JP5068682B2 - ネガ型平版印刷版原版 - Google Patents

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本発明は支持体上に、特定の中間層と、重合型の画像形成層とをこの順で有することを特徴とするネガ型平版印刷版原版に関する。更に詳しくは、画像部での高い耐刷性と非画像部での良好な汚れ性を両立する、新規なネガ型平版印刷版原版に関する。
従来、平版印刷版原版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブレンステッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、画像形成層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査し活性種を発生せしめ、その作用によって画像形成層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。
特に、親水性支持体上に、感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーを含有する光重合型の画像形成層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けた平版印刷版原版(例えば、特許文献1参照)は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有するものである。
また、より生産性を向上させるため、つまり、製版スピードを向上させるために、特定の構造を有するシアニン色素、ヨードニウム塩及びエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物よりなる光重合性組成物を画像形成層に用い、画像様露光後の加熱処理を必要としない記録材料が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)しかし、この記録材料は、重合反応時に空気中の酸素による重合阻害により、感度の低下や、形成された画像部の強度低下が起こる場合があるという問題があった。
この問題に対し、画像形成層上に水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法、或いは、無機質の層状化合物と水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。これらの保護層の存在により、重合阻害が防止され、画像形成層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることが可能となる。
最近の市場動向として、生産性の向上のため露光時間の短縮化、及び、レーザーの長寿命化のため、なるべく低出力で使用したい等の要求が強く、レーザー光エネルギーを下げても、耐刷性の損なわれない平版印刷版原版が強く求められている。このような耐刷性の良好な平版印刷版用支持体を得るために、アルミニウム板の表面を砂目立てについて様々な形状が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、従来技術においては、支持体と画像形成層との密着力を強固にすることで高耐刷を実現しているため、長期保存時に熱ラジカルが発生し、暗重合が起こった場合に非画像部が現像除去されずに汚れとなる問題があった。
画像形成層の未露光領域の現像除去性を高めるために、支持体と画像形成層との間に中間層(下塗り層、又は、密着改良層と称されることもある)を設けることが一般的に行われている。(例えば、特許文献5参照。)
しかしながら、従来の中間層を用いた場合には、長時間、特には、高温高湿条件下で長時間保存した場合の現像除去性が低下したり、中間層の上層に画像形成層を塗布する際に画像形成層の溶媒により中間層が溶解或いは膨潤することにより耐刷性や汚れ性に悪影響が生じる場合があり、近年の高耐刷化と低汚れ性の要求レベル向上に対しては不十分であった。
中間層については、酸基を有する高分子化合物を用いる例も知られている(例えば、特許文献6参照。)。この文献には、酸基としてスルホン酸又はカルボン酸を有する高分子化合物を中間層に用いた例が開示されている。酸基として側鎖にスルホン酸を有する場合においては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、水溶性アミン塩を形成する例が開示されている。このような化合物は、特定の平版印刷材料においては良好な耐刷性と汚れ性を与えることができるが、例えば、耐刷性を向上させるために表面粗さ(Ra)を大きくした高耐久性の平版印刷版原版などに用いた場合においては、十分な汚れ性と両立させることが困難な場合があった。加えて、この文献には、酸基としてカルボン酸のみを有し、かつ、その一部がカルボン酸塩を形成し、更に、これ以外の構造単位が共重合した高分子化合物を中間層に用いる例については開示されていない。
更に、中間層において、露光時に画像形成層の重合性基と架橋可能な重合性基を含有した高分子化合物を中間層に用いた例が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。
しかしながら、この文献には、酸基としてカルボン酸を有し、その一部がカルボン酸塩を形成し、これ以外の構造単位が共重合した高分子化合物を中間層に用いる例については開示されていない。
特開平10−228109号公報 特公平7−103171号公報 特開平11−38633号公報 特開2003−112484号公報 特開2001−272787号公報 特開2005−99113号公報 特開2006−239867号公報
本発明は、上記の背景技術に鑑みなされたものであり、以下に示す目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、非画像部の汚れ防止性とその持続性、及び、画像部と支持体との密着性に起因する耐刷性のいずれにも優れたネガ型平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者らが鋭意研究した結果、中間層中に特定の構造を有する共重合体を用いることで、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明のネガ型平版印刷版原版は、支持体上に、下記一般式(1)で表される構造単位、下記一般式(2)で表される構造単位、及び下記一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体を少なくとも一種含有する中間層と、重合型の画像形成層と、をこの順で有することを特徴とする。
一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Lは、単結合を表す。nは1を表す。
一般式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Lは、単結合を表す。Xはカルボン酸イオンを表し、Mは電荷を中和するのに必要な対カチオンを表す。mは1を表す。
一般式(3)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Yはエチレン性不飽和基を含有する基を表す。
本発明のネガ型平版印刷版原版において、中間層に含有される共重合体が、更に、一般式(4)で表される構造単位を含むことが好ましい態様である。
一般式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Zは、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、カルバモイル基、芳香族基、ヒドロキシ基、及びアシルオキシ基から選択される1種の基を有する置換基を表す。
また、一般式(4)におけるZが、カルボン酸エステル基を有する置換基であることが好ましい。
本発明のネガ型平版印刷版原版において、一般式(1)で表される構造単位の含有量と、一般式(2)で表される構造単位の含有量と、のモル比が0.8:0.2〜0.2:0.8であることが好ましい。
また、一般式(1)で表される構造単位の含有量、及び、一般式(2)で表される構造単位の含有量の合計と、一般式(3)で表される構造単位の含有量と、のモル比が0.99:0.01〜0.1:0.9であることが好ましい。
本発明のネガ型平版印刷版原版において、重合型の画像形成層が赤外線レーザーで記録可能であることが好ましい態様である。
また、重合型の画像形成層が、重合開始剤、重合性化合物、及びバインダーポリマーを含有することも好ましく、更に赤外線吸収剤を含有することがより好ましい。
本発明のネガ型平版印刷版原版は、重合型の画像形成層上に、雲母を少なくとも含有する保護層を有する態様が好ましい。
また、重合型の画像形成層上に、ポリビニルアルコール、有機樹脂からなる微粒子、及び雲母を含有する保護層を有することも好ましい態様である。
本発明によれば、非画像部の汚れ防止性とその持続性、及び、画像部と支持体との強固な密着性に起因する耐刷性のいずれにも優れたネガ型平版印刷版原版を提供することができる。
本発明のネガ型平版印刷版原版(以下、単に、平版印刷版原版と称する場合がある。)は、支持体上に、一般式(1)で表される構造単位、一般式で表される構造単位、及び一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体を少なくとも一種含有する中間層と、重合型の画像形成層(以下、単に、画像形成層と称する場合がある。)と、をこの順で有することを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版原版を構成する支持体、中間層、及び画像形成層について説明する。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状物であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは0.1mm〜0.6mmであるのが好ましく、0.15mm〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2mm〜0.3mmであるのが更に好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び画像形成層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1質量%〜80質量%溶液、液温5℃〜70℃、電流密度5A/dm〜60A/dm、電圧1V〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0g/m〜5.0g/mであるのが好ましく、1.5g/m〜4.0g/mであるのがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
陽極酸化処理を施した後、必要に応じて、アルミニウム板の表面に親水化処理を施す。親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸せき処理し、又は電解処理する。その他に、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
〔中間層〕
次に、本発明の平版印刷版原版における中間層について詳しく説明する。
本発明における中間層は、下記一般式(1)で表される構造単位、下記一般式(2)で表される構造単位、及び、下記一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体を含有する。つまり、カルボキシル基の一部が塩基によって中和された共重合体を少なくとも1種含有することを特徴としている。
以下、本発明における中間層に用いられる共重合体を、適宜、「特定共重合体」と称し、説明する。
上記一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Lは、単結合を表す。nは1を表す。
上記一般式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Lは、単結合を表す。Xはカルボン酸イオンを表し、Mは電荷を中和するのに必要な対カチオンを表す。mは1を表す。
上記一般式(3)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Yはエチレン性不飽和基を含有する基を表す。
また、本発明における特定共重合体は、下記一般式(4)で表される構造単位を更に含むことが好ましい態様である。ここで、下記一般式(4)で表される構造単位は、前記一般式(1)〜(3)のいずれの構造とも異なる構造単位である。
上記一般式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Zは、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、カルバモイル基、芳香族基、ヒドロキシ基、及びアシルオキシ基から選択される1種の基を有する置換基を表す。
一般式(1)〜(4)におけるR〜Rについて説明する。
〜Rは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜30の置換基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、シアノ)又はハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を表す。より好ましくは、水素原子、メチル、エチル、フッ素原子、塩素原子であり、特に好ましくは、水素原子、メチルである。
一般式(1)及び(2)におけるL、及びLについて説明する。
、及びLは、それぞれ、単結合をす。
一般式(1)及び(2)において、n、及びmは、それぞれ1をす。
一般式(2)において、Mは電荷を中和するのに必要な対カチオンを表す。このMとしては、公知の任意のカチオンを用いることが可能であるが、好ましい例としては、水素イオン、アルカリ金属イオン(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、2族の金属イオン(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、その他の金属イオン(アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛など)、アンモニウムイオン(メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、モルホリ二ウムイオン、グアニジウムイオンなど)、などを挙げることができる。但し、mが1であるとき、Mが水素イオンであることはない。
Mとして更に好ましくは、アルカリ金属イオン、特に好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオンを挙げることができる。
一般式(3)におけるYについて説明する。Yは少なくともエチレン性不飽和基を含有する基を表す。
Yの好ましい例としては、下記一般式(5)で表される構造単位に示されているように、末端にエチレン性不飽和基を有し、このエチレン性不飽和基と構造単位の主鎖に連結する連結基とからなる構造であることが好ましい。
Yの好ましい構造について、下記一般式(5)で表される構造単位と合わせて説明する。
上記一般式(5)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、アシル基、又はアシルオキシ基を表す。Lは、単結合、又は(p+1)価の連結基を表す(ここでpは1以上の自然数を表す)。
〜Rとしては、本発明の効果である耐刷性を向上させるといった点から、全てが水素原子である、又は、Rがメチル基であり、R及びRが水素原子であることが好ましい。
ここで、Lで表される(p+1)価の連結基とは、少なくとも1個の非金属原子からなる2価以上の基を示し、好ましくは、原子数0〜60の炭素原子、原子数0〜10の窒素原子、原子数0〜50の酸素原子、及び原子数0〜20の硫黄原子を組み合わせて成り立つものである。ここで、pとして、1〜9の整数が好ましい。さらに好ましくは、1〜3の整数である。
例えば、(p+1)価の連結基が2価の連結基であれば、好ましくは、−CR−、−O−、−(CO)−、−S−、−(SO)−、−(SO)−、−NR−、ビニレン、フェニレン、シクロアルキレン、ナフチレン、ビフェニレン、(ここで、Rは水素原子又は置換基を表す。)の構造単位が、単独で、又は、組合わされて構成されるものを挙げることができる。
また、(p+1)価の連結基が3価の連結基であれば、その例としては、ベンゼン環から3つの水素原子を除いてなる基や、−C−CH−N−(CH−)、−N−(CH−)、(p+1)価の連結基が4価の連結基であれば、その例としては、ベンゼン環から3つの水素原子を除いてなる基が挙げられる。
としては以下に示す具体例(L1〜L23)が挙げられる。
なお、下記具体例において最も左側の結合手が主鎖に結合し、最も右側の結合手がエチレン性不飽和結合に結合する。
