を説明するための説明図である。図12では、係数K1=1、係数K2=0.5に設定した場合の例を示しているが、係数K1、K2の値は、上記に限られない。
図12に示すFBは、テクスチャ領域に多く含まれる主な周波数成分の帯域であり、テクスチャ領域の主な周波数成分が周波数f1となるように、第1のバンドパス・フィルタ112aを設定する。ここで、第1のバンドパス・フィルタ112aは周波数f1をピークとする特性を持つが、第1のバンドパス・フィルタ112aだけでは周波数帯域FBの範囲をすべてカバーすることができない。例えば、テクスチャ領域が周波数f2付近の成分を多く含む場合には、BPF出力Dbpf1がほとんど0(ゼロ)に近い値をとり、周波数成分検出値Dfもほとんど0(ゼロ)となるので、テクスチャ領域がグラデーション領域として誤検出される恐れがある。
図12に示すDk1は、BPF出力Dbpf1に係数K1=1を乗じた特性を示し、Dk2はBPF出力Dbpf2に係数K2=0.5を乗じた特性を示している。Dk1とDk2を絶対値に変換した第1周波数成分検出値Df1および第2周波数成分検出値Df2の最大値を選択することによって、周波数f1付近では第1周波数成分検出値Df1が選択され、周波数f2付近では第2周波数成分検出値Df2が選択される。
したがって、図12に示すように周波数特性の異なる複数のバンドパス・フィルタを用いることによって、帯域FB全体をカバーすることができる。
本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る表示装置は、周波数成分検出部の構成が、図3に示す周波数成分検出部106と異なるが、入力画像信号Diに基づいて周波数成分検出値Dfを出力することができる。また、第1の変形例に係る表示装置のその他の構成は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様である。したがって、第1の変形例に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の効果を奏することができる。
〔第2の変形例〕
また、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部は、図3、図11に示す構成に限られない。図13は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る周波数成分検出部を示すブロック図である。
図13を参照すると、第2の変形例に係る周波数成分検出部は、基本的に図11に示す第1の変形例に係る周波数成分検出部と同様の構成を有するが、図11の最大値選択部122が加算部124に置き換わっている。
加算部124は、対応する画素ごとに第1周波数成分検出値Df1および第2周波数成分検出値Df2を加算して周波数成分検出値Df(=Df1+Df2)を出力する。このとき、周波数f1付近では周波数成分検出値Dfに対する第1周波数成分検出値Df1の割合が高く、また、周波数f2付近では周波数成分検出値Dfに対する第2周波数成分検出値Df2の割合が高くなる。したがって、上記の場合であっても図12に示す帯域FB全体にわたって良好に周波数成分検出値Dfを出力することができる。
本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る表示装置は、周波数成分検出部の構成が、図3に示す周波数成分検出部106と異なるが、図11に示す第1の変形例に係る周波数成分検出部と同様に、入力画像信号Diに基づいて周波数成分検出値Dfを出力することができる。また、第2の変形例に係る表示装置のその他の構成は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様である。したがって、第2の変形例に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の効果を奏することができる。
〔第3の変形例〕
上記では、第1の実施形態、第1の変形例および第2の変形例に係る表示装置として、画像処理部が、1つの閾値THを用いて図6に示すような2値の制御信号Dcを生成し、第1出力画像信号または第2出力画像信号を選択的に出力画像信号Doとして出力する構成を示した。しかしながら、本発明の第1の実施形態に係る表示装置は、上記の構成に限られない。そこで、次に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置として、画像処理部が第1出力画像信号と第2出力画像信号との混合比率を規定する制御信号Dcを生成し、制御信号Dcが示す混合比率に応じた出力画像信号Doを出力する構成について説明する。なお、第3の変形例に係る表示装置の画像処理部は、図2と同様の構成を有する。
図14は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る制御信号生成部における閾値処理を説明するための説明図である。第3の変形例に係る制御信号生成部は、閾値TH1、TH2および検出値平滑部から出力される平均検出値Daveを用いた閾値処理により制御信号Dcを出力する。
具体的には、第3の変形例に係る制御信号生成部は、平均検出値Daveが閾値TH1より小さいとき、グラデーション領域を表す制御信号「1」を生成し、平均検出値Daveが閾値TH2より大きいとき、グラデーション領域以外の領域を示す制御信号「0」を生成する。また、第3の変形例に係る制御信号生成部は、平均検出値Daveが閾値TH1と閾値TH2との間である場合には、例えば、Dc=1とDc=0とを結ぶ直線(すなわち、閾値TH1、TH2の設定により一意に定まる。)に基づいて、中間的な値の制御信号Dcを生成する。上記のように生成される制御信号Dcは、第2出力画像信号(平滑化画像信号Ds)の混合比率を示す。
ここで、第3の変形例に係る制御信号生成部がグラデーション領域を判定するために用いる閾値TH1、TH2の情報は、例えば、画像処理部が備える記憶手段に記憶され、当該記憶手段から入力されるが、上記に限られない。例えば、閾値TH1、TH2の情報は、制御信号生成部が記憶手段を備えて保持することができ、また、表示装置の記憶部(図示せず)に記憶され、制御信号生成部が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出すこともできる。
図15は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る階調数拡張部を示すブロック図である。第3の変形例に係る階調数拡張部は、画像平滑部116と、混合部126とを備える。
画像平滑部116は、図7に示す画像平滑部116と同様の構成を有し、Nビットの入力画像信号を平滑化し、N+kビットの平滑化画像信号Dsを出力する。
混合部126は、制御信号Dcが示す混合比率に応じて、対応する画素ごとに平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)と、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加したN+kビットの第1出力画像信号とを、Dc:(1−Dc)の割合で混合し、出力画像信号Doとして出力する。
ここで、第3の変形例に係る階調数拡張部が、平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)と、第1出力画像信号とを混合して出力する意義について説明する。入力画像信号Diに微小なノイズが混じることによって、同様の画像の同じ表示位置に対応する平均検出値Daveが時間的に変化し、閾値THを上回ったり下回ったりする場合がある。このとき、単純な閾値処理では、制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」とグラデーション領域以外の領域を示す「0」とを交互に行き来するため、第1出力画像信号と平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)とが交互に選択されて、ちらつきとなってユーザに視認される恐れがある。
一方、混合処理では、混合比率を示す制御信号Dcが「1」と「0」の中間の値をとりうるため、第1出力画像信号と平滑化画像信号Ds(第2出力画像信号)との比率が極端に変化することはない。したがって、第3の変形例に係る表示装置は、第1の実施形態に係る表示装置1000よりも、ちらつきの発生を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置は、制御信号生成部における制御信号Dcの生成手段、および階調数拡張部の構成が、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と異なるが、表示装置1000と同様に、制御信号Dcに基づいて出力画像信号Doを出力して表示することができる。したがって、第3の変形例に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の効果を奏することができる。
〔第4の変形例〕
上記では、第1の実施形態、および第1〜第3の変形例に係る表示装置として水平方向の処理を例に挙げて説明したが、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の画像処理部が行う処理は、水平方向の処理に限られない。そこで、次に、本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る表示装置として、画像処理部が水平方向、垂直方向に順次に処理を行う構成について説明する。
図16は、本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る表示装置1500を示すブロック図である。図16を参照すると、表示装置1500は、画像処理部150と、表示部190を備える。ここで、表示部190は、図1に示す表示部190と同様の構成をとり、N+kビットの階調性能を有する。
画像処理部150は、水平制御部102hと、水平階調数拡張部104hと、垂直制御部102vと、垂直階調数拡張部104vとを備える。
水平制御部102hは、入力された入力画像信号Diに基づいて、水平方向のグラデーション領域であるか否かを示す水平制御信号Dhcを画素ごとに出力する。ここで、水平制御部102hは、例えば、図2に示す制御部102と同様の構成をとることによって、水平制御信号Dhcを出力することができる。
