JP2010128063A - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、(A)下記式(I)で表されるシアニン色素、(B)ウレタン結合を有するエチレン性不飽和化合物、(C)重合開始剤、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を有することを特徴とする平版印刷版原版。式(I)中、X1及びX2はそれぞれ独立にS、O、NR及びC(アルキル)2よりなる群から選ばれた二価の連結基を表し、R1a及びR1bはそれぞれ独立にアルキル基、アルキルスルホネート基、アルキルカルボキシレート基又はアルキルアンモニウム基を表し、R2は、SR、SO2R又はORを表し、Rはアリール基を表し、Zは一価以上のアニオンを表し、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
【選択図】なし
Description
また、特許文献5には、(A)不斉構造であり、かつエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、(B)実質的に水またはアルカリ水溶液に可溶または膨潤するバインダーポリマーと、(C)光または熱によりラジカルを発生する化合物と、を含有することを特徴とする重合性組成物が開示されている。
よって、現在のCTP版市場においては、感度、保存安定性、耐刷性の全てについてさらなる性能向上が求められている。
本発明は前記市場要求をふまえ、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明の目的は、赤外線レーザーによる直接描画が可能で、なおかつ感度、経時安定性、及び、耐刷性に優れたネガ型平版印刷版原版を提供することである。
<1>支持体上に、(A)下記式(I)で表されるシアニン色素、(B)ウレタン結合を有するエチレン性不飽和化合物、(C)重合開始剤、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を有することを特徴とする平版印刷版原版、
<3>前記式(I)におけるR2が、SRである上記<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版、
<4>前記式(I)におけるR3a及びR3bがそれぞれ独立に、アルキル基、又は、ハロゲン原子である上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<5>前記式(I)におけるX1及びX2がそれぞれ独立に、C(アルキル)2である上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<6>前記(A)式(I)で表されるシアニン色素が、下記式(II)で表されるシアニン色素である上記<1>〜<5>いずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<9>前記(D)バインダーポリマーが、ウレタン樹脂である上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<10>前記(D)バインダーポリマーが、側鎖に架橋性基を有するウレタン樹脂である上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
本発明の平版印刷版原版は、ネガ型平版印刷版原版であり、支持体上に、(A)下記式(I)で表されるシアニン色素、(B)ウレタン結合を有するエチレン性不飽和化合物、(C)重合開始剤、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層(以下、「画像記録層」、「特定記録層」又は「記録層」ともいう。)を有することを特徴とする。
本発明の平版印刷版原版における感光層は、赤外光に感応するため、CTPに有用な赤外線レーザーにより記録可能である。
感光層に含まれるシアニン色素は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、前記重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルを生成させる。
ラジカルの生成機構としては、シアニン色素の光熱変換機能により発生した熱が、後述する重合開始剤を熱分解しラジカルを発生させる機構が挙げられる。そして、生成したラジカルによりモノマーが重合反応を起こし、露光部が硬化して画像部を形成する。
以下に、感光層を構成する各成分について説明する。
本発明の平版印刷版原版における感光層は、(A)式(I)で表されるシアニン色素を含有する。
感光層は、感度向上の観点から、700〜1,400nmに吸収極大を有する化合物として、シアニン色素を含有する。シアニン色素を含有することで、平版印刷版原版は赤外線波長域に感応性を有することになる。
本発明に用いることができるシアニン色素は、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点から、波長700〜1,400nmに吸収極大を有し、さらに後述するウレタンモノマーとの優れた相互作用の観点から、下記式(I)で表されるシアニン色素である。
式(I)におけるR1a及びR1bはそれぞれ独立に、アルキル基、アルキルスルホネート基、アルキルカルボキシレート基又はアルキルアンモニウム基を表し、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。また、前記アルキルアンモニウム基における窒素原子上の他の3つの基はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は、アリール基が例示できる。
式(I)におけるR2は、SR、SO2R、又は、ORを表し、SRであることが好ましく、チオフェニル基であることがより好ましい。また、これらSR、SO2R及びORのRは、アリール基を表し、フェニル基であることが好ましい。
芳香環上の置換基R3a及びR3bの数であるm1及びm2はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
なお、式(I)において、m1が0であるとは、芳香環上の置換基R3aがないことを表し、X1と結合している芳香環の環員を形成する炭素原子のうち、X1に結合した炭素原子及び窒素原子に結合した炭素原子以外の炭素原子に結合する基は全て水素原子であることを表す。また同様に、式(I)において、m2が0であるとは、芳香環上の置換基R3bがないことを表し、X2と結合している芳香環の環員を形成する炭素原子のうち、X2に結合した炭素原子及び窒素原子に結合した炭素原子以外の炭素原子に結合する基は全て水素原子であることを表す。
Zとしては、式(I)で表されるシアニン色素全体として電荷的中性を得るのに十分な一価以上のアニオンであれば、特に制限なく用いることができる。また、Zは、1つのアニオンであっても、2つ以上のアニオンであってもよい。さらにZは、1種のアニオンであっても、2種以上のアニオンであってもよい。
Zとして具体的には、安定性の面から、スルホン酸アニオン、ベンゾイルギ酸アニオン、AsF6 -、PF6 -、BF4 -、ClO4 -、カルボン酸アニオン、スルフィン酸アニオン、硫酸アニオン、ホウ素アニオン、ハロゲン化物イオン、ポリマー型スルホン酸アニオン、ポリマー型ベンゾイルギ酸アニオン、ポリマー型カルボン酸アニオン等が好ましく例示できる。これらの中でも、スルホン酸アニオンが好ましく、トリフラートアニオン(CF3SO3 -)がより好ましい。
式(I)におけるn1及びn2はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表し、n1及びn2が共に1であることが好ましい。