また、下記具体例において、2価の脂肪族基又は芳香族基の場合はq及びrが1であり、3価の脂肪族基又は芳香族基の場合はr及びsが2である。更に、下記具体例においては、右側の結合手が複数となる場合があるが、この場合、その全ての結合手がエチレン性不飽和結合に結合していることになる。
L1:
−CO−NH−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−NH−2価若しくは3価の脂肪族基−
L2:
−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価、3価、若しくは4価の脂肪族基−
L3:
−CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−
L4:
−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−2価若しくは3価の脂肪族基−
L5:
−CO−NH−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)、又は、−CO−NH−2価若しくは3価の芳香族基−
L6:
−CO−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の芳香族基−
L7:
−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)、又は、−2価若しくは3価の芳香族基−
L8:
−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−]
L9:
−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[O−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[O−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−]
L10:
−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−]
L11:
−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[O−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[O−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−]
L12:
−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−]
L13:
−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[O−CO−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の脂肪族基−[O−CO−2価若しくは3価の芳香族基−]
L14:
−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−]
L15:
−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[O−CO−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)、又は、−CO−2価若しくは3価の芳香族基−[O−CO−2価若しくは3価の芳香族基−]
L16:
−CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−[O−CO−NH−2価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−[O−CO−NH−2価の脂肪族基−]
L17:
−CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−[O−CO−NH−2価の脂肪族基−(O−CO−)、又は、−CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−[O−CO−NH−2価の脂肪族基−]
L18:
−2価若しくは3価の芳香族基−(CO−O−)
L19:
−2価若しくは3価の脂肪族基−(CO−O−)
L20:
−2価若しくは3価の芳香族基−[CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)
L21:
−2価若しくは3価の芳香族基−[CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)
L22:
−2価若しくは3価の脂肪族基−[CO−O−2価若しくは3価の芳香族基−(O−CO−)
L23:
−2価若しくは3価の脂肪族基−[CO−O−2価若しくは3価の脂肪族基−(O−CO−)
ここで、上記2価若しくは3価の脂肪族基とは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基、又はポリアルキレンオキシ基を意味する。中でも、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基や、これらを組み合わせて得られた3価の基が好ましく、アルキレン基及び置換アルキレン基が更に好ましい。
また、2価若しくは3価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、更に分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。
2価若しくは3価の脂肪族基の炭素数は、1〜28であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜12であることが更に好ましく、1〜10であることが更にまた好ましく、1〜8であることが最も好ましい。
2価若しくは3価の脂肪族基に導入しうる置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、及びジアリールアミノ基等が挙げられる。
前記2価若しくは3価の芳香族基とは、アリーレン基、置換アリーレン基、これらのアリーレン基から水素原子を1つ除いて得られた3価の基を意味する。好ましくは、フェニレン基、置換フェニレン基、ナフチレン基、置換ナフチレン基である。
2価若しくは3価の芳香族基に導入しうる置換基の例としては、上記2価若しくは3価の脂肪族基に導入しうる置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
前記Lの具体例(L1〜L23)の中では、L1、L3、L5、L7、及びL17が好ましい。
一般式(3)で表される構造単位が、一般式(5)で表される構造単位である場合のYの好ましい例を以下に挙げる。本発明は、これらに限定されるものではない。
一般式(3)で表される構造単位としては、上記一般式(5)で表される構造単位のほかに、Yで表される基が高分子構造を有する、いわゆるグラフトポリマー型の構造を有していているものもまた、好ましい例として挙げられる。
Yで表される基が高分子構造を有する場合、この高分子構造を構成する繰り返し単位の構造としては、公知のいかなる構造を有していても良いが、好ましくは、ポリアルキレン構造(例えば、ポリエチレン構造、ポリプロピレン構造、ポリアクリル酸構造、ポリメタクリル酸構造、ポリスチレン構造、ポリビニルアルコール構造、ポリ酢酸ビニル構造、ポリアクリルアミド構造など)、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造などであり、更に好ましくは、ポリアルキレン構造(例えば、ポリエチレン構造、ポリプロピレン構造、ポリアクリル酸構造、ポリメタクリル酸構造、ポリスチレン構造、ポリビニルアルコール構造、ポリ酢酸ビニル構造など)、ポリエステル構造、ポリエーテル構造であり、特に好ましくは、ポリアルキレン構造(例えば、ポリアクリル酸構造、ポリメタクリル酸構造、ポリスチレン構造など)である。
繰り返し単位の重合度としては、好ましくは、2〜300であり、更に好ましくは4〜200であり、特に好ましくは6〜100である。
また、好ましいエチレン性不飽和基の例としては、上述の一般式(5)で表される構造単位中のエチレン性不飽和基と同様のものが挙げられ、好ましい例も同様である。
以下に、一般式(3)で表される構造単位が、グラフトポリマー型の構造を有するときの好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(4)におけるZについて説明する。Zは、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、カルバモイル基、芳香族基、ヒドロキシ基、及びアシルオキシ基から選択される1種の基を有する置換基を表す。
中でも、炭素数2〜30、好ましくは炭素数2〜20、更に好ましくは炭素数2〜10のカルボン酸エステル基、又はカルボン酸アミド基を有する置換基が好ましい。
Zの好ましい例としては、カルボン酸アルキルエステル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニルなど)、カルボン酸アリールエステル基(例えば、フェノキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基、ナフタレンオキシカルボニル基)など、カルボン酸アルキルアミド基(例えば、N−メチルカルボン酸アミド基、N−エチルカルボン酸アミド基、N−プロピルカルボン酸アミド基、N−イソプロピルカルボン酸アミド基、N−ベンジルカルボン酸アミド基、N−ブチルカルボン酸アミド基、N−へキシルカルボン酸アミド基、N−オクチルカルボン酸アミド基、N−シクロヘキシルカルボン酸アミド基、2−エチルへキシルカルボン酸アミド基、N−(2−ヒドロキシ)メチルカルボン酸アミド、N−(2−ヒドロキシ)エチルカルボン酸アミド)カルボン酸アリールアミド基(例えば、N−フェニルカルボン酸アミド、N−(4−メトキシフェニル)カルボン酸アミド基など)などを挙げることができる。
Zの更に好ましい例としては、カルボン酸アルキルエステル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニルなど)、カルボン酸アルキルアミド基(例えば、N−メチルカルボン酸アミド基、N−エチルカルボン酸アミド基、N−プロピルカルボン酸アミド基、N−イソプロピルカルボン酸アミド基、N−ベンジルカルボン酸アミド基、N−ブチルカルボン酸アミド基、N−へキシルカルボン酸アミド基、N−オクチルカルボン酸アミド基、N−シクロヘキシルカルボン酸アミド基、2−エチルへキシルカルボン酸アミド基、N−(2−ヒドロキシ)メチルカルボン酸アミド、N−(2−ヒドロキシ)エチルカルボン酸アミドなど)などを挙げることができる。
Zの特に好ましい例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニル、N−メチルカルボン酸アミド基、N−エチルカルボン酸アミド基、N−プロピルカルボン酸アミド基、N−イソプロピルカルボン酸アミド基、N−ベンジルカルボン酸アミド基、N−ブチルカルボン酸アミド基、2−エチルへキシルカルボン酸アミド基、N−(2−ヒドロキシ)メチルカルボン酸アミド、N−(2−ヒドロキシ)エチルカルボン酸アミドなどを挙げることができる。
本発明における特定共重合体において、一般式(1)で表される構造単位、及び、一般式(2)で表される構造単位の含有量の合計と、一般式(3)で表される構造単位の含有量とのモル比は、好ましくは0.99:0.01〜0.1:0.9であり、更に好ましくは0.99:0.01〜0.2:0.8であり、特に好ましくは0.95:0.05〜0.3:0.7である。
本発明における特定共重合体において、一般式(1)で表される構造単位の含有量と、一般式(2)で表される構造単位の含有量と、のモル比は、好ましくは0.8:0.2〜0.2:0.8であり、更に好ましくは0.8:0.2〜0.3:0.7であり、特に好ましくは0.7:0.3〜0.3:0.7である。
本発明における特定共重合体は、分子中のカルボキシル基の一部が塩基によって中和されていることを特徴とする。このような、部分中和を行うことにより、画像形成層を形成する際に用いられる溶媒への溶解性を低下させることが可能であり、中間層と画像形成層との好ましくない層混合を避けることができ、現像性の向上と、汚れ性の低下という予想外の効果が発現し、商品として好ましい平版印刷版原版を得ることが可能である。
一般式(1)で表される構造単位、一般式(2)で表される構造単位、及び一般式(3)で表される構造単位、はそれぞれ1種類のみであっても、2種類以上組み合わされていてもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記一般式(4)で表される構造単位のように、一般式(1)で表される構造単位、一般式(2)で表される構造単位、及び一般式(3)で表される構造単位以外の構成成分を更に含んでいてもよい。また、合成の際に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤などに由来する成分をポリマーの末端、或いは、側鎖に含有していてもよい。
本発明における特定共重合体の合成は、常法により行うことができる。
具体的には、アニオン重合、ラジカル重合、カチオン重合、高分子反応法、などの公知の方法から選択される任意の合成法が単独又は組み合わせて採用される。好ましくは、ラジカル重合や、高分子反応法である。
本発明における特定共重合体の合成方法としては、一般式(1)で表される構造単位に相当する単量体、及び、一般式(3)で表される構造単位に相当する単量体を少なくとも含有する原料を共重合させた後に、カルボキシル基の一部を中和する方法、一般式(1)で表される構造単位に相当する単量体の一部を中和した単量体を用意し、これと、一般式(3)で表される構造単位に相当する単量体を少なくとも含有する原料とを共重合させる方法、のいずれかが好ましく選択される。
特に好ましくは、一般式(1)で表される構造単位と、一般式(3)で表される構造単位とを少なくとも含有する共重合体を、実質的に水を含まない溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)で合成した後に、水及び塩基を同時(塩基の水溶液を添加する場合も含む)又は逐次に添加して、共重合体中のカルボキシル基の一部を中和する方法が選択される。
本発明における特定共重合体の平均分子量は任意であってよいが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定した時、重量平均分子量(Mw)が1000〜500,000であることが好ましく、また、2,000〜200,000の範囲であることが更に好ましく、5000〜100,000の範囲であることが特に好ましい。
なお、特定共重合体中に含まれる未反応モノマー量は任意であるが、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
以下に、本発明における特定共重合体の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。ただし、以下に示す構造中「4.5」とあるのは、PEO部分が平均で4.5の繰返し数に相当する混合物であることを示す。
次に、本発明における特定共重合体の合成例を示すが、以下に示す特定共重合体以外のものも同様の方法で合成することができる。
なお、本発明の化合物の合成法はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:特定共重合体(a−1)の合成)
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル20.5質量部を取り、80℃に昇温して窒素気流下で30分間攪拌した。別途、メタクリル酸メチル17.4質量部、メタクリル酸15.0質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル1.8質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル82.0質量部の混合溶液を調製し、反応溶液に2時間を要して滴下した。80℃で4時間反応させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル3.0質量部を加え、90℃に昇温して更に2時間攪拌した。反応溶液にグリシジルメタクリレート9.9質量部、パラメトキシフェノール0.088質量部、テトラエチルアンモニウムブロミド0.884質量部を加え90℃に昇温して9時間攪拌した。
反応溶液を20℃以下に冷却した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液26.1質量部を加えて攪拌し、特定共重合体(a−1)の溶液(固形分濃度24.3%)を得た。得られた特定共重合体(a−1)のGPC法による重量平均分子量は23400であった。
(合成例2:特定共重合体(a−2)の合成)