水平階調数拡張部104hは、水平制御信号Dhcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に水平方向に画像を平滑化してN+kビットの画像信号Dhoを出力する。ここで、画像信号Dhoは、水平方向には階調性能が向上しているが、垂直方向には階調性能は向上しておらず、入力画像信号Diと同等である。また、水平階調数拡張部104hは、例えば、図2に示す階調数拡張部104と同様の構成をとることによって、画像信号Dhoを出力することができる。
垂直制御部102vは、入力された画像信号Dhoに基づいて、垂直方向のグラデーション領域であるか否かを示す垂直制御信号Dvcを画素ごとに出力する。ここで、垂直制御部102vは、例えば、図2に示す制御部102と同様の構成をとることによって、垂直制御信号Dvcを出力することができる。
垂直階調数拡張部104vは、垂直制御信号Dvcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に垂直方向に画像を平滑化してN+kビットの出力画像信号Doを出力する。ここで、出力画像信号Doは、水平方向に加えて、垂直方向の階調性能も向上している。また、垂直階調数拡張部104vは、例えば、図2に示す階調数拡張部104と同様の構成をとることによって、出力画像信号Doを出力することができる。
図16に示すように、水平方向の処理と垂直方向の処理とを順次実行することによって、第4の変形例に係る表示装置1500は、水平方向、垂直方向の両方について、テクスチャ領域やエッジ領域の鮮鋭度を損なうことなく、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。
また、第4の変形例に係る表示装置1500は、水平方向の処理、垂直方向の処理それぞれを第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に行うことができるので、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の効果を奏することができる。
なお、上記では、第4の変形例に係る表示装置1500として、画像処理部150が水平方向の処理と垂直方向の処理とを順次実行する構成を示したが、本発明の第1の実施形態に係る表示装置は、上記に限られない。例えば、第1の実施形態に係る表示装置は、水平方向と垂直方向とを2次元処理で一括に実行することもできる。かかる構成であっても、第4の変形例に係る表示装置と同様に、水平方向、垂直方向の両方について、テクスチャ領域やエッジ領域の鮮鋭度を損なうことなく、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。
(第1の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第1の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第1の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
(第1の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第1の実施形態に係る表示装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
[画像処理装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
(第1の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第1の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図17は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図17に示す画像処理方法を表示装置1000が行うとして説明するが、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置に適用することができることは、言うまでもない。
表示装置1000は、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S100)。ステップS100の検出は、例えば、1または複数のバンドパス・フィルタを用いて行うことができる。
表示装置1000は、ステップS100において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S102)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S104)。
表示装置1000は、入力画像信号DiとステップS104において生成された制御信号Dcとに基づいて、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力する(S106)。
図17に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置1000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
(第2の実施形態)
上記では、第1の実施形態に係る表示装置として、モノクロ画像の処理、あるいはカラー画像の複数チャンネルのうちの1チャンネル分の処理を行う構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、上記の構成に限られない。そこで、次に、第2の実施形態に係る表示装置として、カラー画像の複数チャンネルを処理する構成について説明する。なお、以下では、カラー画像の複数チャンネルとして、赤(以下「R」という。)、緑(以下、「G」という。)、青(以下、「B」という。)の画像信号が入力される例を示す。
図18は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置2000を示すブロック図である。図18を参照すると、表示装置2000は、画像処理部200と表示部190とを備え、画像処理部200は、制御部202と、階調数拡張部204とを備える。
画像処理部200には、NビットのR/G/Bの入力画像信号Ri、Gi、Biがそれぞれ入力され、N+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに変換して出力する。また、表示部190は、図1に示す第1の実施形態に係る表示部190と同様にN+kビットの階調性能を有し、N+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに基づいて画像を表示する。以下、画像処理部200の構成について、具体的に説明する。
[画像処理部200の構成例]
図19は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理部200を示すブロック図である。
図19を参照すると、制御部202は、第1の周波数成分検出部106aと、第2の周波数成分検出部106bと、第3の周波数成分検出部106cと、最大値選択部206と、検出値平滑部108と、制御信号生成部110とを備える。また、階調数拡張部204は、第1の階調数拡張部204aと、第2の階調数拡張部204bと、第3の階調数拡張部204cとを備える。
〔制御部202〕
第1の周波数成分検出部106aには入力画像信号Riが、第2の周波数成分検出部106bには入力画像信号Giが、そして第3の周波数成分検出部106cには入力画像信号Biがそれぞれ入力される。ここで、第1の周波数成分検出部106a〜第3の周波数成分検出部106cそれぞれは、図2に示す第1の実施形態に係る周波数成分検出部106と同様の構成をとることができる。したがって、第1の周波数成分検出部106aは、入力画像信号Riから所定の周波数成分を検出して周波数成分検出値Rfを出力し、同様に、第2の周波数成分検出部106bは周波数成分検出値Gf、第3の周波数成分検出部106cは周波数成分検出値Bfを出力することができる。
最大値選択部206は、周波数成分検出値Rf、GfおよびBfの中から対応する画素ごとに最大値を選択して、最大検出値Dmaxを出力する。
検出値平滑部108は、図2に示す第1の実施形態に係る検出値平滑部108と同様に、平滑領域における最大検出値Dmaxの平均値を算出して、平均検出値Daveを出力する。
制御信号生成部110は、図2に示す第1の実施形態に係る制御信号生成部110と同様に、平均検出値Daveと閾値THを用いた閾値処理によってグラデーション領域を判定し、判定結果を制御信号Dcとして出力する。
〔階調数拡張部204〕
第1の階調数拡張部204a、第2の階調数拡張部204b、および第3の階調数拡張部204cそれぞれは、図2に示す第1の実施形態に係る階調数拡張部104と同様の構成を有する。したがって、第1の階調数拡張部204aは、制御信号Dcに基づいて、Nビットの入力画像信号Riの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Riが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力画像信号Roとして出力することができる。また同様に、第2の階調数拡張部204b、第3の階調数拡張部204cは、それぞれ出力画像信号Go、Boを出力することができる。
上記のように、画像処理部200は、図19の構成によって、出力画像信号Ro、Go、Boを出力することができる。
次に、画像処理部200が、R/G/Bの周波数成分検出結果の最大値を用いることの意義について説明する。図20は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理部200における各信号の一例を示す説明図である。ここで、図20では、テクスチャ領域における各信号の一例を示している。カラー画像におけるテクスチャ領域では、3色のR/G/B画像信号が同様な頻度で変化するとは限らず、むしろR/G/Bで変化の頻度に差があるのが一般的であるからである。