式(I)におけるX1及びX2は、同じ基であることが好ましい。また、同様に、式(I)におけるR1a及びR1b、n1及びn2、m1及びm2はそれぞれ、同じ基であることが好ましい。
また、式(I)においては、R3a及びR3bは、同じ基であり、かつ芳香環上の置換位置もR2を中心として線対称の位置であることが好ましい。
Z’-としては、一価のアニオンであれば、特に制限なく用いることができる。
Z’-として具体的には、安定性の面から、スルホン酸アニオン、ベンゾイルギ酸アニオン、AsF6 -、PF6 -、BF4 -、ClO4 -、カルボン酸アニオン、スルフィン酸アニオン、ホウ素アニオン、ハロゲン化物イオン等が好ましく例示できる。これらの中でも、スルホン酸アニオンが好ましく、トリフラートアニオン(CF3SO3 -)がより好ましい。
本発明の平版印刷版原版における感光層は、(B)ウレタン結合を有するエチレン性不飽和化合物を含有する。
ウレタン結合を有するエチレン性不飽和化合物としては、1つ以上のウレタン結合及び1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であればよいが、2つ以上のウレタン結合及び2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましく、2つのウレタン結合及び2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることがより好ましく、2つのウレタン結合及び2つのエチレン性不飽和基を有する化合物であることがさらに好ましい。
(B)ウレタン結合を有するエチレン性不飽和化合物(以下、「ウレタンモノマー」又は「特定重合性化合物」ともいう。)をエチレン性不飽和結合の数が2の場合と、3以上の場合に分けて説明する。
分子内にウレタン結合と2つのエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(以下、「2官能重合性化合物」という場合がある。)は、下記式(1)で表される。
X−R−U−A−U−R−X・・・(1)
式(1)におけるXとしては、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基が好ましく、メタクリロイル基がより好ましい。
D−(−U−R−(X)m)n・・・式(3)
式(3)中、nは2又は3を表し、Dは二価又は三価の有機基を表し、Uはそれぞれ独立に、ウレタン結合を表し、Rはそれぞれ独立に、三価又は四価の炭素原子あるいは炭素原子と酸素原子とで構成される連結基を表し、Xはそれぞれ独立に、メタクリロイル基、アクリロイル基、又は、ビニル基を表し、mはそれぞれ独立に、2又は3を表す。
また、前記式(3)で表される化合物においてn個存在する−U−R−(X)mは、全て同一の基であることが好ましい。
これら特定重合性化合物の感光層の全固形分に対する添加量(総量)は、10〜60重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましく、30〜45重量%がさらに好ましい。上記範囲であると、低感度となる場合や、記録層がべたつき、製造適性が劣る場合もない。
本発明の平版印刷版原版における感光層は、(C)重合開始剤を含有する。
本発明において、感光層に用いることができる重合開始剤は、光又は熱エネルギーによりラジカルを発生する光又は熱重合開始剤であり、エチレン性不飽和化合物の重合を開始又は促進する化合物である。重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから適宜選択して用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が挙げられる。
特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の各公報、M. P. Hutt, "Journal of Heterocyclic Chemistry", 1 (No.3) (1970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物及びs−トリアジン化合物が好適である。
好ましい芳香族アジド化合物としては、アジドフェニル、アジドスチリル、アジドベンザル、アジドベンゾイル及びアジドシンナモイルの如き基を1個又はそれ以上含む化合物が挙げられ、例えば、4,4’−ジアジドカルコン、4−アジド−4’−(4−アジドベンゾイルエトキシ)カルコン、N,N−ビス−p−アジドベンザル−p−フェニレンジアミン、1,2,6−トリ(4’−アジドベンゾキシ)ヘキサン、2−アジド−3−クロロ−ベンゾキノン、2,4−ジアジド−4’−エトキシアゾベンゼン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、2,5−ジアジド−3,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ビス(4−アジドスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−アジドシンナモイル)チオフェン、2,5−ジ(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドフェニルメタン、1−(4−アジドフェニル)−5−フリル−2−ペンタ−2,4−ジエン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(1−ナフチル)プロペン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−プロパン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−5−フェニル−1,4−ペンタジエン−3−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(2−フリル)−2−プロペン−1−オン、1,2,6−トリ(4’−アジドベンゾキシ)ヘキサン、2,6−ビス−(4−アジドベンジリジン−p−t−ブチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベンザルアセトン、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4’−アジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−α−カルボン酸、ジ−(4−アジド−2’−ヒドロキシベンザル)アセトン−2−スルホン酸、4−アジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、2−アジド−1,4−ジベンゼンスルホニルアミノナフタレン、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸アニリド等を挙げることができる。
またこれらの低分子量芳香族アジド化合物以外にも特公昭44−9047号、同44−31837号、同45−9613号、同45−24915号、同45−25713号、特開昭50−5102号、同50−84302号、同50−84303号、同53−12984号の各公報に記載のアジド基含有ポリマーも好適である。
本発明において、これらのオニウム塩化合物は酸発生剤ではなく、ラジカル重合開始剤として機能することができる。
好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。
Z11-は一価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン及びスルフィン酸イオンが好ましい。