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル34.4質量部を取り、70℃に昇温して窒素気流下で30分間攪拌した。別途、プロピレングリコールモノメチルエーテル172.0質量部、メタクリル酸メチル17.4質量部、アクリル酸9.0質量部、メタクリル酸アリル8.8質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ二トリル)2.6質量部の混合溶液を調製し、反応溶液に2時間を要して滴下した。70℃で2時間30分反応させた。
反応溶液を20℃以下に冷却した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液15.6質量部を加えて攪拌し、特定共重合体(a−2)の溶液(固形分濃度17.7%)を得た。得られた特定共重合体(a−2)のGPC法による重量平均分子量は34400であった。
(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法による平均分子量の測定)
本発明における特定共重合体の平均分子量は以下のようにして測定することができる。
即ち、標準試料としてPEG(東ソー製)を用い、以下の分析条件により平均分子量を測定した。
カラム :Shodex OHpak SB−806M HQ 8×300mm
Shodex OHpak SB−806M HQ 8×300mm
Shodex OHpak SB−802.5 HQ 8×300mm
移動層 :50mMリン酸水素二ナトリウム溶液(アセトニトリル/水=1/9)
流量 :0.8ml/min.
検出器 :RI
注入量 :100μl
試料濃度:0.1質量%
(中間層の形成)
本発明における中間層は、支持体上に種々の方法により塗布することで設けられる。
具体的には、中間層は次のような方法で設けることができる。
メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの有機溶剤、それらの混合溶剤、或いは、これら有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定共重合体を溶解させた溶液を、支持体上に塗布、乾燥する方法と、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤、それらの混合溶剤、或いは、これら有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定共重合体を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して特定共重合体を吸着させ、しかる後、必要により水などによって洗浄、乾燥する方法である。
前者の方法では、特定共重合体の、好ましくは0.005質量%〜20質量%、更に好ましくは0.01質量%〜10質量%、特に好ましくは0.05質量%〜5質量%の濃度の溶液を、種々の方法で塗布する方法が用いられる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。
また、後者の方法では、特定共重合体の溶液中の濃度は好ましくは0.01質量%〜20質量%であり、より好ましくは0.05質量%〜5質量%である。また、浸漬温度は好ましくは20℃〜90℃、より好ましくは25℃〜50℃であり、浸漬時間は好ましくは0.1秒〜20分、より好ましくは2秒〜1分である。
上記の溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルスルホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、フマル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性物質等によりpHを調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=3〜10の範囲で使用することもできる。
本発明における特定共重合体(中間層)の乾燥後の被覆量は、中間層の効果を十分に得るために、2mg/m〜100mg/mが好ましく、更に好ましくは3mg/m〜50mg/mであり、特に好ましくは4mg/m〜30mg/mである。
本発明における中間層には、本発明における特定共重合体の他に、更に他の公知の化合物を併用してもよい。併用しうる化合物は、公知の中間層に用いられていた化合物であり、その具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平11−38635号、特開平11−38629号、特開平10−282645号、特開平10−301262号、特開平11−24277号、特開平11−109641号、特開平10−319600号、特開平11−84674号、特開平11−327152号、特開2000−10292号、特開2000−235254号、特開2000−352854号、特開2001−209170号、特願平11−284091号等に記載のものを挙げることができる。
〔画像形成層〕
本発明の平版印刷版原版は、前述の中間層上に、重合型の画像形成層を有する。
この画像形成層としては、画像部が重合反応により形成される態様のものであれば、既知の任意のものであってよいが、中間層の効果が十分に得られるといった点から、赤外線レーザで記録可能な画像形成層であることが好ましい。
特に、本発明における画像形成層としては、後述の(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び(D)バインダーポリマーを含有する重合硬化層(以下、ネガ型画像形成層と称する場合がある。)であることが好ましく、特に、更に(A)赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
また、画像形成層は単層構造であっても、複数の層からなる積層構造を有したものであってもよい。
以下に、画像形成層の種類の異なる各種の平版印刷版原版について説明する。
〔(A)赤外線吸収剤〕
本発明の平版印刷版原版を、760nm〜1200nmの赤外線を発するレーザーを光源により画像形成する場合には、通常、(A)赤外線吸収剤を用いることが必須である。
赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述する(B)重合開始剤(ラジカル発生剤)に電子移動/エネルギー移動する機能を有する。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nm〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−NPh、−X−L、又は以下に示す基を表す。ここで、Xは酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xaは後述するZaと同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。画像形成層用塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZaは必要ない。好ましいZaは、画像形成層用塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、分散物の画像形成層用塗布液中での安定性及び画像形成層の均一性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
画像形成層中における、赤外線吸収剤の含有量としては、画像形成層の全固形分質量に対し、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜10質量%が最も好ましい。この範囲において、高感度な記録が可能であり、非画像部における汚れの発生もなく、高画質の画像形成が可能である。
〔(B)重合開始剤〕
本発明に用いられる(B)重合開始剤としては、光、熱或いはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、後述する(C)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。
本発明に使用できる重合開始剤(ラジカル発生剤)としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
重合開始剤(ラジカル発生剤)としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が挙げられる。
前記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
前記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
前記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
前記有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
前記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
前記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、、特開2002−107916、特許第2764769号、特開2002−116539号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech”98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
前記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特願2001−132318公報等記載される化合物が挙げられる。
前記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385記載の化合物、特開2000−80068記載の化合物、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
前記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(I)〜(III)で表されるオニウム塩である。
上記一般式(I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11−は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオンが好ましい。
上記一般式(II)中、Ar21、Ar22は各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21−は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
上記一般式(III)中、R31、R32、R33は各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、好ましくは反応性、安定性の面から、アリール基であることが望ましい。好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31−は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましく、特に、特開2001−343742号公報に記載のカルボン酸イオン、更に好ましくは特開2001−343742号公報に記載のカルボン酸イオンが好ましい。
以下、本発明に好適なオニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
本発明においては、特に、反応性、安定性の面から、重合開始剤として、前記オキシムエステル化合物或いはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が用いられることが好ましい。中でも、電子供与性基を有するヨードニウム塩、又は電子吸引性基を有するスルホニウム塩が好ましく、カチオン部を有する骨格にアルコキシ基などを2つ以上有するヨードニウム塩、更に好ましくはアルコキシ基を3つ以上有するヨードニウム塩が最も好ましい。
これらの重合開始剤は、画像形成層を構成する全固形分に対し0.1質量%質量%〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。
また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
〔(C)重合性化合物〕
本発明において、(C)重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(x)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R’)OH 一般式(x)
上記一般式(x)中、R及びR’は、それぞれ、H又はCHを示す。
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な画像形成層の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、本発明における重合性化合物は次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましくない場合がある。また、画像形成層中の他の成分(例えば、重合開始剤、後述するバインダーポリマー、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。
また、本発明における重合性化合物は、平版印刷版原版の支持体や後述の保護層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
画像形成層中の重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましくない相分離が生じ、画像形成層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、画像形成層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、重合性化合物成分は、画像形成層中の不揮発性成分に対して、好ましくは5質量%〜80質量%、更に好ましくは25質量%〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。
その他、重合性化合物は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量に応じて任意に選択でき、更に場合によっては下記の下塗り層等の層構成・塗布方法にも用いることができる。
〔(D)バインダーポリマー〕
本発明における画像形成層は、更に(D)バインダーポリマーを含有する。
本発明において用いられるバインダーポリマーとしては、画像形成層の皮膜形成剤として機能するポリマーであり、線状有機高分子重合体であることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体としては、従来公知の如何なるものを使用しても構わない。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。中でも、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
更に、バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に画像形成層中で起こるラジカル重合反応の過程で高分子バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(B1)〜(B3)で表される官能基が特に好ましい。
上記一般式(B1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、1価の有機基を表すが、Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又はN(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
上記一般式(B2)において、R〜Rは、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R〜Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(B1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又はN(R12)−を表す。R12は、一般式(B1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