図20(a)〜(c)は、入力画像信号Ri、Gi、Biをそれぞれ示している。また、図20(d)〜(f)は、周波数成分検出値Rf、Gf、Bfをそれぞれ示している。ここで、図20(a)の入力画像信号Riは、比較的凹凸が多いため、図20(d)の周波数成分検出値Rfは比較的高い頻度で検出されている。また、図20(b)、(c)の入力画像信号Gi、Biは変化が少ないため、図20(e)の周波数成分検出値Gfおよび図20(f)の周波数成分検出値Bfの検出の頻度は低い。
図20(g)は、最大検出値Dmaxを示している。ここで、画像処理部200は、各画素ごとに周波数成分検出値Rf、Gf、Bfの最大値を選択するので、周波数成分検出値Rf、Gf、Bf単独の場合よりも、最大検出値Dmaxの検出の頻度が高くなる。
図20(h)は平均検出値Daveを示し、図20(i)は制御信号Dcを示している。ここで、最大検出値Dmaxの検出の頻度が高いため、平均検出値Daveは閾値THよりも大きな値をとり、制御信号Dcはグラデーション領域以外の領域を示す「0」となる。
ここで、仮に周波数成分検出値Rf、Gf、Bfに対して、最大値を選択することなく、各色ごとに領域の判別を行うとすると、入力画像信号の変化の少ないGとBについてはグラデーション領域として検出され、画像が平滑化される恐れがある。図20に示す入力画像信号Gi、Biのように変化が少ない画像信号であっても、テクスチャ領域ではそもそも画像信号の変化の幅が小さいため、鮮鋭感への寄与は無視できない。つまり、テクスチャ領域では、変化の少ない入力画像信号が平滑化されることによって、鮮鋭感が損なわれてしまう。画像処理部200は、R/G/Bの周波数成分検出結果の最大値を用いることにより、上記の問題の発生を防止することができる。
画像処理部200は、周波数成分検出値Rf、Gf、Bfの最大値(最大検出値Dmax)に対して検出値の平滑化と閾値処理を行うことによって、グラデーション領域をテクスチャ領域と間違えることなく検出することができる。そのため、テクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を抑制することができる。
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る表示装置2000は、カラー画像を示す複数チャンネルの入力画像信号Ri、Gi、Bi(それぞれNビットの入力画像信号)を、それぞれN+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに補正する画像処理部200と、N+kビットの階調性能を有する表示部190とを備える。画像処理部200は、制御部202と階調数拡張部204とを備え、制御部202が入力画像信号Ri、Gi、Biに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定して制御信号Dcを出力し、制御信号Dcに基づいて階調数拡張部204が、入力画像信号の下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号が平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に出力画像信号Ro、Go、Boとして出力する。したがって、表示装置2000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して表示することができる。
また、表示装置2000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域を判定して選択的にグラデーション領域をより滑らかに補正することができるので、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。また、表示装置2000は、エッジ領域やテクスチャ領域では入力画像を補正しないため、出力画像信号Ro、Go、Boが示す画像は鮮鋭感を損なわない。
また、表示装置2000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、選択的にグラデーション領域の階調性能を向上させるので、視覚的には画像全体に階調性能が向上したのと同様な効果を得ることができる。
さらに、表示装置2000は、周波数成分検出値Rf、Gf、Bfの最大値(最大検出値Dmax)に対して検出値の平滑化と閾値処理を行うことによって、グラデーション領域をテクスチャ領域と間違えることなく検出することができる。そのため、テクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を抑制することができる。
[表示装置2000の変形例]
第2の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
(第2の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第2の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第2の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
(第2の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第2の実施形態に係る表示装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
[画像処理装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
(第2の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図21は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図21に示す画像処理方法を表示装置2000が行うとして説明するが、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
表示装置2000は、Nビットの入力画像信号Ri、Gi、Biそれぞれから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S200)。
表示装置2000は、ステップS200において検出された検出値(周波数成分検出値Rf、Gf、Bf)に基づいて、画素ごとに最大値を選択する(S202)。
表示装置2000は、ステップS202において選択された最大値(最大検出値Dmax)を平滑化し(S204)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S206)。
表示装置2000は、各チャンネルごとの入力画像信号Ri、Gi、Biと、ステップS206において生成された制御信号Dcとに基づいて、入力画像信号の下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号が平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、各チャンネルごとに選択的に出力する(S208)。
図21に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置2000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
(第3の実施形態)
上記では、第1、第2の実施形態に係る表示装置として、表示部がN+kビットの階調性能を有する構成について説明した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置が備える表示部は、N+kビットの階調性能に限られず、Nビットの階調性能を有することもできる。そこで、次に、本発明の第3の実施形態に係る表示装置として、表示部がNビットの階調性能を有する構成について説明する。
図22は、本発明の第3の実施形態に係る表示装置3000を示すブロック図である。図22を参照すると、表示装置3000は、画像処理部300と、表示部390とを備える。
画像処理部300は、制御部102と、階調数拡張部104と、擬似階調処理部302とを備える。制御部102および階調数拡張部104は、図1に示す第1の実施形態に係る画像処理部100が備える制御部102および階調数拡張部104と同様の構成を有する。つまり、制御部102は、入力画像信号Diに基づいて制御信号Dcを生成し、階調数拡張部104は、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に画像信号Deとして出力する。
擬似階調処理部302は、擬似的な中間階調を使ってN+kビットの画像信号DeをNビットの出力画像信号Doに変換する。
ここで、擬似階調処理部302における擬似階調処理について説明する。図23は、本発明の第3の実施形態に係る擬似階調処理部302における擬似階調処理の一例を説明するための説明図であり、擬似階調処理としてディザ処理を用いる場合の例を示している。図23(a)はディザ処理を行う2×2画素の領域を示しており、図23(b)はディザパターンの一例を示している。
ディザ処理は、図23(a)のN+kビットの画像信号Deにおける画素a〜dに対して、図23(b)のディザパターンの各画素位置に対応する値を加算した後に、下位kビットを丸めることにより、上位Nビットを出力画像信号として出力する処理である。ここで、ディザ処理は擬似階調処理の一種であり、少ないビット数でより多くのビット数の階調を擬似的に表示することができることが知られている。
擬似階調処理部302は、擬似階調処理としてディザ処理を用いることによって、N+kビットの画像信号Deを変換してグラデーション領域の階調性能を向上させたNビットの出力画像信号Doを出力することができる。
[擬似階調処理の他の例]
なお、擬似階調処理部302における擬似階調処理は、上記ディザ処理に限られない。例えば、擬似階調処理部302は、擬似階調処理として誤差拡散処理を用いることができる。ここで、誤差拡散処理とは、N+kビットの画像信号をNビットに丸めたときの下位kビット(「誤差データ」という。)の値を周囲の画素信号に加算あるいは減算して、誤差データを拡散していくことによって、擬似的な中間階調を得る方法である。擬似階調処理部302は、誤差拡散処理を用いて擬似階調処理を行ったとしても、上記ディザ処理を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