好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。
Z21-は一価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
置換基としては、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。
Z31-は一価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の含有量は、感光層全固形分に対し、0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましく、0.8〜20重量%がさらに好ましい。
本発明の平版印刷版原版における感光層は、(D)バインダーポリマーを含有する。
本発明に用いることができるバインダーポリマーの化学構造は、特に限定されないが、弱アルカリ性の処理液への溶解性、すなわち現像性の観点から酸基を有する有機高分子が好ましく、特にカルボキシル基(カルボン酸基)又はその塩を含有する有機高分子がより好ましい。
本発明に用いることができるバインダーポリマーとしては、カルボン酸基含有のアルカリ水可溶又は膨潤性の有機高分子が用いられる。
この様な有機高分子としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が有用である。バインダーポリマーとして、カルボン酸(塩)基を含有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマー単位を含む共重合体が好ましい。
また、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシル基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなども有用である。
さらに、特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号の各公報に記載のポリウレタン樹脂もアルカリ水可溶又は膨潤性バインダーとして有用である。
本発明に使用するバインダーポリマーとして、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、又は、ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
(a)カルボン酸基を含有するモノマー単位としては特に限定されないが、下記構造が好ましく用いられる。
R2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基が挙げられる。
式(D−I)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
式(D−I)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
このモノマーの含有量は、総モノマー単位数を100とした場合、そのうちの5〜50単位であることが好ましく、5〜35単位であることがより好ましく、5〜25単位であることがさらに好ましい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に画像形成層中で起こる化学反応によりバインダーポリマーを架橋することができる基のことである。このような機能を有する基であれば特にその化学構造は限定されないが、例えば、付加重合し得る官能基としてエチレン性不飽和基、エポキシ基/オキセタニル基等の環状エーテル基が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン原子、オニウム塩構造等が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和基が好ましく、特開2007−17948号公報の段落0130〜0139に記載された官能基が含まれる。
以下に側鎖に架橋性基を有するポリウレタン樹脂について、さらに詳しく説明する。
ポリウレタン樹脂の側鎖に不飽和基を導入する方法としては、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も採用できる。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものも含まれ、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により製造される化合物も含まれる。これら化合物の具体的例には、特開2007−17948号公報の段落0180〜0225に記載された一般式(A’)、式(a)〜(e)、式(11)〜(22)及び具体的化合物が含まれる。
画像形成層に使用できるバインダーポリマーとして、ポリウレタン樹脂の製造において、さらにアミノ基含有化合物を組み合わせてジイソシアネート化合物と反応させ、ウレア構造を形成してポリウレタン樹脂の構造に組み込んでもよい。アミノ基含有化合物には、特開2007−17948号公報の段落0227〜0230に記載された式(31)及び式(32)及び具体的化合物が含まれる。
かかるウレタン樹脂の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記ウレタン樹脂の各構成単位を表す括弧の右下の数字は、各構成単位のモル比を表す。
また、本発明の平版印刷版原版の感光層においては、感光層を形成するための組成物(感光性組成物)の製造中あるいは保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合禁止剤を添加することが好ましい。
適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。
熱重合禁止剤の添加量は、感光層の全重量に対し、0.01重量%〜5重量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光性層の表面に偏在させてもよい。
高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全重量に対し、0.5重量%〜10重量%が好ましい。
着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、15:4、15:6等)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。
染料及び顔料の添加量は、感光層の全重量に対し、0.5重量%〜5重量%が好ましい。
加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。
これらの添加剤は、感光層の全重量に対し、10重量%以下が好ましい。
また、感光層を形成するための組成物には、塗布面状を向上するために界面活性剤を添加することができる。好適な界面活性剤としては、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤を挙げることができる。
本発明において、感光層を形成するために使用することができる組成物は、所望により各種表面処理を施した支持体上に、塗工するが、組成物を支持体上に塗工する際には種々の有機溶剤に溶かして使用することができる。
溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメーチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等がある。
これらの溶媒は、1種単独又は2種以上混合して使用することができる。なお、塗布溶液中の固形分濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。