上記一般式(B3)において、Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(B1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体及びポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1mmol〜10.0mmol、より好ましくは1.0mmol〜7.0mmol、最も好ましくは2.0mmol〜5.5mmolである。
(アルカリ可溶性のバインダーポリマー)
現像処理がアルカリ現像液を用いて行われる態様においては、バインダーポリマーはアルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ水に可溶性又は膨潤性である有機高分子重合体が好ましく使用される。特に、pHが10以上のアルカリ現像液を用いる場合には、アルカリ可溶性のバインダーポリマーが好適に用いられる。
アルカリ可溶性のバインダーポリマーは、アルカリ水に可溶性であるために、アルカリ可溶性基を有することが好ましい。アルカリ可溶性は酸基であることが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基などが挙げられる。これらのうち、被膜性・耐刷性・現像性の両立という観点から、カルボキシル基を有するバインダーポリマーが特に好ましい。
更に、アルカリ可溶性バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、上記のように架橋性をもたせることができる。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
アルカリ可溶性のバインダーポリマーの質量平均分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。好ましい質量平均分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
アルカリ可溶性のバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
また、アルカリ可溶性のバインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における画像形成層において、アルカリ可溶性バインダーポリマーを用いる場合、その含有量は、画像形成層の全固形分に対して、通常5質量%〜90質量%であり、10質量%〜70質量%であるのが好ましく、10質量%〜60質量%であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また、本発明において好適なアルカリ可溶性のバインダーポリマーとしては、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーが挙げられる。
以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマーと称し、詳細に説明する。
一般式(i)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR−を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。
一般式(i)におけるRは、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
一般式(i)におけるRで表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す総原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、Rで表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
また、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(i)におけるRで表される連結基は、炭素数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、Rは、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、Rは縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
で表される連結基としては、特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl))、ジアリールボリル基(−B(aryl))、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH))及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
本発明の平版印刷版原版では、画像形成層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(i)におけるAがNR−である場合のRは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。このRで表される炭素数1〜10までの1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。Rが有してもよい置換基としては、Rが導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、Rの炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(i)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(i)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、一般式(i)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(i)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明における特定バインダーポリマーは、一般式(i)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(i)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、画像形成層の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1モル%〜99モル%、より好ましくは5モル%〜40モル%、更に好ましくは5モル%〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明おいて用いられるアルカリ可溶性のバインダーポリマーは、特定バインダーポリマー単独であってもよいし、他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1質量%〜80質量%、好ましくは1質量%〜40質量%、更に好ましくは1質量%〜20質量%の範囲で用いられる。併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等が好ましく用いられる。更には、本業界においてよく使用される重合性基を有するものが好ましく、また、酸性基を有するものが好ましい。
画像形成層中での特定バインダーポリマー及び併用してもよいバインダーポリマーの合計量は、適宜決めることができるが、画像形成層中の不揮発性成分の総質量に対し、通常、10質量%〜90質量%であり、好ましくは20質量%〜80質量%、更に好ましくは30質量%〜70質量%の範囲である。
また、このようなアルカリ可溶性のバインダーポリマーの酸価(meq/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の平版印刷版原版の画像形成層、又は画像形成層用の組成物中には、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤について説明する。
(共増感剤)
本発明における画像形成層にある種の添加剤を用いることで、感度を更に向上させることができる。このような化合物を以後、共増感剤という。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、熱重合開始剤により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(i)還元されて活性ラジカルを生成し得るもの、(ii)酸化されて活性ラジカルを生成し得るもの、(iii)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、若しくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(i)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フエロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成し得る。
(ii)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、、N−フェニルイミノジ酢酸及びその誘導体、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成し得る。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成し得る。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等を挙げることができる。
(iii)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、若しくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成し得る。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
また、感度向上及び/又は現像性向上の目的で、芳香環又はヘテロ芳香環構造を有し、それに直接、又は、2価の連結基を介して少なくとも2つのカルボキシル基が結合してなるポリカルボン酸化合物を含有することも好ましい態様である。このようなポリカルボン酸化合物としては、具体的には例えば、(p−アセトアミドフェニルイミド)二酢酸、3−(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、4−(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、2−[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]安息香酸、2−[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]−5−メトキシ安息香酸、3−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]−2−ナフタレンカルボン酸、N−(4−アミノフェニル)−N−(カルボキシメチル)グリシン、N,N’−1,3−フェニレンビスグリシン、N,N’−1,3−フェニレンビス[N−(カルボキシメチル)]グリシン、N,N’−1,2−フェニレンビス[N−(カルボキシメチル)]グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−メトキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−メトキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−ヒドロキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−クロロフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−ブロモフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−クロロフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2−クロロフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−エチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,3−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3,4−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−ホルミルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−エチルアントラニル酸、N−(カルボキシメチル)−N−プロピルアントラニル酸、5−ブロモ−N−(カルボキシメチル)アントラニル酸、N−(2−カルボキシフェニル)グリシン、o−ジアニシジン−N,N,N’,N’−四酢酸、N,N’−[1,2−エタンジイルビス(オキシ−2,1−フェニレン)]ビス[N−(カルボキシメチル)グリシン]、4−カルボキシフェノキシ酢酸、カテコール−O,O’−二酢酸、4−メチルカテコール−O,O’−二酢酸、レゾルシノール−O,O’−二酢酸、ヒドロキノン−O,O’−二酢酸、α−カルボキシ−o−アニス酸、4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、2,2’−(ジベンゾフラン−2,8−ジイルジオキシ)二酢酸、2−(カルボキシメチルチオ)安息香酸、5−アミノ−2−(カルボキシメチルチオ安息香酸、3−[(カルボキシメチル)チオ]−2−ナフタレンカルボン酸、などが挙げられる。
中でも、下記一般式(α)で表されるN−アリールポリカルボン酸、又は、一般式(β)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(α)中、Arは、モノ−、ポリ−又は未置換のアリール基を表し、mは1から5の整数を表す。
ここで、アリール基に導入可能な置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のチオアルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。このアリール基は、1つから3つの、同一又は異なる置換基を有するものが好ましい。mは好ましくは1であり、また、Arは好ましくはフェニル基を表す。
前記一般式(β)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、n及びpは、それぞれ1から5の整数を表す。
nは1であることが好ましく、Rは水素原子が好ましい。最も好ましいポリカルボン酸はアニリノ二酢酸である。
その他、感度向上及び/又は現像性向上に好ましい化合物としては、カルボン酸基及びスルホン酸基のいずれか或いは双方を2官能以上有する化合物であり、具体的には5−アミノイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸、4−メチルフタル酸、テレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニック酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、N−ベンジルイミノジ酢酸、N−(2−カルボキシフェニルグリシン)、N−フェニルイミノジ酢酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、5−スルホサリチル酸、2−スルホ安息香酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−スルホフタル酸などが挙げられる。また、上記化合物は、更にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、チオール基、チオアルコキシ基、スルホニル基で置換されてもよい。
これらのうち、最も好ましいのは、前記一般式(α)又は一般式(β)で表される化合物である。
このようなポリ(カルボン酸/スルホン酸)化合物の添加量は、画像形成層の固形分中、0.5質量%〜15質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることが更に好ましく、3質量%〜8質量%であることが特に好ましい。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開昭9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。
これらの共増感剤は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。
使用量は重合性化合物100質量部に対し、0.05質量部〜100質量部、好ましくは1質量部〜80質量部、更に好ましくは3質量部〜50質量部の範囲が適当である。
(重合禁止剤)