再度図22を参照して、表示装置3000の構成要素について説明する。表示部390は、Nビットの階調性能を有し、画像処理部300から出力されるNビットの出力画像信号Doが示す画像を表示する。
上述したように、表示装置3000は、画像処理部300がNビットの入力画像信号Diを一旦、階調数を拡張してN+kビットの画像信号Deに変換した後に、ディザ処理などの擬似階調処理を用いてNビットの出力画像信号Doに変換することによって、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。したがって、表示装置3000は、表示部390の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
なお、図22では、入力される画像信号がモノクロ画像の入力画像信号(あるいはカラー画像の複数チャンネルのうちの1チャンネルに対応する画像信号)Diを例に説明を行ったが、第2の実施形態に係る表示装置2000のように、例えば、R/G/Bからなるカラー画像の画像信号に対しても、同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る表示装置3000は、Nビットの入力画像信号DiをN+kビットの画像信号Deに変換した後に擬似階調処理を用いてNビットのDoに変換する画像処理部300と、Nビットの階調性能を有する表示部390とを備える。画像処理部300は、第1の実施形態に係る制御部102および階調数拡張部104と同様の構成を有する制御部102と階調数拡張部104とを備え、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に画像信号Deとして出力する。したがって、表示装置3000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
また、表示装置3000は、画像処理部300が擬似階調処理部302を備え、ディザ処理などの擬似階調処理を用いてN+kビットの画像信号DeをNビットの出力画像信号Doに変換することにより、グラデーション領域の階調性能を向上させる。したがって、表示装置3000は、表示部390の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
[表示装置3000の変形例]
第3の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
(第3の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第3の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第3の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
(第3の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第3の実施形態に係る表示装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上でさらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
[画像処理装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上でさらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
(第3の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図24は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図24に示す画像処理方法を表示装置3000が行うとして説明するが、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
表示装置3000は、図17に示すステップS100と同様に、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S300)。
表示装置3000は、図17に示すステップS102、S104と同様に、ステップS300において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S302)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S304)。
表示装置3000は、図17に示すステップS106と同様に、入力画像信号DiとステップS304において生成された制御信号Dcとに基づいて、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力する(S306)。
表示装置3000は、ステップS306において出力された画像信号(第1出力画像信号または第2出力画像信号)に対して擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S308)。ここで、表示装置3000は、例えば、ディザ処理や誤差拡散処理を用いることにより、ステップS308の擬似階調処理を行うことができる。
図24に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置3000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上でさらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の実施形態に係る表示装置の他の形態である第4の実施形態に係る表示装置について説明する。図25は、本発明の第4の実施形態に係る表示装置4000を示すブロック図である。
図25を参照すると、表示装置4000は、画像処理部400と表示部390とを備える。画像処理部400は、基本的に図22に示す第3の実施形態に係る画像処理部300と同様の構成を有するが、さらに、非線形階調変換部402を備える。また、表示部390は、図22に示す第3の実施形態に係る表示部390と同様に、Nビットの階調性能を有する。
制御部102は、入力画像信号Diに基づいて制御信号Dcを生成し、階調数拡張部104は、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に画像信号Deとして出力する。
非線形階調変換部402には、階調数拡張部104から出力される画像信号Deが入力され、例えば、コントラスト強調処理やガンマ処理などの非線形階調変換を行って画像信号Dgを出力する。ここで、非線形階調変換部402における非線形階調変換処理としてコントラスト強調処理を行う場合について説明する。
図26は、本発明の第4の実施形態に係る非線形階調変換部402における非線形階調変換処理を説明するための説明図であり、コントラスト強調を行うための入出力変換特性の一例を示している。
図26を参照すると、暗部L1と明部L3では階調の差が圧縮され、中間階調L2では階調の差が広がっている。非線形階調変換部402は、例えば、図26のように画像信号Deを補正することにより、画像のコントラスト感が強調された画像信号Dgを出力することができる。
擬似階調処理部302は、擬似階調処理としてディザ処理や誤差拡散処理を用いることによって、N+kビットの画像信号Dgを変換してグラデーション領域の階調性能を向上させたNビットの出力画像信号Doを出力することができる。
ここで、画像処理部400における各信号の一例を示す。図27は、本発明の第4の実施形態に係る画像処理部400における各信号の一例を示す説明図であり、図8(1)と同様にグラデーション領域を示している。また、図27(a)は入力画像信号Diを示し、図27(b)は周波数成分検出値Dfを示している。同様に、図27(c)〜図27(f)は、平均検出値Dave、制御信号Dc、階調数が拡張された画像信号De、非線形階調変換処理後の画像信号Dgをそれぞれ示している。
入力画像信号Diとして、図8(a)と同様に、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる(図27(a))。図8(c)と同様に周波数成分検出値Dfの値は小さくて検出される頻度も低く(図27(b))、また、図8(d)と同様に平均検出値Daveの値は、閾値THよりも小さな値となる(図27(c))。また、図27(c)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さいため、制御信号Dcは、グラデーション領域を表す「1」を示す(図27(d))。図27(d)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、階調数拡張部104は、N+kビットの精度を有する平滑化された第2出力信号(平滑化画像信号Ds)を選択して出力画像信号Deとして出力する(図27(e))。
非線形階調変換部402には、階調数拡張部104から出力される図27(e)に示す画像信号Deが入力されるので、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかにすることができる(図27(f))。
[第4の実施形態に係る画像処理部の変形例]
図25に示す第4の実施形態に係る画像処理部400では、階調数を拡張した後に非線形階調変換処理を行う構成を示したが、非線形階調変換処理を行った後に階調数を拡張することも可能である。図28は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る画像処理部450を示すブロック図である。
図28を参照すると、画像処理部450は、基本的に図25に示す画像処理部400と同様の構成を有するが、非線形階調変換部402に入力画像信号Diが入力され、非線形階調変換部402から出力される非線形階調変換後の画像信号Dgに基づいて階調数を拡張する点が、画像処理部400と異なる。
ここで、画像処理部450における各信号の一例を示す。図29は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る画像処理部450における各信号の一例を示す説明図であり、図27と同様にグラデーション領域を示している。また、図28(a)は入力画像信号Diを示し、図28(b)は非線形階調変換処理後の画像信号Dgを示している。同様に、図28(c)〜図28(f)は、周波数成分検出値Df、平均検出値Dave、制御信号Dc、階調数が拡張された画像信号Deをそれぞれ示している。
