JP2010127445A - インサートメタル - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを低減できるとともに加工性もよいインサートメタルを提供することである。
【解決手段】上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、環状のシール部材2における芯材を成すとともに、帯状の母材10を巻き、その両端11,12をつき合わせて環状体20を得て、この環状体20の一端を折り曲げて断面L字状に成形することで、円環状の頂部1aと頂部1aの外周に連なる筒部1bとを形成したインサートメタル1において、頂部1aに対応する部位における周長減少に伴って不要となる部分を母材10から予め切除することを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、インサートメタルに関する。
従来のシール部材にあっては、たとえば、油圧緩衝器等のシリンダの開口端に嵌合する環状のロッドガイドに装着されて、上記ロッドガイドに軸支されてシリンダ内に進退されるロッドの外周をシールするものが知られており、具体的には、ロッドガイドに設けた環状溝内に嵌合される断面L字状であって環状のインサートメタルと、インサートメタルの内周に保持されてロッドの外周に摺接するオイルリップ、或いはこれに加えてダストリップを備えて構成されており、オイルリップによってシリンダ内を油密に保つようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
そして、平板をドーナツ状に打ち抜いた母材から上記インサートメタルを製造すると、母材を打ち抜いた後の平板にインサートメタルに使用されない余り部分が残って歩留まりが悪いことから、平板から帯状の母材を取り、母材を巻いて両端をつき合わせて環状体を得て、この環状体の一端を折り曲げて断面L字状に成形することで、円環状の頂部と頂部の外周に連なる筒部とを備えたインサートメタルを製造するようにしている。
特開2008−51234号公報
上記のようにインサートメタルを帯状の母材から製造することで、平板からドーナツ状の母材を打ち抜く場合のように余り部分が発生してしまうことがなく、平板の全部を用いることができ、歩留まりが向上する。
しかしながら、母材を巻いて得た環状体をプレスして折り曲げて頂部を形成するので、金型から取り出して除荷すると、上記の変形には永久歪によるもの以外に弾性変形によるものが含まれており、弾性変形による歪が復元して、図9,10に示すように、母材の両端部21,22同士をつき合わせた部位に大きな隙間が発生し、筒部23の端部に拡径するような反りを生じて、狙った径のインサートメタルを得られない場合がある。
また、上記加工は頂部の内縁側の周長を減少させる加工となるので頂部24の内縁側の肉厚が局所的に厚くなって均一な板厚とならないといった問題がある。
これらを矯正するには、再度の塑性加工が必要となって、その分のコストを負担しなければならず、また、上記プレス加工後に弾性変形が生じているインサートメタルを金型から取外す際にも大きな力が必要であり加工性の点でも改善が望まれている。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、コストを低減できるとともに加工性もよいインサートメタルを提供することである。
上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、環状のシール部材における芯材を成すとともに、帯状の母材を巻き、その両端をつき合わせて環状体を得て、この環状体の一端を折り曲げて断面L字状に成形することで、円環状の頂部と頂部の外周に連なる筒部とを形成したインサートメタルにおいて、頂部に対応する部位における周長減少に伴って不要となる部分を母材から予め切除することを特徴とする。
本発明のインサートメタルによれば、インサートメタルの母材から予め円環状の頂部を得るのに不要な部分を切除しているので、頂部の内周側で材料のだぶつきを生じることがなくなり、頂部の肉厚を均一なものとすることができる。
さらに、母材から予め円環状の頂部を得るのに不要な部分を切除しているので、インサートメタルを塑性加工の金型から取り出して除荷しても、弾性変形による歪の復元が少なく、母材の両端部同士をつき合わせた部位に大きな隙間が発生することがなく、また、筒部の端部に拡径するような反りを生じることもなく、環状体を得た後は、一度の塑性加工によって、狙った形状のインサートメタルを得ることができる。
このように、頂部と筒部とを形成する塑性加工後に、再度の塑性加工を要することが無いので、コストを低減でき、さらに、弾性変形による歪の復元が少ないので、インサートメタルを塑性加工を施す金型から取外す際に大きな力を要せず、加工性の点でも優れる。