また、本発明における画像形成層用の組成物には、その製造中又は保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t―ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、支持体への塗布後の乾燥の過程でその画像形成層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(着色剤)
更に、本発明における画像形成層には、着色を目的として染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系画像形成層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料及び顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(その他の添加剤)
更に、本発明における画像形成層には、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他、可塑剤、画像形成層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
上記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。バインダーポリマーを使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
また、本発明における画像形成層には、膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
その他、画像形成層と支持体との密着性向上や、未露光画像形成層の現像除去性を高めるための添加剤を用いることも可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加により、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能であり、一方、ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加により、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
(マイクロカプセル及び/又はミクロゲル)
本発明における画像形成層は、良好な機上現像性を得るといった観点から、マイクロカプセル及び/又はミクロゲルを含有する態様をとることが好ましい。すなわち、前述の画像形成層の構成成分をマイクロカプセルやミクロゲルに内包させる態様である。
本発明で用いられるマイクロカプセルは、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像形成層の構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像形成層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。更に、マイクロカプセルを含有する画像形成層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
一方、本発明においては、画像形成層が、架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様であってもよい。このミクロゲルは、その中及び/又は表面に、前述の画像形成層の構成成分の一部を含有することができる。特に、重合性化合物をその表面に存在させることによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
画像形成層の構成成分をマイクロカプセル化、若しくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
例えば、マイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号の各明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号の各明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号の各明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
一方、ミクロゲルを調製する方法としては、特公昭38−19574号、同42−446号の各明細書に記載されている界面重合による造粒、特開平5−61214号明細書に記載されているような非水系分散重合による造粒を利用することが可能である。但し、これらの方法に限定されるものではない。
上記界面重合を利用する方法としては、上述した公知のマイクロカプセル製造方法を応用することができる。
本発明に用いられる好ましいミクロゲルは、界面重合により造粒され3次元架橋を有するものである。このような観点から、使用する素材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01μm〜3.0μmが好ましい。0.05μm〜2.0μmが更に好ましく、0.10μm〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
本発明の平版印刷版原版における画像形成層は、前述の各成分を溶媒に溶かして塗布液を調製し、これを適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2質量%〜50質量%が適当である。
画像形成層の支持体への塗布量は、画像形成層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性等の影響を考慮し、用途に応じ適宜選択することが望ましい。
本発明の平版印刷版原版における画像形成層の塗布量は、耐刷性、露光感度、及び現像性の観点から、一般的には、乾燥後の質量で約0.l10g/m〜約10g/mの範囲が適当である。より好ましくは0.510g/m〜5g/mである。
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版には、画像形成層上に保護層が設けられることが好ましい。以下、本発明における保護層について説明する。
本発明における保護層は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、画像形成層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。このような保護層に関する工夫は従来、種々なされており、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。このような保護層を本発明の平版印刷版原版にも適用することができる。
また、本発明における平版印刷版原版が、前述のように重合開始剤、重合性化合物、バインダーポリマーを含有するネガ型画像形成層を有する場合、露光時において大気中の酸素を遮断して重合阻害作用を呈する酸素遮断能を有する保護層を設けることが望ましい。一方で、保存時の安定性或いはセーフライト適性の観点で暗重合防止作用を呈する程度の酸素透過能を有することも望ましく、両機能を有する程度において、低酸素遮断性を有する保護層とすることが望ましい。
本発明においては、雲母を含有する保護層が好ましく、水溶性高分子化合物としてポリビニルアルコール、フィラーとして有機樹脂からなる微粒子(有機フィラー)、及び無機質の層状化合物として雲母を含有する保護層がより好ましい。
(水溶性高分子化合物)
保護層に主成分として用いられる材料としては、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが当業界でよく知られている。これらの中で、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性に最も良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要とされる酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
具体的には、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。上記の共重合体としては、88%〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテート又はプロピオネート、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール及びそれらの共重合体が挙げられる。その他有用な水溶性高分子化合物としてはポリビニルピロリドン、ゼラチン及びアラビアゴム等が挙げられ、これらは単独又は併用して用いてもよい。
本発明において用いられるポリビニルアルコールとしては、ケン化度が71%〜100%、分子量が200〜2400の範囲のものを挙げることができる。良好な酸素遮断性、優れた被膜形成性と低接着性表面を有するという観点で、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコールを用いることが、より好ましい。
画像形成層に用いうる市販のポリビニルアルコールとしては、具体的には、株式会社クラレ製の、PVA−102、PVA−103、PVA−104、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−117H、PVA−135H、PVA−HC、PVA−617、PVA−624、PVA−706、PVA−613、PVA−CS、PVA−CST、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセノールNL−05、NM−11、NM−14、AL−06、P−610、C−500、A−300、AH−17、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、JF−04、JF−05、JF−10、JF−17、JF−17L、JM−05、JM−10、JM−17、JM−17L、JT−05、JT−13、JT−15等が挙げられる。
更に、ポリビニルアルコールを酸変性したものも好適に用いられる。具体的には、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコールが好適なものとして挙げられる。これら酸変性ポリビニルアルコールもケン化度が91モル%以上のものが、より好ましく使用できる。
具体的な酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、株式会社クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
上記の水溶性高分子化合物は、得られる平版印刷原版の感度や、積層した場合に平版印刷版原版同士の接着などを考慮すると、保護層中の全固形分量に対して、45質量%〜95質量%の範囲で含有されることが好ましく、50質量%〜90質量%の範囲で含有されることがより好ましい。
上記水溶性高分子化合物は、少なくとも1種を用いればよく、複数種を併用してもよい。複数種の水溶性高分子化合物を併用した場合でも、その合計の量が上記の質量範囲であることが好ましい。
一方で、保護層においては、画像形成層の画像部との密着性や、皮膜の均一性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の画像形成層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20質量%〜60質量%混合し、画像形成層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。これらの公知の技術をいずれも適用することはもちろん可能である。
画像形成層との接着力、感度、不要なカブリの発生性の観点から、保護層にポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを併用してもよい。この場合の添加量比(質量比)は、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドンが、3/1以下であることが好ましい。また、ポリビニルピロリドンの他にも、比較的結晶性に優れている、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、及びこれらの共重合体なども、ポリビニルアルコールと併用することができる。
(フィラー)
本発明に係る保護層には、前記高分子化合物に加え、フィラーを含有することが好ましい。フィラーを含有することによって、画像形成層表面の耐キズ性の向上が図れ、更には、平版印刷版原版を、合紙を介することなく積層した場合に生じる隣接する平版印刷版原版との接着が抑制され、平版印刷版原版同士の剥離性を優れたものとしうるため、ハンドリング性が向上するという利点をも有することになる。かかるフィラーとしては、有機フィラー、無機フィラー、無機−有機複合フィラー等のいずれでもよく、またこれらのうち、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは無機フィラーと有機フィラーの併用である。
フィラーの形状は、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、繊維状、針状、板状、球状、粒状(なお、ここで「粒状」とは「不定形状の粒子」を指し、以下、本明細書において同じ意味で用いる。)、テトラポット状及びバルーン状等が挙げられる。これらのうち、好ましいものは板状、球状、粒状である。
有機フィラーとしては、例えば、合成樹脂粒子、天然高分子粒子等が挙げられ、好ましくはアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチルセルロールス、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等の樹脂粒子であり、より好ましくはアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂粒子が挙げられる。
保護層に添加する有機フィラーに好適な市販のフィラーとしては、具体的には、三井化学製の、ケミパールW100、W200、W300、W308、W310、W400、W401、W4005、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WP100、綜研化学製の、MX−150、MX−180、MX−300、MX−500、MX−1000、MX−1500H、MX−2000、MR−2HG、MR−7HG、MR−10HG、MR−3GSN、MR−5GSN、MR−2G、MR−7G、MR−10G、MR−20G、MR−5C、MR−7GC、SX−130H、SX−350H、SX−500H、SGP−50C、SGP−70C、積水化成品工業製の、MBX−5、MBX−8、MBX−12、MBX−15、MBX−20、MB20X−5、MB30X−5、MB30X−8、MB30X−20、SBX−6、SBX−8、SBX−12、SBX−17等が挙げられる。
粒子サイズ分布は、単分散でも多分散でもよいが、単分散が好ましい。フィラーの大きさは、平均粒子径が1μm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは、平均粒子径が2μm〜15μm、更に好ましくは、平均粒子径が3μm〜10μmである。これらの範囲内とすることにより、上記本発明の効果がより有効に発現される。
有機フィラーの含有量は、保護層の全固形分量に対し、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは1質量%〜15質量%、更に好ましくは、2質量%〜10質量%である。
無機フィラーとしては、金属及び金属化合物、例えば、酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、窒化物、炭化物、硫化物及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等が挙げられ、具体的には、雲母化合物、硝子、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ジルコン、酸化錫、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、硼酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硼酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化チタン、塩基性硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ、炭化珪素、炭化チタン、硫化亜鉛及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等が挙げられる。