入力画像信号Diとして、図27(a)と同様に、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる(図28(a))。非線形階調変換部402には、図28(a)に示す入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに対して非線形階調変換処理が行われるので、画像信号Dgには部分的に階調の差が広がる箇所が出てくる(図28(b))。
制御部102は、図28(b)に示す非線形階調変換処理後の画像信号Dgに基づいてグラデーション領域の判定を行うので、部分的に階調の差が広がった箇所では、グラデーション領域以外の領域として判定される場合がある(図28(c)〜図28(e))。
階調数拡張部104は、図28(e)に示す制御信号Dcに応じて非線形階調変換処理後の画像信号Dg(第1出力画像信号)、または非線形階調変換処理後の画像信号Dgが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に画像信号Deとして出力する。したがって、階調数拡張部104は、階調の差が広がった箇所では平滑化を行わない(第1出力画像信号が出力される)ため、グラデーション領域を滑らかに変換することができない場合がある(図28(f))。
図28、図29を参照して示したように、第4の実施形態に係る画像処理部は、非線形階調変換処理を行った後に階調数を拡張する変形例をとることが可能であるが、処理の順番が処理結果に影響を与える場合がある。
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る表示装置4000は、Nビットの入力画像信号DiをN+kビットの画像信号Deに変換した後に非線形階調変換処理を行い、さらに擬似階調処理を用いてNビットのDoに変換する画像処理部400と、Nビットの階調性能を有する表示部390とを備える。画像処理部400は、第1の実施形態に係る制御部102および階調数拡張部104と同様の構成を有する制御部102と、階調数拡張部104とを備え、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に画像信号Deとして出力する。したがって、表示装置4000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
また、表示装置4000は、階調数拡張部104から出力されるN+kビットの画像信号Deに対してコントラスト強調処理やガンマ処理などの非線形階調変換を行う非線形階調変換部402を備えることにより、誤検出することなく非線形階調変換しながらグラデーション領域を滑らかにすることができる。
さらに、表示装置4000は、第3の実施形態に係る表示装置3000と同様に、画像処理部400が擬似階調処理部302を備え、ディザ処理などの擬似階調処理を用いて、非線形階調変換部402から出力されるN+kビットの画像信号DgをNビットの出力画像信号Doに変換することにより、グラデーション領域の階調性能を向上させる。したがって、表示装置4000は、第3の実施形態に係る表示装置3000と同様に、表示部390の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
[表示装置4000の変形例]
図25では、表示部390がNビットの階調性能を有し、画像処理部400が擬似階調処理部302を備える構成を示したが、第4の実施形態に係る表示装置は、図25の構成に限られない。例えば、第4の実施形態の変形例に係る表示装置は、N+kビットの階調性能を有する表示部を備え、画像処理部が擬似階調処理部を備えない構成とすることもできる。かかる構成であっても、第4の実施形態の変形例に係る表示装置は、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかにすることができる。
また、第4の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
(第4の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第4の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第4の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
(第4の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第4の実施形態に係る表示装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上で、さらに非線形階調変換処理および擬似階調処理を行うことにより、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
[画像処理装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上で、さらに非線形階調変換処理および擬似階調処理を行うことにより、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
(第4の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第4の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図30は、本発明の第4の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図30に示す画像処理方法を表示装置4000が行うとして説明するが、本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
表示装置4000は、図17に示すステップS100と同様に、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S400)。
表示装置4000は、図17に示すステップS102、S104と同様に、ステップS400において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S402)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S404)。
表示装置4000は、図17に示すステップS106と同様に、入力画像信号DiとステップS404において生成された制御信号Dcとに基づいて、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Diが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力する(S406)。
表示装置4000は、ステップS406において出力されたN+kビットの画像信号(画像信号De)に対して、非線形階調変換処理を行う(S408)。ここで、ステップS408における非線形階調変換処理としては、例えば、コントラスト強調処理やガンマ処理などが挙げられるが、上記に限られない。
表示装置4000は、ステップS408において非線形階調変換処理が行われた画像信号(画像信号Dg)に対して、図24に示すステップS308と同様に擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S410)。
図30に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置4000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上で、さらに非線形階調変換処理および擬似階調処理を行うことにより、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
[第4の実施形態に係る画像処理方法の変形例]
図30では、ステップS410において、擬似階調処理によりN+kビットの画像信号をNビットの画像信号に変換する画像処理方法を示したが、第4の実施形態に係る画像処理方法は、図30に示す方法に限られない。例えば、第4の実施形態に係る表示装置は、図30に示すステップS410の処理を行わず、N+kビットの画像信号をN+kビットの表示部に表示させることもできる。上記の変形例に係る画像処理方法を用いたとしても、第4の実施形態に係る表示装置は、図30に示す画像処理方法を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
上記では、第4の実施形態に係る画像処理部の変形例として図28のように非線形階調変換処理を入力画像信号Diに対して行う構成を示し、図29に示すように処理の順番が処理結果に影響を与える場合があることを示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、非線形階調変換処理を入力画像信号Diに対して行う構成であっても、グラデーション領域を滑らかに補正することができる。そこで、次に、本発明の第5の実施形態に係る表示装置について説明する。
図31は、本発明の第5の実施形態に係る表示装置5000を示すブロック図である。図31を参照すると、表示装置5000は、画像処理部500と表示部390とを備える。画像処理部500は、基本的に図28に示す第4の実施形態の変形例に係る画像処理部450と同様の構成を有するが、制御部102に入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を判定する点が、第4の実施形態の変形例に係る画像処理部450と異なる。また、表示部390は、図22に示す第3の実施形態に係る表示部390と同様に、Nビットの階調性能を有する。
ここで、画像処理部500における各信号の一例を示す。図32は、本発明の第5の実施形態の変形例に係る画像処理部500における各信号の一例を示す説明図であり、図27と同様にグラデーション領域を示している。また、図32(a)は入力画像信号Diを示し、図32(b)は非線形階調変換処理後の画像信号Dgを示している。同様に、図32(c)〜図32(f)は、周波数成分検出値Df、平均検出値Dave、制御信号Dc、階調数が拡張された画像信号Deをそれぞれ示している。
