JP2010129409A - 燃料電池 - Google Patents

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勝美 市川
Hisashi Chigusa
尚 千草
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小野寺  真一
Hitoshi Koda
仁 甲田
Akiko Fujisawa
晶子 藤澤
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Abstract

【課題】アノード(燃料極)に保水性を持たせてアノード触媒層の反応効率を高めることによって、燃料電池の出力特性を向上させる。
【解決手段】燃料電池1は、触媒層5とガス拡散層6とを含む燃料極7と、触媒層8とガス拡散層9とを含む空気極10と、燃料極7と空気極10とに挟持された電解質膜11とを有する膜電極接合体12を備える起電部2と、液体燃料を収容する燃料収容部4から燃料極7に燃料を供給する燃料供給機構3とを具備する。燃料極7のガス拡散層6は親水性を有する導電性粒子が充填された導電性多孔質基材を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は液体燃料を用いた燃料電池に関する。
直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能で、燃料の取り扱いも容易であるため、携帯用電子機器の電源や充電器として期待されている。DMFCにおいては、アノード触媒層とガス拡散層とを有するアノード(燃料極)/プロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜/カソード触媒層とガス拡散層とを有するカソード(空気極)の積層構造を有する膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)が用いられている。
MEAを備えるDMFCの出力を向上させるためには、アノード触媒層における触媒反応(メタノールの改質反応)やカソード触媒層における触媒反応(水の生成反応)の反応性を高める必要がある。アノード触媒層におけるメタノールの改質反応は、メタノール(CHOH)と水(HO)とを反応させることにより生起される。メタノールの改質反応に使用される水は、液体燃料として低濃度のメタノール水溶液を用いた場合には主として水溶液中から供給される。液体燃料として高濃度のメタノール水溶液や純メタノールを用いた場合、カソード触媒層で生成された水も使用されることになる。
アノード触媒層におけるメタノールの改質反応にカソード触媒層で生成された水を使用するためには、アノードに保水性を付与する必要がある。しかし、アノードのガス拡散層には一般的にカーボンペーパーやカーボンクロス等が用いられており、これらは撥水性材料であるため、そのままでは保水性を高めることができない。このような点に対して、特許文献1には表面を親水性に改質した炭素材料で構成したガス拡散層が記載されている。特許文献2には親水処理を施したガス拡散層が記載されている。
しかしながら、カーボンペーパーやカーボンクロス等に親水性への改質処理や親水処理を施しただけでは、アノードの保水性を十分に高めることができず、アノード触媒層における反応効率の向上効果を十分に得るまでには至らない。なお、特許文献1では電解膜を湿潤状態に保つために、表面を親水性に改質したガス拡散層が用いられている。特許文献2は電極の排水性を高めるために親水処理を施したガス拡散層を用いている。特許文献1,2ではメタノールの改質反応にカソード触媒層で生成された水を使用するためにアノードに保水性を付与することは考慮されていない。
特開2004−031325号公報 特開2007−012325号公報
本発明の目的は、アノード(燃料極)に保水性を持たせてアノード触媒層の反応効率を高めることによって、電池出力の向上を図った燃料電池を提供することにある。
本発明の態様に係る燃料電池は、触媒層とガス拡散層とを含む燃料極と、触媒層とガス拡散層とを含む空気極と、前記燃料極の触媒層および前記空気極の触媒層と接するように、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備える起電部と、液体燃料を収容する燃料収容部と、前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備し、前記燃料極のガス拡散層は親水性を有する導電性粒子が充填された導電性多孔質基材を有することを特徴としている。
本発明の態様に係る燃料電池においては、燃料極のガス拡散層を親水性を有する導電性粒子が充填された導電性多孔質基材で構成することによって、燃料極の保水性を高めている。これによって、燃料極による触媒反応効率が向上するため、出力特性に優れる燃料電池を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態による燃料電池の構成を示す断面図である。図1に示す燃料電池1は、膜電極接合体(MEA)を備える起電部2と、起電部2に燃料を供給する燃料供給機構3と、液体燃料を収容する燃料収容部4とから主として構成されている。