好ましくは、雲母化合物、硝子、アルミナ、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、硼酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
これらのうち、保護層に特に好適なものとして、雲母化合物が挙げられる。この雲母に代表される無機質の層状化合物について以下に詳述する。
(無機質の層状化合物)
本発明の保護層は、無機質の層状化合物を含有することが好ましい。無機質の層状化合物を併用することにより、酸素遮断性は更に高まり、また、保護層の膜強度が一層向上して耐キズ性が向上する他、保護層にマット性を付与することができる。
その結果、保護層は、上記の酸素等の遮断性に加え、変形などによる劣化やキズの発生を抑制することが可能となる。更に、保護層にマット性を付与することによって、平版印刷版原版を積層した場合に、平版印刷版原版の保護層表面と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着を抑制することが可能となる。
無機質の層状化合物としては、例えば、一般式:A(B,C)2〜510(OH,F,O)〔ただし、Aは、K,Na,Caの何れか、B及びCは、Fe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母化合物などが挙げられる。
上記雲母化合物においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si10)F等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に、合成スメクタイトも有用である。
上記の雲母化合物の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。即ち、この膨潤性合成雲母は、10Å〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に、層間の陽イオンがLi、Naの場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本実施の形態において有用であり、特に、膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
雲母化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
雲母化合物の粒子径は、その平均長径が0.3μm〜20μm、好ましくは0.5μm〜10μm、特に好ましくは1μm〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは、厚さが1μm〜50nm、面サイズ(長径)が1μm〜20μm程度である。
無機質の層状化合物の保護層に含有される量は、積層した場合の平版印刷版原版同士の接着の抑制やキズ発生の抑制、レーザ露光時の遮断による感度低下、低酸素透過性などの観点から、保護層の全固形分量に対し、5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜40質量%の範囲が特に好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これらの無機質の層状化合物の合計の量が上記の質量であることが好ましい。
無機質の層状化合物以外の無機フィラーの保護層に含有される量も同様に、保護層の全固形分量に対し、5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜40質量%の範囲が特に好ましい。
保護層中には、有機フィラーと無機フィラーとを混合して使用することも可能であり、混合比率は重量比で1:1〜1:5の範囲が好適である。この場合の保護層への含有量としては、保護層の全固形分量に対し、無機フィラー有機フィラーの合計量で5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜40質量%の範囲がより好ましい。
また、無機−有機複合フィラーを用いることもできる。無機−有機複合フィラーとしては、例えば、上記有機フィラーと無機フィラーの複合化物が挙げられ、複合化に用いられる無機フィラーとしては、金属粉体、金属化合物(例えば、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物及びこれらの複合化物等)の粒子が挙げられ、好ましくは酸化物及び硫化物等であり、より好ましくはガラス、SiO、ZnO、Fe、ZrO、SnO、ZnS、CuS等の粒子が挙げられる。無機−有機複合フィラーの保護層への含有量としては、保護層の全固形分量に対し、5質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜40質量%の範囲がより好ましい。
保護層の成分(ポリビニルアルコールや無機質の層状化合物の選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。
本発明において、保護層は単層に限らず、互いに異なる組成を有する複数の保護層を重層構造で設けることも可能である。重層構造の保護層の好ましい態様としては、画像形成層に近接して無機質の層状化合物を含有する保護層を下部保護層として設け、その表面にフィラーを含有する保護層を上部保護層として、これらを順次積層する態様が挙げられる。
このような積層構造の保護層を設けることによって、最上層の保護層において、フィラーに起因する耐傷性、耐接着性の利点を十分に生かしながら、下部保護層の優れた酸素遮断性と相俟って、傷の発生及び所望されない酸素透過のいずれに起因する画像欠損も効果的に防止することができる。
本発明における保護層は、25℃−1気圧における酸素透過度が、0.5ml/m
day以上100ml/m・day以下であることが好ましく、このような酸素透過度
を達成するように、塗布量を調整することが好ましい。
なお、保護層には、画像形成層を露光する際に用いる光の透過性に優れ、かつ、露光に関わらない波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(水溶性染料)を添加してもよい。これにより、感度を低下させることなく、セーフライト適性を高めることができる。
(保護層の形成)
保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、上記成分を含む保護層用塗布液を、画像形成層上に塗布することで実施される。例えば、米国特許第3,458,311号又は特開昭55−49729号に記載されている方法も適用することができる。
以下、雲母化合物等の無機質の層状化合物とポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物とを含有する保護層の塗布方法について詳述する。雲母化合物等の無機質の層状化合物が分散する分散液を調製し、その分散液と、上記のポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物(又は、水溶性高分子化合物を溶解した水溶液)とを混合してなる保護層用塗布液を、画像形成層上に塗布することで保護層が形成される。
保護層に用いる雲母化合物等の無機質の層状化合物の分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に雲母化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性雲母化合物を5質量部〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。一般には、上記の方法で分散した雲母化合物の2質量%〜15質量%の分散物は高粘度或いはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層用塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物(又は、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物を溶解した水溶液)と配合して調製するのが好ましい。
この保護層用塗布液には、塗布性を向上させための界面活性剤や、得られる被膜の物性改良のための水溶性可塑剤など、公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。更に、この塗布液には、画像形成層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
保護層の塗布量は、得られる保護層の膜強度や耐キズ性、画質の維持、セーフライト適性を付与するための適切な酸素透過性を維持する観点で、0.1g/m〜4.0g/mが好ましく、0.3g/m〜3.0g/mがより好ましい。
重層構造の保護層を設ける場合の塗布方法には特に制限はなく、同時重層塗布を行う方法、逐次塗布して重層する方法のいずれも適用することができる。
重層塗布を行う場合の、無機質の層状化合物を含有する下部保護層とフィラーを含有する上部保護層との塗布量は、下部保護層が0.1g/m〜1.5g/mが好ましく、0.2g/m〜1.0g/mがより好ましく、上部保護層が0.1g/m〜4.0g/mが好ましく、0.2g/m〜3.0g/mがより好ましい。両者のバランスとしては、1:1〜1:5であることが好ましい。
<製版方法>
以下、本発明の平版印刷版原版の製版方法について説明する。
本発明の平版印刷版原版は、該平版印刷版原版を複数枚積層してなる積層体を、プレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚ずつ自動搬送した後に、露光処理した後、現像処理を行なうことで製版される。
本発明の平版印刷版原版が前述のように雲母などを含む保護層を有する態様の場合には、原版間に合紙を挟み込むことなく積層しても、平版印刷版原版の間の密着性や、保護層へのキズの発生が抑制される。特に、原版間を合紙を挟み込むことなく積層した積層体を用いることができれば、合紙の除去が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
〔露光〕
本発明における露光処理に用いられる光源としては、画像形成層に応じて決定されればよい。画像形成層が前述のように赤外線吸収剤を含有していれば、750nm〜1400nmの波長で露光し得るものであれば、如何なる光源でも用いることができるが、赤外線レーザーが好適なものとして挙げられる。中でも、本発明においては、750nm〜1400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像露光されることが好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射されるエネルギーは10mJ/cm〜300mJ/cmであることが好ましい。露光のエネルギーが低すぎると画像形成層の硬化が十分に進行しない。また、露光のエネルギーが高すぎると画像形成層がレーザーアブレーションされ、画像が損傷することがある。
本発明における露光処理では、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明においては、上述のように、露光処理された平版印刷版原版は、必要に応じて、加熱処理及び水洗処理が施され、現像処理に供される。
〔現像〕
本発明における現像処理では、現像液を用いて、画像形成層の非画像部を除去する。
以下、本発明に用いられる現像液について説明する。
(現像液)
本発明に用いられる現像液は、pH14以下のアルカリ水溶液であることが好ましく、また、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
(芳香族アニオン界面活性剤)
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、重合性ネガ型の画像形成層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化効果があり、現像処理安定化において好ましい。中でも、本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(A)又は一般式(B)において、R、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜5のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
m、nは、それぞれ独立に、1〜100から選択される整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するRは同
一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異
なっていてもよい。
t、uは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
p、qはそれぞれ、0〜2から選択される整数を表す。Y、Yは、それぞれ単結合、又は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Zr+、(Zs+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、或いは、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の範囲の、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。r、sはそれぞれ、1又は2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

これら芳香族アニオン界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。芳香族アニオン界面活性剤の添加量は、現像液中における芳香族アニオン界面活性剤の濃度が1.0質量%〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2質量%〜10質量%の範囲とすることが効果的である。ここで、含有量が1.0質量%未満であると、現像性低下及び画像形成層成分の溶解性低下を招くことがあり、含有量が10質量%を超えると、印刷版の耐刷性を低下させる懸念がある。
本発明に係る現像液には、前記芳香族アニオン界面活性剤以外に、その他の界面活性剤を併用してもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤である。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
(2価金属に対するキレート剤)
本発明に係る現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na、Na、Na、NaP(NaOP)PONa、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01質量%〜5質量%、より好ましくは0.01質量%〜0.5質量%の範囲で含有させる。
また、本発明に係る現像液には、現像調整剤として有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加えてもよい。例えば、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
(アルカリ剤)
本発明に係る現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で用いてもよいし、若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
また、上記以外のアルカリ剤として、アルカリ珪酸塩を挙げることができる。アルカリ珪酸塩は塩基と組み合わせて使用してもよい。使用するアルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリ珪酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる現像液は、支持体の親水化成分としての珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiOと、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物MO(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、最適な範囲に容易に調節することができる。酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MOとの混合比率(SiO
Oのモル比)は、支持体の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)されることに起
因する放置汚れや、溶解アルミニウムと珪酸塩との錯体形成に起因する不溶性ガスの発生を抑制するといった観点から、好ましくは0.75〜4.0の範囲であり、より好ましくは0.75〜3.5の範囲で使用される。