本発明の平版印刷版原版における感光層の被覆量は、塗布乾燥後の重量で0.1〜10g/m2の範囲であることが好ましく、0.3〜5g/m2の範囲であることがより好ましく、0.5〜3g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。
本発明の平版印刷版原版における保護層は、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(cc/m2・day)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(cc/m2・day)以上であれば、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じることもなく、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じることもない。
また、酸素透過性Aが20(cc/m2・day)以下であれば、感度の低下を招くこともない。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが好ましい。この様な保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100モル%加水分解され、重合繰り返し単位が300〜2,400の範囲のものを挙げることができる。
具体的には、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。これらは単独又は混合して使用できる。
ポリビニルアルコールの保護層中の含有率は、20〜95重量%であることが好ましく、30〜90重量%であることがより好ましい。
保護層中のポリビニルピロリドン又はその変性物の含有率は、3.5〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましく、15〜30重量%であることがさらに好ましい。
本発明における保護層の、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(cc/m2・day)であることが好ましく、1.5≦A≦12(cc/m2・day)であることがより好ましく、2.0≦A≦8.0(cc/m2・day)であることがさらに好ましい。上記範囲であると、製造時・生保存時に不要な重合反応を起こることを抑制でき、また、画像露光時においては不要なカブリ及び画線の太りを抑制することができる。
前記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2,000〜1,000万の範囲のものが好ましく使用でき、2万〜300万の範囲のものがより好ましく使用できる。
また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数重量%添加することができる。
保護層の膜厚は、0.5〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることが特に好ましい。
本発明の平版印刷版原版における支持体としては、従来公知の、平版印刷版に使用される支持体を限定なく使用することができる。また、前記支持体としては、親水性支持体であることが好ましい。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のような金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。さらに塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及び、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤とでアルミニウム表面を砂目立てするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができる。また、上記粗面化方法を単独又は組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、好適な陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50重量%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50重量%、20〜100℃である。
エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われることが好ましい。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような温度50〜90℃の15〜65重量%の硫酸と接触させる方法、及び、特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の中心線平均組さRaが0.2〜0.5μmであれば、特に方法条件は限定しない。
陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは、0.5〜1.5μmの範囲であることが好ましく、0.5〜1.0μmの範囲であることがより好ましい。
本発明の平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層を設けてもよい。
このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特開平11−38635号、特開平11−38629号、特開平10−282645号、特開平10−301262号、特開平11−24277号、特開平11−109641号、特開平10−319600号、特開平11−327152号、特開2000−10292号、特開2000−235254号、特開2000−352824号、特開2001−209170号の各公報等に記載のものを挙げることができる。
次に、本発明の平版印刷版の製版方法について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版の製版方法は、本発明の平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、現像液の存在下で非露光部の感光層を除去する現像工程を含むことを特徴とする。
以下に、本発明の製版方法に用いることができる現像液について説明する。
本発明の平版印刷版の製版方法に用いることができる現像液は、特に限定されないが、例えば、無機アルカリ塩とノニオン系界面活性剤とを含有し、pHが11.0〜12.7であるものが好適に使用される。
有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
これらの有機アルカリ剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
R40−O−(R41−O)p−H (XI)
式中、R40は、3〜15のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、又は、炭素数4〜15の複素芳香族環基(なお、置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜15のアシル基が挙げられる。)を表し、R41は、炭素数1〜100のアルキレン基を示し、pは1〜100の整数を表す。なお、これら各基は置換基を有していてよく、置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