入力画像信号Diとして、図27(a)と同様に、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる(図32(a))。非線形階調変換部402には、図32(a)に示す入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに対して非線形階調変換処理が行われるので、画像信号Dgには部分的に階調の差が広がる箇所が出てくる(図32(b))。
制御部102には、入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域の判定を行う。したがって、図27(b)と同様に周波数成分検出値Dfの値は小さくて検出される頻度も低く(図32(c))、また、図27(c)と同様に平均検出値Daveの値は、閾値THよりも小さな値となる(図32(d))。また、図32(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さいため、制御信号Dcは、グラデーション領域を表す「1」を示す(図32(e))。
階調数拡張部104は、図32(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、非線形階調変換処理後の画像信号Dgが平滑化されたN+kビットの精度を有する第2出力信号(平滑化画像信号Ds)を選択して出力画像信号Deとして出力する(図32(f))。
したがって、画像処理部500は、図32(f)に示すように、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかにすることができる。
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る表示装置5000は、画像処理部500とNビットの階調性能を有する表示部390とを備える。画像処理部500は、Nビットの入力画像信号Diに対して非線形階調変換処理を行い、Nビットの入力画像信号Diに基づいて生成された制御信号Dcに応じて、非線形階調変換処理後の画像信号DgをN+kビットの画像信号Deに変換する。さらに、画像処理部500は、N+kビットの画像信号Deに対して擬似階調処理を用いることによりNビットのDoに変換する。ここで、画像処理部500は、第4の実施形態に係る非線形階調変換部402と、第1の実施形態に係る制御部102および階調数拡張部104と同様の構成を有する制御部102および階調数拡張部104とを備え、入力画像信号Diに基づく制御信号Dcに応じて非線形階調変換処理後の画像信号Dg(第1出力画像信号)、または非線形階調変換処理後の画像信号Dgが平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に画像信号Deとして出力する。したがって、表示装置5000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
さらに、表示装置5000は、第3の実施形態に係る表示装置3000と同様に、画像処理部500が擬似階調処理部302を備え、ディザ処理などの擬似階調処理を用いて、階調数拡張部104から出力されるN+kビットの画像信号DeをNビットの出力画像信号Doに変換することにより、グラデーション領域の階調性能を向上させる。したがって、表示装置5000は、第3の実施形態に係る表示装置3000と同様に、表示部390の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
[表示装置5000の変形例]
第5の実施形態に係る表示装置は、上述した第4の実施形態に係る表示装置の変形例と同様に、N+kビットの階調性能を有する表示部を備え、画像処理部が擬似階調処理部を備えない構成とすることもできる。かかる構成であっても、第5の実施形態の変形例に係る表示装置は、図31に示す表示装置5000と同様の効果を奏することができる。
また、第5の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
(第5の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第5の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第5の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
(第5の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第5の実施形態に係る表示装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換し、さらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
[画像処理装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換し、さらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
(第5の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第5の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図33は、本発明の第5の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図33に示す画像処理方法を表示装置5000が行うとして説明するが、本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
表示装置5000は、図17に示すステップS100と同様に、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S500)。
表示装置5000は、図17に示すステップS102、S104と同様に、ステップS500において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S502)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S504)。
表示装置5000は、Nビットの入力画像信号Diに対して、図30に示すステップS408と同様に、非線形階調変換処理を行う(S506)。なお、図33では、ステップS504の後にステップS506を行う例を示しているが、かかる方法に限られず、ステップS500の処理の前にステップS506の処理を行うこともできる。
表示装置5000は、ステップ506において非線形階調変換処理が行われた非線形階調変換処理後の画像信号(画像信号Dg)と、ステップS504において生成された制御信号Dcとに基づいて、非線形階調変換処理後の画像信号(画像信号Dg。第1出力画像信号)、または非線形階調変換処理後の画像信号(画像信号Dg)が平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力する(S508)。
表示装置5000は、ステップS508において出力された画像信号(画像信号De)に対して、図24に示すステップS308と同様に擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S510)。
図33に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置5000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなく非線形階調変換しながらグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換し、さらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
[第5の実施形態に係る画像処理方法の変形例]
図33では、ステップS510において、擬似階調処理によりN+kビットの画像信号をNビットの画像信号に変換する画像処理方法を示したが、第5の実施形態に係る画像処理方法は、図33に示す方法に限られない。例えば、第5の実施形態に係る表示装置は、図33に示すステップS510の処理を行わず、N+kビットの画像信号をN+kビットの表示部に表示させることもできる。上記の変形例に係る画像処理方法を用いたとしても、第5の実施形態に係る表示装置は、図33に示す画像処理方法を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
(第6の実施形態)
上記では、第1〜第5の実施形態に係る表示装置として、入力された入力画像信号に基づいて選択的に平滑化を行う表示装置について説明した。ここで、本発明の実施形態に係る表示装置には、例えば、NTSC(National Television System Committee)規格に基づく入力画像信号や、高精細度テレビジョン放送(High Definition TeleVision;以下、「HDTV」という。)に対応する入力画像信号などのように、入力画像信号のサンプリング周波数が異なる入力画像信号が入力される場合がある。上記のようにサンプリング周波数が異なる入力画像信号に対して同じ処理を行った場合には、入力画像信号に基づいて細かい凹凸の判定(テクスチャ領域の判定)を正しく行えないことにより、例えば、壁や遠い山などの質感が損なわれ画質が低下する恐れがある。また、例えば、YCbCr色空間で表された複数チャンネルの入力画像信号が本発明の実施形態に係る表示装置に入力された場合にも、各チャンネルのサンプリング周波数が異なるため、上記と同様の問題が生じる恐れがある。そこで、次に、本発明の第6の実施形態に係る表示装置として、入力された入力画像信号に基づいて行う処理を切り替える(より厳密には、入力画像信号から検出する周波数成分の検出基準を切り替える)ことによって、画質の低下を防止することが可能な構成について説明する。