また、現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、支持体の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果、現像性、沈殿や結晶生成の抑制効果、及び廃液時における中和の際のゲル化防止効果などの観点から、現像液の質量に対して、SiO量として、0.01mol/L〜1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05mol/L〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
本発明において使用される現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下のような成分を併用することができる。例えば、安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;プロピレングリコール等の有機溶剤;この他、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明に用いられる現像液は、25℃におけるpHが10〜12.5の範囲であることが好ましく、pH11〜12.5の範囲であることがより好ましい。本発明における現像液は、前記界面活性剤を含むため、このような低pHの現像液を用いても、非画像部において優れた現像性を発現する。このように、現像液のpHを比較的低い値とすることにより、現像時における画像部へのダメージを軽減するとともに、現像液の取扱い性にも優れる。
また、該現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmであることが好ましく、5mS/cm〜25mS/cmであることがより好ましい。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
更に、自動現像機を用いて、現像液の処理能力を回復させるためには、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
本発明のより好ましい現像補充液は、アルミニウムイオンと水溶性キレート化合物形成能を有するオキシカルボン酸キレート剤と、アルカリ金属の水酸化物と、界面活性剤とを含有し、ケイ酸塩を含有せず、pH11〜13.5の水溶液であることを特徴とする現像補充液である。このような現像補充液を使用することにより、優れた現像性と版材の画像部の強度を損なうことの無い特性を有し、現像液のアルカリによりアルミニウム支持体が溶出されて形成する水酸化アルミニウムの析出が効果的に抑制され、自動現像機の現像浴ローラー表面への水酸化アルミニウムを主成分とする汚れの付着や、引き続く水洗浴内への水酸化アルミニウム析出物の蓄積が低減され、長期間安定に処理することができる。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明に係る平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
本発明の平版印刷版の製版方法においては、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うこともできる。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は、加熱温度が200℃〜500℃の範囲で実施される。現像後の加熱温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じるおそれがある。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、マルチクリーナー、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
(機上現像)
本発明の平版印刷版原版は、画像形成層の構成成分によっては機上現像を行うことができる。
下記に、本発明の平版印刷版原版における画像形成層が機上現像可能な場合の印刷方法について、説明する。
まず、前述のようにして、本発明の平版印刷版原版を画像様に露光した後、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、印刷インキと湿し水とを供給して印刷を行う。機上現像では、この印刷を繰り返す途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去される。
前述のようにして露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。なお、レーザー露光装置付きの印刷機の場合は、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像様に露光される。
平版印刷版原版を赤外線レーザー等で画像様に露光した後、湿式現像処理工程等の現像処理工程を経ることなく印刷インキと湿し水とを供給して印刷すると、画像形成層の露光部においては、露光により硬化した画像形成層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び/又は印刷インキによって、未硬化の画像形成層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像形成層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像形成層の構成成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。湿し水及び印刷インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(実施例1〜4)
<アルカリ現像型の平版印刷版原版>
[支持体の作成]
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径30μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いブラシ回転数250rpmでアルミ表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。 この板を15%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗、乾燥し支持体Aとした。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
[中間層]
次に、このアルミニウム支持体表面に下記中間層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、100℃10秒間乾燥した。塗布量は10mg/mであった。
−中間層用塗布液−
・表1に記載の特定共重合体(下記構造の(a−1)〜(a−4)) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
[画像形成層]
この上に、下記組成の画像形成層用塗布液を調製し、にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が0.9g/mとなるように塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間乾燥して画像形成層を形成した。
−画像形成層用塗布液−
・赤外線吸収剤(下記構造のIR−1) 0.038g
・重合開始剤A(下記構造のS−1) 0.061g
・重合開始剤B(下記構造のI−1) 0.094g
・メルカプト化合物(下記構造のSH−1) 0.015g
・増感助剤(下記構造のT−1) 0.081g
・付加重合性化合物(下記構造のM−1) 0.428g
・バインダーポリマーA(下記構造のB−1) 0.311g
・バインダーポリマーB(下記構造のB−2) 0.250g
・バインダーポリマーC(下記構造のB−3) 0.062g
・重合禁止剤(下記構造のQ−1) 0.0012g
・銅フタロシアニン顔料分散物 0.159g
・フッ素系界面活性剤 0.0081g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 5.886g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
[保護層の塗設]
<下部保護層>
画像形成層表面に、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)界面活性剤A(日本エマルジョン社製、エマレックス710)及び界面活性剤B(アデカプルロニックP−84:旭電化工業株式会社製)の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(保護層用塗布液)中の合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤A/界面活性剤Bの含有量割合は、7.5/89/2/1.5(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/mであった。
<上部保護層>
下部保護層表面に、有機フィラー(アートパールJ−7P、根上工業(株)製)、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(L−3266:ケン化度87モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)、増粘剤(セロゲンFS−B、第一工業製薬(株)製)、下記構造の高分子化合物A、及び界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(保護層用塗布液)中の有機フィラー/合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/増粘剤/高分子化合物A/界面活性剤の含有量割合は、4.7/2.8/67.4/18.6/2.3/4.2(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.8g/mであった。
このようにして、実施例1〜4の平版印刷版原版を得た。
(比較例1〜3)
実施例1において、中間層に使用した特定共重合体を、下記表1に示すように、下記構造の比較用化合物(c−1)〜(c−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1〜3の平版印刷版を得た。
(平版印刷版原版の評価)
(1)感度評価
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VXにて、解像度175lpi、外面ドラム回転数150rpm、出力0〜8Wの範囲でlogEで0.15ずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。露光後、富士フイルム(株)社製LP−1310Newsを用い、30℃12秒で現像した。現像液は、富士フイルム(株)社製DH−Nの1:4水希釈水を用い、フィニッシャーは、富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.8を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。結果を表1に示す。
(2)耐刷性評価及び汚れ評価
作製された平版印刷版原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VXにて、解像度175lpiの80%平網画像を、出力8W、外面ドラム回転数206rpm、版面エネルギー100mJ/cmで露光した。露光後、水道水による水洗により保護層を除去した後、(1)感度評価の現像工程と同じ方法で現像した。そして、得られた平版印刷版を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷を行い、ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数(刷了枚数)を耐刷性の指標とした。印刷汚れ性は1000枚印刷し、1時間後に再度印刷した非画像部のインキ汚れを目視で5段階評価した。数字が大きいほど耐汚れ性に優れることを示す。評価が4以上は実用的なレベルであり、評価3では許容される下限である。結果を表1に示す。
また、平版印刷版原版を60℃、75%Rhで2日間強制経時した後、同様の方法で平版印刷版を作製して、経時してないものと同様に印刷を行った。
表1から明らかなように、カルボン酸及びカルボン酸塩を有し、更に、重合性基を有する特定共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(実施例1〜4)は、カルボン酸、その中和体、及び重合性基のいずれも持たない共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(比較例1)と比較して、耐汚れ性及び耐刷性のいずれにも向上が見られ、また、重合性基を持たない共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(比較例2)に対しては耐刷性に向上が見られる。更に、実施例1〜4の平版印刷版原版は、重合性基を有し、カルボン酸基を有するが中和していない共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(比較例3)と比較して、耐汚れ性において向上が見られる。
<機上現像型の平版印刷版原版>
(実施例5〜8)
(1)支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温は50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
更に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。 この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
[中間層]
更に、下記中間層用塗布液を乾燥塗布量が12mg/mになるよう塗布して、中間層を形成した。
−中間層用塗布液−
・本発明の特定共重合体(表2に記載、前記(a−1)〜(a−4)) 0.01g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
[画像形成層及び保護層]
上記のようにして中間層が形成された支持体上に、下記組成の画像形成層用塗布液をバー塗布した後、100℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像形成層を形成した。
引き続き、下記組成の保護層用塗布液を前記画像形成層上にバー塗布し、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.160g/mの保護層を形成することで平版印刷版原版を得た。
なお、画像形成層用塗布液は、下記感光液及びミクロゲル液を塗布直前に混合し、攪拌することにより得た。
−画像形成層用塗布液−
・バインダーポリマー(1) 0.177g
・ラジカル発生剤(1) 0.142g
・赤外線吸収剤(1) 0.0308g
・重合性化合物(アロニックスM−215(東亜合成(株)製) 0.319g
・フッ素系界面活性剤(1) 0.004g
・イオン系界面活性剤(1) 0.125g
・メチルエチルケトン 2.554g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.023g
−ミクロゲル液−
・ミクロゲル分散液(1) 1.800g
・水 1.678g
画像形成層用塗布液に用いられる、バインダーポリマー(1)、ラジカル発生剤(1)赤外線吸収剤(1)、フッ素系界面活性剤(1)、及びイオン系界面活性剤(1)の構造について、以下に示す。
また、画像形成層に使用するミクロゲル液に用いるミクロゲル分散液(1)の合成について以下に示す。
−ミクロゲル分散液(1)の合成−
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10.0g、重合性化合物としてアロニックスM−215(東亜合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル分散液の固形分濃度を、21質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ミクロゲル分散液(1)を得た。平均粒径は0.23μmであった。
−保護層用塗布液−
・下記層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール 0.06g
(PVA105、(株)クラレ製、けん化度98.5モル%、重合度500)
・ポリビニルピロリドン 0.01g
(ポリビニルピロリドンK30、東京化成工業(株)製、分子量Mw=4万)
・ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体 0.01g