以下、本発明のインサートメタルを図に基づいて説明する。図1は、一実施の形態におけるインサートメタルの斜視図である。図2は、一実施の形態におけるインサートメタルの側面断面図である。図3は、一実施の形態におけるインサートメタルの底面図である。図4は、一実施の形態におけるインサートメタルを芯材としたシール部材の断面図である。図5は、一実施の形態におけるインサートメタルの母材である。図6は、一実施の形態の一変形例におけるインサートメタルの製造過程で得られる環状体の側面図である。図7は、一実施の形態の一変形例におけるインサートメタルの母材の部分拡大図である。図8は、一実施の形態の他の変形例におけるインサートメタルの母材の部分拡大図である。
一実施の形態におけるインサートメタル1は、図1から図3に示すように、円環状の頂部1aと、頂部1aの外周に連なる筒部1bとを備えて構成されており、周囲にゴム等の樹脂が溶着や接着されて形成されるシール部材の一部をなし、シール部材内に設けられる芯材として用いられる。
インサートメタル1は、具体的にはたとえば、図4に示すように、ゴム等で形成されて軸3の外周をシールする環状のシールリップ等を備えたシール部材2の芯材として使用され、シール部材2の変形を防止し、作用圧に対するシール部材2の強度と剛性を確保するとともに、シール部材2を保持する保持部材4に設けた環状溝4a内等へ適度な締代をもって圧入することを可能とし、適度な密封性と環状溝4aからの抜け出しを防止する摩擦力を発生するために用いられる。
なお、上記シール部材2の形状および構造は一例であり、インサートメタル1は、種々の環状のシール部材の芯金として使用可能である。
このようなインサートメタル1は、図5に示した帯状の母材10を巻き、その両端部11,12をつき合わせて図6に示した環状体20を得て、この環状体20の一端たる上端を折り曲げる塑性加工を行うことにより断面L字状に成形することで、円環状の頂部1aと頂部1aの外周に連なる筒部1bとを形成して製造することができる。
なお、母材10の両端部11,12をつき合わせているので、インサートメタル1の成形後、筒部1bには両端部11,12に対向して合わせ目1cが形成されることになるが、当該合わせ目1cにて確実に隙間を生じさせないようにするには、図3に示すように、当該合わせ目1cとは180度反対側の部位1dに内周側からポンチ加工するとよい。上記部位1dにポンチ加工を行うと、筒部1bの内径側に圧縮残留応力が発生し、部位1dを中心として筒部1bが径方向内側に折れようとするので、合わせ目1cが閉じられて隙間をなくすることが可能である。
戻って、母材10は、詳しくは、長手方向の長さをインサートメタル1の筒部1bの周長とし、短手方向の長さをインサートメタル1の頂部1aの内縁と外縁の径方向幅と筒部1bの高さを合計した長さとした、矩形の帯状の平板でなり、ドーナツ状の母材から製造する場合に比較して材料歩留まりの点で有利となる。
そして、母材10を矩形の平板のまま使用すると上記した不具合があるので、本発明では、図1に示すインサートメタル1を成形するに当り、上記母材10のインサートメタル1の頂部1aに対応する部位において、周長減少に伴って不要となる部分を母材10から予め切除するようにしている。
具体的には、図5中破線で示すように、母材10を長手方向にn分割して、分割された各部分片10a,10b,10c,10d,10e,10fのぞれぞれに頂部1aの内縁と同曲率の円弧状切欠13を設けるとともに、各部分片10a,10b,10c,10d,10e,10fの両端に円弧状切欠13の両側に連なるようにそれぞれ三角状切欠14を設けている。
本実施の形態においては、n=6として、母材10を六つの部分片に分割している。なお、この母材10の分割は、母材10を切断するのではなく、母材10を六つの部位に分けることを意味している。
そして、頂部1aの円形な内縁の直径をD1とし、頂部1aの円形な外縁の直径をD2とすると、各分割片10a、10b,10c,10d,10e,10fの母材長手方向長さLは、π・D2/n、すなわちこの場合は、π・D2/6とされ、円弧状切欠13の曲率半径は、インサートメタル1の頂部1aの内縁の半径であるD1/2に等しく、また、三角状切欠14は、斜辺が円弧状切欠13の端部13aに連なり、高さhが上記頂部1aの内縁と外縁との径方向幅である(D2−D1)/2に等しく、開口部幅wが頂部1aの外縁周長さと内縁周長さの差を2nで除した長さπ・(D2−D1)/2n、すなわち、この場合にはπ・(D2−D1)/12とされている。よって、円弧状切欠13の弧の長は、π・D1/n、すなわち、この場合にはπ・D1/6に設定されることになる。なお、母材10の分割数nは、任意であるが、6〜10程度が実用的な値であり、nに応じて、円弧状切欠13および三角状切欠14の形状を決定すればよい。
上述の如く、円弧状切欠13とその両側に設ける三角状切欠14,14を設けることで、図5中斜線で示す部分が母材10から切除され、隣り合う部分片10a、10b,10c,10d,10e,10fにおける三角状切欠14は、上述のように切除されることで一つの二等辺三角形の切欠を形成することになる。
なお、母材10に円弧状切欠13とその両側に設ける三角状切欠14を設ける加工は、実際には、打ち抜き加工等によって円弧状切欠13と三角状切欠14が形成された状態の母材10を平板から抜けばよい。