図34は、本発明の第6の実施形態に係る表示装置6000を示すブロック図である。ここで、図34は、表示装置6000に入力画像信号Di1、Di2、Di3という3つのチャンネルの入力画像信号が入力された例を示している。なお、本発明の第6の実施形態に係る表示装置に入力される入力画像信号は、上記に限られない。例えば、本発明の第6の実施形態に係る表示装置には、モノクロ画像を示す1つのチャンネルの入力画像信号や、Y信号とPb信号およびPr信号が重畳された信号とからなる2つのチャンネルの入力画像信号が入力されてもよい。
図34を参照すると、表示装置6000は、画像処理部600と表示部190とを備える。画像処理部600は、選択信号生成部602と、制御部604と、階調数拡張部606とを備え、入力されたNビットの入力画像信号Di1、Di2、Di3それぞれをN+kビットの出力画像信号Do1、Do2、Do3に変換して出力する。
選択信号生成部602は、入力画像信号Di1、Di2、Di3それぞれに基づいて、入力画像信号から検出する所定の周波数帯域の信号の検出基準を切り替えるための選択信号(図34に示すSel1〜Sel3)を生成する。選択信号生成部602は、例えば、入力画像信号Di1、Di2、Di3ごとの高周波成分(所定の閾値以上の周波数成分)の総和を演算し、当該総和が所定の閾値以上であるか否かを判定することによって判定結果に応じた選択信号を生成することができるが、上記に限られない。以下では、選択信号生成部602が、高周波成分閾値の総和に係る閾値処理によって、例えば、ハイレベル(閾値以上の場合)とローレベル(閾値より小さい場合)との2種類の選択信号を生成するものとして説明する。
なお、図34では、選択信号生成部602が、入力画像信号Di1、Di2、Di3それぞれに基づく複数の選択信号Sel1〜Sel3を生成し、生成した選択信号Sel1〜Sel3を制御部604へ伝達する例を示しているが、上記に限られない。例えば、本発明の第6の実施形態に係る選択信号生成部は、図34に示す選択信号Sel1〜Sel3のいずれか1つの選択信号(例えば、選択信号Sel1〜Sel3の論理和をとった選択信号)を制御部604へ伝達することもできる。
制御部604には、入力画像信号Di1、Di2、Di3と選択信号Sel1、Sel2、Sel3とがそれぞれ入力され、画素ごとにグラデーション領域の判定を行う。また、階調数拡張部606は、制御部604から出力される制御信号Dcに基づいて画素ごとに入力画像信号Di1〜Di3の階調数の拡張、または、入力画像信号Di1〜Di3の補正および階調数の拡張を行う。
表示部190は、図1に示す第1の実施形態に係る表示部190と同様にN+kビットの階調性能を有し、N+kビットの出力画像信号Do1、Do2、Do3に基づいて画像を表示する。以下、画像処理部600の構成について、具体的に説明する。
[画像処理部600の構成例]
図35は、本発明の第6の実施形態に係る画像処理部600を示すブロック図である。ここで、図35では、選択信号生成部602を省略している。
図35を参照すると、制御部604は、第1の周波数成分検出部610a(検出部)と、第2の周波数成分検出部610b(検出部)と、第3の周波数成分検出部610c(検出部)と、最大値選択部206と、検出値平滑部108と、制御信号生成部110とを備える。また、階調数拡張部606は、第1の階調数拡張部606aと、第2の階調数拡張部606bと、第3の階調数拡張部606cとを備える。
〔制御部604〕
第1の周波数成分検出部610aには、入力画像信号Di1と選択信号Sel1とが入力され、第2の周波数成分検出部610bには、入力画像信号Di2と選択信号Sel2とが入力される。そして、第3の周波数成分検出部610cには、入力画像信号Di3と選択信号Sel3とがそれぞれ入力される。
<周波数成分検出部610の構成例>
ここで、本発明の第6の実施形態に係る周波数成分検出部610の構成例について説明する。第1の周波数成分検出部610a〜第3の周波数成分検出部610cは、それぞれ同様の構成をとることができる。よって、以下では、第1の周波数成分検出部610aを例に挙げて説明し、第2の周波数成分検出部610b、第3の周波数成分検出部610cについては説明を省略する。
図36は、本発明の第6の実施形態に係る周波数成分検出部610の構成例を示すブロック図である。ここで、図36は、第1の周波数成分検出部610aの構成の一例を示している。
第1の周波数成分検出部610aは、第1周波数成分検出部612と、第2周波数成分検出部614と、選択部616を備える。第1周波数成分検出部612と、第2周波数成分検出部614とは、それぞれ図2に示す第1の実施形態に係る周波数成分検出部106と同様の構成をとることができるが、入力画像信号Di1の通過帯域が異なる。より具体的には、第1の周波数成分検出部610aは、例えば、第1周波数成分検出部612のピーク周波数f1(ピーク周波数については図4を参照。)と、第2周波数成分検出部614のピーク周波数f2との関係が「f1<f2」となるような第1周波数成分検出部612および第2周波数成分検出部614を備える。上記のように構成することによって、第2周波数成分検出部614から検出される検出信号Df1_2(第2検出値)は、第1周波数成分検出部612から検出される検出信号Df1_1(第1検出値)よりも周波数成分が大きくなる。つまり、第2周波数成分検出部614は、第1周波数成分検出部612よりもより高域の信号を検出する役目を果たす。ここで、上記ピーク周波数f1、f2の値と、第1周波数成分検出部612および第2周波数成分検出部614それぞれの通過帯域は、例えば、NTSC規格に基づく入力画像信号や、HDTVに対応する入力画像信号、または、YCbCr色空間における信号のサンプリング周波数などの周波数特性に応じて定めることができるが、上記に限られない。また、本発明の第6の実施形態に係る第1の周波数成分検出部が備える周波数成分検出部は、第1周波数成分検出部612および第2周波数成分検出部614の2つに限られない。例えば、本発明の第6の実施形態に係る第1の周波数成分検出部は、信号の通過帯域が相異なる3つ以上の周波数成分検出部を備えることもできる。
選択部616は、選択信号生成部602から伝達される選択信号Sel1に基づいて、検出信号Df1_1または検出信号Df1_2のいずれか一方を選択的に周波数成分検出値Df1として出力する。ここで、図36では、選択部616が選択信号Sel1の信号レベルに応じてスイッチングするスイッチSW1で構成される構成を示しているが、本発明の実施形態に係る選択部616の構成は、上記に限られない。例えば、選択部616は、導電型が互いに異なる2つの薄膜トランジスタ構成してもよい。上記の構成であっても、選択部616は、選択信号Sel1の信号レベルに応じて検出信号Df1_1または検出信号Df1_2のいずれか一方を選択的に周波数成分検出値Df1として出力することができる。
第1の周波数成分検出部610aは、例えば図36に示す構成によって、選択信号Sel1の信号レベルに応じて検出信号Df1_1または検出信号Df1_2のいずれか一方を選択的に周波数成分検出値Df1として出力する。また、第2の周波数成分検出部610bは、第1の周波数成分検出部610aと同様に、選択信号Sel2の信号レベルに応じて検出信号Df2_1または検出信号Df2_2のいずれか一方を選択的に周波数成分検出値Df2として出力する。そして、第3の周波数成分検出部610cは、選択信号Sel3の信号レベルに応じて検出信号Df3_1または検出信号Df3_2のいずれか一方を選択的に周波数成分検出値Df3として出力する。
よって、周波数成分検出部610は、複数の入力画像信号ごとに、対応する入力画像信号に基づく所定の周波数帯域の信号(入力画像信号に応じて検出基準が切り替えられた結果得られる所定の周波数帯域の信号)を画素ごとに検出することができる。なお、本発明の第6の実施形態に係る周波数成分検出部の構成が、図36に示す構成に限られないことは、言うまでもない。
最大値選択部206は、図19に示す第2の実施形態に係る最大値選択部206と同様に、周波数成分検出値Df1、Df2およびDf3の中から対応する画素ごとに最大値を選択して最大検出値Dmaxを出力する。
検出値平滑部108は、図2に示す第1の実施形態に係る検出値平滑部108と同様に、平滑領域における最大検出値Dmaxの平均値を算出して、平均検出値Daveを出力する。
制御信号生成部110は、図2に示す第1の実施形態に係る制御信号生成部110と同様に、平均検出値Daveと閾値THを用いた閾値処理によってグラデーション領域を判定し、判定結果を制御信号Dcとして出力する。
〔階調数拡張部606〕
第1の階調数拡張部606a、第2の階調数拡張部606b、および第3の階調数拡張部606cそれぞれは、図2に示す第1の実施形態に係る階調数拡張部104と同様の構成を有する。したがって、第1の階調数拡張部606aは、制御信号Dcに基づいて、Nビットの入力画像信号Di1の下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号Di1が平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を選択的に出力画像信号Do1として出力する。また同様に、第2の階調数拡張部606b、第3の階調数拡張部606cは、それぞれ制御信号Dcに基づいて出力画像信号Do2、Do3を出力する。
上記のように、画像処理部600は、例えば図35の構成によって、出力画像信号Do1、Do2、Do3を出力することができる。
画像処理部600は、入力画像信号Di1〜Di3それぞれに基づいて選択信号Sel1〜Sel3を生成し、生成した選択信号Sel1〜Sel3に基づいて入力画像信号から検出する所定の周波数帯域の信号の検出基準を切り替える。よって、画像処理部600は、例えば、NTSC規格に基づく入力画像信号や、HDTVに対応する入力画像信号など、サンプリング周波数が異なる入力画像信号が入力された場合であっても、当該入力画像信号に対応する制御信号Dcを導出することができる。
また、画像処理部600は、第2の実施形態に係る画像処理部200と同様に、制御信号Dcに基づいてチャンネルごとかつ選択的に入力画像信号Di1〜Di3の平滑化を行う。よって、画像処理部600は、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化するので、入力された画像信号の階調数を拡張する補正を行う従来の技術において生じうる画像信号の補正により細かい凹凸が失われて画質が低下することを防止することができる。