(LUVITEC VA64W、ISP社製、共重合比=6/4)
・ノニオン系界面活性剤 0.013g
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・イオン交換水 6.0g
−層状化合物分散液(1)の調製−
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散無機粒子のアスペクト比は100以上であった。
[比較例1〜3]
実施例5における中間層に使用した特定共重合体を、下記表2に示すように、比較用化合物(c−1)〜(c−3)に変更した以外は、実施例5と同様の方法により比較例4〜6の平版印刷版原版を得た。
〔平版印刷版原版の評価〕
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力11.7W、外面ドラム回転数250rpm、解像度2400dpiの条件で露光した後、下記のようにして、機上現像性、着肉性、耐刷性、及び耐汚れ性を評価した。結果をまとめて表2に示す。
(機上現像性の評価)
露光済みの平版印刷版原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6,000枚の印刷速度で印刷を行った。この時、画像形成層の未露光部(非画像部)に、インキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として評価した。枚数が少ないほど、機上現像性に優れると評価する。
(耐刷性の評価)
更に、印刷を続け、印刷枚数を増やしていくと徐々に画像形成層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下する。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。枚数が多いほど、耐刷性に優れると評価する。
(微小点状汚れ性の評価)
露光済みの平版印刷版原版を温度60℃、湿度70%の条件下2.5日保存した後、印刷機にかけて印刷物を作製し、印刷物の非画像部であるべき部分(印刷版の未露光部)に発生した微小点状汚れについて80cmあたりの個数を数えた。個数が少ないほど、微小点状汚れ防止性に優れると評価する。
表2から明らかなように、実施例5〜8の平版印刷版原版は、優れた耐刷性と共に、優れた微小点状汚れ防止性を示すという予想外の効果を示す。これに対し、比較例4〜6の平版印刷版原版は、耐刷性と微小点状汚れ防止性の両立という面で、本発明に比べて性能が劣ることがわかる。以上から、本発明の効果は明らかである。また、実施例5〜9の平版印刷版原版は、機上現像性にも優れることが分かる。
表2から明らかなように、カルボン酸及びカルボン酸塩を有し、更に、重合性基を有する特定共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(実施例5〜8)は、カルボン酸、その中和体、及び重合性基のいずれも持たない共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(比較例4)と比較して、微小点状汚れ防止性及び耐刷性のいずれにも向上が見られ、また、重合性基を持たない共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(比較例5)に対しては耐刷性に向上が見られる。更に、実施例5〜8の平版印刷版原版は、重合性基を有し、カルボン酸基を有するが中和していない共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版(比較例6)と比較して、微小点状汚れ防止性において向上が見られる。
<アルカリフリーの平版印刷版原版>
(実施例9〜12及び比較例7〜9)
[アルミニウム支持体]
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥し、アルミニウム支持体を作製した。
このようにして得られた支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
[中間層]
上記のようにして得られたアルミニウム支持体上に、以下の組成を有する中間層用塗布液を塗布し、100℃にて3分間乾燥した。得られた中間層の塗布量は、10mg/mであった。
−中間層用塗布液−
・下記表3に示す共重合体を含む溶液(20質量%MFG溶液) 2.5g
(前記特定共重合体(a−1)〜(a−4)、比較用化合物(c−1)〜(c−3))
・N−メチルピロリドン 49.0g
・メタノール 450.0g
・水 1.5g
[画像形成層]
上記のようにして得られた中間層上に、以下の組成を有する画像形成層用塗布液を塗布し、80℃にて1分間乾燥した。
得られた画像形成層の塗布量は1.2g/mであった。
−画像形成層用塗布液−
・下記バインダーポリマー(A) 0.54g
・重合性化合物 0.48g
(イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、アロニックスM−315、東亜合成(株)製)
・下記増感色素(A) 0.06g
・下記重合開始剤(A) 0.10g
・下記共増感剤(A) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸(80/20)共重合体:10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部〕
・メチルエチルケトン 4.80g
・ジメチルスルホキシド 4.80g
[保護層]
上記のようにして得られた画像形成層上に、以下の組成を有する保護層用塗布液をバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して、塗布量が0.50g/mの保護層を形成した。
−保護層用塗布液−
・ポリビニルアルコール(ケン化度:98モル%、重合度:500) 40g
・ポリビニルピロリドン(分子量:5万) 5g
・ポリ〔ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1)〕(分子量:7万) 0.5g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5g
・水 950g
<露光、現像及び印刷>
得られた平版印刷版原版の各々について、出力100mWの405nm半導体レーザーを用いて、エネルギー密度を変えて画像様露光を行った。
その後、下記水溶液Aを用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し平版印刷版(加熱なし)を作製した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有し、1本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールで、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールで、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minにて実施した。
水溶液Aは、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。水溶液Aのタンク容量は、10リットルであった。
(水溶液A)
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル(オキシエチレン平均数n=13) 1.00g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
一方、レーザー画像様露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃で15秒間保持した。その後、30秒以内に、上記と同様の現像処理を実施し平版印刷版(加熱あり)を作製した。
また、上記平版印刷版原版をアルミクラフト紙で包装して60℃のオーブン中に3日間放置した。その後、上記と同様にレーザー画像様露光して現像処理を実施し、平版印刷版(強制保存)を作製した。
次いで、平版印刷版(加熱なし)、平版印刷版(加熱あり)、平版印刷版(強制保存)を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
〔評価〕
耐刷性及び耐汚れ性を下記のように評価した。結果を表3に示す。
<耐刷性>
上記の印刷を行い、印刷枚数が増加すると、徐々に画像形成層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷物におけるインキ濃度が低下した。同一露光量(エネルギー密度)で露光した印刷版において、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により耐刷性を相対評価した。即ち、比較例7を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象平版印刷版の耐刷枚数)/(基準平版印刷版の耐刷枚数)×100
<耐汚れ性>
印刷開始後500枚目の印刷物を抜き取り、非画像部に付着しているインキ濃度により耐汚れ性を相対評価した。即ち、比較例7を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは非画像部に付着しているインキ濃度が低いこと、即ち、耐汚れ性が良好であることを表す。
耐汚れ性=(基準平版印刷版の非画像部インキ濃度)/(対象平版印刷版の非画像部インキ濃度)×100
表3から明らかなように、実施例9〜12の平版印刷版原版は、加熱なし、加熱あり、強制保存の態様に関わらず、耐汚れ性が高く、また、耐刷性にも優れることができる。
〔実施例13〜16及び比較例10〜12〕
[画像形成層及び保護層]
実施例9〜12及び比較例7〜9における画像形成層用塗布液を下記の画像形成層用塗布液に、また、保護層用塗布液を下記の保護層用塗布液に変更した以外は、実施例9〜12及び比較例7〜9とそれぞれ同様にして平版印刷版原版を作製した。
−画像形成層用塗布液−
・下記バインダーポリマー(B) 0.54g
・下記重合性化合物(B) 0.48g
・前記増感色素(A) 0.06g
・前記重合開始剤(A) 0.18g
・前記共増感剤(A) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸(80/20)共重合体:10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部〕
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記フッ素系界面活性剤(B) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
−保護層用塗布液−
・下記雲母分散液(1) 13.00g
・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 1.30g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.20g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル=1/1)(分子量7万) 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.05g
・水 133.00g
(雲母分散液(1)の調製)
水368gに合成雲母(「ソマシフME−100」:コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を得た。
得られた実施例13〜18及び比較例10〜12の平版印刷版原版を、実施例9と同様にして、露光、現像及び印刷を行い、更に、実施例9と同様にして評価した。結果を表4に示す。但し、相対評価の基準(100)としては、比較例10を用いた。
表4に明らかなように、実施例13〜16の平版印刷版原版は、加熱なし、加熱あり、強制保存の態様に関わらず、耐汚れ性が高く、また、耐刷性にも優れることができる。
(実施例17〜20及び比較例13〜15)
前記実施例5〜8及び比較例4〜6で作製された機上現像型の平版印刷版原版を、実施例9に同様にして、露光、現像、及び印刷を行った。また、得られた平版印刷版を、実施例9と同様の方法で評価した。この結果を表5に示す。但し、相対評価の基準(100)としては、比較例7を用いた。
表5に明らかなように、実施例17〜20(実施例5〜8)の平版印刷版原版は、加熱なし、加熱あり、強制保存の態様に関わらず、耐汚れ性が高く、また、耐刷性にも優れることができる。
表3〜5の結果から分かるように、カルボン酸及びカルボン酸塩を有し、更に、重合性基を有する特定共重合体を中間層に用いた平版印刷版原版は、加熱なし、加熱あり、強制保存の態様に関わらず、耐刷性及び耐汚れ性がほぼ一定となっていることが分かる。これにより、本発明の平版印刷版原版は、露光後の加熱の有無に影響を受けず、また、保存安定性が高いことが分かる。
自動現像処理機の構造を説明するための図である。
符号の説明
1:回転ブラシロール
2:受けロール
3:搬送ロール
4:搬送ガイド板
5:スプレーパイプ
6:管路
7:フィルター
8:給版台
9:排版台
10:現像液タンク
11:循環ポンプ
12:版

Claims (10)

  1. 支持体上に、下記一般式(1)で表される構造単位、下記一般式(2)で表される構造単位、及び下記一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体を少なくとも一種含有する中間層と、重合型の画像形成層と、をこの順で有することを特徴とするネガ型平版印刷版原版。

    [一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Lは、単結合を表す。nは1を表す。]

    [一般式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Lは、単結合を表す。Xはカルボン酸イオンを表し、Mは電荷を中和するのに必要な対カチオンを表す。mは1を表す。]

    [一般式(3)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Yはエチレン性不飽和基を含有する基を表す。]
  2. 前記共重合体が、更に、一般式(4)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求項1に記載のネガ型平版印刷版原版。

    [一般式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜30の置換基、又はハロゲン原子を表す。Zは、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、カルバモイル基、芳香族基、ヒドロキシ基、及びアシルオキシ基から選択される1種の基を有する置換基を表す。]
  3. 前記一般式(4)におけるZが、カルボン酸エステル基を有する置換基であることを特徴とする請求項2に記載のネガ型平版印刷版原版。
  4. 前記一般式(1)で表される構造単位の含有量と、前記一般式(2)で表される構造単位の含有量と、のモル比が0.8:0.2〜0.2:0.8であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のネガ型平版印刷版原版。
  5. 前記一般式(1)で表される構造単位の含有量、及び、前記一般式(2)で表される構造単位の含有量の合計と、前記一般式(3)で表される構造単位の含有量と、のモル比が0.99:0.01〜0.1:0.9であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のネガ型平版印刷版原版。
  6. 前記重合型の画像形成層が赤外線レーザーで記録可能であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のネガ型平版印刷版原版。
  7. 前記重合型の画像形成層が、重合開始剤、重合性化合物、及びバインダーポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のネガ型平版印刷版原版。
  8. 前記重合型の画像形成層が、更に赤外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項7に記載のネガ型平版印刷版原版。
  9. 前記重合型の画像形成層上に、雲母を少なくとも含有する保護層を有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のネガ型平版印刷版原版。
  10. 前記重合型の画像形成層上に、ポリビニルアルコール、有機樹脂からなる微粒子、及び雲母を含有する保護層を有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のネガ型平版印刷版原版。
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