そして、各三角状切欠14の先端を通る仮想線Vより円弧状切欠13が設けられる図5中上方側がインサートメタル1の頂部1aに対応する部位となり、このように不要部分を切除した母材10を巻いて両端部11,12をつき合わせて環状体20を得て、図6中で三角状切欠14の先端を通る仮想線Vより上方側を塑性加工によって内側へ折り曲げると、隣り合う三角状切欠14の斜辺同士がつき合わされて閉じて円環状の頂部1aが形成される。
また、母材10の長手方向長さは、筒部1bの外径を得るために必要な長さに設定される都合上、矩形のままの母材を折り曲げ加工すると頂部1aに対応する部位における内周側の周長が減じられる加工となるが、上述のように母材10から予め円環状の頂部1aを得るのに不要な部分を切除しているので、頂部1aの内周側で材料のだぶつきを生じることがなくなり、頂部1aの肉厚を均一なものとすることができる。
さらに、母材10から予め円環状の頂部1aを得るのに不要な部分を切除しているので、塑性加工の金型から取り出して除荷しても、弾性変形による歪の復元が少なく、母材10の両端部11,12同士をつき合わせた部位、つまり合わせ目1cに大きな隙間が発生することがなく、また、筒部1bの端部に拡径するような反りを生じることもなく、環状体20を得た後は、一度の塑性加工によって、狙った形状のインサートメタル1を得ることができる。
このように、頂部1aと筒部1bとを形成する塑性加工後に、再度の塑性加工を要することが無いので、コストを低減でき、さらに、弾性変形による歪の復元が少ないので、塑性加工を施す金型からインサートメタル1を取外す際に大きな力を要せず、加工性の点でも優れる。
なお、円弧状切欠13の形状および三角状切欠14の形状が、上述の如く設定されることによって、材料に過不足なく頂部1aが円環状に成形されるが、形状を厳密に上記の通りにせずとも母材10をn分割した部分片のそれぞれに円弧状切欠13とこの両端に連なる三角状切欠14を設けることで、単に帯状平板の母材からインサートメタルを製造する場合に比較して、弾性変形による復元を少なくすることができるというメリットは損なわれない。
また、図7に示すように、三角状切欠14の先端部分の形状を円弧状とするようにしてもよい。このように三角状切欠14の先端を円弧状とすることによって、環状体20を折り曲げて頂部1aを形成する加工後に三角状切欠14の先端付近への応力集中を避けることができる。
さらに、図8に示すように、三角状切欠14の先端に母材10の短手方向に沿う延長部14aを設け、延長部14aの先端形状を円弧状とするようにしてもよい。このようにしても上述と同様に、頂部1aを形成する加工後に三角状切欠14の先端付近への応力集中を避けることができる。
なお、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
一実施の形態におけるインサートメタルの斜視図である。 一実施の形態におけるインサートメタルの側面断面図である。 一実施の形態におけるインサートメタルの底面図である。 一実施の形態におけるインサートメタルを芯材としたシール部材の断面図である。 一実施の形態におけるインサートメタルの母材である。 一実施の形態の一変形例におけるインサートメタルの製造過程で得られる環状体の側面図である。 一実施の形態の一変形例におけるインサートメタルの母材の部分拡大図である。 一実施の形態の他の変形例におけるインサートメタルの母材の部分拡大図である。 従来のインサートメタルの底面図である。 従来のインサートメタルの側面断面図である。
符号の説明
1 インサートメタル
1a インサートメタルの頂部
1b インサートメタルの筒部
2 シール部材
3 軸
4 保持部材
10 インサートメタルの母材
10a、10b,10c,01d,10e,10f 部分片
11,12 母材の端部
13 円弧状切欠
14 三角状切欠
14a 三角状切欠の延長部

Claims (5)

  1. 環状のシール部材における芯材を成すとともに、帯状の母材を巻き、その両端をつき合わせて環状体を得て、この環状体の一端を折り曲げて断面L字状に成形することで、円環状の頂部と頂部の外周に連なる筒部とを形成したインサートメタルにおいて、頂部に対応する部位における周長減少に伴って不要となる部分を母材から予め切除することを特徴とするインサートメタル。
  2. 母材を長手方向にn分割して、分割された各部分片に頂部の内縁と同曲率の円弧状切欠を設けるとともに、各部分片の両端に円弧状切欠の両側に連なるようにそれぞれ三角状切欠を設けたことを特徴とするインサートメタル。
  3. 三角状切欠は、斜辺が円弧状切欠の端部に連なり、高さが頂部の内縁と外縁との径方向幅と同じで、開口部幅が頂部の外縁周長さと内縁周長さの差を2nで除した長さとされることを特徴とする請求項2に記載のインサートメタル。
  4. 三角状切欠の先端部分の形状を円弧状としたことを特徴とする請求項2または3に記載のインサートメタル。
  5. 三角状切欠の先端に母材の短手方向に沿う延長部を設け、延長部の先端形状を円弧状としたことを特徴とする請求項2または3に記載のインサートメタル。
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