起電部2は、アノード触媒層5とアノードガス拡散層6とを有するアノード(燃料極)7と、カソード触媒層8とカソードガス拡散層9とを有するカソード(空気極/酸化剤極)10と、アノード触媒層5とカソード触媒層8とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜11とから構成される膜電極接合体(MEA)12を備えている。
電解質膜11はプロトン伝導性材料で構成されている。電解質膜11を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜11はこれらの材料に限られるものではない。
アノード触媒層5やカソード触媒層8に含有される触媒としては、例えばPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層5にはメタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層8にはPtやPt−Ni等を用いることが好ましい。ただし、触媒はこれらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。触媒は炭素材料等の導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
アノード触媒層5に積層されるアノードガス拡散層6は、アノード触媒層5に燃料を均一に供給すると同時に、アノード触媒層5の集電機能を有するものである。カソード触媒層8に積層されるカソードガス拡散層9は、カソード触媒層8に酸化剤を均一に供給すると同時に、カソード触媒層8の集電機能を有するものである。アノードガス拡散層6やカソードガス拡散層9は、燃料や酸化剤(空気)を流通させることが可能で、かつ導電性を有する基材で構成され、一般的にはカーボンペーパーやカーボンクロス等のカーボン多孔質基材が用いられる。この実施形態のガス拡散層6、9については後に詳述する。
起電部2はMEA12をアノード集電体13とカソード集電体14とで挟み込むことで構成されている。アノード集電体13はアノードガス拡散層6と積層され、カソード集電体14はカソードガス拡散層9と積層される。集電体13、14は燃料や空気を流通させる貫通孔を有している。集電体13、14にはAuやNi等の導電性金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)や箔体、あるいはステンレス鋼のような導電性金属材料にAu等の良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。起電部2はOリング等のシール部材15でシールされており、MEA12からの燃料漏れや酸化剤漏れが防止されている。
起電部2は燃料拡散室18を形成する容器19上に配置されている。容器19は上部が開口された箱状の形状を有している。このような容器19の開口部側にMEA12のアノード7が位置するように起電部2が配置される。容器19内には燃料拡散材20が配置されている。燃料拡散材20は板状の多孔質材料等で形成されており、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等からなる樹脂製多孔質板が用いられる。燃料拡散室18と燃料拡散材20とは、アノード7の面方向に燃料を分散並びに拡散させつつ供給する燃料供給部21を構成するものである。
燃料供給部21は図2および図3に示すように、燃料注入口22と複数の燃料排出口23とを細管24のような燃料通路で接続した燃料分配板25で構成してもよい。燃料分配板25の内部には細管24が形成されており、その一端(始端部)に燃料注入口22が設けられている。細管24は途中で複数に分岐しており、これら分岐した細管24の各終端部に燃料排出口23がそれぞれ設けられている。燃料注入口22から燃料分配板25内に導入された液体燃料は複数に分岐した細管24を介して複数の燃料排出口23に導かれ、その気化成分(燃料)が燃料拡散室18を介してアノード7に供給される。
燃料供給部21を構成する燃料分配板25は、例えば容器19内に配置される。燃料分配板25を有する燃料供給部21を使用することによって、燃料注入口22から燃料分配板25内に注入された液体燃料を方向や位置に係わりなく、複数の燃料排出口23に均等に分配することができる。従って、MEA12の面内における発電反応の均一性を高めることが可能となる。さらに、細管24で燃料注入口22と複数の燃料排出口23とを接続することによって、燃料電池1の特定箇所により多くの燃料を供給するような設計が可能となる。これはMEAの発電度合いの均一性の向上等に寄与する。
そして、燃料拡散材20(あるいは燃料分配板25)が配置された容器19上に起電部2と保湿層26とを積層し、その上から金属製(例えばステンレス製)のカバープレート27を被せて全体を保持することによって、燃料電池(DMFC)1の発電ユニットが構成される。保湿層26はカソード触媒層8で生成された水の一部が含浸されて水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層8への空気の均一拡散を促進するものである。カバープレート27は空気導入用の開口部27aを有している。