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る表示装置6000は、複数チャンネルの入力画像信号Di1、Di2、Di3(それぞれNビットの入力画像信号)を、それぞれN+kビットの出力画像信号Do1、Do2、Do3に補正する画像処理部600と、N+kビットの階調性能を有する表示部190とを備える。画像処理部600は、選択信号生成部602と制御部604と階調数拡張部606とを備える。選択信号生成部602は、入力画像信号Di1〜Di3それぞれに基づいて、入力画像信号Di1〜Di3に対応する選択信号Sel1〜Sel3を生成する。また、制御部604は入力画像信号Di1、Di2、Di3、および選択信号Sel1〜Sel3に基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定して制御信号Dcを出力する。よって、画像処理部600は、例えば、NTSC規格に基づく入力画像信号や、HDTVに対応する入力画像信号など、サンプリング周波数が異なる入力画像信号が入力された場合であっても、当該入力画像信号に対応する制御信号Dcを導出することができる。そして、階調数拡張部606は、制御信号Dcに基づいて、入力画像信号の下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号が平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、選択的に出力画像信号Do1、Do2、Do3として出力する。したがって、表示装置6000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して表示することができる。
また、表示装置6000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域を判定して選択的にグラデーション領域をより滑らかに補正することができるので、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。また、表示装置6000は、エッジ領域やテクスチャ領域では入力画像を補正しないため、出力画像信号Do1、Do2、Do3が示す画像は鮮鋭感を損なわない。
また、表示装置6000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、選択的にグラデーション領域の階調性能を向上させるので、視覚的には画像全体に階調性能が向上したのと同様な効果を得ることができる。
さらに、表示装置6000は、第2の実施形態に係る表示装置2000と同様に、周波数成分検出値Df1、Df2、Df3の最大値(最大検出値Dmax)に対して検出値の平滑化と閾値処理を行うことによって、グラデーション領域をテクスチャ領域と間違えることなく検出することができる。そのため、テクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を抑制することができる。
[表示装置6000の変形例]
図34では、表示装置6000の画像処理部600が選択信号生成部602を備える構成を示しているが、本発明の第6の実施形態に係る表示装置の構成は、上記に限られない。例えば、本発明の第6の実施形態に係る表示装置は、選択信号生成部602の役目を果たす外部装置から入力される選択信号Sel1〜Sel3に基づいて、入力画像信号から検出する所定の周波数帯域の信号の検出基準を切り替えることもできる。
また、図36では、画像処理部600の制御部604を構成する第1の周波数成分検出部610a(第2の周波数成分検出部610b、第3の周波数成分検出部610cも同様)が、選択信号Sel1の信号レベルに応じて検出信号Df1_1または検出信号Df1_2のいずれか一方を選択的に周波数成分検出値Df1として出力する構成について説明したが、上記の構成に限られない。例えば、第6の実施形態に係る周波数成分検出部は、各チャンネルの入力画像信号ごとに、複数の検出信号を用いて周波数成分検出値を導出することもできる(例えば、図11や図13に示すような構成)。
また、第6の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
さらに、第6の実施形態に係る表示装置は、第3の実施形態に係る擬似階調処理部302や、第4の実施形態に係る非線形階調変換部402、第5の実施形態に係る非線形階調変換部402などをさらに備えることもできる。上記構成によって、第6の実施形態に係る表示装置は、さらに第3〜第5の実施形態に係る表示装置と同様の効果を奏することができる。
(第6の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第6の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第6の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
(第6の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第6の実施形態に係る表示装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
[画像処理装置に係るプログラム]
コンピュータを、本発明の第6の実施形態に係る画像処理装置として機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
(第6の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第6の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図37は、本発明の第6の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図37に示す画像処理方法を表示装置6000が行うとして説明するが、本発明の第6の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。また、以下では、表示装置6000が3つのチャンネルの入力画像信号Di1〜Di3を処理する場合を例に挙げて説明するが、上記に限られない。
表示装置6000は、Nビットの入力画像信号Di1、Di2、Di3それぞれに基づいて、入力画像信号Di1〜Di3ごとに対応する選択信号Sel1〜Sel3を生成する(S600)。ここで、表示装置6000は、例えば、入力画像信号Di1、Di2、Di3ごとの高周波成分(所定の閾値以上の周波数成分)の総和を演算し、当該総和が所定の閾値以上であるか否かを判定することによって判定結果に応じた選択信号Sel1〜Sel3を生成することができるが、上記に限られない。
表示装置6000は、Nビットの入力画像信号Di1、Di2、Di3それぞれから複数の周波数成分を画素ごとに検出する(S602)。ここで、表示装置6000は、例えば、通過帯域が相異なる複数のバンドパス・フィルタを用いることによって、ステップS602の処理を行うことができるが、上記に限られない。
表示装置6000は、入力画像信号Di1〜Di3ごとに、入力画像信号に対応する選択信号Sel1〜Sel3に基づいて、ステップS602において検出された複数の検出値の中から1つの検出値を画素ごとに選択する(S604)。ここで、表示装置6000は、例えば、選択信号Sel1〜Sel3に基づいてスイッチングを行うスイッチング素子を備えることによってステップS604の処理を行うことができるが、上記に限られない。
表示装置6000は、ステップS604において選択された検出値(周波数成分検出値Df1、Df2、Df3)に基づいて、画素ごとに最大値を選択する(S606)。
表示装置6000は、図21に示すステップS204、S206と同様に、ステップS606において選択された最大値(最大検出値Dmax)を平滑化し(S608)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S610)。
表示装置6000は、各チャンネルごとの入力画像信号Di1、Di2、Di3と、ステップS610において生成された制御信号Dcとに基づいて、入力画像信号の下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した第1出力画像信号、または入力画像信号が平滑化されたN+kビットの第2出力画像信号を、各チャンネルごとに選択的に出力する(S612)。
図34に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置6000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
以上、第1〜第6の実施形態として表示装置を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。例えば、本発明の実施形態は、有機ELディスプレイや、FED、PDPなどの自発光型の表示装置や、LCDなどのバックライト型の表示装置、テレビジョン(Television)放送を受信する受信装置に適用することができる。また、本発明の実施形態は、PC(Personal Computer)、サーバ(Server)などのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置など、様々な機器に適用することができる。
また、第1〜第6の実施形態に係る画像処理装置は、有機ELディスプレイやLCDなどの表示装置や、PCなどのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置など、様々な機器に適用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第6の実施形態に係る表示装置では、3チャンネル分の処理を行う構成を示したが、本発明の実施形態は、かかる構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る表示装置は、1チャンネルの入力画像信号を処理することができ、また、2チャンネルあるいは4チャンネル以上の複数チャンネルの入力画像信号を処理することもできる。
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。