また、「複素芳香族環基」の具体例としては、フリル基、チオニル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラニル基、ピリジニル基、アクリジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオニル基、ベンゾピラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基等が挙げられる。
本発明において、ポリオキシアルキレンエーテル基を有する界面活性剤は単独又は複合系で使用され、現像液中、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%添加することが効果的である。上記範囲であると、現像性に優れ、また、現像時のダメージを低減することができるため、印刷版の耐刷性に優れる。
また、界面活性剤の現像液中における含有量は、0.1〜20重量%の範囲が好適に使用される。
露光処理に用いられる光源としては、700nm〜1,400nmの波長で露光し得るものであれば、如何なるものでもよいが、赤外線レーザーが好適なものとして挙げられる。中でも、750nm〜1,400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射される単位あたりのエネルギー量は10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10重量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で25秒間浸漬してエッチングし、流水で水洗後、20重量%硝酸水溶液で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1重量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20重量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2の条件で陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
前記電界粗面化処理されたアルミニウム板に、まずバーコーターを用いて下記中間層液を塗布したあと150℃で4秒間乾燥した。乾燥後の中間層塗布重量は25mg/m2であった。
・下記ゾル液 100重量部
・メタノール 900重量部
・ホスマーPE(ユニケミカル(株)製) 5重量部
・メタノール 45重量部
・水 10重量部
・85重量%リン酸 5重量部
・テトラエトキシシラン 20重量部
・3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 15重量部
この上記の中間層上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布重量が1.3g/m2となるようにバーコーターを用いて塗布し、95℃で50秒間乾燥させ、実施例及び比較例の感光層を形成した。
・シアニン色素(表1に記載の化合物) 0.31重量部
・モノマー(表1に記載の化合物) 4.2重量部
・重合開始剤(表1に記載の化合物) 1.2重量部
・バインダーポリマー(表1に記載の化合物) 3.6重量部
・ε−フタロシアニン分散物 0.92重量部
・フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF780 0.05重量部
(メガファックF780、大日本インキ化学工業(株)製)
・添加剤 E−1(後述の化合物) 0.6重量部
・添加剤 E−2(後述の化合物) 0.6重量部
・メチルエチルケトン 62重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 57重量部
上記の記録層表面に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)と、ポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK−30)との混合水溶液をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させて保護層を形成して、平版印刷版原版(ネガ型平版印刷版原版)を作製した。なお、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドンの含有量の比率は、4/1(重量比)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は2.45g/m2であった。
<経時安定性>
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter3244にて、解像度1,200dpiでAM100線の50%平網画像を、出力4.5W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー70mJ/cm2で露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。現像液は、富士フイルム(株)製シリケート含有現像液LP−DZ(原液使用、水での希釈不要、25℃でのpH12.30)を用い、フィニッシャーは、富士フイルム(株)社製FP−2Wの1:3水希釈液を用いた。現像機はG&J社製PSプロセッサーIP850HDを用い、プレヒート温度115℃、液温を25℃に保ち、現像時間28秒で現像した。現像して得られた平版印刷版の版上網点面積率(感度(1))をGretagMacbeth社製iC PlateIIにてn5測定した。
また、得られた平版印刷版原版を合紙とともにアルミクラフト紙で密閉し、60℃で3日放置したものを用いた以外は上記と全て同じ方法で露光、現像して得られた平版印刷版の版上網点面積率をGretagMacbeth社製iC PlateIIにてn5測定した平均値を長期保管後の感度の指標とし、前記感度(1)(平版印刷版原版が新しい状態での感度)を基準とした変化量Δを経時安定性の指標とした。Δが小さいほど経時安定性に優れる。
Claims (10)
- 支持体上に、
(A)下記式(I)で表されるシアニン色素、
(B)ウレタン結合を有するエチレン性不飽和化合物、
(C)重合開始剤、及び、
(D)バインダーポリマー
を含有する感光層を有することを特徴とする
平版印刷版原版。
- 前記式(I)におけるR1a及びR1bがそれぞれ独立に、アルキル基である請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記式(I)におけるR2が、SRである請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
- 前記式(I)におけるR3a及びR3bがそれぞれ独立に、アルキル基、又は、ハロゲン原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記式(I)におけるX1及びX2がそれぞれ独立に、C(アルキル)2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記(C)重合開始剤が、オニウム塩である請求項1〜7のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記(D)バインダーポリマーが、ウレタン樹脂である請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
- 前記(D)バインダーポリマーが、側鎖に架橋性基を有するウレタン樹脂である請求項1〜9のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
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