燃料拡散材20は容器19に設けられた燃料注入部28と接している。燃料注入部28は配管のような液体燃料の流路29を介して燃料収容部4と接続されている。燃料収容部4にはMEA12に応じた液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料はこれに限られるものではない。液体燃料はエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。
流路29にはポンプ30が介在されている。ポンプ30は燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部4から燃料供給部21に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。燃料供給部21からMEA12に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部4に戻されることはない。燃料電池1は燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。液体燃料の供給にポンプ30を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。燃料電池1はセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ30の種類は特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。
燃料電池1においては、ポンプ30を用いて燃料収容部4から燃料供給部21に液体燃料が間欠的に送液される。ポンプ30で送液された液体燃料は燃料拡散材20内を速やかに面方向に展開し、燃料拡散室18を介してMEA12のアノード(燃料極)7の全面に対して均一に供給される。アノード7に燃料を供給することによって、MEA12で発電反応が生起する。燃料供給用(送液用)のポンプ30の運転動作は、燃料電池1の出力、温度情報、電力供給先である電子機器の運転情報等に基づいて制御することが好ましい。
燃料供給部21から放出された燃料は、MEA12のアノード(燃料極)7に供給される。MEA12内において、燃料はアノードガス拡散層6を拡散してアノード触媒層5に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層5で下記の式(1)に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層8で生成した水や電解質膜11中の水をメタノールと反応させて式(1)の内部改質反応を生起させる。
CHOH+HO → CO+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体13を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、集電体14を経由してカソード(空気極)10に導かれる。式(1)の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜11を経てカソード10に導かれる。カソード10には酸化剤として空気が供給される。カソード10に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層8で空気中の酸素と下記の式(2)にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O → 3HO …(2)
液体燃料として高濃度のメタノール水溶液(例えば濃度が80%以上のメタノール水溶液)や純メタノールを用いた場合、メタノールの改質反応は主としてカソード触媒層8で生成した水により生起される。カソード触媒層8で生成された水は電解質膜11を介してアノード触媒層5に送られる。このようなメタノールの改質反応(アノード触媒層5における触媒反応)の反応効率を高めるためには、カソード10から電解質膜11を介して供給された水をアノード7で保持することが重要となる。
そこで、この実施形態の燃料電池1においてはアノード7に保水性を付与している。具体的には、親水性を有する導電性粒子が充填された導電性多孔質基材でアノードガス拡散層6を構成することによって、アノード7に保水性を付与している。アノードガス拡散層6を構成する導電性多孔質基材としては、カーボンペーパー、カーボンクロスおよびカーボン不織布から選ばれるカーボン多孔質基材が例示される。
カーボン多孔質基材等から導電性多孔質基材内に充填する導電性粒子(親水性を有する導電性粒子)としては、例えば親水性カーボン粒子が挙げられる。なお、ここでは導電性多孔質基材としてカーボン多孔質基材、また親水性を有する導電性粒子として親水性カーボン粒子を例示したが、これらに限定されるものではない。
親水性カーボン粒子は、例えばカーボン粒子に空気酸化処理、水蒸気酸化処理、酸処理等の親水性処理を施すことにより得ることができる。空気酸化処理はカーボン粒子にオープンコロナ放電処理等を施すことにより実施される。水蒸気酸化処理はカーボン粒子を水蒸気で処理することにより実施される。これらの酸化処理によれば、カーボン粒子の表面にOH基を付与して親水性とすることができる。特に、水蒸気酸化処理によればカーボン粒子の表面を清浄な状態にしてOH基を付与することができる。
酸処理には各種の酸液を用いることができるが、例えば硫酸、硝酸、スルホン酸基を有する有機酸等を用いてカーボン粒子を処理することが好ましい。カーボン粒子を硫酸や硝酸で処理することによって、カーボン粒子に親水性を付与することができる。また、カーボン粒子をスルホン酸基を有する有機酸で処理することによって、カーボン粒子の表面にカルボキシル基やその塩等を付与して親水性とすることができる。
カーボン粒子に対する親水性処理は、カーボン粒子自体に対して実施してもよいし、またカーボン粒子をカーボン多孔質基材に充填した後に実施してもよい。親水性カーボン粒子はカーボン粒子に親水性処理を施して親水性を付与したものに限らず、予め親水性が付与された市販の親水性カーボン粒子であってもよい。また、カーボン多孔質基材は親水性または撥水性のいずれを有していてもよいが、アノードガス拡散層6の保水性を高める上で、カーボン粒子と同様に親水性を有していることが好ましい。
例えば、カーボン粒子をカーボン多孔質基材に充填した後に親水性処理を実施することによって、カーボン粒子に加えてカーボン多孔質基材にも親水性を付与することができる。カーボン粒子とカーボン多孔質基材との同時処理は、例えばカーボン粒子を充填したカーボン多孔質基材を酸処理用の酸液に浸漬することにより実施される。空気酸化処理や水蒸気酸化処理を適用する場合も同様である。
カーボン粒子の充填量は30〜70質量%の範囲とすることが好ましい。ここで、カーボン粒子の充填量(質量%)は[カーボン粒子の質量/(カーボン粒子の質量+カーボン多孔質基材の質量)×100(%)]で表わされる。カーボン粒子の充填量が30質量%未満の場合、アノードガス拡散層6の保水性を十分に高めることができないおそれがある。カーボン粒子の充填量が70質量%を超えると、アノードガス拡散層6による燃料の拡散性が低下し、アノード7における燃料(メタノール等)の触媒反応が低下する。
さらに、カーボン多孔質基材に対する充填性や充填後の保水性を考慮して、カーボン粒子は10〜100nmの範囲の粒子径を有することが好ましい。カーボン粒子粒子径が10nm未満の場合には、カーボン多孔質基材に対するカーボン粒子の充填状態が密になりすぎて、燃料の拡散性が低下するおそれがある。一方、カーボン粒子粒子径が100nmを超えると、カーボン多孔質基材に対するカーボン粒子の充填性が低下し、均一な充填状態を実現することができないおそれがある。
カーボン粒子を充填するカーボン多孔質基材は、例えば70〜90%の範囲の気孔率を有することが好ましい。カーボン多孔質基材の気孔率が70%未満であると、カーボン粒子の充填量にもよるが、燃料の拡散性が低下するおそれがある。気孔率が90%を超えるカーボン多孔質基材はその形状を維持することが困難になることに加えて、充填したカーボン粒子の保持性等も低下する。カーボン多孔質基材はカーボンペーパー、カーボンクロスおよびカーボン不織布のいずれであってもよい。
カーボン多孔質基材に対するカーボン粒子の充填は、例えば以下のようにして実施される。まず、カーボン粒子(親水性カーボン粒子または親水性を付与する前のカーボン粒子)を水や有機溶媒等に分散させてスラリー溶液を調製する。次いで、スラリー溶液をカーボン多孔質基材にスプレー法等で塗布したり、あるいはスラリー溶液中にカーボン多孔質基材を浸漬する。このようにして、カーボン多孔質基材内にカーボン粒子を充填する。親水性を付与していないカーボン粒子を用いた場合には、カーボン粒子をカーボン多孔質基材に充填した後に親水性処理を施す。
カーボン粒子はカーボン多孔質基材全体に充填しなければならないものではなく、カーボン多孔質基材の表面から所定の深さまでの範囲内に充填してもよい。例えば、カーボン粒子を含むスラリー溶液をスプレー法で塗布した場合、カーボン粒子はカーボン多孔質基材の表面からその近傍部分に充填される。このようなカーボン粒子の充填層を有するカーボン多孔質基材であっても、カーボン粒子の充填層がアノード触媒層5側に位置するように配置することによって、アノードガス拡散層6の保水性に基づいてアノード触媒層5における触媒反応効率を良好に高めることができる。アノードガス拡散層6の保水性は少なくともアノード触媒層5と接する面側に付与すればよい。
この実施形態の燃料電池1においては、アノードガス拡散層6に保水性を付与しているため、カソード触媒層8で生成された水をアノードガス拡散層6で保持することができる。これによって、触媒反応(メタノール等の改質反応)に必要とされる水がアノード触媒層5に十分に供給されるため、アノード触媒層5における触媒反応効率を高めることができる。従って、燃料電池1の出力特性やその維持性を向上させることが可能となる。保水性を付与したアノードガス拡散層6は、特に液体燃料として濃度が80%以上のメタノール水溶液や純メタノールを用いる場合に有効である。燃料電池1は液体燃料として濃度が80%以上のメタノール水溶液や純メタノールを用いたものであることが好ましい。
上述した実施形態は本発明をセミパッシブ型の燃料電池に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。親水性を有する導電性粒子を充填した導電性多孔質基材で構成したアノードガス拡散層6は、純パッシブ型の燃料電池に対しても適用可能である。純パッシブ型の燃料電池は例えばDMFCを直接燃料収容部上に配置することにより構成される。本発明はパッシブ型やセミパッシブ型等の燃料電池に適用することができる。これらの場合にアノードガス拡散層6の保水性を高めることによって、アノード触媒層5における触媒反応効率を向上させることが可能となる。
次に、本発明の燃料電池の具体例およびその評価結果について述べる。
(実施例1)
まず、カーボン粒子としてカーボンブラック(米国キャボット社製VALCAN XC72(商品名))を用意し、これに純水と希釈溶媒として1−プロパノールとバインダとしてナフィオン溶液(デュポン社製)を混合して分散処理した。この分散液(スラリー溶液)をカーボンペーパー(東レ社製TGP−H−120(商品名)/厚さ=0.37mm、気孔率=78%、嵩密度=0.45g/cc)にスプレー法で塗布すると共に、ホットエアーを吹き付けて乾燥させることによって、カーボンペーパーの表面および内部にカーボン粒子の充填層を形成した。
次に、カーボン粒子の充填層を有するカーボンペーパーを30質量%の硫酸に浸漬して、カーボンペーパーと共にカーボン粒子に親水性処理を施した。硫酸への浸漬処理の後、硫酸を水で置換するために純水に浸漬し、これを乾燥させてアノードガス拡散層とした。親水性カーボン粒子の充填量は50質量%とした。次いで、Pt−Ru触媒とナフィオン溶液(デュポン社製)とを含むアノード触媒用塗料を用意し、これをアノードガス拡散層の表面に塗布した。アノード触媒用塗料はカーボンペーパーの親水性カーボン粒子の充填層を形成した面側(スラリー溶液をスプレーした面側)に塗布した。これを乾燥させることによって、アノード触媒層付きアノードガス拡散層を作製した。
Pt触媒とナフィオン溶液(デュポン社製)とを含むカソード触媒用塗料を用意し、これをカーボンペーパー(東レ社製TGP−H−090(商品名)/厚さ=0.28mm、気孔率=78%、嵩密度=0.45g/cc))の表面に塗布して乾燥させることによって、カソード触媒層付きカソードガス拡散層を作製した。これらカソード触媒層付きカソードガス拡散層とアノード触媒層付きアノードガス拡散層とを、含水および硝酸処理したプロトン伝導性電解質膜(ナフィオン112膜(デュポン社製、商品名)の両側に積層した後にホットプレスしてMEAを作製した。
このようなMEAを集電体で挟み込んで起電部を形成し、この起電部と燃料拡散材とを容器に組み込んで発電ユニットを作製した。発電ユニットと燃料収容部とを燃料供給ポンプを介して接続し、燃料電池(DMFC)を作製して発電試験を行った。発電試験は燃料として純メタノール使用して、設定温度45℃、0.35V定電圧の条件で実施し、測定される電力より出力密度を求めた。得られた出力密度を縦軸、時間を横軸として、運転時間による出力密度の変化を図4に示す。
(実施例2)
カーボン粒子としてカーボンブラック(米国キャボット社製VALCAN XC72(商品名))を用意し、これに純水と希釈溶媒として1−プロパノールとバインダとしてナフィオン溶液(デュポン社製)を混合して分散処理した。この分散液(スラリー溶液)をカーボンペーパー(東レ社製TGP−H−120(商品名))にアプリケータを用いて塗布した。これをホットプレート上で温めながらホットエアーを吹き付けて乾燥させることによって、カーボンペーパーの表面部にカーボン粒子の充填層を形成した。
次に、カーボン粒子の充填層を有するカーボンペーパーに実施例1と同一条件で親水性処理(酸処理)を施した。親水性カーボン粒子の充填量は50質量%とした。このようにして得たアノードガス拡散層の表面に実施例1と同一条件でアノード触媒用塗料を塗布することによって、アノード触媒層付きアノードガス拡散層を作製した。このアノード触媒層付きアノードガス拡散層を用いる以外は実施例1と同様に作製してMEAを作製した。このようなMEAを用いて燃料電池(DMFC)を作製して発電試験を行った。発電試験は実施例1と同様にして実施して、出力密度を測定した。測定結果を図4に示す。
(実施例3、4)
カーボン粒子として自己分散型カーボンブラック(東海カーボン社製Aqua−Black162(商品名)/平均粒子径=100nm、粒子径範囲=30〜300nm(99%)を用意した。自己分散型カーボンブラックは表面官能基としてカルボキシル基を有し、予め親水性が付与されているものである。これに純水と希釈溶媒として1−プロパノールとバインダとしてナフィオン溶液(デュポン社製)を混合して分散処理した。
上記したスラリー溶液を実施例1と同様にしてカーボンペーパーにスプレー法で塗布することによって、親水性カーボン粒子の充填層を有するカーボンペーパー(アノードガス拡散層/実施例3)を作製した。親水性カーボン粒子のカーボンペーパーに対する充填量は50質量%とした。さらに、実施例2と同様にしてスラリー溶液をカーボンペーパーにアプリケータを用いて塗布することによって、親水性カーボン粒子の充填層を有するカーボンペーパー(アノードガス拡散層/実施例4)を作製した。親水性カーボン粒子のカーボンペーパーに対する充填量は50質量%とした。
これらアノードガス拡散層の表面に実施例1と同一条件でアノード触媒用塗料を塗布することによって、それぞれアノード触媒層付きアノードガス拡散層を作製した。このようなアノード触媒層付きアノードガス拡散層を用いる以外は、それぞれ実施例1同様にしてMEAを作製した。そして、得られたMEAを用いて燃料電池(DMFC)を作製した。このような燃料電池(実施例3、4)の発電試験を実施例1と同様にして実施して出力密度を測定した。測定結果を図4に示す。
(比較例1)
アノードガス拡散層を構成するカーボンペーパーに対してカーボン粒子の充填や親水性処理を施さない以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。そして、得られたMEAを用いて燃料電池(DMFC)を作製した。このような燃料電池の発電試験を実施例1と同様にして実施して出力密度を測定した。測定結果を図4に示す。
(比較例2)
アノードガス拡散層を構成するカーボンペーパー(東レ社製TGP−H−120(商品名))を30質量%の硫酸に浸漬して親水性処理を施した。なお、カーボンペーパーにカーボン粒子は充填していない。このような親水性カーボンペーパーをアノードガス拡散層として用いる以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。そして、得られたMEAを用いて燃料電池(DMFC)を作製した。このような燃料電池の発電試験を実施例1と同様にして実施して出力密度を測定した。測定結果を図4に示す。
図4から明らかなように、実施例1〜4の燃料電池は比較例1〜2に比べて高い出力密度を示している。この結果から、アノードガス拡散層に親水性を有する導電性粒子を充填した導電性多孔質基材を適用することによって、出力特性が向上することが分かる。
また、図5に親水性カーボン粒子の充填量と燃料電池(DMFC)の最大出力密度との関係を測定した結果を示す。図5は実施例1におけるスラリー溶液の塗布量を調整して親水性カーボン粒子の充填量を変化させた場合の燃料電池(DMFC)の最大出力密度の測定結果である。図5から親水性カーボン粒子の充填量は30〜70質量%の範囲とすることが好ましく、これによって燃料電池の出力特性が向上することが分かる。
なお、本発明は液体燃料を使用した各種の燃料電池に適用することができる。また、燃料電池の具体的な構成や燃料の供給形態等も特に限定されるものではなく、MEAに供給される燃料の全てが液体燃料の蒸気、全てが液体燃料、または一部が液体状態で供給される液体燃料の蒸気等、種々形態に本発明を適用することができる。実施段階では本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。さらに、上記実施形態に示される複数の構成要素を適宜に組合せたり、また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除する等、種々の変形が可能である。
本発明の実施形態による燃料電池の構成を示す図である。 本発明の燃料電池に用いられる燃料供給部の他の例を示す斜視図である。 図2に示す燃料供給部の平面図である。 本発明の実施例による燃料電池の出力密度の測定結果を示す図である。 親水性カーボン粒子の充填量と燃料電池の最大出力密度との関係を示す図である。
符号の説明
1…燃料電池、2…起電部、3…燃料供給機構、4…燃料収容部、5…アノード触媒層、6…アノードガス拡散層、7…アノード(燃料極)、8…カソード触媒層、9…カソードガス拡散層、10…カソード(空気極)、11…電解質膜、12…MEA、13…アノード集電体、14…カソード集電体、18…燃料拡散室、19…容器、20…燃料拡散材、21…燃料供給部、26…保湿層、27…カバープレート。

Claims (6)

  1. 触媒層とガス拡散層とを含む燃料極と、触媒層とガス拡散層とを含む空気極と、前記燃料極の触媒層および前記空気極の触媒層と接するように、前記燃料極と前記空気極とに挟持された電解質膜とを有する膜電極接合体を備える起電部と、
    液体燃料を収容する燃料収容部と、
    前記燃料収容部から前記燃料極に燃料を供給する燃料供給機構とを具備し、
    前記燃料極のガス拡散層は親水性を有する導電性粒子が充填された導電性多孔質基材を有することを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記導電性多孔質基材はカーボンペーパー、カーボンクロスおよびカーボン不織布から選ばれるカーボン多孔質基材からなり、かつ前記カーボン多孔質基材内には前記導電性粒子として親水性カーボン粒子が充填されていることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項2記載の燃料電池において、
    前記親水性カーボン粒子は空気酸化処理、水蒸気酸化処理または酸処理が施されたカーボン粒子であることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の燃料電池において、
    前記導電性多孔質基材は親水性を有することを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の燃料電池において、
    前記ガス拡散層における前記導電性粒子の充填量は30〜70質量%の範囲であることを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池において、
    前記液体燃料は濃度が80%以上のメタノール水溶液または純メタノールであることを特徴とする燃料電池。
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